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1954-03-18 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    徳安 實藏君       臼井 莊一君    松浦周太郎君       楯 兼次郎君    正木  清君       中居英太郎君    吉川 兼光君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐澤  勲君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月十七日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠とし楯  兼次郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員岡部得三辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十八日  運輸省設置法の一部を改正する等の法律案(内  閣提出第一〇二号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  自動車賠償保障制度実施促進等に関する陳情書  (第一九  六八号)  京都、草津間国鉄電車運転促進に関する陳情書  (第二〇三四  号)  吉備線高松駅より稲荷山に至る線路復活に関す  る陳情書(第二  〇三五号)  木造船業保護育成に関する陳情書  (  第二〇三六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関し質疑の通告があります。正木清君。
  3. 正木清

    正木委員 私は前回の当委員会で、日本交通公社の問題を取上げて、速記を土台にして申しますと、私は結論的にこう申しておるわけでございます。私の頭の中では大体十億が国鉄に対して公社から未払いになつているのだ。だからこの際思い切つて日本交通公社をつぶす覚悟公社を清算すれば、国鉄の損害は五億程度でとまるのではないかと思う。しかし自分としてはこの事業性質から見て交通公社をつぶしてはいけないのだ。では交通公社をつぶさないためには、国鉄当局としてはどういうような交通公社再建方策があるか、その具体的な再建方策を急速に立てて、当委員会に具体的に示すべきであるというのが、私の前回委員会での結論であつたわけです。そこで私も責任を感じましたから、実は損益計算書賃借対照表その他の資料を土台といたしまして、款項目について当つてみましたところが、私の十億という金額に対しては、再調査の結果十億三、十六百三十六万五十円、従つて私の十億というのには誤りがなかつた帳簿は依然として正しいものであるという確信を再度新にしたわけでありますが、私の心配しております交通公社をつぶす覚悟であれば五億の欠損で済むといつた、この五億に実は私の計算に若干の食い違いがあつて、現在私が調査した範囲においては、五億では事が済まなくて、約七億近くの動きのとれない数字が実は出て参りました。計算のしようによつては十億は依然として十億という数字になるかもしれません。そこで当委員会としては、特に私としては交通公社取扱つた責任がございますので、当然国鉄当局としても十分に公社内容検討して、いかにして再建方策立てたか、どうすれば日本交通公社をつぶさないで、しかも国鉄の現在受けておる約十億以上に上るところのものに対して、どういう処置をとらなければならないか。このことは当然長崎総裁からあとでも聞きますけれども、当の担当局長から、もうすでに国鉄としては具体案が立つていると思いますので、その点をお伺いしたいと思います。
  4. 石井昭正

    石井説明員 ただいま正木委員のおつしやいました計算内容につきましては、私どもといたしましてはいろいろ見方もあるかと思うのでございますが、しかし要するにこの前からもお話申し上げましたように、交通公社はただいまの契約通り納金はいたしておりますが、それは結局最長二箇月最短一箇月、平均いたしますと四十五日分というものの資金運用で、そういう正常の状態を維持して参つておるということになるのでございます。従つて国鉄といたしましてできるだけ早期に徴収するという建前と、それからお話もございました交通公社再建して、しかもこれがつぶれないように有効な働きをして行くようにという両方の観点から申しますと、結局この点についてもつと公社経理内容改善をはかり、そうして一方におきまして、過去におきましてできました若干の資産の不良なものは消却して行くという方法を逐年とらせて、漸進的に改善して参りたい。同町に私どもの方はできるだけ鉄道に対します納金の時期を早めまして、そうして公社資金運用とにらみ合せて、経営内容改善従つてこれを早くいたして参りたい、こう考えております。さしあたり年度がわりから、そういう点につきまして契約を更改いたしまして、明瞭な契約をつくりますとともに、代金の一部につきましてはこれをただいまよりも若干早く納めるようにして参りたい。そうしてさらにこちらの方で経営を十分監督いたしまして、業績改善するとともにこれを短縮いたしまして、所期の理想的な形態にいたして行きたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 正木清

    正木委員 今の局長答弁ではまだ抽象的でございますから、一つ一つ問題を明らかにしながら、当局のお心構えを固めて行ければ幸いだと思つておるわけですが、当委員会で問題になりましてから、当局公社内容を詳細に款項について御調査せられたと思うのですが、私も責任款項について詳細調べてみたわけです。実際は平均にならして四十五日間のこの最後売上金が、前月の国鉄に納入すべき金額肩がわりして納まつておるわけです。従つてこの四十五日間のこれをも一箇年に通算しますと約十億でございます。しからばこの千億がなぜそのように焦げついたか。その焦げついた内容が問題になつて来るわけです。それを款項別に調べてみますと、財団法人というものをつくつた——これが普通の会社であるならば、資本金が百万円なら百万円で、その二分の一払込みとすれば五十万円という現金ができるわけですが、財団法人という全然金のない団体をつくつたわけですから、最初からこういう形になつて来たわけです。土地建物什器費——私再調査して初めてわかつたのですが、三億四千六百万円、端数は切り捨てますが、これは現在の帳簿価格でございます。過去二回にわたつて資産の再評価をやつていますから、この一億四千六百万円というのは現在価格でございましよう。そのほかに売掛と称して六千五百万円ございます。この六千五百万円のうち、必死になつて回収をすれば約半分は回収できるというのが私の調査結論でございます。それから一億三千二百万円、この一億三千二百万円が例の不良投資不良貸付でございます。これが決算ではどういう形になつておるかというと、こういう形になつております。それから立てかえでもつて三千一百万円、これはどなたも御承知のように猪股という男の、国鉄と非常な関係がある特殊産業の浮貸しその他で、これも完全に焦げついてしまつている。そこでこの決算を通じて非常に興味を持ちましたことは、保証金として千七百万円が計上されている。この内容は一体何だと調べてみますと、この六千五百万円、一億三千二百万円、立てかえの三千百万円その他に、あとで出て来ますが、貸付金と称して七十万円が計上されておる。この七千万円は何だと思つて調べてみますと、これは実は会長以下重役と称せられる人々が、実は交通公社のためと思つたのでしようが、現実には七千万円焦げついてしまつている。ここにいろいろな問題が出て来ておる。それらのものを裁判その他の方法によつて責任所在を明確にするためにとつておる保証金で、十七百万円計上されている。こういうふうに款項目について一々当つてみますと、この土地建物什器の二億四千六百万円のほかに、三億一千七百万円というものが、これはどなたがどういう処置を請じようとも、現実にはいかんともすることのできない焦げついた金額に実はなつている。そのほかに、いかに国鉄というものが一片の契約書に基いて、交通公社を今日まで放任しておつたかということの証左のためにに、さらに掘り下げて調査してみますと、会社貸付金として五千五百万円が載つておる。この内訳は何かというと、こうして当然国鉄に支払うべきこの切符売上げ代金で、交通公社子会社をつくつているのです。これには私も驚いた。この子会社に対する出資金五千五百万円、一つはこれから馬力をかけてやれば私は行けると思いますが、もう一つはこれは見込みがないと思います。そうすると、ここでも三千万から動きのとれない金が出て来る。それからさらに奇異に感じられることは、この交通公社が驚くなかれ出資金と称して、日本航空の株券約二千万円を持つているのです。そのほかに別の会社に対して合計九千八百八十五万円の出資をしておる。これが交通公社実態です。そうすると、この日本航空に対する二千万円の株の出資、その他の会社に対する約一億の出資、これが現実にはたしてどれだけの値があるかということは、その人の見方によつて違いましようが、私などは日本航空会社というものは、国家的にはなくてはならない事業ではあるけれども現実には国の十億の出資が、実はあの航空会社を運営している運転資金基礎になつている。だから国鉄に当然支払うべき十億の金を、こういうところに出資することは、交通公社性格上からいつてもすべきじやないのだ、ここにも監督上の欠陥があるのだということを指摘する意味で私は申し上げたい。そうしますとと七億三千六百三十六万五千円というものが、どうにも動きのつかないことになつている。そのほかにあれだけの大きな事業をやつているのですから、これはどなたがおやりになつても三億近くの流動資金は必要なんです。そこで私はだんだん調べて行くと、大体三億の流動資金が動いているのですから、この七億三千六百三十六万五千円と流動資金の三億、合計十億三千六百三十六万五千円のこの金は、一体どこから出て来るかというと、今局長はつきり認めたように、四十五日間の差異、これでもつて運転しておるわけです。ですから今の状態で行くと、二十七年度の決算面では、特損としてわずか四千万何がしを計上しておりますが、この十億を埋めて、交通公社が一人前になつて国鉄にもきちんとし、他の事業面でもきちんとするためには、二十年以上かかる。では思い切つて日本交通公社をつぶして、国鉄がこの契約に基いて整理したとすればどういうことになるかというと、私が前回この委員会で五億で済むだろうと言つたが、この計算に若干あやまちがあつて、五億では済まない。やはり何としても七億近くの穴埋めがいるが、今の日本交通公社性格から見てこれをつぶしてはいけない。だが公の機関である国鉄としては、この状態ではほつておけない。では一体どうしたらよろしいか、ここに問題が出て来るのです。ですからもはや問題は、答弁技術抽象論ではございません。問題があまりにも明瞭になつたことですから、国鉄としてはいかにして具体案立てるかということで、案ができておればこの委員会で明らかにすべきではないかというのが、私の質問の骨子なんです。あなたの方になければ、私の方で大体考えていることがございますから、申し上げてもかまいません。あるとすれば具体的にお示しを願いたい。なければ、私の方で申し上げても一向さしつかえない。ですからいかにしてこの問題を具体的に、そして明瞭に解決をつけるかという段階に来ていることだけは、国鉄当局責任を持つて明確にしていただかなければならぬ、こういうのです。御答弁を願います。
  6. 石井昭正

    石井説明員 ただいまのお話でございますが、大体の考え方としては、正木先生のおつしやる考え方に相なると思うのでありますが、ただ実際上、正木先生の御指摘になりました金額内容見方につきましては、これは精細に調査いたしまして、一応検討いたしたことがありますが、すべてがすべて回収不能であるということにはならないし、また現在売掛金とかその他になつております、業務運営上起きている何ら不安のない金額も相当あると思います。大体そういう意味合いにおきまして、交通公社といたしましては、この前お話申し上げました通り不良資産と申しますか、とにかく早急には回収できない、あるいは特損で落さなければならないというのが、現在では約三億五千万円程度に縮まつているというふうに考えているわけであります。ただしかしそれは貸借対照表の問題で、従つて運転資金その他がどこから出て来たか、あるいは建物固定資産に見合うものはどこから出て来たかということになりますと、これは公社が過去において自分事業をやつております収益で、自己資金でやつたというものもあるかと思いますが、現状におきましてそれに見合うものといたしまして、ただいまお話のように、現在一箇月遅れと申しますか、一箇月後に精算して払うということによつてつじつまが合つているということは、御指摘通りであります。従つてこれを逐次切り上げて行く余裕が現在ないかと申しますと、そうでもないと私どもは思つております。資産内容検討いたしまして、これを逐次縮めて行く方向に持つて参りたい、そうして一方三億五千万円というような程度特損につきましては、業績改善させて、できるだけ早い機会にこれを埋めて行くという考え方でやつて行きたい、こう思つているわけでございます。
  7. 正木清

    正木委員 今の局長のような抽象的なものの考え方では、私の考え方から言うと、残念ながら二十年たつて日本交通公社というものは建て直せないのだ、こういう見方です。これはどのような人がやつても、今のような状態では建て直りません。そこで私は具体的な方法として、こういう案も一つ方法ではないか。かりに今あなたが御指摘なつたように、不良こげつきが三億五千万円、それから運転資金が三億、これで六億五千万円、それから資産に二億四千万円入つておりますから、九億という金は、あなたの言う通りになつてももうこれは固まつているわけです。これは四十五日間の売上げでもつて肩がわりをして行つている。そこで従来の日本交通公社契約書上からいうと、あなた方は焦げついていないと言うし、私どもは焦げついている、こう言うわけです。そこで十億なら十億というものは一旦たな上げをしてしまう。そしてこの十億に対しては、要するにこの再建方策を具体的にして、年賦償還でもつてこれを返済して行く。それから今日以後の分については、この契約書というものを書きかえて、そしてあなた方の監督権というものを厳重にして、再びかような間違いを起さないような処置を講ずる、これが具体案の第二。第三点は、何としても私の会社であれば、これはつぶれてしまつて、しかたがないから第二会社をつくつて資本金を三分の一くらいにして建て直そうというのが、現在の日本交通公社の姿ですから、そうなりますと、現実の問題としては、極端に言えば鉛筆一本、紙一枚、お茶を二はい飲むところを一ぱいしても、一切の物件費その他の営業費を切り詰めて行かないと、支払うべき余裕金が出て来ませんから、そこで当然労使一体的な態勢をを整えなければならない、こういうことにどなたのお考えもなるのだろうと思います。刑法上のことは別として、今の交通公社会長以下が少くとも世人に大きな疑惑と迷惑をかけた事実だけは否定できないのでありますから、従つて私は今の交通公社役員陣の一新をはかるべき必要があるのではないかと思う。その上に立つて労使一体となつて民主的運営方法を講じて、具体的な方針を立てるならば、当委員会を通じて国民はつきり納得するのではないか。また国鉄としても議会や政府国民に向つてりつぱに言い開きができるのではないか。こういう実は、私は私なりに再建の構想を持つておるわけです。そこで問題になるのは、——一体今の責任者である重役陣をかえて新しい人がすわつても、こういう行き詰まつた経理内容ですから思うように行きますまい。そこで国鉄としての責任をさらに強化し、明らかにしておく必要が当然あろうかと思うのです。そういう場合にどういうことが問題になつて適用されるかというと、この一項を適用されてはどうか。こういう二項が契約書の中にございます、第十一条「乙はこの契約から生ずる債務について、甲の承認する担保又は銀行支払保証書を甲に提出しなければならない。」ですからこの銀行支払保証書というものは、こういう不良の団体ですから全然ないわけです。私会社で言うと、会社内容がこういう状態になつているのですから、銀行支払い保証書はむろんございませんが、この中でしいて担保物件と見られるものは土地建物二億四千六百万円と、それからこの子会社出資しました五千五百万円、それから日本航空の二千万円、その他の出資金の九千八百万円、これらは当然担保物件としてやはり国鉄がとつておくべきではないか。そうしてさえおけば、責任所在というものがはつきりして、再び国会で、この交通交社に関する限りは問題が出て来ないのではないか。こういうような具体案を実は私は持つておるわけです。これに対して当の責任者である長崎総裁からひとつ意見を開きたいし、当然事務当局局長からも意見を聞きたい。そしてあなた方が、具体的な再建方策を本日責任をもつてこの委員会で明らかにできないのであるならば、あとどのくらい待つてもらいたいのか、当然われわれはこれを明らかにするという具体的な答弁を承つておきたいと思います。
  8. 長崎惣之助

    長崎説明員 私本日病院に参りまして遅れて参りましたので、正木先生の御質問の全貌を伺えなかつたことは非常に遺憾でございます。しかしながらただいま伺いました御意見は、まことに一つ考え方であるかと存じます。これを参考にいたしまして、交通公社再建という方向に向つて参りたい、そしてどういうふうにしたらいいかという点について十分な検討を加えて参りたいと思います。なお先般来再三申し上げましたように、猶予期間と申しますか、今日におきましては一箇月分をとりまとめて一箇月後に納入させるというようなことは、漸次その期間を短縮して参りたい。それについての具体的な方策というものにつきましては、今後十分に交通公社をして計画を立てさせて参りたい。また担保の問題につきましても、ただいまの御意見もございましたので、十分なる検討を加えてはつきりした方向に待つて参りたいということは、私の考えておるところでございます。これはひとり交通公社だけでなくて、元来いろいろの面におきまして、いわゆる世間で申します外郭団体につきましても、同様に私たちはその考えでおる次第でございます。不明確と申しますか、世間の誤解を招くようなことは、なるべくこれを排除しなければならぬというかたい決心を待つておる次第でございます。
  9. 正木清

    正木委員 最後長崎総裁に私一言だけ申し上げておきますが、総裁事務官僚ですから今のようなお考え方はごもつともだと思うのです。今の交通公社現状をもつてすれば、これは二、三年後であればあなたの考え方はそれでよろしゆうございましようが、今急いで四十五日間ですか、これを二十日に切り詰めるとか、十五日に切り詰めますと、交通公社はつぶれますから、この点はあなたが含んでおいてもらわなければならない。だから私の申し上げました再建方策十分研究に値するのではないか、これだけを申し上げて私の質問を終ります。
  10. 長崎惣之助

    長崎説明員 仰せの通りでございまして、交通公社の経費の大部分は、私は人件費だと思います。従いましてそういう面において十分な留意を払いまして、交通公社が他に迷惑をかけないような方法で順次私は整理して参りたい、かように考えます。
  11. 中居英太郎

    中居委員 正木さんの質問に関連しまして、お伺いしたいと思います。まず第一番に伺いたいことは、国鉄国鉄切符交通公社に依頼して売却させて、そうしてこの切符代金を最低三十日、最長六十日後に支払えばいい、こういう契約になつておるようでありますが、一体この切符代金というものは、交通公社の手に入つて国鉄当局に納入するまでの間、その金は交通公社にある限り会社の金と思いますか、それとも公金だと思いますか、その点を伺いたいと思います。
  12. 石井昭正

    石井説明員 私ども会社の金である、かように考えております。
  13. 中居英太郎

    中居委員 国鉄に納入するまでは会社の金だ、こういうことですね。私は別な観点を持つておりまして、会社国鉄に納入するまでの間会社に保管してあつてもそれは公金だ、こういう解釈をとつております。たとえば会計法等を見ましても、税金民間人が依頼されて徴収しておる場合があります。これは入場税あるいは遊興飲食税等でありますが、これは明らかに国家から依頼されて民間人が徴収しましても、納入するまでの間であつても私は公金だと思つておるわけであります。これははつきり会計法上に書いてありますが、それでもあなたは会社の金だと思いますか。
  14. 石井昭正

    石井説明員 法律上は会社所有にかかる金である、しかし性質は非常に公金に近い性質でございますから、十分な特別な管理をさせる必要もあり、またそのつもりでもおります。
  15. 中居英太郎

    中居委員 法律上は会社の金であるか、あるいは公金であるかということは、まだはつきりしないと思いますが、ただ会計法上に書いてあります国の代行者として、税金ないしは切符代金というものを徴収した場合においては、納入されなくても公金であるということははつきりしておると私は思うのであります。しかも先はど来の正木さんのお話によりますと、交通公社国鉄切符を売却いたしまして、その代金を納入するまでの平均四十五日間切符代金交通公社はすでにあるいは資産とし、あるいは有価証券貸付金というようなことで、自分の財産という名目にしておるのが、今日の交通公社実態であろうと思う。切符代金四十五日間の金を建物あるいは前渡金というような公社資産にしておるところに、焦げつきの原因があろうと私は考えておるのでありまして、こういうことは刑法はつきりと詐欺罪あるいは公金横領、こういう罪さえも生ずるのではないかというふうに考えておるのでありますが、この間の当局の見解を承りたいと思います。
  16. 石井昭正

    石井説明員 ただいま申し上げたように、これは契約に基いて一箇月後に受領するということになつて、金が私どもの方に納まつたときに国鉄所有となる、法律上の解釈としては私どもはさような解釈に立つております。また今までともさような解釈でやつてつたわけであります。ただしかしこれの収入、管理の十分確実なる監督なり何なりは、当然私ども責任を負わなければならぬ、かように考えております。
  17. 關内正一

    關内委員長 乗車券類委託販売代金徴収方につき關谷委員より発言を求められておりますので、これを許します。關谷君。
  18. 關谷勝利

    關谷委員 正木委員その他から交通公社経理内容等につきましていろいろと御質問もあつて、その内容はつきりいたして参つたのであります。この際早急に再建整備をしなければならぬことはもとよりでありますが、この再建整備をいたすにいたしましても、従来のような国鉄の乗単券代金納入延期というようなことにすがる、いわゆる国鉄依存一辺倒再建整備であつてはならない、このように私たち考えます。再建整備基礎は、あくまでも乗車券類の代金を早急に納入するということを前提としなければなりません。この際要望をいたしたいと存じますので、まずその案文を朗読いたします。   乗車券類委託販売代金徴収方に関する要望 日本国有鉄道の委託によつて日本交通公社において販売する乗車券類の代金は、両者間の契約によれば、一箇月分を取纏め日本国有鉄道の指定する納期までに納入せしめることとなつているが、乗車券類の販売代金は、原則として現金を以つて収受せられるものであるから、これに対して長期の納入猶予を与えることは妥当でない。  よつて政府は、この際日本国有鉄道をしてその歳入の確保を期するため、乗車券類委託販売代金はこれを可能なる限り速かに徴収せしめるよう措置すべきである。   右要望する。  この動議を提出をいたします。
  19. 關内正一

    關内委員長 關谷君の動議についてお諮りいたします。
  20. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今闘谷君からありました動議に関連してちよつとお尋ねしておきたいのですが、ただいま中居委員から交通公社の販売する乗単券の問題について質問があつたわけであります。それを売却して得たる金は公金ではない、会社みずからの資産である、こういう御答弁でありましたが、これは大いに疑義があると思います。一体国鉄日本交通公社をして切符を代売せしめます場合、その切符の用紙はだれがつくり、どういうふうにして交通公社の手に渡るのか、その点をお聞きいたしたい。
  21. 唐澤勲

    唐澤説明員 これは国有鉄道で印刷して渡しまして、それから交通公社の名において販売する、こういうかつこうになつております。
  22. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと、用紙は国鉄がつくつたものを、通用期限、行先、料金を書かないで交通公社に渡す、交通公社は必要事項を記入して販売する、いわゆる委託販売になるだろうと思うのです。交通公社は無記入の切符に料金や通用期限や行先や、そういうことを記入して、国鉄にかわつて販売する委託販売の一種じやないかと思いますが、その点を伺いたい。
  23. 唐澤勲

    唐澤説明員 一般の乗車券は、ただいま申し上げましたようにこちらでつくりまして、それに必要な事項を記入するようにしまして、それから発売責任者交通公社の名前を入れて発売しております。なおそのほかにクーポン券その他のようなものは、交通公社でつくつておるものもあるわけでございますが、いずれにしましても、そういうわけで法律上の解釈はいろいろ問題があると思うのでありますが、公社で売りましたものは一応公社の金と見まして、私ども契約の面では納めるときに納めれば、それまでは特にその使用について制限するというようなことをしておりませんが、実際問題として公金に準ずるというか、こちらに納めるものは確実に納まる手段を講じなければいけませんから、監督については今後とも十分やつて行かなければならないと考えております。
  24. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 それでは国鉄切符用紙をつくつてそれを交通公社に渡す場合、そのときにその切符は将来記入すべき不確定価権ではあるが、何ぼの料金になるかわからぬが、一応そのときに、記入したならば売るという条件付の販売になつて、その用紙の所有権は交通公社に移転するものであるかどうか。それからもう一つは、交通公社切符と違つたかつこうのものをやつておるようですが、旅行券を発行した場合に、それは国鉄の発行したと同じ値打のある乗車券——無記名債券なり有価証券になると思うのですが、それは国鉄が運送する債務を負つた有価証券になつてしまう。もはや交通公社有価証券ではなく、国鉄自体の有価証券になると思う。その瞬間にそれは国鉄有価証券であり、国鉄切符である。それに見合うところの料金は国鉄のものである。いわば公金もしくはこれに準ずるところの性格を持つておると思うが、これを交通公社がいたずらに自分資産に織り込んだりあるいは浮貸しをしたり、かつてに使つたりすることに非常な疑問が起つて来るのではないかと思いますが、この点はいかがでありますか。
  25. 石井昭正

    石井説明員 そのいつ有価証券になるかという問題につきましては、これは学説もいろいろあるようでございます。しかし私どもとしては、この売上代金の面につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、契約に基く収受関係で、私どもの手に入つたときに鉄道所有になる、こういう考え方契約をいたしておりますので、また従来ともそうやつてつたのでございます。ただおつしやるように公金に準ずるという性質につきましては、これはさように私ども考えますので、厳重に管理監督をして参りたい、こういうつもりでございます。
  26. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 炎通公社国鉄との乗車券の代売契約をただいま読んでおりませんから、こまかい点はあとでお伺いしますけれども、これは非常に疑問がある。国鉄有価証券として発行せられたその瞬間に、その見返りになる金は国鉄の金でなければならぬ。ただそれを交通公社が委託販売して預かつているにすぎない。だからどこかの販売会社の外交員が物を売つた、そうして得た金は自分の金でなくて、一時本店の代理人として受取つてあるのだから、その金を自分で使つたりあるいはよそへ貸したりしたら、これは横領罪であります。これは当然法律上の論理でありまして、今交通公社国鉄の間の乗車券代売に関するこまかい点を見ておりませんが、この点は非常に重要な問題で、なお研究の上質問したいと思いますが、国鉄においてはこうした重要な公金というものが不法な方面に使われるという事態に、非常な責任を感じなければならぬと思うのでありまして、これに関する明確な答弁と、はつきりした研究の結果を後にひとつ答弁していただきたい、こう思うのであります。
  27. 臼井莊一

    ○臼井委員 關谷委員の動議に関連してちよつとお伺いしたいのですが、交通公社国鉄との契約書によると、国鉄の指定する納期ということで契約書にははつきり期日がうたつていない。それで契約書を見ただけばいつが納期だかはつきりわからない。従つて、これが時によつて交通公社の便宜をはかつて、半月とか一箇月納期を延ばすというようなことも過去においてあつた。それからまた各管内の相違、局の相違によつてまた期日が違うというようなことがあつた。やはりこれははつきり契約書に明示すべきじやないかというふうに考える。現在の整理の期間においては、逆に縮めて行くのに非常に便利だ、こういうふうな点もあるかもしれませんが、しかし過去の滞納になつ状態を見ると、どうも交通公社は苦しいからというので、それをさらに引延ばしたというのが累積したよう                                                   一 に思う。これはやはり契約書はつきりしておいた方がいいのではなかろうかと思いますが、一体国鉄のそういうものに対しては、そういう契約のあれを明示しないのですか、どうですか、その点をお伺いいたしたい。
  28. 石井昭正

    石井説明員 ただいまのお話契約納入期日を明確にしろ、これは過去におきましては、御指摘のようないろいろごくふうのあつたこともございましたし、事実そのために延ばしたということもありましたが、ただいまでは一応契約文には載つておりますが、全国一律に翌月末ということにいたしております。しかしこれも契約上明瞭になつておるわけではありません。私どもは来年度から契約を更改いたしまして、先ほど正木先生から御指摘のありました点などいろいろ研究いたしまして、契約納期を契約の中に明記いたしたい、かように考えております。なおそのほかにもそういうようなものがあるかどうかというお話がありましたが、別途に期日を指定するという契約になつておるのも相当ございます。しかし確定した期限をきめておるのもございます。それは契約内容によつていろいろでございますが、ひとり交通公社だけこうしたというわけではございません。
  29. 臼井莊一

    ○臼井委員 そういう契約書はつきりしていないことで、やはり外郭団体国鉄と人事的な関係が密接な上においての、政治力によつて動かされるという点がある。国鉄自身としても私は非常にやりにくい点があるのじやないかと思う。やはり契約書には具体的にはつきりして、だれが見てもわかるようにいたしておく方が、いろいろの問題を起すことを防ぐ意味においていいのじやないかと思う。われわれ運輸委員をやつておりましてもいつかはかわる。かわつた方は前の経緯を知らぬということになりますので、やはり契約書等にははつきり書いておくということが、政治的に動く余地がなくて私はいいと考えます。今の御答弁も大体そういうようですが、これはひとり交通公社ばかりでなく、ほかの面についても非常に重要な問題だと思いますので、よくひとつ御勘考願いたいと思います。
  30. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の竹谷委員質問に対する答弁に関連して、一点質問をして明らかにしたいのです。これは日通や何かの貨物の運賃とは違つて契約書の中には、はつきり委託販売規則に基いて契約をして、そして公社に対して委託販売をさせておる。これはもうはつきりしておる。そうすれば今の専売のタバコなども、やはりあれはタバコ屋としてやつておりますけれども、今後タバコの元金まで小売屋が納めないで、自由自在にやつておればこれは横領になるでしよう。そうでしよう。委託販売という限り……。これは所有財産がどうのこうのという、そういうおかしな答弁はできぬはずじやないですか。これをはつきりしなければ私たち処置ができない。あなた方の見解はどうですか。ちやんと規程ではつきりしておるじやないですか。これはどうですか。そんなあいまいな答弁では承知しませんよ。
  31. 石井昭正

    石井説明員 先ほどから申し上げました通り、私ども交通公社との契約内容から見て、私どもの方は、私の方で受取りましたときに鉄道所有に帰する、こういう考えでございます。
  32. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは変じやないですか。財産を委託しておるのでしよう。私がこれを売つてくれ、こうあなた方に委託しておるのですよ。財産権がその委託した者に移つて、元の者にならないなんて、そんなばかな委託販売はない。規程にちやんと明らかにあるじやないですか。見解をもう一度明らかにしてください。
  33. 唐澤勲

    唐澤説明員 委託販売規程に基いてやつておりますが、委託ということにつきましてもいろいろ議論があるようでありまして、たとえば委託をしても、自分の名においてやるような場合においては、引渡してから所有権が移るというような民法の規則もあるようであります。それらの解釈についていろいろ御意見もあつたようであります。従いましてそういう点につきましては、先ほど竹谷委員からもお話がございましたように、なお私どもとしましても、そういう点の解釈はつきりさせてまたお答えいたしたいと思います。
  34. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは単に当面の期日とか何とかじやないですよ。あなた方はちやんと契約書自分でおつくりになつて契約されておるのでしよう。そうでしよう。あなた方がちやんと契約して、そして販売させておるじやありませんか。それを今のような答弁ではだれが一体納得するのですか。しかも私の得た資料によれば、公社が今年はいまだにその公社会計の予算も立たないというので、従業員はあしたからどうするか、こうするかと、うろうろしているのじやないですか。そんな事態をほつたらかしておいて、しかも当事者が契約をしておいて、その契約の規程に基く財産権の見解がいまだにそんなぼけたことでは、推して知るべしでしよう、経理の内容などというものは……。これは速記録に残るのですから、議会がそんなあいまいなことをそのままに了承して、そうして決議がどうのこうの、そう言うことはできません。ですからこれは総裁からはつきり伺いたい。——答弁なさつたらどうですか。
  35. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの法律論は私はよくわかりませんが、しかしながら先ほど来先生その他の各委員の方からお話のありました真意は、結局日本交通公社というものは、年来多年の経験を持つておる、それをつぶしてはいけない。しかしながらわれわれとの間の取引と申しますか、金銭の授受その他については明確にせよという御真意じやないかと私は拝聴いたしておる次第であります。従いまして交通公社を健全な方向に持つて行きたいということについては、あらゆる努力を私は払うつもりでございます。旧来問題になつておりますいろいろな弊害と申しますか、欠点があつたことは私率直に認めます。これを矯正いたしましていい方向に持つて行こう、しかも交通公社の経理の内容は、大体において人件費がおそらく八〇%ないし九〇%じやないかと思います。この人々の生活の問題というようなことも非常に重大な問題でございます。(「違う」と呼ぶ者あり)いや、違つておれば非常に恐縮でございますが、私はそういうものじやないかと思つております。健全な方向に持つて行きたい。従いましてただいま問題になつております法律問題等につきましても、これを明確にいたしまして、そうして日本交通公社の健全なる姿というものを実現したいということを考えておる次第でございます。
  36. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の総裁の健全にこれを運営したい、つぶしてはならないのであるから、どこからも疑惑のないようにして公社を健全にしたいということは、あなたの努力に対しては私は敬意を払うのです。しかし私の尋ねておるのはそうではなくて、委託販売をさしておるのですから、従つて財産の所在は、委託した方にあるのか、あるいは委託を受けた方にあるのか、これをはつきりしなければ、その売上げ代金の取扱い方についても非常に問題が生ずるのです。ですからそれについてのあなたの見解をはつきりしてもらつたらいいのです。どうですか。そうでないと私はあなたの答弁には納得できない、こういうことになる。——答弁がないようですが、こんな研究心のないことじや私は非常に困る。
  37. 關内正一

    關内委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  38. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。  關谷君よりの動議は次会まで保留いたすことにいたします。  次に鈴木仙八君。
  39. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 京浜、山手の分離問題についてお尋ねしたいと思います。  私が昨年夏の第十八国会以来、繰返し繰返し国鉄当局質問をし、要望している国鉄電車の京浜、山手分離問題は、目下ゆゆしい重大段階に入つて来たので、本日は特にこの問題について厳粛かつ確実に質問をし、また長崎総裁以下、当局の態度と決心を求めることにいたします。  第一は、長崎国鉄総裁の決心であります。あなたは現在国鉄の乗客が全部合せて年間三十四億三千万人に上つておるうちで、電車の乗客が年間十九億五千万人で、そのうち東京地区が十五億人を占める。つまり国鉄全部の乗客の四割三分が実は東京地区の電車乗客であることを、文字通り肝に銘じて、改善に努力をする態度を持つていますか。この点について、昨年七月二十三日の本運輸委員会において、総裁は私の質問に答えて、「東京付近の通勤輸送の緩和につきましては、急速に資金をかけ始めて実現いたしたいと考えております。今の御指摘のような問題などは、私よく肝に銘じておきます。」と答弁したことは、当時の議事録を見ても明らかです。その総裁の言う御指摘の問題というのは、言うまでもなく京浜、山手の分離問題ですが、総裁答弁の涌り、ほんとうに肝に銘じておるのですか。肝に銘ずると誓つた以上、そこには出席議員が十四名もおりましたし、石井運輸大臣を初め、運輸省及び国鉄の高位、高官がきら星のように列席をし、だれ一人これに異議なく了承をして今日に至つておるのですから、京浜、山手の分離をできるだけすみやかに実現、完成するように努力すべきものと信じます。総裁及び総裁輩下の当局は、一致団結して、京浜、山手の早期完全分離運転に邁進をしておりますか。これは東京地区の年間十五億人の電東乗客にとりまつたく死活の問題であり、ひいては日本の首府の重要事業所、中央官庁、重要会社の本社等、国家の中枢機関の業務能率を、今日のごとき能率低下から救い出すことができるかどうかの、国家全体の死活問題となつている京浜、山手の分離運転でありますから、国鉄は、総裁も国家最高の立法機関である場所で、肝に銘じておきますと明言をし、確約をしたわけであつて国鉄は上下こぞつて努力していることと思いますが、一体本気になつてこれをやつているのですか。まずお尋ねをしたいと思います。
  40. 長崎惣之助

    長崎説明員 たびたび申し上げておりますように、これは緊急を要する問題でございます。しかしながら日本国有鉄道のなさなければならない問題は、単に大都市付近の通勤輸送緩和というだけではございませんで、いろいろ仕事があります。その緩急をよく見はからいまして、でき得る限りこれを急速に実現したいということを申し上げた次第でございまして、御意見の点につきましては、肝に銘じて拝聴いたした次第であります。
  41. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 御答弁のように、国鉄は日本全体の輸送力であるということはよくわかつておりますが、ただいま申しました通り、全体の四割三分に至る乗客を輸送する重大な問題です。国鉄は総工事費として五十二億五千七百万円を計上し、二十九年度分として十億七十五百万円を計上しておりまして、二十八年度までに使つた費用は二十九億四千五百万円であります。これは通勤輸送力増強、京浜、山手線田町・田端間線路増設工事費という予算上の名目であります。この名目で二十八年度までに使つた二十九億四千五百万円の大金の中で、東京駅の改良費に二十五億七千八百万円をほうり込んだ。つまり三十億円のうち二十五億円以上は東京駅の改良で、プラツトホームの一面や二面は東口につくつたようですが、西ドイツでは、ハンブルグ、フランクフルト・アム・マインのような大きな駅のまる天井にもガラスが張つていないという御時世に、おそろしくぜいたくな、実用水準をはるかに越えた美観増進工事を進めるのに使い果してしまつて、これを田端・田町間の線路増設工事費として計上していて、国鉄総裁は何らの反省の念も起しませんか。素朴な意見でいうならば、東京駅の東口方面に、プラツトホームを一面増設するだけで、あとは線路切替工事を施し、各線が東口に一面ずつ移動するなら、京浜、山手分離用の南行きプラツトホームが一面浮いて来るのであります。総裁は肝に銘ずると確約しておき、ながら、田町・田端間わずか七キロの区間に線路増設を行う費用と称し、三十億のうち二十五億以上を東京駅に投入して、国鉄の仕事とはこういうものだとうそぶくつもりですか。年間十五億人の東京地区の電車乗客を次第に殺すつもりですか。ひいては日本の国家中枢の運営を、駅舎の美観増進をもつぱらとして行くあまり、いよいよ能率を低下させ、国家そのものを衰亡させるつもりですか。こんな予算の使い方について、総裁は何も自責、反省の念に責められないのですか。私の言うことは、朝に夕にあなた方の駅第一主義のため、阿鼻叫喚の生地獄の責苦にあつてあえぎ衰えている十五億人の乗客の声であることを、あなたは厳粛に感ずることはできますか。生れてから死ぬまで日本国民を電車にすわらせない国鉄の実情は、民衆にとつては、あなた方が東京駅前の国鉄阿房官と呼ばれるりつぱな本庁の奥深くすわり込んで、せせら笑つているようなものではありません。私の言うことはその民衆の声であります。いわゆる民の声である。なぜ線路増設費の名目で、東京駅に莫大な金をほうり込んだのですか。その金の使い方をだれが喜んでいるかということを、一応お伺いしたいと思います。
  42. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 ただいまの東京駅の仕事の話でございますが、京浜、山手の仕事の話でございますが、京浜、山手の分離をぜひともやらなければならぬということで、今までしごとを進めて参りましたが、これをやりますと現在よりはホームがどうしても一つはよけいにいるのであります。さらに御承知のごとく、現在東海道の列車に対しましてもホームが足りませんで、東京駅に入ります前の場内信号機で押えられまして、あそこで湘南電車も、横須賀線その他の列車も大分とめられる。こういうようなことからどうしてもホームがさらに一面ほしいということになりまして、六番、七番ホームをつくつたわけでございます。ですからここにかけました金は、やはり山手、京浜分離をやるためにはどうしても必要な金でございます。ただ町のまん中でございますし、やはり上屋をかけなければならないような事情にもありますので、上屋はやつた次第でございます。
  43. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 さらにお尋ねします。京浜、山手分離、田町・田端間線路増設費の名目をもつて二十八年度内に使つた二十九億四十五百万円のうちで、神田駅へ一億一千二百万円、上野駅へ二億五千五百万円をかけていますが、その工事内容は何と何ですか。神田駅については後にまた別な質問をいたしますが、とにかくこの神田駅と上野駅にかけた合計三億六千七百万円の大金で田町・田端間線路増設工事として、二つの駅に目に見えてどこがどういうふうになりましたか。準備工事とか関連工事とかいつて、またもや品川駅のように大理石みがきの便所、ああいうふうなものをつくるというのは言語道断だと思います。一体四億近い大金で何をやつているのですか。その請負人等の名前、あるいは会社はどこでございましようか。これを一応お尋ねしておきたいと思います。
  44. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 ただいま御説明の数字につきましては、私の知つております数字とも少しかわるのじやないかと思いますが、上野駅につきましては、京浜、山手が分離いたすために上野駅の配線を変更いたしております。そういうような関係で大体軌道工事並びに信号、保安関係に金を使つております。それから神田駅につきましては、これもやはり線路の渡り線とか、あるいは重軌条と交換しております。そういうものに金を使つております。軌道工事とか信号、保安の関係が主でございます。  請負会社につきましては、私ここで詳しい資料を持つていませんので、御必要なら後ほど……。
  45. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 後ほどでよろしい。二十八年度末までに使つた二十九億四千五百万円の内訳について、債務の項目として田町・田端間線路増設工事とうたつてある点について質問をします。これはほんとうの田町・田端間の七キロの線路を敷設する費用で、これを一番あとまわしにしているのも、あなた方の駅第一主義を雄弁に物語つているように感じられるのですが、この本当の線路増設費としては、二十八年度までに実に一文も使つてはおりません。これはずいぶん驚いた話でありますし、またずいぶんこれは問題になることだろうと思います。田町と田端の間の駅が十駅あります。従つて区間としては十一区間となります。このうち田町・浜松町間〇・九キロ、浜松町・新橋間〇・七キロ、新橋・有楽町間〇・七キロ、有楽町・東京間〇・五キロ、四区間の合計二・八キロはだれの目で見てもわかる通り線路敷地となる路盤もあるし、新橋・東京間の高架線もあるし、京浜、山手の分離用のプラツトホームも浜松町、新橋、有楽町、東京とちやんとできています。つまり線路四本が並ぶようにプラツトホームが二面ちやんと並んであります。あいているところは、長い間雨ざらしになつております。東京駅の分はこれからできるというかもしれませんが、工事の名目を京浜、山手分離とうたうのなら、その関係する部分を第一に完成するのが当然でありますが、まるで直接関係のない鉄道会館の基礎にするとか、津田前営業局長が説明した東口の方面ばかり工事を進めているから、かんじんの京浜、山手分離用の南行きのプラツトホームは遅々として進まない。それにしても、有楽町までは昭和二十四年以来プラツトホームが二面になつており、路盤もできているのであります。それなら四本の線路が並ぶ分状特態を、田町から浜松町、新橋を経て有楽町まで前進をさせたらどうか。そのために幾らか費用を使つたらいかがなものでしようか。田町駅には同駅から分離するため信号取扱所ができており、その定員もあるわけですが、有楽町まで分離運転を前進をさせ、その信号とポイントの人員を有楽町駅へ移し、かりの信号取扱所を有楽町駅の東京方につくり、さらに東京駅ができればそれを前進させて、だんだん上野方面へ前進するのが、肝に銘じたという決意の現われではないかと思います。二十九億四千五百万円の巨費を投じて京浜、山手分離と称しておりながら、二十八年度までに東京駅、神田駅、上野駅へその全額を投入してしまつて、かんじんのわずか七キロの線路敷設費としてはびた一文もかけないというのは、積極的態度ということはできかねるのであります。国鉄の上下こぞつて熱意をもつてつているとは、言えないと思います。部分的に四線並列にできる区間を片つぱしから完成して行くなら、プラツトホームの混雑だけでも幾らかは楽になるし、二月二日の秋葉原の事故のように、同線とも運行のとまることも防止できるのであります。何ゆえ田町・東京間わずか二キロ八分の部分でも京浜、山手を分離しないのか。なぜ二十八年度までかんじんの本題たる線路敷設に一文もかけないのですか。これをお尋ねしたいと思います。
  46. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 田町・田端間の線路増設をいたしまして、京浜、山手を分離いたすにつきましては、この区間をやはり一度に竣工させませんと、結局輸送力はつかないと私たち考えております。なぜかと申しますと、たとえば南の方から参りまして田町から東京までを複々線にいたしましても、東京駅から北の方へやはり複々線が複線にしぼられますので、現在以上に電車を入れることができないのでございます。もしそれならば東京駅で折返したらいいじやないかということになりますが、東京駅に相当大きな金をかけなければなかなかできない。あるいは将来京浜・山手の方向別運転、こういうことを考えて行きますと、なかなかそういうふうに行かない。それで私たちといたしましては、田町・田端間をとにかく早く竣工させまして、一気に山手、京浜を分離させるというふうに進んで参りました。なお工事の着手につきましては、一番手数のかかる東京駅にまずかかつておりまして、それからどうせ後にやらなければならない新橋や有楽町のホームにつきましては、現在混雑しておりますので、その解決ということも考えまして着手したのでございます。
  47. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 さらにこの点を質問します。総裁が京浜、山手分離を肝に銘ずると運輸委員会で誓つたのは、昨年、つまり昭和二十八年七月二十三日であつたことはさいぜん申した通りであります。昨年の七月二十三日は言うまでもなく予算年度としては昭和二十八年度のうちであります。年度内はまだ五箇月と九日あつたはずであります。七月二十三日以後において今日までの間の約四箇月において、総裁は幾らかでも予算の使い方を正しい方向へ向け、さらに路線敷設の方へ金をかけ、田町・東京間だけでも四本の線路はだんだん増設しようという考えにはなりませんでしたか。二十八年度の線路敷設費は零なら零で、分離を肝に銘じようが何だろうが、二十九年度に入るまではびた一文も使わないのだというやり方ですか。肝に銘じても、実行は五箇月と九日間そのままたな上げしておくというのが国鉄の主義でございますか。実態でございますか。この点をお尋ねしておきたいと思います。
  48. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 先ほど申しましたように、私どもといたしましては、京浜、山手の分離というのは大前提でございまして、それに一生懸命やつて来たわけでございます。費目の上ではあるいは先ほどおつしやいましたような傾向があるかもわかりませんが、仕事の上におきましては、この京浜、山手分離ということは価格の許せる範囲で、しかも順序を誤らないようにして推し進めて来たつもりであります。
  49. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 もう一歩つつ込んで質問しますが、本日は三月十八日でまだ二十八年度の中でありまして、年度末の三月三十一日までは残日数十四日を残しております。総裁はこの十四日の間においてさえも、かんじんの線路、敷設費を少しでもかけ、三十年間雨ざらしになつている線路敷地にバラストを入れ、軌条、まくら木を入れて、一キロでも二キロでもやつて京浜、山手分離を促進して完成するという熱意を持てませんか。いかがですか。あなたは二十八年度まで駅はうんとりつぱにするが、線路敷設費は零ときめた以上、一文も使えませんか。田端・上野間二・一キロの線路も、路盤整理に着手して、少しでもやつて行こうという切実な熱意の片鱗さえも持てませんか。それほどこの分離には気が進みませんか。それほど東京駅をきれいにすることが胸がわくわくするほどうれしいのですか。はなはだ皮肉のようですが一応伺つておきたいと思います。
  50. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 先ほども申し上げましたように、工事を進める順序といたしまして、私どもはやつて来たつもりでございます。線路の敷設につきましては、どうしても線路は下の基礎物ができ上りましてから敷設するというのが、経済的効果が一番高いというふうに私たち考えておるのであります。ただこの線路の敷設も数量が非常に大きくなりますし、労働力にも制限があるというような実情でございますので、二十九年度からはこの線路の敷設に一応かかることにしております。
  51. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 二十九年度になつてから、ようやく線路敷設に二億六千三百万円をかけ始め、全部で十五億をかけて、わずかに七キロにすぎない田町・田端間に二本の線路を敷く。そのほかに電化工事費として九億六千四百万円を計出し、田町変電所五千万円、蕨変電所七千万円。饋電室一箇所と饋電線八十七キロに一億七千四百万円をかけ、それでどうやら線路は京浜、山手分離状態四本となり、両線電車が別の線路を走れるのですが、一体複線の電化といつても路盤も高架線も三十年以前から存在し、駅設備はまつたく別の経費で、要するに砂利とまくら木、軌条などがおもな資材となるのに、七キロで十五億とは高過ぎはしませんか。平均一キロ当り二億一千百万円くらいになりますが、現在進行中の新線建設でも難工事で有名な紀勢線が尾鷲・木本間三十四キロ五分で、四十億七千七百万円の総工事費となつております。この七キロの二本敷設工事は民間業者にやらせるのですか、それとも国鉄部内の人手でやるのですか。軌条何本、まくら木何本、バラスト何立方メートルくらいを要するのですか。それぞれの単価と七キロ分のコストは幾らでありますか。これもお伺いしておきたいと思います。
  52. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 今のお話にあつた数字については、私今ここで確答申し上げかねるのであります。と申しますのは、今の費用が何と何を含んでおるという点が私まだわからないのであります。ただ鉄道といたしましては、線路敷設はきまつておるものでございまして、この区間は五十キロのレールを使いますことと、まくら木は十メートルに十五ちようだつたと思つております。これも附腐まくら木を使つておりますし、ベラストは最良のもので、まくら木は厚さ、幅、長さの規定されたものを使うことになつております。こういうような次第でありまして、この軌道にかかる金はきまつております。ですから今申された高いというのは、何かはかの金がそちらの方に入つておるのかもしれません。それはまた後ほど御説明申し上げたいと思つております。
  53. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 次に駅の工事は、ようやく二十九年度に切上げる様子ですが、あなた方のもくろみでは、さらに年度内東京駅に一億二百万円、神田駅に五億二千四百万円、上野駅に一億八千六百万円をかけようというのですが、それは具体的に何と何ですか。神田駅のプラツトホーム一面増設は想像がつきますが、御徒町駅はどういう費目に入れてあるのですか。御徒町はちようど離れた高架線へふたをかぶせるあんばいで、うまくプラツトホームは一面増設できるようになつておりますが、幾らかけていつでき上るのですか。大正十二年ごろの鉄道官吏は、今から考えると、なかなか将来を考え、まじめな仕事を残しております。御徒町だけでまたもや十億とか二十億とかいうことはないと思いますが、この点はいかがでございますか。
  54. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 御徒町につきましては、あの辺は高架線ができておりません。高架線をつくりながらプラツトホームをつくつて行きます。神田につきましては、やはり高架線をつくりましてプラツトホームをつくるようにして行くつもりであります。
  55. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 ここまで国鉄予算の使い方について質問して来たのですが、そのような実情を明らかにした上で、国鉄総裁の決心と責任をさらに明らかにしてもらいたいと思います。この問題は大正十二年以来三十二年越しの問題であります。あなた方のやり方は、田町・田端間線路増設という美名に隠れて、二十九年度一ぱいで東京駅全体に二十六億八千万円、上野駅に四億四千万円、神田駅に六億三千六百万円をすつかりかけ、これだけで三十七億五千万円の金を使つて、これらの駅の改良というか、すばらしいものをこしらえ上げる。二十九年度をもつて駅の工事はもくろみ通り完了するわけですが、かんじんの線路敷設工事は、十五億円を二十九年度から使い始めてこれから先何年かかりますか、確実なる見通しもはつきりしておりません。そうして巨費を要すると訴えております。田町・田端間線路増設という名目で実に五十二億五千七百万円をとり、そのうちの三十七億以上を大急ぎで東京駅などの美観増進にかけ、もうこれで満足だ、あとは野となれ山となれというのでは、まつたくこれはただごとでないと思います。五百五十二台の電車発注も準備せねばならないでしようし、そのためには戸山ヶ原と蕨方面などに電車区もつくらなければなりません。乗務員も今のうちから養成して経験も積んでおかねばなりません。これら運転上の準備はどうなつておりますか。肝に銘じたと総裁が言いながら、京浜、山手の分離をだらだらと先に延ばしてしまうつもりですか。もしそういことなら、運輸委員会をまつたく無視したことになりますが、あなたの決心はどうですか。これは十五億人の死活問題でありまして、その問題については相当考えなければならないのですが、この点はぜひ総裁よりひとつ答弁が願いたいと思います。
  56. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 この京浜、山手の分離運転と申しましても、ただいま鈴木先生のお話にもございましたように、ただ線路ができるだけでは確かにだめでありまして、そのほか電車庫もいりますし、電力の元となる変電所の問題、あるいはこれを運転する従業員の問題、こういうものもみなかみ合つて参ります。私たちこれを進めることには、十分検討いたしまし、これが齟齬いたさないようにして進めて行くつもりでございます。
  57. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 総裁がおいでになつているのに、御答弁してくださらないことは、実にどうも情ない次第であります。どうぞ御答弁をお願いしたいと思います。  もう一つお伺いします。十六国会における国鉄総裁の肝に銘ずるという確約は、国鉄の最高指導者として責任を持つてつたことですか。法的に効力があるのですか。国鉄を拘束するのですか。この点もあわせて御答弁を願いたいと思います。
  58. 長崎惣之助

    長崎説明員 法的に何とかというやかましい問題は別といたしまして、私といたしましては山手、京浜の分離ということが、今日の東京都におきまする通勤輸送の緩和には絶対に必要であると考えまして、でき得る限りの原資をもちまして、なるべく早い時期にこれが完成をはかりたいということを考えております。
  59. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 総裁は京浜、山手をすみやかに分離運転をし、現在の六百八十台に新たに五百五十二台を加え、東京都心の電車輸送力を二倍以上に増強するため、三十二年来の最重要課題たる京浜、山手分離運転に、ほんとうにおつしやるように賛成しているのですか。また反対なんですか。積極的に賛成するからこそ、第十六国会において肝に銘ずると正式に誓つたのでしよう。この際事態にはほんとうに重大なんですから、くどくてしかたがないやつだと思うかもしれませんが、ひとつはつきりもう一度御答弁が願いたいと思います。
  60. 長崎惣之助

    長崎説明員 たびたび申し上げますように、私は東京都の通勤輸送緩和のためには、山手、京浜の分離と申しますと非常に抽象的でございますが、田町・田端間の線路増設ということが焦眉の急だと確信いたしております。
  61. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 総裁が京浜、山手分離運転に賛成するというなら——こういうことを聞いてはどうかと思いますが、旧鉄部内の統率がどうなつているか、私は疑わしいと思うのです。京浜、山手の分離に反対する人がどこかにいないのですか。この点も聞いておきたいと思います。そういう反対分子に対して長崎総裁はどういう処置をとつておりますか。それとも総裁の京浜、山手分離の意向に反対する不逞の分子は一人もいないと断言できますか。これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  62. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は多数の人間を自分のもとに使つておりますので、意見の相違はあろうと思います。しかしながら方針の上におきまして、意見がどうでありましても、私はただいま申し上げました確信の通り実行して参りたいと考えております。
  63. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 総裁意見の相違はあろうと思いますが、これは意見意見ですが、総裁意見を無視したり、それに対してさからうということは言語道断だと思うのです。私はそれがどうも不安でならないのです。最近国鉄が発表した四月十五日から常盤電車を単線で上野・有楽町間二キロ六分の区間へ延長し、乗入れ運転をするというのは、国鉄総裁責任において決行するのですか。長崎総裁は常磐線乗入れの責任を命がけでとられるのですか。これはもはや国鉄部内できまつたのですか。それともこれからきめるのですか。この点責任ある御答弁をお願いいたします。
  64. 長崎惣之助

    長崎説明員 しばしば申し上げましたように、田町・田端間の線路増設が一部竣工いたしております。これをただ遊ばせておくことはもつたいない次第でございます。今日の常磐線の状況は、鈴木先生御承知の通り、非常に混雑をいたしております。これはおそらく人命にも関するようなことになりはしないかというふうな危惧さえ持たれるのでございます。そこでこれは一時でございますけれども、その混雑を緩和するために、常磐線の電車を田町・田端間の線路増設一部竣工を利用いたしまして、延長運転をするということにきめております。
  65. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 大東京の人口の急速な増加、あるいは将来の計画輸送の上におきまして、これは当然もう何年か前に計画をされなくちやならないことであり、総裁の言われるように将来人命にまで及ぶというふうなことから、すでにこの京浜、山手分離は大正十二年から三十年間も研究されて来た。そういう重大な問題でありながら放置されてあつたことは、実に遺憾千万だと思います。その後の常磐線延長工事は、二キロ六分の線路敷設、同じ長さの架線延長、東京駅の行き違い設備、有楽町駅の発着設備、電車区及び駅の人員配置、増加する電車などについて、それぞれどの程度に進行しておりますか。四月十五日に延長運転できるのですか。これも聞いておきたいと思います。
  66. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 現在工事の方はほとんど完成して参りまして、四月十五日に大体できる予定でございます。人の方も、これは大して人はかからないのでございまして、ただ電車が十六両ないし十九両よけいにいることになります。これに伴います乗務員は、やはりいるようになりますが、その他大して大きな人の増員も必要としておりません。
  67. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 私の聞いたところでは、総裁の知らないうちに工事がどんどん准行し、この運輸委員会の問題になつてからびつくりして調べてみたら、かなり線路が延びていたということを聞いております。もしそうであつたら、それは一体どういうことですか。国鉄総裁をほつたらかしにして、一部の反抗分子というか、反乱分子というか、不遇のやからが、かつてに乗入れ工事を進めたのでは、綱紀紊乱ではありませんか。この点はいかがですか。
  68. 長崎惣之助

    長崎説明員 私は今のお説はまつたく誤伝じやないかと思います。
  69. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 常磐線電車の有楽町乗入れは、京浜、山手分離運転の一部を形成するのですか。それとも別個の問題ですか。私は分離までのつなぎとしてなどという国鉄の言い分には、絶対に納得ができません。そこでまずこの点をはつきりさせておきましよう。常磐線の有楽町乗入れは、京浜、山手の分離に含まれるのですか。それとも別個な工事なのですか。どちらなのですか。これをはつきりしていただきたいと思います。
  70. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 これは京浜、山手分離工事ができましたその設備を利用するだけでございます。これに特別の金はほとんどかかつてないと申した方がいいくらいでございます。
  71. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 重ねてお尋ねしますが、そうすると京浜、山手分離の中に含まれることなのですか。
  72. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 含まれると申しますか、その設備を利用すればできるということでございます。
  73. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 利用するということは、結局含まれることと私は考えますが、含まれるというならば、田町・田端間線路増設費五十二億五千七百万円のどこへ含まれるのですか、どこに計上してありますか。二十八年度まで線路敷設費はびた一文もかけてないと、あなた方の書類にうたつてあるではありませんか。これはどこへ計上してありますか。この点をお尋ねしておきます。
  74. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 これは田町・田端間の線路増設費の中でまかなつておるのでございます。この金も額にいたしまして一%を割るような少額でございまして、これによります効果といたしましては、上野・東京駅間におきまして輸送力が約二割つくというような効果があるものでございます。
  75. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 一%でも、たとい十円でも、使つてならない金は使つてならないと私は考えます。そういうことでもつて紊乱してはいけません。そういう考え方がいけないのじやないかと私は思います。  さらにお尋ねしておきます。常磐線乗入れ工事は、長崎国鉄総裁がみずから決裁して工事責任者を命下し、実行せしめた工事ですか。それとも私のところに伝わつているごとく、長崎国鉄総裁をつんぼさじきに置いて、一部の反抗不逞分子がどんどん進めたやみ工事ですか。そのどちらですか、これをお尋ねしておきます。
  76. 長崎惣之助

    長崎説明員 どうも鈴木先生、何といいますか誤伝をおつしやつておられるようでございます。先ほど来佐藤施設局長から申しましたように、田町・田端間の線路増設工事でありまして、俗称は京浜、山手の分離でございますが、何もそれにとらわれる必要はないと私は思います。とにかく田町、田端間の線路増設の工事ができまして、それを一部利用すれば、上野、東京間あるいは上野、有楽町間において輸送力がふえる。ほつておいたのではその金を使つた分が何にもならないということでありますので、それならば一年でも二年でも利用いたしまして、ここに輸送力をつけて皆さんの御便宜をはかるということは、国鉄のやるべきことであるというふうに私は考えておりますので、ただいまも申し述べられましたように、不逞とかなんとかというようなことは毛頭ございません。
  77. 關内正一

    關内委員長 鈴木君に御注意しますが、用語はなるべく懐しんでください。なおあなたのほかに二人緊急質問の通告がありますので、なるべく簡潔に結論に達してください。
  78. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 そうすると、総裁が決裁したと間き及びますが、総裁が決裁して工事を命じたというなら、これは何年同月にどういう役職の人が集まつて、どこで会議を開き、常磐線乗入れを決定したか。あなたに言わせると、そうではない、京浜、山手の分離の予算でその仕事でやつた、かように考えてよろしいのですか。
  79. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 さように考えられてけつこうだと思います。
  80. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 もしこれが間違つたなら、私は国鉄本庁の記録を明らかにしてもらいたいと思う。新線建設や路線変更ではないというかもしれませんが、わが国の首府の中心部において、年間十五億人の電車乗客の潮流を急激に変更する重大案件ですから、私は経過を明らかにしていただきたいと思います。  さらに常磐線電車の有楽町乗入れ工事が現在進行中であることは、当局発表もあることですし、まず目で見てわかる事実ですけれども、これを長崎総裁はどうしてもなお今おつしやるようにやらせるつもりですか。運輸委員会が反対決議を行つても、国会を相手にまわしてけんかしても、それでもこれをやはりよいとお考えになつておりますか。かりに有楽町へ常磐線を持つて来るのが、輸送力の増強をはかる意味からよいとお考えになつておりますか、それをもう一度くどいようですが、お伺いしておきたい。
  81. 長崎惣之助

    長崎説明員 仮実のお話のようでございますが、当委員会においてそういう決議がございますれば、その場合には私はまた考え直そうかと思いますが、ただいまの御質問に対しては確たるお答えはできないのであります。
  82. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 昨年第十六国会の七月二十三日の運輸委員会における私の質問総裁答弁をここでもう一度繰返してみます。私が、「京浜、山手の分離と常磐線のことについてどう考えておるか、御答弁をいただきたい。」と質問したのに対し総裁は、「これはよほど研究を要する問題でございます。京浜、山手の分離ということを考えずに、常磐線の乗入れということを考えることは、私は少し話が違つておるのではないか、やはり京浜、山手の分離ということを根本に置いて考えなければならぬ問題だと考えます。」こう御答弁になつておる。さらに私は、「これは実にりつぱな御答弁で、その通りだと思う。あなたのおつしやることは、京浜、山手の分離を考えずに常磐線の乗入れを考えることはできないというのでしよう。そうなんじやないですか。」これを重ねて間きましたところ総裁は、「山手、京浜の分離を考えに入れてからでないと、常磐線のことは考えられないのではないかと思います。」こういう御答弁でありました。さらに「私は総裁のお答えに同感です。常磐線の電車は三十年前から走つていたわけじやない。京浜、山手分離の方が総裁のおつしやる通り先決問題、いわんや常磐線電車が新橋へ乗り入れたところで、特に通勤輸送力が増加するわけじやない。上野どまりでも、京浜、山手の方が二倍になれば、それだけ楽になると私も考えております。但し国鉄官僚が、この京浜、山手の分離工事をあなたのお考えをはき違えて三十年間ほつたらかしにして、第二次大戦もこのまま押し通したことによつて、東京都心における産業能率が低下したばかりじやなく、有楽町駅爆撃なんというあの惨事を引起したのですが、あの有楽町の爆撃に私はちようど助かつた。もうまわりの者は全部死んでしまいましたが、この電車が間断なく走つていれば、あのような一大惨害は起らなかつたと思います。ちようどあのときに空襲警報が鳴つて、私が立つたときに山手線が走つている。今度は京浜が来るのにその間しばらく間があつて、やむを得ずあのガード下の退避所へ行つて爆撃を食らつて、まわりの者は飛散してしまつた。こういうふうな事実、これは輸送力に事欠いていたから、あのようなことになつた。もう少し分離問題が早くできていれば、あの惨事が何分の一、何十分の一かにとどめられたであろうと私は痛感してやまないのであります。ただいま申した通り、有楽町駅の爆撃を始め、電車輸送力不足のために、無数の事故を起すのではないかと私は考えます。京浜、山手をわずかの工事費で分離して電車の輸送力を現在の二倍にすることは、交通問題を研究する者にとつては、まず第一に着手すべき常識であるといわれております。常磐線電車は成田線乗入れや、水戸、平直通の方が刻下の問題であると思います。国鉄総裁はこの重要工事を何年度に実現をせられるお考えか、これも承りたいと思います。京浜、山手を分離するときに、一旦新橋へ乗入れした常磐線電車を再び上野着発にもどすことなどは、とうていできることではないと思います。新橋乗入れ計画の発案着は、一体どなたでございましようか、これも参考のために伺つておきたいと思います。あなたが今言われた通り、京浜、山手を分離しないで常磐線乗入れは考えられない。もしそれが真実であるならば、この京浜、山手分離運転計画の見積りができておりますかどうか。これもお答えしてもらつて、できているなら、それをお見せ願えれば幸いに思います。またこれをいつごろ着工せられるか、これも念のためにお尋ねしておきたいと思います。こういうような私の質問に対して「、これは早急に着手しないと、大分年数がかる問題でございますから、できるだけ早い時期に資金を調達してからかからなければならないと思つております。」かように明確に御答弁になつております。  総裁はちやんと以上のように正式に答弁しているのでありまして、二十九年の四月十五日から常磐線電車を有楽町へ乗り入れますとは、一言半句も御答弁をしておりません。京浜、山手の分離を考えてからでないと、常磐線のことは考えられないとはつきり言つているではありませんか。ところが現実には京浜、山手の分離ができ上らないうちに、常磐電車が乗入れをする工事が進んでいるではありませんか。総裁、あなたは京浜、山手の分離を肝に銘じてとおつしやるが、その大切な肝を現在持つておりますか。第十六国会における総裁の正式答弁があつたにもかかわらず、その答弁の趣旨と相反するやみ工事が進められるのでは、この第十九国会において総裁答弁することも、どんどん部下の不逞分子によつて破られてしまうのではありませんか。総裁の国会答弁は、ちつとも権威がないことになります。国鉄の仕事を拘束しないのですか。総裁が一日目から言つたことは、必ず実行しなければならないと私は考えますが、これはどうでございますか。この点もひとつもう一度御答弁つておきたいと思います。
  83. 長崎惣之助

    長崎説明員 冒頭に申し上げておきますが、私の部下には不逞分子はおりません。さような者はおりません。どうも俗称の山手、京浜分離ということが、非常に誤られておるようでございますが、田町・田端間の線路を増設いたしまして、また停車場等の設備を改善いたしまして、その間における輸送力の増強をはかるのが目的でございます。
  84. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 総裁のほんとうの腹はまた別のこととして、常磐線の有楽町乗入れを主張する人たちに、私の知つておる限りでは江藤前施設局長、瀧山調査役、津田前営業局長あたりが、乗入れ派に属されると思われる答弁をしております。その人たちの唯一のりくつは、京浜、山手の完全分離までのつなぎとして、これは今もおつしやつておりますが、常磐線電車を有楽町へ乗り入れる、分離するときは常磐線電車は上野へ元通り退却をして復元するという点にあります。これは乗入れ論者の答弁でもそうであるし、新聞記者に発表するにもそういう論法を立てているのであります。つまりどうせ京浜、山手の分離には二年や三年はかかるのだから、その間、常磐線電車が有楽町まで乗り入れて混雑緩和に一役買うのだ、分離のときにはまた上野へ引込むのだからいいじやないかというりくつであります。そこで将来はたして常磐線が上野へ退却するかという問題になつて参ります。運輸省の中にも、国鉄のうちにも、その点を心配して、上野へ退却する保証が立つていないとか有力な乗入れ存置運動が発生したら困る、そういう上野退却に関する心配をしておる人もないとは言えないと思います。その人たちは京浜、山手分離を信奉する良心的な人たちでしようが、しかしこの問題に対するその人たちの態度と私の立場には根本的に距離があります。その点を明らかにして、以下問題の核心に入つて重要な点を質問させていただきたいと思います。つまり常磐線電車が一旦乗入れし、上野へ退却する保証がちやんと立つていても、いかなる形式でも有楽町に乗入れすることはよくないという立場に私は立つているのであります。私も署名運動をしておりますが、相当な現職の方々やいろいろな有力者、これは衆参両院議員で私の関係の党の方ばかりでも百名になんなんとしております。こういうふうに絶対的によくない、どんなことがあつてもすべきじやないというのが、私初めこの賛成者の信念なんです。それがわずか二年であろうが、よしんば一年か六箇月であろうが、乗り入れることそのことがよくないというのであつて、ちようど第十六、第十七国会以来の鉄道会館の問題でも、国鉄当局は違法でないからよいと言うのですが、私の論点は輸送力増強の立場から、違法はなくても鉄道会館はよくないと言うのです。いまだにこの信念にかわりはない。鉄道会館はよくないという私の信念には決していささかのかわりもないというのと同様で、常磐線乗入れが津田、江藤両人らの言うごとく、はたしてほんとうに七%の混雑緩和になり、旅客サービスになるかどうかを、しつかりと鉄道技術の上に立つて検討しなければなりません。上野へ退却する保証が立つかどうかは、まだまだその先の問題であります。  そこで私質問いたしますが、有楽町の駅は初めから乗客の潮流を単純な方向で流す中間駅の設計になつていて、電車が発着する起点となる終端駅の設計とはなつておりません。現在でも有楽町は一日平均乗降客二十六万七千人を数え、全圏順位では東京駅の三十五万人、新宿駅の三十万人に次いで全国第三位を占め朝夕の雑沓は見ていてもはらはらするくらいで、おびただしい乗客の潮流であります。そこへ日本劇場寄りのプラツトホームへ常磐線、電車が入つて来て乗客をおろし、そのまま乗り込む乗客を乗せて発車することになつたなら、駅の混雑は名状しがたいものがあると私は考えます。しかも八台連結で十分間隔というのですから、一つの電車が吐き出す乗客は二千人近いであろう。そういう無理な輸送を実行して、二重橋事件のような圧殺事故、またはかつての京都駅事件のようなものをいつ起さないものでもない。国鉄当局考えたことがありますか。駅の保安上大丈夫ですか。今でさえも総裁は、もし人命にも関することというふうにおつしやいましたけれども有楽町駅で大惨事を起すことが七%の緩和になるのですか。私はこれを押し通したらきわめて危険であるという考えのもとに、これをお尋ねしておきたいと思います。
  85. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 先ほども申し上げましたごとく、私たち東京の通勤輸送といたしまして、京浜、山手の使命は非常に大きいものだと思つておる次第でございます。そういうふうな観点に立ちまして、現在来浜、山手の分離工事を進めておるのでございます。ただこれが半分までできましたときに、この施設を使いまして常磐線を有楽町まで乗り入れますと、輸送力におきまして約三十パーセントの増強ができる、そうすれば非常に都民の方々にも便利になるというふうな考えのもとにこれは進めているのでございます。  それから先ほどの有楽町の混雑の問題でございますが、常磐線の方から参りまして有楽町におりられる方が、ラツシユに大体三千人くらいの人でございます。さらにこれから先新橋方面に行かれる方が約七千、合計して一万人くらいの方でございます。それで常盤線電車が乗り入れて来ますと、有楽町におりられる方は一定でございますから、一定の力が電車がふえまして多くの電車に分散されておりられるという形になりますので、有楽町の駅の混雑はこの点からはよくなると思うのです。また有楽町意外に行かれる方の乗りかえの問題でございますが、これはおそらく東京、有楽町で座席がすくものでございますから、それらの方はむしろ有楽町で乗りかえなくて、東京以北で乗りかえられるということが考えられますので、有楽町のホームがこれによつて混雑を増すというのでなくて、むしろ緩和されるのだ、こういうふうに考えております。なお設備につきましては、ただ線を一本引くだけでして、別に大した折返し設備をつくるものではございません。
  86. 關内正一

    關内委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  87. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。
  88. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 さらに常磐線乗入れで七%や一〇%の緩和になるかどうか、この点を質問いたしたいと思います。運輸省や国鉄は、この問題では、常磐線電車の乗入れは混雑緩和になると思い込んで、すぐさまただいま御答弁のように上野退却の保証のあるなしにかかわらず、取組んでおります。私はその保証問題を取上げる以前に、もつと重大な論点を発見しているのであります。これだけの頭の距離を生じている。つまりあなた方は間違いがない、私は間違いがあるじやないかと考えております。それは有楽町駅の有効長の問題であります。有効長とは有効な長さであり、つまり電車の長さがプラツトホームの長さによつて制約されるのですから、有楽町駅のプラツトホームの長さが八台になつているため、常磐線はいつまでたつても八台連結になつている。もつとも上野駅で発着していれば、長大なプラツトホームですから、乗客の増加に従つて十台連結にも十二台連結にも増結できます。また上野・有楽町間を単線で、東京駅で上下交換するのですから、運行密度は十分間隔が最も濃密であつて、これらの条件により、有楽町で発着する限り、常磐線電車に八台連結、十分間隔という運行条件に制限されることになります。乗客は増加をする一方であるのに、電車はいつまでたつても八台連結で十分間隔ということになるのでは、七%ないし一〇%の緩和は二年か三年のうちに消し飛んでしまうじやありませんか。第一、七%の緩和になるという計算をしたのは、昭和二十七年か二十六年でしよう。その算出資料も受取つておりませんが、どうやら混雑緩和説そのものが私は怪しいじやないかと思います。上町発着で運転密度を十分より八分へ、八分より五分へ縮め、連結台数の方はプラツトホーム一ぱいまで増結をして行くよりほかはないではありませんか。一体総裁初め混雑緩和になるという科学的基礎を持つているのですがどうですか。どうも乗入れによる七%ないし一〇%の緩和説は、組立てが怪しいように私は考えます。今あなた方が御答弁になつていることも、そのまま受取りにくいように考えます。  さて、あなた方の上野退却の保証問題に移ることにいたしましよう。もう一度長崎総裁はつきり質問をしておきますが、四月十五日から常磐線電車を有楽町駅発着に延長するのを決行するのですか。それが国鉄の大方針ですか。それとも常磐線乗入れを断然撤廃して、本筋である京浜、山手の完全分離に勇往邁進をした方がおいのではないかと私は思います。乗入れをすると万一仮定するならば、京浜、山手の分離へ切りかえとなるとき、常磐線は上野発着へ元の通り退却をしなければなりません。上野・有楽町間のあの狭い高架線を一緒に使えないから、どうしてもそうなります。そのとき交通問題のよくわからない人たちから、乗入れを続けてくれという存置運動が起つても、振り切つて上野へ退却することができますか。十五億人の死活問題に対し、どうやつて将来の国鉄を拘束して、上野退却の確約、保証をやれますか。総裁がかわつたりしたらどうなりますか。この点を私ははつきりしておいていただきたいと思います。この点を運輸省でも国鉄でも部内で心配している人もあるのではないかと思いますが、どうも話が混乱しているようです。私はどうもこの点がわからないのですが、運輸委員会で上野退却を何度も明言して保証を強くするなら、さいぜん引用した第十六国会の長崎総裁答弁の常磐線乗入れより京浜、山手分離の方が先決問題である。これは京浜、山手の分離を必ずやるという保証ではないかと思います。これも一つあわせて聞いておきたいと思います。  先ほど詳しく問いただした国鉄予算上のことで、上野・有楽町間二キロ六分の工事は、予算上の費目にない工事でありますが、運輸省の鉄道監督局長は、この点国鉄の綱紀紊乱をどう監督し、どう粛正するつもりですか。部下に対してどういうふうにあなたはお考えになつております。この点をひとつ監督局長から特に聞いておきたいと思います。
  89. 長崎惣之助

    長崎説明員 最後の問題は運輸省の問題でございますが、これは先刻来申し上げておりますように、田町・田端間の線路の増設工事でございます。その増設工事ができましたあかつきにおきましては、山手と京浜が俗称分離いたすわけでございます。その方針にはいささかも変更はございません。ただそれが成成するまでの間、暫定的な措置として常磐線の電車をこの区間に使うというだけのことでございます。
  90. 植田純一

    ○植田政府委員 ただいま問題になつている件につきまして、綱紀紊乱があるという前提での御質問のようでございますが、私の承知いたしております限り、そういうことはないと存じております。
  91. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 神田駅へ六億三千六百万円もかけて、まだかんじんのプラツトホーム一面ができ上らず、あげくのはては、いいかげんな契約をかわしたと見えますが、マーケットが入り込んでいて、工事ができなくなつております。裁判所へ持ち出され、昨年十一月十九日にマーケット側の仮処分の申請がちやんと成立していると聞いております。私は質問の機会はありませんでしたが、国鉄は一体何をやつているのですか。マーケット側と話合いでやおちよう芝居を見せているのではないでしようか。私はマーケットの人たちに深く同情をするものであります。国鉄は二十八年度に四百六十四億、二十九年度に五百十六億円もの改良費を使つたり、計上したりしておりながら、神田駅一つでさえも何かひつかかつているようでございますが、この点をちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  92. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 神田駅付近の高架線の問題でございますが、現在あの付近の架道矯の仕事をやつておりますが、なかなかこの辺は仕事の上にめんどうなところでございます。それでもこの仕事を京浜、山手の分離に間に合わせるように、ただいま進行させております。将来高架線の増設予定地のところのマーケツトの問題でございますが、これにつきましては、先ほど先生の仰せられたような状態でございます。これにつきましては、私ども当局として手を打ちまして、京浜、山手の分離が円滑に行くように今措置しております。
  93. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 急行で質問をします。今で京浜、山手分離問題でいろいろお尋ねして参りましたが、分離運転計画についての詳細な資料を当局から出していただいたことはないのですが、ただ国鉄全体の乗客が年間三十四億人ある中で、電車の乗客は十九億人で六割を占め、その中の十五億人が東京地区の電車乗替で、従つて東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県の一部三県にまたがる年間十五億人の電車乗客に対して、京浜、山手分離運転はまさに死活問題であることは、私自身よく理解できますので、第十六国会以来口をすつぱくしてこの問題について重ね重ねくどく質問しているのでありますが、もつと詳しい資料を出して国鉄自身常磐線乗入れが、一〇%の混雑緩和になるというりくつを説明すべきであると思います。そこで京浜、山手分離問題に関する権威ある資料の提出を求めます。単に五十三億の継続予算を組んでありますというだけでは、この重大な問題に対して大ざつぱに過ぎるのではありませんか。  資料はまず本問題の出発点にさかのぼつて、京浜東北線、山手線両線電車の乗客の人数から明らかにし、その内訳を定期と定期外にわけて出していただきたいと思います。また京浜東北線を担当している下十条、田端、東神奈川各電車区の電車数とその運行状況、それからまた黒字か赤字か、採算率を明白にしていただきたいと思います。同様に山手線を担当している品川、池袋の両電車区について、同じように具体的な資料を出していただきたいと思います。このくらいのことはよく調査してあるからこそ、莫大な費用をかけて分離工事にとりかかつたのでしようから、資料はすぐ出せると信じております。  次に田町、田端間の線路敷設費を十五億円と組んでありますが、それだけでは内容がわかりませんから、軌条何本、まくら木何本、パラスが何十立方メートルか、必要数を出して、十五億をもつとこまかく見積つて資料を出していただきたいと思います。また十一の機関区ごとに幾らかかるか、これも出していただきたい。  四線並列となつて分離運転となるあかつきには、電車を五百五十二台増車ができると、一昨年の更に朝日新聞紙上で民間の交通問題研究家と論争した瀧山調査役が答弁しておりますが、五百五十二台を増加できる根拠を示していただきたいと思います。その朝日新聞紙上における論争では、瀧山調査役は予算がなくて手がまわりかねると答弁しておりますが、それが一昨年、つまり昭和二十七年度の国鉄の態度であつたことは明らかであります。それまではこのような態度を国鉄はとつていたのでしよう。それが二十八年夏の第十六国会で、本委員会で取上げて以来、国鉄は風向きがかわつておる。今まで東京駅全体にかけた二十六億の巨費も、京浜、山手分離工事の費目にぶち込んで計上しております。つまり二十八年度に入つたら、手がまわることになつたらしいのですが、資料として東京駅、神田駅、上町駅へかけた三十億の金の内訳をこまかに出していただきたいと思います。  東京駅は京浜、山手分離工事の名目で、例の鉄道会館の土台となる一階、地階の工事ができ上つている。例の名店街の工事をすつかりやつてのけたように考えますが、この点、はつきりどこに幾ら金をかけた、その結果が東京駅で三十六億をかけたことになるのか、帳面じりをきちんと合して資料を出していただきたいと思います。年間電車乗客十五億人の死活の問題として、あなた方が東京駅のどこをどういうふうにするために、血の出るような金をかけたか、この点をはつきりしなければなりません。  さらに常磐線電車の乗入れで、どうして一〇%の温雅緩和になるのか。この点もすみやかに資料で明らかにしていただきたい。私の記憶するところでは、昭和二十七年の春、ぎようぎよしいさくなどをこしらえて、東京駅付近の乗客を調べていたようですが、三十二年来の課題たる京浜、山手の分離問題を危うくする常磐線を有楽町に引き込むのですから、そのための資料があると思います。とりあえず以上の資料をできるだけ早く出していただきたい。これは私一人の要望ではありませんで、私は代表してこの機会に申すのでありますから、できるだけ早く出していただきたいと思います。  常磐線電車の有楽町乗入れは国鉄の三十九年度予算の工事経費の中で三千万円を計上してありますが、三千万円は何と何に使うのですか。四月十五日に乗入れを開始するというのに、四月一日から十五日間で三千万円を使うわけではないと思います。これをどうお考えか、この点も御説明が願いたいと思います。この三千万円は京浜、山手分離工事費のわくの内か外か、どちらですか。これをひとつ答弁願いたいと思います。
  94. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 私今三千万円という数字を聞いたのでありますが、この三千万円についてはよく存じておりません。調べまして御返答申し上げたいと思います。金の出どころは、全部田町・田端間の線路増設費のはずであります。
  95. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 急行で質問します。先ほど私が質問した有楽町駅の乗客問題について、国鉄総裁を初め当局は、上野や日暮里で乗りかえて来る人が有楽町まで入つて来れば、混雑の緩和になるが増大することはないという答弁でありました。御承知のように、わが党は官僚統制を撤廃することに力を傾倒して一番最初にマッチの統制をはずし、今日では主食の配給制度を残すのみとなつておりますが、これも近いうちに統制がはずされると思います。しかし統制のある間は、主食のかつぎ屋は取締りの対象とならざるを得ません。東北、常磐線で東京に運ばれる米はおびただしい量に上る。これが上野という関門があるためにわずかに制約をされておりますが、有楽町にストレートで米を運び込むことになると仮定すれば、有楽町の大混雑にまぎれ込んで米を運ぶ人が激増すると判断される。言うまでもなく私は統制撤廃論者でありますが、それとこれとは別問題で、あの上野駅における米の取締りができなくなり、有楽町に大混雑を来し、普通の勤め人がボストンバツクの中に米を入れて運んで来ても見わけがつかなくなるが、そういうことはすでに経済警察と打合せが済んでおるか。これも念のために一応伺つておきたいと思います。  次に乗客の点について、私の心配しておる有楽町駅のプラツトホームから線路に転落する事故が、起きたときは、常磐線電車はただちに上野駅にもどるのが当然ですが、さらにそういう乗客の死傷事故が起きたときに、総裁初め国鉄幹部は、どういう形で責任をとつて万天下にその罪を謝すつもりですか。その決心のほどもつておきたいと思います。
  96. 長崎惣之助

    長崎説明員 やみ米がどうとかいうお話でありますが、私はそういう事実があるかないか、おそらく私はないと考えております。従いましてただいまのような点は御意見としては承りますが、私はそういうようなことはないと考えております。  また仮定的に申されました事故が起きたらどうするかということについても、これは起きてみなければわからぬことでありまして、そういう事故を起さぬようにすることが私の責任でありまして、その事故の起きた場合は、そのときに慎重なる行動をいたすつもりでございます。
  97. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 結論に入りたいと思います。一、二点で質問を打切りたいと思います。これは見解の相違です。常磐線を乗り入れたら、今の混雑から推して緩和をされるとは思わない。必ずそういう不祥事件が起るのではないかというような危惧の念を抱いております。御当局の御答弁では、そういうことは絶対ない、常磐線乗入れをすれば輸送力の緩和になるのだというが、それは見解の相違であります。ただ万が一にもしろうと考えの私の思つていたことが実現した場合の、総裁初め御当局の最高幹部の決意のほどをこの際伺つておきたいと思います。これは蛇足になりますが、かつて衆議院の建設委員会で、私は東京都の三十間堀埋立てについて言及したことがあります。当時私はしろうと考えでした。東京都建設局は、焼けたものの処分に困つて、金がないから三十間堀を埋め立て、これを売り払つてその処分をするのだ、一石二鳥の計画だというようなことで、建設省と打合せて推進したが、私の考え方は、東京都の焼け残土の処分は、もう少し先の江東方面に散布をすれば、万が一東京湾に台風が起きた場合、一尺土盛りしてあれば一尺だけ被害が少くなるという意見の相違があつた。これは現在の東京都の道路部長の坪田君が河川課長で、それに建設局長や何かと大いに激論した。その三日目にキティ台風で五万戸という一大浸水がありまして、これによつて人死があり、えらいことになつた、三日品に私どもしろうとの意見が正しかつたということが、あのキティ台風によつて立証されてしまつた。そういうことで、もし万が一のことがあつた場合に、これを押し切つてとうとい人命が失われでもしたら、総裁はその場で切腹される御覚悟があるかどうか。この御決意のほどをただしておきたい。おれの信念は輸送力の緩和になるのだ、混雑の緩和になるのだというので、われわれしろうとの意見を取入れないでやることは、場合によればしかたがないとしても万が一そういうふうなあやまちがあつた場合にあなたは腹を切ることができるかということを、まずもつてお伺いしておきたいと思う。  総裁は一生涯の思い出にも、どうか一奮発して、京浜、山手の分離工事を二十九年度にやつてのけて、電車の線路工事を突貫工事でやられて、晴れ晴れとした気持になつて国民に発表したいというふうなお心持はありませんか。私は総裁のほんとうのお心持をお尋ねするのです。あなたほどの権威者が、一時の感情、一時の運動にかられて、失礼ながらこんな常磐線を乗り入れるということは愚ですよ。総裁のほんとうのお心持を聞きたいのですが、総裁はなかなか言わない。私は実に情ないと思つている。私も土木建築方面では若干の知識を持つているが、わずか七キロの、まつたく目と鼻の先の田端と田町間を二本増設する線路でつなぐぐらいの工事は、現在の国鉄の威力をもつてやろうと思えば、そんなに時間がかかるものとは思わない。例を引けば、昔の陸軍の鉄道連隊をごらんなさい。作業標準はで箇大隊で普通線の建設は、一日二キロが標準であり。鉄道連隊の一箇大隊は二箇中隊からなる。簡中隊は二百五十名ですから、合計五百名で一日二キロを敷設するのが標準です。鉄道の幅は一メートル四十三センチで、欧米程度であります。路盤は田端・田町間が三十二年前にできておるのですから、その七キロを鉄道工兵部隊が敷設するなら、複線で七キロだから、単線にして十四キロの計算になり、つまり一週間の作業分量にすぎません。鉄道兵なら一箇大隊で一週間のうちにやつてのけてしまう工事を、五十億も六十億も予算を組んで、三十二年もかかつてまだでき上らないとは、同じ日本民族の仕事とは言えないと思う。さつき施設局長も人手云々ということを言われましたが、われわれしろうとが考えると実に情ない話だと思う。総裁いかがですか。あなたは京浜、山手の輸送力緩和をばたばたとやり、そうして国民に発表するお心持がありますか。三十年度と言わずに、三十九年度内に繰上げて完成したらどうですか。これを私はお尋ねしたいと思う。片山内閣でさえ手をつけていない仕事である。現内閣の面目といつてよろしい重要課題である。総裁の決心はどうですか。  まだまだ質問したいことは山ほどあるのですが、委員長にもおしかりをこうむりますし、この程度で打切りたいと思いますが、かなり事情も分明となり、京浜、山手の分離問題についての本委員会の決議をしてもらいたいということを、前に委員長に要望してあります。本日それを私は督促したい。決議はとうていつけてくれないでしようが、私の信念はかわらない。京浜、山手分離を促進して早く工事を進めて、かつたの軍隊では五百名で一週間でできるこの工事は、国鉄の威力をもつてしたら時間の問題は何でもない。厖大な予算を使つてこういう問題を軽々にすべきでない。そこですでに年間十五億人の輸送乗客の死ぬか生きるかの重要なところまで追い込んである京浜、山手分離運転、ここに松井理事もおいでになりますが、相当有力な方々の大多数が私の意見に賛成をしておる。これは私一人の意見ではない。大多数が賛成しているのです。  最後に、常磐線乗入れはいかなる事情があつも反対である。そうして京浜、山手分離にあなた方が努力することがほんとうの生き方ではないかということを、くだくだしく申し上げておきたいと思います。万に一つ、かつての京都駅の事件や二重橋事件のような不測な問題が起つたときに、国民に対して申訳ない、この委員会で問題になつたのですから申訳ないと言つて総裁は割腹する御決意があるかどうか、その点を伺つて私の質問はこの程度で打切つておきます。
  98. 長崎惣之助

    長崎説明員 仮定のお話でありますが、何か事故が起つたらどうするかという御質問が最もかんじんなことではないかと思います。これはその事態が起きたときに考えなければならぬ問題でございます。のみならずそういう事故を起さないようにすることが、私の一番大きな使命ではないかと考えております。なお乗入れは絶対に反対であるという御意見は、鈴木先生の御意見としてつつしんで拝聴いたしておきます。
  99. 鈴木仙八

    ○鈴木(仙)委員 私は絶対反対なことだから、もし国鉄がこれを強行した場合、かりに分離運転の前に常磐線を乗り入れて分離運転ができる時期になつて上野へほんとうに引返せるかどうか。私は反対なんですよ。反対ですが、いろいろな空気で私の反対が通るかどうかわかりませんが、私はやめてもらいたいと思つている。その点をひとつ総裁からはつきり御答弁をしておいていただきたい。
  100. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の信念といたしまして、いわゆる田町・田端間の線路増設という目的は那辺にあるかと申しましたならば、その主要な目的は京浜、山手の分離でございます。一時の便宜の問題として、常盤線電車を使つて上野・東京間ないし有楽町間の輸送力の増強をするというだけのことでありますから、そのときに至りましてこれは本来の目的に返るのが当然でありますが、そういうふうにやるつもりであります。
  101. 關内正一

    關内委員長 常磐線電車の乗入れ問題について鈴木委員から質問があり、その要旨は乗入れは撤回すべきであるという点にあつたのでありますが、この際委員長といたしまして重ねて国鉄総裁の所信をただしておきたいと存じます。ただいまの総裁答弁は、常磐電車の有楽町駅乗入れは、あくまで京浜、山手両線分離までのつなぎで、輸送の緩和対策としての暫定処置であつて、京浜、山手両線分離工事は昭和三十年度完成を目途に進めており、分離工事完成後においては常磐線電車を上野で打切りとするということと了解してさしつかえないかどうか。なおこの場合、一度有楽町駅まで乗入れをしたものを上野駅に後退させることについては、いろいろ問題が起るおそれもあると考えられますので、これについての所信と対策とをあわせてこの際お伺いしておきたいと存じます。
  102. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいま委員長から総括的な御質問がございました。先ほど来申し上げておりますように、田町・田端間の線路増設工事という工事をいたしております。この工事の目的は、最終的に何を目ざしておるかと申しますと、くどくどと先刻申し上げおりますように、いわゆる山手線と京浜・東北線の電車を、今日は田町・田端間同じ線路の上を走つておるものを、別々の線路の上を走らせるのが目的なのであります。従いましてこれはその本旨たる目的に使わなければならぬことは、本院において予算の御審議を願つた趣旨から申しましても、これは断然この方向に行くべきものであると存ずるのであります。しかしながらその間、ここに一年なり二年なりの余裕がございまして、せつかくできました線路を放置して遊ばせておくということは、また貴重なる予算を使いまして、その資産を寝かしておくことはもつたいない。のみならず田町・上野間におきまして若干の輸送緩和になることでありますから、一応臨時的にこれを使いたい、その使うのに常磐線の電車をひつぱつて来るということでございます。従いましてこの本旨に向つて返ることが当然であるのでありますから、これが全部完成のあかつきにおきましては、その常磐線の電車を上野・有楽町間に使つておるということをやめなければならないのであります。それについていろいろ問題が起るおそれがあるのではないか、なるほどそれも一つの御意見であると存じます。しかしながら国民各位におかれましても、おそらくわれわれの意のあるところを了とせられるであろうと存じます。なお私どもといたしましては、宣伝あるいは了解にあらゆる努力を払いまして、本旨からこれが臨時的の措置でございますということをあまねく御了解を願い、またそのときにおきましては、この貴重なる予算を使いまして工事をいたしました本旨に返す所信であります。
  103. 關内正一

  104. 松浦周太郎

    ○松浦委員 本会議場の時間が切れておるということを聞いておりますが、委員長のとりはからいによりまして多少延びると思いますので、御善処を要望いたします。  私はこの際緊急質問といたしまして、貨物運賃の問題について当局意見をお聞きしたいと思うのであります。現行貨物運賃は、昭和二十七年一月から約十箇月の間等級改正を議題とせられまして、業界、われわれのアソシエーシヨンからも代表が出ましていろいろ審議せられた結果、ベース・アツプに伴つて運賃の一割値上げ、これと二つあわせて国会を通つたのでございます。この成立の過程におきましてはいろいろの段階がありまして、ずいぶん難航をきわめたことは当局も御承知の通りであります。すなわち衆議院におきましても条件がつけられ、あるいは参議院の農林委員会または運輸委員会におきましても、それぞれ申入れ事項あるいは附帯条件付というようなことでこの問題が通過せられましたことは、当局も十分御承知のはずであると私は思つております。さらに先般の当委員会におきまして一、二等運賃を上げる法案の審議の場合に、山口君の質問に対しまして運輸大臣の御答弁は、「本年はできる限りのものを値上げさせない、低物価政策の線に沿うためにしんぼうできる限りのものをしんぼうしてもらうということで、この程度にとどめたのであります。」この程度にとどめたということは一、二等運賃だけをさしておる。そうして運輸大臣の、監督せられます地方鉄道におきましても値上げをさせない。しかし個々のものが多少あつても、低物価政策の本質には影響を与えないということをはつきりと述べておるのであります。同時に山口君は、この法案議決の討論の際に条件を付しておる。「それは政府の低物価政策堅持の見地より見まして、運賃の改正は他の物価面に影響するところは至大なものがございます。従つてこの一、二等の運賃の改正が、将来貨物運賃及び三等運賃等、物価あるいは大衆に至大の影響を及ぼすような改訂は絶対に避けられるべき」であるという条件をつけておる。これは満場一致で議決されております。しかるに当局は最近において、貨物運賃収入の増加をはかるために、割引率の引下げをなさんとしております。これが現在生活必需物資である農林産物に主として重点が置かれておる。もつとも特別割引が行われておるものは農林物資が主でありますが、その五十七品目中二十三品目に対して割引率を逓減せんとしておるようでございます。今いろいろと関係官庁と協議されておるように伺いますが、これは事実でありますかどうか、まずお伺いしておきたいと思います。
  105. 唐澤勲

    唐澤説明員 貨物運賃の割引率を変更することにつきまして、協議しておることは事実でございます。その趣旨は別にその割引率を少くしまして特別の増収をはかろうというような、それだけの目的ではないのでございまして、割引といいましてもいろいろな性質のものがございまして、それらのものをこの際一ぺん検討いたしまして、その割引をしたときの事情なり趣旨なりが現在においてもかわらないか、やはりその割引をしなければならないものかどうか、あるいはそれは若干割引率をかえてもいい状態になつているのではないかというようなことを再検討いたしておるわけであります。もちろんそれによつて増収が得られれば、国鉄の財政からいえばそうしたいことはもちろんでありますが、幾ら幾らの増収を目標にして割引率を引下げるという意味で、協議しておるわけではありません。そういう意味におきまして、現在関係者あるいは関係の業界の団体などとお話をしておることは事実でございます。
  106. 松浦周太郎

    ○松浦委員 今のお話が事実であるとするならば、国鉄は収入減を補うためにやつておらぬと言うが、やはり一つの目標があるであろう、その目標は一体何億円にしておるか、それもお聞きしたい。
  107. 唐澤勲

    唐澤説明員 ただいまも申し上げましたように、収入減を補うとか、増収をはかるというだけの目的でやつておるのではありませんから、正確な目標を置いて、それに合せる案を立てて交渉しておるというわけではありません。御承知のようにことしの国鉄の予算は非常にきゆうくつな、きびしい予算でございますので、いろいろな面で節約をはかると同時に、またいろいろな面で増収をはからなければなりません。そういう意味から行きまして、割引という面につきましても検討を加えて、割引を始めた当時と情勢がかわつている点がないかどうか、あるいはまたある程度、割引率を変更してもさしつかえない点があるかないかというようなことを検討して、できれば若干でも増収をはかりたいという気持を持つておるのでございますが、今申しましたように目標を置いて、それだけを確保するという方針で相談をしているわけではございません。
  108. 松浦周太郎

    ○松浦委員 目標を置いてやつていない、ただ割引の不均衡というようなものを是正するという意味ですか。しからば今どういう品目について折衝せられておりますか。その品目は二十数目あると思いますが、ここに発表願いたいのであります。
  109. 唐澤勲

    唐澤説明員 現在割引をしておりますもの全体について検討をしておるのでございます。ことにしいて言いますれば、主として先ほど松浦委員からお話のございましたように、昨年等級改正のときに、急激な変化を避けるという意味で、ある程度の値上げでとどめて、そこにとどまるように割引をした品目がございますので、そういう点につきましては、本来ならば割引を廃止して、元の原則の等級にすべきであるという趣旨と思いますが、急激な変化はできませんが、一年になつた今日やはり同じような割引をしなければならぬかどうかという点が問題となりますので、そういうような点に主として重点を置いて研究しております。
  110. 松浦周太郎

    ○松浦委員 今おつしやる話は、これはあなたの方から見れば、議会の委任事項であるから、自分の方でかつてにやつてもいいというような考えのもとに、議会に聞かれずにやつておられるのでしよう。もちろん議会は一般運賃を上げるという以外のものは、これはあなた方に委任事項としてやつておる。しかし議会において、これこれをやつてはならぬという限度の決議がされておる場合、あなた方だけでやるということは間違つていはしないか、私はその点がいけないと思う。それならば議会でこの審議にあたつて、どういうことが条件づけられたかというと、あなた方もお忘れにはならないでしようけれども、まず衆議院においては、昨年いろいろ論議せられました結果、関係各官庁が集まりまして、そうしてあなた方も出席せられて、ここに念書を入れておられる。その念書は議会においてもこれを承認しておる。これはこの当時は木材が相当問題になつた。それは八八にするということが八八にならないものでありますから、諸種の割引を加え、そうして九八になつておるものを八八にした。従つて今この割引を直するするならば、この等紙指数であるところの八八になるように等級の再査定をしなければ、議会の意思に反するのではないか。また鮮魚、冷凍魚のごとき二十二級にして、現行通りの遠距離を施行するということもきめておる。その他主要物資の運賃の改正については、一割値上げを含めて三割にならぬようにしようということを、衆議院においてあなたの前の津田営業局長が約束しておる。そうしてこの問題が参議院に移つたとき、参議院の農林委員会からは、こういうような農林物資のみに高い運賃を課するということは、農業関係の生産に影響するのみならず、国民生活の上において非常な影響を受けるから、こういうことでは相ならぬという申入れを、農林委員会から等級査定審議委員会並びに両大臣になしておる。それによつて参議院の委員会ではこういうことをきめております。生活必需品の運賃の値上りが、運賃率の一割引上げを含めて二割程度以上になるものは二割程度に縮めること、またぜいたく品、嗜好品と目せられるものに対しての運賃率の引上げをなすものにおいては、運賃値下りとなるものについては現行運賃を限度として適当に調整すること、しかもこれに対するところの生活必需物資の品目は木炭、まき、加工炭、大豆、生かんしよ、生ばれいしよ、生大根、生野菜、たくあん、野菜塩づけ、こんぶ、砂糖酢、みそ、麺類その他であります。これをあなた方の方ではちやんと承認せられて、あなた方の計算せられたこれにちやんと載つておるじやありませんか。それを今議会の意思を無視して、この割引率の不均衡を直すというような名目のもとに、増収をはかろうとする意図がある。しかもこの問題についても、昨年の審議の場合に非常に問題になつたのは、等級査定というものは不増収、不減収の原則のもとにやつておるにもかかわらず、あなた方のやつておるところのものは、約九十九億の増収が見込まれておるのではないか。そうして今多少の増収をはからんとして、議会のこれらの約束を無視して、大衆生活に影響差与えるような、しかも農林水産物、生活必需物資のみを直そうとする意図はどういう意味か。あなた方は口では低物価政策を唱えておるが、やることは何でも値上げのことをやつて、一体内閣の方針がこれで実際行われるのかどうか。こういう無視した行き方で今後やつて行くつもりであるとするならば、議会は考えなければならぬ。議会で審議したことは何にもならない。私どもはこの点において非常に困難されておるところの国鉄運営というものを無視するものではない。どうしても国鉄運営というものは、一面において今おつしやるように合理経営をするとともに、他面にいては増収をはかることは当然であろう。しかしながら議会の約束を無視してやるということは、これは国鉄にあらずして私鉄事業ではないか。私はこの点において長崎総裁意見を聞きたいのでありますが、こういうような議会の約束があり、特にこの間も山口君の提案によつて、ああいう希望条件がつけられておる。しかも議院全員一致で他の貨物を上げないということを約束しておる。ついこの間なんです。それを今ごろ下の方がごそごそと農林省の役人を呼びつけて、そうしてこの何割というようなものは半分にするとか、あるいはこれだけのものは認められないとかいうようなことを押しつけることは、あなた方は委任されているから自由だと思うかもしれないが、その委任は条件つきの委任状なんです。その委任状を無視してやられるということは、議会制度を重んじておらぬと私は思うが、こういう点について、これは基本的な問題でありますから、まず長崎総裁の御意見を聞いて、しかもその上に営業局長意見を聞たいと思います。
  111. 長崎惣之助

    長崎説明員 日本の現在の状況にお場きまして、国会の御意思を尊重しなければならぬことは当然でございます。従いまして国会の御意思を蹂躙あるいは無視して、いかなることも私はやるつもりはございません。ただ経済界は生きものでございますので、いろいろの変遷がございます。そこでその変遷につきましても、小なる変動は看過してもいいと私は思いますが、そこに大きな変動が参りました場合におきましては、あらためていろいろと関係当局なり、あるいは荷主さんというようなものと相談いたしまして、整理あるいは合理化と申しますか、そういうことをやつて行くのが、また一面において私ども責任ではないかと思います。
  112. 正木清

    正木委員 私は、この問題は非常に簡単なようで重大な問題でございますので、関連して質問をしておきたいと思います。昨年の貨物運賃値上げの場合に、当委員会においてこのことが非常に議論になつたことは、国鉄当局御承知の通りであります。従つて衆議院はこの農林産物を中心とするこの割引率の取扱いについては、非常に強い条件を実は付してございます。しかも今回の一、二等の旅客運賃の値上げについては山口委員から発議がございまして、強い条件が付されてございます。この議会で決定されたこのことをまず基本的に国鉄当局は認めるのか認めないのか、問題はここにございます。従つて今日政府の基本方針は、あくまでも物価を〇・五%からさらにそれ以上引下げるということが基本であります。この基本線に沿うて行くことは、国鉄としてはあたりまえのことでなければならない。これは当然の義務です。従つて国会の方針、国会の議決を尊重する建前に立つことも、これまた当然の義務でなければならない。国鉄事務当局としてはどのようにきまろうとも、これらの取扱いについては委任事項ではないか、松浦君から今指摘されたように委任事項ではないか。だから事務当局が各省間でこの割引率の引下げ等について折衝をし漸次改正して行くことは、何ら議会の決定事項に背反しない、こういうものの考え方に立つかもしれませんが、基本的にその点は違う。従つて私の質問したい点は、国鉄が関係官庁である農林当局と事務的に折衝している現在、この事柄を一時中止して、そしてあらためて今日までの経過、さらに国鉄としての方針等を当委員会に明らかにして、議会の意思を明確にさした上で、改訂する余地があれば改訂すべきではないか。少くとも私は、これは議会の軌道に乗せなければならないことではないか、こういうように考えるが、これに対する長崎総裁の御所信を承つておきたい。このことは国鉄当局としては今日の財政の事情からいつて、収入をはかることは必要ではあろうけれども、今日までこの割引をして参りました農産物というものは、国民の生活、国民の経済、従つて農村の経済に与える影響は非常に大きい。もしこの線から政府の方針がくずされて行くようなことになると、たとい政府がどのように声を大にして叫んだところで、日本の物価は下るはずがない。生産財と消費財両面から見て、これは非常に大きい問題です。従つて重ねて申し上げますが、私は、現在国鉄事務当局が農林当局と打合せているこの等級の割引率の引下げの事務折衝は一時打切つて、そして当委員会に今日までの経過と国鉄の方針を詳細に報告し、当委員会を通じて議会の意思を再確認する必要があるのではないか、こう考えますが、総裁の御所信をこの際明確にしておきたいと思います。
  113. 長崎惣之助

    長崎説明員 正木委員のただいまの御意見は、とくと考慮いたします。
  114. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は実はそういうことにもなろうかと思つて、この一、二等運賃について厳重に希望条件を付し、しかもそれは皆さんの御容認になるところであつて、本会会議でも委員長報告に出ておる。これを承認の上でこれをやつた。ところがあなた方は今になつて、私は初めて聞いたのだが、ひそひそ話でそのような運賃の改訂をやるということになれば、それは部分的だとおつしやるかもしれませんけれども——しかも農産物をそういうことをやるということは、これは国民生活の基礎をゆるがすものではありませんか。しかもそれをあなた方の委託事項として平気で行われるということになれば、運輸大臣の申されたこの低物価政策を堅持する、そうして運賃改訂は行わない、この私に対する言明とまつたく背反したことになる。私はこの約束をしてもらつた当人として、これは聞くにたえられない事柄なんですが、実際にそういう改訂の意図をこの期間申に実現されようとしておるのかどうか。その場合にさきの約束があるのでありますから、従つて将来部分的にもせよ、そのようなことが行われる場合には、議会に諮ろうとする意思でやつておるのか、あるいはかつてにやろうという意思でやつておられるのか、これだけをお聞きしておきたい。
  115. 唐澤勲

    唐澤説明員 割引率の改訂につきまして、関係の省へ話合いといいますか、相談をかけましたことが、たいへんいろいろとおしかりというか御批判を受けまして、恐縮に存ずるのでありますが、先ほど来申し上げましたように、幾ら幾らの増収の目標というようなことでこれは始まつたことではありません。割引率を最近改訂してみるということで、研究というか、調査というような意味でございます。もちろん国会の意思を無視するというつもりは毛頭ございませんし、大きな影響のあるような問題について、かつてにやるというような考えもございません。いろいろ古い歴史もある割引率の問題でもありますので、これを一ぺん見直してみようというようなことで、事務的に研究というか、その点を調査したということでございまして、まだどういうことにしようとかいうようなことにつきましては、もちろん運輸省なり関係の方面の意見も聞かなければなりませんし、第一、そういう結論自身が私どものほんの事務的な調査というか、そういう範囲より出ていない次第でありますので、その点御了承願いたいと思います。
  116. 松浦周太郎

    ○松浦委員 今の説明では事務的の研究にすぎないということでありますが、これは実際割引率を逓減するという意図をもつてつているのではないか。研究にすぎないということならあまり取上げません。あなた方が自由に御研究になることは、運輸行政の上に最も必要なことでありますから、これは取上げない。しかしこのことはどこから知らされたか知りませんが、全国から電報がどんどん入つて来ておる。これは私は研究の程度ではないと思う。しかし自分の意思と違うことを国会でおつしやることは、あなたの品格にもかかわりますよ。自分の意思は上げたいでしよう。しかも割引率を下げたいのでしよう。それを行政的な研究の程度というのがれ口上はいけない。議会というところはほんとうにお互いに品位を慎み合つて、そうして自分の意思と反したようなことを答弁の技術としてされることはよろしくない。私は今の発育は研究の程度ということで聞いておきます。同時に先ほど総裁正木君にお答えになりましたが、総裁の御意図ははつきりいたしました。これはとくと考慮するということだが、考慮するということが、議会の意思をほんとうに尊重し、国民の負担にかからない方向に考慮されることがほんとうだと思うが、これは事務局の意見に動かされて、また国民負担が加重されるような方向に行かないことを私は念顧するわけでありますが、そういういろいろの考慮であろうと思いますが、御意見を聞いておきます。
  117. 長崎惣之助

    長崎説明員 松浦委員の御意図なり御意思を十分くみとつて行きたいと思つております。
  118. 松浦周太郎

    ○松浦委員 この問題はまだいろいろ残つておるようでありますから、この次の委員会に、継続することにいたしたいと思います。ただいま事務当局から研究の程度国鉄総裁から私の意見をくんで善処するという二つの御返事を得ましたので、きようはこの程度にして、あとの機会に私は十分材料を持つておりますので、質問いたしたいと思います。
  119. 關内正一

    關内委員長 残余の質疑は次会に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十分散会