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1953-12-03 第18回国会 参議院 厚生委員会国民生活改善に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年十二月三日(木曜日) 午前十時二十八分開会
—————————————
昭和
二十八年十一月三十日
厚生委員長
において本
委員
を左の通り指名した。
中山
壽彦君
高野
一夫
君 廣瀬 久忠君 林 了君
山下
義信
君
藤原
道子
君
有馬
英二
君 同日
厚生委員長
において左の者を正副
委員長
に指名した。
委員長
中山
壽彦君
副
委員長
山下
義信
君
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
中山
壽彦君
副
委員長
山下
義信
君
委員
高野
一夫
君 林 了君
藤原
道子
君
有馬
英二
君
事務局側
常任委員会専門
員 草間 弘司君
常任委員会専門
員 多田 仁己君
説明員
厚生省公衆衛生
局栄養課長
大磯 敏雄君
厚生省公衆衛生
局食品衛生課長
尾崎
嘉篤
君
農林省食料研究
所食品栄養部長
桜井
芳人君
食糧庁食品課長
東辻
正夫
君
参考人
人造米協会会長
小浜
八弥
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
人造米
に関する件
—————————————
中山壽彦
1
○
委員長
(
中山壽彦君
) これより開会いたします。本日は
人造米
に関する
事項
について
参考人
として
人造米協会会長小浜八弥
君に御
出席
をお願いいたしております。
参考人
には御繁忙のところ特に御
出席
を願いまして誠にありがとうございました。厚くお礼申上げます。
参考人
のほかに
農林省食糧庁
の
食品課長
、
食糧研究所
の
桜井部長
及び
厚生省食品衛生課長
、その他
関係官
の
出席
を願
つて
おりまするが、先ず
参考人
のほうから
人造米
に対する御
意見
を拝聴いたしたいと存じます。拝聴いたしたい
事項
の要点はあらかじめお願いしておきましたのでどうぞ。
小浜八弥
2
○
参考人
(
小浜八弥
君) 本日
参考人
としてお呼びになりましたので罷り出ました
人造米協会
の
会長
をいたしております小浜でございます。
中山
小
委員長
から御
書面
で十
項目
に亘りましてこういうふうなことについて
意見
を申述べるようにという
書面
を頂いておりまするので、その
項目
に
従つて
、私の承知いたしておりまする
範囲
で御説明申上げたいと思います。 第一は
人造米
の
製造法
ということが第一
項目
にな
つて
おります。
人造米
の
製造工程
は大体初めに
原料
を混ぜ合せまして、それを
粘体機
にかけて
粘体
を作ります。それを米の形に打ち出して、それを更に分離して、米の形のものを選り分けて、それを
蒸気処理
によりまして
表面
を固化する、
表面
を固くする。そうしてそれを
乾燥機
にかけて
人造米
を造る、大体こういうふうな
工程
をとるかと思います。で、
原料
といたしましては、現在
製造
されておりまするものについては、
原料
の
混合
の
割合
は必ずしも一致はいたしておりませんが、
原料
といたしましては
澱粉
とそれから
小麦粉
と
砕米
、これが
原料
にな
つて
おります。これの
混合
の
割合
は
製造業者
によりまして必ずしも一致いたしておりませんが、大体は
澱粉
が二〇%乃至四〇%、
小麦粉
が七〇%乃至五〇%、
砕米
が一〇%というふうな
混合割合
にな
つて
おります。
従つて
その組合せによりまして
澱粉
を二〇%にいたしまする場合に
小麦粉
が七〇%になります。
澱粉
を三〇鬼にいたしました場合に
小麦粉
が六十%になるというふうな変化があるのでございまして、大体の
割合
は今申しましたようなことで、巾を持ちながらいろいろの
混合
の
割合
で
製造
されているという
状態
であると思
つて
おります。で、この
原料
を混ぜ合せまして
栄養
を強化するというふうな場合には、その際にその
工程
において
ビタミン
、カルシユームなどを添加するというやり方であると思います。で、
原料
を
混合
いたしましたものを
粘体機
にかけて
粘体
を造るのでございますが、この場合混ざり方が均一に混
つて
おらなければいけませんので、適当な厚さを持つた
粘体
にそれをいたしまして、それに圧力を加えて
粘体機
にかけて米の形を打ち出すわけでございます。そうして打ち出しました米の形に
なつ
たものを
蒸気処理
を施しまして
表面
を固化する、そうしてそれを
乾燥機
にかけて
乾燥
をして
人造米
ができ上るという
製造
の
工程
を迫るのが現在の
状態
でございます。 それから次に御
質問
を受けておりますのは、
人造米
の
規格
と
栄養価値
ということでございますが、
人造米
の
規格
につきましては、去る十一月二十四日に
農林省告示
第八百八号、それによ
つて人造米
の
日本農林規格
というものが
告示
されております。この
規格
に基いて
人造米
が
製造
されるということに相成るわけでありまして、その
告示
を御覧頂けばわかると思いますが、その
告示
には
定義
といたしまして、この規程において
人造米
とは、
澱粉
及び
穀類粉
又は
穀類粉
を
原料
として
米粒状
に成形し、米の形に成形し、
精米
とほぼ同様に使用できる
性状
を備えたものをいう、こういう
定義
にいたしております。そうしてその
規格
といたしましては、
水分
一四%以下、一升の
重量
三百六十匁以上、それから固さが六キログラム未満の粒が
粒数
で一五%以下であること、それから
砕粒及接着粒
の
合計量
が五%以下、それから熱量は百キログラムについて三百三十五カロリー以上、
繊維
が〇・五%以下、
灰分
が〇・八%以下、
カルシウム強化
を
行なつ
たものを除く、
性状
は形態、
色態等
が
精米
に近く異味、異臭のないもの、それから混り物については混り物のないものというふうなことが
日本農林規格
として
告示
されております。これの
規格
に合つたものを
人造米
としてお勧めする。それでそれに基いて
人造米協会
というものができまして、
人造米協会
で
検査
をいたしまして、この
規格
に合
つて
おるものについては
検査証票
を付けて、この
検査証票
のあるものについては安心して
召上
つて
頂きたい、ということの
区別
を付けて行きたいというふうに相成
つて
おります。 それから
人造米
と
天然米
との
性状
の
比較
、特に
栄養価値
というものにつきましては、物理的な
性状
といたしましては、一升の
重量
が
農林規格
には三百六十匁以上とな
つて
おります。
一般精米
は三百八十二匁乃至三百八十三匁、現在
製造
されておりまする
人造米
にはいろいろなものがありますが、我々の調べましたものでは三百八十一から三百八十二くらいのところが一升の
重量
にな
つて
おります。
農林規格
で三百六十匁以上とありますが、これは
人造米
を
ブラウエル穀粒計
で
測定
をいたしまするので、その
測定
をいたしまする際に、
精米
に比べて
人造米
は多少とげがございますので、一升に入ります量が
精米
よりも少し少い。
従つて
三百六十匁以上と規定いたしますことによ
つて
、一升の実際の
重量
は
精米
に大体違いない
重量
で抑え得るのじやないかというところで、そういうような
規格
にな
つて
おります。それで固さにつきましては
一般精米
が四・五乃至六・五キログラムにな
つて
おりまするが、
農林規格
に、おいては六キロ以上の固さを持つものというふうに規定されております。化学的の
性状
、特に
栄養価値
、これは
一般精米
と
人造米
と化学的に
比較
いたしまして、どういうふうな
成分
になるか、これは
人造米
がどういう
割合
で
混合
されておるか、
原料
の如何によりまして、又その使われる
原料
のよし悪しということによ
つて
違
つて
参りますから、
一概
には申されませんが、私
たち
の持
つて
おりまするのはたしかこれは
食糧研究所
でお調べ頂いたものと思います。それに使いました
人造米
は
澱粉
四、
小麦粉
五、砕け米一という
混合割合
で
混合
いたしました
人造米
を分析いたしたものと思います。それの
比較
によりますると、
水分
につきましては
一般
の
精米
が一四・四グラム、
人造米
が一三・四、
蛋白質
は
一般精米
が六・四、
人造米
が六・六とな
つて
おります。それから炭水化物が、
一般精米
が七七・五、
人造米
が七七・九、
脂肪
は
両方
とも〇・八、
繊維
が
両方
とも〇・三、
灰分
も
両方
とも〇・六、カロリーは、
一般精米
が三四三、
人造米
が三四五というふうな
成分
に相成
つて
おります。で、
蛋白質
、
脂肪等
につきましては、今申しましたように、
一般精米
と殆んど変りはございませんが、
小麦粉
の
配合割合
を若干多くいたしますることによ
つて
、更に
蛋白質
及び
脂肪
は増加するものと考えております。それから
ビタミン
、
カルシウム等
の添加によりまして
栄養
を強化するということは当然考えられるわけでございまするが、
人造米製造
の
技術
が完全に各
工場
に滲透いたしましたのちにおきましては、これらの
栄養
素が添加せられる、
工程
中においてそういうものが添加されるであろうと考えております。なお
ビタミン
を
天然米
に滲透させる、若しくはこれに塗布するという方式による、いわゆる
強化米
の
製造
よりも、
人造米
の
製造過程
においてそういうふうな
栄養
剤を添加する
方法
がむしろ容易でありはしないかというふうに考えられております。 次に現在市販されておる
人造米
の種類と、その優劣ということが
お尋ね
の
項目
にございまするが現在稼働いたしておりまする
工場
では、その
製品
にそれぞれ
登録商標
を付して
販売
いたしておりまするが、その中には
粗悪品
も見受られるようでございまするが、
食糧庁食糧研究所
で数種類の
市販品
を試験されました結果がございます。これは同じ日に調べたのではないのでございまして、試験の日にちがいろいろ九月の二十七日、十月の一日、十一月の十二日、十一月の十九日というふうに違
つて
おります。それの調べましたものによりますると、例えばABCDと、こういたしますると、Aにつきましては一升の
重量
が三百六十八匁、Bについては三百七十二匁、Cについては三百六十八匁、Dについては三百九十匁というふうに相成
つて
おります。固さの点につきましてもAは九・五キログラム、Bは十・五キログラム、Cが九・四キログラム、Dが十一キログラムというふうに違
つて
おります。いろいろのものが市販されておるというのが現在でございます。 その次には、国外における
人造米利用
の
状況
ということが
お尋ね
の一
項目
にございます。
日本
以外における
人造米利用
の
状況
につきましては、実は
外国
では、
日本
のような、特に米を
食糧
にするということについて、非常な重点が置かれておらない
関係
から、
外国
にはいわゆる
人造米
はないのじやないかというふうに考えられます。併し形の似たもの、又その
栄養強化
の観点から、いわゆる
強化米
として
外国
にも行われておるものがあると考えられます。
タピオカ
・パール、これは
タピオカ澱粉
に水を加え、加熱して球状にしたものでありますが、これは
スープ
に入れて使用するもので、インドネシア、香港、
シンガポール方面
で
製造
されておると承知しております。
日本
にも輸入されたことがあるということを聞いております。それからセル型の
マカロニ
、それは形がいろいろにな
つて
おりまするが、
貝殻状
のもの、
三日月状
のもの、或いは星の形をしたもの等がございますが、そのうちの
貝殻状
のものは
米粒
と殆んど同じくらいの大きさであ
つて
、これを
セル型マカロニ
と申しておるようでございます。
スープ
に浮かして食べますそうでありまして、主としてイタリー、
アメリカ等
で使用されておる、こういうことを我々承知いたしております。それから
強化米
といたしましてコンパーテツド・ライス、パーボイルド・ライスと申しておりますが、これは籾を温水につけて
乾燥
をし糠の中にあります
ビタミン
を米に移行せし
むるという方法
がとられておるものがあるのでございます。又プロミツクス・ライス、これは
白米
の
表面
に
ビタミン
及び
カルシウム
、
鉄等
の無機物を塗布いたしまして、その上に被膜をかぶせて
栄養
を強化したものがございます。又ビタ・ライスと申しますのは、
白米
の中に
ビタミン
を滲透せしめたものでございまして、
京都大学
の
近藤教授
によ
つて
研究されたものがございます。こういうふうなものが現在
強化米
として
製造
されておると承知いたしております。 次に現在考えられておる
製造規模
並びに将来への構想ということが
お尋ね
の一
項目
にございます。本年三月に最近の
技術
による
中間工場試験
に成功いたしたのでございまして、五月頃から二、三の
工場
において大量的に
生産
をするというふうなことが行われて参つたのでございます。で、今いろいろの
規模
で
人造米
が造られております。ほうぼうで造
つて
おりますが、現在造
つて
おりますものがどれくらいかということがはつきりいたしません。で、これだけの
規模
でや
つて
おるのだということを申しても、それがかけ声であ
つて
、実際に稼働していないものもあるようでございまして、私
たち
の調べましたところによりますと、これはまだこのほかにもあると思いますが、十一月二十日現在におきまして、
日産
十トン以上の
能力
を有する
工場
が七つ、十トン以下の
能力
を有する
工場
が十五、これは
生産設備
が完了をいたしておると考えておりますが、この
工場
が一日八時間稼働いたしまして、一カ月二十五日
操業
をするということで
計算
をいたしますと、一カ月に二千九百七十五トン
生産
するということに相成るわけでございます。で、現在いろいろ
計画
されておる
工場
が完了するというところの見通しを付けまして、十二月末にはどういうふうな
稼働状況
になるだろうかということを
計算
して見ますると、
日産
十トン以上の
能力
を有する
工場
が十七、十トン以下の
能力
を有する
工場
が三十。で、先ほど申しましたような一日八時間稼働で一カ月二十五日
操業
ということで
計算
いたしますると、十二月末日においては一カ月間に八千四百二十五トン
生産
されるというふうなことになると見当をつけております。で、今ほうぼうで
工場
が整備を急いでおりますので、来年の三月末におきましては
月産
二万五千トンという数字に達することは容易なことでありはしないかというふうに考えております。
政府
におきましては、
差当り
の
生産目標
を
年間
三十万トン、
月産
二万五千トン、こう押えて一応この程度に早く達しさせたいという
計画
を持
つて
おられますが、この
年間
三十万トンの
計画
というのが、
米穀消費部分
に対する
配給米
の
年間数量
約三百万トンに対しまして、
人造米
を二割混ぜて食べるということになりますと
消費量
が六十万トンに相成るわけでございまするが、
差当り
その半分と見て
年間
三十万トンの
生産
に早く達せしめたいという目標を
政府
で立てておられます。
従つて
将来
人造米
が品質優秀なるものが、而も適正な
価格
で大量に
生産
されて、
普及
されるということになりますれば、現在の
外米
の
輸入量
が相当にセーブできるのではないだろうかというふうに考えております。 それから現在の
規模
において、それではどれくらいのコストがかかるかということでございます。これは
工場
の
規模
によりまして違いまするし、又使いまする材料の
混合割合等
によ
つて
も遅
つて
参りまするから、
一概
には申せませんが、
澱粉
四%、
小麦粉
五%、
砕米
一%、こういう
混合割合
で行くものと仮定いたしまして、そうして
澱粉
の
価格
は
キロ当り
五十三円三十三銭、
小麦粉
は
キロ当り
五十円、それから
砕米
は五十八円五十銭、こうするものといたしまして
計算
をいたしますると、
人造米
一キロに要する
原料
の値段が五十二円十八銭と相成ります。それを
原料
に対する
製品
の歩留りを九五%と見て
計算
いたしますると、
人造米
一
キロ当り
の
原料費
が五十四円九十三銭と相成る次第でございます。これに
工場
における
加工賃
、これがまちまちであると思いまするが、これを十七円ぐらいと見るのが妥当ではないか。そういたしますると、
工場
の原価が七十一円九十三銭と相成りまするので、それに現在
配給米
が配給される過程において、
販売業者
のマージンを八%、それと同じように八%と見ますると、小売の
価格
が七十七円六十八銭、かように相成る次第でございます。これは
日産
十トンの
能力
を有する
工場
として
計算
をいたしました次第でございまして、これが
日産
三十トンの
工場
になりますると
加工費
が減
つて
参ります。それを
日産
三十トンの
工場
で
生産
いたしまする場合には、
加工費
が十七円のものが十五円くらいまで低下できるのであろうというふうに考えております。更にもつと大きな
大量生産
の方向に参りますと、この
加工賃
はもつと下りますので、一
キロ当り
十二、三円ぐらいのところまで下り得るということになるのではなかろうかというふうに考えております。
人造米普及
の方針並びに
供給
の
具体的方法
という
お尋ね
でございまするが、
人造米
に対する
消費者
の正しい
認識
を深め、更に
製品
を
検査
いたしますことによ
つて合格
のマークを付して、これならば安心して
召上
つて
頂きたいということで、その
区別
をはつきりつけ、そうして
人造米
の声価を一方高めますると同時に、
人造米
はこういうものだから安心して
召上
つて
もらいたいということの
宣伝
をいたす必要があると思いまするが、その
宣伝
の
方法
としては、或いは映画を使いますることもありまするし、ラジオ、
新聞
、雑誌、その他の
宣伝機関
を通じてその
趣旨
を徹底せしめ、更に各種の会合を利用いたしまして、
人造米
の
趣旨
を説明し、或いは
展示会
を開き、或いは
講習会
を催して
人造米
の
製造
の
技術
を更に向上せしむる。又
人造米
の
販売業者
を通じて
消費者
に呼びかけをするということも考えなければならんかと思
つて
おります。
人造米
の
消費者
への
供給
の途といたしましては、現在
主要食糧販売業者
の
系統機関
といたしまして、
全国食糧事業協同組合連合会
がございます。又
全国米穀商組合連合会
がございます。又
人造米
の
販売
については、これら
系統機関
を利用するのが適当と思いまするが、その他現在
小麦粉販売業者
なども
人造米
の取扱いをいたしておりますが、これらの
業者
の協力を待
つて
消費者
に対する
人造米
の円滑なる
供給
を図
つて
参りたい、かように考えております。
人造米
の
特許
と
協会
の
性格
、
活動
の
内容
という
お尋ね
でございます。
人造米
の
特許
の問題につきましては、
食糧庁
からもお見えにな
つて
おりまするから、
食糧庁
のほうから詳しくお聞きを頂いたほうがよくはないかと思いまするが、
人造米
に対する着想は今に
始つた
ことでないので、随分古くからあるのでございまするが、それの
製造
に関する
特許
もいろいろ従来ともあつたようでございます。最近、
澱粉
、製粉を
原料
として植物
蛋白質
によ
つて
これを凝固せしめ、更に
蒸気処理
によ
つて表面
に固い皮膜を形成して
天然米
と殆んど同様のものを造るということにつきましては、現在有効な
特許
といたしましては松浦氏の
特許
がございます。それの
特許
の
内容等
につきましてはて
食糧庁
のほうから詳しく御説明頂いたほうが、ずつとそれについてや
つて
おられるようでございますから、そのほうがよくわないかと考えす。
財団法人人造米協会
の
性格
、その
活動
の
内容
につきましては、この
協会
の
性格
といたしましては、
人造米
について急速にこれが取上げられました
関係
から、最近の
技術
を
製造工場
に速かにこれを徹底させて優秀な品質のものを
生産
させるということが急務でございます。又現在
粗悪品
が出廻
つて
おるのもありますし、又出廻る虞れが多分にありまするので、これを阻止するために
検査
をいたしまして、その
検査
いたしましたものには
証票
を付して、これならば安心だということを
区別
をはつきりつけて、その
証票
のあるものについては安心して
召上
つて
もらいたいということをいたしますることが必要だ、又新規の品物でございまするから、
消費者
に対して
人造米
の正しい
認識
を与えなければならんし、又新らしく造り出されたもので
技術
的にこれからいろいろ向上して行かなければならない、改良の余地が多分にございまするので、
技術
の
改良進歩
を図るために
技術
の
指導
もして行かなければならない。で、そのために
財団法人人造米協会
というものを作りまして、
検査
をし、それから
人造米
を造
つて
いる
工場
の
技術
を
指導
をする、更に
人造米
の正しい
認識
を
消費者
に拡めて参りまするために
普及宣伝
のことをやるという、こういう目的をも
つて
協会
が生れました次第でございます。併し
協会
は発足いたしましたが、まだ陣容も整
つて
おりません。又
農林規格
は発布になりましたけれども、一カ月間中をおいて、十二月二十四日からこの
告示
は効力を発生するということに相成りますので、それまでの間に
検査
の機構を整えて、そうして
検査
できるようにしたいというので、今
活動
を始めるべく準備中でございます。
協会
といたしましては
全国
に
検査網
を持ちまして、そうして
農林物資規格法
に基く
登録格付機関
として
人造米
の
検査
を行う、そのために
検査員
を今養成中でございます。ところが
人造米協会
のほかに
業者
の作
つて
おりまする
団体
としてこれに似たものがございます。
日本人造米協会
というふうなものもございます。又
全国合成米協会
、それから
栄養特米協会
というふうなものがございます。これらの
団体
は
業者
が
集つて
、或いは
原料
を共同に購入するとかなんとかいう
経済行為
を主とする
業者
の
団体
でございます。
財団法人人造米協会
は
人造米
の
検査
を公正に
行なつ
て、これならば安心して
召上
れるという
区別
をつけて行きたい、又
技術
の
指導
をして行きたいという公益的の面を受持つた
活動
をして行きたいというので、
財団法人人造米協会
はその
業者
の
団体
と緊密なる連絡を持
つて
行かなければならんことは勿論でございまするけれども、その機能においては、はつきり分れております次第でありまして、
財団法人人造米協会
のほかに現在
全国合成米協会
、
日本人造米協会
、これは甚だ似
通つた名前
でございますが、
日本人造米協会
、それから
栄養特米協会
というふうなものが
業者
の
経済団体
として現在ございます。
人造米協会
はさような使命を持
つて
おりまするので、本
協会
の
検査
の対象となりまするものはひとり
松浦式
の
特許
に基いて
製造
されたもの以外に、それ以外の
方法
によ
つて
も
人造米
ができまするものにつきましては、これは広くすべて
検査
の対象にしたいというふうに考えております。 で、最後にその他何か気の付いたことを申上げるようにということで、十としてその他という御
書面
にな
つて
おりまするが、
人造米
の
経済効果
につきまして一言附加えておきたいと考えております。
人造米
の
原料
は
澱粉
、
小麦粉
、
砕米
を使用するものでございまして、
澱粉
につきましては農家経済安定のために、
いも類
の
価格
の対策といたしまして、
農産物価安定法
に基いて
澱粉
の
政府買上
を
行なつ
ておりまする次第でございますが、この
澱粉
の
新規用途
を開拓する必要に一面迫られておるわけでございます。で、この
澱粉
の
新規用途
として
人造米
の形においてこれが
食糧
に広く供されるということは、農産物
価格
安定の
趣旨
を徹底せしめる一つの
方法
としてこれが用いられるんじやないだろうか、又
小麦粉
におきましては、多量の
食糧
を
日本
は輸入しなくてはならないのでございまするが、
外米
に比べまして
小麦粉
を輸入いたしますることが、ずつと格安になるわけでございます。この
小麦粉
を
使つて米
の形にして
食糧
に供する、そうして
外米
の輸入をセーブできるということにな
つて
、
小麦粉
を
外米
に置換えるという一つの
方法
としてこの
人造米
というものは考えられるんじやないだろうか。そういう意味において
政府
は急速にこの
人造米
の
普及
を図りたいというので、十月二十七日の閣議の決定を見ました次第でございまして、その
閣議決定
の
趣旨
に基いて
人造米普及
の一翼を担うべく
人造米協会
が発足した、こういうことに相成
つて
おります。以上。
中山壽彦
3
○
委員長
(
中山壽彦君
) 御質疑を願います。
高野一夫
4
○
高野一夫
君
先ほど特許
の問題は
農林省側
から御説明願いたいという
参考人
のお話でしたが、
特許
の
内容
は
明細書
でわかりますから
お尋ね
する必要もないと存じますが、最近
新聞
によく伝えられておる
松浦式
の
特許
というものと、現在の
人造米
の
製造工場
におけるその
特許
の
利用関係
、そういうふうなものについて、
農林省側
で御承知ならばちよつと聞かして頂きたい。
東辻正夫
5
○
説明員
(
東辻正夫
君)
松浦式特許
の
使用状況
の御
質問
がございましたので、私
ども
が知
つて
おります
範囲
におきまして御説明申上げます。
特許
の法律的な
内容
なり、その
範囲等
につきましては、法律的には
特許
庁のほうの所管でございますので、私
ども
のほうからはつきりしたことは申上げられないのでありますが、
人造米
の
特許
につきましては、私
ども
が承知いたしております
範囲
におきましては、十数あるんじやないかということを聞いておりますが、
松浦式
の
特許
を使
つて
現在
人造米
を造
つて
おる形といたしましては、
特許
権者との契約によりまして実施権を設定してもら
つて
、それによ
つて
使用料を払う、そうして現実に
人造米
を造
つて
いる、こういう形にな
つて
おると承知いたしています。で、その数でございますが、まだはつきりした数字は正確には掴めておりませんけれ
ども
、今年の五月くらいから実際問題といたしましては諸方面で
計画
を立てまして、現在では恐らく
計画
を立てている
工場
まで入れまして数十の
工場
がこれから
計画
し、或いは実際に
人造米
を
生産
しているのじやないかと、こういうふうに承知いたしております。それからなお
松浦式
の
方法
以外の
方法
によ
つて
もいろいろ
関係
方面で研究をいたしまして、それによる
製造
方法
も行われているということも承知いたしております。
高野一夫
6
○
高野一夫
君
政府
のほうでは、
食糧庁
でも結構ですが、いろいろなパテントがあるうちで、特に
松浦式
パテントが最もいいというようなことで、
人造米
のメーカー方面にその
方法
を利用するようにどんどん奨励と言いますか、
指導
と言いますか、そういうようなことでもされておりましようか。ただ
業者
間での随意ということで、何ら
政府
のほうではそれを関知しないと、こういうような態度でしようか。
東辻正夫
7
○
説明員
(
東辻正夫
君) お答えいたします。
人造米
の
生産
を推進するといういろいろな奨励の措置を講じているわけでございますが、今の
松浦式特許
につきましては、その
松浦式
以外にもいろいろな
製造
方法
があるということからいたしまして、その
特許
の問題をめぐ
つて
いろいろなトラブルがあるようにも聞いておりますので、そういつたようなトラブルを避けて、できるだけスムースに
生産
ができるようにということは考えておりますが、
松浦式
でなければ
人造米
の
生産
者としては認めないと申しますか、
政府
の奨励措置の
対象
として考えないというようなことは考えておりません。
高野一夫
8
○
高野一夫
君 仮に
松浦式
を材料に上げてみまして、そのパテントを数カ所の会社
工場
で同じパテントを利用するというような場合に、実施権の分割と言いますか、そういう点は各会社が個個に
特許
権者と折衝してや
つて
いるわけでしようか。
東辻正夫
9
○
説明員
(
東辻正夫
君) さようでございます。
中山壽彦
10
○
委員長
(
中山壽彦君
) 他に御質疑ございませんか。
有馬英二
11
○
有馬
英二
君
参考人
に伺いたいのですが、私がまだ
人造米
を自分で食べてみないからよくわからないのですが、どうもいも臭くていかんとか、匂いがどうもするとかいう話を聞くのですが、それに対する何らかの
改良
方法
と言いますか、何かそういうことについて研究が進められておりますか。
小浜八弥
12
○
参考人
(
小浜八弥
君) それは
原料
の
混合割合
によ
つて
、
小麦粉
のパーセントを余り多く入れますと、うどんの匂いがするそうです。うどんの匂いはつんとするそうです。まあ
小麦粉
六〇%くらいならば、そういう匂いはしないと申しております。それは
原料
の
混合
の
割合
によりましてそういう匂いのするものがあるようでありまして、大体いもの匂いがするということは余り聞きませんが、これはまあ
澱粉
を非常にたくさん入れますとそういう匂いがするかも知れませんが、
澱粉
は、あれはそんなことはないのじやないかと思
つて
おります。ただ
小麦粉
を余り入れますとそういう匂いがするということを申しております。
高野一夫
13
○
高野一夫
君 もう
一つ
、ついでに農林省に伺いますが、先ほど
参考人
が御説明になりました
告示
の八百八号というような
規格
ですね、これはどの程度の拘束力を持つものでしようか。
東辻正夫
14
○
説明員
(
東辻正夫
君) 御説明申上げます。
人造米
につきまして、先ほど制定されました
日本農林規格
は、これは根拠といたしまして
農林物資規格法
に基く
規格
でございます。
農林物資規格法
と言いますのは強制
検査
ではありませんので、個々の商品につきまして
政府
でも
つて
一定の標準の
規格
を定めまして、その
規格
を
日本農林規格
と言うのですが、その
規格
に合致しております品物でありますれば希望によ
つて
検査
をいたしまして、そうしてその
規格
に合致するということでありましたら、その商品に
日本農林規格
というマークを貼
つて
販売
をする。それで
消費者
なり或いは取扱
業者
のほうでは、そういうマークが貼
つて
あれば、一応国で定めた標準の
規格
に合致している商品であるということによ
つて
、安心した取引なり消費ができるということによりまして、そのものの品質の向上、
規格
の統一と言いますか、そういうことを目的にした法律でございます。従いまして
人造米
につきましても、これは
政府
がこの
規格
に
従つて
いるかどうかということを直接
検査
をするわけではございません。先ほど
参考人
のほうから御説明がありましたように、この法律に基きまして、
財団法人人造米協会
がこの法律の
登録格付機関
として
政府
に申請を出しまして、
政府
が適当だということになりますれば、
人造米協会
のほうで
業者
のかたの希望によ
つて
検査
をしてやると、こういう形をとるわけでございます。従いまして、法律的に、形式的に申上げますと、この
規格
に
従つて
全部が
生産
されるということは望ましいわけでありますが、必ずしもこの
規格
でなければ売つちやいけないとか、消費してはいけないとかいうような拘束力はないわけでございます。
高野一夫
15
○
高野一夫
君 そうすると、只今の御説明でよくわかつたのですが、とにかく
販売
上のただ
政府
の奨励というに過ぎないわけなんですか、そうすると、先ほ
ども
参考人
のお話にございましたように、相当粗悪なものも、その粗悪なものというのは
告示
の
規格
に副わないものという意味だろうと私は解したのでありますが、そういうものがどんどん出た場合に、それを取締る
方法
はないということになりますか。
東辻正夫
16
○
説明員
(
東辻正夫
君) 先ほど申上げましたのは一応法律的な取扱いを申上げましたのですが、私
ども
のほうといたしましては、できるだけ各メーカーがこの
規格
に合致した
製品
を造られることを希望いたしますし、従いましてできるだけ
登録格付機関
の
検査
を受けるようにという
指導
はいたして参りたい、かように考えております。ただ厳密な意味においてそれでは受けなかつたものはどうするかということになると、
業者
の希望でありますから強制はいたしません。一部
検査
を受けないで、場合によ
つて
はこの
規格
に合致しないものが発生するということもあろうかと思いますが、私
ども
といたしましては、できるだけそういう商品が出て、
消費者
の迷惑になるようなことのないように十分
指導
はいたして参りたい、又いろいろな
関係
団体
等にもこのように連絡をして十分注意いたして参りたい、かように考えております。
高野一夫
17
○
高野一夫
君 そうするとその程度のことであ
つて
、何ら
人造米
の
製造
販売
上に拘束すると言いますか、取締りと言うか、その
方法
は現在ないということだけは、はつきりして参つたわけです。そこでこの
規格
を制定されるということについて厚生省側に伺いますが、この
規格
の
内容
の制定のことについては厚生省も相談に与かられて、会議の上ででも、何かきまつたものですか。農林省
関係
だけでおきめに
なつ
たものですか。
大磯敏雄
18
○
説明員
(大磯敏雄君) 只今御
質問
がありました
農林規格
についての相談と申しますか、これにつきましては私の前の課長のときにこの
規格
制定のための
委員
会というのが設けられて、この
規格
に参画したのでございます。そうしてこの
規格
の制定については会議があつたそうでございますが、今回制定されました
内容
については、厚生省側の意向というものではなしに、これは
農林規格
法による
規格
ということと承知しております。
高野一夫
19
○
高野一夫
君 役所側に対する
質問
は、いずれ他日機会がありましようから先ず保留いたしますが、
参考人
のかたにお伺いしたいのですが、先ず
協会
としてはそういうような
試験
のいろんな設備と申しますか、そういう施設をお持ちにな
つて
いるわけなんですか。
小浜八弥
20
○
参考人
(
小浜八弥
君) 先ほ
ども
申しましたように、発足をいたしましたばかりでございまして、いろいろの整備をいたしております。それから各地方に
検査員
を置きまして、その
検査
をする機械も今整え中なのでありまして、研究の機関も漸次整備して行かなければならんと思いますが、差当
つて
はこれは役所のほうで御迷惑と言われるかも知れませんが、
食糧庁
の米穀研究所、あそこのところでいろんなことを初めは研究してもらいたいというふうに考えております。行く行くは
協会
自身としてもいろんな研究の機関も整備して行かなければならんものと思
つて
おります。それから、
検査
をいたしまして、これならば安心して
召上
れるという
検査
を厳格にいたして行きたい。そうしてその
検査
の
証票
の貼
つて
あるものじやないと
一般
が安心して買えないんだというふうなことを
宣伝
して行きたいというふうに考えております。
高野一夫
21
○
高野一夫
君 そうすると、先ほど
農林省側
からも伺いましたが、この
規格
に合致するかどうかの
検査
はあなたがたのほうの
協会
のほうでおやり願うということの御説明があつたわけですが、現在そういうのは別な農林省の機関をお借りになるとしても、いずれはそういう設備をおやりにならねばなるまいと思うのですが、いつ頃から
協会
としての独自の立場で検討におかかりになれるような御
計画
ですか。
小浜八弥
22
○
参考人
(
小浜八弥
君)
検査
は早速始めなくちやならんと思
つて
おりますが、いろんな研究は、これは漸次整備して行かなければならん、
協会
の経営が
検査
料によ
つて
収入があるわけなんです。その
検査
が強制ではございませんから、だから
検査
を受けるものが少いということになると、この経費が出て参りません。
従つて
検査
が信用を博して、この
検査
を受けて
証票
を貼
つて
あるほうが商品の
販売
としても有利なんだという
状態
に持
つて
行かないと
検査
は
普及
しないと思います。一面
検査
をしながら
工場
の
製造
方法
等についての
技術
の
指導
もして行きながら
製品
をいいものを出して、そうしてその間
証票
を貼
つて
いるものじやないと売行きが悪いんだという
状態
に持
つて
行きたい。これは一方、だから
宣伝
を相当にして
消費者
のかたがたにそういう観念を植え付けて行かないとこれが進行して行かないのじやないかというふうに考えております。
高野一夫
23
○
高野一夫
君 ついでに
協会
のことについて伺いたいのですが、一応農林省の所管の財団法人ということにな
つて
いるわけでしようが、ざつくばらんに申上げて、この
人造米
の
協会
のバツクと申しますか、例えば
澱粉
業者
がバツクしているとか、何がどうしているとかというような、そういうような色彩とでも申しますか、何かそういう
関係
はございますか。
小浜八弥
24
○
参考人
(
小浜八弥
君)
人造米
の
協会
の寄附行為者でございますね。財団法人ができますにつきまして、
全国合成米協会
、これは
人造米
を現在造
つて
おられる
協会
でございますが、それから
全国
澱粉
協同組合連合会、
全国
農業
販売
協同組合連合会、それから製粉
協会
、
全国
製粉製麺協同組合連合会、
全国食糧事業協同組合連合会
、
全国米穀商組合連合会
、この七つの
団体
が寄附行為者でございまして、この醵出によりまして財団法人ができておるということに相成
つて
おります。
高野一夫
25
○
高野一夫
君 私はまだあるのですが、余り長くなりますから一応ほかのかたに。
山下義信
26
○
山下
義信
君
参考人
の
小浜
さんにお伺いするのですが、あなたのほうの
協会
は、今
高野
君の御
質問
に対して寄附行為者の氏名を挙げられて
協会
の組織をお答えに
なつ
たのですが、
表面
的な形式的なことはそうでしようと思いますが、実際がこれはもう言うまでもなく農林省のいわゆる何と申しますか、
計画
に基いての
協会
の設立なんで、余り形式的なことを問答しましても価値がありませんから、私も卒直に伺うのですが、又卒直にお答えを願いたいと思います。これは
人造米協会
を作るんだということは、この
委員
会が休会中に、
人造米
を取上げたときに、前谷長官が説明をして、そういう方針で行くんだと、あなたのほうの
協会
ができる前に農林省の当局がこういう
協会
を作るんだということを公式に我々に言明して、農林省の提出の公式の資料の中にもあるのですから、言うまでもなくこれは農林省が斡旋と言いますか、
計画
と言いますか、して作つた
協会
であるということは明白だと思う。そうでないとおつしやるのならば又それはお答えを聞きますが、
従つて
あなたのほうの
協会
はただ単にお座なりの民間の
指導
奨励の機関というように私
ども
軽く視ないで、恐らく小
委員長
が
参考人
として本日御
出席
を願つたのは、民間のありふれた
団体
としていろいろなお話を承わるというのでは私はないと思う。これは農林省の別働機関というか、表裏一体をなして農林省と気脈を通じて
人造米
政策を遂行するために必要な機関として、よほど
政府
も力瘤を入れておる
団体
だと私は思うから、非常にこの
協会
のなされる仕事は重大である、かように考えて当
委員
会も
協会
の話を承わるのだろうと思う。私もそう感じておる。若し私の考えが違
つて
おるというならば御指摘を願いたい。そこで私はそういう意味で伺うのですが、ただお座なりの
表面
的なことをさりげなく承わ
つて
お
つて
もしかたがない。そこで私が
一つ
伺いたいと思うのは、何と言うても
人造米
の問題が登場して参りまして、時代の花形と言うか、話題の中心と言いますか、さまざまに諸説紛々、なかなか賑かなことは自他承知の通りであります。それでこの
人造米
の
製造
をしたいという
業者
が非常にたくさん希望がありますかどうか、こういうことが我々にわからん。それでこれは
協会
のほうでよく御承知だろうと思うのですが、ただ今あなたのほうの
協会
のメンバーにな
つて
いる者だけでおやりになるのではないでしようから、今現在の
製造
能力
と将来の
計画
とをお話に
なつ
たのですが、その将来の
計画
が、ただ現在のメーカーの設備を拡張する
計画
だけで止ま
つて
、新らしい
製造業者
は認めないというなら別ですけれ
ども
、
製造
を希望する
業者
が非常にたくさんありますか、どうですか、これは農林省のほうに伺
つて
も同じことですが、あなたのほうに伺
つて
も同じようにわかると思いますが、たくさん希望して参りますかどうか。その
業者
が希望して参りましたときに、お前のほうには造らす造らさんということを
協会
のほうでは何か取計らいなさいますかどうか。これは一向あなたのほうに御
関係
ありませんかどうか、この点を先ず伺いたいんです。
小浜八弥
27
○
参考人
(
小浜八弥
君) 私がお答えいたしましたのに誤解をなさつたというのならばそれは取消して頂きたい。私は何も形式的なことをここで申上げておるつもりはございません。
人造米協会
の背景としてどういうものがあるかということでございますから、寄付行為者はこういうものがございますと申上げたのでございまして、この
人造米協会
を作
つて
、そうして
人造米
の
普及
に乗出そうということは農林省の御方針でございまして、その御方針に基いてできた
協会
なんでございます。農林省はもとよりこの
協会
の精神について非常な関心を持
つて
おられることは勿論でございまして、
人造米
を
普及
する
一つ
の機関として農林省の御指示に
従つて
できたものでございます。言葉をこう非常に平たく申しますれば、おつしやいました通りに、
人造米協会
は農林省の
人造米普及
に関する政策の別動隊としてこれは動くものだ、かように考えております。
従つて
私ここで何も形式的なことを申すつもりは
一つ
もございません。 それで
お尋ね
の
人造米
を造りたいという希望者がたくさんあるかということにつきましては、現在たくさんあるようでございます。そうして自分も
人造米
を造りたいということをしばしば相談に参られます。で、結構でしようから、
一つ
おやり下さいということですすめております。ただ
人造米
をお造りになりますのに余り小
規模
におやりになりますと、経済ベースに合わないとあとにな
つて
非常に困ることがあるかも知れませんから、経済
規模
に合うように、相当の
規模
じやないと、あとで困るようなことがありはしませんかという注意はいたしております。で、
人造米
を造りたいという希望者に対しまして、あなたはどうだとか、こうだとか選択することは勿論いたしませんし、希望者は多々ますます
人造米
のたくさんできますることを念願いたしております。で、農林省としても一番最初の
計画
として大体三十万トンと押えておられまするが、これは三十万トンで足りるという意味じやないと思
つて
おります。私の了解する限りにおいては三十万トンで打切ろうというつもりを農林省が持
つて
おられるとは私は考えておりません。希望者がたくさんあ
つて
、そうして妙なものができては困りまするから、良質のものが、而も安く
人造米
がたくさんできることを念願いたしておりまして、希望者に対してかれこれの選択をするというふうなことは全然ございません、と私は承知いたしております。
山下義信
28
○
山下
義信
君 そうすると
製造
希望の
業者
があなたのほうの
協会
へ伺つた場合は、ただいろいろ激励、奨励を受ける、いろいろの
指導
を受けるという程度で、選択というようなこともないということならば、
業者
の
製造
というものは、先ほど来の話を聞きますというと、自由勝手である、自由に
規格
に合いさえすれば自由に
製造
してもいいんだ、別に免許制、認可制はないんだ、こういうことになると思うんですね。農林省の当局のほうから違
つて
おつたならばこれは違うんだと指摘してもらいたい。一面は
規格
を厳重にして良質のものを造るんだ、こう言いながら、一面は
製造業者
を勝手放題に、
規格
さえ合
つて
いれば、お前さん、勝手にお造りなさいと言つたんじや、良質のものを造る、そういうものを造らせるように奨励するんだ、
協会
の使命もそうだと言いながら、そういうことに無
関係
というのでは私は筋が通らんと思いますが、そういう点はどうな
つて
おりましようか、これは
参考人
のかたでもよろしいし、農林省のほうからも答えて頂きたい。どうですか、野放しにするのかどうですか、どこできめるんですか、誰に造らせるということは。
東辻正夫
29
○
説明員
(
東辻正夫
君) お答えいたします。その点につきましては先ほど
参考人
からお話のありました通り事業の開始につきましては、役所といたしまして別に許可とか或いは指定とかいうようなことは考えておりません。と申しますのは、
人造米
の
生産
を推進する
方法
といたしましてはいろいろな
方法
があろうかと思います。それで又現在の
食糧
事情からいたしまして、これを
政府
で一手に集配いたしまして配給ルートに乗せて
消費者
に配給するというようなことも考えられるわけでございますが、何分今年の春頃からいわば企業化したものでございまして、新
製品
としてまだこれのどういうものがどのくらい
消費者
のほうの需要ができるかといつたような需要の安定性或いは品質の点等につきましても、つい最近私
ども
のほうで一応
規格
を定めたわけでございますが、これらのものにつきましてもすべてこの
規格
に合つたものが、今後全部そうなるかどうか、或いは各
業者
が造りますものにつきましての
製品
の質等も均一なものが直ぐできるかどうかといつたような
関係
がはつきりわかりません
関係
上、今これにつきましては現在のところは自由
販売
で、
政府
がこれを買
つて
配給するというようなことは考えておりませんのであります。従いましてそういう商品につきまして、できるだけ品質のいいものを造るように奨励も
指導
もしなければならんということはお話の通りでございますが、それだと言
つて
一方にメーカーを選定いたしましてやるということになりますと、新らしい企業に対する何と言いますか、自由競争によ
つて
いいものが伸びて行くというような、いい面における自由競争の面も削がれるというようなこと等の
関係
からいたしまして、現在のところ、私
ども
のほうでは
新規
にやりたいというかたであ
つて
、これも勿論御相談は私
ども
のほうでもよく受けておりますし、又
業者
の
団体
等もありますし、今の財団法人もございますので、そういうところへ行きましていろいろ実際のことをよく説明を聞くようにというお話はいたしておりますが、個々の
業者
について格別選定をした態度で臨むというようなことは考えていないわけでございます。
山下義信
30
○
山下
義信
君 わかりました。そうすると、これはお話にはなかつたのですが、どうせ農林省と別動機関でやるのですから、例えば来年度にこの
人造米
の奨励
関係
予算をおとりに
なつ
たらば当然
協会
のほうの事業の奨励補助というようなこともあつたりするのだろうと思う。まあそういうことは今
お尋ね
しません、先のことですから、予算がまだきまらんとき、とやかく言
つて
も何ですから。ですが、農林省の
計画
としてもお考えとしてはメーカーをとにかくどんどん多量にいいものを作
つて
、そうして
食糧
対策の政策の一環としてやろうという相当大
規模
でやるのですから、だからぼちぼちや
つて
いてはものにならんのですから、今お話のように一日も早く年産三十万トンの
生産
を挙げようとして努力するのですから、いいメーカーが設備を拡大し、或いは新たなる良心的なメーカーが出現することを、それはどんどん積極的にやらなければならんわけです。それでそういう場合において設備資金等を幹旋するとか、尽力するとかいうようなお考えを私は持
つて
いるのじやないかと思う。又当然それは附随して来るだろうと思う。それは大資本家の大メーカーに特約してやるのだつたら、これはまあ現状と同じことで、そうして結局この政策は大会社の大
工場
の一種の事業翼賛運動ということになる。そうじやないのですから、まあメーカーができればやるのです。すのうちに設備資金等について斡旋を依頼するようなことがあつたら、それは
協会
でおやりになりますか。
小浜八弥
31
○
参考人
(
小浜八弥
君) 十月の二十七日の
閣議決定
、これは農林省からお答え頂いたほうがいいかも知れませんか、それの中に設備資金の融通ということで、
製造
に必要な設備資金の融通については、自己資金及び市中金融によるも、なお
日本
開発銀行及び中小企業金融公庫による融資等所要の措置を考慮するものとする、というふうなことが一項にあります。従
つて人造米
の
製造
を急速に
普及
せしめるためには、金融の幹旋の措置等を農林省は当然考えておられるわけでありますからして、農林省の下働きとして財団法人のほうであそこの銀行にこの
業者
の実態を説明に行
つて
くれというふうなことがあれば勿論参りますが、財団法人そりものとしてこれは農林省の方針に
従つて
参りたいと考えております。
山下義信
32
○
山下
義信
君 まだその辺細かにお打合せができておらないのですね。
大磯敏雄
33
○
説明員
(大磯敏雄君) 法人として独自の金融措置に対する方針はまだ農林省のほうがその辺について、はつきりしないようでございます。
山下義信
34
○
山下
義信
君 それでとかく私は些少のことを批評するのではないのですが、勉強が足りないのですが、農林
委員
にな
つて
勉強しないと確言はできんが、農林省の諸政策の上、これは経済省ですから千変万化の経済諸情勢に
従つて
実際の行政、現業行政と言いますか、言うのですから、
一概
に聞く順序をいつも墨守してというわけには行かんが、非常にあいまいな政策がある、あなたのほうでは。農林省では今でも
人造米
のメーカーのことでもこれは自由にするのだ、許可、認可をするのじやないのだ、造りたいものは
規格
に合いさえすれば造らせるのだ、私はこういう答弁は非常にごまかし答弁だと思う。そんな自由に造るのだと言つた
つて
自由に造れるわけはない。
原料
はあなたのほうで持
つて
いる。その
原料
をお前のメーカー、お前のほうに払下げてやろうか、
供給
してやろうかという
供給
権を持
つて
おりながら、勝手に造れるのだ、自由にお造りなさい、そんな馬鹿な答弁がありますか。そんな馬鹿な方針があろうはずはない。自由に造れると言いながらちやんと元締めを握
つて
おるじやありませんか。やつぱり
表面
には何も許可、認可制をとらなくても、誰に造らせようかということは
原料
を握
つて
おるものが生殺与奪の権を握る。それと同じ表裏一体でそれの別動機関である
協会
もただ幹旋だ、幹旋だと言
つて
、何もその許認可に
関係
はないと言いながら、やはり
協会
に口をつければやはり設備資金の融資でも、
関係
者は別動機関の口添えがあれば大いにそれに動かされるのだろうし、又農林省のほうへこのメーカーはいいからと言
つて
紹介すれば
原料
米ももらえるだろうし、ということになれば、これはもう影響力もあるし、とにかくそんなことは別として、私はこの
製造業者
はやはり農林省というか、
協会
というか、この両者の
関係
の上において誰に造らせるか、新たに相談に来たものに対して誰に
原料
を配給するかということをきめなければならんでしよう。
原料
をやらなければならんでしよう。あなたのほうで持
つて
いる
砕米
なり何なり、統制的にな
つて
いるものをあなたのほうでやらなければならん。それはどういうふうにしてやりますか、新らしいメーカーに対して。
東辻正夫
35
○
説明員
(
東辻正夫
君) お答え申上げます。先ほど金融の問題につきまして、
参考人
のほうからお話がありました通りでございまして、金融の点について申上げますと、現在融資の希望のある人につきましては、一応
食糧庁
でよく
計画
をあれいたしまして、そうしてそれを金融機関のほうへ斡旋をするということをいたしております。で、その金融の幹旋について財団法人がどういう仕事をするかという点になりますと、財団法人として本来の仕事といたしましては、やはり
工場
の
指導
、
技術
指導
をやりましたり、或いは商品の
検査
をやりましたり、その他要するに
人造米
のいいものが多量にできるようにというための調査研究、その他のことをやるのが財団法人の使命でございますので、金融等の場合におきましても、その財団法人でいろいろ調査した結果なり、或いはそういつたようなもの等で私
ども
のほうで参考となるような点につきましては、十分その
意見
を聞くことがあろうかと思います。ただ現在の手続上の
関係
は、一応
食糧庁
のほうで本省のほうの金融のほうの担当とも連絡をいたしまして、斡旋の手続をとるようにいたしております。 それから
原料
の払下でございますが、先ほど
参考人
からお話がありましたように、これの
原料
につきましては
澱粉
なり
小麦粉
を使
つて
、それに一部
砕米
を加えるわけでございますが、今
砕米
の払下につきましては県の具申によりまして
食糧
事務所に出しまして、そうして
食糧庁
のほうで
砕米
の需給
関係
を睨合せまして、上
つて
来たものにつきましては払下をやるというような手続をと
つて
いるわけでございます。その場合に勿論現地におきましては、実際に
人造米
を造
つて
いるかどうか、又申請をいたしておる
砕米
の所要量が、果してそうであるかどうかというようなこと等につきましての調査といいますか、そういうことをしておると思
つて
おります。
山下義信
36
○
山下
義信
君 わかりました。私の誤解も苦干あつたようです。結局
協会
が
指導
奨励、いろいろの
検査
、品質向上等々というような面に非常にお働き下さ
つて
、メーカーに対する農林省の
原料
の払下には御
関係
ない。それから
業者
の造つた
製品
の
販売
というものにも
関係
がないということですね、今農林省
政府
当局の答弁では。又
協会
長の御証言も。ですから
業者
を新たに、これは許可、認可じやないのですから自由なんだから、
業者
ができた、それが加盟して来ると、
協会
は新たな
業者
を加盟するようになるかならんか、その辺もよくわからんが、だんだん将来
業者
が殖えるのですから、今だけの、寄附行為で言えば今財団をお作りに
なつ
たかただけがメンバーですが、将来お加えになりますかどうか、財団の
団体
としましては、将来増加します
業者
もお加えになるかどうか。
指導
、奨励、
普及
、品質の向上、
検査
といつたような方面を御担任になる。
従つて
新規
の
業者
の認可がいいとか悪いとかというようなことと関連して、
原料
の払下、又
製品
の
販売
についてというようなことにはタツチなさらないのですね、
協会
は。如何でございましようか。
小浜八弥
37
○
参考人
(
小浜八弥
君) 先ほど農林省から言われました通りに、
協会
は主たる使命が、
検査
をいたしましてこれは
消費者
に安心して召し上
つて
頂くという
区別
をはつきりいたしまして、そうして又その
技術
は今発達の途上にあります。いろいろ
技術
の
指導
をして行かなければならん面があろうと思います。
原料
を共同に購入するとか、或いは
原料
の払下というようなことをやりますためには、先ほど申しましたような
業者
の
団体
が別にあるのであります。そういう
経済行為
をいたしますものとしては、それは
業者
が
製造
いたしますのに
原料
を手に入れる行為は、共同にいろいろ施策を講ずる場合がございますので、連合会ができております。
経済行為
はそちらのほうでいたします。
協会
としては
経済行為
に触れない
範囲
のことをや
つて
行きたい。それから又先ほどお話がございましたこれはメンバーであるものの
製品
を
検査
するというわけでもございませんので、
従つて
このメンバーに入るとか入らんとかいうことは、これは重要なことでございませんから問題にはなりません。将来もつと基金を殖やす必要があるという場合に寄附者を殖やして、そして基本財産を造成するという場合には、もつと広く寄附してもらいたいというようなことを言うかも知れませんが、これのメンバーで寄附行為者であるとないとによ
つて
、何らのその辺の
区別
はないと考えております。
山下義信
38
○
山下
義信
君 わかりました。この点も極めて明白になりました。これは
協会
は
業者
の利益を代表する何も連合体というものでなくして、全く現在の
関係
諸
団体
を基礎として、いわゆる
政府
と表裏一体のこの仕事のための特殊の重要な任務を持
つて
設立されたので、将来出て来るところの
業者
を包含する必要がないということは、極めて明白になりました。よくわかりました。そこで今いろいろな寄附行為者にな
つて
おる現在の、只今お示しになりました諸
団体
も、これも大体
業者
なんですね、
業者
でございますね。それで私の伺うのは、この
協会
に入
つて
いるといないと、あなたのほうは非常にこの
製品
の
検査
ということを、
消費者
に安心して
召上
つて
もらえるようにその選別もするのだ、そういうふうなことも意思表示するのだと、非常に重大なお仕事をして頂くことになるのですね。それで、私は何もその
業者
の
団体
から成立している
協会
が、みずから
検査
方に廻
つて
、そしてそれ以外の
業者
もありますが、要するところ現状におきましては主たるメーカーはみな
協会
の寄附行為者ですが、まあ
検査
するものと
検査
されるものとが、資格は変
つて
おるけれ
ども
実体は
一つ
ことなんです。併しそれによ
つて
何も
検査
に手心があたり、この
検査
業務が行い得ないのではないかというような疑惑は持ちません。持ちませんが、なかなか
検査
ということが私は困難ではないかという気持がするのです。それは
技術
的に私にはわからんのです。これは
桜井
所長もおられるし、お示しを願わなければならん。この
人造米
の
検査
というのは一体どうや
つて
やるのか私にはわからない。
証票
というのはどこへ貼るのか、一粒一粒の米に貼るのならわかるけれ
ども
、袋に貼るのか、箱に貼るのか、どこに貼るのか。そうして一升ずつに分けておるのなら一升袋に貼るということもあるけれ
ども
、この
証票
を貼るというところは一体どこなんです。恐らく一斗なら一斗の大きな図体に貼
つて
いて、その
証票
を見て
消費者
が買うということはできないでしよう。一体誰に見せる
証票
なのか。それですから
消費者
にどういうふうにしてこの
人造米
がいいとか悪いとかいうことを
区別
することができるでしよう。この
証票
を貼るということはどういうふうなやり方をなさるのですか、私にわからんのです。お示し下さい。それで甲の
証票
を貼られた袋に、他のものが混入しておるというようなこと、そうすると悪意があろうと悪意があるまいと、そういう
検査
がどうしてできるでしよう。そうして又、まあ細かいことを言
つて
いればきりがないのですけれ
ども
、一応まあそこを聞こう。その
証票
というのはどうするの。そうしてこの
証票
は誰が印刷するの。この
協会
自体が印刷するの。そしてこの
協会
自体がその
証票
を貼るの。どうするの。それからついでに聞きます。一体不正した場合の罰則はどうするの。あるの、ないの。そうすると罰則のないような
検査
というのは一体これはどういうことになる。
検査
ということが別に
農林物資規格法
というしかつめらしいものがあるというが、これも取り寄せてもらわなければならんが、それに基いて
農林規格
というものを作
つて
、そうしてその
検査
は民間
団体
がするのか。そうして
規格
の実行については
政府
当局は責任がないのか。責任のないようなものなら
規格
というものを発布してみたところでしようがない。いやしくも
政府
がこれだけの
規格
を持たなければいけないということを
政府
が規定したら、その通りできているかできてないかということを
政府
みずからこれを監督する義務があるんじやないの。それを民間の
団体
に、如何に表裏一体という官製でお手盛りの
協会
であ
つて
も、これは正式に言つたらば民間
団体
である。これに
検査
を委任するの。その委任するのは、その法的根拠地はどこにある。委任する法的根拠は。それで
検査
というが、若し不正をしたもののその罰則というものはないの。なかつたら
検査
というものは有名無実でないか。その辺の
検査
のやり方、方針というものはどういうことをやるのか。そのへんを
一つ
説明して頂きたい。
東辻正夫
39
○
説明員
(
東辻正夫
君)
検査
の
技術
的な
方法
につきましては、
桜井
さんから御説明願いまして、先ほどの
検査
のマークでございますが、これはきま
つて
おりますのは、包装といたしまして二十五キロ入り、それから五キロ、二キロ、一キロ入りということに包装の大きさを一応きめてございます。従いまして例えば大量で購入をいたしますまあ
一つ
の例でございますが、保安隊等で大量に使うといつた場合には大袋で以て取引されるだろうと思いますが、その他の場合におきましては一番小さいので一キロ入りとな
つて
おります。従いまして
検査
を受けまして、その
規格
に合
つて
おるということになりますと、その袋に
検査
団体
のほうでそのマークを付するということにな
つて
おります。それから先ほどこの
検査
の
趣旨
につきまして御
質問
がございましたが、これは先ほど私から御説明申上げましたように
政府
で以て強制的にこれを集買をするという直接の
関係
でありますと、
政府
としても直接
検査
をいたすわけでございますが、
規格
法の
趣旨
といたしまして、いわゆるいい
製品
が伸びて行く、そのための手段としてこの法律に基く
登録格付機関
が
検査
をするという
趣旨
にな
つて
おりますので、その格付機関として先ほどの財団法人か当るわけでございます。従いましてその点につきましては強制
検査
ではなくて、一応そういう格付機関の
検査
を受けてマークを付してあるものはメーカーも一応自信を持
つて
売りますし、ここに買うほうも安心して買えるというところの
趣旨
をまあ制度化した法律でございますので一応任意
検査
という建前にな
つて
おるわけでございますが、
検査
の
技術
的な
方法
につきましては今
桜井
さんから御説明いたします。
桜井芳人
40
○
説明員
(
桜井
芳人君) 先ほど
協会
長からお話がありましたように
規格
がいろいろございますが、そのうち最も重要な
規格
と申しますか、炊きましたときに崩れないとか、炊けるときにどうだとかいうふうなことを規定する
規格
は大体
水分
とそれから比重と、それから剛度とこの三つが主体になるわけであります。一応剛度がある、高い、即ち
規格
に合うような六・〇以上というようなものにつきましては、炊きました場合にも現在のところ殆んど壊れないという経験を持
つて
おりますので、その剛度を硬度計という簡単な機械がございまして、これで測
つて
をくということにいたしております。それから一升重のほうは、これは従来米麦のほうにつきまして
食糧庁
検査
課あたりで始終や
つて
おる
方法
でございます。非常に簡単な
方法
でございますが、その
方法
を以ちましてや
つて
参る予定でおります。一升重のほうは結局一升重が軽いと米が浮いてしまう。均一に交わらない虞れがありますので、そういう
規格
が設けてあります。ですから水準が
規格
に合うものは大体貯蔵性もございますし、大体一升重が
規格
に合うものは米と混ぜて炊きましても大体均一に混ざる、剛度が
規格
に合いますものは炊きました場合に先ず崩れない、この三つが主体にな
つて
恐らく
検査
はここを中心として行われて行くと思います。実際一々
証票
を貼ります分につきまして
検査
するかどうか、或いは構成ロツトにおいて
検査
するかどうかということは、現在
協会
においていろいろの
方法
で検討中のようでございまして、この
検査
が始まりますまでにはそういう
方法
でサンプルをと
つて
検査
するのだということをはつきりきめる予定でございます。現在は資料のとり方につきましてはなお検討中でございます。
山下義信
41
○
山下
義信
君
検査
の
方法
については検討中だということですから、この点はこの程度にしておきますが、とにかくまあ
協会
は非常に重大な立場に立つ。メーカーが持ち込んだものを
検査
する、
証票
がなからねば
消費者
の信用がないというその重大な仕事をするわけなんで、いろいろこれで今後その
方法
の細部等は又おきめにな
つて
からそのときに承わることにしましよう。とにかく要するところ非常にこの
協会
の仕事というものは尋常一様でない。三十万トンというような予定数量を
生産
して、これが
消費者
に渡
つて
行くということにな
つて
来るときには、非常に重要な立場に立つものだということだけは私
ども
は深く
認識
せざるを得ない。
販売
等につきましても若干伺いたいと思いますが、これは又他日機会を得て伺いましよう。要するところ自由
販売
だ、而もその
原料
の一部は統制品だ、それが自由
販売
される、その購買者は一拠に多量の購買を欲するものができるのか、実際に
消費者
の家庭に渡るのか、いろいろ問題があろうかと思いますが、まあいろいろこれから企画されるのでしようから暫らく
状況
を見せて頂く。 最後に
規格
の中に
栄養
関係
のことがちつとも入
つて
ない。
高野
委員
から御指摘に
なつ
たが、あれはどうして入れなかつたのか。長官はエンリツチの問題はこれは非常に重大で、全く厚生
委員
会の
意見
に同意で、これを
規格
の場合に考慮するということが、これは速記にも残
つて
いる。厚生
委員
会に約束したのです。厚生省ともよく連絡をしてこの問題は大変重大だ、而も非常に多額な費用を要するならともかく、僅かな費用で以て有効適切な
栄養強化
ができるということは自分としても賛成だと言
つて
、農林省の責任ある当局は答弁している。然るにこの
規格
の中にはちつともその
栄養
価のことがとり上げられていないというのはどういうわけなんですか。
桜井芳人
42
○
説明員
(
桜井
芳人君)
規格
委員
会におきましてエンリツチの問題は話題に出ましたけれ
ども
、それでそこに厚生省の
意見
として有本
栄養
課長が来ておりまして、それからここにおられます岩田氏も専門員として来ておられました。いろいろ話合いいたしましたその結果、結局これは厚生省のほうで考えるからこの
規格
にはちよつと入れるのを待
つて
くれというふうなお話がございまして、一応この
規格
には入れることをやめたわけであります。
山下義信
43
○
山下
義信
君 私は、甚だけしからんことを聞くね。意外なことを聞くね。これはどういうわけなんです。真相を調査しなくちやならん。誰が行
つて
どういうことで厚生省の方針がどうきま
つて
、そういうことを言つたのか、これは大変なことですね。これは公衆衛生局長から局長名を以てこれは公式の文書でそういう問題についても農林当局に申入れがしてあるはずなんです。同時に我々の厚生
委員
会で農林当局と質疑応答の間に、
規格
の場合には十分考慮いたしますと言
つて
言明しておる。然るに厚生省の事務当局はその
規格
の打合会に行
つて
、今この
規格
の中に入れてもらわんでもいいから、我々のほうにも考えがあるからということを言つた。厚生省の意向に
従つて
栄養
価問題は
規格
の中に入れておかなかつたということは、私は非常に奇怪千万に思うのですがね、どういうわけでそのことをその席に行つたものが発言したのか。厚生省の方針はそうきまつたの。
人造米
には
栄養
価はしなくてもいいというふうに厚生省できま
つて
そういうことにしたの。どういうことにしたの。
桜井芳人
44
○
説明員
(
桜井
芳人君)
農林規格
の中に
蛋白質
が幾らとか、
ビタミン
が幾らかということは事務当局のほうで入れられないことはない、併し今までそういう例はないという話でございまして、原案にはこれを抜きまして、その会合のときにそういう議題を出すということで了解して議題が出たわけであります。これは入れようか入れまいか、大分討議されたのでございますが、結局今申上げましたようなことになりまして、一応今回はこれには入れないということでその
委員
会はきまつたわけでございます。
山下義信
45
○
山下
義信
君 厚生省の当局、答弁してもらいたい。
高野一夫
46
○
高野一夫
君 私も関連して伺いますが、どうも今の話は
山下
委員
おつしやる通りに、私も頗る了解しがたいのですが、こういうふうな問題、
人造米
は今まであつたわけではないし、今年にな
つて
から初めて造られ、批判されておるものなんです。その
規格
を定めるのに、厚生省は厚生省で別だ、農林省は農林省で別だ、厚生省のやり方はあとだ。それではあとで一体どういう
方法
でやるか。先に
規格
がきま
つて
告示
を出されて、その
告示
通りの
規格
で
人造米
を造
つて
おられる。そうして
栄養
の点は
ビタミン
も
カルシウム
も何らその点は考慮されていないということで、あと一体どういうふうにして、あとでやるというのはどういうふうにされるのか、私もそれを伺
つて
おきたい。これはやつぱりはつきり聞かしておいて頂きたい。
一つ
の目的なり、一応この程度でやる、或いは
ビタミン
なら
ビタミン
を入れる工夫がまだ足りないというようなことなのか。それとも何らかのほかに意図があるのかどうか、その辺を
一つ
はつきり聞かして頂きたい。
藤原道子
47
○
藤原
道子
君 その点私も同感です。先ほどから、今
桜井
さんの御説明にも、
栄養
価は厚生省で考えるからというので
規格
に入れなかつたということですか。厚生省で考えてどうなるのだか。
一つ
の
規格
を作るときには双方の
意見
がまとま
つて
行けるものだと思うので、あとで考えるということは納得行かないので、殊に我々厚生
委員
会としては
栄養
点を重視しておるわけでございます。その点明確にして頂きたいと思います。
大磯敏雄
48
○
説明員
(大磯敏雄君) 只今お話のございました
人造米
についての厚生省側からの
規格
に対する希望につきましては、前課長か
委員
となりまして
規格
委員
会に
出席
をし、今
桜井部長
からお話ありましたような話合いがあつたそうでございますが、そのときに
農林規格
の中に厚生省側の言うような
栄養
規格
は今まで扱
つて
いないから、これを入れるということは妥当でないということで、一応
農林規格
の中からはその問題は外すということに
なつ
たようでございます。併しその附帯条項として、
栄養
素の問題ということは重要でございますので、それを附帯条項に入れるというようなことにその
委員
会で話合いが
なつ
たように聞いておりますが、これははつきり私は存じませんのでございます。そこで私就任しましてから、十一月の二十一日だつたと思いますが、束辻課長のところに私挨拶かたがた参りまして、その問題とは別に、
人造米
は若し多量に出る場合には国民
栄養
上重要な問題ですから、是非その
規格
などについては私
ども
と十分に連絡して欲しい。噂に聞くところによると、殆んどできてしまつたがごとくに伝えられるが、そういうことは困るからということを申入れましたところ、東辻課長は勿論十分に連絡するということでございましたのでありますが、二十四日付を以てそれが出てしまつたというわけで、その後の連絡はございませんので、私
ども
としては、これについて私
ども
の
意見
として厚生省側から申入れをいたしたいと今準備をいたしております。と申しますのは、この
人造米
の中で、一番問題となります点は、
蛋白質
の問題でございます。何となりますれば、現在我々は非常に貧乏でございますので、米から非常に多量な蛋白を摂
つて
おるわけでありますが、
栄養
調査の結果では大体三分の一が米から蛋白を摂
つて
いるという実情でございます。それで米の蛋白が減るということは非常に大きな問題でございますので、
栄養
価の点を余り細かくたくさん申上げるということは、これは経済問題やいろいろのことでむずかしいことでありますので、最小限度蛋白だけでも合せて頂きたいということを私は考えていましたのでありますが、すでに
規格
が出てしまいましたので、この問題は、配合の問題に非常に
関係
がございます。で、配合は
農林規格
によりますと、この
規格
だけの条項を満たすような配合をいたしましても、蛋白は如何ようにもなるわけでございます。先ほど
参考人
からお話のございましたような、
蛋白質
が殆んど米と同じような工合になるということでございますが、これは
小麦粉
にもいろいろ品質がございますが、場合によりますとずつと下廻
つて
しまう虞れもございますので、その点これからの
指導
に当
つて
は、私
ども
が
協会
とも十分に連絡をいたしたいということでもありますし、又国民に向
つて
も
指導
をいたすようにいたしたいというような申入れをいたしたいと思います。 それから厚生省側で
規格
を作るというようなお話がございましたようでありますが、これは厚生省の所管しております
栄養
改善法の中に特殊
栄養
食品ということがございまして、特に
栄養
上に考慮を加えた食品につきましては、厚生省が十分にそれを検討して、特殊
栄養
食品という名称を与えることにな
つて
おります。それにつきましては、
内容
について表示するものと違つた場合には、これは食品衛生法によ
つて
の監視がございまして、それによ
つて
十分にこれを取締る。又罰則も設けてございますので、この
規格
に合うものについては、厚生省側が十分監視をいたしたい、こういうふうに考えております。
高野一夫
49
○
高野一夫
君 只今のお話を伺うと、私はますますおかしくなる。大量に
生産
されればそのとき改めて
栄養
の問題を考慮しよう。大量に
生産
されるかどうかということは、
年間
三十万トンというのは、これは
目標
にな
つて
いる。大量に
生産
されれば
栄養
のことは農林省で考える。そうでなければどうするか、大量に出るか出ないかわからんから、取りあえず
栄養
のことは厚生省のことで農林省は与り知らん。
米粒
の形を作
つて
腹を満たせばそれでいいじやないかと言わんばかりの答弁、こういうようなことは、国民の
食糧
問題、殊に大事な主食の問題、
栄養
は厚生省だから農林省は知らん。ただほかの
澱粉
だとか何だとかということの
規格
だけで事足れりというようなことを農林省は考える。そして厚生省は又それを、じや、いずれそのうち申合せしましようというようなことで、それで
政府
の統一した主食の奨励運動になるのでしようか。これは私は
農林省側
と厚生省側にもう一度伺いたいと思う。
東辻正夫
50
○
説明員
(
東辻正夫
君)
人造米
にエンリツチをする必要がありという話は前から厚生省のほうからもよく承わ
つて
おつたわけでありますが、この
規格
を制定する場合におきましても、今
桜井
さんからお話がありました通り、これを
一つ
の案といたしましてエンリツチした場合においては、そういうような基準でなければならんというような条項を挿入したらどうかという議論が出たわけであります。で、今御
質問
がございましたのですが、農林省といたしましても、
原料
の
配合割合
或いはエンリツチの問題等については、十分
食糧研究所
、或いは厚生省方面とも連絡をとりまして、今後
指導
して参りたいということは考えているわけでございますが、この
規格
を定めるに
当り
ましては、厚生省としての案を持ち寄
つて
、そうして別途研究したらどうかということになりましたので、我々といたしましても、できるだけそういうエンリツチをされていいものができるような
規格
ができるということは望んでいるわけでございます。ただ厚生省といたしましては、食品衛生法、或いは
栄養
改善法というものの運用の
関係
もございますので、
農林物資規格法
に基く
規格
の中に直接それを入れられるかどうかということについても問題があるのじやないかというふうに考えているわけでございます。
大磯敏雄
51
○
説明員
(大磯敏雄君) 今先生からお話のございました、大量に造つた場合に厚生省が
栄養
を考慮するというのは、何か私の発言を誤りお聞きに
なつ
たのじやないかと思いますが、そうでなしに私は東辻課長のところに参りまして、大量にこれが出るということになりますと、国民
栄養
上非常に重大な問題であるから、
栄養
の問題をこの
規格
の上に考慮しないということは困るから、十分私
ども
と連絡して欲しい。こういうことを申入れたのでございますが。
高野一夫
52
○
高野一夫
君 同じじやないですか。主食の足りないのを
人造米
で補うのですから、大量に出る場合考慮するというのはおかしい。
大磯敏雄
53
○
説明員
(大磯敏雄君) そうでなく、大量に出るということが予想されておりますので、もう少し大量に出るだろうということが予想されますので、これは農林省が黙
つて
いちやいかんぞというようなことでございます。
高野一夫
54
○
高野一夫
君 それに厚生省はどうなんですか。
大磯敏雄
55
○
説明員
(大磯敏雄君) ですから私
ども
のほうに。
高野一夫
56
○
高野一夫
君 ただ申入れられるだけですか。
大磯敏雄
57
○
説明員
(大磯敏雄君) 連絡がございますと思
つて
私
ども
は待
つて
おつたわけでございますが、連絡なしにこの
規格
が出てしまつた。
規格
を見ますと全然それが考慮されておりませんので、厚生省側としては非常に不満でございますので、先ほど申しました点をもう一度私
ども
は申入れたい。かように申している次第であります。
高野一夫
58
○
高野一夫
君 ここではつきりしたのは、
食糧
問題について、
栄養
とか、そのほか量の問題。そういうことについて
食糧庁
関係
と厚生省となんらの連絡がない。おのおの農林省は農林省、厚生省は厚生省と、それは全く割拠主義で、向うは向うでおやりになるのだというような現在の役所の
状態
だということはこの
委員
会ではつきりされた。それだけ私ははつきり受取
つて
おきます。 ついでに私は厚生省側に伺いたいのですが、これは
協会
側のほうでも御研究にな
つて
いるかも知れませんが、仮に
ビタミン
で
栄養強化
をするというような場合に、これは
人造米
の
製造工程
を先ほど伺うと相当の熱が加わるようでありますが、
ビタミン
の破壊率と申しますか、そういうような点について厚生省の
栄養
研究所もあるし、農林省には
食糧研究所
もあるしするのですから、何かデーターが出ておりますか。
桜井芳人
59
○
説明員
(
桜井
芳人君)
ビタミン
、主として
ビタミン
B1を最初に考慮されているようでありますが、
ビタミン
B1を
人造米
に加えるときには、
混合
のときにそれを加えればいいので非常に簡単でございます。
蒸気処理
をいたします場合に、
蒸気処理
の
方法
にもよりますが、今や
つて
おります
方法
によりますと、そのときの
原料
は大体五%乃至一〇%くらい減りというふうに考えております。貯蔵中に減るかどうかということはまだはつきり実験してございませんが、現在、少し専門的になりますが、
ビタミン
B1は塩酸塩として市販されているものが多いのでございます。大体エンリツチ
関係
に使いますものは、米にしましても
小麦粉
にしましても塩酸塩よりも硝酸塩のほうが破壊度が少いわけでありまして、現在製薬会社におきましても、塩酸塩をエンリツチ用として硝酸塩に切替えることをや
つて
おりまして、もう殆んど硝酸塩も出せるという
状態
にな
つて
おります。今後は恐らく米、
人造米
、
小麦粉
等のエンリツチB1に関する限り硝酸塩で行われることになろかと、そういうふうに、我々としてもそういうふうにして行きたい。そうした場合に貯蔵による破壊は貯蔵の
水分
とか湿度とかいろいろ
関係
いたしますが、塩酸塩よりも遥かに少なくて済むということは明らかに申上げられると思います。 なお米を炊きます場合に
ビタミン
B1は相当破壊いたします。その破壊率は大体一五%から二〇%ぐらい。従
つて人造米
の
製造
時に入れましたものの七割五分乃至八割が実際に口に入るというふうに考えておるのであります。
ビタミン
B2のほうはこれは色が付きますのでまだ
人造米
に入れるかどうかは余りはつきりしておりません。
高野一夫
60
○
高野一夫
君 厚生省側のデータを伺います。
大磯敏雄
61
○
説明員
(大磯敏雄君) 只今ここに
栄養
研究所のデータがございませんので詳しく申上げられませんが、まだこの
人造米
のエンリツチメントについての十分な研究は進んでおらない
状況
でございます。従いまして
人造米
をエンリツチするという問題は今後の研究に十分かか
つて
来ることじやないかと存じます。今
桜井
さんの申されたB1の塩酸塩、硝酸塩の問題にしましても、これを
カルシウム
を加えます場合の破壊率は異な
つて
おります。私
ども
としては
人造米
をエンリツチするのは大変望ましいことでございますが、それは研究の進むことによ
つて
次第にいいものができるようにな
つて
、又大量にできる段階になるのじやないかと存じます。従いましてこの米の問題についてのエンリツチは、現在の段階では
強化米
のほうのエンリツチによ
つて
補われるのではないかと考えております。
高野一夫
62
○
高野一夫
君 農林省
関係
は相当パーセンテージも出されて御説明があ
つて
、一応我々はそれで了解いたしますが、そうすると大事な
栄養
問題を扱
つて
いる厚生省のほうは、今農林省の御説明にあるようなふうの説明の数字もまだお出しにな
つて
おらんわけですが、
ビタミン
の破壊率とか、或いは炊いたときにどうなるとかいうような点について何ら御研究はありませんか。
大磯敏雄
63
○
説明員
(大磯敏雄君)
栄養
研究所にございますので、この次に持
つて
参ります。
高野一夫
64
○
高野一夫
君 最後に私は
参考人
のかたにお伺いいたしたいと思うのですが、こういうような
人造米
の奨励ということを仮に
政府
がきめましても、これが役所の
普及
運動で到底
全国
に徹底するものとは到底考えられない。そういうような意味において、
協会
のほうで相当努力をされるということも出て来るのだろうと思うのですが、ところで長い間子供なんかを特に中心にして、
日本
では殊に厚生省なんかも音頭をと
つて
、農林省もそうだつたろうと思うのですが、粉食奨励をや
つて
来られた、そうして粉食奨励をや
つて
、最近の学童、それから苦い者というものはパンとかそのほかのいろいろな粉食に非常に慣れて来て、ちつとも不自由を感じないでいる、いろんなコストの問題もありましようけれ
ども
。ところがそれから考えますと
人造米
というものは
米粒
の形を作るわけです。そうすると
日本
人に米が足りない。而もますます足りなくなる。だから米を食わなくてもほかの粉食に慣れてや
つて
行こうじやないかという運動を長年繰返しておつたこの
日本
で、それで今度は
米粒
を作
つて
、米の形を作
つて
飽くまでも
米粒
に執着させるようなことになりはしないか、こういうようなことを非常に私は懸念する。だからお互いに好きなものを食べればいいじやないかというような考え方もあるかも知れんが、私はこれは副食物でない限りはそうは簡単に行かないと思うのです。そういう点について、粉食奨励ということと
人造米
の奨励ということと
両方
とも、どちらかをおやりになるならば、これは国民運動的に展開して行かなければ到底これは
普及
しないと思いますけれ
ども
、この二つの奨励に非常に私は矛盾を感ずるのですが、
協会
会長
としてそういうふうな点について何かお考えがありましようか。
小浜八弥
65
○
参考人
(
小浜八弥
君)
日本
人が米のほかに粉食をしなければ
食糧
が足らないのだという意味において粉食奨励がなされていることは承知いたしております。ところが
日本
人は米というものに特別の執着を持
つて
おりまして、依然として、戦争中も相当ありましたし、ずつと前のあの大正六年の米騒動の時分にも米の形をしているものを混ぜないと、混ぜるほうを喜ぶというので、じやがいもを賽の目に切
つて
入れたりなんかしておつたような幼稚なことをやつたこともございます。とにかく米の形に対して非常な執着をも
つて
いる。それでこういうふうな
人造米
というようなものがここにでき上つたものと思います。で、
食糧研究所
では初め米の
栄養強化
という方面でいろいろ研究しておられたところが、粉を固めて米の形にするということがここに出て来て、そうしてそれが急速に拡が
つて
来たということのようでございまして、
日本
人が米に対する特別の執着をも
つて
いる、その意味において米の形をしているものを喜ぶのだというのでここに
人造米
が出て来たわけであります。そうしてそれの
原料
としては
小麦粉
を使うのだ、だから
小麦粉
を消費する形はパンの形で消費されようとも米の形で消費されようとも、それについては
日本
の
食糧
を補う意味において
小麦粉
を食うという
一つ
の形としては同じじやないかと思いますが、ただパンの形でせつかく食うように奨励しておつたやつが、それを米の形にしたことによ
つて
粉食奨励に多少の影響があるということは、これは私もしばしば聞かされておりますが、
人造米協会
といたしましては、何もパンの奨励を阻害するつもりは
一つ
もございません。米の形で喜ぶものが多くて、そのためにこういうふうな形の米ができ上
つて
来たものについては、いろいろの
規格
のものがあるから、だからこれは安心だというものを撰りまして、そうしてこれは米と混ぜて炊いてもそう遜色のないものですということを
検査
して行きたい、こういうふうに考えておりまして、その点についてはいろいろ御議論があると思いますが、我々はパン食の奨励を邪魔するというつもりは
一つ
もございません。
高野一夫
66
○
高野一夫
君 パン食奨励とか何かを邪魔することじやなくて、又
原料
も
人造米
はいわばやはりお話の通りに一種の粉食の変形かも知れません。けれ
ども
だんだんだんだん米に対する執着心を離れさせようというような方針を長い間繰返して来てお
つて
、そうして今日どうやらそれがその緒につくというような時代にな
つて
来て、そこで又々これが多少の、量がわずかであ
つて
もやはり米に執着しているのだから、その嗜好に適するように又米の形を作るというようなことは私はどうも理窟として合わないように思うのですが、僕は与党で我々のほうの
政府
が方針をおきめにな
つて
いるのだけれ
ども
、私はどうしてもこれは納得できないものだから、僕は僕なりにいろいろこの点について吟味しているのですが、どうもただ国民が好きだから、執着するから米の形にすれば喜んで食べるからというようなことだけで
人造米
を奨励することはいいかどうかということは非常に私は疑問だと思います。これはここで議論しても始まりませんから、そういうことを考えているということで御検討を願いたいと思います。
山下義信
67
○
山下
義信
君 私
一つ
今のことに関連して
小浜
さんにお願いしておかなければならんと思います。それは粉食奨励と
人造米
の
普及
ということの
関係
の論争は別として、
人造米
で、米の形でなくちやいかんものは
人造米
食つたらいいじやないかということも、これもやはり人の嗜好を妨げない自由な立場で、
食糧
消費の幅が広いということがいいということで
一つ
の理窟は成り立つけれ
ども
、その前提にはこれは
人造米
であるということを承知で、俺は
人造米
のほうがいいのだということを承知で食べるということの前提ではそれはいいんですね、ところが
人造米
であるということを知らずして、食わされる立場の者のことを考えなければならんのでありまして、いわゆる悪口を言えばごまかしの米ですから、丁度吉田内閣のごまかしの防衛軍備論と同じで、その中味をごまかして米として食わせる。ですからこれは
人造米
だぞと承知の上で、それで一割なら一割という正常の炊き方なんなり食べ方なら別として、これを米として間々ごまかして食わせるという場合が非常にあり得る。例えばこれを保安隊に
供給
する。保安隊の隊員はこれは
人造米
と知らずに食わされる、一割混入が次第に三割くらい食わされる、又その他の大
工場
の労働者の寄宿でもいつでも米だと思
つて人造米
を食わされる。闇米を買えば二百五十円だが
人造米
なら高くて百円か百二十円につくんだ、闇米と比べて安くつくので食わせるんだという立場と、或いは米だと言
つて
ごまかして食わせるんだという立場で、おのおの
人造米
だと承知をしておる前提によ
つて
承知して食べるのなら、これは人々の自由ですからそういうことなら筋も通る、ごまかされて食わされた日には、今のような
栄養
内容
から考えて非常にこれは注意をしてやらなければならんということは事実なんです。ですからそういう点も
一つ
この
普及宣伝
に当られるかたがたにおいては、
人造米
は
人造米
として食べるようにこれは
普及宣伝
は、又あなたのほうの御随意ですけれ
ども
、米とごまかして
供給
するというような立場においての国民の
栄養
、影響等にも十分
一つ
御考慮を願わなければならんということを私はお願いしておきます。
有馬英二
68
○
有馬
英二
君 大分時間が過ぎましたが一言だけ、
検査
をなされる、まあ
規格
の
検査
ですが、相当
規格
に外れた米はどういうふうに処理されるか。
小浜八弥
69
○
参考人
(
小浜八弥
君) これは
検査
を受持ちまする
協会
といたしましてその点誠に困るのでありまして、これが
食糧
に上せるところの
人造米
というものは、こういう
規格
に合つたものでなければ売つちやいけないのだというふうにきまれば一番よろしいのであります。ところがそういうことはできないのであります。
検査
に合格しないものは市販、
販売
してはいけないのだという区切りがつけられないという現在におきましては、そうしてその希望によ
つて
これを
検査
するということでございますから、
検査
に合格しなかつたものも
販売
されるものがあるのであります。これはとめようがないのであります。
従つて
そのいわゆる
人造米
と称するものの中に
検査
をしましても
検査
に合格しないものが自由に
販売
されることをとめる
方法
はございません。ただこの
検査
に合格したものは安心して食べられるのだ、だからそういう
証票
の貼つたものでなければ売れ行きが悪いんだということを要請をして行くほかこれは途がないのであります、強制をしないという限りにおきまして。その意味においてそういう
検査
を
協会
はやれと、こういうことを要求されておるわけなんです。
有馬英二
70
○
有馬
英二
君 これは
協会
としてはそういう
検査
をされる責任を背負わされているかも知れませんが、併し取締の官庁としては、そんなことでは済まされんと私思うのですが、如何でしようか。厚生省なり、或いは農林省はどういうふうにお考えでしようか。
東辻正夫
71
○
説明員
(
東辻正夫
君) この点につきましては、
人造米
の健全な
普及
という点には一番議論のあつた点でございますが、今
参考人
からお話がありましたように、できるだけまあ
検査
を進めて行くということによ
つて
、
検査
を受けないものがないようにして行く。又一方
検査
を受けたもので不合格に
なつ
た、不合格といいますか、
規格
に合
つて
いないものは、できるだけ
消費者
の側において買わないということによ
つて
、だんだんその
生産
がとまるというような
趣旨
でございますが、大体この
規格
を作
つて
検査
をやるという法律の建前といたしまして、強制でないという点で、いわばいいものであれば伸ばすという
趣旨
からできております
関係
上、役所のほうでも
検査
していないものは売つちやいけないということはできないわけでございます。ただ私
ども
といたしましては、実際的にこれを処理する
方法
としてまだ
決定
はいたしておりませんが、我々事務当局で考えておりますことは、例えば先ほど
山下
先生でございますか、お話がありましたように、
砕米
等の払下を行うわけでございますが、そういうような場合におきましては、例えば条件を付けまして、できるだけ
検査
を受けて、そうして
規格
に合わないものは
販売
しないというような条件を付けて、
原料
の払下をやる、若しそういつたような事実がわかればそういう払下のストツプをするとかいうようなことを一応検討中でございますが、何らかそういつたような
方法
、その他の
方法
といたしましては、結局
検査
機関のほうも
消費者
及び
生産
者に対するまあ
普及
といいますか、啓蒙運動といいますか、そういつたような
趣旨
宣伝
を行いまして、できるだけそういうことのないようにしたいと、かようには考えておるわけでございます。
藤原道子
72
○
藤原
道子
君 どうも納得ができないのです。事は主食なんですよ、問題はだから今度の
人造米
問題に対して国民に何やら割切れないものを与えるのはそこにあると思うのです。悪いものだけれ
ども
これは自由だから仕方がないとい
つて
も、これは主食なんですね、問題は。足らざるを補うものを主食でないということは言え切れないだろうと思うのです。でございますから、この点の何らの方針を立たないで
政府
がこんなに
人造米
に力を入れるというところに私はおかしいと思う。これはもうはつきりした
規格
をしてもらわなければ
消費者
が勝手にきめろとおつしや
つて
も今の
山下
先生の言われたように、保安隊の隊員に非常に使われる、又私は一番心配するのは紡績等の寄宿にこれが相当使われると思うのです。この人
たち
はどこを以て不良であるか不良でないかということを検討するのですか。これは国民の食生活を担当しておる農林省としては誠に不見識極まることであ
つて
、こんな無責任なことはないと思うのです。今までパン食の奨励をして、国民が米に対する郷愁を持
つて
おるからというようなことで、そうして手持の
澱粉
の処理機関の
一つ
の思いつき機関ではないかとも思うのでございますけれ
ども
、こういうことをして国民を騙すようなことになることは私はけしからんと思う。これはどうしても
一つ
の絶対に
検査
を受けるということの義務づけをするか、そうでなかつたら
製造工場
に対して
一つ
の監督権の発動できるような
製造過程
をとるか、いずれかでなければ国民は不安でたまらないと思うのでございますが、農林当局どうお考えでございますか。
有馬英二
73
○
有馬
英二
君 それに関連して。これは
製造
所が各所にできると私は思うのです。或る地方へこの間行きましたら、やはりこつちでも
人造米
を
製造
することを
計画
中であるという話を聞いた。恐らくこれは北海道でも或いは東北地方でも必ず
人造米
が各所でできると思います。その際に
検査
はどういう工合にしてやりましようか。私
ども
薬品の、まあ例えばペニシリンあたりがそうであつたのですが、非常に
検査
が厳重であ
つて
、そうしてその
規格
に外れたものはもう決して売らせないというような厳重な処置を
政府
がと
つて
おる。然るにこの
人造米
は今聞くところによると、
規格
外でも売らせないというわけには行かんというと、そうすると
規格
外で結構売れる、安く売れる、少し
規格
が外れたものをどんどん拵えて売ろうというような人が出て来るのじやないかということですね、何にも拘束されないのですから。その際に
規格
に合うような
検査
がどれくらいの権威を持
つて
おるものであるか。何にも権威がないということと同じことにな
つて
しまえば、何も金をかけて
検査
料を出して
検査
を受けなければならんとも考えないかも知れない。併し遠隔の地で造
つて
、そうしてさつきお話のようにロツトで以て
検査
するということになると、例えば北海道で造るという場合には、その
検査
に非常に日数がかかる。その間に売らんというわけには行かないというようなことにな
つて
甚だどうも困つたことがたくさんできるのじやないかと思うのですが、そういう点はどういう工合に。
山下義信
74
○
山下
義信
君 僕も関連して
質問
します。お答えを一括して願いたい。 やはり
検査
の問題ですが、さつき
お尋ね
しようと思つたのですが、今問題が出ましたから
お尋ね
します。
検査
をして
証票
を附して、これは立派な
人造米
だから安心して食べろと言
つて
勧めるのだと
小浜
会長
が言われた。天然の米ならば天を恨むというわけに行かないが、
人造米
ですからどんなことでもできるので、
証票
を貼
つて
ある
人造米
を食べて中毒を起したりいろいろなことがあつたらその損害賠償の責任を負うでしようね。それは立派な
人造米
だとい
つて
レツテルを貼つたのだからね。ですから
検査
をする人は、これは食べても差支えないとお勧めするのだからね。
普及宣伝
するのだからね。これは
検査
しました、立派な
人造米
ですから安心して
召上
りなさいと
つて
レツテルを貼るのですからね。ですからその物を食べて中毒を起したら責任を負うのですね。これを一括して答弁して下さい。
東辻正夫
75
○
説明員
(
東辻正夫
君)
検査
の問題については非常にむずかしいので、私
ども
もこの点については先ほどから申上げておりますように強制
検査
でないという点について、非常にいい意味からいいますとメーカーの自重心と申しますか、良心というものを期待するわけでございますが、又悪い面から申しますと、今のお話のように、
規格
に合わないもの、或いは
検査
を受けないものが巷間に流れるということもこれは予想せられるわけでございますが、(「現在あるでしよう」と呼ぶ者あり)その問題につきましては、まあ先ほど申上げましたような措置によ
つて
もできるだけ
検査
を受けるように
指導
いたしますと共に、又
協会
のほうで実際
検査
をする場合におきましても、ただ
検査
だけでなくて実際問題としてその
工場
へ参りまして、そして
工場
の
技術
指導
も併せてやるというような事業も
計画
しているようでございますので、そういつたような面からしましても
生産
の
過程
から直接メーカーの
指導
、それから
規格
に合う
製品
ができるようにや
つて
行くというようなことも考えておるわけでございます。それでなお今パン食、或いはうどん等の粉食等の
関係
もお話が出たのですが、実はこれも私
ども
のほうで現在文部省で
行なつ
ております学童給食用の小麦の
価格
の半額を国庫で負担してやりますとか、或いはミルクの利子補給の補助を出してやりますとか、それから都市でも
つて
粉食を中心とした食生活推進の
展示会
をやりますとか、というようなことをやりまして、従来以上にその粉食の奨励というものは続けて参りたい。又一方
政府
の小麦の払下にいたしましても、
小麦粉
の
価格
が高くな
つて
パンの値上り等を来たさないように
政府
売却等もだんだんその数量を殖やして売却をして行くというような事情でございますので、
人造米
をやるということによ
つて
一方の粉食のほうの進展をおろそかにするとか、或いは粉食の部面を早急にこれに切替えるといつたようなことは全然考えていないわけでございます。ただ私
ども
が今
計画
しておること等につきましても、いろいろこれが
生産
から家庭の消費までになります間にはいろんなまだこれから研究をすべき点があろうかと思いますが、諸先生方のお話になりましたその不良品の発生及び消費という点等については、まあ一方厚生省のほうとしても食品衛生法による取締でありますとか、そういうような方面とも連絡しまして十分措置いたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
山下義信
76
○
山下
義信
君
検査
に関する法的根拠の法令を農林省から取寄せて次回に資料として配
つて
下さい。
東辻正夫
77
○
説明員
(
東辻正夫
君) この次に持
つて
参ります。
藤原道子
78
○
藤原
道子
君 パン食の奨励を阻害する考えはないとおつしやるのですが、この頃やつと農村はパンが大分浸透して行
つて
いるのです。この間岩手ですか、私
ども
視察に参りましたけれ
ども
、農繁期なんか非常に主婦が助かると言
つて
おつた。パン食に
なつ
たために御飯を炊かなくてもいいし、パンでも
つて
朝副食物を作
つて
おけばパンで直ぐできるというので非常に助かると言
つて
いるのです。ところが又或る所へ行くと
人造米
が出て来るということになると、パンの
普及
を一時ストツプして、今まで慣れた
方法
で行つたほうがいいのじやないかといつた
意見
も出ておる、こういうことになると農林省の主食に対する
指導
が首尾一貫していないというところに私は文句があるのです。だからそれは特にあなたがたとしてはパン食の
普及
を抑える覚えはないと答弁せざるを得ないでしようけれ
ども
、実際においてはそういう傾向にな
つて
いる。ところが漸くパンが農村にまで
普及
して行こうという段階に主婦も台所から解放されて喜んでいるときに、こういう
人造米
の
普及
に多額の金をかけ、而もいろいろな摩擦を起こさなければならない理由がどこにあるかという点です。非常に首尾一貫していないという点をひしひし感ぜられるのですが、この点はこの次に譲りまして、時間がありませんので、そういう点もよく考えて頂きたい。
尾崎嘉篤
79
○
説明員
(尾崎
嘉篤
君) ちよつと、食品衛生課長でございますが、只今
山下
さんから
人造米
で中毒の事件が起きたときはどうするかという、こういう問題がございましたが、これに関しましては、事故防止は私のほうの責任だと思います。
人造米
以外のほうは今
検査
をおやりになりますには品質、
規格
のほうをおやりにな
つて
おると思いますが、できるだけいいものを造
つて
安全なものにするように我々のほうも
協会
のほうにお願いをせねばいけませんが、その前提に、この
人造米
の衛生
状態
はどうかというようなことは、これは私は調査せねばならない、こう思いまして、一カ月ほど前からとりかか
つて
おるのでございますが、まだ十分に結論が出ておりませんが、元来こういう新らしい食品が出ます場合には注意しておかないと、よく事故が起
つて
来る、二十三年頃だと思いますが、脱脂大豆を
輸入
いたしましてそれでパンを造
つて
大分中毒が出たというような事件があります。
人造米
でこういう事件が起つたのでは我々としても申訳ないと思いまして、殊に主食でございますから十分これは研究せねばならないと思います。又使います
澱粉
というものが、よくこの煉
製品
などが腐敗いたします原因として、使います
澱粉
が甚だ不潔なものが多いというような事態も我々承知しておりますので殊に注意しておつたのでありますが、そういうようなものを水に溶いて暫く時間を置いたりしますと、菌がどんどん殖えるというようなことがあるので、先ず各府県に命じましてサンプルを私のほうに取寄せまして、それで今衛生
試験
場を通じて
検査
をやらせたのでありますが、まだ途中でございますが、現在三例ばかりのデーターが出て、それ以外のものは続けております。そのデーターから申しますと、これは京都の
製品
、金沢の
製品
、神奈川の
製品
でございますが、
水分
とか
灰分
とかいうような化学的の面はこちらの農林省の
規格
よりいい程度でございまして、で、その中に、私のほうの特殊な
技術
でございますが、その器械で調べてみますと、鼠の毛が一例発見された、昆虫、或いは穀象虫の羽片が三例とも全部発見されておる、それから土砂な
ども
その残片が見られます。こういうようなところから言
つて
、材料は普通
一般
にある
澱粉
類、こういうようなものであるが、やはり多少汚染はされておる傾向はあるということはわかりますが、細菌学的に見ますと、生きておる菌の数が一立方センチの中に多いものでは二万三千、少いものでは三百ばかりある。大腸菌、これは我々の赤痢とか何とかをインデイケーターしようとして使うものでありますが、これが三例中二例において見られます。併しこういうことは実はあまり恐れるわけではないのでありますが、どうせあとで又ぐらぐら炊いて食べるのでありますから少々黴菌がありましても病源菌がありましても、百度で十分、十五分炊けば死ぬ。こういう虞れはないのでありますが、私
たち
の恐れるのはこのことにおいて、ほかの黴菌もその処理
過程
において死んでないということでありまして、そうすると私
たち
が一番心配しますのは葡萄状球菌その他の毒素を出す黴菌がございます。先ほどちよつと申上げました大豆の中毒の場合に、葡萄状球菌の毒素が殖えて来て、それを食べることによ
つて
中毒する。こういうような問題でありまして、その葡萄状球菌の出した毒素、これをエンテロトシキンと申しますが、この毒素は少々の熱を加えても破壊せられないのです。そういうような毒素を出す葡萄状球菌が、毒素を出すものと出さないものがありますが、どちらとも
区別
がつかないわけでありますが、二例において一方は二百二十、一方は四でございましたか、認められております。こういうことから私
たち
はまあ
製造過程
をもう少し工夫をすれば一番いいのですが、ただ併しこういうようなデーターがあつたからと申しましても、直ぐこれが危険だという結論には我々、話を持
つて
行かないのでありまして、もう少しこれはデーターを集め、更に研究をしなければならん。こういうような数字を現場の
製造過程
と合して考えなければならんと、こういうように我々考えるのでありまして、まだ一例の
工場
しか見せて頂いておりませんが、千葉県の某
工場
を実は先週ですか、我々見学に参りましたが、それを見せてもらいますと、一番心配しておりました
一つ
の問題は、心配は大体要らないという結論だつたのであります。それはどういう意味かと申しますと先生方も御覧願いましただろうと思いますが、水を加えていろいろな
小麦粉
、
澱粉
、砕粉、
砕米
の粉、そういうものに水を加えてミキサーにかける。それをしばらく時間をおいておけば、そこで黴菌が殖えますが、それを直ぐにローラーにかけて
製品
化している。殆んど貯蔵しておる時間がない。それはエンテロトキシンを出す間がない。水を加えてから
製品
になるまでの時間が余りないことから、このほうの心配は先ず大体ないということが私
ども
のほうは考えております。そしてただあと今心配しておりますのは、この
製品
になりましてからその
製品
の中で黴菌などの殖えて行
つて
毒素を出して行く。こういう問題がございまして、この問題を現在追究中でございます。まだこれは結論が出ておりません。この以外にまだいろいろな
製品
があると思いますから、この点をもう少し我々は勉強したいと、こういうふうに思
つて
、今衛生
試験
所を督励させ、又府県の係官を動員して研究しております。
山下義信
80
○
山下
義信
君 只今の食品衛生課長の答弁は私は多といたします。なかなかよく勉強している。私は農林省の
規格
については十分疑義があると思う。その材料の古いとか新らしいとかの鮮度については
規格
はどうか。なお毒素が変化するかどうか。古いものでも
販売
させるのかどうか。いろいろ疑義があると思います。この問題は次回に持越して十分
一つ
審議を御続行願いたいと思います。
高野一夫
81
○
高野一夫
君 年産三十万トン
人造米製造
計画
というのは何か根拠があるのでしようか。これは
参考人
のかたからでも農林省からでもいいのですが、例えば三十万トンの
人造米
を造るのに
澱粉
が十万トンいる。
澱粉
が十四、五万トンぐらい処分できればそれでいいという考えか。それとも
工場
の能率
規模
からの考えから割出された数字なのかどうか。大体三十万トンという
目標
ですね。どういう基礎で置かれたのか。
参考人
のかた、御承知ならば御説明願いたいと思います。
小浜八弥
82
○
参考人
(
小浜八弥
君) 私大体承わ
つて
いることがございますが、併しこの
計画
をお立てになりました農林省で、三十万トンにはどういう
計算
でおやりに
なつ
たのか。これは私承知いたしませんが、私の承知いたしておりまする
範囲
におきましては、現在配給されております米が大体三百万、それの二割とすれば六十万トンになるが、先ず一割と見て、三十万トンぐらいのところまで急速に
拡め
たほうがいいのじやないかというようなところから来ているようでございまして、
澱粉
を多量に
食糧庁
は抱えておられまするが、その
澱粉
の消化の面から三十万トンという
計画
が生まれて来たとは私承わ
つて
おりません。
人造米
を
普及
することによ
つて
澱粉
の消費という面が開けるということは
一つ
の狙いであります。それから又
小麦粉
を使いまするから
外米
の代りに
小麦粉
を
輸入
してそれで置き換えるというのが
一つ
の狙い。そういうようないろんな狙いが一緒にな
つて
この
人造米
の奨励をしようじやないかということに農林省の方針がきまつたというふうに私は承わ
つて
おります。
中山壽彦
83
○
委員長
(
中山壽彦君
) もう大分時間も過ぎましたから今日はこの程度にいたしまして……。
小浜
さん長時間ありがとうございました。明日十時から又超過米の
参考人
も見えると思いますから、本日はこれで散会にいたします。 午後零時五十七分散会