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1953-12-07 第18回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月七日(月曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 天野 公義君 理事 松山 義雄君    理事 安井 大吉君 理事 藤田 義光君    理事 柴田 義男君 理事 吉田 賢一君       有田 二郎君    大上  司君       阿部 五郎君    山田 長司君       杉村沖治郎君  出席政府委員         食糧庁長官   前谷 重夫君         通産省産業事務         官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         監査課長)   岡村 昇三君         通商産業事務官         (軽工業局アル         コール第二課         長)      渡邊 五六君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十六年一般会計歳入歳出決算昭和二十  六年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十六年  度政府関係機関決算報告書黄変米輸入保管  及び処分等に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会を開会いたします。  本日は前会に引続きまして農林省所管黄変米輸入保管及び処分等に関する問題を議題とし、調査審議を行います。それではただちに質疑を許します。柴田義男君。
  3. 柴田義男

    柴田委員 前の委員会でもお尋ねをしておつたのでありましたが、アルコール関係通産省は何か一つ規定でもあつて、たとえば予算上の措置がどうしても困難であつて食糧庁から直接黄変米を買い入れなかつた、こういう関係等がございましたなら、その事情をまず承りたいと思いす。
  4. 渡邊五六

    渡邊説明員 二十六年の黄変米購買に関して、食管特別会計から面接購入せずに、日本糧毅を通じて買つたということにつきまして、特に予算上、資金上の難点というのものはなかつたのでございますが、アルコール特別会計におきましては、予算決算令によりまして、現品を検收して、收納してから代金を支払うという建前をとつているわけであります。しかるに食管特別会計の方は、代金受取つてから現品を引渡すという、そこの両特別会計の間の会計事務的な相違がありまして、その話合いが十分つかなかつた点と、もう一点は食管特別会計におきましてはあり姿のままで売却するというえ建前をとつておるわけであります。あり姿のままといいますと、現品につきまして看貫をするとか、手直しをするとか、欠減の整理をするとかという手続をとらないで、現に現品があるそのままの姿で売却しまして、売却数量につきましては、帳簿上記載されております数量をもつて売却処理をします。そういうあり姿のままで売却するということになりますと、倉庫における保管の期間における欠減だとか、荷くずれというような理由から欠減ができた場合に、その欠減をどこの責任のもとで整理するか、責任分界点が明確にならない、主としてそういう二点の理由から直接購買が困難でありまして、中間業者を中に入れたわけであります。
  5. 柴田義男

    柴田委員 どうも官庁は形式だけを重んじられまして、実質的にわれわれが常識で判断できぬことをおやりになつておりますが、通産省の方では物が入らなければ代金支払いができないような特別会計の設置をとつておる。食糧庁の方はそれと反対金銭授受がなければ物件を渡さない、こういう食管特別会計規定を持つておる。両方所管庁で相反する一つ規定をつくつてつて、ことさらにそういう規定をつくつて第三者を介在せしめるような方途を購じておつたのかどうか、目的はどこにあつたか、もう一度承りたいと思います。
  6. 渡邊五六

    渡邊説明員 特に会計手続上の相違が何かの目的を持つていたということでなしに、お互いの立場から見まして、アルコール特別会計の方ではやはり現品を検改して数量を確認しなければ支払いができないのでございまして、これは一般行政官庁における会計支払い手続でございます。ただ食管特別会計の方におきましては、これは一部臆測になるかもしれませんが、大部分が民間に支払うことになつていますので、金銭授受の方が現品引渡しに先行するという会計上の建前をとつていたのではないかと思います。それに官庁同士の間のスムースな売買という手続がはつきりとられていなかつたのではないかと思います。
  7. 柴田義男

    柴田委員 この問題に関係しては通産省当局からの御答弁よりもむしろ食糧庁の方の御答弁を願いたいのであります。なぜかと申しますと、今の規約の問題から申しますならば……。
  8. 田中彰治

    田中委員長 柴田委員、今食糧長官がすくに来ますから………。
  9. 柴田義男

    柴田委員 食糧庁側からどなたか見えておるようでありますから……。
  10. 田中彰治

    田中委員長 長官でいいですよ。決算委員会ではひとつ長官で行きにましよう。今呼びに行つていますからすぐ来ます。
  11. 柴田義男

    柴田委員 長官でなくていいです。そういたしますと、われわれ、通産省の方の今の御答弁によると、当然なように常識で判断できます。入つて来たければ金は払えぬ、これは当然なんです。しかるに実際問題といたしましては、そういう規定の多少きゆうくつな点があつても、通産大臣なり、あるいは農林大臣等の、両方のおのおのの責任者がそういう問題を交渉されまして、面接食糧庁からお買いにたる方が安いのであります。価格に大きなそこに開きが出る、不必要な民間会社を、ここに介入させまして、一トン当り五千円なり、四千円という莫大なる手数料を払う必要がどこにあつたか、この点をまず承りたいと思います。
  12. 渡邊五六

    渡邊説明員 二十六年の分に関しましては、アルコール特別会計といたしまして、その当時生かんしよが非常に暴騰しておりまして、その価格から推定しますと、いわゆる切ぼしかんしよの値段も相当高いものになるというので、アルコール原料の入手につきましては、非常に窮迫した状態にありましたので、何か安い原料を入手いたしたいという気持が非常に強かつたわけでございます。それでたまたま農林省の方に、雑穀でも米でも――そのときは当初は砕米ということでしたが、砕米でも雑穀でもよろしいから、何かアルコール原料用として手渡していただけるものはないかという折衝をしたわけでございます。その数次折衝によりまして、ちようど食糧不適米があるという話が出たわけでございまして、その当時のアルコール特別会計としては、そういう原料高の情勢にありましたので、安い原料を大量に購入できれば、非常に幸いだという気が強くありましたので、その会計手続上の点につきまして、食糧庁数次折衝をいたしましたのですが、両者の意見が一致しませんので、やむを得ない手段としまして、中間業者を中に入れたわけございます。
  13. 柴田義男

    柴田委員 食糧庁長官がお見えになつたようでございますが、今私が通産省当局に伺つておりますのは、何かそれぞれの特別会計規定がございまして、食糧庁があり姿のままで、しかも現金納入前には出荷ができない、こういう一つ規定を持つておるし、それから逆産省の方では、物が入らなければ金は支払えぬというような特別会計規定を持つておられる。この規定そのものが今の問題を起したように考えられるのでありますが、おのおの諸官庁で物を売買いたします場合に、民間業者を入れたという事態が非常に疑惑を呼んでおるわけでございますが、こういう規定をおつくりになりまする根本的な原因といいまするのは、第三者を介入させて、しかもかつて食糧庁におつた方々をもつて構成した日本糧穀というような会社を介入せしめるために、こういう規約をおつくりになつたのかどうか、こういう点を承つております。
  14. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。食糧庁といたしましては、物品売却する場合には、この場合に限りませず、一応倉庫におきまして、代金納入の上におきまして売却するということが建前になつております。これは従来ずつと古いときからそういう扱い方をいたしておるわけでございます。ただいまの、御指摘の相手が官庁でございまする場合、そういう直接の契約をいたしましてそうして、中間に入れないということが契約自体としては可能ではなかろうかと思つておりますが、現実引取りその他の問題につきましては、これはやはりそれぞれの官庁引取りの運送までやれないということになるわけであります。
  15. 柴田義男

    柴田委員 われわれが食糧庁のいろいろな具体的な事例を見ております。と、どうも納得が行かぬのでありますが、物を売ります場合には、そこの現場にあつて、しかも現金収納がなければ渡してやらない、これは同じ政府一つである通産省にやるのも、そういうことを遵奉なさる、こういう精神はかりにいいといたしますが、そういたしまして今度は民間団体から別個の物資を購入いたします場合には、物が手元に入つて来ない場合でも、莫大な金を支払つてつてあと商品納入されておる、これは麻袋の例で明らかであります。こういう問題は、われわれは常に矛盾を感ずるのであります。麻袋購入するときは、前金払つてあとからあとからと大分遅れて最後商品が入つております。これは明らかであります。ところがその反対に、物を販売なさる場合には、食糧特別会計を堅持されるために、あり姿のままで、しかも帳簿上に合つた量によつて現金収納しなければ出せない、こういう規定を守つておられる。そうして買う場合には、現物が入つて来ない前に、支払つておるという現実、こういう状態は、あまりにわれわれは矛盾を感ずるのでありますが、これに対しまして、食糧庁長官の御答弁を願いたいと思います。
  16. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの購買の場合でございますが、われわれといたしましては、物品購買におきましては、検収をいたしまして、その後において支払証票を発行するということになつておりますので、や仕り購入の場合におきましても、現品を領収して支払いをいたしておるわけであります。もちろん契約の場合は、前もつて行う場合もございますけれども現実代金支払いは、検収後にいたしております。
  17. 柴田義男

    柴田委員 原則はそうであつても――麻袋の問題は別個に論ずることにこの間もお話がなつておるのでありますが、確かに麻袋の問題の場合には前金払つておられます。これは昭和二十六年年の八月の、当時の帳簿をごらんくださればはつきりいたします。物が入つてから金を払つておりません。前に金を払つてあとからあとからと物が入つております。最後にものが入つたのは、翌る年入つております。現実に相場が暴落暴落を重ねて、ずつと下つてから物が入つておりますから、それは今の食糧庁長官の時代ではございませんが、帳簿をお調べになれば一目瞭然といたします。私は食糧庁事務所へうかがつて拝見して来たのでありますから、断じて間違いありません。こういうような状態を見ました場合に、この合この麻袋の問題を非常にわれわれ疑問とするわけであります。  しかも、今度は伺いますが、あり姿のままで、しかも量が帳簿上会つた量で、日本糧穀払下げあるいはその他の諸機関に払い下げまして、それから今度は日本糧穀から通産省アルコール工場にそれがまた売りされておる。そのアルコール工場に入つた量と、日本糧毅食糧庁から払い下げました量が、多少でも相違がそこに出ておりましようか。その相違点がございましたら、量目でもけつこうです。金額でもけつこうでございますから、お示し願いたいと思います。
  18. 前谷重夫

    前谷政府委員 第一の点は、私今まで検収後に支払うということに承知いたしております。しかしながら御指摘の点もありますから、さらに帳簿について詳細に調査いたしますが、そういうことは今まではやつてないというふうに私は考えております。  第二の数量につきましては、第一回の通産省官営工場売却いたしましたものが、四千百八十九トンでございます。そのうち百トン程度のロスが出ております。
  19. 柴田義男

    柴田委員 食糧庁監査課長岡村さんも御出席のようでございますが、私は岡村さんにも食糧庁に伺つてお目にかかつたような気がいたしておりますが、麻袋購入の場合には確かに金が先に出て、あとから物が入つておりますね。お答え願います。
  20. 岡村昇三

    岡村説明員 私もただいま初めて承知いたしますので、調査いたしてみたいと思いさます。そういうことはないと私は信じておりますが、もう一度調べて御返事申し上げます。
  21. 柴田義男

    柴田委員 この問題は今日一日できまるわけでございませんので、他の委員等も御質疑があるようでございますから、私はこの程度にして留保いたしておきます。
  22. 田中彰治

    田中委員長 長官ちよつと委員長から聞きますが、現金で金をとつておりますか。日本糧穀に払い下げる場合に、小切手とか手形というようなものでとつているでしよう。現金を持つて来て、現金を領収すると同時に出荷をいたしているのか、あるいは小切手とか手形とか、何か保証制度のもので出しているのか、それはどうですか。
  23. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えいたします。国庫の収納日本銀行で取扱つておりますから、日本銀行から納入通知が参りまして現品を払い出すようにいたしております。
  24. 柴田義男

    柴田委員 もう一点だけ最後に伺つておきますが、二七食糧第二五九三号、昭和二十七年五月十三日付、食糧庁長官から兵庫食糧事務所長にあてました「輸入ビルマ黄変米売却に伴う売買契約書の送付について」こういう指示書がございますが、これを見ますと、日本糧穀との契約の場合に「通産省アルコール原料として売却することに決定し別紙の通り売買契約を締結したから了知ありたい。」こういう通知でございますが、この契約書自体を第一条からずつと拝見しておりますと、この前の委員会でも私は不審の点を御指摘申しましたのが第二条でございますが、これに対しまして明らかな御答弁があのとき承れなかつたのでありますが、これはどういう意味か、第二条の意味合いを御答弁願いたいと思います。
  25. 前谷重夫

    前谷政府委員 第二条の点は、いわゆる乙、日本糧穀株式会社からの申出があつたわけでございますが、われわれといたしましては、金を正確に納入せしめるという意味においてその申出をいれたわけでございまして、これによつてわれわれとしては被害をこうむることはないという考え方で、むしろ担保として有能であるというふうに考えてやつておるのでございます。
  26. 柴田義男

    柴田委員  これは今の食糧庁長官がおやりになつたことではないからしてしてぴんと来ないのじやないかと私は思うのですが、実際その甲乙の一つ契約が成立いたしまして、何ら関係のない何とか機業協同組合連合会という第三者に、日本糧穀の要求があつたからそのものに今度は契約保証金納入せしむるということは、何かそこに別個理由がなかつたかどうかということをわれわれは伺つておるのであります。その当時の長官等の参考御出席でも願わなければならないだろうと思いますが、おわかりにならなかつたならば、どうもこれに常識で判断してもわからない、こういう御答弁を今の長官からわれわれは承りたい。
  27. 前谷重夫

    前谷政府委員 これは契約保証金の問題になつております。この問題につきましては、その事情、さらに当時におきます課長契約の当事者について十分調査して御報告を申し上げます。
  28. 田中彰治

    田中委員長 今保証金と言われておりましたが、先ほどは金額小切手とかあるいは何かそういうような保証のもので契約なさつたように伺いましたが、今伺つたらそうでなく、日本銀行に納めて、日本銀行からの納入書によつて出荷をするとおつしやつた。その保証金というものはどういうわけで出すのですか。
  29. 前谷重夫

    前谷政府委員 もちろん契約を締結いたしました場合には、その契約の履行を確保するために、これはいずれの場合にも契約保証金というものを一割ないし五分ほどとるわけであります。その契約保証金をとりまして後に現物を払い下げて代金納入されたならば、その保証金を返す、こういう形になつておりまして、代金とは別に契約保証金というものを一応納めさすことにいたしております。
  30. 田中彰治

    田中委員長 そうするとその保証金は、たとえば十万円に対する保証金を一万円納めて、今度荷受けするときにはそのほかにまた十万円納めてその保証金あとで返すのですか。
  31. 前谷重夫

    前谷政府委員 あとで返すわけです。
  32. 田中彰治

    田中委員長 いや、それは違いませんか。農林省払下げなんかの例など見ておるとそんなものじやないようですよ。そういう点はいろいろよくお調べになつてみてください。私の方にも材料があるからこれは相当調べてみますが、あなたの方も、この問題はあまり簡単にお考えにならない方がいいですよ。これは相当発展して参りますよ。ひとつ資料をよく調査され方がいいでしよう。
  33. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。十分その点は調査いたします。ただ従来契約につきましては一応契約保証金をとる、それから代金納入の場合には告知書によつて払うといことに米麦ともになつております。
  34. 田中彰治

    田中委員長 小切手なら小切手で納めた場合に、それを銀行に入れられて現金化されますか。それとも小切手を預つておいて銀行にまわさないで納入させるのですか。小切手でとつた場合にはどうですか。
  35. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。原則といたしましては日本銀行あるいは代理店でございます。代理店に金を納めたという通知によりまして払い出すわけであります。小切手等が地方の事務所支払いとして参りました場合におきましては、それをただちに日本銀行代理店に預けるという形をとつております。
  36. 田中彰治

    田中委員長 質疑はありませんか。――吉田賢一君。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 黄変米によりまして国のこうむつた損害について伺います。損害実額はこういうふな計算が正しいのではないかと思いますが、長官いかがですか。それは黄変米の混入しておる外米ビルマから買い受けた際に支払つた支払い代金に加うるに、輸入指定商社支払つた購入あるいは輸入に関する諸般の運賃諸掛、加うるに内地で船側引渡しを受けました場合の陸揚げ輸送費倉庫保管料その他これに関する諸掛といつたようなものの総額から売却代命を差引いたものが国の実損になるのではないのですか。
  38. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。コストの関係としては運賃掛等輸送チャージも入れるわけでありますが、これは御承知の通り個々の一船一船について売却価格をきめるという建前ではございませんで、各国別CIF価格を予定し、チャージを予定し、全体としてプールして主食用の場合と原材料の場合との売却価格を決定しておるわけであります。そのプールして決心いたしました価格現実売却損ということになるのでありますが、場合によりますと高くして掛する場合もございますし、また安くして、その価格をもつてする場合には益を持つて来る場合もあります。全体プールして売却価格というものを決定いたしておるわけであります。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら決算専門員室から様式を示して記入していただいて、あなたの方から資料として提出したものによりますと、またあなたの方から十二月二日付で売却実績として示したものによりますと、一船々々について、たとえば例をあげてみますれば、高栄丸について支払つた代価幾ら受取つた数量幾ら、その中で売却数量幾ら、売渡し単価幾ら金額幾らというように全部表ができておわけであります。その後さらにあなたの方から本委員会に提出された資料によりますと、これは倉庫のある事務所が書いてありますけれども、ある船から黄変米が出たということについて、私どもが神戸の食糧事務所及び倉庫を視察しましたときも、そういう説明があるわけであります。でありますからこれらの資料によりましても一船一船によつて計算も立てられるものと思うのです。ことに少くとも支払つた代金総額から、売り払つた代金総額を差引いたものが、その他の諸払いを除きましても、最小限度の欠損になると思うのだが、その点はどうですか、そこまではあなたもお争いにはならないと思いますが……。
  40. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。もちろん買入れの場合、そのチャージ個々ケースとして支払うわけであります。それはただいま資料に拠出いたした通りであります。この損失を今お話のように、その具体的なケースとの関係において見るという見方もあろうかと思います。ただ食管特別会計といたしましては、外米輸入の場合におきまして、これは時期によつても、地域によつても、買入れ価格が一応全部違うわけであります。従いまして一年間の全体としての輸入を予定いたしまして、そして予定されたチャージを加えてプールいたしました価格で売れば損得がないという形になつておるわけであります。そこでそういう面からいうとこういう形になろうということを申し上げたのでありまして、今吉田委員お話のように、個々ケースから出るというか、それと比較する場合ももちろん考えられます。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は黄変米を聞いておるのです。食管特別会計における年度末の損益計算において、外米買入れによつて何ぼ損したか、そういう大ざつぱなものを聞いておるのではないのですあなたの方に、十二月二日付で黄変米による損失資料を本委員会に提出せられておるが、試みに牛の国会、前々国会における大蔵委員会とか、農林委員会における黄変米損害についてどういう問答をされておるか、調べきせてみましたところが、これによると配給米の売り価格黄変米の売り価格の差額と大体損失と見ておられる。これはとんでもない計算の仕方でありまして、表示の仕方があまり過小である。たとえばこの十二月二日提出の当委員会に対する資料によりますと、二十七会計年度損失は、配給米の売り価格黄変米売却価格との差損といたしまして二億七百余万円、二十八年十月末現在といたしまして三億六千三百余万円、合計五億七千百十九万円余りということになつておる。ところがこれには大体配給米価格補給金が入つておるわけです。それからさつきの運賃諸掛あるいは中間商人の口銭、保険料等々何も書いてないということになるわけであります。そういうことになりますので、こういう計算の仕方では損失が五億七千百万円というふうに出ておりますけれども、少くとも買入れ支払い代命から売払い代金の差引だけでも二十七年度において二億三百余万円、それから二十八年度におきまして六億四千余万円、こういう計算になるのであります。これだけでも八億四千三百余万円になる。なぜこういう数字を正直にお出しにからないかということ、われわれの決算委員会は議論をするところではないのでありまして、やはり事実を正確に出してもらつてその事実の当否を検討するということが大体の趣旨なのであります。しかるときに国の損失というものが五億七千万円というのと八億四千三百余万円というだけで約二億七千三百余万円の違いか生ずるのであつて、これは莫大なものであります。こういう数字は基本的に固めて来ないとやはり問題を批判する上におきましても問違つて行きます。どうしてこういうようなずさんなというか、そまつな数字をお出しになるのですか。
  42. 前谷重夫

    前谷政府委員 お説の通り国全体としての損失というふうな考え方からいたしますると、吉田委員のお考え方になるわけでありますが、これは実は食管特別会計としての損という形にわれわれ考えておつたのでありますから、食管特別会計の場合におきましては補給金がプラスになりまして補給金をもらいまして引受けたものが食管特別会計原価というふうに考えたわけでありまして、原価見方で――補給金もやはり国の損失ではないかという見方からいたしますと、吉田委員お話のようなとこになろうかと思いますが、私どもの方は食管特別会計として限定的に考えものでありますからそういうことになるのです。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら配船に適しないものを、毒の入つたものを安く処分して売り飛ばすものに国民全体として、また国家は価格補給なんかいたしません。それは当然のことであります。食糧として配給するがゆえに消費者の負担を軽くせしめることが一つ理由価格補給がなされなければならぬ。毒が入つておるというので食糧にはならぬ何か使い道はないのかというので工業用原料に流してしまつた。こういうものに国家は価格補給しておるのではない。しからばそういう観点からすれば何も狭い食管特別会計を論じておるのではないのでありまして、農林省行政を論じておるのです。食糧庁の行政を論じておるのです。しかるときにはこれだけは国家の損である。これだけは食管特別会計の損になる。これだけは何にというふうに区別してあるべきが当然なんです。われわれはともすると時間がありませんので、こういうのは看過してしまうが、数字がまちまちに出るのでよく調べてみると、これだけでも二億七千三百余万円違つておる。ことに後になつてから資料が出たのでありますけれども、前々会のときにほかの委員資料が行つておらぬというので、私は別保しておつたのでありますけれども、大体黄変米の処理はその後も継続されておるのです。古い資料は八月の資料です。八月以後も処分されておるわけです。だからそういつたものも全部出さなければならぬ。あとでやかましく言われて出したので、この私が計算いたしましたのにさらに加わる。そういつたことがありまするので、この際今の運賃諾掛あるいは保管料など、さらに毒のついた配給しないで処理してしまつたところの食料について、国が収支した経費はどのくらいになつておるのですか、概算でもいいですからひとつ述べてもらいたい。そういう辺を明らかにしておかなければ、あなたの立場からしてもこの黄変米の処理によつて予算上損出が生じたものを適当に補填したり、ないしは処理をしたと思うのですが、そういう処理をする上においても、一体何ぼ損だということがわかりもせぬと、プールした全体の数量がどうしたという、そういう考え方では、黄変米の処理としては私は忠実ではないと思う。それは黄変米の処理の責任はいずこが負うべきやということすら問題なんです。われわれも時間がないので、その辺ににつては十分究明ができないのでありますが、あなたの方の角田技官によつても十分説明ができない。いろいろと検討しなくちやならぬにもかかわらず、それを一緒に他の会計とプールしてしまつて、食管全体として損害がこれだけあつたというような、そういうようなことでは黄変米という特殊な別象、あなたの方の行政上の問題に対して、経理上の処置が忠実であつたと私は思えぬ。そのように国としててお出しになつておる代金支払いの総計がどのくらいになるのか、食糧庁出した経費はどのくらい出しておるのか、それについて御答弁を願いたい。
  44. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、お手元に配りました一般月々については、買入れ単価と、それからそれによります総計及び売却価格が出ておるわけございますが、お話のように、それに要する買入れ時期までの保管料というふうな点については、さらに調査して御報告申し上げます。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あしたまでに間に合いますか。あなたの方の当然の仕事だから帳簿をくればすぐわかるはずです。国会はあしたか最終日です。
  46. 前谷重夫

    前谷政府委員 これにつきましては、調査して明日までに……
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あしたまでに間に合せてもらえますか。国会はあすで済むのです。
  48. 前谷重夫

    前谷政府委員 承知いたしました。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではその数字の精細な結末、総合合計につきましては、あす委員会があるものと仮定いたしましてあすに譲ることにいたします。  そこで検察院はすでに常時検査もしておりますし、また黄変米についても前にも後答弁つたのでありますが、検査院の方におきましてつかんでおられます損失は、大体どのくらいになつておるのでありましようか、もしおわかりでございましたら御説明を願つておきたい。
  50. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 会計検査院といたしましても、この問題につきましてはいろいろ調査しておるわけであります。先回にもいろいろ御説明申し上げましたただいまの損失計算でございますが、政府からお出しになりました、先ほど吉田委員が御指摘になりました資料、あれに対して私どもも実は納得しかねておるのであります。国内に入りましてからの保管料というものは別といたしましても、少くとも買入れ価格から神戸なり横浜なりの着値段と売払い価格との差、これが国の損失、こういうふうに考えるべきだと思うのであります。実際の取扱いといたしまして、これだけを分離して、あるいは補給金の対象から除外するということは困難かもしれませんが、考え方としては、あくまでも買入れ価格と売払い値段の差、こういうふうに見るのが至当だと思うのであります。私どもといたしましては、いずれ国会に御報告する資料を集めておりますが、二十六年度中に輸入いたしました九千三百八十六トン、これは黄変米を含んでおりましもん米で安く売つた分であります。これに対しては、約二億一千二十四万円の損、買入れ値段は五億二百六十一万円であります。五億二百六十一万円に対して二億一千二十四万円損をして売つた、こういうふうに了解しております。それから二十七年度輸入いたしました黄変米が、一万三千百七十二トンでありますが、これに対しましては、買入れ価格か九億七千四百万円であります。この九億七千四百万円に対して六億四千万円損をした、こういうふうに考えております。先ほどの二十六年に輸入しまして、現在この席上で問題になつております、日本糧殻等を通じて三度にわけて払い下げました九千三百何トン、これに対しては二億一千万円損をした。それから二十七年度輸入いたしまして、二十八年度にこれはこの前の席上でもいろいろお話が出ましたように、菓子の原料とか、アルコール原料、こういうもので売りました一万三千トン余り、これに対しましては六億四千万円損をした。合計いたしますと八億五千万円の損、こういうふうに私どもとしては了解しております。
  51. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと会計検査院に聞きますが、あなたの方は、たとえば食糧庁が日本糧殻へ黄変米として売りますね。そのきの値段と日本糧殻が中間会社としてもうけた利益金など調べたことがありますか。
  52. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 あります。
  53. 田中彰治

    田中委員長 どのくらいの利益がありますか、それを調べていただきたい。それから査定しますね。その査定はどんな方法でやつたのですか。
  54. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 委員長も十分御承知と思いますが、さしでちよちよいと数箇所を点検するわけであります。それでその中に黄変米が出て参りますと、全部ではありませんが、一部を食糧研究所に送りまして、そして詳細な調べをするわけであります。そしてある麻袋の中で、そのさしでとつた分の一〇%とかあるいは二〇%とか、こうなるとその麻袋は全部だめにしてしまうのです。
  55. 田中彰治

    田中委員長 だれが立会うのですか。食糧事務所長がやるのですか。東京からでもだれか行くのですか。会計検査院も立会うのですか。
  56. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 会計検査院は行つておりません。食糧庁から行かれているかは存じておりません。
  57. 田中彰治

    田中委員長 それをひとつ調べてもらいたい。ただ一事務所長が、さしでもつて差して黄変米を決定するということは、私はおかしいと思います。それからもう一つ、あの南京袋にさしを入れたらあとこぼれてしまう。俵と違つてさしを何箇所も入れられぬと思いますが、そういうのをどうしてやりますか。あれにさしを入れてごらんなさい。みな穴が明いてしまつて、四箇所も入れたら、南京袋は役に立たなくなる。どういうぐあいにさしを入れるのか。特別なさしがあるのか。普通の俵に入れるような、昔のさしを使つているのか。そういうことを会計検査院が調べられないと、ほんとうの正体は出て来ない。南京袋にさしを三箇所も四箇所も入れたらつ、南京袋は使いものになりませんよ。それをどういうぐあいにしているのか、その点調べていただきたい。私は三箇所も四箇所も入れるのはおかしいと思います。そういうことについて、私の方から公文書であした出しますから、会計検査院の方で行かれて調べ報告してください。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、黄変米によつて国のこうむつた損失は何ほどでありやということは、あす委員会が開かれるならば、あすの資料に基いて、なおこれを明らかにすることにいたしまして、この点は保留して進みたいと思います。そこで長官に聞きたいのですが、あなたの方では黄変米というものは人為的にいずれかが責任を負うべき関係にあるというふにごらんになるのか、それとも天災、不可抗力等によつて所有者が責任を負わなければならぬというような見解なのか、その点はどうなんです。
  59. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、これはこの前も申し上げましたように、ビルマ政府と日本政府との契約及び日本政府と取扱い商社との関係、この二つの関係になると思いますが、この点につきましてはその契約ビルマ政府に対して追究するという手がかりはございませんし、また取扱い商社におきましても故意または重大な過失という点の契約に該当するということにもなりませんので、これは買いました食糧庁責任だというふうに考えるわけでございます。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 買いました食糧庁責任に帰するということはいつきまつたのですか。そういうことはあなたがきめたというのか、前の食糧庁長官からの引継ぎなのか、あるいは農林大臣がそういう方針をきめたのか、それとも食管法等の法律の根拠にもあるのか、閣議でもきめたのか、それはどうなんですか。
  61. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げますが、この点につきましてはビルマ政府との契約、商社との契約等を検討いたしまして……。私としてはそういうふうに考えております。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私としてはですか。私として、以前にこの事件がずいぶん起つておる。むしろあなたが住官せられてからは割に少い。そこで前もそうであつたのかどうか、前はそうでなくしていろいろ議論があり交渉があつたのだけれども、いまだ追いつけないというのか、その辺はどうか、趣旨はこういうのです。――お答えができなければ、どうせ大臣も来てもらいますからそのときででいいのです。
  63. 前谷重夫

    前谷政府委員 以前の場合におきましても責任の所在と申しますか、この点につきましては前長官におきましても――さらに速記録を見なければなりませんが、同様の見解を持つてつたのではなかろうかと私は推測いたしておりますが、さらに詳細に調べて御報告申し上げます。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと黄変米というものは無条件に国家が損をしなければならぬという御見解なんですか。
  65. 前谷重夫

    前谷政府委員  この問題につきましては契約面等におきましてその当時におきまする食糧事情あるいはビルマ側のセイラース・マーケツトというふうないろいろな事情があつたわけでございまして、それに基きまして契約上の購入決定につきまして、日本側が強く当れなかつた点があつたのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは過去において非常に大量にあつた、今はやや少くなつておる。ところが過去においてもわれわれの計算によるとすでに十億円の損失を生じておる、今後も断続してさらに黄変米が出る形勢である、伺とをなれば最終のこの報告によつても出ておるのでありますから、そういうものでありますので、この莫大な国損というものを無条件に国民が背負い込んで行くというようなことにするには私どもはあまりにも態度が慎重を欠くのではないかと思う。幾らでも予算があるんだという考え方ではとんでもないことだ、六千億円から持つておる食管会計であるから十億円の損ぐらい何でもない、へいちやらだという考えが底流しておつたらたいへんです。でありますので、無条件にわれわれは国家の担として認めなければならぬのかどうかということを尋ねるのです。ことに、あなたは前会からの説明によると、派遣員をやつておると幾らかそれが改善された跡があるということ、並びに外交官筆による折価もやや効果があつたような説明資料も出ておる。こういうことになるとかなのりその原因は人為的関係に要因するものが多分にあるのではないかと見受けられる。さような場合にそういつたように一々国家が損としてしよい込んで行く、損だ損だと言つて行くと、いたずらに悪商人の乗ずるすきを与えることになる、いたずらに予算が紊乱するすきを与えることになるということを憂えるのです。そういうことになるがゆえに無条件で掛を背負い込んで行くというのかということを聞いておる。
  67. 前谷重夫

    前谷政府委員 ただいまの吉田委員お話がございましたように、だんだんにビルマ政府に対しまして相当強力に交渉いたしまして、これにつきまして契約条項をだんだん改めて行つたわけでございます。これはその契約条項に従いまするとビルマ政府に対しまして(吉田(賢)委員「そこはわかつているからいいです。」と呼ぶ)これを契約によりまして追究するという方法がその当時のあれではむずかしい、その契約条項を改善して進んで参るということに努力している次第であります。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題もなお問題はありますが、その点これで保留しておきます。それからその処分のことについて伺いたいのです。第一少し具体的な例から入つてみようかと思いまするが、すでに国会におきましても問題になつており、世上新聞に喧伝せられましたので、被害等についても和歌山地方におきにましては相当配給米、やみ米については消費者は非常に恐怖の念を持つて迎えた例の東洋醸造の事件であります。東洋醸造は今年七月の大蔵委員会の席上でありましたが、小川君の質問の際にもすでに検挙後であつたように思うのであります。この検挙は検察庁が手をつけあるいは起訴されて公判になつた。これはいつになつているか存じませんが、食糧庁の方では私の方にはその不正に関与しているものはない、こういうような国会答弁もあるのですから、いずれその辺について詳細お調べになつていると思うが、その時期はいつなのです。
  69. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。この東洋醸造の横流し事件につきましては、御指摘のように和歌山県で問題になりました。さつそくわれわれも調査いたしたわけでございますが、その当時におきましてはまだ公判も開かれてないで……。(吉田(賢)委員「だがその時期が問題だ、その時期を尋ねる、検察庁が調査した、事件を起訴した時期、公判の時期。」と呼ぶ)その調査した時期につきましてはただいま手元に資料がございませんから、後刻御報告申し上げたいと思います。
  70. 田中彰治

    田中委員長 こういうような国民がみな配給米をもらおうと思つて税金を納めているのですから、こういうような事件がわかつたときには、あなたの方も慎重な態度に出ないと、これはほんとうに大きな問題にしますよ。
  71. 山田長司

    ○山田(長)委員 今の横流し事件については、この間も実はちよつと私発言したのでありますが、非常に国民が食糧の問題には関心を持つているだけに、この問題が一応やはり新聞に伝えられているのでありますから、一体和歌山に横流しをした東洋醸造の黄変米と称する米はだれが食べても何でもなかつた、それがさらに和歌山、大阪、神戸、京都、広島、愛媛の二府四県にわたりて東洋醸造に払い下げられた米が次々とやみ流しされている。これに携わつた検事が、和歌山からさらに大阪に転勤を命ぜられている、こういう事実があるわけでございます。こういうことについても食糧庁として十分な強い――これらの次々流れて行つた経路なりあるいはこういうところへ将来も――この糧穀会社の取締役の中にも東洋醸造の人がおるわけですから、こういうことで国民に多大の迷惑をかけておるのに、それが追究されずにおるということは、実に私たちとしては心外なんです。そういう点について調査をする場合に、十分調査をした形で報告を願いたいと思うのです。
  72. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えに申し上げます。実はわれわれとして東洋醸造に対して売却をいたしまして、そのものが横流しになつて和歌山の卸業者に行つた。この事実が二十七年の六月二十六日にわかりましたので、それでその検富の状態をいろいろ聞いたわけでございます。われわれが承知いたしておりますのは、東洋醸造とその取扱人である有働という人がやつたんだということで、両者の問における責任の所在というものが公判において問題になつてつたように聞いておるわけでございます。そのほかの点につきましては、われわれ調査いたしましたが、御承知のように食糧庁で取締りの手を持つわけではございませんから、その点が明確にし得ないわけでございまして、その次の売却の場合には、国税庁と協議してこれを落したということになつておるわけであります。
  73. 田中彰治

    田中委員長 委員ちよつとお諮りいたしますが、あした法務大臣と刑事局長を呼びましようか。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さようおはからい願います。
  75. 田中彰治

    田中委員長 それではそういうことにいたします。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところで長官に伺いますが、この資料によれば、東洋醸造に売つたのは去年の五月の三十日であります。そこで黄変米の混入率は三〇%ということになつております。ところが一%以内は食糧にする。しかしそれでもいかんというのが厚生省の公衆衛生局長の見解なんです。従つてなお配給は禁止されておる。一%以上一〇%以内は蒸溜酒用に流されている。一〇%を越えると、さらにそういうものにも禁止されて、工業用のアルコールになつておるということにもなつておるようであります。さようになると、これは非常に危険だ。三〇%のものが一般に食糧に流されて、和歌山へ流されておるということになりましたならば、非常に危険なんだが、それは食糧庁としてはたいへんな事実が発生したのでありますから、人間の食糧には不適であるとして二束三文に売り渡してしまわねばならぬというようなもの、しかも小川委員説明によると、数字が若干違うかもわからぬけれども、三千七百余トンということになつております。いずれにいたしましても、三〇%混入して人間の食糧には絶対に適しない、人間の食うものでない、肝臓が冒されてしまう、ねずみが死んでしまうというようなものが、和歌山県、広島県等々にあちらこちらと配給された――というよりも、やみで流れて食糧なつたということでありますからたいへんであります、そこで食糧庁長官は、こういう重大な、公衆衛生上きわめて危険視すべき事態が発生したに対しては、相当調査をされたことを思うが、それはいかがですか。
  77. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。その事実を承知いたしましたので、食糧事務所におきまする売却状態、輸送証明の発行状態、それから引渡し場所というふうな点について調査をいたしたわけでございますが、その通り行われまして、途中で横流しをされたということになつたわけでございます。これにつきましてはわれわれとしてもそういうことがあつたということは非常に遺憾に存じておるわけでございます。この問題につきましては、現実に払い下げましたものが、先ほども申し上げましたように倉庫売却いたすわけでございます。それから先に対する追究と申しますか、現実に払い下げられたものがその工場に到着したかどうかというふうな点につきまして、その直接の監督官庁であります国税庁とも十分連絡をとつて、相互に発送、到着についての連絡を密にして、横流しのできないようにいたしたいということで協議をいたしているわけであります。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは横流しの発展を聞くんじやないのに、有毒にして人間が食うべからざるもの、ねずみが死んでしまうようなものがあちらこちらに数百トンか数十トンかまき散らされたというようなときには、横流しの事実の探査ということ以上に、人間が被害を受けている事実の有無を調査せなくちやならぬ。ねずみによつて検査するのもいいかもしれませんが、何千トンのものが数府県にわだつてまき散らされたというときには、生きた証拠実験要素ができているわけである。そういうあとは、日本の国の数千万トンの食糧を管理する食糧庁長官といたしましては、厚生省にまかすのではなしに、いち早く飛んでで行つて、和歌山県においては被害があつたのかなかつたのか。もし被害がなかつたということであるならば三〇%混入のものを食うて死ななんだ、病気にもならなんだ、被害の反応がないということであれば、また別の観点から研究しなければならぬ。つまり好個の資料が不幸中に発生しているんだから、今の横流しの有無を調べるという形式的なことでなしに、実質的に相当調査したはずだからお尋ねするのです。調査しないということはあり得ない。
  79. 前谷重夫

    前谷政府委員 和歌山県におきまして横流しというのは承知いたしておりますが、五百トンでございます。その他の地方に対する横流しは承知いたしておりません。ただ、ただいま吉田委員お話のように、これが一般消費者に配給されてどういう現象を呈したか、これはわれわれとしてももちろん関心のあるところでございますが、御承知のように、この黄変米につきましては、肝硬変で肝臓に異状を生ずるということで、外見的にただちにどうというふうなことでなく、今までの研究によりますと、相当長い期間たつて影響を生ずるということに厚生省の方でもいわれているわけであります。外見的にどうという形にはすぐには現われない。肝臓に対して肝硬変を来すという事実は証明されているのでありますから、外見的にどういうふうになつたかということ、また現実にこれが変化を起したと、いうような事実は、すぐには現われていないわけでありますから、これを調査することは困難だろうと思います。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらあなたは日本の全国の食糧、米麦について管理する権限があるし、責任がある。だから人間が食うた場合に、これが被害の状況について、ただちに反応があつてもなくても、ただちに病気が起つても起らなくても、すでに一年数箇月を経過しているのでありますから、その配給を受けた人、食うた人ぐらいは調べて、そういうことについて万全の措置をとつて、その結果のいかんを探求して行くということが、これはある意味における管理の責任を果すゆえんだと思う。なぜ今日までそういうことをしなかつたのですか。
  81. 前谷重夫

    前谷政府委員 もちろん食糧管理の面からいたしまして、末端までそういう病気がどういうふうな状態なつたかということを調べなければいかぬじやないかという仰せ、ごもつともではございますけれども、現状の問題といたしまして、個々の消費者一人々々についてわれわれがその状態をどういうふうに調べるかということは、医学的知識もございませんし、われわれとしてはちよつと何とも今いたしかねるのじやないかと思います。
  82. 柴田義男

    柴田委員 関連して………。先ほど大蔵委員会の方がございまして、急いでいて、ちよつと伺うことを伺いませんでしたが、いろいろな方面にいろいろな種類にわたつてこれを払い下げておりますが、たとえば東京都知事の指定するものといつて、お菓子屋さんがずつと並んでおります。それから国税庁の長官の指定するものとして、蒸溜酒等の各酒造会社が並んでおる。それから何々知事の指定するもの、あるいは通産省の指定するものというように、いろいろの種類にわかれておりますが、こういうことで何か特別の地位にある所管庁なり、あるいは何か大きな経済力のある経済団体なりが、指定をいたしました場合には、どこへでも食糧庁がこの黄変米ということにいたしまして、われわれ黄変米というのは全部がほんとうの黄変米じやないとすら考えておりますが、そういうような形において、払下げを常におやりになつておるのであるかどうか、この点を伺いたい。
  83. 前谷重夫

    前谷政府委員 この黄変米売却につきましては、このものが二十七年に入つてつたわけでありまして、それを別に取除いておき、その内容につきましては、パーセンテージ別に仕訳をいたしたわけでございます。そして厚生省と協議いたしまして、一%以内のものは菓子用、しかもこれについては温度二百度以上の処理を要する方法によつて、たとえば粟おこしというふうな特殊の用途のものに限るということになりました。それからその次の段階のものは蒸溜酒、その次のものは工業用と、こういうふうに段階をわけて、混入率によりまして処分方法を協議したわけでございます。その処分方法に従いまして、現在在庫しておりますものを特別の配給で別個出しておりましたが、それをさらにそういうふうな段階別に仕訳けたわけでございます。仕訳けましたものにつきまして、菓子用につきましては、各都道府県に割当てまして、かつ各都道府県の知事がその設備を持つ業者を指定した場合に、そのものについて売却をいたしておるわけでございます。
  84. 柴田義男

    柴田委員 そういうりくつは一通りわかります。たとえば一%以内の混入物は、東京都知事が指定いたしましたお菓子屋さんに行く、あるいは各県の知事が指定するいろいろな業者にこれが配給になる。一%の混入率のものであれば、たとえばこの表でも明らかでございますが、菓子用といたしまして、トン当り五万円、それから蒸溜酒用としては二万六千五百五十円、それからアルコール用といたしまして愛知県に行つておるものが一万五千五百七十円、このいう金額の非常な相違がございますが、これに対する説明はおそらく食糧庁では、その混入率のいかんによる、こういうお答えがあることはもう想像されます。しかしわれわれが追究いたしておりますのは、日本糧穀に対しましては、二万八千円から二万九千円で払下げをやつておる。しかも日本糧穀に対しては、随意契約でこれを払下げをやつておる。そうして一面今度はアルコール工場で面接これがとつたのかどうか知りませんが、一万五千五百七十円で通産省官営工場がもらつておるものがあるのであります。面接おとりになりますれば、通産省が一万五千五百七十円でとつていながら、日本糧敷から何を好んで三万円以上で仕入れたのか、こういうことを今度は通産省に伺いたいのであります。
  85. 渡邊五六

    渡邊説明員 二十六年度黄変米につきましては、食糧庁から日本糧穀にはトン当り二万八千六百三十四円の払下げ価格となつておりますが、これはその当時のアルコール原料が一般に物価高でありましたので、この払下げ希望価格を算出する際には、菓子原料の澱粉かすと切りぼしかんしよを混合仕込みした場合に、どの程度原料代がかかるかという点から逆算しまして、出し価格でございます。先ほどお話のありましたトン当り一万五千五百七十円というものは、われわれ承知していますのは一万六千百二十円でありますが、この価格は、今年の輸入精密の価格から逆算して、払下げ希望価格出したのでございまして、昨年度と今年度の払げ価格の算出根拠が違つておりますので、こういう価格になつておるわけであります。
  86. 田中彰治

    田中委員長 会計検査院の方、日本糧穀の利益計算ちよつと話していただきたい。
  87. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 先ほど御質問がありました日本糧穀の手数料でありますが、アルコール会計に置きました分、四千トン余りでありますが、これにつきましては、当初の計算は二百九十三万円、こういうことになつております。それから国税庁の要請によりまして、民間の醸造業者に売りましたのが、百三十万円ほどになつております。実際にはこれはあとで売り払うときには、食糧庁が負担することにはなりませんで、アルコール側が、買手の方で負担した、こういう形に書類は整理されております。
  88. 柴田義男

    柴田委員 非常に金額相違が大きいように見受けられます。たとえばわれわれが持つておる資料では、二十七年度黄変米売却実績、こういう資料を見ましても、アルコール工場だけに日本糧穀からまわつておる量が、金額にいたしましては一億二千万円ばかりあります。これは一口の問題で次の問題は、北海道、東京、兵庫、愛媛等から出ておりまする分は、一億四千四百九十九万二千円あるのであります。二億数千万円の金額でありますが、今のものはどういう金額お話でございましよか。
  89. 小峰保榮

    ○小峰会計検査院説明員 今私が申しましたのは、二十六年度輸入いたしまして、二十七年度売却した分だけであります。先ほど柴田委員がおつしやいましたように、これはアルコール分だけで総額で一億四千五百万円になつております。これに対しまして、先ほど申し上げましたように、約三百万円というものが、手数料として当初予定されたわけであります。実績はこれを大分違つておるようでありますが、当初売るときに、価格算定上予定されました手数料が、今申し上げたものであります。後ほどの分は、二十七年度輸入の分じやないかと思います。
  90. 柴田義男

    柴田委員 先ほど通産省の方から年度が別になつて輸入価格相違するから従つて全額が違うんだ、こういう御答弁がございましたが、しかし二十六年、七年度に一トン当り三万円以上で日本糧穀から買入れておつて、今年度はわれわれの資料では一万五千五百七十円、こうなつておりますが、こういう金額で約半分だけ輸入のトン当り金額は相達しておりましようか、二十六年度には大体輸入別によつて売先によつては多少の相違がありましようが、大体の標準は一トン当り七万八、九千円とわれわれは記憶しておりますが、昭和二十六年度、二十七年度、二十八年度の概略でよろしゆうございますから、一トン当りの輸入金額、それからそのトン当りの輸入金額はどこを標準として買つたのか、こういう点を食糧庁長官からお答え願いたいと思います。
  91. 前谷重夫

    前谷政府委員 輸入価格につきましては、これはCIF価格建前といたしておるわけでございます。このCIF価格は、ビルマの場合でございますと大体百七十ドル程度と考えております。これはビルマ政府が決定いたしておりますので、年度につきましては大したかわりはございません。
  92. 田中彰治

    田中委員長 柴田委員ちよつとお聞きしますが、一方幾らというのは直接買つたのですか、やはり日本糧穀から買つたのですか。
  93. 柴田義男

    柴田委員 この資料ではちよつとわかりません。
  94. 前谷重夫

    前谷政府委員 二十七年度に入荷いたしましたものにつきましては、二十八年度売却いたしておりまするが、これは直接指示者に勢約いたしましておりますし、また日本糧穀等は全然通じておりません。
  95. 田中彰治

    田中委員長 そうしますと、さつきあなたは直接政府から政府へ売れないのだということをおつしやておつたんですが、今直接売つておるではありませんか。
  96. 前谷重夫

    前谷政府委員 契約につきましては直接契約をいたしたわけでございますが、引取りは通産省の方におきまして、具体的に入札制度によつて引取りをやらしたのでございます。
  97. 柴田義男

    柴田委員 今のはドル計算でございますか、大体輸入価格の標準は何ドルでございますか。
  98. 前谷重夫

    前谷政府委員 CIF価格といたしまして百七十ドルです。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 東洋醸造の件ですが、一昨日の長官答弁によりますと随意契約をする場合、知事の指定する者に売つたというようなときには、横流しをすることを防ぎたいのであつてと、こういう御説明があつた、ところで東洋醸造がすでに昨年の六月に不正が発見せられて、そうしてその後公判になつて、公判進行中であるにかかわらず、本年の八月の十七日にさらに百七十三トンを随意契約で東洋醸造に売つておりますが、これは実に重大な過誤であると思いますが、なぜこういうことをしたのですか。
  100. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答えいたします。われわれといたしましては、アルコール用につきましても、醸造用につきましても、その売却先につきましては、全数量をそれぞれの所管官庁に御通知申し上げまして、その工場別の配分は所管官庁からの指示によつてつて参るわけでございます。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 随意契約をなぜしたか、知事の指定する者に売るということはどういうわけかという私の問いに対して、それは横流しを防ぎたいと、こういう答弁があつた。ところで東洋醸造は不正横流しのために検挙せられて公判中なんです。あなたは就任後本年八月十七日になつて、さらに百七十三トンの随意契約をしておる。所管官庁通知してあなた自身はなぜこんなことをしたのか、所管官庁責任を言うのではないのです。
  102. 前谷重夫

    前谷政府委員 お答え申し上げます。われわれといたしましては、工場につきにまして所管官庁と協議いたしまして、そういう横流しをするおそれのないようにということで、まいたその監督の方法等についても所管官庁と御協議いたしまして、そうして所管官庁から御指定のあつたものにつきまして契約をいたしたわけでございますが、その横流しにつきましても、われわれももちろん十分注意いたしますが、同時に所管官庁といたしまして、その点についてそういうことのないように監督を願うということになつております。
  103. 田中彰治

    田中委員長 ただいま本会議が開会されましたので、本会議が済むまで暫時休憩いたします。     午後三時十七分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は開会に至らなかつた