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1953-12-07 第18回国会 衆議院 通商産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月七日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 大西 禎夫君    理事 小平 久雄君 理事 中村 幸八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君 理事 伊藤卯四郎君       小金 義照君    始関 伊平君       土倉 宗明君    村上  勇君       笹本 一雄君    長谷川四郎君       柳原 三郎君    加藤 清二君       齋木 重一君    帆足  計君       中崎  敏君  出席政府委員         林野庁長官   柴田  栄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      大月  高君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         中小企業金融公         庫総裁     坂口 芳久君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         参  考  人         (日本銀行理         事)      五十嵐虎雄君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長) 佐藤  鐶君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十二月七日  委員馬場元治君辞任につき、その補欠として島  村一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中小企業金融に関する件     —————————————
  2. 大西禎夫

    大西委員長 これより会議を開きます。  本日はまず中小企業金融に関し調査を進めます。本日は参考人といたし、日本銀行理事五十嵐虎雄君及び商工中央金庫理事長佐藤鐶君が御出席になつておりますから、さよう御了承願います。  質疑の通告がありまするから、これを許します。山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手委員 私は二、三お伺いしてみたいと思います。まず中小企業金融金庫坂口さんにお伺いをいたしたいと思いますが、実は先般中小企業庁長官から公庫金融現状について伺つて、大体のことは承知をいたしておるのでありますが、どうもわれわれのところに最近いろいろな陳情が来ます。その陳情の一番数の多いのは、中小企業金融公庫の業務についてでありまして、そのいずれもの現実実情を聞いてみますると、きわめて窓口は狭いものである。この年末を控えて、相当いろいろ問題が起きておるこの重要な時期に、大いに御活躍を願わなければなりませんのにもかかわらず、実情は逆であることがよくわかるのでありますが、まず最初に長官の方から、現在中小企業金融公庫の運営はどういうふうなかつこうになつておるか。と申しますのは、貸出しの実情について概略の御説明をまず承りたいと思います。
  4. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいまお尋ねのございました当金融公庫貸付の状況でございますが、開店以来二箇月余り、三箇月近くになるのでありますが、ただいままで貸しました金額の総計は約二十二、三億になつておりまして、これを十一月末までの表をきようまとめて持つてつたのでございますが、十一月末までを申しますと、大体二十一億七十万円であります。その二十一億七千万円の大部分設備資金でございまして、この点は前にも申しました通り、当初設備資金並びにこれに伴う増加運転資金ということで始めました関係で、大部分設備資金でございますが、十一月から長期運転資金を開始いたしましたので、十一月の終りごろから運転資金の方も多少出て参りました。これはまだごくわずかでございますが、出始めた様子でございます。そういたしまして、この十月から十二月までの第三・四半期に代理店の方にわけましたわくは、ざつと申しまして五十六億見当でありまして、そのほかに各種の災害関係資金などの割当もいたしております。それにさらに年末には十億見当の繰上げのわくをきめるというようなことで、今日から年末までに六十億円足らずの金がまだ使い得るような状態になつております。しかしながら一見多いようでございまするが、いずれ、御指摘あると思いますが、当初は当公庫代理店百六十九でございましたが、その後各方面の御要望も強く、各方面の御要求等をいれまして、現在三百八十一の代理店になります。なおこの代理店の数三百八十一というのは、本店の数で申しましたので、これを取扱い店舗別にいたしますと、五千を越えるようなわけでございまして、一見先ほど申しました金額は多少少くないような金額のようでありまするが、これを代理店別に見ますと非常に小さなものになつて参ります。そのために小さな代理店におきましては、一信用組合または一信用金庫に二百万というような小さなわくもありまして、こういう方面から、その金庫に参りましても貸付が受けられないというような不平も出ているというような様子でございます。今後私どもといたしましては、窓口の数はもう十分にできたのでございますから、資金の効率をうまく使いますために、資金の量がふえて参りますにつれまして、私ども資金をなるべく効率的に各代理店配付し、その実績等考えまして重点的に配付して行きまして、そういう不平もなくして行きたいというふうに心がけております。しかしながら何分にも資金の量が限られておりますので、そういう方向に十分に持つて行けるかどうかというようなことを考えております。  非常に簡単でございますが、初めに今日までの概況を申し上げます。
  5. 山手滿男

    山手委員 開店早々で非常な御労苦をされておることはわれわれも了承いたしておりますが、非常にいろいろな陳情がこまかく来ておりますので、そのわれわれの耳に入つていることを中心に二、三まずお聞きをしてみたいと思います。ただいまのお話、私ども承知をいたしておりますが、この何百という代理店支店考えてみますと、五千を越えるような多くの窓口を持つております。中小企業金融公庫はこの代理店に対して、一応頭からお前のところの割当は、配付金は大体この限度である、こういうような一応の目安といいますか、割当をおきめになつておる。そうすると今度追加をいたしました大銀行などは、自分のところにもらつた配付金をさらにこまかく支店に通達をして、一応支店の間の配付をしておるように私どもは聞いております。ところがこの信用組合に二百万という割当のものがあるようなお話がありましたが、大銀行に持つて行きました分は各地方支店から言うと微々たるものであつて、どれからどう処理していいかわからないというふうなことで、あまり貸出しも積極的に行わない、そういうのが現状になつておるようでありますが、この配付した、割当てた金額、これに対してそういうことで、だんだんじりじり時期を延ばして、貸出しをどしどし実行しておらない。それで金がずつと延びて、貸出しがされないままにわくが放置をしてあるというふうなこの代理店ができたといたしますると、こういう非常に金が一時も早くほしいというときには、きわめて不適当な事態が起きると思うのでありますが、公庫の方ではそういう事態に対してどういうふうなお考えでおられますか、まずお聞きをしたい。
  6. 坂口芳久

    坂口説明員 私も今山手委員のおつしやつたような心配をいたしておるのでありまして、それにつきましては、代理店資金わく配付いたしますのは、ただいまのところ三箇月ごと配付することにいたしております。この次は今月末に次の分三箇月を配付するのでございますが、それをいたしますにつきましては、代理店熱心度合い、それから従来の実績、こういうものを考えてやつて参りたいと思います。そうしまして、先ほどもちよつと申しましたように、この配付熱心度合い実績等、よく活躍してくれる代理店に重点的によけい配付して行きたい、こう考えております。なおまた代理店契約は一年度ごとに更改する機会もつくつておりまして、お互いにこれは双方の契約でございますので、私の方からもまた代理店の方からも、契約をかえまたはやめ得るようにいたしておりますので、代理店の中で希望のないところ、ほとんどお貸しにならないという代理店では、あるいは向うの方から契約は来年はいらないとおつしやるかもしれませんし、私の方も、もしあまりお貸しにならないところがあれば、来年は御遠慮瀬つたらどうかという機会もつくり得ると考えますので、だんだんに熱心代理店よけい配付して行くというふうにやつて行きましたならば、そういう心配がなくなるのじやないかというふうに考えております。
  7. 山手滿男

    山手委員 大銀行を何か追加されたようでありますが、これが本店わくを握つてつて支店に対する一応の代理店内のこの配付というものが行われておりながら、本店相当資金がリザーヴされておる、そういうことになると、地方的に考えてみましても、大都市集中貸しというふうな事態が私は起きるだろうと思います。それで地方窓口に参りますと、おれのところは三百万しかない、五百万のわくしかない。とても君のところには貸せないというふうなことで、非常に申込みが殺到しておりながら、窓口で受付けられない。そういうふうな事態相当今できておるのでありますが、大銀行を追加されるときに、そういうことに対する話合いはどういうふうになつておりますか、その点お聞きをいたします。
  8. 坂口芳久

    坂口説明員 大銀行代理店に追加いたしますいきさつについては、いろいろないきさつがございまして、結局これを認めるときには、その資金割当につきまして、その代理店である銀行の既往の中小企業者に対する熱心度等を参酌いたしまして、資金わくをきめましたのでございますが、その資金は今もお話のように、たくさんの支店を持つておりまする大銀行としては少いのでございますので、これを有効に使いまするためには各代理店にくふうを願う。それにつきましては全支店代理店窓口にするか、またはその全支店のうち特殊のものを特定の地域ごとに分散をいたして窓口をふやすか、窓口の数を全部の支店じやなくて、少数地域限つて少数のものにするか、その辺のところは有効に使われるようにということで、代理店の御判断と私の方と相談しながら、画一的にはいたさないということでいたしました。それで現在の様子を見ますると、代理店では全部の支店窓口にしておるところもございますし、そうじやないところもあるようであります。そして資金は、各支店わく配付しておるというところはあまりないように私ども聞いております。主として本店に集めまして、本店審査をし、本店で全体の計画をしておるところが多いように考えます。従つて支店ごとに小さなわくにわけて、資金をわけてしまつておるところはないように考えておるのでございますが、なお十分に調べましてから、もし事情が違つておりましたらまたお話ししたいと思います。
  9. 山手滿男

    山手委員 総裁の御説明でございますが、実際は私はそうじやないように聞いております。名前をあげて失礼でございますが、ここではつきり申し上げますと、たとえて言えば、三菱銀行でございますと、大阪の有力な支店といつても、君のところは五百五十万円見当だ、お前の支店はその程度だということで、われわれから見たら大阪の有力と見える三菱銀行支店だけでもそういう実情正であつて、その窓口とコネクシヨンのある中小企業者が、その三菱を刑用している人が窓口をたたいてみましても、書類が受付けてもらえない、こういう実情がある。私はそれを昨日聞いておるのです。きようもおりますが、その話を聞いて、ぼくはそんなことは岡田長官の言つたことや何かと大違いだと言つたのでありますが、その問の事情をまずお取調べ願つて、この法律をつくつたときの趣旨に十分合致するように御考慮願いたいと思います。  それから先日もここで議論をしたのでありますが、公庫書類が非常に煩雑であつて大部書類提出をお求めになつておるようであります。ところが実際は現在窓口を訪れておりまする中小企業者は、少数の例を除いては大体そこと関係のある人か、すでに取引をしておる人が伺つておるわけでありまして、その貸出しを希望する取引者資産内容なんかは、代理店の方ではよくわかつておるわけであります。しかるにもかかわらず、大部分責任をそういう代理店にまかしておきながら、なお公庫自体も新規の審査を形式的にでもしたいということもあつて、非常に大部書類要求されておるようであります。わずか一%か二%の責任しか負われないのに、中小企業者にとつてはきわめて負担になるような、よけいなと思われるような書類をなおかつ提出さす必要があるのかどうか。窓口がこの程度負担責任をもつて貸そうとする、それはよく知つておるわけでありますが、なおかつあれだけのものを提出さす必要があるのかどうか、その辺の非常な煩雑な書類について、総裁から御説明をまず伺いたいと思います。
  10. 坂口芳久

    坂口説明員 私も手続はなるべく簡単であることがいいと考えまして、今度始めました公庫手続はなるべく簡素化にするということをモツトーといたしております。しかしながら手続が非常に複雑だというお話でございますが、ただいま公庫の方でとつております書類は、借入れ申込書のほかに付表一つつけさしております。それを付表にしてみますることを、平生の取引のあるところであればすぐに書けるようなつもりでおりましたのでございます。ところが代理店は御承知のように非常に大きな銀行から小さな信用金庫までありますので、それをつくりますのに相当手数がかかる。ことに小さいあまり長期資金を扱つていない代理店につきましては、付表をつくりますのに非常に手数がかかるというような苦情もございますので、最近年末非常にたくさん資金を出したい、代理店の方は非常に忙しいので、それが簡単にできますように、別の付表をつけまして、こればだれでもわかるように、つまり取扱者長期資金貸付になれていない人にもわかりますように、このごろはやつておりますように、まるばつてん式と申しますか、まるで囲んだり、三角をつけたりする式の付表にかえまして、それでもいいということにいたしまして、そうして手続を簡単にして参りたいと思います。そんなようなわけで、私の方で要求しておりますのは、書類としてはたつた一つつたのでございますが、それをつくりますのに、なれない代理店では借りる人に非常に御迷惑をかけた点があつたのじやないか、こんなことを考えましたので、今申しましたように、なれない代理店でもわかりやすいような付表に臨時にかえております。それでうまく行くようでありましたならば、そんな方向に向つて行こうかと考えてくふうをいたしております。
  11. 山手滿男

    山手委員 書類が非常に煩雑で計理士あたりまで持ち込まなければうまく早くできないという理由の一つは、厖大担保要求することに一つは原因があるようであります。ところがまず担保の明細をつけて来いというようなことになるのでありますが、普遍の借入れ申込者の例をとつてみますと、五十万円貸してほしい、百万円貸してほしいという希望を持つているものはほとんどございません。最低三百万円くらいを目途に借入れを申し込んでおるように私は承知をいたしております。私のところにやつて来た希望者の話でありますが、三百万円申し込んだ場合には担保を約その倍近く五百万円か六百万円くらいの担保提出を今日各窓口要求をしておるようであります。ところが中小企業者でいろいろ今まで金融もつけております。金融をつけておつて担保や何か六百万円ぽんとすぐ出せるということになり、また出さなければならぬということになると、ここに技術的ないろいろ煩雑な問題がふなれな業者自体には起きて来ておるようであります。ところが三百万円の申込みをし、それを借りるためには五百万円、六百万円の担保要求されて、それを持つて行つて書類を出すと、さつきのような関係でお前は百万円くらいにしろ、こういうふうなことで値切られて貸されておるのが実情のようであります。それだけの大騒動をさせておいて、ぎりぎり結着のところは百万円、厖大書類をつくらせておいて百万円の融資しか受けられない。書類をお出しになるのはAとBとわけて、ほんとうに三百万円以上を借りたい者は相当書類要求する。ところが初めから百万円くらいしか貸さぬという建前のものは今の総裁お話のぺけやまるだけでもどんどん行ける。これは私ども法律を審議するときの長官の御説明と非常に違うのでありますが、今日窓口はほとんど担保要求しておる。長官人的担保でもよろしいのだというような御説明があつたのですが、ほど遠いものになつておるようであります。書類簡素化ということと担保との問題はそういう点が非常にあるように実情を私は承知をいたしたのでありますが、そういうことについて総裁から御説明を願いたい。
  12. 坂口芳久

    坂口説明員 私の方の公庫は、御承知のように長期資金でございますので、原則として担保主義で参りたいと思つております。しかしながら担保主義と申しましても、普通の金融機関では担保にとりにくいものもとつて行きたい、こんなふうに考えております。岡田長官からどういうお話がありましたか、私はよく存じませんが、その際中小企業でありますので、長期資金とは申しながら、経営者の信用といいますか、それももちろん重要視すべきだと思います。大体において、私ども長期資金である関係上、五箇年も貸します場合もございますので、担保をとつて参りたいと思います。しかしながら担保価格査定、今お話になられましたのはそういう査定の問題だと思うのでございますが、私ども査定価格代理店にまかせております。その査定価格の八割という大体標準だけはつくつております。そういうような標準で参りたいと思つておるだけでございます。この担保価格査定が不当に低いということは、せつかく中小企業金融公庫長期資金貸しまする趣旨に合いませんので、その辺は代理店とよく連絡いたしまして、そういう不当に低い価格を出さないようにやりたいと思います。また今お話のありましたように、三百万円の書類をつくらしておきながら、百万円しか貸さないという、非常に手数をかけますことは、代理店として非常にまずいと存じます。そういうときには私どもといたしましては、代理店に具体的に事実につきましてお教えいただきますれば、代理店と十分懇談して参りたいと思います。
  13. 山手滿男

    山手委員 その点は今総裁のお耳に入つておらないようでありますが、借入れを申し込んだ業者で、きようも私のところにたずねて来たのが二人おります。その二人から私は事情を聞いてこちらに参つておりますが、約一倍半、百、七八十パーセントくらいのものを要求をしておる。現実にきようも来てこれを話をしておりますが、査定価格の八〇%程度でよろしいというふうな連絡をしておられる。そういうお考えでおられる公庫意図現実事態とは、評価の問題にからんで来てむずかしいのでございましようが、相当開きがあることを総裁はひとつ調査をお願いしたいと思います。  そこで担保の問題でありますが、この法律を審議するときに、中小企業者としては、立ち直るためには非常に苦しい特に地方では相当な金をかけてつくつたものでも、これを代理店が処分をしてとるということになりますと、競売にしても二束三文のような価格で落ちて行く。そこで人的担保ということも非常に重要なことであるし、あるいは貸し出すのはほとんど設備資金であるから、設備をしてでき上つたものを担保に入れるというようなことなら、それでもけつこうなんだ、こういう岡田長官の、そこにおられますが、御説明であつたと私は思います。速記を調べてみればよくわかりますが、私の質問に対してそういう御答弁であつたのであります。私はそういう事態なら非常にこの金融公庫は活用できる、意味があるそういうことで当時大賛成をしておつたのでありますが、現実においては今申し上げたような状態なんであります。設備資金をほとんどお貸しになつておるのですが、でき上つたものを担保にとる、いわば住宅金融公庫で金を貸しておるようなやり方、金を貸して、でき上つたら順次その建設業者公庫が払つて行きつつ、担保をとる、そういうふうないろいろなやり方なんかを考えれば、私は非常にうまく行くと思う。三百万円の申込みをして、実際は百万円しか借りられないのに、三百万円に対して五百万円、六百万円という担保を探し歩くというようなことに手間取つて、実際にはだめですね、こういうような声が今上つておるのでありますが、そういうことについて総裁はどうお考えでありましようか、承りたい。
  14. 坂口芳久

    坂口説明員 私の先ほどの御説明が少し足らないのでございまして、金融機関でとらない担保と申し上げましたうちには、今お話のございましたでき上り担保のことも含めたつもりでおりました。従つて設備資金貸しまして、それででき上つたものを担保にとるということは私も考えておつたのでございまして、そういうでき上り担保の場合も公庫としても認めて行くつもりで、現にそういうふうにやつております。
  15. 山手滿男

    山手委員 ぜひその点を私はもう少し実行に移していただきたい。中小企業金融というものはおおむねそういうところにがんがあると思うのでありますが、現在行われかけておる事態の真相をよくつかんでいただきたいことを希望いたします。  そころでまだ六十億くらい使える資金が残つておるというお話でありますが、それは期間的にはどういうふうにこれを放出をされる意図であるか、伺いたいと思います。今非常に繁忙期でありますし、そういうことも考えてどの程度貸し出す意図であるか、内容をひとつ説明を願いたいと思います。
  16. 坂口芳久

    坂口説明員 私が申し上げました六十億足らずと申しましたのは、代理店配付いたします資金使用残が六十億足らずになるのでございます。十一月末の数字になりますとそういう数字になつたのであります。五、六日たつておりますので、六十億足らずと申しましたのは、代理店配付いたしました資金わく、それの合計から使用いたしましたものを引きました残りでございまして、なおそのうち正式に申しますと、さらに十億程度配付いたしますものを加えまして、六十億足らずの金になる。それは代理店の方で十二月末までに使い得る使用残がその程度になるだろう、こういうことを申し上げたのであります。
  17. 山手滿男

    山手委員 さつきからすでに申し上げましたように書類が非常に複雑でありますし、申込者窓口との連絡が今非常に円滑を欠いでおる。そのために必要以上にこれは意味のないものだというふうな印象を与えつつあるようでありますので、その点の注意を私は喚起していただきたい。こういうことを坂口総裁に御希望申し上げておきます。  そこで私は日銀からもおいでをいただいておりますので、日銀五十嵐さんの方に少し御質問をしたいと思いますが、これはぼくよりも加藤君が特に注文がございましたので私は簡単にいたしますが、先般来一万田総裁中京方面——私も名古屋方面関係者なのでありますが、中京方面へ参りまして金融の引締めの問題について、これは私は了承できるのでありますが、中小企業に対してもあまりおもしろくないような発言をされておるやに新聞で私は承つております。金融政策の一般としては、私は一万田総裁発言は必ずしも不当なものじやない、こう思いますが、中小企業の今日の現状はどうも一万田総裁のあの発言をいれることができないような発言内容であつたように私は思いますが、日銀の年末に対処しての金融引締めについて、特に中小企業金融の面からその点をこの際御説明を願いたいと思います。
  18. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 ただいまのお話でありますが、私総裁に随行いたしませんので、どういうお話がありましたか具体的には存じておりません。名古屋発言はどうかわかりませんが、内部では中小企業の重要性といいますか、これは質的に量的に、私どもの調べでは、御承知のように日本の商業人口は九割くらいが、小売店とかそういう中小のものです。工業人口ですと約七割くらいが中小企業です、だからやはり人口構成の上からいつても、これはゆるがせにできない。それから輸出産業、それから生活必需品産業、これは中小企業が非常に多い。それから重要企業の下請とか、そういう関係で、人口問題としても、社会問題としても、また経済問題としても、これはきわめて重要な問題である。ことに日本は領土が北から南まで非常に長くて、その気候気候に沿つたいろいろヴアライテーのある中小企業があります。非常に領土が細いですから、ほかの国とは非常に違うと思う。それから資源が非常に複雑に、こまかしくある。そういう国柄から、どうしても中小企業というものを閑却するわけに行かない。それが基本的な考え方なんです。ですからこういう金融について引締めるということは、なるべく日本銀行依存を少くして正常にもどすというような金融政策をとつて行きますと、どうしても地方的になり、あるいは弱いものにしわが寄りがちなものですから、それはなるべく避けたいというような考慮を払つているわけでございますが、何分私どもは間接になりますので、それはやはり第一線の窓口の商工中金とか地方銀行とか相互銀行とかにお願いしなければならぬので、なるべくそういう方々としよつちゆう懇談いたしております。それで年末になると私どもは、具体的に申しますと、十一月中旬に、これは私どもの融資斡旋部の方で、それぞれの支店に命じまして、大企業の下請に対する支払い状態その他を調べてもらいまして、ことにこの年末の十一月十六日から、私自身が今大銀行の常務の連中に来ていただきまして、特にその大企業の下請の状態を調べております。私どもでずつと調べまして、その大企業の下請の支払いの悪い会社をピツク・アツプしまして、それと取引のある大銀行の常務に来ていただいて懇談いたしまして、先月の中旬から支払いを促進しております。今月に入りましてから、四日からその結末の報告を受けまして、その状態を調べたりしております。大体支払いの状態は、去年よりは改善しておるようでございますが、去年の年末よりはことしの年末は、大企業の下請に対する支払い状態はそう悪くなつていないというような状況であります。なお十二月は大体例月の支払いよりも相当たくさん現金払いを大企業は下請にやつている状態で、ことに個々の会社の一覧表もございますが、十二月は現金払いをよけいにやつております。一番下請の悪いのは例の兵器産業、それから産業機械メーカー、こういうところはそうよくなつておりませんが、その他は大分よくなつております。業種別に見ますと、そんな状態です。一万田総裁がどうおつしやつているかわかりませんが、そう冷淡ということじやないのでございます。こういう金融情勢ですから、大企業も中小企業もともに苦しいわけでありますが、これは金融だけでも片づかぬ問題でもありますし、ことに兵器産業などはどうしても出血受注といいますか、そういう出血受注などやるとやはり下請をたたかなければいかぬものですから、そういう金融以外の、受注をする兵器産業なども、あまり安い受注をなさらぬように中小企業庁あたりで御指導願えればというような気がするのですが……。
  19. 山手滿男

    山手委員 今御説明を承つたのでありますが、日銀の方では政府の支払いが起過散布の傾向があつて、政府資金が出過ぎる、そういうことも考えて、日銀日銀で独自の立場で金融の引締めをやつてインフレを防ごうという御意図ももちろんありましようが、そういうふうな態度で最近ずつと金融に対しても転換をして来ておられるのじやないか、こういうことなんでありますが、その点について承りたい。
  20. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 私ども金融政策の根本はやはりゆるめるとか締めるとかじやなく、安定ということが一番大事だと思うのであります。ですから政府の財政の支払いが片寄るわけです。非常に散布超過になつたと思うと、引揚げ超過になる。第三・四半期は非常に超過散布であり、第四・四半期は税金の関係でずつと引揚げ超過になる。それをそのままにしておきますと、財界にひどいシヨツクを与えるわけです。それをなるべく平均化するために、政府の散布超過のときは貸出しを引締めて行く、政府の引揚げ超過のときは多少日本銀行がつつかい棒をして行かなければならないというシーソーゲームのような形であるわけです。毎日々々の貸出し方針がそうですし、一箇月一箇月もそうであるわけです。毎日方々の貸出しの勝負とか、毎月々々の短期の勝負は常に政府資金の散超を見て、それと金融政策を合せて行かなければ財界にシヨクが大き過ぎる。ですから、これは日本銀行も大蔵省も一体で、銀行局の方も見えておられますが、日本銀行が先立つて締めるとか、そういうことは毛頭ないのでございますが、やはり相談の上でやつていることで、それを太い線として、根本としてはどうしても今日本銀行依存を少しずつやめて行くという方向でいるわけです。
  21. 山手滿男

    山手委員 散布超過に対処していろいろおやりになることは、もちろんけつこうでございます。金融を安定さすということも当然必要なことであつて、それに異存を申し上げるわけではございませんが、さつきお話がありましたように、現在のこういう経済情勢というものは、単に金融だけでは片づかないものである。それが問題なんです。それを金融だけでぐつと片づけて行こうとするやに見えるような措置がたまたまとられるところに私は問題があると思う。ただ単に日銀券を少しひつぱり上げてみたり、ばらまいてみたり、そういうことだけで行くことは、これは私はむしろ不自然だと思う。だからある程度インフレになる事態が起きても二年、三年、五年の長い目で見れば、やらなければならぬ時代もあろうと思うし、それは政治的社会的な原因もあるのであつて、そういうところに中小企業にからんだ問題があると思うのですが、先ほども日銀が国会なんかとも遊離をしておる、それから現実の社会層に対して全国の支店会議をやつて、いろいろ支店長から報告を聞いて、態度を決しておられる、そういうようなことも話を聞いております。それから金融だけでは片づかないというさつきお話ですが、私は日銀はずいぶん踏み越えてやつておられる面があろうと思うのでありますが、そういう関係についてもう少し承りたい。
  22. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 経済の問題は金融だけじやありませんで、やはり産業政策、国家の投資をいかにするかとか、あるいは労働政策、ことに今労働政策こそ重大だと思いますが、そういうあらゆる総合政策が必要なことはまつたく御同感であります。金融政策もその一環として考えなければならぬことも、御説の通りだと思つております。そのようなつもりでやつておるわけでございまして、別段先走るとかどうかというようなことはないと思うのでございますが、どういう点でございましようか。具体的にお話願えれば御説明申し上げることもできるかと思いますが……。
  23. 大西禎夫

    大西委員長 次に加藤君。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 私はせつかく日銀総裁代理として五十嵐さんが来ておられますから、その点について伺いたいのですが、今度行われておりまする高率適用の強化ということですね。これが非常に効果があつたようでございます。これはまことにけつこうなことでございますが、実はこのしわ寄せが、中小企業特に商社部門に強く寄せられて、そのおかげで倒産商社が続出している。ただいまのあなたのお話によりますると、去年よりはややよろしいというお話でございまするが、よろしいどころの騒ぎじやないのです。倒れている数は去年よりことしの方がはるかに多い。不渡り手形の数も去年の今月とことしの今月を比べまして、ことしの方がはるかに多い。それはことしの月をずつとながめて見ましても、だんだん月を追うに従つてふえているという状況である。これは私よりもあなたの方がよく御存じだろうと思います。ところでこういうやさきに、金融界で一番総本山、総司令官といわれる法王様が関西へ行かれました。法王様が見えたときには、お互いにあとのたたりが恐ろしいものだから、一生懸命になつて歓迎する。そこで何と言われたつてかんと言われたつて窓口の連中がくさつていても、よう言わない。困つたことを言われたなと思いつつも、ああそうですかと引下がるのが実情なんです。そこで関西へ行かれて大阪、京都とまわつてだんだん気をよくされたのか、名古屋へ帰るころにはますます気がよくなつちやつて、とんでもないことを言つておられる。これは新聞でも御存じの通りたと思いますが、ただいまよく御存じないというお話ですが、知つていてそういつたことをおつしやるのか。こういうことを言つておられるですね。高率適用の強化をして徹底的にやれ。窓口を集めてですよ。徹底的にやれ、投げ売りが始まつてもやれ、逆ざやになつてもやれ、こういうことなんです。そこでこの逆ざやという言葉が、窓口にとつては千金の重みがあるのですね。ぴりぴりとしてしまつたのですよ。そこで十月はまだしも、十一月にかけてはますますこれをひどくしたのです。それでどうなつたかというと、窓口ではやむを得ませんから、どうしたかというと選別融資ということをやり出した。その結果は系列融資になつて来た。この系列融資のおかげで、系列からはずれたものはばたばた倒れておるのです。倒れた連中が窓口やら親会社のいびり出しにあつたので、これはかなわぬというので、ただいま御承知でございましようが、公取委へ訴えて来ているという向きがございます。そこでこの系列融資については、一万田さんは奨励して見えるんです。その席上で、これはけつこうなことであると言つておる。こういうことをおつしやる意味は一体どこにあるのか。オーバー・ローンの解消、これはよろしい。金融の正常化、健全な金融政策、これもよろしい。しかしオーバー・ローンの原因というものが、はたして中小企業がたくさん借りておつたからできたというのでございましようか。もしそうでないとすると、オーバー・ローンの原因がよそにあつたとすると、よそが得したおかげで、そのしわ寄せを中小企業が一手に引受けなければならない。そのために倒れて行かなければならぬ。こういう状況に相なつております。片や中小企業公庫なり国民金融公庫なりが、政府の乏しい金をそちらに注ぎ込んでみても、市中銀行から締められる率の方がはるかに多いとなりますと、これはいわば片方で病人に重湯を飲ましておいて、片方の手で病人のせんべいぶとんをはぎとると同じ結果になつているんじやないか。この点について一体日銀としては、ついきのうおとといの新聞を見ますと、もうあまり締めぬでもよろしいということを言つていらつしやる向きのことを聞いておりますが、一体高率適用のしわ寄せがそういうところに行つておる事実というものを御存じであるのかないのか、もし御存じであるとするならば、それをどこまで続けて行こうとおつしやいますのか、この適用をどういう状況が来たならばゆるめようとなさいますのか、そういう点について、中小企業がほんとうに喜んで仕事に従事でき、安心して年の瀬が越せるような言葉が聞きたいものだ、こう思うわけでございますが、いかがなものでございましようか。
  25. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 加藤さんのお話に言葉を返すようで変なんでございますが、先ほど私が昨年よりも支払い状況がよろしいと言いましたのは、おもに大企業の下請だけの話でございます。この点はどうか御了承願いたいと思います。それから倒産のお話がいろいろございましたが、手形交換高のふえておりますことも事実であります。しかし、ここに不渡り手形の表がありますですが、不渡り手形はふえておりますけれども、その六〇%は、一度不渡りを出して銀行取引を停止されたか、あるいは銀行に全然取引のない、こういう手形が不渡り手形の六〇%あるわけです。これは出す方が不注意かあるいは悪意があるかというわけで、これが非常にふえておるわけです。それからほんとうの専門的見地から見ますと、新規に不渡りを出した件数はどうかというと、それは昨年とほとんどかわりがないです。取引のないのに、かつてに手形を出して不渡りを出した。それで不渡りがふえておる数字が出ておりますが、ほんとうの第一回の不渡りといいますか、初めて不渡りを出した件数は昨年の今ごろと比べてちつともふえておりません。不渡り手形の枚数、金額に対するそういう新規の不渡りを出したパーセンテージのごときも本年は非常に減つております。そういう数字はとにかくといたしまして、倒産のあることは繊維業者その他事実であります。この倒産その他が、今のお話ではことごとく私ども金融を締めたからというようにも聞えますが、これはいろいろの原因があると思います。これは多岐にわたりますから申し上げませんが、これは倒産会社の思惑の失敗とか見逓しの誤りとか、いろいろの点が相当原因しているじやないかという気がするのであります。それから先ほど御質問がありましたけれども、私ども実際今の金融政策をとつて参りますバツク・グラウンドを少し話さしていただきますと、こういう考え方であります。これは中小企業と直接の関係はありませんが、ある一つの政策をとる場合には、その前提として必ず現在の日本経済がどういう状態にあるか、この認識の問題が違いますとやはり政策も違わざるを得ないと思うのであります。加藤さんと私ども、その点多少認識が違うのかもしれませんが、かかる状態なるがゆえにかかる政策をとる。その状態は、われわれは日本の経済は一言にして言えば基地経済である。なぜ基地経済かと申しますと、たとえば御殿場にアメリカの兵隊が駐留する。するとその村なり町なりに臨時収入がふえ、過剰購買力が散布される。カフエーができる、キヤバレーができる、みやげもの屋ができる、お百姓さんも田を耕するよりもパンパンにでも部屋を貸して暮した方がいいという、他力本願といいますか、見せかけの繁栄といいますか、要するに基地経済の特色として、私どもは不健全、不安定、他力本願、勤労意欲の喪失、ぜいたく、そうして見せかけの繁栄、こういうことを言つております。そういう村なり町ですとよくわかるのですけれども、日本の今の国全体が現にこの原則は同じだと思います。日本全体だと大きくてわかりにくいですが、端的に見ますればあの基地経済とちつともかわりがない。端的な話が国際収支——国内における価値の移転は階層間の移転です。国会日体として見れば階層間の価値の移転にすぎないのですけれども、ほんとうの国のあれは国際収支です。国際収支は御承知の通り正常の貿易の輸出が十二億ドルで特需その他八億ドルですから、実に十二対八です。正常貿易十二億、特需八億ドル、二十億ドルで輸入しておるのでしよう。その二十億ドルでは日本の経済は保てません。主食などの五億六千万ドル、その他羊毛とか繊維とか四億五千万ドル、それだけで正常の輸出の十二億はとんとん、あと鉄鉱石、あらゆる工業原料全部入れて二十億ドル輸入しなければ、この今のわれわれの生活水準を保てません。ところがそれを稼ぐのは十二億ドルが正常貿易であとは特需であります。いかに臨時収入に依存しておるかという点は基地経済とちつともかわりがない。それから見せかけの繁栄ですけれども、御承知の通り今日本は石炭でも鉄でも造船でも船会社でも、みんな景気が悪いでしよう。石炭だけでも三井鉱山は赤字を出して無配でしよう。船会社——郵船でも商船でもみんな赤字で無配でしよう。国家の基礎的産業はことごとく悪く、いいのは何です。いいのはデパートがいい。デパートの株は上つております。ビール会社も景気がいい。森永製菓、明治製菓など製菓会社がいい。森永製菓は銀座四丁目に東洋第一の広告塔をつくつてつておる。それからサービス業がいいでしよう。要するに末端消費につながる、つまらぬ——つまらぬといつては語弊りがありますけれども、映画会社とか興行会社とか、デパートとかビール会社とか、製菓会社とかサービス業というものが景気がよくて、国家の基本になる基礎産業はことごとく悪い。これは見せかけの繁栄ですよ。こういう某地経済ということを私どもは今の経済の基礎として認識している。それを出発点にして考えますと、どうしてそうなつておるのか、やはりこれは過剰消費が行われておるからだ。それはりくつがありますけれども、過剰消費が行われておるという証拠は物価が上つて来ている。過剰消費が多いから物価が上るのです。それともう一つは、ことしになつて輸入が非常にふえておるのです。だから国力以上の消費をやれば輸入がふえるか物価が上るかどつちかです。今半々にわかれておる。国力以上の消費をやつておるから、その一つの現われで物価は上る。もう一つの現われは輸入がふえておる。もし物価を下げるつもりなら外貨をどんどん使つて輸入をやれば、底の浅い日本経済は一ぺんに安定してしまう。物価は上らない。それだけの外貨を使う国の力がないのだ。おそろしく外貨をうんと使つて、綿でも羊毛でも——この春から羊毛が高くなつたのは外貨の割当を少くするという思惑で高くなつた。外貨を使つて羊毛を入れれば一ぺんに物価は下つてしまいます。それたけの力がない。ですから国力以上の消費をしてやるということはいろいろりくつがありますけれども、端的に言つて、日本の経済は一面は物価の騰貴によつて吸収しておる。一面は輸入の増加によつて吸収しておる。これは数字がはつきり示しております。こういう状態のときにはどこの国でも財政の緊縮と金融の引締めは定石です。それをやらぬから向うから投げやり経済とかすつぽらかし経済というかつてな批判を受ける。外国がそう批判するのはかつてですが、要するにそういうことですから、そういう基盤から今中小企業とか大企業とかにいろいろな問題がある。これは全部の問題ですよ。全体のためにこうやつておる。そういうむずかしい問題がありますけれども、それはいろいろそういう政策をとれば、大きいものも小さいのもみなここしばらくほんとうに苦しまなければならぬと思うのです。それは今の基本的な情勢ですけれども、ことしに入りましてから私ども実際についてみますと、今の国際収支は一月から十月までの間に一億三千五百万ドルの入超なんです。去年は一月から十月までに三億五千四百万ドルの受取り超過です。これは特需もみんな入れてことしは一億三千五百万ドル国際収支において赤なんです。去年が三億五千四百万ドル黒ですから、それを合せますと、一年間に約五億の国際収支においてマイナスが来ている。これが日本経済に影響しないわけはない。それから卸売物価は、ことしは一月から十月までの間に日本銀行の卸売物価指数は四・九%、約五%上つておる。去年はこの十箇月で二・一%下つておる。ことしは上つておる。それからことにわれわれの家計、CPS、消費者物価指数が一四・一%上つている。去年は全然横ばいなんです。そしてことしは銀行の貸出しは輸入決済を、除きまして四千二百四十億ふえておるわけです。去年は三千四百四十九億です。そうして二重投資とか過剰投資とかの現象が出て来ます。そうして一方運転資金は滞貨融資の面がある。これは私どもの抜打ち検査の調べですけれども、六月末における小売商のストツクといいますのは、一月分を一〇〇としますと一七七、これが九月には二七二になつておる。ストツクもふえておるわけなんです。国際収支は赤になり、輸入はどんどんふえる。物価は上つて来る。そうして滞貨がふえて来る。過剰投資が行われる。銀行の貸出しはどんどんふえる。これで一体国の経済が保てるかどうかと思うのですよ。実際これでは甘い金融政策をとれないじやないか。けれどもあまり締めれば日本の経済が耐えるかどうか問題がある。あるいは思想問題がありますから、そこには限界があります。日本の経済がそれに耐えるかどうかという体力の問題、それから赤の思想問題、この二つがある関係で、締めるといつても、そこにはおのずから限界といいますか、そういうものがありますけれども、経済の基本的な認識が、今申し上げましたような認識に立ちますから、今の政策をとらざるを得ないという点をひとつ御了承願いたいと思います。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 理事さんの金融引締めをしなければならないという御高説ありがたく拝聴いたしました。それはその通りでございましよう。先ほども申し上げましたように、その必要性は認めます。通貨の健全な政策をとらなければ日本経済が成り立たないというその理由もよくわかります。ただ私がぜひお尋ねしなければならぬことは、そういう引締めのしわ寄せを主として中小企業のみが受けなければならないという理由です。その理由がわからない。もし理由のいかんを問わずこれを強行なさるとするならば、一体いつまでそれをなさろうとするのか。この状態にいかなる変化を来すまでやろうとなさつていらつしやるのか。またあなたも今おつしやいましたように、そういうことに耐え得るやいなやと、いうことは、諸政策を行うにあたつては前もつて考えておかなければならないことであるにもかかわりませず、耐え得ない部分が出て来てもなおそれを強行しなければならないという理由について私は承つておるのであつて、決してオーバー・ローンの引締めが悪いとか、それをやつてはいけないということを言つておるのではございません。そこで、オーバー・ローンの是正をしなければならぬということはよくわかりましたから、さて今度の問題について承りたいのでございます。
  27. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 今こういう政策のしわを中小企業だけが負つて、ほかは全然負わないようなお話のように受取れますが、私は必ずしもそうではないと思う。大企業も、ことに輸入のスタンプ手形の廃止など、あるいはスタンプ手形の期限の短縮などで、紡績やその他大会社も非常に弱つているのです。鉄鋼だつてつています。これをしさいにごらんになれば、中小企業が全部そのしわ寄せる受けて、大企業が安閑としていることでもないと思つております。先ほど高率適用云々もありました。逆ざや云々もありました。今高率適用をかけましても、全体の日本銀行の借入コストは一銭九厘なんです。預金コストと大体同じなのです。市中銀行は二銭五厘で貸しますから、先ほど言い落しましたけれども、決して逆ざやになつておるわけでもないのです。先ほども申し上げましたが、この二、三年たてば、極端に悲観的に見れば米を輸入する外貨もなくなるかもしれない。やはり国際収支の赤字が続く限りは甘い財政の組み方とか甘い金融政策というものはとれないのではないかと思います。それまでは私は続けるべきものであろうと思う。これは私どもがやるのではない、客観的な日本経済がやらしておるのだと御理解願つた方がいいのではないかと思います。
  28. 加藤清二

    加藤(清)委員 期日について承りたかつたし、状況について承りたかつたのでございますが、なかなか御答弁がいただけないようでございますので、それでは中小企業にどのようにしわ寄せが参つているかということを、御認識でございましようけれども、あなたの口からは言いにくいでしようから、私の方から申し上げます。  銀行窓口の身になつてみれば、これこれは引締めろと数字まで言い渡されて、おまけに先月の二十日ごろに至つては、貸出し抑制で商社の出血はやむを得ずやれというような命令を受けますと、窓口としては、法王様の命令は無上命法である。そこでやむなくやらなければならぬことになる。やる対象はといえば、これは自分が窓口の身になつてみればよくわかることでございましようけれども、結局経済力の底の浅い、信用程度の薄いものからまず引揚げよう、こういうことになるのはこれは人情の自然じやないかと思う。あなたたちは中小企業にのみしわ寄せをしろというような命令は出されなかつたでありましようけれども、結局そういうところへ行くんです。しかしオーバー・ローンの原因なるものが、はたして中小企業がたくさん借りておつたからそうなつたかというと、これはあなたの方がよく御存じのはずなんです。私にはそうとは考えられない。これはイデオロギーの問題でもなければ何でもない、具体的事実の問題なんです。それから先ほど不請企業について去年よりも支払いが良好になつたというお話でございましたが、これも中小企業にしわ寄せがされている。大企業にも同じように高率適用を強化すると、大企業はどうかといえば、自分の下請企業に対する支払いを遅延させるという手に出て来るのは当然なんです。そうでなくてもそういう挙に出ている。あなたはどのくらいの手形が出ているか御存じでございましようけれども、私の調べたところによりますと、六口や九口というものはとつくの昔の話でありまして、一二口くらいの手形でかんべんしろということを言うておる。それじやちよつと困りますと言うと、そんならお前のところの注文はやめたということになる。その結果どういうことになるかというと、これはコストを文句なしに下げられたと同じことになる、下請にとつてみれば。そこで下請企業の方はそのしわをどこへ寄せて行くかというと、やむを得ないから今度は下で働いている——全国に十万の労働者がおりますが、そこに寄せて行くこういうことになるわけなんです。従つて、大紡績の方には女工哀史ということは見受けられませんが、小企業の機場あたりはやむを得ざる措置として、女工哀史ということが盛んに行われていて、それが結局どういうことになつているかといえば、農村が水害、冷害で疲弊したおかげで働きに出た農村の若い青年男女に寄せられて行つている。こういうことなんです。それがうそだとおつしやるならば、材料をここにたくさん持つて来ているから、何会社がどうなつているかということを申し上げます。こういう状況になつておりますが、これについて何らか救いの手を延べるだけの情け心がありますかありませんか。そういう状態に放置して、それで耐え切れぬ中小企業は倒れて行く。ことに商社が倒れて行く。商社が倒れることはよろしゆうございます、やむを得ぬといたしましても、そのおかげで糸へんの業界におきましては、商社の持つていた能力というものがあるのです。その商社の能力というものがもう半減してしまつて、商社は必要なしという状況に立至つていることをあなたはよく御存じでございましよう。それから政府当局としては、先ほどあなたがおつしやつたように、為替帳じりのバランスがとれないので輸出振興をしなければならぬ、輸出振興には商社は資本が少く信用程度が低いから、これを増大しなければならぬということを言いつつも、ばたばたこれが倒れて行つている。公称資本金一千万円以上、バランス七、八億程度の商社はばたばたと倒れている。それはあなたの御存じの通りでございますが、これでいいのかというのです。これを考え方が違うとか見方が違うとか、まるでイデオロギーの相違によつてそういうことはやむを得ないようにお考えのようでございますけれども、政府におる者、あるいは金融界の総本山にでんと地位を占めていらつしやる方が、これはやむを得ないと言われたらたいへんなことになると思いますが、それでよろしゆうございますか。
  29. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 おしかりを受けましたが、金融の分野以外の問題も大分あるようでございます。今おもに商社のことをお話になりましたが、昔は景気、不景気の緩衝地帯として商社というものがあつたから、中小企業というものは割合によかつた。農村でも地主というものがあつて、凶作のときには地主が小作米を負けてやればよかつた。ところがその緩衝地帯がないから政府に直接来る。漁村でも網元というものがあつて、不時のときには網元がめんどうを見たから、そういうのが緩衝地帯となつていた。中小企業では問屋や商社というような緩衝地帯が弱体化したために、あらゆる要求が全部政府に来るという事態になつております。そこで私どもは、中小企業の見地からも、商社ができるだけ健全に発展することが難ましいと思い、かえつて今のお話と反対に、各商社をつぶすという考えよりも、むしろ資本が小さければ統合でもして強化して、ことに貿易商社のごときはもつと強化しなければならぬという線で考えておるわけでありまして、私ども考えが何かいかにも商社をつぶすようなことをおつしやいますけれども、むしろ商社を大いに育成して行きたいという考え方なのであります。中小企業のお困りになつている問題もいろいろよくわかります。これは私どものところにいろいろの陳情がありますし、支店からの報告が参りまして、私も各所を歩いてみました。しかしこれはまあ日本の経済では、今後数年にわたつてみんなが苦しまなければならぬものじやないか。商社に対しては私どもは細心の注意を払いまして、中小企業については大企業の下請促進とかいろいろの点で心配しておるわけであります。つぶれていいとかいうような考えは毛頭持つているわけでもありません。また人間的にヒユーマニズムの見地から言つても、そんなことができるはずのものではないのであります。
  30. 大西禎夫

    大西委員長 加藤君に申し上げますが、まだあとに中崎君と伊藤君の御質問がありますので、御質問の点をはつきりお願いいたします。
  31. 加藤清二

    加藤(清)委員 さすが五十嵐さんという人は政治家だということがよくわかりました。私の質問に対してひらりひらりと体をかわして、四つに組ひうとはなさらぬ。私はふんどしかつぎで、あなたは双葉山だから、これはやむを得ませんが……。そこで私がお聞きしたいのは、かりにあなたはそうおつしやつても、銀行窓口の身になつてみればこういうことをやる、それに対してあなたは何らかの手を打つ気はあるのかないのか、ほつておいてもいいのかということを聞いているのに、そういうことには一向触れていただけません。ところがあなたがそういうようにおつしやれば、私はあえて申し上げますが先月の二十日ごろに商社への貸出しの抑制を命ぜられているはずでございます。それから十一月の末のあれについては、金利についてあなたの方の命令に従わなかつた窓口に対しては、罰則をかけていらしやるはずでございます。今あなたのおつしやることと違うような気がしてなりません。ただここで一つ一万田さんと意見がまつたく一致することがある。それは糸の値が二十番単糸について九万円というべらぼうなものは高過ぎる、これは安くしなければならぬということなどを、関西でおつしやつていらつしやいますが、その他もろもろの件で同じ意見もありますけれども、ただ残念なことは、あなたたちがどうおつしやられようとも、しわ寄せが中小企業に来ているこの事実、これを一体どう続けて行こうとなさるのか、どうしようとなさるかについて承りたいのでございますけれども、時間がないようでございますから、箇条書きにしてお尋ねしますから、今度だけは総理大臣のようなお答えでなくて、すなおに答えていただきたいと思います。それはほかでもございません、オ—バー・ローンを生じた原因とこれが解消の見込みです。これははたして金融引締めだけでいいのか悪いのか。第二点は、将来オーバー・ローンにならぬようにする対策が立てられているかいないか。もちろんあるでございましようけれども、その対策に対して日本の経済がはたして耐え得るやいなや、現在耐え得ない部分が出て来ておるようでございますが、耐え得るやいなや、以上のことが総合されて初めてほんとうの施策ということになるのではないかと思います。その総合施策が行われた際に、親心子知らずで、あなたたちのせつかくのあたたかい気持を、窓口が自分の常業をうまくやりたいために、誤解して下々に伝え下々に当る場合が、中小企業金融公庫についても言えるわけでございますが、市中銀行の金については一層それがはなはだしいようでございます。これについて将来どのような施策をとられようとしていらつしやいますのか。  最後、にオーバー・ローンの解消策として池田案なるものがちらほら新聞でうたわれているようでございますが、これについて一体日銀側としてはどのようにお考えでございましようか。  以上の諸点について、ふんどしかつぎで、まことにもの足らぬでございましようけれども、今度は四つに組んで御返答を願いたいと思います。
  32. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 時間がありませんから、何か書きものでお答え申し上げたいと思います。池田構想は私ども具体的にはつきり知りませんが、前のオーバー・ローン解消云々の三点については、書面であなたさままで御返答申し上げますから、御了承願います。
  33. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう一点だけ。今度は中小企業金融公庫の方にお伺いいたしますが、中小企業金融公庫の方は発足当初で、いろいろな問題が起きておるようでございますが、この前申し上げたことでございますけれども、国民金融公庫は非常に国民から歓迎されております。ところが同じ趣旨で生れた、いやそれ以上の情心で生れた中小企業金融公庫の方が、とかくの批判を受けておるということは、日が浅いということもございましようけれども、手足を持つていない。片や千数百人を持ち、片や五十七人持つ程度では、どんな情心を持つていても、末端の方まで届かぬ。途中の窓口が自分の商売繁昌にこれを利用するという点が非常に多い。そこで承りたいことは、公庫としては来年どのような方策を考えていらつしやるのか。将来どのようにしたいとおつしやるのか。私は、ぜひ坂口さんみずからの手足を、大阪にも名古屋にもその他の地方にも持つて、いわば国民金融公庫と同じようにもつと拡大強化をしてもらいたい。そのために、来年度の通常国会における予算には、思い切つた原案をお示し願いたい。これについては、党利党略を離れまして、超党派的に皆さん協力して、せつかくここの委員会で生みました金融機関をりつぱに育てて国民の歓迎を受けてみたいものだ、このように考えておりますが、総裁としては将来の計画をどうお持ちでございましようか、ほんの少々お漏らし願えれば幸いでございます。
  34. 坂口芳久

    坂口説明員 ただいま私ども公庫の業務に対しまして非常に理解のある態度で御質問いただきまして、非常にありがたく思つておるのでございます。今お話のように、私ども手足がないために各方面に非常に御迷惑をかけておりますが、代理店が非常にたくさんになりましたので、来年は大阪を初め各地の代理店を十分に連絡のできるだけの人を置きたい。こう考えまして、ただいま政府当局の方に私どもの計画を差出しておりますが、それによりまして、現在代理店との連絡の不十分によつて皆様に御迷惑をかけている点を是正して参りたいと思つております。なお各地にそういう支店と申しますか連絡店を設けますほかに、ごく最近商工中央金庫の方へお願いしておるのでございますが、それまでの措置としまして、各府県ごと代理店連絡会議と申しますか懇談会をお願いいたしまして、その世話役を——今私どもの手足を持つておりませんので、世話役を商工中金の支所長のお方かだれかにお願いしまして、それまでの空白と申しますか手の届かない点を補いまして、代理店との連絡を十分にいたしまして、私どもの気持が中小企業者の皆様のところまで属かない穴を埋めて参りたい、こうただいまのところは考えております。
  35. 大西禎夫

    大西委員長 次に中崎敏君。
  36. 中崎敏

    ○中崎委員 私は金融、産業、経済全般に関する問題について、実は大蔵大臣、通産大臣並びに日銀総裁出席要求したのでありますが、遺憾ながらその一人もここへ出て来ておらない。こうした重要な根本問題は、ただ枝葉末節の事務的な処理のみを論議するのではなくて、国家の基本問題を論議したいというふうに考えておるのでありますが、遺憾ながらこの三者ともに出席しておらぬので、いずれ近い機会委員長要求して、ぜひともその出席要求したいと思うのであります。  そこで先ほど五十嵐君からも、日本の経済が基地経済に似ておるというお話がありましたが、私もその点については同感です。今にしてこの日本経済の建直しをやらなければ、きわめて憂慮すべき事態になるということを憂えておるものであります。その個々の例についてもいろいろ申され、あるいはサービスが繁昌する、あるいはまた奢侈的なことがなかなか活発だ、あるいは労働意欲は云々と言われましたが、実情はまつたくその通りだと思うのであります。この問題はただ単に金融のみによつて解決することは不可能だと思うのであります。どうしてもこれは国の政治の基本について根本的に考えて行かなければならぬ。そこで外国の例によれば、今日はどうか知りませんが、かつては中央銀行が独立したような状態もありましたが、今日、日本の政治、経済、産業、金融実情において、中央銀行が独立して存在し得るという余地はどこにもないと考えておるのであります。こういう事態においては、政治と金融、経済等のつながりが緊密に表裏一体の形でなければならぬ、ところが政府においては一切の政治が行き詰まつてしまつて、いわば日銀が法王のごとく君臨して、金融面においてはまつたく政府の考え方と遊離して、そして一方的に進められておるという感じを持たせる。そういう意味において、この国の政治の問題をまず第一に大きく考えて全上体の金融、経済、産業の問題をどうするかということを根本的に考えなければならぬ。たとえば奢侈があまりに行き過ぎであるならば、いかにしてこの奢侈を食いとめて行くか、サービスも——たとえば映画の話が出ましたが、映画は健全な娯楽として文化の進む過程においてある程度発展していいと思うのでありますが、そうしたような健全な必要な面でなしに、ほんとうに不必要な面においても、あるいは待合とか高級料理屋というようなものが依然として横行跋扈して繁栄する、こういうような態勢は好ましくないと思う。そういう政治問題を根本的に考えてみたときに、長い間の吉田内閣はすでに行き詰まつておる、そこでこれをどうするかという問題も、もう少し真剣に私は考えて行きたいと思う。そこで後日すみやかな機会にこうした問題を取上げるところの機会委員長の方において与えてもらいたいと思う。  それから、これは小さな問題でありますが、この前の委員会においても出たのでありますが、最近ビルが至るところに建てられて、これに厖大な国の資金が使われておる。そこで日銀五十嵐君もわかると思いますから聞きたいのでありますが、ことに顕著なのは銀行金融機関で、これが一坪百万円もするような土地を何百坪も買つて、洛陽の紙価を高からしめるというのではなくて、地価引上げの先駆をなしておる。そうして何億、何十億という金を一つの店舗に引当てて、しかも一方において民間の銀行は金が足りないというので、日銀へどんどん金を借りに行つておる、こういう姿がはたして好ましい姿であるかどうかということを、金融の根本政策の問題としてお聞きしておきたいと思う。
  37. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 今の中崎さんのお話どもまつたく同感でございます。ことに前のお話、これはこのままで放任しておるものでありませんので、何らか国会の方々が総合政策をお考えつてお示しを願えればけつこうであります。  それからあとの銀行の建物の問題であります、これは銀行局の総務課長さん見えておりますが、これはしよつちゆう注意をし、警告をしておるのでありますが、困つたものであります。実は四、五日前も私ども総裁やみんなで銀行のみならずビル建築をどうしたら制限できるかということを真剣に話したのでございますが、金に色がないものですから実際問題としてむずかしい、これは何か建設省あたりで建築制限などをなさつてくだされば一番です、金融的にどうこういうのではなくて——何でもかんでも金融に期待されましても、金融のことは私ども銀行局の責任ですから、これは非常に困つた問題です。銀行というものは本来は経費を節約して預金コストを安くして、安いコストの資金を供給すべきです、そうでなければ日本の産業は発達しません、あれはみなコストにかかるものですから非常にいかぬと思うのでございますが、また一面、私この間福岡に行きましたら、三井信託の福岡支店が今度新築しましたら預金が一挙に倍にふえました、妙なものです、小さい店のときには預金がふえないが、店を新築したら預金がうんとふえたという、だからつ大衆というものはそういうものかしれませんけれども、そういう誘惑にかられるのですね。それだからといつて銀行が銀座の目抜き通りに支店割どんどんつくるのがいいかということは別問題でございまして、こういうものは、はつきり行き過ぎであると思いますね。ですから、そういう点は私どもしよつちゆう銀行には注意をしておるのですけれども、どうも聞いてくれないもので、ひとつ思い切つて建築制限でもなさつたらいかがかと思います。
  38. 中崎敏

    ○中崎委員 今の問題に関連して、たとえば九州の福岡に店を開いたら預金が倍になつたというのですが、ほかの銀行も、どんどん店舗を新しくして、厖大なものをつくつております。それがみな倍になつたら、預金ももつとふえなければならぬが、そうじやなくて九州の場合には、水害成金といえばおかしいのですが、相当の金が流れて行つております。それが一時的にそこに還流しているのかもしれませんが、そういう点は十分検討してもらいたいと思うのです。ただ単に店舗さえ大きくなれば預金がふえるというのは、過去の封建時代の考えであつて、店舗が大きいからそれだけ預金がふえるとは、われわれ常識的に考えないのです。そこで大蔵省の銀行局の関係と思いますが、あなたの意見がここですぐ決定的に聞かれるかどうかは別として、今の問題はきわめて大きな問度なんだから、銀行の監督取締りの見地から、こういうふうなビルをつくる場合においては、たとえば大手町にも大きな銀行があるのですが、これなんか実にりつぱなビルだと思つたら、知らないうちにぶちこわされて、大きな建物ができております。どういうふうな必要があつたのか、あるいは建物がゆらいでおつたのか知りませんが、これなんか一例にすぎないのでありますけれども、いずれにしても、そういう不必要なものに貴重な厖大な金がどんどん投資されるということは好ましくない。ことに金融機関は金かうまく投資して軍用するのが使命である。その金の多くの部分を自分自身に固定化してしまうというような行き方は、金融機関の本来の使命でない。そこで資金の運用の面において、そういうものの取締りもできるのじやないかと思うのでありますが、根本的にビルの建物について、全体的な一つの制限をする必要も私は感じておる。さらに銀行の特殊な使命にかんがみて、大蔵省自体の手において解決し得るものもあるのじやないかと思うのであります。この点はすみやかに研究してもらつて責任ある答弁をこの委員会にしてもらうことを要求しておきます。
  39. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの銀行の店舗の問題は各方面で問題になつておりますので、大蔵者としましても慎重に取扱つております。数度にわたりまして具体的に銀行局長の通牒をもつて、華美なる店舗を設置すること、あるいは繁華街の中央に店舗を置くこと、そういうことを自粛するようにという指導もいたしております。なお具体的にはこの三月に最終的な通牒を出しまして、三月以降は原則として新設を認めないという方針をとつております。現在ぼつぼつ開店しておるのがございますが、御存じのように大蔵省で認可をいたしまして、それから設計をし、土地を買い、建築をするということになると、半年ばかりかかる。そういうので今開店しておるのがあるかと思います。それから具体的計数的に申し上げますれば、その三月以前におきましても、純増というものは認めないという方針をとつておりまして、必ず一箇店ないし二箇店廃止いたしまして、そのかわりに経済的に必要なところへ店舗を置くことは認める、そういう意味の配置転換の原則をここ数年来とつて参つたわけでございます。従つて、結果的、現象的に見ますと、繁華街、特に金融的に重要なところには比較的店舗がたくさんできているように見えるわけでございますが、全国的な統計から見ますと、そう店舗はふえておらない、こういう結果になつております。それから具体的には店舗の不動産勘定は、銀行の自己資本の七〇%を越えるべからずという、全体の原則をとつておりますので、従つてある銀行の店舗が、銀座とかそういう繁華街に多いという現象がございましても、全国的な不動産勘定は資本金の七〇%内に入つておるわけでありまして、必ずしも大きな意味の不動産勘定を持つておるわけではございません。具体的に御指摘のございましたビルは、富士銀行本店であろうかと存じますが、あのとりこわしました建物は、大正十二年の大震災の年に建築中でございまして、当時すでに火の入つた建物でございます。それが建築行政の建前から危険であるということになりまして、どうしても建て直す必要がございましたのを、今般建て直したものでございまして、特殊な事情があるものでございます。
  40. 中崎敏

    ○中崎委員 私がちよつと一覧したところだけでも、たとえば十億くらいの銀行が——自己資本その他積立金等を入れてもその倍額程度になるかと思いますが、どんどん至るところに建てられておる建物たけでも、もうそれをオーバーしておるものが相当あるのじやないかというような感じを持つておる。経理上はどういうふうに処理されておるかということは別問題ですが、言いかえれば隠れた利益があるのではないか。これは銀行局の方で十分監督をしておられると思いますけれども、実際的には相当の含み淡産等があり得るのだと考える。そうしてみれば、その七〇%、八〇%よりもはるかに越えたものがある。言いかえれば銀行には相当に隠された利益があるのではないか。銀行に限りません、ほかの金融機関もでありますが、それならばむしろコストを下げて、金利を安く貸すとかいうような方向に当然向けるべきであつて、日本の産業は高い金利に悩んでおる。しかも金がなくて困つておる。これが日本の産業の実態であるならば、そういう面について大蔵省は十分に監督されて、こうしたことがあまり国民の感情を刺激しないように少くとも金融機関の公共性にかんがみて、その使命を全うするという方向により強力に持つて行くように勧告をしてもらいたいということを要望しておきます。
  41. 大西禎夫

  42. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 実はきようは、先ほどから御意見が出ておりましたように、日銀総裁と大蔵大臣、通産大臣とが御出席になることを期待して若干質問しようと用意していたのでありますが、三人ともお見えになつておりません。従つて政策上の責任者がお見えになつておりませんので、それらの重大な問題についてお尋ねをすることは後日にいたしたいと思つておるのでありますが、せつかくそれぞれの係官の方方がお見えになつておりますので、疑問になつておる二、三の点についてお尋ねしておきたいと思います。  多分先ほどから同僚各位からも質問をしたと思いますが、先般来一万田日銀総裁が関西旅行なり大蔵委員会等においてそれぞれ発表されておるものを見ると、たとえば投売りが始まつても、あるいはある場合には破産倒産等が起つても、金融引締めは絶対やるのだという、非常に極言したことを発表されておる。これはもちろん総裁でなければわからないことであろうと思います。けれども日銀が言つておることは私どもはわかります。これは吉田内閣が産業、経済、財政政策上非常に失敗をしてしまつておるのであります。その失敗を締める意味において日銀総裁が言われておることはわれわれによくわかります。しかし日銀金融引締め策だけで、今の日本の産業経済が建て直るか、健全化するか、国際的に競争して打ち勝てる実力態勢ができるか、これらは相当大きな経済上、金融上の矛盾であると思うが、これらに対してどのようにこれらをさばき、解決しようとしておられるか。これらの点を私は相当つつ込んで、今日は三責任者にお尋ねしようとしていたのでありますが、お見えになりませんから、そういう政策上の重大な点において、出席者の係官に答弁を求めるのは無理かもしれませんけれども、一応それぞれ対策等が協議もされてあろうと思いますので、係官の皆さんで、これらの点をどのように政府としてやろうとしておられるのかという点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  43. 大月高

    ○大月説明員 ただいまのお答えは大臣から直接申し上げるのが筋かと思います。私どもといたしましても、いろいろ個人的な見解はございますけれども、そういう大問題につきましては、政府を代表してお答え申し上げるという筋ではないと思います。もし御必要がございましたら、私の御答弁でも一応いいということでございましたら、またあらためて御答弁申し上げます。
  44. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 これは先ほどから申しましたように、無理であろうと思います。またわれわれもそれに対する答弁を伺いますと、従つりてさらに追究もいたさなければなりません。そうするとまた係官の責任上の問題ということが起ることがあつてもどうかと存じますから、これは委員長に御希望を申し上げておきます。ぜひこれは非常に大きな問題でありますから、第二次臨時国会は終ろうとしておりまするけれども、引続き通常国会が開かれるわけでございますから、通常国会が開かれましたら、できるだけ早い機会にこの三責任者に御出席を求められて、これらの問題に対して、同僚各位から真剣に討議をされてあるその結論を、われわれは政府の政策の上に見出すようにしたいと思いますので、この点をひとつ委員長に強く要望いたしておきます。それでは今の問題について御答弁を願うことはそういうことで後日のことにいたします。  それでは簡単なことの一、二点のみをお尋ねしておきますが、大蔵省当局が国会に提出をした資料を見てみますと、来年三月までの財政支出超は、当然見込みの千三百億円が六百二十億に大幅縮小したということを出しておるのでありますが、このような状態は事実であるとわれわれは信じておりますが、そうすると、日銀の方の金融引綿めとこの考え方との間に相当矛盾があるような気がいたしますが、この点は係官の方で御答弁ができると思いますから、これらの点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  45. 大月高

    ○大月説明員 今年度の第二次補正を加えました財政上の国庫収支の見通しにつきましては、当初予算におきまする散超が一千三百二億となつておりましたのが、第二次補正を加えまして、補正後の収支見込みは六百二十八億の散超、こういう見通しになつておるわけであります。相当の減になつておりますが、この原因が最も重要な要素でございまして、先ほど五十嵐理事からお話がございましたように、これは外国為替特別会計の揚超五百八十四億がこの減少の最大の原因でございます。この要素を抜いて考えますと、当初の散超の要素とそうかわらない数字になつております。なお第二次補正におきまする散超の増加の原因は、食糧証券の増加百六十六億が加わつております。これは国内的に申しますれば、インフレ要因になつておるわけであります。従いまして財政上散超の数字が五百億幾ら減つておるということは、要するに外貨を食いつぶしてこのインフレ傾向を若干押えておる。こういうことでございまして、これによつてインフレ傾向が財政上なくなつたというのは間違いであろうと存じます。そういう意味におきまして、この六百二十八億の散超を調整いたしますために日本銀行において各種の引締め策を講じておられる。こういうことはこの数字の裏の意味と完全に歩調が合つておるわけでありまして、私どもの立場から申しましても、現在日本銀行のとつておられます引綿の政策は、今後も当分続けらるべきものと考えます。
  46. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今御答弁で大蔵省の関係は明らかになりましたが、こういうことは資料を出される上におきましても、今御答弁になつたような点を明らかにして資料をお出しにならないと、一つのそういうごまかしというか、そういうものを伏せておいて私は資料を出し発表されることは、ますます国の財政経済状態を最後ににつちもさつちも行かない状態に追い込んでしまうのではないかということも十分お考えにならなければならないと思いますので、こういう点について、後日のために一応私は御注意を申しておきたいと思います。  いま一点お尋ねいたしたいと思うのですが、現在の輸出価格と国内価格との二重価格制の問題でありますが、これは事実上三百六十円の為替レートの崩壊でありまして、複数レートを採用すべきである。あるいは二重価格制をして、さらに調べて見ると、産業経済体制においては、企業利潤を相当上げて配当しておるようであるが、こういう点においてもやはり国の方針というものと、あるいはそういう扱い方の上において、企業家が巧みにその辺をくぐつてつておるという点が明らかに現われて来ておるが、いわゆる二重価格制の問題、為替レートの問題、あるいはその複数制の問題と、この企業家が巧みにくぐつてそういうことをやつておるいわば間接的に企業利潤を擁護をしておる形をとつて、あるいはこれを見のがしておるというような点等が現われて来ておるが、その辺のさばきをどのようにされようとしておるかという点をお伺いしたいと思います。
  47. 大月高

    ○大月説明員 最初の数字の問題におきまして、国庫収支の見通しが当初予算に比べまして散超が減つておる。その根本原因を明らかにしないままに数字が出ておるので、非常に誤解を生ずるというお話でございますが、これはまことにごもつともな御意見でございまして、私どもの立場といたしましては、そういう深い原因があるのであるということを一般によく御認識してもらいたいということをかねがね考えておるわけでございます。その関係は、この十二月に大蔵省から国会の御要求によりまして出しました資料の中にも、一覧表として出してございまして、その点注もございます。従つてその観点で十分表をごらん願いたいと思います。  それから今の五百八十四億の揚超になりました原因、あるいは具体的な計数につきましても、十二月三日に国会に資料として提出してございまして、結局本年度一億九千万ドルに上る国際収支上の赤字になるだろう。この一億九千万が五百八十四億の裏づけになつておるわけであります。そういう意味におきまして、この国際収支の関係と、財政上の関係とをどうしてかみ合せるかということにつきまして、私どもといたしまして最も苦労いたしておるところでございます。  それからお尋ねの点でございますが、国内的には計数的に見ましても、生産指数は最近どんどん上つております。賃金ベースも上つております。雇用の状態から申しましても、必ずしも不景気である、失業者が多いという計数にはなつておりません。そういう意味におきまして、表面上の日本の経済状態は比較的好調に進んでおるわけでございますけれども、その裏は、要するに国際収支の赤によつて裏づけられておる、こういうことでございます。こういう状態が続きますれば、外貨が次第に減ることによつて、結局のところ国内の物価安定のてこがなくなつてしまう、こういうことで、結局その原因は国内における物価が高くて輸入がしやすくなつておる。輸出が出ない、こういうところにあるわけでありますので、何とかして物価を国際物価に近づけるということが今後の経済政策の根本であろうかと考えるわけであります。そういう意味におきまして、企業の利潤が多いというのも、今の傾向から行きますれば当然現われて来ておる現象でございますが、今後この国際物価に対するさやをどのようにして寄せるかという点につきましては、やはり健全財政、健全金融というところでインフレをとめる、物価を下げる、そういうことによつて合理化を促進し、輸出を伸ばす、それより以外に方法はないであつろうということを考えておる次第であります。
  48. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この問題も相当つつ込んで参りますと、根本的には政策上の問題になるのでありますから、係官の皆様にこれ以上つつ込んで聞くことはやめますが、私は大臣がお見えになつたときに徹底的にひとつ論議してみようと思つておるのですが、とにかく日銀あるいは大蔵省の金融引締めの財政政策というものと、今御答弁になつた国内物価価格と国際的な価格というものを同一水準に持つて行こうという点とは非常に大きな矛盾であると私は思うのです。これはきようあなた方とは議論をいたしませんが、日銀なり大蔵省は消極政策を金融財政面から考えておるのであつて、先ほど中崎君も質問をしておられましたが、一面においては民間におけるところの投資というものは無統制で、これを非生産的に濫費、浪費をさせておる。そしてやみ金融は横行しておる。そういう状態を放任しておいて政府の投資関係は非常に引締めて行くということをもつてして、はたして日本の健全なる産業経済の実力、いわゆる国際的に打ち勝てるそういう実力というものが今のようなやり方でこれができるか、これは断じてできない。従つてあなたがさつきからおつしやつていたように、手持外貨を食わざるを得ないのでございます。これはもう日本の産業経済に一番重大な問題です。この重大な問題はどこから起つて来たかというと、自由党吉田内閣の自由放任主義の結果から破綻の極度に来てしまつているのであつて日銀なり大蔵省は先ほど言うようにこれを引締めておる。これは消極政策だから外国に打ち勝てる実力はそれでは出て来ない。これらの問題は後日大臣との間で論議することでありますからきようは申しませんけれども、しかしながら私はあなた方に希望しておきたいことは、そういう考え方で今日なおあなた方が政府のブレーンとなつて機械的にやられるだけであるならば、あなた方の持てる知能を国家国民的な意味において私は貢献することはできないと思う。もつととらわれることなく、私は大いに憂国、愛国的立場からこういう大きな問題に対しては堂々と自分の持てるものをもつて立上つてもらいたいということを希望するのであります。内容にわたつてきようは申しません。  最後に一言しておきたいことは、この日銀なり大蔵省のしわ寄せというものが平和産業と中小企業に同僚各位が申しましたように露骨に現われて来てしまつておるのでございます。そうすれば一体日本は東南アジアなりその他との競争を何で打ち勝とうとするのか、たとえば重工業関係、基幹産業関係というものは御承知のように国連の名において、アメリカの名において輸出禁止をされておるものが大部分であつて、そういう状態にあるのでありますから、とうてい今のようなやり方で国内物価と国際物価を高水準に持つて行くということはできない。それには政府資金相当投入しない限りにおいては設備の近代化と国際水準に持つて行く態勢はできない。こういう点については、私が申し上げるまでもなく、あなた方は勉強して御承知であるが、それは今の状態ではできない。なおしかし、あなた方が専門家として、それらの点を自分らはこうしてやれるという確信をお持ちになつておられるなら、またわれわれはこういう確信を持つて、大臣にも、総裁にも、政府にも助言しておるのであるという、それぞれ専門家のあなた方がこれに対する確信を持つておられるものがあるとするなら、この際私は後日のためにひとつお聞かせ願いたいと思います。
  49. 大月高

    ○大月説明員 ただいまのお話に関しましては、結局国際物価と国内物価との均衡をどういうことでさせ寄せして行くかということになると思うのでありますが、この昭和二十八年度の財政を組みましたときには、やはり財政投資を相当にやりまして、それによつて日本の経済を合理化する、むしろ世界経済の方向と逆行しても財政投資が必要であろうという観点に立つておつたわけであります。その後の情勢を見ますと、朝鮮事変がああいうようなかつこうをもつて終結するような情勢にもなりますし、国際的な情勢はさらに下降の傾向にあるという判断をいたしますと、国際経済と逆行した政策を今後続けることは、外貨事情からとうてい許されないというので、私の個人的な考えでございますが、させ寄せのためには、財政投資は重要ではございますけれども、量は本年度に比べてさらに縮減する必要があるのではあるまいか、国内の需要が多過ぎるということがインフレ傾向を促進している根本の原因であろうと考えます。そういう意味におきまして、二十九年度予算は絶対に均衡予算でなければなるまい、金融もそれに即応しなくてはいけまい、こういうふうに考えておるのでございまして、その他産業の合理化のため、あるいは資本蓄積のための特別な措置を講ずる必要があろうかと存じておるのであります。種々具体的な問題につきましては、私見にわたることでありますので、御遠慮させていただきたいと思います。
  50. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 これ以上根本的な問題を掘り下げて質問し、論議するということは、先ほど申しましたように、責任者である日銀総裁なり、大蔵大臣、通産大臣等がお見えになつておりませんので、係官の人々を相手にして論議しても、これが根本的な問題を解決し、また納得のできる点に触れることはできないと思いますから、他の審議事項もあるようでありますので、この問題は先ほど委員長に御相談をしておきましたように、できるだけ早い機会に以上の三責任者に出席してもらいまして、その際十分論議することにしまして、本日はそれらの内容にわたつて質問のできないことははなはだ遺憾でありますれどけも、私の質問は本日この程度にして、後日に留保しておきます。
  51. 大西禎夫

  52. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 せつかく機会ですから一、二承つておきたいと思います。  五十嵐さんは先ほど基地経済、消費経済、現実の日本の経済はこのようになつているのだというお話でございます。あなたのおつしやるこういう基地経済であり、消費経済であるが、この経済というものは、今日現われたことではないと私は思う。あなたの御説はけつこうでございます。私も同感でございます。しかしあなたのお話が、現在これを初めて知つたがごとお話であり、初めて知つたがゆえに、かくのごとき引締めと、経済界の動揺を起さないようにしなければならないのだというような考え方とは少し違つてはいないか。なぜならば、政府がどのような考え方で進もうが、日銀日銀として独自の考え方を持つて進んで行くのかどうかというところに大いなる疑いを持つのであります。従いまして、あなたにまず伺いたいことは、日銀と政府というものは一体でなく、個々別々の見解を持つて進むものであるかないかをお伺いいたします、
  53. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 具体的に申しますと、今度の高率適用、それから別口貸付制度の整理、スタンプ手形の整理、輸入貿手の整理、これらのものは、私どもの政策委員会で決定したものであり、政策委員会には大蔵省の代表の方も見えておりますので、大蔵省と終始連絡の上で、両者まつたく同意見ということで実施になつた次第でございまして、その間少しも齟齬がないのでございます。大蔵省と日本銀行とは、まつたく一体として、日本経済の現段階における認識と、それに伴う政策の大綱については少しも齟齬はないと承知しているのであります。技術上のこまかい点で私ども下の方で議論する点はまだいろいろありましようが、大綱におきまして少しも齟齬はないと私ども理解しております。大月君その他が見えておりますから、その点お聞き願いたいと思います。
  54. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうすると、政府と一体であるということをあなたは確認をしております。そうなつて来ると、今日あなたのおつしやる基地経済、消費経済なるものが急速にテンポを早めて来たという点については、どこに欠陥があつたのでしよう。絶対にあなたの方の責任でなければならない。その責任を回避するために、今日年末を控えての処理——私は現在あなた方のやつていることがいけないというのではない、一つの政府が何箇年か継続しているが、それは一貫した政治が行われて行つていなければならない、一貫した政治の上に立つた金融でなければならない。そういうような点について、今日初めてそれを関知したがごとやり方には大いなる相違がありはしませんか。そこであなたの方では一律一体的な引締めを今後やつて行く考えでありましようか、そういう考えがありやいなやをまずお伺いいたします。
  55. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 今のお話でございますが、私どもは終始一貫健全金融、日本銀行に対する市中銀行の依存度を少しでも低めたいという一貫した方針で来ているのでありまして、私どもその方針がぐらついたという覚えは決してないつもりでございます。ただ私どもは学者じやございませんので、現実事態は刻々に千変万化いたしますから、その千変万化に応じて、現象的にあるいは二歩後退、一歩前進、あるいは三歩後退二歩前進とか、いろいろなことがありましようけれども現実事態は常に生きものでありまして、経済組織体で生きているので、常に波を打つておりますから、これに対して固定的な金融政策はとれぬわけであります。現象的な金融政策というものは、基本的な、底を流れる太い考え方とはときどき相違があるかもしれませんが、しかし大河は依然として海に流れて行くという意味におきまして、ジグザグはありましようけれども、健全金融、日本銀行に対する市中銀行の依存度を狭めて、だんだん少くして行く、こういう考え方は一貫しておるわけでございます。  それから今後の政策ですが、これも先ほど私申しましたが、外貨を食いつぶして行くような事態が続く限りは、やはりこの政策を続けなければいかぬのじやないかと思つておるわけでございます。
  56. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 為替レートの関係で輸出貿易がいかに貧困であるかということは、あなたの御指摘の通りでございます。日本の現在の輸出貿易が振わないという理由はどこにあるか、あなたの御指摘の通りの面にかわつてつておるということは、どこかに原因がなければなりません。その原因をあなたはどういうふうにお考えになりますか。政府の目的である今の日本の輸出貿易が振わない原因はどこにあると信じますか。あるとするならば、その目的を貫徹するためにはそれを解決して行かなければならないと思うのであります。従つてあなたばどこに欠陥を見出しますか、お伺いいたします。
  57. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 ただいま大月総務課長からお話がありました通り、やはり日本の物価が国際的に割高になつておる。しかも国際情勢から言えば、外国の物価は今後下ることはあつても上ることはない、という答弁が一番妥当ではないか。しかるにインフレ的な気分があるわけでありますから、その間の乖離といいますか、そこに私は貿易を阻害する根本の原因があるのではないかと思います。しかし日本の国際的に割高の物価を是正することが、並たいていの仕事でないということもよく承知しております。みんなの苦心と困難とをおそらく数年にわたつて続けなければ、達成はなかなか容易じやないと思うのであります。思いつきでどうこうという意味ではございません。私どもそういう口幅つたいことを言えた義理はないのですが、とにかく国民全部が長きにわたつて相当の困難を続けなければ、これを乗り切ることはむずかしいのつじやないか、そんなことでございます。
  58. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ただ耐乏生活を続けさえすれば輸出貿易が振興するんだというお考えは、大いなるあやまちではないでしようか。私たちは今日恐るべき日本経済の破綻を来してはならない。従つて委員会を通じましてわれわれの考え方をるる述べて、政府はかくのごとくにしなければならないということに対しては警鐘を乱打したつもりであります。しかし今日ここに至つてもう、につちもさつちもというような状態です。日本の経済がどの点にあるかということは、この委員会では話ができないほどの恐るべき経済であるということも、あなたはよく御承知だと思うのであります。ただ国際物価に対しまして日本の物価を引下げるんだというならば、引下げるにはどういうふうに考えているか。金融を引締めたから物価が下るというお考えでございましようか。私は大いなる疑問を持ちます。そこで伺いたいのは、しからば政府が基幹産業というものに対する一つの計画を表表しております。たとえば電源の開発だとか、合成繊維であるとか、地下資源の開発、なかんずく石油の開発をするとか、こういうようなことをやつて自立経済をしようという考え方を発表しております。私は現在の政府としては上出来だと思い、心から賛成をいたしました。こういうような政府の財政投資という面について政府が一つの計画を持つて進んでいるこの際、一律一体的な引締めということになつた場合には、こういう計画に現われておるところの支出も補助政策も、これに変更があるものかいなかを大月さんとあなたにお伺いいたします。
  59. 大月高

    ○大月説明員 基幹産業に対しまして財政投資をやつて行くということは、今後も絶対に必要であると考えております。ただその基幹産業の、たとえば電力五箇年計画を五箇年でもつて完成すべきかどうか。その結果財政資金の量が急激にふえ、インフレ傾向を起す心配がないかどうか。そういう点は、具体的な経済事情のもとにおきましてその都度考虜する必要があると考えるわけでありまして、そういう意味において、来年度の財政投資につきましても若干の量の縮減、それから重点化、こういうことはどうしても必要であろうかと考えます。ただ根本的に財政投資をもつて基幹産業を育成して行くという方針は、今後とも続けるべきものだと考えておるわけでございます。
  60. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 先ほど来のお言葉で、困難さえ続ければ云々のお話がありまりしたが、困難だけで解決する問題ではありません。政府の適切なる総合政策のもとで長きにわたつて困難を続けなければ打開できないものと考えます。引綿めだけで物価の国際的割高が是正されるとも考えておりません。これは先ほど私いろいろ申し上げましたからおわかり願えると思いますので、繰返しませんが、あとは政府の適切なる総合政策あるいは二十九年度の予算をいかに編成されるかというような基本的な政府の政策をお待ちしているわけでございます。
  61. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 その面によつて変化をするべきものだというお話でございます。私は国際物価云々という立場に立つならば、なすべきことは貫徹をし、原料を与えて、あらゆるエネルギーを与えてその産業に携わらしめ、しかる上に立つてすべての施策というか、たとえばかくのごときことになつたならばインフレになるとか、また輸出貿易が振わないという面ならばその点から考えるべきであつて、たとえば政府が何年計画という一つの計画性を持つて行う場合は、おそらくはそれらに考え方を置いて進んで発表をしてあるものだと思う。いずれにしても、その元を与えておいて、あなた方の考えておる耐乏生活もけつこうだろうが、元を与えず、何も与えないで国民に耐乏をしろということは、筋が通らないのではないですか、そういうふうに私は考えます。  もう一つ五十嵐さんに伺います。地方銀行の商業手形でございますが、この割引のときに頭金を三分の一とつております。これは当然のごとくとつておりますが、これはそういうふうにしなければならないというような通牒でも出ておるのでございましようか、お伺いいたします。
  62. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 そういうような通牒が出ているとは私記憶しておりませんし、おそらく出ていないと思います。またそういうことは商慣習に従うべきものである。一々私どものとやかく言う問題でないと思います。現実に信用のない取引先に貸した場合に、手形割引の都度二分か三分くらい積み立てているものはあるようでありますが、そうでない利ざやかせぎの意味の両建預金的なものは、これは大蔵省銀行局からも、私どもからもよく銀行には警告を発しておるわけであります。しかし不良貸出先に対して割引の都度、二分なり三分程度のものを積み立てさせて行きますことは、銀行の自己防衛上ある程度慣行としてやむを得ないものじやないか、こう思うわけであります。
  63. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 信用のないものはそういうお言葉がありましたけれども、あなたの指揮下にある日本の銀行金融機関は、信用のないものには絶対貸すはずもありませんし、また割引してくれるはずもありません。またどんなに信用のあるものに対しても、この三分の一というのは必ずとつておるのであります。あなたが御承知の通りです。信用のないものになんて全然金融なんかはしておりません。ですから、今私が申し上げたいのは、この際非常な引締めで苦しまれている中小企業者にこの面だけでも何とか打開する方法を考虜してもらうことができないかということでお願いかたがたあなたにそのお気持を伺つているわけでございます。そういうことに対してはいかがでしようか。
  64. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 形式的に申しますと、銀行は信用のないものには貸さぬ、それはそれに違いありませんが、しかし実際問題としてはなかなかいろいろのことがありまして、やはり不安の向きに対しては手形の割引の都度、その会社の利益の範囲内で、マージンが三分あればそのうち一分とか二分を積み立てさせるくらいのことは、これはむしろその会社のためにいいのじやないかという気がするのでありますけれども、そうじやなく、ただ銀行が利ざやかせぎのために両建て預金するのはけしからぬことでありますから、厳重に注意もし、また従来からも口がすつぱくなるほど言つているわけであります。御趣旨の点はよくわかりますから、さらにまた銀行に注意をいたしますが、実際は信用のない貸出先もずいぶんありまして、そういうところはやはり少しずつ積み立てておく方が、かえつてその会社の経理が健全になつていい場合もあり得るわけですから、その点御了承願います。
  65. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 もう一つ伺いますが、現在のように中小企業者全般が苦しい立場になつて参りますと、やみ金融というものがますます横行して来るのでございます。このやみ金融に対するあなたの御見解を明らかにしていただきたいと思います。  もう一つ、かねて公庫の方へ代理店通牒を配付してもらいたいということをお願いしておいたのですが、いまだ配付になつておりません。その点は公庫の方はどのように考えているか。あれは内緒で出せるのか、出せないのか。絶対見せられないというならば、われわれ無理に見せてくれとは言いませんが、もう十日以上たつので、もし何ならば配付していただきたい。  続けてもう一つ五十嵐さんにお伺いします。現在の進み方からいつて、為替の問題が関連して来ると思いますが、レートの関係に対してはどのようなお考えを持つておられますか。それもひとつお答えをお願いいたします。願わくば大月さんからも、これに対してのお答えをお願いいたします。
  66. 五十嵐虎雄

    五十嵐参考人 やみ金融に対する見解でございますが、実はこれは大蔵省銀行局の関係でございまして、大月課長さんからお話願う方が、責任あるお話ができると思います。好ましくないことは好ましくないのでありますけれども、しかしまた存在そのものは合理的なりという言葉もあるくらいですから、そこに何かまた必要もあるかと思います。少し横道ですけれども、やみ金融がほんとうに出て来ましたのは朝鮮事変後で、昭和二十四年のドツジ・ラインのころは、二十銭、三十銭のやみ金融で借りても、それに引合う相場じやなかつた。それが朝鮮事変ブームによつて企業が非常にもうかるようになつてから、やみ金融というものが盛んになつて来たのであります。それにまた例の光りものなどは、現金を持つて行かなければ集められない。それと進駐軍の特需であります。これは待つたなしの期限ですから、やみ金融で借りてでも早く納めなければならぬ。銀行から借りれば手数や時間がかかるというので、ああいうものがだんだん発達して来たのでありましようが、朝鮮ブームが終息いたしますと、やみ金融にいろいろの故障が起き、また蹉跌するものも出て、いろいろ問題が起きたようでありますが、取締り方法その他につきましては、私ども所管外でございますから、大月課長さんにお話願いたいと思います。  為替レートの問題でありますが、もちろん政府の御方針は為替レート三百六十円を憲法のごとく堅持するということで、私どもも政府の御方針に従いまして、為替レートはあくまでも堅持するという所信のもとに、すべての考えを集中しているわけでございます。
  67. 大月高

    ○大月説明員 為替レートの問題は、三百六十円のレートを変更する方針は全然ございません。これを堅持する方針でございます。
  68. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 以上大体お聞きいたしまして、先ほど伊藤先生からの発言によつて大臣各位が御出席になりましたその節、基本的な面についてはゆつくりお尋ねしてみたいと思いますので、これで終ります。
  69. 坂口芳久

    坂口説明員 先ほどお尋ねのございました通牒でございますが、皆様に知つていただきたいと思う部分もございますから、ただいま準備いたしておる次第でございます。
  70. 大西禎夫

    大西委員長 加藤清二君。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 ごく簡単にお尋ねいたします。実は今やみ金融の話が出たのでありますが、保全経済会が倒れたのについて、こういう匿名組合式のものが今なおどのくらい存在しておるか、これについては一体将来どうしようとなさるのか、これを日銀と大蔵省は一緒だそうでありますからいずれの方でもよろしゆございますから、お尋ねしたい。  もう一点は、ここへ金を預けた方々はたいてい中小企業から、零細な人ばかりです。これらが今非常に不安を感じておるわけであります。そこで国民金融公庫であるとか、あるいは中小企業公庫というようなもの、あるいは商工中金というような正常金融にこれらの不安がつておる人々を導くのには一番よいチヤンスだと思うのであります。そこでこれに対して法律的保護を受けておるところの公庫金庫の方々は、この際どのような手だてをなさろうとしておるのか、こういう点について承りたい。  ところで最後に申し上げておきますが、先ほど日銀五十嵐さんもおつしやいましたが、銀行はお客を引くために建物をりつぱにするのだというお話ですが、この話は前に大蔵省側もいたしました。ところがこれは、町の人はそう思うでしようが、そういうことも考えておつたら思わざるもはなはたしい。いなかの人はあまり建物のりつぱなところへはよう入つて行かない。さればこそこういうやみ金融がはやる。簡単に入つて行けるところの方がどれほど気やすく入つて行けるかわからぬ。大きなりつぱなホテルにとまりに行くよりも、簡単なくらげマークのところに入つて行くのと同じ気持なのであります。こういう点も考えなければならぬと思うが、もう一つ考えてもらわなければならぬことは、書類審査が非常にむずかしい。五十万借りるのに、審査をパスするためにつくる書類の費用が三万円も四万円もかかる。その上日にちがたくさんかかつてかなわぬ。こんなに精神的に苦労するのではばからしいから町の金融機関に行つた方がいい、こういう声を聞くのです。いくら政府の方が安い金利で貸すといつても、手続書類よけいな時間や雑費をとられるからついつい遠ざかつて行く、こういうこともあるわけであります。そこで正常な金融へ導いて行くチヤンスをどのように利用し、どのように国民に健全な経済のあり方を指導しようとしていらつしやるのかそういう点について、公庫金庫責任者にひとつ質問したいと思います。
  72. 大月高

    ○大月説明員 保全経済会の問題でございまするが、保全経済会自体は資金量四十四億と申しておりますが、これの法律上の性格は、商法上の匿名組合あるいはこれに準ずるものでございまして、こういう性格の利殖機関の資金量がどのくらいあるかということは、各方面で非常な関心を持つておるわけでありまするが、直接政府の監督下にない、いわゆる町の利殖機関となつておりますので、推定を加えるよりほかない状態でございます。大体において私どもの見ておりますところでは、二百億前後であろうかと考えております。こういう出資を一般の大衆から求めまして、これを株式なりあるいは不動産に軍用する、こういうような業態につきましては、保全経済会の実例もございまするので、今後一般の大衆がいろいろな損害をこうむらないようにできれば一定の型の出資による利殖機関を禁止するあるいは制限するという方向考えたいということで、法務省と大蔵省との間で目下研究中の状態でございます。
  73. 大西禎夫

    大西委員長 次に、木材に関し質疑の通告がありますから、この際これを許します、中崎敏君。
  74. 中崎敏

    ○中崎委員 私は森林資源の問題に関連しまして、木材需要の合理化に関する問題を主として質疑してみたいと思うのであります。終戦直前後より日本は水害によりますところの被害が多くなりまして、その後年々歳々その被害額は高まりつつあります。国におきましてもこれが予算的措置として年々巨額の金を投じておるのでありまするが、なかなか容易に災害は復旧できないで、次から次へと新しく災害が起つておるという実情であるのであります。その原因はいろいろあると思うのでありますが、一番大きな原因は、戦争中からの森林資源の過伐、濫伐にその原因があると考えるのであります。これがために森林資源は年々枯渇して行きまして、成長するところの森林の速度よりはるかによけい進んでおる実情にあるようであります。そこでこれらの点について簡単に林野庁長官から説明を聞きたいのであります。ことに九州の水害の結果最近においては木材の価格が非常に上り、それがまた一般の物価の値上りに非常に大きな役割を果しておるという憂うべき結果になつておるのであります。今にして根本的な対策を立ててこの問題を解決しなければ、国の将来は実に憂慮にたえないものがあると考えております。そこで林野庁の長官の方から、この一箇年間において木材の需給状況が一体どういうようになつておるか、もし依然として濫伐して行かなければならぬということになれば、これに対する対策は一体どういうふうに考えておられるかということをお聞きしてみたいと思います。
  75. 柴田栄

    ○柴田政府委員 ただいまお話の通り、戦争以来軍事用材、終戦後復興用材あるいは家庭燃料の急激な増加等によりまして、山が無計画に非常な過伐を繰返して参りましたことは御指摘の通りでありまして、これらの関係が最近におきまする台風その他の水害によりまして、被害を年々累加いたしておるということは、ただ単に森林資源の枯渇という原因のみではないと申しましても、相当大きな影響があるということは否定できないことでございまして、私どもこの点については非常に苦慮いたしておる次第でありますが、今日施設の復旧あるいは住宅問題の解決あるいは家庭燃料の問題などより見まして、最小限度の需要をこれまた充足いたさなければならないさし迫つた状態にもあるわけでありまして、二十五年から木材薪炭とも統制が一応撤廃されましたので、その後におきましては的確なる需給の推算をいたすことが非常に困難な情勢にはなつておりますが、一応推算できるところといたしましては、二十七年度におきましては、用材におきまして約一億百六十万石に相なると推計いたしております。さらに薪炭用材といたしまして約一億石、合計いたしまして約二億二百万石を一応の推計をいたしておりまするが、これを林野の力からいたしますると、全蓄積六十億石余に対しまする成長量伐採ということを考えますと、全林野に対する成長量を一応対象といたしましても、立木換算して成長量は一億七千五百万石程度にしか相ならぬのでありまして、相当の過伐を繰返さざるを得ないという状況になつております。二十八年度におきましては用材で一億七百六十五万石程度を推計いたしておりまするが、さらに薪炭林として約一億、これをこのままで放置いたしますれば、依然として幼齢林の伐採を続けなければならない。なお林道その他が非常に不足をいたしておりまして、実際問題として伐採対象とならないのが八百数十万町歩ございまして、蓄積で三十億石近いものが今後の開発にまたなければならぬというような状況にあります。そこで一面におきましては、これらの未開発林の蓄積を活用することと、成長量を増加させるために、天然の成長の衰退いたしておる山に対しまして、計画的に人工植栽によつて更新を促進し、あわせて成長量を増すという方法を当然考えなければならない。そこで、御承知の通り今年度、頻発いたしまする大水害に根本的な対策を考えなければならぬということで、治山治水協議会において御審議を願い、一面において現在二千五百数十万町歩の林野に対してその約二割程度の五百四十万町歩足らずしか人工植栽林はないのでございますが、これを八百万町歩程度まで早い機会に増強することによつて成長量を増す、一面におきまして八百数十万町歩にわたる未開発林の計画的な開発を進める。言うてみますれば、現状におきましては、死蔵されておりまする資源を活用すると同時に、老朽化いたしておりまする山を更新いたしまして成長を増すということを計画的に進めるというような施策を、年次別に計画をいたしておる次第でございますが、ただちに人工植栽を強化いたしましても、四十年後くらいでなければ直接の影響が現われて参らない。その間年々生じまする需要を調整して行くということは、どうしてもわれわれとして考えなければならない問題でございます。そこで外材輸入の問題等も、通産省とは常に連絡をして、いろいろ対策を講じて参つておる次第でございます。反面におきましてわが国の林産物の使用の方法は必ずしも集約化されていない。非常に粗放な面が多いと考えられますので、この際国の基本問題にも関連いたしますが、治山治水の問題等とも関連いたしまして、政策的にも、あるいは国民的な協力の面からも消費の節約合理化に対しましてあらゆる面において御協力をいただかなければならないと実は私ども考えている次第でありますが、今日あるいは生産増強、輸出振興等の面からいたします木材繊維利用のパルプ工業界の問題であるとか、石炭鉱業関係に対しまする坑木の問題であるとか、さらに新しい利用合理化の面におきまする廃材利用による節約の問題であるとか、幾多の問題がございまして、それぞれ私どもといたしましては主として指導を主体として進めておりますが、木材等の林産資源を対象とする産業指導の面から通産関係においては特に緊密な御連絡をいただいてこれが対策を進めなければならぬ、かような状況にございますので、今日実は非常に無理な需給のつじつまを合せて、どうしても間に合わぬ点は節約あるいは使用の合理化においてぎりぎりのところ五、六百万石を毎年無理をお願いしなければならぬ。しかもここ四十年くらいはまだ上向いては来ない、こういうのが現状だというふうに御承知を願いたいと思うのであります。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 いろいろ説明を聞きまして大体わかつたのでありますが、そこで具体的に伺つてみたいのでありますが、これら産業指導の方面からこうした有用な国家資源を生かして行く問題について、通産省軽工業局長の方からそれについて具体的なことを考えておられるか、御説明を願いたいと思います。
  77. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま林野庁長官から現下の木材需給情勢についての一般的御説明があり、同時にこれに対しまする基本的な御方針の御説明がございましたが、特別に木材関係と密接な関係がございます通産省軽工業局といたしましては、林野庁側の御意見、特に年間三千万石くらいの節約と申しますか、合理的な利用という問題に関連して御要請がごさいましたので、私の局並びに関連がございます他の局とも相談しつつある状況でございますが、その際考えておりまする合理化の具体的な内容につきまして一言申し上げたいと思います。もとよりここに申し上げます具体案は、目下関係者の間で検討中でございまして、あるものにつきましては構想という域を脱しない向きもあります。また今後の問題としましてそれと関連いたします事項をも検討を加えませんと、最終的な具体案といたすことは困難かと存じますが、御熱心なる御質問に対しまして、私の考えます点を率直に申し上げたいと思います。  木材資源の合理的利用という見地から、特に需要量の大きい基本的なものにつきまして具体的に検討を加えておる状況でございます。これを数字的に一応かいつまんで申し上げますと、鉄道のまくら木につきましては、年間需要が約七百五十万本でございまして、石に直して約三百万石、このうちの三分の一の二千五百万本を、PSコンクリート製品をもつて逐次代替できますれば、これによります節約量は約百万石程度に相なります。  次に電柱でございますが、年間需要が約百六十万本、石に直しまして二百四十万石に達しますが、このうちの三分の一の五十万本を遠心力鉄筋コンクリートポール鉄柱またはパンチエル・マスター法による鉄板柱をもつて代替できないかどうか。これはおそらく可能であろうと考えるのであります。今日非常に木材の価格が値上りした関係もございまして、非常に代替が普及しつつございます。  次に鉱山関係で使います坑木でありますが、これは年間需要が一千万石ございまして、このうち永久坑道の三十万メートルを鉄わく及び先ほど申しましたPSコンクリートをもつてかえる。また切羽坑道につきましては、四万メートルをカツペをもつて代替することが可能ではないか、こういうぐあいに考えておるのであります。これによります木材の節約は三百五十万石程度に達するのであります。  次に土木建築関係について申し上げたいのでありますが、組丸太につきましては、年間需要百五十万石のうち、三分の一を遠心力鉄筋コンクリートポールをもつて代替することが可能でありまして、今日経済的にほぼ引合うのではないかという状況であり、これに対します生産設備の拡充ということを考えております。これによります節約がさしあたり五十万石程度考えます。  次に橋梁でございますが、年間需要が百二十五万石ございまして、このうちPSコンクリート及び鉄橋をもつて代替いたしますと、三割の節約が可能と考えるのであります。  次にコンクリートの仮わくでございますが、コンクリート工事用のセキ板の年間消費は約三百五十万石でございまして、このうち三分の二を鋼製のパネルをもつて代外する考えでございます。諸外国におきましては、この方式は、経済的見地あるいは作業の合理化ということから非常に古くより普及しているのでございます。今般木材節約の見地からいたしまして、わが国におきましてもこの方式の採用が必要である、こう考えたのでございます。これにつきまして、今日まだ具体的に最終的にはきまつておりませんが、適当な民間の機関をつくつたらどうかとせつかく関係者と協議中でございます。これによります木材の節約はおおむね二百三十一万石程度に達すると思うのであります。  次に足場丸太でございますが、これは年間百四十一万石程度の消費がございまして、このうち三分の一を鋼管製足場丸太にかえたい、こういうぐあいに考えております。これに対しましても適切なる民間指導機関が必要ではなかろうかと考えております。これによります木材の節約はおおむね五十万石に相なると思うのであります。  次に一般建築の問題でございますが、年間建築量一千万坪のうち、耐火建築は約百万坪であるかと思います。これを指導いたしまして四百万坪に拡大いたしますと、約六百万石くらいの木材節約ができるのでございます。その他この残りをいろいろな代替品にかえるという問題をも考え合せますと、その方でまた七十二万石くらいの節約ができるのではないか。  最後に先般当委員会において可決され、国会を通過して成立いたしました木材防腐特別措置法の制定で耐用年数の増加ということが想定できますが、これにつきましては、年間節約量でおおむね六百万石くらい行けるのではなかろうかというぐあいに思つているのであります。  以上考えますと、大体二千万石くらい、今日のプログラムとして、たとえばこれに要します生産設備運転資金あるいは設備淡金、こういうようなものの目安いかんが今後の大きな問題でばございますが、この方面の問題が解決いたしますならば期待し得るのではなかろうかと思うのであります。  以上の数学的な構想を前提といたしまして——PSコンクリートの事業は技術的にほぼ見通しが立ちまして、各方面これが企業化の段階に突き進みつつあるのであります。今日までのPSコンクリートの生産実績は、二十七年度で約四千五百トン、二十八年度は一万トンに達するように考えられます。今日拡充見込みと申すものは必ずしも正確になつておりませんが、たとえば北海道、福岡、岡山その他の地方でそれぞれ工場の建設計画を立てつつございます。またコンクリート電柱にいたしましても、量的に相当数字がふえております。たとえば二十七年度におきましては六千十九トンでございましたが、二十八年度は一万二千トンになるのではなかろうかというぐあいに想定いたしております。こういつたいろいろな技術の進歩に伴いまして、本来の基本的な木材節約を実現いたしたいというのがただいま林野庁官からもお話のございました木材の合理的使用についての基本的な考え方かと思うのであります。今日これは最終的仕上げの通産省案あるいは政府案というところまで立至つておりませんが、さらにこれをしさいにわたつて検討いたしまして、国の政策の一環といたすのが適当ではなかろうかと思うのであります。  なおこの際一言参考までに御報告さしていただきたいと思います。と申しますのは、先般通過いたしました木材防腐法の実施は、本格的には来春一月一日からでございまして、目下防腐業者の届出その他の実施されております事項を促進いたしておりますが、本法を本格的に実施しておりません現状でどんな空気であるかということを資料的に申し上げますと、まくら木と電柱その他全部ひつくるめまして、八月までに十六万四千八百二十一トン防腐剤を使用されております。九月に至りましてはこれが十七万七千二百三十二トン、十月にはさらにふえまして、十八万五千六百トンという状況に相なつております。これは今日の木材の価格の経済的問題も一部あり得ると思いますが、根本的には防腐剤の利用ということが、経済的にも、技術的にはもちろんでございますが、需要家に対して非常に役立つものである。こういう観念が逐時浸透して参りまして、木材防腐法の趣旨が実施前にすでに顕著に現われつつある傾向と考えまして、木材の節約の見地から、さらに木材防腐法の趣旨徹底ということについて、さらに私どもは検討を進めて参りたいと思うのであります。
  78. 中崎敏

    ○中崎委員 時間の関係がありますので、きわめて簡単に一つだけ申し上げます。治山治水の面から言いましても、日本の産業の進展の上から言つても、木材価格の適正化ということにつきましては、ただいま考えておられる範疇の考え方は非常にけつこうなことだと思います。いわば一石三鳥のねらいだというふうに考えておるのでございます。そこで政府の方では、関係各官庁が緊密な連絡をとられまして、そして熱心にこの研究をさらに具体的に進められて、本予算の中に必ずこの施策が盛り込まれるような努力、熱意を示していただきたいと考えるのであります。ただここで一つ遺憾な点は、木材防腐に関する法律がわれわれの熱意を傾けて通過したのでありますが、これを有効に実施するがためには、やはり監督が十分に届いておらなければならぬ。いいかげんなものが使用されますと、やはりせつかくつくつた法律趣旨が徹底できないという結果になりますので、当局の方において、これが監督指導については、十分に熱意を持つてつていただきたいと思うのでありますが、これが予算的措置は一体どういうふうになつておるのか。この前の国会に出て通過したものなので、本予算の中にはその当時はなかつたのでありますが、その後その予算がどういうふうになつておるのか、この点をお聞きしてみたいと思うのであります。
  79. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいま私が申しました一般的な節約の構想につきまして、これが本予算に関連の多いものも相当ございます。今日それが本予算に入るよう努力はいたしておりますが、なかなか困難な問題がございますので、せつかく御鞭撻をお願いいたしたいと存じます、なお木材防腐の実施についての予算につきましても、本格的な実施を前にいたしまして、せつかく大蔵省と事務的折衝中でございます。
  80. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今、中村軽工業局長から、木材にかわるものとして、鉄、コンクリートのことをいろいろ例をあげて説明されましたが、実際問題としてわれわれが重大な問題だと思うのは、昨年の秋から本年の夏ぐらいまでに木材が四割ぐらい高くなつた。さらに今年の水害から今日までまた三割以上高くなつた。とめどもなくこうして高くなつて行くのであります。そこで今中村局長の言われたような程度の切りかえで、とめどもなく上つて行く単価を食いとめることは、私は困難だと思うのであります。これらの問題を調整するためには、何らかの処置をとらなければならぬと思うのだが、ついてはその規正の方法としてどういうことを考えておられるのか。たとえば政府立法としてこれらに対する法律でも何か出そうという用意があるのかどうか。あるいはわれわれの中においても、政府が出さなければ議員立法としてでも出さざるを得ないぞという声も相当ある。私は問題はそこに迫つておると思う。中村局長の言われたことも、将来の対策としてはけつこうだが、しかしながら当面の問題を解決するということについては、私は容易じやないと思うので、そういう点からこれらを調整、規正する方法としてどういう点を考えているか、あるいはそういう立法でも出される用意でもあるのか、これらについて説明は何も長々というません、簡単に一言お願いいたします。
  81. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 私はまだ熟さない意見でございますが、ただいまの構想を具体的にやります場合に、法律の問題が出ましたが、ただいま林野庁長官からもお答えがありましたように、これは指導ということを中心にしてやつてみたい、こういうぐあいにただいまのところ考えております。もちろん先ほどの答弁で申し上げましたが、適当な民間機関というものをつくりますことは、これは指導でできることでありますし、やはり強制利用に関します法律を出すかどうかということにつきましては、むしろ指導ということを中心にして、この際実施してはどうかというぐあいに考えております。ただそのような措置では、お説のように目下の急務を解決し得ないのではないかといううらみがあるかと存じますが、はなはだ熟しない意見でございますけれども、私は目下のところできるだけ指導ということを中心にして進みたい、こういうように一応考えております。なお詳細検討いたします。
  82. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 おそらく林野庁長官も、中村局長もこのままではいかぬということをお認めになつておることは、明らかであると思う。そこでこれらを調整、規正するのには、法律の問題が起つて来ると統制の問題にならて来るので、これは自由党政府の方針に反するということを多分に気づかつておられるのではないかと私は思う。そういうことで気づかつてこの問題を解決されぬということは、先ほども言つたように、あなた方は非常に実情をつかんで勉強もされ、施策も立てようとされておるが、自由党の吉田内閣の自由放任政策に侵入するくらいとことんまでやつてほしい。はなはだ私は遺憾であるが、ひとつそういうことは気がねなしに、いかにすれば国のために国策として妥結するかという点に向つて、ひとつ勇気を振つてその方策を立てられるよう要望しておきます。あなた方がやられなければ、われわれ議員立法としてやるかもしれませんから、その点私はあなた方に強く要望しておきます。
  83. 中崎敏

    ○中崎委員 最後に、この考え方は非常にけつこうだと思います。また必要だと思いますので、この問題については関係官庁の方でも十分検討してもらつて、指導を中心にして、立法的な面が必要であるならば、そのような方法も考えられる。さらにこれには強力な指定融資というような国家資金の必要性も感じられると思います。中には免税等の措置を講じて、こうした新しい産業の助長の道を講ぜられる必要があると思うので、ぜひこの際総合的な施策が強力に推進されなければならぬ。そこで通産委員会においても、場合によれは農林委員会とも関係があるかもしれませんが、いずれにしてもこれに関する調査委員会でも設けてやつてもらうことを希望するのでありますが、これは理事会において十分協議してもらつて、国家的の重要問題であるということを認識願つて、このことの進展について適当な措置を要求しておきます。
  84. 大西禎夫

    大西委員長 本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時四十九分散会