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1953-12-02 第18回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月二日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 千葉 三郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 大上  司君    理事 坊  秀男君 理事 山本 勝市君    理事 内藤 友明君 理事 佐藤觀次郎君    理事 井上 良二君       有田 二郎君    宇都宮徳馬君       大平 正芳君    黒金 泰美君       小西 寅松君    藤枝 泉介君       三和 精一君    福田 繁芳君       本名  武君    小川 豊明君       春日 一幸君    平岡忠次郎君  出席政府委員         外務政務次官  小滝  彬君         大蔵政務次官  愛知 揆一君         食糧庁長官   前谷 重夫君         水産庁長官   清井  正君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局)   小熊 孝次君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船保険課長) 伊藤  茂君         通商産業事務官         (企業局援助物         資課長)    若江 幾造君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十二月二日  委員井上良二君辞任につき、その補欠として稻  冨稜人君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  連合審査会開会に関する件  食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る  供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第二号)  漁船保険特別会計における特殊保険及び給与  保険の再保険事業について生じた損失を補てん  するための一般会計からする繰入金に関する法  律案内閣提出第三号)  一般会計歳出財源に充てるための米国対日  援助物資等処理特別会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第四号)     —————————————
  2. 千葉三郎

    千葉委員長 これより会議を開きます。  まず連合審査会開会の件についてお諮りいたします。昨一日農林委員会におきまして、ただいま本委員会において継続審査中の昭和二十八年における冷害等による被害農業者及び被害農業協同組合等に対する所得税及び法人税臨時特例に関する法律案に対し、連合審査会開会申入れをして参りましたが、これを入れて、本件に関し農林委員会連合審査会を開くことに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千葉三郎

    千葉委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお連合審査会開会日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 千葉三郎

    千葉委員長 食糧管理特別会計昭和二十八年産米穀に係る供出完遂奨励金支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における特殊保険及び給与保険の再保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、及び一般会計歳出財源に充てるための米国日援助物資等処理特別会計からする繰入金に関する法律案の三法案一括議題として質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。  なお本日政府委員及び説明員として御出席になつておる方々は、愛知大蔵政務次官小熊主計官清井水産庁長官水産庁漁船保険課長伊藤茂君、漁政部長立川君さらに外務省から政務次官の小瀧君がお見えになつております。   井上君。
  5. 井上良二

    井上委員 漁船保険特別会計における法案に関連をいたしまして、漁船損害補償法の規定による漁船拿捕抑留等事故損害保険事故とする、この問題ですが、これは今度問題になりました朝鮮海域李ラインの問題から起つたことではないかと思うのでありますが、一体李ラインに対して政府はどういう態度をおとりになつておるか、大体これは日本政府からもたびたび声明をされました通り国際法上きめられたものではなしに、一方的な韓国政府の通告によつて行われるということであつて、この問題が解決せられない限り、漁船拿捕抑留というものは今後とも尽きないことになろうし、またこれがわが国の経済の上に非常に大きな問題を投げかけておるのでありまして、この問題に対して一体政府はどう考え、どう処理しようとするか、この点外務当局から御答弁を願いたい。
  6. 小滝彬

    小滝政府委員 御承知のように、李承晩ラインにつきましては、海洋主権宣言を昨年の一月十八日にしまして以来、繰返し繰返しこれが国際法違反であることを先方に申し入れて、一方的な措置をとることのないように申入れをし、かつまた昨市の日韓会談、また本年春からの日韓会談並びにこの十月から再開されました会談において、この点を指摘して先方の再考を厳重に要求いたしたのでありまするか、御承知のように、先方は言を左右にしてこれを聞き入れないという態度をとつておる次第であります。そこでこれから一体この問題をどう解決して行くかというお話でありまするが、御承知のように政府といたしましては、総理も本会議で申しておりましたように、公正にかつ互譲の精神をもつてこれを解決して行こう、それには第三国のあつせんもこれを歓迎し、その方の力も同時に借りつつ、この問題を解決する上に最善努力をいたしたいと言つておるのでありまして、われわれもその方針で現在進んでおるわけであります。幸いにして、これまで抑留せられた船員は大部分が帰つて参りましたけれども、まだ六十七人残つております。船の方も、李承晩ラインに関達してつかまつた五十隻は全然返されておらないという状態でありますので、話を始めるようになるといたしましても、まずこの不当に拿捕し、不当に抑留しておる船を返してもらわなければならぬというので、この方の申入れも随時韓国側にいたしておるような次第であります。幸いにして、韓国外務大臣の言明などを見ますと、全然会談の再開に反対するという態度ではないようでありまするから、もう少し先方の方もこちらの立場を理解して行くようにするためには、国際的な輿論を喚起する必要もあろうと考えまして、関係各国、また新聞紙等を通じまして、日本立場を世界に鮮明にして、国際的な輿論の力をも借りて、できるだけすみやかにこの問題が解決するように、またそれには日本としても自主的にやり得るところの線は、日米加条約におけると同様に、そうした点については十分考慮するという態度で進んで行きたいと考えております。
  7. 井上良二

    井上委員 政府としては、李ライン撤廃に関する問題といいますか、この紛争解決のために、第三国調停を歓迎する、期待しておる、こういうことでございますが、一体第三国調停を歓迎するというて、よそから調停してくれることを首長くして待つておる、そういうのんきな問題ではないと思います。問題は、後ほど伺いたいですが、この李ライン紛争以来わが国のこうむりました損害は莫大なものがあろうと思います。ついてはまたこれに関係しておる漁民並びに漁業者のこうむる損害も非常に大きなものがある現在、まれわが国の独立を脅かしておるという一つの問題を考えてみても、政府はあらゆる手を打つてこれが解決に全力をあげ、国民期待に沿うところがなければならぬのにかかわらず、その後多少事態は緩和されたといえども解決への見通しというものが全然立つていない。政府としては、第三国調停を求めることが問題の解決の上に非常によいと考えますならば、積極的に第三国調停を依頼するという手を打つべきであろうと思うのに、それをどういうわけでやらないのでございますか。たとえば日韓両国間における紛争調停に対して最も力強い発言権を持つておるのは、今日ではアメリカであろうと思いますが、アメリカ政府のこの問題に対する考え方は、一体どういう考え方を持つておるか、現に占領当時マツカーサー・ラインなるものを朝鮮海域に制いたしまて、いろいろこのことは問題はございましたが、そういうような一つの歴史もあることでございますし、また両国ともかつてアメリカ政府のいろいろな関係に置かれておつた経緯から考えましても、アメリカ政府が本問題に対して一体どう考えておるか、また政府アメリカに対して調停を依願する意思があるかないか、この際伺いたい。
  8. 小滝彬

    小滝政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、日本関係各国に現在の停頓状況を通報し、また緊密な連絡をとつておるわけでありつまして、ことに日韓両国とも重大なる関係を持つておる、関心を持つておるところの米国に対しては、絶えず連絡をとつておる次第でありまして、先ほども申しましたように、米国側があつせんに乗り出すということになれば、これを喜んで迎えるという態度を持つておる次税であります。でありますから、これは半面から言えば、積極的に連絡はとられずにおるのであります。  同時にアメリカ側考え方はどうかという御質問でありますが、アメリカりいたしましては、日本韓国との関係が友好になるということが、すなわちアメリカにとつても取も必要なことであり、東洋の平和というものは米国が常にこれを念願し、そのために努力しておるわけであり、共産諸国との紛争があつたときにおいて、自由主義諸国と緊密な関係をもつて両国関係をよく調整しなければならないということは、こつちから頼まなくても先方は当然心がけておるところであります。そのために、現に米国側においては非常な努力を払つておるようであります。でありますから、その努力というものは、あまり遠くないうちに成果を収めるだろうということをわれわれは期待し、またそうした期待が実現できるように絶えずつ連絡して、そうした結果を得るように努力しておるのが現在の政府態度でございます。
  9. 井上良二

    井上委員 次に、李ラインの制定以来わが方の受けました損害はおよそどのくらいと推定されておりますか。そうしてまた、この海域における出漁が自由にできないようになりまして以来、わが国漁獲物の全体の量がどの程度減つておりますか。これによつて、全体の漁獲物はこの海域においてどのくらいの損害を受けておるか。そうしてまた新しくこれにかわる漁場といいますか、水産資源政府は一体これからどこへ求めて行こうとするのかという点について、伺いたいと思います。
  10. 清井正

    清井政府委員 ただいま御質問のありました点でございますが、李ラインが設定されましたのは昨年の四月でございましたか、それ以来具体的に、李ライン内において操業する漁船操業制限を受けるということは実際上はなかつたのであります。ごく一部、領海侵犯であるというような名目をもつて拉致された漁船が二、三ありましたが、これが去る九月になりまして、突如として李ライン内で操業する漁船拿捕するという事態に立ち至つたのでありまして、実質的な損害は、おそらく九月以降の損害が大きなものであろうかと考えております。  それは金額にしてどのくらいかというお話でございますが、実はいろいろ試算をいたしておりますが、なかなか思うように計算ができないのでございます。ただ同方面において従来漁獲しておりました実績にかんがみまして、漁獲し得るであろうという一応の推定をいたしますと、年額が約百三十億くらいになると推定いたしております。船の数にいたしまして三千近くなるわけであります。それが、李ラインが設定されまして、漁船が操業できなくなつてから、はたしてどのくらいの損害になるかということを計算いたしますのは、非常にむずかしい問題でございます。漁船の種類も大小いろいろありまして、政府許可漁業もあるし、自由漁業もあるし、いろいろな事態が輻湊いたしておりますので、現在どの程度損害があるかということは、実際の話として推計できないような状況であります。ただ年額が百三十億ございますから、その限度内においてこうむる漁獲高損害があるかと思います。ただこれに伴つて船舶抑留されておりますところの損害がございます。かりに漁船保険によつて金額を払いましても、なお若干自己負担がございますし、あるいはそれに伴いますとにろの留守家族損害、あるいは漁獲が減つたことによる魚市場損害等考えてみますと、いろいろの方面損害額が広汎にわたると思うのであります。どこら辺でそれを切るべきか、またどういうふうに推定すべきかという問題があるのでありまして、私ども実は推定に基きまして算定するには相当困難を感じておりまして、実質問題といたしまして相当広範囲にわたるかと思うのであります。ちようどあの事件が起りました当初は、さばのつり船行つておりまして、関東からも相当船が出ておりました。今はその時期が過ぎまして、現在は主として山口、九州方面の底びきの船であります。現在は李ライン内に入れませんので、あるいはその周辺、他に漁場をかえて操業いたしておるものと推定いたすのでありますが、操業いたしましても、なかなか同区域におけるほど漁獲もございませんので、相当漁獲が減つているだろうと思います。またそれによります市場に対する影響、これは特に関西方面市場に対する影響でございますか、私どもが現在調査してわかつておる程度でございましても、漁獲ができなかつたために魚価が上つておるというような面は、まだあまり見受けられていない。おそらく今後現われて来ると思いますが、まだ見受けておりません。そういうような状況でございますので、われわれといたしましては、同方面における損害額というものにつきましては、十分いろいろデータを集めまして推算いたしたいと思いますが、ざつくはらんに申し上げまして、ただいまは私が申し上げたような状況でありまして、残念ながらはつきりしたお答えのできないことは、はなはだ恐縮でございます。以上のような事情であります。
  11. 井上良二

    井上委員 次にお伺いいたしますのは、これからの漁船拿捕及び抑留についての見通し、これは一に外務当局のこの問題の解決いかんということでございますから、はつきりしたことはわかりませんけれども、もしこの解決——韓国政府外交部の方では、李ラインは絶対守るという国際的な声明をいたしておりまして、向うもなかなか強硬ですから、これをぶち破るということは容易ならぬことであろうと思うのであります。そうなりますと、当分ここで紛争が絶えないと思います。そういう問題が解決するのは、時期的問題ではありますけれども、当面損害保険一般会計から繰入れをいたします関係が起つておりますが、今後一体どう政府はこれを考えられるか、その見通しについて一応伺いたいと思います。
  12. 清井正

    清井政府委員 水産庁といたしましても、できるだけ同方面において漁船が安全に操業できますように、一日も早く漁業に関する日韓会談を再開して、すみやかに同方面に出漁いたします漁船が安心して操業できるようにということを念願いたしておるのであります。私といたしましては、一刻も早く日韓漁業会談を再開いたしたいということで、せつかく進めておる次第でございます。
  13. 井上良二

    井上委員 いずれ漁船保険関係する問題は、他の同僚からも質問があると思いますから、この程度にいたします。  次に、食管特別会計法律案関係をいたしまして、二、三質問をいたしたいのですが、いずれこの問題については、午後の予算委員会で全般的な質問をいたすつもりでおりますから、私はごく事務的なものについて二、三伺つておきたいのですが、政府説明するところによると、本年の政府が買入れます米の操作の関係から起つたいろいろの奨励金、あるいはまた米価等を勘案して、食管特別会計の中には約三百億近い赤字が出る。しかしこれをそのまま消費者にぶつかけるということは、いろいろな関係から困難であるので、食管含み資産をもつてこれを一部補う、こういうことのように承つております。一体前年度から本年度に繰越されました食管の三品四億という含み資産は、おもにどういうところからそういうものが新しく出て来たのか、その原因について一応御説明を願いたい。
  14. 千葉三郎

    千葉委員長 今の井上委員の御質問に対して、前谷長官から御答弁があると思いますが、その前にちよつと御了解を得たいことは、外務政務次官が他の委員会で非常に急がれておりますので、外務政務次官に対する質問を先にしていただきまして、それから御答弁を願いたいと思います。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 漁船保険の問題について、外務政務次官ちよつとお尋ねしたいのですが、われわれは講和条約締結のときから、いわゆる韓国問題、あるいは中共問題が非常に多くなるだろうということを心配いたしておつたのでありますが、最近の情報によりますと、李ライン以外の中共方面、つまり東支那海方面拿捕されている数も相当ふえたということを聞いておりますが、そういう問題についてどういうように解決なさるのか、この点ひとつ説明願いたいと思います。
  16. 小滝彬

    小滝政府委員 中共拿捕された船舶が相当ありますし、また抑留されて帰つて来ない者もおりますので、これに対しては今後どうするかという問題を離れて、これまでの措置をどうするかについて、政府として直接交渉する方法がないので、漁業界代表者行つて話合いをしたいという御希望もありまして、それも一つ解決を促進するゆえんであろうと考え行つてもらう考えでおつたのであります。ところがその後業者の方で、その話はむしろ今差控えた方がよかろうというような意見になられましたために、その件は実現しなかつたのであります。また一方邦人引揚げに関連して、北京の方へ日赤その他の代表者が行かれた際にも、これに対して話合いをしていただくような措置をとつてつたのでありますが、こちらから申し出ただけで、この問題は結局問題が違うというようなことで、何ら結論を得ないで代表者は帰つて来たような次第であります。しかしいろいろな方面を通じて、何とかこの問題を解決しなければならないと思いますが、それと別個に、こうした事態が起らないように、どういうふうにしてその関係を調節するかというのが質問の趣旨かと思います。御承知のように、邦人引揚げについては、好意的な態度中共の方がとりまして、われわれ感謝いたしおるのでありますが、何分あの引揚げについても、政府の方は相手にしないで、他の団体を通じてやるというようなやり方をいたしておりますし、また事実上これまで漁船事件に関連いたして、日本国民協力立場をとりましたために、韓国に関する政治会談でも、円満と申しますか、何らか適当な妥結を見ましたならば、また新しい道が開けるかもしれないが、現在においては、そうした政府間で交渉するという道も開けておらないために、実際上措置がとり得ないのを非常に遺憾に存ずる次第でございます。先般議会の決議もございまして、議員団の諸君が行かれまして、その門にどういうお話があつたか知りませんか、私の聞いているところでは、こうした問題については何らつつ込んだ話もできなかつたようであります。今後もこういう機会があれば、そうしたあらゆる機会をとらえて、中共との間における漁業関係が、今までのような紛糾を見ないような方法を講じたいということを考えている次第であります。ただ政府としてそうした方法が現在とれないのを非常に遺憾に存じます。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 少し議論が飛躍いたしますが、これは水産庁の方も御存じだろうと思いますが、日本漁業資源が非常に減つておりまして、沿海漁業が非常にむずかしいというような事情から、いろいろ線をはみ出るというようなことがありますが、きのう風見章氏から質問がありまして、われわれも非常に強く感じたのでありますが、北海道の北の千島、あるいは樺太沿海州付近は昔から日本が実際に漁業をやつてつたところでありまして、われわれが早くソ連中共講和をやれと主張しておりますけれども、そういうことはアメリカといろいろな関係がありまして簡単にできないけれども、経済的にはソ連近くの漁業資源を何とか話合いによつてやる意思はないかどうか。これはパルプと同じでございますが、そういうような経済的なつながりでこちらが誠意を示せば、相当なところまで日本漁業をいたすことができるのじやないかというように私は考えますが、そういう点について外務当局はどのようにお考えになつておるのか、また現に日魯漁業とかその他の漁業関係の方は、相当な要求があると思いますが、そういう点について今の政府のお考え、実情はどんなものになつておるのでございますか。関連してひとつ答弁願いたいと思います。
  18. 小滝彬

    小滝政府委員 貿易関係というようなものにつきまして、何も相互に国策が違うからとか、イデオロギーが違うからといつて、これをやつてはならないというような考えは全然持つておりません。現に漁業につきましても、一部民間の方が話合いを進めておられることも承知しております。貿易の点については、もちろん御承知のように小規模ではありまするけれども、バーター的な取引が行われておりますし、さらに漁業に関しまして、専門家話合いをしておることも承知いたしておりまするが、それがうまく話合いがつくようになれば、政府といたしましては、それに必要な援助措置はとつてさしつかえないと考えます。ただ人の入国の問題でございますとか、相互間の往復というような点については、いろいろ並行して考えなければならない点もありますけれども、こうした話合いがでまるなら、必ずしも政府でなくても、そうした関係の向きでできることならやつていただいてさしつかえないというのが、私どもの方の考えでございます。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そうすると北海の方、千島樺太方面拿捕の問題はどういうふうになつておりますか。拿捕事件があるのかないのか、また李承晩ラインの問題でも、もう少し政府誠意を示せば、たとえばせめて外務大臣ならずとも、外務省の主脳部が交渉したならば、向う誠意をもつて迎えてくれるのじやないかという考えもするのでありますが、こういう二点について、政務次官の御答弁を願いたいと思います。
  20. 小滝彬

    小滝政府委員 最初の北洋における拿捕の問題でございますが、かつて多少ございましたが、ほとんど返しております。そうして四十海里近くまで行つてつても、ソ連の方はそれに対して拿捕するというようなあまり強硬な措置をとらないという態度でありまして、この点は韓国及び中共関係とはよほど異なつておるのが現実であります。  なお日韓交渉に対する外務大臣外務省首脳部の熱意、それは直接やつたらどうか、これは相手方の資格とかいろいろなものにもよりますので、代表にだれがなるということは、そうした均衡も考えなければならぬ点があります。外務省といたしましては、今これほど国内で重大視されておる問題でありますから、最善努力をして、また表面に立たなくても、外務省の幹部はこの問題について常に協議をし、そうして一日も早くこの問題が円満に解決するように努力しておる次第でございます。
  21. 春日一幸

    春日委員 小滝次官にお伺いをいたしますが、この漁船拿捕されたものが、結局そのままほとんど抑留された形になつております。これは国際法上、国際慣例の上において一方的な措置であることは明確であろうと思いますが、そういう国際法を蹂躙して不当に日本が受けるところの損失を、どういう方法によつて償われるべく外交交渉をやつておられますか。その点をお伺いいたします。
  22. 小滝彬

    小滝政府委員 公海において漁船拿捕するということは、御承知通り国際法違反でありまして、すでに九月の初めに、李承晩ラインを侵犯したというかどで日本船が捕獲されました際に出しました日本側口上書にも、はつきりこれらを至急返還してもらわなければならぬということ、もう一つは、わが方は損害賠償の権利を留保するものであるということをはつきり申し入れているのであります。被害等がはつきりわかれば、さらに具体的な申入れをいたしたい所存でありまして、そのためにこの権利を留保しておいた次第であります。もちろん損害賠償請求権というものは、今後の交渉が開かれましたときの交渉の状況にもよりましようが、決して日本側はこれを放棄したものではなく、あくまでもこの点は主張する考えであります。
  23. 春日一幸

    春日委員 その損失の賠償請求に関する権利を留保されておるということになつておりますが、そうすれば、後日一般的交渉の中の総合的な債権債務とにらみ合せてこれを処理するということになつて向うがいろいろな賠償を要求するような事柄等ともからみ合せて、しよせんこの問題だけを切り離して処理するということは不可能な見通しに立つのではないかと思われるわけであります。  そこでお伺いしたいことは、このアラフラ海における大陸だな問題については、国際司法裁判所に対してすでに提訴が行われており、相手方も同意を与えたということでありますが、少くとも韓国並びに国府との関係だけは、日本と外交関係があるわけでありますから、どうして漁業問題だけを取上げてそういう法律的処置を講じられないのか、この点ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  24. 小滝彬

    小滝政府委員 韓国との関係につきましても、司法裁判所へ提訴すべきかいなかということは、われわれもずいぶん長く検討いたした問題でありますが、アラフラ海につきましては、濠州はこれを受けて立つたのであります。現在の韓国政府態度を見ますると、韓国は応訴義務を持つておりませんから、国際司法裁判所の規定に加入しておりませんから、もし韓国がこれに応訴しないということになれば、申し入れましても結局司法裁判所に付託することができないわけであります。しかも司法裁判所に付託いたしますと、どんなに早くても一年なり二年なりたつ。この李承晩ラインの問題は火急を要する問題でありまして、その点から考えましても、司法裁判所へ訴えるということは、あるいは竹島の問題のごときは適当かもしれませんが、李承晩ラインに関する限りは、必ずしも妥当ではないのではないかという見解から、私どもはなるべく直接交渉でやる、また必要があれば第三国のあつせんを得て、できるだけすみやかにこれを解決いたしたいという考え方から、ただいまのところ、国際司法裁判所に付託の問題、あるいは仲裁裁判に付託の問題もいろいろ考えましたけれども、これは一つの研究課題として交渉による解決とつた次第であります。
  25. 春日一幸

    春日委員 御答弁によりますれば、さらに今までの経過にかんがみますると、政府はああも考え、こうも考えておられるけれども、結局につちもさつちも行かないというのが現状であろうと思うのであります。いわんや交渉がこういうようなデツド・ロツクに乗り上げておりまする現状にかんがみまして、政府努力によつて——政府は早急の解決をはかろうとしておられるけれども、その問題の見通しというものは非常に暗澹たるものがあるわけでございまして、さらにかくのごとき損害日本政府国民が将来引続いて負わなければならないという危険に迫られておる。このことは政府においても十分ひとつ御忍識を願いたいと思うわけであります。そこで私はこのことをお伺いしたいのでありますが、先般国会議員の中から中共貿易視察団というものが向うへ参りまして、そうして現実には年六百億の貿易のとりきめにも成功いたしましたし、さらに両国間の和親親善に関しましても、相当の実際的効果を収めて参つたと思うわけであります。これが後日日中外交の上においてどういう成果を及ぼすかということは、これはまた多くの問題がありましようけれども、しかしながら、それが何がしかのプラスを加えておるということはいなみがたいと思うわけであります。そこで私ども議員団他聞におきましてしばしば話されておることは、しよせん外交は政府の責任ではあるけれども、しかしながら、国会、政府をあげて日韓間に横たわるところの諸懸案の解決をはからねばなるまい。かつて中共貿易促進議員連盟が収めたところの成果も、これは一つのかがみとして、この日韓間の貿易促進、あるいは和親をはかる上においてもこれは大いに効果的な一つの手法として考えるべきじやないかという意見もいろいろ行われておるわけであります。そこで後日こういう日韓国交の調整、その他経済提携の促進等を念願とする議員団韓国に対して渡航して、そうしてみずからの創意に基いて、国民外交ではないが、いろいろなそういう話合いをしてみようというようなことが企画されました場合においては、外務当局はこれに対して、かつて中共貿易促進議員団に与えられたところの特別の待遇、こういうものをお考えになるかどうか、この点について所見をお伺いをいたしたいと思います。
  26. 小滝彬

    小滝政府委員 この問題はまだ具体化いたしておりませんので、そういう場合にいかなる措置をとるかということは確信いたしかねまするが、しかし南鮮に対しては、何も日本側としては渡航を制限いたしておりません。ただ、先方日本人を入れないというのが現状であります。御承知のように、日本代表部の設置といえども、従来からまだ生命財産の保護を十分なし得る事態に立ち至つておらないし、また最近に至つては、現在の日韓関係の現状にかんがみて、日本人の代表者が来るというのはあまり好ましくないというような回答をよこしておるような次第でありまして、この問題は、むしろ韓国側日本代表者を受入れるか受入れないかというところにもつと大きな問題があるのではなかろうかと考えます。ただしかし、現在においては交渉を政府間で進めようとしておりまするから、この問題について同時に一般の方が行かれるということは、あるいは議員団の方が行かれるということは、これを促進することになるかもしれませんし、あるいはあつせんに乗り出した方では、そうすると話合いがごたついて来るから、むしろ実際的効果を収めるにはそうでない方がいいという意見も出るかもしれません。われわれとしては、十分自主的にこの点は考えなければならないと思います。韓国への渡航について、外務省といたしましては、何もそれに対して重大な異議を唱える理由はないというふうに考えております。
  27. 春日一幸

    春日委員 大体われわれも基礎的な調査を進めておりますので、韓国状況もわからないわけではありませんが、しかし問題として特にお考えを願いたいことは、吉田内閣五年間の治政というものは、特にこのアジア外交については何ら見るべきものがない。従つて国民の側の中においては、見るに忍びずして、特にまたわれわれ国会議員の中においても、さしでがましいというようなことではなくして、やはり国を愛するところの考え方から、何らかのプラスになるであろうと思うので、危険を乗り越して行つて、ひとつ大いに向うの指導者たちとひざを交えていろいろ話し合つてみようじやないか、こういうような動きがあることは事実であり、またその動きなるものが日本のためにマイナスになるものではないと思います。従つて向う状況が悲観的であるから、そんなことをやりたければやれというような白い眼をもつてこれをながめているというのではなくして、国会議員団の中に、そういう危険を越えてもひとつ自主的に大いに国民外交をやつてみようというような動きがあつたならば、政府においても、かつて中共貿易促進議員団に与えられたところのいろいろの便宜の供与のようなものをあらかじめ御検討を願つて、そうして国会と政府が相呼応して、日韓両国間の諸懸案の解決に寄与し得るような御協力をお願いいたしたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  28. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 外務政務次官に一言お伺いいたしたいのですが、朝日新聞の十一月二十四日の夕刊に、フイリピン関係の巣鴨に服役しております戦犯の釈放に関して記事が載つているのです。私はこれを見て何かの間違いじやないかと思つているのですけれども、戦犯者の家族としては非常なセンセーシヨンを起しているわけです。それは、キリノ大統領の法律顧問が語つているところによると、平和条約で、巣鴨に服役中の戦犯の減刑または釈放に関しては、日本政府からあらかじめ勧告があつてフイリピンの政府で処置をとるのだと、こういうことにきまつておると、これは御承知通りですが、そのことを述べて、しかしながら日本政府からは何らの勧告も来ていないと、こう書いてあるのです。私はこれは何かの間違いじやないかと思うのです。しかし、もしこれがこの記事の通りだとすると、これは家族としては非常な大問題であります。もし勧告をしておるものとすれば、この記事の誤解を解くために、いついつ勧告をしたというようなことをはつきりされることが必要ではないかと考えるのですが、いかがでしようか。
  29. 小滝彬

    小滝政府委員 そのような記事が出ていましたのに対して、情報文化局からこれを打消すような措置をとらなかつたとすれば、はなはだ遺憾であります。政府といたしましては、現にそうした問題を取上げておりまするし、ことに大野公使が着任いたしましてからも非常な努力をいたしておる次第であります。ただしかし、仰せのようにいついつこういうことを言つたというようなことを申しますることは、現在の政府が一月にかわりますこの際に、先方側と交渉中のことを向うと相談なしに発表することはかえつていかがかと思いますので、その御希望には沿いかねますけれども、決してそのままにしておくわけではなしに、そういつた勧告の問題が取上げられておるということを、私はつきり申し上げまして、そうして新聞紙等でそういう心配を留守家族の方にお与えしておるとすれば、新聞が出してくれるかくれないかわかりませんが、さつそく情報文化局長に命じまして、そうした措置をとらせたいと考えております。
  30. 千葉三郎

    千葉委員長 小滝政務次官に対する質疑はこの程度にお願いいたしまして、先ほど井上委員から食糧庁長官に対する質疑がありましたので、その答弁を先にお願いした方が順序としてよかろうと思います。
  31. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。二十六年度におきます決算におきましては、年度末の繰越益が四百四十五億になつておるわけでございます。二十七年度中におきましては、御承知のように超過供出の数量の増及び早場米の数量の増等によりまして、約九十億の内地米につきましての損失が見込まれるわけでございますが、一方におきまして、延滞利子でございますとか、あるいはまた違約金の徴収、それから二十七年度末におきまして、赤字繰入れをいたしました場合におきまして予定いたしました供出完遂奨励金が、三億ほど数量の変化によりまして残りました。また二十七年産米の十二月までの売却数量の減等によりまして、約十億の益が出まして、結局において内地米におきましては七十三億ほどの損が出て参つたわけでございます。一方内麦におきましては、価格改訂時におきまする手持ち食糧の増等によりまして約六億程度の益が出ます一方におきまして、外国食糧につきましては、CIF価格によりまして年度末の手持ち食糧を評価いたしております関係上、補給金の翌年度への繰延べを約百三十二億ほどに見ておりまするので、経理上八十五億ほどの損失が見込まれておるわけでございます。そのほか甜菜糖でございますとか、あるいは澱粉等におきましてこれは処分をいたしておりませんが、買い入れました後の管理費用を見ますので、そこに一億ほどの損が見込まれるわけであります。また一方におきまして麻袋の在庫数量を掲げますと、これが約十一億ほどの在庫数量になりまするので、彼我相殺いたしまして百四十億円程度損失になるわけでございまして、年度当初におきまする四百四十五億程度から年度末の百四十億程度を差引きますと、三百四億程度の繰越益ということになるわけでございます。
  32. 井上良二

    井上委員 この三百四億に上る含み資産を本年の消費者米価との関係でほとんど消化してしまつて、それを来年度に繰越すものは、わずかに十億あるかないかという状態に食管会計はなかろうかと思いますが、そうなつた場合に、年間の食管会計の資金的需要といいますか、操作はそれで一体うまく行けるかどうかということを伺いたい。
  33. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。御承知のように食管特別会計といたしましては、年度内におきまする買入れ数量と売却数量、その傑作によつて食管特別会計の操作をやつて参るわけでございますが、含み益の関係が減少します分につきましては、これは従来ともに食糧証券の借入金を運転資金としてまかなつておりますことは、御承知通りであります。この場合におきまして、運転資金が増加いたします分につきましては、食糧証券によります借入れによつてまかなつて参るということは、従来と同じやり方でございます。
  34. 井上良二

    井上委員 そうしますと、来年度の食糧証券の発行予定はどうなりますか。
  35. 前谷重夫

    前谷政府委員 食糧証券の発行につきましては、先般の臨時国会におきまして、発行限度といたしましては二千四百億というものが決定されておるわけでございます。年度末におきましての手持ち食糧に見合う食糧証券の残高は、千九百五十億というふうに考えております。
  36. 井上良二

    井上委員 この含み資産を食つてしまうということは、それ自身消費者の負担になるとお思いになりませんか。
  37. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。消費者の価格につきましては、コスト計算によりまして一定の価格を決定いたしまして、その配給量によりまして売却して参るわけでございます。従いまして、含み資産関係というものは、消費者の価格とは関連がございませんで、糧券の関係におきましての借入金によりまする運転資金のバランスの問題、キヤツシユのバランスの問題になるかと思います。
  38. 井上良二

    井上委員 いずれにいたしましても、食管会計から年間において約三百四億のここに黒字が出た。黒字と言つてちよつと語弊があるかわかりませんが、それたけの含み資産が余分に出て来た。そうすると、当然それは他のいろいろな経費にこれを使いまして、消費者価格にできるだけ重荷をかぶせないという見地から考えてみても、私は単にこの含み資産は、政府が政治米価の責任をのがれるといへか、政治米価をこのまま消費者に負担させる。もつと具体的に申し上げますならば、政府が一定量の供出を確保しなければ年間の需給計画が立たぬというこのことからして、必要以上の政治米価が今年はとられておることは御存じの通りであります。その政治米価の持つております性格を消費者に直接しわ寄せするということがいろいろここに問題になるから、そこで食管の持つておる含み資産を食うことによつて消費者の負担を軽くしよう、こういうことになつておる。それに違いない。そのこと自身は、食管会計全体の内部から考えますならば、入りと出の帳じりをはつきり合せればいい。その入りと出の間においてそういう余分な資金が出て来たということは、それだけ食管会計の内部において節約すべきもの、あるいはまた余分に見込んだというものがあつた結果がそうなつて来た。だからそういうことを考えますと、これはやはり消費者の負担になるべき性質のものじやないかということが、一方私は政治的には考えられ得ると思います。同時に消費者米価の値上げをすることになつたということでありますが、その消費者米価の値上げというものは、まだはつきりきまつていないのでございましよう。これは大体の予算であつてはつきり何ぼになるかということは、米価審議会を開かなければまだ最終決定はないのでありましよう。その点はどうですか。
  39. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。消費者の価格につきましては、従来ともに、コストのかかりましたものを消費者米価の基礎といたして算定いたすことは、後来通り考え方でございますが、一方におきまして、消費者米価の算定につきましては、家計米価の点も参照いたしまして考えて参るわけでございます。お話のように、最終決定は米価審議会に諮つて決定いたすわけでございますが、予算の編成上、ただいま申し上げました七百六十五円を予算編成の単価といたしておる次第でございます。
  40. 井上良二

    井上委員 ことしのこの生産者米価をいろいろ検討してみると、御承知通りパリテイ指数によります算定で行きますと七百二十五円ぐらいになりはせぬかと思います。それに特別加算額をたしか四百三十円ぐらいにして、あと早場供出奨励金や完遂奨励金、あるいはまた豊凶係数による加算額や、その上に超過供出奨励金と、こういういろいろな奨励制度がとられて、全体を平均すると一万三百三十五円という価格になると思う。それからこの内容をいろいろ検討してみると、本筋で行きますならば、パリテイ価格で政府は計算をすべきである、それをどういうわけでさような奨励制度をいろいろとることになつたのですか、それをまず伺いたいと思います。
  41. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。生産者米価の基礎といたしましては、ただいま井上委員お話のようにパリテイ価格を基礎にいたしまして、それに物財投下量の変化及び生活水準のギヤツプの変化を織り込みまして、七千七百円と決定いたした次第であります。たた従来ともに早場供出奨励金につきましては、集荷上の関係からいたしまして、一定の金額を加算いたしておるわけでございまするし、また超過供出奨励金につきましても、昨年度二千九百円の奨励金をつけましたのは、これはやはり現在の状態におきまする集荷の必要上これを加えておるわけでございまして、本年度におきましては、この超過供出奨励金を二千七百円といたしまして計算をいたしておるわけでございまして、米価といたしましては、パリテイ価格の欠陥を補う意味におきましての特別加算制度をとり、それに集荷上の必要から、早場供出奨励金及び超過供出奨励金の制度をとつておる次第でございます。減収加算額につきましては、やはりパリテイ価格におきましては数量の変化というものがこれに加味されませんので、本年度のような不作の場合におきまして、これを加算することが適当と認めまして、そういう措置とつたわけでございます。
  42. 井上良二

    井上委員 大蔵省におきましても、米価の問題をきめます場合に、今お話になりましたような生産者本来の価格、それから政府が需給上どうしても一定量を集荷せなければならぬという政治的な価格というものが一緒になつて、生産者価格が本年平均して一万三百三十五円、こういうことになつておるから、これをそのまま消費者価格に負担をさすような操作を講じなければならぬ、こういう建前を大蔵省は常にとつて来ておるのです。いわゆるコスト計算といいますか、そういうことで、元がこれだけかかつているから、これたけ消費者の負担にしなければならぬ、こういうふうな考え方らしいのですね。ところがその政府みずから米を集めるについての必要な、農民をして納得させ、得心させるような政策を考えないので米が集まらぬから、集めるためにこういうことをやらなければならぬという政治的な政策についての経理とわれわれは見ておるのですが、政治的な政策の集荷費を消費者にぶつかけるということは、これはどういうものなのですか、そこをひとつ伺いたい。どうも米を集めるにはそうせなければならぬということで、一つの政策的にやつておるのではないですか。ものの本質的な価格というものはパリテイによつてはじき出す、多少パリテイに欠陥があるからというので、それに特別加算を加える。七千七百円というのは基本価格です。これからただちに消費者米価をはじき出すのが正しいのではないですか。その点はどうですか。
  43. 愛知揆一

    愛知政府委員 その道の大家の井上さんの御意見を拝聴いたしまして、ごもつともな点も多々あると思います。しかしながら、申すまでもございませんが、米価の問題は非常に微妙で、かつむずかしい問題でございますので、ただいま食糧庁長官から御説明いたしましたように、基本米価は七千七百円ということに一応きまるわけでありますけれども、現在の情勢のもとにおいては、それだけでは実際の集荷はできない。それは根本の政策が悪いのではないかという御意見もございましたが、実際問題として集荷をいたします場合に、いろいろの奨励金を出しますことは、どうしてもやはり現在は必要な事態だと私は思うのであります。その結果、石当り御承知通り一万三百三十五円となるわけでございまして、前年度に比べますれば千六百九十円というような大幅な増加になつておるわけでございます。もしコスト主議ということを——井上さんはこの場合の一万三百三十五円というのはコストでないという御意見でもあるようでありますが、私どもやはりこれは現実の事態におけるコストであると観念いたしております。そこで厳格にコスト主義を徹底いたしまして消費者に転嫁するということになれば、御承知のように精米十キロ当り八百九十円ということになる。これをそのまま理論通りに実行するということになりますと、今度は消費者の米価の方の問題になり、これが現在の家計その他に与える影響も相当大きくなつて参りますので、いろいろその間に考え得るだけの調整を行いまして、たとえば今年のごときは異常な凶作でありましたことは御承知通りで、その凶作等によつて生じた異常なコストをこの消費者米価に織り込むというようなことは、これまた実際政治上の問題としていかがかと思いますので、われわれとしては、通常のコスト価格によりまして精米十キロ七百六十五円が妥当である、こういうふうに考えておるわけでございます。一方この七百六十五円は、食管の収支の状況から見まして、この程度ならば過去の含み利益等によつてこれが調整される。これ以上に引下げるということになりますと、たとえばさらに糧券の発行を増加するとか、さらに一般会計の負担が増加するということになりまして、これは全体の財政負担を増し、ひいてそれは国民全体への負担の増加になりますことは申すまでもございません。そこでそれやこれやいろいろのむずかしい条件のもとにおきまして、説明のつく限りにおきまして、諸般の要請を最大公約数的にとりまとめればかくのごとき結果になる、これが私ども考え方でございます。
  44. 井上良二

    井上委員 前国会でしたか、十六国会で予算をきめます場合に、御存じの通り二重米価というものが非常にやかましゆうございまして、この二重米価の問題は、国としては政治的に一応国内産米を必要量確保せなければならぬという点から、その生産者価格において、またその消費者価格において必要な手を打つことが必要であるから、生産者米価というものは相当全体的に高くなるが、しかしそのままを消費者にかけることは、今日の低物価政策そのほかの関係から非常に問題があるところで、この二重価格論というものが議論をされておるわけであつて、特にこの前の国会でも問題になりました供出完納奨励金の八百円のうち半額を一般会計から出すというこの問題、その供出完遂奨励金は、次官御存じの通り、前年度までは石当り二百円です。それを八百円に上げなければならぬということはどういうことから来ているのか。さらにその上に減収加算額なるものを本年から新しく加えまして、それも少くとも石当り七、八百円につきはせぬかと見ておる。こういうものはまつたく政治的な要素の問題であつて、何ら米の価格の本質を有するものではない。そういうものがそのまま消費者にぶつかけられるということは消費者としては何としても納得できません。それは単に消費者の家計米価がどうだとかこうだとかいうことは一応理論的にはありましようが、何としても、今申しますような政府の政策のよろしきを得ない結果がそういうことになつて来ておる。特に凶作による減収加算額なるものは、一体何ということをやつておるのですか。完全に凶作になつておる地帯に対して、また実際減収になつておる地帯に対して、その減収額を捕うということから、実際その減収になつた部分に対する価格をそれだけ補償するという意味からおやりになるのならいいのです。ところが減収になつた地帯にもならぬ地帯にも一緒にこれがふつかけられているじやないか。これは一体どういうことですか。米がとれないから二割減、あるいは三制減、あるいは五割減、あるいは七割減と、その減収の率に応じて、とれた米はそれだけ貴重な米だから高く買おうというのならわかるが、全然減収になつていない、平年作以上のものにまでこれをぶつかけておるのは、どういうことですか。これほど国の財政がきゆうくつでやかましいときに、そんなむちやな計算の方法がどこにありますか。それをひとつ伺いたい。     〔委員長退席、内藤委員長代理着席〕
  45. 愛知揆一

    愛知政府委員 こまかい点につきましては、農林省の立場から食糧庁長官からお答え順うことにいたします。  まずコストの問題は、先ほど申し上げた通りでございますが、なるほどこれは理論的なパリテイ計算だけで実際の集荷ができるということであれば、まことにけつこうなことだと思います。一方理論的ということになれば、たとえば国際価格というようなものもやはりそういう場合の理論的な比率の基礎になるかと思うのでありまして、物事はやはり集荷ができるかどうかということの実際上の観点から見なければ私はなるまいと思います。その限りにおいて、政治的たとおつしやられるならばこれもいたし方がないことだと思います。要するに生産者米価をきめました気持は先ほど申し上げた通りで、そこでコスト主義を徹底すれば、先ほど申し上げたような八百九十円という十キロ当りの価格が出るのでありますが、これはまた現在の実情から申しまして、理論的に申しましても、今お話もございましたが、本年は異常にコストがかかつておるのでありますから、そういう点は消費者にかけないように、また食管の方の収支から見て吸収し得るところは吸収して、消費者への転嫁をできるだけ少くするというところに一つの結論を導いたわけでございます。
  46. 井上良二

    井上委員 私の聞いておりますのは、もちろんそのことも御答弁一つでありますけれども、問題はさような政治的な要素を多分に持つておるものを、ただちにコスト計算でもつて消費者にぶつかけて行こうとする考え方が誤りである。同呼に、さつき食糧庁長官からも説明がございましたが、前年度から本年度に繰越された食管含み資産は四百四十五億ある。そのうちから実際食管でマイナスの分を差引いたものが三百四億になつておる。この四百四十五億というものの内容は、これは政府の手持ち食糧の値上りや手数料その他において増加した分に違いない。そうした結果生れた二百四億をいわゆる食うことによつて、いかにも消費者米価をつり上げないようなことを言うておるけれども、それはごまかしだ。現に減収加算額について食糧庁長官は一体どういう計算をしたのか。これは減収しておる地帯に対してやられるならばいいです。どれほど効果があるかわからないし、またその必要はあると思います。ところが平年作以上にとれているところにもぶつかけるということは一体どういうことですか。そんなむちやくちやなことは一体どういうことですか。よけいとれているところがある、被害を受けていない地帯があるじやないですか。あなたの方は前年よりは悪いという作況を出しておるのたから、それだから各県別折衝においても、知事や県側の主張を相当大幅に受入れざるを得ない弱い政治的条件のもとに置かれておりますから、その苦しい立場はよく了解をいたしますが、さりとは申せ、現実に同じ県内においても、非常な被害を受けた冷害地帯や、あるいは病虫害、台風等による被害の地帯とそうでない地帯とがある。被害を受けたところはもつと高く買うてもらいたいと考えておるに違いない。それを被害をあまり受けていない地帯がやはりこの恩典を受けておるというのはどういうことですか。そんなこまかい計算ができなかつたからやつたといえば、これはしようがない、そう思うよりしようがない。どうです、ざつくはらんに話をしてください。りくつに合わぬです。
  47. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。これは井上さんよく御承知のように、基本米価の立て方の問題につきましては、数年前から米価審議会の小委員会におきましていろいろの御論議があつたわけでございます。価格パリテイ方式がいいか、あるいはまた所得パリテイ方式がいいか、生産費方式がいいかといういろいろの案が検討されたわけでありまして、まだその三案についての統一的な正解が決定いたしておらないのは御承知通りと思います。生産費の考え方をとつて参りますと、これは反収が減りますと、生産費がその割合に応じて明らかに増加をするということになるわけでございまして、豊凶係数とか、あるいは減収加算額も、生産費の考え方をとります場合においては、当然に反収との関係において生産費が高くなつて来ます、基本米価が荷くなつて来る、こういう議論があり得るわけであります。もちろん価格でございますから、これは一物一価の考え方によりまして、全国的な一つの統一価格になることはやむを得ないわけでございますが、現在米価といたしましてとつておりまする価格パリテイ方式におきましても、その算定の方式自体につきまして、先ほど申し上げましたように物量投下の変化とか、あるいは労賃の換算というような問題からいたしまして、特別加算の考え方をとつておるわけでございまするが、同時にこの価格パリテイ方式につきましては、量の変化が基本価格に何ら影響がないという点につきましては、いろいろ御議論があることは御承知通りであります。その量の変化をどういうふうにして価格の場合において考えて参るかという点につきまして、その年の豊凶と申しますか、作柄を加味して参るということに考えておるわけでございまして、この点につきましては、先般の食糧管理法の改正におきまする麦の場合におきましても、そういうことが議会におきましても御意見がございまして、その制度をとつておるわけでございます。ただ現実の問題といたしましては、この豊凶の関係を加味することは、本年度の米が初めてでございますので、その具体的な方式につきましては、今小委員会におきましていろいろ検討していただいておるわけでございます。この価格でこれを行いまする関係上、やはり全国的な一本価格といたしましては、ただいま御指摘の点の問題があるわけでございますが、これは価格政策として全国的に一定の価格をきめるという場合においては、ある程ど価格政策の限界を越してアンバランスを是正するということは、価格政策のみでもつては行い得ないということは御了解願えると思います。
  48. 井上良二

    井上委員 時間がありませんから、いずれ午後の予算委員会質問をするつもりでおりますので、他の需給計画その他の問題についてはそちらの方で質問いたしますが、この際特に伺つておきたいのは、一つ政府の本年産米の生産見込みといいますか、集荷予定量がわれわれの予想よりも非常に下まわつておる。そうしてわれわれが予想するよりも本年の供出割当が非常に安くきめられておる。そういうところから、政府は食糧管理、国民の食生活安定という重大な自分の政治的責任を何か自然の現象にぶつかぶせて、そら凶作だ、そら台風があつたというその宣伝だけをじやんじやんやつて、そして米が足らぬ、人造米やと言う。それもよかろう。よかろうが、そんなことを言うておるうちに、やみ米はどんどん上つてしもうた。やみ米を上げた責任は政府ですよ。現実にやみ米をつり上げておる。そうしてしようことなしに、これはもう麦を食わにやなるまいと国民に思わずようにあなた方はして来ておるやないか。現実にそれならいわゆる麦類、粉食をやれる状態にあるかというと、さてパンによつてやろうとした場合、一体バターはどうなつておるか、牛乳はどうなつておりますか。東京都内においても、バターの不足は非常な切実な問題になつておる。政府が積極的に粉食に移行さそうとしていろいろな努力をされておることはわれわれも認めますが、どうしてもこの端境期われわれが考えます場合、今政府が立てております需給計画では非常な不安があるわけです。そういう点から、これから粉食への積極的な対策を政府はいろいろ手を打たれるだろうと思いますが、その場合に、当面一番重要な問題はいわゆるバターの対策であります。牛乳や魚肉、牛肉等の、澱粉質やなしに蛋白、脂肪質の給源をどうするかという問題がございます。これに対して私どもいろいろ調べておりますけれども、一体政府は現実のバター不足に対して、具体的にどういう対策をお立てになつておりますか、それを伺いたい。
  49. 前谷重夫

    前谷政府委員 バターの論人につきましては、現在二十万ポンドの輸入につきまして外貨を予定いたして、輸入を進めておるわけでございます。たた御承知のように、現在のバターの需給からいたしまして、さらに必要量は追加して輸入いたしたいと考えておりまするが、国内の牛乳生産者、酪農農民に対する影響ということも考えなければなりませんので、やはり国内の生産を進めて参りますためには、国内生産との調整をはかつて参らなければならぬということに考えまして、輸入の方式等につきましては、その調整をはかるべく、今関係当局において検討いたしておる次第であります。
  50. 井上良二

    井上委員 なお粉食の上において重要に考えますパン、あるいはめん数等の価格の問題でございますが、今日多くの国民は、粒食よりも粉食による方が国民栄養の見地からええというところから、漸次その方に移行しつつありますが、いかにせん、粒食よりも粉食の方が家庭経済の負担が重いというところから、これの価格引下げが急を要する問題になつておるわけです。ところが現実にパンと米とを比べてみた場合に、パンの方が非常に高くつくというところから、パンの原料麦、あるいはめん類の原料麦の払下げにあたつての価格引下げの問題がある。これに関連しまして本年ですか、政府手持ちの切りぼしかんしよというのが七百万くらいあるのじやないかと思います。この切りぼしかんしよを政府みずから本年の買上げにも困るような状況まで倉庫に一ぱい積み込んでおる。これを早い目にひとつ消費地に放出したらどうか、そうしてこれをできるだけ食糧化する方向に持つてつたらどうか、こういうふうに私は考えますが、そういうことを考えておりますか。この二つの点を伺いたいと思います。
  51. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。第一の点の麦の原料価格の問題につきましては、本年の春におきまする内麦の生産者価格の決定と同時に、内麦の払下げ価格の決定をいたしたわけでございますが、その内麦価格のもとにおきまする歩どまり関係によりまして原料麦の払下げを実施いたしているわけでありますが、その際におきまして、小麦粉等に例をとつてみますと、大体政府といたしましては、この原料麦を大量に払い下げることによりまして、大体その当時予定いたしました価格の水準が維持し得ているというふうに考えているわけでございます。従来月大体小麦粉につきましては二十万トン程度の払下げをいたしておりますが、この十—十二月におきましては、さらにこれを四十八万トン、二十四万トンずつの払下げに増量いたしておりますが、工場の加工限度の範囲内におきましては、われわれとしましては需要に応じて、その限度までは一ぱい出して参るというふうに考えているわけでございます。また精麦につきましても、原料の払下げと同時に政府が委託加工をいたしまして、現在精麦につきましては、外麦で一キロ五十四円、内麦は五十六円くらいになろうかと思いますが、この委託加工によりまして、大消費地につきましては一定数量を確保いたしております。そうしましてこれを関係府県と連絡をしながら、市価の状況によつて随時放出しておりますので、麦の価格の点につきましては、大体価格は安定いたしている。戦前におきましては、大体表と米の比価は六二・三パーセントでございますが、現在におきましては、それを下まわつているのではなかろうかというふうに考えているわけであります。ただ、ただいま第二点にお話がございました切りぼしの問題でございますが、お話のように、政府といたしましては、農産物価格安定法のもとにおきまして七百万貫の買入れをいたしております。しかしこれは、御承知のように大体原料切りぼしとして生産されておりますので、その用途は蒸溜酒用、アルコール用等に向けらるべきものでございます。戦時中の場合におきますように、食糧用切りぼしとしての生産が現在は行われておりません。大体原料用として行われております。この原料用の方面に向いましてこれを処分いたしますと同時に、今後生産されます切りぼし価格の影響等もございますので、その点は慎重にやつて参りたいと存じております。
  52. 春日一幸

    春日委員 関連してこの機会にお伺いをいたしておきたいのでありますが、過ぐる十六国会でありましたか、同僚小川豊明君の質問によりまして、例の黄変米、それから不良米、これの払下げ措置に関していろいろな論難が食糧庁において行われました。その答弁によりますと、結局中間にトンネル会社があつて、年間厖大なる利潤を収めている。これを指摘したところが、現行法律の範囲内においてはこういう形態をたどらざるを得ない。すなわち予算、決算、会計令の定めるところによつて、食糧庁は現金でなければ倉出しができないし、通産省はあと金でなければ払えない、こういうようなことであつて、結局は中間のトンネル会社が相当の利益を収めているとのことは、現在の法律を改正しなけれにどうにも修正することのできない事態であるというあなたの答弁でありました。そこで本委員会は、これはまさしく食管会計がすでにいろいろな面において指摘されているとき、さらにこういう損害国民にかけるということはもつてのほかである、すみやかにこの法律を改正して、中間利得者を介在せしめる余地をなからしめるような措置を講ずべきであるということを強調いたしたところでございまして、たしか愛知政務次官は、すみやかにこの法律措置を講ずるという御答弁があつたと思うのであります。そこでお伺いしたいことは、すでにこれは半歳を経過して、臨時国会も終りまして、やがて第二臨時国会を迎えておりますが、これに対する法律案も何もその後提示されておりませんが、一体政府部内において、この問題処理のためにいかなる処置を講じられたか。この点について愛知政務次官並びに前谷食糧庁長官からひとつ答弁を願いたいと思います。
  53. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。前国会におきまして、黄変米につきましていろいろ御意見がございまして、当委員会の附帯決議にもございまして、直接受注者に対して食糧庁としては契約するように、こういうお話があつたわけであります。われわれとしてもその後さらに検討いたしたわけでありますが、先ほどの春日委員お話のように、現実のやり方としましては、そういう食糧特別会計としては現金が入つて物を渡す、それからアルコール特別会計としては現品で入つて払うという関係になつておりますけれども、契約関係といたしましてこれを直接にやるということは、その後の研究によりますとさしつかえないようでありますので、契約といたしまして、当委員会お話のように、食糧特別会計としては直接受注者に対して契約するという当委員会の御趣旨の方法でやつてつているようなわけであります。
  54. 春日一幸

    春日委員 それで前十六国会においてこの問題が提議されましてから、日本糧穀とか、日本醸造とか、そういう中間会社に対して払下げを行わないで、食糧庁から直接、たとえば通産省のごとき場合においては、直接の契約をしておられるということでありますが、それならば法律の建前における代金じりの決済、荷物搬入の処理、これはだれがやつているのか、お伺いしたい。
  55. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、一般受注者に対しましては、直接飼料工場その他に対しまして直接契約をいたしているわけであります。アルコール特別会計につきましては、アルコール特別会計と当食糧特別会計との間におきまして契約を締結いたしまして、アルコール特別会計におきましては、食糧特別会計の倉庫によつて引取る、その場合の引取り代行者につきましては、アルコール特別会計において入札の方式によつて決定いたしているという形になつております。
  56. 春日一幸

    春日委員 そうすると、本年の四月からただいままでにおいて、黄変米並びに不良米、そういうものの払下げを行つた数量、それからその価格、払下げをした相手、これを前回何様ひとつ資料として本委員会に御提出を願います。
  57. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今井上議員から質問のありました蛋白質の給源に対して、今長官がお答えされましたようなことは往往にして私は世上誤解を生ずる面もあるやに思われますので、一言質問をするのでありますが、今井上請負から、粉食の奨励をやつてもバターがないじやないか、牛乳もない、これに対しての長官のお答えでは、今二十万ポンドの外貨を用意してバターを入れるべく、バターが出まわるように配慮している、こういう答弁でありましたが、あながち蛋白質の給源ということは、あえて貴重な外貨を使つて外国からバター、あるいは牛乳を入れなければパンが食えぬのと違うということは、長官御承知通りであります。マーガリンでも、蛋白質ということになりましたら、十分その給源は補足されるはずです。またパンの説明をしますと非常に恐縮でありますが、これは米にかわるべきものであつて、バターや牛乳をもつて粉食に移行するというのではなくして、毎日米の飯を食べるときの副食の、いわしでも野菜でも十分事足りるはずでありまして、今の井上議員の質問に対する長官の答えは、粉食移行に対する非常な障害になると思います。ですからマーガリン等々で行けると私は確信いたしておりますが、その点あなたの答弁をいま一応承りたいと思います。
  58. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、ただいま井上委員にお答えいたしましたのは、粉食奨励に関連する蛋白質で、食糧全体の問題ではございませんで、井上委員から、輸入バターについての処置はどうであるかという御質問に対して、その点をお答え申し上げたわけでありまして、全般的な粉食に対する蛋白資源、あるいは脂肪資源の問題としてお答え申し上げたわけではございません。具体的に輸入バターについての措置がいかように運んでおるかという点についての御質問でございましたので、その点に限つてお答えいたしたわけであります。  ただいまの御質問のマーガリンの問題につきましては、現在マーガリンにつきましては、三万トン程度の生産がございまして、一万トン程度のものが食卓に上つておるわけでございまして、粉食の面におきまして貢献しておる点は、十分われわれも承知いたしておるところであります。このマーガリンの質をよくし、さらに価格を低廉にし、またこれの使用その他についての消費者の認識を深めて参るということは、今後ともに十分努力しなければならぬと思います。
  59. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は食糧庁長官にお尋ねしたいのですが、その前に大蔵次官がおられますので、ひとつお尋ねしておきたいと思いますのは、前の臨時国会でも、大蔵大臣は予算委員会その他でたいへん忙しくて出られなかつた。従つてども大蔵委員会は、あなたを中心にしていろいろな審議をして、その後休会になつても、年末金融の問題、あるいは災害対策の問題とか、いろいろな問題でほとんど委員会を開いておつた。そのとき、あなたは政府の大切な役人でありながら、やはり個人的な特使ということになりますか、池田さんと一緒に行かれてしまつたのです。あれはあなたも個人的な特使であると思うのですが、私どもとしては、大切な政府の役人が、ことに大蔵次官が、あのときにそういうことでなく、こつちに残つてわれわれと一緒に審議をしてもらいたかつたと思うのですけれども、あなたはその点どうお考えになりますか。
  60. 愛知揆一

    愛知政府委員 私が第十七国会の召集に間に合いませんでしたことは、まことに申訳ございませんで、慎んでおわびを申し上げます。
  61. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 その点は時間がないから、あと食糧庁の長官にお尋ねいたします。私が前の国会で黄変米その他の食糧庁の会計の問題についてお尋ねし、それが問題になつて附帯決議まで突きつけられたのですが、それについて今春日さんのお尋ねによると、それを十分に守つておる、こういうようなお話であつたわけでありますが、あの当時米の問題、砂糖の問題、大豆の問題、そういう問題について、——私は名前をあげませんが、当時関係をされておつた方々が、その後食糧庁の顧問、あるいは農林省の顧問にそれらの方々がほとんど推薦されてなつておるように私は新聞で見たのであります。これは新聞ですからはつきりはしませんが、この問題が正確になるということは最も大切なことであります。そういう原因をつくり、そういう関連のあつた方々が、食糧庁なりあるいは農林省なりの顧問に推薦されて、さらにもつと公的にこの問題に関係するということは、むしろこの附帯決議に対するあなた方の反逆じやないかとわれわれは考えざるを得ないのですが、そういう事実はあつたかどうか。
  62. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。食糧庁には顧問制度というものはかつてございましたが、現在はございません。それから農林省におきまして顧問制度というものがございますが、これは全然別個の方がなられておるように思います。ただ従来食糧庁等におきましても、いろいろの問題につきまして御意見を承る場合に、従来の経験者として御意見を承つたということはあるわけでございますが、顧問とかなんとかいう形で正式に食糧丘の制度としてつくつておることはございませんから、その点御了承願います。
  63. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 食糧庁に顧問制度がないとすれば、これはおそらく農林省だと思います。私は日を忘れましたが、新聞はとつておいてあります。顧問に推薦されてあつた。そしてその顧問になられた方々の中に、私が前回指摘した米の問題、大豆の問題、砂糖の問題の首脳者が入つておられる。そういうことから私は、ははあ農林省は、われわれがあれだけの問題を取上げて論議し、さらに附帯決議までつけたわけであるけれども、やはりこれは米と縁が切りきれないのだな、こういうふうに考えざるを得なくて非常に遺憾であつたのでありますが、これはあるいは新聞のあやまちであつたかどうか、私の方で再度調査してお尋ねすることにいたします。  それからもう一つ、これは小さい問題ですが、さつき食糧庁長官井上委員質問に対して、麻袋で損をしておる、こういうふうなことをお答えになつたかどうか、あるいはこれは違いますか。
  64. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えいたしますが、麻袋につきましては、十一億円の在庫がございますということを申し上げたわけでございます。
  65. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 在庫であつて損でなかつたら、私の聞き違いであるから訂正します。この点はあとでまたお尋ねしますが、麻袋会社は三千万円の資本金で、七千万円の利益を一年間にあげておるという表を出しており、麻袋会社はたいへんにもうかつておるということを、今後私が質問する前提になるわけですから、これを御記憶願つておきます。  次に、私はこの点よくわかりませんが、食糧庁としては、食糧行政の大切な立場からいろいろの仕事をしておられるわけであります。この食糧庁の取扱つておられるものは、米とか麦とか、澱粉とか切りぼしとか、いろいろありますが、それはどういうものをお取扱いになつておるか、一応食糧庁として食糧行政のために取扱つておられる品目を、ひとつまとめておあげ願いたいと思います。
  66. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、食糧管理法に基きましては米麦を取扱つております。それから農産物価格安定法に基きまして、菜種、澱粉、切りぼし、なおてん菜此産振興臨時措置法によりまして、甜菜糖の買上げを行つております。
  67. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、甜菜糖の買上げ等をなさつておるが、砂糖の輸入は食糧庁でお扱いになるのではありませんか。
  68. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。従来におきましては、砂糖は政府が買い上げまして配給をいたしておつたことはございますが、これは砂糖の配給統制が廃止されますると同時に廃止いたしております。ただ先ほど申し上げましたように、甜菜糖につきましては、法律に基きまして買上げをいたしておる次第であります。ただ外貨の問題につきましては、通産省と連絡をいたしまして、通薩省の外貨割当につきましては協議を行つております。
  69. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで米の問題に入る前に、これは小さい問題ですから一応お尋ねしておきますが、砂糖の問題です。これはあなたの方で通産省と相談をして外貨の割当等をしておられるというお話でございますが、間違いございませんか。
  70. 前谷重夫

    前谷政府委員 その通りでございます。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、日本の砂糖の有効需要が七十五万トンから八十五万トンくらいである、こういうふうに前の国会で御答弁を願つて承知しておるのでありますが、昨年輸入されたのも百二万トンか百七万トンだつた、こういうふうに聞いております。これは聞違いございませんですか。
  72. 前谷重夫

    前谷政府委員 昨年度の輸入につきましては、大体九十万トンが現実に輸入されております。
  73. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この問題はあとでお尋ねすることにしまして、次にひとつこれは資料でけつこうですから、お願いしておきたいと思いますことは、義務割当、最近の供出の状況、これを府県別にひとつお知らせを願いたいと思います。  それから同時に超過供出達成目標とでもいいますか、こういうものがきめられておりますが、この進行状況等を府県別にできればひとつお知らせを願いたい。  それからさつき言いました、これは食糧庁ではありませんが、農林省に顧問制度があつて、それがことしに追加されましたか、変更されましたか、この顧問の方々が決定しております。この顧問の方々はいつ決定されたのか、その氏名をひとつお知らせ願いたい。
  74. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 有田二郎君。
  75. 有田二郎

    ○有田(二)委員 大蔵省政務次官に税制の問題で一点だけお尋ねしたいのですが、御存じの通り税制の答申案の中に、飲食税の国税移管、あるいは入場税の国税移管というようなことが今日問題になつておりますが、映画館とか、あるいは芝居の入場税はすでに切符の中に入場税というものをはつきりとつておるのでありまして、これの国税移管に対しましては私はむしろ賛成であります。しかしながら飲食税につきましては、実際において一般の方々からとつていない。またパチンコの入場税につきましても、現状とつていないのです。従つてこういうような問題については、私は税制のせつかくの答申案であるけれども、現実に即していない、かように考えるのでありまするが、政務次官の御所見を承りたい。
  76. 愛知揆一

    愛知政府委員 実はざつくばらんに申し上げるのでありますが、税制調査会からの答申が出ておりまして、私どもも慎重にこれを検討しておるのでありますが、この税制調査会の答申につきまして、政府としてどれとどれとを採択すべきであるかということについては、実はまだ結論が出ておりませんので、できれば数日中にでもこの税制制度調査会の答申について政府側が大体どう考えるかということを、別の機会をいただきましてお答えいたしたいと思つているわけであります。今非常に具体的な御指摘がございましたが、ちよつと本日のところはまだはつきり私ども考えを申し上げるまでに至つておりません
  77. 有田二郎

    ○有田(二)委員 私が心配してお尋ねしているのは、あなたと一緒にアメリカへ行つた池田君はパチンコがきらいだ。私はパチンコが好きだ。そこが観点が違うのでありまして、池田君は大蔵大臣をやめたけれども、まだ大蔵省に隠然たる勢力を持つている。こういうような、きらいだからというのでこれが国税移管になるような、現実に即さないことになつたのでは、もちろん国会で通しません。池田君がどんなことを言つても通しませんが、どうかひとつその点を御審議願いたい。今の地方の徴税のあり方を御検討願つて、そうして飲食税とか、今言つたパチンコの入場税というようなものは国税移管にならないように願いたい。さような方向のことがかりにきまるとしても、われわれは断固反対であるということを御了承願いたい。御答弁を承りたい。
  78. 愛知揆一

    愛知政府委員 よく御意見の趣旨を体しまして検討いたしたいと思います。     —————————————
  79. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、前国会以来国政調査のための小委員会として税制に関する小委員会、金融に関する小委員会、専売事業に関する小委員会及び国有財産に関する小委員会の四つの小委員会を設置して調査を進めて参りましたが、今国会におきましても、この四つの小委員会を設置することに御異議ございませんが。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  なお小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 内藤友明

    ○内藤委員長代理 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  次会は明三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十六分散会