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1953-12-04 第18回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月四日(金曜日)    午後二時開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 清一君    理事            石井  桂君            石川 榮一君            三浦 辰雄君    委員            石坂 豊一君            小沢久太郎君            鹿島守之助君            赤木 正雄君            飯島連次郎君            江田 三郎君            田中  一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊池 璋三君   説明員    大蔵省理財局長 阪田 泰二君    農林省農地局建    設部長     桜井 志郎君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省土木研究    所橋梁設計室兼    構造研究室長  田原 保二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (災害融資に関する件)  (海岸堤防復旧状況に関する件)   —————————————
  2. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  昨日石川江田田中委員の三名の三重愛知、滋賀県等の調査報告がございまして、その報告によりますと、特に本日御審議願う点が昨日明らかになりました。先ず第一は、中部地方建設部設置されました臨時海岸堤防復旧部ですか、臨時海岸堤防建設部の現在の構成並びに事業進捗状況、これを承わると同時に、それぞれ問題がいろいろな面で出て参つておる点についても、できるだけ詳しく御報告願い、同時にこれらの海岸並びにその他干拓地関係堤防も大分先般来問題になつておりますので、これに対する考え方あと農林省建設部長に伺うことにいたします。それからこれらの堤妨構造その他について土木研究所田原君から承わることにいたします。
  3. 米田正文

    説明員米田正文君) 只今お尋ねのありました海岸堤防建設部機構を申上げます。  御承知のように建設省設置法の一部を改正いたしまして、中部地方建設局海岸堤防建設部設置することにいたしたのであります。現在地方建設局の中には庶務工務、企画、営繕の四部があるのでございますが、中部だけに海岸堤防建設部という部を一部特別に設置することにいたしたのでございます。それから現地には愛知県側の工事委託を受けたものに対しまして、愛知海岸堤防工事部というのを碧南市に設置をすることにいたしました。それから三重県には三重県内委託工事を実施するために三重海岸堤防工事部を津市に設置することにいたしたのでございます。  で、海岸堤防建設部の中には次長を二名、事務次長技術次長を置く制度にいたしました。それから現地工事部のほうには副部長を、事務の副部長技術の副部長を置くことにいたしました。それからその下の機構といたしましては、庶務工務の課を設けることにいたしました。なお第一線の機構といたしましては、工事部の出先を設けることにいたしまして、出張所設置いたしました。出張所愛知では一応一色と半田、碧南の三十張所を設ける予定にいたしました。三重では天白と大淀と津と三出張所を設けることにいたしました。この機構に基きます人事については幹部の人事が大体完了いたしまして、総数約二百名の所要人員に対しまして現在のところまだ正確な数字ではございませんが、およそ五十名程度の者が今発令終つた程度でございます。  それから工事進捗に関しましては、十一月末の二十四日……、十月下旬から入札準備をいたしましておるのでございます。それはポンプ浚渫船入札と、それからこれは三重県側でございますが、三重県側の海岸堤防事業の工区、六工区につきまして入札をいたしたのでございますが、ポンプ浚渫船単価の問題でまだ落札をいたしません。それから六工区の工事のほうにつきましては、六工区のうち三カ所が決定をいたしまして、残り三カ所については現在単価折衝中でございます。御承知のようにこういう非常に突貫工事、非常に急施を要する工事でありますので、普通の場合の経済的速度工事するのではなくて、来年の台風、高潮までに完成するという、そういう自然条件から工期がきめられておりますために、経済速度を無視して工事を急ぐという条件がありますので、単価の点でいろいろ見解を異にする点がございますので、これらの点について折衝をいたしておるのであります。これらの入札が終りますると、大体全線に亙る単価標準が出て参りまするので、事後は順調に入札が進むと思つております。十二月中には全線に亙つて入札を行う予定でございます。なお愛知県側については現地設計がまだ遅れておつたためにできておりませんので、多少遅れておりますが、これも近く第一回入札をやる予定でございます。  その程度に現在進捗いたしておるのでございます。で、この工事は非常に潮と闘つてやるのでございますので、十分な準備を整えて、仕事にかかつたら一挙に工事進捗させるというような方法をとりたい。仮締切工事のように応急に何でもかんでもその辺にあるもので大急ぎでやるというような行き方でなく、正確に適正な準備を整えて工期をしつかりときめて、工程をはつきりいたして、工事に着手をいたすのでございます。  以上簡単でございますが、今回の状況を御説明いたしました。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 お尋ねしますが、今の海岸堤防建設部の二百名の定員のうち現在五十名、こういうのはどういう人が五十名なんですか。何か現地で聞いたのでは、二百名のうち六十五名がまあ純然たる建設省の任命で、あと県の人を併任するというような話でしたが、その点もう少し詳しく……。
  5. 米田正文

    説明員米田正文君) 今のお話のように二百名のうち六十名程度建設省から出すという予定にいたしております。これも数名程度のところはまた実際やつてみないとはつきりいたしませんが、大体そういう見当で準備を進めております。で、御承知のように、急に総額二百億というような大事業を引受けることになつたのでありますけれども定員は現在定員の枠内でやるという方針にならざるを得なかつたので、実は地方建設局としては、どの地方建設局も今次の災害、この復旧に追われており、経常的な治水事業ももう相当多量に持つてつて非常に忙しいのでありますけれども、この事業緊急性のために一部を割いて持つて行くことにいたしたのでございまして、六十余名を建設省から出すことにいたしたのでございますが、差当り今そのうちの六十五名の、今日のお話の六十五名のうちの五十名程度建設省内から出したという趣旨でございまして、あと残り百三十五名という、県から来る分についてはまだ来ておりません。確認をいたしておりません。先月末の話では、十二月一日に三重県は十五名の発令をするという予定でしたけれども、まだ私それを確認いたしておらないので、それを入れておりません。そういうわけで、六十数名の者に対する処置は、現在の地方建設局の各事務所の中から割いて持つて行く予定でおります。で、それを具体的に申しますと、一部を近畿地方建設局から持つて来る。それから現地中部地方建設局としては、津の工事事務所というのがございますが、それの殆んど全部持つて来る。それから他の中部地方建設局内事務所から、各事務所から少しずつ編入する、こういうわけであります。それからあと残りの県から来ます分は、これは県の、現在のこの海岸関係をしておつた者の一部を割愛してもらうことと、それから地方建設局でまだ職員になつておらない見習の者が相当各地におります。で、これで学校を出ており、資格もあり、定員がないために任用できなかつたというような職員相当おりますから、その職員相当とるというので、今それらの者の選考をいたしております。県についても、県内のそういう今言つたような資格のある者を県で持つております、そういう者及び県内の、府県の各出張所からも部分的に応援をさせる、こういうような考え方で進めております。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 最近新聞で見ると、いろいろ災害復旧等に当つて工事の不正があるから、これを絶滅するのだということを大蔵大臣盛んにやかましく言つておるのでありますが、実際今年のようにこれだけたくさんの災害が出ると、恐らく職員としてはまあ時間外、基準外というような常識的なものを通り越して、めちやくちやな労働過重になつておるじやないかと、そういうことを心配するわけでして、そういうようなことでは大蔵省が如何に厳正にやるんだと言つても、結局大きな抜け穴を作つて置くことになり、工事の厳正な執行ということは期待しがたいと思うのですが、その点、定員の二百名の充実ということについては、よほど慎重に考えてやつて頂かんと、ただ名前だけ集めてみたところで、而も又片方で常に常識以上の時間外をやつているところから何人か抜くというようなことをすれば、どつかででたらめなことが起きる種子を蒔くことになるのですから、その点よほど慎重にやつてもらいたいと思いますが、今の説明聞くと、この近畿地建その他からとつて来るものもある。と同時に非常勤職員の中でそういうような採用ができる者があるというように受取つたのですが、そうなんですか。そうしますと結局この六十五名か何ぼかというものの中には、純粋な定員増なるものもあると考えていいのですか。
  7. 米田正文

    説明員米田正文君) 建設省としては定員の増は一人もないのでございますから、現在の手持ち定員の中から持つて来るので、実員が全部塞つておれば、もう一人も外部から入れないわけです。ところがその中には十名、十名まで行かんかも知れませんが、定員が余つている、空きの定員、欠員になつているものが十名足らずあるので、その分は新規に採用いたしますけれども原則としては現在の場合定員を充員してその海岸堤防建設部に移すことにしたのでございます。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 定員の問題は一つよく考えて実際無理のないようにしてもらわんと、ただ枠に縛られて、あと工事監督も何もできないようなことにしても仕方がないが、その問題は別にしまして、一体私が聞きたいのは、今度現地の視察をして見て、あの堤防の中には農林省のやつておられる干拓提防もある。県の管理のものもあるが、素人ですから初めから聞きたいのですが、ああいう堤防というものに対して、県の管理堤防というものに対しては、建設省は従来どういう監督をされているわけなんですか。例えば地盤沈下があつた、それに対して改良工事をやる、そういう改良工事というものは建設省がどこまで監督をしてやつておられるのか、或いは農林省干拓堤防をやられるのに対しては建設省はもう全然これは監督も何も責任はない、連繋もない、勝手にやると、こういうことになつているのか、建設省仕事範囲というか、監督範囲というか、そういう点はどういうことになるのですか。
  9. 米田正文

    説明員米田正文君) 海岸保全については現在建設省として扱つておりますものは災害復旧工事、それから高潮対策工事高潮対策工事というのはやや災害復旧に近いものとして扱つております。それと一般の海岸保全のいわゆる海岸堤防工事というものと大体三つに分れます。なお細かく言えば、高潮防禦工事のほかに地盤沈下対策というのがございますが、まあそれを高潮工事の中に私は含めた意味高潮工事と申上げましたが、そういう種類のものを扱つています。  で、現在我々のほうの方針といたしましては、県管理海山堤防災害復旧及び対策工事助成をいたしております。現地においては御承知のように干拓地等海岸堤防については農林省でやつているのでありまして、ただそういう原則で分れておりますけれども、なお又たまに分界の明確ならざるものがある場合がある。そういう場合には、農林省予算前に打合せてきめるというやり方をとつております。監督等については、農林省でやるものについては建設省としてはこれに関与いたしておりません。ただ問題になるような点について農林省と協議をするということはございますけれども、それがきまつて農林省でやつているものについては建設省としては関与しないという現在の建前であります。  そこで、じやその調整はどうなるかという点については、私どもはこういうふうに考えております。それは現在のところ都道府県が主体になつて仕事をやつておりますので、都道府県総合行政をやつておりますから、総合行政の観点から、そこの最高責任者がそれらの分類をされて、それらの所管省折衝をして、事業の推進を図るという行き方をとる、こういうふうに考えております。その線に乗つて各省はこの助成監督に当るというように考えております。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 現地を見ると、これは農林省のも相当ひどいところ……、ひどくやられているという意味ですよ、ひどくやられているけれども建設省のほうもそれに負けぬくらいこわれている。一体あそこの平坂ですか、平坂神野新田、それから一色海岸ですね、これは片方農林省片方建設省ですが、これは五十歩百歩で、行つて見て殆んど跡形もないようにこわれているけれども、どうも余りひど過ぎるというような感じがするのですが、まあ農林省のほうはあとであれするとして、こういう際に、一体技術的に相当検討された設計をされているのか、或いは予算の枠があるから、技術的には不完全であつても、ともかくこれだけやつておくのだというようなことでやられるのか。若しそういうようなことだとすれば、二回も三回も次の災害の種を蒔いて行くようなことになつちやうのです。ともかく伊勢湾なり渥美湾なりを見て、明治三十年頃の神野新田海岸というものが、個人資力でやつてあれだけ六メーター半もあるようなものを作つている。勿論神野新田もこわれている。こわれているが、これは一個所だけで、跡形もないというようなそういうこわれ方とは違うわけです。それからあとにできたものが、その中には戦争中の突貫工事というものもあつたと思うのですけれども、いわゆる近代的な技術を研究されて、そんな神野新田当時のような三和土とか何とかというようなものでなしに、セメントやいろいろなものを使つてつている最近の工事というものが跡形もないほどこわれるということになつて来ると、一体どういう設計をやつているのか、我々として非常に心配になつて来る。若しそういうことを今後の復旧でも繰返しておられるのだとすれば、これは国費の大変な濫費だと思うのですね。秕政による濫費でなしに、善良なる管理者の注意を欠く濫費ということになるわけですね。そういう点もう少しこういう設計の根本的な考え方というものを聞かしてもらいたい。まあこれだけでなしに、一般的に原形復旧というようなことを原則としてやるというようなことをよく言われますが、まあ今度の場合には原形復旧でなしに、改良工事の場合にも補助率を何ぼとかということでこの間の法律等ができたようですけれども、そういう点、あなたのほうでいろいろのことをやろうとしても、或いはそれが大蔵省との関係でできないというようなことになつているのか、まあこれだけ言えばよくおわかりと思いますから、もう少し納得の行くように詳しく聞かしてもらいたいと思います。
  11. 米田正文

    説明員米田正文君) 只今の御質問は、さような海岸堤防等設計の根本的な基準をどこに置くかという問題に帰すると思います。でこれはひとり海岸堤防の問題のみならず、河川堤防についても、いわゆる河川計画についても同様のことが言えるのでございます。そこでそういう計画の根本をどこに置いているかといいますると、海岸堤防については従来の実績最大なものについて計画をいたしているのでございます。従いまして従来よりより大きいものが来るということになると、その堤防がもたないという結果になるのであります。そこでこれは非常に問題でございまして我々としてもこの根本問題については長い間かかつていろいろ討議をいたしている問題であります。併しなかなかいい結論は出て参りません。  一番問題になります点は、例えばどんな高潮が来ても大丈夫だというものをこしらえるという考え方一つあります。併しじやどういう大きな高潮が来ても大丈夫だというものを日本全国海岸に作つたらどうなるか、今の日本財政においてこういう海岸施設をやつて行く上において絶対大丈夫だというものは、相手が自然でありますために、予想が非常に困難であるのみならず、厖大な経費を伴う。そこでそういう最大高潮というようなものがどの程度のものかという記録等は、まだここ短い期間の我々の経験であつて、数百年に及ぶというような長い経験を持つておりませんので、差当りは従来の海岸で受けた高潮の一番大きいものを標準にするという行き方を現在とつております。従いまして全国的に見ますと、場所によつていろいろと異つている。でそういう資料基礎にしてやるということを今日の原則にいたしております。  もう一ついでですから、例を河川計画の基本について申上げてみたいと思いますが、これも明治初年に、日本治水工事は外国の、オランダ技師が入つて来て、明治五年に本格的な治水工事というものを始めております。本格的というと語弊がありますが、いわゆる水の量を測つて、その量を基準にして河川改修をやるという方式が明治五年以来とられて来ておるのでありますが、当時は日本河川資料というものが非常に少なかつた。非常に乏しかつた。殆んどないと言つてもよかつたので、結局当時はオランダ人技師が適当な計算をして基準を立てております。併しその後だんだん進むにつれまして、明治の末期頃になりますと、大分いろいろな資料が出て来ましたが、その当時からの一貫した方針としては、従前災害最大のものを記録にとるという原則を推し進めて今日まで参つて来ております。これは資料の少い数十年程度資料の場合には、科学的に見ると止むを得ない措置であり、又一面若しそういう実績によらずして、他の計算方法から出て来るものを基礎にとつて相当大きいものをとるということになると厖大治水事業費になり、とても今日の日本財政で負担ができない。そういう場合にはそういう完全な、完全無欠なものを極く一部に施工するほうがいいか、従前記録程度のものを対象にして、広く防災対策、いわゆる洪水対策をやつたほうがいいかというのは非常に議論の分れたところであります、ありますけれども、結局は広くとる、従前記録程度のものを標準にして広くとるという方針にならざるを得なくて、明治初年以来今日までその方針を堅持しております。併し私ども今実はその転換期に立つており、特に私は最近この問題についてはもう長いところで八十年間の記録を得たのであります。例えば利根川のごとき或いは淀川のごとき、八十年間の河川水位記録を得たのであります。従つてここで私は、今の問題に絡んで参りますが、何を標準にすべきかという問題について検討をいたしております。  で、なかなかむずかしい問題でありますけれども、まだ皆さんにお話するのは時期が早いので、まだ内部がよく検討ができておらんのでありますけれども、まあ一つの例としてお聞き願いたいのでありますが、私は大体今日の現状では、八十年程度洪水標準にしてとるというのが最も妥当ではないかというような結論になりつつあるのであります。そこでそうなると、じや百年の洪水が来たらどうなるかという問題がすぐ起きて参ります。併し百年の洪水対象にして距離を短くしてやるがいいか、八十年を対象にして二割だけ余計に、年数の二割ですが、余計に延長を長くやつたほうがいいかという問題についてまだ検討の余地が残つておりますので、はつきりした結論を今日申上げるわけに行きませんが、そういう考え方転換をいたす時期になつておりますので、近いうちにそういう転換をいたす時期が参ると思います。又やりたいと思つております。併しこれはまあ非常にむずかしい問題でございます。従いまして海岸堤防についてはこれはまだ歴史的に申しまして非常に日が浅いので、今日まだこれを科学的にどう取上げるかというには資料が非常に乏しいのであります。  いろいろ議論はあろうかと思いますが、純技術的に見て、純科学的に見て、私は今日の状態においては従前高潮標準にしてとるのが最も適当であり、最も今日の時世に適応をするというふうに考えております。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 あなたのほうのお気持はよくわかるのですが、今までやつていることはそういうようなことになつていなかつたと思うのです。例えばですね、まあ僕らが全国隅々まで知つているわけじやない。今度行つてみても、これは一つの、建設省じやないけれども、具体的な例をとると、例の琵琶湖の小中之湖の干拓ですね、あの堤防というようなものは草炭を以て堤防作つている。草炭地帯干拓をすれば地盤が変つて来るということはこれはもう誰が考えても常識でわかつておる。そこへ持つて来てあんな脆弱な草炭を以て堤防作つて、一メートル少少の増水で簡単にやられてしまう。これを見ると僕は腹が立つのですな。それからまあ平坂のやつを見ても妙な工事で、これは三和土か、三和土の上にセメントを五分の厚みで塗つてある。あのこわれた跡を見て実際腹が立つた。これは農林省だけではないのですよ、建設省つてそうですよ。あの一色堤防ですね、水門があつて家があつた。家は残つている、水門管理事務所か何か知らないけれども、併しあの水門の跡なんというものは跡形もない。ここに水門があつたのだということを聞いてほうと言つただけであつて、全くもう跡形もないような、あれだけのものが跡形もなくなるということになると腹が立たざるを得ん。とにかく神野新田というものがああやつて個人資力でできた。神野新田の歴史を読んで見ても途中で二遍も三遍も崩れていますね、そしてあれだけのものをやつた。これは科学的に何も調査をしたものじやなかろうが、二遍、三遍の災害を受けてそしてこれだけのものでなければならんということでやつたのですが、そうするともうすでに答えは出ておつたと思うのです。どれくらいのものでなければならんかという答えは出ておつたと思う。神野新田が六メートル五〇のものを作つているのに、最近作る工事が四メートルくらいのものを作つておるんだ。人を馬鹿にするにもほどがあるというような、簡単に言えばそういう気がするのですよ。そういうことで、今一つ転換期に来て、今のお気持のように将来やつて行かれるのだということは、これはまあ是非そうやつて頂きたいと思うのですが、そういうことであると、具体的に今度の復旧の問題になつて来ると、そうすると実績最大のものを一つ計画基礎にするということで言われれば、その線で今度の復旧設計というものがなされるわけですが、それだけのものを予算の問題についても大蔵省とははつきり話合いがつくわけですか。
  13. 米田正文

    説明員米田正文君) 個々の復旧の問題については、今私が申上げましたように基準を今度の高潮にとることにしております。従いまして従来の堤防の高さより相当に高いものができる。まだ確定をいたしておりませんけれども場所によつても違いますが、五メートル乃至六メートルの程度の高さの堤防を作るという計画にいたしております。そこで従来の四メートルなら四メートルの分より高くなる分は、これはまあ改良と見るべきでありますけれども、これはこの前の特別立法のときに話がありましたように、三段階に分けて、堤防が全壊をいたした地域についてはこれは災害並みにその改良費を見る、もう一つ言葉を換えて言えば、災害設計としてそれは組む、そういうことになります。その他半壊をいたした所は八割、それから決壊はしておらんけれども、前後の関係で同時に改良をするという区域については三分の二を見るということは、これは大蔵省も認めておるところであります。我々が今よく申しますように愛知三重海岸堤防工事費二百億と見ておりますが、その中はそういう内容からなつておるのであります。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 高さについても五メートルか六メートルくらいだということになると、これは今度の実績から見たらまだ低過ぎるのじやないかと思うのですね。これは僕は素人だからいろいろなデータを見せてもらわなければわからない。問題はこの高さだけではなしに、あの地盤沈下復旧跡なんか見ると、成るほど海のほうだけはセメントが塗つてあるけれども、反対の側のほうは砂ばかり置いて、そこから簡単にひつくり返つてしまう。そういうような点、全体の設計というものはどういうように設計をされるのか。そういう点についてただ勘でやつておるのか、或いは土木研究所あたりでこういう提防についてのはつきりとした研究ができて、科学的な調査に基いてその設計ができているのか。どうもこれは邪推かも知れませんけれども、従来の勘によつてつておられるように考えられて仕方がないのですが、その点海岸堤防か何かの設計についてはいろいろと科学的に勉強せられていると思うのですが、その今の状態なり、それとの連繋というものはどうなつているのですか。
  15. 米田正文

    説明員米田正文君) 技術に対する心配があるというお話でありますが、これは私ども今度やりますものは今検討中であります。そこでどういうものを作ればこわれないのかという研究をいたしておることは勿論でありますし、何だかまだいい加減にやつておられるように思われるきらいがありますが、これは私どもは決してそういうことは我々の技術の総力を挙げて考えておるのでございます。世界でもいろいろと今まで海岸堤防実績もあるので、それらの文献も勿論併せて、それらとの対照もいたして、何と言つて計算だけでこの問題を片付けるわけには行かんので、いろいろな計算はできます、数字的な計算は比較的簡単だ。けれどもその中にわからないフアクターが非常にたくさんあるので、それらを裏付けするには、実際の今までの既存のものの実績というのが非難に大きな参考になると思うので、そこでそういうものの検討を、あの海岸については勿論でありますけれども、他の地区についても調べて、特に波の問題、これは正確に申しますると波の問題を研究し、波の問題に対する堤防の強度、それらを研究をいたすのであります。内容は非常に複雑であります。又いい加減にやつておられると仰せられるのは非常に情ない話で、我々が非常に現地で努力をしておることについて全然御認識を下さらんということは、私どもとしては非常に残念であります。非常にそういう点については努力いたしておりますもりでございます。勿論これらについて万全のものをやるというのはおのずから限度がある。我々の力と我々の技術の枠内でできるだけの研究をいたしたい、それらのために只今現地で、今週中程度には一応の結論を得たいというので、それぞれの係官を現地に派遣して努力いたしております。よく堤防がこわれて、あとセメントもなかつたのじやないか、構造が貧弱じやなかつたかとよく言われます。で、私はこれについて直接に抗弁をしようという趣旨ではございません。併し一面作つた者の立場から申しますと、その当時はそれでいろいろな制約を受けてそういうものができ上つたので、決してこわれるようなものを作ろうという趣旨で作つたのではござません。当時といたしてもいろいろな情勢でそういう結果になつてできておつたものでありますので、勿論お叱りはお叱りとして受けますけれども、当時そういうときの状態等も幾分の御推察は一つつて御批判を願いたいと思います。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 まあ失礼なことを申しまして相済まんと思うのですが、残念ながら米田局長のやられた仕事というものは、私よく見てないのですけれども、少くとも今度現地を見ると、腹の立つようなことが多いということは、それは私だけじやない。この報告を見ても全く災害条件を具備しておると、こういうような報告が出ている。そういう報告が出て来るということを、これはじつくり考えて頂きたい。だからそういうようなことになるのにはそれぞれの事情がある。技術者は技術者としていろいろ考えて、それがいろいろな客観情勢でその通り行かんという場合もある。併し僕は、例えば道路を作るというなら、これは金がなければどんな道路でもかまわん。併し海岸堤防というような、一瞬にして多数の人の命なり、家なり或いは田畑なり、そんなものがすぐ脅かされるというようなところは、これは技術者として妙な財政当局との妥協は許されんと思う。一時の妥協のために悔を千載に残すということはこれはいかんわけです。少くとも一色なり平坂なり、或いは琵琶湖の農林省干拓堤防なり、そんなものを見るというと、僕は技術者じやないと思うのです、あういうものを見るというと……。本当に今局長がおつしやるような気持があればあんなものはできておらんと思うんですよ。その点私は技術者としてはもう少し権威を持つて、若し財政的な理由でやれんというならやる必要はないと思う。一歩下つて昔の安全な堤防まで退却するということもあり得ると思う、これは建設省の問題じやないけれども、ああいう平坂あたりの干拓地を見ると、一体あすこに干拓条件技術的にあるのかどうか、無理な干拓をしたのじやないか、そういう気持もするわけであります。何か干拓々々というような声に押されて、技術的な検討も何もなしに無理をしているのじやないか。これは私が素人で考えるのだから、技術者の行うでもつと納得ができるような説明ができるかも知れんが、私だけじやない、現地へ行つた人が言うように、全く災害条件を具備しているというような報告が出ているのです。それ以上は余り言わんほうがいいと思うんですが、私はとにかく局長にもつと技術者の良心を持つて、妙な一時の財政的な理由のための妥協をしてもらいたくない。若しそういうことを言われるなら、技術者としては、ここでは無理だから、もう一歩下つた奥のほうで、昔の堤防を利用した復旧をやるのだ、その態度があつていいと思う。それだけを注文しておきます。まあいずれほかの委員の人から意見が出ると思うんですよ。
  17. 米田正文

    説明員米田正文君) いろいろと御注意を頂きまして我々の参考にいたし、なお決意を新たにするところが多々ございました。今日の海岸堤防は漸く本格的にかかつた初期であります。従来殆んど海岸の問題は国として顧みられなかつた状態であつたんです。最近漸く本格的に国としてもこの問題を国土保全の立場からも取上げなければならんという機運が強くなつておる折からであり、只今のような御意見が出ないように、我々としてはもう極力努力をいたすつもりであります。  御承知のように日本は面積の非常に狭いところで、私どもも一寸の土地といえども広く取ることが絶対必要条件でもありますし、それに対応する点については技術の向上、技術の研究に待つて解決をいたしたい。従来いろいろと御指摘のような点があつたのは事実で、私ども承知をいたしております。それらについて極力今後そういう問題のないように技術的な向上を図りたい。勿論予算の制約等を受ける問題もございます。ございますけれども、最小限の技術的安全性というものを確保する努力は技術者として必要なことは私も同感でございます。さように考えております。
  18. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 丁度江田委員からして技術の質問がありましたから、これに関連してお伺いしたいのです。  実は私が在職中にも、技術官として在職したのですが、その当時次官が、どうも技術者は実に楽なものだ、工作物がこわれたときにはこれは災害だと皆災害に責を帰してしまう、これだつた技術者じやなくても事務官でも災害復旧はできる、こういうふうのことを聞かされて、私はこれは相当含味すべき意見と思つたのです。私なんかは少くとも仮に今ここに十万円の金がないと一つの橋を架けることはできん、併しその場合に事務当局はいろいろの関係で五万円でやつてくれというときに、これはできないのだ、できないからして年限を延ばしても五万円五万円で、結局十万円下さい、そうしてやらないというと技術責任ある者はできん、こういうふうな方針で参つたのです。私はやはりこういう方針は、今後も米田局長はおとりになると思いますが、今海岸堤防の厄介なことはよく存じております。併しその他の技術に対しても私はお願いしたい。と申しますと、では自分たちがこれは最も安全だと思つてつたような或る種の技術が今やはり行われているかと思うと、私は遺憾ながら非常に脆弱な仕事をされている。なぜこういうふうなことを認めているのか、私は各地方に行くたびごとにそれが気になつてつてはそれとなしにその責任の方に、これはこうなさつたらいいがどうですかということをお話しています。そういうことがありますから、私は今後もうすでに相当たくさん例も出て、こういう場合にはこういうふうな仕事をするべきだということが多くの例で認められているのでありますからして、やはりこういう災害に鑑みても、今までいい結果を生んだものはそれを一つの範として、今後のその種の技術のまあ一つのスケールとして欲しい。  もう一つお願いしたいのは、如何に技術者が立派にやつても、やはり技術には非常に私経験が大事と思うのです。その観点からしてこの本省のお方が、どうしても経験ある人がその衝に当らない以上は本当の技術の指導をなさることはできんと思う。つい本省の方がこれでいいとおつしやるから、それに服従といいますか、従つてつてしまう、その結果却つて面白くない技術を生んでしまうということも、私はこれは否定できんと思います。それでもう戦争も終つて大分年限も経たことでありますからして、相当立派な経験者も各地にあろうと思いますからして、今後は本省の少くとも指導に当る人は、十分経験を持つた人を本省においてそうして全国の指導に当る、こういうふうにお願いすると、今後とも技術の向上になろうと思いますが、これに対する局長の御所見を伺いたいと思います。
  19. 米田正文

    説明員米田正文君) 只今江田委員お話に続き、赤木委員お話については、私どもも全体としては今日の状態が必ずしも十分行つていないということについては私ども同感でございます。御承知のように終戦前後を通じて技術の低下というものは非常に目立つほどひどかつたのであります。これがあの戦争前後の空白がなければ、私、今日ほど苦労しないで済むんじやないかといつも考えております。これは併しひとり技術のみならず、日本全体を通じての一つの傾向の現われとも考えて、みずから慰めているのでありますけれども、早急にこれを回復することは今日の急務でございます。各地方建設局というものは、従来からこの技術の中心となつて日本全体の技術のレベルを上げるという一つの不文律の任務を持つておるのでございます。何と言つてもこういう地方建設局というような機関があつて、ここが技術の模範を示すというところになりたい。そうして府県は勿論、府県自体の研究向上というのがありますけれども、それらが一体となつて向上に努めたい。で、それには何と言つても人が仕事をするのでありまして、優秀な技術者、人格高潔且つ技術の優秀な技術者という者を育てるのが、今日の私は急務だと思つておるのでございます。微力ながらそういう点についても各建設局における技術の向上の方途として、会合等をいろいろ設けて等もいたしております。成るべく私どももその点については最善の努力をいたしているつもりであります。  で、最後にお話のありましたように、本省の各地方を指導する任務にあります者の資格、そうして十分現地の知識を持つた者が必要であるという点についても全く同感であります。そういう人材を養成すると同時に、本省でこの指示に直接当つておる者については、現在の乏しい中でも現地経験を持つ、十分なものを企画して行きたいという考え方をいたしております。何しろ先ほど申しましたように、今日はそういう人の非常に少い時期でございます。いろいろと苦労はいたしております。御趣旨のような考えには全く同感でございます。
  20. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一つ三重愛知海岸復旧について一部はもう請負に付されたのでありますね。
  21. 米田正文

    説明員米田正文君) そうであります。
  22. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 付されたとするならば、一体これは直轄工事にするか請負工事にするか、非常に日頃疑問を持つております。併し今回早急に事業を進めなければならん、そういう観点からして、どうしても或る一部分は請負に付す、こういうような話もこの前の国会で承わつたのです。それでもう今更発表されても差支えないと思いますが、一体請負に付される場合には、当然或る事業に対する予定価格というものがありましようから、どの海岸工事にはこれほどの予定価格を持つていた、それに対して請負の入札に付した場合に、どういう人がこれほどの入札をした、そういうことを私は承わりたい。これは非常に今後の参考になると思います。それを若しそこに資料がなければ、資料をお持ちのときに私は発表願いたいのです。これは今後直営にするか或いは請負にするかという大きな問題であると思いますから、この次でも結構ですから、資料をお持ちのときに若しお差支えなかつたならば御発表願いたい。
  23. 米田正文

    説明員米田正文君) 今申上げましたように、六地区のうち三地区については決定をいたしました。その単価の詳細なものも実はございますが、今次々と忙殺をされておりますので、近く或る程度全体のものがまとまりますから、そのときには資料お話申上げます。まだ愛知のほうの問題が全然これから入札でございますので、内容等まだ今日詳細にお話する時期にはちよつと早いような気がいたしますが、併し個人的なお話であればお話申上げます。
  24. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はこれは個人的な話じやなしに、公けの話にしたいと思います。今それを発表なさることが今後の入札に支障を来すならば、今日それを発表して下さいと言いません。ただ請負に付するがいいか或いは直営がいいか、そうして今後の単価をどうするか、これは大きな問題でありますからして、一旦請負に付した場合に、初めの予定価格はどう、誰がどういうふうに入札をしたと、或いは請負者の談合なんかもあつてはとんでもないことですから、そういうことも十分検討して頂きたいと思います。
  25. 田中一

    田中一君 今赤木さんの、入札の問題に関連してお伺いしたいのですが、無論ああいう工事で、人手も足りないから、請負に付するというような方針を承わりましたけれども、私現地に行つて見まして、約三カ年と言いましても二カ年二、三カ月で二百億の厖大工事を消化するということになりますと、労力、資材、その他の点について非常に難関があると思うのです。そこでこれは行政面に干渉するわけではありませんけれども、どういう計画でも立つているか、入札方針もどういう観点から業者を選んでどういう方法建設省自身が予算を組んだか、単価見積で入札したかどうか知りませんけれども、建設の予算の見積額というものがどういう根拠でやつたかという点を伺いたいと思うのです。  私が危険に思うのは、例えば三重県にしましても、骨材、砂利の採取量というものは、宮川を中心としてしなければならない、宮川にはそれを搬出する道路が一本しかない。そうすると何社か知らんけれども、大勢の請負人が入つて工事をする場合には、最初に契約をする、最初に入札した者が優先的に骨材を持つて来る、あとの者は手遅れになつて、そのために単価が非常に上つて来るというようなことも考えられるのです。従つて資材、労力、こういうものを、どういう計算基準から、先ず政府がどういう予算を組んだかという根拠を明らかにされたいと思います。
  26. 米田正文

    説明員米田正文君) この問題について直営にするか請負にするかということに対しましては、これは一度申上げたことがございますが、御承知のように非常に緊急を要する工事でありまして、これに対応するだけの人員を揃え、資材を揃えてやるということが到底間に合わないというために、請負にすることに方針を決定したのでございます。併し全部が全部やるかどうかということは、今後の情勢もございますので、百パーセントやるかどうかは多少の問題は残るのでございますが、大体において請負で実施をするという方針にいたしております。  そこで単価との問題でありますが、これは一つ経済速度で、最も安い単価で行くというには、又一つの速度というものがあるので、例えば今お話もありましたように、砂利を取る個所にしても、それをゆつくり取つていい場合と急に取る場合と非常に現地の情勢は変りまして、単価も変るということになります。そこでそういう経済速度、丁度適当な速度でやるというような仕事でなくても、自然的条件から、あらかじめ期限が切れるというような仕事でありますので、工事のほうが先にきまつて、そうしてそれから資材等の手当をするというような順序になつておるのであります。主として工事に使うものはセメント、砂利、砂、主なる資材はそれと木材であります。セメントセメント会社に交渉を現地でいたしておりますが、これは入る見込がついております。砂利でありますが、現在の入札をいたしました砂利は、宮川で皆取るようにいたしております。砂は現地海岸砂を一部使うことにいたしました。これらは数量がきまつておりますので、今後の分も睨み合わせて、宮川から取る数量は幾らと、こういう計画を立てた上でやつておりますので、宮川から取る数量というものをそれぞれの工区に分けて、各業者が競争をして競り上げるというようなことのないように、ここの工区の業者の分はどこから砂利を運ぶのだということをあらかじめきめてやるつもりでおります。そうして競合等の起らないような方途を講ずることにいたしたいと思います。単価は決定の基準はなかなかむずかしい問題でありますが、従来からどこでも土木工事、こういうコンクリートの工事というものは、海岸工事というものはずつと従来かりやつております。急施工事としてもやつておりますし、災害復旧工事としてもやつております。従来やつておる例があるのであります。これらのものが一つ単価の、先ず平常単価基準であります。それに今度の緊急を要するというためにどれだけ上るかという算定をして今度の単価をきめておるのであります。そういう単価と業者の見積の単価とが相当違う、相当に開いて、そのためにまだ入札の結果が落札者を決定し得ないという、そういうのが三工区あるのです。これらについては現地で今打合せをいたしておりますが、役所側の単価に押付けるか、或いはどうしてもそれが話合いがつかなければ、又新たな方途を講ずるということになつておるわけであります。
  27. 田中一

    田中一君 おつしやる通り材料は非常に簡単なものです。併し今お話のうちの最も大きな材料としては水の問題があるのです。一体その水を、どの現場も水をどういう方法で以て輸送しようとしているのか。それから輸送するについても、例えば津の海岸にしましても、雲出川の決壊個所というものは無論トラツク一つ入りません。セメントでも何でも皆背負つて行くか、或いは海上輸送力、海上輸送の場合には何分岸壁が、岸壁というか、水際が浅いために、大きな船で海上輸送ができない、水深の浅い船で以て持つて行かにやならん、さもなければ今度は例えば鵲村にしても結局水をどこから持つて行くか、まさか海水を持つて来てコンクリートを作るつもりでいるのかどうか知りませんけれども、少くともあの海上に突き出た堤防を直すのに水の輸送、それからセメントを運ぶにしても背負つて行かなきやならんというような点を考慮されて予算を組んだかどうか。で標準単価なんてありようがないのです。一つ一つの現場で殆んどが違つて来るのですね。今言う簡単に、セメントはまあ官給するということになつているらしいのですが、持つて行きやいいと言つても、持つて行く道がないのですね、そういうものが条件が全部違つているのです。だからその政府で組んだ予算というものが何の根拠でどういう計算になつているかを詳細に聞きたいのです。そうして業者が請負つたものについては、目的の来年の三月までに一応原形復旧程度のものにしよう、そうして後に残るものは改良工事で以て嵩上げをしようというような案のように伺つておりますけれども、そういう場合に何の基準入札をしたかということが先ず重大な問題です。あなたのほうにそういう準備とそれから計画がなかつたら、一応業者から取上げた予算を見て、この辺だろうというものできまつたものか、それとも今言つたような鵠村の水の問題、海水で以てコンクリートを固めるというのならば僕はいざ知らず、若し真水でやるならば、あすこの決壊個所というものに水を運ぶのにどういう方法で持つて行くか。例えばさつきあなた石材のことをお話になつたのですが、愛知県の何とかいう石材を持つて来るについても、大きな船で持つて来たのでは、これは陸揚げができないのです、又艀に積込んで持つて行かなきやならない。そうしますとその輸送料の問題はどうなるか、一つ一つつて来るのです。輸送の計画そのものが違つて来るわけです。こういう点はどういう工合な基準予算を組んであるか。
  28. 米田正文

    説明員米田正文君) それはおつしやられるように、各工区で各設計ごとに皆実は単価が違うのです。そこで今私が申上げましたように従来の地区、それぞれの地区へ、大体ここでは砂利が幾ら砂が幾ら或いは木材が幾ら、或いは今のの労力費について幾ら、或いは水の費用が幾らというのが、従来から大体平常時の単価というのがございまして、その単価というのは勿論各個所で又違つておりますが、そういうものがある。それに今度の緊急にやるということのために非常に、例えばトラツクにいたしましても、十台でゆつくりやつていいものを、例えば自分が手持の十台というトラツクを持つておれば、これでゆつくりやれば一番安く行くのですけれども、それを三十台も五十台も一時に使わにやならん。このために他の二、三十台というものは借上げるというような、非常に急ぐ仕事になりますとどうしても高くなる。でそういうものの値上り、値を上げるということを考慮をしなきやなりません。それから今の水、或いは運搬の費用等は、勿論これは個所々々についてそれぞれの方法をきめて、ここは船輸送をする、ここはトラツク輸送をすると、一々きめまして、それで積算をした上で単価をきめておるのでございます。各設計ごとの内容が皆違うわけであります。でそういう方途で現地にそれぞれ当つて設計を立てて行つておるのであります。
  29. 田中一

    田中一君 それではさつき赤木委員からも要求があつたように、すつかり入札が終つたならば、ふところを開けて我々に御説明願いますけれども、大体津にしても愛知にしても六割は建設省が担当する、あとの部分というものは地元が担当するというわけです。地元はいろいろ資材及び労力、その他の打合せをどういう工合にやつておるか、伺いたいと思いますが……。
  30. 米田正文

    説明員米田正文君) これは両県と打合せを当局からいたしまして、設計の内容及び今後の工事の実施については常時連絡をして行くということで、中部地方建設局海岸堤防建設部が中心になりまして、両県と常時連絡を保つて行くことにいたしております。
  31. 田中一

    田中一君 労力は主として地元のほうの業者といいますか、県が負担する分の労力はどういう形で集めるか、それから建設関係の請負に出される分ですね、それから中央の大きな業者が担当する分の労力はどういう工合に考えておられるか、伺いたいと思います。
  32. 米田正文

    説明員米田正文君) これは私どもできるだけ今度の罹災者の救助の一端にも資したいというので、罹災者を極力使うように計画をいたしております。で恐らく相当大量の、多数の人が、多数の罹災者がこの工事に当ると思います。併し特に熟練を要するとか、そういう問題は勿論これはもう地元の人にはできませんけれども、そういうものは別ですが、一般の労働には罹災者を当てるように極力進めております。具体的にどこの分がどうだということはまだ承知をいたしておりませんけれども愛知県、三重県としては、私ども現地で示した方針としては、今言つたように、一般労務についてはできるだけ罹災者を使う、こういうことにいたしております。
  33. 田中一

    田中一君 例えば中央の大きな業者が他の地区に持つている手持の専門的な土工なら土工という者と地元の罹災者、いわゆる百姓とか漁師の方々の持つておるところの労働力というものは相当な開きがあるのですね。それでそれをどういう工合に調節してやつて行くのか、恐らく請負に任します場合には、労働強化という言葉は適当かどうか存じませんけれども、大体においてその賃金が余分になつてもいいから能率よくやる、突貫工事の性格としてそういうことになるのですよ。従つて地元のそうした奉仕的な或いは失業対策的な労力というものは、なかなか請負の場合には本当の効果を発揮しないのですね。いわゆる手足まといだというような印象を受けるのです。それこそ土一つシヤベルでしやくうにしましても、専門のやる腰のひねり方と、それから素人のやる腰のひねり方と非常に違うのですね。それで賃金は一体それで以つて同じというような賃金を払うか、恐らく払わんと思うのですよ。そういう場合に建設省予算というものが、どの賃金を標準にして組んであるのか、そういう点も実は伺いたいと思うのです。それで労働力というものが現在の愛知県、三重県の両県で以て罹災者のみで賄えるものかどうか、又地元の労力を使うという場合に、その罹災者のみでなくて、一般の失業対策事業としてもそれを加味してやるのかどうか、こういう点は工事進捗する上において、又請負人が労働力を使つて行く上において、低賃金とか労働力強化というような妙な結果が現われないとも限らない。それはなぜかと言いますと、中央の大きな請負業者が持つているところの力というものは専門的な、終始それに突込んでいる土工専門家である、これは技術家なんです。単なる労働者じやないのです。土工の技術家なんです。こういう者と太刀打ちさせて、賃金の問題、それから能率の問題という点をどういう点から算定して行くのか、そういう点も又研究しつつあるのか、しようとしているのか、又したのか。これは将来ああした工事に対する大きな問題の禍根を残すということがあるものですから、これははつきりこの点御答弁願いたいと思います。
  34. 米田正文

    説明員米田正文君) これはまだ具体的にどの箇所でどの程度使うということまで確定をいたしておらない時期でありますので、はつきりしたことは申上げられないのでありますが、今後の問題でありますが、我々の設計としては、標準の歩がかりというもの、その歩がかりの労働賃金については職種別の地域別賃金というものが決定されております。それが標準賃金として計上して設計作つております。それでその枠内で賃金を支払うことになつておるのでありますからして、今言つたように非常に働く能力のない、労働能力の落ちる者はその賃金も安くなることは止むを得ない、恐らく職種別の最低賃金というものは支払わなければならんのですが、能力のある者は又一面出来高払いというようなものも加味しなければ、これは工事をやりますのに、一律に働く人も働かない人も同じように払うということになつたら能率が挙がらないのみならず、全体の経費の算定ができないのでありますからして、一定賃金で而も一定仕事量というものをやり上げるということが設計基準でありますからして、その枠内において現地でどの程度罹災者を使うか、その罹災者もやはり労働力を持つた者でないと困る。で、そういう私どもはできるだけこの工事を利用して現地の救済の一助にしたいという自発的な方針でやつているので、労働力のないような或いは労働力の低いような人は又別途の方法を講じないと、到底この工事では私は困難かと思います。
  35. 田中一

    田中一君 じや、どういう算定……パーセンテージですね、地元とか何とかをきめて予算を組んだのですか、政府の労働力に対する金に組み上げたもとを一つ聞かして下さい。
  36. 米田正文

    説明員米田正文君) それは先ほど申上げましたように地域別職種別賃金というものがございますので、私どもはその賃金内で、それに相当する労働力を持つている者を標準にしてやつて行く、だから具体的に言えば一人前の労働力を持つた者標準にしてやる……。
  37. 田中一

    田中一君 私は、中央の大きな業者が入るのでありまして、地元の労力を使わないほうが能率がよくて、又結局低賃金で工事が行える、そこに利潤が生まれるというような形になるのじやないかと思うのです。地元のそうした未経験の労働者を重労働に使う場合必ず脱落します。恐らく三日行つて一日休むとか、一日出て二日休むとかという現象が起ると思うのです。そういたしますと中央の業者は、請負の採算上、どうしてもあつちこつちに自分の現場をたくさん持つておりますから、現場における労力を吸収しまして、飯場を作つてそこでやる、そのほうが結果において仕事がよくて能率がいいという結果になると思うのです。こういう点を三重県とも愛知県とも相談して計画を立てなければ、恐らく別の問題が起きて来ると思うのです。又どういう入札方法をとつているか、詳しくはいずれ御報告があると思いますけれども、あなたのほうの基準というものはどこにあるかという問題が、ただ協定価格があつて、その協定価格の最高と最低を抑えて、どこかにはめて使うというのでは新らしい問題を起すのじやなかろうかと思うのです。そこで全体の労働基準に対する計画というものが立たなければならんと思うのです。二日出て一日休む労働者を相手にして、請負人は決してそのために待つておりません。必ず請負人は自分の、大企業ですから、労働者を一日何千、何万と使つているのですから、最寄りの現場から持つて来てどんどん使えば非常に利益になるのです、採算上。従つて予算の組み方がいい加減なものであつては、これは又新しい問題を起すのじやないかと思うのです。そこで資材の面、輸送の面、労働力の面についてもつと明確な計算基準がなければ、需要供給の面がはつきり明確にならなければ、あなたのほうに正しい予算というものが組めないはずなんです。そのときになつてからやるのじや済まないのです。
  38. 米田正文

    説明員米田正文君) その点は私ども考え方を申上げます。この工事は先ほどからしばしばお話もございますように、非常に緊急を要する事業でありまして、早く来年の台風、高潮までにはこの工事を、一応普通の年の高潮には耐え得るという程度にまで工事を上げて行くというのを大目標にいたしております。従つてこれが又目標で設計もできているので、実はその目的を阻害するような問題にならない程度で私どもは地元の労力を考えているのであります。これを地元を救済するための工事だという趣旨は容れておりません。工事を仕上げるということが一つの目標でありまして、従いまして我々が職種別賃金で標準賃金で組んであります範囲内において使用できる、使い得る者を使うという趣旨であつて、救済事業という趣旨は持つておりませんが、これだけの大工事をやる以上は相当一般労働者も要るのだから、これは極力地元の罹災者を使つて行きたいという趣旨でありますから、私ども特別救済というものを立てる予定はございません。
  39. 田中一

    田中一君 これは河川局長重大な発言です。これが若し地元に、あなたが参議院の建設委員会においてその発言をなしたということが伝わりますと、これはとんでもない問題が起きます。私は少くともあれだけの地域が決壊し、罹災しておるのに対して、どうよく指導して、高能率的な労働力を発揮させるかということに主眼を置かなければ、これはとんでもない問題だと思う。そこで大きな業者は、地元の中途半端な労力を使おうとしない、あなたが言うその趣旨が本当ならば、これが愛知県、三重県の罹災者の耳に入つた場合、これは何も失業救済的な意味でやつておるのではないということはわかりますが、それを如何にその人を使うかということが、あなたのほうの、行政官庁としての建設省の役目じやないかと思うのです。若し実際にそういう腹ならば、これは一人も地元の人間は使わないと、使いたくないという発言にほかならない。
  40. 米田正文

    説明員米田正文君) 今のお話結論のところは、一人も使いたくないという腹だとおつしやられたのですが、それは私は一番最初に申上げている通り、建設省としては、この工事に極力現地の罹災者を使いたいと申上げておるのです。その使う方法をどうやられるかという御質問に対して、私は現在の賃金の枠内において、その労働力を発揮させて使つて行きたいのだという趣旨を申上げたのであります。使わないという腹だと言われるのは、私は私の申上げたところから出て来ないと思います。
  41. 田中一

    田中一君 これは結論が、あの工事を三月なら三月までに一応の締切りは済んで、或いは原型復旧というところまで持つて行くとなりますと、これは地元の労力を使つたのじや足りない面もある、できない面がある。ですからその場合にはそれをどう使つて行くか、何人地元の人間を使つて、どれだけの専門家を持つて来るかという計画がなければ、結局場合によると外部から、ほかの地方から専門の労働者がうんと入りますと、地元の労働賃金が低下する、安くなつちやう、余つちやつて……、併しながら或る程度一面持つて来なければならん。それがまずく行きますと、地元の労銀は非常に下つて来る、逆に抑制すると減つて来て、賃金は上つて来る。請負人も商売ですから損しちや困る、そのうちのどちらか一番自分のほうの利益かというものを求める。  そういう点も建設省は考えて、全体の労働力のあり方というものを考えて、そうして予算を組まなければ妥当な予算が組めないと思うのです。あなたの言うように工事さえできればいいのだという考え方は、却つてあういう工事一つ場所に大勢の人間が入つてやれることではない。あなたのおつしやる通りトラツクも入らないところが多い。そういう場合にどういう形で労働力の計画を立てるかということなんです。
  42. 米田正文

    説明員米田正文君) その点どうも私の説明が悪いのかも知れませんが、私の言つておる趣旨は、極力罹災者を使うのだと初めから私は申上げている。その使い方を、じや何人初めから使えという計画は立ててない。それは現在の標準賃金の枠内において、今後各地の各工区の設計がきまつて、それが入札をせられて決定をいたしますと、各業者にそれぞれ計画ができて来るのであります。それには建設省としては極力現地労働者を使うようにという指示をいたしておりますから、その枠が、全体の枠の中で幾ら使うかということは、私は全部の入札が済めば推定が出て来ると思いますので、初めから何人使えというふうには私ども指示をしていないという趣旨でございます。
  43. 田中一

    田中一君 私はそういうことを言うんじやない。結局一体三重県なら三重県にこの仕事で従事するところの労力というのはどれくらいあるか、仮に十軒、十五軒の中央の請負人が入る、地元の請負が何軒か入るという場合に、地元で依存しますとあなたが幾らきめたところが、需要供給の関係です、あすこは賃金が安いということになれば行つてしまいます。その土地へ行かない。こつちが二十円出すからこつちへ来てくれと言えばそつちへ動いて行く、そうしますと妥当なる工事ができないという虞れが多分にある。そうすると中央の業者は自分で労力の給源を持つています、別のほうに、そんなことを言うならおれのほうの専門家で処置すると言つて、そこに専門的な強力な専門家を入れる、そうなりますと地元の労銀というものはどんどん下つて来ます。そうして地元にしか労力の供給源がないという地元の業者との間に軋轢が来ると思うんです。そうして工区工区で以て締切る場合に、全部一緒に締切らなければならん場合があると思うんです。その調節をどうするか、従つて労働力の計画というものを立つているか、立つていないかを伺つているんです。資材とか何とか言いますけれども、資材は逃げませんから、人間は違うんで、そういう点も勘案して、地元の労働力計画を立つているかどうかを伺つているんです。それがなければ予算が出ないと思うんです。
  44. 石川清一

    委員長石川清一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 石川清一

    委員長石川清一君) 速記を始めて。只今災害地における労働力の罹災者の点については、いずれ工事の見積の現況や落札の状況が次回くらいに委員会に出て参ると思います。そのときに特定の地域或いは特定の市町村の現実の罹災者の労働力というようなものを一応論議の議題に入れまして、それをテスト・ケースにして、やがて将来考えられる問題のほうにも発展して行くようなので、それについて政府の方針を聞きたい、そういうようにして議事を進めたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは農地局建設部長桜井志郎君、只今懇談中に私が申上げましたようなことで一つ計画並びに現在のお考えの説明を願いたいと思います。
  47. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 干拓でございますが、今度特に、先ほど江田議員も御指摘になりましたように、例えば愛知県の平坂干拓のごときは非常に手痛い災害を受けまして、入植している人たちにも誠に申訳ない状態になつたわけであります。こうした問題が一体どうして起つたか、江田さんが非常に技術的にお話になりましたが、自分の卑見も交えてお話申上げたいと思います。  例えば平坂あたりでありますと、私もはつきりした数字は覚えておりませんが、たしか従来の高潮記録二メートル八〇というものをあそこの設計基準にとつているはずであります。ところがルース台風では三メートル二〇、今度のやつは四メートル四〇という潮位が記録されておるのであります。四メートル四〇というのははつきりした記録ではございませんので、その前に検潮器がこわれておりますが、いろいろの情勢から推断して、四メートル四〇の記録が出ております。ルース台風に比べますと一メートル二〇高い潮位が出ておる。それが従来の記録を破つておる、こういうことが一つ前提とされるわけであります。であるからこわれるのも止むを得ないのだ、こういうことを申上げておるわけではありませんが、そういうふうに従来の記録というものが極く短期間に更新されて来ておるというところに問題が一つあるのであります。  少し話が余談になりますが、私先般或る学者に聞きましたところが、台湾の阿里山の何とか檜という檜を伐採した、その年輪を数えると千五百年余りの年輪になるが、その年輪から推算すると、三百年を周期にして非常に大きな気象の変化を持つて来ておる。今我々の年代が気象の変化の谷にある。我々の一生の間にはその気象の激変の谷から逃れ出ることができない。こういうようなことをその年輪から推算して一つ言える。こういう話を聞いたことがあるのでありますが、それとこれとは一致するかどうか知りませんが、とにかく潮位の記録というものはそういうふうに変化して来ておることが一つ。  それから江田さんが指摘された点、私ども災害直後行つてみて、非常に自分自身があの工事に対して疑問を持つたのでありますが、平坂干拓の前面の工事というものはいわゆる人造石というものを使つておる。この人造石というのは、石と石との摩擦というものを全然利用しないで、石と石が離れておつて、その間に二和土を埋めておる、こういう方法であります。これは従来愛知県の干拓地に非常によく使われて来た工法であります。その工法をそのまま適用したところに一つ問題があるわけであります。なぜそういうものを適用したかということを言いますと、これは終戦直後に工事を始めて、今の時代から振り返つてみますと非常にセメントがなかつた。そういう時代に計画工事を着工したが故に、セメントの利用を外して二和土を使つた人造石というものによつて、而も人造石というものは愛知県の干拓工事に古い歴史を持つておる。こういうところであの工事では人造石を使つたのだ、こう言つておる。この人造石そのものは、昔のやり方でありますと、いわゆる労働力というものは、極端な言葉で言えば無尽蔵に使つて、舟の中で石灰と粘土をこねて非常によく混和したものを使つておる。ところが今日人夫賃というものが高くなつて来ると、昔のように十分なる労働力を人造石を作るのに投下していない、これが一つやはり問題があると思う。平坂があれほどにやられたという原因を追及して行きますと、人造石を使つたということ、そしてその人造石が昔やつたほどに十分なる労働力を入れてこね廻わされなかつたであろうということ。それから潮位記録というものも、従来の二メートル八〇というものが今度四メートル四〇という、それは潮位だけではございません。それに加えまする風の強さ、風の方向、こういうものが当然影響されて来るわけであります。そういういろいろな悪条件が重りまして平坂というものがああいう状態になつた。  これは江田さんのお言葉に対して一応経過を申し上げるわけでありますが、そのほか静岡県或いは三重県等につきましては、特に干拓は余りやつておりませんので、大きな被害というものは干拓に関する限りございませんでした。なお愛知県に入りまして、現在やつております国営事業干拓工事等につきましては、石積護岸の決壊したものは殆んどございません。裏日本に現われたものはございますが、平坂等に比べると非常に極端な対照を現実に示しております。こうしたもの全体を通じて私どもは今災害復旧を急いでおるわけでありますが、なお建設省がやろうとしておられる海岸堤防の背後地の除塩等の問題につきましても、先般国会で議決されました除塩法に伴う予算を目下大蔵省と交渉中であります。大蔵省といたしましては、予備金支出でこの問題を考えたいということで行つておるのですが、まだ具体的にはこの額の交渉は妥結しておりません。経過としてはそういうふうに進めておる、こういうことであります。  極く簡単でありますが、一応簡単に……。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 そういうことでしようが、さつき河川局長のお話では、農林省建設省とは具体的にいろいろ調整をとつておやりになつている、こういうことでしたが、今度の復旧についてうまく調整がとれているかどうか。私たち、例えばここに設計があるのですがね、この前の干拓のや、それから建設省のこれ一つ見ても、例えばデータのとり方が、片方は東京湾の中等潮位を基準にして何メートル堤防というものを出しておるし、農林省のほうはそれと別な出し方をしておるし、一体海岸堤防一つ見るのにこういうことまであえて、農林省建設省とがどちらがいいか知りませんよ、別々な断面図を使わなければならんということになると、どうも我々うまく調整が取れていないじやないかというような、そんなことは枝葉末節かも知れませんけれども、そういう感じがするのですがね。そこで今度の場合にはうまく技術的な連絡を取つて同じようなものをおやりになろうとしておるのか、そうでないのか、どうなんですか。
  49. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 四メーター四〇という潮位が、例えば平坂の潮位記録を根拠にして全面的に設計を変えて行かなければならんかどうかということが一つやはり前提となつて来るわけであります。これは結局そういう潮位の頻度というものと関連して来るわけです。私どもとしては、そういうふうなものが頻度としてどうあるであろうかというようなことも、私どもだけじやなしに、気象学関係の権威者なんかも入れましていろいろ協議しておるのでありますが、先ほど言いましたように、話が遂に三百年の年輪の話が出てしまつて途中でぼやけてしまつたということもあるのですが、どうもこれをはつきり今つかんでおらない。それからもう一つ、三メートル二〇という潮位が出たあとにすぐにこれに近い潮位が非常によく出ておる、二十六年以後の僅かの期間でありますが、非常にこれに近い潮位が出ておる。こういうこと自体も海洋気象学者等にその原因等も相談しておるのですが、まだやはり学者たちももつとデータを出してくれ、データを出してくれということで、研究の途中にあるわけであります。こういうようなことで、どれを一体設計基準にはつきり持つてつたらいいかということ自体も、今日正直なことを申上げるとまだきまつておりません。  それから建設省農林省の断面が違うということでありますが、これは建設省農林省の潮位が違うということよりは、堤防のある場所によつて、例えば方向とか、それからの海岸の距離とか、いろいろな問題で、ケース・バイ・ケースで断面が違うのは技術的に言えるわけです。  それから海岸堤防考え方が二つある、堤防そのものが安全であるということと、堤防が安全であつても背後の農作物が安全であるかないかという問題と、この二つに分けて行かなければならない。例えば四メートル四〇という今度のような潮位をとるといたしますと、これに背後の農作物もなお且つ安全だという考え方をとりますとすると、非常にその嵩上げを考えなければならん、そういうものが、例えば農業というものを一つの企業であるというふうな考え方をして、資本構成という問題を取入れて行くといたしますと、私どもの理想の断面まで持つて行くということは非常に困難であります。先ほど江田さんがおつしやいましたようにこわれる心配のあるようなものはなくするんだ、こういうようなお話もありました、ありましたが、例えば私のほうに言わせればこわれないものだけを作るという考え方から言えばむしろ単純だ、非常に簡単だということが言えるわけです。併し極力安くて農業採算の中で、できるだけこわれないものを作つて行くところに技術のむずかしさかやはりあると思う。農作物の被害を甘受して堤防はこわれないものにする、そこら程度で落ち着く考え方をとつたらどうだろうかということを今考えておるわけであります。農作物の被害をそれじや甘受するということ自体はどうだということになりますと、それは先ほどのやはり風土の関係を考えて、こうした潮位とこうした風力と、こうした気圧等が重なつて来た場合においてはこれは背後に海水が乗り越えて農作物が被害を受けても止むを得ない、併し堤防は安全に保つ、こういうことを考えるべきだということも一つ言えるわけであります。そうした場合にはやはり堤防の断面構造とか、それから先ほどお話となりましたが、堤防の背後は泥むき出しじやないかということをおつしやいましたが、これは事実泥むき出しにしているのであります。できるだけ金を前面に持つて行くということにおいて背後が弱いことを甘受しているわけであります。併し強くしようと思えば石張りにするなりコンクリートを張るなり、わけのないことであります。  なお、私どもはそれに対してこの潮の非常に強い所にこういう土羽堤防を保護する植物としてどんなものがよいかということもよりより研究しているわけです。第一義的には金のかからない植生でエロージヨンを防ぐ、或いは堤防の前面の高い所にはその潮の中で堪えられるような例えば葦みたいな植物のうちで一番強いのを堤防の前面にはわして、石垣が二義的に水圧を受けるようにするということ、いろいろなことを考えているわけでございます。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 いろいろ聞くと尤もらしいということになるんですが、何しろ千五百年もの年輪から見て非常に危険だということが一部の学者からも言われるんなら、よほど私は慎重にやつてもらいたいと思うので、率直に言つて少なくとも僕ら素人で受ける印象からすれば、例えば私の県の、岡山県の児島湾の池田侯時代に作つた堤防を見て、或いは同じ愛知県の神野新田堤防を見ても、昔の海岸堤防というものは非常にがつちりしたものを作つていると思うのです。これは封建時代ならば奴隷労働でやつたのだからできるということもありましよう。併しともかく海へ乗り出すということについては、昔のやり方は私は非常に慎重じやなかつたかと思うのです。そういう点が、今の農林省のやり方というものは、やはり技術者として自分の手で一つの新らしいものを作つてみたい、こういう慾求に余り走り過ぎているのじやないか。自分の手で立派なものを作つてみるということよりも、自分の手で何町歩でも新らしいものを作つてみて、勿論地元の陳情もありましようし、いろいろ事情もあると思うのですけれども、そういう点に流れ過ぎてはいないのか。海岸堤防の場合には特に安全ということを考えてもらわなければ、やつたところで迷惑だと思うのですよ。折角そこで定着した頃になるとこんな目に会つちやかなわん。その点児島湾を見ておつても、あの旧幕時代と今のやり方を見ると、どうもこれでいいのかという心配に堪えんのでして、ただひとり私はここの問題だけを言うのでなしに、農林省として余り功をあせらずにやつてもらわないと困るのじやないか。なお又そういう将来の堤防の問題につき依然として農林省農林省建設省建設省という方式で行かれるのかどうか、そういう点では海岸堤防法の問題も一時問題になつておりましたが、そういうようなことについてはどうお考えになつているのか。
  51. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 我々技術者のやつた結果が非常に不信を買うということ自体は、これは技術者として私は幾ら反省しても反省足りない問題だと思います。そのことをやつた当時の環境の変化といろいろ問題はございますけれども技術者が作つた工作物というものは、その環境の変化と共に消えて行くものではなしに、環境の変化を乗り越えて次の世代へ残して行かなければならん。そういう点から言えば、私は先ほども申上げたことが弁解らしく聞こえたかと思いますが、私は御判断を願う意味で、ただ環境の変化ということを申上げたのでありますが、私自身といたしましてはそういう気持を持つおります。いろいろの環境の変化というものを乗り越えて、我我が作つたものは次のゼネレーシヨンに引継いて行かなければならんものだ。そういうことが言えるならば、災害に対してこわれるなんということは以てのほかだという結論が当然出るわけです。私どもは決して功をあせつてどうこうということは微塵もないのでありますけれども、現実に出た姿として、そういう判断が出るということであるならば、我々としても当然これは反省しなければならんことであります。  それから又建設省との技術の云々という問題は、私どもは今日非常にフランクな気持で、外国からも技術の導入を進んでいるものがあれば引き入れることはいささかも躊躇しないという気持を持つております。ましてや国内においての技術の交換なんということは当然であります。
  52. 江田三郎

    江田三郎君 いや、だからちよつと具体的に、海岸堤防法というような問題についてはどうお考えになつているか。
  53. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 海岸堤防法については、これは技術の交換ということとは少し違うと思いますが、堤防保全について農林省の考えは、主として農地を保全する堤防農林省が所管するという考えを持つております。併し現在の、現実の今日の災害においても、愛知県とか三重県とか、そうしたものについては、現地において県管理堤防建設省系統でやるということに話がついておるように聞いております。それはそれで具体的な問題として進んで行く、こういうことでございます。
  54. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ちよつと今関連して。先ほど農林省のほうの計画農林省でお考えになると伺つております。併し私は、無論その場所によつて或いは潮の高さ、いろいろなことがあつて設計は違いましよう。違いましようが、同じような条件にあるものに対して一番いいものは、建設省にしろ農林省にしろただ一つであつて、二つもあろうはずがないと思うのです。又建設省にしても同じように、ただ堤防だけでなしに、内部の耕地の保護は当然であるからして、農林省のみが耕地を保護する、こういうことは言えないと思います。私はどうしても農林省建設省も、おれはおれのほうでやるのだ、そういうことは絶対いけない。どうしても一つ設計が、単価の点からいつても一番安く、一番安全で、これ以外にはないのであります。どうしても一つ設計で行くべきものだ、私はこう思います。
  55. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 赤木先生のおつしやつたことと私は違つたことを思つているわけではありません。その場所場所によつてつた設計ができるということを申上げたわけでありまして、当然一つ場所で仮に両方で設計したと、こういうことでありますれば、協議して最もいい設計にどちらかが従つてやるということは、これは当然だと私は思つております。
  56. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今お話の通りに、どちらだと言いませんが、誰が見てもこれは一番安くて而も一番強固、そういうふうなことを考えて国のために折角お仕事を願います。
  57. 石川榮一

    石川榮一君 ちよつと決算委員会のほうへ出席して、その途中出ませんので、或いは重複するかも知れませんが、折角建設部長いらつしやるのですから、一応私からも伺つてみたい。  今度の十三号台風による海岸の破堤は非常に延長が長く、而も個所が非常に多い。その破壊個所が非常に惨怛たる状況になつておるのですが、これが農林省干拓による堤防と、建設省が県の委託によつて工事をし或いは補強したというのもあるわけであります。今度農林省のいわゆる干拓堤防と称せられるものは農林省がおやりになり、その他のものは建設省がおやりになるということで、整然として区別されておりますようですが、相隣接したところの工事の現場から考えまして、各省ごとに分れて、資材やら運搬やら労力やら、その他単価やらというようなものを算出されまして、そしてお互い別な立場から工事をなさることが、我々としますると何だか割切れないものがあるように思うのですが、そこで伺つてみたいのは、資材の関係、又資材の運搬は非常に困難だと思いますが、運搬の関係、その他所要労力等の関係等につきまして両省の間に緊密な協議等が行われておりますかどうかを伺いたい。
  58. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 丁度建設省は名古屋に地方建設局がございますし、私のほうも京都農地事務局の管轄にはなつておりますけれども、それでブランチを名古屋に置いておいて、それぞれ出先機関で今御指摘のような点についての協議を進めて行つております。
  59. 石川榮一

    石川榮一君 工事設計並びに単価、或いは建設省の今浚渫用のポンプの注文もしておるようですが、農林省工事にはポンプ新設の必要はあるかどうか知りませんが、若しあるとしましたらおのおの独自の見解で設計を出す、単価を生み出す、或いはポンプが必要とすれば銘々がそういうものを協議せずしてお買いなさるのであるか、これを伺つておきたいと思います。
  60. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) 私のほうでは今サンド・ポンプを新らしく買うということは、この災害復旧に関しては持つておりません。現に近くの国営干拓地区に持つておりますものを動員する計画でおります。
  61. 石川榮一

    石川榮一君 工事設計農林省設計建設省設計は、協議の上で決定いたしますか、別々で決定いたしますか、それをお伺いしたいと思います。
  62. 米田正文

    説明員米田正文君) 実は只今お話したところでしたが、現在設計建設省としては現地で立案中であります。ここ数日くらいでまとめたいと思つております。そこで先ずそれをやることが先決問題でございますから、それをやりましたら現地で、農林省のほうの設計が同日頃できるならば、現地で協議することにいたしたいと、が、いずれにしても現地でお互いに只今御心配をいろいろして頂いておりますが、我々としても農林省と我々のほうとがうまく行くように一つやろうと思つておりますから、そういう設計等についても、できましたら農林省にも連絡して同じものにしたいと考えております。
  63. 江田三郎

    江田三郎君 さつき聞きましたけれども、ほかのほうへ解釈されたので、同じ連絡して設計するなら、この農林省建設省設計を見たらすぐわかるような設計にしてもらいたいと思います。こんなことも連絡のないような、一体どこが連絡しているかと思うのです。
  64. 桜井志郎

    説明員(桜井志郎君) そこを一つ忘れましたが、標高の取り方でございますが、標高の取り方に海図標高の取り方と中等潮位の取り方と二つ、ばらばらに取つておるものもありまして、私どものほうで現に三重県から出して来ておるものに中等潮位の標高と、それから従来愛知県でやつておるものに海図標高で行く、こういうようなまちまちでございまして、今度これは統一したいと思つております。
  65. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 今設計の話が出ましたが、私たちは、かなり旧海軍の施設をやつておられた人が大分会社に入つて来ております。例えば私たち海岸堤防だとか、そういうものの海軍のほうの意見を聞いてみますと、いろいろ今度の設計を見ると、これは如何にも建設省式だというので、大分海軍のほうから批判が出て、そういうふうな意見を、これは十分御検討して下さつて、若しそういう意見が取り入れられますと、大分コストが安くなるし、私たち聞いておりますと、風の吹き方がこういう吹き方で、こういうふうになつていつ頃こういう波が来る、だからこういうような設計が適当で、そうして安全だ。こういうような意見を大分私たち聞かされたのです。それでお役所の方でも非常に頭がやわらかくて十分民間側の意見を入れる方もありますけれども、役人の一種の優越感を持つて、どうしても言い出すというと、是が非でもそれを押し通すような方もたまにはありますが、できるだけいい設計を安くやるということが国家的の利益でもあるのですから、今設計の話が出ましたから、できるだけそういう雅量を示して頂きたいと思います。民間を代表いたしましてお願いいたしておきます。
  66. 石川榮一

    石川榮一君 そうしますと設計のようなものは、両省で大体できたものを照合されまして、そして切磋琢磨されまして、そして最もフランクの立場から立派な設計をお立てになるということなら私ども信頼いたします。ただ工事を別な機関でおやりになるということは、決してそれは国家のために利益じやないと思います。併しながら現在の段階では止むを得ないと思いますが、単価のようなもの、例えば砂利にいたしましても或いは労力にいたしましても、その他の資材等につきましての単価等についても、あらかじめお打合せをなさいますかどうかを伺いたい。若し農林省建設省との工事単価に若干の相違でも起るようなことがすぐ現実にありますと、やはり労力にしても同じだと思います。やはり農林省管轄と建設省管轄の工事が、現場が接続しているだけに厄介な問題が起るのじやないかと思います。これらについても本当にフランクな立場で、国家的見地に立つて、同じ研究したものを、いい工事をやる場合にはそれに当てはまるようにお互いに協力しなければならないと思いますから、単価のようなものを御相談下さつてきめますかどうかを伺いたい。
  67. 米田正文

    説明員米田正文君) 先ほど申したように、設計が近くできますから、そのときに設計を打合せるということは、内容まで入れば結局単価の打合せにもなります。それでそれは同時にそのときにやらしたいと考えます。ただ勿論我々のほうでやります地域と場所が違いますと、やはりそこには単価の開きが出て参る、地域差というものが出て参るから、そういう点は勿論相違はありますが、基本的なものについては差のないような打合せをいたすことにします。
  68. 石川榮一

    石川榮一君 私の質問を終ります。
  69. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今までの建設省考え方農林省の今度の海岸堤防に対する態度が明らかになりました。而もこの工事は、先般来、委員会で御審議願うように、二カ年と一応予定した突貫工事でありまして、それに対して国費の直接出る予算額というものは二十億を若干上廻るくらいと聞いておりますが、あと融資を政府資金でするか、それとも地方銀行から大蔵省工事の保証をするか、いずれかにかかつておるようであります。それらの点が、単にこの三重愛知ばかりでなく、全般的な災害復旧についても、工事進捗状況に睨み合して融資をするという大まかな線がきまつておりますので、それらの点について理財局長から、今不日までの経過と、この三重愛知海岸堤防に対する実際的な考え方と、現在とりつつある態度を一つお聞きしたいと思います。
  70. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 災害関係の融資の問題につきましては、すでに御承知のように、先般の補正予算に伴いまして、資金運用部からも地方債の引受の増額の決定をいたしましたのでありますが、ただそのときに問題になつておりました例の三党協定に基きまする百五十七億を更に資金運用部等から融資いたしますという点につきましては、現在のところまだ追加融資をするというような決定は資金運用部としてはいたしておらないわけであります。その当時御説明申上げましたように、資金運用部といたしましては、いろいろ本年度といたしましては資金繰りが非常に窮屈でありまして、当時の見通しといたしましては、それ以上追加して融資に充てるという資金が到底資金繰りの見通しが立たないと、こういうことでありましたのですが、まあその後いろいろと一方では原資のほうの増加がどの程度見込めるだろうかということを、郵便貯金、簡易保険、或いは特別会計の資金その他につきましてそれぞれ当つております。それで現在のところどの程度そういうふうな資金が捻出し得るかということにつきましては、ちよつとはつきりした金額でどの程度出るというようなことはまだ実は申上げかねるわけであります。ただそれぞれの財源のその後の実績等もございまするし、いろいろ新らしい事情で資金が殖えそうな会計等もございますので、検討いたしまして、或る程度のものは国が出し得るであろうということを大体考えております。現在そういうようなことでありまして、何億の金が追加融資できるかというようなことは、ちよつと只今申上げかねる次第であります。  なお資金の融資のほうの問題につきましては、まあ事業の進行状況等を見まして、緊急なものに対して融資をして行くということでありますので、これは主として地方の財務局、財務部等にいろいろ災害関係工事の進行状況或いはその種類、緊急性等を調査いたさせまして、その調査の結果に基きまして処置するということで考え方は立てまして、現在財務局、財務部でそのほうの調査に着手するというような段階になつておりますから、その結果を見まして、なおそれまでには原資の増加見込等も十分に検討いたしまして、地方の緊急な要望に応ずるように措置いたして参りたいと、こういうような心組であります。
  71. 田中一

    田中一君 先達つて原主計局次長に伺うと、地方銀行から融資をさせるというような見解が大蔵当局にあるように伺つたのですが、その点はどうなんですか。
  72. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 地方銀行の融資の問題につきましては、まあ三党協定のきまりましたもの等においても、資金運用部資金等から融資をするということがございまして、資金運用部資金、簡易保険の資金、或いはその他の市中銀行の資金というようなものも予想されておるわけであります。従いまして資金運用部から十分な融資が期待されない、或いは地方銀行等から或る程度資金が出し得るというような状態でありますれば、当然そういうふうに地方銀行等から出すということも考えられるわけでございます。
  73. 田中一

    田中一君 地方銀行が何年間貸すつもりでおるのか、六カ月か一年か、或いは五年か十年か、一体理財局としてはどういう方針でそれを監督するのですか、認めるのですか。
  74. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 今回の百五十七億円を追加融資いたしますその分の融資の条件といたしましては、まあ大体これは普通の一般の地方債、十年とか十五年とか長期で融資いたしますが、そういうものとは性質が違つたものと私どもは考えておりまして、要するに本年度に先にやります工事を繰上げて早くやる、その結果早く融通資金を、要するに立替えと申しますか、つなぎのために融資すると、こういつたような性質を有するものと考えておりますので、只今お話のありましたような六カ月とか一年とかいうような短い期限になるものと考えております。明年度において清算されるというような融資になるというように考えております。
  75. 田中一

    田中一君 そうしますと、大体この両県の工事に対しては四、五十億の融資がなければ、初めからもうしないほうがよいのではないかというような状況なんですが、一応預金部資金は先だつて次長から伺うともう底をついている。そうすると一体どの財源を以て四、五十億の金をこれに投入しようとするか、その見通しはどうなんですか。
  76. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 両県のこの関係の追加して融資する必要な全額は、両県から大体合せまして七十億というような話を承わつておりますが、これはいろいろ調査いたしまして、実際どの程度の額がいつ頃どういう時期に必要になるかという点を十分検討いたしてみたいと思つておりますが、それに対する財源といたしましては、先ほど申上げましたように、全体として資金運用部の原資の増加を、個別的にそれぞれの資金につきまして十分洗つてみまして、できるだけのものを融資するような見通しをつけたいと、かように考えておりますので、只今どうもそのうちどの程度までが十分出し得るかどうか、ちよつと申上げかねるわけであります。
  77. 田中一

    田中一君 併し一応の見通しは河川局長も立つと思うのです。ほかの工事と違つて海岸工事は途中で以てここのところを三十メーターやめておくというようなことではならないと思うのです。河川局長は今のような答弁で満足しておるのですか。
  78. 米田正文

    説明員米田正文君) 満足しておるかと言われると誠に困りますが、先ほどからお話のありましたように、大蔵省方針は、我々が今まで承わつておるところでは、工事の重要性はよくわかる、これはやらなければならんということは十分認める、併し金の要る度合に応じて出そうではないかということは、大蔵大臣直接私にもお話があつたのでございますから、私どもはまあそれを信頼いたしまして、今折角入札を先ほどからお話しております通りいたしておりますから、これが大体今月中には全部入札が主要な部分は終りますからして、そうしたら大蔵省に協議をいたしまして、本当に必要な資金、何十億になるかはまだ今日はつきりいたしませんが、本当に今年内に必要な資金は是非融通をしてもらうように折衝をいたすつもりでおります。  で、ただ金の問題とちよつと離れますけれども、私どもこの仕事をやります工期的な目安は、来年の七月一ぱいで仕上げたい。この年度区分は三月末でございますけれども、三月末というものは一応金の区切りはつけておりまするけれども、又つけざるを得ないのでございますけれども仕事の本質としては、来年の七月以降の高潮までに或る程度堪え得るもの、即ち普通の高潮が来た程度では持つというものを仕上げるということを今日標準にいたしておるわけであります。そこで今年度内の分は、金のただ年度区分として切るのでありますからして、大蔵省折衝いたします。その金は全体のうちの幾らになるかというのをはつきりいたしてから交渉をいたしたいと思つております。
  79. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私、今理財局長から資金運用部の原資を非常に増して、できるだけ工面して希望に副いたい、三党協定の問題もあるからと、こういうまあお話なのですが、私の今まで聞いているのだと、資金運用部のほうでは原資増というものが大体の見込では百十八億程度だ、ところがあの災害に伴つての地方債の引受の百八億を初めとして国鉄へ三十億とか、その他国民金融公庫だとか特定道路だとか、こういうものを入れると百六十八億というとにかく数字になる。そうすると更に五十億というものを切り込まなければならないというか、食い込まなければならないということから、あけすけなことを言えば、とても融資というものは今のところ見通しはつかないというような政府筋の一部からはまあ白状があるわけなんですね。でこれはあなたのほうがそういうふうなことを言つて、そうして予算のほうを少ししか出さなかつた、主計局のほうでできるできると言うなら、これもどうも役人の常としてわかるのだけれども、そうじやなくて主計局、いわゆる予算のほうを非常にしぼつたほうの側の主計局側の見通しとしての話から、今の五十億食い込みの問題が出ておるのです。これが一体あなたのように、そうじやなくてやはり或る程度出せる、例えば今のお話海岸堤防だけをとつて見ても四十億や五十億は出せて、まあ来年の七月頃までに一応の仕事についての第一期の完成といいますか、差当り仕事については無駄をなくさせるという肚があるなら、私どもはせめて結構だと思うのですが、この点はどういうふうに考えるのがいいのか、非常にやはりあとになつて問題になるのじやないか、こういうふうに思うのです。まああなたに絶対責任のある答弁と言つてはどうかとは思われますけれども、併しとにかくあなたは局長で、その問題については御主管なのですから、この際本当のところをお話願いたい。
  80. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今お話の五十億食い込みとかというような計算は、どの数字のことを申しておられましたのかはつきりいたしませんが、また大体資金運用部といたしましては、この前お話のように地方債関係百八億ですか、これはまあ災害その他いろいろございましたが、追加いたしました。そのほかまあ特定道路の関係とか或いは国民金融公庫に対する追加融資とか、或いは最近地方の中学校の生徒の増加に伴う地方債の増加とか、いろいろございますが、そういうようなものの追加融資を決定いたしました。現在のところまあ確実に見込めまする資金でそれらの需要を賄つたとして、来年度には百二億の繰越金、これは資金運用部のいろいろ資金繰り等をいたしますためには最低どうしてもその程度は必要と思つておりますが、それだけ繰越すということに現在の計画ではなつております。従いまして現在の計画におきましてこれ以上五十億というような数字はございませんわけであります。従いまして問題は、これからなお当初のといいますか、現在の計画に見込んだ以上の資金がなおどこかから捻出できるか、こういう点にあるわけでございます。それにつきましては先ほど来申上げましたように、まあいろいろ郵便貯金或いは簡易保険等につきましては、その後の増加の趨勢と睨み合せまして、年度末までにもう少し殖える余地があるのではないかというような検討をいたしますし、それから各特別会計等につきましては、それぞれ特別会計のいろいろ今後の資金繰りなり運営の計画がございますから、そういうものに基いて計画と比較して、どの程度の預託金を資金運用部になし得るかどうかというような点等を検討しておるわけであります。いろいろ回収金等があると思いますが、そういうものにつきましてももう少し具体的なコンクリートな見込を立てられますれば、もう少し減るかも知れませんが、殖える余地はないのではないかとも思いまするし、そういう点を当り直しておるわけであります。そういうような点を考えまして、地方の非常にまあそういう今回のような緊急な資金のことでありまするから、できるだけ出せるようにいたしたいというふうに考えておるわけであります。  それから先ほど来お話がございましたように、これは資金運用部としてそういうようなことでできるだけ具体的な緊急なそういう資金の必要が起つて参りますれば、それに応ずるようにやつて参りたいと思いますが、今日そういうようなことが間に合いません場合も考えて、市中銀行等からも貸すというようなこともまあ考えられておるわけでありまして、まあこれにつきましてはそれぞれ地元の県等でもお話になつておるようなことも伺つておりますが、或る程度はこういつた面からも出る見込があると思います。そういうような点を考えまして、できるだけ地方の緊急な資金の需要が充たせるように私どもといたしましても努力はいたしております。
  81. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 だんだんのお話で、何かはつきりしないけれども、当面の担当局長がそういう考え方で臨むんだということなら一応その点は先ずそれを信用することにして、この融資の問題ですが、あの一割に近い、足らない百五十七億と言われている融資、その中に今の斡旋を含むと、こういうお話ですが、例えば海岸言つた場合、これは事業進捗程度によることでありますが、四十億なり五十億なりをそれに注ぎ込む、そういつたときに、その金の性質というものは来年度の予算までのつなぎ的な性格であるという前提において御斡旋をなさるという問題になるわけなんです。そうなると来年度のいわゆる復旧事業費というものがどういうふうな配分になるか、総額が幾らになりその配分が幾らになるということと関連なしにその斡旋をして、殊に市中銀行のごとき長くは置けないというものを斡旋する場合には、非常な理財局としては苦しい立場というか、何か来年度必ずその分についてはその年度限りにおきましてのいろいろの配当があるのだということ、こういうことが前提とならないというと手を出しにくいという問題に必ずなるのじやないかと思うのです。この点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  82. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今お尋ねの点につきましてはお説の通りでありまして、私どもといたしましては、来年度、普通の年次割になれば施行する分は繰上げてやるのだという考え方の下に、来年までのつなぎ的な条件の金融は考えております。それにつきましては、従いまして当然それが来年予算化され或いは普通の起債化される、そういうことが、見通しが或る程度はつきりしていなければならないわけであります。従いまして今回もいろいろ地方で工事の実況等を調査いたしました上で今度の融資はやらせたいと思つておりますが、やらせます場合にも、やはり私どもの出先の関係で主計局のほうの関係をやつておる者もありますが、資金運用部のほうの仕事をやつております者もあるわけでありますが、両方十分に連絡いたしまして、工事全体の点は十分に見る、それから進捗状況、寄金の需要量の点も十分に見るということでやらせたいと思つております。ただ全体として来年度予算まだ勿論成立していないわけでありますから、来年の予算に確実にこれだけある、或いは予算外契約がこれだけあるのだと、こういう状態には参らないわけでありまして、その点は止むを得ないわけでありますが、十分に間違いのないようによく連絡をとつてやりたいと考えております。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さつきの百二億の資金運用部の原資の繰越、あれは百八億の追加融資、それから特定道路、それから学校、国民金融公庫と、ああいうものを引いたあとの繰越の原資の額ですか。
  84. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) その通りでございます。
  85. 石川榮一

    石川榮一君 只今理財局長のお話を伺いますと、つなぎ融資、それは二十九年度の予算でこれは充当し得るものだというお考えの下に立つておるようでありますが、そうしますと、百五十七億全部が必要だということができた場合には、来年の予算は三・五・二ですから五プラス百五十七億と、こういうものになつて来るのですが、そういう考え方で二十九年の予算を立てるおつもりなんですか。さもなければ五の中から組むのか。今度のやつは三の割合が残りが百五十七億あるというのでああいう協定ができたらしい。だから予算に組むのに百五十七億余計組むべきものを組んでないから、これは次の予算でこなし得るというようなことであの百五十七億というものを協定したのじやないかと思う。そうでないと五から百五十七億引くということになりますと、やはりパーセンテージはずつと減つてしまう、すると三・五・二の基本方針が崩れるわけだが、理財局はどうお考えになつておりますか。協定の内容には或る程度御相談にあずかつていると思うのですが、如何ですか。
  86. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) これはどうも来年の予算にどういうような災害費を計上するかというようなことになりますと、これは私どものほうの関係じやないので、ちよつとはつきりしたお答えは申上げかねますが、まあ一応私どもといたしましては、先ほども申上げましたように、今回百五十七億というものを出すということについては、まあその程度は来年度繰上げてやるということで、その程度のものは当然来年度の予算に計上されるというようなつもりで出すわけであります。明年度総額としてどれくらいの災害関係予算が盛られるかということは、来年度予算全体のまあ構想なり何なりのことも関係すると思いまするし、私どものほうは只今ちよつと責任ある答えは申しかねるわけであります。
  87. 石川榮一

    石川榮一君 それはあなたの立場としてはそうでしようが、政治的には今私が申上げたようなことに解釈せざるを得ないのですが、もう一つは過年度災害のことには殆んど無関心になつてしまつたんですが、建設省のほうはどういうお考えでいますか。八百億もこの過年度災害が、二十五、二十六、二十七年というものがあるのです。これらのものは殆んど一応オミツトして、新しい災害で今お互いが論議しているのですが、過年度災害にもどうしてもやらなければならんものが相当あると思う。これらはどういうふうに処理なさいますか、河川局長の御意見を伺つて、又理財局長さんの御意見を伺つてみたいと思います。先ず建設省方針を伺いたい。
  88. 米田正文

    説明員米田正文君) 過年度災については、これもまだ二十四年災害以降が残つておる。来年度以降に残るのでございまして、中には御承知のようにルース台風等の大災害のものを含んでおるのでございまして、私ども今度の、今年の予算総額は今年のほうが多いのではありますけれども、過年度災害も又その当時においては非常な重要な災害であつて、今日から考えてみましても、今度の災害に劣らないものが非常に多いのであります。そこで過年度災害というものを今年度災害に比較して軽視するということはできないのであります。同じく重要な災害復旧として扱つて行かなければならん。そこでこれもできるだけ早期に完成をする必要があるので、これらを残しておくと又災害の原因の一つになりますので、建設省としては来年度以降において今年度の災害復旧より早く、勿論早く終るような計画を立てて、今後大蔵省折衝をいたしたいと思います。
  89. 石川榮一

    石川榮一君 そこで理財局長さんにもう一度伺いますが、過年度災害に対する建設省側の見解は、今お話の通りこれで当然であります。そこで過年度災害の分も、大蔵省の主計局並びに財務局等で建設省農林省の主管をする災害に対して直ちに査定をなさるというお話もあり、私はこれを聞いておるんですが、そういうしつかりしたお考えを持つておやりになる以上は、過年度災害に対しても同じ筆法を以ちまして、七、八百億あるのでありますから、これも一つ同じ立場に立つて査定をなさつて、必要があるならば、今度の災害と過年度災害とを加えて、どの程度の査定が生れて来るか、それはいつ頃わかりますかを一つこの際明らかにして頂きたいと思います。要するに大蔵省が査定をなさつているでしよう、現在査定していらつしやるでしよう、工事進捗状況等も査定をするということでありますから、おやりになつておると思う。過年度災害についても勿論やつて行かなければならない、そういう問題を加えまして、それの仕上るのはいつ頃になりますかをこの際伺つておきたいと思います。
  90. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほど申上げましたように、本年の災害につきまして今いろいろと主計局と私どものほうとまあ共同いたしまして、地方でまあ災害状況調査いたすということになつておりますが、まあこれは今年度の災害について主としてやるわけでありますが、それに伴いまして、過年度災害も全部でありませんが、過年度災害につきましても重要なものは調べると、こういう予定にいたしております。大体調査は今やつておりまして、年内に一応済ますという予定でやつております。そういうものの結果のまとまりますのを待つてまあ方針を立てるというような段階に入るわけでございます。
  91. 石川榮一

    石川榮一君 年内に大体その計数が出るとすれば、それを伺つてからでもいいのですが、現在の災害箇所は御承知の通り十数箇所に及ぶ、ですから査定するにも相当容易じやないと思うのですが、重点的に最も必要とするものを取上げてやると思いますが、査定がきまりましたならば、その査定を一応委員会のほうに印刷物にして御配布願いたい。或いはその査定と建設省農林省の査定と相当食い違いが出て来ると思う。その重要度等については勿論大蔵省のおつしやることも私ども重視しなくちやなりませんが、建設省或いは農林省の言い分も我々相当傾聴しなくちやなりませんが、そういう点から勘案いたしまして、大蔵省の査定と建設省農林省が絶対必要とする限界というものを国会において論議をして、その線をきめてかかりまして、それを明年度の予算に組まして頂くように願いたい、こう思いましてお願いするのですが、刷り物等にしてできましたならば御配布を願いたいと思います。  私の質問を終ります。
  92. 石川清一

    委員長石川清一君) 私こういうふうに今までも了解しておるのですがね。百五十七億というものは、これはまあ予算を修正すべきものをしなかつたので、これは明年度の予算の前渡しというのでなくて、いわゆる今年度の災害で支障を来さないように、予算措置をとらなくても、融資を行うということを大蔵省に義務ずけられておると思います。これは義務ずけられておる融資で行なつて、ただその進捗状況と緊急度の調査だけは或る程度建設省と相談もされるでしようが、これは積極的にそういう進捗状況を取上げて、大蔵省が取上げて、できるだけ早く本会計年度のうちに融資すべきだと私は了承しておるのです。
  93. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) まあ只今の三党協定の御趣旨はそういうところにあると私ども考えております。今年の予算の財源等の関係で十分に出せない、それに代るものとしてはああいう融資が出るものとは考えておるわけです。ただまあ融資の形で行きますわけでありますから、これは本来補助金、一部は起債に仰ぐかもわかりませんが、こういうものでやる、事業を融資の形で代えてやるわけでありますが、これは結局後年度において本来の筋に予算が計上された場合には振替えられなければならない。その意味におきまして、翌年度までのつなぎというような形で出すと、こういう形をとることにいたしておるわけであります。
  94. 石川清一

    委員長石川清一君) ほかに……。
  95. 江田三郎

    江田三郎君 この今の百五十七億というものがつなぎ資金でも何でもよろしいが、融資されれば、いわゆる建設省計画としては愛知三重海岸堤防は来年四月一ぱいで大体仕上げると言われる、この工事の進行計画とは一致するわけですか。
  96. 米田正文

    説明員米田正文君) 今のお話は百五十七億が来れば順調に行くか、こういう御質問だと思いますが、百五十七億というのは、これは今年の災害全部についての各省の分を全部合わしたものでございますからして、そのうち建設省に幾ら来るかというような区切りがついているものでもございません。今後の折衝の問題でありますが、百五十七億が全部災害として各省に出るものとすれば、私どもはこの中であの海岸堤防計画通りに進捗せしめる考えであります。
  97. 石川清一

    委員長石川清一君) そうしますと、先ほどの話から見まして、いわゆる工事進捗状況と緊急度というその中で融資等の折衝を行なつた場合には、百五十七億の全体の枠の中でも支障なしにやれる、こういうことになりますね。……ほかに何かありませんか。
  98. 石川榮一

    石川榮一君 資金運用部資金が非常に枯渇して、お話を伺いますと、非常にこれは心許ないと思う。百五十七億に対するあなた方の御答弁を今まで伺つてつても、少しも実は我々に安心感を与えない。何とかしたいものだという希望を聞くだけで誠に心許ない。而も郵便貯金や何かの殖え方を見てという現在の状況から考えまして非常に不安なんですが、一方やるべきことはやるものとして今河川局長は、近いうちに工事を全部請負に入札させる。入札する金額は幾らになるかわかりませんが、それは呑まなければならない。ところが金がないということになると、これは業者も手を上げてしまう。そうなると大変ですが、結局地方金融業者を動員することになるのですね。そういう地方金融業者はそう多く余裕はないと思うから、止むを得なければ政府の指定預託金を引揚げて充当するとか、或いは日本銀行に金融の援助をさせるという積極的なお考えは持つておりませんか。その点地方銀行のみに依存することは私は安心ができない。現在の愛知三重県の地方銀行もそれほどの余力があるとは我々は考えていない。それに期待することはもう限界に来ているのじやないか。そういう場合には政府のいわゆる預託金のようなものまで廻してやる。或いは日本銀行の金融援助を政府が積極的に指導斡旋してやらせるというようなお考えまで考えていらつしやるかどうか。もう二月、三月のうちに金をどんどん出さなければならないのですから、それを伺いたい。
  99. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今お話のように私どものほうの資金運用部資金というものは非常に心許ない状態であります。併しこういう緊急の資金の問題でありますから、できるだけ努力して何とか捻出したいと考えているのでありますが、お説のように間に合わない、万一……、そういうことがないようにするためには、これは市中銀行等にもかなり斡旋いたしまして、できるだけ金が出るように図らなければならないと思います。お話のように今市中銀行、最近金融引締と申しますか、いろいろそういう傾向もありまして、資金もかなり苦しい面もあるようであります。それからこの関係の地方に対する貸付金以外に、いろいろ本年は地方債の数も非常に多いのでありまして、そういうものに対しても地方としては相当賄わなければならない状態になつておりまして、かなり地方の銀行にも努力して頂いてこういう資金を出すようにしてもらわなければならないと思うのでありますが、まあ愛知県、三重県等におきましては、東海銀行とか、百五銀行とか、これは余り大きなものではありませんが、かなり資力のあります銀行もありますので、これはやはり銀行の金を、資金を出せというようなことは命令するわけにも行きませんから、こちらの心ずもりだけでありますが、或いは或る程度出し得る途はあるのじやないかと思います。どうしても足りない場合には日本銀行等から出すとか或いは国庫から指定預金をいたすかというようなことでありますが、まあさような事態になりませんように努力いたしたいと思いますが、私ども国庫指定預金をそういうようなことのためにいたすということは、やはり少し問題があると思います。それから日本銀行からまあこういう貸出しをいたしまするために銀行に特別の貸出しをいたすというようなことは、これもやはり日本銀行の貸出しのやり方としては余り適当じやないと考えます。そういうような方法をとらないで済むように一つつて行きたいということを考えております。
  100. 石川榮一

    石川榮一君 そういう手段をとらないでやりたいという御希望はわかるのですが、できないときにどうなるかということを聞きたいのですが、工事を始めるのですから、そのときはどうも手続上まずいとかいろいろなことをおつしやられて、結局希望倒れでは工事進捗しませんので、業者は金をもらわなければ仕事は手を挙げて工事は流れるということになる。結局そうしたものは効果はないと思う。建設省の意図するものは水泡に帰すというような形になるので、少しは無理がなければこれはやれないと思うのですが、そういうような決心を局長さん初め、止むを得ない場合にはやはりそういう決心をして大蔵大臣を鞭撻してやらせますというようなお考えが欲しいのですが、どうですか。
  101. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 先ほどから申上げておりまするようにできるだけのことをして、地方に御迷惑がかからないように一ついたしたいと思つております。大蔵大臣もその辺の御趣旨は十分私どもから前々から申上げておるので御承知のことと思つております。まあ先ほど来お話のありましたように、このために日本銀行から銀行を通じて特別に資金を出すというような金融として変則な方法はやはりとりたくないと考えておりますが、そういうようなことにならないように一つせいぜい資金運用部のほうでも努力いたしまするし、市中銀行でもできるだけ勉強してもらいたいと思つております。今どういう額がこれだけ出てこれで確実に賄えるというふうな、そういうふうな具体的の計数に亙つて申上げられないものですから非常に残念ですが、私どもとしてはそういうふうに考えております。
  102. 石川榮一

    石川榮一君 仮に市中銀行を動員して市中銀行の融資を求めるというような場合には、レートが変つて来ますが、そうしますと各該当県がその地方銀行から金を借りる、そのレートは恐らく一割以上になるかも知れない。そうするとその資金運用部のほうの金利は六分五厘ですか六分ですか、わかりませんが、その利差はどうなりますか。これは特例法のほうには書いてないようですが、それも、そういうふうな場合には止むを得ませんから国が負担するようにしてもらわなければならんと思いますが、その見解を伺いたい。この問題は私デリケートな問題がありましようから、それは国家が特つものなりという判断を下しまして今日答弁をして頂くのもいいと思います。
  103. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) 只今の問題でございますが、これはお説のように資金運用部から行く利子と市中銀行から行く利子と利子に差があると思いますが、従つてこの百五十七億の融資につきましての三党協定でございますが、これにおきまして但書としてこの県については年度末までに利子補給或いは免除の処置を講ずるというような一項がございますわけであります。これに基く予算的な利子補給の措置は現在の予算ではされておりませんが、将来積極的に成るべく何らかのそういう処置をこれからするというような含みになつておるようであります。さようなわけであります。
  104. 石川榮一

    石川榮一君 何らかの処置をするということは、大体その協定の趣旨を呑んで政府はその利差、レートの差等は政府がこれを負担しようということに解しましてよろしうございますね。
  105. 阪田泰二

    説明員(阪田泰二君) その通りであります。
  106. 石川清一

    委員長石川清一君) 土木研究所からお見えになつている方は橋梁設計室兼構造研究室長でございます。今日の審議を傍聴されておりまして大体おわかりだと思いますが、特に海岸堤防が今日論議されましたが、その他についても研究のもので本日御発表になることが適当だと思うものがあれば御発表願いたい。併せて御質疑あれば御質疑を願います。
  107. 田原保二

    説明員田原保二君) 土木研究所田原技官でございます。松村所長がここ一月ばかり病気で休んでおりますのと、私どものほうに本年二十八年度から海岸研究室というものが設けられまして、それに出張しております佐藤技官、これが今回名古屋の中部地建海岸堤防研究部兼務になりまして、そういう関係只今現地へ行つていろいろな調査に、設計の指導に参つております。従いまして直接本日の話に関連した詳しい担当者がおりませんので、ほかにも適任者がございませんでしたので、私取りあえず罷り出たような次第でございます。従いまして私が只今これから御報告申上げます本日の議題に対しますところの研究所の現在の動静といいますか、そういつたことに対しては皆様の御意に多少副いかねる節があるかと思いますが、その点はどうぞ悪しからず御了承願いたいと思います。  私本来橋梁のほうを専門にやつておりますので、本日出て来るのもどうかと思つたのでございますが、ほかに担当者がおりませんでしたので私が参りました次第であります。佐藤技官は、四、五日前から中部地建へ行つております。そうして大体十日頃に帰つて参る予定でございます。現地におきましていろいろな調査設計の、基本設計でございますか、そういつた設計基準についていろいろな打合せをいたしまして、その結果を持ち帰りまして、本省の河川局担当官ともよく打合せしまして、今回の海岸堤防の骨子及び研究の対象、差当つてやるべき研究の対象、そういつたものをきめるわけでありまして、只今のところ設計に対してどういう見解があるかとか、或いはどういう研究をしなければいかんとかというような点につきましては持ち合せの駒がないわけであります。だから次回の委員会にでもそういう点が若し御承知ありたいのでしたら、そのときにはかなり細かい御報告ができるのじやないかと思います。  それだけのことを申上げまして、本日の議題に対しますところの御報告になろうかと思うのでありますが、甚だ申訳ないと思いますが、その他専門的ないろいろな土木研究所の問題につきましては、これは又御質疑なり何なりありましたら、私の知つております限り、差支えない限り申上げたいと思つております。
  108. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 只今土木研究所からお話がありましたが、海岸堤防について佐藤技官が向うへ行かれた、非常に結構なことだと私は思うのですが、私は先ほども河川局長が言つたように、現在はまあ技術の水準が非常に落ちておる。それを可及的早く回復しなければならん、その通りでありまして、それには研究所が今一番その役割を果さなければいかんときだと思いますが、私が考えるのに、現実性と積極性がない。例えば佐藤技官が向うへ行つた言つても、これは兼任の形で行つているので、研究所としてやつているのではないのだというふうに私どもは思うのです。例えばこういうときには研究所としてやるというようなふうに持つて行くべきじやないかと私は思う。それから又災害が非常に頻発しているのだが、そういうものに対する防災問題、災害の問題、そういうものに対する研究項目を努めてやらなければならんと思うのですが、これは私があなたを責めたつてしようがないので、あなたたちはどう思うか、それだけを伺えばよいので、その点だけを。
  109. 田原保二

    説明員田原保二君) 只今小澤さんからお叱りのような言葉を頂戴したのでございますが、土木研究所自体は只今の職制上、行政執行機関じやなくて附属機関になつております関係上、現在只今のところ、最近特に土木研究所仕事が実際の現場の仕事に非常に結付いた、関連性を持つたことが多いのでございます。  土木研究所の研究というものの内容を二つに分けまして、基本研究とそれから公共事業の個々の現場に共通したもの、或いは個々の現場に特別な問題、こういつたものの研究と二つに、基本研究とそういつたものに二つに分けられると思うのですが、最近の傾向としまして、堰堤におきましても河川におきましても、橋梁におきましても道路におきましても、現場と非常に密接な繋がりを以て研究しておるのでありますが、何せこれが年度の当初に、道路局関係は道路局関係河川関係河川関係、或いは地建等の調査課長会議というようなものを持ちまして、本年度或いは向う三年間に亙りどういう問題を差当つて研究すべきかというようなことをいろいろ討議をしまして、予算の許す範囲におきまして、そのうちからピツク・アツプをいたしまして研究するわけでございますが、いわゆる庁費、土木研究所の庁費としましては、皆様御承知の通り非常に少いのでございまして、それを以て全部そういうものを消化することは只今のところ全部できないのであります。従いましてそういつた差当つて重要な当面する問題でありましても、これは一旦地建へ流れました調査費とか或いは測量調査費の一部を還元さして頂きまして、それを使つて研究をする、そうして当面の問題を解決して行くというようなことをやつているわけです。そういう点で土木研究所仕事予算面におきまして、相手がそれじや、例えば地建におきまして、おれのところはこれは自分のところでやるのだから、そういうものはありませんけれども土木研究所のお世話にならなくてもやるとおつしやつて頂けば、私のほうは全然手を拱いてしまうというようなことにもなります。併しそれは飽くまで理窟でありまして、そういうことは実際ありませんが、そういう点で非常に研究がやりにくいということは言えます。それから個々の問題或いは共通した問題に対しまして、今小津さんがおつしやいましたような出張だとか、或いは専門家が出かけましていろいろ技術指導を行われるわけでありますが、行きましても、これは局長なり、或いは現場のほうから誰々技官に来てくれというようなことでありまして、おつしやつた通りで、個人資格といいますか、いわゆる研究所長の権限、そういつた面の権限というものはないのであります。併しこれは研究所自体が行政執行機関でないというところに建前をとつております関係上、行つて指導を行いましても、それが絶対的のものじやない。ただアドヴアイザー、或いはコンサルテイング・エンジニアというような立場で行つておりますので、その結果は絶対的なものじやない、オーソライズされないという点で、我々としましては非常に残念に思います。然らばこういう点を将来どういう工合に持つて行くかということにつきましては、私は道路局の兼務になつております。道路研究室長は道路局兼務、河川堤防をやつております佐藤技官は土木研究所兼務というようなことで兼務制でやつております。これについて若しか皆様の御意見ありましたら承知して帰りまして松村所長にも十分申上げたいと思います。
  110. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 防災の問題についても、非常に災害が連発するのでいろいろ問題があると思います。例えば洪水量の問題とか海岸堤防の問題も設計に対するいろいろな問題がありますが、そういうことは研究所で十分基礎的なことをやつておればいいのですが、今そういうことをどの程度にやつておりますか。
  111. 田原保二

    説明員田原保二君) 防災につきましては、計画洪水量の問につきましては、これは河川局と土木研究所でそれぞれ委員会のようなものを持ちまして、計画洪水量の算定方式、そういつた問題を委員会で検討しております。研究所自体が独自でやつているということはありません。
  112. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そういう点もう少し強化する必要はありませんか。
  113. 田原保二

    説明員田原保二君) それは先ほど申しました通り研究所係官としましては、現場へ行つて指導をしたり或いは委員会で発言するというのは、単なる委員の立場でありまして、我々の技術が絶対的にオーソライズされるというようなことが今の職制ではできないわけなんでありまして、本省が御存じの通りいろいろな雑務に追われるなり何なりしている、その補助としまして研究所あたりがもう少し活撥にやる、かたがた職制の上でもそういつた点が或る程度認められるといいますか、研究所のやつた仕事が或る程度認められるというような恰好になれば、それはやり甲斐が大いにあるのじやないかと思います。
  114. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 海岸堤防の問題については建設省でもやられておるし、それから運輸省の港湾局でもやられておるが、その限界はどういうふうにしてやつておるか、例えば連絡をどういうようにつけてやつておりますか。
  115. 田原保二

    説明員田原保二君) 従来海岸堤防は、海岸のいろいろな工事に対しましては運研でやつておりますので、これについては当然いろいろな資料もお互い持ち寄りまして、今回の設計に関する限り運研とよく連絡をとつてつております。
  116. 江田三郎

    江田三郎君 どうも私は驚くべきことを聞いたので、私は土木研究所といつたら大した権威を持つているのだろうと思つたら、今お話を聞いてみるとさつぱり権威のないもので、現場の技術と近頃結び付くようになつたというのも、研究所の自主性なり積極性を持つてではなしに、そうではなしに、そこから金をもらわなければ仕事ができないからやつているというようなことで、これじや建設省技術の低下とかいうようなことが問題になるのは当然だと思います。これは委員長、今田原さんを責めたつてしかたがないことなんで、別の機会に建設大臣なり建設次官のほうから、一体研究所というものをどう思うのか、中途半端なものならもうあつてもなくても同じだと思うので、我々は研究所というものは大いに拡充、強化して行かなければならん。又そうできていると思つていたので、今びつくりしたのですが、適当な機会に建設大臣なり建設次官から直接聞きたいと思います。
  117. 田原保二

    説明員田原保二君) 只今私が申上げましたことで多少誤解を招かれる発言があつたと思います。その点を一つ米田局長もおられるので、誤解されてもらつちや困るのですが、これはいろいろな点でそうなんでありまして、例えば定員の問題だとか予算の問題、そういう点が絡み合つて来ておりますので、決して実際の土建の運営面におきましては一々こちらが頭を下げまして、現場から研究費をもらつて、商売のようにやつているというわけじやございません。これだけははつきり申上げますが、それは各現場のほうでも土木研究所の権威というものをよく認めて頂いて、必要に応じて相談ずくでやつておることでありまして、こちらが頭を下げてやつておるということではございませんから、その点だけは一つ誤解のないように……。
  118. 江田三郎

    江田三郎君 誤解はしておりませんから、本当に正解しておりますから、とにかく大臣なり次官なりを呼んでこの問題を聞かなければ、このままじやいかんと思う。
  119. 石川清一

    委員長石川清一君) それでは只今問題になりました土木研究所の広汎な機能、或いは予算その他の関連等については、改めて正式に議題に上げて御審議願うことに取計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会