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参考人(
西尾寿男君)
只今のお尋ねにお答え申上げますが、私
どもの駅で販売いたします物につきましては、価格につきましても、或いは品質につきましても、或いは品物につきましても、すべて
鉄道当局の指示に従いまして価格もきめており、又量目もきめて
行つておりますので、大体私
どもといたしましては、市価に比べまして決して高くはないとまあ
考えておるのでございますけれ
ども、まあいろいろ御批判もございましてその点は改めて参らなければならんと
考えております。それから又今のお尋ねで、或いは御承知頂いておるかとも存じますけれ
ども、駅で販売いたします物は全部が全部弘済会がや
つているのではございませんので、ときにはよその販売品に対する御不満を弘済会に向けられます場合もこれは実際問題としてございますので、今のお尋ねにはそういうことはないと存じまするけれ
ども、全部が全部弘済会がや
つているのではないという点も申上げておきたいと存じます。
それから今
お話のございました社会福祉事業の点でございまするが、これは会の
運営の仕方、又会のこれからの行き方の問題だと、こういうふうに
考えまするが、弘済会も昭和七年にできましたのですが、そのできました当初は、
只今お話のございましたように、全く
鉄道の退職者を対象にいたしまして、
鉄道の退職者だけを救済するという目的で出発されておりました。そうして退職者を収容して職員に使
つてこれを就業さして救済して行くという方法をと
つて参つて来てお
つたのでありますが、社会福祉事業の面につきましては、これはもつと大きな面から申しますれば、決して私設の社会事業団体がやるべきものではないかも知れません。或いは国がやり、或いは公共団体がやるべき
仕事でございまして、もつとその
方面に厚生省の関係からでも予算をお出しにな
つて健全な文化生活のできるようにし、社会福祉を増進するということを国の目標にしておられる以上、国家がやるべきものだと私は
考えておりますが、ところが実情といたしましては、国がそこまで、或いは公共団体がそこまで手を延ばしておられない、
鉄道で怪我をして困
つておる人間もたくさんおりますし、又主人がなくな
つて未亡人が飢に泣いておる者もございます。こういう者をそれでは誰が救
つてくれるのかということが問題だと思います。国が救
つてくれるならば結構でございますけれ
ども、国が救
つてくれない以上は、まあ水より濃い血の繋りの人間が、職域の人間がこれを救
つてやるのが当然ではないかと私は
考えております。従いまして、一方で職員を就業さしてそれで助けて参りますと同時に、そこから収益が上
つたならば、そういう今度は我々の職員として使うことのできない、又働きに出ようと思
つても出られない人は、或いは生活扶助もしてやらなければいかんだろうし、自分で何か
仕事をやるならば生業資金も貸してやるもよかろうし、或いは又子供が何か学校に行くならば学資金の貸付もしてや
つたらいいのじやないか、かように
考えておりまして、社会事業のほうにだんだん出て来て参
つておるのが現在の実情でございます。
それからもう
一つ、少し一般のものの社会事業にまで手を出すのはそれはお前余計な節介だと、こういう
お話もあ
つたかと存じますが、折角授産場もこしらえ、或いは身体障害者のために義肢の工場をこしらえまして、
国鉄の関係者、又退職者には無料で修繕をし、診察もしておるのでございますが、その余力があれば、国が、或いは府県が身体障害者福祉法によ
つて出されるところの義肢の製作なり修理なりの
仕事をする余力を以て一般にも及ぼしてや
つて行くということをや
つたらいいのではないかと、かように
考えまして府県の下請と言いますか、各府県との
契約を
考えまして、厚生省のきめました価格でそういうものの製作をや
つておるわけでございます。我々はお客様に安いものを売り、或いは又悪いものを売
つてその利益で出過ぎたことはいたさないようにこれからも努めて参りたいと思
つておるつもりでございます。私
どものできますことならば、職域的社会福祉事業というものを、国がどうもまだ社会福祉事業というものは不特定多数のものを対象にしなければ社会福祉事業でないというような
考えを厚生省関係ではお持ちでございまして、だんだん私
どもやかましく
言つておりますので、職域的社会福祉事業につきましても認めてもらえるような形にな
つて来ております。まあそういう
方面にまで持
つて行きますように努力してや
つて行きたい、かように
考えておる次第でございます。
なお
民衆駅の問題につきましては、私
どもが大きな駅を拵らえて、そこにデパートを捕えようというようなそれだけの資力は勿論持
つておりません。ただああいうようなものができました場合に、我々も前からいろいろな店を持
つておりますから、既存の
営業を保護するというような
意味において、そういうような
仕事もできますものならばやらせてもらおうというような態度でございまして、
お話のございましたそこを足場にして、そのために大きなデパートにまで我々が進出して行くというようなことは少し大それた
考えでございますので、そこまでは思
つておりません。