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1953-12-04 第18回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月四日(金曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 中井  一夫君    理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君    理事 床次 徳二君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君 理事 松永  東君       生田 宏一君    熊谷 憲一君       前尾繁三郎君    三浦寅之助君       吉田 重延君    橋本 清吉君       藤田 義光君    北山 愛郎君       滝井 義高君    横路 節雄君       伊瀬幸太郎君    大石ヨシエ君       大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  青木  正君  委員外出席者         総理府事務官         (南方連絡事務         局長)     石井 通則君         国家地方警察本         部警視庁         (総務部長)  柴田 達夫君         国家地方警察本         部警視正         (総務部企画課         長)      高橋 幹雄君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      後藤  博君         総理府事務官         (自治庁財政部         財政課長)   柴田  護君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十二月四日  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に  関する法律案加藤精三君外七名提出)  昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金単位  費用特例に関する法律案内閣提出第一〇  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例  に関する法律案加藤精三君外七名提出)  昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金単位  費用特例に関する法律案内閣提出第一〇  号)  奄美群島現状及び復帰に伴う問題に関する件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより開会をいたします。  私は奄美大島視察を終え、昨日東京へ帰着をいたしましたので、この際ごあいさをかね、視察経過と、一、二の感想を申し上げて、御報告にかえたいと存じます。  まず私の不在中皆様に種々御配慮をいただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  さて本委員会におきましては、前節十七国今川におきまして各派より代表の方々の出張視察をなされることに御決定になつたのでありますが、本臨時国会開会等事情よりして、私、委員長一任という結果になりましたので、私はたまたま同地へ派遣される参議院視察団と同行し、先月二十四日神戸出発、二十六日鹿児島より大島名瀬市へ渡ることといたしましたところ、大風のために乗船が途中より引返す等のこともありまして、結局二十九日早朝名瀬に到着いたしました。私どもはただちに琉球政府奄美地方庁において、島民各界代表する復帰対策委員会の諸氏の陳情を聞き、午後は名瀬市役所において市政関係実情を聞き、夜は大島民大会に列席し、てつぶさに島民の過去八年間の苦難、復帰への喜び、母国への期待、真に涙ぐましきものあるを感得いたしました。翌三十日は竜郷村に参り、村役場学校等の実際を調査し、また明治維新に際し島津藩主よりとがめられて流罪に処せられ、三年間ここに配所の月をながめておつた四郷南州の遺跡をたずねました上、名瀬市にもどり、学校農事研究所大島つむぎ関係の諸施設食糧会社漁業組合等視察し、米軍奄美地区民政府を訪問して、長官ラリーマン中佐とも面談をいたし、一応の調査を終りました。  大島の問題は本島だけではなく喜界ケ島、徳之島、沖永良部島、与論島にもあることはもちろんでありますので、これらの諸島を視察すべきは当然の必要でありましたが、何分にも国会開会中でありますので、遺憾ながらこれを後日に譲り、本月一日名瀬出帆、昨三日東京へ帰着いたした次第でございます。奄美群島実情につきましては、私の視察は前述の」とく本島のみにとどめましたので、これが正確な観衆断定是非委員各位の直接の御調査の結果にまちたいと存じますが、同島の問題については、皆さんは行政、財政、司法、検察を始め産業、交通、貿易食糧その他教育、社会問題に至るまで、その大体はすでに島民代表陳情政府当局説明によつて承知でありますので、私はこの際、このたびの視察によつて感得いたしました諸問題解決の基礎とも考えられまする数点についてのみ申し上げ、御審議の参考に供したいと存じます。  第一は、奄美大島のことは従来ただ母国復帰する二十二万の同胞、または自然に恵まれない数個の離島の問題としてのみ取扱われている観があるのでありますが、私はそれをもつと深刻重要な問題として取扱うべきであると見て参つたのであります。すなはち沖繩が容易に日本に返還せられない今日、すでに朝鮮、中共の水域においてわが国と国際的な摩擦が起きており、台湾にある中国議会奄美大島領有権を主張して、日本復帰に反対を声明している事実、ことにわが国においては海軍の復活を問題とせねばならない情勢より見ますれば、この島こそはその立地条件より見て、日本民族の再発展ための重要なる基地考えらるべきものでありまして、この島の復帰があらゆる点において、新日本の将来に大きな意義を有するものであることは、かりに、もし日本領土の南端が鹿児島湾で打切られたままである場合を思いみますれば、きわめて明白であると信じます。促つて、私は本島の問題をただ復帰同胞の喜び、また、鹿児島県内の貧しき自治体の問題というごとき感傷的な一地方問題と考えるべきものではなく、この島の復興は新日本再建に通ずるという、大きな国家的見地より考察すべきものであると申し上げたいのであります。  第二には奄美大島といえば、ただちに自然に恵まれない貧困な島であると、島民みずからもまた他人もさように思うて来たのでありますが、私今回の印象は逆であるのであります。  もとよりこの群島が颱風の通路にあつて、毎年災害を受けること、水利の便少き島のあること等は事実ではありますが、その水産、農業、林産、畜産、貿易、また大島つむぎ生産等の上において発展の余地決してこれなきにあらず、むしろ将来大いに有望なものがあると見て参つたのであります。漁場の問題は申すまでもなきところでありますが、自然に繁殖しているバナナを取上げましても、これを増殖することによつて、現に年々日本へ輸入している五億を越ゆる台湾バナナを駆逐することができるのであつて砂糖きびの増殖・砂糖の製造の増大はまた大いに外国砂糖の輸入を制圧するに役立つことは明らかであります。しかるにこの島が従来貧困なるままに置かれて来たのは、被占領時代の八年間は論外として、もとわが国の国力が盛大であつて、内外に大いに発展しておりましたがために、この小島の開発利用まで急いでなすの要を見ず、従つてこれがため政府民間ともに多くの努力を払わなかつたことが、その原因にほかならぬのでありますから、私は、今やわが国が広大なる領土を失い、四面閉塞せられている現状にかんがみ、この島の産業的重要性を新たなる見地より見直す必要があると強調いたしたいのであります。すなわち本島開発の問題を、鹿児島県の一地方問題より、新日本復興の一環として、国家的見地より見直すならば、政府はまさに十分なる開発資金を支出すべきであり、しからばこの島は数年ならずして貧困現状を脱し、進んで自立経済を実現し、産業上においても、母国日本ために、大いに役立つものとなるに相違ないと信ずるのであります。しかしてこのことは、戦前昭和十三年度においてすでにこの島の移出、移入のバランスがとれ、経済的に自立の能力のあることを実証いたしておるのをもつてしても、いささかも疑うところはないと存じます。  第三には、結論として本島開発方策についてでありますが、本島の諸問題を以上の見地から見直すといたしますならば、母国のとらねばならぬ道はおのずから明白であります。すなわち、一方には島民自治自立の精神を高揚せしめ、みずからその故郷発展ために奮起努力せしめると同時に、他面、同島開発ために十分なる国費を支出し、積極的にその振興をはかることであります。しかしてこれがためには、現に存するがごときなまぬるき離島振興法等にゆだぬることなく、また昭和八年に政府が決定した奄美大島振興計画のごとき不徹底なる方策によることなく、新日本再建基地としての奄美大島を開発するの意義において、同島振興ため特別法を制定し、島民の要望に応えると同時に、国家的の要請の実現に邁進すべきであると思うのであります。  以上視察により心づきました基本的な数点についてのみ、卑見を申し上げた次第でございますが、本問題につきましては、復帰が正式に決定いたしましたあかつきにおきまして、皆様に御諮りし、相ともにその最善を尽したいと存じております。御清聴を感謝いたしまして御報告を終ります。(拍手)  なお御質問がありましたら伺います。
  3. 門司亮

    門司委員 大体お話けつこうなことだと思います。長い間見ておいでになつたことの御報告を聞きましたが、さらにもう一つ、もしおわかりならこの機会に教えておいていただきたいと思いますことは、例の奄美大島沖繩との関係が、今度は復帰して参りますと、結局外国という形になつて参ります。従つて奄美大島から沖繩参つて仕事をしております者が、全部外国民としての取扱いを受ける、これは私は必然的にそうなつて来ると思う。そうなつて参りますと、これらの人たちの不便が相当あるのじやないか。今までのように自由に行つたり来たりもできませんし、同時にまた貿易というか経済関係も、今までのように自由にならなくなつて来る。そこに奄美大島復帰に伴う一つの難点ができはしないかと考えられるのでありますが、この点については何か解決策、あるいは住民諸君がどういうふうにしてもらいたいかというような話でも、もし伺えたら非常にけつこうだと思います。
  4. 中井一夫

    中井委員長 お答えいたします。ただいまのお話につきましては、島民代表諸君から私どもに、るる御陳情なつた一問題でありまして、奄美の人人が沖繩において、あるいは公務員として、また勤労者として多数働いているのでありますが、ただいまの形勢をもつてすれば、うかうかすると母国送還をせられる、こういうように聞き込んでおるのであります。もしそういう事態が起りますと、御承知通り大島現状でありますから、大島帰つたへはただちにその職を失う、まことにお気の毒な状態に追い入れられるのでありまして、大島本島人たちは非常な心配をいたしており、私どもに対しましては、ぜひこの問題を政府を通じ、現に日米協議中であるから、そういうことの起らないようにしてもらいたい、その尽力を依頼されたような次第であります。本日私はこの問題を岡崎外務大臣に伝えて、その善処を要望いたしたいと考えておるわけであります。
  5. 床次徳二

    床次委員 委員長視察報告を非常に有益に拝聴いたしました。過般復帰に関する特例法を本委員会において決定いたしました際におきまして、附帯決議といたしまして、復帰の時期が遅れまする場合にいろいろと支障が生ずるのではないかということをおそれまして、十分政府側に考慮していただくし、必要な対策をとるべきことを要望してあつたわけでありますが、その後の日米間の交渉を見ておりますと、予定されました十二月一日ということは、すでに困難でございます。若干遅れて参つておるようであります。この復帰期日の遅延によつて、地元の方におきましては、いかようなる困難が生じておるか。またそれに対して政府がどういうような対策をとつてつたか、あるいは対策を要望すべきであるかということに対して、委員長の御感想がありまするならば承りたいと思います。  なおきようは政府委員も来ておられまするが、復帰の時期が大体いつごろになりまするか。今日の交渉経過から御報告いだだけますればお願いしたいと思います。
  6. 中井一夫

    中井委員長 お答えをいたします。ただいまの問題も島民諸君から非常にやかましく心配をして述べられた一点でございます。私どもに告げられた事実によりますると、大体米国軍からは十一月分までの人件費だけは送つて来たそうであります。しかしながら一切事業施設に関する費用は、送つて来ないというのが事実でありますからして、結局今現に民政府に勤めておる人とその他の人の月給だけは、辛うじて渡されますけれども、もうすでに島民に対する一切の施設は中止の状態なのであります。それゆえに島民としては、一日も早く正式復帰の決定されんことを、まつたく血の出るような気持で待つておるというのが現状でありまして、この点についてはすでにこの委員会におきましても、先般来床次さん初め皆さんからたびたびこれを心配して、政府に御要求になつておりました諸種の事柄、現地においてはもうまさにその心配通りの事実が現われておるのであります。これは何としても早く復帰を決定せしめる、そしてわが母国より島民ために金なり物なり、またいろいろな事業なりを与えるというよりほかには道がないと思われたのであります。
  7. 床次徳二

    床次委員 ただいま委員長の御報告によりまして、大体わかつたのでありまするが、すでに予算の方におきましては、復帰善後費というものはとつてあるわけでありまして、この善後費使用方法等に対しましては、現在日米の両委員会交渉中だと思います。復帰前にありましても十分必要なる措置はとり得るのではないかと思うのであります。こさの点に関しまして、特に政府に対しまして委員長報告の結果でもあります現地視察の体験から、十分附帯決議趣旨に対する必要な措置をとるように、ひとつ政府委員会として警告をしていただきたいと思います。
  8. 中井一夫

    中井委員長 なおその点につきましては、委員会における御厚意による附帯決議を明示しまして、島民代表諸君にはよく申し伝えておきました。ただただこの上は政府奮起勉励にまつより道はないと思うのであります。つきましてはこの際、床次さんからの御質疑に関する答弁を、石井南方連絡事務局長より承ることにいたします。
  9. 石井通則

    石井説明員 先ほど復帰期日の見通しについての御質問がございましたが、御承知のように目下外務省におきまして、アメリカ大使館とあるいは事門部会、あるいは相互の会を持ち、毎日々々夜おそくまで協議を続けておるような状況でございます。大部分の点はやや解決したように聞いておりますが、財政関係の問題で、若干まだ意見一致を見てない点があるようでございまして、現在のところ十五日の復帰は無理でなかろうか、外務省におきましてもできるだけ早い機会意見一致を見て、復帰の日にちも年内といいましても、できるだけ早い時期に返還してもらうように、目下努力中でございます。
  10. 床次徳二

    床次委員 ただいま石井局長の御答弁でありますが、復帰期日につきまして交渉中であるという御答弁である。この点につきましては了承いたすのでありますが、復帰期日が遷延いたしますと、ただいま委員長から御報告のありましたことく、現実島民生活において非常に支障がある。いわゆる善後対策といたしまして、必要な施設がこの期間に講じられなければならないのであります。この日米間の交渉の際におきまして、現実生活に対する各種対策を講ずべきである。このことは折衝委員においてただちにやつていただきたい。単に復帰期日の議論でなしに、現実対策について当然結論を出されてしかるべきものである。すでに十億の予算もあるわけでありまするから、この予算を十二分に活用して遺憾のないようにしていただきたい。これが附帯決議趣旨であつたと思います。もしこういうことが交渉の話題になつておらなかつたならば、現地事情を詳細に先方説明せられまして、ぜひ必要なる対策をとられるように切に要望する次第であります。政府としても十分そのお考えがあると思うのですが、重ねてこの点、政府の所信を伺いたいと思います。
  11. 石井通則

    石井説明員 現在交渉しておりまする中には、復帰の日以前の琉球政府負担分と、以後の負担分についての問題につきまして、話合いが進められておるということを聞いております。これは琉球政府におきましても復帰の日までは負担しなければならぬという原則的な考え方は持つておりまして、すでに継続事業についての経費、それから新規事業についても、これは大島要求分よりも相当低いようでありますが、若干の配当を決定したようでございます。なお復帰後におきまして、前の経費につきまして特に考えなければならぬ分がありますれば、それは復帰後にできるだけの現地実情に即した支出をしてもらいたいというように考えております。
  12. 床次徳二

    床次委員 ただいまの御答弁きわめて形式的でありまして、私伺いたいのは、費用負担がいずれに属しましてもそれはかまいませんが、現実の困難を捨て置くということは許さるべきものではないと思います。現在の困難をどうしてやつて行くか、過去において生活補助費その他の問題もあつたと思うのですが、それが打切られておるために現在非常に困つておる。その当面の対策に対してどうするかということも応急の問題でありますから、これは至急決定していただきたい。その費用の結末を日米のいずれで持つかということは、別個の立場に置いてよろしいと思います。現在において必要な仕事だけはやらなければならぬ。この仕事をやれるように交渉委員会においてひとつ御相談を願いたい。これが非常に大切なことだと思うのであります。ぜひこの点を強調して御交渉をお願いいたします。
  13. 石井通則

    石井説明員 御希望の点は外務省に申しまして、できるだけ措置ができるように交渉を進めてもらうように申し伝えたいと思つております。
  14. 中井一夫

    中井委員長 ただいま外務省から中川アジア局長が出席されましたから、この問題に関しまして外交上御質問がございますならお続けを願います。
  15. 門司亮

    門司委員 それでは外務省方針といいますか、経過について一応お関きをしたいと思います。奄美大島の返還に伴つて、時期その他は今連絡局長から伺いますと、できるだけ年内に返すとの話だつたのですが、それに伴う一つの問題として、現在奄美大島人たち沖繩行つておのおの仕事をしておる人がたくさんあるそうですが、これらの人たちが大体送還されるんじやないかといううわさを聞いております。一万あるいは二万幾らと言われておりますが、もしその大部分人たち現状奄美大島にお帰りになりましても、おそらく生活は困難であろうということは、だれにも想像のつくことだと思います。従つてあの小さな島にその生活の根拠を持たざる人が非常にたくさん帰つて来るということになりますと、これまたそのまま放つておくわけには参らぬと思います。従つてこれについて外務省は一体アメリカ軍当局との間に、どういう話合いを進められておるのか、今日までの状況をこの機会にお聞かせを願いたいと思います。
  16. 中川融

    中川説明員 沖繩本島方面におります奄美出身の人れちが、今度奄美がこちらに返りますにつきまして、生活が急に困難になる、あるいは退去せしめられるというようなことになりますと、その人たちの生計に影響するところ非常に甚大でございます。従いましてわれわれとしましては、アメリカ側交渉いたしております過程におきまして、こさらの問題も提起しまして、先方の注意そ促し、そのような事態をできるだけ起さないように考えてもらいたいと申しております。先方もやはりその点については十分の理解を持つておるように見受けられます。もつともこれが、はつきり書いたもので、話合いができますか、あるいは口頭の了解ということになりますか、その辺はまだわかりませんが、実質につきましては先方でも十分の理解を持つておるように、今までのところは見受けております。
  17. 門司亮

    門司委員 きわめて抽象的な答弁でありまして、何か何だかわからぬので、もう少しつつ込んでお聞きをしておきたいと思う。それなら日本政府としては、これらの諸書に対してどういう取扱いをすることがいいかというようなことを、もし話合いの間に要求されたような事実がございましたら御報告を願いたいと思います。
  18. 中川融

    中川説明員 話の内容はまだ発表しないということに向うと打合せておりますので、具体的には申し上げかねるのでありますが、大体の方針といたしまして、原則問題といたしましては、要するに奄美出身人たちで現在沖繩本島方面におります人々の生活を急速に変化せしめないということを要望しておるわけであります。それに対しまして先方も原則的にはこれを十分に理解を持つておるということは判明いたしております。
  19. 門司亮

    門司委員 そのことは、沖繩本島にとどまる人の生活は、たとい外国人でありましてもある程度の保障ができると思う。私ども心配しておりますのは、送迎された場合の問題であります。これはアメリカが保障するといいましてもなかなかそう簡単に保障できない。私ども心配しておるのはそれであります。本島に残つておる人は、外国人取扱いを受けたといたしましても、多少いろいろな手続その他にきゆうくつなものがあるいは出るかもしれないが、しかしながら、現実にあの悲惨な状態になつておる奄美大島に帰つて来て、食べるものもなければ、職業もない、従つて収入の質もないというようなところに一万あるいは二万の人が送還されて来るということになると、その人たち生活をどうするか、この点今の外務省の御答弁は抽象的なものであつて沖繩本島に残された者はそういう答弁でいいと思いますが、帰つて来た人の生活その他について十分な考慮が払われておるかということであります。
  20. 中川融

    中川説明員 ただいまの御質問の中で送還というお言葉がございましたが、われわれは強制的に送還されることのないようにということは申し入れておるのであります。しかしいろいろな事情で、いわば自発的に帰りたいという人もあるかと思いますが、それらの人の奄美大島あるいはその他の内地に帰りましてからの処遇につきましては、石井連絡事務局長の方から答弁を願いたいと思います。
  21. 石井通則

    石井説明員 現在奄美大島出身沖繩居住者が大体におきまして五万人くらいおると聞いております。そのうちに公務員である者が、この問の調査のときに三百九十一名、それから軍の工事に従事しております者は、これははつきりした員数はわかりませんが、これも数万あるのじやないか。そのほか、現地沖繩で商業をやつたり、その地の事業に従事しておる者がございますが、私どもも特に米側へどういう措置をするかということにつきましては、絶えず情報をとり関心を持つておるし、またこれが急激な措置をとらないように、できるだけ従前のままに現地にその職業をもつてとどまれるようにということを、外務省を通じてお願いしておりますが、公務員につきましては、もしも琉球政府公務員として逐次解雇するというようなことがありますれば、できるだけ日本政府の機関あるいは府県庁にあつせんしたいと思いまして、現在公務員履歴書、あるいは希望先等調査いたしております。  それから軍作業に従事しておりまする者について、どういう措置がとられるか、目下のところ十分の情報を持ち合せておりませんが、もしも解雇されるというようなことが逐次出て来ますとしますならば、できるだけそのあつせんをして行かなきやならぬということは考えておりまして、外交折衝進行状況とも関連しまして、その方策を立てたいと考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 そうすると、生活に対して変化が起らぬようにするという局長のさつきの答弁から想像いたしますと、強制送還等はしないということに解釈してさしつかえございませんか。
  23. 中川融

    中川説明員 強制送還等はしないようにということで、先方に了解を求めております。
  24. 門司亮

    門司委員 もう一言だけ聞いておきますが、問題は強制送還はしないということになつて参りましても、経済行為その他についてはおのずから制限が加えられるのは当然だと思います。それらの問題につきましても、御承知のように非常に困つております奄美大島であり、さらに大したものもない奄美大島であつて、言いかえまするならば、ほとんどここに行つておる人は、経済行為といつても大体肉体的の労働者の人が多いんじやないかというように考えられる。そうなつて参りまする場合に、これは外国人としての取扱いの問題でありますが、アメリカ沖繩におる日本人を、今お話のようなことで強制道理をしないということになつて参りますと、身分はやはり日本人としての取扱いを——私は今日のアメリカの国内法は十分知つておりませんが、しかしアメリカの国内法がもし適用されるとすれば、日本人の働く者をそのまま入れて置くわけにいかないと思いますので、それらの問題がやはり残されるんじやないかと、われわれしろうとなりにものを判断するのであります。従つてもし強制送還をしないということになると、その身分その他については、たとい一介の労働者にしても特別の取扱いをしてくれるものというように解釈しておいてもさしつかえございませんか。
  25. 中川融

    中川説明員 お説の通り日本人ということがはつきりいたすといいますか、要するに琉球政府の管下にない、日本人ということがはつきりといたしますと、おのずから琉球におきます法制上その他で各種の制限が出て来るんじやないかと思いますが、それらの制限は制限といたしましても、とにかく事実問題として、できるだけそのような制限の結果急速に生活状況に変化が起ることのないようにしてもらいたいということで先方に申し入れてあるわけであります。先方も主義上あるいは原則上は、それらの点につきまして理解を持つておるという矛うに見受けております。
  26. 床次徳二

    床次委員 先ほど南方局長にも伺つたのでありますが、復帰の時期が大体十二月一日と予想されて、従来のアメリカ政府等におきましては、今日まで人件費は引続き支出しておるようでありまするが、事業費師はほとんどここ数箇月中断しておるということを伺つておるのであります。そのために必要なる労銀が入らないために非常に失業者ができておつて生活に困つておるという事実も聞いておるのであります。また復帰の時期を予想いたしまして、為替の切りかえ等がありまするために、必要な物資の購入もある程度までここで中断されておる。従つて物資等におきましても相当困窮を生じて来るんじやないか、あるいはすでに困窮を生じておつたと思いますが、そういうわけで現在の島民生活は、相当憂慮すべきものがあると予想しておるわけであります。また事実相当困難しておられる様子を見て来られたのであります。でこれらに対しまして私は強く要望いたしたいのでありますが、過般の国会で成立いたしました奄美群島復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律制定の際の附帯決議においても、復帰前後におけるギヤツプに対して十分なる手当をしてもらいたいということを、強く要望いたしたのでありますが、現在の両交渉委員会の折衝におきまして、この現実の困難を打開するところる方法をそれぞれおとりきめを願つて、そうしてただちにこれを実施していただきたいということを要望いたしたのでありますが、これがはたしてどういうふうになつておるかということを承りたいのであります。必要な経費の負担等につきましては、両国政府がおのおの責任分担をきめられることと思いますが、金の責任分担よりも現実において必要な仕事をただちに実施してもらわなければ、島民としては非常に困るのであります。とりあえずの責任者をきめてもらつて、そしてここ数日と申しますか数十日の必要な対策をやつていただいて、その必要な経費の跡始末は両方の協定にしかるべくきめていただくことが必要と思います。何よりも先に現実に必要なもの、あるいは施設だけは今日やらざるを得ないと思います。これに対して外務当局は今日の日米両国の折衝において、どういうふうに扱つておられるか、ぜひこの点についてはつきりとした折衝をやつていただいて、ただちに遺憾のない処置が講ぜられるように、日本政府がやるにしてもあるいはアメリカ政府がやるにいたしましても、とにかく必要な施設だけはこの際講ぜざるを得ない、かように私どもは認めておるのであります。なお将来の食糧確保等の問題から申しますと、過般大きな旱害があつたわけでございます。その対策も十分でないということを承つております。来年以後の食糧問題についてもこれは緊急を要するものと思つております。こういう措置につきましてひとつ十分折衝委員会におきまして具体的な方法をきめて、ただちにこれを実施してもらいたいということを私ども要望いたしたいのですが、外務当局の御意見をお聞きしたい。
  27. 中川融

    中川説明員 ただいま御指摘の点まことにごもつとな点であると思います。今先方交渉しております。根本的な考え方といたしましては、ある時期に行政権を入れかえるということになります。その日まではアメリカ及びその下にあります琉球政府の行政が間断なく行われており、その協定の日からは日本の行政権が全面的にそれにとつてかわるという考え方をしております。と同時にそのようないわば宙ぶらりんな期間があまり長くなりますと、今でもそういう事態がすでに起つておるわけでありますが、ますます金融その他の経済活動に影響を及ぼすところが大きくなりますので、その切りかえの時期をできるだけ早くしたいという気持で双方とも努力しております。従つて日本側といたしましては、その切りかえの期日までに十分の準備をしておきまして、その期日以前に相当の期間をもつて現地に参りまして、その期日が参りましたら遅滞なくすべての行政を引継ぐことができるように十分な資金等を持つてつて準備しておこう、こういう考えでやつております。さようなわけで双方ともできるだけ早く切りかえをしたいという気持においては一致しておりますので、この方法をもつてある程度支障なくやれるのではないかというように考えております。
  28. 床次徳二

    床次委員 行政の切りかえが行われてから万全を期されることは私は当然だと思う。しかし行政の転移が行われない前に、住民が非常な窮迫に陥りましたならば、それに対して何らか措置をしなければならないと思うのです。この点に関しましては厳格に行政の切りかえを主張されるなら、当然アメリカ政府の責任である、私は不当なる取扱いに対しましては、十分日本政府アメリカ政府要求してしかるべきものだと思う、過去の取扱いについては、これはいまさら論ずることにつきまてはいろいろ問題があるかと思いますが、現実に生じておる窮迫ということに対しましては、要求すべきことは当然遠慮なく要求すべきものだと思つておるのでありまして、この点外務省のお考え、ただいまの御答弁では私ども非常に納得ができない、すでに両方の交渉委員が出ておるのでありますから、これはアメリカ政府の責任であれば、ぜひアメリカ政府に十分やらすべきものだ、アメリカができないならやむを得ませんから適当な方法を講ずることもいいと思うのでありますが、まずそういう建前でありますならば、現実に生じておる不都合だけは、当然アメリカ政府要求してしかるべきものだ、これは正当なる要求だと思うのです。ぜひ外務省としてはひとつその点積極的な活動をしていただきまして、住民に対して迷惑を生じないようにお願いする次第であります。  なお委員長から御報告があつたのでありますが、かつて島民に対するガリオア資金のごときも、今日この返済に対しまして住民は非常な当惑をしており、各方面に混乱を生じているようでありますが、かかることは当然私は解決すべきものである、しかし将来において解決されたのではこれはむしろ現在の役に立たぬ、現在の混乱に対しましては、政府といたしましてはつきりとした態度を示しまして、その救済に当るということがほんとうに必要だと思うのでありますが、外務当局の御所見をこの際承りたい。
  29. 中川融

    中川説明員 御説の点まことにごもつともと存じます。私どもアメリカ側に対しまして、十分ただいま御指摘の点は注意いたすことにいたしたいと思います。
  30. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの御質問に関連しますが、ガリオア資金の返還ということのお話がありましたが、そういうような要求アメリカ側交渉中にこちらに要求しているかどうか、先ほど南方連絡事務局長の御説明では、対米折衝の途中で財政上の問題等についてまだ意見が合わないというようなお話があつたわけであります。それでただいまのガリオア資金の返還というような問題が、いわゆる財政上の困難と言いますか問題となつているのじやないか。そういたしますとこれは相当にむずかしい問題じやないかと思う。というのはこれをいかに処置するかということが、日本の対日援助のガリオア資金なりエロア資金というものの処理と、やはり関連するのではないかというように考えますから、そういうような交渉が一体向うからあつたか、どういうふうな経過になつているか、この点御説明をいただきたい。
  31. 中川融

    中川説明員 先般先方交渉しております項目の中に、財政関係の問題があることは事実であります。しかしこの問題はガリオア資金とは直接関係はないと思つております。主として通貨切かえその他の措置が今検討の対象になつております。
  32. 大石ヨシエ

    ○大石委員 あなたはアジア局長ですか。私ちよつとお尋ねしたいのですが、この問題はいわゆる問題になつているコロナイゼーシヨン、マツカラン法とどういうふうな関係があるか、これが第一点。第二点はどんどんとそうした人がこちらに帰つて来て非常に生活苦に追われておる、それをどういうふうにしたらいいか、この二点についてあなたのお考えをただしておきたい。
  33. 中川融

    中川説明員 今回奄美大島の返還とアメリカの移民法との関係がどうなるか、これは奄美大島の住民あるいは奄美大島籍の人たちで、現に琉球本島方面に来ておられる人、これらはいずれも日本内地におる人たちと同じ地位になりますから、おそらくその法規に従つて日本内地の人たちと同じ取扱いを結局受けることとなると思います。しかし先ほど御説明いたしましたように急激な変化は起さないようにということを申し入れてありますので、その点は先方理解を持つて処置することと考えております。なお向うから内地あるいは奄美大島等に帰つて来る人たち、この人たち措置につきましては、ただいま石井局長から御説明いたしましたように、政府といたしましてもできるだけの準備をして、支障あるいは困難のないようにしたいというふうに考えております。
  34. 西村力弥

    ○西村(力)委員 復帰伴つて奄美大島の軍事基地の問題、そういう点も当然交渉に上つて来ると忠一うのですが、そういう範囲とか、それから現在日本内地につくられている以上の何かがあるかどうか、この点については妥結したようなぐあいに聞いておりますが、その点どういうふうに考えているかお伺いしたい。
  35. 中川融

    中川説明員 奄美大島におきます行政、立法、司法の三権が、日本に完全に復帰いたしますれば、自然に奄美大島地域自体は、現在日本がそれによつて規制されておりまするところの安保条約あるいは行政協定というものの適用範囲になるわけでございます。従つて、同地域におきまする軍事施設、軍事協力の問題は、現在の安保条約、行政協定の線によりまして規制されるということになるわけでございます。
  36. 大石ヨシエ

    ○大石委員 そういうことになるから、台湾が非常に心配していて、何か新聞によると、横やりを入れてそれで遅れているということである。われわれは十月、十一月、おそくとも十二月一日までにはちやんと事務折衝が終つて返還されるのじやないかということを希離しておりましたが、どうも遅れる。そこで私は、今、新聞に出ていたように、台湾政府からそういう横やりが入つているのかどうか、それから見通しとして、いつごろまでにこの問題が妥結して、完全な復帰ができるのかということをお伺いいたしたい。
  37. 中川融

    中川説明員 返還時期が初めの予定よりも遅れておることは事実で、まことに遺憾でありますが、これはアメリカ側の方の準備が遅れた関係だと考えます。なお、それに国民政府の方の抗議と申しますか、あちらにおけるいろいろの言動というものが影響しているかどうか、これはわれわれとしては判断の材料がありませんが、おそらくさような国際的な関係から遅れたのではないのじやないか。アメリカ政府内における事務上の手続から返還時期が遅れて来ているのじやないか、こういうふうに考えます。なお、返還時期につきましては、先ほども石井局長から御説明があつたかと思いますが、われわれとしてはできるだけ早くということで努力しております。おそくとも年内に実現したいと考えております。
  38. 中井一夫

    中井委員長 それでは奄美大島に関しまする問題は、一応この程度で終了いたしたことにいたします。  なお、この際お諮りをいたしますが、日程を追加して、本日本委員会に付託されました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を議題といたしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。
  39. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この点について理事会でちよつと話合いもありましたが、十分な話合いもありませんし、また私から言いますると、この法律案を拝見しますと、これは特例で出すべきものではなくして、警察法本法そのものの修正をすべきであると、かように考えられるわけでります。本法でやるべきことを特例で一時しのぎでやるということ、これは党の立場を離れまして、国会の立場上相当吟味する必要があるのではないか、こう思われる。そこで一応休憩して理事会を開いて、この問題の取扱い方をお話合い願いたい、かようにお願いしたいのであります。
  40. 中井一夫

    中井委員長 実は委員長といたしましては、この問題上程については、理事会において大体御了承のあつたものと存じ、ただいまお諮りをいたしたのでありますが、ただいまの御意見によりまして、初めてしからざることを承知いたしました。よつて委員会はこれより暫時休憩いたしまして、理事会を開催いたします。     午後三時十五分休憩      ————◇—————     午後三時二十八分開議
  41. 中井一夫

    中井委員長 再開をいたします。  先ほどお諮りをいたしました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を議題といたすことに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、本案を議題といたします。まず提出者よりその提案の理由の説明を聴取いたします。加藤精三君。     —————————————   町村警察維持に関する責任転移   の時期の特例に関する法律案    町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律   警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)第四十条の三第六項の規定に基き警察維持に関する責任の転移が行われることに決定した旨の報告のあつた町村のうち、当該町村長がその議会の同意を得て、警察維持に関する責任の転移の時期を同条第八項に規定する時期より繰り上げたい旨を国家会安委員会を経て内閣総理大臣に申請し、その承認を得たものについては、その警察維持に関する責任の転移は、同条同項の規定にかかわらず、その承認のあつた月の翌月一日に行われるものとする。     附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律(昭和二十八年法律第七十六号)は、廃止する。     —————————————
  43. 加藤精三

    加藤(精)委員 今般提案いたしました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案の提案の理由並びに法案の概要を申し上げます。概要と申しましたが、お手元にお持ちにならない方があるかと思いますので全文を明説いたします。   町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案   警察法(昭和二十二年法律第百九十六号)第四十条の三第六項の規定に基き警察維持に関する責任の転移が行われることに決定した旨の報告のあつた町村のうち、当該町村長がその議会の同意を得て、警察維持に関する責任の転移の時期を同条第八項に規定する時期より繰り上げたい旨を国家公安委員会を経て内閣総理大臣に申請し、その承認を得たものについては、その警察維持に関する責任の転移は、同条同項の規定にかかわらず、その承認のあつた月の翌月一日に行われるものとする。     附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律(昭和二十八年法律第七十六号)は、廃止する。  御承知通り警察を維持する町村は、住民投票によつて警察維持の責任を転移することになつているのでありまして、警察法第四十条の三第八項の規定によりますと、十月三十一日までに警察維持に関する責任の転移が行われることに決定した旨の報告が内閣総理大臣に対してなされましたときは、翌年四月一日にその責任の転移が行われることとなるのであります。  しかるところ、一旦責任の伝移を決定した上は、四月一日までを待つことなく、責任の転移の時期を繰上げたい旨を希望し、国会あてに請願または陳情をもつて特例法の制定を要望して来ているのであります。そこでこれらの町村希望します場合においては、資任転移の時期を繰上げることのできる道を設けることが適当と存じ、ここに提案いたしたわけであります。  次にこの法律案の内容について申し上げます。本文の内容は、警察法第四十条の三第八項の規定の特例でありまして、同項の規定にかかわらず、警察維持に関する質任の転移が行われることと決定した旨の報告のあつた町村のうち、町村長がその議会の同意を得て、警察維持責任転移の時期を繰上げたい旨を内閣総理大臣に申請し、その承認を得たときには、その承認のあつた翌月一日にその責任転移が行われるとしたものであります。  次に附則として、まずこの法律は公布の日から施行することとし、次に本法案と同名の昭和三十八年法律第七十六号は、すでに不要となりましたので廃止することとしました。  以上が、この法律案の提案の理由並びに概要であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
  44. 中井一夫

    中井委員長 質問がございますれば、この際これを許します。西村君。
  45. 西村力弥

    ○西村(力)委員 党の立場を離れて、特例法案の性格についてどういうぐあいに考えておられるか、衆議院法制局関係の人に聞いてみたいと思います。提案をされる側といたしましては、十分にそれに対する見解を持たれておると思いますが、この前の責任転移の場合を見ますと、時期と範囲ははつきりと限定されておる。しかるにこのたびの場合は、全然そういう限定がなくて将来性を持つものである。そういうところからいつて特例法案として提出することはどうかと思います。それで提案者は特例法というものをどういうぐあいに考えられておるか、御答弁願いたい。
  46. 加藤精三

    加藤(精)委員 お答えいたします。自治警察の廃止るあいは設置につきましたは、相当の町村は十月三十一日の法定期限までに住民投票を終つた。これは翌年四月一日から責任転移が行われることを予想して住民投票をやつたわけでありまして、またそれが法律の定める正当な順序であることは御承知通りであります。しかしながらすでにある町村が警察を国警に移管することをきめたとなりますと、従来の例によりますれば、いつまでも不安定な状態で推移することは、警察士気の維持その他につきまして、とかく問題になりやすいというような事情もあるようでございます。この十月三十一日の法定期限までに住民投票の終つたもののうち、特に希望するものがあるならば、この新しい法律によつてその転移の時期を早めてあげようという趣旨でありまして、全部が全部当該町村希望せざるにかかわらず、責任転移の時期を無理に繰上げるものではないのであります。そういう意味におきまして、四十条の三の特例をなすという形になるものだと思います。われわれ提案者といたしましても、この点法律の一部改正にするか、あるいは特例法にするかということにつきましては十分研究したのでありますが、とかく警察法の改正といいますと、十五国会以来天下を聳動して、政治上の大問題になるような傾向あるにかんがみて、おとなしく特例法と出たわけでありますので、御了承を願います。
  47. 西村力弥

    ○西村(力)委員 具体的な起きている事情について、何とかしてやりたいという気持はわかりますが、一般論として特例法は、旭会の権威にかけて、制定されるにはやはり一つの範疇というか、そういうものがあるのではないかと思います。これを何もかも特例法でやることはどうであろうか。これは今起きている問題だけを解決するのではなくて、将来にわたつて効力を持つて行くのであります。これを特例法に持つて行くのは政治的な配意からでしようけれども、私は、その点について非常に疑義を持ち、反対をしておるのです。やはりこれは一応法制局関係の八に来てもらつてお間きしなければならぬ問題であると思いますので、この点委員長にお願いして、これに対する質問は終ります。
  48. 中井一夫

    中井委員長 北山君。
  49. 北山愛郎

    ○北山委員 たしか前回に小竹町の責任転移に関する特例の法律を出したときに、当委員会におきましては、このようなことは好ましくないことであるから、今回限りであるという附帯決議をつけようということでいろいろ研究をして、その結果、決議としては形式上うまくないから、委員長報告において、今後はこういう特例をやらないということをうたうということで、委員長報告の中にそういう趣旨報告されたはずであります。そういうふうな今までの経緯にかんがみまして、提案者として、そのようなその当時の事情を無視して、新たに特例を出されたことに関する御感想を、この際はつきりと述べておいていただきたい。
  50. 中井一夫

    中井委員長 ただいま北山さんのお説の中に、委員長に関する問題がございましたから、ちよつと私より釈明をいたしておきます。さきの国会におきまして、小竹町の責任転移の問題が出ましたときに、お説のごとき御意見がございまして、この特例案は再び委員会において出さないようにしたいとの御論議のあつたことは事実であります。しかしながらそれにつきましては、そういう趣旨報告は、委員長といたしましては本会議においてはいたしていないのであります。なぜと申しますと、その問題について再び特例を出さない趣旨の委員の御意見を確定的なものといたすことは、結局国会の立法府としての権限をみずから束縛する結果にもなりますので、御論議の趣旨については敬意を表し出伍したけれども結論からすればそれはかえつて重大な問題を起すおそれがある、かように考えましたので、委員長としての報告には、御論旨のような趣旨報告はいたしていなかつたのでありますから、その点は誤解のないように御了承を願いたいと思います。
  51. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいま北山さんからまことにごもつともな御意見、御質問がありましたので恐縮いたしておりまするが、法律論はなるほど委員長さんのおつしやる通りで、またその法律論によつて国会の議決権の制限云々のため附帯決議を削除したばかりであつて、実質的にはもうやめようということを、われわれの委員会がきめたいきさつは、私もよく存じているのであります。また国家地方警察本部といたしましても、そのつもりで地方を指導しておつたようでありまするが、そういうそつけないそぶりを警察転移の時期の特例について、われわれ関係者一同が持つているにもかかわらず、それでもまだ続々と希望が出るということは、いかに町村財政が逼迫しており、またいかに住民投票が済んだところにおいて、早く区切りをつけたいという願望が盛んだかということの証明にもなるのじやないかと思われるのであります。そういうようなかわいそうな状態でございますので、理論は理論といたしまして広く国民の輿論を開き、また国民の希望を聞くのが国会の一つの任務である点にもかんがみまして、特にこういう便宜をはかつてやることができるのではないか、そういう空気が理事会でも相当あつたというふうに見まして、われわれの提案になつたような事情でございますので、その点重ね重ね特に御了承得たいというふうに考えております。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 現在の警察を維持している町村が、このような警察をやめて国警に移すというような決議をしてくれということは、その原因においてやはり財政上の理由が大きいのじやないか。その財政上の原因は、やはり国の方で平衡交付金やその他でもつて十分警察費を見ておらない、心配してやらないということに原因があるのであるから、私どもはどちらかといえば、このような決議が次々と行われて、そのたびに特例法で、これを処理して行かなければならぬというようなことでなくて、むしろ財政的な措置を十分してやつて、やはり自治体警察というものの精神を守つて行くということにしたいと思うのでありますが、その点につきまして提案者はどういう矛うにお考えになつておられるか。  それから委員長さんの先ほどのお話でございましたが、私も委員長報告に対する記憶は確かではございません。そのような印象を受けておりますので、たしか報告の中にはそういう決定であるということではなく、そういう意見があるということが入つてつたかと思いますが、これは別に大した問題ではございませんからその程度でけつこうでございます。
  53. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点について国警側にちつよつと質問したいのですが、一月一日から国警に移れば、それに対する費用は国警の方はどういうぐあいに考えていられるか、やはり指揮下には入るけれども、金の面は来年の三月までお前の方で見ておれ、こういうふうに言われるのか、また去年のように国警の含み資産でまかなうというようなぐあいにやられるのか、そこをちよつと関連してお答え願いたい。
  54. 加藤精三

    加藤(精)委員 北山さんの方からの御質問がありましたが、現在町村自治警察は、平衡交付金内に警察の経費に対しまして十分な数字を見せておらないために、こういう問題がとかく起りがちであるという点、並びにできるだけ多く平衡交付金の基準財政需要額の中の、単位費用を認めるべきじやないかという御意見につきましては、私たち一同これは常に主張しておるところでございます。しかしながら国家財政関係上、あるいは市町村教育委員会経費の点その他の点につきましても、とかく十分その実質経費を支弁するに足りない単位費用等しか計上せられておらないのでありまして、これらを改善することは市町村活動のあらゆる需要に対して、相当必要な事項であるというふうに考えるのでございまして、市町村財政需要額の増額、すなわち財政規模を増大せずして、今日行われようとしておるところの地方税制改正等のごときものは、あまり大した意味がないものだということを平素痛感いたしております。しかしながら目下事情としてそういう点が急速に改善できるとは思つておらないのでありまして、その点は非常に残念でございますが、国家財政の窮迫等を資金運用部資金等の関係によりまして観察いたしましても、なかなか容易ならざる事態であることを感ずるのであります。この際より弾力性のある国家財政の部面においてでございますと、なおしのぎいいだろうと思いますが、町村財政現状では非常に遺憾なことであるけれども、財源の関係等より維持困難になるという実情も認めなければならぬと思うのでございます。ただそればかりではなく、一般に平衡交付金の関係を離れましても、地方の財政並びに自治体住民経済の困難から、あるいは地方税の伸びが思うようでなかつたり、あるいは納税成績が十分でなくなりましたりいたしまして、困難をしておる事情のある町村も相当ありまして、最近町村自治警察の廃止を考えておる町村には、あるいは炭鉱鉱山等の不況とか、その他諸種の事情が発生した結果、特に維持が困難になる面もあるようでありまして、かれこれ考えますと住民投票の済んだ自治警察等におきましては、住民の希望に従いまして、ある程度時期を繰上げて、その要望に沿うてやつた方がいいじやないかというように考えまして、提案しましたような事情でございますので、御了承をお願いしたいと思つております。
  55. 柴田達夫

    柴田説明員 ただいま川村さんの御質問の中で、この法案によりまして警察費の財源、転移の時期が繰上つた場合の経費をどうするかという点につきまして、お答えを申し上げたいと思います。この法案によりまして警察転移の時期が繰上りました場合におきましては、国警としては、当然これを受け入れる義務を生ずるわけであります。その場合の定員の措置は、同じく警察法の中の条文や、国家行政機関の定員注によりまして、その廃止の決定した日における町村警察の定員は、国家地方警察の定員外としてふやすという規定があるのであります。その場合の、承認を与えました町村の定員が、事後は国警の定員外の一つの定員としてふえまして、それに対する給与その他を支払う、すなわち受入れの義務を生ずるわけでございます。その経費のことでございますが、ただいま西村さんからは、一月からの経費をどうするかというお尋ねでございましたが、今回御提案になつております法案によりますれば、承認のあつた月の翌月一日からという一般的な規定に今度はたつておりますので、今の御質問も、たとえば十二月に承認した場合には、一月からの経費をどうするかというお尋ねであるかと思います。ただいま申し上げましたように、その定員だけが国警のになります。この関係上、この経費は当然まかなわればならないことにはるのでございまして、その経省が特別な財源措置を要します場合におきましては、政府といたしましては、あるいは予備費とか、あるいは補正予算機会とかがあれば、補正というようなことによりまして特別な財源措置を講ぜなければならぬようになると存じます。ただ、もしその承認を与えました町村の定員の数もきわめてわずかでありまして、既定経費の中におきまして特別の財源措置をさらに加えなくてもまかなつて行けるというように、その経費がわずかの場合におきましては、特に財源措置を設けねくして、既定経費の中でまかなう場合もあるかと思います。それでまかない切れない場合におきましては、あるいは予備費の支出でありますとか、補正の機会とかいうことによりまして、財源措置を講じて参るべきものであると思うのであります。従前の具体的な、幾たびか例がございました国会の御提案にかかる特例法によりましても、従来、本年の一—三月の例を除きましては、補正予算におきまして、その財源措置を必ず大蔵省が請じ、国会で御協賛を得ておる次第でございます。
  56. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それはわかつておることなんですが、今具体的にふやしてもらいたいということが出て来ておるのですが、そうすればこれだけの人間を抱えなければねらぬということになれば、どういう方法でやつたらいいかということ、大体見通しを持つていうつしやるかと思うので、これから十二月中にまだあるかもしれませんが、これだけはとにかく確定しておるのじやないか、こう思う。それについてどういう考えを持つておられるか。
  57. 柴田達夫

    柴田説明員 現在御提案になつておりますこの時期までに、本年の九月一日に前回の特例法の繰上げの時期がございました以後、町村におきまして住民投票をやつて廃止が決定しておるものは、今お手元にお持ちのように九箇町村、それから住民投票はまだやつておりませんが、廃止を住民投票に付する旨を議会において議決した町村が一箇所、それを合しますと十箇町村が、現在のところ該当があるわけであります。この法案の形は将来の特例ではございますが、一般的な形になつておりますが、現在出ております町村がことごとく繰上げたというとを議決をいたしまして、そして内閣総理大臣に申請して参りました場合に、一月から第一回の適用がある時期の財源措置をどうするかという御質問のようにに承ります。大体この十箇町村くらいにもし終りますれば、定員の関係では、日光も入れまして、約二百人見当の職員だというふうに考えております。精密な計算はまた御要求があれば出しますが、大体一箇町村平均二十人強くらい、日光はやや大きゆうございますから、少しはしたが出るかと思いますが、大体二百人くらいの職員であろうと思います。そういたしますと、これが二十八年度予算の中で一月からまかなわれなければならない人件費と、それからその職員が動くに最小限必要な旅費物件費といたしましては、大体目算いたしまして、一—三月の間に八、九百万円の予算があればまかなわれるかと思います。これは二百人程度といたしまして、かりに端数等が出ましても大差はございません。この程度のことでございますれば、一—三月の間の八、九百万円の経費ということでございますならば、人件費につきましては、先ほど西村さんから、そういうふうにでもやるのかというお話がございましたように、特に予備費の表出というような財源措置を見ていただかなくても、これはいつもこのような法案が出ます際に繰返して申し上げますように、警察官が年々退職いたしますための減耗補充をいたしますために、募集をし、教育をし、欠員を補充して、常に定員だけの警察官が充員しておることを理想といたしますけれども、何分にもあらかじめ退職を予想して六箇月前から採用いたして参ります関係上、予算を超過しないようにしなければならない関係上、きわめて僅少な欠員というものは、どのような世帯でもあるのでございますが、特に警察の場合におきましては、六箇月の教育期間があります関係上、若干の欠員というものはあるわけでございます。その割合は、百分の一すなわち一%には達しない程度の数字でございますけれども、そのような欠員の予算というようなもので、この程度の人件費はまかなつて行くとが可能であるかと存じます。もし年末までにかりに多数の町村が——そういうことはないと思いますが、さらに多数の町村が住民投票。廃止を申請して来た場合にどうするかと申しますと、その金頭が非常に大きくなれば、これは当然予備費の支出というようなことをお願いしなければならたいような場合もあろうかと思いますけれども、この法案は内閣総理大臣の承認があつた場合ということになつているのでありまして、この承認の意味は、おそらく御提案者の意味は、前々の法案にもございましたように、そういう予算措置ができないというようは場合には、この承認つまり十二月になすべき承認を、いよいよとなれば三月まで延ばして、四月からなら予算措置ができるというようなことで、承認のいかんによつて適当に措置ができるような含みをお持ちになつているものであると推察する次第であります。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 今のことに関連しますが、今総務部長さんの御説明では、一%くらいの欠員が予算上現在ある、従つてこのくらいの人件費ならばまかなうことが可能であるという御説がありましたが、今度提出されておる二十八年度の第二次補正予算の中に、約一千八万八千円くらいの転入の予算が計上されておるのです。そうしますと、そういう予算上すでに現実に一%くらいの経費が余つておるということになれば、ここに一千万円の予算を第二次補正予算で計上する必要はないと思う。これは当然警察の転移に伴う予算が総理府の中に計上されている。そうしますと、それとの関連は大体どうなるのですか。
  59. 柴田達夫

    柴田説明員 既往におきましての定員が繰上つた場合の経費は、すべて補正予算でまかなつていただくようにお願いいたしているのでございますが、人件費が最後の結果におきまして余れば、それはほかに使うことはできないようになつております。結局全部お返しするという建前になつておりますので、予算の場合には、最後に至るまでその必要な経費を計上してお願いいたしますが、最後まで月給を支払うようになつた場合のために必要な機関の必要な人件費は、ちやんと各省庁ともございますけれども、最後に余る場合には、不用額として、全然流用等ができません。返さなければならない経費であります。従いまして今の補正予算でお願いしておる額がなければ心配だという額でございますので、当然に見ていただかなければならぬと思いますけれども、余つたときは——ということは、必ず各省庁とも余るのであります。余つたときには不用額として立てるということになつておりますので、その点は同じことではないかと思つております。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、たとえば当然確実な人権費として総理大臣の承認を受ければ、人権費として食つて行くということになる。それが今あなたの御説明では、一%の欠員があるので、予備費をお願いしなくてもまかなつて行けるだろうということになると、この計上されておるものとは矛盾をして来ることになるのですが、当然これは予備費か何かにお願いをして、やはりはつきり確保しておくべきものではないかと思われるのですが、そういう論理が通るとすれば、当然この一千万円余りの予算の中から残つておる人権費というものを、現在欠員が一%あるということが確実であるならば、その分を落したものをここに要求すべきであつて、その分をそのまま含ましておいて要求をして行くということは、これは予算要求の仕方としては、少しおかしいような気がするのです。
  61. 柴田達夫

    柴田説明員 御質問趣旨はよくわかります。一—三月から確実にこれらの経費が余るといつたようなことが断定できますならば、補正予算で何がしのものをお願いしておるものの中から、八百万円なり何なりのものはいらないりくつじやないか、こういうお話だろうと思いますが、これは一%の欠員が現在あるということを申したわけでもありませんので、財源措置が、このような法案が通りまして定員がふえますれば、これはどうしても必要だ。むろん補正予算というものは約束できませんでしようが、補正予算の時期があれば補正予算にするのも一つの方法でございますし、予備費で支出するのも一つの方法でございます。大蔵省が国警の予算をその際にしさい検討して、これはできるはらば予備費の支出を見ないで三月までやつてみる、もし足りない場合には予備費でもらうから出してくれという、こういうすべて条件付の話なのでありまして、私の答弁もそういう意味でありまして、まずまず見通しと申しますか、この十箇町村の場合どうするかという西村さんの御質問でございますので、この程度で二百人分で——えらい商売人のように勘定したわけでありますが、三百人くらいと申しますが、見通しとしては足りなければ、最後に予備費で見てもらわなければならぬことは当然だけれども、まずまず今までの経験でいえば、特に予備費を見てもらわなくても済むのじやないかということを、今見通しで申し上げておるということを申し上げたのでありまして、御質問趣旨はまことによくわかりました。御了承願います。
  62. 北山愛郎

    ○北山委員 総務部長にお伺いします。実はこの前の国会でも問題になつたのですが、警察、特に国警の場合、地方でもつて予算が不足のせいかどうかわかりませんが、警察の協力会というような外郭団体をつくる、そういう団体をつくらないでも、地方民から寄付金をもらつて、そうして駐在所やその他内部のいろんな費用に充てておるというような例を聞くわけであります。私も、私の方の郷里の地方で相当に質の悪いそういうふうな事例を知つておりますが、これは自治体警察とそれから国警とを比較した場合に、この問題について自治警察ではそういうような費用ついては、割合に融通性をもつて自治体が世話をやいてくれるというような関係からして、そういうような外郭団体をつくるとか寄付をもらうとか、そういう例が少いのじやないか、国警には多いのじやないか、かような印象を受けておるわけであります。そういたしますと、このような町村の警察が決議によつて次々に国警の方に移管される。そうすると今までは町の警察が住民から寄付をとらなかつたものが、国警になつために、今度は協力会をつくろうとし、あるいは寄付をもらわなければならぬというふうになれば、少くともその部面においては国警になつために、私はいろんな悪い結果が出て来ると思うのです。そういうことがないようにする自信がおありかどうか。この問題は別にいろいろな調査をして、警察が地方民から寄付をもらつておるというような問題については、別の機会にこれをお聞きしたいと思つておるのですが、この警察定員に関係して、その点について自信があるかどうか、その点をお伺いします。
  63. 柴田達夫

    柴田説明員 ただいま北山さんから、寄付の問題と、この法案の実施に関連して自信があるかというお尋ねでございます。一般的に警察、ことに国家地方警察の場合に、地元の町村なり民間から、警察費で当然まかなうべきものについて、寄付をとるような例がありやしないか、そういうような例も開いているというお話でございますが、国家経費が財源不足のためにすみずみに行き届かないということの反作用といたしまして、ややもすればそういう寄付というような問題について、全部が全部ではございませんが、とき折好ましくない事例を聞くのでございます。これについてはいつも私ども自粛いたして、その点は当然警察費でまかなうべきものは警察費でまかなつて行く、無理をしてはいけないということを繰返し指導して参つておるのであります。また毎国会この種問題につきましては、ときどき御注意なり御忠告を受けまして、反省の資といたしておるのであります。なお完全にその跡を絶つたということを、ここに明確に申し上げることができないということにつきましては、はなはだ遺憾に存じます。しかしながら従前から見まするならば、できるだけ予算をとる、ことにこの予算を民間に転嫁しやすい第一線の経費に充てるように、警察本部よりは警察署、警察署よりは駐在所、派出所の経費を少しでも十分に見てもらうように、国警といたしましては、年々予算の折価の際に、大蔵省の方にも第一線の経費に充当することをお願いして来ているわけであります。その結果第一線の経費につきましては、全体の予算がそれだけふくれません場合にも、やや改善の跡を見ているわけでございますが、まだ理忍なところまで至つておりません。そういう点からいたしまして寄付等の事例につきましても、漸次改善されつつあると思いますけれども、なおその跡を絶たないという点につきましては、御指摘を受けておる通りでございます。これについてはただいまの御注意により、また御注意がなくとも、常日ごろやかましく申しておることでございますので、この際厳戒を加えて参ると同時に、予算措置等については、私どもさらに努力をいたしたいと存じます。結局費用が足らないというところから生れますので、どうか国会の方面におかれましても、警察費についての御理解を賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。なお具体的な事例がございましたならば、ただいま申し上げましたように、目に余るようなものにつきましては、御忠告いただきますならば、具体的に調査もいたしたい、誠意をもつて解決いたすようにいたしたいと考えております。  なおこの法案の成立について今のような寄付問題が起らないかということにつきましては、ただいま経費の問題についてお答えいたしましたように、当然財源措置を請じなければならない。財源措置を請じないで済むという場合にも、その金が余る場合があるというのも、一つの財源措置の方法でございますので、結局財源措置を請ずるということにいたして参るわけでございますが、このため経費がよそに転嫁するということにつきましては、自信をもつてないということを申し上げたいと思います。
  64. 伊瀬幸太郎

    ○伊瀬委員 西村委員の御質問の警察への寄付ですが、これは他府県は知らぬが、ぼくの方は大体年末とか。盆とかいうようなときには町村の割当なんで、町村はほんとうに困つている。そういうことを警察がなさるから、町村長に少々無理があつても聞かなければならぬというようなことで、私の方では全然信用しないようになる。この警察の経費が余るというんだつたら、こういう予算をもつとたくさん地方へ流すようなことを考えたらどうですか。実際町村は困つてますよ。例を示せと言われれば幾らでもあります。奈良県ばかりではない、他府県でもそういうようなことは幾らもある。それがためにぼくの方では町村長に頭が上らぬようなことすらできているんですよ。こんなことはひとつしつかり考えてもらいたい。
  65. 柴田達夫

    柴田説明員 重ねて御注意を受けまして恐縮に存じます。先ほどお答えいたしましたように、ますます厳戒を加えて参りたいと同時に、予算の獲得に努力いたしたいという考え方でおりますので御了承いただきたいと思います。どうも先ほど人件費で、この程度のものの場合には、人件費がもし余れば特に財源措置を請じなくてもいいかもしれないということを申しましたので、八百万円、九百万円金が余るように誤解を受けましたが、実は非常に苦しい世帯でございますのに、金が余るというようなことはとんでもないことでございます。人件費については、先ほど申し上げましたように、各省庁ともに、月給が払えなくてはいけないので、一応人件費については安全を見込んで、定員のいるだけの月給は予算に計上するのが常でございます。しかしやめる人もあるというようなことで、欠員があれば金はそれだけ余るがその金は使うわけに行かない、お返ししなければならないわけでありますが、そういう金を各省庁から集めまして——これは大蔵省の分野になつて参りますけれども、そういう余つた、使えない人件費を大蔵省がのがすわけはないのでありまして、大蔵省はこれをまた財源にいたしまして、諸般の必要な経費の財源に利用その他の措置を講じていることも事実でございます。そのような総合的な措置を講じつつ、なお全体としては経費ははなはだ不足して困つているのが実情であります。しかし御注意の精神はその通りに、予算上の経費の使い方についても万々注意いたしまして、寄付に転嫁する等の事例のないように進みたいと考えております。
  66. 門司亮

    門司委員 こういう問題がしばしば起るということについては、かなり私ども考えなければならぬことがあると思う。この前の委員会にて水が出て参りましたときには、ちようど警察法改正の問題が非常に大きく取上げられておる時期でございましたので、ある程度自治警察については国警から慫慂されたような形があつたことは、私はいなめない事実ではなかつたかと考える。従つて今回またこういうものが出て参りまして、これを国会に取上げなければならぬようなことになつ事情は、多少酌量する余地もないわけではありませんが、実際の問題として、これはもう法律できまつているのでありまして、今年の十月三十一日までに報告のあつた町村については、翌年の四月で廃止されることはわかつている。しかも一つの町の町長ともあろう人たちが、こんなことはわからぬはずはなかつたと思う。従つて、私はもしこの問題の陰に、こういうことがあつてはならないと思いますが、国警からある程度の圧力が加わつてつたということになると、これは一つの問題であると思います。従つてこの町長の中のしかるべき人に来てもらつて、一体町会でいかなる説明をしたのか、町会の速記針をここへ出してもらいたい。そしてこの種の問題がしばしば起る原因をひとつ私は究明したい。私がこういうことを申上げますのは、つい二、三年前、神奈川県逗子の町の自治警が国警に移管されますときに、国会にその法律案がまだ出ておらない前に、町長はちやんと秘密会を開いて、町会議員を集めて、ここで決議をして住民投票をやれば、必ず次の国会にはこういう法案が出て来るから、今のうちにやるのだといつて住民投票をやつている事実がある。必要だということなら速記録を持つて来てもよい。これは明らかにまつたく国会を無視した行動である。これはその当時の速記録にも私の話が載つておるだろうから、国会の速記録をお調べになつてもはつきりする。国警の陰謀に基くのか、あるいは町長の何か事にせんがためか、こういう問題がしばしば起つて来て国会に迷惑をかけるということでは、はなはだおもしろくないと思う。従つて、これらの問題を究明するために、これらの町会、いずれの町会でもよいから、会議録を持つて来てもらいたい。町長がどういう説明をしておるか、私はこのことは問題たと思う。だから委員長は大体そういう運びをしてもらいたい。町長を呼んでここで聞きますと、国警と打合せて、あるいはよいかげんの返事をされても困るので、会議録を持つて来てもらいたい。それによつて当時の町長の説明を一応聞きたい。そして、自治体がほんとうに困つてつて万やむを得ざる事態の上に、こういうことがなされておるのか、あるいはやつてしまえば来年の四月を待たないで、早くやれるからというようなお話なのか、調査したい。ことに私が奇怪に思いますことは、栃木県の日光町であります。これは十二月十五日に投票が行われる予定だと書いてある。こういうものまで認めるということになると国会が慫慂することになる。早くやればとにかくおれの方で認めてやるというとを言わぬばかりである。こういう問題があつてはなりませんので、委員長はそういう取扱いができるなら、ぜひそういう取扱いをしてもらいたい。私はこの機会にこの真相をはつきり究明しておきたい。そうしないとまたこういう問題が出て来ますから、この問題をおとりはからい願えるかどうか、委員長にお聞きしておきたい。
  67. 中井一夫

    中井委員長 御趣意は十分拝承いたしました。つきましては、その点はさつそく理事会を開いて相談することにいたします。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  68. 中井一夫

    中井委員長 それでは速記を始めて。  この際各位にお諮りいたしたいことがございます。すなわち日程追加についてでございます。昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案内閣提出第一〇号)がただいま本委員会に付託されて参りました。よつて日程を追加いたしまして、この問題につき政府から提案理由の説明を聴取いたしたいと思うのでございますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中井一夫

    中井委員長 御異議なしと認め、さように決定をいたします。塚田国務大臣。
  70. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 ただいま提出いたしました昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案の提案の理由及び内容の概要について御説明申し上げます。  各地方体に対して交付すべき昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金の額の算定に用います単位費用につきましては、地方財政平衡交付金法に規定されているところに従い、すでに本年八月三十一日付をもちまして本年度分の普通交付金の額の決定を行つたのでありますが、先般成立いたしました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、明年一月からいわゆる教員給与の三本建制が実施せられますのと、今回地方公務員につきましても国家公務員に準じて期末手当等を増額するとともに、明年一月から給与改訂を実施いたすこととなります結果、これらに要する経費等を基準財政需要額に算入するため単位費用を増額する必要があるのであります。  第二次補正予算に計上されております地方財政平衡交付金の増額七十七億円が決定いたしましたあかつきにおきましては、この増額された単位費用を用いまして本年度分の普通交付金の決定につきまして変更を行うようにいたしたのでありますが、明年度以降の地方財政平衡交付金に用いる単位費用の改訂につきましては、給与改訂の平年度化を行う必要がありますほか、明年度より実施を予定されている地方行政制度の改革等とも密接な関連がありますので、これらの見通しを得てからにした方が適当であると考えられますので、さしあたりは昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金に用いる単位費用を改訂することにとどめ、昭和二十八年度分の単位費用の改正は、地方財政平衡交付金法の一部を改正する方法にようないで、昭和二十八年度分の地方財政平衡交付金単位費用特例に関する単独法を設けることといたした次第であります。これが、この法律案提出いたしました理由であります。  次に法案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。御承知通り、各地方団体に交付いたします地方財政平衡交付金のうち普通交付金は、土木費、教育費等の各行政項目について定められた所要経費の測定単位ごとの単位費用に当該測定単位の数値を乗じて算定された財政需要額の合算額である基準財政需要額が、税目ごとの収入見込額の合算額である基準財政収入額を越える額について交付することとされておりますが、この基準財政需要額の算定に用います各行政項目の測定単位ごとの単位費用は、行政項目ごとに標準的な条件を備えた団体または施設を想定し、これらの団体または施設に配置せらるべき職員の数、備えらるべき器具の種類等から算出された当該行政項目について必要な経費のうち、地方税及び地方財政平衡交付金でまかなわれるべき額を当該標準団体または施設経費測定の単位と定められたものの数値で除して決定されたものであります。従いまして、今回のように期末手当の増額や給与改訂が行われます場合にこれらの団体または施設に配置されるものとされた職員の給与に要する経費は、増加いたしますので、これらの団体または施設において、当該行政項目について必要な経費を測定単位の数値で除して定められる単位費用は、それだけ増加するわけであります。  今回国家公務員について行われようとしている期末手当等の増額及び給与改訂が地方公務員についても行われるものとして単位費用の改訂を行うことが必要となりました結果、その積算の基礎に職員の設置を予想していない橋梁費、戦災復興費及び災害復旧費等の単位費用を除き、単位費用のほとんどすべてについて改正を行うこととなるのであります。  次に第十六国会で成立いたしました一般職の給与に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、明年一月からいわゆる教員給与の三本建制が実施せられます結果、高等学校教員の給与改善に要する経費について必要額を基準財政需要額に算入するため、今回高等学校費の単位費用を増額することといたしております。従つて、高等学校費の単位費用増加額のうちには、給与の三本建制の実施による増額、期末手当等の増額及び給与改訂による増額が含まれているのであります。  なお、以上のほか、今回提案されております補正予算案との関連において、社会福祉費、労働行政費等の単位費用につきましても、期末手当等の増額及び給与改訂によります分のほか、所要の増加額を見込んで改訂しております。  今回改訂しようとしております。単位費用によつて算定いたしますと、地方財政平衡交付金の交付を受けております全地方団体の基準財政需要額の増加見込額は、道府県分にあつては約五十億円、市町村分にあつては約三十億円、都合約八十億円となる見込みであります。  幸いに本法律案が成立いたしました上は、各地方団体につきまして普通交付金の決定額の変更を行い、可及的すみやかに追加額を交付し、地方団体の財政運営に支障のないよういたしたいと存じます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたす次第であります。
  71. 中井一夫

    中井委員長 本案に対する質疑につきましては、明日の委員会からこれを開始することにいたします。
  72. 中井一夫

    中井委員長 先ほど、警察法等の問題につき御質疑があるとのお話でございましたが、引続き御質疑をお進めくださらんことを切望いたします。
  73. 大石ヨシエ

    ○大石委員 簡単に大臣に御質問を申し上げたいのでありますが、独立後自本の警察官の態度というものは非常にかわつて来た。これがいいようにかわつたならばいいけれども、またいわゆる旧の警察官の態度にかわつて来たということが著しい。これについて所管大臣としては、何か警察に向つて警告を発する必要があるのではないかと思うが、それについてどういうふうに考えておられるか。いやそれは一部であつて、全体はかわつていない、自治体警察としての精神なり、実をあげておるというふうにお考えになつておるのか。最近逆コースということが言われますが、警察もこれにならつて、質的にも、あるいは平素のいろいろなことにおいても、そういうふうなかわり方があると考えているか、もしかわつているとするならばそれに対してどうするか。それからいま一つは、行きぎ過を是正するということをしきりに今の政府が言つておられますが、警官がピストルを持つているために、みずからも災いし、国民も非常に災いをしている。中には、このピストルで警察官が自殺してみたり、あるいは、それをとられたために責任を負つて、巡査がやめなければならぬというような非常に悲惨な状態が各所に起つておる。私は警察の人に問うてみたいと思います。これは私が申すまでもなくアメリカさんが置いて行つたのですが、アメリカでは国民が護身用としてピストルその他を許されておるから、それを取締るための警察というものは持たなければならぬかもしれませんが、日本の法律ではそういうものを持つことが絶対に禁止せられている。国民が持たずして警察が持つているためにそれをとられて、そのために国民みずからも、警察官みずからもそういう非常に気の毒な目に合うということは、日本実情というものがアメリカ実情とは違うのですからして、今日の段階においてはあのこん棒だけでたくさんです。ピストルは取上げる必要がある。これはむしろ警察みずからが望んでいるのではないか。特に最近警察のピストルをねらう事犯がたくさん起つておる。こういうことになりますと、結局つかまえるよりピストルをとられまいとして警察官としても非常に困つているわけです。この機会アメリカさんが置いて行つたものの行き過ぎを是正し、かえるということをしきりに言つているのですが、何とかこの際ひとつこれからかえていただきたい。実際たくさんの人が迷惑しているし、巡査も迷惑している。そういう点で、一つは最近の警察の態度いかん。それからいま一点は、占領中にアメリカの政策としてピストルを持たした、あのピストルを取上げる意思はないか、この二点をお伺いします。
  74. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 政府は行き過ぎを是正したいということを強く考え、それをいろいろな施策について検討し、成案を得たものから逐次国会にお諮りしていることはまさにその通りでありますが、ただいまお尋ねの警察の問題は、実は私の所管外のことでございまして、法務大臣が警察担当の大臣になつておりますので、よくお尋ねの趣旨はお伝えしまして、適当な機会に御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  75. 門司亮

    門司委員 この機会に警察問題に関して、大臣に御質問するのではありませんが、ひとつお願いしておきたいと思います。それは去る十一月四日に茨城県の小貝川工事、いわゆる利根川の河川をつけかえるという一つの大きな問題であります。この工事は三年来問題になつておりまして、いろいろつけかえの設計の変更等が行われております。そうしてやつとおちついたものが背割案——背割案といつても中間案みたいなものがかけられておる。時間もございませんし、その内容は詳しく申し上げる必要はないと思いますが、これがもし施行されますと、大体三百五十戸くらいの町の中で、約半数以上の二百戸近い家が立ちのきをしなければならないというようなこと、それからそのために耕地がつぶれるというので、町民はこの計画に反対をしておる。たまたま十一月の四日に、建設省の案ではなかつたと言つておりますが、茨城県における新聞記者の諸君が、ここの現地を実は視察いたしましたときに、町村が半鐘その他を鳴らして、大勢集まつて来て、建設省の役人その他が来たということで、反対運動のために集まつた者が、新聞記者その他に相当の暴行を加えて傷害事件を起しておる。それと同時に越えて十一月の九日に、国警は武装警官を二百名派遣して暴行した住民の検挙に当り、十三名の者を検挙いたしております。町全体が反対をしております事件であつて、しかもたといそれが誤りであろうとどうであろうとも、傷害を与えたということはよくないことでございますが、しかしそれについて警察当局が五日もたつて、しかも小さな町に二百名からの武装警官を派遣して検挙したということは、いたずらにこの騒動を大きくしたようなものである。われわれから考えて参りますならば、これはやはり任意出頭とか何かの形で事件を大きくさせないということが、私は警察のとるべき態度ではなかつたかと思う。しかしそう申し上げもしても、事ここ来てはいかんともしがたいので、私が申し上げたいと思いますことは、そういうことが原因になつておりまして——ここに新聞の伝えるところによりますと、その茨城県北相馬郡布川町会でこういうことを決定いたしております。「今後も引続いてきようのような不祥事態が発生する可能性があるので、今後町議一名が常時郷土防衛隊本部に詰める」、この町ではすでに郷土を防衛するというので防衛隊の組織ができておるということであります。このこと自体が非常に穏やかでありませんが、この防衛隊の本部に町会議員一名が常に詰めております。その次には「背割提案反対運動には今後とも犠牲者が出ることが考えられるので、町内各区域ことに資金カンパを行う」ということを決議しておる。さらにその次には「町民は、山田町長を中心に反対運動に関して一心一体の活動をするなど三項目の決議をした。」とこう書いてあります。町会でこういうことが決議されたということになつて参りますると、まつたく無警察状態と言つても過言でないような事態をかもし出しているのではないかと思う。従つてこのような事態を地方行政の立場から考えてみますと、いかなる理由がございましようとも、こうした事件が発生しておることについては、やはり問題の真相を究明して、そうして町民に儀牲者の出ないように処置をすることが、私は一つの行政のあり方であるというように考えられる、従つてわれわれはこれらの問題の真相を十分に知ることが必要だと思いまするので、どうかこの次の委員会でもよろしゆうございますから、この郷土防衛隊の隊長であります山田町長、さらに事件が起つて五日もして二百名の武装警官を朝時いうちに動員してことさらに事件を大きくする、と言うと語弊があるかもしれませんが、町民に衝撃を与えたような処置をとつてつた長岡茨城県警察隊長、さらに竜ケ崎の警察署長をひとつ呼んでいただきますると同時に、この問題の原因をこしらえております建設省の河川課長を呼んでいただきまして、事件の内容を私どもに十分知らしていただくことがいいのではないかと思いまするので、委員長におかれましてはこれら四人の人、いわゆる山田町長と長岡警察隊長、建設省の河川課長、さらに竜ケ崎の警察署長を呼んでいただきまして、今議題になつております警察問題と直接関連はございませんが、ひとつ十分その真相を私ども知りたいと思いますので、さようにおとりはからいを願いたいと思います。
  76. 中井一夫

    中井委員長 ただいまの問題につきましても、理事会に一度お諮りをいたしまして、しかるべく決定をいたしたいと存じます。  なお塚田国務大臣が他の委員会に出席をなさる必要もあるようでありますから、この際もし質問がございませんければ退席をしてもらつてよろしうございますか。     〔「質問あり」呼ぶ者あり〕
  77. 中井一夫

    中井委員長 財政計画についてですか。——それでは昭和二十八年度修正地方財政計画について一質疑を許します。北山愛郎君。
  78. 北山愛郎

    ○北山委員 塚田大臣に二点お伺いします。一つは修正財政計画でありますが一これはこれから先もいろいろ質疑があると思うのですが、そのおもな点、すなわち今度の給与引上げと期末手当の増額、これを中心とするこの財政計画、その財源としては平衡交付金で七十六億というものを見ておるわけです。これは実際に全体の数字を合わした計画でありますから、今度実際に具体的に平衡交付金の財源をどういうふうに使うか、どれにどう充てるかというようなことは、きよう提案されました平衡交付金法の特例法によつてきまると思うのですが、そのうち主要なポイントとして、私どもの聞いたところでは今度のベース・アツプの所要額が六十三億、期末手当の分が九十三億、合せて百五十六億、これに対して国旗負掛額が二十九億ございますから差引百二十七億の不足が出る。その百二十七億のうち不交付団体分が一三十億、それを差引いて九十七億が財政措置を、ベース・アツプと期末手当に対してしなければならぬわけである。この九十七億に対して、財源としては七十六億の平衡交付金に、それから税の方の自然増が二十一億、こういうふうに引当てを考えておるのだというふうに聞いておりますが、その通り承知してさしつかえないかどうか、これが一つであります。  もう一つは第十六国会でもつて予算の修正によつて例の五十偉の平衡交付金がふえたわけでおりますが、これは八月の末の普通交付金の配分の中で、全部配分済みであるかどうか、もし配分したとすれば、政令によつて配分方法をきめてやつたのだろうと思いますが、そういたしますと、配分をした次の国会であるから、この前のいわゆる救農国会において法律案を出さなければいけないということに、平衡交付金法の第十二条で書いておるわけです。その際に法律を出さないで、おそらく今度の特例法に含まれておるのだと思いますが、これは地方財政平衡交付金法の十二条の違反ではないか、このように考えるのですが、その第二点についてお伺いいたします。
  79. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 お尋ねの第一点は、御指摘の通りでございます。第二の点は配分済みなんでありますが、なお詳細の点は政府委員からお答え申し上げさせたいと思います。
  80. 柴田達夫

    柴田説明員 私からつけ加えまして御説明申し上げます。先ほどの御質問の第二点はこの前提案いたしました平衡交付金法の一部改正で、単位費用を改正いたしました。その際に正規の計算をして単位費用が入つておるわけであります。そこで増額されました交付金の五十億は、その単位費用従つて計算いたしておるわけであります。もしその場合に、平衡交付金五十億が改正されなかつたならば、調整率を適用されたという結果に相なるわけであります。平衡交付金法弟十条第二項の規定によりまして調整しなければならない。それが五十億ふえましたために、調整率を適用せずに済んだ。従いまして政令を出して単位費用をかえておりませんので、当初交付金法の一部を改正いたしました際の単位費用を使つて配分を了したわけであります。もし五十億ふえませんでした場合は、平衡交付金法の規定に従つて配分をいたしますと、交付金が足りなくなります。従いまして十条の二項によつて調整率を適用して、基準財政需要額を圧縮しなければならぬわけであります。それを圧縮しなくて済んだということであります。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 今の税の九十七億の中の自然増の二十一億、これは市町村分が幾らで、県の分が幾らになるのですか、これが一つ。  いま一つは、不交付団体の給与は三十四億円じやないでしようか。予算説明書では三十四億と私記憶しておるのですが、百五十六億円がベース・アツプと期末手当の増額になつて、それで義務教育の半額負担の中に二十九億入つておるので、百五十六億から二十九億引いたものは百二十七億、百二十七億から三十億引けば九十七億になりますが、不交付団体は三十四億ではないですか。
  82. 柴田達夫

    柴田説明員 お答えいたします。超過団体分の財政需要でありますが、期末手当と給与改訂に要する経費は、超過団体分が三十億であります。内訳は府県分が十六億四千万、市町村が十三億六千五百万、それから税は交付団体分に相当いたしますものが二十一億ありますが、その内訳は道府県が七億六千八百万、市町村が十三億四千五百万であります。
  83. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの御答弁、ちよつと私にはよくわからないのですが、たしか第十六国会のおしまいのころに予算の修正がなされまして、そして修正の結果、五十億の平衡交付金がふえたものでありますから、従つてこれは当然平衡交付金法を改正すべきであるということを、われわれはたしか要求したはずであります。ところがそれは時間的な都合や何かで、政府の方にまかしてもらいたいというようなことで、私どもはこれは政令によつてきまるのだ、こういうふうに了解をしておつたのです。ところがそうではなくて、すでにきまつてつた。その当時において、改正前の交付金の算定の結果、当然不足だつたから、五十億がそれに充てられたということなんでしよう。そうすると、私は理論上非常におかしいと思う。なぜならば、あの五十億の内容の説明では、詳しいことはわかりませんけれども、少くとも教職員の給与三本建の分が、あの中へ三億何千万円か含まれておるという説明であつた。そういたしますと、五十億の中の少くとも三億理がしという分は、給与三本建として、これを使用されるべき金額として国会を通つておるわけです。そうすると、平衡交付金法の改正なしにつじつまがあつたということは、まことにおかしい話なんで、そうすると、給与三本建ということが予想もされなかつた当時において、すでに平衡交付金法の単位費用というものがそれを含んでおつた、こういうことの結果になるのじやないか。まことにこれは時間的にも論理的にも矛盾するのではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。これはおそらく結果的に五十億が——当初の平衡交付金が千二百五十億ですが、それに対して五十億ふえて千三百億になつた、そのような増額した額に合致するような平衡交付金法が、前からできておつたというような、偶然の合致みたいで、私どもはどうしてもそれはあとにおいてそれに合すように数字を調整したのではないか、かような疑いを持つのですが、いかがですか。
  84. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは当時の会期のことでありますので、おそらく私からお答えするのが適当かと思うのでありますが、最初に三本建の部分についてこれは御疑問の通りであります。しかしこれは五十億と一言に言つておりましたが、五十億の中からその分は控除して配分をしておりまして、従つて三本建の分は、今度の本日提案をいたしましたこれが決定いたしますと、それによつて配分されるわけで、残りの部分は結局配分を終つておるわけでありますが、そうするとその五十億は、四十七億何がしということになるかと思うのでありますが、そういうことを予定して、前の単位費用はきめてあつたのかという疑問なのでありますが、実はそういうことではないのでありまして、単位費用を細分をして行きますと、今度積上げて来るとなかなか一致しないというのが現実状態なのです。一致しないという場合ああり得るものでありますから、調整率でもつて、そういう場合には財政需要と交付金額との差額を按分で圧縮をして、配分をしろ、こういうことになつておるのであります。そこであの場合には当然そういう事態がありませんければ、単位費用を改訂して配分しなければならないという結果になるのでありますけれども、試算いたしました結果、ちようどあれでもつて計算をするとすれば、調整率を用いないで、大体近い数字に行くということで、まさに偶然の一致ということになるのですが、改訂しないで配分をいたしましても、国会があれを御増額になつた御趣旨に合致するという考え方で、特に単位費用の改訂をいたさなかつたのであります。もしまた新しくふえたということを頭に置いて、単位費用をかりに改訂いたしますと、またその町に新しい平衡交付金の総額と、単位費用を改訂した上から、今度積み黄ねて出て来ました財政需要額の間にまた差額が出て来る。結局圧縮をしなければならぬということになりますので、その方法にようなかつた、こういうように御了解を願いたい。
  85. 北山愛郎

    ○北山委員 平衡交付金の単位費用補正係数あるいは調整というような数字の問題になると、これはなかなか専門家でもよくわからぬのです。その内容を拾つてこの点がいかぬじやないかというような指摘ができないのは、まことに残念でございますが、私どもはこういうことの全体の結果として見られるのは、要するに平衡交付金の算定というものは伸縮自在にどうにでもなるのだ、五十億ふやして、それが平衡交付金法の単位費用なり、そういうものには一向影響のないように、どうにでも調整できるのだというふうに見られる一つの例じやないが、それだからこそ私どもは五十億をふやした場合にそれをうやむやにされないために、はつきりと単位費用を改正すべきじやないか、そういう法律案を出せと主張したわけなんです。この点は私は実は納得しません。ですからさらによく調べまして、また別の機会にお聞きをすることにいたしまして、きようはこれで終ります。
  86. 西村力弥

    ○西村(力)委員 端的にお聞きしますが、大臣は昨晩自労協との交渉において、この平衡交付金なり何なりのきまるときに、自分は病気しておつた、それで非常に残念であり、かつ申訳ない、こういう答弁をなさつておると私はお聞きしている。そういう御答弁をなさつた真意は、結局どうしてもこれでは地方団体に無理がかかる、だから君らの要求の点も十分の財源措置はできないことになる、こういうことだと思うのです。その点について、そういうふうに答弁された真意を具体的に説明を願いたい。
  87. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 それはどういう言葉をそのようにとられたか全然記憶がないので、自分ではそういう誤解を起す言葉を用いたとは全然思わないのでございまして、またおそらくそういう発言をしなかつたと思うのは、今お尋ねのような気持は私の気持の中には全然ないのであつて、私は今度はとにかく満足なものとはもちろん言えませんが、説明のできる程度の財源措置は平衡交付金、それから税の伸びの形でできておるというように考えておりますし、そのような気持で発言をしておりますから、お尋ねのようなことはおそらく言つておらないと思うのですが、なお次長がその席に立ち会つておりましたので、次長にお尋ねくだすつてけつこうと思うのでありますが、おそらく何かの誤解じやないかと思います。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 病気して休んでおつたということも、その際に言われないのですか。
  89. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 それは話の前後から言つたような記憶はないのでありますが、何かの話のはずみに——現実に閣議の最後の予算書のきまつた日には——実質的にはもう早くずつと前にきまつてつたので、形式的に決定した日にはおらなかつたということは事実でありますから、あるいは何かの話のはずみにそういうことを発言はいたしたかもしれません。しかしこれは今申し上げましたように、ほんの形式的な決定の日でありますから、実質的には何ら影響は持つておらないのであります。
  90. 門司亮

    門司委員 この間から聞いておりますが、大蔵省が出て来なければはつきりわからぬのだが、政府の方の意見の調整ができましたか、御承知の十五億の起債の中の五億が資金部の資金であつて、十億の公債の公募については、その中に行政協定の道路の舗装費が含まれておるのは、どういうふうな割合になつてつたか、意見の調整ができておつたら、ひとつ大臣から聞いておきたいと思います。
  91. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 意見の調整ができまして、結局あの十五億のうち三億が行政協定の道路の力に向ける、しかしあのときも私はお答え申し上げましたように、それじや足りないということで、なお折価いたしました結果、道路の方に向けました三億に当る分は、やつてみまして足りませんければ、わく外でさらに大蔵省側が処置をするということに了解が得られましたから、そのように御了承願いたいと思います。
  92. 門司亮

    門司委員 いまからわく外でできるかできないかわかりませんが、わく外という言葉はどうなんですか。やはり起債の中で公募によるものであるのか、あるいはこれは交付公債のようなものによるという意味でありますか。
  93. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その場合には、十五億の額が、結局実質的にふえて十八億になる、こういうわけであります。
  94. 中井一夫

    中井委員長 それでは政府提案の問題につきましては、本日はこの程度で質疑を終了いたします。  この際お終りいたします。先ほど皆さんからお話のありました町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案につき、参考人もしくは証人を呼ぶという問題並びに昭和二十八年における冷害により被害を受けた地方公共体の起伏の特例に関する法律案、この法案につきましては、議員吉川久衛君外二十三名の提出にかかるものでありまして、前国会提出になるものでありますが、審議未了となり、閉会中の継続審査となり、さらに今国会において付託され、いまだ全然審議されていないのでありますが、本案については農林委員会から連合審査会を開会したい旨を本委員会に去る一日申出がありました。よつてこれにつきましての取扱いをいかにすべきかという問題につきましても、どうぞ理事会において何分の御決定をお願いしたいのであります。  それでは本日はこの程度にいたします。明日は午後一時より開会をいたし、政府の案等につき審議を進めます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会