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秋山俊一郎君
只今お話を伺いましたので、大体御苦心のことであるということはわかりますが、今日
李承晩ラインというものは
政府も絶対に認めないし、勿論国民も認めない。
従つてこり線を認めるわけには行かないから、線内において出漁をするということには変りがない。従いましてこの線内で出漁すると幾多の危険が伴う。これは国の自由の権利を擁護する上のやり方なんだと思うのです。
政府がその
措置をと
つておるのではなくして、国民をして自由の
原則を守らせて、それによ
つて生じたところの損害が何か力が弱くて十分の外交
措置もとれないから、国のために犠牲にな
つているのだ。
従つてその犠牲に対しての補償は国が当然しなければならん問題じやないか。若し
漁民が、
漁業者が国の禁じておることを破
つて起
つた損害ならば、これは止むを得ないけれ
ども、国のやることを率先してや
つて、そうしてその犠牲とな
つているということに対しては、国がこれを見なければならない。そういう大きな根柢の上に立
つて考えますと、起
つて来た損害に対しては、いろいろな面で国がこれを見るのが当然である。
只今保険の問題が起りましたが、我々が過般来
現地の
調査をしましたりした際にも、この
保険というものは支那東海及び黄海、朝鮮近海でや
つております
漁船に対しましては、先ず損害
保険がある。それから拿捕
抑留に対する特殊
保険、それから
船員の
給与保険がある。この三つの
保険を同じ
船主がかけております。而も
船員のいわゆる
船員保険というものは強制的にある。これらの
漁船に乗
つている
船員に対しては勿論
船員も一部負担しますが、
船主も多くを負担してかけております。そうするとこの
一つの船に関して四つの
保険料を払
つているわけです。今日の
漁業経済はとても立
つて行かんのです。そこで
保険をかけずに行けば、まるまるなくな
つてしまう。かけると
漁業経済が立たんという非常な窮地に追いこめられておるわけです。そこで先ほど
お話がありましたように、いわゆる損害
保険と特殊
保険は一本にしてもらえないか。そうしてこれは勿論ダブ
つてかけておりますから、一本にしたからと
言つて損害
保険の
保険金だけでや
つてくれとまでは言わんと思います。或る
程度これが高くなることは止むを得ないが、併し二重になることはたまらない。これは
政府としては
考えなければならんのじやないか。それからこの問題が解決するまでは何年かかるかわかりませんが、案外早く解決するかもわかりませんが、やはり九割再
保険というものを十割再
保険をする、いわゆる補償をするというところまで持
つて行かないというと、もう自然に
李承晩ラインというものはいやでいやでたまらないけれ
ども、自然に既成事実になりはしないかということを憂えるものです。そういう点に立
つて我々も今後
政府に対して、
政府と
水産庁のみならず
関係当局に対して強く要望するつもりでおりますけれ
ども、
水産庁としてそういう面に向
つて一つ大きく働いて頂きたい。これは私は決して
漁民の言うことが無理じやないと思う。日本の国権を、国民の権利を維持するために当然の要求であると実は
考えるので、これも永久という必要もないと思いますが、この点は
一つそういう見地に立
つてや
つてもらいたい。
ただ、ここに問題となることは、朝鮮の問題は今日日韓会談というものが近く再開されるであろうと言われておりますし、どんな形にいたしましても、何とかまとまりそうな見当があるが、中国との問題に至
つては全くお手上げの形だと思う。この国のお互いの色合いが違
つているとい
つた恰好から、
政府と
政府が折衝することも非常に困難であるし、又アメリカを仲介に立てるということも困難であるし、この点非常に今困難であ
つて、朝鮮の問題より一層解決がむずかしいように思われるのでありますけれ
ども、これも永久にこういう
状態であるべきものではないと思います。それでここ暫くの間こういう日本が非常な苦境に立
つている間
政府はこれに対していろいろな政策を立てて行かなければ、国民の
保険の上にも非常な影響が起る。あそこの支那東海、黄海で働いている船が経営が成り立たんということになりますというと、それを全部どつかに収容するということはできないのでありますから、何とかしてあれをやらせなければならん。或る
程度の危険をカバーしてもやらせなければならん。そうして国民の蛋白給源を求めなければならないという
実情にありますから、やはり今私が申しましたような国家がこれに大きな補償をするという見地から十分
一つ考えてもらいたい。これは私の要望であります。
それから朝鮮に
抑留されておりました
漁夫が四百数十人というものが帰
つて来たのでありますが、この問題さつきどなたか御質問に
なつたかと思います。若し御質問にな
つておれば、質問に対してお答え要りませんが、帰えるまでには
保険との
関係等もあ
つて一カ月に七千円というベースによ
つて六カ月分の
見舞金を出すということに大体な
つてお
つたように聞いておりましたが、それが二月そこそこで帰
つて来た。そうするとそれに対してどれだけの
見舞金をやるかということが、私
ども旅行中であ
つてはつきり聞いておりません。併し過日業者の集
つた席では、それは帰
つて来たのであるから、一カ月七千円の割合で支給することになるだろう。
見舞金を出すことになるであろうというような話を聞いて非常に驚いておるようなふうですが、勿論帰
つて来たところで、すぐに翌日から職があるわけではない。船は取られておるし、非常に栄養失調のような恰好にもな
つておる。そこで何とかせめて六カ月分だけ初めきめられたような額だけでも頂戴できんものだろうかというような要望が非常にあるようでありますが、その点はどういうふうにな
つておりますかどなたか御質問がありましたか。