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荒木説明員 営業のことでございますが、これは今むしろ予想を上まわるくらいの旅客の
状態でございます。現在の正確な数字を持
つてきておりませんが
国内線だけを分計してみますと、
国際線の方に非常に力を入れておりますので、幹部その他の総係費的なものを、どれだけ
国内線と
国際線に分計してコストに割込むかという技術的な点もありますが、大まかに申しまして十月以降の新
会社の第一事業
年度におきましては、若干のプラスということになると思います。しかし現在
国際線開設のために
飛行機も買い入れて、
乗員も
準備し、いろいろな
準備をいたしておりますので、その方の出費も非常に多くなりますので、本
年度一億以上の
赤字が出ると思います。
それから事業資金のことでございますが、現在DC4を六つ、DC6Bを三つ買
つてきたわけでありますが、これは開銀から四億五千万円、別口外貨貸付で二十一億なにがし、それからDC6Bの最近入りました二機分は、十七億を
市中銀行から
政府保証によりまして借りたわけでございます。なお手付その他の問題で、十億近くの金が今
年度いるわけでございますが、それにつきましては、
外国銀行その他と目下
交渉中でございまして、本
年度分は
予定通りに参る考えでございます。それで先ほど申し上げましたように、サンフランシスコまで今年中にやります線を、来
年度はサンパウロまで延ばす。それから台北・バンコツク・カラチまで行く。それからあわせて今御指摘がありましたように、
国内線のお客が増えましたので、DC4を二機ふやすということから考えてみますと、三十億ちよつとの金がいるのでありますが、それにつきましては現在
政府出資十億、民間増資十億で、民間、
政府十億ずつを、四十億にしても半々にする、それで二十億、それから借入れ
融資を十五億受けるべく目下折衝をいたしておるのでございます。
それから次は
日航以外の事
業者に対する免許でございますが、これはお手元に配付した資料にもございますが、宣伝びらをまくとか、いわゆる
運賃をと
つてお客さんを乗せるという事業でない事業は、資本金も比較的少なくて済みますので、非常に希望が多く、二十社ばかりをすでに免許いたしておりますが、これは需給
関係を調整するという
法律の建前にな
つておりませんので、申請がありましたものを、安全基準から考えまして今まで許可して来ておるのでありますが、これは十社ばかり現実に飛ばしておりますけれ
ども、営業収益は非常に芳ばしくない
状態であります。
それから不定期を許しておるものは現在四社でございますが、その不定期を許しておりますのは、いわゆる遊覧飛行でありまして、二地点間をお客さんを運ぶのではなく、小さい
飛行機で遊覧をいたしておるのであります。ほんとうの定期を許しておりますのは、先ほど申し上げました二社でございまして、これは
中型機をもちまして、さしあたり東京・三沢・札幌、それから向うは東京・名古屋、それから
大阪・岩国・福岡と、こういつたところを全部急行便でなしに、各
飛行場に寄る。三沢のごときは、一週上下各二回しかおりておりませんけれ
ども、これを毎日おろすというような、いわゆる銀行といいますか、俗にローカル・ラインと申しておりますが、それを始めるということで
準備をすすめておるわけでございます。まずさしあたり夜間貨物、郵便を積んで運搬するということで、東京・
大阪間におきまして、近くこの事業を開始する
予定でございます。
次は税金のことござでいます。お配りした資料の六ページにございますが、これに対しましては、
運輸委員会でも十分御認識をいただきまして、今まで実現いたしておりますのは、まず第一に通行税でございますが、通行税は
御存じのように、汽車その他乗物の一等、二等とか、いわゆる上級のものに対して二割かか
つておるわけでございます。その二割を
航空機に関しましては、来年の三月三十一日まで、約一年間一割に減ぜられたわけでございます。これは汽車の方は税が内わくにな
つておりますので、税がなくな
つても二等の
運賃は下らないわけでございますが、
航空の方は外わくにな
つておりす
関係から、先般通行税が一割になりましたので、
飛行機の
運賃は、一割だけは完全にこれを下げることができたわけでございます。
次は揮発油税でありますが、揮発油税は一キロリットルに一万一千円いるわけでございますが、
航空ガソリンは百二十オクタン価くらいのものを現在使
つておりますが、こいうものはわが国では現在出ないわけでございまして、全部輸入に仰がなければなりませんのでこの分につきましては、三十一年の三月三十一日まで免税にな
つておるわけであります。関税につきましては、
航空機及び発動機については一割五分かかるわけでございますが、これがゼロにな
つております。揮発油及び潤滑油につきましては、それぞれ二割、三割が一割、二割と一割減税を受けておるのであります。
事業税につきましては、私が申し上げるまでもなく
正木委員御承知のように運送事業全般につきまして、これを水揚税でなしに、収益にかける方式にしていただきたいということが、運輸事業全体に対する多年にわたる強い要望でございますが、現在
御存じのようにまだ現実をいたしていない次第でございます。
次に
固定資産税でございますが、
固定資産税に着きましては、
国際航空に使われます
飛行機についてのみ、昭和二十八
年度に限りまして線分の十六を千分の四に減税をしていただいたわけであります。
以上申し上げましたように、われわれの方の希望は
相当実現されておりますけれ
ども、なおかつ実現されていない分もございますし、なおその実現されたものも、期間的に非常に短くな
つておりますので、これを延長するということと、残
つておる分を実現すべく大いに
努力折衝いたしておる次第でございます。
次は民間団体に対する補助の
関係でございますが、これは私の方でいろいろ事務的と申しますか、
米軍等に対する折衝あるいは技術の面等、いわゆる金のかからない援助をいたしておりますけれ
ども、遺憾ながら戦前と違いまして、こういつた団体に対します財政的な援助といいますが、いわゆる補助金を支出するという
予算がとれておりませんので、遺憾ながらこれに対する財的援助ということはできないのでございまして、これにつきましてはできるだけほかの面において援助をいたしたい、こう考えておるわけであります。なお来
年度予算につきましては、若干の予備金を要求いたしておる次第であります。
次は
国際航空について、
正木委員が最近世界をまわ
つて来られましての御感想でございますが、羽田の問題でございます。緒
外国からお帰りになられました皆様が、羽田の
状態を見て、まことに情なく思われるのは、私もその一人でございますが、まことに皆様と同様の感じを持つわけであります。羽田の問題について考えますと、いわゆる
飛行機のオペレーシヨンという面と、いわゆる接客面と
二つあると思うわけでありますが、オペレーシヨンの面につきましては、まだ
相当の
余力があるわけであります。現在百機ないし百二十機発着いたしておりますが、そのうち四割が
外国航空会社、
日航等のいわゆる民間機で、大体六割が軍の
飛行機、こういうことにな
つておるわけであります。羽田のランニング・ウエイのキヤパシテイーから申しますと、三百機くらいまでは行けるキヤパシテイーを持
つておるのであります。そのうち現在なお六割な占めておりますマツツ、つまりミリタリー・エア・トランスポート・サービスがあそこを撤退いたしますれば、それが減る。
従つて羽田における
飛行機の発着のオペレシヨンの点から申しますと、まだ
相当余力を持
つておると言えると思いますが、ターミナル・ビルその他接客面においては、完全にゼロであります。極東の唯一の玄関——
日本の玄関であると同時に、極東における最も重要な
飛行場であるにかかわらず、ああいう
状態でありますことは、まことに残念にたえない次第であります。そこでターミナル・ビルデイングを別に建てるべく
予算要求をいたしたわけでございます。諸
外国の例は、
アメリカで申しますれば大体
政府、州、ポート・オーソリテイー・シテイーというような公共団体がつくりまして、これを
民間航空会社に有料で貸しておるのでございまして、その方式でも
つて羽田のターミナル・ビルデイングの改築を
計画いたしたのでございますが、
日本におきましては戦前から、いわゆる民間が使う部分は
政府は出さないという建前でございますし、なお終戦後におきましても待合室、いわゆるブツキング・オフイスというような
民間航空会社の使います部分は、
航空会社が負担してつくることにも相な
つております。あわせて財政的の束縛も受けまして、大蔵省といたしましてはそういう金は出せない建前でございます。財政的
余力がない、しかしいつまでもほ
つておくわけに行きませんので、そこで税関とか、出入国管理とか、植物検査とか、検疫とか、気象とか、
航空局の航務
関係とか、いわゆる役所側のものについては
政府が出す。民間側のものについては民間側の資本によ
つてやらせるべきである、こういうことでございましたので、
外国航空会社を呼んで来たわけでございますが、
外国航空会社は権利金を出すというような問題には応じません。いろいろ苦心をいたしまして、
政府側のものは
政府側で負担する、民間側のものは民間側でやるということで、
日本ターミナル・ビルデイング
会社ができまして研究をいたしております。
相当時日を要しましたが、これは世界的にまたターミナル・ビルデイングの見本といいますか、それができていない模索の
状態でございますし、また各国でターミナル・ビル等を
計画いたしましても、それができ上るころにはお客さんの力がすでにふえておるといういたちごつこのような
状態で、そこで
日本の実情に合し、美観も備え、そして将来の拡張
余力も残すということを考えますと、現在のターミナル・ビルではとうてい追つつきませんので、別に現在は羽田の入口の海老取川を渡
つて左に行
つているのを右の方へ行きまして、新たなるターミナル・ビルデイングを建設すべく
計画いたしております。しかし、何といたしましても設計が非常に困難でございますので、ターミナル・ビルデイング
会社、税関
関係、各役所、
外国航空会社、私の方、それに前東大総長で建築の大家であります内田先生、岸田先生その他建築の専門家を集めまして、一緒にお願いをして
委員会をつくりまして、
相当回数を重ねまして、大体成案を得る
段階に来ておるわけでございまして、これは来
年度一ぱいには必ず完成するものと考えておる次第でございます。
なおサービスの点で御指摘がございましたが、
日航のサービスが不完全であることはもちろんであります。なお特に
国際路線に進出することとなりますと、
運賃は
協定運賃でございまして、
日航だけが安い
運賃でお客を吸収することはできないことになると思いますので、勢い
外国会社と対抗するためには
航空機の安全性とか、サービスの問題にかか
つて来ると思います。サービスによ
つてお客を吸収する以外に
競争手段はございませんので、
日航もこれにせつかく
努力を払
つておりますし、われわれもまたこの点に十二分の注意を払わなければならぬと考えておるわけでございます。御指摘の点は
日航にも伝えますし、一体になりましてこのサービスの問題は
努力いたしたい。
日航のお客がふえるかふえないかに、
国際線は特にそうでございますが、一にそのサービスの良否にかか
つて来ることは御指摘の
通りで、営業上最も重大な問題であると考えておる次第でございます。