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説明員(有吉正君) 現在におきまして、金融によりまして各種の政策を行な
つておりますもの、つまり財政
資金を入れまして金融の円滑を図るという手段にはいろいろな手段がございます。例えて申しますならば、第一には、財政
資金を直接に国民大衆に貸付ける制度でございます。これは現在国民金融公庫なり或いは中小企業金融公庫、或いは住宅金融公庫、又農林
関係におきましては農林漁業金融公庫と、かかる制度があるわけでございます。そのうち住宅金融公庫を除きましてはすべて事業
資金に対する供給でございます。消費金融に対しては一切財政
資金は直接には出ておりません。我々といたしましても、消費金融というものを財政
資金によ
つて賄うことを等閑視しておるわけではございません。ただ問題になりますのは、財政規模の問題でございます。財政
資金が極めて窮屈な現状におきましては、できる限りそれが効率的な運用を図
つて参らなければならん、かように考えるわけでございます。今後の財政
資金の規模の点を睨み合せまして、或いはかかるそれぞれの
政府機関でございます公庫が、直接に消費金融までも行い得るような態勢になし得ることも考えられ得るかと思います。併しこれにつきましては、現在の財政規模の点からなかなか遠い将来のことではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。
次に直接に財政
資金を貸付けるわけではございませんが、例えて申しますならば、国庫余裕金の指定預金を金融
機関に入れまして、これが間接に貸付けるというような形のものがございます。これが指定預金という形でいわれているものでございます。この制度につきましては、従来根本的な考え方といたしましては、国庫に金の余裕のある限り、又而も金融
機関が時期的に
資金が足りないという場合の
資金のバランスをとるということが主たる狙いでございます。従来は
一般の市中銀行を
中心としてこれが預託を行な
つて来たわけでございます。その限りにおきましては何ら政策的な意味は持ちません。単に国庫の金の
資金繰りという点と金融
機関の
資金繰りという点を睨み合せただけのことでございます。然るに最近に至りまして、中小金融の逼迫のことから、これが中小企業に特に利用し得るように、中小金融専門の諸
機関、例えて申しますならば商工組合
中央金庫なり或いは相互銀行、或いは信用金庫に対して預託されるというような形にな
つて参つたわけでございます。又銀行におきましてもこれが預託はされております。併しこれも本来中小金融というものの疏通を図るために銀行に預託されておるという形にな
つておるわけでございます。この預託金につきましても、その額に一定の限度がございます。又その期間と申しましても非常に短期なものが本来の形でございます。かかる指定預金につきましても、現在市中銀行なり或いは相互銀行、信用金庫がみずからの
資金によ
つて融資しておりますものに比べますと、誠に微々たるものでございまして、例えて申しますならば、相互銀行なり信用金庫におきましても、全体の
資金量の僅か三%にも及ばないと存じておるわけでございます。従いまして現在かかる国庫の余裕金というものもますます減少を告げて参るというような状況になりましては、これが
資金の運用と申しますものも、できる限り効率的に行うのが筋でなかろうかと、かように考えたわけでございます。特に中小金融、現在最も困
つておる部面に対しまして、その
資金繰りを幾らかでも楽にするという意味におきまして、中小金融の専門
機関にこれが預託が行われておるということに相成るわけであります。先ほどからも御
質問にございます
通り、中小企業者の従業員でございますところの労働者のかたがたが、年末にかけまして非常に
資金が苦しいということに相成
つて来る問題につきましても、中小企業者にいささかなりとも金融の便がつきますならば、これが間接的に或いは労働者のかたがたに潤うという面が出て来るのではなかろういと我々としても考えておる次第でございます。
ただ問題はそれだけで十分であるかという御
質問になろうかと思います。私
どもといたしましてそれが十分であるとは必ずしも申せません。我々としまして、十分に慎重なる
態度を以ちましてこれが
検討を加えて参りたいということはかねてから念願しておる次第でございます。併し如何にせよ、指定預金にいたしましてもその額が極めて限られた額でございますので、これが運用というのはなかなかにむずかしい問題が潜んでおると御
承知願いたいと思います。勿論中小企業金融
機関のうち、すべてのものにこの余裕金が出し得るということにも現在のところまだな
つておりません。例えて申しますと信用組合、これに対しては現在のところ出ておりません。ただ信用組合は商工組合
中央金庫の系統的な金融
機関でございますので、商工組合
中央金庫に預託されましたものの極く一部が信用組合に対しまして貸付けされておる。それによりまして信用組合の
資金繰りを幾分でも楽にするというような配意は加えられております。併しその際においても、信用組合のいわゆる業種的な信用組合というもの、例えて申しますならば、織物業だけを専門にや
つておりますかたがたが集まられて作られた信用組合というものにはこの商工中金からの余裕金の通ずるところの貸付というものはまだ出ておりません。かかる観点から申しまして指定預金の運用というような点につきましても、これが効率的に中小企業者に直接に潤おわすようにというだけの配慮によ
つて現在なされておるということを御
承知願いたいと思います。
なお、先般風
水害の
関係によりまして
労働金庫に対しまして
資金運用部から
府県を通じて融資が行われたという
事例がございます。これは当時の情況から申しまして、労働者のかたがたも非常にお困りであつたということの事実を取上げまして、特に
府県が密接なる
関係があるということで、
府県から労働組合に直接に金を出したわけでございます。その尻と申しますか、その結末を或る
程度資金運用部が面倒を見たという形に相成
つておるわけでございます。
今後
労働金庫といたしましても、
府県との間になお密接な
関係がございます労働者のかたがたが、年末にかけまして、又或いは下時の場合におきまして非常にお困りになる部面もあろうかと存じます。その際におきまして先ず第一に私
ども考えますのは、やはり
府県というものとの繋がり、それによりまして国庫との繋がりといたしましては、やはり
資金運用部その他との
関係ということも、その
資金繰りを睨み合せながら慎重に
検討して参らなければならん、かように考えておるわけでございます。何分にも
資金運用部自身の金というものにもやはり制限がございます。勿論これが短期間に運転し得るものであることが前提になりますならば、若干考えるところもございましようと思いますが、すべてはこれらの
資金源の問題というものが併せて考慮せられなければならんということに相成ろうかと思います。いずれにいたしましても、国庫の財政
資金によりましてこれらの金融を円滑にするということには、金額の面から非常に限りがあるということを御了承願いたいと存ずる次第でございます。