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1953-12-05 第18回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月五日(土曜日)     午後二時四十七分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君       生田 宏一君    河原田稼吉君       熊谷 憲一君    前尾繁三郎君       三浦寅之助君    山本 友一君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       大石ヨシエ君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君  委員外出席者         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視正         (総務部企画課         長)      高橋 幹雄君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         参  考  人         (静岡駿東郡         小山助役)  池谷 貞治君         衆議院法制局参         事         (法制局第一部         長)      三浦 義男君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案加藤精三君外七名提出衆法  第一号)  昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位  費用の特例に関する法律案内閣提出第一〇  号)     ―――――――――――――
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会畿を開きます。  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案議題といたします。  まず本日は昨日の理事会決定に基き、本案審査参考に資するため関係町村長意見を求めることになり、静岡小山町の町長代理として、助役池谷貞治君の御出席を煩わしましたので、同君を参考人として種々御意見なり実情を聴取することにいたしたいと思います。これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  それでは同町の警察維持しないことになつた理由並びに早期国警に移管する必要があるかどうかという点等についてまず説明お願いいたします。池谷貞治君。
  4. 池谷貞治

    池谷参考人 私はただいま委員長から御紹介いただきました池谷貞治と申します。よろしくお願いいたします。  ただいまお話のありました廃止については駿東郡に二十箇町村ありますけれども、そのうち五箇町村自治警があつたのでありますが、次々廃止になりまして、目下のところ小山町だけになつております。そのために町民一般から廃止したらどうかというような空気があつたものでございますから、町会の問題になりまして、そういう空気があれば、住民投票にかけようじやないかというようなことになりまして、住民投票に付した結果、大多数で廃止したらよかろうということになりまして、それぞれ手続をとつたのであります。  それから私の方の考といたしましては、来年の三月一ぱいそのままで行つて、四月一日から廃止していただく、こういうような考えを持つているわけであります。
  5. 中井一夫

    中井委員長 参考人に対する質疑を進めたいと存じます。御質疑の方はございませんか。
  6. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいま廃止議決をやり、投票によつて廃止決定になつたことをお聞きいたしましたが、そもそものきつかけというか、住民の意向がそういう方向に行つた端緒となるものは、同じ郡内で自警を持つてつたものが次々と廃止して行つた、そういう点から影響せられて本町においても廃止いたす機運が出た、こういうお話がございましたが、そういう理由だけじやなく、もつと町自体としての理由、そういう点についてどこに一番大きい問題があるか御説明を願いたいと思います。
  7. 池谷貞治

    池谷参考人 町といたしましては別に廃止したいというような具体的の理由はないのでありまして、ただ先ほど申し上げたようなことだけと考えております。
  8. 西村力弥

    西村(力)委員 まことに奇怪なお話を聞くのですが、それは町自体の問題でありますからいかようになされようとも問題でありませんが、具体的な事由がなく、他の自警が次々とやめて行くというだけをもつて廃止議決をされる、まつたく積極的な理由のないことに驚いておるのですが、そういうことになりますと、ここには町自体の主体的な理由からではなく、外部からとか、一部の人々の策動とか、そういういろいろな動きがあつてそういう決定というようなぐあいに進められたのではないか、こういう疑念を持たざるを得ないのですが、そういう点についてはいかがでございますか。
  9. 池谷貞治

    池谷参考人 そういう点はないように思います。
  10. 西村力弥

    西村(力)委員 そういうものがない、またぜひやらなければならぬという強い事由も存しない、外部からのいろいろな働きかけとかあるいは一部の人の策動とか何もない、そういうことで外にもうちにも問題がなくてこういう議決がされて来るというようなことは私らとしてはちよつと解せないのです。発議をせられた町当局としてはもちろん町長提案なさつたのだろうと思うのです。そういうときには十分なる理由を付して町議会提案なさつたと思うのですが、そのときの理由はいかようになさいましたか、お聞かせ願いたい。
  11. 池谷貞治

    池谷参考人 それではその議会のときの町長提案理由説明を朗読いたしましようか。
  12. 中井一夫

    中井委員長 町長町議会警察維持しないということについての決議を求めるときの説明なんですね。
  13. 池谷貞治

    池谷参考人 そうです。
  14. 中井一夫

    中井委員長 どうか、朗読してください。
  15. 池谷貞治

    池谷参考人 そのときの議案はこういうのでありました。「議第二十一号、警察法第四十条の三、第一項の規定により本庁警察署維持しないことを住民投票に付するものとする。」こういう議案であつたのであります。それに対しまして町長提案理由説明でありますが、「いまさら御説明申し上げる必要もないかと思いますが、本町自治体警察廃止の賛否について住民投票をするわけですが、住民投票に付するには本町議会議決がなければできないので本案提案いたしました。よろしくお願いいたします。」
  16. 門司亮

    門司委員 私から町長さんにお聞きしたいのですが、今の提案理由説明はきわめて型通りの説明でございまして、私ども何ら納得し得ることではないと思います。私はよほど頭のいい町会議員さんのお集まりでなければ、どうもそういう議決をすることは困難だと思います。なぜかと申しますと、やはり廃止するには廃止するだけの理由がなければならないと思うのです。これはやはり財政が持つて行けないとか、あるいは治安に事欠くというような、警察本来のきわめて重要な問題というものは住民が納得しなければならない。そうしてそれをさせようとするには、やはります第一の段階として町議会においては、さつき申し上げましたように、一つ警察維持しておつて町民治安力の上にこれだけでは足りない、どうしても治安力を確保しようとするにはこういう小さな警察でなくして、やはり国家地方警察というような大きな組織の中にいなければ治安が十分でない、これは町民治安を確保するという当然の一つの立場からそういうことが議論さるべきである。もう一つの問題は、たといそれがいいといたしましても、事実上財政上の問題でやつて行けない、警察にこれだけ金をたくさん使われたのではほかの仕事ができなくなつて来る、これもやはり住民に非常に迷惑をかけるからとか、こういう二つの理由が私はあるはずだと思う。そういうことが町会で全然町長さんの説明になかつたということになつて参りますと、われわれは納得するわけに行きません。どういうわけでなされたか。従つて町方の面に、今の小山町財政一体警察維持費がどれだけ影響を持つており、さらに治安の上にどれだけ不都合があつたか、これらの点でもしおわかりでありましたらこの機会にお話願つておきたいと思う。
  17. 池谷貞治

    池谷参考人 ただいまのお話もつともに存じまするが、私といたしましては、きよう町長かわりで来たようなわけで、それ以上のことを申し上げかねます。
  18. 門司亮

    門司委員 どうも町長かわりで申し上げられないということになれば、人がかわつておりますから、何ぼ言つて町長代理をする人、かわつて来ているというのであるからこれ以上責めるわけに行きませんが、しかし町で提案されました際に――次に聞いておきたいことは、警察法には明らかに、市町村自治警察廃止しようとする場合は、その年の十月三十一日までに手続終つて、そうして翌年の年度がわり四月一日から廃止することができる、こういう規定があるのであります。この規定はよく御存じでしようね。
  19. 池谷貞治

    池谷参考人 そのことは規則をよく見まして三月一ぱいまでその維持ができる、こういうことで考えておつた。それ以前に廃止したいという考えはないのであります。
  20. 門司亮

    門司委員 念のために聞いておきますが、それ以前に廃止する考えはなかつた、こういうことでございますが、それに間違いがないといたしますなら、実は今これが国会議題なつております。そうしてあなたのところの警察も来年の一月一日から廃止してもらいたい、こういうあなたの方からお願いがあつて、今ここへかけられている議案はそれであります。そのことのためにおいで願つて、そうしてその間の事情を聞きたいと思つてどもお願いしておつたわけであります。そうなつて参りますと、あなたの方では来年の四月一日から当然廃止せらるべきものであるというようなお考えでおられるということになつて参りますと、来年の万から廃止しようというここに出ておる法律案というものは、何かおせつかいのようなものになつておる。あなたの方で望まないものを、何を好んで国会が来年の一月一日から廃止するというような警察法特例まで設けてしなければならないかということになつて来る。私どもはこの議案を審議いたします上において、議案として認めるわけに行かないことになります。この間において国家地方警察はどういう報告を受けておるか。その点をひとつ国警諸君に聞いておきたいと思います。
  21. 中井一夫

    中井委員長 ちよつと門司さん、あなたの御質問の先に聞きたいことがございます。池谷さん、あなたにお聞きしたいのは、あなたの町ではこの決定はいつされたのですか。
  22. 池谷貞治

    池谷参考人 八月三十八日の町会です。
  23. 中井一夫

    中井委員長 それで四月一日までは別にそのままで行つてもいい、それよりも早くしたいという意思は別にないのですか。
  24. 池谷貞治

    池谷参考人 ありません。そういうことを今初めて知つたようなわけです。
  25. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 国警本部の方で知つている限りのことを申し上げます。警察法の四十条の三に基きまして、町村が、町村警察維持するかいなかの住民投票を行いました際には、その六項の規定によりまして、内閣総理大臣あてに、住民投票行つた結果こうなつた、それが廃止にきまりましても存置にきまりましてもその報告をしなければならないことになつているのでありまして、静岡小山町は、ただいま参考人としておいでになりました池谷さんからのお話がありましたように、町議会は八月三十八日にそのことを住民投票に付する旨の町議会議決をやつた結果、九月二十六日に住民投票をやりまして、廃止ということにきまつたという報告内閣総理大臣あてにいただいておるのであります。これは国家公安委員会を経て内閣総理大臣報告することでございますので、当然その事務局である私どもの方に報告をいただいておるわけであります。報告をいただいた日時は今私はつまびらかにいたしませんが、二十六日の廃止後、数日内にいただいておることは間違いありません。ところでよけいなことになるかもしれませんが、これから私ども知つた知識だけを申し上げます。私どもの知つておりますのは、昨日も参考資料として、現在そのような報告をどれだけ受けているかということを表にしてこの委員会提出しておるわけでございますが、これらの町村が、みな一月一日に転移を希望しているかどうかということは全然私ども聞いておりません。今ここで初めて承りましたが、瀞岡県の小山町は繰上げを特に希望しておらない。これは先ほど門司委員おいでにならない前に助役が、断つておきますが私どもは繰上げは希望しておりません。四月一日の法律通り転移を希望するということをおつしやつておりますところを見ますと、これは繰上げを希望しておられない。これらの中にはこういう町村は当然あるかと存じます。ただ私ども聞いておりますのは、これは御提案者である加藤先生が一番詳しいと思いますが、岐阜県の駄知町、泉町等この岐阜県の町村長はかつてどもを御訪問になりまして、一月一日から転移を繰上げてもらいたいという請願衆参両院議長に出して来た、いずれ国会の方からお前らの方にも政府側意見ということがあると思うけれども、前例もあることであるからひとつよろしく頼みたい、その際には反対をしないでもらいたいという意味陳情を、国会請願して来た、足でおいでになつたことを聞いております。従いまして、お調べいただけば国会に向つて繰上げたいということについての特例法の制定を陳情しておられる町村がどこの町村であるかということはわかりますが、今静岡県のお話がございましたからよけいなことを申すようですけれども申しますと、静岡県はそのような事例もなく、そのような請願もしておられない町村である。この法律案も、そういうことがあるがゆえに、十月三十一日、四月一日があくまで本則なつておるのであつて、それらの町村のうちもしも急いで少しでも早く繰上げたいというものについては、内閣総理大臣承認を与えた場合には受入れる、予算の状況等を勘案して承認を与えて繰上げることができる。しかるがゆえにこれは特例法であるというように昨日も提案者の側から御意見を出し、また私どももこの法案衆議院法制局から政府側として一応御相談を受けました際に、ただいま御提案なつております議員提出法案警察法一般の改正でなくて特例法である、一般的な四月一日という警察法本則を修正するものではなくて、特に繰上けたいと希望する場合にたけそういう承認を与えることができるという特例であるから、これは特例法でよいのであろうという衆議院法制局の御見解のもとに、私ども政府側の受入れの鳩合には別段異存がないということをお答えしておる次第でございます。知つているだけの知識を申し上げまして御参考に供したいと思います。
  26. 門司亮

    門司委員 今国警側からの御注意か御説教か知りませんが、いろいろ私ども法律案を審議しておる過程でよく存じております。法律は読んでおります。警察法は、あなたはそういうことを覆われておるが、それなら私はつきり聞いておきたいと思う。これが特例法であるということに間違いはない、従つて自由に選ばせるのだということ、あなたがそれだけはつきりしておるなら、それならこれをお出しになる場合になぜ参考としてマークをつけておらぬ。ことに今のお話を聞いておると、岐阜県の泉とか駄知とかいうような町は要望したと言つておるが、これらの町は法規にも反しておるということです。十月三十一日でなくて、住民投票はいつ行われたか、十一月でしよう、十一月二日に住民投票が行われておる。これは十一月二日に住民投票が行われておりますので、法規通り行つても再来年の十月一日でなければ廃止はできないはずである。それはおそらく町長は承知しておると思う。承知してなければこういうことはできないはずである。こういう無理なことを国警に話があつた。今どれだけのものが内閣に送付されているかということを聞かれた場合に、特例法をかりに利用するといたしますと、問題が起るのはここであります。あなたの方でこれだけおわかりになつているならこの町はこれを希望しておる、この町はこれを希望してない、ここはわれわれも陳情を受けておる、国会にも陳情してあるということになつて参りますならば、それだけのものは当然陳情に基いて調査をして、万やむを得ないものとするならはそれを特例にゆだねることについては私は何らの異存はない。今日のごとき態度はとらぬ。しかし、持つております町自体自治体自体がそれを欲しておらないところに特例をもうけて、国がこれを催促するという形になりますと、私は特例法というものはおそらくそういう性質のものではないと思う。少くとも特例法をこしらえる以上は、十分なる資料に塞ぐはつきりしたものでなければ狩例法にはならぬと思う。あなたの方でそれだけの事情がおわかりになつておるなら、この特例法をこしらえる場合に、むろん法制局からも相談があつた広でしようが、提案者からも相談がしてあるはずである。その場合にはこれとこれとこれは望んでおる。これとこれとこれは望んでおらない、聞いておらないというようなことは、これは親切があれば当然考えられるべきである。同時にまた望んでいないものを特例法によつて無理に押しつけるということは、なるほど法律の体裁は自由選択ではあるが、自治体自体のものの考え方から来れば、できれば廃止した方がいいのであるというようなことも考えられる。そうなつて参りますると、国会は事実上法建前特例法によつて曲げてまでも自治警廃止決議をせしめるということのそしりを受けても免れ得ないと思う。私は国会の権威にかけても、もし国警がそういう態度であつたならば、ひとつ委員長お願いをするが、一々これらの警察全部の代表者諸君に来ていただきまして、その内容を調査しなければこの法律案を審議するわけには参りません。委員長はひとつそういうようにおとりはからいを願いたい。
  27. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 御参考までに私どもの知つている知識を申し上げましたので、少し誤解があるようでございますので、私から申し上げます。法律国家公安委員会を経て内閣総理大臣報告をするということになつておりますので、私どもの方で法律上当然知つておることとして、調べましてわかりますことは、これらの投票があつたかなかつたか、こういうことであります。それでそのように国警の方で事情がわかつているなら、その投票があつたかなかつたかというこの調べの際に、そういう繰上げたいという意思があるものとないものと区わけができなかつたかというおしかりでありますけれども、私どもの方として資料調査いたします際には、法律に基いて、いつ投票があつたかということの報告があつたかなかつたかということだけが、私どもとしては当然なさなければならないことでございます。それ以上にわたつて、各町村別に繰上げの意思があるかないかということを調査としてしますことも、それは可能でございますけれども、今門司先生お話になるような意味におきまして、われわれの方でそのようなことを調査するということは、いかがかと存じまして、そのような調査はいたしておりません。それで今申し上げましたのは、あるいはよけいなことであつたかと思つて、その点よけいなことであれば何でございますが、参考までにお話を申し上げましたのは、岐阜県の三箇町村四箇町村であつたと思いますが、今国会請願をして来たということで、帰りにお寄りになつたので、これらの町村請願をされているのだなということをたまたま知り得るので、それ以外の町村請願をされているかされていないかということは、法律請願したかどうかは、国警の方に報告をされることはございませんので、私の方では状況がわからないわけであります。それをあえて、それではほかの方も請願をしているかどうかとか、あるいは繰上げる意思があるかないかといつたようなことは、私の方で調べるのもかえつていかがかと思いまして、そのようなことは調べておりません。その点だけ釈明いたしておきます。
  28. 門司亮

    門司委員 私がさつき申し上げましたように、これは全部の町村を調べていただきたい。もしそういう御意見があなた方の方で立つとするならば、最後の日光町の問題でありますが、十二月十五日に住民投票を行う予定ということが資料にはつきり書いてありますが、これはどこから得た資料でありますか。
  29. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 これも同様に御報告であります。十一月二十九日に議会議決がありまして十二月十五日に投票する予定であるという報告をいただいているのであります。
  30. 門司亮

    門司委員 私は法の建前から申し上げまするならば、少しりくつを言い過ぎるようでありまするが、自治体警察廃止に関する報告は、少くとも住民投票終つてからでなければできないはずだと思う。住民投票によつて決定するのでありますから、決定を見ない以前に町村がこちらは町会において議決したということは言い得るかもしれない。しかし廃止するかしないかということは、住民投票によつて決定し、きまるのである。おそらく責任ある町長といたしましては、責任ある正式な手続というものは内閣には来ていないと思う。単なる報告かもしれない。このことが国警にちやんとわかつているというのですが、これはどういう手続なんです。その手続は二重にするようになつているのですか。おそらく警察法に書いてありますものは、いわゆる廃止ができるようになつた、いわゆる住民投票の結果はこうであるという結果を報告することが私は正しいと思う。それからでなければ、こういうことは書けぬはずである。未定であります。これらはもしこの特例法が通つて参りますると、国会はすでに通つているのである。住民投票で賛成を得れば、廃止ができるのだということが宣伝される。これは相当あるでしよう。結局住民投票も終らないうちに国会がこれまでにきめたものを廃止してもいいということをきめるということは、特例法でなくなつて来る。これは勢い本法に抵触して来る。私はこういうことを国警が、今のお話のようにただ御報告だけだというような責任のがれをされるということは、これは一体どういうことなんです。これを明確にしていただきたい。
  31. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 ただいま門司さんからお話がございましたように、日光町の御報告は、警察法第四十条の三の六項に基いて、住民投票が終つたことの御報告ではございません。しかし町村議会議決がありました際には、住民投票にその議決があつたことを三日以内に選挙管理委員会に届けることになつておりまして、事実上このような御報告があるのでございます。それでこれはただ国会に御参考資料に、そういう報告があつてわれわれの知つている限りのことを少しでも詳しくここに整えて、こういう状況に今なつておるということを御報告することが適当であろうと思いまして御報告をしたわけでございまして、日光町の御報告住民投票の結果の四十条の三の大項に基く御報告でないことは事実でございます。ただそれは繰上げたい意思があるかないかまでもう一つ、――そういう法律の命ずる報告以上に報告をするならば、繰上げる意思があるかないかもなぜ調べて報告しないかというお話になるかと思いますが、やはり繰上げる意思があるかないかということまでは私どもの方で調査するのは少しいかがかと思いまして、そのようなことは遠慮いたしておる次第でございます。
  32. 門司亮

    門司委員 私はそういうことを聞いておるのではございません。意思があるかないかということを聞く必要は毛頭ない。意思決定しておりませんから、これはわかりません。わからぬ意思をだれが聞いて返事ができるか。意思決定していない以前に国会法律が通るということは、それを住民にしいることになりはしませんか。もしこれがこのままの姿で、あなた方の方では手続が全部終了したものを御報告なさることは国会に対して正しいと思う。これはまた手続全体が終了しておりませんから、廃止されるかされないかわからぬのである。私はこれは提案者とあなた方との間にどういう行き違いがあつたか知らないが、私が聞いておりますることは、手続が全部完了しておるものについては、これはあるいはこういうものがどのくらいあるかということの調査の依頼があつたならば、あなた方から調査されるのが至当である。しかしまだ手続が完了していないものである。これは正直に現状を報告したのだといえばいえるかもしれませんが、もしこれがあやまつて国会がこのままこの法律案を通してしまつて、その中に日光町が含まれるのだということになつて参りますると、いまだ住民投票行つていないところはすぐに住民投票を行えば廃止ができるのだということで廃止を主張する人がかりにあるといたしまするならば、非常にそういう動きになつて来る。住民の公正なる投票というものは得られなくなつて来る。同時にこのことは特例法ではなくなつて来る。特例法の根本の趣旨は、すでに廃止決定しておる、そこでどうせやめるなら早くやめさせて、そうして警察官に動揺のないようにしてやりたい、あるいは町の財政をそれだけ負担を軽くしてやりたいというのがこの特例法一つの趣旨であることに間違いないのである。その住民決定もしてないものを出されたということに、私は提案者とあなた方との間に一体どういう話合いができておるのか、これは法の建前の上からいつても、私は非常に危惧することである。それに昨日も私は申し上げました通り、こういう問題が起つた。神奈川県の逗子町がこの投票行つておりません。国会法律ができない間に、町会を開いて、しかも秘密会で知らぬ間に議決して、日にちいつぱいに投票行つて廃止をきめれば、この次の国会には必ず廃止ができるということで、国会法律が出ない間にごく少数の諸君との間に私は必ず連絡があつたものとしか考えられないが、そういう大それたことが、しかも町会の秘密会で行われておる。そうして自治警の廃止ということが決定されておる。私どもは法を守る上から見て参りますると、特に国会の権威の上から申して参りましても、少くとも国会が利用されるようなことがあつてはならないと考えます。特例であれば特例であるような、どなたにも言訳のできるようなことにしないといけない。今のうちに廃止しておけば、廃止ができるのだと示唆するような法律をこしらえることは不謹慎だと思う。従つてあなたの方では、ただあるだけを報告したんだというようなお話で事は足りるかもしれません。しかし実際は廃止のできないものである。法律に書けない筋合いのものである。ことに十一月の二日あるいは十一月を越えて議決されたものが一年以上も早くなるということになつて参りますと、法律の権威はまつたくなくなつて来る。この特例をつくつたのは何べん目です。おそらくこれで三回目か四回目ですよ。一番最初の特例法をこしらえたときには、廃止議決あるいは住民投票は行われておるが、わずか一日あるいは数時間内閣に送付することが遅れたところがあつた、これは気の毒だから同時にその町も次の年度から廃止すべきだということで考えてやつた仕事である。書記の手違いか何かでそういうことがあつたから、何とかしてやろうということでこしらえたのが最初の特例法である。住民意思とまつたく相反したような結果になつたときに、それを救うのは一つの政治上の方法だとわれわれは考える。従つてそういう場合に特例法をつくつたことは、一つの方法だと考える。しかしながらいまだ住民投棄も行わないで、住民意思も確定しないうちに特例法として現われて来るというのは大きな問題です。私は答弁は要求しませんが、将来国警において特に注意してもらいたい。これはできるだけ自治警察廃止して、国警に吸収したいという国警の真意の現われだろうと思う。これは私の解釈です。もしそういうことがなければ、こういうものは出て来ないはずだ。注意されるはずです。私どもは将来こういうことがないように、十分注意してもらいたいと思う。  委員長ひとつお願いをいたします。今小山町の助役さんの話を聞けば、小山は何も来年の一月一日から廃止してもらわなくてもいいということなんです。そういうようなものに国会がおせつかいをして、お前のところは早めるであろうというようなことは言わなくてもいい。これは住民意思に反すると思います。だからここに書いてあります町の責任者をひとつ全部呼んでいただきまして、いずれであるかを確かめた上で特例法をおこしらえになつたらいいと私は思う。委員長はそういうふうにおとりはからいを願いたい。
  33. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま門司委員から御質問がありました。私は門司委員の御意見に反対するわけではありませんが、多少提案の趣旨に対しまして誤解がおありだと思うのでございまして、提案されました案は、住民投票のありました町村におきまして、中には早期に実施を希架するものがある、従つてそのものに対しましては特例を開いて、早く実施することが現実に合うんだという趣旨において立案せられておるのであります。従つて門司委員の言われたような動機から出たのでないことは、提案の趣旨において明かであると思う。なおこの案につきましては、過般数回にわたりまして同様の趣旨におつて特例が設けられたのでありまするが、その特例法の審議の際におきまして、あるいは国警本部におきましてことさらかかることを当局に示唆いたしまして、そうして特例を設けさせたのだというようなことがあつたのであります。しかしかかることに対しましては十分国警本部におきましても以後留意いたしまして、かかることのないように当委員会において要望しておつた。従つてその結果だろうと思うのですが、ここに報告のありました数箇町村は、いずれも法律の定めますところの期間一ぱいにおいて住民投票行つておるのであります。今日までこの点につきましては相当改善を見たものと私は考えております。遅れて参つたものが数箇村ありますが、大体期間内において投票しておるのでありまして、この点はあえてわれわれが邪推と申しますか、ことさらこれらの町村特例法をつくつてもらうためにやつたのだということを考えるほどのことはない。しかも現実に投票いたしました結果において早期に転移を希望するならば、これに対して道を開くということはあえてさしつかえないことじやないか。これが今四の特例法提案理由であると思う。従つて門司委員からいろいろ御心配もありましたけれども提案の趣旨はかかる意味において提案をせられたのではないということを私どもは強く感じたのでありまして、提案者の一人としまして、門司委員の御意見もありましたが、かかることまでこの際調査して、本件の審査をする必要はない。現に数町村が早期に転移を希望して参つて請願が出ておるのでありますから、その事実によりまして、本法案を審隣するには一向私はさしつかえないことだと考えております。提案者の一人として申し上げる次第であります。
  34. 藤田義光

    ○藤田委員 私は本法案の審議の参考に供するために、二、三この機会にお伺いしたいと思うのであります。まず第一番にお伺いしたいのは――参考人であります、証人ではございません、宣誓もされておりませんから、思い切つていろいろなことを言つていただきたいと思います。私は多少遅れて参りましたからあるいは誤解があるかもしれませんが、まず第一に助役さんに、今回廃止決議されました理由をもう一回簡単にお聞かせ願いたいと思います。あるいは最近の防衛問題と関連しまして保安隊その他が非常に増加されておる、従つて最近の国内治安状況から見まして返上しようという決意をされたのか、あるいは町の財政上の必要に迫られてそういう雰囲気が出たのか、その点を率直に簡単にお示しを願いたいと思います。
  35. 池谷貞治

    池谷参考人 その点は先ほど申し上げましたところでありまするが、私ども駿東に十箇町村ありますけれども、そのうち五箇町村に自治警があつたのでありますところがそれが、はしからはしへと廃止になりました結果、町民もどうも廃止した方がよくはないかという空気が出たものでありますから、それで町会でも問題になりまして相談しましたところが、そういう空気があれば住民投票をしてきめてもらつた方が一番よくはないか、こういうふうな実際の雰囲気になつているわけです。
  36. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますると、非常に単純な理由廃止決議されたようでありますが、これはもう私が申し上げるまでもなく、地方自治体の第一線に活躍されておる池谷さんはよく御存じだと思いますが、敗戦によりましてわが国は民主主義を確立しつつあります。この基盤は地方自治体であります。あなたは地方自治体の第一線の助役という要職にあられる。非常に重大な職域にあられる方でありまして、地方自治体を育成するためには、自分たちの税金で自分たちの治安は守ろう、とお互い町民は自分たちが出した税金で警察官をかかえて、安閑として暮そうというところから自治警察ができておるのであります。従いまして自治体警察廃止するということは、相当重大な地方自治に対する問題であることは私が申し上げる必要もない。今参考人が言われたような非常に漠然とした理由で自治警がだんだん廃止されて行くということになりますると、せつかく新しい憲法で保障されました地方自治体が、みずから自分の手足を短かくして行くという結果になるのでありますが、何かそのほかにいろいろの理由があるのではないかと私は想像しますので、くどいようでございますが、重ねてお伺いしておきます。
  37. 池谷貞治

    池谷参考人 いろいろお話がありまするが、刑に理由はないのであります。
  38. 藤田義光

    ○藤田委員 そこでこの機会に国警総務部長にお伺いをしておきたいのでありますが、先ほど門司委員の御懸念の通り、この法律案は解釈のしようによつてはいろいろ誤解も生ずるのであります。累次にわたり同様法案をわれわれは審議し、採決して参つております。従いまして蛇足をつけ加える必要はございませんが、私の想像では、近く警察法の改正が国会提案されるのじやないかというふうな想像をいたしております。もしこの想像が真実なりとすれば、私はこの際この法案を即時採決ということなくして、本質的な解決のときに一諸にしてもいいのじやないか、しかしそれの見通しがはつきり立たぬから、この際必要に辿られた法案としてすぐ採決の必妥があるという現状であるかどうか、その点ひとつ総務部長の率直な見通しをこの機会にお伺いしておきたいと思います。
  39. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 警察制度の改革問題はおのずからとれは別個の問題であると思います。警察制度の改革が近く行われるかどうかということにつきましては、政府としてはまだ言明し得る時期に達しておらないのであります。改正案を提案されることがあるかもわからないし、またないかもわからないということで、ここではつきり申し上げる時期に達しておらないと思うのであります。従つてそういう意味から申しましても、これは別個の問題でございまして、議員の方で御提案になりますこの法案警察制度の改革があるがゆえに無意味であるということにはならないと思います。しかしこの御提案に対しまして、私たちはこの御提案お願いしておる立場ではございませんので、この御提案に対して意見を求められて、その意見については、もしこれで繰上げたいものは繰上げるということを承認した場合に受入れ態勢があるということについては受入れ態勢はある、その場合には財源措置というものは講ぜざるを得ないということについて政府として異存がないものとお答え申し上げておる関係のものでございますので、御了承願いたいと思います。
  40. 藤田義光

    ○藤田委員 実は私も提案者の一人であります。従いまして当委員会は従来政党を超越して円滑に運営されております関係上、有力なる門司委員の御発言にかんがみまして、実は御意見を申し上げておるということを了承願いたい。ただ私はこの問題と警察法の改革の問題は関係のないという御認識のようでございますが、これは見解の相違でありまして、最初五千人以上の人口を擁する町村を指定して発足した地方自治警というものに対しましても、私は相当重大な本質的な問題に関係した法案であるというふうに解釈しておりますが、これは見解の相違であるから御答弁をお願いいたしません。ただもう一回重ねてお伺いしたいのは、来る通常国会におきまして警察法に対する根本的な改革案を出す用意はないかどうかということをこの機会にあらためてお伺いしておきます。現に政府の機関である行政機構改革本部では法案を発表いたしております。また柴田総務部長の手元におきましては、昨年の国会に出されました法案もお持ちでありますし、いろいろな情勢から考えまして、この際根本的な改正案というものが用意されるのじやないかと思います。この審議を打切るにいたしましても、一応何かお答えを願つておいた方が非常に参考になりはしないかと思いますので、重ねてお伺いしておきます。
  41. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 伝えられております行革本部としての警察制度改革案――新聞紙上のことでございますが、これは私ども実はあずかり知らないものでございまして、おそらくは行政機構改革の一環としての見地から、警察機構についても、国の行政機構という見地から行革本部で御研究になりつつあるの、ではないかと想像いたします。総合的な意味の根本的な警察制度の改革いかんということについては、もちろん前国会に政府が法案を出した経緯もございます。その後地方制度調査会の答申もございます。あるいはまた今伝えられておりまするところの行革本部の案というようなものも出て来るのかもしれません。そのようなものを総合いたしまして、政府が警察制度をいかにして総合的な見地から改正する決意をするかどうかということについては、先ほども申し上げましたようにまだ研究中と申し上げることしかできないのでございまして、言明の明期に至つておらないということを御了承願いたいと思います。
  42. 門司亮

    門司委員 私はさつきからいろいろ話がございますが、特にもう一ぺん聞いておきたい問題がある。この日光町のことは私はどうしても考えられないのです。町会議決した場合には、町会議長は当該選挙管理委員会には三日以内に報告することになつているが、何も公安委員会報告しないでもいいことになつている。公安委員会報告は一切の手続が終つた後にこれを報告すればいいのである。あなたは法律専門屋だから、警察の親方だからよく読んで考えてごらんなさい。そうすれば国警自身がおかしい、報告の義務のないところから報告しているのがおかしいでしよう。こういうことは私は別段あなたに答弁を要求しようとは思いませんが、もう少し気をつけておいてもらいたい。法の建前から行つても、法律そのままを解釈して行つても、何も議決をした日を国家公安委員会報告るす義務は毛頭ないので、議決をした日から三日以内に議長は当該選挙管理委員会にそれを報告して、選挙管理委員会はこれを一般の投票に付するということになつておるのです。六十日以内にこれは投票すればいいことになつておる。その結果を国家公安委員会を通じて内閣総理大臣報告する、こういうことになつておる。従つてこの日光町の問題なんというものは、何らかの関係がなければ国警にはわかるはずがないのです。わかつたとすればどうかしている。私どもはこういうことから少くとも国警はこういう資料をお出しになる場合には、もう少し慎重なものを出してもらいたい。そしてほんとうに手続終つておるかどうかわかつておるはずです。国警は少くともそういうことでは行政が行われないのだ。全部の日本の市町村が地方自治警察を持ち、国家警察を持つている以上は、そういうことでは警察行政は行えないのだということが私には言えると思うのです。おそらくスパイがどこにもいるのだから、どこの町ではどういう議決をしたかということくらいはその日のうちに国警本部報告が来ておると思う。またその報告が来ていなければならないはずです。そういう警察機構はわれわれ認めるが、ほんとうにこういう参考資料を出すときには、やはり法は法としてきちんとしておいてもらつて、これはまだ住民投票が済んでいない、これは報告はされておらないということでなければ、われわれの審議に誤解ができて来る。警察はもう少しこういう点を慎重にしてもらいたいと思う。  これは委員長にもう一つお願いですが、今の法案の取扱いですが、私は今度の法案は今までの特例法から見て、私がこういうことを特にやかましく言いますのは、さつきから申し上げておる通りでありまして、今までの特例法というものはさつきから申しましたような理由で、町村がどうしてもやめてもらいたい、そしてその事情調査するときわめて気の毒だという場合においては、これは国会として政治の問題として取扱つてこれを認める。ところが今度の特例法はそう書いていない。いつまでも議決さえすれば、その翌月からこれを廃止することができるようになつておる。これはやはり国家の財政の上においても重要な関連を持つて来ると私は思つておる。少くとも地方の自治警察国警に移管されて参ります場合には、地方はそれだけ予算を削減しなければならない。国家はそれだけ予算を増さなければならない。こういう予算的処置もやはり考えなければならない。予算的処置を考えなければならないものを、こういう特例法にして出すということになつて参りますと、これは国も地方もたいへんです。非常に迷惑する。従つてもしこの法案をどうしても審議するというなら、われわれそういう点の修正もしなければならないと考えておる。しかし一応委員長においてこれをひとつ全部読んで――重ねて申し上げておきますが、聞き合せて、そうしてわれわれ十分納得の行く線が出て参りますならば、この一月一日からということでなくして、やはり特例であります以上は特例らしく、これこれはこういう理由によつて移管することができるというふうなすつきりした法律に直して行きたいと考えておりますので、どうかひとつまげて読んでいただきたい。その上で決してもこれは遅くないのであります。まだ今月一箇月ありますから、そうあわてて議決しなくてもいい問題であります。
  43. 中井一夫

    中井委員長 ただいま衆議院法制局三浦第一部長が出席されました。西村君の御要求でありますが、御質問になりますか。
  44. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは三浦部長に御質問いたしますが、新聞面で見ますと、吉田総理は議員立法というものがあつて五百四十億の金を食つている、まことに困つた、こういうことを言われておりますが、金を全うという点はとにかくとしまして、議員が筋のはずれた立法をやつたのでは困る。そういう場合には法制局の方ではやはり法を守る立場で十分助言をいたさなければならぬと思う。ところでこのたびの特例でございますが、従来実情やむを得ないというわけで特例法をつくつたのが数回あつたわけですが、いずれの場合でも、これは範囲を区切つて、あるいは期間を区切つて、それにだけ適用する、こういう法律であります。だから特例としてもこれは成り立ち得ると思います。ところがこのたび特例法なるものは将来ずつと長きにわたつて……。     〔私語する者あり〕
  45. 中井一夫

    中井委員長 ただいま発言中でありますから私語を禁じます。
  46. 西村力弥

    西村(力)委員 長きにわたつて決議をし、申請をし、承認を与えた翌月から全部転移になるというので、これは範囲も期間も何らの限定がない。そういうぐあいに考えてみますと、これは特例法として立法するヒとは筋が通つていない、こういうぐあいに私は思うのです。それでこれについては本法の改正で、何条でございましたか、責任転移の条項の第何項かに、但しかくかくの場合はこうするという但書で本法改正に持つて行けば筋が通る、かように思うのですが、法制局としてこの法案を検討され、議員の活動を助言せられた場合には、これは特例として成立して間違いないという見解に立たれたと思う。だからそういう断定をした御所見をお伺い申したい。
  47. 三浦義男

    三浦法制局参事 ただいまのお尋ねの点の法律的な問題についてお答え申し上げます。ただいまお話がありました通り、警察法の四十条の三の八項によりまして十月三十一日までに報告のありました町村については笠年の四月一日にその警察結膜に関する責任転移が行われる、こういうことになつていまして、これは警察法ができまして以来の原則であり、建前であることはもとよりであります。従いましてこの規定自体によつて行きますと、いわゆる町村議会議決があつて住民投票があれば、十月三十一日までのものは翌年の四月一日、その後のものは翌々年の四月一日に移る、こういうことになるわけであります。しかしながら従来いろいろ町村等の特殊事情にかんがみまして、個々的な町村につきまして、町村議会議決があり、住民投票が行われましたものにつきまして特例法を制定して来たことは御承知の通りでありまするが、具体的に特別にきまりましたものだけについて特例法をきめることも一つの方法でありますが、さらに将来に起り得べき事態を予想し、また現在起つておる議決あるいは住民投票を前提といたしまして、それらを包括いたしまして、四十条の三の八順にある特例に、例外規定を設けることもまた特例一つでございます。ただ今度設けました特例法は、特に町村から警察維持に関する責任転移の時期を繰上げたいという意思表示がありましたものについて、内閣総理大臣承認したものだけに限つて認めるのでありまして、本来の警察法建前から、議決があり、住民投票があつただけでは十分でないのでありまして、意思表示をすることを前提としておるわけであります。従いまして、かりに町村議会議決があつて住民投票がありましても、町村の方でやはり従来の警察法建前で翌年の四月一日、あるいは翌翌年の四九一日に移せばいいということであれは、もちろん従来の原則によるわけでありまして、特別の意思表示をした分についてだけ翌月に転移するという特例を設けるわけでありますから、われわれが従来考えておる一般法、特例法の観念から申しまして別にさしつかえはないと考えております。
  48. 西村力弥

    西村(力)委員 この立法をせられた経過はきのう提案者から腹を割つた率直な意見があつたのです。すなわち何べんも何べんも願いが出たから特例をつくつてやるということはどうもやりにくい、だから何ともしようがないから、本法を改正すべき筋合いのところであるが特例でやつて行くのだ、こういう率直な話があつた。その気持は了とするのですが、そういう経緯をもつて提案せられておるということをお聞きになつておるかどうか。それからこういうものを特例として出上ますと、それならば、どうせ住民投票して意思決定したのだから早いに越したことはない、こういうことになつて、全部が全部この特例に依拠してやつてしまうということになつて、毎年十月三十一日までに住民投票になつたものは翌年四月一日から転移するということが死文化するという結果は明瞭ではないか。その点については池谷さんにもお聞きしたいのですが、もし今問題になつている法案が通れは、小山町については来年の三月まではかまわんで置くのだという考えであつたけれども、それでは当然すぐ承認してもらおうというぐあいに動いて来るだろうと思うのですが、池谷さんにはその点についての見通しをお聞きしたいのです。そういう理由から、特例法として提案しても何ら法律的に問題はないということは、あまりに形式的にすぎるのではないかと私は思う。そういう点についてお二人に御答弁をお願いします。
  49. 三浦義男

    三浦法制局参事 今のような問題につきましては私はかように考えております。現行法の四十条の三の八項の規定によつて行く場合と、この特例法規定によつて行く場合と両方の場合が法律的にあり得る、つまり法律的には二つの道が開けておる。しかしながら原則はどこまでも現行警察法建前で行くのであつて、翌年の四月一日に行くのが原則である。しかしながら町村の実情によつては早く意思表示をしてその時期を繰上げたいというのがありといたしまするならば、そういう町村についてこの特例法を適用して行くというのでありまして、実際町村議会議決があり、住民投票があり、報告があつた場合に、どちらの方法によられるかということは、法律の問題ではないのでありまして、これは町村自体が決定すべき事柄でありますので、法律の問題とは別問題だと私は考えております。しかしながら一応両方の問題は法律的に考える問題でありまするので、その道を開いた、こういうことでございます。
  50. 西村力弥

    西村(力)委員 原則として四十条の三の第八項がある、こちらはどこまでも特例だ、こういうのですが、こういう議決をしたもののほとんど大部分が繰上げてやつてもらおう、こういうぐあいになる、またなつて来るだろうと思うのですが、そうなれは逆に原則が崩れて特例がむしろ原則になつて来る、こういうことになるだろうと思う。このことは当然予想されることなのであります。そうなれば法律的に二つの道があつて、こつちが原則でこつちが特例だといつても、これは事実逆になつてしまうのじやないか。単に形式的にそういうぐあいに割切つてもどうにもならないので、むしろ原則と特例転移してしまう、どうもそれこそ主客転倒になつてしまうというぐあいに考えるときには、その所論というものが私はどうもあまりに形式的過ぎて納得できないわけであります。御答弁はいりませんが、そういう見解を持つのです。それで池谷さんに先ほどの御答弁をお願い申し上げます。
  51. 池谷貞治

    池谷参考人 小山町といたしますれば、今自分の見通しから行きますれば、繰上げてということはないと思つております。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 今の特例の形をとるということに関連いたしまして、提案者にお伺いいたしますが、この特例という形をとるということは、あくまで四十条の第八項というものを原則と認めて、そしてその例外的な場合として認めるということはただいまの説明の通りだと思いますが、そういたしますと、四十条の第八項というものがあくまで原則でなければならぬという理由がどこにあるか。これが本法の改正でなくてこういう特例法の形でやるということは、今の四十条第八項をあくまで原則として残しておかなくちやならぬという理由があるからそうされたんだと思うのですが、このように各町村長意思によつて、申請によつてその時期がかわり得るというようなことを認めることになりますと、原則というものが今西村君の質問のようにさつぱり意味がなくなつて来るような気もするのですが、それでもあくまでやはり四十条八項を原則として残しておかなければならぬというような積極的な理由をどこに求めておられるか、それを伺いたい。
  53. 加藤精三

    加藤(精)委員 提案者の一人といたしまして北山委員さんの御質問にお答えいたします。法律上のことは非常に不得手でありまして、第一部長からすでにお答えいたしておる通りだろうと思いますが、法文の中にはよく但書をつけて、そうして本文を全部但しに入れてしまつて元も子もなくしてしまつているのがずいぶんあるのでございますが、それに比べますと、この四十条の三の特例案におきましては、本日参考人として来られました小町のごとき場合は、無理にも繰上げることはいたす趣旨でもありませんし、町村の任意選択及び内閣総理大臣承認にかからした点におきまして、やつぱり一種の特例になるのでありまして、大部分は四十条の三の第八項によることを予想しているんじやないか、そんなふうな気持がいたしますので、解釈が聞違つておりましたら法制局の方から直していただきたいと思います。
  54. 北山愛郎

    ○北山委員 私がお伺いしたのとはちよとお答えが違うようなんです。私は形式の問題は別としてなぜそういうふうな形式をとつたかといえば、それはやはり現在の四十条の三の八項というものを残しておかなくちやならぬ、原則としてやはり残しておかなければならぬという積極的な理由がおありだつたからこそ、本法の改正をやらないで特例法になさつたのだと思うのです。従つてなぜ本法の四十条の三の八項というものをあくまで原則として置いておかなければならぬのか、その理由がどこにあるのか。もうこうなつて来るというと、その立法理由がなくなつて来ているんじやないか、こういうふうに考えられます。それをなぜこういうふうに特例にしたかといえば、それはやはり原則は原則として認めておられる、その原則をどこに認めておられるか、どういう積極的な理由が今でも残つておるとお考えなつておられるか、それをお伺いしたい。形式じやないのです。
  55. 加藤精三

    加藤(精)委員 まことにごもつともな御意見でございまして、私たちそれに賛成して、理事会でもそういう気持でやつたのでございますが、立法技術の問題になりますると、とかく専門家に相談しませんと間違えることがありますので、立法技術につきまして相談いたしたところが、こういう形式がよいということでございましたので、そういうふうにしたのでございます。その点御了承を願いたいと思います。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 どうも今お聞きしたことに対してはお答えが得られないのですが、法制局の方でこの立法に参与しておられるという経過にかんがみまして、法制局の方ではどういうふうに考えておつたか。要するに四十条の三の八項をやはり原則として残さなければならぬという理由をどういうふうに考えておつたか、どこかにその理由が残つておるのでしようか。こういうふうに町村意思によつてどんどん時期を変更できるということになれは、その原則を残しておく必要はない。従つて本法の改正の形式で行くのがほんとうだ、こういうふうにお考えにならなかつたか。そういう実質的な内容、これはちよつと法制局としては無理かもしれませんが、しかしこの立法に参画したという場合には、そういう点をお考えなつての上でなければできないと思いまするので、その点をお伺いします。
  57. 三浦義男

    三浦法制局参事 それらの詳細の点については、これは警察の方がその事情がおわかりだろうと思いますが、私の関知しておる範囲でお答え申し上げます。この特例法を設けましたのは、いろいろ町村の予算の関係等もございまして、町村議決をいたしまして来年の四月一日までは待てないというような事情があつて、早く繰上げたいという場合もあると思います。それからまた逆に、町村の方では議決をいたし、あるいは住民投票を経ましても、内閣総理大臣承認が必要でありますので、政府といたしましては場合によつては、町村からそういう申出がありましても、地方自治警のいろいろな状況、その他周囲の国警との関連を考えまして、これを承認しない、本来の警察法建前によつていわゆる翌年四月一日に転移してもらう、こういう場合もあり得るだろうと思います。従いましてこの特例法は、先ほど申してありまするように、どこまでも例外的な特例法でありまして、町村からの申請と総理大臣のいわゆる承認ということがなかつた場合には、常に原則に帰つて警察法四十条の三の八項の建前で運用されて行くわけでございまするから、それは一応法理的には考え得るわけであります。ただ実際問題といたしまして、お話の通り町村議決がありましたもののうち、どの程度が特例法により、どの程度が本来の警察法建前によつて行くかということは、これは実際の問題でございまするので別問題かと思います。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいままでのお答えを聞きましても、どうも提案者の方には本法の四十条の三の八項をあくまでも原則として残しておいて、そしてこれは特例の形式をとるのだという積極的な理由説明がなかつたということをはつきり確認いたしまして、私の質問を終ります。
  59. 床次徳二

    ○床次委員 本案に関しましてはすでに相当質疑も行われまして、なお本委委員会において論ぜられておりまして、問題の所在は大体明らかになつて来ておると思いますので、質疑を適当の機会にお打切りをいただきまして、採決の進行をお願いしたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 中井一夫

    中井委員長 それではこれにて本案に対する質疑は終了いたしました。これより討論に入ります。北山君。
  61. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題はすでに質疑の中でいろいろ意見は尽されておると思うのでありますが、あらためて日本社会党を代表いたしまして、この特別法案に反対の意思を表明するものであります。  この理由といたしましては、すでに腰間の際にも申し上げましたように、この前の第十六国会に九州の小竹町の警察国警に移管する問題についての特例、これを当委員会で審議した際にも、このような変則なやり方は好ましくない。このようなことは将来はやらないようにしようというような委員会の各委員の全体の空気でございまして、その際特例法案の通過を決定する場合には、附帯決議をつけようというところまでの強い意見を持つてつたわけであります。ところがまたその後続々としてこのような事例がたくさん出て参りまして、そのときの委員会の申合せというか、全体としての意向というものに相反して、新しく特例案が出て来る。このように次から次へと町村自治体警察廃止して国警転移せしめようということを決定して来る根本の原因なるものは、私どもは主としてこれは財政上の理由によるものだとこう考えるのでありまして、町村財政上の困難からして、自治体警察維持して行きたいと考えておりましても、なかなかそのように行かない。特に地方財政平衡交付金等におきましても、警察費の需要額を算定する場合に、その基準額が非常に低いといつたように、国の方で自治体警察維持のための財政的な措置というものを十分考えてもらえないために、町村がやむなく警察を手離して国警に移してしまうというところにおもな原因があると考えるのでありまして、そのような財政上の困難を取除くというような措置をわれわれがとらないで、そして町村自治体警察廃止するということが次から次へと起つて来た場合に、これをこのような変則な法律をもつて一つずつ措置するというようなことになつて来るのはまことに遺憾な事態であると思うのであります。またただいまも質疑の際に申しました通り、もうこのような事態になつて来れば、これは警察法第四十条の三の八項という規定維持するという積極的な理由が乏しくなつたというようなことをも示すのではないか。従つてこのような事態になつて来れば、この原則そのものを検討して本法の改正を行つて処理するのがむしろ法律の正しい扱い方であつて、これを今までのようなやり方で特例に次ぐ特例をもつてやるということは法の権威といいますか、神聖なる立法府のとるべきやり方ではない、かように考えるのでありまして、町村自治体警察維持する際のいろいろな困難というような事態、それからまた一応住民投票によつて自治体警察維持しないという意思決定した以上は、一日も早く国警に移管してもらいたいというような町村の実情というものはよくわかるのでありますか 以上の理由からして立法府としてはこういうような形式をとるべきでない。また自治体警察維持するという警察法のいわゆる警察民主化の精神というものをやはりあくまで維持するということは、金銭とかそういう問題にかえがたい貴重なことであるというような考え方からいたしまして、私どもはこの特例案に賛成することができないということをここに明らかにするものであります。
  62. 中井一夫

    中井委員長 大石君。
  63. 大石ヨシエ

    ○大石委員 私もはなはだ加藤さんに悪うございますが、反対理由を簡単に申し上げたいと思います。  そもそもこの警察法ができたというのは、わが日本の国が警察国家であつた。そして日本の国を現在のごとく敗戦に導いたということは、日本の軍国主義と日本の警察国家で私たちは今日の敗戦国民となつたからであります。それにもかかわらずみずから国会においてこうした警察法自治体警察と国家警察と二つにわけたものをつくつて、みずからがこれを崩壊せしめつつあるということは、わが国会の権威のために実に悲しむものである。そこで特例特例といつて四回の特例が出ました。そのときに何と警察当局はおつしやつたか。この次はもうこれ以上のことはいたしません。これでおしまいでございます。そういうことをおつしやいましたから私たちは自治体警察国警にまわした。一体自治体警察がかくのごとく苦しいということは、すなわち自治体が赤字財政に悩んでいるためである。この赤字財政を平衡交付金その他で補つて、あくまでもこの自治体警察を保護しなかつたら、日本はまたがつて警察国家になり、かつてのおいこらのそうした基本的人権を無視した警察国家になることを私は非常に歎いている一人であります。われわれはここにこの基本的人権を非常に尊重する意味において、これを自治体警察と国家警察と二つにわけて喜んでおつた。ところがこれが法によつてみずから崩解するということに対しては、わが社会党右派は全力を集中して反対するものであるということを言明いたします。
  64. 中井一夫

    中井委員長 これをもつて討論は終結いたしました。よつて採決をいたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成所起立〕
  65. 中井一夫

    中井委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  この際お諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条による報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中井一夫

    中井委員長 異議なしと認め、さように決定をいたします。     ―――――――――――――
  67. 中井一夫

    中井委員長 次に、昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の単位費用の特例に関する法律案議題として、これより質疑に入ります。
  68. 横路節雄

    ○横路委員 財政部長にお尋ねしますが、実はこの平衝交付金の単位費用の算定についてなのでありますが、話を前にもどすようですが、去年の暮れに一箇月のほかに〇・二五を支給することに予算委員会決議になりまして、二月四日の本会議で満場一致でその決議が採択をされまして、そうして御承知のように三月十四日に四十億にわたる地方債と公募公債との関係でそれを渡したわけです。ところが奈良県その他の数府県ではこれは地方債で来たのだから出さない、こう言うのですな。     〔委員長退席、加藤(精)委員長代     理着席〕 それからある府県では、これは金がないからお前たちには貸してやるのだ、こう言うわけなのです。そこで何ぼやつてもらちがあかないままになつているわけです。せつかく閣議できめてくれたのですが、受取つた方も一箇月のほかに〇・二しか受取つていない。そこでこの間私は予算委員会で長官にお尋ねしたところが、今度も一番心配しているのは、きよういよいよもつて本会議にかかりますところの予算の中には、御承知のように期末手当の〇・二五と勤勉手当の〇・二五、それに見合う平衡交付金、足りない分はこの前から御説明のございました地方税の自然増ということになつているのでございますが、地方自治体の職員が一番心配していることは、総額約二十一億だかに相当する税の自然増をもつてつているために、実はおれの方の県では何ぼ自治庁でそうせよと言つても税はよけいないのだ、だからやれませんぞ。こうなると何ぼ法律でもつて期末手当〇・二五、勤勉手当〇・二五となつていても支給されないわけです。そこで私は長官に何とかこれは地方自治団体を拘束するわけにはいかぬのかと伺つたら、やはり拘束するわけにはいかぬと言うのです。そこで私は財政部長にお尋ねしたいのだが、実は今度給与三本建法と称して、この前の十七臨時国会で通り、ただいま人事委員会法案がかかつている学校職員大学、高等学校、中学校、小学校の義務教育職員に関しては、なるほど大学職員に関してはこれは法律できまれば国費ですからその通り行くでしよう。しかし平衡交付金で高等学校職員に関しては都道府県にやる以上は、政府としてはこの給与三本建に関しては平衡交付金の中に入れてやつても、都道府県でめいめいかつての給与条例をつくれば、これはなるほど高等学校の単位費用としてはぶち込んであつたけれども、受ける方では、おれの県では給与の三本建というのは学校職員の組織をこわすからだめだ、こう言つて小中高を一本にした給与条例をつくつてこれでおやりになつても、政府は別に拘束できないわけですね。その点ひとつ御答弁願います。
  69. 後藤博

    ○後藤説明員 お尋ねの、三本建を実施しなかつた場合に法律的な強制力があるかどうかという御質問でありますが、私どもはもちろんそれに対して自治庁自体として勧告はできるかと思いますけれども、それ以上強制する措置はできないと考えております。
  70. 横路節雄

    ○横路委員 きのう北山委員からもお話があつたのですが、実はあの十六国会において政府原案に対してさえも自由党、改進党の共同修正による平衡交付金の五十億の増につきましては、予算委員会における提案説明あるいはこの地方行政委員会における長い間の質疑応答の中で明確になつておりますことは、あの五十億については都通府県並びに市町村の職員に関して政府が当然責任をもつて支出しなければならないものを、一方的に措置をして、低いからといつてつて平衡交付金を渡してあるために、それが赤字になつて累積されている。少くとも昭和二十八年度においては、給与総額において赤字にならないためにあの五十億については増額したわけです。そこで私がお聞きしたいのはそこなんです。都道府県並びに市町村の職員についてあの五十億は全部見ることになつている。あの五十億についてはそういうように都道府県並びに市町村の自治体職員の給与の方の単位費用規定に全部振り込んで、少くとも給与に関しては、従前のような赤字にならないように――今度もうすでにお組みになつて渡したとかいうお話ですが、これはきのう北山君から長官にもお尋ねがあつて、大分怪しいのですが、そのことはあとにして、あの五十億についてはそういうことになつているのですが、その点どうお考えですか。
  71. 後藤博

    ○後藤説明員 私はこういうふうに聞いておるのでありますが、五十億のうち高等学校の分を除いた分、四十七億ぐらいになりますか、その分が大体調整額に判るくらいの額であつたので、単位費用を上げないで、大体差額一ぱい渡した。従つて単位費用の増加をしなかつた。その結果は、従来財政計画と平衡交付金の方で、たとえば義務教育費でありますと、八八%くらいしか見ていなかつたものが、その調整額がなかつたものですから九十六、七パーセントになつて、結局は単位費用を上げたものと同じような結果になつている。従つて単位費用を増加しなかつたのだ、こういうふうに聞いております。
  72. 横路節雄

    ○横路委員 あの五十億を入れた地方財政修正計画というものは、この間の十七臨時国会にお出しになつていないわけです。つまりあの五十億というのは、あなたの方でお出しになつた二十八年度当初の地方財政計画の中には入つていないわけです。従つて国会で修正になつて、五十億が入つているわけですから、この点については、先般の十七臨時国会に、少くとも五十億入れた地方財政計画を出さなければならぬのに、それをお出しになつていなくて、今度初めて出したわけです。だから今度の地方財政計画というものは、五十億にそれから平衡交付金の七十六億、従つて百二十六鷹の平衡交付金の額になるわけです。その点大半だから部長はよく聞いてください。つまり七十六億今度組まれたほかに、この前修正になつた五十億があるのです。そこで、あなたの方できのうお話になりました自然増の二十一億は、五十億から二十一億を引いた二十九億にその自然増を足した分、これは別の方に充てるべきであります。もともと五十億は、給与に関して前の年に赤字が出たので、少くとも三十八年度については、事給与に関しては地方自治体に迷惑をかけないために増額したのです。あなたの方で最初出されたものは千二百五十億で、それを国会で修正されて千三百億にしたのですから、そのことを含めて十七臨時国会説明すべきなのが、その説明がなかつた。それでこの間やつと、実は五十億については調整額とか何とかいうお話でしたが、私はあの五十億は、当然七十六億にプラスして考えるべきだと思う。なせ私がこういうことを聞くかと言いますと、なんぼ私たちがやかましく言つても、まだ払わない地方団体があるのです。平衡交付金が来たら払いますが、そうでなければ払いませんと言われると、それは拘束するものがないのですから、平衡交付金で措置をしたぞとこう言つて、初めてそれがやれるのです。それでしつこく聞くのです。これは長官にもお考えいただかないといけないが、まつたく因つたものです。ひとつ部長のこの点に対する御答弁を願いたい。
  73. 後藤博

    ○後藤説明員 つまり前々国会の終りに、既定財政規模が五十億ふくれまして、そして修正になつている。その五十億については、すでに確定しているものと、単位費用を上げないで、そのかわり調整額による調整をやめまして追加いたした。これでもつて大体うまくやれた。こういうふうに私は事務の引継ぎを受けております。従つて私はその点には触れないで、前国会以来お答え申し上げている次第であります。
  74. 横路節雄

    ○横路委員 とにかく政府原案は、御承知のように千二百五十億で組まれた。それを国会で修正になつて五十億ふえた。その五十億については、国会で増額したのですから、本来から言えば、ただちにそれは修正してお出しにならなければならぬのに、全然私たちにそれをお示しにならぬのです。それでこの間部長から言われたことについて、私もよく調べて見ましたが、そうしたら、それはただ風水害、冷害に関する地方財政計画というので、何も今度のように修正された計画じやないのです。ただ冷害で何がなんぼどうしたということだけで、それで今度初めて出されて来たわけですから、私としては、あの五十億から三億六千万円は給与三本建で高等学校の方にとるとしましても、約四十七億近いものがあるのですから、そうすれば二十一億のものは期末手当の方に見て、そしてこれは完全に財源措置をするのが私は適当だと思うのですが、その点どうですか。
  75. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねになつていることは、こういうことでしようか。第十六国会に修正が行われたわけです。それで第十七国会に補正が出たが、そのときに政府がつくつた財政計画に出ていなかつたというのでありますか。というのは、第十七国会財政計画を出したが、あのときに入れていなかつたじやないか、こういうお尋ねでしようか。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 そういうことです。
  77. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 十七国会には、財政計画はつくり直しておらなかつたそうです。     〔「災害関係が出た」と呼ぶ者あり〕
  78. 横路節雄

    ○横路委員 今大臣のお話の通りです。第十七国会にはいわゆる二十八年度に五十億ふえたあれに相当する地方財政計画が出炭ていないのです。出ていないから今私は聞いているのです。この前出たら私は聞かないのです。それで今度その地方財政計画が出て来たけれども、あの五十億はひもつきです。それは来た金はどこへ使つてもいいということは間違いないにしても、現に自治庁の方で、三億六千万円については、これは給与三本建だと言つているように、その他の金額についても、やはり一昨年の昭和二十六年十一月から、やれ三百四十八円だ、去年は七百九十二円だ、やれ今年は千二百円だと言われるその分が差引かれて赤字になつているのだから、ぜひ給与に関しては赤字にならないようにということで出されたものですから、今度平衡交付金の七十六億は、勤勉手当三十六億、ベース・アップ四十億であれば、なお二十一億足りないという金は、その五十億の中から当然持つて来て、事給与に関してだけは、これは平衡交付金で全部始末してありますと、こうならなければならない。それでおかしいことを言うものだなあと思つて、実は私も家でこの間の財政計画を見てないものですから、きようあらためてこの点をお聞きしているわけです。
  79. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 横路委員のお尋ねのことは、書類をつくつたかつくらないかということと、現実にこの修正の通り財政配分をしたかどうかということと、ひとつ別に御検討願いたいと思うんです。今みんな部長も課長もかわつてしまつたので、私もこまかいことを承知していないのですが、十七国会では、あのときの補正は災害関係に関する分で、給与に関するものはなかつたので、従つて五十億は給与に関する分でありましたので、給与に関する部分も含めた全体計画にあのときはつくらなかつたのた、災害の部分だけ出したのでありますから、当然その五十億を含んだ表はつくらなかつたのだ、こういうことなんです。従つて今度初めて給与のものが出て参りましたから、あわせて全体計画のものを第一次の補正も含めて今度出した。従つて書類をつくつたのは今度が初めになつた。しかしそれとは別個に配分いたしました金額はすでに配分済みなんで、個々の市町村行つておる分までも明細にきまつておりますので、従つて総額もきまつておりますので、これにどれだけを平衡交付金で出したかということははつきりと自治庁に記録がありますから、その点の御心配はないはずであります。
  80. 横路節雄

    ○横路委員 それでは財政部長にお尋ねします。そうしますと、こういうことですね。給与に関しましては、五十億をすでに配分してあるということは、昭和二十六年のいわゆるべース・アップのときから問題になりました、当時地方公務員が三百四十八円高いといつて差引いて渡した平衡交付金、そのために赤字が累積して来ておる、昨年の十一月のときで七百九十二円、今年はあるいは八百五十円か千円になつているかもしれぬ、その分はちやんと見て渡したということですね。それに間違いないですか。それならば私はその通り、きようは大臣からも財政部長からも、その従前差引いて渡した分は、昭和二十八年度以降に関しては、ちやんとそれぞれ財政措置をして渡しましたぞと、こういう御答弁があつたというようにとつていいですな。
  81. 柴田護

    柴田(護)説明員 五十億国会において修正されました結果、地方財政平衡交付金算定上の給与単価を修正いたしまして、その修正いたします場合に、従来の国家予算編成り上における国家公務員の単価と地方公務員の単価の差異が非常に大きゆうございますので、その差異を調整いたしまして、一般職員につきましては、国家公務員との比重において、それから教職員につきましては、国家公務員である教職員の実績等を勘案いたしまして給与単価を直しました。その結果現在におきましては、大体教職員につきましては、地方の実際の給与の平均単価と地方財政計画上の平均学価は、ほとんど差異はございません。一般職員につきましては若干差異が残つております。
  82. 横路節雄

    ○横路委員 今の点は非常に重大な点でありますから、今のお話の通りほんとうに渡されてあるのかどうか、この点はひとつぜひ次の委員会資料として出してもらいたい。今の点はあなたの御答弁はこうなんですね。昭和二十六年十月の地方財政計画の修正のときから問題になつておつた地方公務員に関しては、学校職員は三百四十九円、それから都道府県の職員は三百四十八円、当時市の者については八百九十円、町村吏員については五百幾らかというその基礎的な単価については、さらに昨年十一月のべース・アップの分も勘案して加算して、そうして従前引かれている分は全部昭和二十七年度の決算の上に積んで渡してあるという意味なんですね。
  83. 後藤博

    ○後藤説明員 ちよつとお話が違うのでありますが、昨年の先々国会に出しました財政計画の上で、従来国の昇給率と地方の昇給率が違つておりましたので、国の昇給率に合せましてこの単位費用を直しております。その際に三百何円というのは縮まつておるのであります。その後教員につきましては、国庫負担法その他がありましたので、現在小学校についてはほとんど違つてないのじやないか。それから中学校において多少違つております。それから一般職員についても前ほど差がなくなつておるのではないか。これは実際にわれわれの方で、国の公務員の単価と地方公務員の単価が非常に違つておるので、直すようにということをやかましく言つております。地方でも直すように努力しておりますので、計算的にはまだ六百円くらい違つておるという数字が出て参りますけれども、現実にはそれほどの差はないのじやないか。要するに前の何百円という差がそのままずつと伸びては行つていないで、むしろ逆に縮まつた方向に行つているという数字が出ておるのであります。それを今申し上土げたのであります。
  84. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今の部長のお話、小学校並びに中学校、この点については違いがないのではないかという点は非常に大事なんです。私はお尋ねしたいのですが、実は第十六特別国会を通過いたしました、いわゆる学校教職員に関する三本建の給与法案、給与法に関する一部改正法案の附則第五項にこういう言葉がある。この給与の切りかえにあたつては、給与法並びに人事院規則その他の規程によつて定められた本人の級並びに号俸、俸給月額によつて切りかえしなければならない、こうなつている。それで今あなたの御説の通り、今年の四月一日から義務教育学校職員については、いわゆる義務教育費国庫負担法によつて明らかに、今日受けている給与すなわち昭和二十八年三月三十一日に出ている給与でもつて四月一日からそのまま行つておるわけですね。だから私はその学校教職員に関する給与三本建法といわれているあの法律の附則第五項によつて、いわゆる切りかえにあたつては、小学校、中学校は現在受けている給与のまま切りかえすることができるのだ、こういう解釈をとつているわけです。但し高等学校職員については、義務教育学校職員のように、義務教育費国庫負担法のように制約はないのですから、そうすると給与法並びに人事院規則によると、全部頭から二千円ないし三千円ずつ下げて切りかえすることになるのですが、いいのですかと人事委員会で聞いておる。この点はあなたの方で給与法の建前でやると、高等学校職員については、三億六千万円の増額をするということは、明らかに不当だということになる。だから実は私は今かけられているいわゆる平衡交付金の単位測定の上に非常に雨天な影響を来しますので、それで聞いているわけです。  そこでもう一つ、実は資料でやつていただいてもいいのですが、先ほど課長からのお話では、いわゆる一般職員については国家公務員並みにやつたのだ、一般教職員については、いわゆる国立学校の教職員並みに引上げたというけれども、話はそうではないのです。政府は地方公務員に関しては、国家公務員よりも三百四十八円高いから差引いた、学校教職員については、国立学校の教職員よりも三百四十八円高いから差引いた、こう言つている。あなたの話は、国立学校の職員よりは教職員は低いから上げたのだ、これは全然違うのです。国家公務員が地方公務員より低いから上げたというが、違う。高いから下げたのだ。そしてこれだけ赤字になつたのだから、これを積んだのか、その点を私は聞いている。全然考え方が違う。
  85. 柴田護

    柴田(護)説明員 先ほどの私の答弁が若干不明であつたかもしれませんけれども、私が申し上げた趣旨は、従来の地方財政計画に算定いたしておりまする単価というものが、実際の国家公務員の給与法に定められておりますものを基礎にしてはじき出した単価と、地方の実際の給与との問に相当の開きがあるから、その開きを調整して、財政計画上の単価を調整して今日まで参つたわけであります。そのために給与費については、政府は地方公共団体におきましても、国家公務員に準じた給与を行うように調整を期待しておつたわけでありますけれども、現実にはなかなかそれがうまく行われない。それで地方財政計画上において算定された給与費総額というものと、現実の給与費総額というものの間には相当の開きがあるのじやないかということが、従来から言われておつたわけであります。その点等を考慮されまして、先々国会におきまして地方財政平衡交付金が五十億追加されたわけであります。そこでその際に、地方財政平衡交付金を算定いたします基礎になります地方財政計画上の地方公務員の給与単価というものに修正を加えたわけであります。その修正を加えまして給与費総額を九十八億増加したわけであります。給与費総額を増加いたしました反面、地方財政計画上四十五、六億だつたと思いますが、節約することを国に準じて行うことを期待して、節約いたしましてバランスを合せたわけであります。その結果、地方、財政上の給与費単価というものは、従来に比べて相当改善されて参つておる。その改善の仕方というものは、先ほど横路さんから御指摘になりましたように、実績を基礎にしてはいない。その場合に一般職員につきましては国家公務興の予算上の給与単価というものを基礎にいたしております。教職員につきましては、国家公務員である教職員の給与の実績というものを基礎にいたしております。そういう意味で改善されて参つたのでありますが、義務教育費国庫負担金の――この義務教育費国庫負担は実給与額に対して支給されてあるわけでありますから、これから逆算いたして参りますると、大体教職員については、現在の地方財政計山上の給与費の単価というものは、そう大きな開きはない。一般職員につきましては、従来のままの給与体系が続けられてあるといたしますならば、調整を加えなくてそのままやつて参りました額と、現在の給与単価の間にはなお六百円ばかりの開きがあるということを申し上げたのであります。
  86. 横路節雄

    ○横路委員 今の点につきましては、実はいつも金が削られたときには具体的に数字をあげて剛つて来るわけです。学校職員は一人何ぼ、都道府県職員は何ぼ、市の吏員は何ぼ、町村の吏員は何ぼ、これだけ高いから削りました。今度は何ぼ減らすのだと聞くと、いや調整しましたという、だけで、どれだけ調整なさつたのか、その点ひとつ……。市の吏員、町村の吏員、それから都道府県の職員、学校教職員に実際に支給されておるものと、それからあなたの方ではじいて平衡交付金で渡してあるものとの一人当りの月額の差は一体どうなつておるのか。今あなたの言われる六百円という金額についても、何のところが六百円というのがどうもはつきりしませんが、この点はもしも今お答えができればしていただきたいのですが、それよりは財政部長にお尋ねしたい。やはりどう考えてもあの五十億というのは、地方税の五十四億増で、二十一億だけ期末手当に出しておきますと、何といつてもこれは支給されにくいのです。ほんとうに地方自治体の職員というものはひどい目にあつておるのです。今度みな心配しておるのは、当らないのじやないかと心配しておる。当るためには少くとも政府が平衡交付金で全額処置しよう、こういうことがいいので、私は地方財政の修正計画は月額費あたりでもちよつとお直しできまずから、あそこのところを二十一億については、あれは五十億平衡交付金、こうやつて――政府もよく予算委員会でやりますよ。出しておいて、二日ぐらいたつてから修正しますから、ここは内輪のことですから、ひとつそういうことをやつてもらいたい。地方自治団体の諸君はほんとうに二月分くれと要求しておるわけです。それが一・二五すら当らないということになると、問題が必ず起きて来ます。大臣、これはほんとうにそうですよ。容易ならぬことである。私はこの間奈良県に行つて、奈良県の知事に言つた。参議院の地方行政委員会で呼んでやつても、私は絶対に払いませんとたんかを切つておる。何も拘束することはできない。国会まで呼んでもそう言つておるのです。ですから、とにかくこれは平衡交付金で全額措置をなさることが至当なんです。財政部長どうですか。ちよつと数字を血してお出しになることについて……。
  87. 後藤博

    ○後藤説明員 給与のベース・アップと期末手当について二十一億の自然増を建てたということだろうと思いますが、私どもは平衡交付金というのは、御承知の通り一般財源という考えであります。二十一億の増を建てて、各地方団体ごとに考えてみますと、税が伸びないところは平衡交付金を全部処置したということになります。税の伸びるところにおいては平衡交付金の方が少くなつて参りますから、平衡交付金の方が十分でない、こういうふうな問題が出て来るのであります。総括的な問題として給与及びベース・アップ及び期末手業だけを抜き出してやると、二十一億の増収を見たこういう結果にはなるのでありますけれども、個々の団体について見ますと、必ずしもそうは行かない。たとえば鹿児島県とか青森県のような税の伸びないところは給与を全部平衡交付金で処置した、こういう結果になるのであります。ところが逆に静岡県でありますとか神奈川県でありますとか、愛知県とか兵庫県というような税の相当伸びるところにおいては〇・二五まで行かないかもしれません。一般財源という考え方に立つて考えくたされば、税の増収を現在財政平衡交付金の制度において見ざるを得ないということもおわかりになると思いますし、必ずしもおつしやるようなことにならぬのじやないかというふうに考えます。
  88. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 横路委員のお尋ねはこういうようにお答え申し上げたら御納得が行くのじやないかと思うのですが、今その七十六億では給与と給与ベースの引上げと〇・二五の増額に足りない。五十億はもうないのですけれども、かりにあつたといたしまして、財政計画を直したらどうか、こういうことなんですが、財政計画をかりに直しても――横路委員が御心配になつておるような個々の団体においてもらえるか、もらえないかということは財政計画を直してもちつともかわつて来ないのでありまして、財政計画を直すならば、直したと同時に配分の単位費用なり何なりをかえて行かなければ、個々の団体に行くものはかわつて来ない。ところがその配分の基準をかえることは、財政計画が直つてから、それによつてかえるわけには行かないのでして、配分の基準をかえるのは、〇・二五それから国家公務員と同じべース・アップという数字を基礎にしてかえなければならぬのでありますから、財政計画だけをちよつと直して、それに応じて配分の基準をかえるというわけには参らない。従つて財政計画を直しても個々の団体に配分する仕方というものをかえるわけには行かないのでありますから、実質的に御希望のような効果は上らないと思います。
  89. 横路節雄

    ○横路委員 今の大臣のお話は私の考えとは違う。これは先ほど言いましたように、本来からいえば十六特別国会のときにも、五十億を出したのであるから、平衡交付金の方の単位費用については変更して出せ、こういう野党側の意見が強かつたんたが、これは今すぐできないからというので、ことに七月三十一日でもなおきまらず、実は八月ハ、七日ごろになつて、やつと会期ぎりぎり一ぱいにきめた単位費用の測定に関する法律ですから、やむを得ず了承したわけであります。そこで当然われわれからすれば今度の単位費用の測定の中にその五十億、今度ふえた七十六億も入れて考えなければならぬ。そういう意味から行けは、今大臣がおつしやつたように、もちろん個々のあるものについては、財政収入が多ければまるまる税でまかなうかもしれない。しかし、総体的には給与に関しては平衡交付金で見ておる。その五十億がそのときに使われないで、本来からいえば今度の単位費用の測定の変更に関して五十億プラス七十六億と一緒になつてやる。これが普通の考え方なんです。この前の審議の過程からいえば、この点については、直せ、直すことができない、それでは次にやりましよう、こういうことなんですから間違いない。そういう意味から行けば、今度七十六億プラスした百二十六億の中でプールにしてお出しになるはずなのを、五十億は前に使つたので、七十六億というように出されたからそういう議論になるのですが、そこで部長にお聞きしますが、それであれはぜひ月曜日の委員会といいますか、次の委員会に、当然これをお出しになつた以上は、すなわち都道府県の七億の税の増、市町村の十三億の税の増、さらに七十八億について五十一億が都道府県、二十五億が市町村であるならば、その都道府県別に給与に関してはどう、期末手当についてはどう、これについての税についての見込額はどう、ということは、当然あなたの方では算定なさつて出したわけですから、その算定になつた基礎の資料を出していただきたい。
  90. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 暫時休憩いたします。     午後四時五十三分休憩      ――――◇―――――     午後五時二分開議
  91. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 休憩前に続きまして開会いたします。横路節雄君。
  92. 横路節雄

    ○横路委員 財政部長にお願いしておきますが、今いろいろお話した点については、休憩中にちよつと聞いたのですが、今まで委員会で公にされた給与単価の差額とはまつたく違うということになる。それであればやはり一ぺんこのことは次の委員会で自治庁の方から正確に資料を出していただいて、現実はこうなつておるというように言つてくださらなければ、今まで通りのことを別に正式の委員会で何も修正がないのですから、この点はそれぞれの学校教職員並びに地方職員についての給与単価についてどうなつておるか、これをはつきりしていただきたい。そうでないと、これは昭和二十九年度の地方財政計画を立てる場合、われわれとしても、これはどうしてもそれを基礎にして検討しなければならぬ。これはひとつ次に出してもらつてからやりたいと思います。  もう一つは、これは当然今度の平衡交付金の単位費用その他が国会できまつてからのことになるとは思うのでありますけれども、今度この年末に関して、あなたの方でいろいろ一般の財政収入、その他との関係もございましようが、〇。二五の期末手当、〇・二五の勤勉手当並びに三箇月分のベース・アップに見合うそれぞれのものについて、ひとつ正確にいつごろ都道府県に配分されますか、できれば配分と同時にわれわれに資料を出してもらいたい。配分する前に出せといつても無理でありますから、配分と同時にそれを出してもらいたい。  それからもう一つ、この間私が要求しました昭和二十七年度の公募公債に関しては資料をいただきましたので、この点につきましては、私はぜひ次の委員会でもう少しお聞きしたいと思うのですが、問題は昭和二十八年度の公募公債についてはどうなつたものか。これは口頭で御説明なさる予定でありましたのか。できれば十一月三十日といつても、これは何ですから、十月三十一日ごろまでのものについて資料を出してもらいたい、こう思うのであります。これは私どもの見方が間違わなければいいのですが、今の公募公債の消化状況から行けば、来年の三月三十一日には、四、五十億のものが消化できないのではないか。もしもそういうことになれば、それだけ地方財政の赤字になり、あるいは一般の補助事業等について打切りということになりますので、この点についてはぜひ資料を出していただき、その上で二十七年度並びに二十八年度の公募公債の消化状況等に関して、これはいよいよ十日から通常国会に移るわけでありますから、二十九年度の財政計画との関連もございますので、これは十一月三十日はめんどうだと思いますから、十月三十一日か、やむを得なければ九月三十日でよろしいですから、とにかく一番早いときの二十八年度の消化状況につきまして出していただきたいと思うのであります。私はいろいろ聞きたい点もございますが、次の委員会に出していただいて、その資料によつてまたお聞きすることにいたします。
  93. 加藤精三

    加藤(精)委員長代理 ちよつと政府委員にお尋ねしますが、横路さんの要求の第一の調書、これはすでに出してあると思います。この委員会にもらつてあると思います。それから第二番目、築三番目のものはいつごろまでに出せるか。出せることは出せるのですね。
  94. 後藤博

    ○後藤説明員 第一の給与の差額の問題、これは私は出ているかどうか存じませんので、出ていなければ私どもで用意いたします。それから第二の点はいつごろまでに交付金を渡すのか、渡した場合に知らしてもらいたいということであります。私どもできるだけ早く、年末までに交付金を出したい、かように考えて作業いたしております。それから第三の二十八年度の公募債でありますが、私の方で資料が集まつておりますものは、日銀でわくをもらいまして起債市場に出す分だけであります。これ以外の縁故の分というのは、大体この程度できまつたということを聞いているものが十億ないし二十億だろうと思います。この点についての調べはそう急いではできないということを申し上げたのであります。日銀の内容については、これはさつそくあさつてまでに資料として出したいと思います。
  95. 横路節雄

    ○横路委員 今の点で、平衡交付金は年末までに渡すわけですか。
  96. 後藤博

    ○後藤説明員 はあ。
  97. 横路節雄

    ○横路委員 そうしますと、年末までといいましても十二月三十七日には何ぼおそくても渡さなければならない。国家公務員については期末手当を十二月十五日に渡す。それが遅れるということになりますと、あなた方御存じのように、それぞれの自治体はそれぞれの市中銀行から金を借りなければならぬ。この仕事がまた容易でないわけです。だからこの点は年末なんということを言わないで、十五日に渡すとか二十日に渡すとか、もう少し何とか早くできませんか。年末というと三十一日ということになりますが、どういうことになりますか。
  98. 柴田護

    柴田(護)説明員 事務的なお話を申し上げますと、現在提案いたしております単位費用の特例に関する法律案を成立さしていただきましたならば、すぐ作業にかかるわけであります。そうしますと自治町村の末端の交付金全般について、資金需要額の再算定があるわけであります。この期間が普通にやつて二十日、一生懸命にやりまして本月の二十日から二十四、五日の問にまとまるのではないかと思います。そうすれは急いでやつて月末、三十六、七日ころまでにうまく行けは間に合う。私たちの気持としては年末金融の問題もございますので、できるだけ早くやるように努力いたしております。ただ計算だけでございますけれども、計算手続が全部初めからやり直さなければいかぬものでありますから、相当の時日を要すると思います。
  99. 横路節雄

    ○横路委員 ちよつと大臣にお尋ねしたいのですが、二十八日から休みですよ。二十七日の日に渡さなければなりませんが、何ぼ早くても二十六、七日ごろになるということになると、年末は地方自治団体は再び期末手当、勤勉手当についてはそれぞれの市中銀行から金を借りなければならぬという事態が発生しますよ。その点はどうなさるのですか。大臣の答弁を求めます。
  100. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私ももう少しつきつめて事務当局の見通しを聞いておくべきであつたと思うのです。私は十五日はちよつとむずかしいかもしれないが、二十日ごろまでには各地方団体へ金が渡るように平衡交付金の配分ができる、こう思つてつたのであります。そういうように想像しましたので、ただいま御審議願つております法案は、実は定例の閣議まで待ち切れないで、持ちまわり閣議でもつて、案ができる、すぐに急いで決裁を経てお出しして御審議を願うくらいに努力したような状態でありますので、少くともそういう事情とにらみ合せて、それぐらいにできるのじやないかと漠然と考えておつたのでありますが、今初めて当面の作業いたしておりますものからそのように聞きましたので、これは夜を日にかけてもやらせまして、なるべく早くそのように努力いたしたいと思います。
  101. 門司亮

    門司委員 今の横路君との間の質疑応答を聞いておりますと、ちよつとふに落ちないから聞いておきますが、今度のこの法案は、新しく七十六億円が出たからこういう法案をお出しになつたのですか。それは間違いございませんか。
  102. 柴田護

    柴田(護)説明員 今回国家公務員につきまして期末手当の増額が行われようとしておりますが、それと同時に来年一月からベース・アップをするわけでございます。それに従いまして地方公務員につきましても同じことが行われるということを前提として、単位費用を改正したのであります。従いまして、平衡交付金が増額されるから単位費用をかえるというだけの問題じやないのでございまして、地方団体に新しく普遍的に一つ財政需要が起るということに相なりますので、単位費用を当然かえなければならぬということに相なるわけであります。
  103. 門司亮

    門司委員 答弁としてはそういうことがなされなければならないはずだけれども、実際はそうじやないでしよう。実際そうだとするならば、七十六億の分と、この前の五十億の分が一体どうなつておるか。その点をひとつ明細に出してもらいたい。私の聞きたいのは、この前の本予算で五十億増額されたときには、測定単位を変更されておりません。従つてその五十億は、測定単位を別にして、どう使われておるか、それの明細を出してもらいたい。私は平衡交付金法があつて、平衡交付金になつておるものが、測定単位を度外視した配付はできないはずだと思います。あの当時の答弁は、大体五十億ぐらいのものは、いろいろなでこぼこや何かがあつて、それを埋め合せるために必要だから、測定単位はかえなくてもよいだろうという、行政的の措置といいますか、政治的にものが考えられたところが、今のような御答弁ですと、今度は必要ができたからかえたんだということならば、その所要額というものが七十六億であるかどうか。これは逆算されているから、数字はあるいは合うかもしれないが、しかしりくつは少し通らなさすぎるんじやないか。もしあなた方がそういう御答弁をなさるなら、この前の五十億は一体どういう形で使われておるか。この五十億もこれに入れて、一体単位費用というものが余らないようにできているのかどうか、その点を明確にしてもらいたい。
  104. 柴田護

    柴田(護)説明員 後ほど資料をつくりまして御説明申し上げますが、五十億平衡交付金が増額されましたときには、地方に対する財源措置として、五十億が不足しているという御認識のもとになされたと思うのでありますが、そのときには別段地方団体に財政需要が新たに起つたわけではないのです。     〔加藤(精)委員長代理退席、委員     長着席〕 当然今までの算定基礎によつて府県の財政需要をはじいておりまして、そして平衡交付金を財政計画上はじいておるのでございますが、そのはじき出しておる平衡交付金の額が、基準財政需要額の総額に対して若干足らぬのじやないかということで五十億ふえたと思うのです。そうだといたしますと、新しく地方団体に格別の財政需要が起つたわけではないのでございますから、単位費用等について改訂を加えるのはむしろおかしいのでございます。それでこの前の平衡交付金法の改正につきましては、そのときの制度において当然地方団体に必要と見込まれる額を算定して出しておるわけでございます。今回の場合は地方団体に新たな財政需要が旭つたのでございますから、それだけのものを単位要用の基礎に見込んで行かなければならぬ。それで単位費用につきまして所要額の改正を行つたのでございます。後ほど資料提出いたしまして詳しく御説明いたしたいと思います。
  105. 門司亮

    門司委員 今の御答弁は非常に奇怪な話です。平衡交付金法で算定の基準が変更できる範囲というものは、十三条の範囲だと考える。十三条の範囲で五十億なんというものが出て来るはずはない。大体平衡交付金法それ自体は、下からずつと積み上げて来たものに対してアンバランスを見るというのが趣旨になつている。そうすればそういうものが出るはずはない。出るということ自体がおかしい。測定単位ではかつたものが、これでよかつたのであるが、新たに五十億何だか知らぬがふえたということになれば、予算というものはきわめてずさんだということになる。使用目的がはつきりしないものに、金が足らぬからふやして行くということになると、非常に問題だと思う。少くとも私がさつき申し上げましたように、これは当然測定単位を改正すべきであるが、測定単位に誤りがあるのだということを前提として、その日にちがずつと押し詰められておつて、おそらく測定中位を改正するまでには時間的に間に合わなかつたのじやないか、同時にさつき申し上げましたように、政治的に物を考えて、五十億くらいのものが測定単位外に伸びたり縮んだりしているということで私どもは一応了承しておつたのでありますが、今の横路君との間の質疑応答を聞いていると、だんだん問題がおかしくなつて来て、その五十億がどこに行つているか見当がつかなくなつた。だから私はそのことを開いている。今のような御答弁であるとすれば、平衡交付金法というものは何が何だかわけがわからぬ。この算定の基準というものはまるきりでたらめだと言つてもちつともさしつかえない。こういうことなら私どもはつきり了承するわけに参りませんから、従つて聞いておきたいと思いますことは、今度単位費用を改正して一体いる額は、千三百五十億に五十億プラスして、さらに今度の七十六億を加えたものであるのか、その中からさきの国会で通過した五十億だけは差引いた千三百五十億に今度の七十六億を加えたものだけが測定単位の基準になつているのか、一体どうなのか、この点をはつきりしておいてもらいたい。
  106. 柴田護

    柴田(護)説明員 単位費用の計算の基礎になつておりますのは、この前の現状に対しまして、今回は新たに起りました財政需要をつけ加えたものであります。裏から申し上げますと、御指摘のように千三百億と今回ふえました七十六億ということになつているわけです。
  107. 門司亮

    門司委員 そうすると、また話のつじつまの合わないようなところが出て来るような気がするのです。当然そうでなければならぬと私は考えるのであるが、幸いにして今度の議案の中にもありますように、また説明書にもありますように、今度はこういう財政需要がふえたから、特にここだけの算定の基準を上げたのである。あとは財政需要の算定の基礎を上げる必要はない、こう書いてある。その通りだと思う。それは七十六億についてはそれが言えるのであります。ところが五十億についてはそうは言えないと私は思う。だから五十億の分を実は聞いている。七十六億については一応そういうことが言えると思う。しかし前の五十億にはそういつたことはちよつと当てはまらぬりくつであつて、前の五十億というものは、やはり全体の基準というものがかわつて来なければならぬはずのものである。この点は一体どうなんですか。答弁はきようでなくてもよろしいが、五十億の配分は一体どうされたのかということを明細に出してもらいたい。
  108. 柴田護

    柴田(護)説明員 資料を出しまして後刻御説明申し上げます。
  109. 門司亮

    門司委員 委員長に聞きたいのですが、先ほど警察法特例に関する法律案が通過したわけでございますが、その際に私は委員長に対して、質問の過程において、小山町長にたまたま来てもらいましたところが、来年の四月一日を目途として廃止することになつておつて、今すぐそれを廃止するというようなことは毛頭考えておらないというような御意見があつたのであります。そうなつて参りますと、特例法というものが、はなはだおかしい形になつて参りますので、従つて住民投票まで終つております各自治体の長が、一体どういうことを考えておるのかということを、十分知りたかつたのであります。そのことは、この法案自身が特例法でなくして、実際は本法の改正案でございまして、そういう特例にこだわらないで、そうしてとにかくいつでも廃止議決したものは、内閣総理大臣に申請して許可になれば、翌月の一日から廃山することができるというのが、本案であります。これを特例に持つて行くというその一つ参考資料として出て参りました今まで廃止決議した町村というものが幾つかある。その中の一つが、さつき申しましたような結果になつておりますので、自治体というものが、私はやはり法に従つて、今日の現行法というものを尊重して議決をしているというふうにわれわれは解釈せざるを得なくなつて来る。そうなつて参りますと、この法律の改正というものは、明らかに特例法でなくて、本法の改正である。この見きわめをはつきりいたしますことのために、私はたしか三回と記憶しておりますが、それらの諸君参考人としてここに呼んでもらつて、究明してもらいたいということを委員長に要求いたしましたにもかかわらず、委員長はこれをお取上げにならない。そうしてただちに動議によつて討論採決されたということは、私にはどうも考えが及ばないのであります。今までの委員会ではそういうものは一々処理をして、委員意見等がございますならば、これはやはり国会の一人の議員の意見として、尊重さるべきである。それが討議にかけられない。そういう必要はないのだという多数の議決で押し切られるならば、これは別でございますが、これが議場に諮られないでまつたく抹殺されてしまうということになつて参りますと、私ども党を背負つてここに来るわけには参りません。私は少くともここに来て発言をいりたしております以上は、そう無責任なことを申し上げておるはずはない。少くとも審議の過程において必要だから申し上げているのである。しかしそれを全部採択してくれとは言わない。委員諸君がそういうことが必要であるかどうかということを判断されて処理されても私はけつこうだと思う。しかしその手続だけは委員長においてとつてもらうことが当然でなければならぬと思う。委員意見というものを、委員長はどういうふうにお考えなつておるか。委員意見というものは、委員長個人のお考えで抹殺してもいいとお考えなつておるのか、これを明らかにしておいてもらいたい。
  110. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま門司委員よりたいへん御立腹の御意見がありましたが、実は委員長に対しまして、各理事の意向その他情勢を連絡の上、委員長に申し上げました。私がその取扱いに種々思い違いや含み違いをしていた結果そういうことになつたのでございまして、その点につきましては、十分門司委員にも私の方から御説明申し上げ、またおわびいたしたい考えでおりますので、その点につきましては、実質的には委員長責任でなかつたことを御了承の上、この問題を御了解いただきたいと考えております。
  111. 中井一夫

    中井委員長 門司君にお答えをいたします。この自治の問題が、その性質よりいたしまして、かつはこの委員会における委員各位の御行動の上から言いまして、常に超党派的に万事円満に協力の形で進んでおりますことは、申し上げるまでもございません。私は特にその点を重視いたしまして、もとより委号員各位の御発言に対しては、当然尊重すべきものとの考えよりして、常に皆様の御意見についてはこれを尊敬して、その御意見に従うようにいたして参つておるというのが、私の委員長としての心構えであり、それが実行であることは、お認めくださるであろうと思うのであります。従いまして、本日の警察責任転移に関する問題につきましても、その気持、その実行で進んで参つておるのでありまして、決して門司委員の御欠席を特に軽視し、もしくは御発議を特に無視して採決に入つたわけではないのであります。実はただいま加藤委員から御釈明のありましたことく、質問終了後採決に入ります前に、各派の御態度はいかがであろうかということを特にただしたのでありますが、それは討論終結採決に入るという了解を得ておるとの御報告でありましたので、安心をして採決をいたしたような次第であります。ただいましからざる話を門司委員から承つて、実は意外に考えておるのであります。もし門司委員の仰せられるごとく、御了解がなくして、あの採決を決行いたしたものであるとするならば、それはまさに委員長の不行届きのいたすところであります。将来気をつけます。どうぞおわびをいたしますから、あしからず御了承をいただきたいと存じます。
  112. 門司亮

    門司委員 私は何もここで委員長にあやまつてもらいたいとも考えておりませんし、同時に同僚議員から釈明をしてもらおうとも考えていないのであります。私の開きたいのは、先ほどから申し上げておりますように、法案自体が、われわれの最初了承しておる、いわゆる従来の警察法特例に関する法律案というものは、先ほど私が申し上げましたように、自治体が非常に望んでおるということと、さらに手続そう他の関係からやむを得ざる処置としてこれを取上ぐべきではなかろうかというようなことで、われわれも不本意ながら賛成して来たものもあるわけであります。われわれはそうした意味において、もし特例が出るとするならば、地方の自治体を中心としてものを考え、ことに特例であります以上は、起つた問題を中心として考うべきであるというように考えて今日まで協力して参つたのであります。今日出されております議題は、われわれの考え方、われわれ当初これだけのものがすでに住民投票終つておるのである、従つてこれらのものについては、何とか早くやめさしてやりたいという、限定されたものと解釈しておつた。ところが法案を見ますと限定されておらない。従つて本日の法案は、以前にわれわれが考えておつたもの。またわれわれに一応示されたものとは全然違つております。そうして国警の答弁によれば、それはただ参考書であつて、これだけのものに限つておらないということになつておる。そうなつて参りますと、この法案自体というものは、そう軽く取扱うべき筋合いのものでなくなつて来る。従つて、私はその十分な究明をすることのために、一ぺんでなくて三度委員長に――速記を見ればわかりますが、私は要求しておる。この私の要求というものは、ほとんど取上げられておらない。そうして最後にこれが決定されておる。私がここに出席していなかつたということは、私の所用のために席をはずしておつたのであつて、私がここにいてもいなくても、そういうことを私は問題にしておるのではない。いようといまいと、議事の取扱いというものは、委員意見はやはり尊重していただきたい。そうして審議だけは十分に尽してもらいたい。少くとも法律が出て参りますならば、その法律はできるときに誤りであつたということでは、国民にはすぐ言訳はできないのである。法律は全部の国民のある程度の自由とある程度の権利を束縛するものであります。従つてどもといたしましては、慎重にこれに処して行きたい。もし今日のような法案がかりに通つたということになつて参りますと、明らかにその反応は自治警廃止促進法案であると考えてもちつともさしつかえはない。このことは警察法自体から見ても非常に大きな問題である。従つて万全の討議をした後に通しても何もおそくはないのでありまして、特例法であつてどうしても来年の一月一日から廃止しなければならないというほどのものでもございませんし、もしあるといたしましても、まだ期日がないわけではない。今会期にぜひ通さなければならぬという筋合いのものではなかつたと私は考える。私は今日のこの処置については非常に遺憾に考えておりますので、委員長並びに同僚の釈明は私は毛頭ここで要求もいたしませんし、またそれを必要ともいたしておりません。ただ私の意思表示だけは申し上げておきたいと思いますので、委員長においてはひとつしかるべくこのことを御判断を願つておきたいと考えております。
  113. 中井一夫

    中井委員長 門司委員の御意見は私もまた御同感であるのでありまして、御趣旨はまことにごもつともだと思うのであります。ただ本案に関する審議を進め、採決を決行いたしたことにつきましては、先ほど申し上げたような事情のためにさようにいたしたのでありまして、そこに行き違いがあつたことをただいま初めて承知いたしたような次第であります。何ら他意のないこと、もとより法案審議については最も慎重にやらねばならぬという御趣旨、一々御同感であります。何とぞ御了承をお願いをいたしたいと思います。  それでは本日はこの程度で散会をいたしまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後五時三十四分散会      ――――◇―――――