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1953-12-03 第18回国会 参議院 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月三日(木曜日)    午前十時二十八分開会   ————————————— 昭和二十八年十一月三十日厚生委員長 において本委員を左の通り指名した。            中山 壽彦君            高野 一夫君            廣瀬 久忠君            林   了君            山下 義信君            藤原 道子君            有馬 英二君 同日厚生委員長において左の者を正副 委員長に指名した。    委員長     中山 壽彦君    副委員長    山下 義信君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 壽彦君    副委員長    山下 義信君    委員            高野 一夫君            林   了君            藤原 道子君            有馬 英二君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省公衆衛生    局栄養課長   大磯 敏雄君    厚生省公衆衛生   局食品衛生課長  尾崎 嘉篤君    農林省食料研究   所食品栄養部長  桜井 芳人君    食糧庁食品課長 東辻 正夫君   参考人    人造米協会会長 小浜 八弥君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○人造米に関する件   —————————————
  2. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) これより開会いたします。本日は人造米に関する事項について参考人として人造米協会会長小浜八弥君に御出席をお願いいたしております。参考人には御繁忙のところ特に御出席を願いまして誠にありがとうございました。厚くお礼申上げます。  参考人のほかに農林省食糧庁食品課長食糧研究所桜井部長及び厚生省食品衛生課長、その他関係官出席を願つておりまするが、先ず参考人のほうから人造米に対する御意見を拝聴いたしたいと存じます。拝聴いたしたい事項の要点はあらかじめお願いしておきましたのでどうぞ。
  3. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 本日参考人としてお呼びになりましたので罷り出ました人造米協会会長をいたしております小浜でございます。中山委員長から御書面で十項目に亘りましてこういうふうなことについて意見を申述べるようにという書面を頂いておりまするので、その項目従つて、私の承知いたしておりまする範囲で御説明申上げたいと思います。  第一は人造米製造法ということが第一項目になつております。人造米製造工程は大体初めに原料を混ぜ合せまして、それを粘体機にかけて粘体を作ります。それを米の形に打ち出して、それを更に分離して、米の形のものを選り分けて、それを蒸気処理によりまして表面を固化する、表面を固くする。そうしてそれを乾燥機にかけて人造米を造る、大体こういうふうな工程をとるかと思います。で、原料といたしましては、現在製造されておりまするものについては、原料混合割合は必ずしも一致はいたしておりませんが、原料といたしましては澱粉とそれから小麦粉砕米、これが原料になつております。これの混合割合製造業者によりまして必ずしも一致いたしておりませんが、大体は澱粉が二〇%乃至四〇%、小麦粉が七〇%乃至五〇%、砕米が一〇%というふうな混合割合になつております。従つてその組合せによりまして澱粉を二〇%にいたしまする場合に小麦粉が七〇%になります。澱粉を三〇鬼にいたしました場合に小麦粉が六十%になるというふうな変化があるのでございまして、大体の割合は今申しましたようなことで、巾を持ちながらいろいろの混合割合製造されているという状態であると思つております。で、この原料を混ぜ合せまして栄養を強化するというふうな場合には、その際にその工程においてビタミン、カルシユームなどを添加するというやり方であると思います。で、原料混合いたしましたものを粘体機にかけて粘体を造るのでございますが、この場合混ざり方が均一に混つておらなければいけませんので、適当な厚さを持つた粘体にそれをいたしまして、それに圧力を加えて粘体機にかけて米の形を打ち出すわけでございます。そうして打ち出しました米の形になつたものを蒸気処理を施しまして表面を固化する、そうしてそれを乾燥機にかけて乾燥をして人造米ができ上るという製造工程を迫るのが現在の状態でございます。  それから次に御質問を受けておりますのは、人造米規格栄養価値ということでございますが、人造米規格につきましては、去る十一月二十四日に農林省告示第八百八号、それによつて人造米日本農林規格というものが告示されております。この規格に基いて人造米製造されるということに相成るわけでありまして、その告示を御覧頂けばわかると思いますが、その告示には定義といたしまして、この規程において人造米とは、澱粉及び穀類粉又は穀類粉原料として米粒状に成形し、米の形に成形し、精米とほぼ同様に使用できる性状を備えたものをいう、こういう定義にいたしております。そうしてその規格といたしましては、水分一四%以下、一升の重量三百六十匁以上、それから固さが六キログラム未満の粒が粒数で一五%以下であること、それから砕粒及接着粒合計量が五%以下、それから熱量は百キログラムについて三百三十五カロリー以上、繊維が〇・五%以下、灰分が〇・八%以下、カルシウム強化行なつたものを除く、性状は形態、色態等精米に近く異味、異臭のないもの、それから混り物については混り物のないものというふうなことが日本農林規格として告示されております。これの規格に合つたものを人造米としてお勧めする。それでそれに基いて人造米協会というものができまして、人造米協会検査をいたしまして、この規格に合つておるものについては検査証票を付けて、この検査証票のあるものについては安心して召上つて頂きたい、ということの区別を付けて行きたいというふうに相成つております。  それから人造米天然米との性状比較、特に栄養価値というものにつきましては、物理的な性状といたしましては、一升の重量農林規格には三百六十匁以上となつております。一般精米は三百八十二匁乃至三百八十三匁、現在製造されておりまする人造米にはいろいろなものがありますが、我々の調べましたものでは三百八十一から三百八十二くらいのところが一升の重量になつております。農林規格で三百六十匁以上とありますが、これは人造米ブラウエル穀粒計測定をいたしまするので、その測定をいたしまする際に、精米に比べて人造米は多少とげがございますので、一升に入ります量が精米よりも少し少い。従つて三百六十匁以上と規定いたしますことによつて、一升の実際の重量精米に大体違いない重量で抑え得るのじやないかというところで、そういうような規格になつております。それで固さにつきましては一般精米が四・五乃至六・五キログラムになつておりまするが、農林規格に、おいては六キロ以上の固さを持つものというふうに規定されております。化学的の性状、特に栄養価値、これは一般精米人造米と化学的に比較いたしまして、どういうふうな成分になるか、これは人造米がどういう割合混合されておるか、原料の如何によりまして、又その使われる原料のよし悪しということによつてつて参りますから、一概には申されませんが、私たちの持つておりまするのはたしかこれは食糧研究所でお調べ頂いたものと思います。それに使いました人造米澱粉四、小麦粉五、砕け米一という混合割合混合いたしました人造米を分析いたしたものと思います。それの比較によりますると、水分につきましては一般精米が一四・四グラム、人造米が一三・四、蛋白質一般精米が六・四、人造米が六・六となつております。それから炭水化物が、一般精米が七七・五、人造米が七七・九、脂肪両方とも〇・八、繊維両方とも〇・三、灰分両方とも〇・六、カロリーは、一般精米が三四三、人造米が三四五というふうな成分に相成つております。で、蛋白質脂肪等につきましては、今申しましたように、一般精米と殆んど変りはございませんが、小麦粉配合割合を若干多くいたしますることによつて、更に蛋白質及び脂肪は増加するものと考えております。それからビタミンカルシウム等の添加によりまして栄養を強化するということは当然考えられるわけでございまするが、人造米製造技術が完全に各工場に滲透いたしましたのちにおきましては、これらの栄養素が添加せられる、工程中においてそういうものが添加されるであろうと考えております。なおビタミン天然米に滲透させる、若しくはこれに塗布するという方式による、いわゆる強化米製造よりも、人造米製造過程においてそういうふうな栄養剤を添加する方法がむしろ容易でありはしないかというふうに考えられております。  次に現在市販されておる人造米の種類と、その優劣ということがお尋ね項目にございまするが現在稼働いたしておりまする工場では、その製品にそれぞれ登録商標を付して販売いたしておりまするが、その中には粗悪品も見受られるようでございまするが、食糧庁食糧研究所で数種類の市販品を試験されました結果がございます。これは同じ日に調べたのではないのでございまして、試験の日にちがいろいろ九月の二十七日、十月の一日、十一月の十二日、十一月の十九日というふうに違つております。それの調べましたものによりますると、例えばABCDと、こういたしますると、Aにつきましては一升の重量が三百六十八匁、Bについては三百七十二匁、Cについては三百六十八匁、Dについては三百九十匁というふうに相成つております。固さの点につきましてもAは九・五キログラム、Bは十・五キログラム、Cが九・四キログラム、Dが十一キログラムというふうに違つております。いろいろのものが市販されておるというのが現在でございます。  その次には、国外における人造米利用状況ということがお尋ねの一項目にございます。日本以外における人造米利用状況につきましては、実は外国では、日本のような、特に米を食糧にするということについて、非常な重点が置かれておらない関係から、外国にはいわゆる人造米はないのじやないかというふうに考えられます。併し形の似たもの、又その栄養強化の観点から、いわゆる強化米として外国にも行われておるものがあると考えられます。タピオカ・パール、これはタピオカ澱粉に水を加え、加熱して球状にしたものでありますが、これはスープに入れて使用するもので、インドネシア、香港、シンガポール方面製造されておると承知しております。日本にも輸入されたことがあるということを聞いております。それからセル型のマカロニ、それは形がいろいろになつておりまするが、貝殻状のもの、三日月状のもの、或いは星の形をしたもの等がございますが、そのうちの貝殻状のものは米粒と殆んど同じくらいの大きさであつて、これをセル型マカロニと申しておるようでございます。スープに浮かして食べますそうでありまして、主としてイタリー、アメリカ等で使用されておる、こういうことを我々承知いたしております。それから強化米といたしましてコンパーテツド・ライス、パーボイルド・ライスと申しておりますが、これは籾を温水につけて乾燥をし糠の中にありますビタミンを米に移行せしむるという方法がとられておるものがあるのでございます。又プロミツクス・ライス、これは白米表面ビタミン及びカルシウム鉄等の無機物を塗布いたしまして、その上に被膜をかぶせて栄養を強化したものがございます。又ビタ・ライスと申しますのは、白米の中にビタミンを滲透せしめたものでございまして、京都大学近藤教授によつて研究されたものがございます。こういうふうなものが現在強化米として製造されておると承知いたしております。  次に現在考えられておる製造規模並びに将来への構想ということがお尋ねの一項目にございます。本年三月に最近の技術による中間工場試験に成功いたしたのでございまして、五月頃から二、三の工場において大量的に生産をするというふうなことが行われて参つたのでございます。で、今いろいろの規模人造米が造られております。ほうぼうで造つておりますが、現在造つておりますものがどれくらいかということがはつきりいたしません。で、これだけの規模でやつておるのだということを申しても、それがかけ声であつて、実際に稼働していないものもあるようでございまして、私たちの調べましたところによりますと、これはまだこのほかにもあると思いますが、十一月二十日現在におきまして、日産十トン以上の能力を有する工場が七つ、十トン以下の能力を有する工場が十五、これは生産設備が完了をいたしておると考えておりますが、この工場が一日八時間稼働いたしまして、一カ月二十五日操業をするということで計算をいたしますと、一カ月に二千九百七十五トン生産するということに相成るわけでございます。で、現在いろいろ計画されておる工場が完了するというところの見通しを付けまして、十二月末にはどういうふうな稼働状況になるだろうかということを計算して見ますると、日産十トン以上の能力を有する工場が十七、十トン以下の能力を有する工場が三十。で、先ほど申しましたような一日八時間稼働で一カ月二十五日操業ということで計算いたしますると、十二月末日においては一カ月間に八千四百二十五トン生産されるというふうなことになると見当をつけております。で、今ほうぼうで工場が整備を急いでおりますので、来年の三月末におきましては月産二万五千トンという数字に達することは容易なことでありはしないかというふうに考えております。政府におきましては、差当り生産目標年間三十万トン、月産二万五千トン、こう押えて一応この程度に早く達しさせたいという計画を持つておられますが、この年間三十万トンの計画というのが、米穀消費部分に対する配給米年間数量約三百万トンに対しまして、人造米を二割混ぜて食べるということになりますと消費量が六十万トンに相成るわけでございまするが、差当りその半分と見て年間三十万トンの生産に早く達せしめたいという目標を政府で立てておられます。従つて将来人造米が品質優秀なるものが、而も適正な価格で大量に生産されて、普及されるということになりますれば、現在の外米輸入量が相当にセーブできるのではないだろうかというふうに考えております。  それから現在の規模において、それではどれくらいのコストがかかるかということでございます。これは工場規模によりまして違いまするし、又使いまする材料の混合割合等によつても遅つて参りまするから、一概には申せませんが、澱粉四%、小麦粉五%、砕米一%、こういう混合割合で行くものと仮定いたしまして、そうして澱粉価格キロ当り五十三円三十三銭、小麦粉キロ当り五十円、それから砕米は五十八円五十銭、こうするものといたしまして計算をいたしますると、人造米一キロに要する原料の値段が五十二円十八銭と相成ります。それを原料に対する製品の歩留りを九五%と見て計算いたしますると、人造米キロ当り原料費が五十四円九十三銭と相成る次第でございます。これに工場における加工賃、これがまちまちであると思いまするが、これを十七円ぐらいと見るのが妥当ではないか。そういたしますると、工場の原価が七十一円九十三銭と相成りまするので、それに現在配給米が配給される過程において、販売業者のマージンを八%、それと同じように八%と見ますると、小売の価格が七十七円六十八銭、かように相成る次第でございます。これは日産十トンの能力を有する工場として計算をいたしました次第でございまして、これが日産三十トンの工場になりますると加工費が減つて参ります。それを日産三十トンの工場生産いたしまする場合には、加工費が十七円のものが十五円くらいまで低下できるのであろうというふうに考えております。更にもつと大きな大量生産の方向に参りますと、この加工賃はもつと下りますので、一キロ当り十二、三円ぐらいのところまで下り得るということになるのではなかろうかというふうに考えております。  人造米普及の方針並びに供給具体的方法というお尋ねでございまするが、人造米に対する消費者の正しい認識を深め、更に製品検査いたしますことによつて合格のマークを付して、これならば安心して召上つて頂きたいということで、その区別をはつきりつけ、そうして人造米の声価を一方高めますると同時に、人造米はこういうものだから安心して召上つてもらいたいということの宣伝をいたす必要があると思いまするが、その宣伝方法としては、或いは映画を使いますることもありまするし、ラジオ、新聞、雑誌、その他の宣伝機関を通じてその趣旨を徹底せしめ、更に各種の会合を利用いたしまして、人造米趣旨を説明し、或いは展示会を開き、或いは講習会を催して人造米製造技術を更に向上せしむる。又人造米販売業者を通じて消費者に呼びかけをするということも考えなければならんかと思つております。人造米消費者への供給の途といたしましては、現在主要食糧販売業者系統機関といたしまして、全国食糧事業協同組合連合会がございます。又全国米穀商組合連合会がございます。又人造米販売については、これら系統機関を利用するのが適当と思いまするが、その他現在小麦粉販売業者なども人造米の取扱いをいたしておりますが、これらの業者の協力を待つて消費者に対する人造米の円滑なる供給を図つて参りたい、かように考えております。  人造米特許協会性格活動内容というお尋ねでございます。人造米特許の問題につきましては、食糧庁からもお見えになつておりまするから、食糧庁のほうから詳しくお聞きを頂いたほうがよくはないかと思いまするが、人造米に対する着想は今に始つたことでないので、随分古くからあるのでございまするが、それの製造に関する特許もいろいろ従来ともあつたようでございます。最近、澱粉、製粉を原料として植物蛋白質によつてこれを凝固せしめ、更に蒸気処理によつて表面に固い皮膜を形成して天然米と殆んど同様のものを造るということにつきましては、現在有効な特許といたしましては松浦氏の特許がございます。それの特許内容等につきましてはて食糧庁のほうから詳しく御説明頂いたほうが、ずつとそれについてやつておられるようでございますから、そのほうがよくわないかと考えす。  財団法人人造米協会性格、その活動内容につきましては、この協会性格といたしましては、人造米について急速にこれが取上げられました関係から、最近の技術製造工場に速かにこれを徹底させて優秀な品質のものを生産させるということが急務でございます。又現在粗悪品が出廻つておるのもありますし、又出廻る虞れが多分にありまするので、これを阻止するために検査をいたしまして、その検査いたしましたものには証票を付して、これならば安心だということを区別をはつきりつけて、その証票のあるものについては安心して召上つてもらいたいということをいたしますることが必要だ、又新規の品物でございまするから、消費者に対して人造米の正しい認識を与えなければならんし、又新らしく造り出されたもので技術的にこれからいろいろ向上して行かなければならない、改良の余地が多分にございまするので、技術改良進歩を図るために技術指導もして行かなければならない。で、そのために財団法人人造米協会というものを作りまして、検査をし、それから人造米を造つている工場技術指導をする、更に人造米の正しい認識消費者に拡めて参りまするために普及宣伝のことをやるという、こういう目的をもつて協会が生れました次第でございます。併し協会は発足いたしましたが、まだ陣容も整つておりません。又農林規格は発布になりましたけれども、一カ月間中をおいて、十二月二十四日からこの告示は効力を発生するということに相成りますので、それまでの間に検査の機構を整えて、そうして検査できるようにしたいというので、今活動を始めるべく準備中でございます。協会といたしましては全国検査網を持ちまして、そうして農林物資規格法に基く登録格付機関として人造米検査を行う、そのために検査員を今養成中でございます。ところが人造米協会のほかに業者の作つておりまする団体としてこれに似たものがございます。日本人造米協会というふうなものもございます。又全国合成米協会、それから栄養特米協会というふうなものがございます。これらの団体業者集つて、或いは原料を共同に購入するとかなんとかいう経済行為を主とする業者団体でございます。財団法人人造米協会人造米検査を公正に行なつて、これならば安心して召上れるという区別をつけて行きたい、又技術指導をして行きたいという公益的の面を受持つた活動をして行きたいというので、財団法人人造米協会はその業者団体と緊密なる連絡を持つて行かなければならんことは勿論でございまするけれども、その機能においては、はつきり分れております次第でありまして、財団法人人造米協会のほかに現在全国合成米協会日本人造米協会、これは甚だ似通つた名前でございますが、日本人造米協会、それから栄養特米協会というふうなものが業者経済団体として現在ございます。人造米協会はさような使命を持つておりまするので、本協会検査の対象となりまするものはひとり松浦式特許に基いて製造されたもの以外に、それ以外の方法によつて人造米ができまするものにつきましては、これは広くすべて検査の対象にしたいというふうに考えております。  で、最後にその他何か気の付いたことを申上げるようにということで、十としてその他という御書面になつておりまするが、人造米経済効果につきまして一言附加えておきたいと考えております。  人造米原料澱粉小麦粉砕米を使用するものでございまして、澱粉につきましては農家経済安定のために、いも類価格の対策といたしまして、農産物価安定法に基いて澱粉政府買上行なつておりまする次第でございますが、この澱粉新規用途を開拓する必要に一面迫られておるわけでございます。で、この澱粉新規用途として人造米の形においてこれが食糧に広く供されるということは、農産物価格安定の趣旨を徹底せしめる一つの方法としてこれが用いられるんじやないだろうか、又小麦粉におきましては、多量の食糧日本は輸入しなくてはならないのでございまするが、外米に比べまして小麦粉を輸入いたしますることが、ずつと格安になるわけでございます。この小麦粉使つて米の形にして食糧に供する、そうして外米の輸入をセーブできるということになつて小麦粉外米に置換えるという一つの方法としてこの人造米というものは考えられるんじやないだろうか。そういう意味において政府は急速にこの人造米普及を図りたいというので、十月二十七日の閣議の決定を見ました次第でございまして、その閣議決定趣旨に基いて人造米普及の一翼を担うべく人造米協会が発足した、こういうことに相成つております。以上。
  4. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 御質疑を願います。
  5. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど特許の問題は農林省側から御説明願いたいという参考人のお話でしたが、特許内容明細書でわかりますからお尋ねする必要もないと存じますが、最近新聞によく伝えられておる松浦式特許というものと、現在の人造米製造工場におけるその特許利用関係、そういうふうなものについて、農林省側で御承知ならばちよつと聞かして頂きたい。
  6. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 松浦式特許使用状況の御質問がございましたので、私どもが知つております範囲におきまして御説明申上げます。特許の法律的な内容なり、その範囲等につきましては、法律的には特許庁のほうの所管でございますので、私どものほうからはつきりしたことは申上げられないのでありますが、人造米特許につきましては、私どもが承知いたしております範囲におきましては、十数あるんじやないかということを聞いておりますが、松浦式特許を使つて現在人造米を造つておる形といたしましては、特許権者との契約によりまして実施権を設定してもらつて、それによつて使用料を払う、そうして現実に人造米を造つている、こういう形になつておると承知いたしています。で、その数でございますが、まだはつきりした数字は正確には掴めておりませんけれども、今年の五月くらいから実際問題といたしましては諸方面で計画を立てまして、現在では恐らく計画を立てている工場まで入れまして数十の工場がこれから計画し、或いは実際に人造米生産しているのじやないかと、こういうふうに承知いたしております。それからなお松浦式方法以外の方法によつてもいろいろ関係方面で研究をいたしまして、それによる製造方法も行われているということも承知いたしております。
  7. 高野一夫

    高野一夫君 政府のほうでは、食糧庁でも結構ですが、いろいろなパテントがあるうちで、特に松浦式パテントが最もいいというようなことで、人造米のメーカー方面にその方法を利用するようにどんどん奨励と言いますか、指導と言いますか、そういうようなことでもされておりましようか。ただ業者間での随意ということで、何ら政府のほうではそれを関知しないと、こういうような態度でしようか。
  8. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) お答えいたします。人造米生産を推進するといういろいろな奨励の措置を講じているわけでございますが、今の松浦式特許につきましては、その松浦式以外にもいろいろな製造方法があるということからいたしまして、その特許の問題をめぐつていろいろなトラブルがあるようにも聞いておりますので、そういつたようなトラブルを避けて、できるだけスムースに生産ができるようにということは考えておりますが、松浦式でなければ人造米生産者としては認めないと申しますか、政府の奨励措置の対象として考えないというようなことは考えておりません。
  9. 高野一夫

    高野一夫君 仮に松浦式を材料に上げてみまして、そのパテントを数カ所の会社工場で同じパテントを利用するというような場合に、実施権の分割と言いますか、そういう点は各会社が個個に特許権者と折衝してやつているわけでしようか。
  10. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) さようでございます。
  11. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) 他に御質疑ございませんか。
  12. 有馬英二

    有馬英二君 参考人に伺いたいのですが、私がまだ人造米を自分で食べてみないからよくわからないのですが、どうもいも臭くていかんとか、匂いがどうもするとかいう話を聞くのですが、それに対する何らかの改良方法と言いますか、何かそういうことについて研究が進められておりますか。
  13. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) それは原料混合割合によつて小麦粉のパーセントを余り多く入れますと、うどんの匂いがするそうです。うどんの匂いはつんとするそうです。まあ小麦粉六〇%くらいならば、そういう匂いはしないと申しております。それは原料混合割合によりましてそういう匂いのするものがあるようでありまして、大体いもの匂いがするということは余り聞きませんが、これはまあ澱粉を非常にたくさん入れますとそういう匂いがするかも知れませんが、澱粉は、あれはそんなことはないのじやないかと思つております。ただ小麦粉を余り入れますとそういう匂いがするということを申しております。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 もう一つ、ついでに農林省に伺いますが、先ほど参考人が御説明になりました告示の八百八号というような規格ですね、これはどの程度の拘束力を持つものでしようか。
  15. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 御説明申上げます。人造米につきまして、先ほど制定されました日本農林規格は、これは根拠といたしまして農林物資規格法に基く規格でございます。農林物資規格法と言いますのは強制検査ではありませんので、個々の商品につきまして政府でもつて一定の標準の規格を定めまして、その規格日本農林規格と言うのですが、その規格に合致しております品物でありますれば希望によつて検査をいたしまして、そうしてその規格に合致するということでありましたら、その商品に日本農林規格というマークを貼つて販売をする。それで消費者なり或いは取扱業者のほうでは、そういうマークが貼つてあれば、一応国で定めた標準の規格に合致している商品であるということによつて、安心した取引なり消費ができるということによりまして、そのものの品質の向上、規格の統一と言いますか、そういうことを目的にした法律でございます。従いまして人造米につきましても、これは政府がこの規格従つているかどうかということを直接検査をするわけではございません。先ほど参考人のほうから御説明がありましたように、この法律に基きまして、財団法人人造米協会がこの法律の登録格付機関として政府に申請を出しまして、政府が適当だということになりますれば、人造米協会のほうで業者のかたの希望によつて検査をしてやると、こういう形をとるわけでございます。従いまして、法律的に、形式的に申上げますと、この規格従つて全部が生産されるということは望ましいわけでありますが、必ずしもこの規格でなければ売つちやいけないとか、消費してはいけないとかいうような拘束力はないわけでございます。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、只今の御説明でよくわかつたのですが、とにかく販売上のただ政府の奨励というに過ぎないわけなんですか、そうすると、先ほども参考人のお話にございましたように、相当粗悪なものも、その粗悪なものというのは告示規格に副わないものという意味だろうと私は解したのでありますが、そういうものがどんどん出た場合に、それを取締る方法はないということになりますか。
  17. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 先ほど申上げましたのは一応法律的な取扱いを申上げましたのですが、私どものほうといたしましては、できるだけ各メーカーがこの規格に合致した製品を造られることを希望いたしますし、従いましてできるだけ登録格付機関検査を受けるようにという指導はいたして参りたい、かように考えております。ただ厳密な意味においてそれでは受けなかつたものはどうするかということになると、業者の希望でありますから強制はいたしません。一部検査を受けないで、場合によつてはこの規格に合致しないものが発生するということもあろうかと思いますが、私どもといたしましては、できるだけそういう商品が出て、消費者の迷惑になるようなことのないように十分指導はいたして参りたい、又いろいろな関係団体等にもこのように連絡をして十分注意いたして参りたい、かように考えております。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 そうするとその程度のことであつて、何ら人造米製造販売上に拘束すると言いますか、取締りと言うか、その方法は現在ないということだけは、はつきりして参つたわけです。そこでこの規格を制定されるということについて厚生省側に伺いますが、この規格内容の制定のことについては厚生省も相談に与かられて、会議の上ででも、何かきまつたものですか。農林省関係だけでおきめになつたものですか。
  19. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 只今御質問がありました農林規格についての相談と申しますか、これにつきましては私の前の課長のときにこの規格制定のための委員会というのが設けられて、この規格に参画したのでございます。そうしてこの規格の制定については会議があつたそうでございますが、今回制定されました内容については、厚生省側の意向というものではなしに、これは農林規格法による規格ということと承知しております。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 役所側に対する質問は、いずれ他日機会がありましようから先ず保留いたしますが、参考人のかたにお伺いしたいのですが、先ず協会としてはそういうような試験のいろんな設備と申しますか、そういう施設をお持ちになつているわけなんですか。
  21. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 先ほども申しましたように、発足をいたしましたばかりでございまして、いろいろの整備をいたしております。それから各地方に検査員を置きまして、その検査をする機械も今整え中なのでありまして、研究の機関も漸次整備して行かなければならんと思いますが、差当つてはこれは役所のほうで御迷惑と言われるかも知れませんが、食糧庁の米穀研究所、あそこのところでいろんなことを初めは研究してもらいたいというふうに考えております。行く行くは協会自身としてもいろんな研究の機関も整備して行かなければならんものと思つております。それから、検査をいたしまして、これならば安心して召上れるという検査を厳格にいたして行きたい。そうしてその検査証票の貼つてあるものじやないと一般が安心して買えないんだというふうなことを宣伝して行きたいというふうに考えております。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、先ほど農林省側からも伺いましたが、この規格に合致するかどうかの検査はあなたがたのほうの協会のほうでおやり願うということの御説明があつたわけですが、現在そういうのは別な農林省の機関をお借りになるとしても、いずれはそういう設備をおやりにならねばなるまいと思うのですが、いつ頃から協会としての独自の立場で検討におかかりになれるような御計画ですか。
  23. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 検査は早速始めなくちやならんと思つておりますが、いろんな研究は、これは漸次整備して行かなければならん、協会の経営が検査料によつて収入があるわけなんです。その検査が強制ではございませんから、だから検査を受けるものが少いということになると、この経費が出て参りません。従つて検査が信用を博して、この検査を受けて証票を貼つてあるほうが商品の販売としても有利なんだという状態に持つて行かないと検査普及しないと思います。一面検査をしながら工場製造方法等についての技術指導もして行きながら製品をいいものを出して、そうしてその間証票を貼つているものじやないと売行きが悪いんだという状態に持つて行きたい。これは一方、だから宣伝を相当にして消費者のかたがたにそういう観念を植え付けて行かないとこれが進行して行かないのじやないかというふうに考えております。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 ついでに協会のことについて伺いたいのですが、一応農林省の所管の財団法人ということになつているわけでしようが、ざつくばらんに申上げて、この人造米協会のバツクと申しますか、例えば澱粉業者がバツクしているとか、何がどうしているとかというような、そういうような色彩とでも申しますか、何かそういう関係はございますか。
  25. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 人造米協会の寄附行為者でございますね。財団法人ができますにつきまして、全国合成米協会、これは人造米を現在造つておられる協会でございますが、それから全国澱粉協同組合連合会、全国農業販売協同組合連合会、それから製粉協会全国製粉製麺協同組合連合会、全国食糧事業協同組合連合会全国米穀商組合連合会、この七つの団体が寄附行為者でございまして、この醵出によりまして財団法人ができておるということに相成つております。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 私はまだあるのですが、余り長くなりますから一応ほかのかたに。
  27. 山下義信

    山下義信君 参考人小浜さんにお伺いするのですが、あなたのほうの協会は、今高野君の御質問に対して寄附行為者の氏名を挙げられて協会の組織をお答えになつたのですが、表面的な形式的なことはそうでしようと思いますが、実際がこれはもう言うまでもなく農林省のいわゆる何と申しますか、計画に基いての協会の設立なんで、余り形式的なことを問答しましても価値がありませんから、私も卒直に伺うのですが、又卒直にお答えを願いたいと思います。これは人造米協会を作るんだということは、この委員会が休会中に、人造米を取上げたときに、前谷長官が説明をして、そういう方針で行くんだと、あなたのほうの協会ができる前に農林省の当局がこういう協会を作るんだということを公式に我々に言明して、農林省の提出の公式の資料の中にもあるのですから、言うまでもなくこれは農林省が斡旋と言いますか、計画と言いますか、して作つた協会であるということは明白だと思う。そうでないとおつしやるのならば又それはお答えを聞きますが、従つてあなたのほうの協会はただ単にお座なりの民間の指導奨励の機関というように私ども軽く視ないで、恐らく小委員長参考人として本日御出席を願つたのは、民間のありふれた団体としていろいろなお話を承わるというのでは私はないと思う。これは農林省の別働機関というか、表裏一体をなして農林省と気脈を通じて人造米政策を遂行するために必要な機関として、よほど政府も力瘤を入れておる団体だと私は思うから、非常にこの協会のなされる仕事は重大である、かように考えて当委員会も協会の話を承わるのだろうと思う。私もそう感じておる。若し私の考えが違つておるというならば御指摘を願いたい。そこで私はそういう意味で伺うのですが、ただお座なりの表面的なことをさりげなく承わつてつてもしかたがない。そこで私が一つ伺いたいと思うのは、何と言うても人造米の問題が登場して参りまして、時代の花形と言うか、話題の中心と言いますか、さまざまに諸説紛々、なかなか賑かなことは自他承知の通りであります。それでこの人造米製造をしたいという業者が非常にたくさん希望がありますかどうか、こういうことが我々にわからん。それでこれは協会のほうでよく御承知だろうと思うのですが、ただ今あなたのほうの協会のメンバーになつている者だけでおやりになるのではないでしようから、今現在の製造能力と将来の計画とをお話になつたのですが、その将来の計画が、ただ現在のメーカーの設備を拡張する計画だけで止まつて、新らしい製造業者は認めないというなら別ですけれども製造を希望する業者が非常にたくさんありますか、どうですか、これは農林省のほうに伺つても同じことですが、あなたのほうに伺つても同じようにわかると思いますが、たくさん希望して参りますかどうか。その業者が希望して参りましたときに、お前のほうには造らす造らさんということを協会のほうでは何か取計らいなさいますかどうか。これは一向あなたのほうに御関係ありませんかどうか、この点を先ず伺いたいんです。
  28. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 私がお答えいたしましたのに誤解をなさつたというのならばそれは取消して頂きたい。私は何も形式的なことをここで申上げておるつもりはございません。人造米協会の背景としてどういうものがあるかということでございますから、寄付行為者はこういうものがございますと申上げたのでございまして、この人造米協会を作つて、そうして人造米普及に乗出そうということは農林省の御方針でございまして、その御方針に基いてできた協会なんでございます。農林省はもとよりこの協会の精神について非常な関心を持つておられることは勿論でございまして、人造米普及する一つの機関として農林省の御指示に従つてできたものでございます。言葉をこう非常に平たく申しますれば、おつしやいました通りに、人造米協会は農林省の人造米普及に関する政策の別動隊としてこれは動くものだ、かように考えております。従つて私ここで何も形式的なことを申すつもりは一つもございません。  それでお尋ね人造米を造りたいという希望者がたくさんあるかということにつきましては、現在たくさんあるようでございます。そうして自分も人造米を造りたいということをしばしば相談に参られます。で、結構でしようから、一つおやり下さいということですすめております。ただ人造米をお造りになりますのに余り小規模におやりになりますと、経済ベースに合わないとあとになつて非常に困ることがあるかも知れませんから、経済規模に合うように、相当の規模じやないと、あとで困るようなことがありはしませんかという注意はいたしております。で、人造米を造りたいという希望者に対しまして、あなたはどうだとか、こうだとか選択することは勿論いたしませんし、希望者は多々ますます人造米のたくさんできますることを念願いたしております。で、農林省としても一番最初の計画として大体三十万トンと押えておられまするが、これは三十万トンで足りるという意味じやないと思つております。私の了解する限りにおいては三十万トンで打切ろうというつもりを農林省が持つておられるとは私は考えておりません。希望者がたくさんあつて、そうして妙なものができては困りまするから、良質のものが、而も安く人造米がたくさんできることを念願いたしておりまして、希望者に対してかれこれの選択をするというふうなことは全然ございません、と私は承知いたしております。
  29. 山下義信

    山下義信君 そうすると製造希望の業者があなたのほうの協会へ伺つた場合は、ただいろいろ激励、奨励を受ける、いろいろの指導を受けるという程度で、選択というようなこともないということならば、業者製造というものは、先ほど来の話を聞きますというと、自由勝手である、自由に規格に合いさえすれば自由に製造してもいいんだ、別に免許制、認可制はないんだ、こういうことになると思うんですね。農林省の当局のほうから違つておつたならばこれは違うんだと指摘してもらいたい。一面は規格を厳重にして良質のものを造るんだ、こう言いながら、一面は製造業者を勝手放題に、規格さえ合つていれば、お前さん、勝手にお造りなさいと言つたんじや、良質のものを造る、そういうものを造らせるように奨励するんだ、協会の使命もそうだと言いながら、そういうことに無関係というのでは私は筋が通らんと思いますが、そういう点はどうなつておりましようか、これは参考人のかたでもよろしいし、農林省のほうからも答えて頂きたい。どうですか、野放しにするのかどうですか、どこできめるんですか、誰に造らせるということは。
  30. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) お答えいたします。その点につきましては先ほど参考人からお話のありました通り事業の開始につきましては、役所といたしまして別に許可とか或いは指定とかいうようなことは考えておりません。と申しますのは、人造米生産を推進する方法といたしましてはいろいろな方法があろうかと思います。それで又現在の食糧事情からいたしまして、これを政府で一手に集配いたしまして配給ルートに乗せて消費者に配給するというようなことも考えられるわけでございますが、何分今年の春頃からいわば企業化したものでございまして、新製品としてまだこれのどういうものがどのくらい消費者のほうの需要ができるかといつたような需要の安定性或いは品質の点等につきましても、つい最近私どものほうで一応規格を定めたわけでございますが、これらのものにつきましてもすべてこの規格に合つたものが、今後全部そうなるかどうか、或いは各業者が造りますものにつきましての製品の質等も均一なものが直ぐできるかどうかといつたような関係がはつきりわかりません関係上、今これにつきましては現在のところは自由販売で、政府がこれを買つて配給するというようなことは考えておりませんのであります。従いましてそういう商品につきまして、できるだけ品質のいいものを造るように奨励も指導もしなければならんということはお話の通りでございますが、それだと言つて一方にメーカーを選定いたしましてやるということになりますと、新らしい企業に対する何と言いますか、自由競争によつていいものが伸びて行くというような、いい面における自由競争の面も削がれるというようなこと等の関係からいたしまして、現在のところ、私どものほうでは新規にやりたいというかたであつて、これも勿論御相談は私どものほうでもよく受けておりますし、又業者団体等もありますし、今の財団法人もございますので、そういうところへ行きましていろいろ実際のことをよく説明を聞くようにというお話はいたしておりますが、個々の業者について格別選定をした態度で臨むというようなことは考えていないわけでございます。
  31. 山下義信

    山下義信君 わかりました。そうすると、これはお話にはなかつたのですが、どうせ農林省と別動機関でやるのですから、例えば来年度にこの人造米の奨励関係予算をおとりになつたらば当然協会のほうの事業の奨励補助というようなこともあつたりするのだろうと思う。まあそういうことは今お尋ねしません、先のことですから、予算がまだきまらんとき、とやかく言つても何ですから。ですが、農林省の計画としてもお考えとしてはメーカーをとにかくどんどん多量にいいものを作つて、そうして食糧対策の政策の一環としてやろうという相当大規模でやるのですから、だからぼちぼちやつていてはものにならんのですから、今お話のように一日も早く年産三十万トンの生産を挙げようとして努力するのですから、いいメーカーが設備を拡大し、或いは新たなる良心的なメーカーが出現することを、それはどんどん積極的にやらなければならんわけです。それでそういう場合において設備資金等を幹旋するとか、尽力するとかいうようなお考えを私は持つているのじやないかと思う。又当然それは附随して来るだろうと思う。それは大資本家の大メーカーに特約してやるのだつたら、これはまあ現状と同じことで、そうして結局この政策は大会社の大工場の一種の事業翼賛運動ということになる。そうじやないのですから、まあメーカーができればやるのです。すのうちに設備資金等について斡旋を依頼するようなことがあつたら、それは協会でおやりになりますか。
  32. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 十月の二十七日の閣議決定、これは農林省からお答え頂いたほうがいいかも知れませんか、それの中に設備資金の融通ということで、製造に必要な設備資金の融通については、自己資金及び市中金融によるも、なお日本開発銀行及び中小企業金融公庫による融資等所要の措置を考慮するものとする、というふうなことが一項にあります。従つて人造米製造を急速に普及せしめるためには、金融の幹旋の措置等を農林省は当然考えておられるわけでありますからして、農林省の下働きとして財団法人のほうであそこの銀行にこの業者の実態を説明に行つてくれというふうなことがあれば勿論参りますが、財団法人そりものとしてこれは農林省の方針に従つて参りたいと考えております。
  33. 山下義信

    山下義信君 まだその辺細かにお打合せができておらないのですね。
  34. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 法人として独自の金融措置に対する方針はまだ農林省のほうがその辺について、はつきりしないようでございます。
  35. 山下義信

    山下義信君 それでとかく私は些少のことを批評するのではないのですが、勉強が足りないのですが、農林委員になつて勉強しないと確言はできんが、農林省の諸政策の上、これは経済省ですから千変万化の経済諸情勢に従つて実際の行政、現業行政と言いますか、言うのですから、一概に聞く順序をいつも墨守してというわけには行かんが、非常にあいまいな政策がある、あなたのほうでは。農林省では今でも人造米のメーカーのことでもこれは自由にするのだ、許可、認可をするのじやないのだ、造りたいものは規格に合いさえすれば造らせるのだ、私はこういう答弁は非常にごまかし答弁だと思う。そんな自由に造るのだと言つたつて自由に造れるわけはない。原料はあなたのほうで持つている。その原料をお前のメーカー、お前のほうに払下げてやろうか、供給してやろうかという供給権を持つておりながら、勝手に造れるのだ、自由にお造りなさい、そんな馬鹿な答弁がありますか。そんな馬鹿な方針があろうはずはない。自由に造れると言いながらちやんと元締めを握つておるじやありませんか。やつぱり表面には何も許可、認可制をとらなくても、誰に造らせようかということは原料を握つておるものが生殺与奪の権を握る。それと同じ表裏一体でそれの別動機関である協会もただ幹旋だ、幹旋だと言つて、何もその許認可に関係はないと言いながら、やはり協会に口をつければやはり設備資金の融資でも、関係者は別動機関の口添えがあれば大いにそれに動かされるのだろうし、又農林省のほうへこのメーカーはいいからと言つて紹介すれば原料米ももらえるだろうし、ということになれば、これはもう影響力もあるし、とにかくそんなことは別として、私はこの製造業者はやはり農林省というか、協会というか、この両者の関係の上において誰に造らせるか、新たに相談に来たものに対して誰に原料を配給するかということをきめなければならんでしよう。原料をやらなければならんでしよう。あなたのほうで持つている砕米なり何なり、統制的になつているものをあなたのほうでやらなければならん。それはどういうふうにしてやりますか、新らしいメーカーに対して。
  36. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) お答え申上げます。先ほど金融の問題につきまして、参考人のほうからお話がありました通りでございまして、金融の点について申上げますと、現在融資の希望のある人につきましては、一応食糧庁でよく計画をあれいたしまして、そうしてそれを金融機関のほうへ斡旋をするということをいたしております。で、その金融の幹旋について財団法人がどういう仕事をするかという点になりますと、財団法人として本来の仕事といたしましては、やはり工場指導技術指導をやりましたり、或いは商品の検査をやりましたり、その他要するに人造米のいいものが多量にできるようにというための調査研究、その他のことをやるのが財団法人の使命でございますので、金融等の場合におきましても、その財団法人でいろいろ調査した結果なり、或いはそういつたようなもの等で私どものほうで参考となるような点につきましては、十分その意見を聞くことがあろうかと思います。ただ現在の手続上の関係は、一応食糧庁のほうで本省のほうの金融のほうの担当とも連絡をいたしまして、斡旋の手続をとるようにいたしております。  それから原料の払下でございますが、先ほど参考人からお話がありましたように、これの原料につきましては澱粉なり小麦粉を使つて、それに一部砕米を加えるわけでございますが、今砕米の払下につきましては県の具申によりまして食糧事務所に出しまして、そうして食糧庁のほうで砕米の需給関係を睨合せまして、上つて来たものにつきましては払下をやるというような手続をとつているわけでございます。その場合に勿論現地におきましては、実際に人造米を造つているかどうか、又申請をいたしておる砕米の所要量が、果してそうであるかどうかというようなこと等につきましての調査といいますか、そういうことをしておると思つております。
  37. 山下義信

    山下義信君 わかりました。私の誤解も苦干あつたようです。結局協会指導奨励、いろいろの検査、品質向上等々というような面に非常にお働き下さつて、メーカーに対する農林省の原料の払下には御関係ない。それから業者の造つた製品販売というものにも関係がないということですね、今農林省政府当局の答弁では。又協会長の御証言も。ですから業者を新たに、これは許可、認可じやないのですから自由なんだから、業者ができた、それが加盟して来ると、協会は新たな業者を加盟するようになるかならんか、その辺もよくわからんが、だんだん将来業者が殖えるのですから、今だけの、寄附行為で言えば今財団をお作りになつたかただけがメンバーですが、将来お加えになりますかどうか、財団の団体としましては、将来増加します業者もお加えになるかどうか。指導、奨励、普及、品質の向上、検査といつたような方面を御担任になる。従つて新規業者の認可がいいとか悪いとかというようなことと関連して、原料の払下、又製品販売についてというようなことにはタツチなさらないのですね、協会は。如何でございましようか。
  38. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 先ほど農林省から言われました通りに、協会は主たる使命が、検査をいたしましてこれは消費者に安心して召し上つて頂くという区別をはつきりいたしまして、そうして又その技術は今発達の途上にあります。いろいろ技術指導をして行かなければならん面があろうと思います。原料を共同に購入するとか、或いは原料の払下というようなことをやりますためには、先ほど申しましたような業者団体が別にあるのであります。そういう経済行為をいたしますものとしては、それは業者製造いたしますのに原料を手に入れる行為は、共同にいろいろ施策を講ずる場合がございますので、連合会ができております。経済行為はそちらのほうでいたします。協会としては経済行為に触れない範囲のことをやつて行きたい。それから又先ほどお話がございましたこれはメンバーであるものの製品検査するというわけでもございませんので、従つてこのメンバーに入るとか入らんとかいうことは、これは重要なことでございませんから問題にはなりません。将来もつと基金を殖やす必要があるという場合に寄附者を殖やして、そして基本財産を造成するという場合には、もつと広く寄附してもらいたいというようなことを言うかも知れませんが、これのメンバーで寄附行為者であるとないとによつて、何らのその辺の区別はないと考えております。
  39. 山下義信

    山下義信君 わかりました。この点も極めて明白になりました。これは協会業者の利益を代表する何も連合体というものでなくして、全く現在の関係団体を基礎として、いわゆる政府と表裏一体のこの仕事のための特殊の重要な任務を持つて設立されたので、将来出て来るところの業者を包含する必要がないということは、極めて明白になりました。よくわかりました。そこで今いろいろな寄附行為者になつておる現在の、只今お示しになりました諸団体も、これも大体業者なんですね、業者でございますね。それで私の伺うのは、この協会に入つているといないと、あなたのほうは非常にこの製品検査ということを、消費者に安心して召上つてもらえるようにその選別もするのだ、そういうふうなことも意思表示するのだと、非常に重大なお仕事をして頂くことになるのですね。それで、私は何もその業者団体から成立している協会が、みずから検査方に廻つて、そしてそれ以外の業者もありますが、要するところ現状におきましては主たるメーカーはみな協会の寄附行為者ですが、まあ検査するものと検査されるものとが、資格は変つておるけれども実体は一つことなんです。併しそれによつて何も検査に手心があたり、この検査業務が行い得ないのではないかというような疑惑は持ちません。持ちませんが、なかなか検査ということが私は困難ではないかという気持がするのです。それは技術的に私にはわからんのです。これは桜井所長もおられるし、お示しを願わなければならん。この人造米検査というのは一体どうやつてやるのか私にはわからない。証票というのはどこへ貼るのか、一粒一粒の米に貼るのならわかるけれども、袋に貼るのか、箱に貼るのか、どこに貼るのか。そうして一升ずつに分けておるのなら一升袋に貼るということもあるけれども、この証票を貼るというところは一体どこなんです。恐らく一斗なら一斗の大きな図体に貼つていて、その証票を見て消費者が買うということはできないでしよう。一体誰に見せる証票なのか。それですから消費者にどういうふうにしてこの人造米がいいとか悪いとかいうことを区別することができるでしよう。この証票を貼るということはどういうふうなやり方をなさるのですか、私にわからんのです。お示し下さい。それで甲の証票を貼られた袋に、他のものが混入しておるというようなこと、そうすると悪意があろうと悪意があるまいと、そういう検査がどうしてできるでしよう。そうして又、まあ細かいことを言つていればきりがないのですけれども、一応まあそこを聞こう。その証票というのはどうするの。そうしてこの証票は誰が印刷するの。この協会自体が印刷するの。そしてこの協会自体がその証票を貼るの。どうするの。それからついでに聞きます。一体不正した場合の罰則はどうするの。あるの、ないの。そうすると罰則のないような検査というのは一体これはどういうことになる。検査ということが別に農林物資規格法というしかつめらしいものがあるというが、これも取り寄せてもらわなければならんが、それに基いて農林規格というものを作つて、そうしてその検査は民間団体がするのか。そうして規格の実行については政府当局は責任がないのか。責任のないようなものなら規格というものを発布してみたところでしようがない。いやしくも政府がこれだけの規格を持たなければいけないということを政府が規定したら、その通りできているかできてないかということを政府みずからこれを監督する義務があるんじやないの。それを民間の団体に、如何に表裏一体という官製でお手盛りの協会であつても、これは正式に言つたらば民間団体である。これに検査を委任するの。その委任するのは、その法的根拠地はどこにある。委任する法的根拠は。それで検査というが、若し不正をしたもののその罰則というものはないの。なかつたら検査というものは有名無実でないか。その辺の検査のやり方、方針というものはどういうことをやるのか。そのへんを一つ説明して頂きたい。
  40. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 検査技術的な方法につきましては、桜井さんから御説明願いまして、先ほどの検査のマークでございますが、これはきまつておりますのは、包装といたしまして二十五キロ入り、それから五キロ、二キロ、一キロ入りということに包装の大きさを一応きめてございます。従いまして例えば大量で購入をいたしますまあ一つの例でございますが、保安隊等で大量に使うといつた場合には大袋で以て取引されるだろうと思いますが、その他の場合におきましては一番小さいので一キロ入りとなつております。従いまして検査を受けまして、その規格に合つておるということになりますと、その袋に検査団体のほうでそのマークを付するということになつております。それから先ほどこの検査趣旨につきまして御質問がございましたが、これは先ほど私から御説明申上げましたように政府で以て強制的にこれを集買をするという直接の関係でありますと、政府としても直接検査をいたすわけでございますが、規格法の趣旨といたしまして、いわゆるいい製品が伸びて行く、そのための手段としてこの法律に基く登録格付機関検査をするという趣旨になつておりますので、その格付機関として先ほどの財団法人か当るわけでございます。従いましてその点につきましては強制検査ではなくて、一応そういう格付機関の検査を受けてマークを付してあるものはメーカーも一応自信を持つて売りますし、ここに買うほうも安心して買えるというところの趣旨をまあ制度化した法律でございますので一応任意検査という建前になつておるわけでございますが、検査技術的な方法につきましては今桜井さんから御説明いたします。
  41. 桜井芳人

    説明員桜井芳人君) 先ほど協会長からお話がありましたように規格がいろいろございますが、そのうち最も重要な規格と申しますか、炊きましたときに崩れないとか、炊けるときにどうだとかいうふうなことを規定する規格は大体水分とそれから比重と、それから剛度とこの三つが主体になるわけであります。一応剛度がある、高い、即ち規格に合うような六・〇以上というようなものにつきましては、炊きました場合にも現在のところ殆んど壊れないという経験を持つておりますので、その剛度を硬度計という簡単な機械がございまして、これで測つてをくということにいたしております。それから一升重のほうは、これは従来米麦のほうにつきまして食糧庁検査課あたりで始終やつておる方法でございます。非常に簡単な方法でございますが、その方法を以ちましてやつて参る予定でおります。一升重のほうは結局一升重が軽いと米が浮いてしまう。均一に交わらない虞れがありますので、そういう規格が設けてあります。ですから水準が規格に合うものは大体貯蔵性もございますし、大体一升重が規格に合うものは米と混ぜて炊きましても大体均一に混ざる、剛度が規格に合いますものは炊きました場合に先ず崩れない、この三つが主体になつて恐らく検査はここを中心として行われて行くと思います。実際一々証票を貼ります分につきまして検査するかどうか、或いは構成ロツトにおいて検査するかどうかということは、現在協会においていろいろの方法で検討中のようでございまして、この検査が始まりますまでにはそういう方法でサンプルをとつて検査するのだということをはつきりきめる予定でございます。現在は資料のとり方につきましてはなお検討中でございます。
  42. 山下義信

    山下義信君 検査方法については検討中だということですから、この点はこの程度にしておきますが、とにかくまあ協会は非常に重大な立場に立つ。メーカーが持ち込んだものを検査する、証票がなからねば消費者の信用がないというその重大な仕事をするわけなんで、いろいろこれで今後その方法の細部等は又おきめになつてからそのときに承わることにしましよう。とにかく要するところ非常にこの協会の仕事というものは尋常一様でない。三十万トンというような予定数量を生産して、これが消費者に渡つて行くということになつて来るときには、非常に重要な立場に立つものだということだけは私どもは深く認識せざるを得ない。販売等につきましても若干伺いたいと思いますが、これは又他日機会を得て伺いましよう。要するところ自由販売だ、而もその原料の一部は統制品だ、それが自由販売される、その購買者は一拠に多量の購買を欲するものができるのか、実際に消費者の家庭に渡るのか、いろいろ問題があろうかと思いますが、まあいろいろこれから企画されるのでしようから暫らく状況を見せて頂く。  最後に規格の中に栄養関係のことがちつとも入つてない。高野委員から御指摘になつたが、あれはどうして入れなかつたのか。長官はエンリツチの問題はこれは非常に重大で、全く厚生委員会の意見に同意で、これを規格の場合に考慮するということが、これは速記にも残つている。厚生委員会に約束したのです。厚生省ともよく連絡をしてこの問題は大変重大だ、而も非常に多額な費用を要するならともかく、僅かな費用で以て有効適切な栄養強化ができるということは自分としても賛成だと言つて、農林省の責任ある当局は答弁している。然るにこの規格の中にはちつともその栄養価のことがとり上げられていないというのはどういうわけなんですか。
  43. 桜井芳人

    説明員桜井芳人君) 規格委員会におきましてエンリツチの問題は話題に出ましたけれども、それでそこに厚生省の意見として有本栄養課長が来ておりまして、それからここにおられます岩田氏も専門員として来ておられました。いろいろ話合いいたしましたその結果、結局これは厚生省のほうで考えるからこの規格にはちよつと入れるのを待つてくれというふうなお話がございまして、一応この規格には入れることをやめたわけであります。
  44. 山下義信

    山下義信君 私は、甚だけしからんことを聞くね。意外なことを聞くね。これはどういうわけなんです。真相を調査しなくちやならん。誰が行つてどういうことで厚生省の方針がどうきまつて、そういうことを言つたのか、これは大変なことですね。これは公衆衛生局長から局長名を以てこれは公式の文書でそういう問題についても農林当局に申入れがしてあるはずなんです。同時に我々の厚生委員会で農林当局と質疑応答の間に、規格の場合には十分考慮いたしますと言つて言明しておる。然るに厚生省の事務当局はその規格の打合会に行つて、今この規格の中に入れてもらわんでもいいから、我々のほうにも考えがあるからということを言つた。厚生省の意向に従つて栄養価問題は規格の中に入れておかなかつたということは、私は非常に奇怪千万に思うのですがね、どういうわけでそのことをその席に行つたものが発言したのか。厚生省の方針はそうきまつたの。人造米には栄養価はしなくてもいいというふうに厚生省できまつてそういうことにしたの。どういうことにしたの。
  45. 桜井芳人

    説明員桜井芳人君) 農林規格の中に蛋白質が幾らとか、ビタミンが幾らかということは事務当局のほうで入れられないことはない、併し今までそういう例はないという話でございまして、原案にはこれを抜きまして、その会合のときにそういう議題を出すということで了解して議題が出たわけであります。これは入れようか入れまいか、大分討議されたのでございますが、結局今申上げましたようなことになりまして、一応今回はこれには入れないということでその委員会はきまつたわけでございます。
  46. 山下義信

    山下義信君 厚生省の当局、答弁してもらいたい。
  47. 高野一夫

    高野一夫君 私も関連して伺いますが、どうも今の話は山下委員おつしやる通りに、私も頗る了解しがたいのですが、こういうふうな問題、人造米は今まであつたわけではないし、今年になつてから初めて造られ、批判されておるものなんです。その規格を定めるのに、厚生省は厚生省で別だ、農林省は農林省で別だ、厚生省のやり方はあとだ。それではあとで一体どういう方法でやるか。先に規格がきまつて告示を出されて、その告示通りの規格人造米を造つておられる。そうして栄養の点はビタミンカルシウムも何らその点は考慮されていないということで、あと一体どういうふうにして、あとでやるというのはどういうふうにされるのか、私もそれを伺つておきたい。これはやつぱりはつきり聞かしておいて頂きたい。一つの目的なり、一応この程度でやる、或いはビタミンならビタミンを入れる工夫がまだ足りないというようなことなのか。それとも何らかのほかに意図があるのかどうか、その辺を一つはつきり聞かして頂きたい。
  48. 藤原道子

    藤原道子君 その点私も同感です。先ほどから、今桜井さんの御説明にも、栄養価は厚生省で考えるからというので規格に入れなかつたということですか。厚生省で考えてどうなるのだか。一つ規格を作るときには双方の意見がまとまつて行けるものだと思うので、あとで考えるということは納得行かないので、殊に我々厚生委員会としては栄養点を重視しておるわけでございます。その点明確にして頂きたいと思います。
  49. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 只今お話のございました人造米についての厚生省側からの規格に対する希望につきましては、前課長か委員となりまして規格委員会に出席をし、今桜井部長からお話ありましたような話合いがあつたそうでございますが、そのときに農林規格の中に厚生省側の言うような栄養規格は今まで扱つていないから、これを入れるということは妥当でないということで、一応農林規格の中からはその問題は外すということになつたようでございます。併しその附帯条項として、栄養素の問題ということは重要でございますので、それを附帯条項に入れるというようなことにその委員会で話合いがなつたように聞いておりますが、これははつきり私は存じませんのでございます。そこで私就任しましてから、十一月の二十一日だつたと思いますが、束辻課長のところに私挨拶かたがた参りまして、その問題とは別に、人造米は若し多量に出る場合には国民栄養上重要な問題ですから、是非その規格などについては私どもと十分に連絡して欲しい。噂に聞くところによると、殆んどできてしまつたがごとくに伝えられるが、そういうことは困るからということを申入れましたところ、東辻課長は勿論十分に連絡するということでございましたのでありますが、二十四日付を以てそれが出てしまつたというわけで、その後の連絡はございませんので、私どもとしては、これについて私ども意見として厚生省側から申入れをいたしたいと今準備をいたしております。と申しますのは、この人造米の中で、一番問題となります点は、蛋白質の問題でございます。何となりますれば、現在我々は非常に貧乏でございますので、米から非常に多量な蛋白を摂つておるわけでありますが、栄養調査の結果では大体三分の一が米から蛋白を摂つているという実情でございます。それで米の蛋白が減るということは非常に大きな問題でございますので、栄養価の点を余り細かくたくさん申上げるということは、これは経済問題やいろいろのことでむずかしいことでありますので、最小限度蛋白だけでも合せて頂きたいということを私は考えていましたのでありますが、すでに規格が出てしまいましたので、この問題は、配合の問題に非常に関係がございます。で、配合は農林規格によりますと、この規格だけの条項を満たすような配合をいたしましても、蛋白は如何ようにもなるわけでございます。先ほど参考人からお話のございましたような、蛋白質が殆んど米と同じような工合になるということでございますが、これは小麦粉にもいろいろ品質がございますが、場合によりますとずつと下廻つてしまう虞れもございますので、その点これからの指導に当つては、私ども協会とも十分に連絡をいたしたいということでもありますし、又国民に向つて指導をいたすようにいたしたいというような申入れをいたしたいと思います。  それから厚生省側で規格を作るというようなお話がございましたようでありますが、これは厚生省の所管しております栄養改善法の中に特殊栄養食品ということがございまして、特に栄養上に考慮を加えた食品につきましては、厚生省が十分にそれを検討して、特殊栄養食品という名称を与えることになつております。それにつきましては、内容について表示するものと違つた場合には、これは食品衛生法によつての監視がございまして、それによつて十分にこれを取締る。又罰則も設けてございますので、この規格に合うものについては、厚生省側が十分監視をいたしたい、こういうふうに考えております。
  50. 高野一夫

    高野一夫君 只今のお話を伺うと、私はますますおかしくなる。大量に生産されればそのとき改めて栄養の問題を考慮しよう。大量に生産されるかどうかということは、年間三十万トンというのは、これは目標になつている。大量に生産されれば栄養のことは農林省で考える。そうでなければどうするか、大量に出るか出ないかわからんから、取りあえず栄養のことは厚生省のことで農林省は与り知らん。米粒の形を作つて腹を満たせばそれでいいじやないかと言わんばかりの答弁、こういうようなことは、国民の食糧問題、殊に大事な主食の問題、栄養は厚生省だから農林省は知らん。ただほかの澱粉だとか何だとかということの規格だけで事足れりというようなことを農林省は考える。そして厚生省は又それを、じや、いずれそのうち申合せしましようというようなことで、それで政府の統一した主食の奨励運動になるのでしようか。これは私は農林省側と厚生省側にもう一度伺いたいと思う。
  51. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 人造米にエンリツチをする必要がありという話は前から厚生省のほうからもよく承わつておつたわけでありますが、この規格を制定する場合におきましても、今桜井さんからお話がありました通り、これを一つの案といたしましてエンリツチした場合においては、そういうような基準でなければならんというような条項を挿入したらどうかという議論が出たわけであります。で、今御質問がございましたのですが、農林省といたしましても、原料配合割合或いはエンリツチの問題等については、十分食糧研究所、或いは厚生省方面とも連絡をとりまして、今後指導して参りたいということは考えているわけでございますが、この規格を定めるに当りましては、厚生省としての案を持ち寄つて、そうして別途研究したらどうかということになりましたので、我々といたしましても、できるだけそういうエンリツチをされていいものができるような規格ができるということは望んでいるわけでございます。ただ厚生省といたしましては、食品衛生法、或いは栄養改善法というものの運用の関係もございますので、農林物資規格法に基く規格の中に直接それを入れられるかどうかということについても問題があるのじやないかというふうに考えているわけでございます。
  52. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 今先生からお話のございました、大量に造つた場合に厚生省が栄養を考慮するというのは、何か私の発言を誤りお聞きになつたのじやないかと思いますが、そうでなしに私は東辻課長のところに参りまして、大量にこれが出るということになりますと、国民栄養上非常に重大な問題であるから、栄養の問題をこの規格の上に考慮しないということは困るから、十分私どもと連絡して欲しい。こういうことを申入れたのでございますが。
  53. 高野一夫

    高野一夫君 同じじやないですか。主食の足りないのを人造米で補うのですから、大量に出る場合考慮するというのはおかしい。
  54. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) そうでなく、大量に出るということが予想されておりますので、もう少し大量に出るだろうということが予想されますので、これは農林省が黙つていちやいかんぞというようなことでございます。
  55. 高野一夫

    高野一夫君 それに厚生省はどうなんですか。
  56. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) ですから私どものほうに。
  57. 高野一夫

    高野一夫君 ただ申入れられるだけですか。
  58. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 連絡がございますと思つてどもは待つておつたわけでございますが、連絡なしにこの規格が出てしまつた。規格を見ますと全然それが考慮されておりませんので、厚生省側としては非常に不満でございますので、先ほど申しました点をもう一度私どもは申入れたい。かように申している次第であります。
  59. 高野一夫

    高野一夫君 ここではつきりしたのは、食糧問題について、栄養とか、そのほか量の問題。そういうことについて食糧庁関係と厚生省となんらの連絡がない。おのおの農林省は農林省、厚生省は厚生省と、それは全く割拠主義で、向うは向うでおやりになるのだというような現在の役所の状態だということはこの委員会ではつきりされた。それだけ私ははつきり受取つておきます。  ついでに私は厚生省側に伺いたいのですが、これは協会側のほうでも御研究になつているかも知れませんが、仮にビタミン栄養強化をするというような場合に、これは人造米製造工程を先ほど伺うと相当の熱が加わるようでありますが、ビタミンの破壊率と申しますか、そういうような点について厚生省の栄養研究所もあるし、農林省には食糧研究所もあるしするのですから、何かデーターが出ておりますか。
  60. 桜井芳人

    説明員桜井芳人君) ビタミン、主としてビタミンB1を最初に考慮されているようでありますが、ビタミンB1を人造米に加えるときには、混合のときにそれを加えればいいので非常に簡単でございます。蒸気処理をいたします場合に、蒸気処理方法にもよりますが、今やつております方法によりますと、そのときの原料は大体五%乃至一〇%くらい減りというふうに考えております。貯蔵中に減るかどうかということはまだはつきり実験してございませんが、現在、少し専門的になりますが、ビタミンB1は塩酸塩として市販されているものが多いのでございます。大体エンリツチ関係に使いますものは、米にしましても小麦粉にしましても塩酸塩よりも硝酸塩のほうが破壊度が少いわけでありまして、現在製薬会社におきましても、塩酸塩をエンリツチ用として硝酸塩に切替えることをやつておりまして、もう殆んど硝酸塩も出せるという状態になつております。今後は恐らく米、人造米小麦粉等のエンリツチB1に関する限り硝酸塩で行われることになろかと、そういうふうに、我々としてもそういうふうにして行きたい。そうした場合に貯蔵による破壊は貯蔵の水分とか湿度とかいろいろ関係いたしますが、塩酸塩よりも遥かに少なくて済むということは明らかに申上げられると思います。  なお米を炊きます場合にビタミンB1は相当破壊いたします。その破壊率は大体一五%から二〇%ぐらい。従つて人造米製造時に入れましたものの七割五分乃至八割が実際に口に入るというふうに考えておるのであります。ビタミンB2のほうはこれは色が付きますのでまだ人造米に入れるかどうかは余りはつきりしておりません。
  61. 高野一夫

    高野一夫君 厚生省側のデータを伺います。
  62. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 只今ここに栄養研究所のデータがございませんので詳しく申上げられませんが、まだこの人造米のエンリツチメントについての十分な研究は進んでおらない状況でございます。従いまして人造米をエンリツチするという問題は今後の研究に十分かかつて来ることじやないかと存じます。今桜井さんの申されたB1の塩酸塩、硝酸塩の問題にしましても、これをカルシウムを加えます場合の破壊率は異なつております。私どもとしては人造米をエンリツチするのは大変望ましいことでございますが、それは研究の進むことによつて次第にいいものができるようになつて、又大量にできる段階になるのじやないかと存じます。従いましてこの米の問題についてのエンリツチは、現在の段階では強化米のほうのエンリツチによつて補われるのではないかと考えております。
  63. 高野一夫

    高野一夫君 農林省関係は相当パーセンテージも出されて御説明があつて、一応我々はそれで了解いたしますが、そうすると大事な栄養問題を扱つている厚生省のほうは、今農林省の御説明にあるようなふうの説明の数字もまだお出しになつておらんわけですが、ビタミンの破壊率とか、或いは炊いたときにどうなるとかいうような点について何ら御研究はありませんか。
  64. 大磯敏雄

    説明員(大磯敏雄君) 栄養研究所にございますので、この次に持つて参ります。
  65. 高野一夫

    高野一夫君 最後に私は参考人のかたにお伺いいたしたいと思うのですが、こういうような人造米の奨励ということを仮に政府がきめましても、これが役所の普及運動で到底全国に徹底するものとは到底考えられない。そういうような意味において、協会のほうで相当努力をされるということも出て来るのだろうと思うのですが、ところで長い間子供なんかを特に中心にして、日本では殊に厚生省なんかも音頭をとつて、農林省もそうだつたろうと思うのですが、粉食奨励をやつて来られた、そうして粉食奨励をやつて、最近の学童、それから苦い者というものはパンとかそのほかのいろいろな粉食に非常に慣れて来て、ちつとも不自由を感じないでいる、いろんなコストの問題もありましようけれども。ところがそれから考えますと人造米というものは米粒の形を作るわけです。そうすると日本人に米が足りない。而もますます足りなくなる。だから米を食わなくてもほかの粉食に慣れてやつて行こうじやないかという運動を長年繰返しておつたこの日本で、それで今度は米粒を作つて、米の形を作つて飽くまでも米粒に執着させるようなことになりはしないか、こういうようなことを非常に私は懸念する。だからお互いに好きなものを食べればいいじやないかというような考え方もあるかも知れんが、私はこれは副食物でない限りはそうは簡単に行かないと思うのです。そういう点について、粉食奨励ということと人造米の奨励ということと両方とも、どちらかをおやりになるならば、これは国民運動的に展開して行かなければ到底これは普及しないと思いますけれども、この二つの奨励に非常に私は矛盾を感ずるのですが、協会会長としてそういうふうな点について何かお考えがありましようか。
  66. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 日本人が米のほかに粉食をしなければ食糧が足らないのだという意味において粉食奨励がなされていることは承知いたしております。ところが日本人は米というものに特別の執着を持つておりまして、依然として、戦争中も相当ありましたし、ずつと前のあの大正六年の米騒動の時分にも米の形をしているものを混ぜないと、混ぜるほうを喜ぶというので、じやがいもを賽の目に切つて入れたりなんかしておつたような幼稚なことをやつたこともございます。とにかく米の形に対して非常な執着をもつている。それでこういうふうな人造米というようなものがここにでき上つたものと思います。で、食糧研究所では初め米の栄養強化という方面でいろいろ研究しておられたところが、粉を固めて米の形にするということがここに出て来て、そうしてそれが急速に拡がつて来たということのようでございまして、日本人が米に対する特別の執着をもつている、その意味において米の形をしているものを喜ぶのだというのでここに人造米が出て来たわけであります。そうしてそれの原料としては小麦粉を使うのだ、だから小麦粉を消費する形はパンの形で消費されようとも米の形で消費されようとも、それについては日本食糧を補う意味において小麦粉を食うという一つの形としては同じじやないかと思いますが、ただパンの形でせつかく食うように奨励しておつたやつが、それを米の形にしたことによつて粉食奨励に多少の影響があるということは、これは私もしばしば聞かされておりますが、人造米協会といたしましては、何もパンの奨励を阻害するつもりは一つもございません。米の形で喜ぶものが多くて、そのためにこういうふうな形の米ができ上つて来たものについては、いろいろの規格のものがあるから、だからこれは安心だというものを撰りまして、そうしてこれは米と混ぜて炊いてもそう遜色のないものですということを検査して行きたい、こういうふうに考えておりまして、その点についてはいろいろ御議論があると思いますが、我々はパン食の奨励を邪魔するというつもりは一つもございません。
  67. 高野一夫

    高野一夫君 パン食奨励とか何かを邪魔することじやなくて、又原料人造米はいわばやはりお話の通りに一種の粉食の変形かも知れません。けれどもだんだんだんだん米に対する執着心を離れさせようというような方針を長い間繰返して来ておつて、そうして今日どうやらそれがその緒につくというような時代になつて来て、そこで又々これが多少の、量がわずかであつてもやはり米に執着しているのだから、その嗜好に適するように又米の形を作るというようなことは私はどうも理窟として合わないように思うのですが、僕は与党で我々のほうの政府が方針をおきめになつているのだけれども、私はどうしてもこれは納得できないものだから、僕は僕なりにいろいろこの点について吟味しているのですが、どうもただ国民が好きだから、執着するから米の形にすれば喜んで食べるからというようなことだけで人造米を奨励することはいいかどうかということは非常に私は疑問だと思います。これはここで議論しても始まりませんから、そういうことを考えているということで御検討を願いたいと思います。
  68. 山下義信

    山下義信君 私一つ今のことに関連して小浜さんにお願いしておかなければならんと思います。それは粉食奨励と人造米普及ということの関係の論争は別として、人造米で、米の形でなくちやいかんものは人造米食つたらいいじやないかということも、これもやはり人の嗜好を妨げない自由な立場で、食糧消費の幅が広いということがいいということで一つの理窟は成り立つけれども、その前提にはこれは人造米であるということを承知で、俺は人造米のほうがいいのだということを承知で食べるということの前提ではそれはいいんですね、ところが人造米であるということを知らずして、食わされる立場の者のことを考えなければならんのでありまして、いわゆる悪口を言えばごまかしの米ですから、丁度吉田内閣のごまかしの防衛軍備論と同じで、その中味をごまかして米として食わせる。ですからこれは人造米だぞと承知の上で、それで一割なら一割という正常の炊き方なんなり食べ方なら別として、これを米として間々ごまかして食わせるという場合が非常にあり得る。例えばこれを保安隊に供給する。保安隊の隊員はこれは人造米と知らずに食わされる、一割混入が次第に三割くらい食わされる、又その他の大工場の労働者の寄宿でもいつでも米だと思つて人造米を食わされる。闇米を買えば二百五十円だが人造米なら高くて百円か百二十円につくんだ、闇米と比べて安くつくので食わせるんだという立場と、或いは米だと言つてごまかして食わせるんだという立場で、おのおの人造米だと承知をしておる前提によつて承知して食べるのなら、これは人々の自由ですからそういうことなら筋も通る、ごまかされて食わされた日には、今のような栄養内容から考えて非常にこれは注意をしてやらなければならんということは事実なんです。ですからそういう点も一つこの普及宣伝に当られるかたがたにおいては、人造米人造米として食べるようにこれは普及宣伝は、又あなたのほうの御随意ですけれども、米とごまかして供給するというような立場においての国民の栄養、影響等にも十分一つ御考慮を願わなければならんということを私はお願いしておきます。
  69. 有馬英二

    有馬英二君 大分時間が過ぎましたが一言だけ、検査をなされる、まあ規格検査ですが、相当規格に外れた米はどういうふうに処理されるか。
  70. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) これは検査を受持ちまする協会といたしましてその点誠に困るのでありまして、これが食糧に上せるところの人造米というものは、こういう規格に合つたものでなければ売つちやいけないのだというふうにきまれば一番よろしいのであります。ところがそういうことはできないのであります。検査に合格しないものは市販、販売してはいけないのだという区切りがつけられないという現在におきましては、そうしてその希望によつてこれを検査するということでございますから、検査に合格しなかつたものも販売されるものがあるのであります。これはとめようがないのであります。従つてそのいわゆる人造米と称するものの中に検査をしましても検査に合格しないものが自由に販売されることをとめる方法はございません。ただこの検査に合格したものは安心して食べられるのだ、だからそういう証票の貼つたものでなければ売れ行きが悪いんだということを要請をして行くほかこれは途がないのであります、強制をしないという限りにおきまして。その意味においてそういう検査協会はやれと、こういうことを要求されておるわけなんです。
  71. 有馬英二

    有馬英二君 これは協会としてはそういう検査をされる責任を背負わされているかも知れませんが、併し取締の官庁としては、そんなことでは済まされんと私思うのですが、如何でしようか。厚生省なり、或いは農林省はどういうふうにお考えでしようか。
  72. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) この点につきましては、人造米の健全な普及という点には一番議論のあつた点でございますが、今参考人からお話がありましたように、できるだけまあ検査を進めて行くということによつて検査を受けないものがないようにして行く。又一方検査を受けたもので不合格になつた、不合格といいますか、規格に合つていないものは、できるだけ消費者の側において買わないということによつて、だんだんその生産がとまるというような趣旨でございますが、大体この規格を作つて検査をやるという法律の建前といたしまして、強制でないという点で、いわばいいものであれば伸ばすという趣旨からできております関係上、役所のほうでも検査していないものは売つちやいけないということはできないわけでございます。ただ私どもといたしましては、実際的にこれを処理する方法としてまだ決定はいたしておりませんが、我々事務当局で考えておりますことは、例えば先ほど山下先生でございますか、お話がありましたように、砕米等の払下を行うわけでございますが、そういうような場合におきましては、例えば条件を付けまして、できるだけ検査を受けて、そうして規格に合わないものは販売しないというような条件を付けて、原料の払下をやる、若しそういつたような事実がわかればそういう払下のストツプをするとかいうようなことを一応検討中でございますが、何らかそういつたような方法、その他の方法といたしましては、結局検査機関のほうも消費者及び生産者に対するまあ普及といいますか、啓蒙運動といいますか、そういつたような趣旨宣伝を行いまして、できるだけそういうことのないようにしたいと、かようには考えておるわけでございます。
  73. 藤原道子

    藤原道子君 どうも納得ができないのです。事は主食なんですよ、問題はだから今度の人造米問題に対して国民に何やら割切れないものを与えるのはそこにあると思うのです。悪いものだけれどもこれは自由だから仕方がないといつても、これは主食なんですね、問題は。足らざるを補うものを主食でないということは言え切れないだろうと思うのです。でございますから、この点の何らの方針を立たないで政府がこんなに人造米に力を入れるというところに私はおかしいと思う。これはもうはつきりした規格をしてもらわなければ消費者が勝手にきめろとおつしやつても今の山下先生の言われたように、保安隊の隊員に非常に使われる、又私は一番心配するのは紡績等の寄宿にこれが相当使われると思うのです。この人たちはどこを以て不良であるか不良でないかということを検討するのですか。これは国民の食生活を担当しておる農林省としては誠に不見識極まることであつて、こんな無責任なことはないと思うのです。今までパン食の奨励をして、国民が米に対する郷愁を持つておるからというようなことで、そうして手持の澱粉の処理機関の一つの思いつき機関ではないかとも思うのでございますけれども、こういうことをして国民を騙すようなことになることは私はけしからんと思う。これはどうしても一つの絶対に検査を受けるということの義務づけをするか、そうでなかつたら製造工場に対して一つの監督権の発動できるような製造過程をとるか、いずれかでなければ国民は不安でたまらないと思うのでございますが、農林当局どうお考えでございますか。
  74. 有馬英二

    有馬英二君 それに関連して。これは製造所が各所にできると私は思うのです。或る地方へこの間行きましたら、やはりこつちでも人造米製造することを計画中であるという話を聞いた。恐らくこれは北海道でも或いは東北地方でも必ず人造米が各所でできると思います。その際に検査はどういう工合にしてやりましようか。私ども薬品の、まあ例えばペニシリンあたりがそうであつたのですが、非常に検査が厳重であつて、そうしてその規格に外れたものはもう決して売らせないというような厳重な処置を政府がとつておる。然るにこの人造米は今聞くところによると、規格外でも売らせないというわけには行かんというと、そうすると規格外で結構売れる、安く売れる、少し規格が外れたものをどんどん拵えて売ろうというような人が出て来るのじやないかということですね、何にも拘束されないのですから。その際に規格に合うような検査がどれくらいの権威を持つておるものであるか。何にも権威がないということと同じことになつてしまえば、何も金をかけて検査料を出して検査を受けなければならんとも考えないかも知れない。併し遠隔の地で造つて、そうしてさつきお話のようにロツトで以て検査するということになると、例えば北海道で造るという場合には、その検査に非常に日数がかかる。その間に売らんというわけには行かないというようなことになつて甚だどうも困つたことがたくさんできるのじやないかと思うのですが、そういう点はどういう工合に。
  75. 山下義信

    山下義信君 僕も関連して質問します。お答えを一括して願いたい。  やはり検査の問題ですが、さつきお尋ねしようと思つたのですが、今問題が出ましたからお尋ねします。検査をして証票を附して、これは立派な人造米だから安心して食べろと言つて勧めるのだと小浜会長が言われた。天然の米ならば天を恨むというわけに行かないが、人造米ですからどんなことでもできるので、証票を貼つてある人造米を食べて中毒を起したりいろいろなことがあつたらその損害賠償の責任を負うでしようね。それは立派な人造米だといつてレツテルを貼つたのだからね。ですから検査をする人は、これは食べても差支えないとお勧めするのだからね。普及宣伝するのだからね。これは検査しました、立派な人造米ですから安心して召上りなさいとつてレツテルを貼るのですからね。ですからその物を食べて中毒を起したら責任を負うのですね。これを一括して答弁して下さい。
  76. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) 検査の問題については非常にむずかしいので、私どももこの点については先ほどから申上げておりますように強制検査でないという点について、非常にいい意味からいいますとメーカーの自重心と申しますか、良心というものを期待するわけでございますが、又悪い面から申しますと、今のお話のように、規格に合わないもの、或いは検査を受けないものが巷間に流れるということもこれは予想せられるわけでございますが、(「現在あるでしよう」と呼ぶ者あり)その問題につきましては、まあ先ほど申上げましたような措置によつてもできるだけ検査を受けるように指導いたしますと共に、又協会のほうで実際検査をする場合におきましても、ただ検査だけでなくて実際問題としてその工場へ参りまして、そして工場技術指導も併せてやるというような事業も計画しているようでございますので、そういつたような面からしましても生産過程から直接メーカーの指導、それから規格に合う製品ができるようにやつて行くというようなことも考えておるわけでございます。それでなお今パン食、或いはうどん等の粉食等の関係もお話が出たのですが、実はこれも私どものほうで現在文部省で行なつております学童給食用の小麦の価格の半額を国庫で負担してやりますとか、或いはミルクの利子補給の補助を出してやりますとか、それから都市でもつて粉食を中心とした食生活推進の展示会をやりますとか、というようなことをやりまして、従来以上にその粉食の奨励というものは続けて参りたい。又一方政府の小麦の払下にいたしましても、小麦粉価格が高くなつてパンの値上り等を来たさないように政府売却等もだんだんその数量を殖やして売却をして行くというような事情でございますので、人造米をやるということによつて一方の粉食のほうの進展をおろそかにするとか、或いは粉食の部面を早急にこれに切替えるといつたようなことは全然考えていないわけでございます。ただ私どもが今計画しておること等につきましても、いろいろこれが生産から家庭の消費までになります間にはいろんなまだこれから研究をすべき点があろうかと思いますが、諸先生方のお話になりましたその不良品の発生及び消費という点等については、まあ一方厚生省のほうとしても食品衛生法による取締でありますとか、そういうような方面とも連絡しまして十分措置いたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
  77. 山下義信

    山下義信君 検査に関する法的根拠の法令を農林省から取寄せて次回に資料として配つて下さい。
  78. 東辻正夫

    説明員東辻正夫君) この次に持つて参ります。
  79. 藤原道子

    藤原道子君 パン食の奨励を阻害する考えはないとおつしやるのですが、この頃やつと農村はパンが大分浸透して行つているのです。この間岩手ですか、私ども視察に参りましたけれども、農繁期なんか非常に主婦が助かると言つておつた。パン食になつたために御飯を炊かなくてもいいし、パンでもつて朝副食物を作つておけばパンで直ぐできるというので非常に助かると言つているのです。ところが又或る所へ行くと人造米が出て来るということになると、パンの普及を一時ストツプして、今まで慣れた方法で行つたほうがいいのじやないかといつた意見も出ておる、こういうことになると農林省の主食に対する指導が首尾一貫していないというところに私は文句があるのです。だからそれは特にあなたがたとしてはパン食の普及を抑える覚えはないと答弁せざるを得ないでしようけれども、実際においてはそういう傾向になつている。ところが漸くパンが農村にまで普及して行こうという段階に主婦も台所から解放されて喜んでいるときに、こういう人造米普及に多額の金をかけ、而もいろいろな摩擦を起こさなければならない理由がどこにあるかという点です。非常に首尾一貫していないという点をひしひし感ぜられるのですが、この点はこの次に譲りまして、時間がありませんので、そういう点もよく考えて頂きたい。
  80. 尾崎嘉篤

    説明員(尾崎嘉篤君) ちよつと、食品衛生課長でございますが、只今山下さんから人造米で中毒の事件が起きたときはどうするかという、こういう問題がございましたが、これに関しましては、事故防止は私のほうの責任だと思います。人造米以外のほうは今検査をおやりになりますには品質、規格のほうをおやりになつておると思いますが、できるだけいいものを造つて安全なものにするように我々のほうも協会のほうにお願いをせねばいけませんが、その前提に、この人造米の衛生状態はどうかというようなことは、これは私は調査せねばならない、こう思いまして、一カ月ほど前からとりかかつておるのでございますが、まだ十分に結論が出ておりませんが、元来こういう新らしい食品が出ます場合には注意しておかないと、よく事故が起つて来る、二十三年頃だと思いますが、脱脂大豆を輸入いたしましてそれでパンを造つて大分中毒が出たというような事件があります。人造米でこういう事件が起つたのでは我々としても申訳ないと思いまして、殊に主食でございますから十分これは研究せねばならないと思います。又使います澱粉というものが、よくこの煉製品などが腐敗いたします原因として、使います澱粉が甚だ不潔なものが多いというような事態も我々承知しておりますので殊に注意しておつたのでありますが、そういうようなものを水に溶いて暫く時間を置いたりしますと、菌がどんどん殖えるというようなことがあるので、先ず各府県に命じましてサンプルを私のほうに取寄せまして、それで今衛生試験場を通じて検査をやらせたのでありますが、まだ途中でございますが、現在三例ばかりのデーターが出て、それ以外のものは続けております。そのデーターから申しますと、これは京都の製品、金沢の製品、神奈川の製品でございますが、水分とか灰分とかいうような化学的の面はこちらの農林省の規格よりいい程度でございまして、で、その中に、私のほうの特殊な技術でございますが、その器械で調べてみますと、鼠の毛が一例発見された、昆虫、或いは穀象虫の羽片が三例とも全部発見されておる、それから土砂などもその残片が見られます。こういうようなところから言つて、材料は普通一般にある澱粉類、こういうようなものであるが、やはり多少汚染はされておる傾向はあるということはわかりますが、細菌学的に見ますと、生きておる菌の数が一立方センチの中に多いものでは二万三千、少いものでは三百ばかりある。大腸菌、これは我々の赤痢とか何とかをインデイケーターしようとして使うものでありますが、これが三例中二例において見られます。併しこういうことは実はあまり恐れるわけではないのでありますが、どうせあとで又ぐらぐら炊いて食べるのでありますから少々黴菌がありましても病源菌がありましても、百度で十分、十五分炊けば死ぬ。こういう虞れはないのでありますが、私たちの恐れるのはこのことにおいて、ほかの黴菌もその処理過程において死んでないということでありまして、そうすると私たちが一番心配しますのは葡萄状球菌その他の毒素を出す黴菌がございます。先ほどちよつと申上げました大豆の中毒の場合に、葡萄状球菌の毒素が殖えて来て、それを食べることによつて中毒する。こういうような問題でありまして、その葡萄状球菌の出した毒素、これをエンテロトシキンと申しますが、この毒素は少々の熱を加えても破壊せられないのです。そういうような毒素を出す葡萄状球菌が、毒素を出すものと出さないものがありますが、どちらとも区別がつかないわけでありますが、二例において一方は二百二十、一方は四でございましたか、認められております。こういうことから私たちはまあ製造過程をもう少し工夫をすれば一番いいのですが、ただ併しこういうようなデーターがあつたからと申しましても、直ぐこれが危険だという結論には我々、話を持つて行かないのでありまして、もう少しこれはデーターを集め、更に研究をしなければならん。こういうような数字を現場の製造過程と合して考えなければならんと、こういうように我々考えるのでありまして、まだ一例の工場しか見せて頂いておりませんが、千葉県の某工場を実は先週ですか、我々見学に参りましたが、それを見せてもらいますと、一番心配しておりました一つの問題は、心配は大体要らないという結論だつたのであります。それはどういう意味かと申しますと先生方も御覧願いましただろうと思いますが、水を加えていろいろな小麦粉澱粉、砕粉、砕米の粉、そういうものに水を加えてミキサーにかける。それをしばらく時間をおいておけば、そこで黴菌が殖えますが、それを直ぐにローラーにかけて製品化している。殆んど貯蔵しておる時間がない。それはエンテロトキシンを出す間がない。水を加えてから製品になるまでの時間が余りないことから、このほうの心配は先ず大体ないということが私どものほうは考えております。そしてただあと今心配しておりますのは、この製品になりましてからその製品の中で黴菌などの殖えて行つて毒素を出して行く。こういう問題がございまして、この問題を現在追究中でございます。まだこれは結論が出ておりません。この以外にまだいろいろな製品があると思いますから、この点をもう少し我々は勉強したいと、こういうふうに思つて、今衛生試験所を督励させ、又府県の係官を動員して研究しております。
  81. 山下義信

    山下義信君 只今の食品衛生課長の答弁は私は多といたします。なかなかよく勉強している。私は農林省の規格については十分疑義があると思う。その材料の古いとか新らしいとかの鮮度については規格はどうか。なお毒素が変化するかどうか。古いものでも販売させるのかどうか。いろいろ疑義があると思います。この問題は次回に持越して十分一つ審議を御続行願いたいと思います。
  82. 高野一夫

    高野一夫君 年産三十万トン人造米製造計画というのは何か根拠があるのでしようか。これは参考人のかたからでも農林省からでもいいのですが、例えば三十万トンの人造米を造るのに澱粉が十万トンいる。澱粉が十四、五万トンぐらい処分できればそれでいいという考えか。それとも工場の能率規模からの考えから割出された数字なのかどうか。大体三十万トンという目標ですね。どういう基礎で置かれたのか。参考人のかた、御承知ならば御説明願いたいと思います。
  83. 小浜八弥

    参考人小浜八弥君) 私大体承わつていることがございますが、併しこの計画をお立てになりました農林省で、三十万トンにはどういう計算でおやりになつたのか。これは私承知いたしませんが、私の承知いたしておりまする範囲におきましては、現在配給されております米が大体三百万、それの二割とすれば六十万トンになるが、先ず一割と見て、三十万トンぐらいのところまで急速に拡めたほうがいいのじやないかというようなところから来ているようでございまして、澱粉を多量に食糧庁は抱えておられまするが、その澱粉の消化の面から三十万トンという計画が生まれて来たとは私承わつておりません。人造米普及することによつて澱粉の消費という面が開けるということは一つの狙いであります。それから又小麦粉を使いまするから外米の代りに小麦粉輸入してそれで置き換えるというのが一つの狙い。そういうようないろんな狙いが一緒になつてこの人造米の奨励をしようじやないかということに農林省の方針がきまつたというふうに私は承わつております。
  84. 中山壽彦

    委員長中山壽彦君) もう大分時間も過ぎましたから今日はこの程度にいたしまして……。小浜さん長時間ありがとうございました。明日十時から又超過米の参考人も見えると思いますから、本日はこれで散会にいたします。    午後零時五十七分散会