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下田政府委員 私も国民
政府にはいろいろ事情もあることでごいましようから、大臣が言われますように、あまり
日本側としてむきにな
つて取上げない方がいいのではないかと思うのでありますが、しいて法律的の見地をここから言えということでございますから、その限りにおいて申すのでございますが、仰せのようにポツダム
宣言には何も奄美大島のことは書いてございません。御承知のように
日本の領土は、本州、北海道、九州及び四国並びにわれらの決定する諸小島に限定せらるべし、つまりポツダム
宣言の
署名者が代表する
国々が決定する島々に限られるべしというだけでございます。でございますからポツダム
宣言の限りにおきましては、これは将来どうなるかわからない問題であ
つたわけであります。ところが平和
条約におきまして、平和
条約は多数の国の結んだ
条約でありますけれども、それに第三条で、「
日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島」——「
日本国は、」と言
つております。でございますから、
アメリカのみならず四十数箇国の連合国は、奄美大島を含む南西諸島についてものを言い得るものは
日本国であると言
つているわけであります。つまりもし中国のものでありましたならば、中国は何々するという書き方で書き、また
日本との平和
条約でなくて中国との
条約できめるべきであります。ところが平和
条約で「
日本国は、」と言
つて、奄美大島を含む南西諸島の
関係を言う地位にあるのは
日本国であるということははつきりしております。これは
アメリカだけでなく多数の連合国が、南西諸島の地位については
日本国が主体としてものを言わなければならないということにな
つている。そこで平和
条約ができます前から
日本は歴史的、民族的、
経済的、地理的の角度から、奄美大島を含む琉球大島を含む琉球と
日本との密接な
関係について、十分の資料を提供しておりまして、そうして連台国側の注意を喚起いたしております。その結果「
日本国は、」ということで第三条に書いたのでございますが、なおダレス長官は御承知のように、第三条のさらに上におきまして、
日本が絶対主権を有するという趣旨の声明をいたしております。でございますから、これは何も
アメリカと
日本だけの問題でもなく、多数の連合国間にもうすでにセツツルされている問題じやないか、かように私は思うのであります。