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国井参考人 今
東京都の
徴収部長からの御
報告を承りまして、いわゆる
過年度の
滞納税金が八十八億あるのに対しまして、
損失金として百二十三億、
滞納金以上の金を処分しておられるような御
報告を承りまして、いかにこの徴税が苛斂誅求なものであるかということを評明できる思いますので、どうぞ
委員諸公の御
賢察を願いたいと思う次第でございます。私は、本日
細田主税局長がお
見えになりまして、先般諸外国の
税制制度等をつぶさに、御調査なされ、ことに
欧州方面の日本と
実情を同じゆうするような各国の
租税制度を御調査なされた点で、さらにここで
お話を承りたいと
思つたのでありまするが、私は
事業税の
矛盾と不公平な点を突き、かつ大体
東京都を
中心といたしまして、
東京都のや
つている
方法が間違
つておるということを申し上げて御
賢察を願いたいと考えるのであります。
地方税中の
事業税がきわめて不合理かつ不公平であるということは、すでに万人の認めるところであります。かつ
法人と
個人とに賦課されるところの、すなわち
梨税対象の
とり方について、大きは
問題点がある次第でありまして、これが現在
全国にほうはいとして起
つておる
事業税問題の
中心問道にな
つておると考えるのであります。
地方によ
つてはすでに
個人の
課税に対しまして税率を引下げまして、
法人の場合との
不公平是正に手を打
つておるという向きもあるやに承知いたしておりまするが、これは詳細なることを知りませんので省略させていただきまして、各
地方庁では、この
事業税の
とり方及び
課税の仕方というようなことが、ただちに
平衡交付金との
関係があつるというので大部分の府県におきましては、
個人からとれるだけはとるという方針で、
国税では
免税にな
つておるほんとうにその口幕しの
零細事業者までが、
事業税を賦課されておるというのが
実情でございます。私のようなしろうとが申し上げるまでもなく、
地方税法の第七百四十一条には「
事業税は、
法人の行う事プ並びに
個人の行う第一種
事業及び第二種
事業に対し、
所得を
課税標準として、
事務所又は
事業所所在の道府県に起いて、その
法人及び
個人に課する。」ということが規定されておるのであります。
従つて「
所得を
課税標準として」というところの
課税標準は、
国民負担の公平の見地からいたしましても、
法人の場合でありましても、
個人の場合でありましても、その
課税の
標準というものは
同一でねければならぬと思う。また
同一でない場合があつたとしても、あらゆる
沖津できめられておる
条件を満たした
あとの
所得で広ければならぬと信ずるのであります。しかも同法の第七日四十四条の九項には、
個人に対する
課税の
方法が規定されておるのでありまするが、ここには
個人課税の
計算方法は「総
収入金額から必要な
怪費及び十二月分として五万円を
控除した
金額とする。」ということが規定されておるのであります。言いかえまするならば、第七百四十一条の今申し上げました
課税標準とするところの
所得と、この七百四十四条の九項の総
収入金額から必要なる
経費及び十二月分を
控除した
金額とは大体一致するものでなければならぬと思うのであります。
法人の場合ばこの「必要なる
経費」を万遍に
給料とかあるいは手当とか、その他の
方法によ
つて差引いた残りの
所得に
課税されておるのが事実であります。しかし
個人の場合日はこの総
収入合願に
課税しておるのでありまして、
法律で「必要な
組費」ということがきめてあるにかかわらず、これを活用していただいておらぬのでありまするから、
法律でいうところの「必要な
経費」というのは、大体において不要の条項とな
つておるというのが現在の
実情でございます。さらに
事業税の
改廃等につきましては、第一種、第二種あるいは
特別所得の第一種、第二種等、いわゆる
課税の
方法に非常に不公平な点がありますので、この点は一応別といたしまして、この機会に私からお願い申し上げたいことは、
現行の
事業税法であ
つても、この
全国の
商工業者が訴えておる
事業税の
課税の不公平と
盾矛というものは、完全に私は是正できるという立場から、お願いをいたしたいと
思つておるのでございまして、ぜひこの
地方行政委員会の諸
先生方の強い御支持によりまして、
自治庁長官から
事業税課税の
適正化に対して、最もすみやかな
指令が出るようおとりはからいを願いたいと考えるのであります。そこで
地方の問題は一応別といたしまして、現在
事業税がどんな
やり方でかけられており、そしてその中には
法律違反的なこともあるという点につきまして、
東京都の実例をも
つて申し上げたいと思うのであります。
私
どもが
東京都に対しまして、この
事業税の不公平と
盾矛に対しまして、いろいろ
主税局の
首脳部の
方々あるいは
都理事者の
方々と会談をいたしました際における
東京都側の
申出というものが、一応こういう形にな
つておる次第でございます。
東京都の
主税局首脳部の見解といたしましては、この
法人、
個人の
負担の不公平は認める、しかしこれは都としてはどうすることもできないのだ、これはいわゆろ
政府の方で
法律が改正されるか、そうでなければ
政府の方からいわゆる
命令でもなければ、
主税局としては現在の
やり方以外には、やる
方法がないとい
つてつつぱねておるのであります。つまり
政府の方からの
命令というのは、私は
自治庁からの
命令と承知いたす次第でございます。またさらに去る十月一日の
自治記念日の
街頭録音では、岡安副
知事は、もしも
事業税に対して、不公平あるいは不合理なものがあつたならば、
都税務事務所に申し出てくだされば、その不公平は直すと言われておる。しかしながらその意思というものは、
主税局あるいは
都税務事務所に浸透しておらないのが
現状でございます。かような次第でありまして、それでは
東京都は、この
地方税法にきめられた範囲をかたく
守つて、
法律通りや
つておるかどうかという点から考えますと、
東京都は
かなりか
つてなことをや
つておるのであります。その例を申しますならば、ただ
東京都の
考え方によ
つて、大工さんとか
左官屋さんとか、
ブリキ屋さんなどというものに非
課税の取扱いをしておるのであります。さらにまた十五万円以下の
零細企業者には一割から三割までの
軽減措置をと
つておるのであります。これはおそらく
政府からの
指令でなく、
東京都のとりはからいでや
つておると私
どもは信ずるのであります。もしこういうことが一部の人に行われるならば、全体の
中小商工業者のためにも、
通当な
措置がとれるのではないかと、私
どもは実は残念に考えておる次第であります。そして
一般の
商工業者に対しましては、
国税まる
写しの、総
収入金額にこれを基準として強引に
課税しておるのでございます。私
どもが
事業税の
独立税であることを強く
主張いたしますと、これに対しましては、
主税局の
首脳部は、それは偶然の一致だなどとこれを放言しておるわけでありまして、そして私
どもが話をするときには、ただ強い
主張を受け流して、その
あとは生殺与奪の権カキ振りまわして、
強行徴収しておるというのが、現在
東京都のや
つておる
事業税徴収の
実態である次第でございます。さらに
東京都に対して、二十八
年度の
事業税の行き方につきまして、私
ども東京都内のいわゆる
商工業者は、
事業税の非常に不公平なる点を突きまして、九月十四日、三万四千人以上の人人が
異議中
立てをいたした次第でございます。これは
東京だけでなく、
全国各
都道府県においても、この手が打たれたのであります。ところが、私
どもがその
異議中立書を出したにかかわらず、またその
異議申立書には、申すまでもなくわれわれの
主張としてのいわゆる
課税対象の額を書き入れて出したにもかかわらず、
東京都としては何らの検討も補正もされようともせず、九月二十八日に
一括棄却をせられたのでございます。私
どもはこの
措置を見まして、実に
官僚専制の悪い面を露呈しているものと考えるばかりでなく、
異議申立てに対して当然なすべきところの
実態調査すらせずに、われわれ
納税者に与えられた
税法上の一片の権利すら剥奪した
官僚独善の行為をあえていたしておるのでございます。しかも
一般納税者に対しましては、昨年の
民商の
やり方と同じである、あるいはこれは共産党が指導しておるなどと悪
宣伝を飛ばして、
納税者の団結とか立ち上りを阻止しておるというのが現在の形でございます。しかしいかにそういう悪
宣伝をいたしましても、昨
年度の
事業税に対しましては、別冊に書いてございます
通りに、
現実に
民主商工会の斗いに
東京都は負けておるのでございます。さらに
民商から
課税に対する違法について取消しの訴訟までされまして、
東京都は取下げを
条件として、これらの
人々に対して三割から五割に及ぶいわゆる訂正をいたしておるのでございます。もしこれが間違いでないとするならば、
一般の
商工業者が
民商の
戦術を学ぶということは、決して悪いことではないと思うのであります。私
どもは少くともその
戦術を若干学びまして、今回いわゆる
異議中
立ての三万四千通に及ぶものを押出したわけでありますが、ただいま申し上げた
通り、これが
一括棄却になりた次第でございます。これを申しますならば、
民商のやつた三百や五百ならば、
東京都全体の
税収入に
影響がない、しかし三万四千通の
異議申立てでは、
東京都の
税収入に
影響があるからこれを棄却するということをや
つておるのでありまして、この精神こそ過去における悪代官以上の
官僚専制の
やり方だと私は思うのでございます。そればかりではありません。
所得税が、まる
写しにしていることによ
つて、
異議申請を
税務署に出しました結果、
協議団のあつ
せん等によ
つて、減額にな
つて来る人が相当ございます。そのたびに
東京都はまた
徴収したものを返すような、あるいは令書の書き直しをするようなことは、これは枚挙にいとまがないほど多数ございます。いかに
東京都が弁解をいたしましても、この事実はどんなにでも、はつきりと
皆さんに証言できることを、ここに申し上げておきたいと思うのであり顧す。
次に私は
事業税の不公平な点について申し上げたいと考えます。
事業税がいかに不公平であるかということは、お
手元の
公述の
参考書に書いてあります。この表を見ていただくとわかるのでございますが、かりに三十万円
程度の
所得をあげておるいわゆる
中小企業者の零細部に属する
人々の
事業税がどんな形であるかと申しますと、
個人の場合には、三十万円の
所得者はいわゆる十二月分の五万円の
控除に一二%かかるのでありますから、
事業税は三万円かかります。ところがこれが
法人である場合に恥きましては、わずかに七千七十円の
事業税で済むわけであります。言いかえますれば
個人は
法人の四・二倍の
税金を納めておるというのが
現実でございます。この表は私自身がつく
つた表でありますので、もしこの表の
数字に御疑念がございますれば、私
どもに仰せくだされば、私はいつでも御
説明することができると考えております。また六十万円くらいのいわゆる
中小企業の中に属するところであ
つても、
個人は六万六千円の
事業税を払わねばならぬにかかわらず、
法人は二万六千三百五十円しか払わないのでありまして、これも二倍半の
税金を
個人は納めておるのであります。さらに
中小企業の大体
上層部にある百万円の
所得関係を調べますと、
個人が十一万四千円払
つておるにかかわらず
法人は六万七千九百二十円で済むのであります。大体半分で済んでおるわけでございます。なおここで申し上げなければならないことは、
個人の場合には
固定資産税が
滞納にな
つておると、これを
経費としてはいけないと
思つてこういうものを入れないのですから、今申し上げた
税金よりはよけい出すのであります。
法人の場合にはいろいろ店主、店員の
給料とかその他のものを引く際に、いろいろと
税務署に対して
説明のつく限りのものは
経費として落しますから、この場合においての
法人の
事業税というものは、その表よりももつと低くなるというのが
実態でございます。かような次第でありまして
法人と
個人のことについていろいろまだ申し上げたいことはありますが、大体において三十万円
程度の
零細企業者が今申し上げたように
法人の四倍の
事業税を払
つておるという
実情は、これは決して軽視することのできない重要な問題だと私は考えるのでございます。先般、
全国大会が去る二十七日に
共立講堂で行われまして、各党の
代議士先生方にもおいでいただきましたが、あの
大会場にあふれるように
人々が集ま
つて、あの盛り上
つた皆さんの声をお聞きいただいた方は、
事業税がいかに悪税であるかという点は、十分御認識いただいたと思うのでありますが、当日のあの
大会の空気で興奮いたしまして、一人の
老婆——これは新宿区柳町の角にささやかな
文房具商を開いておる零細な
商人でございまするが、興奮のあまり、その日
気持が悪くな
つて帰つて、遂に他界せられたというような
悲惨事さえもあるのでございます。また二十六日の夕刊に出ております
通り、巣鴨の一
商人は、
ちようど両親の留守中に、いわゆろ
差押え物件の引上げをせられまして、十八になる娘が花も開かずして
縦死をしたということもございます。かような
悲惨事は、
事業税を通じて相当この年末には深刻に現われて来ると私は思うのでございます。私はこういう観点からいたしまして、過般の
風水害あるいは
冷害等に対しまして、
救農国会がこの国会に持たれたということによ
つて、借
先生方の大きな力によ
つて、そぞれこの
冷害、
風水害の害を受けた
地方に対して、救済の手が差伸べられてお
つたのでありまするが、私はこの
事業税の問題が、この
風水害以上の問題であるということを、
考え方によ
つては言えるのではないかと思うのであります。