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愛知政府委員 その道の大家の
井上さんの御意見を拝聴いたしまして、ごもつともな点も多々あると思います。しかしながら、申すまでもございま
せんが、米価の問題は非常に微妙で、かつむずかしい問題でございますので、ただいま
食糧庁長官から御
説明いたしましたように、基本米価は七千七百円ということに一応きまるわけでありますけれ
ども、現在の情勢のもとにおいては、それだけでは実際の集荷はできない。それは根本の政策が悪いのではないかという御意見もございましたが、実際問題として集荷をいたします場合に、いろいろの
奨励金を出しますことは、どうしてもやはり現在は必要な
事態だと私は思うのであります。その結果、石当り御
承知の
通り一万三百三十五円となるわけでございまして、前年度に比べますれば千六百九十円というような大幅な増加にな
つておるわけでございます。もしコスト主議ということを——
井上さんはこの場合の一万三百三十五円というのはコストでないという御意見でもあるようでありますが、私
どもやはりこれは現実の
事態におけるコストであると観念いたしております。そこで厳格にコスト主義を徹底いたしまして
消費者に転嫁するということになれば、御
承知のように精米十キロ当り八百九十円ということになる。これをそのまま理論
通りに実行するということになりますと、今度は
消費者の米価の方の問題になり、これが現在の家計その他に与える
影響も相当大きくな
つて参りますので、いろいろその間に
考え得るだけの調整を行いまして、たとえば今年のごときは異常な凶作でありましたことは御
承知の
通りで、その凶作等によ
つて生じた異常なコストをこの
消費者米価に織り込むというようなことは、これまた実際政治上の問題としていかがかと思いますので、われわれとしては、通常のコスト価格によりまして精米十キロ七百六十五円が妥当である、こういうふうに
考えておるわけでございます。一方この七百六十五円は、
食管の収支の
状況から見まして、この
程度ならば過去の含み利益等によ
つてこれが調整される。これ以上に引下げるということになりますと、たとえばさらに糧券の発行を増加するとか、さらに
一般会計の負担が増加するということになりまして、これは全体の財政負担を増し、ひいてそれは
国民全体への負担の増加になりますことは申すまでもございま
せん。そこでそれやこれやいろいろのむずかしい条件のもとにおきまして、
説明のつく限りにおきまして、諸般の要請を最大公約数的にとりまとめればかくのごとき結果になる、これが私
どもの
考え方でございます。