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1953-12-04 第18回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月四日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長千葉三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 大上  司君    理事 坊  秀男君 理事 内藤 友明君    理事 佐藤觀次郎君       大平 正芳君    黒金 泰美君       藤枝 泉介君    宮原幸三郎君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    柴田 義男君       井上 良二君    春日 一幸君       平岡忠次郎君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         食糧庁長官   前谷 重夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    今泉 兼寛君         印 刷 局 長 吉田 晴二君     ————————————— 十二月三日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として井  上良二君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る  供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第二号)  漁船保険特別会計における特殊保険及び給与  保険の再保険事業について生じた損失を補てん  するための一般会計からする繰入金に関する法  律案内閣提出第三号)  一般会計歳出財源に充てるための米国対日  援助物資等処理特別会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第四号)  専売事業に関する件  印刷事業に関する作  造幣事業に関する件     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保險の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案及び一般会計歳出財源に充てるための米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案の三法案及び専売事業に関する件、印刷事業に関する件、造幣事業に関する件の三件を一括議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 愛知政務次官にお尋ねいたしますが、御承知のように、現在官公労の問題が大いに社会問題になりまして、特別管轄にあられる造幣専売印刷の問題につきまして、これらの業態はいろいろその基礎の確実な点もございますけれども、相当に有力なる成績を上げております。そういう関係上、この際仲裁裁定実施される道が開かれていると思うのでございますが、今の政府では、その点についてはつきりした回答がないので、いろいろ問題があるわけでございます。大蔵政務次官の確たる御返答をお伺いしたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知政府委員 給与改善の問題につきましては、私どもとしては態度をはつきりさせているつもりでございまして、その基本的な考先方につきましては、すでに大蔵大臣の本補正第二号の説明並びにそれに関連する説明におきまして、はつきりしているつもりでございますが、具体的に御質疑を願いましたならば、その点についてお答えいたしたい。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日、先国会の当委員会におきまして、印刷局その他の関連において大体事業が相当成績を上げておりまして、ただ問題は、国鉄や全逓の関係裁定実施されないようは節もあるように思われましたので、いろいろ質問したわけであります。大蔵省の直接関係のこれら三つの造幣印刷専売のことにつきましても、実際は成績を上げているのだから、やはり仲裁裁定に従うのはわれわれ当然だと思うのでありますが、どういう点で不可能だということを、もう一度そういう方面に関係ある愛知政務次官から御回答を願いたいと思います。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 ちよつと速記をとめていただきたいのですが…。
  7. 千葉三郎

    千葉委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  8. 千葉三郎

    千葉委員長 速記を始めて。
  9. 井上良二

    井上委員 愛知政務次官仲裁裁定の問題につきまして伺うのですが、公企労法に基きましての裁定の拘束の問題でございますが、御存じのように、公企労法の第一条におきましては公共企業体関係の勤労に対する一つの規制を加えており、その目的を果すためには、一つはそれをどういうぐあいにして目的を果すか、つまり労働争議基本権が禁止されております事実からこれを救済する一つの手段として、一つ経営参加の問題があり、一つ仲裁裁定完全実施の問題があろうと思います。     〔委員長退席内藤委員長代理着席経営参加の問題は今ただちに問題にしないといたしましても、仲裁裁定完全実施については、公企労法第一条の目的を達する上に絶対にこれは必要である。ただ政府は、十六条の規定によりまして、予算的、資金的な措置の不可能な場合は、仲裁裁定完全実施はでき得ないという解釈をしておるようでございますけれども、すでに仲裁裁定が下されます場合、その場合に、前の調停というものが適用されたのでありますが、この調停案ができ上りますときは、政府資金的措置ができ得るということを申しておる事実がございます。そうなりますと、予算的、資金的措置ができないということを国会承認を求めて来るというのとちよつと矛盾するところがございます。それからいま一つは、仲裁裁定がくだされる場合に、当然政府は、そういう仲裁裁定をされても、現実資金的、予算的措置ができないからだめであるという必要な資料をそろえ、必要な証拠書類、証言をそろえて、政府が任命しております仲裁裁定委員に対して所要の手続をとるべきである。政府みずから仲裁裁定を認めておりながら、それが完全実施できないということは、どうも三公社現業全体を共通的に扱いたいという考え方に非常に強く立つてつて部分的に資金的措置が可能であるものに対しても、他とのつり合いをとるといいますか、歩調をそろえるというか、そういうことで、政府みずからが共同歩調をとらせるようなやり方をとつておる。この事実を一体どうお考えになりますか。予算的、資金的措置ができ、また可能であるという現業があるのにかかわらず、それをやらずに、共同歩調をとらして、一緒賜暇戦術によつて公労法第一条に規定してあるところの公共目的を完全に実施し得る能率といいますか、仕事が行われていない現実一体どう解釈するかということです。この点大蔵大臣代理たるあなたは一体どうお考えになりますか。
  10. 愛知揆一

    愛知政府委員 まず第一に、公企労法の第一条というものは、政府としてもできる限りこれを尊重しなければいけないということは、かね会がね私どももつとによく承知しておるところでございます。第二、十六条の関係で申し上げますると、これは各公社現業庁ともに個別的に申しまするならば、御指摘通り資金上、あるいは予算上の余裕のあるなしということは非常に違つて参ります。たとえば国鉄関係などで申しまするならば、八月から実施するということになりますると、非常に多額の金がかかりまするのみならず、最近の国鉄收支状況から見ますると、かえつて逆に非常に経費がかかることばかりが起つておるわけでございます。たとえば水害、あるいは十三号台風というような関係のために、損益勘定においても六十九億円というような予想せざる経費の増加が出て来ておるというようなことで、資金上、予算上これはまつたく不可能というものもございます。そこでただいま御指摘の点は、できるところはやらせたらいいじやないか、あまり政府が三公社現業共通に扱おうとするから、できるものもできなくなる、こういう仰せでございますが、私どもといたしましては、これは公企労法の第一条をもちろん尊重いたしますけれども、私ども立場を率直に申し上げますならば、たとえば専売公社のごときは、それならばもうついくらでも資金上、予算余裕があるということが言えるならば、いくらでも給与ベースを引上げることも可能だということも言えないわけではないのであります。     〔「只そんなことを、言つてはいない」と呼び、その他発言する者多し〕
  11. 千葉三郎

    千葉委員長 静粛に願います。
  12. 愛知揆一

    愛知政府委員(続) そこで裁定の場合につきましても、政府の任命いたします委員が、それらの点をよく勘考して裁定を下されるとは思いますが、私どもといたしましては、現在の考え方が今日の実情におきましてはやむを得ざることと考えるわけでございます。
  13. 井上良二

    井上委員 もし他の公社なり現業において予算的、資金的措置が困難なものがあるから、予算的、資金的措置の可能なものも一時ストップさす、そうして政府は同一の歩調においてこれを解決する。そういう政府態度なら、公企業体関係政府の全つ体のものを一つ団体交渉の相手としてやるべき筋合いになつて行きます。そうではなしに、あなたも御存じ通り、各企業体ごと仲裁裁定が下されておる。従つて企業体別々にこれは予算的、資金的措置が可能かどうかという検討の上において解決すべき問題なのです。それをどういうわけで一体解決、可能のものを——現に当該責任者意見を聞いてもあり得るということを言われておる。また現に仲裁裁定の前に調停が行われました場合に、すでに五つの関係においては、資金的措置ができるということを申しておる。ただ鉄道郵政関係が困難であるから、他のものがしばらくやれぬから、こつちはひとつ待つてくれ、そうしたら、能率を上げて一生懸命働いたものの働いた価値というものは、政府は全然認めないですか。それはどうします。それをひとつ伺いたい
  14. 愛知揆一

    愛知政府委員 私の申したいと思いますことは、各企業体別仲裁あるいは調停ができておる、そのことはもちろんその通りでございまして、合同の場合でも、裁定の線を尊重して一月一日から実施するのであります。そのそれぞれの裁定内容等は、名公社なり現業官庁のやつておりまする仕事收支の状態、その他が十分に考えられて仲裁なり裁定なりが私はできておると思うのでありまして、これが一月一日から実施された場合に、その内容は御承知通りそれぞれの特色によつて違つておりますことは御承知通りでございます。問題の要点は、一月一日から実施するということに平仄を合わせたというところが問題として御指摘の点かと思いますが、これはしかし公社給与といえども民間給与その他との状況も見合せてきめるということが私は精神だと思うのでありまして、現在の建前におきましては、全体の立場から見て、内容としてはそれぞれ違う裁定でありますが、これはそのまま実行し、ただその実施の時期を一月に合せたというわけでございますから、根本的には御指摘の点と私ども考先方は違うことはなかろうと思うのであります。
  15. 井上良二

    井上委員 仲裁裁定は一月一日から実施ということになつておりません。八月から実施ということになつております。そうしてまた八月から実施可能という、資金的措置ができるということが言われておる。そこを私は指摘しておる。だから政府の全体の公務員歩調をそろえるということを、もし政府があえてとろうとするならば、三公社、五現業一体として団体交渉をやるべきである。それを、やるときは仲裁裁定もおのおの分離してやられておるのに、政府予算的、資金的措置が不可能なりという一方的な解釈で、十ぱ一からげにこれを実施しようとするところに無理がある。だから資金的措置が可能であるという現業に対しては、八月から実施していいのであります。実施すべきであります。この裁定は拘束されるのでありますから、裁判所の判決と同等の効力を持つております以上は、当然政府は八月に遡及して実施すべきであります。ほんとう実施できない部分について、どうして一体当該関係事業員との間の団体交渉において解決するかということであつて、私どもはできぬものをぜひせよと言つておるのではない。できる可能性のあるものを、何ゆえ一体引延ばさなければならぬか。ほんとう鉄道なり郵政資金的、予算的措置が困難であるならば、どういうわけで困難であるかということを国民にもよく理解せしめ、また当該事業員にもよく理解させて、可能な最大限度において実施してやることは、当然その使つておる者の責任であります。それをやらずにおいて、歩調をそろえてやろうということは、どう考えてみても、これは政府の怠慢であり、政府責任をのがれる大きな結果がそこへ出て来ておる。その点について御答弁を願いたいと思います。
  16. 愛知揆一

    愛知政府委員 これはただいまも申しましたように、予算上、資金上絶対にできそうもないと思われますものは一番大きなところで、また一番数におきましても、その公社におきましてどうしてもできないというりのが偽わらざる現状でございます。そこで井上さんの御指摘のように、たとえばできるであろうところの専売公社、あるいはその他一、二のものについてだけ、それなら八月から完全に実施したらどうか、こういう御意見でございますが、これは現在のいろいろの関係から申しまして、公企労法第一条の尊重はもちろんでございますけれども給与問題全体を国家的の立場で見ました場合には、あまりにアンバランスが出来るのじやなかろうか。それならお前は、全体を一体にして団体交渉をやつたらいいじやないかとおつしやいますが、これはあまりに——そういうところだけを取上げてごらんになると、そういう議論が出るかと思いますが、このやり方というものは、恒久的な制度の問題でございまして、私はやはり各企業体別々に団交をやるというこの制度というものはくずすべきではない、こういうふうに考えます。
  17. 井上良二

    井上委員 現在いろいろな関係でそうせざるを得ないという、そのいいろろ関係というのは何ですか。伊藤斗福みたいなことを言つて、はなはだどうも要領を得ないのですが、いろいろな関係というのは、今あなたが最後に申されました鉄道郵政等関係考えておりはせぬか、こう思うのであります。だから私は鉄道郵政資金的、予算的措置が、いろいろの関係から非常に困難であるといいますならば、その困難な理由をもつと国民によく理解せしめ、また関係事業員にもその点はよく理解をさして、どうするならばその仲裁裁定実施が可能であるか、また不可能であるかということについて、当該労働組合との間における団体交渉を積極的にやりまして、今国民に非常な迷惑をかけておるような事態を、一日も早く解消する努力をすべきである。しかるに政府は、一向そういう努力をしていない。逆にこれを弾圧するような対策だけを講じて、事態收拾に対して積極的な対策を講じてないということを指摘しておるわけであります。  そこで問題は、この仲裁裁定が、今あなたもいろいろ話になりましたように、他の産業との関係、また民間企業との関係、いろいろな諸般検討をいたしました上で、この裁定が最も妥当であるという結論を出しておるのであつて、非常に民間産業からかけ離れておるとか、あるいは国民一般給与水準からかけ離れておるとかいうような非常識な裁定ではないのであります。当該事業内容検討して、また他の産業との関係検討し、給与水準の上からも検討して、これが妥当な裁定として、政府みずからが仲裁裁定委員を任命して、その政府みずからの信用を受ける人が、こうやつた方がいいという判決を下しておるのだ。これは何も労働組合が一方的に委員を選んで、政府に強要した判決をしておるのじやない。仲裁裁定委員政府から任命して来る、そうしてそこに最も公正ないろいろな資料を集めて、それで判決を下しておる。その判決裏づけ実行が伴うというておるのに、実行しないというのはおかしいじやないか。そんなりくつに合わぬことを言うたんじやとてもいけない。私は鉄道郵政の困難なものをこの際ぜひやれ、八月に遡及してやれと言うておるのじやない。やれるものからなぜやらぬかと言うておる。このくらい話のわかつたことはない。だからそこはどうですか。
  18. 愛知揆一

    愛知政府委員 まことにごもつともでございます。しかしながら先ほど来申しておりますように、あまり問題を法律的だけにお考えいただかないで、全体の労働階級立場、これは民間もあるいは一般国家公務員地方公務員というようなところを総括的にごらんいただいて——私は仲裁裁定の案は非常によくできておると思います。それを一月からやろうと言つておるだけであつて、その辺のところはわれわれの考えておりますところも十分ひとつ大所帯所から、御了察願いたいと思います。  なお国鉄電電公社について、どうしてその実施が八月からできないかということの事情について、われわれが数字的に検討いたしました点は、われわれとしても十分納得をしていただけるように、関係の方々に引明に努めておりまして、私どもの見ておりますところでは、大体了承をされつつあると信じております。
  19. 井上良二

    井上委員 私はここでさらに政務次官に伺いたいのは、あなたは一月から実施することを非常に得々としておるような口吻をされておりますが、御承知通りこの前の、あなたは留守でございましたので、あなたのいない国会には、予算的、資金的措置ができないというて、国会承認を求めて来た。それができぬというのなら、どういうわけでできぬかという裏づけになる予算的、資金的な提案はせずに、単に法文上の予算的、資金的措置ができぬという理由のもとに、その承認国会へ求めて来た。それで国会は、おかしいというところから、いろいろな点で検討を加えて、継続審査をやつておる最中、一月からならできますということを言つて来た。そんな国会をばかにした話がありますか。一体そういうことはどういうところから言えるのです。
  20. 愛知揆一

    愛知政府委員 この点は、御指摘通り国会においてさような経過がありましたことは、私も承知いたしました。しかし、これは一般公務員につきましても同様でございまして、従来政府としては、できるだけ裁定なりあるいは勧告なりの線を尊重して、この実施に努めて参りたいという気持ではあつたが、その当時の研究におきましては、どうしてもその実施の自信がなかつた。そこで、率直に当時の国会には、その見解をひろうしたものと思つております。しかしながらその後のたとえば一般財政状況、歳入の状況、あるいは各現業官庁並びに公社等におきましては、いろいろのくふうをすれば、また收支状況からいえば、一万からならば実施ができる、しかしそれ以上さかのぼつてはできないという結論になりましたので、こういう案の御審議を願つておるわけであります。
  21. 井上良二

    井上委員 つまり国会予算的、資金的措置ができぬからという提案政府がして来ます場合は、当然予算的、資金的措置ができないという具体的な裏づけ証拠を提出すべきである。ところがそれを全然つけずに提案をして、その後政府が一月からやれるという予算的措置を持つて来たわけだ。そこで、一月から可能なりや八月から可能なりやということがここで正式に問題になつて来たわけです。従つてわれわれの諸般のいろいろな調査によりますならば、仲裁裁定はある部分においては八月から実施可能なりという事実が具体的にわかつて来ておるのです。しかるに一月から実施せなければならぬというのは、その間当然もらうべきものがもらえないという立場に立つ。働く者の身になつてみなさい。一体ゆえに三割賜暇というようなああいう騒動を起しておるのですか。現実生産能率をどんどん高めて、国民に対して必要なサービスをせなければならぬ機関が、反対に混乱をせしめておるじやありませんか。生産は日々に減退しておるじやありませんか。この仲裁裁定が行われますまでは、昨年よりもそれぞれの企業体においては生産が非常に増大し、しまつております。増大し、上まわつておる事実に立つて当然給与は引上げるべきであるという裁定も下されておるわけです。それが理由にもなつておるわけです。よけい能率を上げて一生懸命働いておる結果、そういう裁定が下されて、その裁定に対して、雇い主たる政府がそれをやらぬというところから、怒つてつておるのじやないか。三割賜暇戦術に出て生産を減退させておるのは、これは何も労働組合及びその組合員責任じやありませんよ。当然あなた方の怠慢じやないか。事実この裁定をあなた方はあまりにも軽々しく考えておる。もしこれを否定する立場にあなた方が立つならば、どこに言うて行つたらいいのです。現実法律によつて労働者基本権を奪つておいて、その身がわりとなつている仲裁裁定完全実施をしないということになれば、一体どこに言うのですか。それならば公労法なんというものはいらないじやありませんか。一般民商産業一緒にしておいたらいいじやないか。何ゆえ一体そういうことをしたか。ストライキをするようなことを政府がやらしておるのじやないか、そういうことになりませんか。私は何もあなたにできぬことを要求しておるのじやない、できることじやないか。できることを何ゆえけんかを売  つて行かなければならないか。けんかを売つておるのはあなた方ですよ、そうお思いになりませんか。これはあなたとしては非常につらいだろうと思うけれども、そこはあなたは雇い主の番頭だ、支配人だ。大蔵大臣が社長ならあなたは専務取締役だ。そのあなたがこの事実を無視して、ほうかむりして行こうという、それはいけませんよ。仲裁裁定があなたがおつしやるようになつておるなら問題にしない。私は繰返しますが、現に国鉄郵政経理内容というものも、もう少し検討して、あなた方がおつしやるように、一月でなければ無理だ、どうしてもこれから内部的ないろいろな整理を必要とするということはわれわれ認めておる。だからできるところからやつたらいいじやないか、もう一応相談をしてみる気はありませんか。
  22. 愛知揆一

    愛知政府委員 先ほど申し上げました点をさらに補足するのでありますが、前国会のときには、その当時成立した予算に対しまして実行が不可能であるということを、政府見解として申し上げたと思うのであります。その後補正予算を編成いたしまして、ただいまも申しましたように、できるだけ裁定実施できろように、裁定の線にできるだけ近づけるようにということで努力をいたして、今の案をつくつたわけであります。それから三割賜暇戦術等のお話がございましたが、これはわれわれの見解をもつてすれば、裁定を八月に実施できないということは、私は一応予算上から見れば客観的にさような判定ができる。具体的に言えば、公社等におきまして起つておる問題でございまして、これは公社の当局その他から内情というもの、あるいはこの経理内容というものをできるだけ詳しく説明をして、納得してもらうように今努めておるわけでございまして、決してわれわれがけんかを売るというようなことはございません。これは事情がわかつてもらいますれば、早急に沈静するものと考えております。
  23. 井上良二

    井上委員 仲裁裁定の下されますまでには、そういうベース改訂をしてもらつても、現実予算的、資金的措置ができないという理由を、仲裁裁定委員会政府は主張しませんのですか。全然政府意見を聞かずに、雇い主の意向を聞かずにかつて仲裁裁定が下されるのじやありませんよ。十分政府諸般事情を聞いた上で、これをやられるにきまつておる。これはあなた方として、裁定が下されれば、これはまるつきりそれに関係のないものじやありませんよ。当然裁定が下されるまでには、あなた方で専門家が参りまして、諸般資料を提出して、合理的な裁定の下されるように持つて行くのが当然の任務だろうと思う。その上において下された裁定ですよ。だから資金的、予算的というものは十分考慮されておるはずだ。それと、今も申しました通り、その前に調停がありました場合に、もうすでにあなた方を代表する代表者の方では、支金的措置はできますということを承諾を与えておるじやありませんか。それとあなたどだい話が違つて来るじやありませんか。
  24. 愛知揆一

    愛知政府委員 私の理解いたしておりますところでは、政府任命の委員というものではなくて各公社側からは出ておりますから、その公社側に対しましては、大蔵省の見解、見方というものも十分に説明に努めておるはずでございます。しかしながら、多少立場が違うと申しては語弊があるかもしれませんが、また言い過ぎかもしれませんが、十分の説明に努めてはおりますけれども、それを主張しても、結果としてできまするものは、必ずしも政府考え通りそのまま行かないというところに、また特色があるかと思いますので、その点は御了承願いたいと思います。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 愛知政務次官にお尋ねしたいのですが、実は洋行されておりましたので、先国会にお出にならなかつたけれども、しかし今度の専売裁定に対して政府が屈服しない点について、井上委員からいろいろ質問がありました。また今度一月一日から実施される中にも、専売裁定とはまつたく違つた、地域給を本給に繰入れて、そしてこれを押しつけるというようなことになりまして、われわれ関係者には全国からいろいろな手紙が来ておりますし、同時に陳情者が殺到しておるわけであります。八月一日からやるやらぬという問題は、井上委員から今御質問がありましたから、その問題については私は井上君と同じ意見でありますが、ただ地域給を、どうして今まで別にあるものを本給に繰入れて行くのか。これは結局仲裁裁定実施をやらぬということになるのですが、その点はどういうように大蔵省は御説明になるか、その点について愛知政務次官に御答弁を願います。
  26. 愛知揆一

    愛知政府委員 この地域給の問題につきましては、これも率直に申し上げるのでありますが、現に地域給をもらつていなかつた人の数というものは、たとえば国家公務員で申しますならば、全体の一割にも達しないないような程度でございましたし、従来もこの地域給のやり方というものにつきまては、いろいろと非難もありましたことは御承知通りと思いますし、またこれは国会におきましても相当むずかしい、扱いにくい問題として、しばしば論議の対象になつたことも事実であるのであります。そこでこれも多少沿革を、私の方からの見方を申し上げたいと思うのでありますが、先国会あるいは前々国会当時におきましては、当時の予算の見通しからいうて、ベース・アップということを全面的に取上げることは非常に困難だという、さような事態でありました。その当時までにおきましては、地域給をどういうふうにするかということについては、両院の人事委員会の申合せというようなものもできておりまして、その際において、予算的にむずかしいけれども、地域給の将来の調整については、できるだけ現在の五つにわかれておりますやり方を、できれば二つ程度にする。それから実額の給与額をできるだけ減らしたくない。そういう趣旨のもとに、できるだけ早い機会に調整した方がよろしかろう、こういうお申合せがございました。その当時におきましては、そのお考えが適当だと思いましてそういう線でいろいろ検討して参りました。ところで、先ほども申しましたように、今回の補正予算におきましては、給与べースの改善を、人事院の勧告の線に従つてとにかくやれるという見通しがついた。そこでこの際におきまして、従来いろいろとむずかしい問題であつた地域給の五つを四つにして、そして給与べースの改善と合せて処理をすることにして、しかも地域給を一部本俸のベース・アップに繰入れるのではありますが、それによつて、地域給だけを取上げてみれば減つた方もあるわけでありますが、給与ベース等を総合調整した関係におきまして、無級地の人ももちろん均霑する。また一級地以上につきましても、全部本俸に繰入れるということと、それから今後残る地域給と合せればもちろんのことでありますが、実給与額が相当上る。こういう案になつたので、こういうやり方をすることが最も妥当であろう、かくのごとく考えたわけでございます。なお全体として、たとえば一四・四%の増加ということになりますうちの五%は、勤務地手当の繰入れ分だと見ましても、一律にベース・アップの分が五%、それから中だるみの是正分が四・四%、こういうふうな内容になりますので、これまた全体を通じて見ますならば、地域給の問題も一部改善され、また全体の給与額も上るというこにとになるので、この案が私どもとしては妥当である、こういう結論に達したわけでございます。
  27. 内藤友明

    内藤委員長代理 ちよつと申し上げますが、今大蔵大臣がここへ来て、愛知さんとかわられるということですから、その点御了承願います。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今泉監理官が来ておられますから、専売公社のことについてお尋ねいたしますが、われわれは先国会のときから、専売裁定実施について政府を追究して来たのでありますが、あなた方は、今実際専売公社に働いている人がどんなに苦しい生活をしているか御承知ですか。専売公社はおとなしいからということで、捨てておかれるのか。一体あなた方自身からも努めて政府に、こういうよう現状から見て、仲裁裁定に従うように努力されるべきだと思うが、現にあなた方は、実際専売公社に働いておられる方々の立場考えたことがあるかどうか、ひとつ御返事傾いたいと思います。
  29. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 私の監理官としての立場は、大蔵大臣にかわつて専売公社全般の発展を管理監督するという役目でございますが、もちろんその中には、公社職員が安んじて今後増産に邁進できるような、そういう面について努力するのが私の立場で、また公社の味方になつて政府なり関係方面にこれを伝達する職務も当然含まれております。私も公社職員が、必ずしも一般公務員に比べて悪いとは考えておりません。率直に申し上げて、一般公務員に比べて、公社職員は若干給与関係において上まわつております。しかしそうかといつて、全体の給与べースそのものからいつて高いと思つておりませんから、こういつた仲裁裁定が出た際においては、私ども公社立場に立つて、できるものならばこういつた裁定は尊重して、実施できるようにということで、今御指摘のような立場は私たちの立場として十分とりまして、努めて来た次第であります。但し、今政務次官も申し上げました通り、全般の関係からいつて、八月からの実施は無理である。一月一日から実施が妥当であるという結論政府が下しましたので、私どもとしても、やはりその立場は尊重しなくちやならぬと考えている次第であります。
  30. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 監理官は、ただ監督するばかりじやなくて、やはりそこに働いている人の立場考えるということですが、現在官公労の人がどんな生活をしているかという立場上から、この専売仲裁裁定についてどういう努力をされたか。また仲裁裁定は、八月一日から実施というのが一月一日に延びたということについて、この間の空虚の生活を、あなた方は一体どうお考えになつているのか。その点をあなたからはつきりした答弁を承りたいと思います。
  31. 今泉兼寛

    ○今泉説明員 仲裁裁定が先般出まして、これに基き公社といたしましては、当然これに拘束されるわけでございますから、公社総裁の方からこれに所要の予算をつけて、大蔵当局に要求して参つたわけであります。私どもといたしましては、これを主計局に伝達するとともに、大蔵省内部におきましては省議を開きまして、できるならこれは完全実施してもらいたいという立場で主張したわけでございますが、先ほども政務次官が申された通り、全般の関係で、これを八月から実施することは無理であるという結論で、その前に、この前の国会におきましては、災害予算だけに限定されたという立場から、この前の国会には間に合いませんでしたが、今回の国会にはぜひ補正としてこれを実施できるようにやつていただ選たいということで、再三省議等も開きましたが、全般の関係から、やはり私の微力をもつてしては、八月実施ということはできませんで、一月から実施という結果になつたわけであります。
  32. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今泉監理官の御説明を聞きますと、われわれはまだ熱意がないと思います。しかしそれはいろいろ政府の都合もありますので、少くとも今専売公社は利益の上つている公社でありまして、そういう点からでも、できる限り仲裁裁定の突破口として今後努力していただきたいと思うのであります。それからちようど印刷局長がおられますが先回も私は印刷労働組合の方々といろいろ懇談したわけです。専売公社というのは特別な事業でございますけれども印刷仕事は、民間関係と関連がありまして、民間におきまして、少くとも合この印刷局に働いておられる人たちよりは、相当かけ離れた給与をもらつておるわけであります。あなた方もおそらく現場におられますから、現在の印刷局仕事がどんなにえらいかということは御存じであると思うのでありますが、少くとも今この数字を見ますと、印刷局も相当利益が上つておる。利益が上つておるから幾らとつてもいいというような、そういうへまなことをわれわれ言つておるわけではないのであります。先ほど政務次官は、利益があれば幾らでももらつていいじやはいかというようなことを言つておられますが、これは伊藤斗福的な議論でありまして、われわれの議論ではない。われわれは少くとも仲裁裁定実施をやれ、こういうことを言つておるわけでありまして、これには先ほど同僚の井上委員からも言われましたように、根拠のある数字が出ておるわけなのであります。今なお仲裁裁定実施につきましても、現在民間印刷会社と比べまして——私は印刷会社といろいろ関連を持つておりますが、非常に程度が低い、こういう点から考えまして、少くとも印刷局民間産業と同じようなレベルにある仕事でございますから、こういう点から、あなた方が積極的に今度の三割賜暇の行われる前にどういう努力をしておられるのか、またあなたは一体仲裁裁定が行われて、これが実行されなくてもそれでいいというふうにお考えになつておるのかどうか、その点をひとつ印刷局長から答弁を願いたいと思います。
  33. 吉田晴二

    ○吉田説明員 先般この委員会でも申し上げましたように、印刷局事業と申しますものは、ただいまお話の通り民間印刷業とかなり似たような形態をとつておる。ただ性質的に申しますと、紙幣とか、あるいは郵便切手でありますとか、あるいは国会関係でありますとか、非常に重要な事業をやつておりますだけに、品質の面でありますとか、あるいは検査の面でありますとか、そういう面におきまして、これはまた民間と違つた非常にいろいろな規制があるわけでございます。そういう意味におきまして、印刷事業というものは非常に公共的な色彩が強く、またある意味におきましてはかなり行政的な色彩も強い。そういう意味においては、場合によりましては民間がかりに給与が悪くても、ある程度印刷局の方としてはその給与をむしろ確保しまして、この事業を遂行させるというような重要な意義を持つておるのじやないかと思います。仲裁裁定のいろいろな経過におきましても、そういう点についてわれわれから特に仲裁委員会にも申し上げました。十分ひとつこの点は御理解を願いたい、また印刷局の従業員の中には、そういう意味におきましての公労法の適用の職員と、別にまた公務員法の適用を受ける職員と二種ありまして、その間のバランスということをお考え願うようにというようなことも申し上げました。また印刷局事業が、先ほど申し上げましたような一般の政府事業に直結するわけでございますので、これは財政的に見ますと、一般会計であるとか、あるいは特別会計であるとか、あるいは日銀なんというものも、これも結局は納付金の関係から申しますと、一般会計に連結しているのでございますから、そういう意味においては、売買の形態はとつておりますが、結局においては一般会計の負担といいますか、しりは一般会計に来る。そういう特質があるということについていろいろと御考慮いただいた。ただ実際の従業員の労務状況というものは、これは印刷局においても大体民間事業と同じようね関係でやつているわけでありますから、われわれとしては民間の一般の平均——もちろん印刷業の中には大きな会社もあれば小さな会社もありまして、非常にいいところ、また非常に悪いところもあるわけでありますが、一応毎月勤労統計の出版印刷関係の平均賃金を一つの標準にいたし、それに基いて、いろいろと公共企業におけるある程度の優位性というようなものも見ていただきまして、仲裁裁定の際における賃金が出た。われわれといたしましては、先ほど監理官からも申し上げましたように、できろだけこれの実現ということについて、少くとも内部においてはいろいろと申し上げておるのであります。これについてはわれわれの力が及びませんで、こういう結果になつております。われわれといたしましては、できるだけの努力をいたしたつもりであります。
  34. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は印刷局仕事は、いろいろ重要な仕事をやつているということは、印刷局長も認めておられます。たとえば紙幣の問題とか、いろいろ秘密の書類の印刷もありますので、そういう点で、私は特にこういうものは考えなければならぬと思つております。同時に民間産業と比べて非常に重要な仕事をやつておりながら、レベルが相当低いのではないか。印刷局長はどういうふうにお考えになつておるか知りませんが、今の待遇が相当悪いということは、私たち実際見ているわけであります。そういう点で、今の仲裁裁定がかりに実施されても、印刷業でもいろいろな種類がありますから、一概に言えませんけれども、一流の会社に比べて、今の給与べースとどのくらい違つているかということの説明を聞きたい。それからあなたは印刷局長として今度の仲裁裁定実施されないでも、安んじて現在の印刷局の人々が働けるとお考えになつておるかどうか、この点を御返事願いたい。
  35. 吉田晴二

    ○吉田説明員 民間印刷事業の賃金べースにつきましては、実は調停委員介当たりでもいろいろと資料をとりまして調査をいたしたのでございます。ただその場合、民間の会社としては、はつきりした数字をなかなか示してくれません。それから賃金においても、基準賃金とか基準外手当とか、いろいろ複雑でありますから、その比率がなかなかむずかしい。また勤労の時間、あるいはまた人の問題、つまり経験年数とか年齢とか家族の状態とか、そういうものがありまして、この点が非常にはつきりしないわけでございます。一応調停委員会で調べましたところによりますと、単位時間当り七十五円というような数字が出ております。ただこの数字については、組合の方でも、その調査が正確はものであるかどうかについて疑問を持つておる、納得しない。われわれの方も、それを持つて行くということが必ずしもそれだけの自信のあるものであるかということについては、どうも納得しないということで、結局そうい民間のいろいろな会社の数字というものは、何といいますか、公認すべきところまでの徹底した調査ができなかつた。そこでわれわれは、やむを得ず毎月勤労統計の出版印刷関係の数字を一応の基礎にいたしました。それには、毎月勤労統計の数子というものは、仲裁裁定の中にもありますように、新聞社の関係とか、かなり高賃金のものも入つておる。それがわれわれの従来の印刷局の平均ベースから見ますと、大体二割程度上つておるというような数字が出ております。ただそれに対しては、印刷局内のいろいろな福利施設の関係、あるいはまた政府事業として事業が保証されておるというような関係におきまして、むしろ印刷局事業が有利であるという面も一面にはある。そういう点を大体一割程度顧慮されて——このパーセンテージをどう見るかということは非常に問題があるようでありますが、仲裁裁定では一割七度の顧慮をされておるようであります。そういう意味において、われわれとしきては少くともこの程度のものが実施されるならば——現在の日本の国民経済が非常に貧困である際において、印刷局だけが非常に満足すべきところまで行くということもいかがだろうか、ここらで、がまんしてもらわなければならぬのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  36. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま局長のお話によりますと、この裁定のベースが民間企業に比べて高いとか安いとか、いろいろお話があつたと思うのでありますが、私は今、われわれが審議しておるこの場においては、そういうような比較検討をする必要は全然ないと思うわけであります。それはこの公労法の第三十五条が、最高裁判所の判決と同じように、労使双方が最終的にこれに服従しなければならないという絶対的拘束力を持つておるわけであります。そこでその安いか高いか、こういうような批判に属する事柄は、仲裁裁定委員会の権限に属することであつて国会の権限外の事項であり、しかもまたこの審議する過程において、安いにしても高いにしても、あなたの職責においてはそういうことを批判したり比べたりいろいろする必要はないと思う。ただ問題は、あなたの企業の中においてそういう財源があるかどうか、すなわち資力があるかどうかという問題であろうと思うわけであります。もとより労働者はこれで満足しているわけではないけれども、これが最高裁判所の判決と同じような拘束力を持つというような法の規定にかんがみて、泣く泣くこれに屈服しようとしておるわけであります。そこで問題は、ただあなたの方の経理の内容において、これだけの財源かあるかどうかという問題であつて、あるならば出すわけだし、ないならば、いかに国会補正措置をするかということに問題の焦点があると私は思う。  そこで私はあなたにお伺いしたいことは、この仲裁裁定理由書の八、これによつて見ると、今井仲裁委員長は、資金は可能である、こういうぐあいにこれを断定いたしております。しかもこの印刷関係については、当局もよく認めておるところである。こういうぐあいにこれを論断しておるのでありますが、これの真相について、はたして今井仲裁裁定委員長はこの資金は可能であるという決定を行つているが、これをあなたはどう考えておられるか、実際はどういう状況にあるか、これをひとつこの機会に御答弁いただきたい。
  37. 吉田晴二

    ○吉田説明員 ただいま私が申し上げましたのは、仲裁裁定の経過についてでありまして、別にその内容について批判とかなんとかいう意味ではなかつのでございます。その点ひとつ御了承願いたいと思います。  なお、ただいまの仲裁裁出定の理由書の八項の、予算資金上の問題かと思いますが、この理由の八項には「経費の節約、日本銀行券売払代の改訂、益金の流用等により容易に処理可能と認められる」というふうに書いてあります。ただ実際上は、経費の節約と申しましても、一般の管理関係の費用というような経費については、実はたびたびもう節約をいたしましたので、ある程度節約の余地がない。一般の事業上の経費を切つて参りますと、これはむしろ事業の縮小というようなことになつて来るので、この点は非常にむずかしい問題である。しかしそれは一銭もできないというわけではないので、多少の措置としては考えられますけれども……。
  38. 内藤友明

    内藤委員長代理 大蔵大臣がお見えになりましたから、簡単に願います。
  39. 吉田晴二

    ○吉田説明員 結局ここで申しますと、おそらく益金の流用ということが問題になると思います。益金の流用となりますと、これは一般会計の方に関係して参りますので、一般会計の処理というような全般的な財政的な観点から批判されなければならぬのではないかというふうに今考えておるのであります。
  40. 内藤友明

    内藤委員長代理 委員長から大臣に一つお願いしたいのでありますが、ぜひこの委員会に差繰つてお出ましいただきたいと存じます。  大臣に対する質問は通告順によつてこれを許します。柴田義男君。
  41. 柴田義男

    ○柴田委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、仲裁裁定の問題は、私どもから考えますと、これは当然守らなければならないものだ、法律によつても最高裁判所の判決のようにわれわれは考えておるのであります。そうして八月から実施しなければねらぬという裁定が下されたにもかかわらず、今度の国会におきまして、一月からこれを実施することとして政府当局は予算を計上しておるようでありますが、なぜこの仲裁裁定を守らぬのか、仲裁裁定に対する政府当局者、しかも大蔵大臣はいかなるお考えをお持ちになつておるか、この一点を最初に伺いたいと思います。  第二点は、この仲裁戎定を守らぬことによりまして生じた現在の労働組合の動き、たとえば国鉄にしても電電公社にしても、あるいは専売公社にいたしましても、いろいろな形態であとう限りの許された範囲の争義が起きております。そういたしまして、一般国民大衆にこれによつて多少でも迷惑を及ぼすというようなことがございましたならば、この責任はあげて仲裁裁定を守らない政府にあるとわれわれは考えておりますが、これに対してどういうふうにお考えでございましようか。この二点をまず承りたいと思います。
  42. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 仲裁裁定については、十一月二日でありましたか、その当時私ども予算のいわゆる総額の中ではやりようがないから、従つてこれについてはその予算化、あるいは資金化等ができないからできない、こういうことを申したのでありますが、その後各公社内容について検討を加えた結果、一月からならまあ本年度内はやれる、こういうふうに見込みましたので、従つてどもは、それらのいわゆる三公社、五現業の実態を取調べた上で、この一月から実施する、こういうことにいたした次第であるのであります。私どもは、公労法の十六条あるいは三十五条等にもはつきりと書いてある通りに、つまり予算化あるいは資金化することの不可能なことについては、これをやることはできません。しかしその点から私ども予算化し、または資金の点からやれるという最善を尽したというのでありますから、法を尊重しておるのであつて、法の範囲でやつておる。またいかなる仲裁裁定も、これは御承知のごとくに政府が持つておる予算の編成権に立ち入ることはできないのでありますから、予算措置がとり得ないというものに対しては……(「衆議院でやるんだ」と呼ぶ者あり)いや衆議院は編成権はない。行政権は持つておることは日本の憲法で明らかである。これは憲法にちやんとはつきりしてある。修正権は御随意です。(発言する者あり)途中でそういう発言をされては困る。委員長、不規則の発言は禁止してください。
  43. 内藤友明

    内藤委員長代理 静粛に願います。
  44. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 そこでそういう次第で、政府のなし得る最善を尽した、こういう次第であるのであります。従いまして政府は法に基いてやつておるのであるから、その法に基いてやつておることに対して、全部のまないから、これこれ不満だということでいろいろな処置をとられることは、これこそ法にそむくものであつて、この点は良識ある人々ならば、十分政府の意のあるところを了解されることと私は確信いたしておるのであります。
  45. 柴田義男

    ○柴田委員 実に奇怪な御答弁を承つたのでありますが、少くとも予算を計上される場合に、仲裁裁定を守るという一つ考え方がございましたならば、いかなる苦労をやつても、当然この八月から実施する予算をつくらなければならないはずであります。それに対しまして予算上、資金上できない。あるいは各公社内容検討いたしまするにも、あまりにおざなりの検討を加えておるのじやないか。たとえば国鉄にいたしましても、電電公社にいたしましても、専売公社にいたしましても、十分資金上できるものであるということをわれわれは見受けるのであります。この内容検討に至つて、たとえばただいまの大蔵大臣の御答弁でも非常に簡単に、一月ならまあできる、こういうような甘い考え方で、しかも八月から実施する意思がさらにない、こうしかわれわれ受取られないのであります。そういう前提の上に立つて、  一月からならまあできる、こういうような軽い考え方で一国の大蔵大臣が勤まるか。われわれは憤慨せざるを得ない。こういう点と、先ほど伺いましたような第二の点に関しましても、常識のある者であつたならばわれわれの考えたことがあたりまえだろう、こういうようなお話がございましたが、われわれはこの点で断じて承服できない。少くとも仲裁裁定を守らなければならないというお考えの上に立つてのお話でありましたならば、なぜもつと真剣に各公社その他現業を調査されまして、しか物価水準の状況をわれわれは考えましてもわれわれの物価水準の考え方から言いますならば、昭和十一年の物価を一〇〇と仮定しますならば、今日三百七、八十になつております。しかも昭和十一年の物価水準から考えると、今日の労働賃金というものは決して高いもの、ではない。しかも国鉄のごときは昨年の十一月に決定いたしましたベースであります。こういう状況から判断いたしまして、仲裁裁定はあらゆる角度から決定したものである。この裁定を守れほいということであるならば、まつたく責任はあげて政府にあるとわれわれは考えるのでありますが、再び御答弁を願いたいと思います。
  46. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この点はよく申し上げました通り、私ども国会の御意思に従うことは当然でありまして、従つてただいま、一月から実施する裁定案のことにつきましても、これは国会の御意思に従つてやるのであつて、もし出しておる予算が通らないようなことがかりにもございますれば、これは実行できません。現在は予算のわくの中で私どもがやるのでありますから、十二月四日現在のただいまのところでは、私どもは何もやることはできません。つまり予算が皆様のお力で通ると、それで初めてこの一月から実施される。私ども予算のいわゆる総額の中で処置をするのでありますから、十  一月二日のときにも申し上げたのでありますが、十一月二日のときにおいては予算上質金上不可能である、こういうことを申し上げたのであります。今も今だけならそうでありますが、一月からやるということで、皆様方の御審議をお願いしておる次第であることは御了承の通りであると思います。     〔春日委員委員長、緊急質問——議事進行について重大な問題があります」と呼ぶ〕
  47. 内藤友明

    内藤委員長代理 予算委員長との約束がありまして……。
  48. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 予算委員長とのお約束に基いて、私はこれで失礼します。     〔「そんなばかなことはない」と呼び、その他発言する者あり〕
  49. 内藤友明

    内藤委員長代理 大臣、ちよつとお待ちください。——予算委員長との約束を皆さんに確認を願うように委員長が今発言しておるときに、大臣はお出ましになつた。それでお呼びとめしたのです。どうか委員会に来られたら、委員長の言葉に十分従つてください。  そこで諸君に御相談申し上げますが、先ほど予算委員長との話合いで、次官と大臣と交代するということを約束いたしましたのでこれは大蔵委員長としては守らなければならぬ義務がありますので、どうかそういうふうにひとつ御了承願いたいと思います。     〔春日委員「今の大臣の答弁の中で、国会の威信に関する重大問題があります。」と呼ぶ〕
  50. 内藤友明

    内藤委員長代理 それはまたあとで大臣に来ていただきますから、御了承願いたいと思います。
  51. 春日一幸

    ○春日委員 ただいま柴田君の御質問に対する御答弁の中に、この一月実施に関する政府態度、これは常識のある者ならば理解ができるはずだ、こういう言葉を述べておられる。これはまさしく暴言である。政府考え方やり方が理解できない者は非常識だというのか。現在この問題をめぐつて、学界においても、あるいは各界においても、深く検討がされていろいろな意見が述べられておる。しかるに大臣が、政府のこのやり方を理解できない者は、非常識だというようなそういう暴言を吐くことは、われわれが国会においてこの重要問題を審議する立場において、国会を侮辱するもはなはだしきものだと思う。それで私は大臣に対して、この暴言を取消してもらいたい。取消すのでなければ、われわれはこれ以上この問題について審議することはできない。とりあえず緊急理事会を開いて、この仲裁裁定の一月実施を理解できないところの意見はすべて非常識な意見であるかどうかということについて、ここであらためてこの問題を取上げて、ひとつ委員会態度を御決定願いたい。この動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  52. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今春日君から非常に強い発言がありました。私どもは先ほどから大蔵大臣の話を聞いておりましたが、今春日君は常識ということを言われましたけれども、私どもの聞いたところでは、良識と言われたように思うのであります。そういう点も速記録等を調べてみてもらわなければならぬ点だと思う。(「良識だろうが常識だろうが同じだ」と呼ぶ者あり)何も今これについてただちに理事会を開いて決定するに至りませんでも、予算委員会で手がすきました場合にこちらへ出てもらつて、さらにその問題について春日君から再質問されたらいいだけの問題であつて、今閉会をして理事会を開く必要はないと思います。
  53. 内藤友明

    内藤委員長代理 少し諸君にお諮りしたいと思うのでありますが、春日君からの、委員会はこれで散会して、理事会を開いて、先ほどの大蔵大臣の答弁に対して相談したい、こういう御提議でありますが、いかがとりはからいましようか。
  54. 春日一幸

    ○春日委員 議事進行について。ただいま淺香委員が、常識であるか良識であるかわからなかつたから云々と言つておられるが、良識であろうと常識であろうといずれにしても、われわれがそういう暴言を吐かれるという立場において受ける屈辱感にかわりはありません。われわれがどういう気持ちでこの問題を審議しておるか。まるでひやかしか無理難題をふつかけているようなころになつて来る。われわれは、この公労法の十六条並びに三十五条の規定に従つて当然の主張をし、また不審な点についてそれぞれ質問をしておる。政府態度がわからないというようなものが非常識とか、あるいは不良識とか、こういうような罵言を浴びせられて、それで本委員会はだまつておるのか。緊急理事会を開かれて、この大臣の言動に対して、これが適切妥当なものであるか、あるいはまた常軌を逸したものであるか、本委員会の権威においてわれわれは十分ひとつ研究願いたい。その後においてこの問題をいかに取扱つて行くか。さらに議案をいかに進めて行くか。私はこの重要問題をこのまま不問に付して議事を進行されるということに対して断固として反対をいたします。
  55. 坊秀男

    ○坊委員 ただいまの春日委員からの発言でございますが、良識とか常識とかいうような言葉の争いではないと思います。大蔵大臣がここに見えられまして、時間がきわめて短かい間に質疑応答が行われまして、大蔵大臣の発言に対しまして、春日委員がいろいろと今御不満を述べられましたが、これに対しましては、すでに大蔵大臣がいないのです。そこで大蔵大臣の言われたことの意味が、もう少し話し合えば何かそこに了解がつく点があるのではないか、かように私は思います。私は、もう一ぺん大蔵大臣に出席してもらつて、春日委員なりその他の委員の方々とよく質疑応答をされて、了解のつくように委員長においてはかつていただきたいと思います。
  56. 柴田義男

    ○柴田委員 私が質問したことによつて生じた問題でありますが、私も大蔵大臣としてはあまりにも暴言であるということは、非常に強く感じたのであります。仲裁裁定は守らなければならないとお考えかと質問したのに対して、これはそうだと言われた。そうして今度は、守らないために生じた今の労働争議については、あげて政府責任があるのではないかという意味の質問を私は試みたのであります。それに対しまして大蔵大臣は、現在予算上、資金上やむを得ない状態である、良識のある者が考えたならば、政府の処置は妥当と思うだろうというお答えだつたのであります。それに対して憤慨いたしまして、あまりにも暴言だ、こういうことを申し上げておつたわけであります。そういうことは速記録をお調べになれば画然とすると思いますが、春日委員が発言されて憤慨されるのも当然であります。だから緊急に理事会を開いてくださいまして、慎重にこの問題のお取消しを要求するものであります。
  57. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 同僚存日委員が言われましたように、大蔵大臣にしては暴言だと思いますので、とりあえずこの際休憩をして、理事会を開いて、委員長においておとりはからい願うよう動議として提出いたします。
  58. 内藤友明

    内藤委員長代理 佐藤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 内藤友明

    内藤委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。   これにて暫時休憩いたします。    牛後零時十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕