○
参考人(
国井秀作君)
事業税の非常に不公平であり、且つ悪税であるという点につきましては、すでにこれはもう皆さんにお認め願
つておる点であると思うのでありますが、特に先般
全国の
人々が、この
事業税の軽減或いは撤廃を叫びまして、現在この問題は、単に
東京地方の問題だけでなく、全く
全国的な問題として大きく浮び上
つて来ておるのでございます。そうして、その一番中心にな
つておりますことが何であるかと申しますると、私
どもは
法律家ではありませんけれ
ども、
地方税法のいわゆる第七百四十一条に書いてありまする
条文が、
法人個人を問わず、いわゆる
事業の
所得を
課税標準として、その
事業所或いは
事務所の所在地の都道府県においてこれを
法人又は
個人に課するという、この一本の
法律に
法人と
個人とをまとめてあるのであります。でありまするから、私
どもは、
国民の
負担の公平或いは又税の
負担の公平の見地からいたしましても、この
事業税というもののあり方は、それが
法人であ
つても或いは
個人であ
つても、大体同じような
負担でなければならん。又これが
個人である場合においては、
法人に許されておるところのすべての
計算上の諸条件を満たした上での
事業所得でなければならん。こういうように私
どもは考えておるのであります。更に同法の七百四十四条の九項には、ちやん
個人事業税の
課税方法がはつきりと規定されております。それは申上げるまでもなく、総
収入金額から必要なる
経費及び十二月分として五万円を
控除した
金額に
課税するということにな
つておるのでございます。ところが
東京都の場合は、この五万円を
控除はして頂いております。併しながらこの必要なる
経費というものを何も引かない。総
収入金額から単に五万円を
控除した
金額に一二%をかけておるというのが現在の
実情でございます。これは
ひとり東京都だけでなく
地方の府県においても、大体先般の大会を通じて
地方の事情を聞きますると、大体同じでございます。私はこうしたことが行われておるその
関係をいろいろと伺いましたのでありまするが、結局この
事業税というものの税率を軽減するようなことを
地方公共団体がやりますると、いわゆる
平衡交付金に大きな影響があ
つて、お前の
地方にはまだこれだけ取れる金があるではないかというようなことによ
つて、非常にそこに
問題点があるために、
地方公共団体はこの最高である一二%に帰一しているというようなことを考えるわけでございます。かような次第でありまして、私
どもがこの
事業税に対しまして、飽くまでも
法人と
個人が非常な
アンバランスにな
つておる現状は、ただこれは
法律であるから、
法律できめられておるのであるからということを以て、ただ
遵法行政としてこれをそのままに
税金を
納税者に押付けるというようなことは、非常に私は、政治の上からいうて、又
国民の感情、
国民の思想の上に及ぼす大きな問題であると実は、心配をいたしておるのであります。先般、大会を通じて、翌日、
地方上京者の二百数十人が
議員会館におきまして
各党代議士のかたと
懇談会を開きましたときは、
地方の
実情をつぶさに述べられた
代表の
方々の
お話の中には、全く聞くに堪えない、
代議士のかたでさえも涙を出しておられてハンケチで眼をふくという悲惨なる
実情を私
どもは聞かされたのであります。私
どもは、この
事業税のかけ方が、かような観点におきまして、いわゆる
個人と非常な差のあるというこの問題を、どうしても公平な
課税になるように
現行法の上において何らかの手が打てる、又打
つて頂かなければならんと考えるのであります。それはどういうことをして頂いたらその目的が達せられるかと申しますれば、法文に書いてある
通り、総
収入金額からいわゆる
所得を得るに必要なる
経費及び十二月分の五万円を
控除するという、この法文を
現実に実行して頂きたいということであります。今
東京都をはじめ各
地方庁が、
先ほど申上げました
通り、総
収入金額から五万円を
控除いたしまするけれ
ども、それに直ちに
税金を課しておる
実情から申しまして、この七百四十四条の九項の必要な
経費という
条文は現在においては全く空文にな
つておるということでございます。そういう
条文があるにもかかわらず、それを実行していないとすれば、この
条文は
現実に空文化されておるということにな
つておるのでございまして、
是非とも参議院における
地方行政委員の諸
先生方の強い御判断によりまして、この空文化せられておるところの必要なる
経費というものの抑え方、そして又これをすぐ実行することが
法人と
個人の
アンバランスを調整する大きな鍵であるという点を把握して頂きまして、
是非ともこういう点を
地方庁に対して、
自治庁長官から、その
課税の
適正化を期するために十分なる
調査とこれらの点について注意を喚起するような通牒を出して頂くように御
決定願いたいと思うのであります。
それから第二点といたしましては、
先ほど細田局長さんからの
お話もございましたが、
東京都におけるところの
零細企業者、これは
地方においても同様でございまするが、例えば
国税が
免除にな
つておるということは、非常に家族が多いとか、或いは又
事業で、或いは天災で大きな欠損をしておるというようなことによ
つて、
国税の場合には各種の
控除が行われまして、それが非
課税にな
つておるものでございます。かようないわゆる
業者というものの実態は、申上げるまでもなく、国家がその人はもう
税金の取れない人と、いろいろの考慮をして上げ、そして
税金のかからんようにしてくれておる人でありまするから、これからはもう
税金のとれない存在であると私は思うのであります。ところがこれら
国税の
免税にな
つておる
業者に対しまして、
東京都も
地方の
公共団体も仮借なく
事業税だけはかかるのであります。又
国税を納めている場合でありましても、
扶養家族が非常に多いような
業態の場合には、
事業税が
国税よりも遙かに高いという
実例も枚挙に遑がないようなわけであります。かような次第でありまするので、私は、
国税が
免除にな
つておる
業態が本当に漸く
生活をしておる
業態であるのでありまするから、これらの人に更に苛酷な、而も
先ほどから申上げておる
所得の、総
所得額に対しまして
課税するような
事業税というものを課するということは、全く私は
苛斂誅求もこれ以上のものはないと私は思うのでございます。なおこの
実例といたしましては、恐らく
東京都におきましても、この
国税の
免除にな
つておる
方々が総
納税者の少くとも二割ぐらいに相当しておるのでないかと思うのであります。又これらの
人々が実際においてこの
事業税が完全に納ま
つておるかといえば納ま
つていないのであります。
先ほど細田局長さんは決して
強行徴収などはいたさないようにしておると、一部悪質の者に対してはそれは強く出ているけれ
ども、他は決してそういうことをしてないというけれ
ども、その悪質なるという
解釈をする上においても、私はいろいろの見方があると思うのであります。即ち漸く生きているところの
零細企業者が
事業税が納められないという
実情は、私は悪質でないと思う。これは先般の
地方代表が議員さんに訴えた
懇談会の席上でも、私
どもはとにかく
国税を
免除されて漸く親子でささやかなる
事業を経営しておるのである。いわゆる食うだけやつとの現在の我々の
生活状態だ。これに
事業税がかか
つて来るというのは食べた者に
税金がかかるので吐き出すか、そうでなければ
自分が生きるために吸
つているところの空気にかか
つている
空気税だとさえ叫んでおるのであります。私はそういうものをも、
東京都では、この悪質なものの中に入れられる危険が非常に多いと思うのでございます。言い換えますれば、
事業税のこの
苛斂誅求のその響くところが、決して大
企業や
法人や又
個人でも比較的大きな
事業者には少しも苦痛がなくいたしまして、すべて
事業税に悩む者が今申上げたような
国税の
免税点以下の者、及び
国税は若干納めるといたしましても、
扶養家族の非常に多いような、つまり
生活困窮者に強くかか
つておるというこの
実情を十分把握して頂きたいと思うのであります。なお
自治庁の御
解釈では、或いは又
東京都の
主税局の御
解釈の中にもございまするが、
法人と
個人は
性質が違うのだということをよくいわれるのでございます。私は、
法人と
個人は、これは
性質の違うというようなことにおいて非常な差があ
つていいという議論には承服できないのであります。それは、
法人の
課税方法と
個人の
課税方法の違いがありましても、結果においてはやや似た結果が出なければならんと思うのでありまするが、これは私
どもからすでに諸先生にお送りしてある資料によ
つて御覧頂ければはつきりいたしますのでありますが、三十万円
程度、
先ほど局長さんから言われました三十万円
程度まで入れますると、
東京都で言うならば約十万人に相当する
人々に該当いたしまするが、この三十万円
程度の、三十万円の
事業所得を挙げる人を基準といたしまして、いわゆる
法人の場合の源泉、或いは又
特別区民税の平均割、或いは
所得割等をいろいろ勘案いたしまして
計算をいたしました場合において、
事業税は、
法人に対して
個人は四倍もの
税金を納めろという
実情でございます。私は、
法人と
個人は
課税対象が違う、
性質が違うというような
言葉において、その結果がかような零細な
企業者に四倍以上の
税金がかか
つておるということは、その結果を無視するというようなことがあ
つては、これは全く
先ほども申上げた
通り、
国民の、いわゆる民生の安定も、
国民の思想の悪化して行くことも、すべてこうしたことに無関心でおられる私は政治の貧困であると思うのでございます。どうぞ諸
先生方の強い御支援によりまして、この点・
是非とも
自治庁長官から
地方庁に対して御手配頂きますように御高配をお願いいたしたいのでございます。即ちそうすることによ
つて、又
地方交付金のいろいろ絡み合いがあるような結果となるのでございまして、私
どもは
東京都に対して噛みつくように実は喧嘩をしております。
東京都の
細田局長さんは大変私
どもを優しくおつしや
つて頂きましたが、私たちの気持は、
細田局長と組み付いて、いわゆるどつ
ちか結論をつけたいほど腹が立
つておるのであります。併しこれは一面、私は
自治庁の
方々に会うて
お話を伺うときには、現在でさえも
中央集権だとい
つて地方の
公共団体が我々に理窟を言うて来ておるのであるけれ
ども、これはそうではなく、あくまでも
地方の
独立性であ
つて、
地方の
実情を、我々がどうせい、こうせいと言うて行かれないのだと言いながら、
平衡交付金に絡みつけておるということは、決して
地方の
独立性を認めておることではなくいたしまして、いろんな網によ
つて中央集権的に
地方の
行政を私は縛
つておるいうことが言えるのではないかと思うのであります。でありまするから、
自治庁からの御命令でこうした
零細企業者に対する取計らいに対して御注意を出して頂くならば、決して私は
地方公共団体はこれに対して、
中央集権のそしりをして来るなどということは断じてないと信ずるのでございます。
以上、大体におきまして、この
事業が如何に不公平であり、そして小さい
業者を如何に苦しめている
税金であり、且つ又漸く生きておるような、
国税が
免税にな
つておるような生きるための
業者に強くかか
つておるという
実情を申上げた次第でございまして、
是非ともこの点についてお計らいを願いたいと思うのであります。
なお
東京都の
実例に対しまして申上げる点がありますが、もう一点、私は
東京都の
立場にもからむ問題でありますのでお聞きをお願いいたしたいことは、
事業税の
個人と
法人は違うということは
先ほども申上げた
通りでありまするが、それでは
個人に
差別待遇がないかどうか。
法人と
個人は違うということは一応わかりまするが、それならば
個人は一本でなければならんと思うのであります。ところが
個人の
事業税に大きな違いがあるのであります。それはどういうことでありますかというと、御承知の
通り国税には
青色申告制度がございます「
地方税にはないわけであります。
青色申告業者というのは、現在、
所得税におきましては
経費として
専従者控除、いわゆる
自家労賃控除というものを六万円認められておるわけであります。
従つて国税の
決定に当りましては、この六万円は当然
経費として落ちたものが総
所得金額として計上されておるのであります。
東京都は、
事業税を課する場合において、この
国税を
丸写しにすることによ
つて、いわゆる
青色申告者の総
所得額と
一般白色申告の総
所得額の中には、今申上げたような差があるにかかわらず、これを機械的に写して来て、そしてこの機械的に写したもの最中から五万円引くだけに一二%をかけているという
実情、それは決して公平だと私は言えないと思うのであります。若し
地方税に
青色申告制度があるならば別として、ないならば、
青色申告業者には六万円を加えて、仮に写して来たものがいいというならば六万円を加えて、更に五万円を引いて
課税をしたのであるならば、これは公平だと言えるのであります。これは如何に
細田局長が私
どもは
法律を
守つて正しくや
つておられると
言つてお
つても、今申上げたような
青色申告業者に対する
計算上の操作というものは何にもや
つていない、
丸写しに
課税しておるという事実は、これは如何に答弁せられても、これはどうすることもできない事実だと私は思うのであります。かような次第でありまして、
事業税は、
法人個人の違いのほかに、
個人の場合にをいてもこうした違いが実在しておるのであります。かようにいろいろと論じて参りますると、全く
事業税の
東京都で行な
つておること及び
地方の
公共団体が行な
つておる
事業税課税の
方法というのは、ただ
理窟攻めだけにするのでありまして、我々
業者の
立場などはちつとも考えてくれない。過去における私は悪代官よりも以上の悪い
やり方だと思
つておるのでございます。又その
実例といたしましては、先般、二十八年度の
事業税の問題に対しまして、
国税丸写しは非常に私
どもはその
税金を認めるわけに行かん、或る意味においては
国税丸写しはこれは
税法上の違反であるとさえ私
どもは判断するのでございまして、これらの点を中心といたしまして、そして
自分の
所得はこの
程度であるということを主張する意味におきまして、
異議の
申立書を出しましたわけでございます。この数は三万余通に及んでおるのであります。ところが、これを一片の
調査も、或いは又補正もいたしませんで、約十日ばかり経ちまして一括これを
棄却処分にして来られておるのでございます。私
どもは、せめてそれに対して相談でもしてくれるとか、或いは君の
計算の根拠を示せとか、一片の親切がございましたとするならば、これらの問題についても幾らでも話合う点があると思うのでありまするが、冷酷無慈悲な
東京都の
主税局の御当局は、これを全く一括棄却しておるような実状でございます。で、その後、私
どもはいろいろと手を尽し、或いは
言葉を低くいたしていろいろと
お話を申上げておるのでございまするが、更に反省する点がなくして、十二月を控えまして、
業者が、いわゆる
零細企業者が年末の
金融金繰りに苦しんでおるところを
強行徴収に及んでおるような次第でございまして、洩れ承わるところによりますると、
主税局の
首脳部から、各
都税事務所に対しては、強く
強行徴収の
指令が出ておるとさえ噂が飛んでおるのであります。私
ども全国事業税対策協議会の者といたしましては、この零細な気の毒ないわゆる
中小商工業者の
商権を守るためには、訴訟の一手しかもう残されていないのであります。私
ども減額申請の手続も今さしております。併し
強行徴収が年末を控えて更に強くなついて来ることを予想いたしますれば、
中小商工業者の
商権を守り、
自分の
生活を守るために最後に打つべき手は、
行政訴訟以外にないのであります。今日の私はこの
参考人としてお訴えをいたした明日からの運動は、
東京都を相手にしたいわゆる
行政訴訟によ
つて、この哀れな、気の毒な
中小商工業者の
商権を守るための運動に専心せんければならんような実は
実情にな
つておるのでございます。どうか賢明なる
地方行政委員の諸
先生方に、本当に
業者になつた
立場にお立ち頂きまして、この
委員会の決議によ
つて、
自治庁から
地方公共団体に対しまして、この
事業税の、殊に
個人事業税の零細なる者に対する手の打ち方に対する力強い御
指令を出して頂くよう御
決定をお願いいたしたいと思うのであります。まだ
東京都の
やり方に対しての大きないわゆる不公平な
やり方、それからの点は幾つもございまするが、私だけが喋
つていけないと思いまするので、以上総論的なことと、一部
東京都の
やり方に対して非常な不満のあることと、
東京都自体が不公平な取扱いをしておるという点をお訴え申上げ、そして最後に
商権を守るのが
行政訴訟以外にないというところまで追込まれておる、この
暮迫つた現状をお訴えいたしまして、もう一刻も速かにこの
委員会の御
決定によ
つて、
自治庁から
地方知事に対しまして強い御
指令の出るようにお取計いをお願いいたしたいと存ずる次第でございます。