○鈴木(仙)
委員 結論に入りたいと思います。一、二点で
質問を打切りたいと思います。これは見解の相違です。常磐線を乗り入れたら、今の混雑から推して緩和をされるとは思わない。必ずそういう不祥事件が起るのではないかというような危惧の念を抱いております。御
当局の御
答弁では、そういうことは絶対ない、常磐線乗入れをすれば輸送力の緩和になるのだというが、それは見解の相違であります。ただ万が一にもしろうと
考えの私の思
つていたことが実現した場合の、
総裁初め御
当局の最高幹部の決意のほどをこの際伺
つておきたいと思います。これは蛇足になりますが、か
つて衆議院の建設
委員会で、私は東京都の三十間堀埋
立てについて言及したことがあります。当時私はしろうと
考えでした。東京都建設局は、焼けたものの処分に困
つて、金がないから三十間堀を埋め
立て、これを売り払
つてその処分をするのだ、一石二鳥の計画だというようなことで、建設省と打合せて推進したが、私の
考え方は、東京都の焼け残土の処分は、もう少し先の江東方面に散布をすれば、万が一東京湾に台風が起きた場合、一尺土盛りしてあれば一尺だけ被害が少くなるという
意見の相違があ
つた。これは現在の東京都の道路部長の坪田君が河川課長で、それに建設
局長や何かと大いに激論した。その三日目にキティ台風で五万戸という一大浸水がありまして、これによ
つて人死があり、えらいことに
なつた、三日品に私
どもしろうとの
意見が正しか
つたということが、あのキティ台風によ
つて立証されてしま
つた。そういうことで、もし万が一のことがあ
つた場合に、これを押し切
つてとうとい人命が失われでもしたら、
総裁はその場で切腹される御
覚悟があるかどうか。この御決意のほどをただしておきたい。おれの信念は輸送力の緩和になるのだ、混雑の緩和になるのだというので、われわれしろうとの
意見を取入れないでやることは、場合によればしかたがないとしても万が一そういうふうなあやまちがあ
つた場合にあなたは腹を切ることができるかということを、まずも
つてお伺いしておきたいと思う。
総裁は一生涯の思い出にも、どうか一奮発して、京浜、山手の分離工事を二十九年度にや
つてのけて、電車の線路工事を突貫工事でやられて、晴れ晴れとした気持にな
つて国民に発表したいというふうなお心持はありませんか。私は
総裁のほんとうのお心持をお尋ねするのです。あなたほどの権威者が、一時の感情、一時の運動にかられて、失礼ながらこんな常磐線を乗り入れるということは愚ですよ。
総裁のほんとうのお心持を聞きたいのですが、
総裁はなかなか言わない。私は実に情ないと思
つている。私も土木建築方面では若干の知識を持
つているが、わずか七キロの、ま
つたく目と鼻の先の田端と田町間を二本増設する線路でつなぐぐらいの工事は、現在の
国鉄の威力をも
つてやろうと思えば、そんなに時間がかかるものとは思わない。例を引けば、昔の陸軍の
鉄道連隊をごらんなさい。作業標準はで箇大隊で普通線の建設は、一日二キロが標準であり。
鉄道連隊の一箇大隊は二箇中隊からなる。簡中隊は二百五十名ですから、
合計五百名で一日二キロを敷設するのが標準です。
鉄道の幅は一メートル四十三センチで、欧米
程度であります。路盤は田端・田町間が三十二年前にできておるのですから、その七キロを
鉄道工兵部隊が敷設するなら、複線で七キロだから、単線にして十四キロの
計算になり、つまり一週間の作業分量にすぎません。
鉄道兵なら一箇大隊で一週間のうちにや
つてのけてしまう工事を、五十億も六十億も予算を組んで、三十二年もかか
つてまだでき上らないとは、同じ日本民族の仕事とは言えないと思う。さつき
施設局長も人手云々ということを言われましたが、われわれしろうとが
考えると実に情ない話だと思う。
総裁いかがですか。あなたは京浜、山手の輸送力緩和をばたばたとやり、そうして
国民に発表するお心持がありますか。三十年度と言わずに、三十九年度内に繰上げて完成したらどうですか。これを私はお尋ねしたいと思う。片山内閣でさえ手をつけていない仕事である。現内閣の面目とい
つてよろしい重要課題である。
総裁の決心はどうですか。
まだまだ
質問したいことは山ほどあるのですが、
委員長にもおしかりをこうむりますし、この
程度で打切りたいと思いますが、かなり事情も分明となり、京浜、山手の分離問題についての本
委員会の決議をしてもらいたいということを、前に
委員長に要望してあります。本日それを私は督促したい。決議はとうていつけてくれないでしようが、私の信念はかわらない。京浜、山手分離を促進して早く工事を進めて、か
つたの軍隊では五百名で一週間でできるこの工事は、
国鉄の威力をも
つてしたら時間の問題は何でもない。厖大な予算を使
つてこういう問題を軽々にすべきでない。そこですでに年間十五億人の輸送乗客の死ぬか生きるかの重要なところまで追い込んである京浜、山手分離運転、ここに松井
理事もおいでになりますが、相当有力な方々の大多数が私の
意見に賛成をしておる。これは私一人の
意見ではない。大多数が賛成しているのです。
最後に、常磐線乗入れはいかなる事情があつも反対である。そうして京浜、山手分離にあなた方が努力することがほんとうの生き方ではないかということを、くだくだしく申し上げておきたいと思います。万に
一つ、か
つての京都駅の事件や二重橋事件のような不測な問題が起
つたときに、
国民に対して申訳ない、この
委員会で問題にな
つたのですから申訳ないと言
つて、
総裁は割腹する御決意があるかどうか、その点を伺
つて私の
質問はこの
程度で打切
つておきます。