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1953-12-07 第18回国会 参議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月七日(月曜日)    午前十一時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            田中 啓一君            阿具根 登君            吉田 法晴君            上條 愛一君            寺本 広作君            市川 房枝君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    外務省国際協力    局次長     関 守三郎君    労働省労政局労    政課長     有馬 元治君    労働省労働基準    局監督課長   和田 勝美君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   参考人    全日自由労働組    合副委員長   坂本 周一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人の出頭に関する件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (日雇労務者越年資金等に関する  件)  (労働金庫への政府資金預託に関す  る件)  (特需工場駐留軍労務者労働問  題に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の会議に付する案件は、労働情勢一般に関する調査であります。この際委員方々にお諮りをいたします。日雇労務者越年資金等に関する陳情に関連しまして、全日本自由労働組合委員長坂本周一君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認めてさように決定をいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  4. 栗山良夫

  5. 坂本周一

    参考人坂本周一君) それでは冒頭に代表の陳述をお許し下さいました議員の皆様に厚く感謝いたします。  一応代表という形で意見を陳述するのでございますが、何分にも単なる代表ということでやはり形式的になると思います。併し真意を十分御諒察願いたいと思います。  我々は先般来越年処置に関しまして、政府当局並びに国会に対しまして陳情を続けて参つております。その前に我々がどのような苦しい立場に置かれているか、或いはどのよう状況にあつて就労しておるかというようなことにつきまして若干お話し申上げたいと思います。  我々は、大体陳情内容にもあります通りに、大体全国二十七万という登録されたる、職業安定所に登録されて日々働いておるところの労働者であるわけです。で、この労働者と申しましても、やはり本質的には現在の社会の中から出ておりまする失業者である。この失業者定職に就くことができませんで、やはり失業対策という仕事の中で、定職に就くことを目的としながらも定職に就くことができないために、いわゆる失業対策事業労働者として働いているということでございますが、何分にもそれに対する報酬が少ないというために非常に苦しい生活を続けておるわけです。  で、具体的な話でございますが、とにかく就労日数二十一日、平均賃金二百七十五円、従いまして五千七百円というよう全国平均の安い低賃金の中でその日その日を働いておるわけです。これはいつでも出るのでございますが、生活保護法適用者がもらつているところの収入よりも、私どもが働いて得るところの賃金のほうが安いというような矛盾をあえて忍びながらも、我々は一生懸命に今働いておるわけです。で、とにかく全国平均日数二十一日、平均賃金二百七十五円でございますから、最低の場合では二日に一遍しか就労できないというよう状態でございまして、とにかくお話にならんよう生活をしております。和歌山の水害で以て一瞬にして水に洗われたあの御坊の町では、とにかく仕事をするにも仕事がない。殆んどが失業者になつておるという状態で、そして失対事業の中で働いておる人もやはりやつておるのでございますが、何と言いましてもいわゆる家計の担当者である者にかかつて来るところの負担が非常に大きいというので、同一世帯の中でも二人ぐらいは働かしてもらいたいということでやつておるのですけれども、やはり適格基準というようなものがございまして、いわゆる主たる生計担当者であるという枠がございまして、一人しかできないということで、どうしても困りまして、夫婦が離婚訴訟をしまして、別れくにつて離婚訴訟をしてまでも失対事業の中で仕事をしなければならんという苦しいよう状況になつております。更にそのようなことでございますので、日常の食生活なんかにおきましても殆んどお話にならん状態で、いわゆるお魚屋さんで主婦がまともにお魚を買うことができないで、店を閉まつてから、桶の中にあるところのあらを買つて来まして、そしてそれで僅かながらも栄養を家族の者に与えておる、こういうような苦しい生活実態でございます。とにかく生々しい現実を一つ一つ私がここで申上げるということは、到底話が尽きないわけで、とにかく真意のほどを御了察願いたいと思います。  そこで大体私どもといたしましては、絶えずこの低賃金を上げてもらいたいという要求政府当局に対してもお願いしておるわけです。で、本年の九月十六円にベースの改訂がありました。これは全国平均約一割と当局は称しておりますが、その後実際に当りまして私ども調査をいたしまして、或いは当局お話を聞きますと、実はこれは一割平均つておりませんで、全然上つておらないところもあるというわけで、而も私ども当然これは枠の増額であるという工合に当初は考えたのでありますが、その後わかつたことは、完全に失業対策の現在持つている百億の枠内操併で終つてしまつておるということがはつきりしております。いつもそうでございますが、昨年もやはり越年処置としてとられました、賃金お話でございますが、三日分というのが出たのでございますが、それもやはり枠内操作であつたという工合に、私どもの得るところのいわゆる越年或いは越夏越盆といいますか、ということにつきましての処置はいつでも政府のごまかしに終つておるということでございます。このようにしまして上りました賃金は、今申上げましたよう平均二百七十五円、就労日数二十一日、五千七百円にしかならないというような苦しい状況で、最近急速にはね上つて来ました物価高、こういう物価高の苦しい中で、今年も又年の瀬を控えまして年を越さなければならんという苦しい羽目に追い込まれております。そのために各地域におきまして、この苦しい生活を各地域自治体に対しまして切にお願いして参りまして今日に至つておりまするが、やはり何としましても最後は政府のこれに対する処置が決定しないのであるからして、地方としましては何らそれに対して応えることができんということでございまして、とにかくそれでは何とかしてこの我々の苦しい年を越すためにはそれではというので、僅かな、些細な、零細な十円或いは五円というよう仲間の寄附を仰ぎまして、そうして各県の代表が本日ここに多数集まつておるわけです。本日ここに傍聴されている方は我々の仲間でございますが、まあ各県代表としてここに出ております。そのようなわけで、どうしてもここに誠意あるところの政府の御回答を一つ願いたいということ。  更に約四年間に亘りまして、この失業対策の中で我々が働いて来ました経験によりますると、絶えず我々の本質失業者であるという本質をつかみ、我々を定職に就かしてもらいたいということを先ずお願いしまして、そうして我々の定職に就くまでの間は我々の生活を保障してもらいたい。この二つのことの基本的な問題につきましていつもお願いしておるのでございますが、この二つはとにかく何ら適切なる処置もなく本日に及んでおりまして、いわゆる失対事業の中の我々の仕事そのもの定職化して来ておるというわけになつております。勿論この特異な失業対策という枠の中には、働ける者だけがおるというのではなく、特徴的な点は、大多数の、或いは半数或いはそれ以上の者が老人と婦人であるという一つの特異な形をとつておりまして、この人々はいわゆる今次の戦争によつて夫失つた、或いは子供を失つた非常に不幸な境遇に置かれておる人が大多数を占めておる。こういう人たちと一緒に、或いは中にはいわゆる壮年、働き盛りの人も入つておるというような特異のものでございますが、大体過去四年間に亘つて我々がやつて参りました仕事の中には、一例を取りますると、大体いわゆる土建業者がやつておりまするような道路の補修工事鋪装工事、それから河川の護岸工事或いは暗渠排水、こういうような専門的な特別選定事業、いわゆる。と申しますが、このよう事業にも携わりまして、そして大体成果を挙げております。本日に至りましてはもうすでに或る程度の技術も身についておりまして、やれる仕事ならやつて行けるという面も、仕事の面では多々出ておるのでございます。  それでやはり我々としてお願いしたいことは、このようなことでいわゆる生活困窮者と同様な、或いはそれ以下のいわゆる低賃金に甘んじていなければならないということと、更に我々の身分がいつも不安定であるということを考えまして、どうか我々の身分を保障するよう措置をとつて頂きたい。それは別に公共事業的な仕事で、いわゆる資材事務費を殖やしてこれを公共化させようというようなことではなしに、我々の権利を認めてもらいたい。つまり労働三法の完全な適用を受けられるよう権利を認めてもらいたいという我々のお願い一つあるわけです。それともう一つは、この我々の持つて参りましたところの、当面この年を越さなければならんという要求がございますので、どうかこれをこの委員会におきましても十分御審議下さいまして、そして我々のために一つ何分善処方お願いしたいと思います。  で、要求として当面我々が持つてつておりまするのは、このような苦しい中でどうしても一カ月分の、過去の一カ月分の、例えば五千七百円でございますが、これを餅代として支給して頂きたいという切実なるお願いでございます。それから昨年は大体都道府県各地域によつてまちまちではございましたが、年末年始有給休暇を七日間、これは政府のほうとして適切なる措置をとつて頂きたいというお願い一つございます。それからいわゆる低賃金、低ベースを八千円になるように改訂してもらいたい、こういうお願い一つと、それから一月十五日から実施に入りまするところの日雇労働者健康保険法につきまして掛金を、八円負担でございますが、これをどうか全額国庫負担によつて即時実施してもらいたいという要求がございます。どうかこの点につきまして本委員会において十分なる御審議を願いたいというように思います。  大体代表としましては以上の発言でございます。
  6. 田中啓一

    田中啓一君 今の発言について一つお尋ねしたいことがございますが、よろしうございますか。
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) どうぞ。
  8. 田中啓一

    田中啓一君 一点お伺いしたいと思います。今のお話の中に資材事務費とを与えて公共事業化するというのでではないというお話がございましたが、今あなた方やつていらつしやるよう仕事を、或いは又もつと広汎な面において、例えば根本的にこの際治山治水事業を起せというような今大きな問題があるわけなんですね。それでそちらのほうへ行つてくれ、これはいろいろな事情がありますから、治山治水事業というのは先ず余り街の中にはないので、移動とかその他いろいろの問題もありましよう。併し考えようによつては、今街の中での公共事業従業者というものは、これは私は相当移動可能と思いますから、それがそういう現場のほうへ遠く出て行つて、そのあとをこちらで埋める、これも何でしよう、今お話の中にありましたように、年齢構成からいつても、その他の家庭の事情やいろいろなことからいいましても、なかなか普通の一人前の労働者として働くということは困難かも知らんけれども、併しこれもやりようはあるのじやないかと思う。そういうふうでありますから、私は雑務みたいなことをやつておらないで、そういつたほうへ就労さして行く、そちらのほうへ従つて出てもらうということは悪くないように思うのですが、それはいいのでしよう
  9. 坂本周一

    参考人坂本周一君) 只今の御質問でございますが、治山治水というような大きな工事に我々が入ると、こういうのではなしに、一応我々が考えまするのは、一応各地方自治体で以てやつている公共事業というのがあります。それは大体法令によりまして、失業者の六割を吸収せにやならんというようなこともありまして、それが果してそうかと言いますと、調べてみますと非常にその点があいまいであるわけです。そのようなものであれば、むしろ各自治体でそういうよう仕事を公共化して、公共事業でやつて行くという面がございましたら、その面に今のマル選といいますか、失業対策事業に対していわゆる資材事務費とを政府負担してやる形の職場に力を進めたほうが、やはり失業者としての生きる道もそこにあるし、或いは国のためにプラスにもなるんじやないかというふうに思うのです。そのためには決して我々が言いましたよう年齢構成が四十三歳というような、いわゆる土木事業に携わるという観点から見ますと非常に不利な状況が多々あるわけです。そういうことも考慮しつつそういう仕事を出してもらいたい、こういうことでございますが……。
  10. 田中啓一

    田中啓一君 わかりました。
  11. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつとお尋ねします。お話の中に就労日数二十一日、二百七十五円で五千七百円というお話もございましたが、その前に半分しか働いていないというお言葉もあつたと思うのです。前のよう輪番制その他がまだどこか残つておりますのか。全体の平均と、それから半分ぐらいしか働いておらんというのは、平均じやなくて、或いは個々の人なり或いは地方についてそういうお話なのか、その点をちよつと承わりたい。  それからもう一つ当局では一〇%平均上げたと言うけれども、それは枠内操作であると、枠内操作という点はわかるのですが、全然上つておらん地方があると、こういう御答弁でしたが、今までのあれに比べて全然上つておらん地方があると、こういうお言葉かと思う。その辺了解しがたいですが、職別平均賃金に差がないということで、全然上つておらんところがあると、こういうお話なのか、その点もう一遍承わりたい。
  12. 坂本周一

    参考人坂本周一君) 只今の御質問でございますが、第一につきまして、就労日数二十一日、平均賃金二百七十五円で、従いまして五千七百円であるということについての御質問でございますが、それは輪番制紹介を現在やつておりまするが、輪番制紹介をやつておらないというところも全国にはあるわけでございます。それでその前にはつきり申上げたほうがいいと思うのですが、大体枠で申上げましたように、我々は、一応当局もそう言つておりますが、二十七万の登録者がおるというにもかかわらず、日々十六万の枠しか出しておらんのです。これもやはり当局が発表しておる数字でございます。十六万です。そうしますと十万の人が毎日あふれているという勘定になりますので、その辺で一つ御了解願いたいと思います。  それから今度の九・一六ベース・アツプでありますが、それはその土地土地の物価の値上り、その他の情勢に応じて上げたというよう政府側答弁でありましたので、或いはそのまま据置になつている所があるということなんでございます。併し高い所では一割以上ずつと上つている所がありますし、大体平均して一割上つているということですが、これは了解できるんですが、やはり予算措置としてとられた措置枠内操作でやつているということでは困りますというふうに申上げておきます。
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をつけて。只今労働大臣出席せられましたが、本日案件にしてありまする日雇労務者越年資金等に関する問題については、参考人からも意見が述べられたのでありますが、丁度大臣の御出席前に終りましたので、私から述べられた意見のポイントだけを申上げ、そうして労働大臣所信を表明せられたいと思います。いろいろ述べられましたが、問題は年末を控えてその手当として一カ月分を出されたいということ。それから年末年始有給休暇七日間を認められたい。それから日雇労務者ベース・アツプを実行しまして、月収八千円に達するようにせられたい。それから日雇健康保険労務者負担八円を全額国庫負担に切換えられたい。更に従来なされた賃金の引上げ、或いは昨年末、今年の夏の手当等増給という名前で出されておりますが、要するに失対事業枠内操作によつて行われておるので、本当の意味、の手当にはなつていない。今後は枠外操作になるようにせられたい、こういうような点であります。  以上の点につきまして、いずれ後ほど政務次官等から詳しく伺い、我々も質したいと思いますが、総括的に労働大臣としての意見一つお聞かせを願いたい、こう思うのであります。
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いろいろの御要望も伺つておりますし、委員長から御紹介頂きましたのでよくわかりましたのですが、それらについて詳細検討いたして参りたいと思いますが、中にはなかなか困難なものもあるかと思います。併し今差当つての問題といたしまして、暮を控えての加給、賃金増給の問題が最も喫緊かと存じますので、それにつきましてお答えを申上げます。  従来、只今紹介もありましたよう日雇労働者組合員諸君から、年末手当を一カ月、又は十日を支給せよとの要求かあつたのでありますが、労働省といたしましては、日々雇用される失業対策事業就労者に対しまして賃金以外に手当を支給するということは、その雇用の性質上認めがたいと考えております。併し日雇労働者生活実態、並びに年末における生計費増嵩一般的傾向から見まして、その方々生活をできるだけ温かく、又内容をできる限りよくして差上げたい、そういう気持を以て政府としては従来から財政当局ともいろいろ折衝を重ねて来ておるのであります。で、国家財政の許す限りにおいて日雇労働者収入を多くしたいと、こういう考え方に基きまして、昨年末は国会要望もあり、三日分の賃金増給措置置を講じた次第であります。この夏期の場合におきましては、国会の御要求を待つまでもなく、政府において積極的に措置をしたのでありまするが、本年度は御承知のように異常の大水害がありまして、相次ぐ風水害、又それに踵を接して参りました冷害のために、非常に国家財政支出は厖大になりまして、失業対策事業補助が当初の計画よりこれ又相当に増嵩したのであります。併し政府といたしましては、何とかして昨年度よりも上廻る年末措置を講じたいと考えましていろいろ検討を加え参りましたのでありまするが、本日この措置を決定したのでここに申上げたいと思います。  政府としましては、失業対策事業就労する日雇労働者諸君に対し就業日数増加、又は賃金増給等の方式によつて五日分の収入増加を図りたいと考えております。これは昨年の措置に比較して日数において二日、金額にいたしまして約八五%の増であります。でこれは現在国家材攻事情及び地方村政負担の能力から見まして、努力できるぎりぎりの線と思うのでありまして、日雇労働者諸君におかれてもいろいろ御意見はあると思いまするが、政府のこの措置を諒とせられたいと考えるのであります。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 只今労働大臣から本年度年末の就労日数或いは給与の増として五日分、これは水害があり何があり云々と、最大限度努力の結果だ、こういうふうなお話、或いは夏期の問題につきましては、国会要望を待つまでもなく政府から実は出したのだ、こういうお話でありますが、これは夏期手当のときも当委員会から大臣宛に正式な申入れ要望書等も参つており、当委員会意見労働省労働大臣意見との間になお食い違いが残つておりますが、それは我々は、この失業対策事業、或いは就労している労働者労働内容質的向上をし、労働規律が確立され、一般産業と異るところがなくなつている。従つて或いは夏期手当についても或いは年末手当についても、一般公務員或いはこれに準じます公社労働者等々と変らん実態になつているところから、夏期手当、年末手当等についても考慮さるべきである、こういう精神趣旨でございますが、依然としてその点については従来の考え方を変えることなく、夏期についても国会要望を待つまでもなく我々の手でやつたのだ、或いは今度も我々として最善の努力をした、こういうお話でありますが、精神食い違い従つて結果においても大きな食い違いが参つております。手許に夏期の場合の要望書がありますが、更にその点についての基本的な考え、或いは年末手当或いは賃金の問題について伺いたいと思うのであります。
  17. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えいたします。この日雇労働者諸君生活内容をできる限りよくしたいというのは、政府もそうでありますし、国会の側においてもそうであろうと思うのであります。何かの言葉尻について特にお叱りがあれば、その点は私は吉田委員と別にその気持において変つていないということを以てこの点は御了承を賜わりたいと思います。  なお、そうした日雇といいますか、臨時的にこうした失対事業就労せられる各位の仕事内容が非常に固定いたしているのではないか、こういう点は、そういう傾向はあると言つて差支えはなかろうかと思いますが、併し、本来の性格上、政府といたしましてはできる限り公共事業なり民間産業の振興を図りまして、できる限り公共事業投資によつて公共事業活酸化を図ると同時に、民間事業活発化図つて、そうしてそうした方面にできる限り就労機会を多くしたいというのが私ども考えであります。  併しなおその両方面就労機会を得ない非常に御不幸な方々に対して、国家が直接応急的に失業対策事業というものをやつておるという趣旨でございまして、これをそのまま恒久化してしまうということになりますると、本来のこの企業努力なり或いは国家的事業なりによつて就労機会を殖やすということの方向が非常にあいまいになつて参りますので、そういう建前から私どもは今のような方針をとつておる次第でございます。
  18. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私内容の問題に触れません。実は昨日自由労働者諸君が数百名国会へ来られて、是非労働大臣に会うように斡旋をしてくれということが、時たまたま私日曜日でありましたけれども国会に出ておりましたら人を通じて話があつたのでありまして、大臣に会われたいという申入れをしたのおりまするが、いろいろな都合があつてその機会がなかつたのであります。で安井政務次官お願いをして会つて頂いた。その後自由労働者諸君是非大臣に会いたい、大臣の口から失業対策の問題について率直な所信を聞きたい。こういう非常に激しい要求がありましたので、午後五時に、大臣がいつどこでどういう工合に会われるか或いは会われないかということの御返事をしようということの約束をやつたのであります。ところがその後いろいろやつてみまするというと会われないということであり、而も安井政務次官も直接再び自由労働者のところへ行つて告げるということも心苦しいので、僕に一つつてくれというような話がありました。僕も非常に困りましてどうしようかということで迷つたのでありますが、一応約束がありますから僕は一人で行つて、その間の事情をつぶさに伝えたのであります。そのときに自由労働者諸君は非常に激昂して、栗山労委員長は何の資格で自由党の代弁者のような恰好で出て来たのか、なぜ大臣或いは政務次官が直接出て来ないか、こういうような僕は非常なお叱りを受けたのであります。その間の事情は、僕は僕なりの立場を話をし、又労働委員長労働大臣自由労働者と会うことについて斡旋をしなければならん義務もないわけでありますから、その点私はよく述べておいたのであります。併し問題はそういう経過があるけれども、恐らく今日、明日、又自由労働者が来られるでしようが、もう少し誠意を以て一つ自由労働者諸君大臣みずから会つてつて頂きたい。そういうことを私はあなたにまあ要求じやありませんが、お願いをしたい、こういうことであります。
  19. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私としましては、安定局長に全権を託して、私の言葉として安定局長にやるように言つておきましたのですが、今はしなくもここでお目にかかつたので……。
  20. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは政務次官がおられますから、只今問題になつておりまする点の内容的な問題について一つ……。
  21. 吉田法晴

    吉田法晴君 今、まあ理不尽な聞き方でしたから十分な答弁が得られなかつた、再質問をすることができなかつたのでありますが、改めて政務次官から一つ答弁を願いたいと思うのであります。  質問をした点は二つあります。第一点は、この年末手当要求に対して、年末手当は性質上出されん、就労日数増加或いは賃金増加というか、とにかく収入増加を図る、こういう御答弁。そしてそれは五日分、せいぜい勉強して五日分、こういうまあ説明でございます。夏期手当の際における委員会の成規のこれは決定に基きまする申入れ要望書の中には、先ほど読み上げましたような、労働の質がだんだん一般民間産業と異るところがなくなつて来たから、一般公務員或いは民間産業と同じよう夏期手当等々について考えてもらいたい、こういうことがその一点であります。これについて依然として前言が繰返されておるだけである実態であります。或いは三日分と言い或いは五日分と言い、体裁を……片一方で法の体面をつくろいながら実際上は出しておる。その辺の食い違いを、私どもは決議の精神従つて要望するんであります。答弁は極めて不十分だ。そこでこの決議には、当時恐らく安井政務次官委員であつたかなかつたか覚えておりませんが、十分御存じであつたと思う。それについて重ねて御答弁を願いたい。  それからもう一つ賃金問題について、次官は聞いておられませんでしたが、先ほど陳述がなされておりますが、夏に平均賃金三百五十円に引上げてもらいたい、こういう要望に対して、その後九月十六日から二百七十五円、その後出ました民間職種別賃金によりましても二百七十五円が不当に安いということは数字の上においてもはつきりしておる。それらの点について今後改訂の意思或いは努力をするのかどうか、この二点について重ねて一つ答弁を求めたい。
  22. 安井謙

    政府委員安井謙君) 吉田委員にお答え申上げます。日雇労働者の実情が相当恒久化しておる。で臨時立法のような形のままではいかんのじやないかというかねてからの御質疑なり御要望があつたことはよく存じておりまして、事実そういつた傾向があることを政府もよく存じておる次第でありますが、事柄の本質自体は、やはり国家公共事業費その他で職業を斡旋できない、止むを得ない失業の皆さんに対して、失業対策費でこれを救済するという失対自体には変りはないのでございます。併し、でありまするから、でき得る限りその他の恒久的な事業に吸収されることを最善の努力目的にいたすべきではありますが、只今言われましたようないろいろな実情もあることはよく承知いたしております。これにつきましては十分今後も研究をやつて行きたいと存じておる次第でございます。  それから第二に、賃金の値上りの問題でございますが、御承知の通りに今失業対策費で支給せられます賃金も、一般の民間の賃金の規定から離れることは甚だ当を得ていないと存じておる次第であります。ただ賃金の支給に対しましては、同一地域で同一職種の賃金の一般に払われるものから若干下廻るということが対策法の十条の二項で規定されておる次第でございまして、これは止むを得ないかと思うのでありますが、民間の一般の値上り状況に鑑みまして、政府では取りあえず九月十六日から一割の増給をいたしました。更にこれが最近P・Wの決定を見たようでありまして、この点を具体的に突き合せをいたしまして、更に不都合な部分があればこれをもう一度修正をいたすことに予定をしております。
  23. 吉田法晴

    吉田法晴君 今安井次官の説明では、民間産業との比較を言われて、若干下廻るのは止むを得ないというよう言葉でありましたが、生活保護を受けておる家族で、五人家族では七千九百五十七円もらつておる。これが日雇労働者全国平均の家族で見ますと四人家族になつておるようであります。四人家族の場合でも六千三百三十六円をもらつておる。ところが九月十六日の改正になりました賃金行つて日雇労働者は五千七百七十五円、先ほど言われたようになつておる。同じ家族であつても、生活保護を受けておる人よりも安い賃金を受けておる。これが一般民間産業との賃金よりも少し下廻るということに言われるかどうか、この点どういうふうにお考えになつておりますか。
  24. 安井謙

    政府委員安井謙君) 生活保護法で支給いたしておりますのは、これは今おつしやいましたのは最高限の場合のこれは保護規定でございますが、賃金の比較は、実際にその人に対して与えられる職種別の賃金を言つておる次第でございます。生活保護法の場合につきましては、更にそれから実収入があれば差引き、失対費で働いておる人は、そのほかに収入がほかの方面で家族等で得られた場合に、それから差引くといつたよう考えはない次第でございます。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは一般勤労者の平均が一応出されておるのが一万三千五百円、そうすると日雇労働者が五千七百七十五円、これをどのくらい考えておられるのか。いわゆる一般産業よりも少し下廻るという数字はどのくらい考えておられるのか。現在約三分の一、二・五分の一しかもらつておらないことになつておるのでありまするが、それを一般産業よりも少し下廻つた数字だとお考えになつておるかどうか。
  26. 安井謙

    政府委員安井謙君) 一般産業と申しましても、これは基準となりますのが職種別の賃金でございまして、一般産業のあのいろいろなとり方は、これは会社員もありましようし、平均レベルでいろいろな数字が出ますが、この基準になつておりますのは、職種に対して払われる賃金を標準に決定をいたしておる次第でございます。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 職種に対する賃金平均を現わした、その幾分下廻る数字だと、こういうことになりますね。職種における平均賃金、それからその何割を考えておられるか、そをお尋ねいたします。
  28. 江下孝

    説明員(江下孝君) いわゆるP・Wという言葉で呼んでおります一般の職種別賃金というのが決定して、それより若干下廻ると申しますのは、私どもの現在の方針といたしましては、大体八割から九割の間ということで見当をつけております。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると一般職種は現在六千五百円くらいだと、こういうことですか。
  30. 江下孝

    説明員(江下孝君) 今の御質問、二百七十五円の二十一日ということで御計算になつた数字だと思います。それでそういう考え方ではございませんで、就労日数の問題を一般職種別の賃金と比較いたします場合には考えてない。つまりその地方におきまする例えば土工さんの人夫の賃金が大体どのくらいであるかということにいたしまして、それの大体八割から九割の間ということで一日の単価が出ると、こういうことでございます。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは実際現在二十一日就労と私たちの持つておる資料では考えておりますが、政府では二十二円と考えておられるようでありますね。その就労日数考えておらないと、こういうことになれば、一般職業、今土工さんの問題を言われましたが、土工さんが働いておる日数考えられて、例えば一月のうち二十五日なら二十五日という計算が基礎になつておるかどうか、結論を申上げると、日雇労働者就労日数は二十五日にするのだと、こういうお考えかどうかお尋ねしたい。
  32. 江下孝

    説明員(江下孝君) 言葉が足りませんで、今の話は一応全国平均といたしまして、民間の就労その他を睨み合いまして、全国平均二十一日ということで予算的には措置をしておるわけでございます。勿論その就労日数がうんと殖えるということは好ましいことでございまするし、我々としましても今後この点については努力をいたしたいと思いまするが、全体の国家予算の枠の問題もございまするので、なかなか思うようには参つておりません。ですから一般のいわゆる大工或いは土工さんも、これは全部就労ということではない、やはり相当休んでおるという実情もございます。それから先ほど生活保護法収入との比較でございましたが、私のほうで計算いたしました数字によりますと、失対労務者が二十一円働きました際に生活保護法のいわゆる要保護者の収入との比較でございますが、二十一日の場合に失対事業の労務者の総収入は、六大都市におきまして七千四百十四円ということになります。尤もこの中には日雇の失業保険金が四日入つております。それと比較いたしまして、生活保護法によります家族三・五人、これは日雇労働者と同じに計算いたしまして幾らになるかと申しますと、六大都市で六千七百六十八円と、こういう一応計算になつております。一〇%を上げるまでは若干下廻る点もございましたけれども、今回の値上げで大体この点は解消したのではないかと思つております。  なお、先ほど政務次官からもお話ございましたように、来年一月中にはなおP・Wとの睨み合いから若干のべース・アップも行いたいというふうに考えております。
  33. 吉田法晴

    吉田法晴君 五日分という先ほど大臣から回答といいますか、要望に対する回答があつたわけですが、五日分が何から出て来たか、財政的な事情といいますか、失対事業の枠の実情から五日分というものが出て来ただけだ。夏期生活費の高騰云々は認めるということでありましたが、そういうところから五日分というのが出て来ておるのではないようであります。何から五日分が出て来たのか。
  34. 安井謙

    政府委員安井謙君) これは御存じの通りに、失対事業費の運用につきましては、ほかの事業ように確定してきちつとした計算が全部年間を通じて行われるというわけには参らないのでございます。その点はそのときそのときの状況に応じまして、一定の予算の枠内から支出をするということで、第一四半期、第二四半期等の実情から、この程度は非常に……。実はこれはもつと正直に申しますと、四日ちよつとしか予算分からは当然生れて来ないという予想も立てられるのでございますが、これは非常に半端な数字でもありますし、日雇労働者方々の実情もございますので、これを五日に計算した次第でございます。一方これを公務員の夏期手当ベースのときの振り合いから申しますと、大体五日にいたしますと、その割り振りかららも比率上は相似たものに相成ろうかと思つております。
  35. 吉田法晴

    吉田法晴君 三日に比べて五日は、公務員の夏期手当が年末手当増加した比率に相当する、こういう三日から五日の移りは一般公務員の、これはまだきまつておりませんけれども政府原案に正比例する。ところがその三日それ自体が私どもの夏の申入れに比べますと根拠はないし、食い違いもある。そうしますと三日なら三日が妥当であつたかどうか、こういうことになつて参りますが、今までの実績或いは今後の予想等も含んでこういう四日とちよつとの数字が出た。それをまけて五日にした。こういうことでありますが、或いは今後の失対事業費の増、或いはそれの補正予算による補い、或いは災害地方における失対事業の別枠等を考えますと、或いは別に考え得る可能性もなきにしもあらずと考えるのです。五日を増加し得る何といいますか、可能性或いは意向ありやなしをこの際承わりたいと思います。
  36. 安井謙

    政府委員安井謙君) この点は先ほど大臣からも御答弁申上げましたように、非常に困難な今年の財政事情をあれこれやり繰りいたしまして、当委員会の非常に強い御要望等もございましたので、今のように多少無理な計算を無理にいたしまして五日分を計上しておる次第でございまして、これ以上今日のところこれを増額しろというような御要求がございましても、これは措置は不可能であろうと存じておる次第でございます。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 それではもう一つ重ねてお尋ねをいたしますが、補正予算との関連で、今後失対事業費、或いはこの問題について財源について増加の意思ありやなしや、承わりたいと思います。
  38. 安井謙

    政府委員安井謙君) 補正予算に計上いたしまして増額いたします分は、先ほども申上げましたように、本年度九十七億プラスの三億と、更にP・Wの改訂を待ちまして、その結果による若干是正の分を見込みまして八千万円、これだけを計上いたしておる次第でございます。
  39. 吉田法晴

    吉田法晴君 あとは見解の相違ということになりますし、委員会の取運びになるかと思いますので、質疑はあとに譲ります。  もう一つ伺いたいのでは、従来よく論議せられましたが、先ほども参考人その他の言葉の中にもマル選という言葉が出て参りましたが、或いはマル民、マル補と言われておりますが、いわゆる日雇労務者の中でも恒久的な仕事に就いている諸君等もおります。これらの諸君等についてのこれらの問題については如何ように把握せられておるのか、その点併せて承わりたいと思います。
  40. 江下孝

    説明員(江下孝君) 全国平均二百七十五円、各県ごとに又一つの予算の補助単価というものがきまるわけでございます。各事業主体によりまして、この賃金をおおむね能率或いは仕事内容等によりまして数段階に分けてきめておるわけでございます。従いまして今のお話ような比較的恒久の仕事をしておる者につきましては、現在の賃金の枠内におきましても或る程度考慮が可能であると存じております。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 質疑は、もう殆んど大臣が言われておりますから、次官から引出すことはできないと思うのですけれども、今、日雇労務者が出しておる四つの要求、いわゆる年末年始有給休暇七日間、ベース・アツプの八千円、それから日雇健保の全額国庫負担越年資金一カ月くれ、これは予算上を離れて、予算の問題は御論議になつたからそれ以上のことはお答えないと思うのですが、人間が生活する、正月を目の前に迎えたこの要求は無理だとお思いになりますか、当然だとお思いになるか、お尋ねいたします。
  42. 安井謙

    政府委員安井謙君) いろいろ直接の御要求といたしまして、生活を十分やつて頂きますためには、これが必ずしす御無理な御要求考える次第でもないのでございまするが、併し事柄の性質から申しますると、年末年始有給休暇といつた制度は、これは今日の日雇失業対策という面から見ますと、この失業者を救済するという建前から、一般の常傭労務者と同じよう有給休暇制をとるということは性質上不可能であろうと思つておる次第であります。それから職安の紹介で働いておる一切の労務者に対する適用といつたようなことも、これは御承知の通りに雇用主は現在市町村の公共団体でありまして、職安はただその間を斡旋する機関に過ぎないのでございまするので、これをそこでこれと同様な形で適用することもこれ又実際上不可能であろうと思う次第でございます。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 抽象的にお尋ねしましたからそういう返事になると思うのですが、私がお尋ねしました根本の考え方は、これだけ失業者を出さなければできない、こういう不遇な姿にしなければできないまあ政府の責任ですね、そういう点を考えておるわけです。お互い働きたい、仕事を与えてくれと言つておる人に、仕事がないためにこういうことをやつておる。而もこの人たちが食えない。私たちが考えれば、自分たちの生活と比較してわかる。私も四人の家族を持つておる。これでは私は生活はできません。そういう点から考えて、全国から何百の人が実に血の出るような金で上つて来ておられると思う。そうしたならば、政府のただそれだけの答弁では私は満足して帰らないと思う。恐らく今日あたりも話に聞けば、労働省等に坐り込んでおられるそういう人たちに対してこの次は検束をする、こういうことをやられると思う。事実食えないためにこうまで零細な金を集めて上つて来て陳情しておる。それをただ経理面だけで冷たく割切つて、そうして追い返そうとするならば、私は不測な事態が起きて来る。これに対して対策を考えられておるか、お尋ねいたします。
  44. 安井謙

    政府委員安井謙君) おつしやる通り失業者が社会からなくなつて行くということが政治の目標でもありますし、政府努力をいたしております次第でございます。今日の非常に根の浅い日本経済がまだそこまで至らないことを非常に残念に思つておる次第でございます。ただ失業者傾向といたしましては、昨年の失業者から本年と比較いたしました場合に、これはむしろ絶対額では減少しておるという内閣の統計が出ている次第でございます。これに対しまして予算措置としては少しでも……、併しこれはまだこういうものでは不十分だということで努力をいたしまして、二十七年度から比べますと相当額の予算は増額をしておる次第でございます。併しいずれにしてもこういつた状況のあることがいいのではないのでございまして、おつしやる通り一日も速かにこういう失業状況を除去するように今後も努力をしたいと思つておる次第でございます。
  45. 田畑金光

    ○田畑金光君 二、三ちよつとお尋ねしたいのですが、P・Wの計数が一応整理がなれば、それに応じて日雇労務者賃金についても考慮を払つて参りたい、その財源が今回の八千万、こういうことになつておるのです、一体現在の平均ベース二百七十五円から、あの八千万の財源を運用すれば、どの程度に上げられるのか、又それはいつ頃から実施しようとするのか、この点についてお尋ねいたします。
  46. 安井謙

    政府委員安井謙君) あの物価値上りの傾向につきましては、差当り九月十六日に一割を実施いたした次第でございます。それが更にP・Wの改訂によりまして、でこぼこの部分を修正しなくちやいかんというようなことから今の八千万円を計上しておるのでございますが、これはまだ只今検討中でありまして、きちつとした比率になるということは的確に申上げるわけには参りませんが、まあそういつた範囲内でお答えをお許し頂けるものならば、大体三%前後のものが更に上げられるのではなかろうか、かよう考えております。更にこれは検討して具体的な数字が出次第、明春の一月中旬頃からでも実施できればしたいものだ、そういう目途で只今準備をしておる次第であります……。
  47. 田畑金光

    ○田畑金光君 何と言いますか、今の答弁間違つていたんですか。
  48. 安井謙

    政府委員安井謙君) いや、だからお断り申上げたんですが、今の三%というのは、計算をいたしてまだ終つておらんわけなんでございまして、計算の結果はまだ確定しませんが、私まあ肚でそういつた近くのものに相成ろうと思つて……、これはまあ局長、まだ計算が不十分なところだから、又ここでそういつた御返事をして、あとでいろいろ問題を起しちやいかんという注意を受けておるわけです。
  49. 田畑金光

    ○田畑金光君 それじや一つ局長からもう少ししつかりとした数字の根拠に基いた今後の見通しについて御答弁を願います。
  50. 江下孝

    説明員(江下孝君) 別に政務次官の説明をとめたわけではございませんのですが、ただはつきりしないものを申上げて、あとで又取消しその他の問題が起つても拙いと思つたんですが、まあ私の考えとしましては、まだ政務次官、大臣のほうにも申上げておりませんけれども、一応九月の中旬にテン・パーセント上げまして、今度又各県のいろいろな不均衡を是正しますれば、非常にこれは僅かなものでございますけれども平均しまして一二、三%、つまり九月のアップ前に比べまして、二、三%のアップになるのじやないか、今のところその程度でございます。
  51. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の御答弁で現在の実情というのは一応わかりましたが、少くとも公務員が一三・九%ベース・アツプした。而もこれはいろいろなから繰りがありますが、併し日雇労務者に関する限りはから繰りをやろうと思つてもないわけです、そうでしよう。でありまするから少くとも三・九%というものは労働省としても上げなければならん誠意は持つてもらいたいと思うんです。この点一つ。我々といたしましては、先ほどの答弁を聞いてみると、如何にも恩恵的な施策をやつておるような口振りですが、誠に遺憾の極みです。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこで政務次官に一つお尋ねしたいんですがね、先ほどの大臣お話を聞いておりますると、今年は冷害或いは水害の非常に財政出費多端の折から、従つてこういう失業対策面等においても予算措置等において十分差控えなくちやならんという趣旨の御答弁がありましたが、一体今日こう私は考えますると、失業者があるということ、或いは失業者という者は、年柄年中冷害、水害を受けておる者と生活実態においては変りはないんだ、これはちつとも変りはないんだ。たまたま天災というものが起きたので、こと新らしく冷害、水害対策というものが大きな政治課題として取上げられておるんだが、失業者があるということ、こういう失業者が慢性的になつておるというような社会条件というものは、それ自身がすでに慢性的な天災に何ら変りはない。この被害を受けている失業者生活状況或いは失業者の立場というものは、慢性的なるが故に忘れられている、或いは怠られている、こういう私は考えを持つているわけですが、この点について安井政務次官はどうお考えなさるか。
  52. 安井謙

    政府委員安井謙君) 年末手当その他の支給に際しまして非常に恩恵的な言い方だというお考えでございますが、これは決してそういう不遜な気持を持つているわけじやないのであります。ただいろいろな財政事情から非常に困難な面を苦労して出している実情を申上げているのでありまして、なお慢性的なこの失業状況というものがお説の通りに決して好ましいものじやない。いな、これは一日も早く解消してしまはなくてはいかんものであることはおつしやる通りでありまして、各方面の施策においてこれが実現すべく努力しているのでございますが、何分今の日本経済の実情から完全にこれを救済する或いは解消するという段階に至らないことを遺憾に思つております。まだ今後も併し努めてこういつた事態を一日も速やかに解消するよう努力したいと思つております。
  53. 田畑金光

    ○田畑金光君 更に安井政務次官にお尋ねいたしたいと思いまするが、先ほどの予算の説明を聞いておりますると、年度当初予算の九十七億プラス第一次補正予算の三億、更に今回の八千万、百億八千万に上るわけであります。そういたしますると、失業者の数は却つて減少する傾向にあるというようお話がありましたが、我々が今まで内閣統計の資料を見ました場合に、そうは見ておりません。現に十六万八千名に雇用量も昨年より殖やしたはずであります。して見ますと今回の年末における五日分の手当の支給についても、既定予算の範囲でやつて行くということになつて参りますならば、決して日雇労務者自身の生活からいうとちつともプラスになつていない。又どこかでそれは削られている。こういう結果に陥つてよう考えます。一体労働者は毎年同様な問題にぶつかつているはずだが、予算を編成する場合に、当然に予算編成の前提として、失業対策費の中にはこういう夏期或いは年末の手当に準ずべきものを計上するのが必要な措置だと、こう考えるのであるが、本年度はそのよう考え方の下において予算を組まれたのか、或いはそれとも今後はそのよう考え方で予算を組もうとする意思があるかどうか。  それから第一次補正の三億の使途の問題でありまするが、これは今回の冷害水害地帯における特別措置であることもよく我々は承知しておりまするが、この運用は一体どういうふうになつているのか。又この予算の使途等に関連して、例えば今の問題となつている年末手当等の関連においてこの予算の運用が考慮される余地があるのか、或いは考慮されているのかどうか、先ずこの二つについてお尋ねいたします。
  54. 安井謙

    政府委員安井謙君) 先ほどもお答え申上げました通りこの失対費というものは、まあ固定してきちつとした数が年度先まで予定されものじやないのでございまして、年間ほぼまあこういつたもくろみで組んでおく、そうしてそのときそれの実情に応じてこれは支給されて行くわけなんでございます。そういつたような意味から、あらかじめこの年度末の費用を別に計算するというようなことも、予算としてはそういつた要素を織り込んで一応そのときの事情と睨み合せてこれは実施することになるのでありまして、別枠に完全に取つて出しているというような形には性質上ならないかと思います。なお年末のこの増給の形にいたしましても、これは文字通り増給の形で支給されるものでありまして、初めからいわゆるボーナス式の形では、事柄の性質上支出が非常に困難でありますので、その間の事情を御諒察願いたいと思う次第であります。  第二は、これも只今申上げましたものと関連いたしまして、九十七億プラス三億、更にプラス八千万円というものを計算いたしまして、これを第一四半期、第二四半期の実情から割出しまして、大体このP・Wなり年末の増給手当と睨んで、この程度がぎりぎりの支給ができるだろうという計算を立つている、一緒に計算をしていることになる次第でございます。
  55. 田畑金光

    ○田畑金光君 安井次官の御答弁の中でこれはちとおかしいと思う点があるのですが、失業対策事業の対象である失業労務者の問題ですが、これは把握しがたい、従つて年間の見通しの下において立てるわけには参らんと、こういうような御答弁だつたと思いますが、そうでしよう
  56. 安井謙

    政府委員安井謙君) 一応のそのプランは立てるわけでございます。ところがそのときそのときの失業者状態に応じましてそれがかなり幅を以て増減して行くわけです。最初のプランよりは、この点がほかの一般の予算の施行とかなり実情の違うところとなつている次第であります。
  57. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこで私はその点について私の考え方と、或いは又労働省の予算編成における考え方とのまあ違いがあると思うのですが、少くともここ数年間の失業対策事業を見ました場合に、登録適格者の数というのは私固定しておると見ております。これは国全体の分を見ましても、県におけるものを見ましても大体固定しております。従いましてこの固定した登録適格者に対して本年度は何ぼの失業対策事業の枠を充てるかということは、年度当初において十五万にするか十六万にするか、十七万にするかということはおよそ決定し得ると思うのです。その大枠を十六万から十七万に殖やすか、十八万に殖やすかということが、そのときの政府が積極的に失業対策事業をやる意思があるかどうかということを表明するものだと考えております。従いまして問題は、予算編成の技術の困難にあらずして、失業対策事業と真剣に取組んで行こうとする意思が政府にあるかどうかということによつてその辺の問題は処理できると考えております。若しそうであるとするならば、当然に毎年繰返されている問題であるからして、少くとも日雇労務者に対しましても夏期と年末についての手当措置くらいは当初予算において編成されて然るべきじやないか。先ほど安井次官の答弁を伺つておりますると、誠にこれは馬鹿にしたよう答弁がなされております。公務員の夏期手当と比較した場合、上昇率においてはむしろ今回の五日分はいいほうだと言つておりますが、この大前提であるところの基本給そのものはどういう実態になつているかという点、その点をあなたは疎かにして、その点は抜きにして、上昇率がいいから、日雇労務者に今度政府がやる措置は非常に前よりも積極的なんだという答弁でありまするが、そういうよう答弁答弁になつていないのです。子供だまし見たいな答弁で、もう少し国会における答弁としては前提も明確に立てて、その前提が一体妥当かかどうかという上に立つて、その上昇率が比較して均衡を得ているかどうか、こういう答弁にならなくちやならんと考えております。  それから大体米価の問題等見ましても、本年度の米価の、例えば昭和二十八年度の当初予算の編成を見ましても、一応昨年の基本米価七千五百円にプラス特別加算でありましたか、七千九百二十円前後で一応予算は組んでおります。併し今回の場合は冷害、水害のために大きく七千九百二十円ベースの米価というものは狂つて来たけれども、あなたの言うように、米価の問題であつてもやはり次のでき秋の状況を見なければつかめないことは事実なんだが、併し予算編成上米価というものが決定しなければ予算自体が組めないから、一応将来の見通しの下に立つて予算を編成されておるのです。同じことです。これは失業問題についても、失業対策予算においても、そのような予算編成というものが今日の政府自身が、今日の国家財政の中においてとられておるにかかわらずだ、この労働予算においてのみ、失業対策予算においてのみとられないという理由はあり得ません。それは明らかに今日の政府失業対策事業の怠慢を意味するものと我々は考えるのです。この点について安井政務次官どうお考えになるか、今後又どういう態度で以て臨まれて行こうとするか、御答弁お願いいたします。
  58. 安井謙

    政府委員安井謙君) いろいろお話ございましたが、実際の完全失業者傾向数字から申しますと、例えば昨年の第二四半期と本年の第二四半期を数字で比較いたしますならば若干減少の傾向になつております。予算の方面ではこれはもう十分御存じの通りに、昨年度は八十億であつたものを本年度は九十七億、更に三億八千万円を増加するといつたような次第で、財政の許す限りの点ではかなりの努力をしておる次第でございまするが、まあ併しそれよりは根本的にこの失業者をなくして、完全に安心のできる就業状態になつて頂くことのほうが実際は先決であろうと思いまして、あれこれかねてでき得る限りの努力をしておる次第でございます。
  59. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほどの安井次官と江下局長の御答弁のところで一点確めて置きたいと思います。  それは新らしいP・Wの決定で賃金の引上げが行えるであろうという意味のことを若干匂わされたのですが、これはこの前十六国会のときと同じじやないと思うのです。P・Wはあのときはまだ未決定だつた、国会が終つてから決定すれば必ず上げますと約束をしておられたのですね。只今は決定したという御発表なので、前国会よりももつと明確に私はその点はできるだろうと思うのです。作業は別ですよ。作業は別で、上つたとするならば、決定されたのであるからそれの検討だけが残つておる。そのものだけが残つておるわけですね。そのように解して、大体来年一月ならば一月からは作業を終つて実行できるかどうか、その点のところを一つ。前国会ではまだ発表前でも明確なる意思表示をしてもらつたのだから、今日ではできるのではないかと思うのです。
  60. 安井謙

    政府委員安井謙君) 只今の点でございまするが、只今作業中でありまして、P・Wの最後決定は極く最近行われた次第でありますが、大体その結果を見て、作業を終つて、来年度の新春一月中にはこれは実施するようになろうと考えております。
  61. 吉田法晴

    吉田法晴君 一月中にはということでしたが、先ほどの答弁と少し又食い違つて来たのですが、八千万は予算に組んである、その八千万の積算の基礎、はちやんと出ているはずなんです。それからその金額は出ているし、或いは一月一日からか、まあ実際には多少食い違うかも知れませんけれども、建前上は一月一日ならば一月一日から補正予算に従つて上げられることはこれは間違いない。P・Wが出ておる、あとは数字のそろばん、正確な数字、或いは各地別の決定が若干遅れているかも知らんと思いますけれども、予算は出ておる。それからP・Wも出ておる。その後仕事はして来ておる。これは予算が通らなければ仕事は始めんというものでもないのですよ。恐らく仕事は進めていると思うのです。もう少しはつきり誠意を持つて答弁願いたいと思います。
  62. 安井謙

    政府委員安井謙君) おつしやる通りにその実情でありますので、その作業を終り次第、実施する目標をそこにおいておる次第であります。
  63. 吉田法晴

    吉田法晴君 そこにおいておるつたつて、十二月中ということと一月中ということでは……。一月中と言つても、一月の三十日も一月中だし、一月の一日も一月中だ。一日と三十日とでは随分違います。
  64. 安井謙

    政府委員安井謙君) 実は一月中旬を目途にやつておりまするが、これは作業の関係でありまするから、又下手な答弁をやりまして、あとでお叱りをこうむつちやいかんものでございますから、一月中にという多少巾をお認め願つた次第であります。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 問題は、江下局長の先ほどの答弁によると、省内で十分まだ打合せておらんと、それだけの理由だと思います。まあ次官、大臣等と今まで打合せしていない、それだけが残つているのだと思いますが、私はここでできると思いますが、むしろ今までの失業対策事業の建前と、それから委員会食い違いがありますが、その問題を除いても、P・W決定後の低かつたマイナス等も考えれば、今までの建前を以てしても、これから上げて行く賃金については、恐らく労働省考えているよりも或いは職安局が考えておるよりも、私は上げてやるべきだと思います。従つてこれらの点について委員会としての意見一つ取りまとめ願いたいと委員長お願いするわけでありますが、なお年末手当の問題について前の要望もございます。委員会要望もございます。先ほどは委員会等の御要望を待たずにやつたということでありますが、労働委員会等の要望等もあるならば、年末手当の問題についても或いは賃金の問題等についても、その趣旨を尊重して、なお努力をする余地があると考えるのでありますが、その点について政務次官の明快な責任ある答弁を述べて頂きたいと思います。
  66. 安井謙

    政府委員安井謙君) 只今の年末の日給増加の分につきましては、これは先ほどしばしば大臣或いは私どもから申上げました通り、いろいろな状況を勘案いたしまして、まあ少し無理な事態を、当委員会の御要望もありまして、繰上げたような形にもなつております。これにつきましては、まあ余地はないと申上げるより仕方ない問題だろうと思います。
  67. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちよつと一点お尋ねしたいのですが、先ほどのP・Wの決定に伴う三%か或いは三・九%値上げの実施の問題ですが、仮に労働省における作業が一月の十五日にでき上つたとする場合に、それは一月十五日から実行されるのか、それとも遡つて一月一日に実行するのか、どちらでありますか。その点御答弁を局長からお願いいたします。
  68. 江下孝

    説明員(江下孝君) 遡りませずに十六日からということになります。
  69. 田畑金光

    ○田畑金光君 そこで次官並びに局長に非常に私は不満を持つのです。今回の補正予算というのは少くとも一月から、公務員の給与ベースというものは一月一日から実施されることになつておるはずです。公務員の給与べースに伴うて御承知のごとく今回の日雇労務者についても八千万という予算が講ぜられておるはずです。あなたがたの作業の遅延の責任というもの、或いは損失というものを肝心の対象である日雇労務者が十五日間背負わなければならんという結果になります、それはそうでしよう。そんな馬鹿な話はないでしよう。少くとも本年中なら本年中に作業して、来年の一月一日からは三%、三・九%上げた、これによつてやるというのが予算の性格であり、今回の補正予算の性質であり、あなたがたの先ほどから言つておる公務員の給与べースに伴うてやつて行こうという趣旨にも副うわけです。今局長の言うがごとく、一月十五日にでき上つたら一月十六日だとするならば、労働省自身の怠慢を以て日雇労務者の損失を犠牲にしよう、こういう結果になりまするが、その点年内に作業して、一月一日から実施するだけの肚があるかどうか、やらねばならん責任を感ずるかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  70. 江下孝

    説明員(江下孝君) 再度の御質問でございますが、実は当委員会要望等もございましたので、実は一般の国家公務員のベース・アツプに先立ちまして、九月中旬に取りあえずのベース・アツプをやつたわけでございます。決して私どもはこれを以て満足だとは申しておりませんけれども、一応できるだけの措置は講じたというつもりでおります。従いまして、次に考えておりますP・Wの決定に伴いますベース・アツプにつきましては、今のところは十六日以降ということに私どもとしては考えておるわけでございます。
  71. 田畑金光

    ○田畑金光君 局長にお尋ねいたしますが、八千万の予算の編成の基礎は、一月以降になつておると私は観察をしますが、その点どうですか。
  72. 江下孝

    説明員(江下孝君) 一月十六日以降ということになつております。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 一月十六日以降が八千万ということになつているのですか。
  74. 江下孝

    説明員(江下孝君) そうでございます。
  75. 田畑金光

    ○田畑金光君 あなたの答弁はどうも私この場逃れのような感じがしてなりません。一体政府全体の予算が一月以降、こうなつておるとき、失対事業のみが一月十六日以降でなくてはならんという理由がおかしいじやないですか。少くとも労働省としては公務員並みに準じてあの措置をやつたと予算書に明確に説明されておる。一月十六日とは書いていない。そんな理窟はないはずです。仮にそのような肚であつたとするならば、なぜもう少し誠意を以て一月一日からやろうとする努力を払われなかつたのか、この点について伺いたい。
  76. 江下孝

    説明員(江下孝君) お答え申上げます。先ほども申上げましたように、私どもとしましては、特別に失対事業につきましては賃上げを九月中旬に一部ではございましたが実施をいたしました。なお今回のP・W決定に伴いまして若干不足の分についても大蔵当局と掛合いまして、結果といたしまして一月十六日以降ということで一応予算を組んだわけであります。
  77. 田畑金光

    ○田畑金光君 一つそれじや局長に資料を要求いたします。大蔵当局と予算折衝をされたのが一月十六日以降の基礎数字に基いてやられたとするならば、その資料を当委員会に出して頂きます。  更に、先ほど来九月十六日以降実施したからもうすでに処理済みであるかのごとき態度でありますが、これは先ほど来再々質問し、要望しておりまする趣旨と、現在の政府当局労働省考えておられる立場というもの、或いは考え方というものには相当な隔りがありまするので、この点如何に追及してもこれは今のところ問題になりませんから。ただ申上げたいことは、九月十六日以降実施された二百七十五円のベースで以て満足されておるという労働省考え方に対して大変我々は不満を持つておりますので、十分にその点は反省を願いたいと考えております。
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大分時間が過ぎましたので暫時休憩いたしまして、二時半から開きたいと存じます。暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩    —————・—————    午後三時五十分開会
  79. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これより午前に引続き委員会を開会いたします。駐留軍労務者並びに特需工場労務者の労働問題の件を議題に供します。  先ず英連邦軍の雇用条件についての問題でありますが、これは前委員会において、当委員会調査いたしました結果は、只今労働省並びに外務省において折角努力を煩わしておるにもかかわらず、英軍との交渉が難航いたしまして、直傭制度を間接雇用制度に切換えることが困難であるやに聞いたわけであります。従つて、如何に困難でありましようとも、米国と調達庁の労務者との関係を悪化させることなくして、英連邦軍の労務者の条件改善については、これは政府の責任において善処せられたいと、こういう強い要望が出まして、労働省側においてはその意に副うべく格段の努力をするという約束をして頂いたわけであります。従つて直接衝に当られる外務省当局のやはり意向をここではつきりと確認をいたしておきたい、こういう意味でおいでを願つたわけであります。
  80. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 結論としましては、誠におつしやる通り、外務省としても極力これを間接雇用に切り換えるよう努力をいたしておるわけでございます。ただ英連邦軍側の内部におきましては、又彼らの内部の事情がございまして、東南ア地区全般における英連邦軍、東南ア地区に限りませんが、世界各国、各地における英連邦軍の雇用している労務の、何といいますか、雇用形式、それに一定の型がある。それに対して例外を認めるかどうかというようなことまで考えなければならない。そこで仮にできても相当に手間を取るのではなかろうかというふうに観測されるのであります。極力その心組みで只今折衝いたしておりまするが、現在のところでははつきりと間接雇用に切換えるめどがついたということまではまだ到底申上げられる段階には至つておらない。ただ併し英連邦軍も必ずしも間接雇用は全然考えないのだということは言つておらないのでありまして、只今申しましたような問題ですとか、直接的には経費の問題とか、そういうようなこと、いろいろなことに困難があるということで、目下それを説得するのに努力しておるわけであります。  それでこの最悪の場合におきましても、我々としましては現在のように完全な直接雇用と申しますか、政府が中に介入して労働者に対して何もすることができないという事態は何とかして改善しなければならないということで、例えば現地に日本の政府当局も入れた労務委員会、労務調達に関する委員会というようなものを作つて、それを通じて英連邦軍に従来の態度を改めさせるようにして行くというようなことが一つの方法でございますが、そういうようなことを少くとも早急に実施して行きたいというふうに考えておる次第であります。大体今の問題に関しましては、そういうことは少くともやりたいという状況にあるわけであります。
  81. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 英軍との協定は今どういう工合になつておりますか。
  82. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 英軍との協定でありますか。
  83. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ええ。
  84. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 現在におきましては国連軍協定というものは、御承知の通り例の裁判権の問題以外に関しましてははつきりしたものはできておらないのでありまして、従つて今その交渉中であるというのが実情でございます。
  85. 阿具根登

    ○阿具根登君 今関次長のお話では、世界各地の英連邦軍の雇用関係等もあつて、日本だけが別個な雇用はむづかしいというようなことを聞いたのですが、各地では今英連邦軍がやつておるように直接雇用をやつておるのですか、日本以外では……。
  86. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 大体そういうわけだそうでございます。
  87. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると英軍は日本でやつておるようにそれではやはり世界各地で調達とか何か全部持つておるわけですね。
  88. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 英軍は各地におきまして各種各様の……現在におきましては統一した雇用形式というものがないわけであります。それを何とか統一したいということで、国防省で今盛んに研究しておる、こういう話は聞いております。
  89. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは英連邦軍のほうは十八万五千からおる米軍の労働者が全部米軍持ちで間接雇用になつている。その中で一万三千くらいの英連邦軍のが直接雇用になつている矛盾は十分説いてもらつたと思うのですが、それは認めていると思うのですが、問題は予算だけの点ですか。
  90. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 予算が一つの直接的な原因でございますが、今申しましたように、そういうことを、労務の調達の方式を変える場合には、やはりロンドンまで行つて許可を受けなければならない、こういう状況にあるのであります。そこに仮に話がうまく行つても、手続上若干手間を取るのではなかろうか、これが心配されているわけであります。
  91. 阿具根登

    ○阿具根登君 直接雇用になつてからもうすでに一年半くらいたつたと聞いているのですが、それが一年半もたつた今日、まだこういう問題が直接起つて来た、表面化したのは最近だろうと思いますが、事実その声はすでに一年前から出ておつたと思うのですが、それまで何か外務省で折衝されたことはないのですか。又仮にあつたとすれば、英本国に英連邦軍は相談したことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  92. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) その間に当然英軍とはその話合いをやつておりますけれども、現地の英軍としては、従来そういうことは困る、嫌だということではねられて来た、それが実状です。それが最近、それでは困る、何とかしてやれということを更に蒸し返しまして、向うはそれでは考えようというところまで持つて来ている、こういうわけです。
  93. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうことを初めて聞いたのですが、嫌だという理由はどういう理由で嫌だというのですか。米軍もあれだけの間接雇用を持つていて、私たちが接触した範囲内では、直接雇用していない関係もありますけれども、組合と話すよりも調達庁と何でも話したい、調達庁と話してきめるのが一番いいのだということを、私たちはしばしば米軍から聞いておりますが、英軍は何か日本政府と話すのは嫌つて労働者を直接自分たちが使つて、そうして自分が話すという腹があるのですか、嫌だという原因ですね。
  94. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) そう端的に申されると甚だ困るのですが、必ずしもその一点ではないと思います。米軍の内部におきましても、御承知の通り、現在の間接雇用の形態は面白くないという議論も相当あるわけであります。私の聞いております範囲におきましても、空軍のごときものは、こういうことをやつてつては困るという声が相当ある。併し我々のほうから、今更変えるということは非常に困るということをはつきり申しまして、そうして米軍にも間接雇用の形態を継続させている、こういう状態であります。そこで英軍と米軍とは違つているわけでありますが、それの違いを指摘していることにつきましては、先ほど申しました通り、繰返して指摘しておりますが、現在の行政協定そのものからは当然に間接雇用は生れて来ないのであります。よくお読み頂けばわかると思いますが、それはどちらにでも行ける協定になつております。従いまして英軍といたしましては、仮に行政協定と同じようなものを英軍が結ぶ場合におきましても、我々は当然の結論として間接雇用をやる必要はない、併しながら一つの大きな原因としましては、経費の問題、金が足りないということ一つの問題になつていると思います。
  95. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、私たちが聞いた範囲内で、何か政府が半分か、二千万円か三千万円か持つてくれれば英軍は間接雇用にしてもいい、こういうような話も聞いておりますが、それはどこまで事実であるかどうであるか。仮こそういうことが成立つとするなら、今次長のお話では、米軍の中でも行政協定は、間接雇用でなくてもいいのだ、或いはせにやいかんということははつきりしていないから、直接雇用にしたいのだ、こういうような空気まであるとするならば、その関連はどういうふうに考えておられるか、これをお聞きしたい。
  96. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 只今の御質問趣旨ちよつとはつきりいたしませんが、行政協定そのものからは御承知の通り、直接に間接雇用に行くとも直接雇用に行くともはつきりしたことはきまつていないのであります。これは御承知の通りであります。従いまして米軍の中にもどちらがいいかということは議論になつている。併し我々としては直接雇用は困るということで間接雇用にとめてある。英軍は従来相当の期間に亘つて直接雇用を実施しておりますので、そのほうが自分に都合がいい、経費の点も安く行く、特別の不便はないからこのまま行きたいということを申して来ているわけであります。これに対して我々は、やはりそれじやむごい点が出るから困る、変えなさいということを話して、一生懸命努力しているというのが現在までの段階でございます。
  97. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の問題ですね、私の舌が足らなかつたかも知れませんが、私たちが今まで聞いた問題は、もつと発展していると思うのです。次長のお話では、相手は直接雇用にしたい、我々は直接雇用は困るのだ、むごいこともあるから困るのだ、間接雇用にせいということを交渉している。こう言つておられるけれども、私たちが今まで聞いた範囲内においては、それがもう一歩前進して、予算面から、アメリカのように全費用を持つわけに行かない、だから政府が二千万か三千万か、或いか半分か持つてくれれば間接雇用にしてもいいのだ、こういうような報告を聞いているわけです。それがどこまで進んでいるのか、それをお伺いしたわけなんです。
  98. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 経費の問題に関しましては、これだけ掛かるだろうという予測を向うに出して、これをもとにして研究さしております。英軍に対して……。その結果としまして、幾ら出せばどうするというようなことで、はつきりしたことで向うが言つて来ているということは私は承知しておりません。政府が持てば何とかかんとかという話は聞いておりません。少くとも私は公式にそういう話はまだしておらん、こういうふうに思うのであります。仮にそういう金だけの問題に話を絞るにしましても、仮にそういうふうになりましても、それは米軍との関係において、なかなか政府としては簡単にこれだからいいということは言いかねるのじやなかろうか、こういうふうに考えます。
  99. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点に関連してから先に伺いますが、今朝の新聞にも国連軍協定のことについて、全般的には妥結は困難であろう、特にその中で労務調達問題について書いてございます。これはお読みになつただろうと思いますが、こう書いてあります。「労務調達について国連軍側は、経費節減のねらいから直接雇用を希望しているのに対し、労働省は労組側の希望を容れて日本側の経費負担が多少多くなつても間接雇用にしてほしいとの意向であるといわれ、この労働省側の意向については大蔵省側はまだ乗気を示していない模様である。」、こういうことが書いてございます。その点を阿具根君が今指摘して聞いたのだろうと思うのですが、これは外務大臣或いは労働大臣に出したという全駐労組からの要請書の中に、「従来の交渉経緯においては間接雇用制度採用の隘路となつたのは労務管理費の負担問題にあつたと聞いているが、最近新しい日米労務基本契約の改訂も近接しているので、これと見合つて早急に解決し、国際的な労使関係を円滑化する必要が」云々と書いてあります。問題は新聞記事を見ましても、それから労組からの要望書を見ても、問題の隘路が金の点にあるならば、二千万かその程度のことならば、日本政府も出すことを覚悟して、一つ間接雇用になるよう努力してもらいたい、こういうような希望です。或いは新聞の模様によると、労働省もそういう主張をしているかのような新聞記事なんであります。そこでまあ米軍と違つて国連軍の駐留軍について負担金を持ちたくない、こういう主張については私どももよくわかるのであります。実際問題として英連邦軍と申しますか、費用の点について相当締められているという実情もわからぬこともない。そこで日本の、国連軍或いは英連邦軍に対します公けの立場というものは、これは認めなければならん。併し実際的な事情も或る程度は考えなければならんのじやなかろうか。労務管理費の間接雇用にするための一部負担ということで問題が解決するならば、基本的なこの国連軍協定の全般の締結というものがとにかく、長くかかるとするならば、実質的にその一部であります労務調達問題について協定まで到達するとして、その中でそういう方法が考えられないかという点が、これは一応私どもも疑問を持つわけでありますが重ねて一つ関次長からの或いは労働省側からの御説明を願いたい。
  100. 安井謙

    政府委員安井謙君) 只今労働省に関連した部分の御質問もあつたようでございまするから、一応お答えしたいと存じますが、労働省といたしまして、直接雇用を間接雇用に切換える趣旨には全面的に賛成し、外務省その他の関係機関を通じていろいろと折衝中であるのでありますが、まだそれに伴う経費の分担を日本側がするとかいつたような具体的な問題については全然未だ大蔵省と折衝いたしたこともございませんし、建前から言いますならば、間接経費を日本側が負担するということは、これは米軍の問題その他の振り合もありまして、殆んどそうすべきではないものであろうと心得ている次第でございます。
  101. 吉田法晴

    吉田法晴君 新聞じや誤報だ、こういう話ですが、駐留費の一部を日本側が持つということは、これは日本側として認められないでしよう。但し直接雇用は気の毒だ、間接雇用にしたい。そこで直接雇用を間接雇用にいたします、そこに調達庁と申しますか、日本の政府が入り、その事務費その他ということならば、これは問題はないのじやないかと思うんですが、ですから私も先ほどから申上げますのは、基本について、駐留費の一部を日本側が持つということで片付けて下さいと申上げたのではない。或いは事務費負担と申しますか、そういうことで問題が解決する途はないのか、新聞に書いてある、或いは労組から要望しておりますのもそういう問題ではなかろうかと私は考えるのでありますが、そういう方法はないものですか、重ねてお尋ねいたします。
  102. 安井謙

    政府委員安井謙君) 間接費につきましても、これは日本政府負担すべき性質のものではなかろうと存じている次第でございます。
  103. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これはですね。問題は私はそういうテクニックの問題じやなくて、英邦軍がその雇用する日本人労務者の基本的な労働基本権といいますか、その権利を尊重するかしないかというところに問題があると思うのであります。アメリカのよう工合に間接雇用でもなお且ついろいろな問題を起しているんですからね。ましてや直接雇用ならば悪くなることは当然なことである。従つて外務省のほうでそういうような日本人の労務者の労働権の確立ということを主張して、英連邦軍の理解と協力を得られるかどうか、こういうことだと私は思うんですね。経費の問題というのは枝葉の問題だと思うんです。そういう考え方で英連邦軍を説得できないか、こういうことだと私は思うんです。
  104. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) そういう基本的な問題につきましては米軍と同様に、労働法規を尊重するとか、そういうことは全部米軍と同等の待遇を与えるとかいうようなこと、それから給与その他についてというような点は、必ずしもそれほどの問題でなしに呑んでいるわけですが、要するに雇用の形態というところに問題があるわけです。間接雇用にするか直接雇用にするか、それは勿論経費の問題も一つの直接的な問題としても、若し仮に経費の問題が解決するとしましても、何といいますか、労務調達の基本方針といいますか、統一方針というようなこともあるから、仮にそういう問題を現地で解決しているということになりましても、早急にこれを間接雇用に切り換えるということはむづかしいのじやなかろうか、こういうことを申上げているわけであります。
  105. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して聞きますが、労働協約もない、それから就業規則もない、これは日本流に言うてですが、それから雇用に当つて賃金なり労働条件等も、これは口では言つているかも知れませんが、はつきり文書なり制度で明示がなされない。労働法関係は、それは了解しているのだ、呑んでいるのだ、こういう今の言葉なんですけれども、実際には、例えば時間の問題にしても、向うの一方的な意思によつて一日八時間制労働じやなくて一週で何時間一そうしてまるまる二日休んで、二日出てそれから中一日休む、又まるまる一日出て又次の日休む、こういつたようなむちやな使い方をされても黙つている。或いは死んでもこの労働基準法なり、或いは労災法に規定されたような扶助料がもらえない、見舞金がもらえない。こういつたよう実態からしますならば、言われるよう労働法を尊重するということでも実際にそれが行なわれない、或いは行なわれない場合に、文句を言うても、組合が実際に言つて直させるだけで、そこに何ら日本の機関が介入する余地がないということだと、これは労働法が守られているとか、尊重するとか言つたつて空文で、そこで国連軍協定を結ぶことを急がなければならんけれども、それじやそれが今のお話だとなかなか難航して、いつになるかわからんから、実質的に労働契約であるというか或いは就業規則であるというか、実際に間接雇用、直接雇用という議論だけでなしに、調達庁も中に入つて、実質的に解決するということになると、片付け得るところから片付けなければいかんのじやなかろうか。そういう意味で先ほど二千万円云々という話も出たんだろうから、そこでそういう現実一歩ずつ解決する方法についてはどうだということでお話を申上げたのですが、今の労働法は生きている云々というところからでもかまいませんが、或いは契約というか、或いはその他の点について概括的に認められているという、日本の労働法関係を生かすための具体的な方策について御所見があつたらこれを一つ承わらして頂きたい。
  106. 安井謙

    政府委員安井謙君) 基準法の面から直接雇用の労働者の条件についてもいろいろと監督してやる建前で実施している次第でございます。
  107. 吉田法晴

    吉田法晴君 やる建前だと言つて、それじやどういう工合にやられているんですか。協定はない、それに代るべき何かがあつて、そうして例えば死んだ、労働基準法通りの遺族扶助料が出ない、そのときに監督署というか或いは監督局というか、外務省が一々タツチされるのは別問題ですが、そういう労働法を守るべき有権的な介入と言つたら何ですが、タッチし得るような話合いが文書上なり実質上でも何でもかまいませんが、あるかどうか、その点承わりたい。
  108. 和田勝美

    説明員(和田勝美君) 呉地区におきましては、国際上には、いろいろ外務省の管轄でございますが、問題はあろうかと思いますが、私どもの監督官が出まして、実際に基地内で向うとの了解の上で監督を実施いたしております。その際にはやはり就労時間の問題も、そういうものも一応書類を見せてもらいまして、従来にも二、三件についてこういう問題があるという報告を私ども受けておる次第で、監督は実際に行われておると考えております。
  109. 吉田法晴

    吉田法晴君 関さんの一つ答弁を願います。
  110. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 先ほどちよつと簡単に申上げましたけれども、有権的と申されますが、有権的ということになりますと、どうしても相手がそれに合意したものでなければならん。相手を縛りつける力はないわけでありますから、過渡的な場合におきましては、先ほどちよつと触れましたが、現地に無論労働委員会とか分科会というようなものを作りたい同時に現地に労務調達に関する何か日本政府と英軍との間の混合委員会と申しますか、そういつたようなものを作り、それでそれを通じて向うに注意を喚起するというようなことでやりたいということを大体考えておるわけでございます。
  111. 吉田法晴

    吉田法晴君 考えておると言うのですけれども、一年以上たつてつて漸く考えておるということは困つた問題だと思いますけれども、それは何ですか、こちらでいう外務省、それから労働省の出先機関と向うとでそういう現地での委員会を作る、こういうことですか。
  112. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 大体そういう考えであります。現地で話がつかなければ、更にそれを東京の両方の合同委員会と申しますか、そういうものへ持つて来て更に又やらせるというふうにしたらどうか、これは最悪の場合においてもそういうことを考えております。
  113. 吉田法晴

    吉田法晴君 それは今のところ、先ほどの言葉では国連軍協定はなかなか困難である、まあ新聞の模様だと年内妥結は困難である、恐らく年内妥結は困難でしよう。来年いつになるのか知りませんが、先ほど関さんがなかなか容易でないというお言葉ですから、それも急ぐけれども、若しそれがまだ時間がかかるようならば、年内と言われるのか、或いは来年早々か知りませんが、そういう委員会を作りたい、こういう決意と申しますか、おつもりであると、こういうことですか。
  114. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) これを国連軍協定の今やつておりますものを、全般ができる前にやるかやらんかということについてはまだはつきりきめておりませんが、現在はその国進軍協定の枠内で一部にそういうものを縛りつけてそういうものを作つて行きたいということを考えておるわけでございますが、余り長くなればその以前においてもそういうことを始めるというような交渉をしなければならんじやないか、こういうふうに考えております。
  115. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は昨日全駐留軍労働組合の全国大会をやつておつたようですが、私はまだその結論を聞いておりませんが、恐らく労務基本契約の即時発効とか、或いは労働時間の短縮反対とか、英連軍の直用を間接に切替えるとか、そういうようなことが新聞によると決定されたように書いてありますが、これによつて実力行使に入るんだという大会決定をやつたことになつておりますね。従つてそういうような全駐留軍労務者の強い意思決定と、現実の外交交渉、この間にやはり関連を持たせないと、又国際紛争の種になるわけでありますが、その点についての新らしい事態に対する労働省、外務省の見解はどういう工合でしようか。
  116. 安井謙

    政府委員安井謙君) 先ほども申上げましたように、この直接雇用に変えることが先ず第一義的にその問題解決になると考えまして、労働省としてはそれを極力推進すべく努力をしている次第でありますが、併しそれがいろいろの関係で非常に長引くというような場合、先ほど関次長のお話にありましたような、一種の別途の補助機関と申しますか、処理機関を設けてやるという便法も併せて考慮して、少しでも現実の問題を少くしたいというふうに進めている次第であります。
  117. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 労働省のお答えと同じよう考えでやつております。
  118. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 結局今の米国との間にある日米合同委員会のこれは附属機関かどうか知りませんけれども、あれと同じような恰好のものを英軍との間において、いろいろな紛争の調整をやつて行こう、こういう工合に理解していいわけですか。
  119. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) そうでございます。ただ現地におきまして、やはり何らかの恰好で英軍に対して先ほど有権的という表現を用いられましたから、或る程度その日本側の言うことは向うも聞くという仕組をどうしても私は作ることが必要である、こういうふうに考えているわけであります。まあはつきり申しますと、間接雇用ということも大事でございますけれども政府が入りまして役に立つのは、実際に向うが曲つたことをやつた場合に政府から向うに言つて直さすということに役立つわけでありまして、そういうことから考えますと、予算的措置その他いろいろなことがあると思いますけれども、我々としては、現地にやはりそういつたものを何か作つて、そうして向うの言うことは少くともまじめに取上げて交渉するんだという点において英軍側を縛つて行きたい、こういう考えでございます。
  120. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私は先ほどから疑問に思つているのは、米軍との関係においては一応日米合同委員会という合意のある拘束力を持つた機関があるわけでしよう。その機関の下にある各種委員会がやはり或る力を用いながら運営されているわけです。ところが英軍との間にはそういうものがない。日英合同委員会というものはないわけであります。従つてそういう英軍と日本との間のあらゆる問題を規律するようなそういう機関というものが根本にならなくちやいかんのじやないか。そこがやはりさつき有権的という言葉が使われたことだろうと思います。そこまでやはり掘り下げないと、労働問題だけでなくて、その他いろいろ議題が出て来るんじやないかと思いますね。
  121. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) その点はやはり英軍の合同会議と申しますか、つまり政府におきましては、問題は現地に起り勝ちであるからして、現地にやはり混合委員会と申しますか、そういうものを作つてつて行つたらどうか。これははつきりきまつておりませんし、それほど強く向う側と話をしてそれを聞こうというようなところまでは行つておりません。これははつきり申しますと、まだ向うのほうには、今もうとにかく間接雇用一本槍で行つておりますから、ですからそこに中途半端なものは実は出しておらんわけであります。今日は実はここで喋りましたけれども、新聞公表とかそういうようなことはやめて頂きたいと思います。最悪の場合にはその辺を至急実施するようにいたしたいということを、これは私は今出過ぎて喋つたかも知れませんが、そういう隠れたる案を持つている。最悪の場合には一つ取りあえず解決を図つて行きたい、こういうふうに考えております。
  122. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと、この問題はこれ以上質しておつても切りがないと思います。問題は日本政府としても間接雇用是なりという考え方には変りはない。現実の問題として。英軍との完全な協定をするのには非常な困難があるということが一つ従つて原則で進めながら、今のあの事態をとにかく好転させるような第二、第三の手段を考えながら善処して行く、そういう考えが述べられたという工合にここで理解しておいて、そうして更にこの次、或いは更に今後の委員会で交渉の経過その他を質しながら行く。こういう工合にこの委員会としましては一応きめておいたらどうですか。
  123. 吉田法晴

    吉田法晴君 大変まあ結構だと申上げては何ですが、結構な、或いは仕方のないということになるかも知れませんが、関さんとしては肚の中に思つていることまでお託を願つて大変有難かつたんですが、まあ基本的な協定ができるのは、やはりそういうことよりなかろう。日米合同委員会の場合には、これは行政協定があつて、それに基いてさつきの有権的ということになれば、その行政協定というちやんとした基礎があるわけですが、国連軍協定ができるまではその基礎はない。併し実際に問題が起るから、現地に窓口を設けようというか、双方の、これは英米間と戦争しておるわけじやないのですから、協定はできなくても実際に関係はある。労働問題なら労働問題を通じて平和的な関係がある。従つてそれを処理する機関を作ろう、これはまあ或る意味においては当然かと思うのですが、それを例えば協定の基礎があるないということは抜きにして、私は現に作つてもらう意味から言えば、全体の協定を云為することなしに、私はお作り願うことはできるのじやなかろうか、こう思うのですが、その辺は専門家、外務省に任せるほかありませんけれども、私は早く作つてもらうことが現地即応のあれではなかろうか。  それからもう一つはキヤンプが二つあります。広島県なら広島県に一つつて、片方に分所を作るのか、その点どういうことになりますか。現地という意味がどういう……、関試案の細目ということになりますけれども、その細かいところをお聞きします。
  124. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) まだそこまではつきりした肚はきまつておりませんが、やはりそれは予算の関係もありますし、いろいろなことを考えまして、やはり一番話合いがやりいいようにやつて行かなければならん。向うのほうのどういう陣立になつているか、その辺のことをよく調べた上で、そういうことは向う側と話合いをして、都合のいいような、効果が挙るように作つて行くというほかにはないだろうということになるかと思います。
  125. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは例えば契約その他の問題について実質的に解決せられる方法についてなおお考えはないか一つ承わりたい。実質的な契約、或いは間接雇用にするまでの労使関係についての規律すべきものについての、何といいますか、斡旋或いは推進さるべき方法については……。
  126. 有馬元治

    説明員(有馬元治君) これは形式的には組合と英軍当局との間の話合いを正面から進めるという以外にないのでございますが、側面から、現在全然間接雇用にも解職機関もできておらない現在の段階におきましても、労働部長あたりにそういう問題を指摘して、できるだけ当事者が締結に努力するような協力をさせるように我々のほうから注意を喚起するよう措置したいと、かよう考えております。
  127. 吉田法晴

    吉田法晴君 この問題は前から言われておることですし、なお十月十五日付で具体的に両方の大臣の文書も出ていることだし、相当誠意を持つて考えて来られたのだと思うのですが、今承わりますと甚だ不十分、或いは何らの案もないに近い意見だと思うのです。併せて次の機会までに具体的な方向についてお考えの上、是非この委員会に臨んで頂くことを希望して質疑を打切ります。
  128. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この問題はこれで打切ります。   —————————————
  129. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に富士自動車における軍令解雇の問題を議題にいたします。この問題も前の委員会において調査をいたしました結果、甚だ了解しにくい事態に現地ではなつておることを認めました。労働省の中西労政局長の話によりますというと、日米合同委員会或いは労働専門委員会の機関が無視せられて、現地の会社側に軍側から更に強く圧力がかかつて軍令解雇の指令が来ておる。会社側も労働組合側もその応接に非常に困つておる。更に聞きまするというと、会社側はその圧力にとうとう対抗しかねまして、解雇の指令を出したということも聞いております。事態甚だ穏かでないので、中西労政局長は労働委員会委員長として米軍側に十二月四日付を以て厳重なる抗議をしたというところまで話を聞いておるのであります。この問題もやはり労働省、外務省の非常な努力を煩わして、これはそういう好ましからざる事態を早く払拭せられたいと私は考える。それで特に労務基本契約の効力の発効も非常に熱望されておるときに、こういうことが起きたことは非常に残念だと思いますので、その後の経過、並びに外務省としてとられるべき措置等についてこの際一つここでお述べを願いたいと思います。
  130. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) 更に必要だと思いますところの資料、と申しますのは、どうも一部におきましては何か誤解があるのではなかろうかというようなことを申されますので、更に明日又組合のかたからよく話をもう一度承わりまして、私のほうからも向うの米軍のほうに労政局長の案をおつ付けて、一つ労政局長とお話の上で更に具体的に当方の申し分を申入れまして、そうして向うの回答を促進したいというふうに考えております。
  131. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この富士自動車の問題はここでこれ以上どうこうするわけに行きませんけれども、とにかく非常に緊急に解決を要する問題だと思うのです。時間的な制約の問題だと思いますので、できれば明日で国会は一応閉じるわけですが、明日或いは通常国会の劈頭あたりにもつと見通しの述べられるよう工合に善処願いたいと思います。
  132. 上條愛一

    ○上條愛一君 この問題についてちよつと一、二点お伺いしたいのですが、これは昨年十二月に期末手当で争議があつて、それで本年になつて組合の委員長その他の幹部が中心で、三十人のうちに入つておるということでありまして、これは一種の労働組合の弾圧になると思うのです。こういうことであれば、委員長や幹部になつて労働者生活を守るというような活動をする人がなくなるというようなことになつて労働組合の自主性を失なつてしまうことになると考えられるわけです。  それからもう一つは、今度は三十名ですけれども、なお軍の当局の意向では首切りの範囲を拡げようという意向があるということであります。そういう点から見ても、この問題は強硬に交渉をお願いしたいというふうに考えるわけです。  それからもう一点御質問しておきたい問題は、今年の夏でしたか、スパイ行為や保安上から契約の中に挿入されておつたのを、こういう契約を結ぶということは困るということで、当委員会で問題になりました。ところが富士自動車のあれを見ると、七月一日以降の新契約の条項を見ても非常な強い言葉が入つておる。例えば契約官が従業員の免職乃至雇用拒絶ができる、こういうことも含まれておるし、又スパイ行為、怠業、若しくは破壊活動が現に行われているか、又はその虞れある場合には速かに右に関して入手している一切の情報を完全な秘密報告書に認めて契約担当官に提出するというような条項も入つておりますしするので、こういうことについて外務省として軍当局にどういう交渉をなさつて今日まで来ておるのか、その経過を承わつておきたいと思います。
  133. 関守三郎

    説明員(関守三郎君) お答え申上げます。その点は正式な文書で申入れた上に、専ら基本契約の話をやるときに同様の問題について大分議論をやつたわけでございます。米軍のほうとしてもその点は非常に重視しておるわけでございます。まだはつきりした結論は出ておらないわけであります。今回の問題もございますし、重ねてこの問題の希望通りの解決を見るよう努力したいと存じまするが、米軍側の言うことにも一理あるのでございまして普通の工場ではなくて、やつぱり特殊の機密の仕事をやつてもらつて、雇用を殖やすためには何といつても万全な、何と言いますか、保安の措置を講じなきやならない、どこでも同じようなそれほどの強度の要求をする必要はないけれども、米軍の軍機の保護を特に必要とするよう仕事を与えて雇用を殖やすためには、やつぱり相当の強度の保安措置と申しますか、そういうものを必要とするのである、どうしてもそれができないということになれば、自分のほうとしてもそれだけ仕事をやつぱり減らさざるを得ないことになる。こういうことも向うのほうでは申すわけであります。そのいずれをとるかということにつきましては、私どもとしても相当これは又考えなきやならんと思いまして、この問題を解決しようとして余り性急にやることはちよつとどうかというふうに私自身は考えております。
  134. 上條愛一

    ○上條愛一君 その点はわからないではないのですけれども、この新契約を見ると、契約官が従業員の免職乃至雇用拒絶ができるということで一方的に従業員の解雇をするというようなことは、これは非常な問題だと思うのです。例えばスパイ行為とか秘密を守るとか、保安上のことで考慮しなければならんという点はわかるのですが、併しこれは会社の何らの意思をも、或いは従業員組合の何らの相談も考慮も払わずして、一方的にそういうふうに認定するからと言つて免職したり雇用を拒絶することができるということになるならば、これは非常な不安だと思う。殊に日本の国情なり日本の従業員の実情なりに比較的疎いと思われる軍が直接にそういう首切りの権限を持つておるということになれば、これは従業員としては安んじて労働に従事しておれない。これは監督の任に当る会社なり何なりが、やはり十分にそういう実情に通じた者の意見も加つてやるとか、或いは労働組合の意見も徴するとか、そういう何らの考慮をせずして、軍直接がそういう認定の下に解雇を自由にできるというようなことでは、これは従業員としては非常な不安だと思うのです。殊に十二月に争議を起したのも影響しておりましようけれども、何のスパイ的行為とか保安上の問題で考慮を要しないような、組合の幹部だからということでこれを首切つて来日る。つまり従業員から言わせれば、尤もな理由があつて尤もな事情があつて首切るというならば、これは承認しないということではないと思う。併しどう考えてみても、何らの理由に値しないようなことで以つてどんどん首切られて、それを黙つていなければならんというようなことでは、これは労働者として安んじて仕事に従事ができないと思う。この点については十分御配慮を願つて、十分にその点を強く軍側と交渉して頂きたいということをお願いしおくわけです。
  135. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この富士モーターの場合は、僕は非常にけしからんと思うのは、会社側も対象になつた人を一人々々チェックしてみて、会社側自体が理解し得ない。理解し得ないから、結局向うから軍令解雇が来たときには、会社側自体が、その責任を感じて、この男は絶対に大丈夫だという大鼓判を捺して、他の会社へ就職斡旋に懸命な努力を払つているというのですね、会社自体がそういう事態にあることを米軍がなお且つ強圧を加えるということは、これは私はやはり日米関係調整の上において非常にマイナスだと思うのですね。日本人同士がお互いに労使の間にあつて信用しておられるものをアメリカが信用しない。これじや日本の独立は一体どこにあるかということを私は考えるのです、そういう意味でもう十何名は善処しているわけです。更にかかつて来たのを、指令を出して而も就職斡旋を一生懸命やつているというのですがね。こんな悲惨なことはないと思うのです。だからどんなにしてでもこの問題だけは外務省、労働省努力によつて、米軍側の不明なところは飽くまでも質して明らかにしてもらいたい。こういう工合考える。若しこれをやらなければ、十六国会以来関次長にもお願いしてあつた特需契約の中の人事条項の改善とか、労務基本契約の根本的な効力の発生とか、そんなことは到底望めないと思うのですね。そういう我々は強い意思を持つておる。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  136. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは速記を始めて。  本日はこれにて閉会いたします。    午後四時五十七分散会