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国務大臣(
小笠原三
九郎君) 只今堀木さんが言われた点は誠に御同感の点が少くないのでありますが、ただ今度の補正
予算編成に当
つて、この補正
予算をどうも即インフレ
予算のごとく見られる点に何か少し誤解があるのじやないかと思いますから、少しくこの機会に申述べさせて頂こうかと思うのであります。
御
承知のごとくに仲裁裁定というものは、さつき
総理のお
言葉の中にもございましたが、現在の法制の下ではこれは
予算化し資金化し得ざるときのみ仲裁裁定を
実行しないでいいのでありますが、若しこれを資金化し
予算化し得るときには仲裁裁定を
実行しなければならない法の拘束を受けているのであります。この法律がいいとか悪いとかいうことは議論いたしません。併し現在その法律があるのでありまして、而も私
どもが本年十一月二日、この前の補正
予算、先月でありましたか、第一次の補正
予算を出す前のときには、これは明らかに当時は
予算の総額がございませんから
予算化し得ないということが言えたのでありますが、今回〇・五等の問題等もあ
つてこれは
予算を変えなければならん。而もそのときに各企業体の内容に立到
つて見ると、更に人事
委員会等で
各省の
大臣がたびたび答弁している
通り、
予算化し資金化し得るということを一部言
つているのであります。そこで私
どものほうも
大蔵省として厳重に調べましたところが、本年度に関する限りにおいては
予算化し資金化し得るのであります。
従つて法の建前を遵守して、この法は私
ども従来
占領行政下の遺物だと思いますが、法の建前を遵守して、それで一月以降でき得るから、でき得る点につきましてこの裁定を
実行することにいたしたのであります。裁定を
実行いたして見ますると、このいわゆる公労法の適用を受ける者以外に、例えば印刷局でも或いは造幣局でも皆そうでございますが、こういうところの課長以上というものは、これは公労法の適用を受けないのでありますから、この公務員のほうが低く
なつてしまうという部分がたくさんできて来るので、やはり
国家のなにをお預りしておる以上は、公務員との釣合いということを考慮の中におかなければならんのでございます。公務員といわゆる公労法の適用を受ける者との関係を考慮におかなければならんので、そこで然らばこれをどうするかというときに……、又丁度人事院の勧告というものが、これはできるだけ尊重するのが人事院のできた趣旨から見て当然であります。併しこれも
予算化し得る程度においてのみ尊重するということは、これは又
政府に与えられた
予算編成の権限でございますので、そこで取調べました結果、なし得る最大限度が来年一月からであるというところからや
つたのでありますが、併し一万五千四百八十円のベースは人事院の言う
通りにやるけれ
ども、併しそれは三月を基準として一・三九%を上げるということが基礎に
なつてお
つたが、その後における昇給等の問題もあり、又その後の
各種の関係等もありまして、これを
予算化するに当
つてはこの議院でも長い間の問題であ
つた。例えば中だるみ
是正という問題があります。中だるみ
是正の問題は、それ自身をやるだけでも三十五億円ぐらいの
予算を必要とするのであります。この点をも
一つこのときに併せて
考えようという。これは当然
考えるべきでございまするから併せ
考える。又地域給をこれはできるだけ、いわゆる五段階を三段階なり四段階に縮めたいということは、これはへ事院の総裁も絶えず申しており、
政府もさような意図を持
つておりまするから、この機会に一段階減らそう、こういうことにいたしまして、地域給の五段階を四段階にるす等の
措置をと
つて、これも
言葉を換えて言えば
財政上
措置し得る点で公務員といわゆる公労法の適用を受ける者との釣合い関係等を考慮しつや
つたのが、このベース・アップなんでございまして、これは現在の法制から見れば、この法制がよいか悪いかは、先ほ
ども出た
通りでありますが、止むを得ざる
措置でありまして、これを以て
政府は健全
財政政策とか或いは通貨の価値のことについてかれこれこれを動かすというような
考え方を持
つたものでないことは、法に縛られておる建前で止むを得ざをものであるのでありまして、而もそれすら社会党の諸君からいうと、なぜこんなことをやるか、なぜ完全実施せんかというのでありますが、そういうような点をかれこれ苦慮してや
つた。これはこの際私は堀木さんに御了承を願いたいと思うのであります。私
どもは飽くまで健全
財政、健全通貨の点で以て行くことはこれは確固不動の方針であります。
従つて二十九年度
予算に当
つては、私は骨格を申上げるに当
つてその意味を
衆議院でも強く申上げておるのであります。
それで只今仰せに
なつたような点が、例えば米の問題であります。もう
一つ仰せに
なつた米の問題について申上げますと、私
どもは現在の米の価格は、御
承知のごとく本年の米の価格は、世界で最高の米の価格です。よく社会党の諸君は、一石七千何百円ときめるがけしからんと言いますが、そんな米の相場はきめてありません。今一石一万三百三十五円です。これははつきりと、今後とも御引用になるときには、
日本の米の
政府買上価格は一万三百三十五円だと、これは安い高いという議論はよろしいが、そういう七千何百円、七千何百円という基本米価のみをとるのは、これは間違
つておりますから、この機会に申上げておきますが、それで一万三百三十五円の一石の米を、消費者そのものにそのコストでや
つたらどうなるか、こう申しますると、これは実に十キロ八百九十円で行かなければならんことになるのであります。然らば十キロ六百八十円が八百九十円でよいか、こういう問題が出るのでありますが、而も本年のごとき異常なる米の、こういう凶作のときに、こういうことはめ
つたにあるものではございませんし、豊凶係数等の最大のものを盛ることもございますまい。
各種の点を考慮して米の、丁度米穀特別会計に黒字が三百四億円あるから、そのうちの大部分を先ず
一つこれに充当しよう、その分が今度の七百六十五円であります。あと十億ほど残ります。それにいたしまして、一応
一つ特別会計で処理しよう、あとの点は家庭米価等のことを参酌して平均〇・八六六%の点だけを皆さんに忍んで頂こうというので米価を定めた次第であります。余り弁解がましくなるといけませんからこれ以上は申述べませんが、これらをお
考え下さるならば、私
どもは少くともいわゆるインフレ的に持
つて行こうというような
考えはない、又健全
財政を貫く点において堀木さんと全然所感を同じくしていることはよくわかります。堀木さんもそういうお
考えはないだろうが、現在の法制というものをよくお
考え下されば、これは法律が変
つてしまえば、私
どもよくやりいい点が出るのでありますが、現在の法制下においては、これが最善の私
ども予算案であり、これがインフレに持
つて行かない最善の
予算案である、こういうことを固く信じております次第で、この機会に私の所信の一端を申述べさして頂いて答弁に変える次第であります。