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清井政府委員 先ほどの御
質問でございますが、
遠洋の
かつお・
まぐろ漁業に従事し得る船は、大体百トン以上の船が仕事し得るわけでありますが、それに対して今許可しておる隻数は、先ほ
どもちよつと御
説明申し上げましたが、三百二十四隻あるわけであります。それは
遠洋かつお・
まぐろ漁業規則というものがありまして、その規則に基いて許可しておるのであります。それが三百二十四隻あります。これが実際問題として行き得るわけですけれ
ども、ただ非常に
遠方になりますと、百トンがらみの船ではなかなかむずかしいということになりますから、実際上百五十トンないし二百トン以上の船が
遠方に行くということになりますから、事実上
南方の
海域において
かつお・
まぐろ漁業に従事しておりますのは、その三百二十四隻のうち二百隻ぐらいだろう、こういう一応の推定でございます。
それでどのくらい金がかかるのだ、こういうことでございますが、かりに私
どもの一応の計算といたしましては、建造費について、ただいまはトン二十五万円はかかるだろうという
考え方をと
つております。そうなりますと、かりに三百トンの船が出るとして、三百トンの船をつくりますためには七千五百万円の
資金を要するということになるわけであります。それから漁具費等につきましては、御
承知の
通りまぐろは、なわにつりばりをつけて、それにえさをつけてひつぱ
つてとるのでありますが、そのなわ代が大体七、八百万円かかるだろう、こういうことであります。それから
乗組員の食糧費、油代等、いわゆる直接の運転に要する
資金というものが約四、五百万円かかるだろう、こういう大体の見当であります。
従つて一航海出ますには、大体航海が往復三十日、操業するのが、大体三十日、
従つて行
つてから帰
つて来るまで六十日、大体このくらいの見当であやように
考えておるのであります。船をつくるのに七千五百万円、その他でも
つて約一千万円近い金がいる、こういうわけでありますが、これに対する
資金というものは、別段政府としては手当をしていないのでありますから、大体今まで
関係漁業者がそれぞれ市中金融機関から前借りのような形で借りている、そして帰
つてから漁獲物を売
つて支払
つて行くとか、こういうよりなことにいたしておるのであります。むろん建造
資金につきましては、先ほどちよつと申し上げましたように、開発銀行から借り入れる努力をいたしておりますけれ
ども、なかなか
資金の
関係でそう全部が全部というわけに行きませんので、そこから開発
資金を借りるのはごくわずかで、その他は一般の市中金融機関を利用して、おるというのが一般の
状況であります。
それから協同組合との
関係はどうかという御
質問でございますが、協同組合は御
承知の
通りの性格であります。ところが
遠洋かつお・
まぐろ漁業は非常な
資金を要するのでありまして、たとい協同組合
経営体であろうとも、これににわかに
遠洋漁業を許可するということは、いろいろな面においてむずかしい点があるのであります。しかし百トン以下の
近海の
まぐろ漁業は、比較的
資金を、要しないのでありますし、それから
漁場も比較的近いわけでありますから、いわゆる百トン以下の
まぐろ漁業をやる場合には、これは協同組合の
経営体ということもあり得ると
考えておりますが、
遠洋漁業というものは
資金等を要するので、これは協同組合というよりも、やはり企業体
経営というところが安全じやないか、こういうような
考え方を私
どもは持
つているのであります。
それから
かつお・
まぐろ漁業の将来の
見通しはどうかという御
意見ですが、この点は非常にむずかしい問題だと思いますけれ
ども、現状では、専門家の観測では、まだまだ発展するだろうという観測を下しております。私
どももそう思
つております。しかし御
承知の
通りこれは
漁業でありますので、なかなか予測がつきがたい点もあるのであります。しかし今までの
経験では、そう
資源がなくなるというわけでもないし、とれたものの販売もますます発展して行く
状況でありますので
——むろんこの点はアメリカの方の
状況もよく
考えて行かなければならぬところでありますけれ
ども、そうい
つたようなただいまの現状から判断いたしますれば、まで発展性はあるだろうということが一般的にいわれております。しかしこれは、申し上げる
通り漁業という実態上、
輸出という
関係もありますので、断定し切るわけにも行きませんが、現在の常識では、まだ発展性があるだろう、こういう
考え方であります。しかしながら私
どもとしては、そうかとい
つて、みな殺到して、そして大きな船をつく
つて出て行
つたら漁がなか
つた、あるいは
とつたものが売れなか
つたというようなことではたいへんだことでありますから、皆さんの希望で、これを漸次緩和して行くという
方向に行きたいということで、用心をしながら前進する、こういうふうな形で行くのが一番堅実性があるだろう、こういうような
考え方をと
つている次第であります。