○
眞邊参考人 私は
全日本自由労働組合の
眞邊でございます。本日
陳述の
機会を得させていただきまして、ありがとうございました。私
たち職安関係の
労働者は、大体三十万程度ございますが、僣越でありますけれ
ども、それらの代表といたしまして
陳述いたします。
大体私
たちの
請願の趣旨、あるいは
請願の
理由は、ここに書いてありますことで大体尽きると思うのですが、これに補足する
意味で、われわれの
生活の
実態がどんなに苦しいか、
従つて、当面われわれとしまして、
年末年始をどう過して行くか、そのためには
越年資金がどうしてもほしいのだ、こういうような点につきまして、
陳述をいたしたいと思います。
大体私
たちがどんなに困
つておるかということは、私
たちといたしましても、いろいろな
機会によく訴えておりますので、大体のところは御承知だと思うのですが、とにかく私
たちは単なる
失業者でもない、そしてまた同時に
失業対策事業にも働いておるという
労働者の面もありまして、普通の
失業者あるいはまた普通の
労働者というような者とは大分違
つておるので、その点を少し認識していただきたい、このように思うわけです。それが、何といたしましても、私
たちはやはり
失業者だというようなことで、
手帳をもら
つて失業対策事業に働くということにな
つておりますので、私
たちは当然前提として
失業にな
つている。この
意味で、いくらわれわれが
失業対策事業の中で働きましても、
PWの
賃金の一割ないし二割は法によ
つて下げられてしまうというような非常に差別的な待遇も受けなければならぬという
状態にな
つております。それでわれわれとしましては、そういう
関係から
生活を保障してもらいたいという点と、それから
現場で働いておる
意味から行きましても、
労働者としてやはり
人並の
労働者らしい
賃金をもらいたい、こういう二様の
要求がどうしても出て参るわけであります。従いまして、われわれとしましては、
失業者という
立場からは、
生活を保障してもらいたいという点、それからできることならば、われに対して
安定感を与えるところの定職を与えていただきたい、こういう
要求が出て参ります。一方
現場で働いておる
労働者の
立場から申し上げますと、現在
失業対策事業というものは、何ら救済的な
意味ではなくて、もう
実質上は公共的な形にな
つて来ておる。
従つて、毎日ほとんど
公共土木のひどい
労働をさせられておる、しかもその
賃金が、
先ほど申し上げるように一割か二割はいつも
PWからは下げられて来ている。こういうような、実際上とは非常に矛盾するような
賃金の支払いの仕方をされておる。
従つてわれわれの
生活の
実態というものが、どんなにひどいものかという点が出て参ります。たとえば十二月の四日に、私
たちは
日雇いの
婦人の大会を持ちました。とにかくわれわれの
組合の
実態は、ほかの
労働組合と大分違いまして、ほとんど半数が女であります。しかもその女の方々は、決して娘さんやそういうような人ではなくて、後の
資料にもございますように、七〇%か八〇%は
戦争未亡人でありまして、
子供が二人や三人おる。こういう
子供をかかえまして、そうして
現場では男の
賃金よりも下まわる
賃金で、二十日か二十一日の
就労で辛うじて生き長らえておる。こういうことから、十二月四日の
婦人の
人たちの発言の例を一、二申し上げますと、荷揚げの女の
人たちはこういうことを
報告しております。
すでに長年の間の低
賃金と
労働強化のために
母体も弱
つてしまつて子供も産めない。だから、もう
産児制限とかなんとかいうことでなくて、
母体そのものが
子供を産むような
母体にな
つていない、そういう
体力でない。
従つて保育所にも五つか六つ、あるいは四つぐらいの
子供はおるけれ
ども、現在赤ん坊はほとんどおらないというような
——人間は
普通結婚をしたならば
子供を産むわけですが、
子供が産めないような
体力にな
つて来ている、こういう点も出て来ている、こういう点も出て来ております。
また、私はここで率直に申し上げますけれ
ども、
今一世帯一
手帳ということで、
職安の方では
法律一点ばりで、盛んに
手帳を切
つて来ております。しかし、そういうことでは、われわれはどうあ
つても
生活できないので、やむを得ず夫婦わかれをするような形で
手帳をもら
つておるという、実に
人間として考えられないような
状態であります。さらにこの前の
報告によりますと、やはり夫婦わかれをしたけれ
ども子供ができた、これに対して何だという
問い詰めに対しまして、自分はパンパンをして
子供が生れたんだろう、こういうような
言い訳をしておる。ま
つたくこの
女自身にしましては、もう何ともかんとも言えないような、せつぱ詰ま
つた気持で
言い訳をせざるを得ないような、そういう
生活の
実態であります。われわれとしましては、そういう例をあげれば幾らでもあります。この後の方にも書いてありますように、
生活が苦しいために、われわれの
仲間から
自殺者が出るというような
実情であります。
つまり金がどうにもやりくりつかぬ、
借金もどうにもならぬ。これは最近出た例でありますが、親戚のところに金を借りに行
つたが、
前々からの借りがあ
つたので、さらにその上借りることもできないで借りずに
帰つて、その帰りに鉄道自殺したという実例もございます。私
たちはここで誇張して申し上げているわけではないので、確実な事実に基いて申し上げておるのであります。
そうい
つたことから、これも後の方に書いてありますように、われわれは低い
賃金のもとにおいて、何とかやりくりしなければならぬということで、
借金をや
つておるわけです。この表を見てもおわかりのように、みんな一人平均一万か一万以上の
借金を重ねておるわけです。この
借金をどうや
つて返済するかという点も、低
賃金で日々どうや
つて生活するかということと同時に、やはり大きな問題にな
つて来ておるわけです。
従つて、われわれとしましては、この
年末年始を暮らすためには、
賃金を上げてもらいたいという
要求のほかに、
借金を返すとか、あるいは
年末年始の期間は、せめて
子供のげたなり、もちの一切れも食いたい、こういう
要求が出て参
つたわけであります。
次に、
請願の
項目の方に入りたいと思うのです。
先ほどから申し上げますように、
越年資金一箇月分を支給してくださいというふうに出ておるのでありますが、決して私
たちは、これを多いとは思
つておりません。私
たちの
最低の
要求としましては、せめて何とか一箇月分ぐらいはいただけないだろうか。官公労の
労働者の
皆さんにしましても、一・二五を上まわる
越年資金をと
つておられる。また
賃金の面から行きましても、われわれはおそらく三分の一の
賃金にな
つておるという
実情から見ましても、私
たちの
越年資金の一箇月分の
要望は、決して多いとはいえないと思います。従いまして、
年末年始を過すために、また
借金も返して、そしてきれいさつ
ぱりした形で、また来年から
労働さしていただく。そういう
意味からい
つても、ぜひともこの
最低一箇月だけは、ここでも
つて御承認をしていただきたい、このように思うわけです。
それから
年末年始の
有給休暇七日間であります。これはわれわれも再三再四
労働省の方に交渉しておりますが、
有給休暇ということは、
日雇い労働者には
法律上
ちよつと困るというようなことを、いつも申しております。しかしわれわれは、
法律はともかく、
実質上とにかく休んで七日間だけの
賃金をいただけばけつこうなんで、その辺はひ
とつよろしくや
つてくれとお頼みしておるわけです。われわれとしましても、ただ休んで寝そべ
つて、七日間だけ
賃金をもら
つていたいのだ、そういう安易な
気持ではないのでありまして、要するに、月々のわれわれの
給料が固定しているならば問題ないわけですが、固定していなくて
日雇いであるという
関係から、やはり出なければ金はもらえない。しかし、
先ほども申し上げるように、われわれ
日雇いとしてましては、
人並の
年末年始を迎えたい。
従つて、いろいろな雑用も兼ねて幾らかは休ませてもらいたい、その間
給料も保障してもらいたい。こういうような、われわれとしましては
生活をどう守り抜くかという
立場から、切実な
気持としてお願いしておるわけであります。われわれとしましては、私
ども労働組合に組織されておる
全日本自由労働組合の
組合員ばかりでなくて、あるいはほかの
労働組合の
方たちばかりでなくて、
職安関係に働いておる一切の
職安労働者に対して、ぜひともこの二項だけは実現さしていただきたい、こういうふうに考えておるわけです。
次に、
賃金として一箇月
最低八千円をお願いするという点であります。これは
皆さんのいろいろな御協力によりまして、九月の十六日から
賃上げが実施されたわけでありますが、この
賃上げについて、実は各地からいろいろな
報告が来ております。これによりますと、一割が上
つておるかというと、全体にわた
つてそうでなくて、非常に個々まちまちにな
つております。一番ひどいところを申し上げますと、宮崎県の小林市というようなところは、まだ全然上
つていない。あるいは山口県の下関では、まだ九月十六日からの
賃上げが実施されておりません。これは確実な
資料に基いて申し上げるわけです。それから
政府の御
答弁では、九月十六日には一割上げたというようなことを私は聞いておりますが、そういうことは、われわれとしては納得の行かない御
答弁だと申し上げたいと思うわけです。そういうふうに全然上
つていない。あろいは二分、三分というようなところもございます。またこの
賃上げにおきまして、われわれに対しまして
格付賃金というものが強行されて来ております。これはわれわれは
格付賃金と申しておりますが、
一般には
職階給と申しております。この
職階給が、九月十六日の
賃上げと同時に、どしどしと実行されまして、ひどいところは北海道の三十二、三段階というふうにな
つております。結局二、三円の差でも
つて、
いろいろ差をつけられて来ている。
従つて職階給というのは、当然
職種別でなければならないのですが、二、三円の
仕事の差をいかにつけるのかというようなことは、常識で考えてもできることじやない。
従つて、これはどうしても監督が思うままに人の顔を見て差をつけて行くというような、ま
つたくめちやくちやな、か
つて気ままなやり方をしておるというような点が出て来ております。それと同時に、たとえば十分間
現場を離れたとかなんとかいうと、どしどしと歩引きをされる、そういうような点も出て来ております。それから
労働時間の
延長も、二十分あるいは一時間の
延長がされて来ておりますし、われわれとしましては、
実質上一割の
値上げはされていないというふうに考えるわけです。特に物価高の現在としましては、一割や二割上げてもら
つたところで、どうにもならぬというような
実態も、それに加わるわけであります。われわれといたしましては、一割の
賃上げは、
前々から
労働省の
方たちともよく相談をしたわけですが、そのときの
回答としましては、これはやはりどうあ
つても
皆さんに対して別の
予算を組まなければならないのだというような
回答をしてお
つた。われわれも最近までは、うかつでありまして、別
予算で一割の
賃金が上げられたのだ、このようには考えてお
つた。最近、
先ほども申し上げたような
地方のいろいろな
実情に基きまして
労働省と交渉した中で、実はこれは別
予算を組んだのじやない、今までの九十七億の
わく内操作なのだというふうに言われて来た。その
理由としては、要するに
民間産業の方に大部分の人が行く。それから不
適格者というか、一
世帯に一人というような、そういうきびしいま
つたく冷たい仕打ちのもとに、今まで
手帳を持
つてお
つた人が取上げられた。この
二つの
理由から、今までの失対
予算が浮いて来た、この浮いた
予算の中から一割の
賃上げをしたのだ。こういう
回答であ
つたので、われわれとしましては、それでは
仲間同士を
犠牲にしてわれわれが一割
賃上げを獲得したのかというようなことを申し上げまして、非常に憤慨したわけであります。
それでありますから、われわれとしては今後
賃金を上げていただくという場合には、ぜひ
予算をあらためて組んでいただきい。現在の九十七億でも、
これは決して多過ぎる、余という
予算ではない。われわれとしては、
職安の
窓口ではいろいろな形で
制限を受けま
して、
手帳をとりたいけれ
ども、とれない。
従つて、
職安の
窓口からむなしく
帰つて、その
人たちは路頭に迷う。このような
人たちはどういうようなところに行くかということは、およそ想像がつくのですが、こういうふうにし
て
手帳をどしどし出していただけば現在の九十七億でも決して多過ぎるということはなくして、少い。
従つて、その点では、
失業者に対してもつともつと
手帳を出していただいて、九十七億で余るとすれば、十分使
つていただく。それと同時に、われわれの
賃金が、たとい
政府の方で一割、二割上げるといたしましても、
職安に対しては別
予算を組んでいただきたい。
先ほど申し上げましたように、この点は非常に大事だと思う。とにかく今までわれわれは
越年をもら
つたり
賃金をもら
つたりしましても、全部
わく内操作で、
従つて、ほかの
労働者に
犠牲をしいて、そうしてわれわれは
賃金を獲得するというような
状態でありまして、ぜひともこの
労働委員会におきまして、
越年でもそうですし、
賃金の問題でもそうですが、どうか九十七億とは別に
予算を組んでいただきたい。このようにお願いする次第であります。
あとの
生活保護法適者に一箇月分の
給付額を支給していただきたいということと、
健康保険の八円の問題でありますが、これはおそらく
厚生省の
関係にな
つて参りますので、私
たちの方は
厚生委員会の方にお願いをし、またできることならば
厚生大臣にこの交渉をし、この点を逐次
お話を申し上げたいわけでありますが、とにかくわれわれとしては、
失業者でもあるし、われわれの中にも
生活保護者もおりますし、
生活保護者というような
人たちは市民の中にもたくさんおられます。
厚生省の二、三年前の発表によりましても、
生活保護を要する
人間が千七十万おる、こういうふうに言
つておりますが、現在二百万ぐらいしか適用されておらない。わずかに五分の一ぐらいしか適用されておらないわけです。こういうような
生活保護を要する
人たちに、今まで
保護の手が差延べられないにしても、せめてこの
年末年始の間だけでもいいから、一箇月分だけはぜひとも支給してもらいたい。もしそうしなければ、これは相当大きな社会的な問題になるのではないかということを、われわれとしても考えておるのであります。
それから
健康保険の問題ですが、内容はここでは
ちよつとはずれると思いますので申し上げませんが、とにかく差迫
つた問題といたしましては、私
たちは少い
賃金の中から八円を引かれるわけであります。