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金子與重郎君 そこで今申し上げたのは、あなたが
森林所有者については、こういうふうなことも、というような親心があまり出過ぎると、法をこれから
改正したり何かする上に勇気が出ない。そのときには、いつでも畑やたんぼのことを
考えてください。そうすればもつと勇敢に出ますから。それは決して私
どもは間違
つているのではないと居
つている。そういうことをこの際お願いする。
それからその次にお伺いしたいことは、私
どもは
国有林整備について、
一つには番財政的に要素の乏しい山村というものが、その野先まで
国有林というものが占めてしまつた。よしんば
国有林でない場合にも、特殊な資本を持つた大きな山持もに占められてしまつた。そうして御
承知のように山村であるがゆえに、田畑は狭い上に地味はやせておる。従
つて農山漁村問題というときに、まずやせて来るのは、漁村と山村の方が先にやられるのが通例でありますが、それはもともと要素がないのでありますから無理ないのであります。それを緩和するために、地方財政の上に、先ほど申し上げたような村有林を持たせることは、これはよろしい。しかしそれには山をいかにして
保全するかということに対して、もう少しあなたの方の手を強く延べて行かなければならない。そこで最後に残つた問題は、今度
国有林の
整備をいたしましたけれ
ども、役場の村長さん、村
会議員さんは、村有林をふやすということだけで臨んでおる。従
つて払い下げてしまうと、営農上その部落にどういうふうにすれば、その土地が最高度に任用できるかということについては、きわめて関心が薄い。私はそういう実例をたくさん見ております。そういうようなことから、依然として営農の上にはほとんど役立たなかつた。私は、今の
所有権の
あり方が、共有というものに対しては、たとえば五十人の共有に対しては、五十分の一の権利義務を負わせるという今の制度でありますがゆえに、部落ということになると、部落というものは法人格を持
つておりませんから、当然だれだれ外何名という
対象になる。そういう
対象になるがゆえに、その個人が負債を持つたときに、強制執行の
対象にもなる。またその自分の持ち分の売買も利くということから、結局、当初は共有の形であ
つても、何年かたつ間には、特殊な地主に兼併される。こういうことをおそれるがゆえに、この前の
法律のときにも、町村を
対象にすべきだということに対して賛成したのであります。それは画村有そのものにすることを、私は全部そうすることが正しいという
意味で賛成したのじやなくて、そうでないと、あとにな
つて国有林に置いたことよりも、もつと始末の悪い結果が来るから、それをおそれてやつたのでありますが、それが町村になりましても、部落で営農上の要素として活用できないということになりますと、これはまだまだ
国有林野
整備の広い
意味の
目的というものに遠い。こういう
関係かと思いますので、今度の
国有林野の
整備を
考えるときには、
整備とい
つても、
所有権の
整備だけでなく、もう
一つ現に行われております部分林なり、共用林のこの制度に対して、
農業経営というものの中まで一歩あなたの方で行為を踏み込んで、そうして制度を
考えてもらいたい。単なる
国有林を払い下げるという
整備法だけでなしに、今
お話の
通り、利用させるという面でもけつこうですから、その利用させる面にも、たとえば共用林なら共用林というものにしましても、その
基礎というものが、今までのは、すべてあなた方
林野局の一方的な
意見によ
つて法律がきめられておる。たとえば条件にしてもそうです。それを今度は、両者の立場というものを
考えたときに、たとえばその地方の農家の耕作
面積が幾ら幾ら以内であつた場合に、それに対して幾ら幾らの限度まではこれをやるのだ、こういうような
考え方から、それはももろん払下げだけでなくてもいい。共用林の場合にしてもよろしいのでありますが、そういうふうにしていただきたい。共用林や部分林制度を、なぜ一般の人が喜ばないかということは、これはまつたく
政府の
責任なのであります。なぜならば、地方へ行きますと、これは今から二、三十年前ですが、か
つてに取上げた事例がたくさんあるのであります。手続や何かの
関係で、か
つてに部分林や何かで契約していたものを、もう契約は継続しないというようなことでやつた事例がたくさんあるのであります。それでこの部分林や何かでは、また先のように取上げられてしま
つてはつまらぬというような実例がたくさんあるのであります。だからお前たちはそういうことをせんでも、部分林なり、共用林の制度でやつたらどうかということを、私
どもが実際奨めましてもだめだ。この前なんか、私のところは、これこれの山は全部部分林でや
つていたのが、明治何年のときに、私
どもの方は手続が遅れたというので、け飛ばされてしまつた、こういう例をたくさん聞くのであります。でありますから、この部分林なりあるいは共用林の制度に対しても、
国有林野
整備法と同じように、もつと法的に
はつきりしたものをつくりまして、しかもそのつくる根拠は、その地帯の営農をいかにして維持するか、そのために山という要素をと
つてしまつたのだから、その山というものを附加してやる。こういう
意味において、両方から条件というものを出して行ける
程度まで考慮した
改正をして、私
どもは、この
国有林野
整備法は、どうしても
改正すべき点は
改正して、もう少しこれを継続したい、こういう
希望を持
つておりますが、同時に共用林、部分林の問題につきましても、最前申し上げたような
考え方からこれを
整備して、そうしてこの際
農山村の
農業経営の上にほんとうに役立つような制度を立て、同時に啓蒙して行く、こういう
あり方をすることがいいかと思うのでありますが、それに対する
長官のお
考えをお聞きしたいと思います。