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参考人(
島田日出夫君)
只今の需給の見通しでありますが、この輸出の問題にな
つております硫安について我々の
考えているところを申上げたいと思います。生産のほうは御承知のように数字が
はつきりしておりますが、需要の問題は今
肥料年度の来年の七月までの需要見通しということは、これはなかなか面倒な問題でございます。今年は御承知のように災害が非常に多か
つたのでありまして、窒
素質肥料を多くやり過ぎたのではないかどうかというようなことから、窒
素質肥料の消費が幾分減退しはしないかというような
考えも出ておるようであります。又一面においては昭和五、六年頃の恐慌の当時を見ますると、昭和五年というのは農産物が非常に安くな
つておる。災害とは
意味が違いますが、昭和五年の非常に価格の安く
なつた次の年には
肥料の消費が非常に殖えておるというようなことがありますと、消費が一遂に減退して行くというようなことも予想しがたいのではなかろうか、更に持越量をみますると、今
肥料年度は御承知のように窒
素質肥料の持越しは十万トンぐらいしかなか
つたと存じます。前年度は三十数万トン持越しの数量があ
つた。八月以降からの生産は頗る順調に進んでおりまするが、これからあとは渇水というような問題もございましようし、それから本年の例を見ますると、この労使の
関係がうまく行かなくて、ストライキが起
つて物が工場にあ
つても集荷することができないというような場合もあり得るのであります、そういうような全般的なところからみますると、生産は現在までは成るほど好調でありまするが、持越量が少いということを、従
つて今までの今
肥料年度に入りまして、今月までの在庫量というものが前年に比べると比較にならんほど少いというような点から
考えますると、先般参議院のほうで輸出に対しまして非常に慎重なお
考えから
政府に申入がありましたのが、我々の
考えております結論でございます、なお来年になりまして、輸出が四月とか、五月というところに殺到いたしますることも、物はあるにいたしましても、出荷の能力と申しまするか、そういう点で国内の出荷が阻まれていることが一面に
考えられまするから、春肥が済みかか
つた頃の輸出も、これもそこだけに集中するということになりますると問題が起りはしないか、かように
考えております。それから価格の点でありますが、価格につきましては、今までも国会の御援助によりまして
相当に硫安の価格は引下げて頂いたわけで、これは農民としても我々
団体としても誠に感謝に堪えないところであります。最近になりまして、御一承知のように十一月までの価格がきま
つておりまして、すでに十二月から以降の価格をきめなければならんというふうな時期に来ておりますので、折衝は開始いたしているのであります。価格の基礎となる点になりますと、これはなかなか面倒な問題でございまして、先般の国会でも硫安の生産費ということが論議の対象にな
つており、又
肥料対策
委員会におきましても生産費ということが非常に問題にな
つておりまするので、本件についてはいろいろ
考え方もございましようが、生産費なり、或いは需給の見通しなり、或いは農民の購買力なり、或いは災害の影響なりというふうなものを考慮に入れまして、我々のほうでは
只今今
肥料年度の価格は成るべく今年の春肥より秋肥、秋肥より来年の春肥は国際価格の水準に近付けるように、下げるようにしたいというよう
なつもりで
努力をいたしておりまして、新聞にございまするような、我々の現在申しておりますところは、春肥の
中心がほぼ八百三十五円くらいなところに落着かせるようにしたい、そうして今
肥料年度のうちに安定帯価格の最下限の八百二十五円というのを一度出すようにしろという話で折衝しておりますが、先方では理由といたしましては、これが過燐酸にも通ずる問題でございまするが、操業度は成るほど上
つたが、縄、「かます」が私肥並びに今
肥料年度の春肥より非常に高くな
つている。それから硫安、過燐酸を通じまして硫酸の消費というものが近年にない非常な消費でこれが高くな
つて来ている。労賃その他が高くな
つて来ているというようなことで、私肥の
中心ぐらいなところで八百五十円というふうなところを主張し、まだその間に話がまとま
つておらないのであります。それから次に過燐酸の問題でありまするが、これが非常に大きな問題でございまして、これも参議院のこの
委員会におきまして、いろいろ御議論なされておられますように、燐酸質
肥料全体といたしましての供給力は
相当あるのでありますが、単肥としての過燐酸の供給が年々非常に減
つて来ている。秋肥の折衝に際しましても、価格もさることでありまするが、単肥としての過燐酸の配給ということが、これが非常に大きな問題にな
つておりまして、この数量の確保ということが、これが我々のほうの
仕事としては大きな問題にな
つて来ております。そんな
関係でこれも国会なり或いは
政府の格段の御
努力によりまして、秋肥に際しましては、二度ほど増産の指示をメーカーに対してなさ
つて頂いたわけで、やつと過燐酸の単肥の配給というものができたのであります。この傾向が春肥にな
つてますます強くな
つて来ている。従いまして地方では、例えば九州あたりでは、これは過燐酸の単肥のストツク・ポイントを是非こしらえてもらいたいというような意向も出ております。そこで我々といたしましては、価格と同時に今度の春肥におきましては、過燐酸の単肥が
本当に全農家の希望するだけ
はつきり配給できるのかどうか、災害
関係といたしまして、先ほど窒
素質肥料はやや消費が減退の傾向にあるように見えておりますが、反対に燐酸質の
肥料或いはカリ質
肥料というものの消費はこれは却
つて殖えるのじやなかろうか、そういたしますと、秋肥以上に春肥におきましては過燐酸の単肥の配給というものをよほど今から
はつきりいたしておかないとならないのでございまして、それらの数量を全購連といたしましては、共同計算に上
つて来る数量を取りまとめつありまするが、十日頃までには
はつきりするのでありまするが、現在までにすでに
相当の数量が
はつきりしております。それを以てメーカーと折衝を試みたのでありまするが、御承知のように本
肥料年度でこの過燐酸の生産量がほぼ百四十一万トンぐらいの計画であ
つたと思います。そうしたしますと、単肥としてこれに廻る分というものは約百万トン近いもの、これが全農家の希望しております数量から見れば
相当に少い数量にな
つております。従いましてメーカーとの折衝で単肥として出る数量を
はつきり掴んで、これ以上もう出ないということであるならば、これはすぐ国会なり或いは
政府にお願いして対策を立てなければならん問題でございましたので、この数量の問題を累次折衝したわけであります。例えば全購連が十二月から六月までに配給すべき数量としてほぼ四十七万トンの数字にな
つておるのでありまするが、先方が初めて提示した数量は三十六万トンかでありまして、
相当にそこに開きがある。これが
本当にこの単肥として出ないものならば、燐鉱石の輸入をお願いするとか、それで日にちが間に合わなければ製品の輸入までしなければならんのでございまするので、数量と同時に価格の折衝をや
つて来ておる。最近
肥料問題が国会で大きく取上げられまするので、こういうような過燐酸としての単肥の供給が、メーカーとしてやらない場合には問題はいろいろの点に波及するのであろうし、或いは製品の輸入というようなこともありはしないかというような懸念から数量を逐次……、それに
政府の御助力もありまして、単肥としての供給量は逐次殖えて参りまして、数日前の折衝ではほぼ必要量というものが供給できる見通しが付き、不日各会社別、工場別、月別の過燐酸の配給数量が
はつきりすると思うのであります。で、価格につきましては、これは災害の年でもあり、又いろいろの観点からいたしまして、我々のほうとしては据置きで進みたいつもりで先方と折衝をしてお
つたのでありまするが、先方では硫安と同じような要素といたしまして繩、「かます」が上
つておる、或いは硫酸が上
つておる、或いは燐鉱石の外貨貸付制度がなく
なつた
ために金利が若干上
つている、或いは燐鉱石を増産させる
ために早目に輸入しなければならんとすれば、フレートが上るとか、或いは労賃が
一般的に上昇するとかいうようなことで、先方は一「かます」について十九円の値上を
要求し来ております。内訳といたしまして、十五円が繩、「かます」による値上げ、四円は燐鉱石の値上げ、それで十九円、而も運賃その他が上
つた場合にはスライド・スケール的に運賃の上昇だけ上げてくれというふうな問題を出すので、なかなか話がまとまりませんでしたが、我々のほうとしては、これはどうしても農村の購買力その他から見て上げるやつには首肯しかねておりましたが、ほぼこの
中心では五円の値上げ、なかんずくこの繩、「かます」の値上げというものは、これは我々のほうとしては繩、「かます」の値段というものは、一面においては成るべく下らずに売りたいというような
要求もございまするので、ほぼ五円の値上のところで話を付けて来ておるのであります。大体以上のようなことでございます。