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説明員(桜井志郎君) 四メーター四〇という潮位が、例えば
平坂の潮位
記録を根拠にして全面的に
設計を変えて行かなければならんかどうかということが
一つやはり前提とな
つて来るわけであります。これは結局そういう潮位の頻度というものと関連して来るわけです。私
どもとしては、そういうふうなものが頻度としてどうあるであろうかというようなことも、私
どもだけじやなしに、気象学
関係の権威者なんかも入れましていろいろ協議しておるのでありますが、先ほど言いましたように、話が遂に三百年の年輪の話が出てしま
つて途中でぼやけてしま
つたということもあるのですが、どうもこれをはつきり今つかんでおらない。それからもう
一つ、三メートル二〇という潮位が出た
あとにすぐにこれに近い潮位が非常によく出ておる、二十六年以後の僅かの期間でありますが、非常にこれに近い潮位が出ておる。こういうこと自体も海洋気象学者等にその原因等も相談しておるのですが、まだやはり学者たちももつとデータを出してくれ、データを出してくれということで、研究の途中にあるわけであります。こういうようなことで、どれを一体
設計の
基準にはつきり持
つて行
つたらいいかということ自体も、今日正直なことを申上げるとまだきま
つておりません。
それから
建設省と
農林省の断面が違うということでありますが、これは
建設省と
農林省の潮位が違うということよりは、
堤防のある
場所によ
つて、例えば方向とか、それからの
海岸の距離とか、いろいろな問題で、ケース・バイ・ケースで断面が違うのは
技術的に言えるわけです。
それから
海岸堤防に
考え方が二つある、
堤防そのものが安全であるということと、
堤防が安全であ
つても背後の農作物が安全であるかないかという問題と、この二つに分けて行かなければならない。例えば四メートル四〇という今度のような潮位をとるといたしますと、これに背後の農作物もなお且つ安全だという
考え方をとりますとすると、非常にその嵩上げを考えなければならん、そういうものが、例えば農業というものを
一つの企業であるというふうな
考え方をして、資本構成という問題を取入れて行くといたしますと、私
どもの理想の断面まで持
つて行くということは非常に困難であります。先ほど
江田さんがおつしやいましたようにこわれる心配のあるようなものはなくするんだ、こういうような
お話もありました、ありましたが、例えば私のほうに言わせればこわれないものだけを作るという
考え方から言えばむしろ単純だ、非常に簡単だということが言えるわけです。併し極力安くて農業採算の中で、できるだけこわれないものを
作つて行くところに
技術のむずかしさかやはりあると思う。農作物の被害を甘受して
堤防はこわれないものにする、そこら
程度で落ち着く
考え方をと
つたらどうだろうかということを今考えておるわけであります。農作物の被害をそれじや甘受するということ自体はどうだということになりますと、それは先ほどのやはり風土の
関係を考えて、こうした潮位とこうした風力と、こうした気圧等が重な
つて来た場合においてはこれは背後に海水が乗り越えて農作物が被害を受けても止むを得ない、併し
堤防は安全に保つ、こういうことを考えるべきだということも
一つ言えるわけであります。そうした場合にはやはり
堤防の断面
構造とか、それから先ほど
お話となりましたが、
堤防の背後は泥むき出しじやないかということをおつしやいましたが、これは事実泥むき出しにしているのであります。できるだけ金を前面に持
つて行くということにおいて背後が弱いことを甘受しているわけであります。併し強くしようと思えば石張りにするなりコンクリートを張るなり、わけのないことであります。
なお、私
どもはそれに対してこの潮の非常に強い所にこういう土羽
堤防を保護する植物としてどんなものがよいかということもよりより研究しているわけです。第一義的には金のかからない植生でエロージヨンを防ぐ、或いは
堤防の前面の高い所にはその潮の中で堪えられるような例えば葦みたいな植物のうちで一番強いのを
堤防の前面にはわして、石垣が二義的に水圧を受けるようにするということ、いろいろなことを考えているわけでございます。