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1954-03-01 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月一日(月曜日)     午後一時二十分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 山崎 岩男君 理事 岡部 得三君    理事 山口丈太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    徳安 實藏君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       青野 武一君    長  正路君       中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月二十四日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として長  正路君が議長の指名で委員に選任された。 二月二十三日  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願  (長谷川保紹介)(第二二六八号)  同(高木松吉紹介)(第二二六九号)  同(闘内正一君紹介)(第二二七〇号)  同(大高康紹介)(第二二七一号)  二俣、佐久間間に鉄道敷設請願  (塩原時三郎君外十三名紹介)(第二二七二  号) 同月二十四日  上越西線敷設請願喜多莊一郎紹介)(  第二三三〇号) 同月二十六日  上武線敷説請願松井豊吉紹介)(第二  四五〇号)  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する  請願山下春江紹介)(第二四五一号)  同(大野伴睦紹介)(第二四五二号)  同(石橋湛山紹介)(第二四五三号)  義務教育生徒遊学乗車船賃割引に関する請願  (徳安實藏紹介)(第二四五四号)  武豊港を重要港湾復活請願早稲田柳右  ェ門紹介)(第二四五五号)  武豊線に列車増発等に関する請願早稻田柳  右ェ門紹介)(第二四五六号)  秋葉原会館に関する請願三輪壽莊君紹介)  (第二四九二号)  同(河野密紹介)(第二四九三号)  豊浜線敷設請願松浦周太郎紹介)(第  二六二二号)  甲府、長野間電化請願増田甲子七君紹介)  (第二六二三号)  戦傷病者国鉄無賃乗車復活に関する請願  (坪川信三紹介)(第二六二四号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十三日  門司、東京間(山陰線経由急行直通列車運行  の陳情書  (第九九六号)  地方鉄道整備法予算化に関する陳情書  (第九九七号) 同月二十四日  日肥鉄道敷設に関する陳情書  (第一一六五号)  国鉄貨車緊急増備に関する陳情書  (第二六六号)  兵庫県新富町、鳥取県若桜町間鉄道建設に関す  る陳情書(第二六七  号)  四国循環鉄道高知県幡多郡海岸線建設促進に  関する陳情書  (第一一六八号)  東京、大社間の急行列車を福岡まで延長等の陳  情書(第一一六  九号) 同月二十七日  運輸交通事業民主化に関する陳情書  (第二二一三号)  死点観測存置に関する陳情書  (第二二一四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一三号)     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案議題とし、これより質疑に入ります。通告がありますのでこれを許します。山口丈太郎君。
  3. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私はただいま議題となりました国鉄運賃法の一部を改正する法律案と、それに関連いたしまする二、三の点について、運輸大臣に御質問申し上げたいと存じます。  今度の運賃法改正は、一、二等に限られるきわめて限られた範囲内の運賃法改正でありまして、しかも政府の言われるのは、一、二等の運賃に対して課税されておりまする税金外わくにすることだけだ、こういうお話でありまするが、しからば現行課税に対しまして非常に変化を生じて来ることとなると思いまするが、交通運輸行政の一環として、これらの税金外わく決定は、他のたとえば地方鉄道等に対しまして、どのような考えを将来持つておられまするか、その運賃政策についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  4. 植田純一

    植田政府委員 御承知通り通行税は、従来二等以上の運賃の内わくとして含まれておつたわけであります。ところが御承知通り二等は三等の二倍という原則でございますので、今回通行税を外に出したわけでありまして、その結果通行税相当額の二割の値上げになるわけであります。私鉄に関しましても、実はこの結果同じような影響があると思いますが、実際問題といたしまして、私鉄におきまする二等以上の運賃という実例はほとんどございません。はつきりと記憶いたしておりませんが、北海道でございましたか一社あるだけである、かように記憶しておるわけであります。
  5. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の申し上げたいのは、こうして国鉄運賃改正されて来ると、今言われますように、私鉄に二等車をつけているところは私の記憶でもないと思います。特別のところがあるかもしれませんが、私の記憶ではないと思います。しかし一貫した運賃行政の面から見ますると、この運賃改正すれば、将来やはり私鉄にもあるいは国鉄運賃も、それに従つてまた運賃引上げ等が行われ、その影響が非常に大きくなるということは、私はいなめないことじやないかと考えわげであります。そこで一、二等の運賃は、ただ機械的に三等の何倍ということできめられていたものを、その標準を将来運賃行政として破つて行くつもりか、新たな観点からやり直すつもりなのかどうか、そういう運賃行政について私は一点お伺いしたいと思います。  第二の点としましては、今日の地方鉄道などによりますと、実際に鉄道営業のみをもつて収益を上げている会社は皆無であります。ただ配当を一割、あるいは一割五分が最高だと思いますが、その程度つているところでも、これはその会社の本来の鉄道業によつて配当がまかなわれるものではないのでありまして、ほとんどがこじき営業といえば少し口はきたなくなるのでありますけれども、ほとんど附帯事業、たとえば沿線において競輪であるとか、競馬であるとか、あるいはその他映画を催すとか、あるいは公園経営をやるとか、あるいは百貨店等附帯事業を続けて、それでもつてようやくつじつまを合せている、こういうような実情にあるのであります。そういたしますと、国鉄運賃をこうして税金外わくに置くというのであるならば、これはやはり現行運賃政策から見ましても、私鉄に対しては私はもう少しこの企業に対しまする課税の根本的な考え方を、一貫した運輸行政の面から考え直す必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。それでなければ運賃値上げに持つて行くかして、やはり利用者に対します犠牲のしわ寄せを行わなければならぬということになりまするが、この二点について運輸大臣はどのようにお考えになつておるか、承りたいのであります。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 国有鉄道運賃値上げは、鉄道当局といたしましては、各等とも上げたい、それによつていろいろの施設の改善その他の仕事をやつて行きたいというのが初めの念願でありましたが、本年はできる限りのものを値上げさせない、低物価政策の線に沿うためにしんぼうできる限りのものをしんぼうしてもらうということで、この程度にとどめたのであります。従つて公共性のゆたかでありまする地方鉄道におきましても、値上げということは原則的には私ども反対でございます。個個の場合が出て参りまして、その個々の場合に応じて、あるいは一部的な値上げを認める場合等があるかもわかりませんけれども、それは原則的の問題ではないと思つております。それから一般税負担お話がありましたが、その意味通行税意味でございますか。
  7. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の申すのは、これを言いかえますと、昨年当委員会におきまして、地方鉄道に関しましては、直接運輸関係のある諸施設に対する固定資産税、あるいは電気ガス税等の軽減もしくは撤廃、第二は今私鉄に課せられておりまする事業税は、収入税になつておりまするが、これを所得税に変更することによつて多くのものが助かる。であるから税制改正するにあたつては、これらのことを十分考慮せられて、その実施方を要望するという決議がなされておるのであります。ところが聞き及びますると、今度の税制改正にあたつても、それらの決議が尊重されていない向きがあると聞いておるのであります。そういたしますと、国鉄運賃の一、二等の通行税外わくに置くということは、結局地方鉄道の今までの課税外わくに置いて、その合理的課税をはかることは、必然的に関連性のあるものと私は考えるわけであります。そういう点について、運輸大臣はどのように御努力をいただいておりますか、もう一度お伺いをいたしたい、こういうのであります。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 地方税のことだと思いまするが、それらの問題につきましていろいろと折衝が続いたのでございますけれども電気ガス税は大分有利に解決されました。ほかのものはなかなか、特に固定資産税などの問題は、なかく思うにまかせなかつたのであります。特殊な点に多少の変更が認められたという状態でございます。詳しくは局長から御説明いたします。
  9. 植田純一

    植田政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、電気ガス税につきましては、電気料金改訂のあつた日から電気ガス税免除をするということに話合いがついておるわけであります。  なお問題でございました固定資産税につきましては、新たに運輸を開始するために敷設された地方鉄道軌道、これは御承知通り明らかに資金もたくさんいりますので、これにつきましては、この公共性にかんがみまして固定資産税減免減税といいますか、期間を限つて減税措置が認められております。また事業税につきましては、ぜひひとつ収益課税にしてほしいということを強く主張したわけであります。実はこの点につきましては、まだ話合いができておりません。特別に地方鉄道軌道整備法によりまして認定されました特別の鉄道のみ所得課税にする、一般的にはこの税の現行の建前から、パス事業などと一緒に、やはり外形控除というにとどまつたという実情でございます。従いましてこの事業税固定資産税につきましては、こちらの希望しておりました改正は、実は話合いができなかつたわけであります。きわめて一部分につきまして一歩前進した、かような状況でございます。
  10. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それではさらに局長にお尋ねいたしますが、本年行います税制の改革によりまして、どの程度軽減されるか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
  11. 植田純一

    植田政府委員 電気ガス税減免は、これは大体一般的に申しまして、電気ガス税経営費の――これは電気鉄道と何とによつて違いますが、全般的に申しまして、電気ガス税負担は、電気料金については経営費の大体一割というような見当になつております。さような関係で、この電気ガス税免除ということにつきましては、相当会社経営上いい結果が出るのではないか、かように考えられるのであります。参考までに昭和二十七年度分におきましては、電気ガス税が、これは全体で、ございますが、三億二千万円ということに相なつております。事業税及び固定資産税につきましては、減免措置一部分で、ございますが、たとえば固定資産税におきましては、新たに運輸を開始するために敷設せられた鉄道、こういうものに対する固定資産税減税措置は、かなりその会社に対して効果があると思います。具体的の数字につきましては、個々の場合にしかわからないかと思います。
  12. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私ふしぎに思うのは、税の体系を建て直すためには、その基礎数字というものをちやんと把握されて、計画を立てられることが正しい行き方だと思いますが、今お話を承つておりますと、幾ら、どのように軽減されるのか、具体的にはわからぬ、また固定資産税については、新線のみの優遇措置がとられる、こういうことでは、昨年決議をいたしました趣旨から申しましても、少しも政府にそれに対する努力の跡が見られない、結局決議は尊重されないままに、決議倒れに終つてしまう、こういう結果に私はなると思うのでありますが、事業税の問題、固定資産税の問題についても、やはり公共性があるということであるならば、たとえば造船などのように、今日日本貿易産業基礎をなすものであり、多額の経費を要することであるから、政府補助をしてでも、あるいは補償をしてでもふやさなければならぬ。それならば地上における交通国内交通においても一地方鉄道というものは国家百年の大計から申すならば、私は前にも申しましたように、なるほど自動車は便利でありますけれども、その動力源でありまする燃料は、ほとんど海外からの輸入にまたなければならぬ、そのような不安定なものでなくて、いわゆる国内動力によつてわが国交通を確保するということは、国家百年の大計上から見ても、私は当然その措置がとられなければならぬ問題だと思うのであります。しかも、戦前におきましては、すべてこれらの地方鉄道は、いわゆる国の産業開発培養線として補助もいたしておったのであります。しかし今日の経済界実情において、あるいは国の財政実態において、そのような補助多額に出すということの困難であること、また何と申しても、利潤を目的とする私企業でございまするから、従つてそれらに全面的に補助をするというようなことは、私はあまり好んでなすべき問題ではないと思います。しかしながら先ほど申しましたような事業実態で、辛うじて運営を続けておりますような場合、税面でなりともう少し保護政策がとられてしかるべきではないか、それが昨年決議なつたものと私は思うのであります。しかも全会一致でこの決議がなされておるのでありますが、一体運輸省当局並びに運輸大臣は、これらの深刻な問題について、地方産業開発に連なりますこれらの交通運輸行政について、もう少し深い考慮を払うべきではないかと私は思うのでありますが、どうも今聞いておりますと、それらに対して何らの考慮も払われた効果がないやに見受けるのでありますが、これはどういう経過でそのようなことになるのか、ひとつその経過の御説明を承りたいし、運輸大臣としての今後の方針についてもこの際ひとつ承りたいと思います。
  13. 植田純一

    植田政府委員 この事業税につきまして、所得課税に変更してほしいということは、かねて主張しておつたところであります。また固定資産税につきましては、戦前には、ただいまお話がございましたように、土地その他につきましては税金がかかっていなかつたというようなことから、また私鉄公益性、また収益性の少いことという点から、減免措置を講じてほしいということを強く主張したわけでございます。ただこの点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、こちらの主張がきわめて部分的にしかいれられなかつたということにつきましてははなはだ遺憾でございますが、ただ電気ガス税も実は地方鉄道軌道の税のうちでは非常に大きいものであります。もちろん固定資産税が一番大きいのでありますが、事業税と並んで次に電気ガス税というものが大きな税種目になつております。そういうような関係で、いろいろ議論をいたしたのでありますが、全体の各事業に対する減免措置の均衡というような点もございまして、この機会は電気ガス税私鉄についてはとにかく免除する、事業税につきましても、全般の税率が百分の一・六から一・五に下りましたが、この私鉄交通事業を全部所得課税に移すことは、この際はどうしても話がつかないような状況でございます。かような状況でございましたし、また固定資産税につきましても、ただいま申しましたように、新しくつくるものにつきましては、なるほどこの固定資産税負担はいかにも大きいというようなこと等から見まして、かように特別のものについての減免措置を認めるというようなことで、全般といたしまして、地方鉄道軌道に対する考慮という点におきましては、一応こういうことで、この線以上に及ばなかつたわけであります。参考までに申し上げますと、昭和二十七年度分の地方鉄道軌道地方税額は合計で十九億ということになつておりますが、このうち電気ガス税は、ただいま申しましたように、三億二千万円余、部分的にそのほか少しずつ下つておりますが、大体こういう結果に相なつたようなわけであります。いろいろと議論をいたしました結果、こちらの言い分が十分貫徹しなかつたことは事実でございまするが、全般振合い上この程度でやむを得ないじやないか、かように考えております。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 折衝の様子は今鉄監局長から申し上げた通りでありますが、全体の中央税収入総額とにらみ合せながらこの案ができておりまして、それにはわれわれの方の希望はなかなかいれられないような状態でございましたが、いろいろ折衝しました結果、ただいま申したような程度までは行つたわけでございます。最後まで私どもが何とかしてもらいたいといつてこの問題で努力いたしましたのは、この事業税の問題で、所得税でなしに収益税にしてくれという問題であります。これは一応閣議にこの要綱がかかりましたときも、私はこれの決定をなお留保いたしまして折衝を続けて行つたのでございます。そのために、閣議最後決定を一、二回延ばしてもらって相談をいたしたのでありますが、全体の振合い上どうしても今度はそれを聞き届けてもらえなかつたという状態でございます。大体におきましてこちらの思うようには行かないのでありますが、この際ほかの方では税収を増すという際に、税収一部分を減らしてもらつたということで、皆さん方の御決議趣旨の全部は満たされないのでありまするが、これは全体の日本の税の体系収入面等とにらみ合せなくてはならぬ問題でありますから、そう全部が全部といろわけにも行かなかつたのはやむを得ないことで、今度の改正においてはこの程度で了承せざるを得ぬということに私どもは了承したわけでございまして、さよう御承知願いたいと思います。
  15. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私がなぜこういうことを言うかと申しますと、実際に地方鉄道経営者側にしても、あるいは労働者側にしても、常に社会的な批判の対象になるので、その社会公共性を強く打出されて、そしてこのような営業一あるいは課税状態を続けているのであります。従つて社会人は、一般社会公共性の強いこと、これだけは主張をして参りまするけれども、しからば実際にその社会公共性にふさわしい行政措置がとられておるかと申しますと決してそうではなくて、むしろ社会の付属物的な行政措置しか考えられておらぬ。従つてそのようなことで犠牲になりますのは、いつもこれらに従事をいたしまする労働者であります。いかに公共性の強い事業に従事しておる労働者といえども、また経営者といえども、自分を犠牲にして、自己の生活を犠牲にして、社会にただ黙々と奉仕をしいられるというだけで事の治まるものではないのであります。従つてやはりその社会公共性を強く考えられるのであるならば、当然行政措置としてそれだけの法措置がとられなければ、私はそういう社会公共性を強くしいて行くことができないというのがあたりまえだろうと思うのであります。かりに試みに私の資料でここに手元に報告されておるのを見ますると、地方税負担しました総額は二十七年度で十九億四千四百九十七万、事業税に至りましては四億六千八百万、固定資産税としては十億四千八百六万というような多額税金を課せられておるのであります。このようにして税金多額にとつて公共奉仕をさせて、さらに大きな重圧を加えるような政策をとる。それならば交通というものはそれほどに重要性のないものかというと、社会人といたしましても、またわれわれが考えましても、地方産業開発との関連性から見ても、あるいはまた直接都心の産業に対する協力についても、非常に重要な役割を持つていることは、ただ貨物を運ぶことが重要だという以上に、人を運んでおることが重要なんであります。もしこれを試みにこの施設満足保守修繕もできないような状態に置かれれば、もちろんその従事いたしまする従業員もきわめて危険にさらされることは当然でありまするけれども、それを利用して毎日通勤いたしまする乗客大衆といたしましては、さらに一層その生命財産の危険をも考えなければならぬのであります。このような事態を放任しては、私は交通行政を論ずることはならないと思いまするが、一体政府は実際にどのように真剣にお考えになるか。私はこれはきわめて深刻な問題であろうと思いまするが、もう一度所信を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  16. 石井光次郎

    石井国務大臣 地方鉄道が、国有鉄道とともに固定線路を持つ交通機関といたしまして、公共性があり、重要なことは申すまでもないことでございます。これの安全性を保つということは、これは絶対に必要なことであります。安全性が保てないような鉄道はあつては困るのでございますから、これは何をおきましてもその安全保障ということが、会社としても一番考えて行かなくちやならぬ問題でございます。それには金がかかる。金がかかるから税金をまけろという線に入つて行っておるように思いますが、私ども税金もできるだけ安くなることが望ましいことであるのでありまするが、地方収入関係上、どうしてもある一定額の金は地方にはいるというようなことで、国有鉄道に対しましても、今までなかつた固定資産税が一部のものにかかるというようになつて来たような状態でございまして、これは国並びに地方の全体の財政上の問題の方の側も見てやらなければならないと思うのでございます。地方鉄道といたしましては、さつき、いろいろほかのつまらないような仕事もやりながら、それでようやく収益を上げてやつておるというお話でございましたが、私はそういうものばかりとは思わない。もちろんいろいろな附帯事業もたくさんやられ、そうしてできるだけ乗客も便利に安全に運んでいただいて、この関連事業をやられながら、大きな収益を上げ、そして安全度を増し、交通の量も増し、そして従業員諸君の給与もよくなるという線になることは、私の当然願うところでございます。またこの税金問題等につきましても、地方財政状況に応じて下げることができるものでありまするならば、私どももぜひ下げてもらいたいと思つて、この間まではそういうふうな交渉をしたわけでございます。私ども今後といえどもこれで満足だというのではないのでございます。なお事業税その他の問題につきましても、できるだけ軽減するような方向について、今後も努力を続けて行くつもりであります。
  17. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今運輸大臣から、できるだけの努力をすると言われたことに対しては感謝をいたします。しかしそのお言葉の中に、聞いておりますると、ただ税金をまけろというようなお言葉がございましたが、決して私はそういう意味で申し上げておるのではないのであります。いわゆる日本交通政策上から申しても、あるいはまたそれらの持つ公共性から申しても、合理的な国家負担をいたすことは営利会社として当然でありまして、しかし今行われておりまするこの税制というものは、その持つ公共性に対してきわめて不均衡なものである。従つてこれを是正をして合理的なものにしてはどうか、私はこう申し上げておるのでありますから、その点をひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。  次に私は国鉄総裁にお伺いをいたしますが、今度の一、二等運賃改正によつて国鉄は年間どれだけの収入増を見込まれるか、ひとつお聞かせ願いたい。
  18. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 約二十億でございます。
  19. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その約二十億の増加分は、ただ今までの国鉄の赤字会計のみに振り向けられるものであるか、あるいはそれを建設費その他の所要費に充てられるものであるか、その計画はどういう計画になつておりますか。
  20. 石井昭正

    石井説明員 この二十億円の増加分は、昨年度に対し本年度いろいろな経費の増加が予想されますが、その増加分に充てられまして、いわゆる建設線その他の工事勘定の方に直接持つて参るということではございません。
  21. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は今度の税外わく運賃改正は――もちろん今の国鉄の経理内容は決してよいとは考えておりません。しかし経理操作に合理的な運用を期しまするならば、わずか二十億やなんかの金はどこからでも調達できるのではないか。あるいはまた新線の建設にいたしましても、本年はわずかに二十五億しか組んでおりませんが、しかしこういう予算は、今申しましたように日通あるいは交通公社等の納入金の操作の合理化によつて、私はゆうゆうと増額をしてもなおかつ運用に困難ではないという考えを持つのであります。もちろん一、二等であるから、大衆に対してはあまり大きな影響はないというふうに、きわめて軽く見られておるのではないかと思いまするが、その影響の点について一体どういう考え方を持たれておるか、伺いたいと思います。
  22. 石井昭正

    石井説明員 お話になりました中の、日通あるいは交通公社等の納金の関係において、二十億ぐらいどうにかならぬかという話でございますが、これは私どもの予算の方は収入総額であります。従いましてそういう各種の納金というものは、これは資金繰りの上からいつて、ある時期にいるとかいらないとかいう問題でございまして、すべてそういうところからとるべきものはとるという建前であります。なおこの増収の二十億も収入の中に入つておるのでありまして、従つてそちらの方をもってこちらにかえるというような筋合いのものではないと考えております。
  23. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は本年度の国鉄の予算を見まして、また先般来提出されました資料から考えましても、正木委員との質問応答を伺いましても、国鉄の経理内容はきわめて大ざつぱな、いわゆるずざんな経理内容ということに結果づけられねばならないと思います。それらの資料についても非常にまた一貫性を欠いたものであつて、これは、臼井委員がここにおられまするが、臼井委員も指摘された通りであります。といたしますると、これらのものを改善すれば、私はそうそう運賃にさや寄せをしなくても、もう少し経理の改善等による所要経費の増加は必ずできるという考えを持つのであります。先刻出されました資料は、私はそういう意味でその内容を信じ得ないものであります。もう少しこの日通あるいは交通公社関係の納入金等の整理を厳密に実行して、そして国鉄経理の改善をはかる御意思はないか、ひとつこれは総裁からお答えを願いたい。  また運輸大臣にお伺いいたします点は、運輸大臣は御出席になつていなかつたのでありますが、正木委員も臼井委員も質問をされました内容は、私が申し上げたように、日通あるいは交通公社等の納入金の滞納、あるいはこの滞納金に対する取立て方、あるいは現在の日通または交通公社のそれぞれの機関に報告をいたしております資料と、国鉄から出しました資料とでは、大きな食い違いを見せておる。そうしてその内容には少しも一貫性を持つていない。こういうことになりますと、私どもはますますその内容に対する信用度を低下するばかりでありまして、これは一つはやはり所管大臣である運輸大臣が、もう少しこれらの点について監督を強化されるべきではないか。また責任ある運輸省としてもう少しこれらの監督行政を厳密にして、そうして今まで巷間伝えられておりますような疑惑を一掃して行くお考えはないか、私はこの点も運輸大臣から伺つておきたいと思います。
  24. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 お答え申し上げます。日本交通公社あるいは日通からの納入金の延滞の問題、これは先般来しばしばここで申し上げておりますように、過去におきましてはなるほどおつしやる通りのような事情になつておりまして、延納がございましていろいろ問題があつたわけであります。しかしながらこれは過般も申し上げましたように、やはり終戦後の占領下の行政という面から、そういう常軌を失したように私は聞いております。しかし今日においては、契約面にございますような納期というものを厳密に履行するということになつて来ております。これは仰せによるまでもなく、私は厳密なる履行を今後もさせて行くというつもりであります。その延納というものが過去にあつた、それと何か予算の収入の面と関連があるやの御質問でありますが、収入は前年度における収入の問題でありまして、もしこれがかりに延納ということになれば、資金の面ではなるほどそれだけ欠陥を生じますけれども収入というもの自体においてはこれは貸しになりますから、貸しとして貸借対照表の上に載ると私は思うのであります。だからその延納があつた、ないということと、収入が予算の上に幾らあるということとは、関連がないように私は考えるのであります。
  25. 石井光次郎

    石井国務大臣 日通や交通公社の仕事を私ども運輸省として見る場合には、これは公共の利益に反する行動がないかどうかというような広い意味では私どもの方も見るのでありますが、この代金の収納状況とかいうようなものは、直接には運輸省は見ない建前になつておるわけでございます。これは私どもといたしましては、国鉄が直接の私どもの監督を受ける機関であります。それとの取引先の関係でございます。国鉄を監督する面におきまして問題がありそうだ、あるいはあるというような場合には、特に強く私どもの方から進んで監督することができもするし、またやるべきものではないかと思います。ただいま自動車局の方で、いろいろ日通の場合なんかの報告を聞いております。納入問題等につきましても、国鉄等から説明を聞きまして、交通公社の場合のごときもいろいろ説明があつたと思いまするが、戦後には長い間相当滞納期間がはげしかつたというのが、昨年あたりからほとんど契約も普通の状態にもどることができたという報告を受けておりますので、その点におきましては、この貸金の納入状況は月々にだんだんよくなつて来ているというような状況に私ども承知しているわけでございます。
  26. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 総裁は今それは予算面からすれば総領で計上されているのであるから、納入金いかんということは関係しない、別問題だというようにおつしやいましたが、しかし経理のバランスシートの作成などは、どうにも操作ができるわけであります。たとえば日通が扱いました運賃をすなおにそれを取扱つておれば、国鉄にははつきりとそれが収入面とした載つて来るわけでありますけれども、しかしそれを納めないでおいて、そして今度それだけのものが赤字計上に国鉄の方ではなるとすれば、どんなにでも操作はできるわけであります。そこに私は日通にしてもあるいは公社にしても、浮貸し事件などというようなことで騒がれるような事件が現在起きているのではないか、こういうふうに考えるのであります。ですからそういう点はもう少し、関連しておりまする国鉄も責任の当事者として、厳密になさるのが当然であるし、また監督官省としてはこれまた当然それを厳密に監督して行かれることが責任だと、こういうふうに考えるわけであります。ところがそれが今までの審議過程から見ますと、きわめて一貫性のない、そして資料を出されれば出されるときに前と違つている、こういうようなことでは、これは私どもとしてはさつぱり信用がおけない。するとひいては、たとい税金外わくに置く運賃改正であるとしても、納得をしてこれを承知することができなくなる。そういう点についてはこれは一体どういうように考えるか。あれでいいと考えておればそれまででありましようが、あなたの方はいいと考えておられても、私の方では一向にそれについて了解ができない。これは一体どういうふうに監督されて行くつもりか。ひとつ運輸省としても監督行政の立場から、いま少し運輸大臣は明らかな答弁をしていただきたいと思います。
  27. 石井光次郎

    石井国務大臣 運輸省の立場はただいま申し上げた通りでありますので、それにつけ加えるものはないのであります。国鉄を監督するという立場、この国鉄の監督を昨年から強化して、いろいろ報告も求めているのでありますが、これらを通しまして、なお厳重に監督しておかなくてはこれは問題だと思うようなところを気づきましたら、十分それらの監督の実を上げたいと思つております。
  28. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 貸借対照表などはどうにでもなるのではないかというお尋ねでございますが、決してそういうものではございません。貸借対照表がかつてな作成ができたら、とんでもない話でございます。と申しますことは、かりに金が納まらなくても、債権を生じますと、それがやはり帳面の上に載ります。ですからかつてにはならぬのであります。
  29. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 出してはいないじやないか。
  30. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 出してあります。それでなお取立てを厳密にする、あるいは契約の通りに履行するということにつきましては、重ねて申し上げておりますが、着々とその方向に向つて、今日では完全に納期を守つているという状態でございます。なお今後ともこの線は厳重に守つて行くつもりでございますから、どうぞ誤解のないようにしていただきたいと私はお願いをいたす次第でございます。
  31. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は別に総裁の言葉を曲解してどうこうしようという考えは毛頭持つておりません。しかし今申しましたように今まで要求いたしました資料と、実際のたとえば交通公社の従来報告されました資料とを照し合せてみますと、そこには大きな食い違いがあることは事実なんです。これは総裁みずから見られたらわかることなのです。ですから私はそういうような報告というものは信を置くことはできないということは、当然の話であろうと思うのであります。ですから、この厖大な国鉄の経理運用にあたりましては、いま少し厳密に運輸省並びに国鉄当局は善処されるように私はお願いをいたします。質問を終ります。
  32. 石井昭正

    石井説明員 私どもの出しました資料が違つている、一貫していないというお話でございましたが、私どもの出しました資料は、昨年以来決算委員会その他で御報告申し上げましたもの、また本国会におきまして毎時提出いたしておりますものにつきまして、内容に鶴鶴は一つもございません。ただおわかりにくいというおしかりがございましたので、いろいろくふういたしまして、どうしたら御理解を得るかという観点から、記帳の体裁をいろいろくふういたしまして、たびたび御提出いたしたわけでございます。その出ております数字に一つも齟齬はございません。念のために申し上げます。
  33. 長正路

    ○長委員 国鉄の経理の中で、人件費も相当大きな比重を占めていると思いますが、資材購入費の中で石炭代金というものも、相当大きな比重を占めているだろうと思います。そこで私はお伺いしたいのですが、この石炭の購入は大体公入札でやられるのであろうと思いますが、従来公入札を実行しておられるのか。あるいはまたその他のどんな方法をとつておられるならば、それについてお答え願いたい。
  34. 石井昭正

    石井説明員 御承知のように鉄道でとつております公開入札、これは予定価格に対しましてそれ以下の落札者があれば、そこで大体決定をいたすのを建前にいたしております。また石炭などにつきましては、予定価格よりも高い入札者ばかりでございます。そういう際は法律の条項に基きまして公正協議をいたし、この公正協議でもつて決定いたしているかと存じているのでございますが、実はその担当は資材局になつておりまして、その担当の者は参つておりませんので、はつきり具体的にこうこうやつているというお答えができないのをたいへん恐縮に存じます。
  35. 長正路

    ○長委員 今日炭界の実情を見ますと、大手筋から入れている炭価は、相当高値になつておると思います。今日の炭界で一番値段がくずれておるのは中小炭鉱であつて、中小炭鉱の炭価は相当にくずれておるというのが定評であります。そこで国鉄経理が、たとえばここに出ておりますように運賃値上げでもしなければならないような、そういうきゆうくつな経理状態であるならば、大手筋あるいは大きな商社から高い石炭を買わないで、中小炭鉱の安い石炭を買うというような方法が講じられるならば、そこに相当大きな支出上の相違が出て来るのじやないか、私はそう考えますが、私の聞くところによると、公開入札というのは実際には行われておらない。特定の大手筋であるとか、大きな石炭商にだけ入札の通知が行つて、そうして一般には何らそういう方法はとられておらないということを聞いております。そういうことを国鉄総裁御存じであるか、ちよつとお伺いいたします。
  36. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 昨年あたりの業界並びに私の方の関係を申し上げます。石炭は御承知のようになるほど非常に大きな買物でございます。ただ私どもとしましては、一つは運転上の最大の最も根本的な動力の問題でございますので、その石炭が確実にこちらの要求する数量が手に入るということが一つ。それからもう一つは、御指摘のようにできるだけ安い値段のものを買う。それから炭質が悪くては、量だけがいたずらにいりましてそれはいけませんから、良質の石炭を買う。この三点に主たる眼目を置いているわけでございます。御承知のように昨年におきましても、たしかトン当り六百円ずつ値下げをさせたのであります。本年度におきましてもお説のような炭界の状況その他を勘案いたしまして、国鉄は率先して炭価の引下げということをやつて行きたい。それで日本産業界の建直しにも一翼を担いたいというふうな心持でおります。お説のような点十分に考慮いたしまして、今後の購入工作に向つて行きたいと思います。ただ何分にも中小企業の炭鉱は、長さんも御承知のように量の問題あるいは納期の問題等につきまして、非常に何と申しますか、心配させられる面もあるのでございます。が、それらは十分勘案いたしまして、お説の趣旨は十分にくんで行きたいと思つております。
  37. 長正路

    ○長委員 それでは詳細なことについてはあとで御質問いたしますが、先ほど同僚山口議員から申し上げておりましたように、こういう鉄道運賃値上げを、かりにこのたびは一等、二等というふうに、非常に一部に限定をされておりますけれども、やはり従来の前例から見ますと、これは当然将来は三等料金も値上げされる一つの前提だと、われわれもさようにこれを警戒しておるわけです。そこでやはり料金の値上げをやるということは、国民生活の上にも非常に大きな圧力を加えることになるし、同時に日本経済界にも非常に大きな負担になることでもありますし、ひいては自立経済の一つの障害にもなつて来るということで、たとい一部であろうとも、この値上げについては簡単に賛成することはできないだろう、また国民の考え方から見ましても、国民生活に関係のある料金の値上げをするのであるから、当然国民がこれを心から納得して、こういう国鉄の経理の状態であるから、やむを得なかろうという心からの納得がない限りは、やはりこれは無理押しになつてしまうだろうと思うのです。ところが今日の国鉄、さらにまた国鉄の監督下にある日本通運株式会社であるとか、あるいは鉄道弘済会であるとか、あるいは鉄道会館であるとか、交通公社であるとか、その他いわゆる国鉄一族を中心として今日続々摘発されておりまする汚職、疑獄の現状を見て、国鉄料金の値上げに対して国民が心から納得をするということは、当然私は考えられないと思うのです。先日の二月二十三日の東京新聞で書いておりましたが、日本通運株式会社では国鉄に対して後払い残金が約五十億残つてそのままになつておる。これがいわゆる日通の浮貸しの温床になつておるのだということを、東京新聞は指摘をしております。こういうことを裏書きするように、この数日の間に交通公社であるとか、あるいは弘済会であるとか、日通であるとか、それらの国鉄関係の団体の主要人物が検挙され、しかも今日のところでは浮貸しだということが新聞にも報道されております。私はこういうような国鉄全体が国民の疑惑を受けておる際に、国鉄料金の値上げをやるということは、時期から見てもはなはだふさわしくないと考えるのであります。さらにまた先般は運輸省の官房長が、造船疑獄に関連をして逮捕された。またただいま申しましたように弘済会であるとか、交通公社であるとか、日通の幹部が続々ひつぱられて、ここに大臣もおられますけれども、先日の予算委員会では改進党の中曽根君が、運輸大臣と大野国務相がそれぞれ百万円ずつ収受しておるという重大な発言をしております。これに対しては大臣は正面から否定をされました。私は石井さんに限つて――私は同郷でございますからよく存じております。石井さんに限つてそういうことはよもやないと信じております。しかし中曽根君は、その後の話を聞きますと、議員の職をかけてもこの真相をあくまでも主張する、こう言つております。その辺のことにつきまして多くの同僚議員の人々から、繰返しこのことについて質問をされ、大臣国鉄総裁の気持をただしております。私はこれから二、三そういう関連の問題について御質問を重ねて行きたいと思いまするので、石井運輸大臣と長崎国鉄総裁、おのおのこもごもこれらの最近の運輸関係あるいは国鉄関係の疑獄、世間の疑惑に対して、どういう心境でおられるかということをあらためてここでお伺いをいたしたいのであります。
  38. 石井光次郎

    石井国務大臣 私のところで官房長が今つかまつております。このことにつきましては幾たびかいろいろな委員会で申し上げましたが、私としては大臣として責任を感じております。また私どもの監督下に直接間接にありまするいろいろな仕事上問題が起つていることについても、私の仕事の責任上どうすべきかということについては、繰返し先ごろから申しておりまする通りに、私は責任を持つて運輸省内の仕事をする人たち、従業員がみんな明朗な気持で本来の仕事がやれるようなふうに持つてつて、そうして日本交通行政の中枢である運輸省というものが、またりつぱに世間からも見られるような状態に持つて行くことが私の重大なる責任だと思うて、これに私の全身を没頭するつもりでございます。  また私の一身上の問題につきましては、繰返しどこででも申しておる通りであります。私も私の名誉にかけてこのことははつきりしてもらいたいと思うのであります。
  39. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 いわゆる国有鉄道をめぐる外郭団体と称されておりまするいろいろの団体の幹部が、検察当局の方面に検挙され、出頭を命ぜられておる、これはきわめて私は遺憾に存じます。何と申しましても日本国有鉄道というものは、これは国家国民の皆様から信託を受けまして、その信頼にこたえるようなりつぱな経営をしなくちやならないのが私どもの責任でございます、ところが、そういう事件からしまして、日本国有鉄道自体の内部にまで、何か疑わしいものがあるのじやないかというふうな疑雲に包まれておるということは、私はきわめて遺憾に存じます。この点はむろん検察当局においてだんだんと捜査、取調べが進むと思いますが、一日も早くそれがはつきりして、日本国有鉄道におおいかぶされた国民皆様の疑惑というものが一日も早く一掃される、私としましても一日も早く一掃されるように渾身の努力を払わなければならぬ、かように考えておる次第でございます。重ねて申しますが、何か疑雲、疑惑というものにおおわれておるということに、まことに深甚なる遺憾の意を表する次第でございます。
  40. 長正路

    ○長委員 ただいまの石井運輸大臣の御発言については、私も衷心からそうありたいということを念願いたしております。ただこういう運輸省や国鉄を取巻く今日の国民の疑惑を一掃する人は他の何人でもない。これは石井運輸大臣や長崎総裁がその先頭に立つてやはり一掃する努力をすべきである。ほかにこの役目をする人はおらない。そこで私は申し上げておるのであります。石井運輸大臣に重ねてお尋ねいたしますが、去年の七月三十一日の衆議院の決算委員会の席上で、国鉄のいわゆる綱紀紊乱についての質問が行われました際に、こういう答弁をされております。綱紀粛正の問題でありますが、これはいろく新聞に出まして、何か非常に伏魔殿のような感を世間に与えておることは、これは私はいなめない事実と思います、かように申されておるのである。このように石井運輸大臣も伏魔殿のごとき印象を与えておるというこの事実は認めておられるのでありますが、それから今日まで七箇月を経過いたしております。この七箇月の時間の間に、先ほどの日本通運株式会社であるとか、鉄道弘済会であるとか、鉄道会館であるとか、そういういわゆる国鉄の外郭団体に対してどういう具体的な監督、あるいは査察をなされたか、その点について具体的にお伺いをいたします。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは鉄道会館の問題のときに、そういうふうに世間にとられておるということを申したのでありまして、私としては、そういう疑雲を一日も早く一掃するようなことを私ども努力しなければいかぬという心持を述べたと思います。今も私はその通り思つております。鉄道会館等につきましては、運輸省が直接にこれを指揮監督しておる立場にないのでございます。国鉄を通しての問題でございますから、国鉄に対しましていろいろそのとき、決算委員会のみならず、当委員会等におきましていろいろ注文がありましたことを取上げまして、国鉄に善処方を要望いたしまして、国鉄はそれに従つて、次から次といろく問題になりましたたとえば鉄道会館との契約を早く締結をするとか、まあそういうふうなものを初めといたしまして、今度民衆駅を決定するについては委員会を設けるとか、国鉄の大阪方面においてのガード下を貸すような場合においての、そういう相談の会を設けるというようなことを次から次にやって、だんだんとそういうふうなところの監督の実際の成績を上げつつあるような状態でございます。
  42. 長正路

    ○長委員 重ねて大臣にお尋ねしますが、その後十分監督はなさつておられるのでありましようが、この数日来また、弘済会あるいは交通公社あるいは日本通運の人々がひつぱられております。こういうことはやはり直接の監督はないとおつしやるかもしれませんが、監督疎漏の結果こういう現象が出ておるのでありまして、はたしてその点について大臣はどういう心境でおられるのか、お伺いをいたします。
  43. 石井光次郎

    石井国務大臣 私どもの間接の監督下にあるといえばいえるわけでございます。まあ交通公社は、この前もいろいろお話がありましたので、その切符代売の入金状態等について特に注意をし、いろいろ説明を聞いたりしておりますが、そのほかのことにつきましては、何か報告が来る程度で、それ以上に特別に進んで、さつき山口君のときに申しましたように、公共の利益に反するような行動があつたかどうかというような問題が起りますと、特に国鉄を通して監督権を発動することはありますが、今までそういうような問題がありませんので、特にこれということをやつたことはございません。同時にこういうふうな問題が新聞に出ておるが、どういう心持かということでありますが、私はどういうふうな内容でありますか、仕事の上とどういうひつかかりがあるのか、今調べられておる人たちが本来の仕事以外において何かやつたことであるのか詳しくわかりませんので、まだそれについていかがすべきかというようなこと等については考えておりませんが、いずれにいたしましても間接とはいいながら、私どもの監督下にあるところに問題が起きておるのでありますので、さらにこれらのところの情勢等を十分慎重に調べまして、われわれが監督上やるべきことは進んでやりたいと思つております。
  44. 長正路

    ○長委員 十六国会の決算委員会において、たしか株式会社鉄道会館問題が爼上に上りました際に、決算委員会決議として鉄道会館の人事の刷新を行うということがあつたと私は記憶いたしております。その後長崎総裁は人事の刷新をどういうぐあいにやられたか、具体的にお答え願います。
  45. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 ただいまのお話鉄道会館の人事の刷新ということの御意見はございましたが、決議となつていたものはなかつたと思います。ただ国鉄の人事の刷新ということは、ございました。しかし自発的に鉄道会館自体が、ああいうような疑惑を世間に持たれたという点からであろうと思いますが、社長と専務は交代いたしまして、責任担当者の地位がほかの人に移つたということであります。
  46. 長正路

    ○長委員 たしか委員長報告の中に、人事の刷新を行うということがあつたと思います。いずれにせよ国鉄もあるいは株式会社鉄道会館自体に、非常に重大な関係があるのでありますし、あれだけ資金運営上の不当が指摘されて世間の問題になつたのでありますから、これは国鉄自身の問題として人事の刷新をやるべきは当然の責任である、私はそう思うのであります。ただいま総裁のお話を承りますと、社長の加賀山さんが顧問にしりぞいた、専務の立花さんがこれまた顧問にしりぞいた。私の知つておるところでは、鉄道会館の監督役をしておられた松井春生氏が社長に昇格され、ざらに専務は立花さんのあとに鉄道会館商事株式会社という、いわゆる鉄道会館のトンネル会社の監査役をしておられた伊藤さんという方が専務になつておられるということを承知しておるのであります。これは人事の刷新というよりも、人事のたらいまわしだと私は思うのであります。そういうことは決して人事の刷新にはならない。何となく目先をかえて、国民の目をごまかすような、そういうたらいまわしにすぎないと私は思うのですが、この点についてもう一応長崎総裁の御意見を承りたい。
  47. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 これはあつたかなかつたかということは別といたしましても、決議日本国有鉄道当局についての人事の刷新ということでございまして、直接に鉄道会館の人事には触れておりません。しかしながら御趣旨はやはりその通りではないかと思いますから、とやこう申し上げる必要はないと思います。そこで今のお話でありますが、当時きわめて唐突の際でもございましたし、ことに日本国有鉄道出身の者がその衝に当るということが、おもに疑惑の焦点であつたように私は記憶しております。しかし今日では渋沢敬三君も代表取締役ではない。国鉄関係のない松井巻生氏を社長に、そのもとに商事の監査役でありました伊藤滋君という、これは建築の権威者であります。目下建築工事を施工中でございますので、やはり建築の専門家というものも必要と認められたのではないかと思います。そういうわけで、決してたらいまおしとかなんとかいう意味ではないと私は確信いたしておるのでございます。何とか商事というようなものは、新社長が就任いたしまして、これを廃止したというふうに私は聞いております。
  48. 長正路

    ○長委員 その鉄道会館商事株式会社はやめたと総裁はおつしやいますが、これはなお現存いたしております。それは総裁がお調べになればすぐわかることです。そうして今の建築の権威者であると言われた専務の伊藤さんが、従前は監査役でありましたが、今度は社長に昇格されておる。そうして一方では鉄道会館の専務になつておる。二つ掛持ちでやつておる。それは私の調査によつても明らかになつております。そこで鉄道会館にいたしましても、名前は株式会社であるけれども、その資金や、その背後関係は、これは国鉄と非常に重大な関連を持つておる。ということは、国民の利害体戚に非常に深い関係を持つておるということになると私は思うのです。そういう一つの会社で、あれだけ問題になりましたならば、その人事の刷新は、単に社長が顧問に横すべりをする、そういう当面を糊塗するような形で解決さるべき問題ではないと思います。当然社長も責任があれば専務にもある。また平取締役も監査役も適当の責任を負うべきであると私は思うのです。普通一般の商事会社にいたしましたならば、たとえば社長や専務が、自分の私利私益のために、会社に非常な損害を与えておるということが株主総会で指摘されて、これが明らかになりましたならば、それは社長であろうと専務であろうと、株主総会は許しておきません。ある場合にはこれを首にするかもしれません。あるいは背任で告訴するかもしれません。こういうことがいわゆる一般の株式会社における常識であろうと私は思います。鉄道会館のごときは、国鉄出身の人がたくさんおられて、そして国民の疑惑をたくさん浴びておられるのであるし、そういうことに対する責任だけは、国民が納得するように明確にする必要がありはせぬかと私は思うのです。そこでこれは長崎総裁御存じであるかどうか知りませんが、私の聞くところによると、総裁がこのことについて注意をされたということを私は聞いております。しかるにおそらく御承知であろうと思いますが、この問題を起した当事者である加賀山社長は顧問になり、立花さんも顧問になつて、そうしてあの鉄道会館の中に、以前の社長室よりもりつぱな部屋を顧問室として持つておられて、給料はどうであるかというと、社長当時の給料とほとんど同額のものをこの顧問がもらつておる。これでは人事の刷新が行われたとは言えないだろうと私は思う。給料も社長のときと同じ、それから部屋も社長室よりりつぱな部屋を顧問室としてもらつておる。そうして鉄道会館内部における発言力は、従前の社長当時よりももつと強力な発言力を持つておるといわれておるのです。発言力を持っということは、当時鉄道会館に対する支配力を持つておるということなんです。これは明らかにロボツトの社長をつくつておいて、そうして顧問の隠れみのに隠れて、鉄道会館を牛耳つておる、こう言われてもしかたがないのじやなかろうかと思いますが、その点長崎総裁が御存じであるかどうか、お伺いいたします。
  49. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 実は私ただいま長君から述べられましたことを聞いて、驚いておるような次第であります。私の記憶にあります範囲では、松井社長が私のところに参りまして、そして大いに刷新をやる、それから商事会社のようなものも廃止するという、強い決心でございました。爾後の経過について詳細な報告をまだ受けておりませんが、お説のようなことが現実にあるといたしますれば、これは十分に注意をしなければならぬ問題だと思います。
  50. 長正路

    ○長委員 ただいまの長崎総裁の答弁は、はなはだ不満足であります。そういうトンネル商事会社は廃止をさせましたというような御答弁を先ほどされ、私が今日厳然と残っておりますと指摘をいたしましたところが、それで思い出しました、こういうような実にあやふやな権威のない答弁をされることは、はなはだ遺憾である。ことにそういうあやふやな答弁で、この委員会を切り抜けて行かれようというような考え方については、はなはだ遺憾であるということを申し上げたいのであります。なおその顧問が今日もなお鉄道会館の中で、社長以上の権力を振つて支配力を持つておるという事実については、御承知なければお帰りになつて十分そのことをお調べ願つて、そして適当な処置を願いたい。私の聞くところでは、先ほど申しましたように、総裁がこれはあまりひどいから少し注意をしたがいいといつて、ある人に注意をざれたということを私は聞いて知つております。  そこで私は長崎総裁に対して、あまりしつこく申し上げるようでありますが、この前決算委員会の際に、いよく最終段階に至りまして御病気になられました。私は病気になられることは、これは人間いつ何時病気になるかわからぬから、このことについて別に責めようとするものではないのであります。しかし鉄道会館問題が一番核心をついて、これから問題が明るみに出ようとする重大な段階に、国民もまたこれから先どういう発展をするだろうか、長崎総裁があの席上でどういう答弁をされるだろうかということで、非常な関心を持つておりました。その際の一番重大なときに、千両役者がいなくなつてしまつた。これでは芝居にも何にもなりません。そこでこういう大事なときに、私は長崎総裁がどんな病気をされたか知りませんが、国鉄の、あるいは国鉄企業体全般の信用を回復するために、進んでそういう際に出席をして、そして疑惑を一掃する責任をとるべきでなかつたかと思います。  そこで私はもう二、三点お伺いをしたいのでありますが、長崎総裁にここでお尋ねいたしますが、あなたは佐藤清作という人物を御存じであるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  51. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 佐藤君は私の同郷の者でございいます。
  52. 長正路

    ○長委員 その佐藤清作君について、世間でこういうことをいわれております。私ははなはだ遺憾であると思います。それはどういうことかと申しますと、総裁の私設秘書の役割を日常周囲におつて果しておる。ことにこの人が十六国会の決算委員会で、鉄道会館問題が爼上に上つて世論が沸騰して参りました際に、総裁が入院をされておる間総裁の代理をして、決算委員会における火の手の消火の役目をやつたのが、この佐藤清作氏であるということを私は聞いておりますが、そういうことについて何か伝聞されることがありましたかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  53. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私は当時病気になりまして、お説のような責任を果すことができなかつたということは、私といたしましても非常に遺憾に存じております。  佐藤の話が出ましたが、私当時暑い盛りに寝ておりましたので、どういうことが行われましたか、それは正式の報告以外には存じておりません。正式の報告は国鉄当局である天坊副総裁、大槻理事等から聞いております。
  54. 長正路

    ○長委員 数日前の新聞によると、鉄道弘済会やあるいは交通公社の主要な人物が検挙された、その検挙された理由は浮貸し等があげられております。この浮貸しをした金の使途が不明であるということがいわれております。新聞の記事によりますと、その浮貸しをした金によつて、決算委員会のもみ消しをやつたのではなかろうかと、検察当局は追究しているということが書いてございます。私はこの佐藤清作氏が総裁の意思を受け継がれたかどうか知りません。この佐藤清作氏は秋田県の出身の方で、同郷の方でありますので、同郷の人が苦しんでおられるから、あるいは義侠心を起して飛びまわられたのかもしれませんが、とにかくこの新聞の記事と関連さして考えてみますと、佐藤清作氏の動きというものははなはだ不可解である。先日鉄道弘済会の滝さんが釈放せられましたが、その滝さんともこの佐藤清作とは関係があるのであります。取調べ当局の話を聞きますと、滝さんについては取調べはこれ以上進展しない、壁に突き当つているというのであります。この佐藤清作という人物が現われて来たならば、新しい事件の発展があるのではないだろうかと考えられる。私が考えるのではない。これは国鉄内部の人が、今日の国鉄あるいは国鉄関係している各種のいわゆる汚職、疑獄の門がこの佐藤清作氏を捕えることによつて、新しく開けるのだということを言つております。私はそういう点で佐藤清作氏と長崎総裁との御関係は、どういう御関係にあるかということをあらためてお伺いいたします。
  55. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 先ほども申し上げましたように、私たちは同郷の間柄でございます。特にこれという関係は別にございません。
  56. 長正路

    ○長委員 佐藤清作なる人物について、私の伝聞するところによりますと、日本特殊産業の猪股功ともこれは切つても切れない関係であるようであります。この日本特殊産業の猪股が国鉄に塗料初めいろいろな物資を送り込んでいるが、この猪股から各種の資材を納入したリベートが、佐藤に渡されているということがいわれております。これから先どこに行つているか、私は知りません。しかし猪股から佐藤に相当莫大ないわゆる物資納入のリべートが渡されているということを聞いております。そういう事実について総裁はおそらくは御存じあるまいと思うけれども、御承知であるかどうか、それをお伺いをいたします。また佐藤と猪股功との関係が、佐藤があなたの代理として日本通運株式会社やあるいは交通公社や鉄道弘済会、鉄道会館などに暗躍しておるという、このことに対する資料が出て来ております。これでただいまの佐藤君とあなたとの関係についての御説明ははなはだ不十分である。私は他の機会にその佐藤とあなたとの御関係についてあらためて、この席でなくお聞きをしたいと考えております。そこで先ほど中しました日本特殊産業の猪股功が納入をしておる物資、いろいろな器材、そういうもののリベートを佐藤がとつておるという事実について御承知であるかどうか、お伺いをいたします。
  57. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 佐藤君が猪股君を知つておるかどうかということについては、私は全然存じません。
  58. 長正路

    ○長委員 私の知つておる佐藤清作というのは、あらためてここで申し上げますが、あなたと同じ秋田県の出身でありまして、明大の中途退学をした人で、満州やあるいは上海あたりを遍歴しておつた経歴を持つておる人だそうであります。現在住んでおるのは世田谷二丁目の六百八十八番地、秋田寮に住んでおるということを聞いておりますが、この秋田寮というのはどういうものであるか。御承知つたならばお聞かせを願いたい。
  59. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 秋田寮に住んでおるのは私でございます。佐藤君ではございません。秋田寮というのは財団法人秋田県育英会の学生の寮でございます。その構内に私が一軒うちを借りて住んでおつて、学生のお世話を申し上げておるのであります。
  60. 長正路

    ○長委員 先ほど申しました日本特殊産業の猪股功、この人は現在逮捕されておりますが、この人が佐藤を媒介人といたしまして、総裁の役所や自宅の方にしばしば出入りをして、深い関係があるということが森脇証言の中にも明らかに書いてありますが、総裁と猪股功との関係はどういう御関係であるのか、お伺いをいたします。
  61. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 実は私非常に驚いたのでありますが、何か猪股功君が私と家庭的な関係があるようなことを新聞に出されました。猪俣君のお父さんは私存じ上げております。これは満鉄出身の方でございまして、今の交通公社の前身、ジャパン・ツーリスト・ビューローの当初のたしか主事であつたと思います。当時私はまだ事務官のぺーぺーでございましたが、そこにおられたことを知つております。その御令息の功という人がおるということを、私は実は知らなかつたのであります。
  62. 長正路

    ○長委員 石井運輸大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど申しました十六国会の決算委員会以来、鉄道会館の問題が爼上に上り、また最近におけるいろいろな現象を見ておりますると、運輸関係の疑惑というものはだんだん解消をされるどころか、深くなつて来ております。たとえば鉄道会館との契約及びその実施の不当であるとか、あるいはまた交通公社の納金延期の不当であるとか、あるいはまた日本通運株式会社の後納期円の延滞などがこの前の委員会、決算委員会においても強く指摘をされております。こういういわゆる疑獄と申しまするか、国民の不信がこれだけ高まつて、そうして政界あるいは官界をあげて汚職の、あるいは疑獄の波が高まつて来ておりますが、こういう国民の不信を運輸全般が浴びせられている。そういう不信を一掃するのは他の何人でもない。石井運輸大臣みずからがその十字架に立つてこれをやらなければ、とうていできるものではないと思います。そこで先ほど冒頭に御質問をいたしましたが、運輸大臣は陸上関係において、あるいは海上関係において、次から次に山積して来る疑獄事件に対処する道として、進退を考えられる御意思はないかどうかということをお尋ねいたします。
  63. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは私が繰返し申し上げるように、そういう疑惑がかかつており、またいろいろ問題が起つておりまするところをきれいなものにし、またりつばな状態にして交通行政の実を上げて行く、そういう建直しをすることがまず私の責任だと思つております。
  64. 長正路

    ○長委員 先ほど長崎国鉄総裁にもいろいろ御質問をいたしましたが、明快なる答弁を聞くことができないで、全体としてははなはだ残念であると思いますが、長崎国鉄総裁の直接あるいは間接の監督下にある。先ほど申しましたいろいろな外郭団体が次から次に疑獄の火の一手を上げて行く。さらにこれが発展拡大をしようとするときに、監督者の立場におられる石井運輸大臣は、これを何とかして粛正をすることが自分の使命である、こうおつしやる。しかしあなたの直接の監督下にある長崎総裁の身分について、あなたはこの状態の中で考えられる御意思があるかどうか、お尋ねをいたします。
  65. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは昨年の鉄道会館の問題のときもそういうふうなお話がございました。また今度交通公社等に刑事上の問題の容疑がかかつている状態でございますが、それがどういうところから来ておりまするものか、仕事本体の非常に大きな間違いか、あるいはそこにおる人たちの誤れる行動であるかということ等も、まだはつきりしないように思うのでございますが、いずれにいたしましても現在の場合において、国鉄総裁は厳としてその総裁の任にあつて、その監督下にありまするものをきちんとして行くことが、長崎君のやるべき仕事だと考えております。
  66. 長正路

    ○長委員 最後に一点長崎総裁に確かめたいのでありますが、私は先ほど佐藤清作なる人物をここへ出しまして、あなたにとつてははなはだ御迷惑かも存じません。そこで私もこの人物を出すからには、各種の資料に基いてこれを出しておるわけであります。そういうことで総裁が一部の誤解を受けられるということについては、はなはだ心外であると思いますので、この委員会なり、あるいは適当なる場所において、佐藤清作なる人物と総裁とが対決をされて、われわれの疑惑を一掃していただくようなお考えがあるかどうか、お伺いをいたします。
  67. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私は先ほど来申し上げておりますように、佐藤君は同郷の後輩でございます。それ以外に別にどうということはございません。なお先ほど何か鉄道会館の問題で、私が商事会社の問題について、こまかしの答弁をしたようにおとりになつたようでございますが、そうではないのでございまして、私が新社長の松井さんから聞いておりますところによると、商事会社はやめる方針であるということで、私はもはややめたものと思つてつたのでございますが、やめてないといたしますれば、どういうわけであるのか、いろいろのことも十分に私は聞きまして、善処方を要望したいと思つております。
  68. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 関連して……私は今の長委員の御質問の鉄道会館の問題に関連して、一、二ただしておきたいと思います。たしか鉄道会館の総建設費は二十七億だと記憶いたしておりますが、間違いありませんか。
  69. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 今ここにはつきりした数字を持つておりませんが、大体その程度つた記憶しております。
  70. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この鉄道会館の名店街の人々から、鉄道会館の建設にあたつて前家賃をとつておるということは、総裁が昨年お答えになつ通りであります。私も承知いたしておるのでありますが、それの額は約二十三億、そして大丸とか進出して来るものから約四億、こういうことを聞いておるのでありますが、それに間違いありませんか。
  71. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 名店街の店を出している人たちから幾らとつたかという数字は調べればわかりますが、要するに会館といたしましては、そこのいわば家賃というか権利金といいますか、そういうものを見込みまして、それぞれの場所に応じて坪幾らという、いわゆる前家賃式のものをとりまして、それをもつて資金に充てるということはございます。それから国有鉄道の方といたしましては、土地使用料、建物使用料、構内営業料として、現在の規程そのままを適用してとつているのでございます。従いまして、その国有鉄道の収受している金額が妥当であるかどうかということは、この前の委員会のときにも申し上げましたように、検討の余地があると思いまして、土地建物評価委員会等においても検討してもらつておりますし、またその制度そのものにつきましても、民衆駅等運用委員会において検討してもらつている次第でございます。ただその会館がいわば権利金というような観念から前家賃式にとつておりますものの額と、それから構内営業料その他のものとして国鉄が収受しておりますものの差が、あまりに大きいという御指摘かと思いますが、これにつきましては、会館といたしましては、そこに相当の設備もしたりいろいろする関係もあり、一般社会通念からいつて妥当だと思うところの料金を決定して、希望者からとつておるのだろうと思います。重ねて申し上げますが、国鉄が収受している金が妥当であるかどうかということについては、今言いましたような機関にかけて目下検討してもらつている次第であります。
  72. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の質問から大分飛んだ御答弁になりましたが、唐沢さんは前におられませんでしたので、このいきさつについては御存じないと思います。それでお伺いをいたしますが、この鉄道会館はそれらの権利金と申しますか、前納金と申しますか、それを建築費に充てますと、結局三年間で償却済みということになる。それが非常に不当な措置ではないか、こういうふうに考えるわけであります。総裁は、この委員会でたびたび鉄道会館の人事について疑惑を生むようなことがあつては困るからと言われて、人事の刷新をお約束になつた。そうして人事は刷新されたということになつておる。しかし今長君がお尋ねをしましたようなことが事実であるとするならば、これは羊頭狗肉の策であつて、責任者の名前だけはかえたけれども、なおかつその人がそのままで、しかもこまかいことを言うようでありますけれども、やはりその責任者当時と同じ処遇を受ける、このようなことでは名実ともに人事の刷新ということではない。まつたくそれは一つの対外的な糊塗策だとしか考えられないがいかがでしよう。その償却の面の不当な点、あるいはその人事の点についていかがに考えられるか、ひとつ総裁から承つておきたいと思います。
  73. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 建物を建設する場合に、いろいろな保証金とか権利金とかいうものが、社会一般の通念でおよそどのくらいか、きまつているのじやないかと思います。従いましてそれを超過いたしまして不当にとれば、それはいけないと思います。  人事の問題につきましては、松井新社長が就任当時私のところに参りまして、人事を大いに刷新するという約束をいたしております。その後の経過等について十分に私は聞いておりませんことは非常に遺憾でございますが、さっそく来ていただいて、どういうふうになつているのか、先ほど長さんが言われましたような商事会社はやめるという話でありましたが、やめたのかどうかということを十分確かめて、名実ともに人事の刷新という方向に進んで参りたいと存じております。
  74. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今の総裁の名実ともにそういうことのない刷新を断行したいという御決意は、私もその御決意に対しては敬意を表します。しかしどうも国鉄を退職した首脳部の人々は、少しも先の心配はなくて、これら関連会社等に籍を移して、そして実質上は――それら籍を移した人は国鉄の先輩であります。加賀山さんにしてもあなたの先輩です。これは間違いないことです。そうして外部から国鉄の運用面に大きな力を持つ、こういうことになれば、そこに大きな疑惑を生む根が国鉄の中へ入つておる、こういうぐあいに社会が見るわけです。そしてますます疑惑を深めるということになる。そうすると、あなた方国鉄の責任者が議会においてどれほど正しいことを言われても、なお掘り下げて疑惑の目をもつてそれを見るようなことになれば、はなはだ迷惑なことになる。ですから今御答弁になりました何とか商事ですか、これも名店街とかあるいは鉄道会館からのつながりから見ますと、何かそこに不審なつながりがあるのではないかという疑問を持たざるを得ない、そういうことになると思います。これは総裁が御存じだと思いますが、一体どのような必要があつてそろいう商事会社ができていたのか、あるいはこの鉄道会館を建設するにあたつて、それらの商事会社がその仲介役をとつていたのか。そして中間利益をむさぼつていたのではないか、こういうような疑惑が私の頭に浮かんで来る。これは一体どういう経過であつたのか、ひとつ承つておきたい。
  75. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 国鉄仕事というのは非常に専門的でございまして、経験と才能とでも申しますか、あるいは専門的知識とでも申しますか、そういうものが非常に重要な役割をいたします。従いまして長い間国鉄におられました先輩の意見を聞くということも、私は非常に重要なポイントじやないかと思つております。しかし私は先輩なるがゆえに、その先輩の言うことを全部聞かなければいかぬとは考えておりません。意見は大いに参考とすべし、また先輩でなくても一般社会公衆というものに非常な大きなつながりがございますから、そういうような輿論というようなものにも耳をかさなければならぬと思つております。従いまして山口先生非常に私に心配をしていただいて、先輩なるがゆえに圧迫されるのじやないかというふうにお考えのようでございますが、私はそういうつもりはございません。私なりの考えを求めまして、そして進んで参つておるつもりでございます。商事会社がどういう経緯でできましたかは私はよく存じません。しかしこれはやめた方がいいじやないかというふうな考え方をいたしておりましたところ、松井新社長が参りまして、やめるつもりでおるということでありましたから、それはけつこうでありましよう、おやめになつた方がいいじやないかとぼくも思つている、こういうことをお話したことは記憶いたしております。
  76. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 希望申し上げておきますが、私が今申したのはただ先輩の言うことは聞かなければならぬ、しかし全部を聞く考えは持つていない、それはその通りだと思うのですが、しかし総裁がそう言われましても、これら先輩が鉄道を、悪く言えばためにして相当の利益かせぎをやつていることは間違いがないのです。何と申しても否定することができない。一々あげてみると切りのない話ですが、私の希望としてそれらをこの際いさぎよく整理をしてもらいたい。そしてやはり国鉄国鉄本来の姿に立ち返られるように、私は警告と希望を申し上げておきたい。
  77. 關内正一

    ○關内委員長 臼井莊一君。
  78. 臼井莊一

    ○臼井委員 最初にきよう出された資料のことで一、二お伺いいたしたいのですが、この交通公社の納入状況の資料、これは今度大分統一されて来たようですが、この納期は発生額に対していついつに納むべしという意味でございましようか、その点をちよつとお伺いいたします。
  79. 石井昭正

    石井説明員 それではもしお許し願えるならば、この表の説明を概略さしていただきたいと思います。最初の欄に書いてございます発生額は、これは当該月に売り上げました代金の総額でございます。そのうち、その次の欄の発生額の納期別内訳と申しますのは、これがその額をいつまでに納めればよいかという納付日を書いたものでございます。従って六月に納めよという分につきましては、六月の納期到来額の中に入つておる、五月末までに納めればよいものは、五月の到来額に入つておるわけです。この括弧がございますのは、これは前年度の三月なりあるいは二月なりの売上額が、この月の納期になつております分を括弧書で別にしておおかりが行くように書いたわけでございます。新しくその月に納期が参りました額に対して、幾ら納まつたかというのがその次の欄でございまして、従いましてその差が当月の未納額としてB欄に上つております。そのほかに先月から繰越しておる未納額でございますが、つまり先月納期の来たものに対して、完全に納められなかつた分が残つております。それに対して幾ら納まつたかというのを書きまして、それに対する未納額があるかないかを書いて、この当月納期が来ましたものに対して納まつた額、それから前月から繰越して参りました未納額に対して納まつた額、この二つのものを一緒に合せて、月末の未納額と、当月収入額というものをこの前書いて差上げましたために、御理解をしにくくてたいへん申訳ありませんでしたが、その数字が一番終りにH、1として書いてございます。これはこの前申し上げました数字の内容と狂いのない数字でございます。これもまたごらんになりにくいかもしれませんが、分析いたしましておわかりが行くようにこれだけの欄をつくつたわけでございます。
  80. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうすると同じ月に発生した額を、何ゆえ二箇月も遅れて納期ということを指定するのですが、その点をお伺いしたい。
  81. 石井昭正

    石井説明員 これはたびたび御説明申し上げましたように、五月までの分については、これは各地方鉄道局でやつておりまして、鉄道局長が自分のところで収入すべき額の調定ができましたときに、適当な納期をきめて指定しておつたわけであります。それがこういうふうにまちまちになつたわけでございます。そこでこの前御説明申し上げましたように、昭和二十五年の六月から制度を改めまして、これを全部本庁で一本にまとめまして、そこで東鉄以外の分につきましては全部翌月末、それから東鉄につきましては一箇月遅れ、あるいはその後さらに一箇月を延伸いたしまして、またどんどんとそれを縮めて参りまして、最近では全部翌月末ということにいたしましたので、八月以降は二つの欄になつております。一つが東鉄の分、それ以外は東鉄以外の分、こういうようになつております。
  82. 臼井莊一

    ○臼井委員 昨年の六月から改められたのですから、その点については追究しませんが、どうも契約のやり方が、同じ国鉄でも各局内によつてつておる。こういう点がいろく疑惑を持たれる点だろうと思うのですが、しかし改められたのですから、この点は一応了承するといたしまして、日通の方の表を拝見しますと、表だけ見ると納期までには相当入つている。しかもその納期の十五日以内に大体みな入つてしまつておる。そうしますと、納期を過ぎてから十五日以内には、みな納入になつているという形になつているので、この表だけ見ると、世上うわさされるようなこともないように思うのでありますが、しかも一方何かこれによって相当浮貸しが――一億数千万円にわたる浮貸しがあるということを聞いております。そこで疑念に思うのは、やはり交通公社と同じような意味において納期というのは、一体いつを指定しているものであるか。これも各局管内において違うものであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  83. 石井昭正

    石井説明員 日通に関しましては納期は翌月末日でございます。それから十五日間は一応猶予期間――後納を認めております猶予期間としております。この間につきましては延滞償金を日歩四銭とつております。御説の通り日通に関しましてはお手元に差上げました表のように、特に二十七年以降につきましては、繰越し未納額はほとんどないのであります。日通は国鉄ばかりでなく、事業としても相当いろいろな自分のところの収入もございますし、貨物自動車仕事もやつておりますし、鉄道運賃以外にも、相当の収入もあろうかと思います。従いまして日通の仕事交通公社と違いまして、これだけでもつてつておるわけではむいと思いますので、事業の幅も非常に広いし、いろいろな問題もあつたのかと思います。
  84. 臼井莊一

    ○臼井委員 実は前国会でお話を伺つたところによると、われわれは交通公社と日通の関係は逆のように考える。前回は、交通公社は現金で入るのだから、当然日にちをできるだけ詰めて納めるべきである。ところが御当局の答弁によると、日通は手形でもらつておるので延びるという。これは、延びた程度はこの程度だというふうに了解すればさしつかえないかと思います。  次にもう一点お伺いしたいのは、今度の運賃値上げは増収をはかることがもとより目的でありましようが、ただいろいろこういうふうに問題になつておる際に、こまかいことのようですが、車内で切符の臨時札を出します。これに対する監督は、ほとんど車掌が責任を持つてつておると思うのです。ところが、一等にはボーイがおるようですし、あるいは二等でもそうですが、このボーイがいろいろ事務をやつておるようです。その間の金銭、特に一等あたりの金銭の扱いについては、車掌がもちろんやるのでしようが、不備な点があるのではないかと思うのです。そういうことはございませんか。ちよつとお伺いします。
  85. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 今お話がございましたように、車内における乗車券関係の事務は、ちもろん車掌が全部責任を持つてやっておるわけでございます。ただ、いわゆるボーイといいますか、そういう者も、検札の場合とかその他の場合にも補助に使つてやるということは、実際やつておると思います。また一等その他高級の客に対しての扱い方についても、もちろん車掌みずからやるのでございますが、いろいろ身辺その他のサービス等をボーイがやるような例がございますので、その間にボーイをして補助させておるということはあろうかと思います。
  86. 臼井莊一

    ○臼井委員 私は大して汽車に乗らないのですが、たまたま昨年国民体育大会が四国にあつて、その帰りに岡山ですか、あそこから夜行で寝台に乗りまして、寝台券を求めてボーイに頼みました。ところが、車掌の方には自分でお伝えしますと言つて東京に着く間に一回も車掌が検札に来ない。そのことを翌朝ですか、ただしたら、私の方でお取次いたしますと言つていて、代金はあとでよろしゆうございますと言って、とうとう来ない。おりぎわになつて、二千円いただきたいというので払つて、チツプをわずかばかりですがといつて出したら、けつこうですと言いながら、チツプですから受けた。ところが、切符をここにありますといつて見せておいて、受取りもまた入れてしまつた。本来ならば、当然お客さんに渡すべきものであるとわれわれは考える。見せてすぐ入れてしまつたということは、どうも解せない。こまかいことでありますから、私はそんなことは申し上げなかつたのですが、いかに値上げをして増収をはかろうとしても、万一そういう不正なことを行つたとかりに仮定して、絶えずそういうことがあると、これは軽視できないし、一つの紊乱のもとになるのではなかろうかと考えます。ほかにもそういうように切符を持たないで乗つた人を見ておりましたが、敬意を表して検札に来ないのか、怠慢で来ないのかわかりませんが、とにかく一昼夜近く乗つていて、一度も検札に来ないということは、ひとり運賃ばかりにかかわらず、どうも車掌の怠慢ではなかろうかと考えますので、特にその点をお伺いするのです。大体受取りを渡すことになつているのですか、どうですか。
  87. 石井昭正

    石井説明員 車内におきまして発行いたします切符は、御承知のようにカーボンを使いまして、複写式になつております。従いまして車掌が補充の切符を出しまして、それをお客様にお渡しいたします。そしてその控えを必ず経理の方に出して参ります。それと車掌の納めます金と照合して、不正がないようにやつております。寝台券につきましては、普通寝台のお客様がそのままお持ちになつて、おりましても改札口でお渡しいただけることが少いので、むしろ後々の不正使用というようなものを防止する意味におきまして、便宜車内でお集めしておるのが普通でございます。あるいは乗つたときにお示しいただいて、そのままいただいておるようなこともございます。あらかじめ寝台券をお求めにならない方については、最後にそれをいただくことになるのだろうと思います。御設例のような場合は、おそらくその切符をお手にとつて見ていただいて、金額に間違いないことをお確かめ願つて、またボーイにお渡し願うということをしていただければ、不正は防げると思うのであります。その間ボーイのやり方について、多少軽率な点もあるかと存じます。これはよく戒めたいと存じます。  なお検札でございますが、もちろん検札を励行いたしまして、不正乗客を取締ることは、収入を確保する上に必要なことでございますが、はつきり乗車券をお持ちとわかつていらつしやる方を、毎度々々おじやますることも、サービス上いかがかと思います。寝台のごときは、すベて割当で、乗つておられる方がきまつておりますので、お休み中までもおじやますることはいたしていないと思います。しかしながら検札を励行いたしますことは、不正乗客防止、収入増加のために当然必要なこれは励行してやらなければならぬ、かように考えております。御了承願います。
  88. 臼井莊一

    ○臼井委員 それで大体わかりました。必ずしもその点が不正であつたとは考えません。私は寝台券を出せば必ずこちらに一度渡すのが本則だと考えたが、略したと考えれば、そうだとは思いません。しかしそういうことによつて行い得る余地があるということは、十分察せられる。しかも、夜中に検札することはもちろん常識を欠いておると思いますが、昼間相当期間があつても、一回も車掌がまわつて来ないということはどうかと思つて、御注意申し上げたのです。  それからもう一つ、運輸大臣がおいでですからお伺いいたします。各船舶のことについては、船舶のときにお伺いするのがほんとうでしようと思いますが、鉄道あたりにも何か運輸省としての監督が、現在の法規でうまく行かないように感ぜられておるようにお考えなのかどうか。何かそれに対して、さらに重ねて出すというようなことも伺っておるのですが、それは大臣としてどうお考えになつておりますか。
  89. 石井光次郎

    石井国務大臣 昨年の秋でございましたか、鉄道の監督をもう少し運輸省は強化すべきじやないかというお話が当委員会でもありました、私どももそうすべきじやないかというふうにさつそく賛成をいたしまして、とりあえずは現行規定でやります各種の報告を徴するということで、今までかつてそれをやつたことはなかつたのだそうでありますが、昨年の暮れでございましたか、いろいろな報告を求めることにいたしました。しかしその節にも私皆さんに申し上げたと思うのでありますが、もしいろいろ研究して法を改正すべきものがあれば法案を用意して、皆さん方に御相談申すということを申し上げたのでありまして、実はその研究をずつとやつて今日に及んでおるわけであります。ところが先ごろ公共企業体の合理化審議会ができることになりまして、そこで全体の根太問題から相談しようということになりましたので、ぜひ今ここでこれをしなければどうにも翌日動かないというような程度のことではないものでございますから、それならばその合理化審議会の議を経て、そして根本的に直すべきものは直した方がいいじやないかということで、用意はしながらもそれとまだ見合つておる形であります。
  90. 臼井莊一

    ○臼井委員 それに関連しますからついでにお伺いするのですが、立法の問題で、この前船舶並びに造船に関して現在の法規で運輸省として十分取締りができるかということをお伺いしましたら、大体現在の程度でできるというふうに大臣はお答えになつたと思うのです。ところがその後よく聞くと、造船に関しては現在の法規では船会社のように立ち入つてできない、というようなお話があつたのですが、そうでありますか。
  91. 石井光次郎

    石井国務大臣 海運会社の方は昨年から利子補給が法によつて支出されることになりましたので、その点から進んで経理の監督までやり得ることになつております。これはいろいろ報告をとり、内情を調査することができるのであります。ところが造船所に対しましては、船そのものの監督と申しますか、規格に合つているかどうかという点から、造船の技術的な面からの監督はできますけれども、造船所の経理監督は今の法規のもとでは私はできないと思うのであります。と申しますのは、別にこれに政府の補給金とかが行つている形になつておりませんし、また実際上にいたしますと船会社は船だけの仕事でありますが、造船所は陸上の仕事と船の仕事とを一緒にしてたくさんやつておるのもありますし、やれることになつてもたいへんなことだろうと思いますが、今のところは法律上少し無理だ、経理の監督まではちよつとできないのじやないか、こういうふうに思います。
  92. 臼井莊一

    ○臼井委員 話が出たからついでにお伺いしますが、そうすると造船所に対する経理内容の監査はどこでやることにやりましようか、行政官庁ではできないことになりますか。
  93. 石井光次郎

    石井国務大臣 これは一般の商事会社の立場になりますので、特別の帳簿検査、監督というのは無理じやないかと思います。
  94. 關内正一

    ○關内委員長 この際御報告申し上げます。去る二十三日の当委員会におきまする中居委員の森脇、猪股両参考人招致の動議の取扱いにつきましては、理事会において協議することとなつておりましたので、去る二十四日理事会を開き、協議いたしました結果、社会党両派の理事は賛成、自由、改進両党の理事反対で、意見の一致を見ることができませんでしたが、多数の意見としては反対でありましたので、御報告いたしておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会