○
参考人(
中島英信君)
中小工業協議会の
中島でございます。
公庫のほうもお見えにな
つておりませんから、先に年末
金融の問題を
意見を申述べたいと思います。まあ
中小企業は絶えず
金融に詰
つておるわけでございますけれども、今年の年末の
資金需要に際して、更にこれが窮屈にな
つて来ておるという
状況が
一般にあるのであります。而も最近の
状況としてこの
インフレーシヨン対策の
一つとして、
金融の引締めが行われて来ております。でこの
金融の引締めがやはり
各種の
金融機関を通じて
中小企業の
金融か非常に困難の度を増しておる。又先に九州その他における
各種の災害に対して
資金が動員され、その結果が又別な形においてここに現われて来ておるとい
つたような面から、
中小企業の年末における
金融問題をやはり困難にしておる
一つの
理由にな
つております。
それでこれに対する
中小企業者の
要望といいますのはいろいろございますが、特にこの
政府の
施策関係のものを先に申上げまするというと、第一は
政府の
金融機関である
国民金融公庫及び
中小企業金融公庫の
資金貸出の問題がございます。尤もこのうち
中小金融公庫のほうは、建前として
長期資金を
貸出す
金融機関でありますから、或る
意味で短期間であるこの年末
金融については、直接
関係がやや薄くなります。併しこれに対してもでき得る限りの方法において、年末に
長期資金が
貸出されるならば、これはやはり間接的に
中小企業の年末
金融の困難を緩和するに役立つだろうと思うのであります。勿論これについては今日まで
公庫としても
政府としてもいろいろな
方針を考えられておられるのでありますから、それについては大体そうい
つた方向をできるだけ敏速に且つ効果的に
実施をして頂きたい。かように思
つておるわけであります。つまり来年の一月—三月、つまり本
年度の第四四半期に
貸出されるべき
資金を
年内に繰上げて
貸出す、或いは
開発銀行への支払うべき
金額を引延ばし、この
両方によ
つて約二十九億円ぐらいの金が
年内に出されるような措置をとられるのでありますか、これは我々としては非常に謝意を表するわけであります。重点としては、その
意味において我々としては
国民金融公庫の
資金の充実という点に
相当の
重要性があると考えておるのであります。これについてはいろいろな
対策がすでに考えられておるようであります。
ただこれま
金額の点について、この
方面については若干不充分ではないかというふうに考えておるわけであります。御承知のように
水害等に対する
資金として、すでに十六億を
支出済みにな
つておるわけでありますが、これがために年末
金融の
資金に
公庫としては困難を
感じておる。ところがこのほかに
遺家族関係の
資金としてやはり十億ぐらいが出ておるわけであります。
従つて両方合せますというと、二十六億になるのでありますが、これに対して
ただ十六億だけが追加されるというのであ
つては甚だ不十分であ
つて、それによ
つてこの
公庫の年末
資金の
貸出というのは十分な
要望に応ずることができないことになると考えられるのであります。
従つてただ十六億だけでなしに、今の
両方を合した場合には、すでに二十六億になるわけでありますが、これらに十分に見合うだけの、或いはこれを超えるだけの
資金を
国民金融公庫に何らかの形で投ぜられる必要があると考えられるわけであります。現在の
状況におきまして
国民金融公庫の
中小企業に果している
役割というものは
相当大きいものでありますからして、これはかなり重要なポイントになると存じます。
それから第二に
指定預金の問題でありますが、これについてもすでに
対策がいろいろ出おりますし、ほかのかたからも御
意見が出ると思いますから簡単に申上げますが、これはやはり、
中小専門金融機関の中には
指定預金を必ずしも十分に
中小企業に廻してないところもあるようでありますが、併し中にはこれ十分に活用している
機関もあるようであります。
従つてそうい
つたところにおいては、
指定預金を
引揚げられることは直ちに直接的にこの
中小金融へ影響するわけであります。その
意味で現在
政府としてとられようとしている
対策、つまり新たに五十五億の
指定預金をする。結局
引揚げるものと差引いて十数億の増加になるということでありますが、これもやはりその
方向に向
つて実施をして頂きたいと考えております。
その他の問題といたしまして第三番目にはこれは必ずしも年末
金融だけの問題でありませんけれども、特に
年内にできるだけ早急に
実施することによ
つて年末
金融を
促進するために役立つような
対策が若干あるわけであります。これらを
促進して頂きたいと考えるわけであります。その
一つは
小口信用保険制度の
実施であります。これについては現在
いろいろ案が出ておるようでありますけれども、
金額は千万円
程度を
一つの限度に考えられておるようですが、これは十万円ではやや少きに過ぎるのではないかと思いますので、二十万以下くらいのものを一応この
小口の範囲に包含したらどうかと考えるのであります。それから
小口信用保険の
対象となるものが現在考えられておるのはこの
保証保険だけのようでありますけれども、本来やはり
保険制度としては
保証保険よりも
融資保険のほうが本来根本的に
重要性を持
つておるわけでありますから、この
小口信用保険の
対象としては単に
保証保険だけでなしに、
融資保険に当然向けられなければならんと考えられるわけであります。そしてこれらの
小口信用保険を従来の
信用保険に比べて、もつと料率を下げ、事務的な手続を簡素化するということ、そしてこの
実施をできるだけ
年内にこれを、この行われるような
方向に向
つて促進をして頂きたいと考えるわけであります。恐らく
関係官庁の中でも
中小企業庁等はそれに対して十分熱意を持
つておると考えられますが、やはりこれは
大蔵省その他にも
関係することであると思います。で、本
委員会とされても
大蔵省方面の例えば
銀行局なり、或いは
主計局等の
関係方面にもこれに対する御
意見を聞いて頂いてできるだけこれが
年内に間に合うようにや
つて頂けるならば、
中小企業に対する年末
金融には非常に役立つのではないかと思うわけであります。
それから第四番目に
保証手形に関する問題がございます。この
保証協会によ
つて保証される
保証手形を通じてやる
中小金融を進めて行くということが今日の
状況においてはこれも非常に必要な
対策であると思います。
ただこれも内容が問題でありまして、実際の
扱い方において最近の発表を見ますというと、
日銀ではこれを
担保を
適格手形に認めるということにされておるようでありますが、併し
ただ単に
担保適格手形に認められ
ただけであ
つてはこれは普通の
並手形の
取扱と同様になるのではないかと思うのであります。
従つて実際においてこれを
高率適用から除外するのでなければ実際には
中小金融のほうにそれほどプラスにならないということが考えられるのであります。つまりそうい
つたものを各
取扱銀行として
日銀へ持
つて行く場合に、後廻しにするということであれば、それは
最後に
しわがそこへ寄
つて来る。而もこれが
高率適用の
対象になるとなりますというと、その点は非常に懸念されるのでありまして、折角この
制度を
実施されるならば、併せて
高率適用からこれを除外するという線をはつきりと一方やはり出して行く必要があるのではないかというように考えるのであります。
以上が
政府関係に対する
施策に対する
要望であります。その他勿論
一般金融機関に対するものもございます。最近の
金融引締め
政策の行われておる結果として実際上は従来の
貸出の枠が非常に狭められておる。従来は楽に借りることができてお
つた優良な
中小企業も、この年末に際して借入が非常に困難に
なつた。こういう実情があるわけであります。
従つてこういう面に対する
対策はこれは
一般金融機関に対する問題でありますけれども、普通の場合においても
金融は大
企業にはゆるく、
中小企業に厳しい
状況でありますが、これが引締め
政策が行われるに
従つて特に
中小企業の面にその
しわが寄せられている
状況でありますからして、この面について
相当の考慮が必要であると考えるわけであります。勿論我々としても
インフレーシヨンの
対策として或る
程度その
金融の引締めが行われることは避けがたい点があるということは考えておりますが、これは公正に行わなければならないと考えるわけであります。この公正にというのは従来はどちらかと言えば若干不公正なのでありますからして、その不公正を是正という
意味において努めて公正という
取扱をしなければならない。特に
中小企業だけを締めるということがないような
取扱が必要であると考えるわけであります。これに対して各
金融機関としてはこの場合の
金融機関というのは
一般銀行でありますが、
普通銀行としては
中小企業に対する
貸出の枠をきめてそうして
促進、
中小企業への
貸出をしようという
方針をきめられたのであります。
ただこれが単なる名目に終らないように
実施されることを希望するわけであります。殊に
一般の
金融機関の
状況を見ますというと、大
銀行の場合には
特別店などができておりますが、その他の
店舗と比べてはこの
特別店においては
預金に対する
貸出の率というものは半分くらいである。大体オーバー・ローンの
状況で大
企業に対して
貸出をしているにかかわらす、この
中小金融特別店においては
貸出が
預金の半分ぐらいという
状況であることに鑑みて、この
方面についてもつと強力に我々としては
中小金融を進められることを切望しておるわけであります。
最後にこれら全体を通じまして考えますことは、年末
金融の問題というものは毎年々々年末にな
つて来ると起るわけであります。こういう点を考えますというと、これについては根本的なやはり
対策を一貫して持つ必要がある。そうしてそれぞれの年末においてはそのときにおける特殊の経済情勢なり、
金融情勢に応じてそれに修正を加え、追加して行くというような形をとりなければ、毎年々々同じようなことを繰返すことになるのではないかと思います。この点、今後
検討を要する問題ではないかと考えておるわけであります。時間の
関係がございますので年末
金融の問題をその
程度にいたしまして、この
中小企業金融公庫に関する
意見を述べるようにという
お話でありますから、これに対する我々の見解を簡単に申上げたいと存じます。
この
中小企業金融公庫の
設立は、
中小金融のためにはやはり
一つの大きな価値を持
つているものであ
つて、やはりこれは
一つの前進であると考えておるわけであります。
ただ現在行われておりますような
方針なり、
実施の
状況につきましてはかなりいろいろ
問題点があるというふうに見ております。基本的な問題としては、第一に
中小企業金融公庫が
中小金融の上に持
つている地位であるとか、
役割であるとか、又この
公庫の基本的な
政策というものについてもう少しこれを明確にして行く必要があると思うわけです。つまり商工中金のような
中小金融の
専門金融機関があ
つて、これが
中小企業に対する
組織化の
政策と対応して
一つの
役割を果しているこれとの
関係がどうなるか、或いは同じく
国家的な
中小金融専門機関として
国民金融公庫がある、これとの
関係がどうなるかということ、それからその他にも
各種の
中小専門金融機関がありますが、そういうものとの
関係がどうなるか。今日我々が見ておりますというと、
中小企業の面において
資金の量の点については今日なお非常に不足している。
ただ併し
機構の面から見た場合には現在はいろんなものができて来ている。その
意味では
かなり出揃
つて来ている
感じがあるわけであります。併しそれはかなり複雑になりかか
つて来ているということであります。複雑になりかか
つて来ている半面にこれを或る
程度もつと整備し、体系化して行く必要が出て来ている
状況にあると見ていいと思うのであります。こういう面から見た場合に新らしい
政府の
中小金融機関であるところの
公庫というものはおのずから
一つの
役割がここに考えられて来ると思うのでありますが、そういう点が余り明確でないということが言い得ると思うのであります。それが実際に業務を運営する場合にもいろんな面に現われて来るように思われるのであります。そういう点から考えまして、
一般の
中小企業に対する産業経済的な
政策と、この
金融政策との
関係をどういうふうに持
つて行くか、又
金融政策自体の
内部において、この
中小金融の特質から考えて、
公庫の持つ任務がどこにあるかという点についてもう一歩突込んだ
検討が必要であると思うわけであります。つまり普通の商業的な
金融を行う場合に比べて、
公庫としてはもつと
長期且つ低利の
金融に徹する必要がある。且つ
信用力の薄弱な
中小企業に対して現在問題にな
つておりますのはこの
担保の問題で、非常に多くの問題が出て来ておりますが、こうい
つた問題についてもこれに対してはつきりとした、もつと積極的な
対策が必要ではないかというふうに考えておるのであります。それでこの問題につきましてはあとで又具体的な問題について多少申上げたいと思いますが、要するに
ただ普通の
銀行で行われるような
商業ベースによる
金融と若干補足するというだけであ
つては不十分ではないかということであります。併しそうかとい
つて、又余り戦後初めの時期に見られたような、極端な重点主義的な
金融になれば、これ又当然弊害を生じて来るのでありまして、現在の
中小企業の
金融の
状況において
一つの基本的な
政策がだんだん確立して行く必要があるというふうに考えるのであります。
第二の点は
資金の量の問題であります。これはやはり
資金の量が少な過ぎると思います。現在表に現われております
資金の
申込は非常に出ていないように見えますけれども、各
窓口で非常にたくさん
申込が停滞している。いろいろな
理由で以てこれが具体化していないようであります。それは各
代理店の
割当が非常に小さい。
従つてこれに対して
申込が殺到して来るためにこの選別に困るとか、いろいろな
理由があるようであります。殊に
最初の時期においては
長期運転資金に対する
貸出の
方針が決定していなか
つたということもあると思いますが、こういう事情で実際には非常に多くの
申込があるわけでありますが、これに対して現在
公庫で持
つておる
資金量というものは非常に少な過ぎるということがあるわけであります。又これは別な
観点から見ました場合にも、現在我が国の
財政投資の中で、
中小企業に向けられておるものは五%前後に過ぎないというような
状況であります。大体
昭和二十七
年度におきましても全
財政投資は五千五百億円くらいにな
つておるのでありますが、
中小企業に対して向けられておるものは僅か二百八十九億くらいで、四・六%くらいに過ぎないという
状況であ
つて、こうい
つた面から見ても
中小企業の
重要性に鑑みて、この
財政投資における
内部において
中小企業向の
資金というものはもつともつと増大されて然るべきであると考えるわけであります。
第三番目には
代理貸の問題であります。今日
公庫は
代理貸の
制度をと
つております。これは
設定後短い期間にできるだけ多くの
中小企業に金を流すためには勿論必要な、適切な処置であると考えます。併しこれはこの
店舗の
設定とい
つたような問題については
相当慎重を要するように考えられるわけであります。この
窓口が非常に多くな
つて来ますというと、一
窓口当りの
割当量というものは非常に減
つて参ります。そうしますというとこの
一つの
窓口では、従来そこで取引をしておる
企業の中の最も優秀なものの
一つか二つとか、或いは極く少数しか金を貸せないことにな
つて来る。こういうような
企業は元来優良な
企業でありますから放
つて置いても金の流れるところである。そういうところへだけしか金が流れないことにな
つて来る。こういうことになりますと、現在の
中小企業の
金融の問題を緩和する本来の狙いからい
つて、逆にな
つて来る危険があると思われるのであります。殊に今度十一大
銀行及び六
信託銀行が又
代理店の
指定の中に入るようにな
つて参りました。これはこの面においてはそういう必要もあ
つたかも知れませんけれども、例えば十一大
銀行のこの
一つの
銀行をと
つて見れば支店の数だけでも二千以上超している。ですから
指定された総体の数は、表では
金融機関の数にして三百幾つでありますけれども、
店舗の実際の
窓口になるものは一万、或いはそれを超えると思うのであります。百億くらいの金を一万の
窓口で分ければ僅かに百万円くらいしかない。僅か
一つの
店舗について百万円くらいの
割当をしておいて、最高一千万円の金を貸すということは、これ
自体私は非常に大きな矛盾であると思うのであります。こういう点から見ても、この
取扱の点については、
代理店の問題について
相当に
検討を要するかと思います。それからこれはもう
一つ別な
観点から見ました場合には、十一大
銀行等の
中小金融に対しての
貸出の量は、全体の
中小企業の中で非常に大きな比率を占めております。併しこれは従来からそうであ
つたわけでありまして、従来からそうであ
つたにもかかわらず、
中小専門金融機関の
拡充強化ということがとられて来たのは、それでは不十分であるからとられて来たのであります。
従つて専門金融機関を必要とする
理由という点に戻
つて考えた場合には、そういうところの
観点から見た場合には、当然にやはり
方向としては
専門金融機関の
拡充強化という
方向に向うべきであると思うのであります。殊に先ほど申上げましたように、現在
日本の
中小金融の
機構というものは、非常に複雑にな
つて来ておる。
協同組合金融の面においても、
事業協同組合の
系統と、信用組合の
系統と、信用金庫の
系統というものはそれぞれ分立しているような傾向である。こういう場合に、これらの
金融の体系を或る
程度整備し、統合して行くような必要にも迫られているときにおいて、この
公庫の持
つている
役割というものは、おのずからそういう
方面に
一つの大きな問題を提起しているわけであります。こういう点をすべて総合して考えた場合には、
公庫のこの
資金を扱う
代理店というものは、
原則としてやはり
専門の
金融機関的方向に向うべきであると思うわけであります。この点について前の
設立の当時それを除外してあ
つたものが、又今度はその除外を解かれたようでありますが、これはいささか朝令暮改、朝三暮四の嫌いがあるのではないかと思うわけであります。つまりこういう面についていささか無
原則に過ぎるという
感じを我々は持つのであります。
従つて最初の決定がなされたその動機について、私たちはよくは存じませんけれども、実際的な面から、及び理論的な面から見ても、その
最初の
方針のほうが、むしろ正しか
つたのではないかというふうに我々としては考えるわけであります。
代理貸の問題と関連しまして、そのときに直接貸の問題がございます。これはこの
代理貸は非常に勿論結構でありますけれども、
代理貸だけに任しておきますというと、本来
国家として
中小企業金融政策を行
なつた場合に、その
政策が果して末端に浸透するかどうかという点に
一つのまあ疑問が生じて来るわけであります。いろいろな
理由から見て、又そのほかに
代理貸だけをやるくらいであれば、必ずしも
公庫という形をとらなくてもこれはできるわけであります。つまり
特別会計だけを
設定しておいて、そうして一定の
審議機関を通じて、直接個々の
窓口に流すだけでも十分である。
一つの
金融機関として
公庫を
設定した以上は、この
代理貸から生じて来るところのいろいろな難点なり、欠陥を補足する
意味において、やはり直接貸を将来はやはりや
つて行くべきであると考えられます。
その他細かい問題でありますけれども、
代理貸の場合においても、支所その他を設ける必要があるというふうに考えておるわけであります。
それから若干業務の実際的な面について申上げますというと、現在
中小企業者で
公庫の金を借りようとする者が一番悩んでいる問題は、
担保の問題でありまするが、大体
中小企業者というものは、
担保を十分に持
つていないわけである。それにもかかわらず
代理金融機関でこれを扱う場合には、
担保の問題を、まあ非常にやかましく言われる。これは借りておる
中小企業の大きな悩みとな
つております。
従つてこれについては、
担保と保証人のいずれかにおいて十分である場合においては、その
一つをと
つてもいいというふうにすること、更に信用保証
制度、
信用保険制度を十分に活用して行
つて、この
信用力の不足を補う必要があると考えるわけであります。つまり信用
保証協会のような
制度は、本来から言いますというと、
担保のない者に代
つて保証して然るべきであると思いますが、それが実情を見ますというと、
担保を絶えず請求している。こういう点から見て、この問題については
担保能力の足らない
中小企業の
信用力を補強する
制度を十分に活用して、この難点を解決して頂きたいと考えるわけであります。
その他貸付の方式その他についても、多少ございますが、もう
一つはこの事務をできるだけ簡素化して頂きたいということがその次の問題であります。なお期間及び利子等については、これもできるだけ長い期間や、低利という
方向を我々としては希望しております。時間がございませんので、その
理由なり、実情については略しますけれども、今日五百万円の金を借りて、これを五カ年間で借りて、毎年百万円ずつ返す場合に、少くとも毎年五百万円の利益を挙げなければ、百万円の金は返せないわけであります。つまり或る
程度の社内留保をし、税金を払
つて行くということになります。税金に少くとも半分取られる。残りで以て現金を返して行くわけでありますからして、百万円の金を五年間で借りた場合に、毎年百万円の金を返すためには、少くとも年に五百万円の利益を挙げていなければ返せないというわけである。それで
企業利益の殆んど全部は現金返済であり、つまり手取りの
企業利益の殆んど全部を返済に充てなければならないとい
つたような非常な窮屈な
状況にな
つておるわけであります。こういう点から見て、やはり期間というものは
相当長期であることを当然要するわけでありまして、将来はやはり五年というものは十年くらいに延ばされて然るべきであると思います。同時に
国家的見地から見た場合に、その五百万円の利益のうちの半分は、税金として……、これは地方も含みますけれども、税金として戻
つて参りますわけでありますからして、非常に利子は少くても、そのものは投資の結果として
相当なものが財政を潤すわけであります。こういう点も併せて
検討して頂く必要があると考えるわけであります。
時間の
関係で大体これで私の
意見は一応終りたいと思いますが、もう
一つだけ
最後に附加えておきたいと存じますのは、この
公庫の運営を
中小企業の実情に即し、効果的にや
つて行くためには、やはり
中小企業者の
意見を十分に取入れて運営することが望ましいわけであります。そのためには運営審議会のようなものをやはり確立する必要があると考えます。勿論現在
中小企業庁の主催で行われています
金融懇談会というのは、或る
意味ではこういう機能を一面に持
つていると思いますけれども、これは更にもう一歩両者の面を
検討して、効果の挙る、そして公正な運営ができるようなためには、何らかの
意味においてそういう形の構想を実現する必要があると考えるわけであります。
もう
一つは、この普通
金融機関に業者が借りに行く場合には、断わられた場合には、殆んど断わられつ放しでありますが、
国家資金を通じて
中小金融をやります場合には、それは当然公正且つ公明なものでなければならんと考えます。そういう点から行きまして、単に
金融機関が、殊に
窓口にな
つておる、
金融機関が独断的な、一方的な措置だけに終るということであ
つては、
中小企業の立場としては非常に不利であります。そういう
意味から言
つて、仮に
申込を断わられた場合において、十分な
理由があると考える業者は、再審査を請求する、そしてその再審査の請求を受付けることができるような
機関を設置するということが、
国家的な
金融機関としては当然必要であると考えるわけであります。そうすることによ
つて、一方においてそういう弊害を除去することができます。これは全く不可能な問題ではないと存じますので、今後の運営をできるだけ適正にして行く
意味においては、そういう
機関の設置ということが当然に問題となると考えておるわけであります。ちよつと与えられた時間を少し超過いたしました。これだけであります。