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1954-02-03 第19回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月三日(水曜日)     午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 鈴木 仙八君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 山崎 岩男君    理事 山口丈太郎君 理事 竹谷源太郎君       天野 公義君    岡本 忠雄君       尾関 義一君    木村 俊夫君       世耕 弘一君    徳安 實臓君       南條 徳男君    有田 喜一君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       楯 兼次郎君    正木  清君       中居英太郎君    舘  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者        日本国有鉄道総裁 長崎惣之助君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 二月三日  委員植木庚子郎君辞任につき、その補欠として  尾関義一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより開会いたします。  運輸行政に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。鈴木仙八君。
  3. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 目下たいへん問題になつておりまする造船疑獄に関することについて質問をしたいと思います。  最近造船利子補給などに関係して、運輸省壷井官房長疑惑の対象とされるように聞いておりますが、外航船舶の再建について、各社別実績と、従来の第一次から第九次造船にわたる利子補給の状態などを、まず明確にしていただきたいと思います。
  4. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 第一次から第九次までの計画造船における各船会社実績でございますが、各船会社の数が、外航船建造に当つておりますものだけでも五十数社、四次以前は内航船建造でありますが、これを加えますと非常に数が多くございますので、これは後日資料を出しますから、それによつてごらん願いたいと存じます。  それから利子補給実績でございますが、これは実は二十八年の四月から八月十五日までは市中銀行による融資金利が七分五厘になるように、大体政府で三分八厘を銀行に対して補給する。それから八月十五日以降は、その市中銀行金利が五分になるように、おおむね六分を政府同様市中銀行に補給する、こういうものでございます。ところがいずれもまだその利子補給契約約款につきまして、大蔵省との間に話合いができておりません。二、三の項目につきまして目下折衝中でございます。従いまして現在まではまだ一文もその利子補給銀行に対していたしていないような次第であります。目下その約款についての大蔵省との折衝を急ぎまして、この三月末までに契約を結びませんと利子補給ができませんので、その点非常に今急いでおる次第であります。
  5. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に、特に山下汽船疑惑まつ先にあげられておりますが、山下汽船に関する特別な恩恵的取扱いがあるのですか。聞くところでは、運輸省高官へ上手に取入つた者が特別な恩恵的取扱いを受けることがあるやに伝わつておりますが、山下汽船はその一例ですか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  6. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 山下汽船に対して計画造船に関し特別の恩恵があるのではないかという御質問でございますが、私ども山下汽船にさような特別の恩恵を与えておるとは考えておりません。運輸省役人に何か取込めば特別の恩恵を受け得るのじやないか、こういうことでございますが、私ども計画造船を始めまして以来、これは船会社が絶えず監視の目を張つておるわけです。従いまして、かりそめにも一社に不公平な割当をやるという場合には、必ずそれに対する強い反発というものがある。従いまして、われわれはその割当方法におきましても、またその割当を実際実施するに当りましても、われわれの考えの及ぶ限り厳正に、公正に、そして一人の意見によつてその結果が左右されることのないような方法をとつて来ておるのでございます。従いまして運輸省役人に取入つたから特別の恩恵をこうむる、こういうことは絶対にないということを私確信し、明言申し上げる次第でございまして、山下汽船は、御承知通り戦前におきましては郵、商に次いで三井山下川埼、こういう看板で世界に闊歩した船会社からいうと名門でございます。従いまして、そののれんと今まで持つておりまする実力によりまして、郵、商、三井に次いでの船の割当を受けております。しかしこれが山下に対する特別の恩恵であるというふうには私ども決して考えておりません。
  7. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に船舶公団という機関がありましたが、その清算はどうなつていますか。船舶公団事務はどのように引継いでいるのですか。船舶公団幹部であつた人たちが、いまだに船舶界ボスとなつて今回の問題にも介在をしていると聞いておりますが、実際はどうですか。船舶公団幹部であつた人々とは主としてどういう人物ですか、姓名と現在の地位、運輸省との関係について御説明が願いたいと思います。
  8. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船舶公団につきましては、その当時の船舶公団持分大蔵省に引継ぎまして、大蔵省管財局でその持分を管理いたしております。従いまして大蔵省が船の共有者ということになりまして、その船の共有についてのいろいろな問題は、大蔵省とそれから船主側から出した代表との間の打合会議で、種々処理をいたしておるという状況でございます。  それから船舶公団幹部船会社ボスになつておるということでございますが、船舶公団総裁は、当時明治海運の社長から総裁になつた谷口という人ですが、この人は数年前になくなりました。それからその他の人は、船会社幹部というほどのものでもございませんで、現在いずれの会社社長にもなつた人はないと考えます。どこに働いておられるかよく存じないような状況でございます。従いまして船舶公団当時の幹部船会社ボスになつて海運界を操つているということは言い得ない、かように考えます。
  9. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に日本特集産業という会社が俎上に上つていますが、これはどんな仕事をしている会社ですか。国鉄へはどんな品物を納めていますか。納入額はどのくらいになるのですか。  日本特殊産業には国鉄退職者が入つていると聞きますが、実情はどうですか。山下汽船日本特殊産業に一億三千万円を浮貸しをしたと伝えられていますが、その浮貸しは運輸省には関係がありますか、また国鉄関係がありますか。
  10. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 日本特殊産業の問題は、むしろ国鉄関係の方から御説明願つた方がよろしかろうと思います。
  11. 長崎惣之助

    長崎説明員 私の就任前からの関係であるようでありまして、詳細に私今存じておりませんから、調べましてお答えいたします。
  12. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 特に日本特殊産業国鉄との関係について、はつきり説明をしていただきたいと思うのでありまして、決算委員会行政監査委員会で糾弾されるまで、運輸委員会では白ばくれてこれを通そうというのではまことに困る問題なのです。第十六国会のときにも、東京駅の駅舎の中に民間の営利会社たる株式会社鉄道会館本社事務室を置いてある点について、私が運輸委員会質問したところが、よく調べてみると、答弁をしていた国鉄当局が、その翌日決算委員会で同じ質問を受けたらうそをつけなくなつて大騒ぎになつたことがあるので、決算行政監察はこわいが、運輸委員会はこわくないという運輸省国鉄態度は、はなはだ言い過ぎかもしれませんが、国会を侮辱するものであると思います。あとになつて司直の手が延びてから狼狽するのは見苦しいきわみですから、何か特別な関係があるなら、今のうちにはつきりとこの運輸委員会で御説明を願いたいと思います。
  13. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまの鈴木委員の御質問というか、御意見というか、お述べになりましたが、われわれとしては決して運輸委員会を軽視するとか、あるいは国会を軽視するとかいうようなことはございません。知らぬことは知らぬと申し上げ、調べた上で正確な御報告を申し上げるという態度でございます。
  14. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 現在までに大新聞社の副部長が一人勾引されておりますが、その人物運輸省を担当していた記者ではありませんか。運輸省には新聞記者クラブ二つとか三つとか入れてあつて記者クラブに加入するのに莫大な権利金をとるなどと仄聞しておりますが、この点はどうでございましようか。国鉄新聞記者に二等パスを出して、平生から非常にごきげんを取結んでいるそうですが、その実情はいかがですか。ふだんから運輸省高官業界との接触を運輸省記者が仲介しているのではありませんか。クラブは幾つ、どこにあるのですか。そういうような記者は言論の自由などからはほど遠い存在でございまして、今後の進展については、新聞社幹部参考人として喚問をし、運輸省記者会実情について問いたださねばならないと思いますが、とりあえず運輸省及び国鉄の見解を述べていただきたいと思います。
  15. 長崎惣之助

    長崎説明員 国鉄に関する限りにおいては、私はそういうことは絶対にないという確信を持つております。
  16. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 森脇将光という江戸橋商事創立者で、かつまた日本特殊産業関係者が引致されておりますが、運輸省とこの人物とどういう関係がありますか。この運輸委員会森脇氏を参考人として喚問したいと思いますが、委員長はこの点についていかがお考えになつておるか。これを委員長にひとつ……。
  17. 關内正一

    關内委員長 ただいまの鈴木君の御発言でありますが、よく調査をいたしましてからお答えをいたしたい、かように存じております。
  18. 長崎惣之助

    長崎説明員 国鉄に関する限りにおいて、森脇さんという方は、お名前新聞紙上で散見いたしておりますが、私は会つたこともございませんし、全然存じ上げておりません。
  19. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 新造船は第五次から第九次まで五回の計画にわたり、その数は二百九十隻余り、約三百隻に上つておりますが、これに対する政府財政投資は九百億円に達し、船会社競争率は三倍ないし四倍に上ると伝えられております。これについて造船会社は注文主たる船会社より一隻につき一割のリベートを行うそうですが、そういう謝礼金のような金がほとんど制度的になつていても、別に違法ではないのですか。運輸省はこういうしきたりを知つているのですか。どうですか。
  20. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 新造船の場合のリベートでございますが、これは財政資金を使わないで船を建造しておつた時代は、そういう慣習がずつと昔からあり、あるいは国際的に一つ慣習として現在でも行われておるようでございます。しかしその率は一割というふうな巨額なものではなしに、大体二分か三分程度ではないかと存じております。しかし私ども財政資金使つて船建造するようになりましてからは、これは再三再四、いやしくもそういうリベート造船所から船会社に出すようなことをしてはならぬ、もしそういうことが見つかつたならば、厳重な処置に出るということを繰返し戒告いたしておるのであります。従いまして、私どもとしては現在までそういう事実は行われていない、かように確信して参つた次第でございます。
  21. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 さらに船会社は、自分会社造船該当社になろうとして、運輸省高官に対し、一隻について三千万円から四千万円に上る運動費使つたと伝わつていますが、それならちようど三百隻分で九十億円となり、一方造船会社から船会社に一割のリベートというか、リターンというか、謝金を払うというのがほんとうなら、九百億円の一割の九十億円ともなる。一旦造船メーカーに入つた国家資金の一割が、発注した船会社に逆流してリターンされ、それが右から左に運輸省高官に吸い上げられた計算ぴつたり勘定が合うのですが、この辺の実情はいかがですか、はつきりと御説明が願いたいと思います。
  22. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまの御質問ですが運輸省役人どもは、びた一文も船会社からそういうものをもらつていないということをここに言明いたします。私どもはこの計画造船に関しまして、船会社が常にわれわれを監視の目をもつて見ておるということで、われわれといたしましてはその行動について、われわれの考え得る限りの慎重な態度をとつて今日まで来たつもりでおります。
  23. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 聞くところによれば、市中銀行マーカット資金と呼ばれる預金があつて、これは占領中の経済科学局長マーカット少将名前にあやかつたそうで、正しい名前は何と呼ぶのか、いまだに知らないのですが、このマーカット資金が数百億円あつて、これがいわゆるひもつきになつて造船に、また昨年から世上を騒がした例の鉄道会館に、また川崎製鉄の千葉製鉄所にもいろいろな名目で注ぎ込まれてあると聞いておりますが、その実情はいかがでしようか。マーカット資金なるものと運輸省国鉄との関係について明確なるお答えを得たいと存じます。
  24. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 ただいまのマーカット資金造船の方の関係につきましては、私ども全然存じない次第でございます。
  25. 長崎惣之助

    長崎説明員 マーカット資金なんというものは、名前も初めて知つたような次第で、そういうものは全然会館には入つていないと私は確信いたします。
  26. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 私はこの問題についてさらに調査をして次会にお尋ねしたいと思いますが、最後にもう一点お尋ねしておきたいと思います。  造船問題に対して世上非常に騒ぎ立てて参りまして、はなはだしきはまつたく心なき風説のようなもので、この問題で衝撃を受けて、運輸委員が次から次へ脳溢血や心臓麻痺で倒れてしまうというような残酷な話さえある。ことに日本の朝日新聞には、昨日の衆議院法務委員会の模様が出ており、しかも大見出しで、「佐藤検事総長は二日午後、衆議院法務委員会で「いわゆる造船疑獄について運輸委員国会)についても内査中である」」とあり、その見出しが「運輸委員を内査中」と新聞では一番大きいような活字を使つております。そうしてこれははつきり答えている。「第二の昭電事件ともいわれる造船汚職事件に新たな波紋を投げた。なお犬養法相からも「これまでの長い間の日本の政治について考えなければならないときたと思う」と注目すべき発言があつた。」とある。これはもう実に私ども運輸委員ばかりでなく、国会議員全体として不名誉千万なことであります。こういうふうな発表は、さながら運輸委員造船疑獄に関連していることを検察当局が握つているようで、国会の権威に関することになります。私は犬養法務総裁でもここへ来ていただいて、はつきり陳弁などしてもらいたいというふうに考えておりますが、委員長は、これに対してどういうふうなお考えをもつて対処されるか、これをひとつつておきたいと思います。
  27. 關内正一

    關内委員長 ただいま鈴木君の御発言でありますが、法務委員会におきまする佐藤検事総長発言は、当委員会にとりまして、まことに遺憾にたえない次第であります。この問題につきましては、ただいま犬養法務大臣が当委員会出席のはずでありますので、犬養法務大臣を通じまして、厳重にこれが抗議をいたしたい、かように存じておる次第であります。正木君。
  28. 正木清

    正木委員 私は運輸大臣並びに委員長に対して、正式に犬養法相の当委員会に対する出席方を要求するつもりでございましたが、ただいま委員長の御発言によつて犬養法相が後該当委員会出席されることがはつきりいたしましたので、運輸大臣並びに犬養法相に対する質問は保留いたしまして、特に海運局長並びに監督局長及び長崎総裁に、若干の質問を試みたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいことは、計画造船政府財政融資の面で、第一次から第九次までで、一体政府融資をした総額は、どの程度になるのか、正確な答弁を伺いたいと思います。
  29. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 一次から四次まで、これは船舶公団からと、それから復金から出しておりますが、その合計が大体百十四億程度でございます。多少端数が違うかと思います。それから五次から九次までに出しましたのが、八百二十一億であります。この新造船のほかに、戦争中につくりましたA型戦標船重量トン一万トンの戦標船ですが、これを改造することに対しまして、財政資金融資いたしましたが、その分を加えますると、九百四億六千万円、こういう数字であります。
  30. 正木清

    正木委員 重ねて伺います。第一次から四次まで、国と船舶公団合せて百十四億、それから五次から九次まで八百二十一億、かような答弁だと私は聞いたのでございます。そういたしますと、この二つを合せると、九百三十五億というように私の計算ではなりまするが、間違いはございませんか。これが一点。  それから私も承知いたしておりますが、A型の改造船でございますが、これには別個にどの程度財政資金が投入されておるのか。あなたは二つ合せて九百四億というような答弁であつたと私は聞いたのですが、若干数字の違いがあるようでございます。
  31. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 A型改造に出しました財政資金ですが、先ほども申しましたように、九百四億六千万円から八百二十一億四千万円を差引いた差額約八十三億二千万円が、おおむねA型改造に出た金でございます。実はその中に多少A型改造以外のものがございまして、それが全部とはいいませんが、大部分がそれである、かように御承知願いたいと思います。
  32. 正木清

    正木委員 委員長を通じて要求しておきますが、正確な数字的な年度別資料を、ひとつ委員会に出してもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいと思いますのは、第一次から四次まで、五次から九次まで、それからA型改造船も関連があるかと思われるのでございますが、山下汽船に対する政府財政投融資、これが総額でどれくらいになつておるのか、これが第一点。第二点は、今局長のお手元でおわかりになるならば、山下汽船に対する融資額は、年次別に見て一体どれくらいになつておるか、御答弁を要求します。
  33. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 山下汽船に対する新造融資でございますが、山下汽船は五次のときに二隻、六次のときに一隻、七次で二隻、八次で一隻、九次で二隻、合計八隻つくつております。総トン数で五万六千五百トン、これに対する財政資金が三十六億五千四百万円、九次の後期はこれから出る分もございまして、これから出るべく予定されておるものを含めて三十六億五千円百万円、こういう数字でございます。A型改造の点は、ただいま手元に持つておりませんので、至急調査の上お手元にお届けいたしたいと存じますが、山下汽船は比較的多数といいますか、五、六隻A型戦標船を持つておりました。A型戦標船は、希望者はほとんどその希望をいれて改造させるというふうに、奨励をいたしたものでございまするから、従つて山下汽船A型改造に対する財政融資も、割合に額が多いということが出て来るかと思います。
  34. 正木清

    正木委員 そこで正確な資料が出て参りましてから、私はその他の調査と関連して、あらためて当委員会を通じて質問いたすわけですが、山下汽船に対する計画造船分だけでも五万六千五百トン、財政融資が三十六億五千万円、かように実に大きな国費が一汽船会社融資されておるわけですが、鈴木委員からも御発言があつたように、この三十六億五千万円の政府財政投資が、形をかえて造船会社船造事業という形で行くわけですが、これはあなたが局長にたられてからはどういう御監督になつているか、それも聞きたいのですけれども一般世間でいわれておるこの一割の、すなわち返り謝礼金リベート、これは世間一般公然の事実として、実際は業界の間では行われていたのではありませんか。そこであなたが局長になられてから、こういう問題に対して今日まで事務当局として一体どういう取扱いをしたか、私はやはり世間一般公然の事実として認められておつたものだとするならば、認められておつたものは事実は事実として、当委員会でやはりあなたの責任と私は言うのではありませんけれども、事実は事実として御答弁願つた方がよいのではないかと思いますが、どうお考えですか。
  35. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもは先ほど御答弁申し上げましたように、かりそめにも財政融資を使つて新造する場合は、絶対にリベートしてはいかぬということを繰返して申しておるのでございます。従いまして、そういうリベートの事実はない、かように信じておるのでございますが、しかし世上そういう風評も聞かないではありません。しかしこれは私どもの現在持つております権限といたしまして、造船会社監査する方法がないのです。従いまして、私どもは多少そういう風評を聞いておるにいたしましても、はなはだ残念ながら警告を発するという以外に手がないという実情でございます。
  36. 正木清

    正木委員 今局長からそういう風評は聞かないわけではないが、自分たちとしては、それに対する監査権限がないのだ、こういう御答弁であつたように私は受けたのでございますが、そこで私は重ねてお伺いしたいのですが、あなたは国の公務員として、少くとも国民の血税であるところの一千億になんなんとするこうした国家財政資金融資をいたしますこの重大な事業に対して、あなた自身その風評を基礎にいたしまして、何らか法律を改正するなり、行政的処置として、そうした監査監督を厳重にしなければいけないのだというようなお考えを持たれたことがあるかどうか。ないとするならば、私ははなはだもつて監督立場にある官吏としてのその良心を、若干ながら疑わざるを得ないような感じを受けるのですが、あなた自身そうした法の盲点に対し、少くとも今日かような事柄が当議会において大きく取上げられ、新聞によつて今日かほどまで大きく追究を受けておるこの事柄に対して、深くお考えになられたことがあるかどうか、その点を重ねてお伺いいたします。
  37. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 風評は漠然たる風評でございまして、どの船会社がそういうことをやつておるという、そういう具体的な事実をもつて何されたということはないのでございます。従いまして、私どもといたしましてとるべき方法は、そういうことを絶対しないようにと業者良心に訴えることと、できるだけ運輸省で推定する船価を厳正にするということ以外にないと考えるのでございます。私ども役人立場といたしまして、端的に言うとそういう監査権限を持つて、どんどん船会社なり造船会社監査するということは、役人としては大いにやつてみたいところである、かようにも考える点があるのでございますが、しかし私どもの申渡されておるといいますか、一つの規範として、役人はその権限内で仕事をすべし、権限のないようなことは、出過ぎたことはすべからず、こういうふうにいわれて来ておる、かように考えるのでございます。従いまして法的に監査権限がないのにむやみな監査はできないものである、かような考えのもとに、業者良心に訴えるという方法で今日までやつて来た次第であります。
  38. 正木清

    正木委員 今の御答弁権限の与えられないものに対して、あなたが出過ぎる行為は、これはもちろんあなたが言うまでもなく厳に慎しまなければならないかと思います。これは議論の余地がないかと思います。  そこで重ねて私はお尋ねいたすのでありますが、今世上非常に問題になつておりまする外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案、この法律案は御承知のように議員立法ではございません。政府提出案件でございます。一たびこの法律案が当委員会にかかりましたとき、われわれは今日かようなことがもし起きわせぬかという非常に大きな心配から、この法律を通じてその融資を受ける会社損失の補償を受ける会社——承知のようにこの法律案の重要なポイントは、損失政府が補償いたしましよう。利子は補給いたしましよう。同時に鉄鋼品に対しても政府助成金を出しましよう。この三つの性格の特徴を持つておる。ところがわれわれは残念ながらわれわれの意図する改正案の成立を見ることはできなかつたが、政府原案で出されたこの法律の、たとえば第十六条から政府監督条項が出ておるわけですが、この法律案はあなた自身が提出されたのですから一番おわかりのように、会社監督というものは、この法律を通じてどこにあるかということです。単に一片の貸借対照表しか提出する監督権はないのです。その次に第十七条ではどういう規定になつておるか、利益処分についての単なる勧告権しかないのです。その次には第十九条では金融機関の法令等の違反に対する措置、こういう非常な簡潔なものでございます。私は運輸省の諸君は、どの程度のすぐれた頭を持つているか知らぬが、第一次から第九次まで、山下だけでもすでに三十六億五千万円の融資をしている。その他A型改造船等についても、相当の巨額の融資があなたの答弁を通じてみても想像がつく。しかもこの法律案の実施によつて、本年度においてすらも、数十億の利子補給の予算案が、すでに、予算委員会にかかつておる。それに対する監督立場にある運輸省が、この法律案を通じて単に一片の賃借対照表で、あなたおわかりになりますか。わかるとお答えになるならばお答ええをしてもらいたい。私はこの法律案が当委員会にかかつたとき、この点を実に強く要請したはずだ。私は不敏にして、経理上のことは専門ではありませんが、若干は私も手をかけております。どのような小さな、たとい資本金十万円でも賃借対照表だけで、その会社の内容が一目瞭然にわかる人が日本におりますか。あなたは官吏の立場に立つて思い切つてつてみたいが、国の官吏として許されたわくには限度がある、出過ぎたことはできないと、こうおつしやるが、政府提出の今問題になつている損失補償法の第十六条から第十九条に至るかような監督法律条文をもつて、どうして一体会社の内容の監督ができますか。私はそのあなたの良心を疑つているのです。官吏としてあなたがこの事件関係あるとか何とかを言つているのではありませんよ。これはあとで大臣にも質問し、大臣の答弁も要求しますが、直接担当しておるあなたは、どういうようにお考えになるか。あなたが抽象的な答弁をせられるから、私は具体的に質問をしたわけですが、重ねて答弁を願います。
  39. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほどのリベートの問題は、これを調査いたしますのは、造船会社において調査する以外に手はないのであります。ところがその造船会社に対しては、そういう検査の方法がないのであります。それから船会社に対しても、今までは検査の権限がありませんでしたが、昨年の夏の臨時国会で、この利子補給並びに損失補償の改正案が成立いたしまして、その中に今御指摘の、運輸省が海運会社監査し得るという規定を入れたわけであります。私どもといたしましては、それに基きまして、海運局の中に海運監査室というものを設けまして、単に賃借対照表をとるだけではなしに、たとえば会社が百万円以上の融資——ほかへ金を貸したり、あるいは投資したり、そういうふうな場合にどうする、あるいは増資したり、合併をしたり、また船を買つたり、そういう経理上相当大きな影響を与えるようなものは、全部事前に運輸省に届けて来いというような方法をとる。それから船会社かその経理の処分をしようとする場合に、事前にわれわれの方に相談をして、そして配当をするか、配当はやめるかということまで、一々干渉するというふうに、むしろ私ども利子補給法成立以来とつております方法は、少し運輸省が立ち入り過ぎはしないかという非難をこうむるほど、立ち入つてやりつつあるのであります。まだ実地検査までは行つておりませんが、近く会計検査院も船会社に対して、会計検査を実施しようという意向のようでございますので、会計検査院と協力して船会社の実地検査をする、かような動きがあるのでございます。従いまして、この法律成立以後における私ども監査は、まだ日なお浅いものでございますから、十分というところまで行つておりませんが、私ども考える限りの完璧さを期したい、かように考えます。
  40. 正木清

    正木委員 重ねて質問いたしますが、私は十八国会で、あなたからこの計画造船について、当委員会資料を基礎にしていろいろ御説明があつたときも、すでに今日問題になつておるようないわさを私は耳にしました。内心実は心配しておつた。だから私はあなたに対して、私から見ると非常に不備な法律ではあるけれども、今あなたの答弁になられた監査室等を通じて御調査になつておられるのかどうか、監督は厳にされておられるのかどうか、こういう質問をした。あなたは、発足したばかりでございまして、十分とは申し上げかねますが、その点については私どもは十分監督をいたしております、こういう御答弁があつた。これはいずれあとで速記録によつて私は申し上げますが、もちろんこの法律によつて生れた監査室でございますから、その答弁に関する限りはあなたの答弁が正しいと思います。私もそういうことを望みたいし、あなた方を信用したい。ただここでさしあたり問題になることは、あなたとしてはこの利子補給法の一部を改正する御意思がないのかあるのか。運輸当局としてはこれで万全だといまなおお考えになつておるのかどうなのか。その監査室があなたの言われるように、この法律の精神の外へ出て深入りすることができないと言われる。この法律の不備を政府当局として、当面の担当省として、これをみずから進んで改正する御意志がないのかあるのか。その点を重ねて答弁を要求します。
  41. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 海運会社に関する監査の規定でございますが、私どもはこの利子補給法に規定されてある規定の運用によつて十分目的を達し得る、かように考えております。この規定の中には海運会社に対する立入り検査の規定もございまするし、何らこれにつけ加える必要もないかと存じております。
  42. 正木清

    正木委員 その点事務的になりますが、重ねてお尋ねします。あなたはこの法律で絶対自信があると、こうおつしやいますが、この法律の第何条でその会社の経理の内容に深く立ち入つて監査する権限がございますか。それを重ねて御答弁願います。
  43. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この利子補給法の第十八条に「運輸大臣は、第十四条第一項第三号の規定による監査を行うため必要があると認めるときは、当該会社からその業務若しくは経理の状況に関する報告を微し、又はその職員に、当該会社の営業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」こういうことがございますので、これで十分の処置をとり得ると考えております。
  44. 正木清

    正木委員 重ねてお尋ねいたしますが、なるほどこの法律はいまだ完全に活動を開始しておりませんが、監査室では今日までこの山下汽船会社に対して、あるいはその他に対して、今あなたが御指摘になつたような法律の精神を、そのまま行政の上で実際に行つたことがあるかどうか、それをお尋ねします。
  45. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先ほど申し上げましたように、現場監査ということはいまだやつておりません。しかし会社のいろいろな経理上の活動につきましては、ややこまか過ぎるのではないかと思われる事項まで、事前に運輸省に相談さして処置さしているという状況であります。現場監査につきましては、ただいま御答弁申し上げましたように、会計検査院でも海運会社監査し得る、こういうふうに決定がなつた模様でございまして、会計検査院と連絡の上適切なる監査を実施したい、かように目下打合せ中でございます。
  46. 正木清

    正木委員 私は、今度の会計造船に対しての割当について、一片の報告書をとつて、それによつて会社全体の監査をやる、局長、失礼なことを言うようですが、あなたは簿記関係はあまり詳しくないのじやありませんか。そういうもので事が済むのであれは、私のようなしろうとの者でも、多少とも簿記というものに知識を持つておる者であれば、相当ごまかせる自信がございます。そういうものであつてはいけない。いやしくも国の重大な財政資金を投じ、さらに、この法律案が活動を開始することによつて、何十億になんなんとする国家の補償をしようというときに、監督立場にある運輸当局は、会計検査院とは独自の立場に立つて当然やらなければならない。そのことをなぜ一体やらないのか。今日まで第一次から第九次において、法律上においてはなるほど監督権限は海運局にはないかもしれないが、会計検査院と第一次から第九次の間に、この事柄について運輸省はどういう打合せをして来たか、この点をまずお伺いいたしましよう。
  47. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この利子補給の改正法案が成立する以前におきましては、運輸省は先ほど言いましたように、監査権限がございませんので、監査いたしておりません。これはむしろ金を貸した者が、——これは見返り資金当時は日本銀行がその代行者であつたと思うのです。それから開発銀行になつてからは開発銀行、それから市中銀行も同様に貸しておる。金を貸したものがその貸した金の回収がはたして適切にできるかどうか、こういうことを十分見られる筋合いであらう、かように考えるのであります。(「十八条はどうした」と呼ぶ者あり)十八条は法律が改正された後でございます。改正された後におきましては、先ほどから申しまするように海運監査室を設けまして、監査の万全を期する。もちろん私ども監査は、会計検査院とは独自の立場で自主的にやるという考えでやつておるのであります。たまたま会計検査院が検査をされるというので、両者がまちまちに二重に監査をやつたのでは監査を受ける海運会社としてはたまつたものではない、また監査する方も一緒に連絡してやつた方がより効果が上るであろうというので、両者連絡をして適切なる監査をいたそうということを、目下事務的に話合いをしておる次第でございます。決して監査を怠るがために私どもがそうしておるという意味ではありません。この点御了承願います。
  48. 正木清

    正木委員 私があなたにお尋ねしておるのは、この利子補給法の条文によつてなぜ監査を怠つたのかということを聞いておるのではないのです。この法律はまだ完全な活動をしておるわけではないのですから。しかしあなたの報告によると第一次から第九次まで国の財政資金が一千億以上投下されておる。しかもこれだけの海運事業を行う国の当面の監督立場にある運輸当局が、政治の常識の判断から言つても、行政官としての常識の判断から言つても、なぜ会計検査院と密接な連絡をとつて、会計検査院法の法律立場から今日まで間接的な監督の手を行わなかつたのかということを聞いておるので技術で、この利子補給法がいまだ完全に実施されておらないから、そのことで監査することはできません。心の中ではやりたいけれども、それ以上出ることは官吏として禁止されておりますという答弁は、どうか私にだけはしてもらいたくない。しかもあなたは、リベートその他の問題でうわさはうすうす知つてつたと、この委員会はつきり答弁された。会計検査院法をごらんください。その上で御答弁になつてもしかり。はつきり答弁してもらいたい。
  49. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 会計検査院が財政融資を受けておる会社まで検査ができるかどうかということにつきましては、多少疑問があつたわけであります。私どもは、今まで会計検査院がそこまで検査をし得ないものではないか、かように考えておつたのです。ところがこの利子補給法が成立の際に、会計検査院が検査をできるのかどうかということが問題になりまして、研究された結果、会計検査院も検査ができる、こういう解釈に最近なつたのであります。従つて会計検査院はそれに基いて乗り出そう、こういうことになつたわけであります。従つて今までなぜ会計検査院と連絡しなかつたのか、怠慢じやないかと責められましても、今までの解釈がさようでありまして、その点よろしく御了承願います。
  50. 正木清

    正木委員 この点はいずれ問題がさらに進展しましようから、そのときに譲ることにして、その次に移ります。  そこでお尋ねしたいのは、第一次から第九次まで、これは非常に長い年月を要したわけですが、この財政資金船会社に対する割当の基準とでも申しましようか、先ほどあなたは鈴木委員質問に対しては、山下汽船というものは何か日本にとつては非常に大切な会社のような口吻の御答弁がございましたが、そのことは別として、何かの基準がなければならない。その基準について御答弁を願いたい。
  51. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 新造船を各船会社割当てますることは、別会社の方にとりましてはたいへんなことであります。従いまして割当については非常に熱心である。従つてもしこれがわれわれの下で不公平な割当の結果が生じて来るということになりますと、これに対する批判なり攻撃というものは非常に大きいというので、私どもとしてはこれについては細心の注意を払つて来たのでございます。船舶公団時分にとりました方法は入札制でございました。このときは財政資金政府が一応七割まで公団の方で持つてやる、しかし少しでも公団持分を少くしてつくろう、公団持分以外は市中銀行から借りて来るのですが、市中銀行から借りて来る金が少しでも多いものからつくらしてやろう、こういう制度をとつて来たのであります。従いましてそこには私の恣意といいますか、独断というものが入る余地はないわけであります。ところがこれはいろいろ民間側から批判が出たのであります。その批判といたしましては、せつかく政府が七割まで公団の方で持つてやろうというのに、業者が競争の結果、それが非常に低い率になつた、そういう財政資金の低い率では、日本の海運というものはやつて行けぬ、従つて競争入札というような、業者にお互いに競争させるというような方法はやめてもらいたいというのが一つ。もう一つはいい会社も悪い会社も、とにかく入札で少しでも財政資金を少くすれば入れてくれるということでありますから、たとえば非常にいい日本郵船なんかが落ちて、戦後でき上つた成り上りの、名もないようなものがぽつと入札をするというような結果が出て来る。従つてこの方法は何かほかの方法に改善すべしという批判が非常に強くなつて来た。  そこで第五次から見返り資金で外航船をつくるようになつたのですが、そのときにとりました方法は、船主側造船側、官庁、それに中立の人たち、こういうものを入れまして、新造船主適格審査委員会と申しましたか、そういう委員会を設けまして、その委員会運輸省が各船会社についてこしらえました詳細なるデータ、これを委員さんにずつと配つてよく勉強してもらいまして、そうしてその委員たちで記名で採点をしてもらう。たとえば日本郵船は五点、二十人おりますと、それは百点、それから大阪商船は九十五点、そういう式に採点をしてもらつて、一定の点数以上のものは無条件でつくれる、それから一定の点数以下のものは抽選で船をつくらすという方法をとつた。それが五次にやつた方法であります。ところがこの方法に対しまして批判があつたわけであります。それは一定点数以上のものはいいのですが、以下のものは抽選でやるという点で、一定点数以下のものの中にも、もちろん船会社に甲乙がある。ところが抽選で、一番悪いと思つたものが当るというような、そこに悪平等が起る。それから記名で採点をしたのですが、それでもなお民間の方、あるいは中立の人もそうですが、実際やつてみますと、みんな各船会社ひもつきの人がいる。従つてわれわれが、あの船会社はあまり点がよくないなと思つているものに満点が入つたり、実際の結果はそう公正でない。だから、これ以外に方法はないのだが、この方法考えものだぞという感じがしておりました。  それから六次、これは二回になりましたが、その前期の方は銀行が船主を選んだというかつこうになりました。二十二、三万トンぐらいつくるのに対して、銀行が十五、六万トン分しか融資をしないということをきめてしまつた。そこで銀行の間で十五、六万トン分の船主を選んだ。従つてこれは運輸省はタッチしなかつた。選んだものをそのまま大蔵省に推薦をした。ところがこれに対しまして一般の批判は、銀行が船をつくるとは何だ、責任ある運輸省新造船関係しないで、責任を回避してはけしからぬではないかという批判が非常に強かつた。一方、銀行の方も、こんなやつかいな仕事を背負わして運輸省はけしからぬというわけで、銀行がこつちに怒つて来るようなかつこうで、運輸省が何とかやるべきだというのが六次の前期。  ところが六次の後期になりまして船主選考をやろうとしておるときに、GHQの方から、新船主適格審査会のように民間の人が入つた委員会で、しかも新造割当をやるようなことをやつてはいかぬ、そういう委員会を持つてはいかぬという指令が来た。従つてその委員会を利用するということができなくなつた。そこで私どものとつた方法は聴聞会制度。その聴聞会をやるのは、これは新造船に直接関係のない官房長を中心にしまして、官房の課長あるいは船舶局の課長、船員局の課長といつた直接船会社関係のない者たちが、みんなの人が見ておる前で各船会社実情を全部聞きまして、そうしてその聞いたところで一定の基準をこしらえて、その基準によつて今度は大臣とか両次官、それから私ども、あるいは海運局とか船舶局関係の課長、こういう者がみんな集まつている前で、聴聞会をやつた者たちが聴聞の結果を報告して、そこでみんなで検討して行く、こういう方法をとつた。それで六次の後期と七次の前期とやつたわけであります。  ところがさらに、そういう方法でももう一つ運輸省だけがきめるという批判も出て来るのじやないだろうか。そこで、海運造船合理化審議会というものが存在しておりましたので、その合理化審議会でひとつ船主を選考する基準を設けてもらいたいというので、そこで選考基準というものをきめてもらつた。これは後ほど各委員にお配りしたいと思いますが、その基準によつて運輸省関係官、大臣以下課長補佐官まで入れた全体の会議で、船主を選ぶというふうにいたしました。  それから八次になつてから、さらにそれに民間側の海運に比較的関係のある、しかも直接海運業者でない人、たとえば石川一郎さん、あるいは村田省蔵さん、工藤昭四郎さん、あるいは佐藤喜一郎さんに酒井さん、これは銀行の方々ですが、そういう方々にお願いして、選考諮問委員会という名前でありましたが、そういう委員会をこしらえまして、そこへやはり運輸省の首脳部もみんな出まして、そこで私どもでこしらえました詳細なデータをその委員方に見てもらいまして、その委員会のおられる前で船主を選ぶという方法を八次ではとつたのであります。その方法が非常に公正な結果を得られるのじやないか、かように考えておつた。  ところが九次になりましてから、開発銀行ができて参りました。ところが開発銀行ができますと、開発銀行の金は開発銀行融資を決定するというかつこうをととらなければならぬ。従つてそういう選考諮問委員会意見を聞いてきめたものを開発銀行がそのままのむというのでは、銀行の自主性をそこなう。そこでとりました方法は、そういう選考諮問委員会という方法をやめまして、九次の前期は運輸省から、海運造船計画から見て相当幅の広い、たとえば十二隻選ぶのに対して三十隻くらい開発銀行に推薦する。もちろん運輸省がそれらの幅の広いものを選ぶ場合でも、やはり造船合理化審議会できめていただいた基準に従つてつて、それを開発銀行に推薦する。開発銀行は金融面から見てそのうちから適当な船主を選んで、そうして運輸省に相談して来る。それで大体開発銀行がこれはと思われる船主をそのまま決定するというかつこうになつたのであります。  それから九次の後期におきましては、これは同様に造船合理化審議会で基準をきめていただきまして、その基準に基きまして運輸省は海運政策、造船政策の面から船主をきめる。開銀は同様に金融政策面から船主を選びまして、それとつき合わせまして最後の決定にする。運輸省がその船主を選びます場合には、先ほどから繰返して申しまするように、大臣以下関係局長、課長、それから主任の補佐官、こういうふうな者がみな集まつて、一人の意見で左右されることのないようにというふうな態勢でその案をきめて、開銀と折衝するというふうな方法をとつて来ておるのであります。その基準はこれまた後ほどお配りいたしたいと思います。
  52. 關内正一

    關内委員長 正木君、運輸大臣出席になつておりますから……。
  53. 正木清

    正木委員 大臣にお尋ねしたいと思いますが、議会でも非常に問題になり、社会でもあまりに大きい問題なつた、世間一般で造船汚職といわれておるこの事件に、私どもは非常な衝撃を受けたのですが、実は壷井官房長が検挙された。そこで大臣にお伺いしたいことは、計画造船で第一次から第九次までの間において、すでに国家財政資金が一千億を突破するだけの融資をされております。大臣は今日まで直接の行政官として政府を代表しておるわけですが、この壷井官房長の検挙と、今日までとり来つた計画造船融資、しかも利子補給法律案はすでに議会を通過して、実施の時期に入つておるわけですが、これらのことと考えあわせまして、あなたは今どういうようにお考えになつておられるのか。少くとも壷井官房長の検挙ということは、私はその結果がいまだ明確でございませんから、ここでそのことについてあなたの責任をとやかく追究するわけではありませんが、あなたとしては何らかこれに対する深いお考えがあろうかと存ずるわけであります。  それからもう一点、行政面については、少くともこうした問題が発生するような何らかの次陥があつたのではないか、こういうように考えられますが、あなたはそういう点について何か深くお考えになられたことがあるかど