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政府委員(
愛知揆一君) このいわゆる
池田・
ロバートソン会談で書類としてできておりまするものは
共同新聞発表一つだけなんでございまして、そのほか十月の二日着きました型日でございますが、
池田氏と私がロバートソンとダレスを訪問いたしました最初にこの
会談の性格というものについて勿論双方から話がありました。それでその思想を統一いたしましたものが十月の二日にいわゆるプレス・レリーズ、
共同新聞発表以外に強いて言えば
一つ書いたものの上で双方が同意したものでございます。その十月二日のものは、
日本国の吉田総理の個人的特使として昨夜ワシントンに到着した
池田勇人氏は今日午後極東問題担当国務次官補ウォルター・ロバートソンと
会談を行
なつたという点が第一点。
会談の
内容は調査的なものであ
つて何らかの
決定が発表されきめられるということは
考えられないというのが第二点にな
つております。今申しました調査的と訳するのがいいかどうかエクスプロラトリー・キャラクターということにな
つております。それから十月の三十日に
共同新聞発表をいたしましたのですが、これもずつとその性格を維持したあとの締括りでございますから勿論双方のサインもしておりません。それから実はコミユニケというふうに通俗的に言われておりますが、私は
向うとの話合でこれはコミユニケでもない、ジヨイント・プレス・レリーズであるということをわざわざタイプの上にも打
つたような工合でございますから、何と申しますか、極めて
程度の軽いと申しますか、いうような扱いにな
つているわけでございます。
それから新聞に対する漏洩問題等のありました点についてお尋ねがございましたが、今申しましたように双方とも書類などを作つたり、例えば議事録を作つたり或いは
速記を付けたり、或いはミニツツを作るということは初めからもうやるまいというようなことで、その結果その思想が合いましたときには、十月二日のプレス・レリーズにもな
つておるような
関係もございますから、全然この書類と申しますか、そういうものはないのでございます。
従つてないものが漏洩するということは誠におかしな話なのでありますが、それはともかくもいろいろな人といろいろな
会談をいたしましたので、まあ率直に申しまして私な
どもいわゆるランゲージ・ジスアドバンテージを持
つておりますから、自分が言いたいこと、或いは
向うが
言つたことはこういうことかなという意味で、これは勿論メモにしたり書いたものがございます。その一部が洩れたのではなかろうかと思いますが、漏洩したという結果、率直に申しまして外務省にも非常な御迷惑をかけ、又現地の大使館も非常にこれを気にされていたことは当然でございますが、その当時在ワシントンの記者団にも
はつきり私から申上げましたが、これはどういうことなのか私にはわからないのでありまして、そのままの状態にな
つております。誠に遺憾でございますが、ありのままを申上げますとそういうことになります。
なおその当時そういうことがあつたために、
アメリカ国務省が非常に憤慨した、又憤慨した結果こういう
会談の前途に暗影を投じた、態度が変つたというような趣旨のことが
日本の一部の新聞に報道されたようでございまして、これはあとでそういう記事を見たのでありますが、私
どもとしてはさような事実は全然ございませんで、恐らくこれは手前味噌になるかも知れませんが、非常に友好的に非常によい雰囲気の中でいろいろ話合いを進められました。そういう背景の下でもございますから、
アメリカ側から私
どもとしては何らその問題について抗議を受けたこともなければ、話題に
なつたことも実はないのでございまして、いわんやその
会談が非常にそのために前途に暗影を投じたというようなことは、これは私の見る限り絶対ないことを
はつきり申上げたいと思います。