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参考人(
坂本周一君) それでは冒頭に
代表の陳述をお許し下さいました議員の皆様に厚く感謝いたします。
一応
代表という形で
意見を陳述するのでございますが、
何分にも単なる
代表ということでやはり形式的になると思います。併し
真意を十分御諒察願いたいと思います。
我々は先般来
越年の
処置に関しまして、
政府当局並びに
国会に対しまして
陳情を続けて参
つております。その前に我々がどの
ような苦しい立場に置かれているか、或いはどの
ような
状況にあ
つて就労しておるかという
ようなことにつきまして若干
お話し申上げたいと思います。
我々は、大体
陳情の
内容にもあります
通りに、大体
全国二十七万という登録されたる、
職業安定所に登録されて日々働いておるところの
労働者であるわけです。で、この
労働者と申しましても、やはり
本質的には現在の社会の中から出ておりまする
失業者である。この
失業者は
定職に就くことができませんで、やはり
失業対策という
仕事の中で、
定職に就くことを目的としながらも
定職に就くことができないために、いわゆる
失業対策事業に
労働者として働いているということでございますが、
何分にもそれに対する報酬が少ないというために非常に苦しい
生活を続けておるわけです。
で、具体的な話でございますが、とにかく
就労日数二十一日、
平均賃金二百七十五円、従いまして五千七百円という
ような
全国平均の安い低
賃金の中でその日その日を働いておるわけです。これはいつでも出るのでございますが、
生活保護法の
適用者がもら
つているところの
収入よりも、私
どもが働いて得るところの
賃金のほうが安いという
ような矛盾をあえて忍びながらも、我々は一生懸命に今働いておるわけです。で、とにかく
全国で
平均日数二十一日、
平均賃金二百七十五円でございますから、最低の場合では二日に一遍しか
就労できないという
ような
状態でございまして、とにかく
お話にならん
ような
生活をしております。和歌山の
水害で以て一瞬にして水に洗われたあの御坊の町では、とにかく
仕事をするにも
仕事がない。殆んどが
失業者にな
つておるという
状態で、そして失対
事業の中で働いておる人もやはりや
つておるのでございますが、何と言いましてもいわゆる家計の
担当者である者にかか
つて来るところの
負担が非常に大きいというので、同一世帯の中でも二人ぐらいは働かしてもらいたいということでや
つておるのですけれ
ども、やはり
適格基準という
ようなものがございまして、いわゆる主たる
生計の
担当者であるという枠がございまして、一人しかできないということで、どうしても困りまして、夫婦が
離婚訴訟をしまして、
別れくにな
つて、
離婚訴訟をしてまでも失対
事業の中で
仕事をしなければならんという苦しい
ような
状況にな
つております。更にその
ようなことでございますので、日常の食
生活なんかにおきましても殆んど
お話にならん
状態で、いわゆるお
魚屋さんで主婦がまともにお魚を買うことができないで、店を閉ま
つてから、桶の中にあるところのあらを買
つて来まして、そしてそれで僅かながらも栄養を家族の者に与えておる、こういう
ような苦しい
生活の
実態でございます。とにかく生々しい現実を
一つ一つ私がここで申上げるということは、到底話が尽きないわけで、とにかく
真意のほどを御了察願いたいと思います。
そこで大体私
どもといたしましては、絶えずこの低
賃金を上げてもらいたいという
要求を
政府当局に対しても
お願いしておるわけです。で、本年の九月十六円に
ベースの改訂がありました。これは
全国平均約一割と
当局は称しておりますが、その後実際に当りまして私
どもが
調査をいたしまして、或いは
当局の
お話を聞きますと、実はこれは一割
平均上
つておりませんで、全然上
つておらないところもあるというわけで、而も私
ども当然これは枠の増額であるという
工合に当初は
考えたのでありますが、その後わかつたことは、完全に
失業対策の現在持
つている百億の
枠内操併で終
つてしま
つておるということがはつきりしております。いつもそうでございますが、昨年もやはり
越年の
処置としてとられました、
賃金の
お話でございますが、三日分というのが出たのでございますが、それもやはり
枠内操作であつたという
工合に、私
どもの得るところのいわゆる
越年或いは
越夏、
越盆といいますか、ということにつきましての
処置はいつでも
政府のごまかしに終
つておるということでございます。この
ようにしまして上りました
賃金は、今申上げました
ように
平均二百七十五円、
就労日数二十一日、五千七百円にしかならないという
ような苦しい
状況で、最近急速にはね上
つて来ました
物価高、こういう
物価高の苦しい中で、今年も又年の瀬を控えまして年を越さなければならんという苦しい羽目に追い込まれております。そのために各
地域におきまして、この苦しい
生活を各
地域の
自治体に対しまして切に
お願いして参りまして今日に至
つておりまするが、やはり何としましても最後は
政府のこれに対する
処置が決定しないのであるからして、
地方としましては何らそれに対して応えることができんということでございまして、とにかくそれでは何とかしてこの我々の苦しい年を越すためにはそれではというので、僅かな、些細な、零細な十円或いは五円という
ような
仲間の寄附を仰ぎまして、そうして各県の
代表が本日ここに多数集ま
つておるわけです。本日ここに傍聴されている方は我々の
仲間でございますが、まあ各
県代表としてここに出ております。その
ようなわけで、どうしてもここに誠意あるところの
政府の御回答を
一つ願いたいということ。
更に約四年間に亘りまして、この
失業対策の中で我々が働いて来ました経験によりますると、絶えず我々の
本質は
失業者であるという
本質をつかみ、我々を
定職に就かしてもらいたいということを先ず
お願いしまして、そうして我々の
定職に就くまでの間は我々の
生活を保障してもらいたい。この
二つのことの基本的な問題につきましていつも
お願いしておるのでございますが、この
二つはとにかく何ら適切なる
処置もなく本日に及んでおりまして、いわゆる失対
事業の中の我々の
仕事そのものが
定職化して来ておるというわけにな
つております。勿論この特異な
失業対策という枠の中には、働ける者だけがおるというのではなく、特徴的な点は、大多数の、或いは半数或いはそれ以上の者が老人と婦人であるという
一つの特異な形をと
つておりまして、この人々はいわゆる今次の戦争によ
つて夫を
失つた、或いは子供を
失つた非常に不幸な境遇に置かれておる人が大多数を占めておる。こういう
人たちと一緒に、或いは中にはいわゆる壮年、働き盛りの人も入
つておるという
ような特異のものでございますが、大体過去四年間に
亘つて我々がや
つて参りました
仕事の中には、一例を取りますると、大体いわゆる
土建業者がや
つておりまする
ような道路の
補修工事、
鋪装工事、それから河川の
護岸工事或いは暗渠排水、こういう
ような専門的な
特別選定事業、いわゆる。と申しますが、この
ような
事業にも携わりまして、そして大体成果を挙げております。本日に至りましてはもうすでに或る程度の技術も身についておりまして、やれる
仕事ならや
つて行けるという面も、
仕事の面では多々出ておるのでございます。
それでやはり我々として
お願いしたいことは、この
ようなことでいわゆる
生活困窮者と同様な、或いはそれ以下のいわゆる低
賃金に甘んじていなければならないということと、更に我々の
身分がいつも不安定であるということを
考えまして、どうか我々の
身分を保障する
ような
措置をと
つて頂きたい。それは別に
公共事業的な
仕事で、いわゆる
資材と
事務費を殖やしてこれを公共化させ
ようという
ようなことではなしに、我々の
権利を認めてもらいたい。つまり
労働三法の完全な
適用を受けられる
ような
権利を認めてもらいたいという我々の
お願いが
一つあるわけです。それともう
一つは、この我々の持
つて参りましたところの、当面この年を越さなければならんという
要求がございますので、どうかこれをこの
委員会におきましても十分御審議下さいまして、そして我々のために
一つ何分の
善処方を
お願いしたいと思います。
で、
要求として当面我々が持
つて参
つておりまするのは、この
ような苦しい中でどうしても一カ月分の、過去の一カ月分の、例えば五千七百円でございますが、これを
餅代として支給して頂きたいという切実なる
お願いでございます。それから昨年は大体都道府県各
地域によ
つてまちまちではございましたが、
年末年始の
有給休暇を七日間、これは
政府のほうとして適切なる
措置をと
つて頂きたいという
お願いが
一つございます。それからいわゆる低
賃金、低
ベースを八千円になる
ように改訂してもらいたい、こういう
お願いが
一つと、それから一月十五日から実施に入りまするところの
日雇労働者健康保険法につきまして掛金を、八円
負担でございますが、これをどうか
全額国庫負担によ
つて即時実施してもらいたいという
要求がございます。どうかこの点につきまして本
委員会において十分なる御審議を願いたいという
ように思います。
大体
代表としましては以上の
発言でございます。