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1954-02-09 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月九日(火曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 關内 正一君  理事 松井 豊吉君 理事 岡部 得三君  理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君     尾関 義一君    岡本 忠雄君     高橋圓三郎君    徳安 寛藏君     南條 徳男君    有田 喜一君     伊東 岩男君    臼井 莊一君     青野 武一君    楯 兼次郎君     正木  清君    中居英太郎君     館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道参         事         (総裁室文書課         長)      広瀬 真一君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  威威君     ――――――――――――― 二月九日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として有  田喜一君が課長の指名で委員に選任された。 同日  理事原彪君の補欠として岡部得三君が理事に当  選した。     ――――――――――――― 二月八日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二号)  川口、只見間に鉄道施設請願關内正一君紹  介)(第八六七号)  磐越東線外箇線客車改善に関する請願關内  正一紹介)(第八六八号)  常磐線複線電化に関する請願關内正一君紹  介)(第八六九号)  自動車運送事業意免許制度廃止反対に関する  請願相川勝六紹介)(第八七〇号)  同外一件(平野三郎紹介)(第九一一号)  遠美線敷設請願岡村利右衛門紹介)(第  八七一号) の審査を本委員会に付託された。 同月六日  伊豆半島総合観光開発促進に関する陳情書  (第四〇九号)  国鉄貨物輸送力の増強に関する陳情書  (第四六三号)  めん類の国鉄貨物運賃等級是正に関する陳情書  (第四六四号)  東北本線白河仙台間電化促進に関する陳情書  (第四六五号)  上越線電車化促進に関する陳情書  (第四六六号)  関釜航路再開に関する陳情書  (第四六七号)  離島航路整備拡充に関する陳情書  (第四六八号)  北海道総合開発のため苫小牧工業港築設促進に  関する陳情書(第  四六九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出第十三号)  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたします。理事に欠員がありますので、補欠選任を行いたいと存じますが、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 關内正一

    關内委員長 なければさよう決します。  岡部得三君を指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 關内正一

    關内委員長 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由の説明を求めます。石井運輸大臣。     ―――――――――――――
  5. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまから国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本国有鉄道は、さきの仲裁裁定に基く従事員給与ベース改訂による経費増輸送量増加に伴う経費増及び減価償却費等増額をはかりたい等の必要から、旅客運賃等を約一五%値上げしてほしいとの運賃改訂の申請をして来たのであります。  しかし運輸省といたしましては、現在の経済情勢を勘案いたしまして、国民生活に及ぼす影響最小限度にとどめたい意向から、三等旅客運賃料金はすえ置くこととし、一、二等旅客運賃料金についてのみ現在含まれている通行税額外わくにする程度値上げはやむを得ないものと考えまして、運輸審議会に諮問しましたところ、運輸審議会におきましては聴聞会を開催し、慎重審議の結果、この程度改訂を行うことはやむを得ない旨の答申があつたのであります。これは別途御審議をお願いします昭和二十九年度の国有鉄道予算案に見合うものでありますので、政府におきまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を本国会に提出した次第であります。  今回の運賃改訂のうちおもなる点を申し上げますと、一、二等普通旅客運賃は、現在通行税額を含めて三等普通旅客運賃のそれぞれ四倍、二倍となつておりますが、これを通行税額を含まない倍率とし、これに通行税額を加算することにしますので、実質的には約二〇%の値上げとなります。  また一等の航路普通旅客運賃、青森・函館間航路のみでありますが、及び一、二等急行料金は、通行税額を含めた運賃料金として法定されておりますが、これをそれぞれ通行税額を含まない運賃料金改訂いたします結果、これらに通行税額が加算されることになりますので、約二〇%の値上げとなるものであります。  次に一、二等寝台料金及び特別二等車料金につきましても同様の値上げとなりますが、二等普通定期旅客運賃につきましては、現在の運賃が、三等普通定期旅客運賃に比し、相当割高の運賃になつておりますので、今回は通行税額を含めて、現在の二等定期旅客運賃に対し、おおむね五%程度値上げにとどめたのであります。  以上今回の一、二等旅客運賃料金改訂について申し上げましたが、今日国民各位に幾分でも負担増加を願うことはまことに心苦しいところでありますが、国鉄財政上収支の均衡をはかるための必要やむを得ない措置であることを御了承願いたいと存ずるのであります。  最後に、本法案実施は四月一日を予定しておりますので、重要案件の御審議にきわめて御多忙のことと存じますが、何とぞ慎重御審議の上、予定期日実施がかないまするよう御承認賜おりたくお願い申し上げる次第であります。
  6. 關内正一

    關内委員長 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  7. 關内正一

    關内委員長 次に運輸行政に関する質疑を続けます。伊東岩男君。
  8. 伊東岩男

    伊東委員 まず運輸大臣鉄道の新線建設問題についてお尋ねいたししたいと思います。本件については大分論議されたのでありますが、私は今日はごく実際問題について掘り下げてお尋ねしたいと思います。  私の見解では、日本国有鉄道の新線建設方針というものは、根底から破壊されたように思うのであります。これをすこぶる憂慮するものでありますが、何とかこれを救済する道はないか。新線三十線はすでに国策として決定されたもので、二十九年度の建設割当計画から申しますると、百十億を要求されたようでありますが、それを二十五億に削減されたとは、いくら緊縮予算といつてもあまりにもひどすぎるのではないか。私は大臣国鉄総裁予算獲得に対する政治力等を決して疑うものでもない、また問題について責任などを追究するものでもありませんから、今日はじつくり話し合つてその対策を講じたいと思うのでありますが、委員会の全知を集めて本問題の救済に取組みたい。このままでもし行くとするならば、地方ではむしろ旗運動まで起るのじやないか、かように考えるのであります。この見地から大臣は新線建設に刻する信念はつきりひとつ吐露していただきたいと思うのであります。
  9. 石井光次郎

    石井国務大臣 今お話のありましたように、一昨年から取組みました新線の三十線予定されておりまするものの実施にあたりまして、来年度は経済速力工事を進めますには、約百十億の金がほしいというので、その通りの提案をいたしたのでございます。ところが御承知のように、一般予算において強い緊縮方針をとられますると同時に、政府からの財政融資の額が大分落されましたので、国鉄に対する融資の面がずいぶん困難になつたのでございます。鉄道といたしまして、ただいま提案いたしましたように運賃値上げというものをひとつ大きくたよりにいたしておりましたのは、これらによりまして今まであります線路の改良改善方向に一歩向けるということに強い心持を持つてつたのでありまするが、それも今申し上げましたように一、二等運賃、これに類するものの値上げ、これによりまして年額約二十億円の収入が増すだけでございまして、その他に非常に困難がありまして、融資が減り、それから鉄道債券を発行するのも普通のもの百二十億、特別の関係のものは別に十億ありますが、それ以上はどうしても市場の関係増額もできないというようなことで、だんだんと折衝した結果が二十五億になつてしまつたのでございます。まことに遺憾なことでございますが、そういうわけでございます。それならば今伊東君の言われましたように、新線というものは捨ててしまうのかというと、これに対しましてはだれも捨ててしまうと申す者はないのでありますが、来年度分だけはどうしてもこういうふうに金が詰まつておるから、細々とつなげるけのものをつないで、そうして三十年度を待つてくれというようなことに今日まではなつておるわけでございます。それではどうかして予算の範囲内、またこの予算書をいじらないで増す方法はないものかということで、いろいろ研究もしたのでございますが、それもなかなか困難でありまして、ただ私どもは打切りたという感じをみんなに与えないように、何とかしてわれわれとしてもこれはつないで行きたい、年限が延びてもこれはぜひ仕上げなければならぬものだと思つて取組んでおるものでありますから、そのためにどういうふうにしたらいいかという計算的な面で、今いろいろと苦心しておる次第であります。
  10. 伊東岩男

    伊東委員 御苦心されておる点もよくわかります。そこで運輸省予算編成が非常に窓口が広くて、いわゆる陸、海、空といつたような三面をうまく調節して行くという点についても苦心の点はおかりますし、それらの点からいたしまして、緊縮予算として重点的にやつて行かなければならぬということもよくわかります。この予算の内容を一覧してみますると、まず航空関係の方は、国際航空出資を初め、ことに航空乗員養成所新設等、その他新事業は見るべきものがありまして、これはやはりこの予算の一つの特徴だと、こう私は考えております。海運関係といたしましても、船舶の建造に重心を置かれるという国策は、私は賛成であります。しかしあまりにも造船会社に優遇し過ぎられたこの予算が、結局疑惑を生んだ土台になつたようにも考えられるのであります。これに反しまして、陸運施設といたしましては改良事業に重点を置くことがこれまた当然であります。しかし国策として最も重要なる新線建設費を大削減をされたということについては遺憾だと今大臣も仰せられておりますけれども、私はまつたく鉄道公共性を無視するもはなはだしいものだ、こう考えております。しかしこういう緊縮予算になりますと、大蔵省がこれを押えるということは、これまたやむを得ないことだと思いまするが、この場合において、国鉄独立採算制をとつておるので、先ほどお話のように運賃関係等値上げもできないという意味から、結局採算のとれない新線のごときはあとまわしにするという意味で、何か国鉄がこれに反対したような気持がいたすのでありまするが、さようなことはないと思いますけれども、この点実際上打明けてもらいたいと思います。  また新線決定については、予算とともに審議会那十分審議を尽したものでありまするので、この削減に対しては審議会はどういう態度をとつておるのか、また運輸省審議会に対して相当な話を進めておるのでありまするか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  11. 石井光次郎

    石井国務大臣 この新線の問題につきまして、採算が合わないからあまり国鉄は乗気でないのではないかということの御心配でございますが、国鉄といたしましては新線をやるにつきまして、建設中はもちろん、でき上りましても五年、十年そろばんが合わないであろうということを心配しておるのは事実でございます。これに対しまして、できれば新線政府出資まつか、そうでなかつたならば、これに対して政府財政資金を使つておるのに対しての利子補給をしてもらいたいということがかねてからの希望で、私どもももつともと思いまして、この案を――初め今の予算案がきまる前には、政府出資をまず求めたのでございますが、これがいろいろ折衝中どうしても不可能であるということになりましたので、それならば利子補給をしてくれということで話を進めたのでございますが、新規のものはどうしても現在盛ることができないから、今度はかんべんしてくれということで断わられたのは事実でございます。御承知のようにこの新線が三十線完全にでき上りますと、それに要しまする資金利子だけで、国鉄負担分が約五十億近くになるそうでございます。一方において、御承知のように運賃は物価に比して半分以下の指数しか示していない状態でございまして、建設費は高く、それによつて上る鉄道収入は低いという状態になりますので、前途を非常に心配いたしておるわけでございます。そういう計算になりながら、なおかつこの新線を敷くべしということにきまつたものは、日本経済自立のために、国土開発上、これはどうしてもやるべきであるという建前からきまつたものでありますから、そういう建前でやる以上、国鉄の方がいわゆる独立採算制といつても、切り詰められた予算になりますると、なかなか背負い切れないものがあるとすれば、今私が申したようなどちらかの方法国家がとらなければならないというのも、私どもとしては当然の考え方だと思つて、話をいたしておるようなわけであつたのでございます。国鉄といたしましては、今申したような線での希望をしきりに申し出ておられます。もつともと思つてどもつたのが、今申したようにうまく参りませんでした。  これにつきまして、これから先は一体どうしたらよいかということについて、鉄道建設審議会の方はどうしたかというお話でございますが、これのきまりまする前に、まだ本会議にはなつてなかつたのでありますが、昨年の暮れの建設審議会の小委員会でございましたが、その席上におきまして、来年の予算をつくる建前から見ると、おそらくこれ以上の新線に着手することは困難であろう。この三十線の仕事をできるだけつないで行つて、そうして三十年から先に新線は待つことにしようじやないかという程度話合いがあつて、本会議はぎりぎりの年末近かつたので正月になつてからということになりまして、それが開かれないうちに、予算の方が先走つてまつたような状態でございます。建設審議会の小委員長、また建設審議会の会長にはこの情勢も話して、いろいろ話合いを続けて参りました次第でございます。
  12. 伊東岩男

    伊東委員 新線建設には今お話のように厖大な経費を要しまするので、将来は国家投資あるいは国家利子を補給する。すでにこの委員会でもそういう方向決議されておることと考えております。私は当面した今年の建設に対してどうするかということを、もう少し掘り下げて聞きたいと思うのであります。これについては、新線三十線のうち、六線だけは大体完成いたしまするので、残り二十四線に対して特段の顧慮を払つて工事を続行し得るよう処置すべしということを、先般この委員会全員賛成によつて決議をいたしまして、政府予算増額について警告したのでありまするが、この決議に対して国鉄総裁の答弁はきわめて熱意のないものでありまして、総裁の消極的な発言にはわれわれまつたく不満であります。しかしただいま大臣からいろいろと将来のことについてもお話願つたので、大体了承いたしますけれども、私は当面した今年の予算をどうするかということについては、どうしても具体的なものがなければならないと思うのであります。建設新線工事を続行する予算具体案でありますが、これはもうすでに運輸省でありとあらゆる手を打つて、ここに二十五億しかとれなかつたというのでありまするから、われわれの知恵では容易ならぬと思いまするけれども、私の案を申し上げまするならば、これは大体四案あると考えております。第一はやはり公債発行によつて財源を得るという方法、第二案としては予算の修正、組みかえ、第三案は補正予算、第四案としては債務負担行為契約、大体この四つ以外はないのではないか、こう考えておるのであります。  まず第一案については、先般松浦委員が提議しましたいわゆる全新線工事続行に要する費用も最小限要要求額の半分といたしまして、三十億の公債発行を求めて、それだけに対して、本年のところでは国が利子補給方法とつたならばどうかという提案であります。三十億といたしますると、大体利子が二億くらいあれば済むのでありまするから、この利子ぐらいは現在の予算わくのうちで操作ができると思います。しかし一兆円という予算わく内で、この組みかえがはたして可能であるかどうかということが問題点であります。さらにこの問題を強行するには非常なる決意が必要だと思います。大臣はおられなかつたと思いますけれども松浦委員の提議に対して御所見いかがでありますか。
  13. 石井光次郎

    石井国務大臣 公債三十億を加えて新線ということは、実は予算編成の途中において私が言い出した問題であります。大蔵省折衝のとき、もちようど偶然に一致することでありますが、持出したのであります。それができないというのが大蔵省側の一致した意見でありましたので、できるかできぬかやつてみたらいいじやないか、できるつもりで努力してみようじやないかということでいろいろやりましたが、これは遂にいれられることにならなかつたのでございます。今新線を伸ばすにあたつて予算はもう出ておるわけでありますから、それを変更することは実際上困難ではないかと思つております。
  14. 伊東岩男

    伊東委員 私もさように考えます。といたしますならば、第二案はいかがでありましようか。これは私の私案であつて、党の意思でないということを前提といたしましてお尋ねしてみたいと思います。緊縮予算合理性を発揮いたしますためには、国民批判の的になつておる予算を削つて、特に必要なる事業財源とする。そういたしますためには、第一は再軍備費であります。第二は造船助成費であります。これは改進党としては非常に痛いところでありますけれども、この行き詰まつた点を打開いたしますには、どうしてもかような大英断に出でなければならない、こう考えているのであります。しかして運輸省予算わくの中で操作しようと思いますならば、まず疑獄の中心で最も評判の悪い造船会計費の一部を削つてしまう。そうしてこれを鉄道建設費にまわしたらどうか。すなわち造船には巨大なる国家投資のほか、七分五厘の利子を三分五厘にする利子補給金が三十七億五千万円あるのであります。ことに計画造船に関連いたしまして一割の割もどしがあるという実情にかんがみまして、これを削減する理由は十分成立し得ると思つておりますが、大臣の所見はいかん。大臣はむろん反対されると思いますけれども委員会の大勢がそういうぐあいになつたときにはどうお考えになりますか、この点をお伺いいたします。
  15. 石井光次郎

    石井国務大臣 あらかじめおつしやつたように、これは政府としてはできないことだと存ずるわけでございますが、造船の方も御承知のように、私どもは三十万トン造船を四箇年間続けて行つて、それによつて世界的に立ち遅れております日本海軍の昔をとりもどしたいという熱意でやつておるわけでございますが、来年度においては、二十万トンの造船がようやくやつて行けるというようなことで、しんぼうしなければならないのでございます。これに対する金を、こちらの方にまわすということになりますれば、それだけ船をつくることが少くなるわけでございまして、私どもとしては海運の充実ということが、実際上の問題といたしましても、日本としては非常に大事な点でありまして、外貨を少しでも多く日本に持つてこさせるもので、早く回復されるものは回復させなければならぬ。世界海軍界において日本海運が今どういう状態にあるかといいますと、ようやく昔やつておりました定期航路の大部分が一応の回復を見ておりますが、立遅れになりましたために、世界各国から相当な重圧を受けてようやく進出を続けておる状態で、ございまして、これにはどうしても船の数も多くし、それによつて日本の輸出入ばかりでなく、第三国間の輸送にも入つて行つて、いわゆる貿易外の大きな収入として行くことが、どうしても日本経済自立のためには必要だと思つておりますので、この方を減らすことはなかなか困難だと思います。
  16. 伊東岩男

    伊東委員 御反対になることが当然だと思います。しかし私は、この船舶強大の国策はむろん必要でありますので、その点はよくわかりますが、これは非常に大きな問題でありまするので、党としてもよく研究してもらわなければなりませんし、問題は伏せておきたいと思いまして、ただ提唱だけをいたしておきます。非常に議論もありまするので、この議論はあとまわしにいたしたい、かように考えます。  第三番目としては、補正予算でとる問題でありまするが、これが一番安易な方法だと思います。しかしただいまの審議過程においては、補正予算は出さないという建前でありまするけれども、この主張はただこの過程において出さないと言つておるだけであつて、私は当然補正予算は出さなければ済まないのだと考えておるのであります。もし補正予算が出た場合には、われわれも大いに協力したいと思いますので、この場合には大臣の非常な決意が必要だと思いまするが、かような場合において今度は予算を計上し得るかどうか、その信念について伺つておきます。
  17. 石井光次郎

    石井国務大臣 政府補正予算を組まないということを繰返し各大臣から言明をいたしておりますので、補正予算を組んだらどうするかということを、補正がありそうだがそのときはどうするということを、私からここでお約束することは困難でありますが、その御趣旨は体しております。
  18. 伊東岩男

    伊東委員 以上三つの案を提唱いたしまして、いずれもどうも御採択はむずかしいような向きであります。この三案とも実現不可能といたしまするならば、最後打つ手が一つあるのであります。それは債務負担行為契約であります。これならば予算外契約でありまするから、一兆円という予算わくにも影響がないのであります。実際がこの二十九年度の予算を見てみますと、国鉄はすでに動力費修繕費車両費電化設備費、諸設備費の五費目にわたつて、相当巨額の必要な経費を三十年度中に国鉄債務負担行為として提案をいたしておるのであります。そこで鉄道建設不足額も、これと同様な工事契約をしたならばどうか。鉄道建設費改良費に比して、ただ償還効率と申しまするか、この点には問題点があります。しかし窮すれば通ずでありますが、最後打つ手はこの一手しかないと考えます。これは大臣のほんとうの決心いかんではできないことはないと思いまするが、いかがでありますか。
  19. 石井光次郎

    石井国務大臣 この問題も私ども最近になりましてでありまするが、何とかしてもう少しなければ、新線の継続にも非常な支障を来すというので、この債務負担契約をやることはどうであろうかという問題を取上げたのでございまするが、この問題につきまして、先ごろから数回大蔵当局と話し合つておりまするが、これはやはり予算の一部変更になるのでどうしても困るという一本の話でありまして、また打合せている状況でございます。
  20. 伊東岩男

    伊東委員 はつきりお答えがないのも当然たと思いまするが、しかしこの点だけは最後に残された点でありまするので、ひとつ事務当局としても十分なる御考慮を払われることを希望いたしておきます。  そこで今度はもし予算増額ができない場合のことを考えなければなりません。もし予算増額ができないといたしますと、この問題は非常に悪化いたします。二十五億の予算を全線に配分するということはすでに言明をされておりまするが、この配分率等はまたわかつていないと想いまするから、この点はよろしゆうございますが、しかし二十四の全線に配分したといたしますると、二十五億では工事を中途でやめなければならない線がほとんど全部だと考えます。この場合には請負者に損害を与えるということに相なりまするので、政府は損害賠償の責めを負わなければなりません。この場合に補償するところの概算額はどれくらいになるでしようか。大体想像がつくことと思いますが、この点。もし今度は重点的に予算を配分するといたしまするならば、全線工事の続行ができないということになりまするから、従いまして中止された関係線には猛然たる反対が起つて来まして、このときにこそ地方ではあるいはむしろ旗を立てて押しかけて来るかもしれぬと私は考えるのであります。まつたく運輸省も生死両難の苦しい立場に立たれたわけでありまして、私ども運輸省あるいは運輸大臣を責めるばかりでなくて、これは何とかしなければならないという非常な誠意を持つておるのでありまするので、この点をば明らかにしておきたい、こう考えます。
  21. 石井光次郎

    石井国務大臣 総額が少いものでありまするから、あるいは途中で打切るというようなことになりますると、ただいまおつしやつたように損害賠償といいますか、何らかの補償の道を講じなければならぬものも出て来ると思うのでございます。まそうせずにやつて行けば、手のつけられない線も出て来るという二つの状態が出て来るのであります。今せつかく、どうしたらどろいうふうになるかといういろいろな案を研究させております。でき上りましたら御相談申し上げたいと思います。
  22. 伊東岩男

    伊東委員 二十五億を全線に配分したといたしました場合において、中途で工事をやめた場合の損害補償額は大体想像がつきますか。
  23. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ただいまお話の二十四線は、それぞれ工事の進行の程度に非常な差があるわけであります。大体測量を終わつていよいよ着手にかかろうというものもございますし、工事自体がすでに本格的な工程に移つておりまして、もし今年お金が十分あれば非常に能率が上る段階に入つておるものもあるわけでありまして、そこら辺は先ほどのお活のように二十五億をどういうふうにわけるかということによつて――これがもしお話の通り仮定として一線に一億ずつわけるようなことをしますと、またいろいろ問題が起りますが、そこら辺で今まだ本格的に手がついていないというようなところは、また補償のやり方を考えますれば、補償の仕方も今の段階で考えれば何か安くできる方法もある。ところがそういうものに手をつけないというかつこうになれば、またいろいろ問題も起りますので、先ほど大臣からいろいろお話がございましたように、どういうふうにわけるかという点が一番問題であります。今やりかけておりますものを、ある程度の仕上げをして仕事を打切るというようなかつこうにいたしますと、やはり数億ぐらいの金がいることになるのであります。これは二十五億になりまして、すでに相当な額の契約をいたしておるものを、どういう段階で打切るかという点が問題になろうと思います。非常にまわりくどい申し方をいたしましたが、先ほど大臣からお話がございましたように、非常に影響するところが大きいと思いまして、有効適切な配分方法をつくりまして、審議会その他各方面の御意見を伺つて慎重にきめたいと考えております。
  24. 伊東岩男

    伊東委員 工事の計画がはつきりしなければ、もし中途でやめても補償額等もわからぬのも大体想像がつきます。そこで、どうしてもこれはやはり結論としては、予算増額するという道以外はないのであります。その点が一番今大臣も苦心されておるところのように思います。二十四線あとに残つて、まだ工事に着手してないものが七線あるようであります。これは今測量中のもののみでありまするから、そういつたような損害も起こつて来ぬわけでありますけれども、しかしこの残された七線といえども地方では非常に熱望しておる線でありまして、すでに着工祝賀会などをやつた線も大分あるのであります。もしこれの工事を中止するというようなことにでも相なりまするならば、これこそたいへんな問題でありまするが、先ほど大臣あるいは総裁からも、工事は全線やるという言明を受けておりまするから、まず間違いはないと考えます。いずれにいたしましても、ただいまの新線問題は重大な問題でありまするので、慎重に考えていただきたいと思います。決して私どもは当局を責めるのが能でありません。何とかしてこの事業を継続させなければならない。しかし現在ではお話のように、継続のできないところまで乗り上げております。これはわれわれ委員会としても相当責任を連帯しなければならないものだ、かように考えます。どうか最善の御考案を願いたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、今の二十四線以外にも、地方では奥地森林や眠れる資源開発のために必要な路線がたくさんありまするので、今日まで国会へ請願して採択した教も相当あります。これは何木ということがおわかりになれば、資料として府県別に線名寺提出してもらいたいと思います。現在国会で請願を採択した県別線名をお示し願いたいと思います。またこれに対する概算工平曲等がわかりますならは、これも付記していただきたいと思います。  さような意味からいたしまして、九州方向は特にそういつたような線が多いのであります。宮崎県でも日の影線、宮林線、杉安・湯前線、都城・油津線、油津臨港線等がありまするが、これらの鉄道の緊急度をどう見られておりますか、この点。  それから、ところで既定の新線でさえも中止せねばならないという財政状態でありまするから、こんなことをお昇れするのはまつたくむだなようなものでありまするけれども、地方といたしましては、将来の見通しでもはつきりお答えを願つておかなければらない。そうして地方民の認識を新たにして、こういうわけだから実際はできないのだというふうに推進をして行かなければならない。できないものをできるもののごとく、ただ選挙対策のごときに利用するというような不誠意なことでは相ならぬと考えておりますので、やはりこの委員会を通じてはつきりしていただきたいと思うのであります。
  25. 植田純一

    ○植田政府委員 ただいまのお問いに対しまして、新線建設につきましては、七線のほかに、鉄道敷設法の別表に掲げておりますところのいわゆる予定線、これは御承知の通りたくさんございます。そのほかにもただいま御指摘の、国会で請願があり、採択になりました路線もございます。もちろん敷設法別表にありますいおゆる予定線の中から、新たに着工する線を選ぶわけでございまするが、二十九年度におきましては、先般来お話がございます通り、新たに着工するということはとうてい望み得ないのでございます。ただ将来の問題といたしまして、この予定線の中からいろいろの経済的の重要性ある交通経路軍その他いろいろの点を勘案いたしまして、建設審議会に諮問いたしまして、その御意見を承りまして、慎重に新規着工路線をきめて行く、こういうつもりでございます。現在につきましてはその点具体的な見通しというものは立つておりません。さような状況でございます。
  26. 伊東岩男

    伊東委員 鉄道の地方路線及び支線の経営合理化が非常に必要であります。いなかの鉄道の赤字解消策については、いろいろ計画が逆輪行としてはあると私は考えておる。もしこのままでおくならば、民営バスに乗客はほとんど奪われてしまうのであります。そこで列車の増発とかディーゼル・カーの運転とか、省営バス等によつて対策があると信じておりまするが、こういつた問題について九州管内における計画案を資料として出していただきたい、かように考えます。  なお列車増発の計画でありまするが、ことに急行、準急の増発であります。九州でいいまするならば、北九州の方には数本の急行及び準急がありまするけれども、南九州のうち宮崎県のごときは、急行がたつた一本しかないのであります。現在のところでは急行が都城どまりに相なつておりまするのを、鹿児島まで延ばしてもらえると非常に都合がいいのであります。なお門司から準急として大分どまりのものが一本あるのでありますが、これも宮崎まで延長してほしいとかねがね要望しておりまするが、今の場合、はたしてこういうことができるかどうかということを明らかにしておきたいと思うのであります。
  27. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 御質問の中の閑散線区と申しますか、支線経営の合理化方策につきましては、先ほども一案を御持参くださいましたように、私どもといたしましてもディーゼル化、あるいは駅員の配置数を少くして行くという方法をとる、あるいは線路工夫の勤務の仕方をかえるとか、いろいろな面でできるだけ経費を安く経営する方法を講じますと同時に、ガソリン・カーその他を使いまして、お客さんの多いようなところはできるだげ回牧もふやして、それによつて増収を期待する、あるいは今お話のございましたように、自動車等にも負けないようなかつこうで――決して競争という意味ではございませんが、増収もはかるという方向で、対策を考えておるわけであります。ただ何分にも新しいガソリン・カーをこしらえますことも、客車増加いたしますことも、資金的に必ずしも希望通りに参りませんので、その点で大いに制約を受けておるのが現状でございます。  さらに、南九州方面における急行あるいは準急というようなものを増加するかというお話でございますが、私どもといたしましては、何とかもう少しはふやしたいというふうに考えているのでございますが、この点も今申しました客車の数というような問題に押えられまして、全面的にまだ私どもの考えておりますようなかつこうになつていないのであります。全国を通じまして列車の運行回数というものは、実はまだ戦前の姿になつていないのでありまして、たとえば例を東海道線にとつてみましても、戦前は二十五往復ぐらいあつたのでありますが、ただいまは二十往復前後でありまして、まだ少し足りない。地方によりましては戦前に返つておるところもございますが、全体に機関車、客車の数の問題に抑えられて、希望通りにまだ参つておらぬのが現状でございます。しかし昨年の宮崎あるいは都城にとまつていたものを鹿児島まで入れますとか、少しずつはよくなつてつておますが、客車の増備、ガソリン・カーの増備というような点と見合つて、もうしばらくたつて参りたいと思つておりますので、御了承願いたいと存じます。
  28. 伊東岩男

    伊東委員 ローカル線の経営合理化について、今お話のディーゼル・カーの配置運転の問題でありまするが、路線によつてはデイゼル・カーの専用をされたらどうか、こういつたふうな計画はないのか、これは非常に経済的ではないか、かように考えるばかりでなくて、地方といたしましては運転回数が非常にふえまするので、民営バスとの対抗関係にも非常にいいと考えておるのであります。ところで去年はディーゼル・カーの予算は三百台であつたものが――これは全部配置済みになつたものかどうかわかりませんが、二十九年度の予算を見ると百台に減じておる。これは採算がうまく行かぬからおやめになつたのか、財政上やむを得ないのか。将来は大いにやらなければならぬといつたような御意見も今あつたのであります。といたしますならば、一体今年の百台の配置方針はどうするのか、去年はどういう方針のもとに配置したのか、どんな条件を具備すれば優先的に配置ができろのか、これは非常に大きか問題でありますので、この点を明らかにしておきたいと思います。志布志線のごときにおきましても日南市を中心として、この配置運転については非常な希望をいたしておるのであります。毎年請願をだしておりますけれども、今日まだ実現していないのであります。今年こそは配置があるものと信じてよろしゆうございますか、この点お尋ねいたします。
  29. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 ディーゼル・カーの配置方針についてのお尋ねでありますが、ただいまも御示唆がございましたように、私どもといたしましてはディーゼル・カーを動かすことによつて、できるだけ経営的に有利だというような点に重点を置いて考えるわけでございます。従いまして先ほどお話がございましたように、できるならばばディーゼル・カーを動かすことによつて、従来そこにあつた客車なり機関車なりというものを他に転用でき、そして何回か同数を動かすことによつてお客さんもそれについて来てふえる、こういう点をねらつて、その線区を選んでおるわけであります。ところが御承知の通りディーゼル・カーにいたしますと、通勤時間に込むところにおきましては必ずしも収容し切れない。そうするとディーゼル・カーを動かすことによつて、回数がふえますけれども、ラッシュのときだけはやはり客車とか機関車とかを残しておかなければならない。こういうところも地方によつてはあるわけなのでありまして、私どもとしてはすつかりディーゼル・カーに置きかえができるというようなところを主として選んでやつたわけであります。  ディーゼル・カーの予算が当初私どもの考えておりましたのよりは相当割高になつて参りまして、ただいまのところ一両千四百万円近くかかるというのが現状でありまして、何とかもう少し安いものでもできないかというような点も、今設計上考慮いたしておるわけであります。今年は二百何十両かこしらえたのでありますが、御承知の通り予算が下期にずれて遅れましたので、まだ全部でき上つておるわけではございません。先ほど申しましたような観点から選んだ線区に動かす予定になつております。来年度は百両ばかり、これもできるだけそういうように重点的に配置したいと考えておりますが、ただいま御質問ございました志布志線に入れるかどうかについては、私ただいま資料を持つておりませんので、後刻機会を得てお答えいたしたいと思います。
  30. 伊東岩男

    伊東委員 もう一、二点お尋ねしたいと思います。停車場の改修方針でありますが、これは都会の停車場を完全にするということは非常に必要なことでありまして、今着々進んでおるようでありますけれども、支線の停車場はことに腐朽いたしまして、構内が非常に狭くなつておるのであります。ことに貨物も乗客も戦前よりも非常にふえておりますけれども、停車場は旧態依然であります。一体この停車場の建設改良のごときは、一つの方針があると思つておるのでありますが、この改築順位等についてわかつておりますならば、資料としてお示しを願いたいと思います。なお停車場の改修方針についてお伺いをいたします。
  31. 天坊裕彦

    ○天坊説明員 私どもの停車場が全国に四千くらいあるわけでございますが、この四千はどれもこれも年限は相当古くなつてつております。また途中で戦災あるいは水害、いろいろな災禍をこうむりまして、いたんでおるものもあるわけでございます。また中には御承知の南九州方面におきまするように、白ありというような関係で、年限にかかわらずその白ありの被害のために、倒れそうになつておるというものもあるわけであります。私どもといたしましてはこの四千の停車場につきまして、ある程度計画的に次々と、三十年なり四十年なりほとんどたつておるわけですが、そういうまわり順に建てかえもして行かなければならぬ、あるいはまた狭隘になつて来たところをかえて行かなければならぬというふうに考えておるわけであります。御承知の通り終戦後は特に線路、車両という方向に、どうしても安全という立場から重点を置かなければならぬという点を考慮いたしまして、停車場の建てかえには大体毎年四、五億の金を見積もりまして、それで全国各管理局からそれぞれの順位をつけた資料を持ち寄りまして、それにつきまして一々検討いたしまして、毎年十五か二十ぐらいでき上つておるのであります。ただいま御指摘の通り、目立つところに大きなものができておりますけれども、決して都会重点という考え方ばかりでやつておるわけではございません。ある程度地方にもそれぞれ少しずつではありますが、建てかえをやつておるわけであります。今申しました通り、五億程度と申しますと、ほとんど工事費の中の一%というような程度でございまして、全体に潤つて行くのは非常に微々たるものでありますが、どうしても倒れそうだというところについてはそういう建てかえをせざるを得ません。今年度も大体そういう線に沿つて停車場の建てかえもやらなければならぬというふうに考えております。
  32. 伊東岩男

    伊東委員 最後にもう一点、自動車の問題について伺つておきたいと思います。  省営バスの運営の方針でありますが、地方では省営バスを希望する者があつた場合には、新線をお認めになる方針でありますかどうか。いま一つは、省営バスは以前は非常に評判が悪かつたけれども、最近は非常にいいようであります。しかし民営バスに比べるとどうも車両がそまつである。いま少しサービスをよくする方法はないのか。もう一つは、省営バスは独占が多いのでありますが、民営バスを割込ましてこれを認めることはどうか。むしろ競争さして、サービス向上に資した方がいいのではないか。省営バスは自分のことばかりでなくて、相手の客のことも考えてもらうのが当然だと考えるのであります。いま一つは省営貨物自動車の問題でありまするが、これは割に評判がよろしゆうございます。省営バスのあるところには、やはり貨物省営自動車を増車していただくことが地方では非常にいいと思うのでありまするが、これらの御方針について承つておきたいと思います。
  33. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 省営バスについての方針は、今までもたびたびこの委員会大臣からも、私からも御説明申し上げておると思うのでございます。省営バスといいましても今で言えば大部分国鉄バスでございますが、国鉄バスは各地において非常に要望も強いのであります。また地方民の支持も非常に大きいので、民営バスのないところにおいては、国鉄バスを積極的に認めているのでございます。ところが民営バスがすでにあるところで、民営バスのサービスが悪いから国鉄バスにとつてかわらしてくれという要望も非常に強いのでございますが、そのようなときに非常に問題が紛糾しておるわけでございます。そのようなときには民営バスのサービスはどのような状態か、運賃なり、回数なり、車の設備あるいは鉄道との連絡状況、運転の時間というものを考えまして、どうしても民営では十分でないと思われる場合には省営バス、国鉄バスを認めておりますけれども、まあどうにかやつて行ける、また改善の見込みの十分あるという場合には、あえて国鉄バスを認めずに、民営バスのサービス改善、経営の努力というものを期待して見送つておるという状態でございます。ところが逆に特定の地区においては――国鉄バスよりもむしろ特に優秀な民営バスのあるところでは、民営バスの方が評判がいいというような例外もあろのでございまして、そのような場合にも別にわれわれとしてはわけ隔てをせずに、国鉄バスに十分やつてもらう。またりつぱなサービスが期待できる場合には、特にさらに民営を割込ませる必要もないかと思うのであります。自動車バスにつきましては、そこの交通量あるいは地方の事情、連絡運輸の模様というようなことも考えまして、国鉄であろうと民営であろうと、一業者でどうにかやれるような場合には、特に無理に競争体制をとつておらないのであります。その意味でそれは独占という形になりまするけれども、独占でも特に弊害がなければそれでいいのではないか、安心して事業を経営していただくというのが建前でございます。交通量の多いところ、あるいはまた独占の非常に多いところには、競争体制を国営でやろうと民営であろうととるのでありますけれども、そのような弊害も心配もない場合には、独占でもそのまま認めておるというのが非常に多いのでございます。そこで国鉄バスが独占であつても、それでりつぱにやつてくれておるならば、あえて民営を認める必要はないということで臨んでおります。ところが直通運輸の関係で、国鉄バスだけではどうしてもある都市からある都市へ行けない。それには民営の路線を通らなければ行けない。また民営だけでも直通運輸ができないので、国鉄バスと民営バスの両方にまたがつてバスを動かす必要があるようなことが起つて来るわけでございますが、そのようなときには両方で話合いを十分していただきますし、われわれとしてもそのごあつせんをしまして、円満な話合いの上で直通運輸を両方でしてもらう、こういうような態度で臨んで来ておるのでありまして、名地で最近そのような話合いは大分成功して来ておるのでございます。もとより国鉄バスにも民営バスにも、そこで開発した地盤といいますか、勢力分野がありますので、十分話合いをし、お互いの利益といつては変でございますけれども、お互いに相互の立場を尊重し合つてしなければ話がもつれるわけで、その点をいろいろとごあつせんしておるわけであります。最近もう各地にそのような空気がだんだん強くなりまして、今後国鉄バスと民営バスは競争的な気持にはなるまい、お互いにその分野を担当してバスの路線網を形成しようというので、勢力分野は尊重する、そうしてお互いに入り合つたり直通するようなときには、十分に話合いをするという空気が強くなつてつておるので、非常にけつこうなことであると思つております。
  34. 伊東岩男

    伊東委員 自動車問題ではなおお聞きしたいことがありますけれども、あまり長くなつてもいけませんから、もう一点だけ承つて私は質問を打切りたいと考えます。  それは毎年繰返されることでありまするが、税金の問題であります。特に本年は自動車税の値上げあるいは固定資産税への移行、あるいは経営者に対する特別課税、あるいはガソリン税等についての問題があります。これは税金の問題でありまするから、ここで論議すべき筋合いのものではありませんけれども、自動車との関係があるのでありまして、運輸省としての立場からは相当お考えがあることと思うのでありまするが、事ここに至るまでの大蔵省との折衝過程等について、お漏らしを願いたいと思うのでございます。なお自家用自動車のごときは当然増税してもさしつかえありませんけれども、バスの税金などを上げることは、従いまして自然にこれが大衆課税になつて来るのであります。あるいは貨物自動車税を増税するというようなことは、従いまして運賃高によつてやはり大衆の迷惑するところとなるのでありまして、ただ自動車自体の経営上の問題でなくて、ひいては大衆経済関係があるのであります。きよう御提案なつ鉄道運賃が上るのは、これは一、二等でありまするからよろしゆうございますけれども、こういつたこともそれを土台にして、そうして税金が上つたというようなことを考えて、賃金の値上げ等が始まることになり得る可能性が多いのであります。従い幸して運輸省としてもこの税金問題については相当お考えがあると思いますが、この点について御所見を承つておきたいと思います。
  35. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 税金の問題はお説のごとくまことに重要でございまして、これがたびたび上ることになりますれば、ひいては運賃値上げの事態を引起すことになりまして、極力避けなければいけないことと思うのでございます。そこで現在国税、地方税の改正、値上げの案がいろいろと政府部内に立てられておりまして、運輸省にもいろいろ相談が参つておるわけでございますが、御説のごとく極力値上げを防止することに努力しておるわけでございます。まず国税の自動車関係としては、揮発油税の値上げを一キロリットル当り二千円というのが示されております。これにつきましては、これも値上げしなければなおいいのでございますけれども、ただ道路財源として、道路整備特別措置法の関係で、揮発油税が全部道路の整備、改良に充てられるということになれば――ほかに財源もないときに道路の緊急整備のために使われるならば、それはひいてまた自動車にもどつて来るという意味からは、ただむげに反対すべきでないと思いますので、揮発油税に対しては、ある程度値上げはやむを得ないのではないかと考えておる次第でございます。  なお国税のうち、自動車関係として物品税の値上げの問題がございますが、これは高級乗用車、特に外国からの輸入車に対して現在三割というのを五割上げようというのでございますから、これはある程度ぜいたく品というような意味から、これまたやむを得ないのではないかと思つておるわけでございます。問題になりますのは地方税の関係でございますが、地方税のうち特にお話の自動車税の値上げが、いろいろと非常に大きく要求されておるのでございます。たとえば一番大衆的に問題になり、国民経済に最も影響を与えそうなトラックとバスにつきましては、現在トラック一台、バス一台が一万四千円でありますのを、ディーゼル車は二万八千円にする。観光バスは六万円にするというような急激な値上げが示されております。これはこのままで行けばひいては運賃影響しますので、上げるべきでない。特にこの現在の一万四千円その他も昨年の八月に上げたばかりでございますので、一年もたたないうちにさらに十割も上げるというのは、実情にまつたく合わない、急激過ぎるというので反対いたしまして、ただいまの折衝経過はディーゼル車については十割増しというのを、五割増し程度で押えるということで話がつきそうであります。ガソリン自動車はバスもトラックもすえ置きでございます。それに対してガソリン自動車は揮発油税を払うからいいが、軽油の方は軽油税というものを払わない。これは自動車だけ税をとつてほかの部門ではとらないというふうな使いわけは、徴税技術上不可能でございますので、自動車についても軽油の課税は免れておるわけでございますが、そのかわりというわけで地方税で自動車税をとろうというのでございます。何だか話が筋違いのように思いますので、これについて折衝の結果、五割増しくらいで押えるという話がついているわけでございます。なおもう一つ自動車関係の地方税で問題になりますのは、事業税がバスについては外形標準課税ということになつております。これは海運、倉庫、トラック、通運、みんな外形標準課税でございましたが、今回は海運、倉庫、トラックというような事業は外形標準税をやめられますが、バスについては依然として外形標準税で行くというような考えで、利益がなくても、赤字であつても、総収入に対して一定率をかけるということは、これは事業の安定を害すものであるからというので、その外形標準税をやめてもらうように、これも折衝中でございます。ただいままだ確定はしておりませんが、そのような方向に極力努力しております。
  36. 伊東岩男

    伊東委員 お話のガソリン税は目的税になつておるのでありまするが、ところで本年はその目的税が変更されて、一部分が道路改修事業に行き、一部分が地方交付金としてやるとかいうようなことを承つておるのであります。これはたいへんな大きな問題だと思つておるのでありまするが、これについては運輸省としてはどういうふうにお考えになつておるのでありましようか。
  37. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 所管は建設省であると思いますが、運輸省も非常に影響が深いので、いろいろ研究し、折衝しておりまするが、国税で道路改良整備費がいくら出ましても、国税で全部国道、府県道を改修するのではなくて、四分の三なり、三分の二なり、場合によつては二分の一くらいは国で負担して、残りのものは地方費で負担するというのが、すべての公共事業建前でございますが、そうすると国からいくら道路の財源行つても、地方費がそれに見合うもの、それについて来るものがなければ工事が完了できないことになりまして、ひいては地方財政に非常に圧迫することになると思います。従つて地方の方から道路財源を何かくれくれという要望が強くなるのは、これはもつともなことだと思います。そこで窮余の一策として、せつかく目的税である揮発油税を一部分地方に譲与するというようなかつこうで、交付するという考え方が出て来たのであろうと思います。建前としては決して賛成すべきことではないと思いますけれども、国と地方との分担が相合して、初めて工事が完了するという現在の工事分担の建前では、ある意味ではやむを得ないのではないかと思うのであります。ただ心配されますのは、その三分の一なりを地方にやりましても、それがはたしてひもつきで国が行おうとする道路改良の補充用に使われるかどうかという用途が、はつきり確定するかどうかの問題でございますが、その点について建設省でも熱心に大蔵省と打合せているようでございますので、われわれとしましてもとにかくそういうひもつきで道路財源として国の行う工事に必ず付随して支出されるように、用途を確定するようにということを要求しているわけでございます。
  38. 伊東岩男

    伊東委員 臼井君から関連質問があるそうですから、私の質問を打切ります。
  39. 關内正一

    關内委員長 なおこの際伊東君に申し上げますが、ただいまの自動車税に関しまして、明日の委員会で自治庁長官においでを願つて御説明を求め、さらに質疑をいたしたい、こういう予定になつておりますから、お含みおきを願います。臼井君。
  40. 臼井莊一

    ○臼井委員 関連して中村自動車局長にお伺いしたいのですが、税金の面についてはいずれまた機会があるようですがただ私は自動車税が安ければいいということばかりも考えられないと思うので、その点は後日に譲りますが、近ごろ観光バスが非常にふえている。これは文化の発展の上において非常にけつこうだと思うのですが、緊縮財政といいますか、政府日本国民の耐乏を求めつつある現状において単に物見遊山のために観光バスをふやすことははたしてどうか、外貨の獲得のために大いに外客に来てもらうような観光施設に、ある程度力を用いることはけつこうですが、なるべく耐乏しなくちやならぬという状態であるならば、レクリエーションに出かけることは大いにけつこうですが、そういう際は既設の鉄道なり、電車なり、多少歩くこともむしろレクリエーションになるのではないかと思います。私の方は千葉ですが、成田山の参詣などにはえらくバスが来る。これが全国的にどのくらいふえつつあるかお伺いしたい。これはただいまでなくともよろしゆうございますが、資料をお出し願いたいと思います。  それからもう一つ伊東さんの御質問に関連して、鉄道建設予算が本年度二十五億に制限されるということになると、大臣その他からもるる話がありましたように、非常に不生産的な建設方法をとらなければならぬということになると思う。予算がなくなつたから途中で工事中止ということになれば、これは非常な損害です。これも財政のやむを得ざる事情によつて緊縮するのだということで、これは一応おくとして、先ほど伺つた伊東さん個人の案だとおつしやる計画造船の問題ですが、これもいろいろ聞くところによると、世界情勢は船腹が非常に余つて来ている。英国等の事情も新聞などに出ておりましたが、それににらみ合せて、計画もある程度立て直さなければならぬということも考えられると思うのですが、そこで資料としてお願いしたいことは、二十八年度までの計画造船の進行状態がどういうふうになつておるか、預金の貸付がどの会社にどの程度出ておるか、さらに現在の計画造船の内容等についてもう一度よく承つて、はたして日本が緊縮財政をとるのにふさわしい状態であるかどうか、私たちも十分検討いたしたいと考えるのでありまして、そういう点を政府は考えられて本年度の計画造船をやつておられるかどうか、当然お考えになつてやられたと思うのですが、その点について大臣のお答えをいただくとともに、さらに資料をお出しいただきたいと思います。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 今お話の数々の資料は、とりそろえて提出いたすことにいたします。世界海運界の状況を見ますと、いかにも船が余るような傾向に見えるということでございましたが、日本の船舶はどういう状況にあるかと申しますと、本年度から四箇年計画ということで年三十万トン建設して参りましても、外航船は四年後においてようやく戦前の七〇%を回復する状態になつておるのでございます。先進国の方で船も余るし、運賃市況もおちついて来ているんだから、もう船なんかこしらえぬでよさそうなものだということもいわれるのでありますが、現にこんなに運賃市況が落ちて参りましても、現在建造計画中のものだけでも世界で千四、五百万トンに上つておるわけであります。なぜそういうふうにして外国とも競つてこしらえるか、いろいろ古いものとの入れかえもありましようが、航路におきましては――ほかの場合もそうでありますが、速力の早い、そして客積の大きい船が多く配置される航路は、そういうものを持つておる国が自然運搬の上に信用を博するという状態でございまして、日本の現在の状況から見ますと、戦争前にやつておりました定期航路のところは、南米の一部を除きまして、大体は一応の配置はついております。しかし速力だとか、今申しました容積等の問題から比べますと、まだまだひ弱な状態でございまして、この状態がやがて、日本の国の海運はまたひ弱だひ弱だということで、ここで押えようとする世界海運界の動きがそこに強く当つて参ります。私どもといたしましては、せめてさつき申しました戦前の七〇%までは回復するようにいたしたいということも念願いたしております。またニューヨーク航路のごときは、新聞で御承知のようにただいま非常にアブノーマルな状態でございまして、めちやくちやな競争状態が起つております。大体におきまして運賃は下つておりますが、それに応じてもやはり外貨の獲得はいたしておるのでありまして、本年は約二億ドルの外貨収入が上げられるだろうと思つております。これは数と船の力というものがものを言う状態でありますので、どうしても私どもはこれを伸ばして行きたい、こういうふうに考えております。
  42. 關内正一

    關内委員長 正木清君。
  43. 正木清

    ○正木委員 私は運輸行政一般に関連して、実にいやなことではございますが、日本交通公社のかつての責任者が検挙されたというような新聞記事が出ておりますし、今日までもしばしば当委員会等においても、国鉄日本交通公社との関係等についてそれぞれ質問、御意見等が出たのでございまして、いずれは当委員会を通じて、日本交通公社と国鉄との関係、それから日本交通公社が国鉄に当然納めなければならない切符の売上げ代金を、今新聞等で問題になつておりますが他の方面に流用しておるのかどうか、このことは明確にしておく必要があるのではないかと考えますので、これから若干の質問を試みたいと考える次第でございます。  そこでまず一点として、国鉄日本交通公社との間には、当然責任を持たせるところの具体的な契約文書が交換されて、そこで国鉄としては切符を委託して、交通公社が取扱つているもの、かように私は常識判断をいたすわけでございますが、日本交通公社と国鉄の間にどのような契約文書が交換されておるのか、そしてその交換されておる契約文書の中の一番重要な点はどういう点であるか、この点をお答え願いたいと思います。
  44. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 切符の委託販売につきましては、明確な契約がとりかわされてございます。内容は、どういう種類の切符を売らせるとか、あるいはそれに対して手数料はどうである、代売金の納期はどうであるというようなことでございます。
  45. 正木清

    ○正木委員 交通公社に国鉄が支払う売上げ手数料は、五分であるとわれわれは承知いたしておりますが、間違いがないかどうか、この点お尋ねいたします。
  46. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 現在は五分であります。その前に三分の時代もございました。
  47. 正木清

    ○正木委員 その契約書の中には、たとえば一月の売上げ代金は、一箇月をおいて翌日に国鉄に納入するということであると聞いておりますが、事実であるかどうか、その点お答えを願います。
  48. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 指定の日に納付させるということになつておりますが、実際問題として、指定の日というのは一箇月間の精算期間を経てからでございますから、御指摘の通りでございます。
  49. 正木清

    ○正木委員 交通公社の定款及び決算及び事業報告書を実は私こうして手に持つておるわけですが、この日本交通公社の定款に基きます目的及び事業を見ますと、第三条に「一、内外旅客の案内斡旋、二、外客誘致宣伝及旅行文化に関する事業、三、前各号の外木法人の目的を達する為必要と認むる事業」と、こういうことが明確にされておりまして、私ども承知しておりまする範囲においても、この日本交通公社が国際的にも、また国内的にも、社会的に貢献しておりますことは、私は否定できないのではないかと思う。これは運輸当局にしても国鉄当局にしても、この日本交通公社の健全な事業発達のためには、いろいろの角度からこれはめんどうを見なければならないのではないか。こういう意味からして、今年度の予算面においても、観光事業費補助金として、あるいは日本交通公社から見れば少いかもしれませんが、限られた苦しい予算の中で相当の助成の予算額を計上しておる。このことは私は正しいと思う。問題は国鉄日本交通公社がさような契約を結んで、代売制を現に実行させておるし、国鉄のさらにほかの部分においても、日本交通公社がかわつて事業をやつておるとすれば、国鉄を監督する運輸当局は、この日本交通公社に対する監督権というものが一体あるのかないのか。それからもう一つは、現実にこういう契約を結んでおる国鉄当局として、今日まで日本交通公社の経理内容、事業内容等について、どのような監督をして来たのか。国鉄を監督する運輸省の立場と、直接契約を結んでいる国鉄の立場から、監督権の問題をこの委員会において明らかにしてもらいたい。
  50. 植田純一

    ○植田政府委員 交通公社に対します運輸省の監督は、いわゆる公益法人、財団法人としての運輸大臣の監督、これは民法のいわゆる公益法人に対する監督の規定によりまして監督しておるわけであります。そのおもな内容としましては、設立の許可、また定款の変更、そのほか一般的な監督でございます。なおそのほかに、いわゆる国鉄に対しまして一般的な監督権を持つておるという立場におきまして、国鉄と交通公社とのいわゆる契約関係、こういう面におきまして国鉄を監督する立場になつております。これも一般的な監督でございます。いわゆる交通公社との契約そのものを、直接認可するとか何とかいう監督権はございませんが、一般的な監督権は国鉄に対して持つております。この立場から申しますると、交通公社に対する監督は非常に間接的な意味でございまして、直接的には先に申しました民法上の監督権を持つておる、かような次第でございます。
  51. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 国有鉄道といたしましては、一方は民法上の財団法人、公益法人である。こちらは公共事業体ということで、法律的に申しまして、私は対等の地位で契約しているものと思います。しかしながら過般来のようにわれわれの方の債権が非常にたまつて来た、延滞して来たというような際におきましては、これは普通の取引関係においてもそうだと思いますが、いろいろ経理の内容にまで場合によれば立ち入りまして、この債権はとりたいというとき、そのためにいろいろな方法、手段を講じてくれ、またその計画を立てろというようなことまで、少し行き過ぎかもしれませんが、やむを得ず立ち入つて行つたこともございます。しかしながらこれは法律的にいえば少し行き過ぎなやり方でありまして、向うの債権を弁済するという誠意なり計画なりに信頼して、それを履行する方法を講ずるというのが、ほんとうの行き方であろうと思います。現にわれわれの方の代売代金は、特別な預金にしてくれというような要求をしまして、特別な頭金として、これは国鉄の許可なしには引出せないというような監督方法を講じておるというようなことは、これは普通の会社だつたらちよつと行き過ぎじやないかとも思います。
  52. 正木清

    ○正木委員 そこで、運輸大臣に質問したいと思つてもこれは無理でしようから、監督局長に、まず運輸省の立場で質問するのですが、私はこの交通公社の資料に基いてお尋ねをするわけですが、法律的に見て、いろいろの理由を付しての弁解はあろうとは思いますけれども、世の中はあげて、この日本交通公社の事業内容、経理内容、従つて国鉄との関係、運輸当局との関係等ついては、少なくともいろいろ疑惑の目で見ていることだけは間違いないと思う。それを私は明らかにしたいと、こういうのです。そこで私はお尋ねしたいのですが、この役員名簿というものを見ますと、この日本交通公社の役員というものは、かつて鉄道関係、要するに運輸省関係につながりのある人々が非常に多い。監督局長はこの名簿を見ますと、参与になつておられる。間違いございませんか。それからもう一点、大臣石井さんですが、あなたは顧問になつておられる。間違いございませんか。この点まず明確にしてもらいたい。
  53. 石井光次郎

    石井国務大臣 そう言われますと、確かに顧問になつております。これは一昨年大臣になりましたときに、交通公社の方から依頼がありまして、歴代の大臣が、海外宣伝に関係の多いことがあるためでありまするか、顧問になつておられるから、顧問に名前を拝借いたしたいということで、どうも鉄道関係の、その下のそういうものにわれわれが名前を出すのだろうかといつたところが、それは慣例になつて来ているからということでございます。確かにちよつと失念しておりました。
  54. 植田純一

    ○植田政府委員 たしか参与になつていると思いますが、実は参与という役割につきましては詳しくは存じないのであしりますが、会社の直接のいわゆる経理にまで関係いたしておりません。
  55. 正木清

    ○正木委員 そこで私はさらに、契約を結んで一箇年間に、これを見ますと、国鉄の代理事業百二、三十億をやつている日本交通公社と国鉄との関係について伺いたい。この定款を見ると、日本交通公社は財団法人組織であつて、株主総会にかわるべき性格を持つているものが評議委員でございます。それを読んでみますと、こうでございます。「本法人の予算は毎年度評議員会の議決を経ることを要し決算は之を評議員会に報告す」こういうことになつている。ところがこれを確かめておかなければならぬのですが、この評議員に天坊君が入つておるのです。それからきよう牛島君は来ておらないけれども、運輸事務次官の牛島辰弥君がこれに入つておる。さらに顧問には長崎惣之助――日本国有鉄道総裁が入つておる。そうすると、財団法人日本交通公社、運輸省首脳部、国鉄首脳部、これが一体となつておるというような極端な結論を下しても、ことさらに反駁もできなければ、否定もできないのではないか。一体そういうことは、長年日本の政治を担当し、毎年度の総理の施政方針演説の中で綱紀粛正を強く叫んで来た現在の政府のもとにおけるあなた方として、全然反省する余地がないかどうか。こういうことで一体いいのかどうか。抽象的ではあるけれども、私はお尋ねしなければならない。検事総長をもつてすれば、朝日新聞の記事では、造船疑獄に関して当委員会を内偵中であるという不穏当きわまる言辞を法務委員会で吐いている。私は一昨日党を代表して検事総長に会つたとき、強く彼のとつた処置を駁撃して帰つて来た。世の中の誤解というものは妙なところで出て来る。こういうところにも誤解の一端がありはしないかと思うが、運輸大臣及び長崎総裁、天坊副総裁等においては、こういう人事がこの日本交通公社を通じて行われておることが、あくまでも正しい、間違いのないものだとお考えになつておるか。これは特に長崎総裁から御心境を承りたい。
  56. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私もおそらく大臣がさつき申し上げたようなことで、そういう慣例とかいうことでずるずるとなつたのではないかと思いますが、いやしくも世の中から疑惑を持つて見られるようなことはしない方がいいのでありますから、私は即日大いなる反省をいたしまして、やめたいと思います。ただこれには私おそらくいろいろな沿革があつたことと思います。と申しますことは、すでに正木委員も御承知だと思いますが、今の日本交通公社の前身、ジャパン・ツーリスト・ビューロー、あれは社団法人でございましたが、たしか昭和十七、八年ではなかつたかと思いますが、それが解消いたしまして財団法人になつた。その目的は主として何にあつたかと申しますと、外客の誘致、内地の観光客のあつせん、旅行インフォメーションの提供というようなことにあつたのであります。それで私の知つておる範囲においては、かつてのジャパン・ツーリスト・ビューロー時代においては、代売手数料というものはございませんで、会員の会費でもつて全部の経費をまかなつておつた。営利的と申しますか、そういうようなにおいが全然なかつた時代がございます。この当時の慣行がそのままになつて御迷惑をかけたと思います。この惰性でもつて、代売手数料をとるというふうな時代になりましても、それが慣習になつていたことと察しますが、代売手数料を出すというようなことになつたのは大分あとのことでございます。しかしその場合におきましても、原価主義で私どもとしては契約をいたしているのでありまして、決していわゆる普通の営利会社と同じように、もうけ主義でやらせるわけではございません。そういう意味契約はいたしておらないつもりであります。厳格なる原価計算の上に立つて、五分の手数料というものは、手数料としてはほんとうの原価計算でやつているというつもりございます。しかしながら、いやしくも営利に類似したようなことをする疑いがある、そういうふうに見られるおそれがあるという際に、私どもそういう役員になつていることは穏当でないかとも思いますので、とくと研究して、やめるのがほんとうならすぐにやめます。
  57. 正木清

    ○正木委員 私はこの名簿を通じて見て非常に心配をいたしております点は、さようなことは断じてないと私はかたく信じておりますが、たとえば戦争中、わが国の外省の高級官吏によくあつた例でございますが、何々国策会社の顧問であるとか、あるいは評議員であるとか、理事であるとかいう形で、手当等を受取つた例がなきにしもあらずでございます。事交通公社に関する限り、運輸省の首脳部及び国鉄の首脳部、及びかつて運輸省または国鉄に職を奉じておつた諸君には、さようなことは断じてないと私は信じておりますから、私はこのことについてはこれ以上触れません。  そこで国鉄当局にお尋ねをしたい点は、日本交通公社が現在一体どの程度の売上代金の未納をしているのか、これが問題です。私の承知している範囲では、大体七億程度が未納になつているというように聞いているのでございますが、この点今明確にならなければしかたがありませんが、あなたのお手元に数字があるならば、この委員会で明確にしてもらいたい。
  58. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 先ほど強い御推定がございましたが、私ども、交通公社の役員といたしましては手当その他報酬は一文ももらつておりません。無報酬であります。  それからただいまのお尋ねの点は、さつきお配りしたばかりでありますから、正木委員まだお目通しがないかもしれませんが、二枚のこういう紙を差上げているはずでございます。これによりますと、二十五年の七月ごろにおきましては、まさに御指摘の通り、特別の許しのない場合におきましては七億程度の延納があつたわけであります。ところがだんだんそれを滅して参りまして、二枚目の紙に参りますと、いわゆる延納額がなくなりまして、そうして特別の延納を認めないと、なお四億ないし六億、あるいは多いときは七億というような延納がありましたが、過日来申し上げましたように、二十八年の十月からは、いわゆる延納額もなし、特別の延納を認めている額もない、結局一箇月遅れの分だけが残つている、こういう結果でございます。
  59. 正木清

    ○正木委員 私は今このいただいた資料は十分目を通しておりませんが、そこでお尋ねいたしますが、これは総裁では御無理でしようか、いずれあなたの方の経理局長あたりに来てもらつて、詳細に一問一答しなければ真相はわからないと思いますが、あなたの言うように国鉄に全然滞納金はないのだ。世間でうわさされているような事実はないのだということであればまことにけつこうです。ところがこの貸借対照表を見ますと、固定資産勘定でも、これは数億に上る財産を持つている。これは一体どんなものであるかということの私の想像でございますが、おそらく日本交通公社の建物も不動産ですね。これが固定資産のおもなるものである。一体従来の日本交通公社の経営状況から考えて来て、それだけの固定資産がはたして事業の中から自然剰余金として生れて、それによつてこの資産ができたかどうかということになりますと、残念ながら私はさようには感じません。私は少くとも不動産に流用されておる部分が三億から四億あるのではないか、こう見ております。それからもう一つは、この日本交通公社の戦争直後における、要するにGHQからあなたの方の切符を売ることはまかりならぬ、こういう時代があつたと思います。そういう時代――二千数百名をかかえている交通公社としては、あらゆる努力とあらゆる方法をもつて、この職員の生活を守らなければならなかつた。そこで交通公社としての本来の事業以外の事業に、私は多くの手を差延べたのではないかという疑問を持つておる。そこに当然国鉄に納入すべきところの代売の資金を、要するに隠し事業及び不良と見られるべき事業に投資した傾向があるのではないか、こういうようにも実は私は見ております。そこでここから出た資料は私はここでは議論いたしませんし、総裁では御無理でございましようから、私は詳細に事務当局と当委員会で一問一答を通じて明らかにしたいと思います。  そこで重ねて念のために私はあなたにお伺いしておくのであるが、この日本交通公社の固定資産と見られるベき建設資金、買入れ資金等は、一体この日本交通公社の事業の剰余金から全体が出たとあなたはお考えになつておられるのかどうか。少くともあなたの方へ当然納むべきところの切符の売上代金を流用しておるという事実があるのではないか。この点に対してあなたの責任ある答弁を一言聞いておきます。
  60. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 それがどういうものであるかという詳細については、よく調べなくちやわかりませんが、お説のようにGHQ、CTSから押えられまして、代売はやつてもよろしいが手数料は出す必要はない。そこでその手数料はむしろサービスをされたお客様からとるべきであるというのが、CTSの見解であつたと私は承知いたしております。その結果収入の大宗でありました手数料が断たれましたので、お話のように二千数百人の従業員をかかえて、その生活を保障しなければならぬということで、いろいろなことに手を出したということも私は聞いております。これもしかし当時としてはお話のように、やむを得ぬことではなかつたかとも想像されますが、その結果はしろうとの何とかやらで、結局かんばしくなくて、焦げついたものがあるというふうなことも起りましたが、同時におそらく銀行等の信用で借りたものでありますか何でありますか、当時のことはわかりませんが、いろいろの建物あるいは土地というものが、自分の土地としてあるいは事務所として手に入れたものがある。そういうものがその後非常な値上りをしたように私は聞いております。それで一部の欠損も穴埋めをし、いろいろなこともやつて、結局非常な努力の結果――その決算書類は何年でありますか、おそらく二十七年じやないかと思いますが、むろん二十七年度にはまだ相当のいわゆる延納がございました。昨年の十月に至つてようよう納めるに至つたということでございます。これは将来とも継続することはもちろんのこと、さらに現在の一箇月の延納もできるだけ縮めて行きたいということを、寄り寄り会長、専務理事等と私はお話合いをして、できるだけ続けて行こうじやないかというような話をしているような次第でございます。でありますから、おそらくその決算の時代においては、まだ相当残っておつたのじやないかと私は思つております。
  61. 正木清

    ○正木委員 私の持つておる書類の貸借対照表は、二十八年の三月三十一日です。従つてもちろん二十七年の四月一日から二十八年三月三十一日であります。それに損益計算書と貸借対照表が載つてるわけです。一片の損益計算書と貸借対照表で、少くとも十億からの予算を組んでおりますこの財団法人の日本交通公社の経理内容が、私の幼稚な頭をもつてしてはもちろん知るよしもございません。この資料はあとで目を通さなければなりませんが、私の心配いたすのはこれなんです。おそらく検察当局が手をつけた事件でありますから、私はやはり貸借対照表及び損益計算書の内容について、伝票を基礎として当然調べ上ぐべきであろう。そうすると帳簿というものは正直でございますから、人間はごまかしても、帳簿はごまかすわけに行きません。少くとも多少ともその方の専門者が見れば、どこにごまかしがあるか、どこに流用されているか、こういうことは一目瞭然です。そこで私の今までお尋ねしたことは、国鉄当局はりつぱに契約を結んで、そうして今日まで代売を認めて来なのでございますから、しかもその間、あなた方はりつぱな方ではございましようけれども、とかく世間から誤解を受けるような人事の配置がされておるという点、これは慣例上であるとか、いろいろの理由は立ちましよう。けれども天坊君が評議員になつておつたり、植田君が参与になつておつたり、大臣石井さんと総裁の長崎さんが顧問になつておる。しかもそのほかに、この日本交通公社の人事をごらんなさい。みんなあなた方の後輩じやありませんか。先輩もおりますし、後輩もございますよ。いいですか。そこで私の一番心配しておることを繰返し申すが、あなたは一銭もない、こう言う。残念ながら私どもの調査した範囲では、いまだに相当の未納金があるようにわれわれは調査しておる。そこでいずれ機会を見て、あなたの方の経理局長に御出席を願つて、詳細に当委員会を通じてこの問題を明暸にしたいと思います。本日はこの程度で打切ります。
  62. 關内正一

    關内委員長 楯君。
  63. 楯兼次郎

    ○楯委員 正木委員の方から問題が出ましたので、この問題に関連してまず最初にお尋ねしたいと思います。新聞面によりますと、交通公社の滝理事でありますか、検挙されたとか逮捕されたということであります。それから少し古くなりますが、元日通の東京支社長でありました近藤という方が、やはり逮捕されております。この方が逮捕されましたときに長崎総裁の家宅捜索を行つた、こういうことを新聞の記事によつて見たのでございますが、総裁、そういう事実があるかどうか、それから近藤といわれる方とあなたとの御関係について一応御報告願います。
  64. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 私は家宅捜索をされたことはございません、近藤君はかつて私が東京鉄道局長時代に使つたことがございます。
  65. 楯兼次郎

    ○楯委員 総裁はつきりとそういうことはない、こういうことをおつしやつたのでありますから、それは事実であろうと思いますので、私も確信があるわけではございませんが、新聞でそういう記事を見ましたのでお聞きをしたわけであります。これらをくどくどしく私は申し上げたいとは思いませんが、特に日通の関係であるとか、あるいは交通公社の関係であるとか、はつきりとはわかりませんけれども、新聞紙上あるいは人のうわさによりますると、いわゆる自己の会社の金がよそに流れておる。俗にいう浮貸しということで、いろいろな疑惑が集まつておると私は思つております。これは一体どういう原因であるか。どういう取扱いによつてこういうような問題が起きて来たのであるか、私は私なりに考えてみたのでありまするが、今日交通公社並びに日通とのこれらに対する契約面に、大きな欠陥があるのではないかというふうに考えております。そこでその欠陥とは何であるかといいますると、まず貨物の後払い制度であります。貨物の後払い利度はどういうような取扱いになつておるのか。少し総裁、副総裁には無理か知りませんが、もしおわかりになつておつたなら、簡単にその契約の概要を御説明願いたいと思います。
  66. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 後払い扱い制度というものは、過去におきましては私は非常に厳重に、むしろきゆうくつなくらいになつておつたと存じます。その後経済情勢の変化によりまして、どうしても後払い制度というものをある程度貨物については拡充しなければ、当時の扱いの上から無理であろうというようなことで、相当にその範囲を広げられたように私は記憶いたしております。今日に至りましては、それがまたどうも極端に走るというようなこともございまして、これは楯先生よく御承知と思いますが、新免店と称する新しい輸送業者の人々は、とかく延取引がサービスであるごとくに考えまして、六十日の手形が九十日になるとか、また経済全般の情勢もそういうことになつたというようなことと相まつて、後払いが非常に悪用というほどでもないのですが、おもしろくない結果を起しているのではないかという感じを私は持つております。この後払いというものを急激にやめるということは、経済界に非常な変動を与えると思いますから、急激にはやめられませんが、できるだけその範囲を縮少して、いわゆる現払いで、そうして手形割引とかそんなことでいたずらに割引料をとられるというようなことをせずに、できるだけコストの安い手数料で扱つていただく方がよくはないかという理想論を持つておりますが、何分にも現実はなかなかこれを許しません.許しませんが、少くとも何かの部分から、たとえば小口扱いの荷物というようなものから、現払いに持つて行つたらいいのじやないかと考えております。車扱いになりますと相当大量でございますから、これが支払い資金の準備といつても、一挙になかなかむずかしいと思います。従いまして小口扱いだけでも何かそういう方法はないものかしらというふうに考えております。でありますから、後払い制度は必ずしも理想的なものでない。といつて現払いに全然かえるかと言つたら、これも現状では困難である。そこで一歩々々改善するよりほかに方法はないではないかというふうに思つております。日通などもその後払いのために、相当手形割引その他で困難をした時代があつたようでありますが、今日ではよほど金融の情勢がよくなつて来まして、私どもに対する納付金の状況は、やはり契約通りに大体行われておるというような現状でございます。
  67. 楯兼次郎

    ○楯委員 私もこまかい面は知らないのでありますが、ごく簡単におおまかに私の知つておるところを申しますと、まず契約の条件に一つ矛盾があるということが言えると思う。たとえば五十日分の担保を入れて、そして翌月の末日に納めることになつております。翌月の末日に納まらない場合には、十五日までは延滞料をとる。二月以上の場合には解約をするということになつております。そういたしますと、納めない業者に対しては、五十日分の担保でありますので、遂に解約に至つた場合に、そこに焦げつきが出て来る。要するに未徴収が出て来る。ここに一つの大きな欠点があると思うのであります.  それからいま一つ、最近新聞面をにぎわしておりますところの問題はなぜ起るかと申しますと、それは今総裁も言われましたように非常に後払いの期日が遅れる。ところが業者からは現金で収入をしておる。現金で収入をしておいて、期日を遅らせば、当然一月なり二月なりという期間を金を持つたまま過す。そこにこちらに行き、あちらに行くという結果が出て来るように私は考えております。それから交通公社の問題でもそうでありますが、こういう取扱い方は、世界通例だそうでありますけれども、即日納入をする。そういう形をとれば、こういう問題は起つて来ないわけです。お客さんからは現金でとる。しかも納めるときには一月なり二月なりという期間を置いておる。そこにこの金がよそへ流れるということが出て来るのではないかと考えておりますが、総裁としては私の今申し上げました二点について、どういうふうにお考えになつておるか、御見解を伺いたいと思います。
  68. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 大体は同じような考えを持つておりますが、楯先生は貨物についても現金というようにおつしやいましたが、貨物についてはそうではなく、多くの場合は現金ではとれなくて、手形でとるというのが普通ではないかと思います。それから旅客については、これは明らかに現金の場合が多いのでありまして、団体等の取扱いをいたしました場合には、あるいはそうでない場合がありますが、多くの場合は現金であると思います。ただそれの精算ということにつきましては、相当の日数がいるということは、むろんあると思います。現に私去年飛行機でちよつと飛びまわつて来ましたが、この飛行機代は日本において現金で支払いましたが、その精算は私が帰つて参りまして約三、四箇月、ずいぶん長くかかるものであります。これはむろん世界全体の会社と照合いたしまして精算をいたす結果であろうと思いますが、やはり精算にはああいう期間がかかるものだということはお認めくださると思います。  要するに常識的に考えて、人に払わなげればならない金を流用して、いろいろ危険なことに使うということがあつては、これは信用の問題ということがありまして、機構の上からはどうもなかなか全部を現金でお払いなさいということも、実際問題としては私は非常に困難ではないかと思います。で過日来申し上げておりますように、また今日も申し上げましたように、いかなる小範囲でもいいから、できるだけ現金払いでやつて行くという方向に行きたいものだと考えております。そういういわゆる融通と申しますか、資金を流用するということの防止という点になりますと、やはりそこへ何か監督官か経理官というようなものをやつていて、全然金を動かさないということにでもしないといかぬでしようが、しかしかりに日通なりその他の運送業者からとる場合におきましても、その中に手数料その他のいろいろな荷づくりの費用も必要でありましようし、それをどうも自分の方で全部管理するようなこともいかがかと思われますので、今後十分研究をいたしまするが、ここには相当困難な問題があるように私は考えております。
  69. 楯兼次郎

    ○楯委員 この問題は私はその制度が悪いというのではないわけです。しかしそういう制度をとつておるがために、今日新聞紙上をにぎわしておるような問題が生じて来るということを言つておるわけです。だから今日のああいううわさに対して、まだはつきり調べが済んでおらないのですが、うわさに対しても国鉄当局としては、制度は制度であるけれども、何とかこの種の問題が起らないようた措置をとるべきである。しかも後払いの契約が、五十日の予納と二月以後の解約ということは、これはそろばんに合わぬ。これはあなたが見てもそろばんに合わないと私は思う。こういう点をひとつ検討していただきたいというところから申し上げたのです。  次にちよつと問題が飛びますが、運輸省の方にお伺いしたいと思います。それは一昨日からいわゆる新線建設の問題がたくさん出ておるわけでありますが、この問題については私は非常に残念だと思う。といいますのは、もう再三再四新線建設については運輸委員会で論議に論議を重ねております。実際運輸当局は、この国会の意見を尊重をしていただくならば、あのたくさんのいわゆる船舶利子補給の金のある一部でも、この新線建設利子補給にまわらなければ私はうそだと思う。何のためにわれわれがあわを飛ばして一年間ここで論争をして来たかという点を考えて、私は残念に思う。少しも尊重しておらぬ。私くどくしく申し上げたくはないのでありますが、先ほど伊東委員も指摘されましたように、うわさによれば、船をつくる以外に一割くらいのいわゆるリベートというものが返つておる。これは船をつくる費用に対するいわゆるプラス・アルフアであります。いらないものである。それから新聞によりますると、選挙ごとに数千万円の金が各政党に献金になつております。しかも健全なる企業であつたならばこれは合法でありまするから、私は何ら異議をさしはさむことはできません。しかし莫大な金を国家から投融資を受けて、利子補給まで受けておるこれらの会社が献金をするというようなことは、まつたく私はばかにしておると思う。これも船をつくる費用にプラスアルフアで、いらぬものである、こういうふうに考えます。一面新線建設の方はどうか。三十の新線建設にとりかかつておる。それをことしはだめだと、三十の中で中止をされる線があつたということを聞いておるのでありますが、船に例をとつてごらんください。着手をして半分できたけれども予算がないからまあ半分は野ざらしにしておこう、こういう状態であります。こういう点につきまして私は非常に残念に思つておりますが、各委員から質問がありましたので重複の質問は避けたいと思います。ぜひこういう点を真剣に考えて、いろいろな案が出ておりますが、ひとつ対処をしていただきたいと思うわけであります。これらの問題と関連をいたしまして、具体的に私は申し上げますが、さらに非常に遺憾なことがございます。これは真偽のほどは別といたしましても、はつきりと私は新聞で見たのでありますが、運輸省大蔵省とのいわゆる予算の交渉にあたつて、いよいよ緊縮予算で交渉が暗礁に乗り上げてしまつたそのときに、運輸大臣は新線建設利子補給を削って、いおゆる船舶の建造利子補給の方にまわしてもらいたい、こういう申入れを政府にいたしておる、こういうことがはつきりりと新聞に出ておつたわけであります。この点が事実とするならば、われわれは黙つておれない。監督局長、これがほんとうかうそか、はつきりとひとつ責任のある答弁を願いたいと思います。
  70. 植田純一

    ○植田政府委員 新線建設につきまして、非常に予算が少いためになかなか実施計画が立てにくくて、非常に四苦八苦しておるというような状態になりましたことにつきましては、私ども力の及ばなかつたことにつきましてははなはだ申訳なく思つております。ただ大臣からもお話がありましたように、新線建設を今後本格的にやつて行くにつきましては、財源措置についてぜひ考えていただかなければならぬ、すなわち政府出資ということをぜひお願いしたいということを強く主張しておつたわけでありますが、今日の緊縮財政におきまして、とうてい政府出資では無理だ、それではせめて利子補給ということで強くお願いしたわけでございます。実は政府出資あるいは利子補給ということを強く打出したというような関係で、逆に新線建設予算というものもかえつてとりにくかつたのじやないかというくらいに、つまり必然的な問題としてこの点を強く要求いたしたわけであります。その結果は、はなはだ残念でありますが、この利子補給も通らなかつたのでありますが、その点は大臣はつきりとその間の事情を申されておる通りであります。ただいま御指摘の新線建設利子補給を削つて船舶の方にまわしたとか、まわしたらどうかというようなお話、これは初めて聞くことでございまして、そういうことは絶対に私の知る限りなかつたということをはつきりと申し上げておきます。
  71. 楯兼次郎

    ○楯委員 これは新聞を探して持つて来てもよいと思います。私は確信があります。この間岡田海運局長も言っておられましたように、いわゆるリべートといいますか、正木委員の質問に答えて、こういうことはうわさには聞いておるということを言つておる。政治献金があり、しかも一方では山口委員が言つておるように、公企業的私企業であり、しかもつくりかけである、あらゆる点から考えましても、常識のある者ならば、こちらの金がないということになれば、この新線建設の少くとも五億や六億の利子補給は、 一年間のわれわれの論争によってもとらなくちやならぬ。それを、とにかくこちらを削つてこちらをふやしてもらいたい、こういうばかげたことを運輸省のあなた方――と言つては失礼でありますが、あなたに覚えがないと言うならあるいは御存じないかもしれませんが、はつきりとそういうことが新聞に出ておる。後日私はその証拠を持つて来てお目にかけたいと思いますが、こういうばかげた取扱いをする責任上から言つても、いろいろな具体策があると思いますけれども、新線建設利子補給くらいは今国会中にとつていただきたいということを、私は端的に申し上げておきたいと思います。  それから、いろいろ問題があるわけですが、収入面で今まで問題になつておる点か二、三お聞きしたいと思います。それは例の鉄道会館問題以来、営業料金あるいはガード下の貸付料というような問題が相当論議されまして、国鉄でもこの方面のいわゆる時価に対する評価というようなことについては、相当力を入れておるらしいのでありますが、聞くところによりますと、講内営業料金は売上金の何割というような形でとつておられるということでありますが、こういう営業料金の収受の仕方というようなものはどういう根拠からやられたのであるか、この点について承りたいと思います。
  72. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 従来の構内営業料というものは、土地、建設物の使用料はもちろんとるのでありますが、そのほかに構内で商売をいたしましたその商売の売上げにつきまして、お話のようにある一定のパーセンテージをいただくということになつております。その売上金については詳細な調査をいたしまして、むろんいろいろそこに計算の仕方もあるかと思いますが、とにかく推定その他も加えまして、ある一定の売上げを計算して、それをとるということになつております。
  73. 楯兼次郎

    ○楯委員 売上げ金額の総額に対してそのパーセンテージをかけるのか、除外例があるか、この点についてお伺いいたします。
  74. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 タバコ、郵便切手なんかは除外例があつたかと思います。その他のものは除外例なしに総売上高にかける、こういうことになつております。
  75. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は営業料金というのは、売上高に対して一定の割合をかけたものであるというふうに承知しておつたのでありますが、なぜそういうものだけ除外されるのか。ただでさえ安いといわれておる営業料金の収受方法について、なぜそういう除外例を設けたか。
  76. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 それは私はつきり承知しておりません。いずれよく調べてお答えいたしますが、あの売上高のいわゆる手数料というものは、料率が非常に低いのでありまして、引合わないというふうな見地からではないかと思います。
  77. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういうことをやつておくから、つまらない疑惑が出て来ると思う。だから亮上げの総額から何%というふうにとればいいと思う。とつていただきたい。収入が多くなる。  それからガード下は、営業料金をとつておるかどうかということもお伺いいたしたい。
  78. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 ガード下は駅構内になつておるものについてだけはとつておりますが、駅構内でないものについては営業料はとつておりません、
  79. 楯兼次郎

    ○楯委員 どういう評価でとつておるか。これは鉄道会館のときに相当問題になったわけですが、いかなる評価でとつておるか。
  80. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 おそらく近隣の土地であるとか、売買の実例などによつて違う。その他近所の家賃というようなものを参考にしてやつておりますが、それらについて不十分な点がございますので、目下御承知のように、東京、大阪等の、比較的そういうものの多い場所につきましては、土地建物貸付の評価委員会というものをつくりまして、専門の方々に再検討をしていただいて直すという考え方で進んでおります。
  81. 楯兼次郎

    ○楯委員 次にお聞きしたいのは、工事の請負問題であります。これは私も経験があるのでありますが、極端なことをいいますると、便所一つつくるのにも大体二、三人の――今は知りませんけれども、二、三人の下請々々で工事をしておるというのが実態であります。たとえば二百万円くらいの工事の入札をさしたが、実際でき上りは百五十万円以下になつてしまつておる。こういうのが、つい最近までわれわれが経験しておる国鉄の実情であつたわけでありますが、現在そういうことがあるかないか、この点についてお伺いしたいと思います。
  82. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 御指摘のような、二百万円のものが百五十万円に下るということになりますと、約二割五分になりますか、そういうような工事は、今日においてはないと思います。ことに戦争後オープン・ビツトになりまして、定価主義でやっておりますから、そういう点は十分に是正されたのではないかと思います。しかしながらこれらの点についても、できるだけそういうことのないように、経費を節約してりつぱなものができますように、りつぱな工事ができるように、今後とも努力して参りたいと考えております。
  83. 關内正一

    關内委員長 楯君、計数等の問題は経理局長営業局長が来ておりまするから、この両者から御答弁を受けた方がいいかと思います。
  84. 楯兼次郎

    ○楯委員 この予算書を見ますと、ベース・アツプで百五十七億円給与費がいる、こう出ておりますが、私ども考えますと、今度の裁定実施のべース・アツプは五百何円であつたように記憶しております。従ってベース・アツプによる給与費が百五十七億いる、こういう御当局の説明はどうも納得が行きません。この点について担当の方でもよろしいが、説明を願いたい。
  85. 石井昭正

    石井説明員 ベース・アツブと申しますのは、昨年このベースになります前の一万三千四百円ベースと、それから今度裁定を実施いたしました一万五千三百二十円でございますか、そのベースとの差でございます。それを総人員に対してかけました一年分と、いま一つは、〇・五箇月分の期末手当の増加、この両方入れますと百五十七億、これを予算におきましては十七億、それから二・五箇月分は査定を受けております。百五十七億という前年度の予算のベースに比較いたしまして増加すべきものだというのが実際は百四十億、こういうことになつております。
  86. 楯兼次郎

    ○楯委員 今のあなたの説明は、昇給から当初予算に持って行くのが入つておるのではないかと思います。昇給をして来た、あるいは一月昇給がある、これはこの前の委員会で全然別わくであると私ども聞いております。そういたしますと、実際の差額は五百何円で、四十五万人にかけましても年間大体三十億少しだろうと思います。私がなぜこういう質問をするかといいますと、仲裁の裁定が実施なつた、あるいは組合が給与の値上げを要求した、それらのためにすぐ運賃値上げをしなければならない、そういうふうに悪用というか転用をされるおそれがあるからです。実際新賃金になつた差額はどれだけであるか、その計数だけひとつ聞かしていただきたいと思います。
  87. 石井昭正

    石井説明員 ちよつと御質問の趣旨には適応しないかとも存じますが、私の申しました予算面で百五十七億いるということは先ほど御説明した通りでございまして、昇給はやはり別に考えております。従つて昇給を来年度におきましても三百三十円という見込みで計上いたしております。昇給の分を食つたというふうなことになつておりません。
  88. 楯兼次郎

    ○楯委員 後日運賃値上げ問題のときにもう少し御質問したいと思います。  次にお聞きしたいのは、私ども汽車に乗つておりましてよく出会うのでありますが、警官が無賃乗車をしておるのではないか、こういうふうに私ども常識的に考えております。警官は所定の料金を払つて、あるいは所定のパスならパスを持つて乗車しておるかどうか、御回答を願います。
  89. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 常時移動警察の関係で乗るものにつきましては乗車証を出しておりますが、その他随時にいろいろな職務上の問題もありますので、そのときには便宜に乗つているという実情が現場にはあるかと思つております。はつきりそういうものに出しているというわけではございません。今申しましたように、移動警察についてはそういう処置をとつております。
  90. 楯兼次郎

    ○楯委員 御回答がちよつとあいまいでありますが、公用の場合にはそういうこともあり得る、そういう場台にはあとで運賃をとる、こういうことをおっしやつておるわけでありますか。
  91. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 職務上、今申しました移動警察で常時乗ることがきまつておる場合には、初めから乗車証を発行しておりますが、そうでなくても、随時職務上の必要で乗る場合には乗せることにしまして、その運賃につきましては、特別にとつておらない実情でございます。
  92. 楯兼次郎

    ○楯委員 移動警察の場合はパスを発行してもさしつかえないという法的根拠に基いてやつておられるのかどうか。
  93. 關内正一

    關内委員長 楯君、今の質問の要旨がわからぬそうですから、いま一ぺんお願いします。
  94. 楯兼次郎

    ○楯委員 移動警察は乗車証を発行して乗せておるということを言われますが、それは乗車証を発行する規約があつて、当然出してもさしつかえないということになつてあるのですかどうですかということをお聞きしておるのです。
  95. 広瀬真一

    ○広瀬説明員 ただいまお尋ねの移動警察等に対します乗車証の発行方につきましては、法的根拠ということは、こざいませんが、乘車証の発行に関します基本的な規程である総裁の達があります。これに基いて発行しております。
  96. 楯兼次郎

    ○楯委員 私はここで体裁をつくる必要はないと思いまするが、それらの方はごくわずかであると思います。それ以外の方はほとんど無賃で乗車をされておると断定をしてもさしつかえないと思いますが、御当局の御見解はどうですか。
  97. 広瀬真一

    ○広瀬説明員 正規の移動警察官に対します乗車証のほかに、ある程度警察官が無賃で乗つておることは事実のようであります。これは警察等と打合せまして、諸外国の例も大体そうなつておるようですが、厳正に公務の執行の場合ということに限つておりますが、この実施方につきましては、警察の自粛も要望しております。しばしば打合せをして、厳正に行われるようにこちらは希望しております。警察の方もそういう態度で臨んでおると思います。
  98. 楯兼次郎

    ○楯委員 これは大体私の質問をいたしておるのが当つておるらしいのでありますから、これ以上は追究をいたしません。ただ私は、警察官が出張されるときには、やはり旅費が出ておると思います。汽車賃というものが規程によつて出ておると思う。従つて当然これは収受すべきものであるし、またそれをただちに収受できなかつたならば、当然あなたの方と警察関係と話し合つて、先ほどの貨物ではございませんが、後払いというような形でも何でも、収受してしかるべきものであるというふうに考えております。しかも非常に数が多い。概算十万人くらいおるわけでありますが、これはただここで私どもが簡単な論議をしてほうつてしまうというような問題ではないと思います。国鉄自体にとつては莫大な収入になるだろうというふうに考えますので、御質問を申し上げたわけであります。特にこれらの取扱いについて、現場の従事員が非常に困つておる。私の経験でも、ある駅においては、乗車証がないから乗れません、何をぬかすか、こういうことで乱闘事件が起きたという事例を私どもは聞いておるわけです。しかも組合あたりから、もう数十回にわたつて総裁に対して、これらの取扱いはどうするのか、こういつて申入れをいたしておりまするけれども、ここ二、三年何らの回答がない、こういうふうに私どもは聞いております。これらの点もひとつあいまいにせずに、はつきりとした筋を通してやつていただきたいと思います。これは極秘で車掌なりあるいは特定の駅を限つて検査をすればすぐわかることでありますので、御遠慮なく国鉄の赤字を埋めるために御留意を願いたいと思います。  次に、共済組合に対しまして非常に疑義がありますので、お聞きしたいと思いますが、どなたかおいでになりますか。
  99. 關内正一

    關内委員長 いないそうです。
  100. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは共済組合の問題は保留をいたします。  次に、つい先日私は聞いたのでありますが、今団体輸送を盛んにやつております。特に団体輸送というのはいなかの駅が多いわけでありますが、従業員が一生懸命になつて団体を募集しておる。ところが団体輸送をする資格といいまするか、その権利は、何か交通公社、旅行会、あるいはツーリストの三箇所に限つて取扱うという定めになつておるそうでありますが、はたしてそうであるかどうか、まずこの点からお聞きしたい。
  101. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 旅客のあつせん業につきましては、やはり一定の信用とか資力とかいうものが必要でありますので、そういうものは届出をすることによつてそれを認めて、特別な制限とかきつい制限は持っておりません。
  102. 楯兼次郎

    ○楯委員 私の聞いておるところは、先ほどちよつと言いかけましたが、いなかの従事員が徹夜明けあたりに団体を募集する。ところが今私が申し上げました旅行会、交通公社、ツーリストのみしか扱えない。従つてそちらに団体が行くときには権利をとられる。しかもその団体に対しては、割もどし手数料でありますとか、手数料が支払われる、こういうきわめて矛盾した状態であるということを聞いておるわけですが、そういうことはないか。なければないということをもう一回はつきり御回答をお願いしたいと思います。
  103. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 国鉄主催で団体を特に募集してやるということを指導しているわけではございません。国鉄でやる場合には旅客のあつせん業者の方と協力してやつている場合があると思います。あつせん業につきましては、交通公社とかいうようなものだけではなくて、先ほど言いましたよつに、一般の旅客あつせん業として届出してあるものは、だれでも同じように扱つて行こう、こういうことになつております。
  104. 楯兼次郎

    ○楯委員 次に、これは専門になりますけれども、概略でけつこうですからお聞きしたいと思います。それは電化がなかなかできませんので、隧道の多い線路に対しては、煙が出ないように重油の混焼ということが盛んにやられているわけでありますが、将来こうした取扱い方を拡大される方針であるかどうか、取扱い方について御説明願いたいと思います。
  105. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 御指摘のように、重油を混焼しまして、隧道の多い区間、すなわち煤煙の多い区間に運転させるということは、これは実は私、大いに奨励した方がいいのじやないか、石炭の消費も割合に減りますし、いろいろな点で国鉄にも利益であるから、そういうふうにした方がいいのじやないか。国家的にもむやみやたらに煙にしてしまうことはいいことじやないから、したいと思っておりましたが、目今の状態におきましては、重油の輸入にっいていろいろな制限があるやにも聞いております。それらとの関係を考慮いたしまして、それらに障害がないとなりますれば、むろん重油の混焼ということは進めて参りたい、かように考えております。
  106. 楯兼次郎

    ○楯委員 これは専門家の方が見えませんので、あとでまた次の機会に御質問したいと思いますが、電化ができなければ、隧道の多いところはやはりデイーゼルとか重油の混焼といつようなことで、これにかえてやつていただきたい、こういうふうに思うので、あとでまた御質問したいと思います。  次に営業局長が見えますので、お聞きしたいと思いますが、これも昨年来盛んに問題になつて参りました。それは駐留軍に対して国鉄は、非常に特権的といいますか、特別な契約を結んでやっておる。これはこの雑誌にもはつきり出ているわけですが、そういう事実があるかないか。
  107. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 駐留軍に対しましては、一部特殊の車を貸し渡すというようなことをしておりますけれども輸送の上におきましては特別な措置を講じているというわけでもありませんし、また運賃につきましても後払いのような制度を設け、あるいはまた貨物などの運賃のとり方につきましては、過去の平均の運賃の実績をとつてつているというような、制度上の問題はありますけれども、特典を与えるという考えで特別にやつていることはないわけでございます。
  108. 楯兼次郎

    ○楯委員 ほんとうですか。――私は、運賃が上らない、赤字だといつて苦しんで見えるから、そういうことがあるかどうかを質問しているわけです。しかも日本全国に行き渡つている雑誌にはつきりと載つておる。  私は具体的に一つお聞きしたいと思いますが、後払いという制度は言われました。ところが団体旅客の場合は、日本人の場合は五人以上が団体旅客であり、駐留軍の場合は二人以上だ。これが一つの貝体的な例ですが、こういうことはありませんか。
  109. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 それは便宜上団体として切符の発行をそういうふうにしておるのであつて、割引の点は同じだと考えております。
  110. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは割引をお尋ねいたしますが、日本人の場合は一割引である。ところが駐留軍の場合は一割二分引である。これはどうですか。
  111. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 そういうことはないはずと思つておりますが、なおはつきり取調べてお答えいたします。
  112. 楯兼次郎

    ○楯委員 だれが来たらそれを答えていただけますか。――駐留軍の日本人と違う特典といいますか、これについてはまだ質問したいことがたくさんありますから、この次の委員会にはそういうことの回答のできる人に来ていただきたいと思います。本日は質問を保留してやめたいと思います。
  113. 關内正一

    關内委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会