○
政府委員(
福島愼太郎君) 最近
労働会員会よりのお
申入れのありました件につきまして、
政府と申しまするか、私
ども調達庁関係の
部分につきまして、今日までの
措置並びに結果につきまして御
報告申上げます。
その
申入れ事項、第一から始まりまして九
項目にな
つているわけでありますが、そのうち順を追いまするよりは、一応いわゆる
駐留軍労務者という問題に直接
関係のございます
項目、
調達庁が
雇用主として
米軍の使用に提供している
労務関係に直接
関係のございますのは第一、第四、第五、第六、第七、第八、第九となりますので、取りあえず一応二と三を
あと廻しにいたしまして、それ以外の
部分につきまして初めに
お答えを申上げたいと思います。
問題は今後の保障ということが第一になるわけでありまして、今回の
人員整理に伴う当面の
対策処置について逐次御
説明を申上げたいと思いまするが、最も大事な問題は、将来どうなるかということになりまして、これは年々行われて、
駐留軍労務の
関係は極めて不安定になるという
ようなことにな
つてはならないわけでありますが、御
承知の
通り大体
駐留軍労務と申しますのは、現在十八万五千の
人員によ
つて、これを
調達庁長官と
本人との
雇用関係というのを
法律上の土台にいたしまして、これが
アメリカ側に
労務として提供される、こういうことにな
つているわけでありまするが、新聞その他で御
承知の
通り、その十八万の線に対しましてかれこれ五千の
整理が発表せられたということであります。
アメリカの軍隊のほうは、これ又御
承知の
通りでありますが、陸海空の
三軍に分れて、
予算的その他にも完全に独立している。当地にあります
極東軍司令部というのは作戦に関する
統合司令部であ
つて、
予算的には
三軍はそれぞれ
ワシントンに繋
つているという
ような
関係もございまして、
三軍独自の
人員整理に対する
立場並びに方針があると、こういうことであります。今回の五千人の
整理はさておきまして、将来これによ
つてどういうことになるかということにつきましては、先ず海軍は今回も
整理がない、将来も
整理を
考えておらない。空軍は、今回は年末に際会いたしましてのいわゆる
人員整理という問題になりましてからの
整理はないのでありますが、夏頃千数百の
整理がありましたわけでありますが、この年末、当面問題に
なつたときには出来なか
つたわけでありますが、これは来年以降或いは若干の
整理が
考えられなければならないかも知れんが、新規の
雇用という
ようなことについても
計画が行われている。又若干の
整理があるにしても
自然減員の範囲内で
処置する見込であ
つて、いわゆる
整理という問題は起さないつもりである。こういうふうなことを言
つているわけであります。
陸軍のほうは、これが当面五千と申しますると、殆んど全部
陸軍で問題がここまで紛糾したわけでありますが、この五千の
人員整理が順調に行われた後においては、一月より六月末日に至るまでの期間にいおては
自然減員以外
人員の減少ということを
計画的に取上げることはない予定である。こういうことにな
つておりますので、将来は絶対に今回の
ような形の
人員整理を行な
つて欲しくないということを極力
先方に
交渉したのは勿論でありますが、実質的の問題といたしましても、大体来年度以降においては
相当あります
自然減員を以て処理し得ない
人員整理的のものは少くとも来年度は起
つて来ないであろうと、こういうふうに
考えているわけであります。それに関連いたしまして、今後若し
人員整理とい
つたような問題が起ることを予期しまして新
労務基本契約、まだ
効力を発生していないわけでありますが、このうちにございます
人事共同管理の原則による
事前協議、
人員の数、若しくは職種その他について随時
協議をして調整を行うという将来のための条項が
用意されておりますので、これが
基本契約全体が
効力を発生する時期は
付属書その他の
関係で遅れておりまするので、この
人員整理の
部分についてだけでも、その他にもあるのでありますが、特に
人員整理の点について
部分的にこの
効力を先ず以て発生させるという
措置をとりたいということで
交渉しておりまして、でき得る限り早急にこの点については実現をみる
ようにいたしたい、か
ように
考えております。
五番目の、
年末年始に際しての
人員整理という点は、これは絶対に取りやめさせることということは、これは強く要望いたしまして、十二月二十日頃から一月の半ば頃までの
整理というものはこれは全然なくな
つておるはずであります。まあ
年末年始と申しましても、十二月に入れば当然
年末年始という
関係もあるわけでありますけれ
ども、次に出て参りまする、六番目に出て参ります年末
手当という問題がありまして、止むを得ざれば年末
手当を与えろということも主張せざるを得ない
関係もございまして、年末
手当の時期であります十二月十五日というものを避けるわけにもいかん。従いまして止むを得ないならば十二月十五日の年末
手当時期まで待
つて、早いものは年末
手当時期まで待
つて年末
手当を支給した上で
整理する。それ以後はもうやめるという
ようなことが大体
交渉のあれになりますので、
年末年始と申しましても、十二月のいわゆる
押詰まりましてからの
整理はないということになるわけであります。この点御
了承を得たいと思います。
なお止むを得ざるものに対しまして年末
手当を支給するという問題がございますのですが、結局数の
関係をここで一応御
説明申上げておきたいと思いますが、今回いわゆる
人員整理という問題で
日本政府に
整理の
対象として
通告された数は、すべてを含めましてこれはかなり早いのも、この以前に八月頃の分が若干ありますけれ
ども、十一月以降に
効力を発生する、つまり九月分でございますね、
整理する場合には
本人に対して三十日の
予告を与えなければならない。
日本政府に対してはそれ以前十五日の
予告を与えなければならない。つまり四十五日の
予告を与えなければならんということになりますので、九月頃に指示しないと十一月の
整理はできないということになるわけでございますから、九月頃から勘定いたしまして、いわゆる
予算の削減による
整理の問題というのは、十月十六日に
ワシントンの
通告が
参つたという
ようなこともありまするので、本来はもう少し
あとから勘定に入れるべきかと思いますが、私
どもの
立場といたしましては、
あとでも先でも要するに
整理の
対象となる人のことを
考えれば別段そうい
つた時期的のことを言う必要はないのだ。
犠牲となる者はいつの時期においても
犠牲になるのだという
ような
考えもございますので、ずつと前から勘定いたしますると、私
どもの入手いたしました
数字では、
通告を受けました
数字は初め五千八百十七名、これに
海員関係の四百七十八名がございまして、かれこれ六千三百程度の
整理の数があ
つたわけであります。それでそのうち十一月、九月中の余り早いものにつきましては、これを十二月の十五日まで延期させた土で、年末
手当をや
つてという
ようなことがなかなか困難でございますので、取りあえず私
どもといたしましては、十一月十五日以降
整理になるという
人員に
対象を求めたわけでありまして、これが五千四百人、五千四百人の
整理の
通告を先ず
政府として受けたということであります。これに対しまして
配置転換或いは取消しその他によりまして、これは各所に分れておりますので、それから又各
部隊々々がそれぞれにやるという
関係がありますので、一括
交渉したわけではありませんので、
一つ一つの
キャンプごとに掛け合
つたりなどいたしまして、取りやめさせたのが三百二十四あるわけであります。それから四千五百ほどの止むを得ないと認められるもののうち、とにもかくにも十二月十五日以降に引延して、年末
手当を支給する
ように
処置いたしましたものが四千三百五十四ということに
差当りなつている。四千九百のうち三百二十四を取りやめさせ、四千三百を年末
手当のほうへ持
つて参つた、こういうことになるわけでありまして、
最後に十二月中に
解雇になります者でなお年末
手当の支給を受けられないという者が百七十四あるということにな
つております。これは非常に残念なことなのでありますが、この百七十四の大
部分が一カ所に固ま
つているということでありまして、百三、四十というものは、私
ども皮肉なことには最も
関係の密接な、いわゆる
労務基本契約の
先方の
契約担当官でありますところのJPAと申しますか、
米軍側調達局の
日本人雇用要員というのが年末
手当まで遂に延期することができない。一カ所だけにひつかかりましてこの百七十四名というのが未だに解消しておらないというわけであります。これはなお今後も
折衝中でございまして、年末に至りますまでの最終的な数として御
報告申上げるわけではないのでありますが、大体今日までのところ四千九百二十二名のうち、三百二十四名を取りやめさせ、四千三百五十四名を年末
手当の時期まで引延ばし、他の
残つた部分についてはなお
努力中である、か
ように御
了承願いたいと思うのであります。
従いましてこの第六
項目にございます、この場合には必要に応じて年末
手当を支給しなければならん、支給すべきである。
アメリカとの
関係においてその
措置が万一できなか
つた場合には、
財源を
日本側の
資金に求め得る
ような
措置を講ぜよという御要望があ
つたわけでありますけれ
ども、私
どもといたしましては、五千になんなんといたします数を
現状のところ百七十四くらいのところまで漕ぎ付けて参りましたし、なお今後これは
折衝し得るとも
考えておりますので、又かたがたこの
国家資金に求めるということは、これは現段階において非常に困難なことの
ようにも思われますので、若干のまだ時間的余裕もある
ように
考えますので、百七十幾つかになりました数を更に減らす
ように
努力するということに
目標をおいて努めておりまして、
国家資金に求めるために如何なる
処置をしたかということにつきましては、今日まだ的確な御
報告をする
用意がないわけでございますので御
了承を得たいと思います。
更にその次にございます第七番目の
特別退職金という問題があるわけでございます。この問題はかねてから
アメリカ側と
交渉しているわけでありますが、今日なお御
承知の新
労務基本契約の
付属書第三の中でこの
交渉をしているわけであります。
アメリカ側にも
相当の難色がございますので妥結に至
つておりませんが、未だに
交渉中というところでございます。
更に第八番目の優先再
雇用という
関係は、これはもう当然なことでございまして、
アメリカ側においてもこういう思想を持
つておりまするし、我々の
申入れを容認しておるところでありまして、今後これをどういうふうに、地域が非常にばらばらにな
つておりますので、有効に
措置するということが大事であろうかと
考えておるわけであります。
最後の、
失業対策連絡会議の件であります。最近に開く
ようにな
つておるわけでありますが、実を申しますると、全員の
解雇が十二月十五日から先へ送られているという
関係がありまして、その以前に早手廻しにやられましたために、何ともし
ようがないという数百の数がありますので、それの
処置に当面の
目標をおきまして、来る四日には
差当り組合、
労働省、
調達庁、軍と会合いたしまして、
協議を開始することにな
つておりまして、
全般の問題につきましては次回以後、第二回以後に取上げて参るということにな
つておるわけであります。
駐留軍労務の
関係全般につきましては
只今申上げた
通りでありますが、
アメリカ側の
人員整理の
考えというものが突然に出て
参つた。その根拠については、我々もその
理由が全然ないというわけには参らない。
アメリカ側の軍の
予算の
関係その他で
相当に至当な
理由は認めなければならないけれ
ども、併しながらこの
年末年始の時期を選んで不
用意な
人員整理を持ち出されたことは非常に残念であり、又不満であるということで、極力強硬な
交渉をいたしたつもりでありまするけれ
ども、僅かに
解雇されました諸君にと
つてはまあ大
部分年末
手当まで漕ぎ付けて
終つたということではありますけれ
ども、十分なる
措置と言えるかどうかということになりますと、私
個人といたしましては、誠に慙愧に堪えない面もあるわけでありまして、不十分であると、一人々々の
犠牲者に私
個人として対しまするときには誠に不十分であると思いますけれ
ども、現在の機構の下で
調達庁として
考えまするときに、
アメリカ軍との
関係において
考えまするときに、これ以上のことは当面の
処置としてはできないじやないか。我々としてはここにございます新
労務基本契約の締結、その
付属書の完成ということに全力を挙げまして、将来に
亘つてこの
駐留軍労務の
関係を安定させたい。特に必ずしも恒久的な性質でない
労務の
関係を、将来起り得べき事態に対処するための万全の
用意をしたいという方面に更に一段の
努力をしなければならんと
考えております。
それに関連いたしまして、先ほどちよつと申上げました、すでにでき上
つている話につきましては、これを
部分的に
効力を発生させて、一刻も早く
労務関係の安定を
保護したい、か
ように
考えておるわけであります。
なお、御指摘の
項目の中にあります二と三のいわゆる
特需契約、
特需工場という
関係でありますけれ
ども、これは必ずしも私
ども調達庁のみの
関係の
仕事ではないのでありますが、それから又この
請負契約の
解除とい
つた場合には、当面その問題となります点が
労務関係の
保護というほかに、
企業の
保護という面と両方あるわけでありますが、
調達庁でこの
全般について
責任を持
つてどう
処置するというわけには参
つておりませんけれ
ども、
調達庁の
関係といたしましては、いわゆる
特需契約というものを間接に
調達庁が間に入
つて援助しておるという
関係に、最近は
講和条約以後な
つておらないのでございますから、
民間業者と
アメリカ側との直接
契約という建前にな
つておりますので、これが
紛争を調停するというのが当面
調達庁に与えられた任務でありますので、この最近の
特需契約の打切りの問題を、
アメリカ側の
契約を
解除するとい
つた問題を、我々としてはこれを
紛争と
考えて、
紛争としての
調停処理という
ような
考え方で、間に入
つてアメリカ側に対しても
申入れをする、同時に又外務省その他と
連絡をいたしまして、場合によ
つてはこれを
日米合同委員会の問題として
考えてみるというふうなことで
交渉並びに
用意をしておるわけであります。
アメリカ側に一応
申入れしてありますので、これは当然のことでありますけれ
ども、この
請負契約の
解除とい
つた場合には、
政府に対してできるだけ速かに
事前の通知をして来る。これによ
つて企業その他に
用意の時間を与える。それによ
つて招来された
損害に対しては
契約の破棄に基く
損害の
負担を負う。それによ
つて損害をこうむるべき
労務者に対して会社の
負担というものに対しては
アメリカ軍が
責任を持つという
考え、筋道を
申入れてあるわけであります。これに対しましては
先方から将来の
特需契約に
計画性を持たせるという
ようなことについてはだんだん
話合いもできておるわけでありますが、当面の問題として、又これを
差当りの最近の
特需工場の
契約解除をした面をどうするとい
つた具体的な返事は出て参りませんので、我々といたしましては或いはこれは
日米合同委員会の問題として、
紛争として取上げることになるのではないかと
考えておりますが、他の官庁との
関係もございまして、今日
調達庁だけで
責任を持
つてどうするという
お答えはいたしかねる次第でございますので御
了承願いたいと思います。
大体以上の
通りにな
つております。なお御質問がございましたら更に
お答え申上げます。