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1954-03-04 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月四日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 關谷 勝利君 理事 松井 豊吉君    理事 山崎 岩男君 理事 岡部 得三君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    徳安 實藏君       南條 徳男君    有田 喜一君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       楯 兼次郎君    正木  清君       中居英太郎君  出席政府委員         水産庁長官   清井  正君         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (船員局長)  武田  元君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税関部         業務課長)   橋本正次郎君         運輸事務官         (海運局海運調         整部長)    国安 誠一君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道参         与         (厚生局長)  吾孫子 豊君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 三月三日  委員吉川兼光辞任につき、その補欠として加  藤勘十君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  有田喜一君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月三日  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願(平  野三郎紹介)(第二八二八号)  同(生田宏一紹介)(第二九七九号)  国鉄吉備線を福山市まで延長の請願橋本龍伍  君紹介)(第二八九〇号)  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願(大村清一紹介)(第二九七七号)  四国循環鉄道敷設促進に関する請願井谷正吉  君外二名紹介)(第二九七八号)  木造船事業保護育成に関する請願高橋禎一  君紹介)(第二九八〇号)  左荒線敷設請願牧野寛索紹介)(第二九  八一号)  東海道本線焼津、藤枝間に駅設置請願西村  直己君紹介)(第二九八二号)  野岩羽鉄道追加路線敷設促進に関する請願(佐  藤親弘紹介)(第二九八三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  密漁船取締に関する陳情書  (第一四三〇号)  商工団体会員相互間の貨物送に関する陳情書  (第一四  四一号)  北陸線の増強に関する陳情書  (第一四四二号)  四国循環鉄道期成促進等に関する陳情書  (第一四四三  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  港域法の一部を改正する法律案内閣提出第六  九号)  遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶につ  いての船舶職員法臨時特例に関する法律案(  内閣提出第七四号)  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  港域法の一部を改正する法律案及び遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法臨時特例に関する法律案一括議題とし、これより質疑に入ります。山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ただいま議題となりました二法案について質問いたしたいと存じます。まず遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法臨時特例に関する法律案についてでありますが、この法律に基いて遠洋漁業に出漁いたしまする船は、どの海域に出漁いたしておるか、またその最低トン数は何トンくらいな船までをこの海域に許されるつもりか、お答えを願いたいと思います。
  4. 武田元

    武田政府委員 遠洋かつおまぐろ漁業に従事する漁船は、その就業区域東経百八十度から東経九十四度、北緯六十三度から南緯十三度の線にまたがつてつております。これは船舶職員法にいう乙区域でございますが、この範囲内で主として操業いたしております。ところが大臣から提案理由説明を申し上げましたように、最近新しい漁場がその区域外の、これは船舶職員法にいう甲区域でございますが、インド洋、濠州方面などに発見されましたので、最近その方面に出漁いたす傾向が生じて参りました。それからこれら漁船トン数でございますが、従来は大体百二、三十トン級が主力でございましたが、最近船型大型化促進をされまして、大体三百トンから五百トンまでの船が主力となるようにかわつて参りました。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の御答弁によりますと、百二十トン級の船舶が大体主であつたのが、大型化して三百トンないし五百トンまでトン数が拡大される傾向にあるということでありますが、そうするとこの特例法によりますと、百二十トン級の船まではこれらの海域に出漁することが許されるということになるのですか。
  6. 武田元

    武田政府委員 最低は百五十トンで切つております。これは農林省の方とも打合せをいたしたのでありますが、大体甲区域に出る船は二百トン以上が主でございます。万全を期しまして百五十トンに切つたものであります。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はやはりこの船のトン数だけでもつて安全性の保持ということについては言いがたい点もあろうかと思いますが、小トン数の船をもつてこれらの海洋に乗り出すには、相当海難事故の起るおそれがあるのではないかと思います。そういう点については、従来から船体検査等も行われるようになつて来ておりますから、船体検査等による点は十分だと思います。しかしそれがこれらの遠洋の荒海に出て行く場合に、船体の安全及び人命の危険について支障がないか、その点を御研究になつておりますか。
  8. 武田元

    武田政府委員 この航行の安全か安全でないかということについて限界線を引くことは、技術上非常にむずかしいことでありますが、安全確保のためには、なるべく上級資格者、また船員の一人でも多い方が望ましいわけでありますが、実行の困難なことを強制して運用に支障を来すようでも困りますので、現行船舶職員法改正の際、審議会審議を重ねました結果、妥当と認められる現行法の線におちついたわけであります。本問題はその審議当時予期し得なかつたものであります。この新事態を無視することは、国家的にも不利を招くばかりでなく、違反船を出すおそれもありますので、対策につきまして検討を進めた結果、この特例法程度暫定措置はやむを得ないものと考えたのであります。最近かつおまぐろ漁船の装備もだんだん改善されており、船型も百五十トン以上にかえ、現在乗つている職員の大部分は長らくの問このかつおまぐろの操業に経験を持つておるものでありますから、船体検査の万全を期しまして、それでさしつかえないものと思います。
  9. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 次に私は港域法の一部改正についてお尋ねいたします。主としてこの改正の目的は、市町村の実態とほとんど見合うように港域改正をしたいという趣旨に承つておりますが、これによつて、あるいは町村の港の運営について非常に大きな変化を来すようなおそれはないか、またそれによつて従来から港を運営いたしておりましたその市町村が、非常な財政経済上の変化を来すようなおそれはないか、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  10. 国安誠一

    国安説明員 ただいまの御質問お答えいたします。港域法改正するにあたりましては、あらかじめただいま御指摘のあつたような点を、地方海運局を通しまして各地方公共団体意見を徴しましてやつておりますので、そういつた不便なり不都合なりは起ることはないと考えております。
  11. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の質問はこれで終ります。
  12. 關内正一

  13. 關谷勝利

    關谷委員 港域法についてはお尋ねすることはありませんので、かつおまぐろ船舶職員法臨時特例で二、三点お尋ねをいたしたいと存じますが、いろいろな資料提出していただいておりますので大体わかつておるのでありますが、ただこの中ではつきりしておりませんことは、この法律有効期間が二箇年でありますが、その二箇年間たてば、この甲区域へ出る有資格者が十分充足することができるという前提の二箇年であろうと思いますが、三箇年間に有資格者を充当いたしまするその方針は、資料にありますような資格を持つておる学校を卒業する者をもつてこれを大部分充当さすというのか、あるいはまた下級資格者の者が上級資格を得られるということが主になつてきめられておるのであるか、その点の関係をひとつつておきたいと思います。
  14. 武田元

    武田政府委員 現存甲区域に出漁可能の船舶は二百十隻ございまして、この二百十隻に対しまして、現行法によりますと甲種一等航海士五十四名、甲種二等航海士二百十四名、甲種一等機関士五十四名、甲種二等機関士二百十四名を必要とすることになつております。二年間における充足方法でございますが、乙種免状受有者のものについては充足は比較的容易でございます。甲種免状者については、第一には現在の遠洋かつおまぐろ漁船乗組員のうち、乙一の免状者を短期間約三箇月程度講習をして再教育養成する、第二には水産関係学校卒業者乗船配乗、第三には遠洋かつおまぐろ漁業以外の漁船に乗り組んでおる船員遠洋かつおまぐろ漁業への転船につき、関係方面と協力をして船員職業安定所を通じて転船吸収に努力する等の方法によつて、二年間に充足できる見込みでございます。以上の方法によりまして甲板部は二百九十七名、機関部は二百九十五名というものを充足できる見通しを立てておる次第でございます。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、この再教育と申しますか、下級資格者上級資格者にするための期間はどのような期間であるのか。なおその経費負担船主負担であるのか、本人負担であるのか、あるいは国庫負担であるのか、その点ちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  16. 武田元

    武田政府委員 これは農林省の方で負担をいたしまして計画をいたしておりますが、講習期間は大体三箇月、その経費につきましては各自受験者負担をし、それに大体において船主補助をいたしておるようであります。なお農林省におきましては、来年度この講習会補助金約一千八十万円でございますが、予算案に計上いたしてございます。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 そのくらいでいいです。
  18. 關内正一

  19. 伊東岩男

    伊東委員 私は港域法に関連いたしましてお尋ねを少ししたいと思いますが、先日貿易港税関関係についてお尋ねいたしましたけれども所管外ということではつきりしたお答えがないのであります。そこできようは関税部長あるいはその関係の人からお答えを願いたいと思うのであります。開港として指定する場合の資格条件でありますが、もちろん貿易港としては重要港湾として十分な設備が必要であるとともに、貿易量その他の関係があると思うのであります。指定する場合に、今度は取消すときの資格条件もなければならぬと思います。たとえば貿易量が非常に減つた場合に開港いたしましても、これを取消すといつたようなことについての御意見を承つておきたいと思います。
  20. 橋本正次郎

    橋本説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。開港指定関税法九十九条でやることになつておりますが、法律的には別に条件というものはございません。ただ開港は、外国貨物を積んだ船がどこでも入つて来ては困る、取締上一定の場所に入つて来てくれということでできておるわけでありまして、法律的には開港指定条件はございませんが、開港消極条件はありまして、一年を通じて船が入つて来ない、あるいは輸出入貨物がなかつたという場合には、自然的に消滅することになつております。またもう一点は、年を通じまして船舶の出入が二十五隻以下あるいは貨物の金額で二千五百万円以下、こういう年が二年続きますと、開港でなくなるということになつております。それで現実開港指定する場合には、そういうふうな条件に欠けないような見通しのついたところ、また現実外国貨物がどんどん入つて来る、船が入つて来るというところを開港指定するという方針をとつてございます。
  21. 伊東岩男

    伊東委員 今お話のように、関税法九十九条によつて開港指定をするということでありますが、この場合にはもちろん関税法の一部法律案によつて指定港を別表か何かで追加されることと思うのであります。そこで来年度において開港する港があると思いますが、今決定しておりますかどうか。もしこういう港があつたとすれば改正法律案を出すのか、出さぬのか、この点お伺いいたしたい。
  22. 橋本正次郎

    橋本説明員 実は本国会関税法全面改正案提出いたしまして、ただいま大蔵委員会の方で御審議にあずかつておるわけであります。この開港問題につきましても、実は前々からいろいろと開港してくれという御要望がありまして、今国会改正案には別表改正案を出してございます。それで従来は五十八港開港なつておりますが、改正案によりまして七港新しく開港指定の港を実はいたしてございます。具体的に申し上げますと、千葉港、松山港、尼崎港、油津港、佐伯港、宮古港、それから最近復帰になりました奄美大島の名瀬港、この七港を別表に加えて出しております。提案通りに御審議、御賛成願えれば、これで七つの開港が新らしく指定されるということになるわけであります。
  23. 伊東岩男

    伊東委員 今まである貿易港は五十八港、今回七港をさらに追加指定するということのようであります。そのうちに油津港その他もあるようでありますが、特に南方貿易、あるいは台湾、中共の貿易を今後多々ますます盛んにしなければならぬと思うならば、なるべく最短距離の港を御指定なさることが必要であるのであります。例を油津港などにとつてみますと、この港は木材及びパルプの輸出が非常に多いのであります。現在沖縄の米軍資材のごときは、ほとんどこの港から供給をいたして、おるような次第でありますが、ただいまのところでは貿易港でないために、非常に不便を感じておるのであります。幸いにして指定されるということになれば、けつこうであります。  そこでお尋ねしたいことは、そういうふうな油津港にせよ、その他の港にいたしましても、これは関税法に基いて、指定されるのでありまして、従つてこの指定保税地域というものがあると思うのでありますが、関税その他の設備川も必要であろうと思います。従いましてさしあたりの関係といたしましては、開港いたしまするならば、税関を置かなければならぬのであります。そういう場合にはむろんどこかの支署指定されると思うのであります。なおそればかりでなくて、輸出入品に対する検査をやらなければならぬのでありますが、その機構等は新しく指定される場合には、すでに準備があるのであるかということが一つ。もし今提案されておるといたしますと、その法律案が通過いたしますれば、大体開港税関業務の開始はいつからできるということになつておるのでありますか。
  24. 橋本正次郎

    橋本説明員 近日に開港指定するところは、すでに外国船も入り、それから貨物も入つておるというところを開港指定するわけでございまして、現在でも不十分ではありますが、一応の税関監視署もございまして仕事をやつておるわけであります。しかし今後また開港するということになりますれば、大体原則としまして支署をつくるなりなんなりしまして、通関業務にさしつかえないようにいたす考えでございます。なお具体的に申し上げますと、たとえば油津港の場合につきましては、監視署であつたものを出張所に直して業務にさしつかえないようにもつて行きたい。それから支署まで持つて行くことにいたしますと、いろいろ法律改正やら予算の問題もありますので、開港と同時に支署まで持つて行くことは困難でありますが、できるだけ早い機会に支署設置まで持つて行きたいと考えております。
  25. 伊東岩男

    伊東委員 ただいまの問題はよく承知いたしましたが、どうかすみやかに、開港と同時に完全なる設備を整備されるようにお願いをいたしておきます。  次いで遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶職員法臨時特例に関する法律案について若干お尋ねいたしまするが、まだ資料がたくさん出ておりませんし、私も目をまだ通しておりませんが、先ほどから關谷委員からもお尋ねがあつたようであります。今度遠洋漁業を認める、いわゆる新しいかつおまぐろ漁場が発見されたということであります。そこでこれは漁船大型化及び優秀な船員を乗船させるということが特に必要なことであろうと思います。これについては遠洋漁業に対する出漁資格というようなものがあると思います。もう一つはどの船をどの方向にやるといつたような認可方針があるのでありますか、この点をお伺いいたします。
  26. 武田元

    武田政府委員 ただいま御質問出漁許可につきましては、農林省におきまして漁業法に基いて措置をいたしております。所管といたしましては農林省であります。運輸省といたしましては船舶職員法関係事務を処理しております。
  27. 伊東岩男

    伊東委員 わかりました。その点はむろん農林省であるようであります。私は船員資格向上原則として非常にいいことだと思います。単に学校を卒業したという資格も必要でありますが、それよりもやはり船員としての長い経験を生かすということが必要であると私は考えるのであります。そこで今度の改正法によりますと、資格が相当脱落するのではないかと思うのでありますが、この点どうでありますか。
  28. 武田元

    武田政府委員 このたびの臨時特例法法案提案しました趣旨は、おおむね現在乗り組んでおる船舶職員により合法的に新漁場——これは第二条による甲区域でありますが——において操業し得るように暫定措置を講じておるわけであります。暫定措置期間の二年のうちに、現行法によります資格を獲得させますために、現在乗り組んでおる船員につきまして、先ほど申しましたように再教育方法としまして講習会をやりまして、その法の要求する資格を取得させますように配意をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  29. 伊東岩男

    伊東委員 これも農林省関係かとも思うのでありますが、今度は新しいまぐろかつお漁場遠洋に発見された。まぐろというものは必ずしも遠いところでなくても、戦前は近くでも非常にとれておるのであります。現在三陸地方でもとれますし、あるいは九州の南端、大島中心にして、近海において相当まぐろかつおというものがとれる。なかんずく戦前は東京のまぐろというものは、ほとんど油津港を中心にした漁場においてまかなつたという寺代もあるのでありますけれども、その後漁場が移動いたしまして、まぐろがおらぬようになつたのであります。しかしこのまぐろとかかつお漁場というものは始終移動するものであるのであります。今はこの法律によると、遠洋漁業に対する分だけを考えておられるようであります。近海に今度は漁場ができる場合が私は多々あると思うのであります。さような場合には必ずしも大型でなくても、小型のもので十分漁獲はでき得るのでありますが、そういう場合はやはり新しい漁場近海でも発見された、かように解釈できるのであります。まあこの間のことは農林省一つ方針かとも思いますが、あなたの方ではこれをどういうふうに御解釈になりまするか。
  30. 武田元

    武田政府委員 水産庁の方がお見えになつておりますから、水産庁の方にお聞き取りを願います。
  31. 清井正

    清井政府委員 水産庁長官でございまするが、私どもの方に関する限りお答え申し上げたいと思います。  先ほど来遠洋かつおまぐろ漁業に関しまして、それに乗り組む船舶職員の問題についていろいろ御審議を煩わしておるわけでございますが、御承知通り現在の水産界におきましては、沿岸の魚類の資源が非常に不足して参つておるわけでございます。そこで沿岸漁業振興のために、浅海、沿海を通じましていろいろ資源の増殖のための施設はいたしておりまして、沿岸漁業者がもつぱらそれによつて経営の安定をはかることの措置はとつておるのでございまするが、一方また沿岸近くにおきますところの漁業をなるべく大型化いたしまして、沖合いへ、さらにまた遠洋へというふうに船を大型化し、乗組員資質向上し、そうして遠方漁場の方に出漁いたしまして、それぞれの経営能力あるいは資質に応じまして、それぞれの海域において適切に漁業経営いたしまして、もつて漁業者全体の経営の安定をはかるという方向へ進んでおるわけでございます。その方向に従いまして、ただいまかつおまぐろ漁業がきわめて有望な漁業であるということにかんがみまして、特に最近かつおまぐろの冷凍並びにカン詰がアメリカに相当多量に輸出されておるという、輸出という面から申しましても非常に重要な産業であり、はたまた漁業遠洋化という意味においてもきわめて重要な産業であるという見地から、もつぱらかつおまぐろ漁業遠洋化の問題を推進いたして参つておるのであります。そこで最近いろいろ単独の船も出ておりますし、あるいは母船式経営による船も出ております。そして遠く南方方面海域を探しまして、有益なるかつおまぐろ漁業を開拓いたしつつありまして、すでに御承知通り印度洋あるいはオーストラリアの東、あるいは南米の近くまでも漁業に参るというような状況になりつつあるのであります。まあそういうようなことによりまして現にかつお漁業をやつておりますが、非常に成績が良好のようでございます。一般に漁業者が同方面海域また遠方への海域に出漁することを、非常に望んでおるというような状況でございます。そこで私どもも、そういつた方面を望む以上は、同方面に出漁する漁船に乗り組む船舶職員資質向上ということは、船舶の安全その他の点から必要であるということは当然であると思います。こういう観点と、遠洋漁業が急激に発展したという観点にかんがみまして、何らかそこに必要な措置を行わなければならぬというので、今回の法律運輸省と十分御連絡、密接な協議の上御提出を願い、御審議を願うことに相なつたのであります。ごく近海漁業は多少かわつて来ておりますけれども近海でもむろん漁業ができるわけであります。大体総数千二百隻程度かつおまぐろの船があります。百トン以上が三百隻、あとは百トン以下であります。そして近海においては割合にこれら小型のものが行き、大型の船は遠方かつおまぐろ漁業をやつて行くということになつております。この法律はいわゆる甲海域に属するものについての特例なつておりまして、乙海域では大体この法律からはずれておる関係でありますので、割合近海に出漁する上においては、従来の法律資格においてやり得る、こういうことに相なるのであります。そこでわれわれとしては、特に急激に発展をいたしましたごく遠方甲海域についての特例というふうに考えておりまして、それ以外については本来の船舶職員法による資格をもつてやるべきものであると考えておるような次第でございます。
  32. 伊東岩男

    伊東委員 水産庁からおいでになつておるようでありますから、関連して簡単に一、二点お尋ねしておきます。ただいまお話のように漁業振興漁民の救済という立場から一歩乗り出して、遠洋漁業振興をはかるということは、これは国策として非常に大事なことと思います。しかし実際から申しますと、漁民の大部分はやはり近海漁業振興をはからざれば、とうてい救い上げることはできないのでありまして、この点農林省においてもよくお考えなつておるようで、それぞれの施設もあるのでありますけれども、何としても近海漁業はまず漁港の整備、それから小型船の建造、ことに小型の船をつくるのでも、資金が現在漁民にないために非常に困つておるのであります。しかしこれに資金供給する道も開いてあるにはあるのであります。しかるにことしの予算を見ると、漁港費のごときはほとんど削除されておつて漁港の修築上非常な支障がある。これでは漁民はなかなか救われない。それから造船にいたしましても、資金供給の道は講じてあるけれども融資を受けようとするとなかなか融資が受けられないという情勢、これが現在の実情であるのでありますが、造船資金のごときは要求が非常に多いようであります。そこで条件がまた非常にむずかしいのであつて、これを緩和せざればなかなか造船資金の融通もつかないのでありますが、ただいま一体要求した額の何パーセントぐらい資金供給ができておるのか、これも資格条件が非常にむずかしいために、供給が受けられないというような実情にあるのではないか。むろん政府の方で十分金が融資できるならば、そういう心配もなかろうが、これにも限度がありましようからそうは参るまいと思います。これについて御所見を伺いたい。
  33. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、なるほどお話の御心配の点は確かにあるのであります。私どもといたしましては、遠洋遠洋でございますが、同時に近海漁業沿岸漁業等につきましては、それぞれ資源の増殖対策を講じまして、それぞれの漁業者経営の安定をはかり得るようにいたしておるのでありますが、特に最近問題になつておりますのは、いわゆる漁船の建造資金融資の問題が、水産の問題としては最も大きな問題の一つなつておるのであります。ことに最近かつおまぐろ漁業中心といたしまして船を大型化し、あるいは今までの船が古くなつてつくりかえるときになりましたので、それの代船の建造をいたすというような希望を熱烈に持つておる漁業者の方が相当多いのであります。ところがそれに対する融資措置でありますが、実は私どもこの問題は非常に重要な問題として、非常に努力をいたしておるのでありますが、なかなか漁業者の御要望にこたえ得ないような状況でございます。と申しますのは、漁業融資の問題につきましては、漁業は御承知通り一般の他の産業と違いまして、やはり経営に安定性が乏しいということが一般常識になつておりますので、金融ベースから申しますと非常に困難なものであります。そこでわれわれといたしましては、漁業、特に漁船建造の融資をはかりますためには、いろいろな方法によつてこれを金融ベースに乗せるように努力してやらなければならぬということが、まず第一にあるわけであります。そのために私どもといたしましては、漁業組合の形成であるとか、あるいは信用漁業連による問題であるとか、農林中央金庫による貸付であるとか、農林漁業金融公庫による貸付であるとか、いろいろの措置考えております。また一方、漁業信用協会というものを今つくつておりまして、信用協会が保証して、金融機関から業者に貸付をするというような保証の制度も講じまして、及ばずながらいろいろの努力をいたしておるつもりでございます。ところが漁業者側の御要望は、非常に多いのでございます。私どもといたしましては、先般来比較的低利で貸し付けし得るところの農林中央金庫並びに農林漁業金融公庫から、漁業の代船建造に貸し付けられるようにということの努力をいたして参つておるのであります。農林中央金庫は、御承知通りこれは漁業協同組合系統に貸付するだけでありまして一般に対する貸付はほとんどできないような状態であります。農林漁業金融公庫の方も、先般は、いわゆる協同組合が組合として自営をする漁船にのみ貸付をすることになつておりまして、一般の漁業者が自分の船を大きくしたいとか。自分の船の代船を建造する金を借りるために、農林漁業金融公庫から貸付を受ける道はなかつたのであります。それが昨年の暮れでありましたか、農林漁業金融公庫法の改正によりまして、単に組合の自営船だけでなく、一般の経営者も漁船をつくる場合には、農林漁業金融公庫から貸し付けられるように、法律改正ができたのであります。そこで割合に低利で代船の建造をし得る道は開かれたのであります。ところがそれの資金のわくでございますが、これは実はきわめて少い状況であります。御承知通り農林漁業金融公庫の全体のわくも、昨年は二百六十億でありましたが、二十九年度の予算では、それが全体でございますが、二百四十億に減つております。従つてその中に占める漁船融資わくというもりも、そう多くを期待できないのであります。ところが、漁業に関する限りは、昨年度は約三億程度でございましたが、二十九年度は十五億の漁船融資のわくを見られることになつておりまして、農林漁業金融公庫の中では、昨年に比較しまして、実は非常な増加に見ておるということになつております。全体の金額は少いけれども、その点に関する限りは、昨年度よりは非常に向上しているということは言えると思うのであります。ただそれは御承知通り、単にかつおまぐろ漁業だけでなしに、漁業全般の漁船の問題でございますので、御要望はおそらく相当な金額になるだろうと思います。その計算は、ただいまはつきりいたしませんので、何パーセントになるか存じませんが、おそらく御要望に対しては、とうてい満たし得ない金額であるのであります。今後もこの漁船融資額は、さらにさらに増加をいたして行かなければならぬと思うのであります。現在は財政事情その他の事情からいたしまして、漸進は望み得ますけれども漁業者の御要望に応ずるような金額をすぐに計上することは、実際問題としてはなかなかできないと思うのでございます。そこで私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような保証の問題であるとか、あるいは中央金庫から貸し付ける方法を講ずるとか、その他いろいろな方方を講じまして、漁業者の御要望に少しでも沿い得るようにしてあげたいということで進んでいるのであります。お話通り漁港のわくは昨年よりは減つております。しかし漁船に関する限りはふえております。今後なお私どもといたしましては、漁業者の御要望に少しでも沿い得るように、できるだけの努力をして行きたいと考えておりますが、現状は、遺憾ながらまだ十分に御要望に沿い得る状態になつていない次第でございます。
  34. 伊東岩男

    伊東委員 今御答弁のように、近海漁業に対しても、金融その他の面で十分手を尽すということであります。しからばお尋ねいたしまするが、まぐろかつおあるいは捕鯨船のごとき遠洋漁業に対して——これは大資本家の事業であるのでありますが、これに対しても相当の融資その他の方法が講じてあると考えておるのであります。むろんこれは外貨獲得の立場から言いましても、国策上重要な事業でありますから、政府が投資することには異議はないのでありますが、その方面の投資がどういうことになつているか、この点を伺つておきます。
  35. 清井正

    清井政府委員 ただいま私が御説明申し上げたのは、主として零細と申しますか、沿岸漁業者関係のことでありまして、かつおまぐろ漁業者でも、比較的経営の小さいものに対する措置でございますが、ただいまの御質問は、主として遠洋かつおまぐろ漁業に従事する、比較的大経営に属する部面についての金融の問題でございますが、御承知通りただいまは遠洋に出漁いたしまするかつおまぐろ漁業は、母船式漁業と単独で出漁する場合と両方あるのであります。ともにこれは許可漁業なつておりますが、母船式は御承知通り、母船に独航船がつきまして、独航船がかつおまぐろをとつて母船に送る、これは最も大きな経営でございます。それにいたしませんでも、南方に出漁するのはむろん大型の船でございますから、それに相当の資金を要する。従つて経営者も相当な経営能力を持つている方々であるのでございます。そこでその方々に対する金融の措置でございますが、政府としてはもつばら開発銀行を主体として考えているのであります。御承知通り農林中金なり農林漁業金融公庫は、資格に限定がありますので、経営の方は借りる資格がないのであります。そこでそういつたような農林漁業金融公庫の貸付対象にならない遠洋かつおまぐろ漁業に従事する方の金融は、開発銀行を主とし、そのほかは一般の市中銀行から借りることになるのであります。ところが開発銀行の借入れにいたしましても、今までの成績は相当——むろん御要望には沿い得ませんけれども、実は数億の貸付であつたような実績は示しております。しかし開発銀行の来年度の予算にいたしましても、これまたなかなか十分に計上されてないようであります。来年度は必ずしも従来の通り行くかどうか、きわめて疑問なのであります。従いまして私どもといたしましては、かつおまぐろ遠洋化という趣旨にかんがみまして、何とかして開発銀行から所要の大型かつおまぐろの船の資金を貸出しできるように努力いたしつつあるのであります。いずれにしろ、まだ予算もきまつているわけではありませんので、政府部内でいろいろ相談いたしておりますが、いまだその問題の解決はされていないような状況でございます。しかしながら私どもといたしましては、ただいま申し上げましたような遠洋かつおまぐろ漁業の将来性ということから考えまして、開発銀行からの融資を少しでも多く供給できるようにということで、関係方面とさらに折衝を続けて参りたい、こういうふうに考えているような次第でございます。
  36. 伊東岩男

    伊東委員 遠洋漁業という国策の立場から、これを推進することは非常に必要でありますので、資金の融通のごとき、開発銀行が大いにやつてもらうことはむろん大賛成であります。ところでこれに反して漁民の数というものは、相当の数に達しておつて、そうして沿岸漁業で現に生活をいたしておるのであります。それらの要望については、農林省でもかなりお考えなつておるのでありますけれども、やはり資金面において、どうも大資本家に対する立場と、小さい漁民に対する融資の立場というものが、始終均衡がとれていない。このままで置くならば、やはり沿洋漁業の小さい漁民というものは、とても太刀打ちができないようになるのじやないか、かように考えるのであります。幸いにして、昨年の国会において、中小企業の金融の道を開いたので、それからも融資するようになりましたが、従来は農林関係の金庫から出しておつたのであります。一体中小企業の金庫から漁民漁船資金といつたようなものが、今までどのくらい出ておるのでありますか。
  37. 清井正

    清井政府委員 中小企業の金庫からの借入れの分についてでございますが、その点私確かな資料を持つておりませんので、正確なことはお答えできないのでありますが、先ほど御説明申し上げた通り、いわゆる中小以下の漁業者に対する漁船の貸付等は、今までは農林中央金庫並びに農林漁業金融公庫からの貸付が大部分でございます。中小企業金融公庫からの貸付はほとんどなく、あつてもごくわずかのものではないかと思つておるのであります。その方面のことも今後大いに努力しなければならないと思つておりますが、現状はきわめて微々たるものではないかと考えております。
  38. 伊東岩男

    伊東委員 この提出法案とは大分かけ離れた議論でありますけれども、やはり一面からいえば、密接不離の関係があるのであります。しかし遠海漁業の問題については、直接お目にかかつてお話を聞くことにいたしまして、私の質問はこれで終ります。
  39. 關内正一

  40. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 けさの読売新聞によりますと、「日本から離れること三千五百マイル、常夏の南インド洋から二カ月ぶりに北海道漁業公社の仲積船第二神宮丸(三九〇トン)が第一回分のマグロ五万貫を土産に三日午後一時陽春の横浜港に帰つて来た。」云々という記事がございまして、資源の乏しい日本といたしましては、まことに喜ばしい朗報であると存じます。ただいま遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶についての船舶職員法臨時特例に関する法律案審議されておりますが、この法案審議上、水産庁から遠洋かつおまぐろ漁業、その他日本の遠洋漁業に関する概況を説明してもらいたいと思います。
  41. 清井正

    清井政府委員 遠洋漁業と申しますと、いろいろあるようでございますが、今お話なつておりましたのは、かつおまぐろ漁業の問題でございます。かつおまぐろ漁業遠洋に発達いたしました大きな原因は、製品の冷凍あるいはカン詰としてのアメリカに対する輸出が非常に発展しておるということで、結局漁獲されたかつおまぐろの販売面が非常に順調に進みつつある。ことに輸出が非常に振興しておるということからかんがみまして、かつおまぐろ漁業が最近非常に発展いたしておるのであります。ところが近海資源というものは、御承知通り限りがございますし、それにまた近海小型漁業者と申しますか、いわゆる中小漁業者が非常に多数におりますので、遠く遠洋に発展いたしまして、遠洋においてかつおまぐろを漁獲するということの必要性から、最近特にかつおまぐろ遠洋化ということが唱えられて来ておるのであります。そこで現在までに発展いたしておりますのは、主として赤道以南であります。最近発見されましたところは、ただいまの新聞にもありますが、いわゆるニコパル、アンダマン方面とか、ジヤワの南の方面の海岸とか、オーストラリアの東の海面、ハワイの南海岸という方面にずつと出漁いたしまして、そこで非常に有望なかつおまぐろ漁業を発見いたしておるのであります。その方面に、いわゆる母船式漁業とそれから単独で出漁する漁業と、両方の形式で出ておるのであります。母船式で出ておる漁業は、ただいまお話がございましたけれども、いわゆる大型母船に、かつおまぐろを直接とる漁船が付属して、母船と独航船の船団で出て行くのであります。これが母船式漁業であります。昨年はこれが四はい出ました。本年も現在二はい出ておるというような状況でございまして、今まで四はいないし五はいが、母船式漁業として遠く南方の方に出漁いたしておる状況であります。そのほかに、いわゆる独航船でありまして、母船式について行きます漁船が単独で出て行く漁業があります。これは百トン以上の船でございます。主として三百トンから四百トンぐらいの船が出て行くのであります。こういう船が単独で、自己の資本で自己の経営で出て行く、これが二百隻ぐらいあります。こういう船が南方太平洋方面を疾駆いたしまして、かつおまぐろ漁業に従事するという状況であります。そこで漁獲いたしましたものは、冷凍なりカン詰にいたし、それを主としてアメリカに輸出し、あるいは国内にこれを供給するということで、大体輸出と国内供給と半々くらいになつております。ところが輸出が非常に発展いたしておるので、将来の非常に有望な漁業だということで、現在の水産界では、かつおまぐろ漁業が最も有望な漁業だということになつておりまして、この方面に発展なり、この方面に進出したいという希望を持つておられる方が非常に多いのであります。そういうような状況かつおまぐろ漁業の、主として遠洋漁業を望まれる原因であります。これが遠洋漁業としては第一の漁業であると見ていいのであります。  さらに遠洋の問題といたしますと、今申しました南方太平洋の問題であります。北洋の方にも鮭鱒の問題であるとか、あるいはかにをとる漁業の問題とかいうものがあります。いずれもこれは国際漁業でありまして、ソビエトなりアメリカなりカナダなりに非常に関係がある漁業でありますので、これは別途その方面の制約があるわけでありますが、この方面も比較的有望な漁業であると思うのであります。鮭鱒漁業につきましては、昨年すでに二回出ました、今年は三回目であります。これもソビエトの近くで漁業をいたしますので、その方面のことも十分考慮いたしております。これはなかなか希望者が多いのでございますが、われわれの方ば漁獲の状況にかんがみまして、逐次これを増強して行くという態度をとつておるのであります。これから割合に有望な漁業であると思われます。しかしこれはかつおまぐろ漁業ほどではないと思いますが、これまた有望な漁業だと思われるのであります。  それからかに漁業でありますが、これはアメリカのブリストル湾まで去年初めて出漁いたしました。この点は今度日米加条約においても問題になるかと思いましたが、大した問題にならなくて済みましたが、戦後初めてアメリカの近くまで出漁いたしまして、これは相当な成績を上げております。これは主として輸出であります。総じて遠洋漁業と申しますと、南方かつおまぐろ、北の方は鮭鱒漁業とかに漁業、この三つが遠洋漁業の最も基本的なものである、こういうふうに言つてさしつかえないかと思うのであります。
  42. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 戦前はメキシコ沿岸において、赤いたい、あるいはえびなどをとつて来たのでありますが、こういう面は現在どうなつておりますか。
  43. 清井正

    清井政府委員 遠洋の問題につきまして、ただいま御説明申し上げましたのは三つでございます。戦前は実は各方面に出ておつたのがあるのであります。南米方面にも出ておつたのであります。今お話のメキシコにつきましては、ただいま業界において計画をいたしておるということでございますが、まだそこまで具体的に実現をしていないような状況であるように聞いております。
  44. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 遠洋かつおまぐろ漁業に従事する場合、この漁業は権利として許可漁業ではないかと思いますが、それが許可漁業であるとすると、船舶もまた登録を受けなければならぬということになつておると思います。その漁業権あるいは漁業権を持つ船舶の数字は、今いかほどになつておりますか、お尋ねいたします。
  45. 清井正

    清井政府委員 なお詳しくは御質問に対してお答え申し上げたいと思いますが、現在御承知通りかつおまぐろは全部許可漁業なつておりまして、二十トン以上全部許可漁業なつておるのであります。百トンまでが中型かつおまぐろ漁業ということになつておりまして、百トン以上が遠洋かつおまぐろ漁業ということに、法制上は便宜二つにわけております。二十トン以上のかつおまぐろ船で、隻数が千百五十六隻になつておるのであります。トン数にいたしますと十一万三千トンでありまして、平均は九十八トンくらいになつております。そのうち二十トンから百トンまでの船は八百三十二隻でございまして、五万四千八百トン、それから百トン以上の船が三百二十四隻、トン数にいたしまして、五万八千トン、平均トン数百六十一トンということになつておりますので、お話遠洋と申しますと、おそらく百トン以上の船しか出られませんので、そのうち特に出られるものといたしましては、三百二十四隻のうち二百隻くらいのものが遠洋に出られるのではないか、こういうふうに実は考えておる次第であります。
  46. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そのうち百トン以上の許可漁業は幾つありますか。統計がありましたらお知らせ願いたいと思います。
  47. 清井正

    清井政府委員 今の御質問は、百トン以上のかつおまぐろの隻数が幾らあるかという御質問でございましたならば、ただいまちよつと御説明申し上げたのでありますが、三百二十四隻が大体百トン以上であるということであります。
  48. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 水産庁が去年の夏ごろ漁船の建造に関する計画を立てたようでありますが、それによると昭和二十八年度から五筒年間、三十二年度末までに合計十三万六千隻、トン数にして九万五千トン、この動力漁船を建造する、そして、漁業の進展をはかる。かような発表がいつか新聞になされておつたように思いますが、そうなりますと一方このかつおまぐろ漁業を大いに奨励をし、反面底びき網の漁船はこれを制限するというようなことでございましたが、そうしますとこの漁船建造計画のうち、かつおまぐろ漁業の用に供する船舶については大々的な建造計画があるだろうと思う。これはすでに許可された百トン以上の三百二十四隻の船の代船をつくる場合だけであるか。あるいは幸いにしてかつおまぐろ漁場が非常に多くなつて、従つてその船のトン数を大きくしなければならない、そしてたくさん出さなければならない、こういう情勢になるであろうと思うのでありますが、一方漁業界では大型遠洋漁業船をたくさんつくりたいという要望が非常に多い。ところが一方において百トン以上百五十トンの小さい船で、その代船をつくる力もない。しかしながらその権利は譲らない。そこでたくさんの資源を十分に開発しないで、また十分力のある、やりたいものが漁業の許可が得られなくて、こうしたよい仕事ができない現状にあるようでありますが、この三百二十四隻というものは代船をつくる以外には許さないのであるか。あるいは力もあり、また熱意もある業者があつて、新たにこのかつおまぐろ漁業を始めたいというものに対しましては慎重に審議をして、適当な場合にはその漁業を許可してやるというような考えがあるのか。全然なくて、ただ従来の許可されたものの権利たけを留保してある、そしていたずらに権利の値段が非常に高くなる。しかも多くはそれも売らない、権利を譲らないので、新たなかつおまぐろ漁業用のりつばな大型船舶ができないような現状にあるのではないか、この点に関する水産庁方針を承りたいと思います。
  49. 清井正

    清井政府委員 かつおまぐろ漁業に関するところの方針でございますが、それは私どもも確かにこの問題は現在の研究すべき大きな問題と考えておるのであります。ただいまお話もあり、また私が先ほど来御説明申し上げました通り、比較的現在の水産界において非常に漁業が困難だといわれておるときに、かつおまぐろ漁業だけが非常に発展性があるということでございますので、この方面に対する希望が非常に熱烈であることはお話通りであります。私どもも何とかそれに対しまして適当な措置をしなければならぬものと考えておるのであります、ところが現在は許可漁業なつておりまして、これを希望があるからといつてむやみに一ぺんに増加をいたしますと、またこれが後に何らかの形によつて異変を生じまして、縮小しなければならぬという事態が起りましたときに、非常な問題が起るということもありますので、いろいろの事情を勘案しながらこれは逐次拡大をして行くという方向に持つて行くべきであると私は考えておるのであります。しからばどういうふうにして拡大して行くかという問題でございますが、私どもといたしましては許可漁業がいたずらに権利化することは好ましくないのであります。許可漁業が権利化するということがございましたら、これはその方面漁業に非常に希望者が多いということでございますから、漸次その方面の許可方針を緩和して行かなければならぬことだと考えておるのであります。そこでどういたすかということでございますが、先ほど漁船の建造計画についてのお話がございましたが、実は事務的には確たるものはつくつていないのであります。と申しますのは、漁船をつくります場合には、当然融資の問題がうらはらの問題となつて参りまして、その融資の問題がはつきりいたしませんと、漁船の建造計画をつくりましても机上計画になりますので、なかなかむずかしい点があります。いろいろ事務的には案もつくつてはおりますが、こうきまつたというような建造計画は、実はお話申し上げるようなものはまだつくつていないのであります。しかしかつおまぐろ漁業につきましては、何と言つてもほとんど大部分はただいま代船建造の時期に達しておるのであります。そこで先ほどお話の数字も代船建造を入れた数字と考えてしかるべきものと考えるのでありますが、ただ私どもから考えましてまず第一に考えられますのは、かつおまぐろ漁船が代船建造の時期に達しておるのでありますから、現在の代船建造の分は具体的に認めて行かなければならぬのは当然のことだろうと思います。ただその場合に大型化して行くという問題と、それから全然許可がないのに新たに新船を許可して行くという問題と二つあるのであります。現在の船が大型化して行くという問題は、先ほど御説明いたさなかつたのでありますが、昨年かつおまぐろ漁業臨時特例法というものを出しまして、それまでは全然大型化を認めない、現状維持ばかりだつたのですが、そういうことではいかぬというわけで、ごく少数の船に限つて大型化を認めたのであります。すなわち百トン以下——七十五トンから百トンまでの船を百五十トン程度まで引上げることを認めたのであります。と申しますのは、現在の漁業法によりますと百トン以上の船が新しくつくられますのには、抽籤によつてその許可を認めるということなつておりまして、当該船がすぐに大型化するということはできないという形になつております。そういうとがありまして、いろいろの問題かございますので、便宜当該許可を受けた船が、そのまま船を大きくすることができるような道を講ずるために先般特例法を御制定願いまして、百トン以下の船が百トン以上になり得る道をつくつたのであります。そこでかつおまぐろ漁業大型化の第一歩を踏み出したのであります。私どもといたしましては、いろいろ今漁業全般についての不振の上から、私もかつおまぐろに行きたい、私もかつおまぐろに行きたいという希望者が各方面において非常に多いのであります。それを実は一々認めるわけには行かないのであります。これは全般の状況を見まして、逐次一定の方針に乗せまして、必要なものを認めて行く。あえて門戸をとざすということは真意ではございませんけれども、やはり全体の秩序を立てて認めて行かなければならぬと思いますので、これはどういうふうにして認めて行くかということを、目下しきりに立案しておるのであります。その方向に従いまして、何とか成案を得られますれば、その方向従つて行きたいと思いますけれども、現在のところ全然これを新規に認めるということにつきましては、実は非常な問題があるのであります。百トン以下の小型のものにつきましては、先般新規のものは若干認めたのでありますが、百トン以上の大型船についてそれを認めるということにつきましては、実は非常に問題がありますので、この点はもう少し私どもで研究させていただきたいと思つております。考え方としては、ほかの漁業からかつおまぐろに転換して行く、いわゆる転換漁業というものをまず認めて行くということが、まずまず優先すべきものではないか、こういう転換漁業をして行くことによつて漁業全般の隻数はわからないけれども、不利な漁業から有利な漁業に転換して行く、これを認めて、やることがまず一番ではなかろうか。それから小さな船を大きな船にするのを認めてやるということが先決じやないか、こういう考え方でおりますので、全然新らしい船の大型化という問題につきましては、よほどいろいろな面から検討を加えなければならぬと思いますが、十分業界の意向もあることでありますし、また遠方に出ることも奨励の方針一つでありますから、今後この問題は慎重に研究して、なるべく早く結論を得たいということで、目下事務的に検討を加えておるような状況であります。
  50. 關内正一

    關内委員長 正木清君。
  51. 正木清

    ○正木委員 私は運輸当局の方から法律のことと、それから水産庁からいろいろお聞かせ願いたいと思うのです。私は海のことはまつたく知りません。そこでお尋ねするわけですが、この法律改正案を通して見ますと、たいへんにけつこうなことなんですが、そこで従来予想だにしなかつたインド洋、濠州海域等に優秀な漁場が発見された。そこで急速にこの新漁場に属するところの法定の資格を持つた者が得られないので、そこでこの法律改正するのた、こういうことですが、そこで私にわかりやすく御説明を願いたいと思いますことは、今水産庁から御説明をいただいたこのインド洋、濠州方面に行きますために資格を持つておらない、こういうのでございますが、資格を持つておらないこれらの船員は、実際の不足数はどれくらい不足なのか。それから最後に当面の出漁難を救済するとともに、二年の間に甲区域に行ける法定資格を有する船舶職員の充実をはかる方針である、こういう方針を示しておるようでございますが、この二年の間に、政府としては何かこの船舶職員の養成機関でも設けて、そこでこの再教育でもする方針をお持ちになつているのかどうか、この点をわかりやすく御説明を願いたいと思います。  それから水産庁お尋ねしたいのですが、インド洋や濠州方面にまで遠洋漁業として出漁する、ただいまお話を承つておると、母船式というのでございましようか、それで行くものと単独で行くものとが三つある。その母船式の方は常識でわかるような感じを受けるのですが、その単独で行きます漁船の大体のトン数は、最低が今の御説明では百五、六十トンから上は三百トンくらいのお話を承つたのですが、今許可を受けておる船舶の全体の数は、一体どれくらいの数を水産庁では許可をしておるのか、これなどもつておきたいと思います。  それから私は断つたように、海のことはずぶのしろうとでございますが、日本からこの新しい漁場に行きますためには、資料としてお出しを願つたこの図面を見ても、これはえらい日数がかかるような感じを受けます。大体どれくらいの日数がかかつてそこへ着いて、どれくらいで魚をとつて、どうして日本に帰つて来れるものか。  それからもう一つ、こういう遠洋魚業に従事するのでしようから、個人で出漁するとこういつても、相当の資金がかかるものだと思うのです。そこでこれまたしろうとらしい質問になるわけですが一つの船をつくる建造資金とでもいうのでございましようか、これはトン数にもよりましようけれども、大体の標準で御説明を願いたいと思うのですが、三つくらいにわけて御説明を願いたいと思います。建造資金はどれくらいかかるのか、そしてまた一般的にいう船はつくつたが、その他の魚具であるとか、船員の給料であるとか、いろいろ着業資金とでも言うのでしようか、そういうものも私は厖大にかかるものだと思うのですが、一体そういう資金関係などは、母船式で出る大きな会社は別として、個人の場合は今の制度において、政府はどういうようにめんどうをみておるのか、そういう点なども数字でお示しを願えればけつこうだと思います。  それからもう一点は、日本の沿岸漁業というものは非常に苦しくなつておると先ほども伊東委員からお話があつたのですが、沿岸漁業水産庁が非常にお骨折りくださつた協同組合制度が漸次拡大充実して来たわけですが、そういう漁業組合を中心として、こういう遠洋漁業等に出漁する場合に、何か優先的な許可の方針でもあるのかどうかというようなことも、この際承つておきたいと思います。なおもう一つつておきたいと思いますことは、母船式の大資本を有する出漁等に対することと、それから今お尋ねした沿岸漁業の協同組合を中心とするもの、先ほど水産庁の御説明では個人という言葉が使われておりましたが、個人で出漁するというこの許可の何か基準でもあつて母船式の会社の方は、お前のところはこれだけ、それから個人で出漁する許可件数はこれだけとか、たとえば北海道の漁業公社という形で今度出たようでございますが、そういうものと何か許可の基準でもあつて、そうして出て行くのかどうか。  それからこの遠洋漁業というものに対する将来の見通しでございますが、今非常に苦しいが、事業として有利だとなればどつと出て来るでしようし、それに対して水産庁としては、いろいろそれを抑制するために将来のことも勘案して、いろいろ御苦心をされておるように今承つたのですが、こういう事業に対する将来の見通し等について、何かお考えをお持ちであれば、この際ここで御発表を願いたいと思います。
  52. 武田元

    武田政府委員 運輸省資格不足の船舶職員につきまして百五十九船につき調査いたしましたところ、甲種一等航海士三十五名、甲種二等航海士百十四名、乙種一等航海士四十二名、甲種一等機関士四十二名、甲種二等機関士百五十五名、乙種一等機関士四十五名というものが、この区域に出るには資格がないことになつております。  二年間における充足につきましては、第一には、ただいま申し上げたような、現在遠洋かつおまぐろ漁船に乗り組んでおる船員資格のない者については、農林省の方で来年度予算要求をしておられるようでございますが、短期の講習会を実施いたしまして、その試験は運輸省の方で行うことになつております。第二に、水産関係学校の卒業者を吸収をいたすことにいたしております。第三には、遠洋かつおまぐろ漁船乗組員以外の船員を、極力遠洋かつおまぐろ漁業への転船につき配意をいたしたい。かような方法によりまして、二年間において充足できるという見通しを持つておるわけであります。
  53. 清井正

    清井政府委員 先ほどの御質問でございますが、遠洋かつおまぐろ漁業に従事し得る船は、大体百トン以上の船が仕事し得るわけでありますが、それに対して今許可しておる隻数は、先ほどもちよつと御説明申し上げましたが、三百二十四隻あるわけであります。それは遠洋かつおまぐろ漁業規則というものがありまして、その規則に基いて許可しておるのであります。それが三百二十四隻あります。これが実際問題として行き得るわけですけれども、ただ非常に遠方になりますと、百トンがらみの船ではなかなかむずかしいということになりますから、実際上百五十トンないし二百トン以上の船が遠方に行くということになりますから、事実上南方海域においてかつおまぐろ漁業に従事しておりますのは、その三百二十四隻のうち二百隻ぐらいだろう、こういう一応の推定でございます。  それでどのくらい金がかかるのだ、こういうことでございますが、かりに私どもの一応の計算といたしましては、建造費について、ただいまはトン二十五万円はかかるだろうという考え方をとつております。そうなりますと、かりに三百トンの船が出るとして、三百トンの船をつくりますためには七千五百万円の資金を要するということになるわけであります。それから漁具費等につきましては、御承知通りまぐろは、なわにつりばりをつけて、それにえさをつけてひつぱつてとるのでありますが、そのなわ代が大体七、八百万円かかるだろう、こういうことであります。それから乗組員の食糧費、油代等、いわゆる直接の運転に要する資金というものが約四、五百万円かかるだろう、こういう大体の見当であります。従つて一航海出ますには、大体航海が往復三十日、操業するのが、大体三十日、従つてつてから帰つて来るまで六十日、大体このくらいの見当であやように考えておるのであります。船をつくるのに七千五百万円、その他でもつて約一千万円近い金がいる、こういうわけでありますが、これに対する資金というものは、別段政府としては手当をしていないのでありますから、大体今まで関係漁業者がそれぞれ市中金融機関から前借りのような形で借りている、そして帰つてから漁獲物を売つて支払つて行くとか、こういうよりなことにいたしておるのであります。むろん建造資金につきましては、先ほどちよつと申し上げましたように、開発銀行から借り入れる努力をいたしておりますけれども、なかなか資金関係でそう全部が全部というわけに行きませんので、そこから開発資金を借りるのはごくわずかで、その他は一般の市中金融機関を利用して、おるというのが一般の状況であります。  それから協同組合との関係はどうかという御質問でございますが、協同組合は御承知通りの性格であります。ところが遠洋かつおまぐろ漁業は非常な資金を要するのでありまして、たとい協同組合経営体であろうとも、これににわかに遠洋漁業を許可するということは、いろいろな面においてむずかしい点があるのであります。しかし百トン以下の近海まぐろ漁業は、比較的資金を、要しないのでありますし、それから漁場も比較的近いわけでありますから、いわゆる百トン以下のまぐろ漁業をやる場合には、これは協同組合の経営体ということもあり得ると考えておりますが、遠洋漁業というものは資金等を要するので、これは協同組合というよりも、やはり企業体経営というところが安全じやないか、こういうような考え方を私どもは持つているのであります。  それからかつおまぐろ漁業の将来の見通しはどうかという御意見ですが、この点は非常にむずかしい問題だと思いますけれども、現状では、専門家の観測では、まだまだ発展するだろうという観測を下しております。私どももそう思つております。しかし御承知通りこれは漁業でありますので、なかなか予測がつきがたい点もあるのであります。しかし今までの経験では、そう資源がなくなるというわけでもないし、とれたものの販売もますます発展して行く状況でありますので——むろんこの点はアメリカの方の状況もよく考えて行かなければならぬところでありますけれども、そういつたようなただいまの現状から判断いたしますれば、まで発展性はあるだろうということが一般的にいわれております。しかしこれは、申し上げる通り漁業という実態上、輸出という関係もありますので、断定し切るわけにも行きませんが、現在の常識では、まだ発展性があるだろう、こういう考え方であります。しかしながら私どもとしては、そうかといつて、みな殺到して、そして大きな船をつくつて出て行つたら漁がなかつた、あるいはとつたものが売れなかつたというようなことではたいへんだことでありますから、皆さんの希望で、これを漸次緩和して行くという方向に行きたいということで、用心をしながら前進する、こういうふうな形で行くのが一番堅実性があるだろう、こういうような考え方をとつている次第であります。
  54. 正木清

    ○正木委員 もう一点、運輸当局に聞きますが、先ほど何か数字をずつとあげたようですが、その数字をあげたのか、現在は資格がないのだが、この法律改正資格をつけて出してやるのだという数字でございますか。これが一点。  それから、知期の講習会を開いて、そしてその講習会農林省でやる、試験は運輸省でやる、こういうことですが、それでよろしいのでしようか。私の心配するのは、どうもお役所式のような感じを受けるから重ねて聞くのですが、新しい漁場が発見されて非常に有望だ、往復六十日もかかるのだ、それで資格のない船員も、船員が足りないから、合法律改正して、その資格のない船員をそれに乗り組ませるのだ、その間に短期講習会を開いて、試験をして、そうして資格を与えるのだ、こういう法律改正の行き方だと思います。ちようど私どもが戦争中、この部室でしばしば聞かされたことと同じような感じを受けるので、若干その点心配だから聞くのですが、そういう無理な処置をとつて、間違いを起すようなことはないのですか、これはえらいことだと思うのですが、そういう御心配はございませんか。それをただ一言聞いておきたいと思います。
  55. 武田元

    武田政府委員 今度の特例法改正によりまして、甲区域に出ます場合には、現在乙区域の中で操業している資格と、現行法による甲区域に出る場合の資格の、大体まん中程度資格で出ることができる、暫定的に二年間を限つて出ることができるという経過的措置でございます。これは航行の安全の面と、需給の面と両方をにらみ合せて、こういう措置とつたわけでございます。安全の点についてお話がございましたが、これは先ほどもちよつと御質問がございましたけれども、最近かつおまぐろ漁船が、水産庁お話がございましたように、だんだん大型化されて行き、設備もよくなつて参つておりますし、それに現在乗り組んでいる船員の大部分は、多年かつおまぐろ漁業経験を持つております者で、安全の面におきましても、大体さしつかえないのではないかと考えているのであります。
  56. 正木清

    ○正木委員 それならば、こういう法律改正も何もいらない、撤廃したらどうですか。
  57. 武田元

    武田政府委員 本来この甲区域に出漁します。遠洋かつおまぐろ漁船につきましては、航行の万全を期するためには、現行法通り程度資格を必要とするものと考えておりますが、今回職員法の改正当時予想し得なかつた新事態が出て参りまして、この新事態を無視することは国家的にも不利でございますし、違反船を出すおそれもありますので、対策につきまして研究いたしまして、この程度暫定措置はやむを得ないものと考えたわけでございます。それにさつき申しましたように、現状におきまして漁船設備が改善されておりますので、大体においてさしつかえないのではないかと考えます。
  58. 關内正一

    關内委員長 臼井委員
  59. 臼井莊一

    ○臼井委員 この機会にちよつと水産庁にお伺いしておきたいのですが、ただいま航行の安全の問題がいろいろ出たようですが、漁業が非常に危険がられておるということは、漁獲の不安定だということもあると思いますが、それとともにいわゆる航行の安全というか、難破というようなことに対して、昔から板子一枚下は地獄だというような考え方がある。そういう場合がよく新聞等で見られるのでありますが、そういう不可抗力に対して乗組員に対する保護の、何か保険というような方法でもあるのですか、どうですか、その点をちよつとお伺いしておきたいと思います。
  60. 清井正

    清井政府委員 特にこれは漁船についてのみの特別な施設というのはないのでございますが、一般の船員であります関係上、船員法に基くところのいろいろな保険等の施設がございますので、その施設の利用はいたしておるような次第でございます。漁船だけについての特例はございません。
  61. 臼井莊一

    ○臼井委員 そういたしますと、遠洋に行く漁業は、船員法か何かで雇用主が危険に対して保険をかけるというような法規でもあるのでありますか、そういうあれはないのでありますか。
  62. 清井正

    清井政府委員 遠洋に出ますときには、船主乗組員に対して保険を付するという制度が現行法にございますので、その制度を実施することになると思います。
  63. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうすると遠洋漁業の方は保険をかける、こういうふうに了解いたしましたが、近海漁業に対しては何かなべいように聞いておりますが、ございませんか、
  64. 清井正

    清井政府委員 たしか現在の制度で申しますと、三十トン以上の船はあるわけでありますけれども、三十トン以下の船についてはないのでございます。その点は確かにお話通りこれは問題点であります。私どもといたしましても、その問題につきましては慎重に考えなければならぬ問題だということは十分わかつておるのでありまして、先般来運輸省といろいろ相談しておるのであります。しかしこの問題はいろいろな方面から検討いたしませんと、たただちに結論は出て参らないのでありますが、私どもといたしましては三十トン以下の漁船乗組員に対しても、何か方法を講ずべきであるとは考えておるのでありますが、にわかに結論は出ないのでありますが、もつとさらに研究さしていただきたいと思います。
  65. 臼井莊一

    ○臼井委員 その点についても十分お考えのようですから、私からあらためて申し上げることはないと思いますが、よく近海漁船が難破しますと、その付近の組合等がたくさん船を出して探す。しかも全然見込みがないというような報告を受けていても、二日でも三日でも探す。漁業を捨てて探しに出ますから、その費用は相当莫大にかかるわけです。人情としても死体でも何でも一人でもよけいに収容したいというのは当然でございましようが、それとともに遺族に対して何か相当補償を与えるような方法を講じないと、ただ人情的に慰めたいということだけでは、仏も浮かばれないと思いますので、三十トン以下の船でも、やはり危険な仕事に従事をしておるのでありますから、たとえば漁獲のあつたときにそれを積み立てておいて、それを保険なら保険に振りかえて、そういう被害者が出たときにそれによつて補償するとかなんとか、そういう制度が必要なように思いますけれども、これは希望として一段とその点御研究願いたいと思います。  もう一点お伺いいたしますが、例の李承晩ラインで相当漁業者が失業状態になつておるということを聞いておりますが、これらも船が小さいのでありますから遠洋の方には行けませんが、他の漁場水産庁あたりで探して、それの方に適当に指導するとか、あるいはそれが組合をつくつて遠洋の方に転換するとか、あるいは李承晩ラインは近く明るい見通しがあるとか、そういう点についてはどういう状況なつておりますか。その点をちよつとお伺いいたしたい。
  66. 清井正

    清井政府委員 ただいま御質問の李承晩ラインの問題でございますが、この見通しは現存のところ残念ながらはつきりいたしておりません。しかも拿捕はときどき行われますので、私どもはなはだ遺憾に考えておりますが、この点の見通しについてはまだ何とも申し上げられない状況であります。そこで漁業者の方は主としてこの方面で底びき漁業をやつておるわけでありまして、山口県の業者が出たるものでありますが、同方面が特殊な事情にありますために、現在はずつと南の方に下りまして操業しておるようであります。同方面には九州方面の底びき業者の方も入つておりまして、相当隻数が南方に片寄つておるような状況であります。業者の方は、一定海域に多くの漁船が操業してはぐあいが悪いから、何とか他に転換したいという希望を持つておられる方もございますし、現にそういう希望を表明しておられる方もあります。私どもこの点は何とか考えなければならぬ問題だと思つておりますが、ただいまお話がありましたようなかつおまぐろ漁業に転換したいという希望の方もあるようであります。しかしこれは単に転換という問題だけでなしに、いろいろな問題と関連いたしますが、御希望は十分わかつておりますので、何とかしたいものだと思つておりますけれども、どういうふうにいたすかということについては、目下研究しておるような程度であります。漁業者の方々は現在では南方で操業しておるという状況であります。
  67. 關内正一

    關内委員長 ほかに質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 關内正一

    關内委員長 なければ、これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  69. 關内正一

    關内委員長 この際楯兼次郎君より、国鉄関係に対し緊急質問をいたしたいとの申出がありますので、これを許します。楯兼次郎君。
  70. 楯兼次郎

    ○楯委員 委員長の許可を得ましたので、陸運関係について二、三御質問を申し上げたいと思います。いやなことを言うようでありますが、本国会で運輸委員会をめぐりまして、非常に不明朗な空気が出ておるわけであります。造船関係については以前から連日いろいろな委員会において検討されておりまするが、つい二、三日前の新聞等によりますと、陸運関係にも火の手がまわつて来たというような見出しで、特に国鉄の外郭団体等が取上げられております。昨年の後半から暮れにかけまして問題となりました鉄道会館の問題のもみ消しだ、こういうようなことで、特に国鉄の外郭団体が、この問題が徹底的に追究をされましたならば、自分たちが保有をいたしておりますところの特権がなくなつてしまうというような意図から、もみ消し運動が行われた、こういうようなことが伝わつております。私は今この問題については詳細に、具体的に、あるいは確証もないのでありますから、ここで論議をいたそうとは思いませんけれども、いわゆる外郭団体が特権を持つておる。国鉄企業内におけるところの事業でありますので、ある程度便宜というものは私は当然あると思いますが、新聞等にいわれておりますような、いわゆる特権というものが、——たくさん外郭団体がありますが、今日付与されておるのかどうかという点を、ひとつ天坊さんにお伺いをいたしたいと思います。
  71. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 国鉄をめぐる外郭団体等つきまして、いろいろ疑惑視されておりますことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。一方ではただいまお話がございました通り、すでにそれぞれの筋でお調べが始まつておるのでありますから、その点は別といたしまして、ただいま御質問の、外郭団体にどういう特権があるかというお話でありますが、御承知のように昨年の慶以来、鉄道会館問題と並行いたしまして、いわゆる外郭団体という問題につきしても御質問等もいろいろございまして、その節に十分お聞き願つたかと思いますが、これに特別の権利を与えておるというようなかつこうではないのでありまして、たとえば交通公社でございますとか、あるいは弘済会でありますとかいうようなもの、それぞれにつきましては、それぞれの本来の目的がうまく遂行できるようなかつこうでの仕事の連繋は持つておりますが、特別な特権というような点は、具体的にそう大きなものを与えておるというふうには考えていないのであります。たとえば弘済会におきましては、鉄道をやめた、あるいはけがしてやめたというような職員のめんどうを見てもらつておりますから、それが駅で売店等を出します際には、普通の売店ができるときよりも営業料金は安くしておる、こういうようなやり方はやつておりますが、それらをすぐ大きな特権といえるかどうかにつきましては、一つ一つ理由もございますし、そう頭から特権といえるかどうかについては疑問があると思います。
  72. 楯兼次郎

    ○楯委員 先ほども申し上げましたように、私は今ここでこの問題について詳細にあなたと議論をいたそうとは思いませんが、ああいう新聞の報道を読みますと、大きな疑惑が生れて参ります。これについていつもでありますとあなたの方で、そういうことはあり得ないというように反発されるなり、身の潔白を証明をされるのが常識でありますが、あの問題については反発もしないし、あるいは取消しもしないし、何らこれに対する抗告といいますか、言い訳、反発といいますか、そういうものが行われておらないという点について、国鉄当局にも疑惑が生じて来ますし、こうした文字の中にわれわれ運輸委員会、運輸委員という辞句が使われておる点についても、はなはだ心外であると考えておるわけでありますが、こうした批判に対してなぜあなた方は沈黙を守つておられるのか、この点を一点お伺いしておきたい。
  73. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 昨年の鉄道会館の問題のときにも、鉄道の方の鉄道会館に対する考え方というものについてのいわゆるPRと申しますか、説明の仕方が下手だつたというふうに、私どももそう感じておりますし、またいろいろそういうお話も聞いておるのであります。まつたく全体の問題といたしまして、鉄道がいろいろな点で宣伝なり、説明の仕方があまり上手でないということは事実でありますが、昨今の鉄道会館問題につきまして、特に釈明をするというほどの——内容もよくわかりませんので、私どもといたしましては、特に釈明をしなければならぬというふうには考えておらぬわけでありまして、何か御疑問の点がございまして、私が存じておる範囲においてはお答えいたしてさしつかえないと思います。
  74. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は鉄道会館そのものの問題を言つておるのではなくて、これがもみ消しについて、外郭団体が動き出したという点についてあなたに御質問しておるのであります。
  75. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 鉄道会館の問題につきましては、御承知通り昨年非常に長い間当運輸委員会においても、あるいは決算委員会においても、いろいろ詳細にわたつて御検討願つたわけでありまして、その間途中で会計検査院等の答えもございまして、鉄道会館そのものについてこれという不正というような問題がなかつたことはすでに御承知通りでありまして、私どもといたしまして、そういう姿で答えが出ておる問題について、それ以上に今のお話にありましたように、握りつぶしといいますか、もみ消し、そういう必要は毛頭なかつたのでありまして、私どもとしては全然関知しないところであります。ただ外郭団体の一部の人がそういうことをしたかどうかということにつきましては、私どもの全然知らない問題であります。
  76. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは次に御質問申し上げますが、こういう外郭団体に特権を与えてない、こういうことをおつしやいますが、しかしこれは特権と言えるかどうかわかりませんけれども、今日国鉄と外郭団体とが、いわゆる大衆のまゆをひそめるような結果になつて行く関連といいますか、仕組みになつておるのではないかというふうにわれわれはおそれておるわけであります。抽象的なことを言つてつてもどうかと思いますので、私はひとつ具体的に申し上げますが、本年度の予算業務委託費というものがあります。これが私の記憶では、昨年十億であつたものが十五億に増加しておる。この業務委託費の内容を私は全部は知らないのでありますが、当然国鉄でやるべき仕事を外部の会社に請負わせる、そういうことであろうと私どもは解釈をいたしておるわけでありますが、なぜ昨年度の十億のものが十五億に増額されたのか、この間の事情を御説明願いたいと思います。
  77. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいま御指摘がありしました業務委託費の問題でありますが、私どものやつております仕事の中で、鉄道の職員を使つてそのままやる方がいいか、あるいはこれを外部に委託してやる方が経済的にいいかという問題は、一つ一つの場合によつてこれを経済的に、あるいは経営的に検討してきめて行くべき問題と考えております。ただいまお話になりました業務委託費の中で一番大きなものは、駅の荷物の積みおろしの関係であります。この駅の積みおろしにつきましては、たいがい各駅には運送店というものがございまして、これに積みおろしをやつてもらうということが比較的便宜であります。そうした方が駅員が少くて済む。しかしながらある程度まとまつた数量を取扱つております駅については、直接鉄道の荷扱手というものを置きまして、これにやらせた方が便宜なのでありまして、そうした荷物の積みおろしというかつこうでやつております。全国のたくさんの駅につきまして、業務委託費のかつこうで積みおろし料金を支払つておりますが、これが昨年度に比べて数量がふえて参つたというようなことが、一番大きな原因ではないかと考えます。
  78. 楯兼次郎

    ○楯委員 なるほど今天坊副総裁の言われたのも入つておると思いますが、この業務委託費の中に、客貨車区や電車区の清掃請負業務が入つておると思います。この点について私は専門家ではないのでわかりませんが、話を聞いたところによりますと、鉄道の部内で当然やらるべき仕事であるにもかかわらず、外部に委託をしておる。しかもその額は委託をした方が高い。同じ仕事をやつて高い料金を払つておる。なるほど金額はある場合には低い場合もあるかもわかりませんが、鉄道の水道であるとか施設その他を使つておるという点を計算いたしますると、総括的にはかえつて高い。そういうようなことを鉄道がやらしておつて、なおこれを本年度増額をして拡大をするという点に、これは一例でありまするが、外郭団体とのきわめて不明朗な疑いといいまするか、問題が起つて来るのではないかというふうに私ども考えておりまするが、あなたの言われまする積みおろし料云々という点については認めるといたしましても、いま一つでありまする客貨車の清掃という点についてどういうふうにお考えになるか。
  79. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 貨車、客車の清掃と申しますのは、貨車がその日に一応の運転を終えましてそれぞれ電車庫に入つております間に、窓を洗つたり中を掃除したり、客車におきましても同様なことをいたすのでありますが、それらにつきましては、あるいは楯さん御承知かと思いますが、昔はたいがいこういう仕事を部外に請負に出しておつたのであります。その後いろいろと事情かかわりまして、鉄道が自分で清掃手というものを置いてやつてつたのでありますが、大体その仕事の内容から見ますと、おばあさんのような方をなるべく使つてやる。これは何と申しますか、若い人には向いた仕事ではないので、むしろゆつくりと丁寧に清掃してもらうというのに向いた仕事なのであります。そういう意味で東京近傍の電車区に二箇所ばかり、それぞれ電車の清掃等を昨年度以降請負のかつこうにいたしまして、そうしたできるならば職員の家族のおばあさんとか、あるいは学校へ行きながら仕事をしたいという学生のアルバイトというようなもののために、主として鉄道の職員関係の方を使いながらこれをやちておるわけであります。従いまして一人々々の給与というものも、鉄道とは違いまして非常に安いのでありまして、だれかただいま楯さんの言う御計算をなさつておるか知りませんが、鉄道直営でやるよりも安いという計算をはつきり立ててやつておる次第であります。
  80. 楯兼次郎

    ○楯委員 鉄道の計算より安いというのは、私は現実に取扱つて計算をしておる人たちの話を聞くと、全部を総括した場合には鉄道自体がやるよりも高い。しかも鉄道でできる。私が言わんとするところは、今天坊副総裁が言われました内容をとつておるのではございません。こういう仕事をやる会社の幹部がどういう人かというところに問題があるわけです。おそらくこれは鉄道の相当上級幹部といいますか、そういう人たちがみんなこういう会社をつつてつておるというところに、先ほどの特権ではないかもしりませんけれども、不明朗な疑惑が生れて来るのではないかという点を心配をしておるわけです。ここで今あなたと討論をしておりましても、高い安いで結論が出ませんので、ひとつつてどういう実態になつているかということをよく御検討を願いたいと思います。  同じような問題でありまするが、次に移ります。これは先ほど冒頭に申し上げました不明朗の発生の原因のいま一つは、私は例をあげて申し上げたいと思いまするが、国鉄の共済組合に非常に株が多いということであります。私の承知いたしておりまするところでは十六億ぐらい株がある。しかもこの株の内容を見てみますると、いわゆる外郭団体の株がほとんどである。ここにも非常に不明朗な結果を生む原因があるというふうに私は考えるわけであります。しかもこの会社の株をほとんど国鉄の共済組へ品が所有しておつて、仕事をやらせるにも、あるいはすべての物資を納入するにもこれらと連絡をとれば、これは考えようによつては普通の常識では考えられないような取引がやられるのではないか、——つて、おるとは言いませんが、ないかどうかという疑惑を持つわけでありますが、私は鉄道共済組合に株、有価証券が十六億あるというふうに承知いたしておりますが、厚生局長は私の言つておることが間違いでないかどうか、この点について御返答を願いたいと思います。
  81. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました、国鉄共済組合が持つております株の総額は、現在三億八千百七十九万四千円ということで、十六億などという額ではございません。それでもし必要がございましたら、投資しておる会社の名前を申し上げてもよろしゆうございます。
  82. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも厚生局長の言われる額はちよつとおかしいと思うのです。この額面と実際の価格とは、ここ二、三年ほとんど変動はないつもりでおるわけです。これはあなたの方で御発行になりましたプリントに十五億少しということがはつきり載つておるから、自分の計算じやなくて、あなたの方の資料によつて質問申し上げておるわけです。三億というのはあまりにも少な過ぎると思うのですがどうですか。
  83. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の調べておりますのは、別に間違いがあるとは思わないのでございます。今私がここに持つておりますのは持株の数と、それに対する払込みの金額でありますが、ただいま私が申し上げました額は払込み金額の総額でございます。それで、その十六億とおつしやるのはどういうあれについておつしやつておるのか、ちよつと見当がつきませんが、共済組合の資産の概況を申し上げますと、共済組合並びに付属事業全部の資産を合せまして、現在百二十九億ぐらいになつております。その中で共済組合の本組合の資産になつておりますものがちようど百億ぐらいでございまして、その中で投資株式になつておりますものが今申し上げました一億八千万ぐらいになつております。それで想像いたしますのに、おそらくお尋ねのものは、このほかに有価証券類を共済組合としては持つておりますので、そういう有価証券の総額としましては十七億ほどになつておりますが、これは別に投資ということではございませんので、いろいろな興業債券でありますとか、各種の債券類というようなものがその中にあるわけであります。
  84. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうなりますとこれから私が疑惑に思いますことを、順次聞いて行きたいと思います。共済組合の会計監査でありますが、そういうものは一体だれがどういう機関で行うのか、教えて、いただきたいと思います。
  85. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 共済組合の会計監査につきましては、これは歴史的にいろいろ変化があるわけでございますが、現在におきましては、共済組合法に根拠を持つた国家公務員共済組合経理規程という大蔵省令が出ておりまして、この大蔵省令に基いて、共済組合の資産の運用の仕方等につきましても、たとえば流動資産は全体の何%でなければいけないとか、あるいは不動産に投資するのは何%でなければいけないというようなことが、大蔵省の省令でこまかくきめられておるわけでございます。大体その大蔵省令にきめられました率に従つて、資産の運用をいたすようにいたしております。毎年この規程に基いて事業計画を立てまして、それを共済組合の運営審議会というもの——これは内部機関でございます。これには従業員の代表も加わつておりますが、その委員会にかけました上で、大蔵当局の承認を包括的に受けておるわけであります。と同時に、今度はその内部で——共済組合の資産というものは、御承知のように国鉄当局の負担金と組合員の掛金と両方でだんだんふえて行くわけであります。そのふえて行きます純増加分の運用の大体の方針は、年間の事業計画を立てまして、あらかじめ大蔵省の承認を受けておるわけでありますが、さらに個々の信託をいたしますとか、あるいは最近のことでございますと、投資信託というようなことも共済組合はやつておりますが、そういう処置をいたします際には、その都度大蔵省の承認をとつて処置をしておるわけでございます。それで監査の方法としましては、もちろんいろいろ監査規程がございまして、内部監査もやつておりますが、共済組合全体の問題につきましては大蔵省の監査、また問題によりましては会計検査院等の監査の対象となる場合もあるというふうに承知いたしております。
  86. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういたしますと、今有価証券が約十七億あると言われまするが、大蔵省の規約——ちよつと名前は忘れましたが、そういう規則に抵触しないのかどうかという点が一点と、私は共済組合の金がこういう有価証券に投資といいますか、まわされるということは、資金運用の面で非常に困つて来るのではないか。一面を申し上げますると、たとえば職員が共済組合法によつて借金をする。     〔委員長退席、松井(豊)委員代理   着席〕 そういうような規則があることを承知いたしておりまするが、金の借用方を申し出た場合に、現金がないということで、なかなか全部が借りられないというようなことも聞いておりまするが、その反面、こういう方に金がまわされておるという点を非常に不可解に感ずるわけでありまするが、大蔵省の規約に抵触しないかという点と、資金運用の面で困るのではないか。これはおそらく先ほど申し上げました借金というような面から行けば、現実に困つておるのじやないかというふうに考えますが、困つてつて、なおかつこういうところへ金をまわすという点を、ひとつ説明願いたいと思います。
  87. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 まず大蔵省の基準があるために困つておりはしないかというお尋ねの点でございますが、この点は全然困つていないとも申しませんけれども、実際の資産の運用と、大蔵省の示しました規程によつて示されております基準というものとは、それほどひどく食い違つておりませんので、全体として見ました場合には、ただいまのところではそんな不都合は感じておりません。そしてたとえば長期経理の資産運用についての規程の一部を申し上げますと、こういうふうにきめてあるわけでございます。「流動資産以外の資産の価額は、常時、総資産の価額の十分の八に相当する価額に対し、左の各号に定める区分に従い、当該各号に掲げる割合を乗じて得た額をこえることができない。」というふうになつておりまして、長期の預金、貯金または金銭信託は十分の一である、有価証券は十分の一である、不動産は十分の二、組合の行う事業のうち、不動産の取得を目的とするものに対する貸付金は十分の二、組合の行う事業に対する前号以外の貸付金は十分の四、こういうふうなこまかい規程小経理規程で定められておりまして、それと現実に共済組合が持つております率とは、これはもちろん共済組合の資産の内容というものはかなり古い歴史を持つておりますので、ぴつたりと合つてはおりませんが、現在の状況は、この大蔵省の規程が今申し上げたようにそれぞれある率をきめておるわけでありますが、それと抵触しないように現在ではなつております、従つてその点では今問題ないわけであります、  それから職員に対する貸付金やなんかのことで、職員の方の要望が非常にあるのに、この規程のために押えられて、それができないでいるじやないかというようなお尋ねであつたと思うのでございますが、この点は大蔵省の省令がありますために、それができないというわけではないのでございまして、貸付金の貸付限度の引上げということにつきましては、これはそのときどきの情勢によりまして、やはり貸付金弁済の担保能力というようなことも他面ではありえなければなりませんので、逐次その貸付限度の引上げるようにして来ております。実は二十九年度におきましては、今までよりも若干貸付の限度を引上げるということで、まだ正式には運営審議会にかけておりませんで、事前折衝のような形で、国鉄部内の両組合とも現在話合いを進めておるような状況でございまして、来年度においては貸付の限度を相当引上げるというつもりにいたしております。なおこの貸付限度の引上げということは、やはり職員全般の生活状態というものともよくにらみ合せて考える必要もございますので、そういう点も見ておるのでございますが、これは御参考までに申し上げるのでございますけれども、国鉄職員のために一方で貸付の制度をやりますと同時に、他方ではまた貯金部というのをつくりまして、貯金の経理をやつておることも御存じであろうかと思いますが、その方を見ますと、貯金額は平均いたしまして相当上つております。そういう点から考えて参りますと、おのずから貸付の限度というようなものも、そういうことともバランスを考えてきめる必要がございますので、それらのいろいろな要素従業員側の代表の人たちとも話し合いまして、来年度は若干貸付の限度を引上げるということで、ただいま話合いを進めておるようなわけでございます
  88. 楯兼次郎

    ○楯委員 それではこういう点はどういうことになつておるのですか。有価証券が昭和二十六年より二十七年度は十億、現在でありますると十億の余増加しておると思います。ところが一方では共済組合が借入金をしておる。金を借りて、有価証券がほとんど銀行から借入金をした以上にふえておるというように、われわれしろうとでありますからこまかい点はわかりませんが、一覧をいたしまするとそのようにとれるわけですが、この関係についてはどういうふうですか。
  89. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 いや、銀行からの借入金などというものはないはずでございます。
  90. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは私はあとでもう一回調べてみます。  次にお伺いしたいことは、なるほど株式が約一億円とあなたは言われます。株式は冒頭に申し上げましたように、いわゆる外郭団体の株式がほとんどであるというふうに私どもは了解をいたしておるわけです。もしこういう株を購入すると仮定をいたしましても、常識的に言えば、非常にいい、一流銘柄といいますか、そういうものを購入して行くのが私は常識であると思いまするが、鉄道ときわめて関係の深い株がたくさんある。こういう点についてはどういうお考えでやられたのか、御説明願いたいと思います。
  91. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 共済組合は別に証券業者ではございませんから、いろいろな有利な株を売り買いして、それで金もうけしようというようなことはいたさないことになつておりまするし、それからまた先ほど申し上げました経理規程にもございますように、有価証券に投資し得るものの率というものも省令できめられておるので、外郭団体の株以外のもつと有利なものも買つたらどうかというような意味も御質問の中にあるいはお含みになつておられたかとも思いますが、それはそうかつてにはできないようになつておるわけでございますし、また現実に新たに投資をいたすというような場合には、これは先ほど申し上げましたように、大蔵省に一々承認を得てやらなければならぬように現在なつておるわけでございます。それで現在株を持つております会社の名前を申し上げますが、日本食堂会社、鉄道建設興業、鉄道電気工業、日本電設工業、日本海陸運輸、日本通運、新生電気、鉄道保安工業、日本運輸倉庫等々、大部分が鉄道と関係のある会社の株であることは、まさに御指摘の通りでございますが、これらの事業は国鉄といずれも密接な関連のある事業を営んでおる会社でございまして、従つてその業務の運営の仕方等についても、国鉄の当局としては絶えずその内容をよく知ることもできるわけでございます。それからまた同時に株主になりましても、会社の経営がうまく行くように、株主としての発言権を持ちましても指導もしやすい点もある。そういうような観点からこれらの株の価値というものを見ておりますと、いずれも相当な業績を上げておりますので、共済組合の資産の運用という立場から考えまして、別に不利益であるとか、あるいは危険であるというようなことは万々ないものというふうに考えておる次第でございます。
  92. 楯兼次郎

    ○楯委員 今吾孫子厚生局長の言われた点を、私は先ほどから聞いておるわけです。あなたは援助をしてやるから別に損害が起きぬではないかということを言われますが、そういう国鉄の外郭団体の株のみをもつて、なおこれは損害が行つたら困るというので、国鉄が積極的でなくても応援態勢に出るところに、いろいろ外郭団体との不明朗な原因が生れて来る、こういうふうに私どもは解釈せざるを得ない。あなたもそのことを今裏書きをしております。こういう点はひとつ再検討をしてもらわなくちや困ると思います。  それから今あなたの答弁を聞いておりますると、何か共済組合の審議会で諮つてつたとかいろいろ言われまするが、実際においてそういうことを審議会で諮つて、議事録とか何とかいう記録があるのですか。実際それを諮つてつておられるのですか。
  93. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お話のありました前段の方は、それは不明朗なことがあればまことにけしからぬ話でありますから、そういうようなことがもしありましたらば、十分糾明していただいてけつこうでありますけれども、不明朗なことがないならば一向さしつかえない話であつて、鉄道の業務と直接関連のある事業が堅実に運営されるように、仕事の内容がりつぱなものになれば、同時に国鉄にも裨益するところが大なるものがあるわけでありますから、そういうような問題は考え方次第であろうかと思います。  それから運営審議会は、今まで何回になつていますか、回数は覚えておりませんが開いております。もちろん記録はつくつておるわけでございます。ただ運営審議会が開かれた回数が、まだ歴史が浅うございますので、多少初めのころのものは不完全なものもあつたかと思いますが、実は今年度の運営審議会は来週早々開催いたすことにいたしておりますので、これはきつちりしたものをつくりたい、かように考えております。
  94. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは次にお伺いしますが、会議にかけるといえばそれだけのものですが、一体だれが株の売買を行うのか、損失が出たらどうするのか、それからいま一つは、非常に外郭団体の株が多い。俗にいう大株主であろうというふうに私は考えるわけでありますが、株主会議には共済組合を代表してだれが出席をして実質上やつておるのか、その三点をお伺いいたします。
  95. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 株の売買は、もちろん国鉄共済組合がやつておりますので、国鉄総裁が共済組合の代表者ということになつておりますので、その名前において株を取得するわけであります。ただ私売買という言葉を申しましたから、ちよつと語弊があるといけないと思いましてお断りしておきますが、株の売り買いというようなことは、共済組合の性格上先ほども申し上げましたようにやつてはおらないのでありまして、取得するときに組合代表者としての総裁の名前で取得したということになつておるわけでありまして、株の売り買いということはあまりやつておりません。のみならずこれらの大部分の会社の株式は、いわゆる市場に上場された株にはなつておりませんので、大部分は売り買いというようなこともないわけであります。それから株主総会その他に出席いたします者は、むろん株主権者の代表者は共済組合の指定代表者である国鉄総裁でございますので、通常の場合は総裁の委任状をいただきまして、主管局長である厚生局長もしくは厚生課長というような者が出席するというのが通例になつております。
  96. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうもあなたのおつしやることは、筋が通つて合法的かもしれませんが、結局国鉄の総裁が代表して大株主になつて、しかも外郭団体の株主総会に出席してやる、こういう点はたとい合法的であろうとも、これは非常に疑惑を生む行為だと思います。私は時間もありませんし、関連質問がありますので、くどいことは申しませんけれども、この点は考えていただかぬと、常に外郭面体との関係について必要以上の疑惑が生まれて来る、私はこういうふうに考えますので、ひとつ再考願いたいと思います。関連質問があるそうでありますから、共済組合の問題については私はこれでやめておきます。
  97. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 関連して……。国鉄は経営が非常に赤、字であるにかかわりませず、外部の会社——清掃会社その他の民間会社へ業務を委託して、十五億も委託費を計上しておるということが今指摘されましたが、なお日本交通公社には、乗車券を売れば五分の手数料を払い、なお代金の延納を認めるというような恩典を事えておりまして、しかも国鉄職員は、低賃金と非常な過重労働によつて圧迫を受けているという現状であります。しかるに行楽の春を前にして、最近日本交通公社が旅行団体の募集をやつておる。駅員等が非常に忙しいにかかわらず、その旅行団体募集の仕事をやらされて非常に疲れておる。しかも日本交通公社は乗車券を売れば手数料をもらえるばかりでなく、宿賃あるいは私鉄の乗車賃なりバス賃その他の費用から、歩もどしを受けて利益を受けておる。むろん交通公社は公益法人という法律上の形式にはなつておりますが、この仕事のやり方は営利会社と異ならないのでありまして、この営利会社にひとしい日本交通公社の仕事のために、過重労働に苦しんでいる国鉄職員が働かされるということは、まことに不届き千万なことではないかと、職員が非常に不平を言つていることが現実にあるのであります。こういうことはなかろうと思うが、お尋ねしたいのは、五分の乗車券代売の手数料のほかに、ある一定以上の多額の乗車券を日本交通公社が売ることができれば、五分のほかに何らかの恩恵というか、手数料を国鉄からもらつているのじやないかという疑惑を持つております。このことはなかろうと思いますが、確かめておきたい。  それから日本交通公社のために、国鉄職員が団体旅行者の募集までやらされておる。その場合に、一体国鉄職員はただ使われるのであるかどうか、またそういうことをさしてよろしいかどうか、国鉄当局としてはやらしているのか、黙認をしているのであるか、またこういうことを運輸省はどう考えておるか、承つておきたいのであります。
  98. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいまの御質問の中で、交通公社が五分の手数料をとつておるのは不当かどうか、これは多過ぎるか少な過ぎるかというような、突き詰めた問題であろうと思いますが、その点につきましては、この前おそらく説明いたしたと存じておりますが、戦前もそういうようなかつこうでございましたし、事実原価計算等をいたしましても、大体においてその程度の鉄道の方の費用が省けるというような線、さらにまた外国の同じような仕事をいたしておりますトーマス・クックというような会社の、現実にやつております手数料というようなものも参考にいたしましたし、また交通公社は現在、先ほど歩もどしとおつしやいましたが、宿屋あるいは地方鉄道等からも、一割あるいは五分というふうな率で同じような手数料を出しておりますので、私どもとしては、交通公社に対する五分の手数料というものが、決して余分に払つているというふうには考えておりません。
  99. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そのほかにはありませんか。
  100. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただ、大体平均において五分という線を出しておりますので、切符の種類によりましても若干違うわけであります。たとえば定期券を代売するについてはどれだけ、あるいは普通の乗車券を代売する場合においてはもつと安いとか、あるいは団体募集をした場合にはもう少し多いとか、それぞれ一つ一つによつてつておりますが、大体平均において五分ということになつているわけであります。それ以外には、別に交通公社に支払うというものはございません。はつきり切符の売上げとにらみ合せて、それぞれ切符の種類別の割合で精算いたしております。  それから鉄道の職員を団体募集に使つているかというお話でありますが、ただいま積極的に鉄道の職員を団体募集に働かせているということはいたしておりません。戦前には非常に積極的にそういうことをやつた時代もございましたが、現在では各駅員に積極的に団体募集の勧誘をさせているということはございません。
  101. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 駅員を積極的に団体募集させていないというのですが、そういうことをやらすことを認めているかどうか、それを伺いたい。それからもう一つは、そういうことをして駅員に非常に苦労をかけた場合に、日本交通公社としては国鉄から五分の乗車券代売の手数料をもらい、それから宿屋その他から一割の歩もどし——リベートをもらい、そうしてもうかるのでありますから、そうした場合、一生懸命働いた国鉄職員は、一体どういう恩恵を得られるのか、全然ないのか、それを御答弁願いたい。
  102. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 鉄道の各現場の駅長さんたちには、それぞれの駅の収入が上るよりにということは指導いたしておりますので、駅長さんが、ときによつて大きく収入を上げたいというような意味で、団体募集を計画することは禁じておりません。ただ交通公社の下請をして働いているというふうには考えておりませんし、また勤務の時間の中でもよりの知合いのところへ団体募集に出かけるのでありますが、そうした鉄道が交通公社と協力してやつたような場合には、その駅の関係職員を、やはり団体と一緒に旅行させるというようなことをやつております。
  103. 徳安實藏

    徳安委員 一点だけ伺います。先ほど共済組合の出資に対する御説明を聞きましたが、副総裁にちよつと伺つておきたいと思うのでありますけれども、従来国鉄が外郭団体等に出盛あるいは株を持つというようなことはあり得たけれども、最近はそういうことをしてはいかぬということで、外郭団体には国鉄自身は投資や株を持たないということになつていると思います。ところが先ほどお話のように、外郭団体等に対して共済組合から金を出させて、そうして国鉄で持つていたと同じような発言権を持つて行くというような形になるのじやないかということを、非常におそれるのであります。さつき大きな発言権を得て指導するというようなお話がありましたが、従来国鉄自身が株を持つことができた、従つて重役も入れろというようなことも言えたが、しかし今度はそれができないものだから、共済組合の方で出資をさして株を持たして、その背景によつて国鉄の方から、この重役を入れろとか、この人をどうしろとかというようなところに不純なものがあるのだということが懸念されておるのです。私は共済組合が国鉄の身がわりになつて出資するというような形であつてはいかぬと思うのです。やはりこれは違つた形においての基準で出資さるべきであつて、国鉄自身がそれによつてこの内容等をよくするとか悪くするとか、あるいは利益をはかつてやるとか、はかつてやらなければならぬというような考え方を持たれるべきじやない。やはり国鉄は国鉄としての立場から指導さるべきではないか。そこに強い発言権を持たれるというようなことは、非常に誤解を招くのじやないかと思うのですが、将来において副総裁はそういう点についてどういうお考えを持つておいでになりますか、ひとつ御信念だけを伺つておきたいと思います。
  104. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 先ほど申し上げました共済組合の資金の運用として、一部を民間の会社に投資するということは、鉄道自身が投資ができないからそのかわりにそういうことをやつて、その会社に対する株主としての圧力をかけるのではないかというお話でございますが、先ほども話がございましたように、共済組合といたしましては一方では資金の運用というものを考えながら、従つて共済組合としては損をしては困るという面ももちろんはつきりさせなければなりません。と同時に鉄道と関連のある仕事につきましてやはりある程度まで助成してやりたいという会社も事実あるわけであります。そうした会社にある程度資金面で、原則的にはそういう資金的な援助はできるだけ消極的ではありますが、どうしてもこれは育てたいというような会社につきましては、資金の応援をいたしておりますが、それが株主としてその会社に発言権が非常に大きくなりはしないかというお話でございますが、株主としての面でそういう強引なことをしておるという事例はございません。問題は、鉄道自身のその会社に不当に人を送るとかいうようなことがよくないといたしますならば、それは必ずしも株主権を使わなくてもあるいはやれないことはないかと考えますが、その問題は別個に切り離して、そういうようなことはやはり常識的な線から割り出して、人事等に鉄道から天くだつて行くというようなことは、考えなければならぬ問題だというふうに考えております。株主の権利を強く主張して、会社に圧迫を加えるというような考え方は毛頭いたしておりません。資金的にその専業が鉄道の関連において、どうしても育てたいという面への融資であります。
  105. 徳安實藏

    徳安委員 その点はよくわかりますが、国鉄自身がそういうものに投資してはいけない、株を持つてはいけないといつて、ある一定以外のものは禁止しておるというその精神は、国鉄自身がそういうものの経営に参画し、あるいはこれについて強い発言権を持つのがよくないのだということが、ほんとうの精神じやないかと思うのです。それに比べて一方の右手の方はいけない。ところが左手に持つているもう一つの力で株を持たして、同じような作用をやるという行き方は、国鉄の方の現在そういうものを禁じている精神に反するのじやないか、こう思うのです。ですからもちろん資金を保全されるために、損が行かないように、そういうこともけつこうでしよう。しかしながらやはり株主としてその経営体にみずからタッチするような行き方は、たといその出資者が共済組合であつても、陰にある国鉄共済組合がみずから能動的に出られるということは、世の誤解を受けることになるし、こういう問題を引起したときには必ずいろいろな面でいじめられますから、出資は出資としても、国鉄がそういう方面に深くタッチされない方が望ましいのじやないか、こう思つて実は申し上げたのであります。
  106. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 先ほど来のお話、まことにごもつともでございまして、会社の機能という面で鉄道と関係がありますから、その面で鉄道としては十分気をつけて、世間から疑惑を持たれないようにする必要があることはお説の通りでありますので、将来そういうことについてもできるだけ考慮したいと思います。ただしかし現実の問題として、鉄道の職員等も、そういう関係でそれぞれいろいろと世話になつておるという点も事実であるのであります。そういう点から、もうまるまるなくなつてしまうということも困ると思います。
  107. 楯兼次郎

    ○楯委員 実はこの前の国会で衆参の大蔵委員会で、附帯決議によつて共済組合法を再検討する、こういう決議がなされておるわけでありますが、国鉄当局としては公共企業体共済組合法というようなものを企図されておるやに聞いておるのでありますが、今国会提出をされるのか、あるいは現在の共済組合を公共企業体共済組合法として、積極的に制定をしようとされる意思があるのか、この二点についてお伺いします。
  108. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お尋ねのございました公共企業体としての恩給制度にかわる年金制度というようなものは、でき得れば独自の立場の法律をつくりたい、こういう希望が各公共企業体共通にございますので、公共企業体相互間において連絡をとりつつ、一応の法案らしきものをつくつたものはございます。しかしながら現在の国家公務員共済組合法との関係がありますので、もしこれが独自の法律ができるということは、私ども希望いたしておるところではございますが、それを正式に進めて参りますのには、やはり政府の御賛成も得なければなりませんし、また政府から御提案なつていただくというのが筋道ではないかというふうに考えますので、現在私ども公共企業体が寄つて相談しました案を大蔵省の主管局の方に提出いたしまして、内容を御検討いただいておるという段階でございます。
  109. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 この際吾孫子局長さんもいらつしやいますし、副総裁もおられますのでお尋ね申し上げておきたいと思いますが、一般公務員につきましては、待命制度というものができております。国鉄はこの待命制度について何らお考えなつたことがないかどうか、ちよつとお尋ねします。
  110. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 待命制度ということにつきましては、実は私どももいろいろ考えたわけでございますが、ただ御承知のごとく待命をいたします場合には、そのあとの欠員の補充が許されないという建前で、あの制度は考えられておりますので、国鉄といたしましては、現在予算定員等も相当きゆうくつでございまして、この上人員を減らすというようなことは非常に困難な状態にございますので、新陳代謝の意味で整理、——整理という言葉は適当でございませんが、新陳代謝の意味で古い方にだんだんやめていただくということは、望ましいことではございますが、その分をあと補充できないということかございますのでいろいろ考えましたが、待命制度はこれにならわないということで現在考えておるような次第でございます。
  111. 松井豊吉

    ○松井(豊)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、明日十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十分散会