○長崎
説明員
国鉄労働組合におきましては、いろいろな点でいわゆる闘争と申しますか、最初は二十日から二十五日までの遵法闘争、それから今や
つております一日から二日、三日ということだそうでありますが、それは賜暇戦術ということでございます。このいずれも、
組合としては全面的にわた
つてということではなくて
部分々々を指定して、そうしてその職場内においての遵法闘争あるいは三割賜暇闘争ということをや
つておるのであります。しかし御承知のように、
国鉄は長いつながりを持つずつと連絡がある仕事でございますから、たといそれが一
部分でありましても、全体に大きな影響を及ぼすことは明らかであります。今行われておりますものを見ますと、最もはげしいのは広島と東京でございます。広島は広島の駅、車掌区というところにピケラインを張りまして、賜暇の
完全実施というようなかつこうにな
つておりましてそれがやや行き過ぎたと申しますか、賜暇闘争それ自体が非常に問題になるわけでありますが、その三割という概念がさらに大きくな
つたようなかつこうでありまして山陽線における貨物列車はほとんど半分以下に低下いたしております。これは非常に大きな事態であります。この繁忙時に貨物列車がとま
つておるということは、これは今すぐには結果は現われませんが、やがてこれが一週間なり二週間なりた
つて参りますと、その影響が相当大きく私は響いて来て、やがては国民の
生活の土にも大きな影響を及ぼすのではないかということを非常に憂慮いたしております。その次に大きいのは東京でございます。東京の機関区においての賜暇戦術、これによ
つて非常な遅れはございますけれ
ども、今、のところ数本の旅客列車を取消しただけで、旅客列車については今日までのところそう大した影響なしに本数だけは出しております。けれ
ども御承知のように非常に遅れて、ある列車によ
つては二時間も遅れるというふうな状況でございまして、非常にこれもお客様方に御迷惑をかけておる次第でございます。その結果、東海道線、東京方面においてはどういう影響があるかと申しますと、貨物列車を多数運転休止いたしまして、旅客列車を動かしておるというふうな状況でございます。昨日までの状況はそういうことでございますが、今日もやはりそのような状況が続いて行くのではないかという見通しでございます。明日も、これが好転してくれればよろしいのですが、あるいはそうでなくて、だらだらと行
つてしまうのではないかというふうなことを非常に心配いたしておる状況でございますので、私
どもとしてはあらゆる面で、この闘争に入ります前に
団体交渉を持ちまして、そうしてこういう非常な混乱を来すおそれがあるような事態に入らないようにできないかということを
考えたのであります。
それについては、今私
どもの口からそういうことを言えるかどうかわかりませんが、思い切
つて言いますと、年末手当というようなものは団交をも
つてきめるのであるから、諸君の働き、これからの増収、いろいろな面でできるだけの財源をかき集めて、公務員と同じようなラインに近づけて行こうじやないかというような話で話を進めましたけれ
ども、
組合側としては、
仲裁裁定の
完全実施というラインが貫徹されない以上は、絶対に応じられないというような言い分でありましたので、それではそういう
裁定の問題は目下
政府においても案を練り、さらに
国会の
審議にもかかることであるから、その模様を見てまた新しい戦術に入
つたらどうかという意味で、少し賜暇闘争を
実施する時期を先に延ばしたらどうかということも申しましたけれ
ども、これにも応ぜず、そこで私は、こうなればやむを得ないが、しかし世間にあまり迷惑をかけない程度でやらなければいけない。いわゆる合法的な方法で進んでもらいたいということを要望いたしまして、実は
団体交渉はそれでおしまいにな
つたのであます。その後いろいろ
政府の方、
運輸大臣等にも御相談申し上げましたが、私は昨日までの状況、それから今日の状況を見ると、非常に憂慮すべき
状態にある、どうかひとつ職員の各位がこの
状態をもう一ぺん見直してあまり迷惑をかけないように、早く思いとどま
つてもらいたいという趣旨の言葉を述べておるわけであります。そしてこれにも応ぜられないということになると、事の重大性にかんが会して、われわれとしても相当の決意をする以外に方法はないというふうに申しておるような状況でございます。
非常に簡単でございますが、大体そういうことでございまして、たいへんな迷惑をおかけいたしまして、まことに遺憾でございます。