○館
委員 もうほとんど同僚
委員が
お話にな
つたので、一番最後ですから申し上げることはございませんけれ
ども、さつきここで
気象台長さんに対して、非常に力が弱いという皆さんの
お話でしたが、そういうことのために、かえ
つて委員会が
気象台長に応援をするというような形ができて来まして、ほとんどここで決議をされるのじやないか、
予算もここでうんととるような雰囲気に
委員会としてはな
つて来たのじやないかと私
考えまして、非常に喜んでおるのでありまして、一面からいうと、
気象台長さんはなかなか政治家である。弱い面を出してかえ
つて強くな
つてしま
つたというように
考えるのでありまして、私は非常に喜んでおるのであります。この
定点観測廃止反対については、ここに私持
つておりますが、財団法人船主協会の全長の淺尾さんから、
定点観測の再開についてのお願いというのが石井運輸大臣に出されております。おそらく
船舶の航行が非常に不安定になるという見地からお出しにな
つたのだろうと私は
考えております。有力なる船生協会の人としては、このお願いを出されることはもつともだと私は
考えております。それからもう
一つ聞いたところによりますと、
日本の
航空局としても、国際会議のICOに、これの廃止をしてもら
つては因るというような問題を提起したいという
考えを持
つておるということも聞いておるのであります。それからまた国際民間
航空条約の方からは、メモランダムで、これを廃止することはいけないというようなことを申し込んでおるという話も聞いております。かたがたこれは
行政協定によ
つて抜かれたのでありますけれ
ども、乏しい国力の中でもこれを復活することが実際必要である、これは国土の安全を守り、空の運行を確保し、
海上の運航を確保する、そういういろいろの点から放すべからざるものだと
思つております。多少のお金はかかるのでありまして、そのお金でさつそくに実効が上
つて、お米が何ぼ
災害から免れ、船が何隻
災害から免れた、とかくこういうことを
考えがちなのは、こういう金のない国においてはもつともなことでありますけれ
ども、しかし科学
技術を進歩させる、維持して行く、こういうことのために、永久的な
方法を講じて行くという大切なことが、とかく
日本の為政の中に忘れられておるのであります。そういう点も十分に
考えていただきたい、こう
思つております。ことに
行政協定は単に
アメリカが自分の
都合で、そういうことにな
つてお
つたのをやめたときの打合せの条文であります。その条文の中にも「
日本代表団首席委員は、本計画を
日本の
財政援助の下に継続することが
気象学的に望ましき旨を
日本政府に納得させるため、あらゆる
努力を払うものとする。」という一項目があ
つて、本質的にこれをやめることがいいという打合せ方ではないのであります。またそのずつとあとの方に行
つて見ますと、「これらの
船舶」これは今使
つておる
船舶のことを上に書いておりますが、「これらの
船舶は、
定点業務遂行の目的をも
つて中央気象台の使用に供するため、運輸省に引渡すものとし、」という一項目もあるのでありまして、この
協定は、決してこの
定点観測が悪いということのためではないのであります。単に
アメリカの
都合でこういうふうにな
つたから、こういう
協定を結ぼうということであります。そういうことであ
つて、これは一向気にならぬとりきめ事項と解釈すべきであると私は
思つております。ことに高層
気象の
観測の問題、あるいはまた蓄積された貴重な
観測の
資料というものは、
気象台長として最も自主的に守らなければならないものだと私は
思つております。そういう
意味においても、多少の金をつぎ込んで、
日本の将来における科学
技術の水準向上のために、
技術者の立場、科学者の立場から十分に奮闘されて、この
予算の確保に渾身の
努力を尽されるのが大事であろうと私は
思つております。この点がいつも
日本の従来の
政府の立場から忘れられてお
つて、今どうして実効が上るかということばかり
考えられておる。それではいけぬのです。
日本の将来を築き上げるために、積み重ね積み重ねた科学的な貴重な
資料が、今この
定点観測廃止によ
つて分断されてしまう。今ここで
お話があ
つたのですが、今年の六月に
定点における海水が非常に冷たか
つた、
定点観測をして六箇年た
つて、そういう現象が初めて現われた、そこで
観測している
技術者の諸君は、初めて現われたのであるから、これが
気象全般にどういう影響を及ぼすものであるかという
確信はなか
つた、
確信はなか
つたのだが、ただ今年おかしな
気象が現われるであろう。ところが今年は非常な
冷害が現われた。今度これを続けて行
つて、これは経験ですから、次のときの非常な
資料になる。そういうことが積み重な
つて行
つて、
日本の国土の上空なり、海岸なり、あるいは稲なり麦なりが守られる。惜しいことだという話を今ここで聞いておる。そういうような
意味においても、今ここで実効が幾ら上るかということのみに重点を置くのは、
日本の将来を誤
つておるいつものやり方だ、そういうことを私は強調しておるのであります。
日本のためばかりでなく、国際的な協力として、これはどうしても残さなければならぬ。
日本の新しい国の進め方として、国際協力のために、世界の一環としての
太平洋岸における空の
気象を緻密に正確に、毎日々々の図表が積み重ねられて行く。それが
日本のためでもあり、世界のためでもなければならぬのである。私はもうこれで話を終りたいと思うのですが、幸いにしてこういうようなことがここで非常な大事なことであるという結論が、各僚友の
委員から出たのでありますから、台長に対しては質問したいことがたくさんあるのでありますけれ
ども、ただ言
つておくことは、この
協定文のCの中で、「本計画を
日本の
財政援助の下に継続することが
気象学的に望ましき旨を
日本政府に納得させるため、あらゆる
努力を払うものとする。」
日本の
代表首席
委員の中には台長がおられたはずです。このあらゆる
努力を、今からでもおそうはございませんから、絶対的に払
つていただきたい。これをお願いするのであります。あなたに対していろいろ
お尋ねしたいことも書いて参りましたが、これはよしまして、あらゆる
努力を傾注することがこの
協定文の中にも書かれてある。あなたがそれを書かれたのだ。こういうことの認識の上に立
つて、台長は
技術者、学者としての立場ばかりでなしに、
気象の政治的立場を積極的に認識されてや
つていただくことをお願いいたしまして、私の希望を申し上げたわけであります。