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1954-02-15 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十五日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 岡部 得三君 理事 山口丈太郎君    理事 竹谷源太郎君       岡本 忠雄君    高橋圓三郎君       徳安 實藏君    南條 徳男君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       松浦周太郎君    正木  清君       中居英太郎君    吉川 兼光君       館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         海上保安庁長官 山口  伝君  委員外出席者         議     員 高橋 英吉君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月十三日  委員世耕弘一辞任につき、その補欠として石  橋湛山君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として加  藤鐐五郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十一日  稚内整備促進に関する請願松浦周太郎君紹  介)(第一一三七号)  同(武田信之助紹介)(第二三八号)  南矢代地内にデイゼルカー乗降場設置請願(  有田喜一紹介)(第一一三九号)  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願(倉石忠雄紹介)(第一一四〇号)  同(迫水久常紹介)(第一一四一号)  新宮、若桜間に鉄道敷設請願堀川恭平君紹  介)(第一四二号)  上越西線再調査に関する請願北れい吉君紹  介)(第一一四三号)  義務教育生徒通学乗車船賃割引に関する請願(  柳田秀一紹介)(第一一四四号)  合津港しゆんせつに関する請願園田直君外二  名紹介)(第一一四五号) 同月十二日  青森工業港整備に関する請願山崎岩男君紹  介)(第一二〇四号)  苫米地地内に信号場設置請願山崎岩男君紹  介)(第一二〇五号)  小湊港使用開始に関する請願山崎岩男君紹  介)(第一二〇六号)  大湊線及び大畑線旅客貨物列車増発等に関す  る請願山崎岩男紹介)(第一二〇七号)  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願(古井喜實紹介)(第一二〇八号)  同(小林かなえ紹介)(第一三二〇号)  同(前田正男紹介)(第一三二一号)  国鉄大畑線大間まで延長の請願山崎岩男君  紹介)(第一二一〇号)  大間修築等に関する請願山崎岩男紹介)  (第一二一一号)  稚内整備促進に関する請願推熊三郎君紹  介)(第一二一二号)  青函航路貨物運賃改正に関する請願椎熊三郎  君紹介)(第一二一四号)  羽越線経由青森、上野間に急行列車運転請願  (山崎岩男紹介)(第一二一五号)  国鉄越美北線中南福井駅東側に駅設置請願(  齋木重一君紹介)(第一二八〇号)  京都、草津間に電車運転請願堤康次郎君紹  介)(第一三二二号)  鵜飼港修築工事継続に関する請願南好雄君紹  介)(第一三二三号) 同月十三日  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請  願(舘林三喜男紹介)(第一三七八号)  同(赤澤正道紹介)(第一三七九号)  同(勝間田清一紹介)(第一五四八号)  同(岡村利右衛門紹介)(第一五四九号)  同外五件(大橋武夫紹介)(第一五五〇号)  同外一件(楯兼次郎君紹介)(第一五五一号)  日豊本線にデイゼルカー運転等請願願池田  清志君紹介)(第一三八〇号)  酒田港しゆんせつに関する請願池田正之輔君  外一名紹介)(第一五四五号)  宇和島港修築に関する請願井谷正吉君外一名  紹介)(第一五四六号)  豊永駅、久生野間等国営自動車運輸開始の請  願(長野長廣紹介)(弟一五四七号)  鹿児島本線東郷駅、赤間駅間に駅設置請願外  二件(熊谷憲一紹介)(第一五五二号)  の審査を本委員会に付託された。 同日  モーターボート競走法における国庫納付金低減  に関する陳情書(  第六五八号)  小樽、札幌、岩見沢間ディーゼルカー運行に関  する陳情書(第六  五九号)  仙山線全線電化促進に関する陳情書  (第六六〇号)  予讚線並びに土讚線準急行列車の増設に関する  陳情書(第六六一  号)  四国循環鉄道敷設並びに各線電化促進等に関  する陳情書(第六  六二号)  一福岡、東京間に特別急行列車運転に関する陳  情書  (第六六三号)  下関基地関釜連絡航路再開に関する陳情書  (第六六四号)  北九州地域における国鉄電化に関する陳情書  (  第六六五号)  地方鉄道軌道整備法予算措置に関する陳情書  (第六六六号)  道路運送法中の一部改正促進に関する陳情書  (第六六七号)  自動車運送事業免許制廃止反対に関する陳情  書(第六六八号)  国内航空路線拡張に関する陳情書  (第六六九  号)  大分飛行場開設に関する陳情書  (第六七〇号) を本委員会に送付された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関する質疑を続けます。本日は海運関係質疑を行う予定でありましたが、先般保留になつておりました正木君の質問を、この際許すことにいたします。正木清君。
  3. 正木清

    正木委員 私は前回の当委員会におきまして、日本交通公社国鉄との切符代価契約に基く経理状況等について、当局質問をいたしたのでございましたが、当局側から詳細なる、納得し得る回答を得ませんので、資料を要求いたしまして本日に至つたわけでございます。そこで、私の納得する全体の資料はまだ出て参りませんが、出て参りました資料に基いて当局側質問を試みるわけでございますが、事こまかい数字に関することでございますから、その点委員長もお含みの上で議事を進めていただきたいし、当局側も十分に数字を基礎にして、私の納得のできる答弁を、切に要求して質問に入ります。まず第一に私のお尋ねをいたしたいと思いますことは、国鉄日本交通公社切符代売契約その他の事柄について、長年の間一つ契約に基いて実行されて来たわけでございますが、御承知のように日本交通公社が、当然国鉄納入すべき切符売上げ代金を、他の方面に流用した。具体的に申し上げますと、不良の事業に投資をし、あるいはこれを浮貸ししたというようなことが、巷間もつぱら伝わつておりまするし、すでに日本交通公社のかつて責任者が、検察当局によつて検挙されたということをも、私は新聞で承知いたしておるわけでございます。従つてこれらの問題を通じて、国鉄日本交通公社との関係を当委員会において明瞭にいたしますことは、私の責任でもあり、同時に当局責任でもあると思いますので、この点に関して、今日まで国鉄日本交通公社がどのような契約のもとに、どのように経理が運営され、そして現在においては、一体どのような決済の処置がとられておるのであるか。過去において、巷間伝わるような忌まわしい事実があつたのかなかつたのか、これを総括的に質問をいたします。
  4. 石井昭正

    石井説明員 交通公社との契約は、御承知のように、当初は交通公社国鉄切符代売いたしました金額に対して、国鉄が五%の手数料支払つてつたのでございます。しかし終戦当時、国鉄経理事務が、疎開の関係あるいは人員不足関係で非常に遅れましたために、公社に対する手数料支払いが遅れまして、公社といたしましても非常に困つたのでございます。それを打開いたします方法といたしまして、運輸収入計算を一応交通公社の方が受持つというかつこうにいたしまして、そのかわりこれを翌月の末日までに納めるという方法に改めて参つたのでございます。ところが昭和二十四年になりまして、当時の占領軍関係のいろいろな御意見がございまして、交通公社に払う手数料を、国鉄経理状態が改善されるまでやめろという強い指示があつたわけでございます。これに対しまして、手数料を払うということは、これは代売業者に対する世界的な一般の慣例でもございますし、事実それだけの経費がいるのでございますから、従つてこれをやめるということは、率直に申しまして、交通公社代売に関する部門についての設備なり人員なりを、全部やめてしまうということにならざるを得ないわけであります。同時にそれだけの量、国鉄業務量がふえるというようなことにも相なるので、いろいろ検討いたしました結果、とにかく旅客に対するサービスその他から考えまして、公社もまた鉄道といたしましても、これをやめるわけにも行きかねるし、また交通公社の使命から見ましても、外客誘致その他海外宣伝等仕事行つている母体がつぶれるということもいかがかということになつたので、一応その難場を公社経費節約で切り抜けて行くとか、あるいはまた旅客サービスに対して、若干の手数料旅客の方からいただくとかいうような方法を講じて切り抜けて行くというようなことにいたしまして、やむを得ず手数料廃止をいたしたのでございます。ところが実際は、公社といたしましていろいろやつてみますと、そういうような手段で経理内容を切り抜けて行くことがなかなかできかねたのでございまして、同時に公社といたしまして、結局いろいろな事業収入をもつて、ただいま申し上げました代売手数料廃止にかえなければならぬというようなことも、一生懸命にやりましたあまり、何と申しますか、あまりやりつけないものが商売をしたというような結果といたしまして——たとえば雑誌の取次販売というようなことをいたしましたり、あるいは若干各方面への投融資というようなことをいたしましたが、その結果、率直に申しますとうまく参りませんで、公社経理状態が非常に悪化して参りました。これに基きまして国鉄への納入金も、納入期日にだんだん遅れるような状態が出て参つたわけでございます。それでいちはやくそれに気がつきましたので、国鉄といたしましては交通公社担当者その他経理内容を精査いたしました。その結果とりました処置といたしましては、一応手数料につきましても、漸進的にCTS方針——CTSと申しますのは当時国鉄を監督しておりました民間運輸局でございますが、その方針もその後若干緩和されて参りまして、そういうことから両々相まちまして、手数料も少しずつ出すようにいたして参りました。それと同時に交通公社に対しましては、そういう事業をやつておりまして損をするような事業を一切打切りをさせ、整理をさせるというようなことをいたしまして、また同時に貸出しというようなことも一切やめさせ、そうして当時その経理責任に当つた人は職を去つていただくということをいたしました。公社自体といたしましては、人員の縮減、経費節約等を十分に行つて、この滞納をなるべく早く正常な姿に復するように努力させ、同時に売掛あるいは貸付等によつて、焦げつきと申しますか、回収困難となつて参りました分に対しては、毎年度一定額雑損償却とでも称しますか、金額を計上いたしまして、これを早く解消するというふうに持つて参るようにいたしました。また国鉄といたしましては、ちようど公社延納分が当時東鉄一局の分の滞納額にほぼ見合いますので、この分に対しましては、特に納期を一箇月延長いたしまして、資金操作の困難な点についてめんどうを見てやると申しますか、そういうことにいたしまして、逐次その期間を早く詰めるように努力して参つて、御承知のように昨年の十月からは完全に元通り納期というところまでこぎつけることができたのでございます。そのほか国鉄といたしましては、一般的に今まで地方鉄道局ことに納期を指定してとつておりましたので、全体としての整理上、公社納金状態が正確につかめないので、二十五年の六月から本庁一本で支払いの要求を出すことにいたしまして、それ以後は本庁で全部目を通しておりました。同時に交通公社に対しましては、鉄道納付金に対しまして特別預金制度を設けまして、その命を他に流用することがないように指導して参つているという状況でございます。
  5. 正木清

    正木委員 経過については抽象的な答弁があつたわけですが、私はこれから具体的に質問を展開いたしますから、簡潔に具体的に答弁を願いたいと思います。そこで国鉄として——当時は運輸省であつたわけですが、日本交通公社諸般事情はあつたろうけれども、当然国鉄納入すべき切符代売金を多額に滞納したる事実を発見したのは何年の何月であつたのか。まずこれが一点。従つてその発見をしたときの月末の滞納総額は一体どれだけであつたのか。それから今局長答弁によると、事重大と見て当局日本交通公社の再建のために努力をした、こう言われるから、従つて日本交通公社が回収不能に近いような不良と見らるべき諸般事柄に融資をした、この額はその発見した当時一体どれくらいあつたのか、この点も答弁を願います。
  6. 石井昭正

    石井説明員 私当時の事情を詳しく承知いたしておりませんので申し上げかねるので、はなはだ恐縮でございますが、そういう措置をとりましたのは二十五年の六月でありましたので、当時における延納額が、そういう特別の措置をとらない場合におきましては、大体六億七千五百万円でございますので、約七億円程度と考えられると思います。またその当時不良貸付あるいは売掛代金未済というような焦げつき、どのくらいあつたかというお尋ねでございますが、実は当時としての記録を私存じませんが、二十七年度末の決算におきまして私どもがいろいろ推定しますと、少くとも三億から三億五千万円程度じやなかろうかと思いますが、これは全部が全部回収未済かと申しますと、必ずしもそうとは言い切れない。すぐこれを損金として償却してしまうのはあまりに乱舞ではないか。もつと努力して回収すれば、まだ回収できるものも相当あるかと思います。しかし一応すぐ回収することは困難であると思われるものが、大体そのくらいでございますから、それまでにいろいろ努力いたしまして、特損償却あるいは回収促進等をやつておりますから、大体それから推察いたしますと、やはり五億程度のものが当時としてはそういう状態なつていたんじやないか、かように考えられます。
  7. 正木清

    正木委員 そこで私の質問はさらに具体的になります。国鉄当局日本交通公社に実際に手をつけたのが二十五年の六月、こういう答弁でございました。この国鉄から提出を受けました資料でも、二十五年六月累計が六億七千五百六十二万三千円、かりにこう押えましよう。そこで私は重ねて具体的に質問をするわけですが、二十四年の四月の未済額が八億五千四百四十六万八千二百三十九円五十銭と私は見ているのです。そうしますと、ここが非常に問題になつて来るのですが、二十四平の六月一日に新契約を結んでいるのです。二十四年六月一月と二十六年一月三十一日に新契約を結んでいるのです。そうしますと、二十四年の四、五、六と行きまして、この六月にどういうことになつているかというと、あなたから出された資料によると、五億六千七百万円になつておる。この二十四年の六月の契約と、その以前の契約関係説明を願わなければならないし、この二十四年の六月一日に結んだ契約によると、こういう契約書がかわされておる。乙が甲の指定する期限までに取扱い収入金納入しないときは、乙はその遅延日数に応じて百円につき日歩十銭です。これは非常に大きい金額になります。こういう契約書がかわされておる。そうしますとこの二十四年の六月の帳じりの五億六千七百万円に対しては、当然当のこの契約に基いて日歩十銭の延滞金国鉄はとらなければいけない。よろしゆうございますか。このとつ延滞金国鉄経理局のわれわれに出された資料の中に現われて来ておるのか、この点を具体的に明瞭にしていただかなければなりません。
  8. 石井昭正

    石井説明員 お答えいたします。お手元に差上げました二十四年度中の代売金納入状況は、発生額とございますのは二十四年の四月中に公社が売りました金額でございます。それをいつ納めるかと申しますと、これは当時本庁で一本でやつておりませんので、各地方鉄道局ごと計算をいたしまして、そうして計算ができ上りましたときに、納入の通知を交通公社に各地方鉄道局が発したわけです。その発しましたのがあるいは五月中であることもあり、六月中になつているところもあるわけであります。その各鉄道局がきめました納期従つて分類いたしましたのが、第二欄の納期到来額でございます。従いまして、四月に売り上げました八億五千万円がほとんど大部分は五月中が納期なつておりますが、局によりましては六月中、六月一日とか三日とかというのが納期なつておるのもあるのでございます。そういうふうに組みかえまして、全部計算し直しましたのが納期到来額でございます。その納期中に私どもの方は納入があれば、延滞償金はとらないということに相なつているわけでございます。従つてこの納期到来額に対しまして、実際の納入額との差が遅延額でございます。これが各鉄道局ごとにいつ納まつたかというとは、これはなかなか調査しにくいのでございますが、一応その間につきましては、御説のように、たとえば六月五日が納期なつておるのに、六月六日に納まつたといたしますれば、一日分の延滞償金は当然とらなければいけない、こういうことになるわけであります。
  9. 正木清

    正木委員 そこで二十四年の四月、この八億五千四百万円はあなたの説明通りに承りましよう。五月もその通りに承りましよう。そうしますと、五月に納期到来額が八億一千百万円で、これに対して納入分が五億七千百万円ありましたから、当然百円について日歩十銭の延滞利子をとるべき金額がここに二億三千九百万円出たわけですね。そうするとこの二億三千九百万円に対して百円について日歩十銭とすると、利子総額延滞総額ですね、これは幾らになりますか。
  10. 石井昭正

    石井説明員 これは五月中と申しましても、五月末日納期のものもございます。それから六月中と申しましても、六月末日のものもございますし、十五日のものもございます。従つてそれを集めて書きましたもので、たとえば五月の未納額といいますのは、かりに六月一日に納められているといたしますれば、これにつきまして一日だけの延滞償金だけしかかからないことになつています。ところが実際それではいつ入つたかということでありますが、これは当時全部各地方鉄道局長のところで仕事をいたしておりますので、私どもの方といたしましては、正確な計算書を持つておりませんので、ちよつとわかりかねるのでございます。
  11. 正木清

    正木委員 そこでこの五月の帳じりが二億三千九百万円の未納額があるのだ、そうすると今度六月へ来て発生額で四億二千八百万円しかないわけですね。これも一応事実として認めましよう。そうするとこの六月の末の三千百万円というのは一体どうなのか。四億二千八百万円に対して、納期到来額が五億九千幾らです。そうすると前の五億七千百万円と四億二千八百万円、この点が若干数字に違いがあるのじやないか。よろしゆうございますか。未納額が前期の末で二億三千九百万円あるのでございます。発生額が四億二千八百万円で、納期到来額の五億九千八百万円自体がおかしい。そこへ持つて来て、納入額が五億六千七百万円だから、差引千百万円だと、こういうのですが、発生額が四億二千八百万円しかありませんよ。ところがだれが考えてみても、前月の末の未納額と六月の末の未納額累計で現われて来なくちやならぬ。これは毎月々々切り離されるのじやない。この点が一体どうなつているのですか。
  12. 石井昭正

    石井説明員 これは未納額と申しますのは、納期までに納まらなかつた額でございます。それを逐次次の月に納めて参りますれば、未納額は解消するわけでございます。従いまして五月中に納期の来ました分で六月中に納まつて、従つて六月の納期に納まらなかつた分が今度は未納額として繰越されて行く、こういうかつこうになるわけでございます。
  13. 正木清

    正木委員 そこで局長答弁に従えば、こういうことになるのですよ。五月末に二億二千九百万円の未納額があるんだと、よいですか、それが六月になつて四億二千八百万円しか切符売上げがないとあなたの方ではこれを報告しておる。そうするとあなたの方式から言うと、四億二千八行万円から二億三千九百万円を引くと、六月の実際の売上げはわずかに一億八千九百万円しかないという計算です。こんなばかな話はない。そこでだれしも常識的に考えられることはどういうことかというと、いろいろの各地方局のものがだんだん遅れて集まつて来て、結局国鉄としての経理帳じりに六月は四億二千八百万円しかなかつた。そうするとこの納入期到来額の五億九千八百万円という金額は、すなわち五月の末の二億三千万円の未納をプラスされてあるものだとすると、ここに三億五千九百万円という違つた数字が出て来る。これはあなたの方で十分にそろばんを入れて、あとでけつこうですから御回答を願いたい。この点にまず第一にわれわれの不可解な点があります。  そこで、さらに私はより具体的に質問を展開するために進んで行きますが、国鉄日本交通公社のそうした不正の事実を発見したのが、二十五年六月だという答弁があつたわけです。しこうして二十五年六月の滞納額は、あなたが御指摘なつたように六億七千五百万円です。そうすると二十五年の六月でございますから、当然二十四年の六月一日になしたこの契約に基きまして、日歩十銭の延滞償金をとらなければなりません。この十銭という日歩で行くと、六億七千五百万円ですから、これは非常に大きな額に上ります。これは私の方からは言いません。これは一体どういう形で国鉄経理に入つているのか。そのことが資料の中に何ら具体的に出て来ておりませんが、その理由を承ります。
  14. 石井昭正

    石井説明員 二十五年の六月以降の延滞償金につきましては、別に半ぺらの紙を差上げてございますが、これはたしか二十五年の六月一日に契約をいたしたものと思いますが、ただいま御指摘になりました二十五年の六月分の納入契約に基きまして発生いたしました延滞償金は、そこに書いてございますように、二十五年中に本庁でとりました分は一千二百万三千円と延滞償金計算してとつてございます。これは七月分から本庁でやりましたので、従いまして実際に納入されたときにとつておるものでございまして、十月と申しますのはつまり七月分に対する未納金の延滞償金でございます。お手元に差上げてございますようにとつてございまするこれは国鉄経理上は雑収入に入れて整理をいたしております。
  15. 正木清

    正木委員 あなたの方からいただいておる資料は、六月から十月の間を飛んでしまいまして、いきなり十月の資料しか出ておらぬのです。私はことさらにここで追究しようとするのではありませんが、私の資料請求から見ても、そうして当局が私に出した資料から見ても、当然この二十四年の六月一日で契約をいたしたもの——当時からの利子収入というものは、常識判断をすれば当然明瞭に出て来なければならぬ。ところがそのことを越えてしてしまつて、今あなたが言つたように二十五年の十月からの資料しか出ておらない。そこでこの二十五年の十月の五億一千二百八十万七千円の未納に対して、国鉄としては十月に四十五万三千三百九十一円の利子をとつておるのです。そこで私はこまかくお尋ねしたいことは、この五億一千二百八十万七千円を日歩十銭として、一体一日に延滞償金がどれだけになるか。それが月にすれば、あなたの言うように四十五万三千三百九十一円になるのか、この点をさらにもう一度はつきり御答弁を願います。
  16. 石井昭正

    石井説明員 この二十五年十月以前の分につきましては、これは各地方鉄道局でやつておりますので、詳細な資料は私ども手元にございませんので、幾らとつたかということはお答えしにくいと思います。二十五年十月以後の分につきましては、これだけでは御納得が行かなければ、こまかな計算書をいつでもつくつて説明できると思いますが、これは納めた日でもつて計算しております。何日に納まつたかということを基礎にして計算しております。それから私の手元にあります資料では、二十五年からは日歩は四銭になつておると思うのでございますが……。
  17. 正木清

    正木委員 それは非常に食い違いがありますね。あなたの方からの資料によると、昭和二十四年の六月一日から二十五年の一月三十一日、これは何かの間違いですか。これがはつきりしない。それからあなたの言う二十五年になりますと——一年おきですから、二十四年九月十五日から二十六年一月三十一日、これでも日歩十銭になつておりますが、その点の食い違いをもう一度伺います。
  18. 石井昭正

    石井説明員 お答えいたします。契約書面と別に、これは往復文書によりまして、取扱いを昭和二十五年七月十四日にいたしまして、交通公社の扱い金は六月分から日歩四銭で計算するということにいたしております。
  19. 正木清

    正木委員 それは奇怪な答弁を承つたのだが、一体二十四年の九月と、越えて二十五年にかような正式の契約を結んでおきながら、何を苦しんで今あなたの言うように二十五年の七月一日から二十六年の一月三十一日までの契約書において、さらに日歩四銭の契約に書きかえなければならなかつたのか。こういう点が世の疑惑を招くのです。そうではありませんか。政務次官、一体あなたは何とお考えになりますか。国鉄当局としては、当時あるいは運輸省であつたかもしれませんが、昭和二十四年の六月一日から二十六年一月三十一日にわたる契約書日歩十銭とる契約がきちんとできておる。続いて二十五年にもできておる。それをいきなり二十五年の七月になつてこの日歩十銭の延滞償金を、なぜ四銭に切下げなければいけなかつたのか。前の契約は一体どうなつておるのか。少くともここで疑問一が出て来るのです。ですから二十五年の十月の四十五万三千三百九十一円というものは、おそらく日歩四銭の計算でございましよう。もし日歩十銭で行くならば、一億でもつて十万円にならなければならないのであります。五億とすれば五十万円にならなければならない。月に換算するというと、百五十万円からの延滞償金が入らなければならないにもかかわらず、二十五年の十月では四十五万三千三百九十一円の延滞償金しか、あなたの計算では入つておらない。ですから、あなたはいろいろの理由をつけて、私の資料請求に対してこれから前のものをさかのぼつて提出できない、そう言われてもしかたがない。私は政務次官に一体こういうような経理——あなた方の責任ではございませんよ。前任者の責任です。前任者の責任であることは、私は百も承知をいたしておりますけれども、少くとも国鉄がこういう事態を発見したのが、二十五年の六月であるとするならば、このときになぜ思い切つて抜本塞源的に、日本交通公社とこの国鉄との経理関係を明確にしなかつたか、この点を私は責任ある政務次官並びに監督局長及び長崎総裁から答弁を求めます。
  20. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 ただいまの質疑を聞いておりますと、私たちも納得できないところがあるわけです。しかし数字上の問題ですし、あるいは途中でいろいろ契約を変更するとかいうようなことが行われたのではないかと思いますけれども、しかし常識的に考えまして、今まで日歩十銭の延滞料であつたものが、いきなり契約——相当な理由があつて四銭に変更したいということではなしに、何かうやむやにやられたような印象を私も受けるのです。しかし数字上の非常にこまかい計算なつておるところでありますから、その計数をもう少し整理して御説明申し上げれば、——これは悪いことは確かに悪いとして糾弾を受けることはあたりまえでございます。しかし、数字上の間違いは説明の足らないところがあるかもわからないと思います。もしそういうようなことがほんとうに行われておるとすれば、私たちはなはだ遺憾に存ずる次第でございます。
  21. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 逃げるようなことを言つてはなはだ申訳ないのですが、実は当時私は全然国鉄に足踏みのできなかつた人間でございます。従いまして、当時どういう経緯がございましたか存じませんが、私の想像では、この日歩十銭というのは、非常に大きな全額で罰金に近いものでございますから、どういういきさつがございましたか、私もちよつと記憶があるのですが、これは古い属官か何かに開いてみようと思うのです。何か当時検査院との間にいろいろ話がございまして、実際にとれるようにした方がいいのではないか、十銭では高過ぎるのではないかというようなことで、四銭になつたのではないかと思います。ということは、その契約書の中にもございますが、二十五年七月の定期券の契約については日歩四銭となつております。その後の二十六年の改正でも契約書日歩四銭になつております。何かそういう経緯があつたかと思いますが、そういう古い歴史を知つております者、あるいは今やめました者に聞いてみまして、はつきりいたしたいと思います。
  22. 正木清

    正木委員 政務次官及び長崎総裁は、私に対してその程度答弁しかできないと思うのです。ですから私はあなた方の責任ではないということを、この委員会で明瞭に速記にうたつている。但し、この数字を基礎とした事実は否定できない。そこで重ねて私は局長お尋ねするのであるが、あなたはほんとうのことをここで答弁しておらぬのです。答弁しなさい。そうすれば私はしいてこれ以上追究いたしません。あなたは二十五年の六月に、日本交通公社が当然国鉄に支払うべき切符売上げ代金を、他の方面に流用しておるという事実を発見して、国鉄としては日本交通公社経理内容を監査し、日本交通公社の再建をはかつたと、あなたはこの委員会で私の質問に答えておる。従つて二十五年の六月にあなた方は気がついて、交通公社経理内容があまりに紊乱しておる事実に驚いて、その再建方法をはかるためにはいかなる方法をとるべきかということで、相当苦心されたとういことも私は想像がつく。そこでこの日歩十銭の利子が前年に契約された通りずつと続いて来る限りにおいては、とうてい日本交通公社の再建の方法従つて国鉄に対する未納金の支払い等も不可能に近い、そこで当時の国鉄当局は少くとも八方手を尽して、これを四銭に下げたに相違ない。何人が常識的に考えても、あらゆる資料を総合して見て、そういう結論がでるのが当然だ。そこで私があなたにこの委員会で明瞭にしなさいということは、この二十五年の六月にあなた方が発見したときに、六億七千五百万円の未納があるとあなたは指摘もし、ここに出ておる。あなたが考えなければならないことは、この六億七千五百万円が七月になると、七億一千四百万円にふえておる。私はこの七億一千四百万円と——四銭でもよろしい、四銭にしても、この四銭の延滞利子がこれにプラスされたものが実際は国鉄への未納額だ、私はこう推定しておる。帳簿はごまかすことはできませんから、はつきりおつしやい。あなたの方ではつきりおつしやつていただかない限り、私は一日かかつても追究せざるを得ない。一旦口を切つた以上、はつきりおつしやつてください。この七億一千四百万円にプラスするに延滞償金日歩十銭というのは非常に大きな額になるし、日歩四銭としても少くも十億の金が国鉄としては焦げついた、こういう結論を私は下しておる。この同のいきさつは一体どうなのか。この事実の上に立つて国鉄としては、この支払いのための日本交通公社の再建について、どのような具体的な方法を講じたのか、その点をここで明瞭にしていただければ、私の質問は打切つても一向さしつかえない、この点を御答弁願います。
  23. 石井昭正

    石井説明員 ただいまお言葉にございましたように、当時未納額が、特別の納期の延長に伴いますれば約七億、これは結局交通公社国鉄代売金を流用した金じやないかというお話でございますが、その点は、交通公社もほかにもいろいろ事業もいたしておりますから、初めから流用するということを意識したのであるかどうか存じませんが、結果といたしましては、これが納まらなくなつたから、そういう見方をいたすこともこれはまたやむを得ないと思つております。そこでこれに日歩四銭の延滞償金が加わつたものが未納額であろうというお話でございますが、それはおつしやる通りいつ納まるかによりまして——十日後に納まれば日歩四銭で四十銭になる、一月遅れて納まれば一円二十銭ということになると思うのであります。それは当然この未納額にプラスされて国鉄が収納すべき額でございます。これもおつしやる通りであります。それはその納まつたときによつて計算して、私どもは徴収をいたしておる。その徴収の事実はそこにごらんいただいた通りであります。ただここで了解願わなければならぬのは、その延納額というのは、私どもの場合は特別の延納を認めない場合ではなくして、前からたびたびお話が出ておりますように、東鉄納入分につきましては、普通の期限よりもさらに期限を延長して納期といたしておる。お手元に差上げた資料では、ただ延納額と書いてある部分だけを延滞償金を取立てる計算の基礎といたしております。そういう納期の特別の延長をしたことがいいかどうか、これはまだいろいろ議論もございましようし、おしかりを受けなければならぬと思いますが、契約面としては私どもはそういう計算で取立てておるわけであります。こういう公社契約がうまくなかつたことに対して、どういう処置とつたかというお話でございますが、これは先ほども申し上げましたが、もちろん国鉄といたしましても、納期の延伸あるいは日歩の更改というようなことで、公社の負担を軽くするということもございまするが、一面公社の方におきましては経理内容を刷新いたしまして、そうして当時観光事業とかその他いろいろの附帯事業をやつておりましたが、この附帯事業がいわゆる侍の商法でうまく参らないという点がございましたので、こういうものを全部公社経理から切り離して独立採算制にいたし、また廃止すべきものは整理をさせました。もちろん貸付とかあるいは雑誌の取次販売というような仕事は一切手を引かせまして、そのかわり国鉄といたしましても適当の手数料を交付する。しかしこれは必要でございますが、それを一気にやりますことは、こういうずさんをきわめておりました経理内容の建直しになりませんので、逐次順を追つてやるというような計画を立てまして、公社経理内容の改善とあわせて適当な手数料にして行くということにいたしたのであります。それから当時の責任の地位にあつた人はやめてもらいまして、陣容を刷新いたしました。また毎年の経理におきまして、特損のそういう不用償却に充てるために、大体年額四千万円程度を積み立てることにいたしました。これは二十七年度の決算におきましても、五千万円の特損償却を雑損という項目であげております。それから二十八年度の交通公社の予算につきましても、四千万円を特損償却に充てておりますが、これはもちろん予算でありまして、この予算を上まわる不用部分の損失をできるだけ早くカバーするというふうに仕向けて参りたいと考えております。また今まで焦げつきました分につきましても、焦げついたからといつて手をつかねていまい、いろいろ手段を講じて延滞納の回収をはかる。これも必ずしも全然効果がないわけでございませんで、若干は成績は上つておるという状況でございます。
  24. 正木清

    正木委員 だんだん明らかになつて来たわけですが、前任者のやつたことだから、現在の長崎総裁以下責任はないのだというように、私は簡単にものを処理してはいけないと思うのです。そこであらためて明確にしておかなければならないことは、だれの常識から判断しても、結論からいうと契約書がものを言うのです。この契約書に基いて一切の国鉄切符が、日本交通公社で取扱われておるわけです。ところがまずわれわれが細心の注意を払わなければならないことは、委員長のお手元にも資料行つていると思いますからよく目を通してもらいたいと思うのですが、この資料に基くと、二十五年度に入りましてから特別の延納制度を認め始めた。この裏を返せば一体どういうことになるのか。当時の国鉄当局は、日本交通公社経理内容を再建する一つの手段として、日本交通公社が全国で取扱つている各鉄道管理局の中で、普通のものは一箇月間しか清算期間を与えていないのに、一番売上げの多い東鉄に関する限り、これにプラスするにまた一箇月の精算期間を与え、都合二箇月分の精算期間を与えておる。こういう措置をとられたのが、特別の延納を認めない場合の未納額の形で、この遅滞額の中に的確に現われて来ておる。一体そういう措置をかつて国鉄がとつてよいかどうか。お前さんの方で当然国鉄に払うべきところの七億以上のものがあるが、その経理内容を見ればどえらいことになつておる。だからこの経理を操作するために、あなたの方で委託をして、一番売上げているところの東鉄関係の分をさらに一箇月延ばしましよう、こういうことになつておりますが、契約を無視して一体こういうことがなされてよいものかどうか。現在は一体どうなつておるか。現在も依然として東鉄関係に関する限りは、この契約を無視して、さらに精算期間に一箇月の余裕をおいて、二箇月の期間を与えておるのではないかと想像されますが、これに対する明確な答弁を求めます。
  25. 石井昭正

    石井説明員 現在では東鉄管内も特別取扱いをいたしておりませんで、全部一箇月の精算期間で徴収しでおります。これに対する延納額もただいまのところございません。
  26. 正木清

    正木委員 東鉄関係に、契約の基本線からはずれて一箇月間さらに延滞を認めておつたが、その期間は昭和二十五年の何月から何月までか、それを明確にしてもらいたい。従つてさらに一箇月間の延滞をしたことによつて、東鉄関係に対する——日歩四銭でもやむを得ないが、日歩四銭の延滞償金はおそらくとつていないと思う。とつていないとすれば、一体この契約書との関係はどうなるか。この責任は一体だれが負うか。この点を明瞭にしておいていただきたい。
  27. 石井昭正

    石井説明員 お尋ねのように、東鉄分につきまして一箇月延滞を認めた期間に対しましては、納期はそのときまで延長されたものという解釈で、この延滞償金計算しておりません。その点は、契約書によりまして納期はこちらの指定する期限ということにいたしております。従いまして当方といたしましては、期限を翌々月の末日と指定いたしましたので、契約上はそれでさしつかえないのではないか。ただそのことをやつたこと自体が適当であつたかどうかというおしかりはまた別にあると思います。
  28. 正木清

    正木委員 今の局長答弁はまさに答弁技術ですよ。契約書の基本精神は、国鉄が指定した期日までに納入しない場合と規定してある。従つて国鉄当局が別個に東鉄管内だけを切り離してことさら認めたから、これは契約の精神に反しないといつても通らぬ。そういうことが通りますか。私はいずれ機会を見てあらためて追究いたしますけれども、二十四年から日歩十銭と契約したものを日歩四銭に切りかえて、しかも東鉄の分は別個に切り離して、契約の基本精神から逸脱してこれらは利子をとりません。これは明瞭ではありませんか。あなたのように、その責任は別個ですということは、これは答弁技術です。私は重ねて委員長を通じて要求いたしますが、今日まで東鉄関係において、特別さらに一箇月分延滞したものを、かりに日歩四銭とるとすれば、総計で幾ら収入があるか、明日の委員会まで資料を明確に要求いたします。どなたが常識的に判断してみてもこれは通りません。ここは行監の委員会ではありませんし、検察庁ではありませんから、これ以上は追究いたしませんけれども、あなたの答弁では通りません。それからもう一点私があなたに質問して答弁がなされなかつたのだが、東鉄関係納入期限をさらに一箇月分延期した、それは二十五年の何月から昭和二十何年の何月までそのことが継続されたのか、この点をこの資料に基いて明確に答弁を求めます。
  29. 石井昭正

    石井説明員 昭和二十五年の六月分から昭和二十八年の九月分までやつております。その間小刻みに期間を短縮いたしておりますが、特別にはからつた分はそれだけの間でございます。
  30. 正木清

    正木委員 今局長答弁で明らかになつたのですが、二十五年の六月から二十八年の九月まで、これは当然だれか考えてみても、あなた方が弁解これ努めるこの契約書に基いて、日歩十銭か四銭にかわつた。この四銭は国鉄収入として当然回収すべきものなんです。このことは私重ねてここで強く申しておきます。従つてこれの資料は明日の委員会まで間違いなく出してもらいたい。それからこの日本交通公社の、いわゆる焦げついたといわれる額があなたの答弁によつて明瞭になつて、その再建方策としてあなたは年度計画を立てておる、だからこの日本交通公社の事大計画を見ろ、それには明瞭に損益勘ににおいて雑損として五千五百万円計上されてあるではないか、こういう答弁でございます。それはあなたの御説の通り、この損益計算書には、雑損として五千五百万円、端数は切り捨てておりますが、間違いなく載つておる。ところが私ども明瞭にしておかなければならないことは、この日本交通公社の企業計画の貸借貸借表損益計算書を見ると、二十七年度の決算で一年一千万円の赤字が出ているのです。そうすると、この委員会ではつきりしてもらいたいと思うのですが、具体的にどういうようなことが私の頭で想像されるかというと、二十七年度の決算で雑損で五千五百万円見ておる。二十七年度から逆算して行くと、二十七、二十六、二十五、二十四と五千万円ずつかりにしたとしても、二億二千万円、こういう計算になるわけですが、その通り行つておるかどうか、私はこれだけではわかりません。そこであなたの方では、焦げついた部分に対する日本交通公社の再建方策をおそらく年度割別に立てて、その上に立つて監督を厳にして、日本交通公社の再建をはかつてきたものと思う。この資料とこの帳面を通じてみるとそういうふうに想像でさる。そこでそういうように年度割別に支払い計画を立てて再建方策を立てておるに相違ありませんから、その再建方策の具体案というものを、当委員会において明瞭にすることを要求いたします。必ずできておる。できていなければならぬはずなんだ。
  31. 石井昭正

    石井説明員 先ほどの特別の延納を認めなかつた場合の延滞償金幾らにはるかということは、実際に金が納まつたのはいつかということによつて計算が違つて来るかと思いますが、明日までという御指摘でございますが、多少計算の時日をかしていただければ差出げることができると思います。なお再建方策につきましては、抽象的に申し上げて恐縮ですが、私の承知いたしておりますのは関係事業整理とか、また毎年約四千万の特別償却ということもございますが、具体的な計画書というものは私承知いたしておりませんが、さつそく取調べまして御提出いたします。
  32. 正木清

    正木委員 どうもおかしいと思う。問題がここまで来ておる事柄であるし、新任早々の局長でもあるし、前任者のされたことであり、こういう事柄については間違いがあつてはいけないと思つて、相当期間を置いたつもりです。従つて再建方策についてあなたが、わからない、調査をして回答するということはおかしいと思う。日本交通公社の損益計算を見ると、二十七年度の雑損で五千五百万円計上されておるのですから、結果から言つて一千百万円の赤字があるとしても、これはだれが常識的に考えても年度制にこれを逆算してさかのぼらなければいけない。そうすると国鉄が、日本交通公社経理の内容が非常に混乱した二十五年度に発見して、そこで日歩十銭が四銭になり、東鉄の売上げ代金はさらに一箇月延納するという処置とつたわけですから、当然二十五年の六月以降二十五、二十六、二十七の三箇年間にわたつて、再建方策は必ずできておらなければならぬ。総裁、そういうふうにお考えになりませんか。この未納の負債整理案というものは当然できておるはずだ。できたからこそ決算面で五千五百万円計上になつておる。それを調査して回答するということは納得できない。あなたは必ずおわかりになつておるはずだ。その点重ねて答弁を要求します。
  33. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私も正木委員のおつしやつた通りだろうと思います。おそらく日歩の問題等についても、先ほど申し上げましたように、いろいろ話合いがあつたように仄聞いたしておりますが、これは正確じやございません。また期限を延べろということについても、納まらなければたいへんなことでありますから、元金がとれなくなるのですから、そこで再建方策というものを立てさせまして、それを見て、おそらく国鉄の方としても数億の金がとれるかとれないかのせとぎわになりますから、長く細くとつて決済を立てようというような考え方であつたろうと思います。従いましてそれらの資料等は、お話の通りなるべく早くつくつて差上げます。おそらくはそうだろうと思います。これは公社に聞けばわかりますから、どういう案で話合いをしたのか、当時の局長はおりませんけれども、これも聞けば話はわかると思いますからさつそく聞きますが、おそらく正木委員のおつしやるようなことだつたろうと私は想像いたします。
  34. 正木清

    正木委員 どうです局長。あなたはお調べになつていませんか。これから調べなければわからぬのですか。私どもの常識からすると、あなたは当然再建計画というものがおわかりになつていなくちやならぬと思いますので、重ねてあなたの答弁を求めます。
  35. 石井昭正

    石井説明員 先ほど御説明申し上げましたように、再建計画はこういういろいろな手だてを講じて、そうして毎年約四千万円ずつは少くとも特損に充てて行く、こういうことでございます。それはもちろん私も承知いたしておるのであります。ただ何か再建方策といつて一括した書類になつて、ずつと鳥瞰し得るような資料が現実にあるかどうかという点につきまして、私まだはつきりお答えできなかつたので、ああいう御答弁を申し上げて誤解を招いてはなはだ申訳ないと思います。もちろん再建計画もあつて、それにのつとつてつておることは間違いないことでありますので、さつそく御要求に応じて、できるだけ早く提出いたしたいと思います。
  36. 正木清

    正木委員 私はあと二、三で後日に譲りますが、この委員会を通じて明瞭になつて来たことは、日本交通公社というものは、現在やつている国内的な事業から見ても、これをつぶしてはいけない事業団体である、このところは私ははつきりしておかなくちやならぬと思う。従つてこの日本交通公社事業の健全なる発展をはかるためには、運輸当局としても国鉄としても十分考えてやらなければならない。だからといつてこのようなずさんな状態でほつておいてよろしいかどうかということになるとそうではない。現に国鉄の外郭団体である責任者が、かつて日本交通公社責任者である。この人は、新聞の報ずるところによると、検察庁に検挙されておる。この日本交通公社関係、こういうことは、監督の立場にある運輸当局としても国鉄としても、当然一半の責任を負わなければならない。前任者のなしたことであるから、われ関せずという態度であつたのではいけない。そこで前者の犯したあやまちを今後再び犯さないためにはいかにすべきかということの具体案が当委員会においてわれわれ委員から質問されなくても、当然国鉄当局がわれわれの委員会に具体的な案を示さなければいけない。そこで問題は今長崎総裁が心配しておるように、事件は事件として検察庁に移つておるのですから、検察庁の領域までも私は侵そうとしておるのではない。ただ問題は、現在の状態で行くと、私の頭の中では大体十億、おそらく思い切つて日本交通公社をつぶす覚悟で精算をすれば、国鉄の損害は五億程度でとまりましよう。そういうことではいけない。事業は生かして行かなければならない。だとするならば、どこに契約上のもう一つの欠陥があつてか、そして行政庁としてどういう点に手抜かりがあつたか、ここが問題になる。そこで私は質問を試みる。大体契約全部そうですが、契約の第十一条、「乙はこの契約から生ずる債務について、甲の承認する担保又は銀行の支払保証書を甲に提出しなければならない。」こういう契約がうたつてある。この契約は大体においてこの資料を通じて見ますと、どこから発生したかというとこれから来ておるわけです。二十四年の六月、日歩十銭の契約をしたときからこれが発生して来ておる。ずつとこれが来ておる。そうするというと第十一条のこの契約というものは、今こういう負債の事実が発生したときには、この契約に基いて当時の国鉄責任者は、一体どういう処置をとらなければならないかということが、この第十一条の規定なんです。おそらくこのことはなされていまいと思う。今のようなずさんな方法行つておるのだから、現在でもなされていないのではないかという心配が私にはある。万が一事態が発生して、大きな損害が国鉄に生じないとはだれも保障できない。この第十一条の契約が行政処置として完全に行われているかどうか。この点を当委員会に明瞭にしておかなければならぬと思いますので、質問をいたします。
  37. 石井昭正

    石井説明員 ただいまのところ担保的なことといたしましては、現在国鉄代売納金は、これを一括して特別預金という形で、別の口座にいたしておりまして、この口座の金を使うという場合は、国鉄の承認を得るという方法で、再建をはかつておる次第であります。
  38. 正木清

    正木委員 これは大臣がおりませんから、政務次官と長崎国鉄総裁に御注意を申し上げて、そしてあなた方の御決意を一応聞いておかなければならぬと思うのですが、やはりこの契約書に大きな不備があるのです。まず第一にこの契約を通じて見て非常に感じられることは、相手方の日本交通公社に対する、要するに監督権、従つて経理内容の監査権というものが非常にこれではぼやけておるわけです。従つて局長答弁で、こういう事態が起きたからこれではいけないというので、毎日の売上げが特別の銀行口座に入れられる、この金を使う場合には、国鉄当局の認可を受けなければならない、こういう規定になつておる。しかし一方この契約書を通じて見ると、その点が非常に不明確になつておる。あなた方のところには専門家がおるわけですから、どのような角度から、どのような問題が起きても、明確に明瞭に、何人の前でも、この国会においてもだれが質問してもすみやかに答弁できるような契約にして、監督を厳重にすべきではないか、これが一点。それからもう一つは、問題の所在が明らかになつて来たのだが、私はこの契約を通じて見て考えさせられる点は、こういうことが一体どこから出て来たのだ、こういうことです。これは残念ながら、あなた方はさようなことは断じてない、こういうふうに言われるかもしらぬが、日本交通公社は財団法人だ、運輸省とも国鉄とも全然関係のない別個な性格のものなんだ、こういうように答弁ではなるのです。ところが運輸省、国鉄日本交通公社の人事の配置を見ると、りくつはどうあろうとも、現実には不即不離、一体の関係にあるのです。これは前回の委員会でも注意を喚起したのですが、長崎総裁、石井運輸大臣が顧問になつておる。そうして監督局長が参与、副総裁の天坊君が評議員ということになつておるのです。国鉄総裁が当委員会で明瞭にしたように、日本交通公社からわれわれは年末手当も断じてもらつてないのだ。それはその通りでしよう。あなた方がそんなことをされる方とは私は思つておらぬ。しかしながらこういう人事の配置が行政面の上に具体的に移つたときに、いかに不明朗にしておるかということ、世の誤解をいかに招くかということ、従つて私は契約の面、こういう人事の面、これは事日本交通公社ばかりではございません。国鉄の他の外郭団体でもそうですが、この機会に政務次官からは、こういう契約書に不備な点があるものを、監督の立場にある運輸省として直す意思があるかどうか。同時にこのことは国鉄総裁にもそういう意思があるかどうか。それから一面、この日本交通公社のいろいろな疑惑を招かせるであろうと想像されるようなこの人事の面、こういうものはこの機会に、——番いい機会だと思うのです、こういう機会に私はきれいに整理さるべきではないかと思う。それともあなた方は依然として、われわれに間違いがないのだから評議員になつている。——私はあくまで評議員を固執するのであれば、専門的な別の角度で追究しなければならぬ。なぜかというと、この評議員は民間会社の株主的な性格を持つているのです。問題ではありませんか。債権者の立場に立つ国鉄の副総裁天坊君が、この評議員になつているのですよ。それから監督の立場に立つているところの運輸省の事務次官牛島君もあるいは評議員になつておるかもしらぬ、こういうことは私はおやめになつた方がいいと思うのです。そのことは同時に国鉄の外廓団体すべてに、こういうような人事の配置がありはせぬかと私は心配するのです。私はこれ以上言いません。心配するのです。そういう点も思い切つて改革すべきときが来ているのではないか、こう思いますが、政務次官並びに総裁の心境をお尋ねいたします。
  39. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 いろいろお話を承りましたが、実は日本交通公社は観光宣伝のことにつきましても、従来から非常に歴史ある公社でございまして、私たちも現在の観光宣伝の意義から考えましても、非常に重要な存在であろうと思うておるわけであります。しかし占領政策によつて交通公社が正常な状態から、ある干渉を受けまして思うようにならなかつた、またそのために収入源を断たれて、いろいろな困難に遭遇した、しかもまたその間において国有鉄道がやはり運輸省からわかれまして、交通。パブリック・コーポレーシヨンになつた、こういういろいろな事情が重なりまして、なおかつその間につきましては、あるいは当事者のルーズなやり方等もあつたであろうと思われるので、今御指摘のようにいろいろな問題があるわけであります。しかしこれにつきましては、私たち政府といたしましても現在交通公社に、外客誘致宣伝のためにいろいろな助成金を出しているような状態であります。それであればこそ私は、こういうものは何かほんとうの社団法人として、運輸省もあまり関係がないのだというようなことでなしに、もつと性格の非常にはつきりしたものにしたらどうか、そういう方法はないものだろうか、あるいは場合によつてはこれは政府の機関としてもいいのじやないか、それほど必要があるならば、政府の機関として考えてもいいのじやないかということまで、実は私自身としては考えておるわけでありまするが、今御指摘になりましたように、人事等の面につきましてもなれ合いでルーズな面がありますれば、これは今後改めなければならぬと思つております。  それから契約等につきましては、これは現在国有鉄道交通公社との間に結ばれておるものであろうと思われるので、それは総裁におきましてもお考えであろうと思われまするが、ただいまの三木さんの意見は全面的に私たちも賛成でございまして、何とか公社が正常な状態で、しかも観光宣伝を十分やり得るような姿にしたい、かように今案は非常に苦慮しておるような状況でございます。
  40. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 だんだんのいろいろなお話、非常に私も考えておる点がございます。ただ全般的に申しますと、今西村次官からもお話があつたように、私の感じからいたしますと、全く交通公社は会員組織であつたようでありますが、後にそれが社団法人になりまして、国鉄その他郵船、商船方面の事務をとつて海外宣伝をやる。当時私は観光局におりましたが、なかなか資金が集まりませんのでうまく行かないというので、国際観光協会をつくるとかいうので寄付金を集めたのでありますが、寄付金だけでは海外宣伝には非常に金がいるのでうまくできなかつた。それが後に手数料をとつて、金をもうけて海外宣伝をやつて、観光という事業に力を注ごうじやないかというようなことが、今の手数料の起りではなかつたかと思います。昔は手数料を全然とつていない時代もあつたと思います。それからアメリカ軍が参りまして、いろいろ急激な変化があつて、経営の上にも非常な困難を生じて来た。同時に国鉄も従来の形態がかわつて、公共企業体という、ちよつと理解に困難な形にかわつて来た。ところが内容はやはり相かわらずもとの国鉄のやり方ということで残つて来ておる。今日でもまだそれが十分にこなされていないというふうなところにいろいろ手抜かりと申しますか、別に悪いことをするつもりではないのですが、手続の上に手抜かりがあるというようなことであろうと思います。そこで自分はそういう感じを持つておりますので、これはやはり公共企業体というものの性格をはつきりさせまして、そうしてそれに適応した形に持つて行かなければならぬというふうに考えております。お役所式の従来のやり方ではやはり何かそこにちぐはぐな、こなれないものが残されるというような感じがいたします。その点いろいろ御注意もございますから、今後もなるべく早い時期に公共企業体としてのあり方というものを確立して参りたい、でありますから、契約その他の面におきまして不備がありましたら、それを直して行きたいというような感じを私は今持つております。
  41. 正木清

    正木委員 私の質問の中で、本日に関する限りは残念ながら、当局から出ております資料の不備で、質問を続行するわけには行きません。大体は明らかになつたわけですが、この問題については、私は資料が出る同質問を留保いたしまして、本日はこれで終ります。
  42. 臼井莊一

    ○臼井委員 ただいま正木委員の御質問に対する資料でございますね。交通公社に関する資料ちよつとわからない点がありますので、二、三お伺いいたしますが、資料昭和二十四年度中日本交通公社乗車券代売金に対する納入状況、ここにある発生額というのは、その月に売り上げた額だと承知しますが、そうでありますかどうか。  それからこれは第一表ですが、納期到来額というのは、前月に指定した期限というのはどういう期限かわかりませんが、大体その月に発生したものを極月の末までに納入すべきものであると解釈して御質問申し上げると、納期到来額というのは大体前月分の額であるというふうに解釈するのですが、そうでありますかどうか。
  43. 石井昭正

    石井説明員 発生額と申しますのは、当月中に売り上げた額ということで、御質問通りでございます。これを二十四年度のころは各地方鉄道局ごと計算いたしております。そしてその計算ができ次第、各地方鉄道局側から納入の通知を発しております。そのときに納期をいついつまでということを、各地方鉄道局長で具体的に指定しておるわけであります。これは必ずしも翌月末となつておらないのでございまして、ここに書いてございますように、四月分の八億五千四百万円につきましては、そのうち八億一千百万円は五月中に納期を指定し、その残りは六月中に納期を指定されておる。非常に入りくんでおるわけでありますが、そういうものを全部積算いたしました分が納期到来ということになつておるわけでございます。これが実際に納入されましたのが、結局五月末になつておる。こういうことを書いたのでございますが、内容がたいへん入りくんでおりまして、こういう表をつくりますのに非常に手間がかかつたわけでございますが、必ずしも四月のものが五月に全部納期なつておるというわけにはなつておらない状況でございます。
  44. 臼井莊一

    ○臼井委員 その納入額ですが、納入額は、納期到来額に対する納入額であつて未納額を含んでのその月の納入額でないように思えるのですが、そうすると、ここに出ている未納額欄というのは、未納額の総額はこの数字では出ていないように思うのです。この資料によると、その月に一体未納額の総額が全部で幾らあるかということはわからぬと思いますが、その通りでありますかどうか。
  45. 石井昭正

    石井説明員 この未納額は、五月中に納期が来たものに対して、実際に納入されたものがありまして、それに足らぬ分をあげたわけでございますが、これは納期が遅れて納入されるわけでございます。そうしますと、この未納額を一応消したかつこうで、毎月の末におきますところの未納額の残高を書いてあるわけでございます。従いまして未納額がその日によつてつたり下つたり動きます。また月末によつても違つたりいたしますので、総計と申しましても、一応月末総計はそこの最後の欄に書いてございまするが、これはこれだけの金がたまつたというわけではございません。たまつた金は翌年の五月にはゼロになつておるということでございます。結局納入額の方で納めましたらば、それで未納額を消して行つたという操作をして計算をいたしております。
  46. 臼井莊一

    ○臼井委員 どうもその点が、結局未納額というのは、その月の末の帳じり未納額の総額をここに記載してあればわかるのですが、この表によると、その月の納期到来額からその月に納むべきものだけを引いた残りが記載されていて、たとえば二十四年十一月に一億一千三百二十四万何がしというものが未納額なつていますが、これはその月の全部の集計じやなくて、その月だけの納期到来したのから納めたのを引いた残りだけで、おそらくこれはよほどの額に上つているというふうに考えられるのですが、その通りじやないのですか。
  47. 石井昭正

    石井説明員 御指摘通り、六月の未納額というのは、六月分の納期の来たものに対する未納額だけをあげてあるわけであります。それが結局最後になりまして、二箇月遅れまして全部納入されておるという経緯を示したのでございまして、ごらんのように年度内の発生額が五十八億四千九百万円、これに対しましてちようど五月末日までで五十八億四千九百万円入つておるということでございますが、その間において未納額がその日の統計として幾らあがつたということは、この表ではちよつと出ておりませんので、たいへん申訳ないと思います。
  48. 臼井莊一

    ○臼井委員 しかしこの表には出さないけれども帳じりではその月の合計幾らということは出ておるはずだと思うのですが、それが一点と、さらに第二表ですが、第二表は二十五年四月からになつて、ナンバー・ワンと新しくなつておりますが、これはその月の発生額というというのは書いてないようです。そうするとその月に幾ら売れたかということは、この表によるとわからない、こういう結果になると思うのですが、その二点だけちよつとお伺いします。
  49. 石井昭正

    石井説明員 御説のように発生額は、滞納との見合いだけをチエツクすればいいかと考えまして、発生額を書き落しました。発生額を書きましても、結局納期到来額との関連が非常に複雑になつておりますので、判断つきかねるからというので落して、たいへん申訳ないと思いますが、これは手元数字がございます。
  50. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一点だけお伺いしますが、その月の売上げがわかつて、さらに翌月の末日なら末日までに納めろ、こういうことになつたのが期限の到来額、それからさらに期限から延びた分が特別の延納を認められない未回収額、こういうことになつて、さらにその後に延びたのが延滞額、最後にその期限が到来し、さらに一定の期間をおいて納められない分に対してだけこの延滞を徴するように思いますが、その通りでありますか。
  51. 石井昭正

    石井説明員 納期到来している額に対して納められない額に対しまして、延滞償金をとつておるのでございますが、この納期というのは一箇月遅れということでなくして、私どもの方では一応特別の期間を認めたものまでも含めて書いておるわけでございます。従つて納期到来しておる額に対しまして延滞した額について計算しておるのでありますが、その納期の到来額の解釈が、普通の一箇月遅れということではなくして、その特別の延納を認めた期間を含めておるわけでございます。そこで特別の延納を認めない場合の未納額というのは、おつしやる通り全部一箇月遅れには納まるものと計算した場合の未納額なつております。これに対してはただちに延滞償金をとつておるわけではありませんので、このうちからさらに特別の延納を認めたものは、その期限が来てから先を計算しておるわけでございます。
  52. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうすると、その特別の指定した期日というのは、たしか前回お伺いしたときに、その月の売上げを翌月十日までに計算して、十日に計算がはつきり出て来たのをその月中に納める、結局大体締め切つてから一箇月後に納入する、こういうふうに伺つたのですが、その通りであるかどうか。さらにあと延納を認められないというその期間は、それからさらに幾日置いておるのですか。要するに延滞ということになつて利息をかけられるのは、期日を幾日くらいに指定しておりますか。
  53. 石井昭正

    石井説明員 たとえば四月分で申しますと、四月分を計算いたしまして精算するのに五月中旬ごろまでかかるわけでございます。それを五月末日までに納めれば、これは普通の納期納まつたわけでございます。それが五月末日を越しまして六月になつて入れば、その延びた分だけ日数に応じて延滞償金をとるということになるわけであります。ただ東鉄関係の分だけは、先ほど御説明した通り、五月末日までに納めるのを六月末日までに納めればいいということにいたしております。それがもし六月末日を過ぎておりますれば、やはり延滞償金をとる、こういうことにいたしております。
  54. 臼井莊一

    ○臼井委員 たとえば四月末日のが翌月五月の十五日ごろまでに計算が出て、さらにその月の月末までに納めればいい、それが大分はつきりしていないように聞えるのです。さらに東鉄管内と他の局とが何か特別の契約通りきつかりやらぬで、融通性が大分あるように聞えるのです。そういう融通性があるというところで、いろいろの延滞だのトラブルが起るのじやないかというふうに思うので、やはり契約のあるものはきつとその通りにすべきだと思うのですが、今伺うと、東鉄と他の局とのあれが融通をきかしているように思うのですが、そうなんでしようか。
  55. 石井昭正

    石井説明員 過去におきまして、そういうふうに東鉄の分だけ別に納入期限を長くいたしたということは事実でございます。ただいまでは全部一斉に一箇月後までに納期をきめまして、それを遅れた場合には延滞償金をとるというふうに、御指摘のように全部正常な状態まで持つて参ることができましたので、今後はさようなことはない、かように確信しております。
  56. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一点、この表によりますと、特別の延納を認めない場合の未納額というものがあるのですが、これに対しては延滞金はとらないのですね。さらにそれ以上に期間が延びたときに、たとえば今の例で、四月の分を五月末までに納めれば問題ない。それからさらに幾日だか——われわれ想像すると、何か一箇月くらいに思うのですが、五月中に納めれば問題ないのを六月中に納めないものに対しては、特別の延納を認めてない。これに対しては利息はかからない。そうしてさらに六月を過ぎて七月以降の分は延滞金と認めて延滞利息をとる。四月の分は七月以降でなければ延滞金をとらぬというふうに、これは一箇月ごとでなくて、あるいは二十日ごとに期限を切つておるかわかりませんが、そういうふうに考えられるのですが、その通りであるかどうですか。
  57. 石井昭正

    石井説明員 過去におきましては、全部が全部そうではないのでございますが、東鉄売上げの分につきましては、おつしやいましたように特別の延納を認めた期間は、延滞償金計算いたしておりません。この表にございます延滞額というのは、延滞償金計算した対象となつた額であります。でございますから、この特別延納を認めない額の未納額と延滞額との差というものが、一応特別の延滞によつて延滞額命の計算をしなかつた額、こういうふうに御解釈願いたいと思います。
  58. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうすると、昭和二十七年度三月以降は延滞なしということになつております。なるほど表によると延滞額の欄には出ていませんが、特別の延納を認めない場合の未納額、これに対しては相当な額があるにもかかわらず延滞利息を課してない。しかもこれは期限が到来して、その際に納めなかつた、いわゆるわれわれ常識から考えると延滞だと考えられるものに対する額と思うのですが、それに対しても、期限が過ぎても一定期間は延滞利息を課さない、こういうふうに解釈できるのですか。
  59. 石井昭正

    石井説明員 考え方としてはそういうようなお考えができるかもしれないと存じますが、私どもが申しましたのは、先ほど御説明いたしましたように、納期が、東鉄の分に関しましては一箇月遅れで指定してある。従つて納期の到来している額というのは一箇月遅れて来ておるわけであります。それに対して完全に納まつておれば一応延滞償金計算しない、延滞額はない、こういう解釈に立つたのでございます。もちろんそういうのはなるべく早く解消しなければなりませんので、極力督励して参りまして、その納期をだんだん小刻みに小さくして参りまして、最後にゼロにいたしまして、全部実際特別の延滞というような事態をなくなして参つたわけであります。途中におきましては、お話のような結果でございますが、これはさつき正木先生からしかられたのでありますが、しかし私どもとしては一応指定した納期に入つておる、従つて延滞額はなかつたという建前でやつておるわけでございます。
  60. 中居英太郎

    ○中居委員 関連して……。交通公社国鉄との間の切符売上げ代金納入に関連いたしましてちよつとお尋ねしますが、国鉄の全国四千ある駅の窓口で販売しております切符代金は、大体何日くらいの日数を経て国鉄経理に入るものでしようか。それをちよつとお伺いします。
  61. 石井昭正

    石井説明員 大体私ども手元に参りまして、国庫金として預託されるまでには一週間でございます。
  62. 中居英太郎

    ○中居委員 交通公社国鉄から依頼されて販売する切符代金は、交通公社自体が東京の国鉄公社に納めるのですか、それとも仙台の交通公社が仙台の鉄道局に納めるのですか。
  63. 石井昭正

    石井説明員 これは建前といたしまして、そういう国鉄収入となる基礎を計算いたしまして、徴収事務を行うところで請求しております。その請求を本庁でとりまとめて交通公社に通知をいたしております。形式的には、納めますのは、地方のそういう徴収事務を行つております、これは今の鉄道管理局と違うのでございますが、大体昔の鉄道局のございましたところで範囲をきめまして、計算をいたしまして、そこへ交通公社から納めるようにいたしております。
  64. 中居英太郎

    ○中居委員 そこで私はお伺いするのでありますが、国鉄の窓口で売る事務も、交通公社の窓口で売る切符売上げの事務も、大体事務上大差がないと思つておるわけであります。ところが鉄道の窓口で売る切符代金は、大体一週間で国鉄の金庫に入る、半面交通公社は最低三十日、長いのは六十日間、その期間だけたつてから納入してもいいというふうに時間的に、何か交通公社に対してはあまりにも譲歩し過ぎておるのじやないかと私考えるのであります。しかも二十八年度、二十九年度の国鉄の予算をみますと、国鉄が経営をやつて参りますのに資金が枯渇いたしまして、短期資金というものを借り入れて営業をやつておるのであります。ところが半面におきましては、交通公社に対しまして、一週間か十日で実質的には納入せしめ得る金さえも納入せしめないで、そして国鉄が百億も百二十億も金利を払つて銀行から、あるいは国庫から金を借りまして、国鉄資金操作をやつておる。こういうことに私は非常に矛盾を感じておるのでありまして、少くとも交通公社切符売上げ代金も、駅の窓口で売り上げる代金と同じように、一週間ないし十日くらいで国鉄の金庫に納入せしめるように、今後考究してもらいたいと私は考えておるのであります。しかも切符の代金というものはほとんど掛売りというものはない、現金の売買であります。従いまして十日ないし二週間ありますれば、十分に国鉄の金庫に納入できると私は考えておるわけでありますが、この点について総裁の所見を伺いたいと思います。
  65. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 御説の通りであると私は考えております。ただしかし交通公社の場合は、交通公社で売つておる切符の清算をいたさなければなりません。各地に店がございまして、その店とのやりとり、あるいは駅との門のやりとりいろいろございまので、少し手が込みますが、概算でやるということになりますれば、毎日近傍の駅に持つて行けばいいわけでありますから、そういうこともできないことはないので、私たちとしましては、現在延取引というのはだんだんこれを詰めまして、半月にしますとか、あるいは十日にしますとかして狭めて行きたい、こういうふうに思つております。そうしますとこういう問題は起らないのであります。しかし何分にも先ほど来申し上げましたように、アメリカの運営下にありました当時、経営が非常にぐあいが悪く、清算も非常にむずかしかつたというようなことで、このようになつておるのであります。
  66. 中居英太郎

    ○中居委員 大体国鉄の駅の窓口は、山間僻地まであります。ところが交通公社が店を持つておりますのは大都会でありますから、私は国鉄の窓口で売り上げる切符代金よりも、むしろもつと簡単に、もつとスムーズに、そうしてもつと短期間に国鉄に代金を支払い得ると考えておるわけであります。しかも私ども今日まで話を承つておりますと、大体切符売上げ代金交通公社は六億から十億程度、いつでも温存しておくことができるわけであります。一箇月から長いのは二箇月間を支払い期間に定められておりますから、一箇月の売買額を五億ないし六億としますと、五億から六億の金はいつも交通公社の預金になつておるわけでありまして、これの金利を計算いたしましても、数千万円の金額になると私は考えておるのであります。しかもそのほかに売上げ代金の五分という高い手数料支払つておる。先刻この問題については、たれか質問したのでありますが、それに対して大体国家の専売品は五分から七分の手数料を払つておる。それに準じて国鉄でも五分の手数料を払うのだ、こういうお話があるのであります。しかしながらタバコでありますとか、塩でありますとか、こういう国家の専売品を売買しております業者は、政府に対しまして莫大な権利金を積んでおる。しかもそのほかに商品を仕入れるには全部現金であります。従いまして資本に対する利益の配当という点から、五分ないし七分という手数料を与えるべきは当然であろうと思うのであります。ところが国鉄交通公社との関係というものは、切符代売さして、その代金は六十日間も貸しておく。そして六十日間の利子というものが一箇年間に五千万から七千万になる、こういうふうに交通公社にだけ恩典を与えて、しかも国鉄自体というものは、その経営資金に枯渇して、利子を払つてまで政府資金あるいは銀行から金を借りて運営をやつておる、こういうところに改善の余地があるのではないか、こう私は考えてこの質問をしたのでありますが、この点につきましては、なお重ねてお答えを願いたいと思うのであります。
  67. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 国鉄交通公社手数料を払つておるという五分の手数料の問題でございますが、これは大体切符を売りますのに、われわれの方でどのくらいの金がかかるかというような原価計算をいたしまして、それによつて出て来たものが五分になつております。なおこれは各国におきましても、たとえばトーマス・クツクでありますとか、旅行業者が会社から受取ります手数料は、大体五%程度というようなところにきまつております。それより高いものもございますが、大体その辺でございます。そんなことから九分は適当じやないかと考えております。それから交通公社は、先ほども申しましたように、私どもの知りました当時は社団法人でございまして、国有鉄道もその会員の一人で、年額幾らの公費ということで、会費制度でもつて運営をいたしておつたのであります。ところが昭和四、五年でございましたか、観光事業熱が日本に広がりまして、観光事業というものは国策として大いにやろうじやないかという時の政府のお話等もございまして、当時鉄道省に国際観光局というものができまして、私そこにごやつかいになつておつたこともあるのでございますが、何分にも会員組織だけで、無手数料で外人客のお世話をするというふうでは、なかなか立つて行かない、十分なことができないというようなこと、それからアメリカその他の海外に向つての宣伝等につきましても、十分に行かないというようなことから、何とかして、会費というものを増額するのではいけない。しかし自分たちが働いて、その働いて得た手数料をだんだん大きくして行つて、それでもつて事業を拡充して行きたいというふうな話がございましたのが、最初だつたと思います。しかし当時トーマス・クツクその他のアメリカン・エキスプレスでありますか、二、三の代売業者がありまして、外国人の分だけは手数料を払つておりました。しかし交通公社、当時のジヤパン・ツーリスト・ビユーローには、手数料を払つておらなかつたのであります。しかし今申し上げましたような実情から、やはりトーマス・クツクやアメリカン・エキスプレスと同じように手数料をとつて、その手数料でかせいだもので事業の拡張をやつてつたら、スムーズに行くのではないかというのが、手数料の起りだつたかと思います。従いまして、ある意味では今申しましたように原価ではやつておりますが、と同時に事業の資金、ほんとうの意味の外界誘致あるいは観光事業の発展に資するという意味から始めたものだというふうに思つております。
  68. 中居英太郎

    ○中居委員 私のお尋ねしましたのは、何も五分の手数料が高いとか安いとか、そういう点ではないのでありまして、先ほども当局から答弁がありましたように、国鉄の駅の窓口では大体金を納めるまでに一週間、ところが交通公社は三十日から六十日の間に納めればいい、こういうことになつて、その間に特別の便宜を与えておるのではないかという印象が私にはしてならないのであります。交通公社がそのように三十日から六十日までという、非常に長い納入期間を設けられながらも、なおかつこういつた未納金を出しておる原因はどこにあるかということを私は考えておるのでありますが、一週開か十日で納入できるような事務上のものを、ことさらに五十日も六十日も長く金を交通公社自体に温存さしておくということそれ自体に、延納の原因があるのではないか、金を持つてみると何か使つてみたくなる。何か他の事業に転用してみたくなる、こういう気持は仕事つておる者の通有性であります。従いまして先ほど申し上げましたような駅の窓口の納入の期間の問題や、あるいはまた延納をなくすという関係、あるいは国鉄の経常費、運転資金と申しますか、そういうものを幾らかでも自分の金でまかなうというような観点から、六十日という納入期間について検討してもらいたい、こういうことを私は申し上げておるわけであります。
  69. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 延滞ということが生じたのは、私は必ずしも清算期間があるからだということではないと思います。これは先ほど来申し上げておるように、当時の占領軍下のCTS、その指導下におきまして、従来収納しておつた手数料というものが全廃されまして、全然収入がなくなつてしまつた。しかも数百人の人間をかかえて事務をとつて行かなければならぬというふうなことから、四苦八苦いたしまして事業を計画したというようなことが、私は大きな原因だと思います。なおこの精算期間をできるだけ短縮するということには、私は努力したければならぬと思いますが、いささか各駅のものとは違いまして、清算が複雑でございまして、ほかのいろいろなものを売つたりいたしますと、宿屋の切符とつなぎ合せたりいたしておるものもございますし、いろいろなものがありますから、精算が非常にめんどうでございますから、清算にはやはり相当の時間がかかると思います。といつて、うちのものでありますれば、金と切符とをそのままこつちへよこせばいいのでありますが、向うはほかのものも持つておるような関係もございまするので、この清算には相当時間がかかると思います。しかしこの時期をなるべく短縮したいという考えを私は思つております。
  70. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 日本交通公社の問題で一つ関連してお尋ねしたいのは、日本国有鉄道日本交通公社にやらせておるような乗車券の代売を、日本交通公社以外の旅行業者、あるいは個人であるとかあるいは公益法人あるいは営利会社等、そういう他の業者に代売をさしておる例がほかにあるかどうか、お尋ねしたい。もう一つは今後そうした旅行業者に、日本交通公社のような手数料をもらつて乗車券を売るというような業務をさせる方針であるか、またそういうことは日本交通公社以外には認めない方針であるか、その二点を承りたい。
  71. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 国有鉄道の乗車券の代売を委任したものは、ただいまのところ交通公社だけでございます。この交通公社だけに委任いたしておりまするのは、単に切符代売だけでなくて、いろいろな案内、旅行のあつせんというものを総括してやりますし、また外国の旅客等についてもあつせんをしてやつておるわけでございますので、これには相当な経験と、熟練した人がたくさんいりますし、また世界的にあるいは各地に熟知されておるというような歴史的な信用といいますか、そういうものも必要だと思いますので、目下のところ交通公社とだけ代売契約をしておるのでございます。従いまして今後ほかにも認めるかという問題につきましては、今言いましたような条件のものが出て来ますれば、契約をしないということはないと思いますが、目下のところでは、交通公社だけでやつておる次第であります。
  72. 關内正一

    ○關内委員長 この際お諮りいたします。委員外議員より海上保安庁長官に対し緊急質問をいたしたいとの申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なければ許可することにいたします。高橋英吉君。
  74. 高橋英吉

    高橋英吉君 ただいま委員長の御発言のように、海上保安庁の警備船が中型トロール船を不法に故意に沈没せしめた、覆没せしめたという疑いのある案件に対しまして、ごく簡単に質問いたします。私はただいま海上保安庁の警備船が不法に故意にという言葉をことさらに申し上げたのでありまするが、私の得ました情報によりますると、これは明らかに不法であり、故意であるというようにしかとれないと思います。従つてこの点に対して、海上保安庁の方へもいろいろ情報が入つておると思いまするから、不法であり故意であるかどうかということ、それから故意である場合においては、どういうふうな責任をおとりになり、どういうふうな善後措置をとつていただくか。すなわち中型トロール船の沈没並びにそれに際しまして船員が三名死んでおるのです。そこで行方不明になつておるのであります。すなわち警備船に殺されたというものが三人あるわけであります。そういうふうな問題に対して、そういうものの遺族などに対する慰藉方法とかなんとかいうふうなことに対して、どういうふうな御意見を持つておられるか、これをお聞きしたいと思うのですが、私申し上げたいのは、大体こういうふうな問題が起るのは、その根本において権力を持つ人々の間に、ことに海上保安庁関係の警備船の機船底びき網取締りの気持の上において、いわゆる人権蹂躪的な思想といいますか、民衆蔑視の思想といいますか、そういうものがあつて、そういう根本思想からこういう問題が起るものと思つております。密漁船は沈没させてもいい、密漁船員は殺してもいい——船の沈没は、元来原則としては乗組員の死を予定するものであると私は考えております。船が沈没した場合においては、理論上から言えば、原則上から言えば、これは当然死ぬるものであります。沈没したときに生存するということは例外的のもので、奇跡とまでは言いますまい、統計からいうと、沈没したからといつても必ずしも死んでおるものではありませんから、現実の統計から言えば、これは死亡が前提となるということもどうかと思われますが、理論上はそうなつておる。海の上で船が沈んだら死が当然で、生存は例外的なものであるということになつておるのでありますから、密漁船は沈没させてもいいという思想は、すなわち密漁船員は殺してもいいという思想になるのであります。さらに一面、こういうふうな思想もあると思うのです。トロール船は全部が密漁船である。トロール船と名のつくものはことごとくが不法な操業をやつておるのだという考え方なんであります。従つて、船員を犬やねこと同様に考えたりしており、極端に言えば、どろぼうは殺してもいいという思想の現われであつて、これは断じて許せないものと私は思うのです。  なぜ私はそういうことを申し上げるかと申しますと、すでに私どもの地方においての関係だけでも、過去において十隻余りのものが沈没させられておる。具体的な事実を申し上げてみますと、すなわち今月の七日の午前十時三十分ごろに、海上保安庁の警備船むらちどり丸というのが中型トロール船、すなわち機船底びき網の作吉丸というのに追突いたしまして、沈没せしめておるのでありますが、こういうことが従来しばしばあるのであります。しかしこれは表面化せられず、問題にならずに済んでおるというのは、何といつても機船底びき網には弱点があるのであります。従つてこれを問題化します場合においては、将来の報復といいますか、復讐といいますか、そういうようなものを恐れますと同時に、沈没させられた方の漁民の方も、問題にしても時がかかるし、その損害額もきわめて形式的で大した額ではないというので、漁師のことでありますから、めんどうくさがつて従来は問題にせずに泣寝入りになつておつた。ところが今度は何といつたところで三人の人が死んでおるのでありますから、その沈没の際における救助方法等の手落ちもあつたりして、非常に地方民が激昂しておるわけです。非常に興奮しておるというような状態であつて、これを表面化して、警備船の関係者に対して艦船覆没罪並びに殺人罪で告訴をしておるという次第なんです。これは従来もそういうふうに十数隻も沈没させられておるというような事実からも裏づけができまするし、さらにその警備船の船員が、常にトロール船は沈没させてもいいのだというふうなことを放言しておるのであります。今度の事件は午前十時二十分ころでありまして、白昼なのであります。従つてこれは過失や何で追突したものとは信ぜられません。このむらちどり丸というのは非常に優秀船であつて、いかに迫突いたしても自己の船体に損傷を来さずして、相手方を沈没し得るという自身を持つて激突したというようにいわれておるのであります。そういう自信のもとに、この優秀な警備船が脆弱な中型トロール船に激突して沈没せしめ、人を殺したということになつておるのでありまするが、これは今言いましたように、白昼公然と行われたことであり、当日はまた非常に天気晴朗で、波も風もなかつたそうであります。私は先ほど沈没は死を原則として生を例外だというふうに申し上げましたけれども、しかし現実においては、何といつたつてトロールに乗るような船員でありまするから、水練は相当できるのであつて、暗夜で風波が非常にはげしい、すなわち激浪中に沈没したということであれば別なのでありますけれども、白昼風波がないときにおいて、この水練の達人たちが三名も死んでおる。よほどの自信を持つての激突でなければ、こういうことはできないと私どもは確信しておるのであります。そういうふうなことであつて、これがかりに密漁をしておつたといたしましても、こういうふうな従来のやり方、取締りの行き過ぎに対しては、私は断同として抗議せざるを得ない。同じ日本人どうしであつて、そうしてこれは許可なくして不法に漁業をしておるのでありませんで、単に禁止区域海上のことでありますから、何もそこに棒ぐいが立つておるわけではなく、鉄のカーテンがあるわけではないのでありますから、はたしてどこからどこまでが操業区域であるかどうかということは、なかなかわかりにくい。そういうところでは常にこういうふうな密漁は行われておるのでありまして、私どもはこれはとうてい許すことができないと思うのです。かりにこれが密漁船といたしましても、今言つたよう状態で、私は乗組員のうちにまさかアメリカ人や朝鮮人ばかり乗つておるとも思われないのでありまして、同じ日本人がなぜこういうふうな乱暴なことをやるのかと思うのであつて、これは許すことができない。どろぼうだからただちに殺してもいいということは、非常にけしからぬ思想であり、非常な行き過ぎだ、かように思つております。  さらに本件の場合においては、私は密漁船と思いません。断じて密漁船でないという情報を持つておるのでありますが、この点についてはいずれ司直の手によつて事実が明白にされるでありましよう。現に取締り官憲の方では、船長が自白して密漁をしておつた、かように言つております。しかしこの船が根拠地の八幡浜を出たのが午前八時なんです。そうして出港してから後、九時半にむらちどりに遭遇しまして、追いかけられて一時間ほど逃げた上でやられたわけなんですが、九時半なので、出港してから一時間半ぐらいの時間しかたつておりません。一時間半ぐらいでは現場へ行く時間しかないということは、瞬間的に調査されればただちにわかることなのであります。そういう事態から見ましても、それからまたこの現場は、愛媛県の海岸近くの山の上からはつきりと認識のできる海上のことなのでありますから、白昼そういうところで操業する人はありません。この愛媛県の中型トロール船が操業します区域は、宮崎県、鹿児島県ないし長崎県であつて、九州と四国との間の宇和海というようなものではありません。かりに密漁するとしましても、帰りに夜半人が寝静まつた時分にこつそりやるくらいな程度で、白昼こういうことをやるというようなことは、とうてい常識上想像できないことなんでありまして、宮崎県に行く途中の行程にあつたということは、動かすことができない事実のようにわれわれには受取れるのであります。ただ今申し上げましたように、すでに船長が密漁したということを自白したと申しております。それから証拠品として網が上つたというふうな報道もあるのであります。しかしこれは私が申し上げるまでもなく、皆さんの多年の御経験によつてよくおわかりのように、はたして船長らが事実をそのまま陳述しておるかどうか、その自白はゆがめられた自白であるかどうか、これは非常に疑いの深い問題だと思います。李ラインで拿捕された連中が、ラインの外であつたか内であつたかとか、いろいろ向うで尋問を受けました場合に、あくまでも日本の漁民側の主張がいれられずして、あちらの取調官の言うままの陳述になつておるというような争いが、始終今日起つておるのであります。この韓国側と日本との間を考えました場合に、韓国側の主張が常に一方的であつて、不法なものであるという前提のもとに、われわれがここで勧告側と闘つておりますことが、ただちにこの拿捕された船の船員と、それから取締りの方の警備船との側に言い得ることは、いろいろな点より考えまして明瞭な事実なんでありますから、現在船長が自白しておるかもしれませんが、その船長の一陳述によつてのみ密漁されておるというふうに断定されることは、非常に早計だと思うのであります。従つて私は住吉丸は密漁していない、密漁していない船が不法に故意に沈没せしめられて死亡者ができたというふうに考えておりますが、その点に対する長官その他の当局のお考えはどうであるかということをお尋ねしたいのであります。  それから第二点といたしまして、沈没しました事後の処置に手落ちがなかつたか、これが現地を非常に激昂させておる事実であります。たとえばこういうことはどうでありましようか。十時半に沈没したのであります。その場合に、地元の各警察には無電があるのであります。従つて各地元の警察に無電でそれを通報しますならば、ちようど旧正月でたくさんのトロール船が休んでおるのであります。また警備船もあるのであります。それが総出動してただちに沈没船員の捜査を開始するようなことになりますならば、あるいはこの五名の死亡者も死亡せずに、生存者のうちに入つてつたかもしれないのでありますが、地元の方へ何らの通報もせずして、わざわざ広島の方へ通報し、広島から三津浜へ通報して、地元の警察や家族に通報されたのはまさに午後四時であります。目と鼻の沖合いで沈没せしめられておる船のことが、五時間も六時間もたつて後にようやく地元の警察に通報され、この関係者に通報されたというような事実、こういうことがはたして妥当であつたかどうか、手落ちがなかつたと言い得るかどうか。さらに捜査の点について誠意がなかつたというふうにとられる節もあるのでありますが、これはどうであるか。すなわち従来こういうような遭難があつた場合には、その死体が上りますまで徹底的に夜に日を次いで捜査をするのであります。ところがこのむらちどり丸は四時か五時まで捜査に従事しましたけれども、四時か五時に引上げてしまつておるのであります。なるほど数時間後に同じ海上保安庁の警備船が二隻ほど現場に到達しまして、この捜査をいたしましたけれども、しかしいろいろ専門家にいわせますと、追突の現場を知つた者でなければほんとうの捜査はできない、あの広い海上で、あとから来て事情のわからない者が捜査するといつたつて、なかなかそんなにほんとうにかゆいところに手の届くような捜査ができないということをいわれておるのであります。また従来そういう例があつたときには、必ずその関係の船が全責任を持つて捜査をするのでありますが、この三人の生死をはつきり確かめずに、これが無責任に早期に引上げておるのであります。私はこれは非常に非人道的なことであり、ゆゆしい人道問題であつて、断じて許すことはできないと、かように考えておりますが、私の考えは間違いでありましようか。またあとからやつて来ましたその捜査の船は、夜間は中止して朝始めるというような状態であるようであつて、誠意の一片も、と言うと極端でありますが、現地の関係者並びに地方民の憤激が緩和されるほど、誠実にやつていないというふうに聞いておりますが、その点に対する現実の善後措置はどうなつておりますか、これもお聞きしたいのであります。  さらに現地の民衆を極度に激昂せしめております他の一つの問題は、十人の乗組員のうち三人は行方不明になつたのでありますが、七人はぬれねずみのものを引揚げられてむらちどり丸に収容された。むらちどり丸の方の情報から見ますと、非常に優待したそうでありまして、その点については私ども感謝の意を表するにやぶさかならないのでありますが、しかしかりに密漁の嫌疑があつたといたしましても、目と鼻の間に宇和島、八幡浜という市の完備した留置場があるにかかわらず、これに収容しない。ことにその家族全体が、自分の親が死んでいないか、自分の子供が死んでいないかというふうに非常に憂慮しているにもかかわらず、そのぬれねずみになつている七人を目と鼻の間にある自宅に帰さず、家族とも会わせずに、それを遠い広島にひつぱつて行つて、船員らを隔離して、何人にも会わせないというようなことになつておるのであります。この家族の者ばかりではない。死亡者の遺族の人たちは、どういうぐあいに自分たちの親とか兄弟とか子供たちが死んだのであるかということを心配しているけれども、それを聞くことが全然できないのであります。他の七人が帰つて来ますならば、いろいろな点から、だれそれはこうして、だれそれはどこにおつてどうなつたのだがというようなことで、一応はその生死も確かめることはできるし、沈没当時の状況も聞くことができて、少しは慰めになるのでありますが、何らそういう点に対する顧慮をせずして、広島の方へひつぱつて行かれて、現在でもまだ隔離してだれにも会わさないということなんであります。これはよほど警備船の方にうしろ暗いといいますか、弱点があるからい船員を自宅へ帰さず、地元の警察の留置場に置かずに、現在なお隔離して、面接をせしめないのではないかと思われる。たかが操業区域を犯したか犯さないかという問題であります。刑事問題としてもごく軽微な犯罪であつて、何箇月、何年というような懲役の問題ではありません。罰金だけで済む問題であります。いわゆる重大犯人でないにもかかわらず、かくのごとき非人道的なことをやるのは、私ども同じ日本人として非常に悲しみにたえません。そういう点について、長官はどういうふうに御報告を受けておられますか。実際血も涙もないやり方だと私は思つて、地方の人心が憤激しておるのももつともだというふうに考えております。地方の新聞なんかを見ますと、いろいろなことが書いてありますが、こういうことも御参考にしていただきたいと思うのです。「密漁なくも捕つたら百年目、必ず喰わされる臭いメシ」という見出しで、こういうふうなこともいつております。「仮に密漁していた場合は仕様がないとして、もし密漁の事実がなければ、容疑が晴れて釈放されても、その間の無駄は大きな損害だ。こんな場合には、損害の弁償をしてくれる規定はある。然しその手続は面倒で、とても漁師なんかに出来た仕事ではなく、また取つたにしてもホンノ申訳程度な金であり、貰つても到底損害の十分の一にも足りないから貰わないのが普通だ。それにもし密漁がない場合は、船体やエンジンの細部検査で苛め、もしこれも落度がなければ、雇入れ手続などの細則などを引張り出して取調べられるから、結局警備船に捕つたら百年目だという気持ちが船員の頭にこびりつき、沖で警備船に逢えば必ず逃げるようになるんです。」こういう新聞記事もあります。とにかく「警備船は殺人業か」というような見出しもありまして、地方では非常な重大問題になつておるのであります。これは今回の問題ばかりではない。全体の海上警備船は、同じ日本人に対してこういう気持であつて、それが至るところに現われるとなりますと、非常にゆゆしい問題だと思うのであります。その点について、実情はどうであるか。それから、もし不法に、あるいは故意に衝突せしめて死亡せしめる、しかもその善後措置に欠くるところがあるというふうなことがありました場合には、どういうふうに善処されるか。そういう点について一応お聞きいたしまして、いずれまたはつきりした情報が入り次第、いろいろ御質問してみたいと思います。
  75. 西村英一

    ○西村(英)政府委員 ただいま高橋さんから、今回海上保安庁の巡視船が密漁者の取締り最中に起りました事件によりまして、三人の犠牲者が出たということであります。その点につきましては、どういうことであつたのかわかりませんといたしましても、われわれといたしましては、御関係の方々につつしんで弔意を表する次第でございます。  事件は御承知のように係争中になつておりますので、徐々に判明すると思われますが、運輸省の不法漁業の取締りにつきましては、不法漁業であればどういうような処置をしてもいいというような点は、いろいろなことをいわれておりますけれども、われわれの決してとらざるところでございます。しかしまた不法漁業というものはいろいろな問題を含んでおりますが、これもなかなか容易に減少しなということも、高橋さんよく御承知通りであります。こまかい点につきましては、海上保安庁、その他に相当の情報も入つておるようでありますから、長官から詳しい状況をお話してもらいたいと思います。もし現場の方々で人権を蹂躪するというような気持の方がおるとしますならば、私たちこれは決して見のがすわけには行かぬと思いますが、そういう心持は全然ないことを高橋さんにお答えいたしておきます。
  76. 山口伝

    山口(伝)政府委員 ただいま政務次官の方からお答え申し上げましたが、このたびの第七住吉丸の事件で、仕事の最中に三名の犠牲者が出たことにつきましては、私どももまことに遺憾に存じ、お気の毒に存じておる次第であります。なお海上保安庁の巡視船が、密漁船に対しましては非常に苛酷に、厳重に当つておるようにお話でございましたが、もしさような事実がございますれば、これは容易ならぬことでございます。海上保安庁の巡視船は、単に水産取締りのみならず、一方には人命財産の保護で、日夜海上の安全のために活躍しておるのでありまして、そんなむちやなことはするべきことではないのであります。そういう事態がもし今後判明すれば、私どもも十分に考えなければならぬことだと思つております。平素さような密漁船に対して、不法にあるいは故意に衝突してまで取締れということは、もちろんいたしておるわけではございません。事のはずみで今日まで、数件、そういつた接触をしたり、沈めたりした事態もございますが、暗夜であるとか、やむを得ないような事情で引起された事件でございます。このたびはたまたま十一時ごろの昼間のことでございますので、私どもこういう事態になつたことについて、今後の調査によつて十分なる処置をいたしたいと思つておりますが、今日まで当庁に参りました報告をかいつまんで御報告を申し上げ、御参考に供したいと思います。  問題は二月七日午前十時十五分ごろに、ちようど巡視哨戒中でありました広島の海上保安部のむらちどりという百四十九トンの船が、佐田岬東南東十一・六海里の地点で、これは巡視船のおつた地点でございますが、禁漁区である向島の東方海面で操業中の二隻の中型底びき網漁船を認めました。たまたまその当時は巡視船の前方約三百海里程度でありました。先方では巡視船が来たことを察知したと見えまして、これらの漁船は、十時二十分ごろその中の一隻が黒煙を吐きながら進行を始め、続いて他の一隻も同様に進行を始めましたので、巡視船としましては、取調べの関係上、これに追いつくべくあとから追つてつたわけであります。さらに十時三十分ごろになりまして、漁船との距離が近接いたしましたので、国際信号旗のKという旗を掲げまして、停船信号を反覆実施いたしました。またサイレン及び拡声機によつて停船方を申し入れたのでございますが、漁船側では停船することなく、巡視船との距離がますます短縮するに従いまして、旋回をして距離を延ばしながら進行を続けて行つたというのが、現実の事情であります。その際これらの漁船は、船名を帆布で隠しておりましたが、風のためにときどきまくれましてこの船が第七住吉丸であるということがわかつたような次第であります。午前十時五十六分ごろになりまして、第七住吉丸と巡視船との距離が、約五メートル程度になりましたので、巡視船は危険を避けるため、住吉丸の航跡、すなわち進行方向の右側を追跡したのであります。午前十一時四分頃になりまして、巡視船むらちどりの船首が住吉丸のブリッジの右正横後約十五米に並航しましたので、接舷して立入り検査をするため速力を半速に減速いたしましたとこり、住吉丸が突然右回頭——右の方へが向を転換するわけであります。右回頭しましたため、巡視船むらちどりは衝突を避けるためおもかじ一ぱいにとり、機関を停止し、続いて後進原速にするなど、極力これをとつさに回避せんといたしましたが、遂に回避しきれず、午前十一時五分ごろ住吉丸の右舷後部が巡視船の左舷船首に接触し、住吉丸は左舷に傾斜し、浸水多量のためか徐々に沈没し始め、午前十一時十四分ごろ沈没したと一応報告して来ております。そのときの措置につきまして申し上げたいと思いますが、第七住吉丸が沖没すとともに乗組員が海上に脱出しましたので、巡視船むらちどりはただちに救命ブイあるいは救命胴衣等を投下しますとともに、続いて救命艇を下しました。また巡視船の乗組員の中では——通信士でありますが、海中に飛び込んで救助に当るなど、極力漁船乗組員の救助に当り、船長以下七名を救助しましたが、遂に問題の三名の行方不明者が生じたのでございます。このことを広島の海上保安本部に急報いたしまして、他の巡視船ひばり、しらたかが現場に急行しまして、合同捜索をいたしたのでありますが、発見には至つておりません。救助しました七名につきましては、遭難者であるとともに、密漁の現行の容疑者でもあります関係上、巡視船むらちどりにおいて入浴させる等、暖をとらせまして、衣服を与え、また食事も給する等いたしまして、保護をいたしたのでありますが、同日午後六時ごろ行方不明者の捜索を他の巡視船にゆだねて、現場を離れて密漁容疑者として広島の海上保安部、これはむらちどりの所属基地でありますが、に連れて行つて取調べをいたしたのであります。この間遺族に対しましては事件発生後一時間は先ほど四時ころだと御指摘がございましたが、正確にはつきりいたしませんが、御連絡申し上げております。それから広島より第六管区海上保安本部次長を現地に派遣いたしまして、遺族のお見舞を申し上げることをいたさせました。行方不明者の捜索につきましては、八日からさらに巡視船三隻を加えまして、巡視船合計五隻が地元の漁船などとも協力しつつ捜索を続けているのでありますが、今日までまだ死体の発見をいたしておりません。被疑者は当初密漁の事実を否認しておられましたが、九旧現場付近で発見をいたしました底引網は、第七住吉丸のものに相違ないことを認められまして、十一日に至りまして全員が七日の午前十時より三十分ぐらい操業をしていたことを認められ、また接触当時の操船につきましては、船長は転舵をしなかつたと申しておられますが、他の乗組員の中には接触する前、船体が著しく左に傾いて、その後に巡視船に接触したと申しておられるのであります。これらから想像いたしますと、右にかじをとつたものではないだろうかと一応思われるのであります。また当時の海上の模様は、西北西の波浪四、うねり二であります。巡視船むらちどりの損傷程度からいたしまして巡視船が接触する直前すでに、第七住吉丸は急に方向をかえたためによつて不安定な状態にあつたのではなかろうかとさえ想像されるのであります。しかし当時における双方の操船に関する過失の有無につきましては、むらちどりの乗組員につきましては、公正を期する意味もありまして、目下広島地方検察庁で検察官が直接取調べ中であります。いずれまた近く海難審判所——これは神戸の管轄になつておりますが、これらの方の手続も進められることと思いますので、これらの点については海難審判なりあるいは検察庁の捜査の結果によつて、事態は明らかになることと思うのであります。第七住吉丸の乗組員七名につきましては、二月九日中型底曳漁業収縮規則違反として広島検察庁に送致いたしておりまして、現在七名とも検事勾留中ということになつております。また第七住吉丸の僚船第八住吉丸につきましては、二月七日船長、甲板長、機関長三名につきまして、これは責任者という関係でありますが、中型機船底曳網漁業取締規則違反として逮捕状が出ているのでありますが、目下捜査中でありまして、行方不明になつているようでございます。いずれにいたしましても、この件について遂にかような犠牲者が出るようになりましたことは、海上保安庁としてもまことに驚いたことでありまして、真相をはつきりさして、この事件なり、また御指摘の過去にもさような事件が相当あつたというお話もございますから、これらのことも十分勘案いたしまして、さような御非難なりおしかりを受けないように、ふだんからわれわれはくれぐれも注意をいたしているのでありますが、水産界から信頼される役所として、あるいはまた出先の海上保安官の心構えといたしましても、すべての方面から敬愛され、信頼されるものになることを、日常モットーとして訓練をしているわけであります。万一御指摘のようなことがございますれば、今後十二分に改善して行かなくちやならぬと思つておりますが、いずれ事件の真相がはつきりいたしました上で、そういう点も今後に処して参りたいと思います。  以上私の方へ今日まで参つております報告をまとめまして、御参考に供した次第であります。
  77. 高橋英吉

    高橋英吉君 一、二ちよつと追加補助的に申し上げて御参考に供して、この問題の正しい判断に資していただきたいと思うのですが、最初沈没船の船員を連れて行かれた場合においては、密漁の疑いと艦船履没罪の疑いがあつて連れて行かれたようです。今のお話によると、機船底曳網取締規則違反だけで検事局に送致されているというのでありますから安心しておりますが、先制攻撃は最も必要であるといつても、自分の方で沈めておいて、相手方を艦船覆没罪でひつぱつて行くというのはちよつと常識にはずれますが、そのかじをまわすときにどうとかこうとかいうようなことが原因になつておるかもしれませんが、とにかくうしろから来て右舷後部へ追突して沈めておるのですが、これは連れて帰る口実にしても少し極端だと思いますが、この辺のことも民心が激昂した原因になつております。自分の方で沈めておいて、沈められた方の船員を艦船覆没罪としてひつぱるということは、あまりにひど過ぎる、こういう発表さえしております。今度のは検挙理由は底びき漁業違反だけのことですから一安心いたしております。逃げまわつたのも事実らしいですが、これは先ほど申した通りつかまつたら百年目というので、逃げる習慣になつておつて逃げたのかもしれませんが、こういうふうに恐怖心を抱かすということは、今長官が言われたような民衆に信頼心を起さし、敬愛心を起さすものとは反対だと思いますから、この点もよくお含みの上に、将来の善処を要望するのであります。  それから今の御報告中で、徐々に沈没したとなつておりますが、徐々に沈没したら、海岸からも相当近いところで、山からも見えるところでありますし、大した海ではないと思います。私は専門的なことはわかりませんが、波がどういう激浪であるか、静かな波であるかわかりませんけれども、いやしくも底びき網のような危険な船に乗る連中が溺死してしまうというのは、そういうふうに徐々に沈没したということではない。ただちに瞬間的に沈没したというふうに聞いておりまするから、この点の精査をお願いしたいと思うのです。それから捜査の方面も時間的に空白ができたと地方では言つておるのですが、非常にこまかいことになりますけれども、四時か五時にむらちどりが引上げて、警備主任が来て、捜査に従事するのに数時間の時間的な空白があつたというのですが、一番大事なときにこの空白があつたために、溺死するおそれがあるというようなことを言つておりまするから、そういう点も御参考までに申しておきます。とにかくできたことはしかたがないということもないのですけれども、これが一つの景気となつて、いろいろな面において底びき網の漁業者の方におきましても、また取締りの方の官憲の側におきましても、お互いに反省して、そうして今後再びこういう不祥事が起らないようにしていただくことができれば、この上の幸甚はないと思うのです。願わくはいわゆる部下を庇護するというふうな片寄つた立場でなくして、正しくこの問題を取上げてもらつて、正しい判断のもとに善後措置を講じていただきたいと思います。
  78. 關内正一

    ○關内委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十六日午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会