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1953-12-01 第18回国会 参議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月一日(火曜日)    午後二時三十九分開会   —————————————  委員氏名    委員長     前田  穰君    理事      入交 太藏君    理事      重盛 壽治君    理事      井村 徳二君            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            東   隆君            片岡 文重君            木島 虎藏君   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            加賀山之雄君            森田 義衞君            大倉 精一君            東   隆君            木島 虎藏君   委員外議員            海野 三朗君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道職    員局長     吾孫子 豊君   —————————————   本日の会議に付した事件運輸一般事情に関する調査の件  (報告書に関する件)  (仙山線電化に関する件) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(日本国有鉄道)(内閣送  付)(第十七回国会継続)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。  運輸一般事情に関する調査についてお諮りいたします。本件につきまして閉会調査を続けて参りましたが、未だ調査を完了するに至つておりません。併しながら本院規則第五十五条によりまして、閉会中の調査未了報告書を提出いたすことになつております。なお、報告書内容については委員長に御一任を願いまして、これを提出することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。さように決定いたしました。  次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件についてお諮りをいたします。本件につきましても閉会審査を行なつたのでございますが、審査の結論を得るに至りませんので、本院規則第五十五条によりまして、閉会中の未了報告書を提出することになつております。報告書内容等については委員長に御一任を願うことといたしまして、これを提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたしました。  それから只今決定されました二件の委員長の提出する報告書には多数意見者署名を付することになつておりますので、御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     入交 太藏  植竹 春彦     岡田 信次  仁田 竹一     加賀山之雄  大倉 精一     東   隆  木島 虎藏   —————————————
  5. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、委員外議員海野三朗君から、国鉄当局に対しまして、運輸事情に関して質疑をいたしたいとの申出がございますが、この際発言を許可したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。
  7. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この前、表日本裏日本とを結びます仙山線電化について質問をしたのであります。この線は昭和八年以来、国会たびごとに両県民の熱烈たる要望と陳情が出ておるのでございます。それは予算の都合上、五カ年計画には入つていないという総裁の話でありましたが、幹線をやることが主体であるというお話でありました。幹線をやる、この幹線につきましては、表日本だけのことを考え裏日本幹線考えていないのであるかということが一つ。  又、幹線を先に電化するということは、地方文化交流のために電化をやるのではないか。そういたしますと、至つて近くにある県境である宮城県と山形県、裏と表、その文化交流考えずして、東北全体に亘る、北海道でも幹線考えているというお話でありましたが、それはあたかも、我が日本におきましては関係の深い中共貿易の枠を設けてやらないでおつて、そうして遠いところのアメリカに手を伸ばしている日本の今日の政治のあり方、これと全くその軌を一にするものであると考えざるを得ない。私はこの点につきまして、幹線を先にやるというその根本思想を伺いたいのである。近くにあるところのものは文化交流をしなくてもいいのだ、遠方のものをやればいいのだというその思想の私ははつきりした御説明を願いたいと思うのであります。この電化につきましては、すでに半分電化している。それでありますから、電化いたしますというと、一時間三十分で行かれるところを今二時間四十分もかかつている。而も山形県におきましては仙台の監理局新潟監理局秋田監理局、この三つに分断されておりまする結果、山形県民におきましては、県内を旅行するに当つて、すでに三カ所で乗換えなければならないというような有様でありまして、国鉄の使命というものは、独立採算制だけを考えているのであるか。私はこの点について甚だ疑いなきを得ないのであります。鉄道はひとしく我々日本人に文化の恩恵を浴せしめなければならないというのが根本の建前であろうと思うのであります。然るに今現在行われている交通網あり方、私はこの点について当局のはつきりした御見解を承わりたいと存ずるものであります。
  8. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) お答え申上げます。この前も海野委員から只今ような御趣旨の御質問があつたわけであります。或いはそのときの言葉が足りなかつたために、只今のかような御質問だろうと思います。私の考えておりますることは、別段地方であるからどうだとか、或いは幹線だからどうだというわけではないのでありまして、やはり輸送の面から見まして重要なる順序というものがございます。この前も申上げたかと思いますが、日本の従来の行き方は、御承知ように大体において南のほうに向つてつたのであります。朝鮮でありますとか満洲、或いは中共或いは台湾、南洋というふうに、南のほうに物資がある、或いは往来が繁くあるというよう関係上、とかく東海道、山陽方面線路というものは非常に強化されておりまして、相当な力を持つている線でございます。ところが終戦後はこれと全然方向が変りまして、北方のほうに重点が置かれるよう輸送の形になつて参つたのであります。然るにお話よう東北本線或いは奥羽線或いは羽越線というようなものは十分に力がない。従いまして今日非常に隘路をなしておりまして、とかく貨車輸送の渋滞を来たすというような結果に相成つていることは、恐らくよく御承知だと思います。従いましてこの隘路を先ず取り除かなければならない。それが非常に日本にとつての急務であるという上からいたしまして、東北本線或いは羽越線改良、或いは奥羽線改良というものを今後やつて行かなければならんような次第であります。その一環といたしまして、東北本線であるとか常磐線であるとかというものの電化というものも、我々の只今五カ年計画の最後のほうに、ちよぴりと頭を出して考えられているのであります。その前にこれらの線を非常に強くやらなければならんということが焦眉の急でございます。然るに国有鉄道は、今日復興、復旧のために非常な資金を要するのでございまして、お説のよう仙山線でありますとかというよう横断線路、その他ローカル線路の改善、改良というものにも非常に金がかかるのであります。従つてやはり順序を立てて、そうしておいおいにやつて行かなければならんのでありまして、仙山線は絶対将来にかけて電化をしないというような、そういうことは考えておりません。
  9. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) この仙山線は半分だけ電化されまして、あと両方機関車を交換をしなければならない、こういうふうな特殊な関係に置かれてあるのであります。そうして又この山形から管理部秋田監理局に持つてつた。そのことについては、国鉄ではどれだけの利益を上げておられるか。この管理部の移転後における山形県民損害、これは非常に大きなものが私はあろうと思うのであります。で、この仙山線につきましては、特に私が今お伺い申しましたのは、幹線主体にして、近くにあるところの表日本裏日本のこの境はお考えになつていないのであるか。最も私は大事なものである。僅かの電化によつて表日本裏日本との文化交流がたやすくなるし、又あそこは御承知よう塩釜港というものが貿易港になつております。この塩釜港が貿易港になつておりましても、仙山線の困難な状況にありまするから、山形県のほうからは真直ぐ東京を経て横浜に行く。一つもあそこの仙山線を利用されていないのであります。私はこの地方の開発という点から考えましても、又塩釜港の貿易港であるというこの点から考えましても、私はこの仙山線電化するということが、国家的見地から考えて最も必要なことではないか、こういうように思うのでありまするが、塩釜港の貿易港については如何ようのお考えを持つておられますか。又この管理部山形から奪い去つて県民が非常なる損害をこうむつておるのでありますから、それによつて秋田監理局を持つて行つてどれだけ儲けたかということを私は伺いたいと思うのであります。
  10. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 塩釜港が貿易港である、この利用については、やはり背後にある鉄道というものを完備しなくちやいけないのじやないかというお説であろうと思います。誠に御尤もなお説でございます。とかく港湾の構築或いは改良というような場合、その背後鉄道というものが忘れられがちであつたのでありますのに、只今そういうお説を拝聴いたしましたことは、私の非常に喜ばしく存ずる次第であります。従いまして塩釜奥羽線とを結ぶということについての研究、それらについては十分今後私は考究を重ねて参りたいと思います。  山形管理部をやめて、秋田と一緒になつたということによる利益というものがどのくらいあつたのかということでございますが、当時私はまだ責任の地位になかつたのでございますけれども、恐らくその後の状況等を見ますと、当時の鉄道の要員というものは非常に多数に上つてつた。それらの整理、又殊にこの管理部門の人員の整理という面で、運営の上に大いなる寄与をなしたと、かように私は考えております。
  11. 前田穰

    委員長前田穰君) 海野君にちよつと申上げますが、間もなく運輸大臣出席すると思います。短期国会なので運輸大臣出席がなかなかいつも困難を極めておりますので、運輸大臣が来ましたら一つ一応御中止を願つて、又次の機会に御質問願いたいということにいたしたいと存じますが、一つ然るべくお含みを願つて発言を願います。
  12. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 管理部につきましては、やはりこのままでおやりになつて行くお考えでありましようか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  13. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 機構の問題はいろいろと考えられますので、昔のよう機構というものも一応考えられます。又今日のよう機構考えられまするし、更に今日よりもなお管轄区域を大きくした一つ機構、私は機構そのものについては観念上はいろいろ考えられるだろうと思いますが、併し実際に何が一番よろしいかということの見当付けということは、これ又非常にむずかしい問題であるように私は考えます。過般私はヨーロツパ、或いはアメリカ等にやつて頂きまして、いろいろ実際について話も聞き又見もいたしましたが、それらの鉄道におきましては、いわゆる我々の申しております局、管理部という二つの制度、その上に本社なり本省なりがあるという三段構え制度、今日のような二段構え制度いろいろであります。併し制度というものはそうたびたび動かしてはよろしくないのではないか。先ず一応改めるべきものであれば、それを如何にしたらばよくして行くかということに私は思いをいたしまして、そうしてこれを改善是正して行かなければならん、かよう考えております。と申しますことは、やはり制度を変えますと、相当の金がかかります。その金が若しあるならばむしろローカル線路などの改良のほうに向けまして、サービスの向上を図るということのほうがよくないかと、かように今考えております。
  14. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 本年度及び来年度五カ年間における新規事業計画資料を私は頂戴いたしたいと存ずるのであります。資料を頂戴いたしたい。五カ年間における新規事業計画を。今日でなくても後日でよろしいのでありますからお知らせを願いたいと思います。この点をお願い申上げます。  それからこの前私がお伺いいたしましたのは、曾つて、一昨年でありましたが、山形管理部内における職員公金不正使用事件伺つたのでありまするが、これに対しまして只今この資料を頂戴いたしました。ここにおきまして、この当時責任者であるところの係長及び課長が、何らの責任をとらない。而も懲罰委員会にかけないで、この罪を犯した人以外の者をも引張つて行つて、そうして無実の罪に陥れて、降職をやつて、そうして係長及び課長が栄転して行つたのであります。その人間は只今秋田管理部におるのでありまするが、私は第三者といたしまして、世間の人は皆これを笑つておる。国鉄はそれだから伏魔殿であると。私はこの当時の係長及び課長とつたるところの責任をはつきり伺いたいと思うのであります。この御調査によりますというと、この御調査には隠れたるつまり情状酌量によつて不起訴になつたとありますが、情状酌量じやなしに、更に嫌疑なしという検事局からの知らせでありました。それを係長及び上司の者が下の方の者を無実の罪に陥れて、そうして自分たち責任を逃がれて、そうして知らん振りをしておるということは、私は納得行かないものであります。この点についても更にはつきりした御答弁をお願いいたしたいと存ずるものであります。
  15. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 過般私が申上げました五カ年計画というものは、これをできるだけはつきりしたものにしてお目にかけたいと思つておりますが、通常国会までにできる限りの資料を整えまして、是非御覧を願いたい。或いはこれは審議の対象として頂くのでなくて、参考でもいいから私はお目にかけまして、漸次これが固まつて参りましたならば、やはり継続費予算というような恰好で御審議を願うようにしたいものだと、かよう考えております。その点御了承を願いたいと思います。  それから人事の問題につきましては、これはまだ調べが十分でない点があるやに承わりましたが、更によく調査いたしてお答えいたします。
  16. 海野三朗

    委員外議員海野三朗君) 私はまだお伺いいたしたいことがたくさんございまするが、私だけ時間を頂くことは甚だ相済みませんので、これを後日に私は質問を保留いたしたいと存じまして、今日はこれで御遠慮申して置きます。まだいろいろお伺いいたしたいことがたくさんございます。   —————————————
  17. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは日程に入りまして、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題に供します。  前回に引続き、順次御質疑を願います。
  18. 一松政二

    一松政二君 私は、丁度国有鉄道総裁長崎さんがいらつしやいますから、差当り問題になつておる今日の国有鉄道における職員諸君の何か三割賜暇戦術とか、いろいろなこういう輸送計画上非常な支障を来たしているように報道されておる。それに対してその現況は一体どうであるのか。更に又国有鉄道としては、如何に対処されておるか。その概要を一つ説明願いたいと思います。
  19. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) この三割賜暇というようなことは、大分前から情報としては私のほうでもキヤツチしておるわけであります。従いまして先週来しばしば団体交渉がありまして、累次に亘つてどうしても混乱を招くようなことは避けたい、そういうことを十分に考えるべきでないか、又それがやめることができないならば、ここ数日間延長して、そうして我々も妥協の努力をする、政府考え方、或いは国会審議模様というふうなものをよく見て、そうして善処されるべきじやないかという話もいたしたのであります。更に昨日の午前から午後にかけましては、年末手当の問題については、これは団体交渉によつてきまるものであるから、只今のところ予算では政府は一・〇しかみていないということも、これをできるだけ殖やすという方向に我々も努力するし、諸君も努力せられたい、そういうライン一つ進んで行つてみたらどうかということも申入れましたが、これも組合の満足を得ることができなかつたために、遂に三割賜暇ということになつたのであります。これに対する方策としましては、私どもはできるだけ実力を以て対抗するというようなことは避けたいと思つております。そして予備員経験者等を動員しまして、できるだけ公衆の皆様に御迷惑をかけないようにしたい。なおこれは現地で起る問題でございますから、現地局長の良識に待つて適当なる方策に出る、大体の根本の方針はそのようであります。  それで私は去る日曜日に主なる全国の各局の総務部長東京に呼びまして、そういうよう趣旨のことを私も会議に出まして申し付けたのであります。大体の処置としましてはそういうことでありますが、現在の模様等につきましては、職員局長から御説明申上げます。
  20. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 現在の状況を簡単に申上げたいと思いますが、組合側は三割賜暇という戦術をとつておるわけでございますが、これは全職員そのまま三割賜暇をとるという形ではないのでございまして、各監理局業務機関を二乃至三カ所指定いたしまして、その指定業務機関に対して三割賜暇をとらせる、こういう方法をとつておるわけでございます。ただこの組合側指令を受けた下部の組織としては、そのまま組合本部からの指令通り実行に移しておる所もございますし、中には一応形だけ受けたようにして、実際に支障がないようにやるというようなやり方をしておる所もございますし、又中にはその指令を返上するというような所もございますので、実際起つております状況は、場所によりましてかなり激しい所とまあ形式的にやつておるというような所、いろいろあるわけでございます。  それで地域といたしましては、北海道から鹿児島の果てまで、一応どの監理局管内でも三割賜暇闘争というようなことが行われておるわけでございますが、細かいこと一々申上げても恐縮であると思いますから、主なところだけ申上げますと、西のほうではやはり一番大規模に行われております所は現在のところ広島管内でございます。それで当初の組合側指令では広島の駅と、それから広島機関区というような所で大規模にやりそうな様子でございましたのですが、現在のところでは旅客関係の駅の業務や、又旅客車運行等には現在のところ大した支障を来たしておりません。ただ広島操車場構内に千五百名ほどピケ隊が入つておりまして、これがまあ事実上構内を占拠したような恰好になつておりますので、相当数貨物列車は運休せざるを得ないよう状況になつております。無論現地監理局におきましても、又国鉄本庁におきましても、それぞれ中央の組合機関に対して再三警告を発し、速かにこういうよう事態を解消させるように督促をいたしておりますが、現在のところまだその状況が続いておるというよう事態でございます。あと目ぼしい所といたしましては、大阪附近で、これは梅田の駅あたりで今朝来ピケ隊と、ピケを破ろうとする、出勤しようとする職員との間に若干のトラブルが起つたようなことがございます。それからお膝下の東京で、今朝から東京機関区がやはりこのピケ賜暇闘争指定個所にされましたために、朝の三十三列車、「玄海」という九州に行く急行でありますが、これが六十九分ほど延発いたしました。そのほかその後続いて旅客列車大分遅延しておるのがございますが、今までのところではまだ列車の運転をやめたというのは起つておりません。なお、貨物関係では、この附近では高島の駅、これは横浜のすぐそばの駅でありますが、そこで大分やはりピケ隊が集まりまして、たまたま高島駅のすぐ隣りの横浜船渠というのが、これが従業員七千人ほどおるのでありますが、それが現在スト中でありますので、その横浜船渠従業員国鉄のほうの従業員とが或る程度ちやちやになりまして、現在やや混乱に陥つたような形になつておりますが、これはまあ貨物専用の駅でありまして、旅客には余り影響がない。まあ主な所はそういうような所でございまして、あと一一申上げますというと、それぞれ各個町で三百、五百、千と、その中には国鉄従業員ばかりでなしに、部外の団体、代表というようなものが混ざつて気勢を上げておるような所が大分ございますが、現在までのところでは、貨物列車関係において相当影響は免れないように思つておりますが、全体として見ました場合には、旅客列車等には運休等はまだ起つておらん、そういうよう状況でございます。で、今日は実は機関車労働組合のほうもこの賜暇闘争指令を出しているのでありますが、機関車労働組合のほうは、本日の非乗務員だけ二割賜暇をするというよう指令でございます。明日二日からは非乗務員だけでなしに、乗務員も込めて二割賜暇をとるというよう指令になつておりますので、私どもといたしましては、繰返し組合といろいろ折衝はいたしておりますが、若しこのままの状況で推移いたしますというと、相当結果は重大なことになりはしないかと実は心配しているよう事情であるのでございます。
  21. 一松政二

    一松政二君 運輸大臣がお見えになつておりますから、私はもう一点だけにとどめて、あと運輸大臣に御質疑のある方に譲りたいと思いますが、すでにピケラインを張つているというようお話ですから、賜暇戦術というものは争議行為の一種であると考えるのですが、国鉄当局として、どういうふうなお考えでこれに対処されているか、伺いたい。
  22. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 賜暇戦術は、勿論私どもとしては違法な争議行為考えて対処いたしております。
  23. 一松政二

    一松政二君 従つてそれはいわゆる法規の上からもいろいろ問題が起るし、服務規律その他鉄道従業員としての或いは協約その他に違反する点も起つて来ると思うのですから、それに対しては善処されることであろうと思いますから、それはいろいろの問題もありますが、すべての対処は、いわゆる国民の納得の行く線が必ずあるはずですから、国民の環視のうちでやつておられますから、私は相当善処されることを希望して、今日はその問題は私に関する限りこの程度で打切つておきます。
  24. 東隆

    東隆君 大臣がおいでになつておりますので、国鉄仲裁について、大臣が現在どういう処置をとられているか。今までの経過、それをお聞きします。
  25. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 裁定が出まして、この前の臨時国会仲裁裁定国会に送りまして御審議を願う形をとつたわけでございまして、そのときはこれに伴いまする。これを実行し得るよう予算上、資金上不可能な問題だということで、ただその理由で国会のほうに廻したわけでございます。今度になりまして、裁定問題をどう取上げるかということでいろいろ政府部内に相談をいたしました結果、予算案が提出されましたように、来年の一月から裁定されました金額を実施に移すということについて御審議を願うことになつたわけでございます。これにつきまして、この問題がまだ海のものとも山のものともきまらない頃に、国鉄の労組から私どもに面会も求められましたし、いろいろその意向も聞きまして、完全実施を求められたのでございます。併し一方国鉄の経営内容を見ますると、本年は御承知ように相次ぐ災害で百億以上の災害をすでに受けて、本年度内に支出した金額と合せますと、八十数億に上るというような状態でありますが、一方これらに対しまして本年は収益も多く、増収があります。又石炭代その他の節約もありまして、ふだんでありますると、割に豊かな経営状態に近かつたわけでございますが、異常な災害のために、これらを予備費等で出しましても足りませんし、それから大蔵省当局と相談いたしまして、大蔵省のほうに本年度内に三十億円ほど支払をしなくちやならない金、昨年のベース・アツプのとき、べース・アツプと運賃賃金のズレのために政府から三十億円を借りておりましたのを、今度は延期してもらうというようなことで了承を得まして、これらによりまして災害費も賄い、そしてべース・アツプも一月からならば何とかやりくり算段してやつて行けるということに話がついたわけでございます。  これは裁定に触れない問題でありますが、予算が出ておりますから併せて申しておきたいのは年末の手当でございます。夏のときに〇・二五を繰上げ支給いたしましたために、残りは〇・七五あるのであります。これにつきまして、予算措置としましては、〇・二五を追加いたしまして一・〇〇ということになつております。これは公務員が〇・五と少し差があるのでありまするが、これは公務員に対していろいろと公務員の給与が、地域給がどうなつているとかいろいろな問題等で、実際上に公務員は非常に割損だというような声を、今日も本会議等でいろいろ質問がありましたような次第の理由もあります。又我々のほうは八月からこれを実施するということになつておりましたが、公務員に対する勧告は七月頃から始まつてつたというようなこと等もいろいろ考えますと、そのほうが〇・五で、我々のほうの公共企業体は〇・二五の追加で一応片は付くというような話もあるのでございます。併し国鉄といたしまして、このほかの公共企業体にもそうでありまするが、みんなが働いて生み出したものがあれば、これを賞与等に廻していいということにいたしております。できるだけのものを一つ考えて、今のように苦しい財政の中でありますが、国鉄のほうでもう少し増してもらうように努力して頂くように今お願いしておるところでございます。まだそれがこういう数字が出て来るかということは不明だというのが現在までの状態であります。
  26. 東隆

    東隆君 裁定では、八月実施ということになつております。それを一月から実施する。こういうようなことから、結局裁定を履行しないというところに一つの落度があると思いますが、そこへ国鉄がストライキに近いようなことをやつても、これに対して高圧的に出られない、こういうような点があろうと思います。その辺の解釈はどういうふうにされておるか。それをお聞きしたい。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 国鉄裁定は、御承知ように両当事者を縛るということになつておりまするが、公労法の規定によりまして、財政上の理由がありますれば、必ずしもこれに縛られることはなく、それには議会によつてきめて頂くということになつておるものだと思います。で、裁定のこういうふうな法律をこしらえました精神から申しますと、私はこれは完全実施するのが当然だという心持でこれはこしらえた法律だと思います。ところが国の財政、公共企業体の経理の内容からいたしまして、それができないときでも、これを必ずやれということではないような意味に私はこの法律が作られた、まあ止むを得んときは仕方がない、それは議会においてきめて頂くということで提案されたものだと思うておるのであります。それで、その提案に至るまでのこと、それから八月に裁定がなつておるのを一月になるということは、これは裁定の精神からすると誠に面白くないということは言えますが、私どもは今申しましたような理由で、国の財政、公共企業体の経理の内容如何によつては止むを得ん、その通りにならなくてもいいということが法の規定だと、こういうふうに思うております。従つて法を破つておるとは思わないのでございます。それと、例えば賜暇戦術であるとかいうようなことで、その動きの途中において非常な業務妨害的な行為があるというようなことで、それが法規に反するようなことであれば、これを罰せられるのは、その法規に従うのでありまして、この仲裁裁定とバランスを付けて、片一方が不完全であるからストライキの不完全なのまでを相打ちだというようなわけには、法の精神としては行かんであろうと思うのであります。どうかそういうことの起らないように……、昨年も一度そういうことがありまして、何人かの犠牲者を出しました。犠牲者を予定されておつたかどうか、それが噂に上りまして盛んに命乞いの運動がありました。私は命乞いする前に、そういうことの起らんように、その前の行動を一つ皆さんで力を入れてやつてもらいたかつたのだという、あとの祭の話をしたのであります。それで昨日、一昨日、いろいろな方に会うたびに、私はどうか、これが非常に激しくなると法を守らんような行動が出て来るかもわからん。そのときの勢いということもあるであろうが、どうかそういうことにならないよう一つ法の範囲において諸君の主張をどんどんやつてもらいたい。主張するのはかまわないのだ。併し法を破るとそれは仕方がないというわけに行けなくなつた場合に、どうか命だけはというようなことにならんように是非一つ冷静に考えて善処して頂きたいということを繰返し繰返し皆さんに話しておるようなわけでございます。これは余談でございますが、それでお答えといたしましては、私ども仲裁の完全実施ではないが、これは法の精神を尊重したるものであつて、そういうことは法律の上において許されておるものであるというふうに考えます。
  28. 東隆

    東隆君 国鉄総裁もそれから運輸大臣裁定の完全実施をしたいのだ、こういう御意思なんですが、ところがこれが完全実施でない。こういうところに問題があると思うわけです。そこで私は無い袖は振れないという予算上の問題が起きておると思うのですが、郵政省関係国鉄関係が財源がない、こういうふうに言われておるわけであります。そこで中心問題は、災害復旧に関係をする経費をこれをどちらから出すかと、こういう問題になろうと思うのです。それで今回のような広汎な災害による場合に、独立採算を目途にやつておる国鉄が、この災害復旧を今年はやるのが主か、それとも一般会計から、これは当然ほかのほうのいろいろな災害関係については一般会計関係、公共事業費関係のものなんかは出ておるわけでありますから、そういうような面から考えてもいいのである、こういう点もありますし、又この分に関する限りにおいて、鉄道債を大きくしてそれによつて建設費をそつちのほうから賄う、こういうようなことも考えられていると、こう思うのですが、そういう方面における運輸大臣考え方はどういうふうになされたか、それをお聞きいたしたいと思います。
  29. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういう見方も一つ成り立つは成立つと思います。併し私ども今度の場合を考えまして、成るほど金額は相当大きくなりました。が、災害の起るということは、まあ余りにも広い範囲の間ですから、そういうもののために予算費もちやんと計上してあります。そういうものを入れ、そして政府から借りておる金も返さずに使わしてもらうというようなこと等でまあ主にそのほうをやつて行くわけで、災害のほうにやつておるのでございますが、これをそれでは仮に民間の鉄道なんかはどうかと申しますと、公共事業費には、政府がやりますからおつしやるよう通りの面がありますが、私鉄なんかは二割の援助ということがあつて、而も相当経営のいいものには金をやらない。一億以上の損害を受けておりまする大きい私鉄の会社で、その経営がいいのでそういう援助は行かないというのもあるやに聞いておるわけです。それで仮に独立企業体としてやつておりまして、その中で賄う途が考えられるならば賄つて行くのが本来の筋でありまするし、予備費を設定した由来等から考えますと、私どもは、金額が多額に上ることではありますから、そのほかの今申しましたように借入金の返還を延ばすとか、それから建設の一部を繰延べするとかいうようなこと等でやつておるのであります。そういうふうなものを私はベース・アツプのほうに持つてつたらそれこそおかしいものではないかと思われる点が多くはないかと思うのです。べース・アツプは完全に履行しなければならないのだ、片一方災害はいろいろな仕事の上の借金を延ばし、或いは事業の一部を繰延べするというようなことをしてそれでベース・アツプをやつてつたんだというのでは、私は同じ国鉄の仕事に当る者として、どんなものであろうか。私はこの問題で初め労組の諸君と会つたときに、昨年のような平年のときでさえ八月から実施するというのが十一月になつた。これはお気の毒である。併しそういうふうな日本の財政状況であるということを先ず前提にそのまま承認して考えるとすると、本年は昨年以上にこういう災害が起きたから、昨年よりも悪くなるのは当然なんだということを僕は思うが、諸君もそれはわかるだろうという話を私はしたことがあるのですが、大分わかつてもらえたような話もその中にありましたが、それは別といたしまして、昨年よりも今年をよくしろと、或いは昨年と同等でも私は実際上は無理ではないかと、今のようにして私どもはできるだけ尊重するという線で考えて、一月からの実施は私は決してこれは無理を言つたというのではない、丁度手頃のところではないかと思う。これは私の勝手な考えに過ぎるかもわかりませんが、今年としてはここらで辛抱してもらいたいという念頭を非常に強く私は持つておるのであります。そういう意味でございます。
  30. 東隆

    東隆君 私は辛抱をしてもらう、そういう点は賛成なんですが、一応災害の復旧、その他のために使うところの投資、資本ですが、これは私は将来に向つて支払つて行けばいいのではないかと、それに対するところの金は施設として順次復旧されて行くのですから、従つてそれの使用その他によつて収益を上げて行く、こういうことになるから、今年の年度内における収支の中から、予算の中から全体を出して行く、こういうやり方は非常に酷ではないかと私は思う。殊に水害その他の場合において、職員その他が身を挺して仕事をし、そうしていろいろ本当に仕事をやつて行つておるわけです。そういうようなことを考えて行つた場合に、私は今年の予算の中から無理に出す必要はない。それで将来に向つてこれを支払つて行くという考えで投資をする。そして将来に向つてその利益を支払つて行く、こういうやり方が当然ではないか、こう考えるのです。その辺は今の運輸大臣のおつしやることは大分違うのですが、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  31. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ちよつと私の説明が横路に外れたかも知れませんが、丁度あなたのおつしやつたような形になると思うのですが、借入金の本年返すべき三十億というものを返さずにそのものは延ばしてもらうということは、即ち債券を出して金を借りるのと同じわけでございまして、それとそれから建設費の繰延べということ、それから予備費を使うということでありまして、上つた利益、それから節約した利益というようなものをそのほうに投げ込んでは……、投げ込まずにやつておるわけでございます。ちよつと金額的に申しますと、借入金の返還延ばしが三十億、それから予備費が三十六億とか、それから建設費繰延べ十九億ということでやつております。
  32. 東隆

    東隆君 私の質問はこの程度にいたします。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 運輸大臣ちよつとお尋ねするのですが、この仲裁裁定制度趣旨が、公共企業体であるところの国鉄の職場の平和を守るという、こういう趣旨から出たように思つておりますが、どうも今までの例を見るというと、仲裁裁定の出るたびにいわゆる平和を守れずに却つてそれが一つの何といいますか、闘争に追込んで行くところのきつかけになつておる、こういうようなことになつておると私は考えるのですが、その原因は、やはり仲裁裁定の完全実施、仲裁裁定を実施するというところの熱意がなくして、却つて初めから、何とかしてこれを削つてやろう、こういうような意図で以て組合員並びに従業員等に臨んでおられる。こういうようなことが、仲裁制度が却つて争議の原因になつているというよう考えるのですが、その点はどういう工合にお考えになつておりますか。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 仲裁裁定は、さつきからもお話申しておつたところでございますが、これは法の精神からすれば、完全実施ということが狙いであるということは、私どもも思うのであります。併しそれが出て来たのに、何とか因縁をつけて延ばして、支払を遅らして、裁定の期日を遅らして、そこに徒らな闘争を醸し出す、それは責任国鉄なり政府側にあるのではないかという見方の議論を、私どももよく聞くのでありまして、仲裁裁定が完全実施されないのは本当に私どもは遺憾だと思つております。やるべきだと思つております。これを何か、出たら幾らでも、そこいらの買物に闇市へでも行つたように値切ることを以て能とすべきものでない。こういうことで少しでも法の精神から離れないようにすべきだという熱意を私どもは持つております。政府も当然そういう考えを持つておりますが、御承知ように誠に哀れな財政状況でありまするし、それから又、これは理窟では言えますけれども、実際上困りますのは、国鉄と、それから官公労であるとか、そのほかのものと、いろいろと出ますと、どうしても同じ政府の流れを汲む関係上、何としても大体同じようなところに追付かんと悪いという問題が出て参るのであります。例えば今度にいたしましても、裁定そのまま出したり、或いは賞与も適当に出していい所もあるらしいのでございますが、私どものほうは、今申すように、災害という一つの大きな問題もありましたが、そればかりでなくなかなか困難である。又公務員の問題でありまするが、更にそつくりそのまま政府の財源から持つて行かなければならんということ等のために、どうしても振合い等の問題も起つて来る。そうすると、この仲裁裁定実施の日もどうしても遅れ勝ちになるのじやないかという問題は、今後も一応は起るだろうと思います。そこで考え方は、もう業態々々で、独立採算制であるなら独立企業体で、勝手々々に行けるような方法を考えるか、それなら、遅れるなら遅れる、やれないならやれない、やるなら、いつからやれる、こういうことを脇見をせずにやつて行くか。或いは仲裁裁定規定そのものを少し何とかいじるとかいうようなこと等をしないと、なかなかむずかしいのではないかというような気がするのでありますが、私どもとしては、昨年は三カ月ほど遅れまして、今年は五カ月遅れました。私は、できることなら、ふだんはこんなものが起るか起らんかは昨年想像しなかつたのでありますが、三カ月もあるというなら、二カ月なり或いは一カ月なり、完全実施に、いいほうに行けることに努むべきだと思つてつたのでありますが、不幸にいたしまして、今度は特別の事情のために、災害のために五カ月遅れたということは、甚だ遺憾でありますが、私どもは断じて、この仲裁裁定が、何か抜け道があるから、それを利用して実施の時期を遅らし、それで問題を起しておきながら、今度それに反抗する者があれば、この犠牲者を叩き潰すには仮借なしという、冷酷な行動に移る前提としてこれをやるのだというようなことは、私は毛頭考えていない。そんなことは考えてはならないことだと、こういうふうに思つております。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 大分御答弁がよそのほうへ行つたようなんですが、私のお伺いしておることは、結局、仲裁制度というものが今のような状態では、これは法の精神じやなくて、全く法律というものが無意味になるのじやないか。従つて、これは国鉄独立採算制で、いろいろ特殊の事情があるかも知れませんが、いやしくも仲裁制度ができました以上は、やはりこれは万難を排して実施をする。それで例えば、仲裁裁定裁定された金額は妥当であると考える。或いはこれは完全実施しなければならんと考える。考え考えるということだけで、そして結論は実施できないのは遺憾である。これが大体仲裁裁定が出るときのきまつたコースじやないか。そうして、そのコースに従つて、そこにごたごたが起きる。ごたごたが起きるというと、法律によつて、これは民間労組のような罷業、ストライキに訴えることもできないので、そこで苦しい動きをどんどんやつておられる。それ以上出られない。それ以上出られないやつが苦しい中から若干ともすれすれのところまで行く。そこで首を切るというようなことで、大体こういうコースが来ると思うのです。やつぱり今後もそういうことが避けられないと思われるか。或いは仲裁制度によつてやはり法の精神通りに職場の平和を守り得ることができると、こういうふうにお考えになつておるのか。その点について……。
  36. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは、今お話の点は、国の財政状況と企業体の経営状況というものと睨み合せてみなければできないというところに、この仲裁制度に悪く言えば抜け道みたいなものが設けられてあるわけであります。来年からは必ず仲裁裁定が出ればその通り実施するということになると、それは、日本の財政とそれに伴う予算というものを、これでその点だけは縛つてしまうことになるので、それでいいかどうかということは、私は問題だと思います。それには法を改めなければならんことだと思います。併し今の日本の財政は底が浅いものだから、なかなかそう実施できんかもわからんというので、財政上、資金上云々ということがあると思うのでありますが、この制度を、これを縛つてしまうということもどんなものでしようか。これは議会でそういうことにきめれば、それも一つの方法でありますが、私は、今の制度で、そしてできるだけこれに近付けて行き、完全実施になれるような財政状況を作つて行くよりほかないじやないでしようか。私はそういうふうな考えを現在持つておるわけであります。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 これは、仲裁裁定政府を拘束するかしないかということは、これは法律の解釈論になるのですが、少くとも我々労働組合の連中は、この制度のできたときに、これは最終的にはやはり拘束するのだという工合に聞かされておつたと記憶しております。国鉄従業員諸君仲裁裁定というものに唯一の望みをかけておるのですが、初めに聞かされた内容趣旨と、それから実際に運用される趣旨とが、全然違つた方向に運用されている。ここに一つ国鉄従業員諸君の納得の行かない根本的な問題があるのじやないかと思うのですが、この点はどうでしようか。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は昨年の秋初めて議会に戻つて来たのでありますが、この法の成立いたしました当時のことは承知いたしませんが、昨年仲裁問題を起したときに、私はこれに予算も何もつけないで議会にただぽんと出す、そして議会において審議してもらうのだということを聞きまして、非常に不思議な制度があるものだというふうに思いまして、そのとき制定当時の話を聞いたのでございますが、実際この法律を作つたときには、ストライキを公共企業体の者はやらない。それに代るべきものとして仲裁制度を設け、そうして公平の原則によつてきめられたものによつて出て来たものを、それを実施するというのが一つの案であつたと思います。但しそういう場合に、その仲裁制度によつて仲裁委員会がきめたものがそのまま政府を拘束してしまうということ、或いは公共企業体を拘束するということは、果して日本の財政上許されることがないかもわからないというので、ああいう規定を設けられたので、初めから今の規定は改められたのじやないでしようから、当然そこは考えられていなかつたのじやないかと思いますが、併し法の精神というものは、あなたの言われるように、これは完全実施をされることを希つてできておるものだ。そうして又君たちも恐らくまあまあこれで仲裁制度ならその通り行われるだろうというふうに思つたのだ、恐らくそうであつたろうと思いますが、その後の実際上に現われた結果を見ますと、いつも実施の期日の面において遅れておるというのは、誠にどうも残念だと思いますけれども、そういう財政状況であるということで、私どもはさつき申したように、だんだん幅を狭ばめて行くことに努力する、この制度がある限りにおいてはそれに努力するということだと思つております。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 どうもはつきりしたものがつかめない。新任のためにその当時のことはわからないとおつしやるのですが、その当時のことはわからなくても、とにかくこれはあなたがわからないのであつて、法律は厳然と活きておる。そうして今の言葉の中に、その制定当時はそうであつたろう、そう思つてつたであろう、あろうが、だんだんやつてみると、そうは行かないから、そこはしないのだ、こうなつて来ると、一体これは現在ここに紛争が起つておるのはどつちの責任だ、そういうふうに労働者に納得させて、そうして法律というものはそういうものだという工合に、世間一般も考えておつたのだが、それが日がたつに従つて、どうもそれができないということで、いろいろあなたがおつしやつておるような、そうであつたろうということを、今ここで勝手にそういうものを曲げていいものかどうか。従つてそういうよう責任は一体どつちにあるのか。こういうことに非常に疑問を持つて来るのですが、この点についての御意見を伺いたい。
  40. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは政府責任を逃がれるとか何とかいう意味で申したわけでは私はないのでありまして、裁定をきめたときに、自分たち仲裁による裁定は、これができればそのまま実行されるだろうとみんな思つてつた、そういう説明を聞いたというお話がありましたので、恐らくそういうときはそうであつたろうと申上げたのでありますが、同時にこの法律が設けられたときに、今のよう制度が設けられておることは、必ずしもこれがそのまま行われるということで、そのほかのものは違法だ、間違いだということは、私はないだろうと思うのであります。又同時に裁定の履行の最終決定は国会がするのでありまして、政府がこれをどうするということにしないというのが、この公労法による議会に提出する精神でもあるわけでありますが、私ども予算はこういう程度において出せるのだということを申上げて、あなた方の御判断を待つということでありまして、裁定の履行の最終決定は国会がするというものだと私は思うております。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 どうもはつきりしないが、仮に最終決定が国会にある、これは確かに国会が最終決定をするものであります。ところが、やはり最終決定をする所在というものは、これはいわゆる仲裁裁定内容政府が勝手に変えて、そうしてこれでやるのだがどうかというのではなくて、やはり仲裁裁定に対しては、そのまま予算措置をする責任がある。それを国会に出して、そうしてそれが不当かどうかということは、最終的には国会できめる。こう私は考えておりますが、これは間違いですか。
  42. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 併し今おつしやる通りにすると、裁定通り予算を組んで出せということになると思います。そうすると、法によつて財政上それだけの金が出せないということになりますると、政府としては、予算的にはこれだけのものしか出せませんが如何でしようということでお伺いしておるという筋になるのだろうと思います。
  43. 大倉精一

    大倉精一君 そうすれば、これは一つの何といいますか、極端な例といいますか、国家の財政措置ができない、例えば軍事予算とか、いろいろな予算が膨脹して、このほうに廻る金はないという工合に、政府がいよいよ予算を組んだ場合に、例えば国鉄従業員なり、一般公務員なりに、民間産業よりもずつと低い賃金というものを政府が出して来た場合に、これは予算がないから仕方がないのだということで、一方では争議行為、そういうものを一切禁止されておるということになると、これは公務員なり、公共企業体の従業員はどういうことになるのですか。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私どものほうでまあ予算のほかの振合いの話が出ましたが、それは別としまして、私どもは、この企業体、国鉄の場合として国鉄が今のよう利益を上げ、或いは節約をし、それではいけない、そうすると来年からはどうするのだという見込等もいろいろ立てて、そうしてどこからやれるかということになるわけであります。で、今年のきまつたときに始まる問題は、その年の予算の睨み合せによつてきめるのでありまして、ほかに、例えば保安隊の経費がどうだとかこうだとか、問題はこれには直接には一向関係するものでもないと思つております。又仲裁によつてきまつたものは、同じことを繰返すようでありますが、私どもは今度の問題にいたしますと、ここいらが一番適当なところじやないか。ここまで出すにはほかの方面も相当財政上の国鉄の経理のやりくりも考えまして、ここまでやるならば私どもは上々じやないか。今年としてはまあ上々じやないかというふうに考えて出しておるのでありますけれども、そういう場合に、非常に今年は災害で無法な金が要つたんだから一つもやらん、まあ一つ今年は辛抱しろというような声も初めはいろいろあつたわけでありますけれども、私どもは、どうもさつきあなたのおつしやるように、法の精神も考えますと、何としても本年度内に幾らかでも恰好をつけてやらなければいかんということで、ここまで持つて来たのでありまして、若し私どもがこの仲裁裁定をいい加減にしてほつたらかして行くんだということになれば、そういうことであれば、法の精神を無視するということも大きな眼から批判されるべきであろうと思いますが、私どもの心持は、今のようなわけでここまで来たのでありますから、どうか一つ御了承を願つて御協力をお願いしたい、こういうふうに考えております。
  45. 大倉精一

    大倉精一君 それで、今までのいろいろな御答弁を聞いておると、どうも大臣みずからも公共企業体の職場のいわゆる平和を守る、産業平和を守つて行くということについて、どうもまだ自信もおありでないようですが、さつきも第三者の公平な判断というお話になつたのですが、これはやはり調停案が出て、それが不満だということで、再びこの仲裁委員会にかけられて、そうして仲裁委員会が出した。私はこれは公平なものだと思うのです。そこで今の政府のおやりになつてようなことをずつと続けて行くということになれば、これは仲裁制度があつても、職場の産業平和は守つて行けない。そうすれば職場の産業平和を守つて行くためには、何らかの民主的な方法がなければいけない。そこで二つの方法よりないと思うのです。その一つは、現在の仲裁制度が意味がないということになれば、結局、何といいますか、この制度そのものをもつと強化して、そうして双方を拘束して行くよう制度にするのか、或いはそうじやなくて、はつきりとこの仲裁裁定仲裁裁定だが、併しながら政府はこれを勝手にどうこうできるんだというような、そういう制度を改正するというか、改悪するというか、そういう考えか、それからそうではなくして、今度は官公庁の従業員も、それから国鉄或いはその他の公社の従業員も、これは一般の労働者と同じようにやはりみずから自分たちの生活権を防衛するために、民主的な罷業権というものを与えて行くのだと、そうして労使が自主的に解決して行くんだと、こういうような方法よりないと思うのですが、現在の仲裁裁定で以て、産業の平和が守れないとするならば、運輸大臣は、将来どういう工合にしようという何かのお考えがあつたら伺いたい。
  46. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今お話のうちのどれに改めるかということは、私考えておりません。ただ今あなたのいろいろお話のあつたような点において、何となくこの制度そのものがはつきりしない。何というか、心持ちにぴつたりせんようなものがあるような気がするということを皆話合つているわけであります。それをどの面にどう持つて行くという問題には一向触れないのでありますが、この間もどこでしたか、労働大臣がそういう問題について、制度そのものを考えるというような意味のことを何か言つて御答弁してをつたようでしたが、何かこれは考えるべきじやないかというふうには思つています。
  47. 大倉精一

    大倉精一君 まあ私の考えとは全く逆な方向だろう思うのですが、現在の制度で以てこれはどうもはつきりしないということになれば、やはりこの制度をむしろ労働者のほうに、組合のほりに、すごく制約を加えて行くような恰好にするというようにお考えになつているように思うのですが、今の何とかしなければいかんという、その何とかしなければいかんという内容を、もつと何か構想があつたら承わりたい。
  48. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それはそこまで何にも話合つたこともありませんし、私何にも労働者を抑えるとか、自分たちの仕事のしやすいようにするとかということでなしに、第一に仲裁が下りたものを最近の議会に提出すると、そのときはどうか御考慮下さいというので、何にも政府の意見を述べずに出す。これは私は昨年そういうことをやつたときに、意見を言わずにこれを賛成してくれとか、反対してくれとか言わずに、何と言つて出すのだ、そういうものがあるのかと、自分でも不思議がつて聞いたくらいでありますが、それにはただ出すということに法の解釈上なつているんだということでありました。併し議会に出して見ますると、参議院では、頻りにどちらかにしてもらいたいのだというので、どちらともあなた方がお考え下さいということにこの法の精神がなつているということなどの説明を、そういうことに政府の意見が一致しておるということで、したわけでございましたが、私はそういうことからがどうもおかしいと思うのでありまして、できれば、議会があつて五日以内にすぐ出せというからまだできないけれども、成るべく早い機会において予算なら予算を付けて成るべく早く出せといつたほうが私は早くできると思います。例えばこの問題にしたつて、早く出せというからこの前の議会に出した。その時には予算の問題まで行かないので今度に延びるということでありまして、早く出したつて、継続審議でやつて頂いておりますけれども、やはり予算が付かないでは議院のほうでもどうしようもないだろう、こういうふうに思うわけで、そういうふうなところを考えます。と、どうしても何かもう少し考えたらいいじやないかということでありまして、その内容については、この法の精神を活かすことが必要だと私は思つております。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 まあ何回聞いてもはつきりしないのですが、結局この仲裁裁定の二つの骨組は、片一方には罷業権を取つて、そうして片一方ではその代りに仲裁裁定というものによつて政府が義務付けられておる。それによつて産業平和を保つて行くのだと、こういう骨組になつておるのですが、ところがそれがさつぱりその通りになつていない。さつき申しましたように、むしろ仲裁裁定の出るたびに争議が起る。そこでもうその間答はこれで終りますが、ただそういうような状態になつておる。現在国鉄従業員諸君が、やはりこのぎりぎりの自分の生活線を防衛しようというために一生懸命に今動いておるのですが、最近の新聞によるというと、そういう者は今度は首を切る。いよいよ首を切るということは、労働者にとつては一番致命的なことでございます。その伝家の宝刀をお抜きになるというようなことが新聞に出ておりますから、その点について、一体どういう意図を持つておられるのか、その真意を一つ聞かして下さい。
  50. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この裁定が、今度やりましたのが一月からで、五カ月ほど実施が延びたということで非常に、まるで仲裁裁定を無視したというような意味の声が一部に挙げられておるのでありますが、私は今日の日本の財政状態下におきまして、その裁定された金額をそのまま一つも動かさないで、月は遅れますが、実施するというところに私どものこの裁定尊重の心持をくんで頂きたいというふうに私は組合の人にもよく話したことなんです。これは一遍上つたものはずつと続いて行くものなんです。又この次上る分の基礎になるというものであるから、これは一つ崩さずにおいてやる。或いは半分にするとかどうとかいうような意見も一応は話をする人もありますが、私は、この裁定の金額は尊重するが、あと今年のやりくりのつかない分だけを待つてもらうのだ。来年度から完全実施するわけで、そこの初めのところは、丁度去年にしても、今年にしても、暮に相当しておるものですから、手許の関係とかいろいろ苦しいという実際上の問題は私どもよく聞いて同情をしたのでありますが、時が悪いものですから、時期が二月遅れて、丁度暮の時にもらう金が少くなつたというようなことで非常に同情しております。で、この間からの遵法闘争に続いてこの頃、今日から賜暇闘争が始まつて、一部に実施されているようでございますが、これは昨日も労務者の諸君にお目にかかりまして、これこれの項目で我々やつて来たことは了承するということでありましたから、それで、どうか諸君が、これでその法規に違反して、そうしてそれから犠牲者を出すというようなことは、一つあらゆる努力をしてやめてもらえんか。それは君らの主張するのはやめろと僕は言わないのだ。主張は続けておやりなさい。諸君の声が又来年か再来年にこういう問題が起るかもわからん、その時にも響く基礎にもなるのだから、これはどんどんお挙げなさるがいいが、但し法に違反するようなことをすれば、規律の上において、国鉄がどういうふうな処置をせられるか。若しそれによつて犠牲者が、どんな形においても犠牲者が出ることは決して望ましいことでもないし、誠に残念なことであるし、又昨年の例を見れば、まあ注意をされたかどうか、私はその点に注意をいたしませんでした。特別に今年ほど注意をしなかつたのでありますが、犠牲者が何人か出た。出ると非常に各方面からそれだけは多過ぎる、もう少し少くしてくれとか、もう少し死一等を減じてくれとかいうような、いろいろもうそれから先の話のほうが非常に多かつた実例を思つて、今度はそういうようなことにならないように、諸君国鉄従業員として、それから離れて行きたいのならこれは別だけれども、そうでない限りにおいては、一つ是非犠牲者を出さぬように、是非一ついろいろやつてくれということを、ひたすらに私はまあ話合つたわけであります。それから先一体どういうことになりますか、今日の様子もまだ詳しくは聞いておりませんが、それから先のこの扱い方は、国鉄がその使用者側として考えていられると思います。私どももそれだけの注意をしておきましたので、その中心の諸君がそれに従つてできるだけの善処をしてくれるはずだと、こういうふうに思つております。成るべくそういうことのないように、まだ明日も明後日もあることでありますから、皆さんどうか蔭になり日向になり、そういうことのないように、多く犠牲者を出さぬようにお心遣いを願いたいとお願いする次第でございます。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 まあずつと一貫したお考えを聞いておるというと、どうもそれでは根本的にこの争議の解決のレールには乗つていない、考え方自体が。例えば二、三申上げますというと、賃金は今年ばかり上げるのじやない。又来年も上るのだから、又その次も上るのだから、まあこれは今年はこれで我慢しておけと、こういうようなことで、まあそういうお言葉があつたのですが、これは全く賃金、ベース・アツプの実態というものについて、まあ知つておられると思うのですが、それを頼かむりしておられるのじやないか。つまり仲裁裁定にしましても、大体現在の物価なり生活なり、或いは一般の産業水準なりから、こういう程度が普通であると考えると、で、こういうことが必ずこれは削られて、来年も削られその次も削られる。で、削られる面がどんどん累積して行く。従つてこの物価の上昇というものと賃金の上昇というものは、これは並行して行かない、こういうのがずつと終戦後の実態であつたように私は考えるのです。で、そういうようなお考えや、又政府はこれかいいと思うものだからこれを出したのだから、従つて争議というか、そういう声を大にするなり、動きなりなんということはどんどんおやりなさい。どんどんおやりなさいというところの一つ考え方、これはむしろどんどんおやりなさいというのじやなくて、何とかしてこれを争議を納めよう、こういうような動きを納めよう、こういうふうな方向に頭が向かなければならん。成るほど政府一つの権力を持つしおるので、あらゆる法律を自分の都合のいいように解釈できる立場にあるのですが、ところが従業員諸君はそういう立場にない。そこで恐らく現在は飽くまで遵法闘争という形でやつておられるように聞いておりますが、国鉄従業員組合の人でも、法規を外してやろうという考えは私はないと思つております。ないと思うが、併しながら今度のやつておられる人の内容を見るというと、私は非常に深刻なものがあるのじやないか。それはベース・アツプそのものに対する政府の態度が不満だということ、そうしてもう一つは、やはり自分たちの生活を守る、或いは労働権を守るというのは、どうしても仲裁裁定というものは、政府が完全に実施してくれなければ守れんのだ、従つて仲裁裁定を完全に実施をして欲しいという一つの要求だけであつて、そういう要求が出ておる。これは金額の要求ではなくして、この法律の精神をそのまま守つてくれというところのまあ精一ぱいの要求でやつているだろう。で、そういう点について、今のあなた方、少しまあ何か変な形をやるとすぐ首を切るというようなことでおどかして行こうという工合なお考えようです。更に今の、去年においても首を切つた者の助命運動が盛んに起つた、だから今度もそういうことのないようにおやりなさい、こういうお話ですが、この助命運動そのものが、国鉄従業員諸君の非常に法に縛られた弱い表われであろうと私は考えます。従つてそういうふうな一貫したお考えでは、到底この制度があつても、これは守つて行くというほどの、こういうような意欲は出て来ない。従つて産業平和というものは出て来ない。こういう工合に私は考えている。従つてそういうような一貫した考え方これ自体が、こういうふうな事態を発生させるのじやないか、こういうふうに考えますが、その点どういう工合にお考えになりますか。
  52. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今のお話の中に、少し私の言うたのが違つて考えになつているようですが、本年も上げる、来年も上げるからいいじやないかというような意味のことは私は申上げなかつた。本年のよう仲裁裁定、こんなものが又来年あるか再来年あるか知らんが、又起つた場合に云々ということを申したのでありまして、又来年上げるからいいじやないか、今年は辛抱しろということは申しておりません。又裁定の金額をそのままにしておくことは、これはずつと続く問題なのであります。考え方の如何によりまするが、期日を完全に行なつて金額を少くする、金額の少いのがずつとこれから先のあらゆる問題に影響するわけでありますし、私は裁定の金額はそのままにして、そのときの財政経済の状態でどうにもならないから数カ月待つてもらつて、併しその後は、ずつと皆さん方の生活の費用の、これから先の従業員である間の昇給等についての基礎になるわけでありますから、私はこれは今年のような場合においては、相当よく注意して考えられた問題だと、こういうふうに私は思つております。  それから従業員の法に外れた場合の問題でありますが、私どもとしては、法がある以上はそれを破るということは……、破らんようにしてもらいたい。是非もうほかの方法、主張する方法はほかにも法を破らんでもあると思います。だから、そういうものは君らがやつても一向差支えないことであるし、どんどんおやりになつて結構だというのは、法の範囲においての主張をおやりなさいということであつて、法を破るようなことをすれば、これがどういう処断をされるかわからんが、何かの犠牲を出すことは、我々仲間として誠に残念に堪えないことであるから、あらかじめ注意をしておくという意味において話合つたわけなのであります。私どもは、それだけやつてつたのだから、それから先は知つたことかというような冷淡な心を持つておらん。おらないだけに非常にこれから事が悪化しないようにと願つているわけであります。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 どうもこれ以上話を伺つても、問題点ははつきりしないと思うのです。それで私は最後に一つ要望を申上げて、今日の質問は一応打切りたいと思いますが、この事態が非常に大事な時期になつて来ておりますので、この事態の解決、収拾というものは、首を切つたり、或いはそういう力を以て解決できるのじやなくて、むしろそうするとやはり却つて争議が深刻になつて来るということも考えられます。従つて恐らく国鉄従業員諸君も、労働者諸君も、まじめな考え方で以てやつていると思うので、この争議によつて起るところのいろいろな問題について、当局としても非常に不当な圧力を加える、力で以て処分をされるというような方法をとつて行かないように特に御要望申上げます。正常な解決の方法を考え、やつて行くように特に御要望を申上げておきます。
  54. 一松政二

    一松政二君 私は、今の公共企業体の、いわゆる公労法というやつを、一番最初司令部が出して、そうして司令部では当時殆んど一言一句の修正も許さぬというような態度でこれを最初に衆参の労働委員会に諮つて来た。当時増田甲子七君が労働大臣で、私も労働委員の一人であつた。それであの当時の国会でありますから、これは殆んど無条件に呑んでしまつた。そうしてその後約、三年半前ですか、第二回目かの参議院議員の選挙のあつたあとの参議院の労働委員会で、第三十五条と十六条の関係がどうしてもはつきりしない、割り切れないからというので、参議院の労働委員会に小委員会を設けて、そうしてこれの修正を当時考えて、そうして堀木君が専ら小委員長としてこれに当つて随分長い間研究したのですが、私も小委員の一人として、でき上つて成案に私は賛成することができなかつた。それから昨年の労働委員会において、例の緊急調整の問題があつた当時に、一応参議院でこの十六条と三十五条の関係において、もう少し政府が何か適当な、先ほど運輸大臣がおつしやつたような何か意見を付して、或いは何らかの措置をして国会に出すというような修正案が一度参議院の労働委員会を通つたのですが、これは両院協議会において、これを又現行伝に改めて、そうして参議院の修正案は、遂に両院協議会によつて放棄してしまつた歴史があつて、私はそれらに全部参画しておるわけです。先ほどいろいろ東さんや大倉さんの御意見を承わつておりますけれども、これはもともとはつきりしないのが私は当然であろうと思うのです。文法においても政府を拘束していない。従つて政府がこれを完全実施しないからといつて政府が不正呼ばわりをされることはないと思う。若しこれをはつきりさせてしまつて仲裁裁定がオールマイテイであるならば、これは政府としては責任を持てなくなる。これは国の一般の財政及び国民経済及び国民の生活、ひとり公共企業体の労働者ばかりでなく、国民全体の生活について、政府は全責任を持つておる。いわんや公共企業体の、或いはそれから延いて公務員の問題になりますけれども、それに地方公務員が加わりますから、それの給与を規定するようなものが、若し仲裁裁定委員の最終的な判断によつて政府国会も何らこれに関与することなくきめられたら、仲裁裁定というものは、私は余りにも荷物が大きくなつて、従来や、今のよう規定による仲裁裁定では、私はそういう責任はなかなかとり得ない。従つて大体過去五カ年間における慣例によつて、およそこれの取扱方は一応きまつておる。そこでこういう現在の法律においても、今までの慣例によつて大体措置して来ておるから、現行法でもいいのではないか。理屈が何か筋の上から行くと、ちよつと割り切れないものがあるが、慣行を五カ年打ち立てて来ておるところによつて、少くとも昨年の十六国会ですか、十五ですか、参議院と参議院の協議会においてそれを是認して来た歴史があるわけです。従つて私は仲裁裁定が出たからといつて政府がこれを完全実施できれば結構です、できるよう仲裁裁定であり、できるよう日本国民経済情勢であるならば、これは何をかいわんやで、何を好んで政府がそれを実施しない方向に持つて行くいわれはない。政府といえども、政党といえども国民の気に入ることをやつて、そうして国が健全に発達して行けるならば、そういう途を選ばない政府は一時でも存在しないであろうと思う。それを行えないところに、過去五カ年いろいろありまして、私はこれでいいのだ、そういうふうに考えておつて、私は今回政府のとられた公務員の給与引上げ、或いは裁定の実施についても、私自身としては、国のこれから直面するであろう経済的な困難及び国民生活の今後窮迫の一途を迫るのではないかという現在の段階においては、私は今回の政府のとられた措置は甘すぎると実は考えておる。従つて昨年私は、三十億円借金をして、そうして裁定に応じたことについて、実は強く批判しておる。今年は災害の話もありましたが、災害というものはつまり昔から言ういわゆる災難なんだ。災害の起つた年にはこれはお互いに国民的に辛抱するのが当り前なんだ。又来年も災害が起るかも知れない。この間も地震があつたが、その震源地が若し相模湾であつたならば、三十年前の地震よりひどかつたのだろうというのですから、又いつも地震が起らないとも限らない。やはり災難は災難を耐え忍ぶのがやはり健全な行き方でありますから、私はこれは意見になつて恐縮ですが、国を食い潰す給与は、これは純然たる消費でありますから国民経済を健全ならしむる財政だけが健全であつても、経済が破綻するなら何もならない。でありますから、公務員の給与は、或いは鉄道職員の給料というものは、これは農民、漁民或いは失業者或いは日雇労働者或いは組織労働者だけよかつたあとの者はどうなつてもいいということは、当然あり得ないことだと思うのです。今後失業者が激増すべき日本の経済情勢が眼の前に来ております。破綻者は今後幾ら出るかわからない。そういう時に、今度の政府の補正予算が出た。閣議で最終的に決定された揚句に東京の或いは大阪の大新聞は挙つてこれを非難した。特権階級ができるであろうという新聞記事を私は見ている。で、私はこの間も今度の補正予算に対する国鉄のやりくりを見まして、これは私の考えからすれば、食い潰しの経済に行つている。国のいわゆる日本国有鉄道でありますから、厖大な規模であります。でありますから、やりくりをして、そうして食つて行くだけになると、いわゆる古川に水絶えずという言葉もあるように、それは食つて行くことはできるけれども、それはただ食い潰してしまつて日本国鉄を英国の鉄道ようにどうにもならない状態に持つて行く危険がありはしないか。いわんや国鉄よう規模の大きいところは、国民生活の非常に多くの人のこれが一つの標準になる。殊に私は都会における者と田舎における者との、これは公務員諸君なり、地方公務員でも同じですが、殊に国有鉄道従業員は、田舎の勤務者が非常に多いと思う。田舎の勤務者と都会地、私がしよつちゆう言うように、葱一本でも買つて食わなければならない者との差は、これはなかなか比例のとりようがなくて、地域給の差だけでやつておりますけれども、これほど実は不公平なものはない。女房子供に田を作らしておつて、そうしておやじが駅長をしたり、駅に出ている者はかなりあると思う。だから今の公労法の三十五条と十六条の関係において、運輸大臣が答弁せられたことに対しては、私は誠に御尤もであると思いますが、又立場の相違もございますから、止むを得んとは思いますが、私は今度の措置はむしろ甘すぎる、食潰しの経済で三十億円を更に返さずに持つてつたということは、私は、三十億円去年借りたことに対して議論をいたしましたのと同様でございます。で、今の十六条と三十五条は、運輸大臣は非常に昨年不思議そうにお考えなつたということでございますが、建前から見るというと、仲裁裁定委員会を最終決定者、いわゆる最高裁判所の判定のごとく用いることができない。私はそういう最高裁判所の判定みたようにこれを持つて行けば、非常にそこに誤りと危険を犯す。そうして政府というものがそれに拘束されるようなことになつては、到底政府責任持てませんから、法律においては、何ら政府責任を負わしておりま参せん。私は、負わしていないのは、そこに法律を定めた時の私は意思があつたのだと考えておりますからして、それに対して運輸大臣に、私は遂に私の意見みたようなことになりましたが、質問ではございません、私はこれだけのことを一応過去五カ年間、労働委員会においてこの十六条と三十五条の関係を一応身を以て接して来た関係から、一応運輸大臣に聞いて置いて頂きたいと思いまして申上げた次第であります。私の意見になりまして恐縮でしたから、別に御意見を承わらなくても結構であります。私はこれだけ申上げましてやめて置きます。
  55. 木島虎藏

    木島虎藏君 大臣にお尋ね申上げます。先ほど大臣お話になりましたのを聞いておりますと、今度の裁定を一月から実施することにきめたのは、財政上そうしなきやできないのだというふうにも取れますし、大体そこら辺でいいじやないか、財政を見合つてそこら辺でいいじやないかというふうにも取れるし、両方にも取れるし、一体どうなのですか。私の聞き方が悪いのかも知れませんが。
  56. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは国家の財政上の立場からも考えましたし、それから国鉄そのものの経理の状況からも考えましたし、それからそのほかの公共企業体、又は今度勧告がありました公務員の給与問題というものの支出をいつからするかというような問題等も併せ考えて、一月からが適当だということにしたのであります。
  57. 木島虎藏

    木島虎藏君 それからその次にお伺いしたいことは、そういう財政上の関係から、或いは諸般の事情からそうお考えになるときに、政府部内で勤労所得の、低額勤労所得者の所得税の軽減という点は問題にならなかつたのですか。
  58. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題を相談いたしましたときには、直接には出ませんでございましたが、低収入の人たちの所得税を幾らかでも下げたいというのは、別の場合の問題として話をいたしました。
  59. 木島虎藏

    木島虎藏君 それからその次にお伺いしたいことは、先ほどお話の中にありましたが、多少今度の裁定と関連する年末手当を、一般公務員は一・二五、国鉄は一・〇、こういうふうに政府で一応お定めになつたのは、本質的な差があるから、そういうものをおやりになつたのか。何か理由があつたのですか。お聞きしたいと思います。
  60. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さつきもちよつと触れましたが、国家公務員の立場には、これは四月頃から話が、やれば四月頃からやらなければならんというような状態になつてつたということとの開きもありまするし、それからもう一つは、公務員はこの給与以外に、一・二五としたなに以外に、ほかに金の出し場所は一つもないということでございます。公共企業体におきましては、そこに勤めている人たちの勤勉によつて出て来た利益というのを皆に分けてよろしいというあれもありますので、それでやつて追つつけるという、追つつけるだけ追つけることにしたらよろしいというようなことの話が出まして、国鉄のほうでも、できるだけどこからか出ないか考えているわけでございます。
  61. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、今のお話では、本質的な差はないが、収入源からこう来ているのだ。そうすると裏を返せば、国鉄のほうでは業績が上り、節約ができ、やりくりができれば、一・〇、これに固執しなくてもいいのだ、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  62. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 一・〇でなくてもよろしいのであります。
  63. 大倉精一

    大倉精一君 最後にちよつと、さつさいろいろお尋ね申上げましたが、一つだけ最後に質問したいと思うのですか、現在のこの国鉄従業員諸君のいろいろ争議に対して何か解決の手段といいますか、方法といいますか、そういうものをお考えになつているか。或いはなつていなければ、国会議決するまで黙つて勝手にやつておれ、こういうようにお考えになつているのか、ちよつとその点だけお尋ねいたします。
  64. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 裁定の点は、これはもう私どもの、政府考えとしては動くことはないことで出しておりますが、これは皆さんでおきめ願うわけであります。ただ残る問題は、今度のは裁定の中に年末手当の問題等が掲げてありません。併し予算の上において、さつきも申しましたように一・〇〇というところまで解決したわけであります。そこで一般公務員が一・二五であります。そことの睨み合せでそれに大体同じようになるか、或いは少なくなるかどうか知らんが、そこらより多少多くなるか、どうせ同じような近所までしかどんなに努力しても行くまいと思いますが、それにつきまして、国鉄からどういうお話があるか私知りませんが、昨日まで聞いたところでは、なかなかそう金が思うように捻出できないが、できるだけ今努力しておるということを聞いたのでございまして、公務員と近い状態が出してもらえるのじやないかと考えております。それ以上に遥かに多く出して、ここらで一つ手打ちをというようなところには行つているように私は聞いておりません。併しそれならそれに対してどういう手を打つているかということにつきましては、私どもは昨日いろいろさつき申すように、どうか法を破らぬようにしてくれというような話をいたしました。又今私が申しましたような点について、何か手土産がないかというお話等もありましたが、なかなかそうは私が手土産を出すわけにはいかんし、国鉄のほうに聞きましても、なかなか困難のようでございますし、労組の諸君が、何とかもう少しというお話の線がつき得ないのじやないか、こういうように心配しております。それで私どもとして、それ以上に何も手を打つておりませんです。これから先は、問題は、或いは議会のほうで御審議下さる問題かもわかりませんけれども、私のほうは、その程度考えております。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 総裁ちよつとお尋ねしたいのですが、国鉄自体として、積極的に組合諸君とお会いになつて、そうして事態解決のための具体的な手段その他について、積極的にお話合いになる御意思があるかどうか。こういう点についてお伺いしておきたい。
  66. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) こういう事態になる前に、先ほどもあなたはお見えになつていましたかどうか知れませんが、只今大臣からお説があつたような話、裁定の問題は、これはもう国会並びに政府でやることになると思うのであります。ただそれによつて、我々として幾らか自分たちの努力の目標と申しますか、そういうことを申上げ得るのは、年末手当の問題だけであります。従いましてその点について、これはもう私団交の時から、公務員諸君と同じよう方向に行きたいものだということはしよつちゆう申上げておつたわけであります。それでその団交におきましても、私はできるだけ公務員の線に近いようにお互い努力をしようじやないか。我々も大いに努力する。併しこれは今日予算もまだ通つておりませんし、どういう事態になるかわからんから、的確にそれを引受けるというわけにはいかん。併しこれを努力するということについては、諸君も努力しなければいかんが、自分としても大いにやる、そういう意味合いにおいて、もう少し事態を静観して行つて、そうして国会審議模様政府考え方というようなものを見たらどうか。こういうふうにしてこの混乱する事態を防ぐということにしたらどうか。若しその三割賜暇という戦術をやめることができないならば、延期したらどうかということまで申しましたが、断固として応ぜられない。我々は仲裁裁定の完全履行である。年末手当のような問題だけではないということでありました。で、止むを得ませんから、それではできるだけ、何と申しますか、混乱が起らんような方法で止むを得ない。それで別れたわけであります。今後におきましても、無論必要があれば随次先方と打合せまして事態混乱を防いで行こう、現にそれをやつております。
  67. 大倉精一

    大倉精一君 まあ何か要領が得たような得ないような御答弁なんですが、結局これらの事態というのは、混乱が起るわけです。混乱が起らないようにやるというのが無理なんで、事態混乱が起るからそれを何とか解決しなければならないというような努力が双方になければならんと思います。まあ現在の段階では、政府のほうも、国鉄自体としても、大体違法者は首を切るぞということは別に考えておられんというよう考えてもよろしうございますか。
  68. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) これはやはり戦術としてそれを実施する場合に程度があると思います。程度がございますから、従いまして混乱と申しましても、場合によつては大混乱という事態もあるわけですが、できるだけそういう大混乱を防ぐように、はつきり申しますれば、通勤の列車というようなものはとめてはいけないのじやなかろうか。具体的なことは私は申しません。急行列車、遠距離列車、というようなものもとめないというやり方もございましようし、いろいろ私はあると思います。十分組合の方もわかつているんじやないかと私は想像いたします。
  69. 岡田信次

    岡田信次君 国鉄総裁にお伺いいたしたいのですが、予算も出ておりまして、国鉄の実施する範囲もきまつている。ところが労働組合の方が非常事態ということなんですが、然らば労働組合のほうとして、国鉄の財政状況、或いは国家の財政状況を見て、こういうふうにすれば完全実施ができるじやないかというような何か案その他が団体交渉等で提示があつたかどうか。その点お伺いしたい。
  70. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 最初の間にはいろいろございましたが、今度補正予算案が上程されましてからの交渉におきましては、昨日の交渉においてもそういう案はございません。
  71. 岡田信次

    岡田信次君 そういたしますと、初めのうちにそういういろいろ案があつて、この案を当局側で検討されたけれども当局側が納得しなかつたというわけでございますか。
  72. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それは見ようによつて、雑収入を増加すればどうであるとかいう案でございまして、具体的にこれだけの財源がこうであるという意味ではございません。
  73. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  74. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  75. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 これは職員局長でもいいのですが、争点のあれは、一月以降の給与単価の問題では別に争いがないと解してよろしいのですか。鉄道部長でも、どなたでも……。
  76. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 基準ベースの金額の問題においては争いはございません。
  77. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そういたしますと、問題は本年度だけの問題になつて来て、つまり遡つた八月から十二月までのものについてと、それからこの年末手当の問題についてだけが争いになつておる、こういうふうに解してよろしうございますか。
  78. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 争いという言葉がどうかわかりませんけれども、私とは全然争いがないわけで、私も仲裁裁定の当事者として、仲裁には服従しなければなりませんから、私と組合のほうにおいて目的は同じなんです。ただ政府の案と国会の御意思と、それか争つているわけであります。
  79. 加賀山之雄

    加賀山之雄君 そこで運輸大臣に伺わなきやならないのですが、つまり一方は仲裁裁定というものを鉄壁として一歩も退かない。それから政府のほうでは、これがぎりぎりのところで一歩も退かない。これでは、いつの場合でもそうなんですが、その間に入つて、先ほど運輸大臣は、どんどん主張されたらいいとおつしやいましたが、主張して団体交渉する場合にはもうゆとりも何もないわけです。そこに、先ほど総裁も言われた、どちらにも私はゆとりを以てやらないと不祥のことが起きて、先ほど旅客列車はやらないと言われたが、実は年末にかかつて貨物列車影響がかかつて大変なことになると思うのですが、そういうことのないようにゆとりを持つた考え方が多少ないと、どうにもならない。そこでさつき岡田委員の言われた、このゆとりを見出すことが、この運輸委員会の大きな使命になると思うのです。そういつた場合に、ゆとりを以て考えてもらわなければならない場合が起きるということを考えて頂かなければならないと思いますが、どういうふうにお考えになりますか。
  80. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 御尤もでございますが、さつきも申しましたように、これは国鉄だけの経済状態だけできめたわけではなく、国家の財政の全般、それからほかの公務員との振り合いというようなこと等できめておりますので、これが、これだけで幾らか動きまして、ほかのものがついて来てくれるかということになりますと、私は恐らく絶対駄目だろうと思います。事実は本年度の財政状況からみますると、ただそこに幾らかのゆとというのは、さつき総裁も申しました、年末手当をできるだけのものを一つ出して履くという線じやないかというのが私の感じであります。結局は、皆さん方のほうでおきめ願うものでありますけれども、大体そんなところが内情のように私は思つております。
  81. 前田穰

    委員長前田穰君) 大変時間もたちましたが、審議の将来の前提として、本日皆さんのお触れにならなかつた点で、非常に重要な点を私から一つお伺いしたいと思うのです。それは先刻の御説明によりますと、本年の水害とそれから裁定とボーナスの不足分、この中で繰延べ的の性質をもつた財源で水害の復旧をやる、或るほど数字的に大体においてそういうふうになつているようでありまして、裁定の一月以降の実施とそれからボーナスの不足に対して、大体四十何億くらいの財源をお見込になつている。それは自然増収と経費の節約という項目らしいのです。御趣旨はよく了解できるのでありますが、当然仲裁裁定は、ベース・アツプでありますから、来年度以降に影響を及ぼすのであります。遠い将来のことは別問題にして、当面差迫つている二十九年度の予算の上で、この仲裁裁定をどういうふうにお組みになるつもりか。又無論確定はされてないことは申すまでもないのでありますが、新聞紙その他、或いはラジオの談話等として伝えられているところを見ると、運賃を値上げして仲裁裁定の実行の財源に当てるのだというふうに解釈せらるる節があるように思われます。二十九年度の予算編成に対して、仲裁裁定についてどういうふうなお考えでありますか。この点を一応承わつておきたい。
  82. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは一番大事な問題でございまして、来年からは平常状態として一年分考えなければならんのであります。それで、これを前に私ども国鉄の当事者と話合つてつたときには、この裁定そのものだけに限るわけではありませんが、裁定、工事その他いろいろあつて、どうしても相当の金が足りない、それでは一体どうしたらいいか。どこに財源を求めるかというと、大部分は運賃の値上げをやつてもらわなければ賄いきれないというのが、国鉄側のお考えようであります。併しその前提といたしましては、できるだけ経営の合理化を図つて、この裁定書にもいろいろ注意が書いてありますが、その中でちよつとむずかしいと思うものもありますが、でき得るものもあると思うのであります。そういうふうな経営の合理化によつて、できるだけの金を捻出して頂く。それでどうしても足りない部分を運賃に持つて行くよりほかしようがないじやないかということを、まあ話合つておるわけでございます。それで、それじや運賃をどう上げるかというと、貨物旅客と両方を上げるという手もありますし、或いは貨物はこの間上げたばかりで、そのときに非常に高く三割も上げたのもあるというような話もありまするし、余り間近であつたから、それを避けて、旅客だけにしたらどうかという見方もありまするし、その旅客の中にも、できることなら大衆的な三等はやめられんかというような話もあるのでありますが、三等をやめていたしますと、二等だけでは、仮に一割上げたつて十億円ぐらいしかないので、百二十億円からのベース・アツプをやるのには、そう簡単に行くものではないので、私はよく地方の新聞に……、行つたときに、運賃上げますか。運賃は上げたくはないんだ。もうできれば何も上げたくないんだけれども、どうしても上げなくてはならん、なら、貨物をやめて旅客だけ、もつと狭めるならば、旅客だけの三等を上げないでというようなことで、それだと君、何も出て来やしないんだと、で、一体どれだけ上げていいかというのがこれからの研究問題だという話をしたのが、何だか三等運賃を上げないというような見出で、中を見るとそれほどでもなかつたけれども、そういうことがありまして、私が三等運賃を上げないようにきめたようですが、それは一つもきまつておりませんですが、できるだけ日本の経済、国民生活に影響を少くやつて収益を上げて行くという方向で、今国鉄のほうでいろいろ資料を集めておられるわけでございます。
  83. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会