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1954-02-18 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十八日(木曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 岡部 得三君 理事 山口丈太郎君    理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       徳安 實藏君    南條 徳男君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       松浦周太郎君    青野 武一君       楯 兼次郎君    正木  清君       佐竹 新市君    吉川 兼光君       館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         水産庁長官   清井  正君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         海上保安庁長官 山口  傳君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  佐藤 輝雄君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月十八日  委員中居英太郎君辞任につき、その補欠として  佐竹新市君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十七日  避難港整備のため明年度予算増額に関する陳情  書(第八二〇  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関する質疑を続けます。竹谷源太郎君。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私は最初に第一次からずつと行われました計画造船実施内容について質問したいと思うのでありますが、昭和二十一年から昭和二十三年まで、第一次から第四次にわたる新造船計画実施されたのでございますが、この第一次ないし第四次にわたる計画造船建造総トン数はどうなつておるか。また承るとこれによれば、それ以前の終戦のときに建造中に属する戦時の帳難船が二十トンばかり建造続行中であつたということでありますが、それらの事情はどうなつてつたのであるか、御説明願いたい。
  4. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 一次から四次までの建造トン数でございますが、実はこれをトータルした数字を持つておりません。各年次ごとトン数を申し上げますと、一番最初小型客船を三万五千総トンつくつております。それから第一次に三万七千七百総トン小型の船をつくつております。それから第二次には約五万八千トンほどつくつております。それから第三次が五万二千トン程度でございます。それから第四次が四万二千トン程度でございます。それから終戦当時の、建造中のものでございますが、今ここに正確な数字を持ち合せておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思います。
  5. 竹谷源太郎

    竹谷委員 第一次から第四次の建造につきましては、当時ありました船舶公団とそれから船主が共有の方式で船舶を所有するという形ではなかつたかと思うのでありますが、当局から示された資料によると、その場合船舶公団の方の持分が二に対して、復金融資を含んだ船主持分が一くらいの割合でずつと建造されて来たようでありますが、この船舶公団持分は現在どうなつておるのか。もう一つ船主持分の中の復金融資がなされたその金額はどのくらいであるか、そして当時の復金融資利率はいかようなものであつたか、お答え願います。
  6. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶公団持分は現在国の持分となつておりまして、大蔵省管財局で管理いたしております。その金額が約百十億でございます。それから旧復金債権開発銀行に引継がれております。これの金利は一割と承知いたしております。
  7. 竹谷源太郎

    竹谷委員 第一次から第四次までの融資復金から開発銀行に引継がれたこの債権に対して、大部分償還されていなければならぬはずでありますが、償還状況はどうなつておるか、お尋ねいたします。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 まことに申訳ございませんが、今その償還状況資料を持ち合せておりませんので、至急調査いたしましてお答え申し上げます。
  9. 竹谷源太郎

    竹谷委員 当然わかつていなければならぬことが、資料提出によつて質問を封ずるようなことではなはだ遺憾にたえません。これは大至急資料を提出してもらいたい。そこで百十億の国の持分につきましては、これは船舶所得権のパーセンテージによる持分であるのか、あるいは国が単に船主に対して債権として保有しておるものであるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  10. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 これは国が所有権を持つておるわけであります。
  11. 竹谷源太郎

    竹谷委員 百十億というのは時価に見積つたものであるか、その点はつきり答弁してもらいたい。
  12. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この百十億というのは、その当時国が投資した額でございます。
  13. 竹谷源太郎

    竹谷委員 投資したというのは、債権ですか、それとも船舶全体に対する所有権持分割合ですか、それをはつきりしてください。
  14. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 持分割合ではございませんで、国がそのときに船の建造のために出資をした金でございまして、貸した金ではございません。国がそれだけの所有権を持つておるわけであります。
  15. 竹谷源太郎

    竹谷委員 百十億の債権になるわけですね。その債権償還も、年次計画でもあつて一つ計画に載つておるのだろうと思いますが、その償還状況はいかがなものであるか伺いたい。
  16. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この件につきましては、大蔵省の方から答弁していただいた方が、間違いないのではないかと思います。
  17. 竹谷源太郎

    竹谷委員 資料が不十分で、答弁ができないということですから、この点は資料が十分整いましてから質問いたすことにして、保留しておくことにいたします。  それから二十四年以降、第五次造船以後は、今問題となつておる、いわゆる計画的な造船に入つたわけでございまするが、貨物船については第五次、それからタンカーについては第七次の油送船前期までは、昨年三党修正によつて、非常に怪しげなる修正が行われた。この修正によつて船主が非常な恩典を受けるようになつたのでございますが、その前の問題であります。この時代には対日援助見返資金特別会計から、政府の投資が行われたのでありまするが、第五次造船においては、対日援助見返資金特別会計からどれだけの資金が融通されたか、またその利率はどうなつてつたか。それから今までに、それに対して元金がどれだけ償還されたか、質問いたします。
  18. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 弟五次船に対する見返り資金は百八億でございます。それから五次船に対する償環額でございますが、実はこの計算方法が非常にむづかしくございまして、五次船に対する償還をはたしてどれだけやつたか、今ことに正確な資料を持ち合せておりませんが、これまた至急調べましてお答え申し上げることにいたします。と申しますのは、二箇年間利子すえ置きになつておりまして、そのすえ置きの利子が元本に繰入れられることになつております。従いましてその五次船の残額と、それから当初の貸付額、これを比べましただけでは、償還額が出ないわけであります。その辺は詳細、今開発銀行と問合せ中でありますが、調査してお答え申し上げます。
  19. 竹谷源太郎

    竹谷委員 利率の点は……。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 利率は七分五厘であります。
  21. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしてこの第五次の融資につきましては、利子補給内容等はどうなつておりますか。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 第五次船に対しましては、利子補給はございません。
  23. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこで、貨物は第六次、油送船も、第七次後期以降は、開発銀行金利が五分に引下げられ、また民間からの借入分については七分五厘であつたはずだが、今年の二月一日から貨物は第六次以降並びに油送船の第七次後期以降については、開発銀行は五分引下げましたが、それ以前の分については、開発銀行金利を六分五厘に引上げたということを当局答弁しております。その事情を御説明願いたい。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開発銀行は二月一日から、外航船に対する貸付金金利を、一般的に六分五厘に引下げる措置をとつたわけでございます。従いまして第五次船、それから改造船に対する開銀貸付金額につきましては、私どもは六分五厘になつたと承知しております。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこで昭和二十八年度、すなわち今年度予算においては、ほかの費用も多少は含んでおりますけれども外航船舶建造融資利子補給費用として、約七億円が昭和二十八年度予算に計上されております。この予算執行について、現在までの経過を御説明願いたい。
  26. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 二十八年度予算でございますが、実はまだ大蔵省との間に、利子補給率がふえた後における利子補給契約締結につきましてもよつと問題がございまして、これは最近妥結いたしましたが、その問題がありましたのと、それから今、各船ご上に精細調査をいたしております。一銭一厘たりとも間違つてはいけないというので、精細調査をいたしております。従いましてまだこれが契約締結にまで至らないのでございます。本年度内に締結して、支払いの遅延がないようにいたしたいと目下取急ぎ中でございます。従いまして今、利子補給契約を結んでおりますのは、昭和二十八年度前期につくりました十二隻の船につきまして、市中金利が大体一割余りとそれから七分五厘との差の三分入庫程度政府利子補給をする、これは前の利子補給やり方でございまして、これについて契約を結んでおるのにすぎないのであります。この金額が大体五千三百万円程度でございます。
  27. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今はつきりしませんでしたが、二十八年度予算の七億のうち、現実に契約を結んで払つた金が五千三百万円ですか。
  28. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 さようでございます。
  29. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうすると総予算額の一割以下の実施しかまだない。実に職務怠慢というか、言語同断執行ぶりだと思いますが、しからば二十九年度ついては非常な増額をして、三十六億の計上がある。そこが開銀から借り入れる分については、昨年秋の修正案で五分に引上げられた。そしてそれを船会社に三分五厘で貸しておつて、一分五厘を政府利子補給をするという建前になつておりますが、この一分五厘の政府負担金額はいかほどになろか。また船会社民間から借りる一割一分を五分に引下げるために、その結果六分の利子補給をしなければならないのでありますが、この予算額が三十六億円になるのかどうか。この三十六億の利子補給予算には、開銀から借りる分に対する一分五厘の利子補給並びに一般市中銀行から一割一分で借りるのに対して五分に引下げるための六分の利子補給全額を含んでおるのかそれを伺いたいと思います。
  30. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 三十六億二千九百万円の利子補給額は、市中金融機関に対するものだけでございまして、開発銀行に対する利子補給額は含んでおりません。
  31. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますとこの予算に計上された三十六億二千九百万円というものは、民間から借りた分に対する利子補給分だけで、開発銀行から融資を受けた分については政府利子を補給給しない、そういうことであるというと、開発銀行がその一分五厘の利下を損することになるのか、あるいは金融を受ける者の方が五分で借りなければならないのか、その点明らかにしてもらいたいと思います。
  32. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開発銀行海運会社との融資契約における金利は六分五厘に相なると思います。しかしこいう海運会社不況なときでございますから、実際上海運会社がこういう不況時に開銀に払いました金利は充分五厘で、あとの三分は開発銀行で延べ払いといいますか、延納を認める、こういう措置がとられておるものと承知いたしております。
  33. 竹谷源太郎

    竹谷委員 六分五厘に対して三分五厘であるから三分足らない、その分は政府予算に計上しないで開発銀行支払いを延期するというのでありますが、これはいつまで、どんな計画で延期をされる方針であるか。
  34. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運会社採算状況を見て、その延滞金利をとるかとらないかということを開発銀行できめるものと考えます。
  35. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと三分相当額は幾らになるか。市中銀において景気がよくないときは払わない。そうすると開発銀行はこれを取立てることができない。結局国民がこれを全部負担しなければならな予算は計上しないが、実質的には脱法的に、結局国庫からこれを支出するという結果になるのではないか。これははなはだ欺瞞的な、脱法的な会計やり方であると思うが、この点に関する見解をこれは運輸大臣からお伺いしたい。
  36. 石井光次郎

    石井国務大臣 金額海運局長から申し上げますが、こういうふうな方法をとられましたのは、政府予算の断からいたしまして利子が非常にたくさんになつたのは、二十九年度は全年度支払うことになりますので、二十八年度予算よりは非常に多く市中銀行利子補給がふえるのでございます。開銀といたしましては、六分五厘にしておく。一般外航船は六分五厘にするが、実際上の能力は三分五厘であるから、それをまず払わしめる。そうして時を待つ。平たく言いますと出世払いということになりますが、それではいつ払えるかという問題は、来年とか再来年とかいうはつきりしたことは申し上げかねます。また船は十年目にブームが来るというようなことをそのまま用いて、それを基礎とするものではないと思いまするが、いつまでもこの状態が続くとは私ども思わないし、もつと採算がとれるような時期が必ずや来るだろうと思うのでございますが、まずその意味におきまして、開銀で三分の利子支払いを当分待つ。期限はきめてないと思いまするが、そういうことでやつて行けるということに大蔵省開銀との間に話合いがつきまして、そういうことでやつていただければ、私どもといたしましては、要するに実際上に今の海運界においては三分五厘ぐらいな利子程度でなければ、競争に耐え得ないという実情に照して、実質的に三分五厘で今はやつてもらつて、ある時期になつてよくなつて、もし払える状態になれば、みな支払えることは当然のことだということで、私どもはこれに賛意を表した次第でございます。
  37. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどの六分五厘と三分五厘の差の三分に相当するものは二十一億でございます。それから開発銀行の方では一応これが入らないものといたしまして、その予算を組んでおられるというように聞いております。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、その二十一億なる三分に相当する利子の総額は、これは将来において国庫損失負担になるかもしれない可能性が非常に多いと思う。こうしたことは当然、大蔵大臣答弁を必要とするところでございますが、債務負担行為として予算総則において、特別な予算上の議決を経なければならぬことではないかと思う。しかしこれは運輸省当局に申してもしようがないことでありまするから、この点はあと大蔵大臣質問いたすことにしたいと思います。  次に、造船業界において、本年は船の注文が非常に足らないというので、船舶輸出という問題を考えなければならないというのが議論となつておるようでございます。この船舶輸出に関する終戦後における過去の日本の実績、並びに今後の見通しについて、運輸大臣の御意見を承りたいと思います。
  39. 石井光次郎

    石井国務大臣 日本船会社が、政府計画造船だけでは、現在ありまする船会社仕事能力に比較しまして、はるかに低いということは御承知通りでございます。それで何とかいたしまし、われわれはプラント輸出一つの大きな問題になりまする船の輸出という問題を熱心に考え、またこれを指導しなければならないということを考えておりますが、本年度事業遂行上にあたりまして、鋼材利子の引下げの暫定措置がとられたことは御承知通りであります。そういうことによりまして造船鋼材トン当り七千五百円余り下りました。それと企業努力によりまして相当な値下りができることになつたのでありまするから、これによりまして本年は、船の注文が一時来なかつたのが、大体において私の聞いておるところでは、この年度末までに約十万トン、あるいはそれ以上にも及ぶくらいな外船注文が来そうな情勢になつておりますが、来年度におきましてもこの状態が続いて行き得るのではないか。各方面へ引合いはずいぶんたくさんあるように聞いておりまするけれども、それは値段の点なんかで非常にお話にならないようなものもいろいろあつて、実際上は十万トン内外の外船が来年も引受けられるのじやないか。実際上の問題としては、あちらこちらの話を聞くと、本年よりは少し上まるかもわからないが、それくらいな仕事はできて、造船所国内造船が昨年は二十五万トンでございましたが、今年は二十万トン、それに保安庁の船が何がし、商船に換算すれば五万トンくらいな注文が出るのじやないか。それを差引いたしますると、国内注文は昨年と同じ、外国からも十万トンまたは十万トン強と仮定すれば、本年くらいの仕事造船所にあるのではないか、こういうふうに見通しておるわけであります。
  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員 聞くところによれば、日本鋼材スエーデンがたくさん買つて行きまして、一箇年間に五十万トンずつ船をつくつて外国輸出しておる。今後五箇年間は、すでに二百五十万トン外国から注文を受けて、スエーデンではもはや受注する余力がないとまでいわれておるということであります。これに対して日本鋼材がどんどん出ておる。鉄板や鉄棒の素材ではございましようが、そういう鋼材がたくさん出ておる。そういう状況でありまするから、日本造船界経営合理化をやつて、能率を上げ、りつぱな科学的な技術を採用してやれば、スエーデン等に伍して、輸出造船見通しはあり得ることと思うのでありまして、いたずらに造船界不況をかこつて、無理やたらな法外な造船に対する援助をするよりも、こうした方面において外貨を獲得し、そして造船工業界の発展をはかるように運輸大臣努力しなければならぬと思う。この努力をする決意と熱心さがあるか、もう一度伺つておきたいと思うのであります。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 造船輸出につきましては、世界の各国との競争において負けないような状態に持つて行つて競争に打勝つというには、日本にはどういう利点があり、どういう欠点があるかという状態をまず調べなければならぬと思うのでありますが、日本造船技術においては、私はどこの国にも負けることはないものを持つておると思うのでございます。  それから第二に、以前は残念なことでありますが注文が少くて、アイドルになつておる船台もありましたから、注文からできるまでの間の仕事が非常に短期間に行つたというのが、一昨年あたりまで注文が非常にたくさん来たゆえんでありましたが、最近は世界的に注文の量は多いけれども、急いで造船する必要がなくなつて、ゆつくりでもいいというような海運界状況になりまして、日本一つの強味であつた早さということがだめになり、技術の点だけでございますが、それには少し値段の点がかさばるということで、今のような鋼材の補助と合理化とによりまして、何がしかの金がそこに浮いて、安いということになりますれば、ここで初めて競争に耐え得るようになり、だんだん船の注文がまたふえ始めたのもそこに由来すると思うのでございます。今スカンジナヴィア方面造船の話が出ましたが、日本の船に使いまする鋼材そのものがイギリスや、ドイツに比べて高いというのは、日本は特殊の規格料がとられておる。それは非常にまだ技術的の不完全な点にもあるだろうと思うのでございますが、この問題は、やはり外国の商社が買つて行くにいたしましても、日本の鋼鉄の場合には同じだと思うのであります。おそらくそれはスエーデンかに持つて行きましでも、いろいろ政府援助がそこに加わつておるのじやないかと思いますが、この点につきましては船舶局長から詳しく申し上げることにいたします。私どもといたしましては、日本一つの大きな造船能力を持つておるのでありますから、何とかして価段を下げ得るように私どもも協力いたしまして、この造船輸出というものにうんと馬力をかけるようにいたしたいという熟慮を持つておるものでございます。
  42. 甘利昂一

    甘利政府委員 先ほどお話日本造船材、特に厚板がステーデン、ノールウエーその他北欧の方に非常に出ているということは、この数年来の現象であります。しかしごく最近はあまり出ておりません。これらの造船厚板値段は、やはり日本国内で買うと同じような値段で出ておりますが、向うではそれを国内造船業者に払い下げると申しますか、売る場合に、二重価格制その他の操作によつて、非常にこれを下げております。従つて造船が非常にやりやすいという点もありますし、また一般北欧及び欧州方面は、鋼材値段よりむしろ鋼材の供給の面において非常に不足しておる。従つて少しくらい値段が高くても、この際輸入するというような現象を呈しておるわけでございます。
  43. 竹谷源太郎

    竹谷委員 計画造船の問題につきましては、いろいろ資料を求めましたが、これだけである。答弁を聞き返すようなかつこうで、はなはだ残念でありますが、それらの資料を至急御提出願つた上で、私は質問を留保しておきまして、再び質問の機会を与えていただきたいと思います。  次に、先日の当委員会において正木委員国鉄並び運輸省当局との間にとりかわされた、日本交通公社乗車券代売金延納に関する質疑応答を聞いておりまして、非常に奇怪に思うことは、東鉄管内乗車券代売金については、よそよりも一箇月ないし二箇月延納を認めたというお話があつた。ところが国鉄総裁日本交通公社契約によれば、売り上げた翌月に納めなければならぬ。それよりも遅れた場合には、延滞を百円にき日歩十銭、あとではこれを四銭に改訂をしたようでありますが、そういう延滞金を納めなければならぬ。この金額は非常に厖大なものになるわけでありますが、東鉄管内と言えば、多分その代売金数字は全一本交通公社売上げの半分近くになるのではないか。そういうものを一箇月も二箇月も延納をして国鉄損害を加えておる。そして日本交通公社に特殊な利益を供与しているという結果になる。これは明らかにそれぞれの機関を通じて、国鉄日本交通公社の間にとりかわされた契約違反するものであつて、この違反は当然にその延納を認めた当局職務違反行為をもたらすのではないか。もつとつつ込んで言えば、自己もしくは本人に損害を加える目的をもつて特別な行為をしたという、刑法上の背任行為に当るのではないかという疑念を持ちます。そこで一体日本交通公社との契約というものは、日本国有鉄道監理委員会といいますか、国有鉄道監理に当る最高機関であるこの委員会に諮つたものであるかどうか。またこの契約違反をして、一箇月ないし二箇月の延納東鉄管内の分について認めたという処置をとつた、その処置についてこの国鉄監理委員会の議を経たかどうか、これを国鉄総裁から答弁を願いたいと思います。
  44. 關内正一

    關内委員長 竹谷君、あなたの御請求によりまして、営業局長経理局長はお呼びしてありますが、国鉄総裁は呼んでおりません。
  45. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それではいずれかの局長から……。
  46. 唐沢勲

    唐沢説明員 公社との契約代売金の取扱いの問題でございますが、これは今お話のありましたように、契約に基いて根本はやつておるのでありますが、問題によりましては通牒をもつて契約を一部訂正している場合もあるのでございます。またこの契約締結する場合に、あるいはそういう指示をする場合に、経営委員会の議を経たかというお尋ねでございましたが、この契約は大分古くからありまして、またときどきかわつておりまして、経営委員会制度のなかつたときの問題が大部分でございます。最近の契約につきまして契約委員会に諮りましたかどうですか、実は私の来る前のことでございまして、すぐ取調べて御返答いたしたいと思います。  それから延納を認めたかどうかといり問題につきましては、先日のこの委員会で、正木委員からのお尋ねその他につきましても私どもの方から申し上げた通りであります。当時交通公社が代売手数料の支払い停止という事態に逢着いたしまして、そのために非常に経営状態が悪くなりまして、そこで滞納のきざしが見えて参りましたので、これは何とかしなければならない、そりかといつてこの歴史ある、また非常に交通上貢献している公社を立ち行かなくするわけにも行きませんので、その内容を検討しまして再建する方途を講ずる必要があるという見地から、今までよりも指定期日を先に延ばして納めさせるという措置を講じたことは事実でございます。
  47. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この代売金がときどき違いますが、五億ないし十億円あるいは十億を突破する月もあつたようでありますが、そういう金額を一箇月も二箇月も延納を認めるということになれば、一年間で一割と計算しても、一億の損害国鉄に与えることになり、日本交通公社に一億の利益を得させたということになるのでありまして、財政困難の国鉄としては非常に重大な問題であります。そこで国鉄経営委員会ができる前から多分契約があつたといたしましても、この契約は非常に重要な契約でございまして、この契約違反をして延長を特に認めるというような処置をとりますために、それぞれ十分な手続をとらず、国鉄経営最高機関である委員会に諮らないで、さような措置を役員もしくは職員がかつてにとるとしたら、これはとんでもない損害をほかに与えることになる。明らかにこれは刑法上の背任行為にもなる。またその職務のとり方について手続上あるいは実質上の違背、実体上の違背があれば、国鉄法の何条かに職員の懲戒処分の規定がございますが、これに該当すると思う。そういうことになれば、国鉄総裁に対しましても内閣が委員会の同意を得て罷免することができる。副総裁については総裁が委員会に諮つて罷免もできる。職員については懲戒処分その他の行為ができるのでありますが、こうした職務違背あるいは刑法の背任行為に該当するような事務の取扱いについて、運輸大臣は放任しておく意思であるか、これに対していかなる措置を講じ、また責任を感ずるか、運輸大臣にお尋ねをいたしておきたいのであります。
  48. 石井光次郎

    石井国務大臣 交通公社の今のような取扱いの問題でどういう状態になつておりまするか、私どもの聞いておるところでは、法の違反ではないように感じておるのでありまするが、よく研究をいたしましてお答えいたします。それから国鉄監理委員会にかけたかどうかについては、ただたい説明員から申し上げたように、まだよくわからないと申しておるくらいでありますから、それも存じません。従つてこれは調べましてお答え申し上げます。
  49. 竹谷源太郎

    竹谷委員 こうした国鉄の経理に非常に影響のある莫大な金の延納、またはその利子は一箇年に一億にも上ろうとするこの国鉄の被害額の非常に重大な事件について、役員もしくは職員がかつて処置することが一体適当なことであると大臣はお考えかどうか。もしこういう重要な事務を国鉄経営の責任者であります監理委員会にもかけないで処置したならば、さような役員、職員に対しては、いかなる責任を追究するお考えであるか、承つておきたいのであります。
  50. 石井光次郎

    石井国務大臣 実情に応じてやるべき問題だと思いまするから、かりにこういう場合はということだけでは簡単にお答えできないと思います。そういう実際の状況を十分研究いたしまして、それに対して私の態度をきめます。
  51. 竹谷源太郎

    竹谷委員 それでは今の延納を認めた手続、またいかなる機関にかけてどのような決定をしたのか、これを今日中に調べて御回答願いたい。
  52. 唐沢勲

    唐沢説明員 ただいまのお尋ねで、経営委員会にかけたかというお話でございましたが、経営委員会に諮つたかどうかという点は、最近の契約については、取調べてすぐにでもお答えいたします。あと一般契約状況あるいは通牒について申し上げますと、契約の調印をしておる者は、営業局長と交通公社理事長という場合が大部分でございます。それにつきましては、もちろん立案いたしまして、総裁の承認を得てやつております。その他通牒について、その契約を更改する場合、これは全面的の問題でなくて一部の問題であつたり、あるいは契約というものが特に意思を表示しなければ続いて行くという問題でもありますので、部分的の、緊急を要する問題は、その都度通牒などをもつてやるということもあるのでありますが、これは同じく立案いたしまして、総裁あるいはそのときの最高責任者の判をとつてやるということになつておりますから、これは契約にもとるものではない、かように考えておるのであります。そこで経営委員会にかけたか、かけないかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、最近のことにつきましては取調べてお答えいたします。
  53. 竹谷源太郎

    竹谷委員 日本交通公社国鉄当局が厳然たる契約を結んでおり、はつきりしておる。それをかつてに一箇月も延ばしていいということになれば、一年延ばしてもいい、十年延ばしてもいいという結果になる。かような重要な問題を経営委員会にかけたかどうかも調査しなければわからぬということは不届き千万である。これはわかり切つていることで、答弁の回避にすぎないと思うのでありますが、今ただちに調査の上、ひとつ本委員会続行中に、これに対する運輸大臣の確たる責任ある答弁をお願いしたいのであります。  それでは、この回答が来ますまで別の問題に移りたいのでありますが、次に、昨年の臨時国会において鉄道会館の問題が議論された際に、決算委員会の調べるところによれば、鉄道会館の敷地の賃貸料が、国鉄と鉄道会館株式会社の間に正式にとりきめられていないという状態であつたそうであります。これについては速急に賃貸契約を結んで、はつきりさせるという当局の言明があつたそうでありますが、この賃貸料はその後幾らに決定をしたか、御返事を願いたいのであります。
  54. 唐沢勲

    唐沢説明員 鉄道会館構内の料金につきましては、高架下の部分につきましては、用地使用量といたしまして、金額昭和二十八年五月から二十九年の三月までで四百十九万六千円余りになりまして、これは納まつております。連絡上屋につきましては、やはり昭和二十八年五月から二十九年三月までで二百六十六万七千円でございます。それから本屋の方につきましては、二十八年二月から二十九年の三月まで三百五十一万五千円余でありまして、これはすでに徴収済みでございます。それから建物使用料につきましては、高架下につきまして七十五万五千円、これが二十八年五月から二十九年三月までの分でございます。それから構内営業料につきましては、高架下につきましては二十八年七月から二十八年九月までの分、十月から三月までの分、それから連絡上屋につきましても二十八年七月から九月まででありまして、その後十月から三月まで、以上合計いたしまして千二十三万八千円、これが全部完納されておる状態であります。
  55. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そこで、今鉄道会館株式会社に貸している用地の全坪数はいかほどであるか、そしてこの一坪当りの使用料が幾らになるか。
  56. 唐沢勲

    唐沢説明員 今申しました基礎を申しますと、高架下が二千百五十八平米であります。それから連絡上屋は、南部が三百十平米、中二階が八十七平米、北部が七百九十五平米でございます。本屋が四十二百六十一平米でございます。
  57. 竹谷源太郎

    竹谷委員 一平米当りもしくは一坪当りの敷地使用料はわかりませんか。
  58. 唐沢勲

    唐沢説明員 坪当りの評価額を十万円と見ております。これは中央税務署の評価を基準としております。それに対して使用料率を千分の七十、これが今の規則になつておりますので、これをやつております。連絡上屋についても本屋についても同様でございます。なおこれらの評価額あるいは料率が妥当であるかどうかという問題につきましては、土地建物評価委員会という委員会を設けまして検討をしていただいておりますし、またこういつた建物使用料とか、構内営業料とか、あるいは用地使用料という現行制度がよいか、あるいは権利金的なものを設けるべきかどうか、いろいろな角度から民衆駅等運営委員会にも諮りまして、目下研究中であります。
  59. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今鉄道会館株式会社に用地として貸している以外に、八重洲口前面の鉄道用地であいている坪数がどれくらいあるか、またこれを将来どういうふうに利用する方針であるか、それを承りたい。
  60. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 今御質問の箇所でございますが、八重洲口のちようど国際観光会館から鍛冶橋までのあたりの土地のことだというふうに存じて、それについてお答え申し上げますが、この土地につきまして現在十四箇所ばかり貸しております。この貸出は、郵政局、東京都、鉄道会館、国際観光会館、弘済会、東鉄工業、それから国鉄労働組合、こういうようなところに貸しているのです。あと土地は残つておりますが、これは大体駅前広場に使われる予定でございます。なお駅前広場については、現在建設省並びに東京都と協議中でございまして、まだ確定しておりません。しかし現在、相当技術的に広場も検討しておりますので、もうじききまると思つております。それがきまりますと、あとのあき地と申しますか、空地が決定するわけでございますが、まだどれだけの空地が出るかが、ちよつと見通しがついておりません。空地が出ましたときに、この駅前広場につきまして、区画整理によるのか、あるいはほかの方法によつてこれを整理するのか、いろいろの問題がございまして、そういう問題ともからみ合せて、この処分を考えて行きたい、そう存じております。
  61. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今言つている土地につきまして、聞くところによると、国際興業という会社、これは自動車会社でありますが、猛烈な敷地借用の運動をしているということを聞いているのでありますが、この国際興業株式会社と国鉄との現在までの交渉の経過がどうなつているのか承りたい。
  62. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 この会社につきまして土地の使用の出願は出ていると思いますが、国鉄といたしましてはそれに貸すかどうかまだきめておりません。
  63. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今のような、問題となりやすい八重洲口前面の空地の対策というような問題については、どういう機関にかけて決定をするのであるか、国鉄内部の事務手続をひとつ承りたい。
  64. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 現在御存じのごとく国鉄の中に民衆駅等運営委員会もございますし、そういうようなものにかけましたり、あるいは重要な場合には、経営委員会等にも諮りまして、こういう土地の処分はやつて行きたい、こう存じております。
  65. 竹谷源太郎

    竹谷委員 こうした問題について鉄道会館問題と同じように、世間からいろいろ疑惑の目をもつて見られる事態が起りやすいのでありまして、国鉄経営合理化が叫ばれ、また鉄道会館その他の日本交通公社あるいはマル通等、いろいろ疑惑の目をもつて国鉄が見られるというようなことがありまして、かような問題につきましてはきわめて厳正な態度をもつて、公正な貸付その他のことにおいても、これはぜひひとつ運輸大臣から国鉄当局へ申渡しをしておいていただきたいと思います。今後忌まわしいいろいろな事件が起らないように、運輸大臣として十分の戒告を加えていただきたい。これを私は希望いたしてこの問題は一応打切りますが、造船の問題並びに日本交通公社の問題については、十分の資料を提出された上に再び質問することを留保いたしまして、私はこの問題を打切ります。
  66. 關内正一

  67. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 造船問題が非常に世間の疑惑の的となつておるのでありますが、この問題はあらゆる角度から、予算委員会あるいは決算委員会、法務委員会、本委員会において、各委員諸君が場合によつては重複するがごとき質問をされておりまするので、速記録を見ましてそういう点を回避しながら、主として石井運輸大臣質問をまめたいと思うのであります。  問題は利子補給法が議会を修正通過いたしましたときに、石井運輸大臣はこの法案をもつて、十分に造船の割当等ができて行くというお考えをお持ちになつてつたか、それともこれは一縷の危惧もあるというふうに考えておられたか、まずその点をお伺いいたします。
  68. 石井光次郎

    石井国務大臣 計画造船がうまく行くか行かぬかということを、利子補給法のきまつたときどう考えたかというお尋ねのようですが、計画造船融資の面がまず第一段にきまり、第二段の問題といたしましては、その利子補給によつて海運を世界的競争に耐え得るような状態に固くという手順になるわけでございます。それで私どもは昨年の二月ごろから実施いたしましたか、一昨年の補正予算の際に初めて利子補給が一部顔を出したわけでございまして、続いて二十八年度予算にわたりまして、利子補給がさらに強化されたわけでございますが、私どもは、世界の先進国の海運界の様子を見ますると、利子そのものが大体三分か三分五厘という状態であるということを聞いておる。また先進国では自己資本というものを相当たくさん持つておる。ちようど日本の戦争前の海運業者みたいなものでありますが、日本は全部金を借りてやらなければならない立場にあるわけでございますから、利子が同じ額にしても、自己資本でやる部分があるのと、全部借金でやるのとでは、利子の負担の差というものが非常に大きく出て来るのは当然でございますので、何とかしてできるだけ利子競争に耐え得るようなところまで持つて行きたいということが、私どもの念願でございました。しかし予算を組む際におきましては、なかなか思うように、前に七分五厘まで下げておつたのでありまするから、急に三分とか三分五厘ということは困難で、なかなか大蔵当局も賛成いたしてくれなかつたような状態で、私どもの初めの案としては、そういうことも考えておりましたが、五分ということで政府案を出したわけでございましたが、御承知のような三党の話合いで、開銀に三分五厘という線が現われて来たわけでございます。三分五厘になりましたならば、ここに非常に力が出て来て、世界の競争にも耐え得る。またイギリス初め先進国の海運業者たちが、日本もいよいよ本腰入れて海運業に力を入れるのだ、戦争前には利子補給もあり、損失補償もあり、航路補助もあつた、あの優秀な海運国であつたころにも、なおかつそういうふうに力を入れておつたのでありまするが、戦後日本が力が弱くてそういうこともできなかつたが、いよいよ本腰を入れたということで、日本の海運国としての立場がずつとよくなるであろうということを私どもは期待し、またその現われがだんだん出て来ることを期しておつたわけであります。御承知のように利子補給法ができましたならば、日本の海運業というものは、ずつと力強いものになるだろうと私は信じておりました。
  69. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 今石井運輸大臣答弁を聞きますと、こうした造船一つの国家的な建前に立つて、自分はそういう目的で輸出造船をやるのがいい、こういうように考えておると言われまするが、しからばわれわれから考えてみましたときに、趣旨はかことによかつたけれども、その結果においては、国民に非常に迷惑をかける、疑惑をかけるような、現在に至つておる。いわゆる世にいう造船疑獄というような問題で、忌まわしい問題を国民の前に展開しておる。こういうようになつて参りますると、初めの利子補給法が通過いたしましたときの考え方と、現在に至りまして、いわゆるこの法案通過後において、石井運輸大臣はまつたく自分は手落ちがなくやつたと考えられておりますかどうか、その点をお尋ねいたします。
  70. 石井光次郎

    石井国務大臣 この法案が通りまする時分にも、国会におきましていろいろ御注意がありました。今あなたのおつしやつたような妙な問題が起りはせぬか、そういうことがあつてはならぬ、そういう御注意を私どもは聞いております。まず計画造船第九次の後期を決定するにあたりまして、どんな方法でやつたら明るいガラス張りの中でやつたということになるかということについて、みんなで話合いをしたわけでございます。また私自身も考えまして、第九次前期造船の場合においては、運輸省で今度の案をこしらえまして、決定する造船所の約倍ぐらいな数を資格審査をいたしまして、航路のことであるとか、担保力であるとかいうようなこと等々いろいろ調べまして、基準によりましてこれを開銀に送りました。開銀融資の全責任者でありますから、そこに送つて、また開銀自身でよく調べました上で、開銀の方からこの中からこれこれをきめたいということを持つて参りまして、私どももそれならよろしかろうというような手順をとつたのでございます。それで今度は後期のものをこしらえる場合に、どうしたらいいかということを開銀とも話し合つたのであります。これには開銀と運輸省と市中銀行この三つのものがいろいろ自分の立場々々で調べて、それを持ち寄つて話合いできめて行こうじやないかということを案として――これは私の案でございますが、持ち出しました。ところが市中銀行は、どうもお得意様の関係がありまするのか、イエス、ノーをはつきりきめるのはちよつと困るというようなことでございまして、それには市中銀行は乗られなかつたのであります。どうか開銀と運輸省でやつていただきたいというようなことでございまして、開銀と運輸省と話し合いまして、両方でいろいろ研究して、それを持ち寄つて、それで最後の決定をしようじやないかということで、両方でいろいろな点から研究し合つて、それを持ち寄つて話合いをつけて決定をいたしたのであります。今までやつて来た方法ではこれが一番よい方法であつた、こういうふうに考えております。
  71. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 まことにりつぱな案を運輸大臣は持たれて、そうしてガラス張りの中でやるというお考えを持たれたあなた自身はそうであつたかもしれない。しかしながら実際にはそう行つていない。行つていないから、今日のような問題が出ておるわけであります。速記録を見ますと、岡田海運局長も事務的には実にりつぱな答弁をしておられます。しかし頭で答弁をされることと、腹の中で考えておられることに別なものがあるのではないか、かように考えるのであります。それはなぜであるかというと、なるほど主管省としてはそういう心持でやりたかつたけれども、しかしながら他の方の圧力によつてそれがどうもうまく行つていない、行つていない結果がこういうような状態になつて出た、現在のような忌まわしい疑獄というような問題が起きて来ておる、こういうようになつておりますが、その点はどうですか。
  72. 石井光次郎

    石井国務大臣 いろいろ世間を騒がしております造船疑惑の線というものは、本筋から離れた動き方であると私は存ずるのであります。この造船の決定そのものが、変なことによつてきめられたとはどうしても思えないのであります。
  73. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 なるほど銀行の筋は、いろいろな角度から一応筋を通しておられるか知りません。しかしながら実際には割当のときにいろいろ強い力が参りまして、あなたの方の事務当局としては、こうやりたいという考えがあつたが、実際にはそうは行かない。これは私が申すまでもなく各委員会でその点を質問しておりますけれども船会社には政党に籍を置かれた現閣僚、前閣僚というような人が相当おられるのです。また籍を置いていない船会社でありましても、それらの人が重役あるいは顧問に加わつておられない船会社でありましても、みなひもがついておる。そこでその計画を立てるあなたの方といたしましては、そういう考えでおられたかもしれないが、そういう運動が相当外からあつたということは――本委員会正木委員質問に対しまして、あなたは自分にも陳情が相当あつた、こういうように言われておるところを見ますると、あなた方が立てられたりつぱな計画よりほかに、政治的圧力が加わつて来ておる。そのことが今日の問題になつておると思うが、あなたはどのようにお考えになるか。
  74. 石井光次郎

    石井国務大臣 それに関連しておれの方の船会社はこうだ、おれのところの造船助はどうだといういろいろな陳情はたくさん受けます。けれども、この決定にあたりまして、だれが言うたから、それは順位が非常に下の方だが飛び上げて持つて行くというようなととは一つもやつておりません。それははつきり申し上げられると思います。
  75. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私が聞いておる範囲内におきましてはこういうことを聞いておるのであります。某閣僚が二つの造船会社から頼まれて、割当に関して岡田海運局長のところまで運んだ、ところがその割当のときに入つていなかつた、そこで海運局長の方へ電話かあるいは直接か知りませんが、とにかく言つて、自分の方の割当はどうなつたのか、こういうことであつた。そこで岡田海運局長は早速自由党の佐藤幹事長のところに行かれた。ところが佐藤幹事長は、それはもうこのままで発表しておけ、また次の分でいいじやないか、こういうように言われたと聞いておるのでありますが、岡田海運局長はそのことをどうお考えになりますか。
  76. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は一向にそういう記憶がございません。
  77. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 これは知つておると言つたらたいへんでございましよう。しかしながら事実は今言つたような形において割当がされたからこそ、こういう問題が起きておるのであります。  そこで私はさらにお尋ねしますが、速記録にあるように、もういろいろ質問をしておられますが、これは計画造船に対するところの事務的な一つの筋をずつと質問されておるのです。これは官僚の方でございますから、あなた方はそれで生活をしていられるのですから、答弁技術においては議員よりはるかに上でありまして、いろいろな資料を持つて今日までやられておる。しかしあなた方がそういう計画をなされましても、他からの圧力によつて割当に無理をして、強いものが優先された、こういうようにねつて参りましたから、問題が起きておるのでございます。それがなくてあなた方の言われる通りつたら、何もこんな造船疑獄というような、国民にいやな顔をさせる問題は起きないわけです。造船融資をする、海運王国にする、こういうことにおいて国家の金を使うのだという建前ならりつぱなのであるが、それができていない。大きな有力者だけが優先的に割当を多くとり、そして多くもうける。これは国民の金をもつて利子を補給する。船会社は金を出しておらない。みんな国家が金を出しておる。国家はいわゆる国民であります。その国民の金を使つて船をこしらえるのであります。あなた方の言われる通りつたらりつぱでありますが、それができていない。私はそこを石井運輸大臣に言うのです。なぜこういう問題があるか。あなたは、これはあくまでも自分の計画通り運輸省はこういう案でやつた、それは一つも間違いがないというなら、何もあなたの責任を追究する必要はない。しかし今日事実はどうしても隠蔽することはできない。検察庁から逮捕状まで来ておる問題がある。これは造船問題に関することです。この責任をあなたはどうされるかということを質問しておるのであります。
  78. 石井光次郎

    石井国務大臣 この計画造船を運輸省と開銀によつて決定した手順は、さつき申し上げた通りでありまして、それにあたりましてだれから言われたからそれを入れるとか、だれからも言われなかつたからこいつは落しておけというような心持を持つてきめた船は一ぱいもございません。まず造船決定につきましては、造船合理化審議会に大綱を諮問いたしまして、そこできめられました筋によりまして、その範囲内においていろいろそのときの情勢によりまして航路の関係であるとか、あるいは担保力の関係てあるとか、私どもの方でわかるだけのものを十分研究いたしまして案をつくる。開銀では開銀で、独立にまたいろいろ研究をいたしまして、それを打ち寄つて話合いをきめておるのでございますから、そういうものが入る余地はないくらいにきちんとやられたものだと思つていただきたいと思うのでございます。
  79. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 それから重ねてお尋ねしますが、私はなぜこういうことを質問するかといいますと、あなたの今言われるような通りに判当ができて、あなたの言われる通り計画が進んでおるのなら、私はこういう質問をしません。これは他の委員が今まで質問して来ておる通りなんです。しかしそういうふうに行つていないという一つの実例を申し上げましよう。石井運輸大臣は、いわゆる第三水曜会というものがございますが、これを御存じですか。
  80. 石井光次郎

    石井国務大臣 存じません。
  81. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 あなたは御存じないから、まつすぐにやつたとお考えになつておられるのだと思うが、この第三水曜会というものは一般にはあまり知られておりません。いわゆる三水会という名で、一つの懇談会であります。これは造船業者と政界の大物の人が第三水曜日に集まつて懇談会をするのであります。ここは行政監察委員会でありませんし、私は行政監察委員でありますから、いずれそのときに証言を求めて事態を明かにします。しかしながら、このいわゆる第三水曜会というのか、赤坂であるとか、あるいは築地であるとか、こういう料理屋に集まつて懇談をしておるというような事実がある。特にそこの下に千代田クラブといりのがありますが、この千代田クラブのごときにおいては、今の自由党の大御所、私の県の大先輩が相当深く関係して経堂しておられるもので、これは料理屋じやありません。社団法人か財団法人になつておるクラブであります。ここで絶えず閣僚の人も政界の大物の人も造船業者と会つておるという事実がある。これはすでに検察庁が証拠を握つておる。しかもこういう料理屋でも何でもないというところに、外からどんどん料理が運ばれる。うちには女が置いてある。しかも外見は普通の料理屋と違う、こういうところでしばしば造船業者との会合が行われておる。その他のところでもずつと行われておる。そしてあなたの方へその圧力がかかつて来ると、海運局長は一官吏でありますから、そういう圧力がかかつて来ると、あなたがいかように答弁されても、それをはねのけることができなくして、今日の問題が起きたと思うのでありますが、その点はどうです。
  82. 石井光次郎

    石井国務大臣 財界人と政界人との懇談会は、ときどきあちらこちらでもあるようでございますが、その第三水会というのはどういうふうな意味で集まつておられるもので、どういう力を持つているのか、私ども存じませんが、私としてはそういうふうなものの一つの団体的な力と申しますか、そういうものによつて圧力を感じたことは一つも覚えがございません。
  83. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 そういうものによつて圧力を感じたことがないと言われれば、まことにりつぱな大臣であります。まことに清廉潔白な方であります。しかしながらそうなりますと、あなた方がそういう計画を立て、知らぬ問にそういう有力な前閣僚、閣僚というような人が籍を置いておられる造船会社に、優先的に割当てられたのは一体どうしたことなんですか。これはあなた公平と思われますか。私は公平とは思いませんが、あなたはどう思われるか。
  84. 石井光次郎

    石井国務大臣 どういうのをおさしになつておられるか、それをおつしやつていただきたいと思います。
  85. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 例をあげますならば、飯野海運、新日本汽船、これらのごとき会社の割当のトン数と他の造船会社の割当のトン数とを比べれば、そうした政府的に非常に強い連絡を持つておる船会社の方が、絶えず優先的に多く割当てられているということであります。
  86. 石井光次郎

    石井国務大臣 飯野海運の力というのは、私ここで説明する材料を持ちませんが、今見ましても日本で一番多くの船を持ち油送船業では第一の会社でございます。それだけに担保力等も十分ありこれに汽船さしてもいいということが、開銀の調べにも運輸省の調べにも当然出て来るものだつたろうと思います。そうに違いないと思います。そういうふうな状態でありますれば、そういうのが入るのでございます。また郵船、商船と、私ども戦争前の時分はほとんど知らなかつたくらいなんでありますが、今では一番多くの船を持つているということは、融資を受ける場合のはつきりした点だけでも、担保力が強いということは言えるわけなんでございます。もう一つ山縣君のは第九次の前期には入つておりましたが、後期には入つておりません。
  87. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 私は今その例をとつたのでありますが、要するに担保力、資本力の強い造船会社ということを優先的にやつている。しからば担保力の非常に弱体なものにも割当てられているのはどういうわけか。
  88. 石井光次郎

    石井国務大臣 飯野海運のお話がございましたから、私はそういう点だけ見てもわかるのだという説明をいたしたのでありまして、そういうものが決定の理由になるものもあり、ならぬものもあると思います。担保力の少いものと多いものとあるのでございますが、担保力が全然ないようなものにはもちろん行かないのでございます。一応の線までは出て来る。しかし少し弱いものがある。弱いものであるけれども、そこらも二年に一ぺんか、あるいはところによつて一年に一ぺん、一ぱいくらいこしらえさして行くべきだ、造船所事情も考えなければならぬということが一つ、それからたとえば非常に船価を低廉にするということに非常な努力をしたものも考慮をするということが、造船合理化審議会の答申にもありますので、そういうもの等を考慮してきめた場合もございます。
  89. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 造船出題に対しましてはまだたくさん申し上げたいことがあるのでありますが、ここは行政監察委員会でありませんから。ただこの計画造船の割当等に対しましても、石井運輸大臣は今日のような情勢ではあくまでも責任を感じていない、こういうように各委員会答弁しておられるように見受けられます。しかし私は事態がここまで来たからには、石井運輸大臣がどうしても責任を感じないということでは済むまい、かように考えるのであります。今後この造船問題がどういうように発展して行くかということは、およそわれわれが想像しても考えられる点が多いのであります。もしこれが相当に発展いたしまして、いわゆる第二のシーメンス事件といつたような結果になつても、石井運輸大臣は正しくやつていたのだとお考えになりますかどうか、その点を伺いたい。
  90. 石井光次郎

    石井国務大臣 仕事の上の直接の問題で私が間違つた行き方をし、そこに大きな私の欠陥があれば、私としては当然私自身のことも考えるべきであります。またその方法もよくして行かなぐちやならぬのでございます。完全な方法であつたかと言われますれば、もつもつといい方法があつたかもわからぬが、この前きめる場合においては、そのときに一番間違いのない方法をとつたつもりでございます。第十次造船にあたりましては、さらにそれをもつと考えて、その中にわれわれの造船決定に加うるべき要素があるならば、それを加えて決定して行くことを考えて行かなければならぬと考えております。私は運輸省のこういう仕事を預かつている立場といたしまして、その仕事が根本においてはぜひ必要だということで、国会の協賛を経てきめた問題でございます。今後といえども、来年度においても乏しい中から、百八十五億の融資をいたして造船を進めて行こうというのでございますから、私どもはこの表の線で――これが間違いであれば別、そうでなかつたならば、この線をもつともつと改善的な意味においてよくして行くのは当然だと思いますが、責任を持つてりつぱな造船をやつて行くことが私の責任だと考えております。
  91. 佐竹新市

    佐竹(新)委員 委員長が陸運局問題には触れてくれるなということでございましたから、私は陸運局問題には触れませんが、これもやはり石井運輸大臣の管轄下にありますもので、ただ一言最後に申し上げたいと思います。今この造船問題は、単に造船問題だけでなくて、やはりその源は交通公社の問題、あるいは鉄道会館の問題、日通の問題、これにみな関連性を持つものであります。従いまして、今後におきましては相当大きな問題が出て来るのではないかと思うのであります。特に日通のごときにおきましては、国鉄を初め日本の輸送はほとんど日通一本でなされている。その日通に子会社はどれくらいあるかというと、石井運輸大臣は御承知かもしれませんが、私の調査したところでは大小合せて七十からの子会社がある。これはみな浮貸しの子会社である。日通の本社を調査したのでは絶対わかりません。検察庁が山下汽船の社長を収容されましたとき、二日前にもう書類を係長あるいは課長が総動員で整理してしまつた。あるものは焼いたといわれる。これは私は確実な証拠を握つております。こういうことは行政監察でやりますけれども、それらはみなあなたの管轄下にあるわけです。こうなつて参りますと、今や日本の汚職問題は、運輸省を中心として相当発展するという結果になります。今石井運輸大臣の御答弁を承りますと世評では石井運輸大臣は人格的にもりつぱな方だといわれておりますけれども、ただりつぱだというだけでは済まない。何といたしましても、将来こういう問題が発展いたしますと、それはあげてその主管者である石井運輸大臣の責任になつて参る。国家の金を、国民の血の出るような金を、湯水のごとく蕩尽され、そこに不正が生れて来る、疑獄の問題が起る、刑務所に入つて行く者が出る、こういうことになると、その主管者である石井運輸大臣は、何としても責任を免れることはできぬ結果になると思います。重ねて申し上げますが-私はこの陸運関係には触れません。特に証人を呼びまして証言を求めるのは、行政監察委員会で他日やりますけれども、しかしながら重ねてお尋ねいたします。石井運輸大臣はあくまでこの問題については責任はとらない。どこまで発展しても責任はとらないというお考えであるか、それとも今本人が申しますように、これが発展して来たとなれば責任をとられるのであるか、その点を承りまして、私の質問を打切ります。
  92. 石井光次郎

    石井国務大臣 どこででも申しております通り、また佐竹君のお話では何だかほんとうに責任をとらぬじやないかというふうにおつしやいますが、私のただいまの心境としては、私の責任としては、せつかくこしらえました造船問題、利子補給問題、これらのものがよりりつぱに遂行されるように運んで行くことが大事なことである。こういう問題に関連して派生的に起つて参りますいろいろの問題のために本体までも何だか問題になるようなふうに言われて、利子補給をやめるお考えはないか等の賛同が出るくらいの状態でございますから、これをりつぱに仕上げて行くのが私のほんとうの責任だと思つております。また陸運関係の問題につきましては、私ども直接であると間接であるとを向わず、監督すべき立場にありますから、それぞれの部門――国鉄なら国鉄を通しまして、もつとしかつかりした、国鉄が力を入れて、これらのものの改善に当るように、私どもは絶えずこれらと折衝を続けて行つて、問題を起さぬように努力しなければならぬ、これが私の心境でございます。
  93. 關内正一

  94. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は運輸省所管関係の各機関にそれぞれ出席を求めておきましたが、もし出席がないものについて、あるいは資料の整わないために答弁のできないような向きにつきましては、後日に質問を保留いたしたいと思いますから、あらかじめ委員長においてそのようにとりはからつていただきたいと思います。  岡田海運局長は、先ほどから各委員質問に対して、自分の所管事項についてどうも即答ができないで、資料がない、資料がないということでありますが、そういうことでは、裏を返して申しますと、日常の自分の業務に関して承認を与えた事項は、官庁ではすべて判がつかれていると思いますが、あなたはその判を日常の業務を処理するにあたつてどういう気持でおつきになつているか。ただ文書がまわつて来れば判をついて給仕に渡す、それだけのことをおやりになつているのか。あなたの実際の業務所管の方法について、はつきり御答弁をいただきます。
  95. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 まわつて参りました文書につきまして、精細にその内容を検討いたしまして判をつくわけでございます。先ほどお尋ねのありました事項につきましては、日常の私の仕事には直接関係がございません。
  96. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 直接に仕事に関係がないとおつしやるが、しかし実際に質問する者は、あなたの所管事項であるから質問をし、答弁を要求している。しかるにその答弁ができないというようなことで、どうしてあなたはこの国会を通してはつきり国民の納得の行く行政が行われているという考えを持たすつもりですか。
  97. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど公団の持分について幾ら返済したか、これは先ほど申し上げましたように、現在大蔵省の所管になつております。従いまして現在、幾ら返しておるかということは、私の方の直接の仕事ではございません。しかし御要求がありますれば、これは調査しなければならないかと存じます。それから第五次分の返還につきましても、先ほど申しましたように、その計算が非常に複雑でございます。ただいま手元にその資料を持つていないから後ほど調べてお答え申し上げたいと申し上げたのでございます。これまたすぐに私ども毎日やつております仕事でそれを知らないでどうするかと言われましても、すぐにはしようがないわけでありますが、しかしこれまた知つておるに越したことはありませんし、また御要求があればぜひとも知らなければならないことだと思い属す。
  98. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 あなたは大蔵省の所管だからと言われまするけれども、しかしこの造船関係ついては、たといそれが大蔵省において融資されるといたしましても、しかしその融資会社に対しまする運輸省としての大蔵省への要求なり申請なりは当然されて、それが基礎になるものと考えるのであります。もしそれが行われていないということでありまするならば、あなたは所管事項について非常に怠慢だと言わざるを得ません。私は各省をまわりましても、なるほど国家資金の放出の面については、大蔵省はなるほど責任を持つて行つております。しかしそれを放出する要求は、各省から出されておるのであります。決して野放しではないのであります。そうして大蔵省が査定をして通知をして、それによつて私は支出をされておるものと考えるのであります。そういたしますと、今の造船に対する融資にいたしましても、当然あなたがその所管事項として大蔵省に要求し、その要求に基いて大蔵省融資をし、あるいは資金を支出しておるものと思うのであります。そういたしますると、あなたの手元にその資料がないということは、どうも無責任きわまるものだ、こう思うのでありますが、いかがでしよう。
  99. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 公団の持分につきましては、昭和二十三年度までの融資額でございまして、その当時におきましては、私ども詳細を知つてつたわけでございます。その後大蔵省の方に移りましたものでございますから、その後の程度償還されたのか、調べればわかりますが、今手元に持つていない次第でございます。
  100. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、いやしくも国家の金を融資あるいは補給金として支出する場合に、ただ無計画に、無方針に法律がきまつたから出したらそれでいいのだ、こういうふうな事務的のずさんな扱い方はされていないと思うのであります。当然国民の血税を使うのでありまするから、従つてそれに対しては償還方法あるいは補給にいたしましても、すべて詳細な計画のもとに行われなければならぬものと考えるのであります。あなたは所管事項として、それらのことは無方針にただ出しておいて、あとであるとき払いの催促なしというような、そういうずさんな考えでその事務を処理されておるのか、あるいはそういう考えで今もおられるのか、私はその点をお伺いいたしたいと思います。
  101. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 誤解があるのじやないかと思うのでりますが、公団の持分あるいは五次船と、今後の新造船に対する財政支出は直接関係がないのでございます。それで今後幾ら新造船に投資するかということは、予算は大体大蔵省の力の各産業別の割振りで大蔵省がきめているわけでございまして、その金で幾ら船をつくるか、こういうことでございます。それから船をつくりまする場合に、各船会社に割当てまする場合には、その船会社が公団持分の負債が幾らあるか、それから開発銀行に対して幾ら負債があるか、あるいは市中に対して幾ら負債があるか、こういうことは詳細調べるわけであります。しかしその新造船を申請いたしまする会社は、全部ではございません。今まで計画造船をやりました中の一部でございます。従いまして、御要求のありましたような公団持分政府出資分に対して幾ら返還したか、全体のまとめた数字、あるいは五次船について全体で幾ら返した、こういうことはやはりその都度計算いたしませんとわからないのでございます。新造船の割当については、申請のあつた会社については詳細そういう点を調べてやつておるわけでございますから、その仕事にはさしつかえないと思つております。
  102. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 そういたしますと、運輸省では新造船建造にあたつて、その船会社に割当をやる、割当は船の隻数だけを割当をやるが、しかしこの補給法あるいは融資法、すべての法律に基いて国家が放出をいたします所要の金額等に対しては、何ら関係をしていない。あるいはその計画要求に対しては何の意見も付さないで、ただ何隻をどの会社に割当てられるということを決定するだけで、大蔵省に一切をまかす。こういうような計画であるのか。
  103. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 新造船の割当の場合は、たとえば二十九年度におきましては、開発銀行の金の中から百八十五億を出すということが一応予定されておりまして、その百八十五億で二十万トンなら二十万トンをつくる、こういうふうな計画を運輸省でいたしまして、その二十万トンをどういう船会社につくらすかということは、先ほど運輸大臣が申しましたように、運輸省の方は航路計画あるいは造船所事情、それから開発銀行は資産信用力、こういう面から検討いたしまして、そうして船会社をきめておるのでございます。  それから利子補給の方は、これは各船会社市中銀行から借りております融資の残高に対しまして補給するものでございますから、従いまして貨物船については六次船以降、タンカーについては七次船以降の船について、どれだけ市中銀行から借りているか、こういうことは精細に調べておるわけであります。しかしその場合も一つの船をつくりますのに、船会社は相手の銀行が十もある、あるいは十二、三もあるわけであります。従いまして、それを全部集計しなければならぬ。これを今やりつつあるわけでありまして、これが千六百件ございます。これが一銭でも聞違うとたいへんだというので、今馬力をかけてやつておるわけでございます。従いまして、そういうものに対する数字は、私どもの方では完全につかんでおるわけでございます。
  104. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 その資料を早急に提出していただくように要求いたしております。  それからこの利子補給法が政府の原案に対して、三派の修正案が成立をいたしております。その後運輸省の関係と、それから開銀、市銀との間の船主に対する融資確納書をめぐりまして、相当の意見の対立があつたと報じられております。そこで運輸省といたしましては、この船主の決定にあたつて、この確約書の方は運輸省の案の通り声強行するということで、相当深刻な、市銀、開銀と運輸省との間の対立を来したようでありますが、その経過について御説明をいただきたい。
  105. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 九次後期造船につきましては、財政資金が七割にたりますし、また市中融資に対しても大分の融資補給がつきますので、運輸省といたしましては多数の船会社が申込みをして来るであろう、これを無制限に申し込ませますと、資産、信用のないものもわれもわれもと申し込んで来て、その審査が非常に骨が折れる、そこでその申込みを制限する一つ方法といたしまして、まず市中銀行から、この船会社ならば金を借すということをあらかじめ約束させる。そういたしますと、銀行の方はこういう海運界事情でございますから、内容の悪いものには金を借さない。そこで自然に申込みの船会社が選別されまして、開銀、運輸省で選考する対象が非常に少くなつて来る。従つて競争も少くなつて来るということを考えまして、運輸省としてはぜひ市中銀行融資確約書を先につくることを、つまり市中銀行船会社を予選するとういふうな意味で、市中銀行でぜひやつてもらいたいということを主張したのでございます。しかし市中銀行としては、船会社はお得意さんであるから、船会社が頼んで来たものはなかなか断りにくく、営業上の立場から非常に著しい立場に陥るから、それは絶対困るというので、市中銀行から遂に断られたのでございます。しかし運輸省としては、この新造船割当における競争をできるだけ少くしたい、こういうふうな意図から強くそれを主張した次第でございます。
  106. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 この意見の相違によつて船主の決定が相当遅れたように承つておるでありますが、当初の計画に対してどの程度の遅延を来したのか、あるいは来していないのか、その点について御答弁願いたい。
  107. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この融資確約書の問題につきまして、運輸省と市中銀行の話合いで約二週間くらい要したかと思います。
  108. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 二週間余りの延期があつたと言われるのでありますが、御承知のようにこの船主の決定は補給金の問題とからんで、船会社としては非常に重大な出発点である。従つてその間にはいろいろの画策の行われる余地がそこにあるのではないかと思うのであります。今回の造船疑獄といわれるこのスキャンダルは、こういうところからも一つの疑惑を生じておるのではないかというふうに私は考えるわけであります。そういたしますと、今後の船主の決定にあたつては改善すべき余地が相当あるのではないかと考えますが、いかがですか。
  109. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先日も当委員会で説明させていただきましたように、この造船の割当は、海運会社が非常に真剣に、また非常にはげしい競争をするようでございまして、もしその割当がいやしくも不公正な結果がございますと、私ども非常なる非難を受けるわけでございます。従いまして、この計画造船をやり始めましてから、常に公正妥当なる割当の結果を得られるように努めて来ておるのでございます。従いまして、今までやりました方法を十分検討願いますれば、私どもの苦心のほどが察していただけるかと存ずるのでございますが、今後これをどうするかということは、先ほど大臣が答弁いたしましたように、私どもとしましては、今まで最善を尽して来たと考えております。しかしそれだからといつて、これを検討するのにやぶさかではございませんので、今後の新造船計画が始まります場合には、今までとつた方法よりもさらによりよい方法があるかどうかということを、広く関係方面の意見を聞いて最善の道をとりたいと考えております。
  110. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 あなたは今船主の決定にあたつては、非常にきびしい批判を受けることは間違いがないのであるから、そのようなことはできない。常に公正な決定をすると言われております。しかし今日造船をめぐつて、今あなたの言われた批判というものは、自民的にほうはいとして起つておる輿論によつても明らかであります。また司直の手によつて壷井官房長が送致されておる事実によつても明らかだと思いますが、あなたはこの点に関してどういう考えを持つておられるか、今まで行つたすべての業務処理が適正を保つてつたとお考えになりますか、その点をはつきりと御答弁を願います。
  111. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船主割当につきまして私どもがとりました方法は、私ども今まで最善の道と考えてやつて来たのでありまして、従つてその方法が間違つておるとは思つておりません。
  112. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 だれも自分でやつたことを自分で間違つてつたと白状するものはないのであります。しかし世上の疑惑いうものは、やはりこの委員会を通して明らかにして、その事実がないならばないと、国民の信頼を得るようにしなければならぬと考えます。そこでまずこの疑惑の発展をいたしました一番の根拠は、昨年成立をいたしました外航船融資利子補給法の三派修正にあろうと考えます。ところがこの法律を出される前、あるいはその法律が通過をいたします前に、特定の業者に連絡され、あるいは政府関係者と連絡をされて、そうしてそれらの連絡がただちにいろいろの議員連盟、たとえば海運議員連盟であるとか、いろいろの議員連盟の幹部を通じて、特定の利益のために修正をされるような行為、私はこういうようなことが疑惑の第一歩ではないかと考えるのであります。あなたもこの海運連盟にたびたび御出席になつて政府計画について御説明をされておるようであります。そういう行為がほんとうに公正妥当な政治を遂行し得るものとお考えになるか、お伺いいたします。
  113. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもは海運行政を長くやつております。各国の海運行政をいろいろ検討いたしまして、こういう助成策が日本の海運復興のために必要であることを確信いたしまして、求めに応じて説明に上つただけでございます。私ども先生方から御要求がありますと、すぐに飛んで行つて御説明を申し上げなければならないものと、かように考えておりますので、先生方からすぐ来るようにというお申しつけがありますと飛んで参つて御説明を申し上げる、これだけでございます。
  114. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 もちろん議員がその説明を要求いたしまする場合に、あなたが所管事項について説明をなさることは当然であります。しかしその政府の意図あるいはそれらに対する意見を、政府機関が決定いたしました以外のことについてまで、あなたが特定の業者に説明をなさるということは、いかがなものでしよう。
  115. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は特定の業者に、特に何らかの説明をしたという記憶がございません。利子補給法は、海運業者全般に関係する問題でございますので、あるいは時に応じて海運業者の意見を聞いたことがあるかと存じますが、特定の業者に説明をしたということは記憶にございません。
  116. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私は今手元に持つておりませんが、あなたが相当突き進んで、業者の間にも政府の方にも、原案が出ましたときに、あの原案が満足でない、いわゆる修正意見についても強い御意見を出されている点があつた承知しておるのであります。そういうことは、実際に行政官としてその業務に携わつていられる方としては、適切な行為ではないと私は考えるのであります。こういう点はよほど、注意をされなければならないものと私は思うのであります。  それから、この船主の決定にあたりまして、先ほどの質問の中で、非常に有力な方の関係をされておりまする会社に優先的な行為があつたのではないかという質問に対して、そのようなことはないという御答弁があつたと思います。しかし、具体的に申し上げますと、新日本海運という会社がございます。これには監査役に自由党の有田二郎副幹事長が当つておられまするし、取締役には大野国務大臣も御関係があります。また新日本汽船の社長は、山縣前厚生大臣であります。また明治海運におきましては、内田前農林大臣が取締役をしておられる。また協立汽船におきましては、監査役に向井前大蔵大臣が当つておられるのであります。また三光汽船におきましては、改進党の代議士であります河本敏夫氏が関係をしておられる。岡田商船は、岡田勢一氏が社長であると承つております。また山下汽船には、青木一男氏がおられる。飯野海運には池田清志氏がおられる。このようにいたしまして、政財界ともに、非常に有力な方々が、この会社に関係をされておるのであります。しかもそれらの関係されております会社は、おおむね第七次、第八次――三光汽船におきましては第六次・七次、山下汽船におきましては第六・七・八次というように、主として補給法が実施をされまするその期間の船の割当が、たまたま大きく一致をしておる。あるいは、その補給法が成立をいたしました後に割当をされておるというようなことが、ここに資料として明らかにあるのでございます。そういたしますと、これは海運界という大きな国策的な見地から特定のものを除いた部分についてのことであろうというようにあなた方は御答弁をなさつておりますけれども、結果的に見ますと、これらの船会社に対して、特定の利益を与えるような法律を制定したものであり、その法律は政府原案よりも非常に大きな修正がなされたものであつて、こういう点に大きな疑惑を生じておると思う。また政府原案が修正されるにあたりましても、運輸大臣は今お越しになつておりませんが、その所管大臣もみずから出した原案に不賛成で、そして三派の修正案に賛成の意を表されておる。私はここに非常に不可解なものを感ずるのであります。これは私一人ではなくて、国民全部がそういつた点を非常に不可解なものに感じておると思うのでありますが、これらの点についてのあなたの所見を承りたいと存じます。
  117. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 造船割当につきまして、政界の有力者が関係されておるから手心を加えたかどうかということにつきましては、この前当委員会答弁させていただきました通り、また運輸大臣が本日申し述べました通り、私どもはそういうことは何ら関係してないということをあらためて申し述べます。  また利子補給法につきましては、そういう会社が入つているかどうかということは、全然念頭に置きませんで、今まで計画造船としてつくりました船が、金利が払えるかどうかということを標準にいたしましてきめたものでございます。五次船を抜きましたのは、とれも当委員会で御説明申し上げましたように、割合に早くつくりまして船価が安かつたということと、その船が朝鮮事変の海運ブームの恩恵を受けまして、市中から借りております金を大部分返しておる。従つて今日の海運不況にたりましても、金利だけは払える。ところが六次の貨物船以降になりますと、金利支払いすらできない。従つて金利も払えないでは、国際競争に耐えられない。だから国際競争に耐え得るように、金利だけは払えるようにしてやろう、こういう意図のもとに、六次以降に対して利子補給がなされたものと私どもは考えるのでございます。
  118. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 あなたはきわめて客観的に御答弁をされておりますが、海運議員連盟のあるのを御承知ですか。
  119. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 承知いたしております。
  120. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私の名前も海運議員連盟にあることは事実であります。しかし一度も私は海運議員連盟に行つたことはないのです。あなたは今客観的にそうおつしやいましたけれども、しかし海運議員連盟のパンフレットを見ますると、あなたも御出席になつて、そういう客観的な答弁のできないような御発言をされておるのであります。これは議員だけではないのでありまして、今あげましたような有力会社の幹部の方々も再三出ておられる。そしてその席上におきましては、政府の方針等についてもつぶさに御説明をされておりまるすし、利子補給等の問題につきましても、あなたの所見は詳しく述べられておるのであります。そういたしますると、あなたが今御答弁をなさつたような客観的な考えに立つて、その通りの動きをされたものとも考えられない節があるのでありますが、これらについてあなたはどうお考えになりますか、お伺いいたします。
  121. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運議員連盟でどういうことを申し述べましたか記憶がございませんが、おそらくそとに御出席の先生方から、いろいろ政府の考えておることを説明しろという御要求がありまして、私のふだん研究しておるところを申し述べたのではないかと存じます。
  122. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に御質問をいたしたいと思います。この造船利子補給に関しまして、世間では四億疑獄であるとかあるいは造船疑獄であるとか、非常に騒がしい問題が起きております。そしてすでに有田副幹事長は逮捕状の許諾の請求があるというところまで発展を見ておるようであります。今回の国会が始まりましてから本日まで答弁を要求いたしましたところによりますると、どうも運輸省内の所管事務の処理にいたしましても、あるいはまた日本交通公社等の収納金の取扱いにいたしましても、きわめて粗雑な、そしてきわめてあいまいなうちに時日が過されているという印象を深くいたすのであります。運輸大臣は非常に識見の高い、というよりも、むしろ温容過ぎる人格の持主だと私は思うのです。そういうことがどうも部内の統制力に非常な欠陥をもたらしているのではないか。今国会くらい運輸省内における疑惑が多く社会に宣伝をされたのは初めてであります。この喧伝されておりますものは、私選挙区に帰りましても、国民全般が実に重大関心を寄せておるのであります。ここでいろいろの事態を明確に国民の前に示すことは、一つは政治家としての責任でありまするし、同時にまたその所管大臣として私は重夫な責任であろうと思うのでございます。運輸省内の現役の官房長が拘引される、あるいはまたそれに関連をいたしまして現役の副幹事長も拘引をされる。そして会日まで質問をいたしました中には今申しましたように、いろいろと国民の前に納得し得るような答弁を所管者から得ることのできないような事情にあります。これについて一体運輸大臣はどのような御心境であるか。また今後こういつたものを国民の前にどのように明らかにされますか。
  123. 石井光次郎

    石井国務大臣 御同様な質問を一日に数回受けるような次第でありますが、繰返して申し上げておりまするように、所管事務の上で特にやましいことがあり、こういう点がけしからぬという点がありますれば、私の責任でございます。しかしこれに関連いたしまして間接に起りました問題は、私どもの知らぬ間に行われた問題でございます。ただ自分たちの同じ議員の仲間、あるいはまた同じ役所に勤めている者の関係というようなことにおいての責任は、私は痛感いたしますだからこそ私どもは、今あなたの言われましたように、運輸省はいかにあるべきか、運輸省は日本の交通行政の中枢としてこういうふうにやつておるんだということを皆によく知つてもらい、またこれが明朗に行われて行くというところに沿つて努力しなければならぬのは当然のことであります。私どもはこれから一生懸命やるつもりでございます。いろいろな問題で運輸省の上に黒雲がかかつているような心持が皆いたしておりまして、運輸省に働いている、何もこういうふうな造船計画等については携わることのないような若い人たちなんかでも、何か自分たちが世間から疑いの目をもつて見られておるのではないかというようね退嬰的な気持になつてその日の仕事に積極的に従事することを怠るようなことがあつてはということが、私の一番心配しておるところであります。これにつきましては、先ごろから省内の局長諸君に、特にこの問題をひつさげまして、皆がより元気を出して、そうしてほんとうに仕事努力をするようにということを申してあるわけでございます。
  124. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 運輸大臣の御答弁によりますと皆精を出してしつかりやる、省内の改革についても一生懸命やるというお話でありますが、それだけをもつて社会を納得させることはできないと考えるのであります。特にこの疑獄事件が明るみに出されて、捜査の手が延びかかりまして、特に受注造船会社関係におきましては、あれ以来もう船台もまつたく火が消えたような状態にあるので、各所におきまして、ひいてはそのことが企業の不安はもとよりのこと、これに従事をいたしております労働者の関係におきましても、非常にゆゆしい問題といたしまして、署名運動までも行われるような事態に相なつておるのであります。これについて運輸大臣はどのように対処されようとなさつておるか、ひとつその所信を承りたい。このことは同時に今不安におびえておりますすべての問題に非常な関係を有するものと考えまするがいかがでしよう。
  125. 石井光次郎

    石井国務大臣 その問題はまことに重大なお尋ねだと思います。私どもの一番心配いたしておる問題はそれでございます。造船疑獄の声が大になりますと、海運業者そのものの運営の上にも相当な打撃が及びつつあるというようなことも聞くのでございます。海運業の方から先に申しますれば、海運業が、さつきもだれかのお尋ねにお答え申しましたように、これほど日本利子補給その他造船融資について力を入れることがはつきりいたしまして以来、だんだんと日本海運界が世界においてその地歩を占めて行くのに非常に力になつて日本の国をあげての海運国回復のために努力しておるという情勢が認められつつあるというようなことを、私ども聞いておつたのでございます。そういたしまして、各航路におきましても、日本の船の入つて行く力が少しずつ認められて行く。たとえば濠州航路のこときは、日本に来る羊毛だけがおもなようでありますのに、日本の船が二〇%しかそれに使われないというような状態だということを聞いてびつくりいたしました。何でこんなことで約束したのだろうと思つておりましたが、そのときはどうしてもそれ以上のことはできなかつた。八割は外国船で運ばれておるというような状態で、これは何とか早く回復すべきだというのが私ども一つの念願でありましたが、ようやくこのごろ四割まで日本の船で運ばせるというような話が進みつつあつたのでありますが、そういうことにつきましても、またまごまごするとデット・ロックに乗り上げはせぬかという心配もいたしております。私は今度のような問題が起つて一番喜んでおるのは、国の名前はあげませんが、外国の海運業者のおもな人たちではないかと思うくらいなんであります。そこで私どもはこの造船の問題、国内の問題、これがアイドルになるということを考えなければならぬのでございます。それで今のようた不安定な状態でありますと、予算通りまして二十九年度は一体どういうふうにしてかかれるか。造船所船会社を選ぶのにどうしたらいいというような問題が、ここに一つの大きな問題として出て来るのでございます。私どもは司直の手が伸びておりますことを、どうということは言うべきととじやないのでありますが、どんどん調べていただいて、早くこの今の造船疑獄というものがどこにおちつく線が見えることが、計画造船の上においても非常に大事じやないかと思うのでありますが、これは私どもとして何とも言えないことでございます。ただなるべく早く船の決定をし、そうして船台がアイドルになる期間をなるべく短くして、労務者諸君に仕事がちやんと与えられて、その間にもアイドルになつたからというような理由で、職場の解雇等が起きないように、何とか方法を考えなければならぬ。実はきようもその話を省内でしておつたようなわけてございます。この問題については皆さん方からもいろいろ御意見聞かしていただきたいし、私どもとしてもこの問題を一番大事に取上げたいと思つておるわけであります。
  126. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 どうも私は今の大臣の御答弁では自身のある、そして引起りつつあります事態に安定感を与え得るものとは考えられないのであります。なぜもう少し運輸大臣はこのような事態に対して、強い所信の表明をなされないのか。社会に向かつて強い御意思の表明のできないところには、さらに運送部内において、ひいてはあなたがその責任を全うし得るの所信がないのではないか、このように考えられるのであります。部内に発展いたしまするこれら疑獄の疑惑について、あなたは確信がないのではないかという疑いをさらに深くいたすのでありますが、いかがにお考えになつておりますか。所信をもう一度表明していただきたいと存じます。
  127. 石井光次郎

    石井国務大臣 造船につきまして先ごろからいろいろな御意見があちらこちら出る中に、こういう造船疑獄等があるから利子補給をやめる意思はないかというようお尋ねがあります。造船については、昨年よりは少くありますが、今度の予算に百八十五億の国家資金を盛り、それから市中の金も出してもらいまして、これで二十万トン造船をするということと、利子補給予算にお願いしておりまする程度のことをやつて行くという方針は、どんなことがあつてもかわるべきものではない、こういうことが根本でございます。ただこれを運んで行くのに、どういう方法で運んで行くかというところに問題があるのでございます。一つは、これから折衝する問題でありますが、市中融資の問題がはたして私どもの思うておる通りに行くかという問題等もあるのでございます。次にどういう時期から船がかかれるか。というのは、五月から六月ごろにかけて船台が大分アイドルになる。ほとんどみなと言つてもいいでしよう。六月ごろにはあくのでありますから、その時分に何とかして船が発注できるように、どういうふうにしたらいいかという手順を今しきりに考えておるのでありまして、私どもは、これをほつたらかして右往左往しておるわけではございません。いろいろ困難な問題があるのを、方針はそうきめて今からいろいろ話を進めて行こうとしておるわけでございます。
  128. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 今後この取扱いについてももちろん改善すべき点を、改善すを方向に努力されておることは当然のことだと考えます。しかし問題はただそれだけで安心し得るものではないのであります。言いかえますと、具体的に申せば官房長はすでは検察庁に召喚されておる。この一事をもつてしましても、まずこの計画造船を遂行するにあたりましては、部内の空気を一新することも必要でございまするし、同時にまた部内の徹底的な粛正も、運輸大臣みずからの責任において行われなければ社会は満足しないだろう。これが非常に不安の原因をなしておるものと思うのでございまするが、運輸大臣は、これら部内の粛正に対し、綱紀の粛正に関して、いかなる措置をとられようとされておるか、この点を明確に御答弁いただきたいと存じます。
  129. 石井光次郎

    石井国務大臣 私どもは、部内が明るい気持で仕事をして行けるようにということは、根本的に考えておる問題であります。すでに官房長の後任も発表いたしましたし、さつきも申しましたように、みなしつかり手をとつて前進という意味の訓示も部内に与えましてやつて行くわけであります。部内をどういうふうにして行くかというような人の配置等につきましては、ただいまのところ申し上げるような状態ではございません。
  130. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私は、一番重要な点について運輸大臣の所信をただしたのでありますけれども、遺憾ながら今の御答弁をもつていたしましては、この計画造船を遂行するにあたつて、確たる部内粛清の措置から、その進行をさらに促進し得るような考えがないように思うのであります。こういう点は非常に遺憾に私は存じます。なぜそのように、――運輸大臣も人情家でありますから、従つて人の配置転換等、部内の人事の粛正に関しては非常な親心をもつて臨まれておることは、私も非常に同情をする点もあるのでございます。しかし事はそう同情ばかりでもつて簡単に片づけられるものでもなければ、今申されたような抽象的な答弁をもつて、この社会的に巻き起しております不安を解消することはできない、このように考えますが、所管大臣とて業務監督上の責任を、もう一度明確に御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしようか。
  131. 石井光次郎

    石井国務大臣 御意見を承つておきまして、省内のことは私が責任を持つて、どうすればいいかということは私におまかせ願いたいと思います。
  132. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 同僚の正木委員から関連質問を許してくれということでありますので、私はまだ保安庁関係あるいは気象等、すべての問題について御質問を申し上げたいと思いますが、正木委員の関連質問をお許しいただきたいと思います。
  133. 正木清

    正木委員 関連質問という形で委員長に特に要求したいことは、すでに損失補償法が実施され、昨年の十月に海運監査制度もすでに実施されたわけです。そこで私は海運行政全般に対する質問のための資料委員長を通じ要求したいと思いますことは、海運造船合理化審議会の全体の記録、その審議会に提出された諸般の資料、まずこれを要求いたしておきます。次にこの合理化審議会が終つて後、最終割当決定をいたすところは、私の想像では開銀運輸省当局であろうかと思つております。従つて開銀と運輸当局との会議が行われたに相違ありませんから、これらの記録も同時にあわせて出していただきたい、このことを第二番目に要求をいたします。その次に要求いたしたいことは、計画造船が始まつて以来今日までに融資を受けた各会社の貸借対照表並びに損益計算書、これは海運監査制度が設けられているのですから、当局は当然詳細に調査済みだと思いますので、これらも第三番目にお願いいたします。それからあわして資料として要求いたしておきますことは、これらの財務諸表に付属する明細書、これは当然運輸当局はそろえてあろうかと思いまするし、調査をしてあるに相違ございませんから、これまた出してもらいたい。従つて各般別の収支実績、航路別収支実績、同時に資金の返済計画、こういうものも当然出していただかなければならない。これは監査制度が実施されれば当然やらなくてはならぬ。それからその他の画定科目は完全に統一されておりませんと私どもわかりませんから、このことももうあなたの方では調査済みだと思いますから、これを出してもらいたい。以上を要求いたしますが、委員長を通じて当局は私の要求する資料を何日に出してくださるか、この資料の基礎に基いて私は質問を進めたいと思います。
  134. 關内正一

    關内委員長 ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。
  136. 楯兼次郎

    ○楯委員 二、三ほかの委員質問に対しての政府答弁を聞いておりまして、疑惑がありますので、簡潔にお聞きしておきたいと思います。  今次の汚職問題に対しては、ことしの四月から新しい十次計画というものが待つておるというふうに私は思つておるわけでありますが、これらに対しまして今山口委員から、それをどうするのかというような質問があつたと思いますが、これに対しまして大臣の答弁は非常に抽象的である。今後海辺に力を入れてりつぱなものに育てて行こう、あるいはしつかりやつてそういうことのないようにやつて行きたい、こういう抽象的な答弁を私はお聞きしたのでありますが、こういうことでは私は解決しないと思うのです。もう日にちもございませんので、あなたの方で何とか具体的な方針で進まれなければ造船所なりあるいはそこに働く職員というものが非常に迷惑をする、そういうふうに考えますので、大体大臣としては具体的にどういう進め方をやつて行くかという点について、具体的に、簡潔に御回答を願いたいと思います。私の問わんとするところは、たとえばわれわれ社会党といたしましては、少くとも二十九年度に盛つてあります約三十七億の利子補給については、この疑惑が解消をするまでこれは待つべきである、大体そういう結論を出しておるわけでございます。これは一例でありますが、今まで通り方法によつて割当てて行くのか、あるいはこの予算が通過をいたしましたならば、今起きておりますような問題に気を配りつつやつて行くのか、具体的にひとつお聞かせ願いたい。
  137. 石井光次郎

    石井国務大臣 造船利子補給と両面のことについてのお尋ねだと思いますが、造船につきましては、具体的にどういうふうに進めるべきか、こういう問題の起らない何でもないときでしたら、昨年の九次の計面にもう少しほかの方面からの意見を加えたい、たとえば市中銀行の意見を加えたいというな問題等を、今度の問題としてもう一ぺん取上げるというようなこと等によつて、より明瞭な方向に進めて行くということが一つの線であります。そういうふうなことをどういうふうにやつたらいいかという問題等、今寄り寄り実際の相談をやつておるところでございますので、その線を早く何とか出したいと思つております。  それから利子補給の問題、待つたらどうだというお話でありますが、それはいつまで待つということになりますが、一つの意見といたしまして、問題を起しておる会社に対する利子補給を待つということにたりますか、これは御承知のように利子補給は銀行に対して契約を出しておるわけでありまして、ちよつとそういうことは実際上にはできないのじやないかと私は思います。今後新しくできる船についての契約の場合には、こういう問題は考えられると思いますが、それらの点も何もかも合わせまして、いろいろ研究をいたしたいというのが私の言つておることでございます。
  138. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも大臣のお答えでは私しろうとであります関係か、はつきりいたさないのでございますが、日にちもないのですし、造船所としてもこういう問題、長引けばからになつて非常に困るのじやないか、そういうことを私は考えますので、たといこの問題は問題としても、予算がきまつたならば、ただちに従来の方針で割当て行くとか、そういう具体的な点をお伺いしたわけでありまするが、どうもお答えがあいまいになつておりまするので、そういう具体的な方針を早急にきめて御発表を願いたいと思います。この点について今度は裏から私はお聞きをするのでございますが、十次の割当作業は一体どのくらい進んでおるのか、全然遊んでおらないのかという点をひとつお聞ききしたいと思います。
  139. 石井光次郎

    石井国務大臣 予算通りましたらすぐにもかかれるように手順することは、いつもそういうふうにやつております。予算がもうこれで通りそうだという時分になりましたら、銀行と折衝を始めたりいろいろしておるのが今までの例であります。しかし今度は特別にいろいろなことが銀行方面でも考えられておるのじやないかと思うのでありますから近いうちにいろいろ話を進めたい、こういうふうに思つております。それから仕事はなるべく早い機会にかかれるようにということが一つのねらいでありますが、それは予算通りまして、それからいろいろ銀行との折衝その他のことが済んで、契約がほんとうにでき上るのには一月以上どうしてもかかるのであります。それでなるべく早く船だけでもきまることが望ましく、今まで努力したわけでありますが、だんだん遅れぎみになります。ところが今度のような問題になりますと、実際上の問題として、船会計は、どこかの造船所と組んで案を出そうと思つておるときに、はたしてその造船所は安心して頼んでいいのかということが心配になります。造船所の方では、あの船会社と組んでやつた、ところがどうもそれは問題だというようなことになつて、とうとう本年一ぱいも船が来ぬというようなことになつたら、それこそたいへんだというようなことで、なかなか今のところは昨年の場合とは違つた空気があるわけであります。役所としてはどんどん進んで行きますが、ただかんじんかなめのところが動きにくくなつておるというのが実情のように思いますので、そこらをなるべく早く話がついて、一応とにかく出せるというような線を見つけ出そうと、今それを苦心しておるところでございます。
  140. 楯兼次郎

    ○楯委員 この問題は十次の割当作業が進捗をしておらない、こういうふうに私は受取りまして、時間がございませんので、次に移りたいと思いますが、私午前中に予算委員会を傍聴いたしまして非常に不可解に感じましたのは、岡田海運局長答弁に立つておりましたが、社会党の川島金次委員質問いたしましことに対しまして、私ふしぎな答弁を聞いたのであります。それはこの設備資金の借入状況並びに返済の実績の一覧表をひとつ示してもらいたい、こういう要求に対しまして、手元にないからあとで調べて資料として提出をする、こういう答弁を聞いておりましてふしぎに思つたのでございますが、これは私たちの手元にもすでに印刷物が渡つておるわけでございます。これはどうしてそういうような答弁をされたか、まずこの点からお聞きしたいと思います。
  141. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 お手元に配つております資料は、おそらく利子補給対象の船会社のうち、九月期決算のものだけではないかと思います。従いまして全部ではございません。川島先生の御質問は、計画造船をやつた船会社全部についての御質問なのか、あるいは利子補給対象船なのか、その点がはつきりしていないのです。今私どもは、その利子補給対象船のうち、九月期決算のものだけを持つておるわけでございまして、従いまして川島先生の御質問に対する正確な答弁をいたすに必要な資料を持ち合せていなかつたものでございますから、御説のような答弁をいたした次第でございます。
  142. 楯兼次郎

    ○楯委員 これはあなたの方から自発的に配られたのではないわけです。私は返済の額がどのくらいであるかということを知りたくてこれをもらつたわけでありますが、すでに印刷になつておりますので、あなたの方では、たとい今言つたように利子補給の対象であろうとなかろうと、この見出しには設備資金借入状況、こういうことになつておりますから、これは割当を始めてからの総額の金額とこれに対する返済の金額であろう、こういうふうに考えておりますが、違うのですか。
  143. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 おそらく二十八年九月末現在としての一覧表だと存じますが、その備考にありますように、五十四社中四十五社の調査であります。さらにもう一つ、これは新造船に対する貸付金だけではなしに、こういう船会社が新造船以外に改造とかその他で借りている金がある。それをひつくるめてのものでございまして、従いまして川島先生の新造船に対して当初幾ら貸したか、それに対して幾ら返したか、こういう仔細な内容は、開発銀行とも打合せをし、調べませんと、正確なものが出ないわけでございます。
  144. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは川島委員の要求は、私の聞き違いであつたということになるわけでありますが、この表によつてお聞きをしたいと思いますのは、先ほどの竹谷委員質問にも関連をいたしておりますが、大体この五十四社のうち四十五社について見ましても千六百三十一億、大体千六百三十二億を融資をして、そうして返済はわずかに二百三十五億です。残りが一千三百九十七億あるわけですが、先ほどの一次から五次までの融資の返済についても関連をいたしてお聞きをするわけですが、一体こういうものの返済はどういうふうになるか。私は、あなたが先ほど答弁なつたように、それは大蔵省でなければわからない。そういうむづかしいことを聞いているのではありません。というのは、新聞や雑誌はどういうことを言つているかと申しますと、今船をつくるのは利子補給だ、あるいは国家融資だ、こういうような融資を受けてまるでただ船がつくれる、しかも借りた金はこれはもうただみたいであつて、返す必要がない、こういうことを盛んにいわれていることは御承知だと思います。従つてあなたは運輸省の監督官として、当然これらの返済というものは、大わくながらどういう期限でどういうふうに返済される、もしそれが長引いた場合には、どういう取扱いになるかということを、常識的にでも知つておらなければならない、こういうふうに考えるので、この点をお聞きしたいと思います。
  145. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶公団時分の持分、現在は大蔵省に引継がれておりますが、これは大体十年間に船会社が返す予定になつております。それから見返り資金になりましてから、大体貸付期限が十五年でございます。三年まえ置きのあと十二年間に返す。それから市中から借りておりますのが大体三年、これを今度は利子補給契約をすると同時に五年に延ばしました。従いまして借りている金は、開発銀行は期限が到来してからは、十二年間に毎年均分に返して行かなければならない。それから市中の方は三年ないし五年に返して行かなければならないというわけでございます。ところが悲しいかな今日の海運市況では、それを返す力がないわけです。もし返す力があれば、銀行その他長くめんどうを見てもらわなければならないところですから、どんどん返すわけです。ところが元金はもちろんのこと、金利すら払えないというので、その利子補給という制度ができまして、金利だけは払わないと銀行としても困るじやないか、運転資金を借りに行つても、運転資金も貸してくれないということになると、船会社としては一切営業ができない、外国との競争にも完全に負けてしまうというのでそれができているわけでございまして、ただつくつているというのは、もつてのほかの言い分でございます。蛇足になりますが、ほかの電気その他の産業は、船と同様に財政資金を使つております。しかし御承知通り、これは国内の独占事業でございまして、もしその会社が利益が上りませんと、すぐに一般消費者の負担において料金を上げて、一割配当を維持しているというのが現状であります。ところが船会社は、悲しいかな国際企業でございますから、そういう措置もとれない。一切自由競争で、裸で競争している。従つて金利も払えないという状況でございます。
  146. 楯兼次郎

    ○楯委員 今岡田政府委員の言われたことは、なるほど私はその通りだと思う。ところがそれを裏づけをするには、先ほど竹谷委員質問をいたしましたように、一次から五次までの債権が国の所有権となつて債権の返還はわからない、こういうあなたの答弁ですが、これは常識的に、大体どういうふうな条件で返還するかということは、あなたは監督官として知らなければならぬと私は思う。その回答がないうちは、これは払えなければ払わずにおいて、ただもらつてもしかたがない――しかたがないじやなく、ただもらえるのだ、こういう解釈も成り立つと思います。それから昨年の約二十六億の、いわゆる開発銀行利子の分、あなたは二十一億あるのだ、こういうことを言われたが、一体それの返還はどうだ。これも明示をしていないからわからない。それは大蔵省が適当に一という字句は使わないが、大蔵省がやるから私はわからない。こういうことでは、常識的に私は通らないと思う。しかもこの問題が起きましたのがきのうやきようではない。すでに一月も二月も前から問題になつている。だから常識的にでも、こういう二十一億の金はどういうようにして返済をするのか、あるいは一次から五次のいわゆる国の債権になつているものについては、どういうような条件で返済をして行くのだ、こういうことくらいは常識的にでもあなたは答弁してもらわなければ困る。これはあなたは知つていると私の方は考えているが、この点どうですか。
  147. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 返済の条件は、ただいま申しましたように、大体十年のうちに船会社が国から買い取る、こういうことになつているわけです。これは国の持分ですが、実際は債権のような形で、それに対して五分五厘の金利を払つております。そういう条件です。しかし竹谷先生のお尋ねは、今までそれに対してどれだけ返したかという金額をお聞きになつたと私は承知しております。その金額は、私は今存じませんから後ほど調べて申し上げます。条件をお聞きになつたとは、私承らなかつた次第であります。それから二十一億の方は、六分五厘と三分五厘の差三分に相当するものが二十九年度においては約二十一億になる。これをいつ開発銀行に払うか。その船会社の経理といいますか、採算がどういう状況なつた場合にそれを取立てるか、こういうことについては、開発銀行大蔵省の方で今検討中でございます。
  148. 楯兼次郎

    ○楯委員 それがわからないと今までの話がむだになつてしまうわけです。だから、先ほど正木委員がたくさんの資料を御注文になりましたが、ぜひこの一次から五次までの国の所有権となつておるものの債権の返還、それから二十一億の返還について、ひとつ具体的な資料を出していただきたい。これは委員長を通じてお願いしておきます。次にお聞きをしたいことは、私ども新聞、雑誌を見てみますると、海運は戦前の六百三十万トンでありまするか、それまでに回復をしなければならない。日本の海運が諸外国に比して負けて行かないようにどんどん発達をさせなくてはならないという意図はわかるのです。意図はわかるのだが、新聞、雑誌によつて見ますると、一向に増収になつておらない。というのは、これは違つておるかもわかりませんが、一つの雑誌を見ましても、各会社とも赤字が出ておるか、大してもうかつておらない。しかもそれではこの融資を受けたものの償却返還をやつておるかというと、それもやつておらない。こういうようにもうからない、この借金も返さない会社がまたどんどん小船をつくつておる。日本の海運を振興しなければならないという意図はわかるのでありますが、現実の問題として非常に割切れないものを私どもも覚えるわけでありまするが、こういう点について担当者としてはどういうお考えであるか、お聞きをしたいと思います。
  149. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運会社が借り入れた金を返済できないのは、市況が悪くて採算がとれないからでございます。ではなぜ日本海運会社採算がとれないかと申しますとさいぜん大臣が言われたように、今つくつておりまする船は全部借入金でつくつた、その金利が高かつた、だから金利だけの支払いに追われて元金も払えない、そのもとは何かと言えば、戦時補償で打切られた二十五億、現在の価値に換算しますと五千億からの金を打切られておるそういうところに一つの原因がある。もう一つの原因は為替レートの関係もあるかと思います。御承知通り海運は、外貨もしくは外貨建で運賃を受取る。しかも外貨で払うべきものはわずかに二〇%ぐらい、そこに三百六十円レートで縛られておりますと、開運というものは非常につらい立場になる。これはほかの産業とは非常に違う特質を持つている。もしレートが五百円になりますれば、利子補給なくしてかつ配当ができるだろう、かように私どもは考えるわけです。従いまして、こういうようなもうからない船会社につくらせるのはけしからぬではないかというふうなことになりますと、では国がつくるか、こういうことに相なるのでございますが、この点につきましては、いつか大臣が仰せられましたように相当検討を要する問題で、そう簡単に考えるべき問題じやない、かように私ども考えておる次第であります。
  150. 楯兼次郎

    ○楯委員 ただいまの回答では納得ができない。それはどういうわけかといいますと、終戦後相当年月がたつておるわけであります。これが一年や二年の実績ならば、あるいは今岡田さんの言う答弁を私は了承します。ところが相当の年数がたつてつても、赤字赤字でもうかつておらない。それもほかの方へ借入金を返すとかいろいろな問題に使うのなら納得が行くのでありますけれども、そうでない。そうしますと、残念ながらそれだけの需要がないということに帰結するだろう、需要がない船をまた国家資金によつてつくるということは、理想はともかくとして、現実にはマッチしない、こういうように私は考える。もう一回この点について簡単でけつこうですから、御答弁願いたい。
  151. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 需要があるかないかということは、荷物があるかないかということですが、日本船会社は、荷物はあり余るほど持つておるが、ただ運賃が安いだけであります。
  152. 楯兼次郎

    ○楯委員 それではこの点は了承します。  いま一つ私お聞きしたいのは、これもある雑誌に出ておるわけですが、今の岡田政府委員答弁によつて符牒が合つて参ります。それはどういうことかといいますと、利子補給について実際の赤字補給をするのではなく、経理操作によつて償却前の赤字を出し、この恩典を受けることができる、そういうような考え方でやつて参りますと――一つの具体的な例を、雑誌によつて大阪商船の場合にとつてみます。簡単ですからちよつと読んでみます。聞いておつてください。「たとえば、大阪商船の利子補給対象借入金は、開銀二十九億二千万円、帝銀二十億六千万円であつて、二十八年三月期は償却前の損失が一億三千八百万円であるが、同年九月期の利子補給は四千五百万円、以後半期の補給金は一億五千万円である。とすれば、同社の昨年三月期の業績程度なら、この利子補給でプラスが出る勘定である。」こういうことが報道されておる。ところが戦時補償打切り云々ということを計算に入れてやつて行くと、こういう雑誌の言つておる面が出て来る、こういうふうにとれるわけですが、ひとつ御回答を願います。
  153. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 三月期の赤字一億何千万円というものは、おそらく償却前の赤字だろうと思います。それだけ金利が払えない。従いまして、利子補給を受ければプラスが出るというのは、利子が払えて、ごくわずかであるが、償却にまわせる、換言すれば、元金の返還に幾分かまわせる、こういうことだろうと思いますが、その金額にしてもごく微々たるもので、おそらく大阪商船の半期の償却額というのは七割くらいだろうと思います。それに対してプラスになるというのはおそらく二、三千万円くらいのものじやないかと推察するのでありまして、とるに足らないものかと思います。
  154. 楯兼次郎

    ○楯委員 もう二点ばかりお聞きしたいのであります。新聞、雑誌によつて見ましても、先ほど各委員質問に対してあなた方は否定をされておりましたけれども、六次以降の造船の割当について一覧表によつて見ますと、これは臆測でありますが、なるほど現大臣あるいはその他の政界の主要なる方のタッチされておる会社に対しての割当は確かに多い。こういう点について、もう先ほど政府委員より答弁がありましたので私は聞こうとは思いませんけれども、こういうような考え方から、今疑惑を生じておりますところのこれらの会社に対しては、二十九年度の十次割当について何とかお考えになる意思があるかどうか、この点をお聞きしたい。
  155. 石井光次郎

    石井国務大臣 この間の九次の後期の一番近いところで見ましても、閣僚が前に関係しておりました船会社等はほとんどみな抜けておることはごらんの通りであります。これは私ども故意にのけたというほどの含みはないのでございますが、いろいろやりまして、同じような条件であるならば、閣僚の人のは遠慮するという線に入れたことは事実でございます。そういうふうな心持も加えてきめたわけでありますが、今後の場合に閣僚並びに政治に関係のある人たちのところを除けということでございますが、それは実際に当つてみないと何とも申し上げられません。含んではおります。
  156. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 先ほどの答弁を要求した中で、船会社はちつとももうからない、いつまでたつても赤字だ、従つて政府融資に対する償還見通しもない、こういうようなものにどんどん国民の納めた税金を使うということは、償還能力がないということを知りつつ貴重な国家投資をするということになりますから、それは保全経済会が赤字でちつとももうかつていないにもかかわらず、そり当事者が大衆の金を集めてあれだけの損害をかけた、私はこれと同じようなケースになると思うのです。そういう意味から償還計画いかんということをお尋ねしておるのでありますけれども、これに対しては大蔵省の所管だ、こういうお答えでありますが、運輸大臣どうですか。この融資に対する償還計画なるものは当然お持ちになつてしかるべきだと思いますが、どうなつておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  157. 石井光次郎

    石井国務大臣 実際において払えないのが現状でございますが、銀行とそれから船会社との間におきまして、借金をする場合にどういうふうにして払うということの契約は必ずあるはずだと私は思います。それは約款を見ませんからはつきりしたことは申し上げられませんが、あるとき払いの、ないときは知らぬというような契約はないはずだと思います。必ず一応五年とか七年とかいうことはあるはずであります。これが実際上にできないものでありますから、延ばすという方法をとつておると思います。
  158. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 私が申しますのは、やはり国家がその利子を補給するのでございますから、従つてその償還計画というものがなければ、無制限に無期限にいつまででも利子補給をやらなければならぬという結果になるのであります。そうなりますと、結局そんな償還見通しも立たない、計画もない、こんなものに無制限に利子を補給しで行くということは、国民の大切な税金を無制限にそこへつぎ込むということになりますから、国民は承知をしないことになると思うのです。ですから利子補給をしてやる限りにおいては、当然その償還計画なるものは完全に立てられていなければならないものだ、こういうふうに信ずるのです。ですからお尋ねしておるのです。ところがそれが明確にされないということになれば、国民はいつまでも船会社の資産をふやしてやつて、そしてその資産に対する保障のためにいつ芸で国民がこの血税を船会社につぎ込まねばならぬのか、こういう不安を持つと思うのであります。そこを心配いたしますから、計画はどうか、私はこう尋ねておるのです。
  159. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 開発銀行の場合は、先ほど言いましたように現在では二年すえ置き十三年になつておりますが、三年すえ置き十二年になつておりますか、そういう年度に毎年均等に返して行くということになつております。それから市中の場合は三年あるいは五年かに返すという契約になつております。従いまして、船会社支払い能力があればその期限に返すということになつております。利子補給の方は、かりに船会社が力がなくて返さなくても、毎年一割ずつ返したものとして、そして減らした額に利子補給をするということになつております。従つて初め十億借りまして、次の年度もちつとも返さないで十億そのまま残つているというようにいたしましても、利子補給は九億に対して六分を補給するというふうにいたしておりまして、無制限に補給するわけじやございません。それから利子補給の年限は、年度からしますと八年間にわたりますけれども、まるまるの年間は五箇年で打切るということになつております。
  160. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それでは時間がありませんので、委員長から確認されれば、あとはあすの質問に留保いたします。しかし今の答弁資料を提出していただくようにお願いいたします。  それからさつきの大臣の答弁で、一つこれだけは質問を許してもらいたいと思うのですが、市中銀行融資について、こういう疑獄事件等の問題が起きたので将来心配な点がある。こういうように御答弁をなすつたのです。これは非常に不安を与える問題でありますら、どの点が心配なのか、簡単にそれだけをお尋ねいたします。
  161. 石井光次郎

    石井国務大臣 昨年の終りごろだつたと思いますが、銀行業の関係の人たちが参りまして、二十九年度造船に対して市中の融資をできるだけ少くしてくれ、担保力を増してもらいたいという点の要求書を持つて来てあるのでございます。これは私の手元にそのまま預かつておるのでございますが、できれば今までの市中融資三割を幾らかでも少くするようにしてくれぬかという希望があつたのでございます。しかしそういう問題が、こういうふうな騒然たる状態になりますと、ぜひ自分の方の融資を少くしたいというようなことを、特に強く言われるのではないということはあるわけでございます。しかしこれは今後の交渉の問題でございます。
  162. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それではお尋ねをいたしますが、その市中銀行の問題につきましては、ただそれだけではなくて、リベートの問題序が起きまして、そういうふうなことは今後行われないということになつたので、銀行の方ではそれだけ利回りが少くなるというようなことから、それに原因をしてそのませんので、委員長から確認されれば、あとはあすの質問に留保いたします。しかし今の答弁資料を提出していただくようにお願いいたします。  それからさつきの大臣の答弁で、一つこれだけは質問を許してもらいたいと思うのですが、市中銀行融資について、こういう疑獄事件等の問題が起きたので将来心配な点がある。こういうように御答弁をなすつたのです。これは非常に不安を与える問題でありますら、どの点が心配なのか、簡単にそれだけをお尋ねいたします。
  163. 石井光次郎

    石井国務大臣 昨年の終りごろだつたと思いますが、銀行業の関係の人たちが参りまして、二十九年度造船に対して市中の融資をできるだけ少くしてくれ、担保力を増してもらいたいという点の要求書を持つて来てあるのでございます。これは私の手元にそのまま預かつておるのでございますが、できれば今までの市中融資三割を幾らかでも少くするようにしてくれぬかという希望があつたのでございます。しかしそういう問題が、こういうふうな騒然たる状態になりますと、ぜひ自分の方の融資を少くしたいというようなことを、特に強く言われるのではないということはあるわけでございます。しかしこれは今後の交渉の問題でございます。
  164. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 それではお尋ねをいたしますが、その市中銀行の問題につきましては、ただそれだけではなくて、リベートの問題序が起きまして、そういうふうなことは今後行われないということになつたので、銀行の方ではそれだけ利回りが少くなるというようなことから、それに原因をしてそのような申入れがあつたのではないかという疑いが生じて来るわけでありますが、それについて明確な御答弁をお願いしておきたいと思います。
  165. 石井光次郎

    石井国務大臣 銀行がリベートがなくなるから貸すことをいやがるだろうというようなことは私今初耳でございますが、そういうことが銀行業者と、ほかに貸している方にあるとは承知いたしておりませんし、たとえば今度のようないろいろ造船界の話の起る前の銀行業者からの言い分でございます。それは昨年あたりからも、自分の方の融資が多くて、手元の金がなかなか苦しいのだから、ひとつ少くしてくれぬかという話はずつとあつたわけです。この間に書面をもつてそういうことが言い出されているのです。あなたのおつしやつたようなことから来ていることはありません。
  166. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 水産庁にお伺いいたします。最近東支那海あるいは日本海のいわゆる李ライン、あるいは台湾の近海等の各所におきまして、公海上における資源開発に非常な圧迫を加えられているという事情があるのであります。これに対して海上保安庁の巡視船が巡視をして、その保護に当つているように承るのでありますが、その実際公海上の資源開発のための保護策は、水産庁並びに保安庁でどのように行われているか、お伺いをいたします。
  167. 清井正

    ○清井政府委員 ただいま御質問の主として東支那海を中心とする問題でございますが、これは御指摘の通り李承晩ラインが一方的に韓国から宣言されまして、そのラインの中では日本漁船が漁業をやつてはならない。そこに韓国の主権を行使するという宣言が一方的にされているのであります。この問題がわが国の漁業発展上、また公海に不当に広汎にわたりまして沿岸国が主権を主張するという意味において、国際法上きわめて重大な問題であることは御指摘の通りであります。私どもといたしましては、同方面がわが国の漁業上、特に西日本方面の漁業上にきわめて重要な影響を及ぼすものでありますので、同問題の解決につきましては、外務省等を通じまして成規な日韓の漁業会談をもつてこの問題を円滑に解決いたしまして、もつて日本の漁船が同方面に安全に漁業し得るようにということを考えているのでございますが、遺憾ながら同会談は先般決裂になりまして、再開を見ないままで今日になつているのであります。ところで同方面におきます漁業の操業状況は、はつきりした数字は私どももつかみ得ないのでありますが、御承知のような李承晩ラインの宣言が続いておりますので、同方面におきましてはほとんどわが国の漁船は操業ができないという状況になつているようでございます。  また同時に中共関係におきましても、しばしばわが国の漁船が拿捕されるというような事態がございます。東支那海方面は、韓国の方と中共の方と両方の関係で、主として東支那海の北部方面においては非常に漁業に不安を感じておりまして、同方面に操業しておりました漁船は主として南方に移動いたしまして、今集団的に漁業をやつているような状況であります。  さて国府方面は、同方面に向いました船が拿捕されるということは最近ございませんが、同方面におきましても一種の戦闘上必要な海域というものを指示しているようであります。しかしその海域は、日本漁船が入りましてもすぐ拿捕されることはないようでございます。今のところ安全なようでございますが、これまた特殊な事情にあるところでございますので、実は完全に不安なしということも言い得ない状況でございます。  以上御説明申し上げましたように、韓国は李承晩ラインがそのままになつてまだ解決しない。中共の方でも拿捕船が時々あり、南方の方も必ずしも絶対に安全だとも言えない場合もあるということであります。同方面に操業しております漁船の安全につきましては、私ども非常に腐心いたしておるのであります。  そこで現在の段階といたしましては、韓国につきましては、会談の成規な方途によつて解決を見ることが第一でございますが、さしあたり水産庁の監視船がございますので、水産庁の監視船を同方面に派遣いたしまして、海上保安庁の巡視船と共同いたしまして、同方面に出漁いたしております漁船の保護に現在当つているような状況でございます。
  168. 山口傳

    山口(傳)政府委員 ただいま李承晩ラインあるいは東支那海方面の漁業につきまして水産庁長官からお話がございましたが、これらの方面の漁船の保護につきまして、私の方の巡視船も相当の犠牲を払つて増派をいたしまして、これに当つているわけであります。御承知のように去年の九月の李承晩ランのやかましかつた時分には、済州島の主として東側で事件が起つたのであります。その後あじ、さばの漁が過ぎまして、去年の十二月ごろから今年の四月ごろまでと思いますが、以西底びきが漁期に入つております。主として東支那海に移りまして、李承晩ラインと申しましても済州島の西側、それからずつと西にかけての漁場であります。李承晩ラインがやかましくなりまして以来、海上保安庁としては現場に常時五隻程度出しております。しかし先ほどお話のようにすでに済州島の西側の漁期はほとんど終りましたので、日本の漁船もほとんど出ておりません。現在では重一が東支那海に移つておるわけであります。今日では巡視船はその後増強もいたしまして、東支那海だけに常時五隻くらい出しております。それで水産庁の監視船と共同して保護に当つております。出漁の状況は、朝鮮海域といたしましてはほとんど出漁が行われておらない。東支那海方面では底びき漁船が――これは巡視船からの情報でございますが、約百四十組、トロール船が約二十隻、全体で約三百隻が毎日操業を行つているというのが現状であります。この漁船は主として上海東方から南東方に至る中共沿洋五十ないし百海里の海域で操業しております。その他済州島の西南方百海難の、いわば西部の李承晩ラインでありますが、その附近が現在約百四十隻程度、それから青島の南東二百海里附近で――これは農林漁区の百三十区というところでありますが、ここで約四十隻くらいが大体終結しながら、集団操業をしているというような現状でございます。これらに対しての保護といたしましては、むろん従来から水産庁と連繋をとつて保護に当つておりますが、水産委員会からの御要望等もあり、現在では門司にこれらの保護対策の本部みたいなものを置きまして、水産庁の福岡の漁業調整事務所からも人を派遣していただくような話が今ほとんどきまつて、これから一層緊密な連繋がとれることだと考えております。
  169. 山口丈太郎

    山口(丈)委員 ちようど時間になりましたから、残余の質疑あとに延期していただいて、本日はこれで終ります。
  170. 關内正一

    關内委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会