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岡田説明員 まず第一に本日遅刻して参りましたことをひとつ
お許しを願いまして、今後必ず定刻に参りますからひとつ御寛容を願いたいのであります。
年末
金融の
関係につきまして、ごく概略の御
説明を申し上げたいと存じます。第三・
四半期の
政府の散超額を見ますると、前年におきまして千七百六十億
程度でございましたものが、本年の見込みといたしましては、二千億を越すのではないかというふうに見込まれておるのでございます。これに関連いたしまして、
金融の引締めが行われておることは御
承知の
通りでございます。この
金融の引締め
そのものにつきましては、ただいま申し上げました
政府の
資金の
散布超過によりまして、インフレの
状況を来しては相ならぬ。あるいは従来から
金融の
やり方がある
程度甘かつたというふうな点から、若干の経済上に好ましくないような
状況が出ておるということを是正する
意味合いで行われております。この引締めということ自体につきましては、われわれといたしましても了承をせざるを得ないと存ずるのでございますが、
政府の
散布超過が直接に行われまする
相手方としましては、
農民側にあるいは
公共土木事業費でございますとか、あるいは
防衛費の
支出等に相なりますれば、大体大きな
企業の方に直接出て行く。これらが
中小企業にまわりますのには、時間的なずれがあろうかと思われるのに対しまして、
金融の引締めというものは、大体が直接に
中小企業に
影響が来ておるようにも考えられるであります。これが具体的な現われとして
不渡り手形の
状況で見てみますると、前年の十一月におきまして、これは東京の
手形交換所の
数字でございますが、一日当りおおむね千枚
程度でございましたものが、本年の十一月におきましては、千二百五十枚
程度の
不渡り手形の
状況でございまして、
金融の引締めが中、小
企業に
かなり強く響いておるということが、この
一つの
数字からも推測ができるのではないか、かように考えておるのでございます。さようなわけでございますので、われわれといたしましても
金融引締めの基本の線をくずさない範囲内におきまして、この
影響が
中小企業にへんぱにかか
つて来るという点をどうしても是正しなければならぬという
趣旨から、いろいろの対策を実施しておる次第でございます。
その第一といたしましては、
指定預金の
操作の問題でございます。
指定預金といたしましては、十一月末の残高といたしまして、
総額二百八億、
うち中小企業金融機関関係が百二十六億でございます。これに対しまして、新たに十一月末に
中小企業金融機関に向けまして五十一億、それから
銀行筋のうち、
新規につくられました
銀行でございまして、いまだ
日本銀行との
関係も十分行
つておらぬ、また
冷害地方に存在しておるという
関係から、四つの
銀行を抑えまして、これに四億、
合計五十五億の
政府預託を
新規にいたしたわけでございます。この五十五億という
数字そのものは格別大きな
数字と申すわけには参らぬかと存じますが、昨年の暮れにおきまして、
政府の
新規預託をいたしました
金額が七十億でございまして、そのうち
中小企業専門の
金融機関に対しまして預託いたしましたものが三十五億と相
なつておるのでございます。昨年の十二月中におきます
ところの
中小企業専門金融機関の貸出し
純増を押えますと、おおむね二百三十数億に相なるのでございますが、本年の十二月中におきます
ところの
中小企業専門の
金融機関がどの
程度の貸出し
純増に相なるかということは、これは今的確に押えることが不可能でございますけれ
ども、これをかりに三百億
程度と想像をいたしてみますと、それに対しまする五十五億という
金額の
数字はそう価値のない
数字ではないと私
ども考えておるのでございますが、しかしながらこれをも
つて十分なりと考えるわけにも参りませんので、
政府の
指定預金引揚げの
予定といたしまして、十二月中に
総額六十億
程度、
うち中小企業金融機関に四十六億というものが
引揚げの
予定と相
なつております。この四十六億円につきましては、今後の様子によりましてさらに
引揚げを延期するというふうな
措置も講じたいというので、いかなる時期にいかなる状態のときにやるかというふうなことにつきまして、
大蔵省当局とも密接な連絡をと
つておる
状況でございます。
次に
政府関係の
金融機関の関連といたしましては、まず
国民金融公庫につきまして申し上げてみますと、昨年におきましては十一月十五億、十二月四十五億、
合計六十億の純貸出し増をいたしておるのでございます。本年は
災害関係におきまして十六億円を別
わくとして出しました
関係上、
かなり資金上の
操作が困難に相
なつてお
つたのでございますが、新たに
資金運用部から十六億
程度の
借入れをいたすこともできるように相なりました
関係から、ともかく
も本年度といたしましても前年度に劣らざる貸出しの
純増をいたそうという
用意をいたしておるのであります。すなわち十一月におきましては二十八億
程度のものを大体出しております。十二月におきましては四十六億くらいのものを出し得るじやないか、かようにいたしておるのでございまして、前年度に劣らざる純貸出し増をいたしたいという
段取りでございます。
次に先般新たに
発足をいたしました
ところの
中小企業金融公庫の
関係でございますが、これは第三・
四半期といたしまして、現在六十六億くらいの金を出そうというふうに計画をいたしておるのでございます。第三・
四半期といたしまして六十六億ということに相なりますと、この
公庫の全体の
資金繰りから見まして、
かなりのウエートを第三・
四半期に置いたことに相なる次第でございます。なお
運転資金の
関係につきましても、先般の
国会でも御
説明申し上げました
通り、すでに貸出しをいたす
段取りに
なつております。この
公庫の扱いまする金は一年以上の金でございまするがゆえに、直接
越年資金ということは
関係がないかもしれませんけれ
ども、この
公庫から流れます
ところの
長期資金が、めぐりめぐりますれば、結局において短期の
運転資金とも
関係があるわけでございます。さような
意味合いにおきまして、この
公庫の貸出し
資金の
状況というものも、この年末
金融の問題と
相当の
関係があるというふうに考えておるのであります。
次に、直接
政府機関ではございませんけれ
ども、
政府と
相当深い
関係のございまする商工組合中央金庫の問題でございまするが、前年の
状況を見ますると、十月——十二月の三箇月間におきまして、八十三億の
純増をいたしておるのであります。そのうち十月と十一月を押えでみますると、十月が二十一億、十一月が十四億、
合計三十五億ということに相
なつております。本年の
状況は、十月が十五億、十一月が十五億でございまして、三十億
程度にとどま
つておるのでありまして、この二箇月だけから見ますると前年同期より減
つておるのであります。従いまして、この十二月におきまして
相当集中して貸出しが行われるのではないか。十二月を押えてみますと、昨年が四十八億の
純増と相
なつておるのでございまして、われわれはこれに対しまして、少くと
も本年度六十億見当の貸出しには応じ得るというふうな
資金の
用意をいたしておるのでございます。先ほど申しました十一月末の
新規預託五十五億につきましても、商工中金に二十億の割振りをいたしたというふうな
状況に相
なつておるのでございます。
それから
国民金融公庫並びに
中小企業金融公庫等の貸出しにつきましては、
代理貸しを実施いたしておるのでございまするが、この
代理貸しを
信用保険につけます
ところの
保証保険の
わくが二十四億ということに
予算上相なつておりますが、これに対する要望が非常に増大いたして参
つておりまして、とうていこの二十四億の
契約わくによりましては処理いたしがたい
状況に相なりましたので、これを十億増加していただくことといたしまして、この
臨時国会の御審議を経る
運びといたしておる次第でございます。なおこれはまだわれわれ
事務当局間におきまして
折衝中の
段階ではございまするが、
小口の十万円
程度の
金融を円滑に動かし得るようなよすがといたしまして、これを対象といたしまする
信用保険の
填補率を九割ぐらいに
引上げる。もしでき得るならば、
填補率は
引上げながらも、
保険料は逆に若干下げるというふうな
操作をいたしますことによりまして、
小口の
信用保険を創設したらどうだろうか。話がまとまりますれば
通常国会の劈頭にこれをお願いいたしまして、おそまきながら年末
金融の一助にすることができたら幸いであるというふうな考え方で今
折衝をいたしておるものが
一つあるわけでございます。
なお年末
金融と不可分の
関係にございますものといたしまして、
下請への
支払いを促進するという問題がございます。これにつきましては、去る十一月十九日の
次官会議におきまして、
政府並びに
地方公共団体の
支払いを年末に際し特に迅速にいたしますとともに、
下請からの
受領委任状なんかを持
つて来ることを勧奨いたしまして、さようなものが出て参りますれば直接支払うという
措置も講ずることといたしまして、
政府並びに
地方公共団体の
支払いを通じまして、
下請関係の
金融に若干でも応援をいたしたいということをいたしましたのと、
公正取引委員会におきまして、先般私
どもの
中小企業庁と共同で
下請関係の
調査をいたしたのでありまするが、特に不当なる
支払い遅延をいたしておる向きに対しましては、
相当強い警告を発するというふうなことで、公取の方でも着々と準備を進めておる
段階でございまするし、また
日本銀行におきましても、
支払い遅延の顕著なものにつきましては、これを促進いたしまするように、個別に注意を促すという
措置もや
つておりまするし、また
全国銀行協会におきましても、傘下の
銀行筋を通じまして、
金融の
操作により親会社の
下請への
支払いを促進するというふうな
操作をやるということにとりきめをいたしておるようなことでございまして、これらと相まちまして、
下請への
支払いも何とかや
つて行けるようにいたしたいと
努力を重ねておる
状況でございます。年末
金融に際しましてわれわれがやりましたことにつきましての御
説明を概略申し上げた次第でございます。