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平田説明員 お尋ねの
趣旨はよくわかりました。少し時間がかかるかと思いますが、滞納の今の
状況と、それに対して今私どもどのように
考えておるかということを、はなはだ恐縮でありますが、少し述べさせていただきたいと思う次第でございます。
十月末現在の数字でございますが、これは一番新しい数字ですが、それによりますと、十月末現在で各種の本税の中で滞納として残
つておる一切のものが、件数で六百六十二万三千件、税額で九百五十億一千百万円ということに
なつております。そのほかに利子税、加算税等の附帯金がございまして、それを加えますと、今御
指摘になりましたような金額で千十六億五千七百万円、こういう金額が税務署の台帳の上において未整理の形で載
つておる総額でございます。そのうち最初に申しましたのが基本でありますが、それにつきまして、今どういうふうに整理の
状況が
なつておるかということを、恐縮でありますがちよつと申し上げますと、この中で執行停止と称しまして、国税徴収法でどうもいろいろ
状況を調べてみたがとうてい徴収の見込みが当分ない、しかし今すぐ落してしまうのにはまだ早いというので、しばらくお預けにしておく措置が認められておりますが、それをや
つておりますのが件数で二百九十六万二千件、税額で二百九十四億一千四百万円でございます。それからさらに徴収法に基きまして、まだとれないわけではないが、今すぐとるということは無理であ
つて、いろいろな災害その他の
事情で延ばさなくちやならぬ、こういう税金徴収猶予の手続をいたしたものが、件数で三十万四千件、税額で七十六億四百万円ということに
なつております。それからちようど中間ぐらいのものでありますが、差押えはしてあるが執行猶予をしておる、つまり公売等をするのはいかにも実情に即しないというので延ばしておりますものが、件数で十三万三千件、税額で三十九億八百万円、これは国税徴収法に基きまして一種の広い
意味の猶予処分をや
つております。その残りの三百二十二万四十件、税額にして五百四十億八千三百万円、これが実は滞納に
なつておりまして、この税額は、卒直に申し上げましてなるべく早く徴収しなければ、まじめな納税者との間に負担の均衡がとれなくて、歳入にも影響する、こういう
状況に
なつておる次第でございます。以上十月末の滞納の基本的な数字を申し上げた次第でございますが、これは必要でございますればあとで
資料としてお配りしてもよいと思いますが、そういう
状況に
なつております。
なおそのほかに重大なものと
考えておりますのは、税金の納期が参りました際に、戦前でありますと大体納期までに九〇%以上、九八%とか九九%くらい、私ども署長の時代は一〇〇%くらいのところに大体こぎ着けていたという
状態でありましたが、戦後いろいろな
事情がありましてなかなか思うように参らない。納期までに入
つて参りますものが三〇%ないし四〇%、それから一箇月
たちまして、督促を行
つてやつと入りますものが六〇%ないし七〇%、こういうような
状態を毎期繰返しておるわけであります。そういう
状態でございますので、古い滞納は一方において残
つており、また新しい滞納が次々に出て参りましてそれに加わ
つて来る。片づけたかと思うとまた発生するという
状態を、実はここ三、四年続けて来ておるわけでありますが、これでは納税の点から行きましておもしろくないということが感じられますので、私ども基本的な
考え方といたしましては、まず新しい税の滞納をできるだけ発生を少くしよう。と申しますのは、新しい税でありますと、課税標準もきわめて新しいところをと
つておるわけでありまして、納税者の納税資力にも一番合致したものでありまして、
ほんとうから申しますと、それは当然納めてもら
つてもよい種類のものと大体言えるわけでございます。従いまして、こういう向きに対しましてはできるだけ納税宣伝もやり、あるいは督励等も加えまして新規の滞納の発生をできるだけ少くしよう。これがやはり何と申しましても滞納問題を解決する
一つの重要な手がかりではなかろうかということで、新聞等にも出ておると思うのでありますが、それをひ
とつ強調いたしております。それではどうしてそれを防ぐかと申しますと、今申し上げましたように宣伝とか督励とかいたしまするが、恒久的には納税貯蓄組合をできるだけ普及をはかりまして、平素から納税資金を預金の形で積んでおいてもらう。それらの中から納期になりまして税金を支払
つてもらうやはりその道でないとうまく行かないのではないか。源泉徴収の方は
支払いの都度差引きますので、いろいろ苦しいこともあり、問題もありますが、徴税の見地から申しますと、御
承知の
通り非常に成績がいい。反対に申告納税の方は、どうも納期が固ま
つて来る、あとから税金がおつかけて来る、こういう点でなかなか税が納めにくいという点がございますので、平素から貯蓄組合をつく
つてもらいまして、その組合に納税資金を積み立てておいてもらう、これは恒久策として目下推進いたしております。補助金等も
国会にお願いいたしまして、若干の補助金を出しておるようなわけであります。これがうまく行きますれば、よほど滞納発生の防止、納期内の税金の収納ということがそう無理なくうまく行くのではないかと
考えております。私どもの賦課の方において青色申告をや
つております。徴収面におきましては、納税貯蓄組合の普及、この二つを重要なる
方針としてや
つておるわけであります。
それからもう
一つは、今までたま
つておる滞納をどうするかということでありますが、今申し上げました数字の中には、ごく最近の滞納と古くからのものと両方入
つております。これらにつきましては、率直に申し上げまして、古いものにつきましては、あまり一律に一ぺんに無理な措置をとるのはどうであろうか。この方は少し長い目で見て、漸進的な計画を立てまして、それにより片づけて行く、こういう
方法をとる方がいいのではないか、とらざるを得ぬのではないか。あるいはさつき申し上げましたように、すでに執行停止、徴収猶予等をしておるものもあるが、そこまで至らないものにつきましてもいろいろあるようであります。先般滞納の原因調べということをいたしてみたわけでありますが、それによりますと、やはり半分くらいが、納税者は金があるときに事業の拡張、あるいは商品の仕入れ、あるいは生活の向上と申しますか、住宅を建て増ししたり改造したりしておるとい
つたような種類のものであるようであります。それからあとの半分が、率直に申しまして病気で納まらぬとか、あるいは商況が非常に不振になりまして、決定当時はそれでよか
つたが、最近はとても納まらぬとい
つたようなもの、そういうようなものがあるようであります。従いまして、私ども過去の滞納につきましては、そういう納税者個々の
事情をもう一ぺんこの辺でよく調べ直しまして、最近の事態に応じまして適切なる手を打
つて行く、どうしてもやはり先ほど申しました執行停止にかけなければならぬものはかける、適当な分割等の処置で納まるものは納めていただくようにする。しかし今まで納税について一向誠意がなくて、少し無理していただけば納まるにもかかわらず、ずるずるしておるという方々に対しましては、やはり差押え、公売等の措置も必要に応じてと
つて行く。そういうふうな、少し滞納者個々の
事情に応じました処分の
方法をとりまして漸進的に減らして行く、こういうことをや
つたらどうであろうかということで、そういう方向につきまして、中央で一定の調査の
方法等も実は目下
検討し、試験的にいろいろやらせておるのでありますが、そういう
方法を徐々に拡大いたしまして、税務行政の上におきまして、今非常に大きながんとして残
つております滞納の問題を片づけて行きたい、こういうふうに基本的には
考えております。
そこでお尋ねの十二月末から来年にかけてどうなるかという問題でございますが、これは率直に申し上げまして、申告所得税はちようど十一月に第二期目の納期が来たわけでございます。一期の納期の際にも、さつき申し上げましたような
方針によりまして、まずできるだけ新しい滞納をつくらないようにしようというので、今年分の申告所得税につきましては催促をし、督励をする、あるいは宣伝もするというような
方法によりまして、納期内、あるいは納期を越えたものに対しましては、納期後なるべく早い機会に納めてもらう。実はこういう
方法でいたしておるわけであります。従いまして、本
年度分の所得税に関しましては、少くとも十一月に二期の分は納めていただく、あるいは十二月一ぱいにできるだけ早く納めていただくようにする。私どもとしてはこういう
考えでおるわけでありまして、その点は御了承いただきたいと思います。ただ御
承知の
通り、中小企業金融対策等の
関係でいろいろな問題があるのです。勤労所得税は非常に成績がいい、申告所得税はなかなか振わないというので、勤労所得者から実は私どもいつも文句を受けるのであります。新しい税でありますと、法律上一番新しい課税容体をもとにいたしまして計算いたした税額でございますので、そう無理を示すという筋合いのものはむしろ例外であ
つて、大体は少しくふうしてもらえれば納めてもらえるべき
性質のものだと思うのでありまして、従いまして、この方について、またそういう政策的なことを孝想いたしまして適当にやるということになりますと、税法の適正な執行ということができなく
なつて来る。従いまして、この方はできるだけ滞納にならぬように、新しいのが滞納になりましたならばなるべく早く片づける。この
方針はぜひともひ
とつ続けさせていただきたい、そういうふうに
考えております。申告所担税は、結果から申しましても、最近まで実は入り方が非常に少いのでありまして、滞納額から申しましても、さつきの数字の中で申告所得税が一番多い
状態でありますので、御了承願いたいと思います。