○大達国務大臣
公募債がなかなか
消化困難であるということは、御指摘の
通りでありますが、ただ大
都市において特に困難の点が非常に多いのでありまして、これは大
都市として子供が非常にふえるということはむろんでありますが、それ以外に、御承知の
通り他からの転入が非常に多いのであります。
従つてこの問題で一番焦慮しておるのは、大
都市方面並びにその衛星
都市という方面であります。その方面につきましては、東京とか大阪とかいうようなところでありますれば、あるいは兵庫県あたりでも
公募公債で、相当
程度にはや
つて行ける、こういうことをそれぞれ地元でも申しております。ごくいなかの方に行きますと、ふえる人数も少いのでありますから、一校当りにして何人になりますか、これは精密に調べてみなければわからぬが、必ずしも校舎の増築をしなくても、何とか差繰りのつくところも多いかと思います。先ほど申し上げましたように、五億円の
政府資金ということであれば、中小
都市の方面にも、相当この緊急な事態に応ずることになりますので、先ほど申し上げましたように二十億の
公募債よりは、むしろ今回きまつた十億と、それに
政府資金五億という方が、むしろ実情に合うのじやないか、多ければいいことはむろんきま
つておるのでありますが、私
どもとしてはさように考えております。それから自然増に伴う教育施設についての費用の
負担の問題でありますが、これは非常に複雑な事務的な点がありますので、もし私が申し上げることが間違
つておりますれば、
政府委員の方から訂正してもらいますが、私の承知しておるところでは、いわゆる六・三制実施に伴うものとして、
国庫の補助が考えられておるということは、つまり
義務教育の延長によ
つて、現在校舎が十分にないにもかかわらず、その準備というものを無視して、
義務教育の延長が急速に行われておる。
従つてこの延長分に対しては国で世話してやるのが当然である、こういう見地から出ておるものと思います。六・三制実施に
伴つて、校舎の雄筆の補助をするということは、これはあるいは間違
つていれば直してもらいますが、
中学校の問題であると私は承知しております。そのほかに、戦争中その他いろいろな事情によりまして、いわゆる二部制といいますか、正規でない授業が行われておる。これは要するに非常な事態に関連して、従来児童の自然増というものに、その施設の方が立ち遅れた結果、二部教授というようなことが至るところで行われておる。だからこの不正規授業というものを、
地方に手伝
つて急速に正常にもどしてやらなければならぬ、こういうことから、この二部制解消のための
国庫補助という道が開かれたものと思います。
従つていずれにしても当分の間とかいうような
関係が起るのは、この点であると私は思
つておるのであります。結局二部制、そのほか戦災学校の復旧、これは当然であります。それから二部制とか不正規授業の解消という点からするのは、正確に言うと、これは学童の自然増に対して、国が補助の道を講じておる
一つの形だと思うのであります。ただ、そういう特殊な
関係で、目前の事態に応ずるための補助という制度がありますけれ
ども、御承知のように、私の了解するところでは、学童の自然増に伴うところの教育施設については、
地方で
負担するというのが長い間の
地方と中央との教育の
負担区分に
なつておると思
つております。
義務教育費
国庫負担ということは数十年前から問題に
なつておるのでありますが、その場合でも、
義務教育費とい
つても、施設の費用は含まれていない。教
職員の
給与だけに限定して、これが始終論議に
なつておるということは、教員の
給与については国においても、その割合をどうするかは別として、ある
程度負担すべきものである、教育施設については、それぞれの
地方が
負担するのだということが、払は昔から一応原則に
なつておると思うのであります。これがいいか悪いかは別ものといたしまして、そこで今日までその制度が続けられておりまして、今申し上げるように、それが実質においては二部教授の解消の問題であるとか、あるいは
義務教育延長に伴うものであるとかいうことで、
義務教育の延長に
伴つて六・三制ということで、
中学校に補助される場合も、六・三制実施の当時の児童生徒数というものを押えて、それに限定して補助をするというのでなしに、実はその後もふえたものについては、ずるずると六・三制ということでや
つておる。これは一部自然の
増加数というものが、その中へ入り込んでいるということでありまして、実は大蔵省としてはいつまでた
つても切りがないということで、
予算折衝の場合には、常にそれが問題に
なつておる、こういうのでありまして、事実上はこの自然
増加数に対しても、国である
程度の補助をそういう形において出しておりますけれ
ども、建前としては今日まで一応自然
増加というものを、
地方で責任を持つということに
なつておる、今度は直接に自然増ということが、たきく問題に
なつて来ておりますので、これをまつ正面から当然国で何とか補助をしてや
つてもらいたいということが、実はなかなか
——ことにこれが来
年度の問題でなく、差迫つた二十八
年度の問題でありますから、これはちよつとや
つてみても、あまり見込みがかいというふうに私
ども思うものですから、そこで当面の問題として
起債ということで、何とか解決をしたい、ただ
地方の財政が非常に窮乏し、そうして校舎の建築というような金のかかることは、非常に困難であることは申し上げるまでもないことでありますから、こういう問題につきましてはなお今後努力して、少くとも
地方の財政がもつと安定するまでの間でも、こういう補助の道が講ぜられるように努力はいたしたいと思
つております。しかし実情はさようなわけで、今すぐそれをどうこう言
つてみたところで、なかなかその
通りに行くまいと思
つておりますから、そのように御了承願います。