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1953-11-07 第17回国会 参議院 労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月七日(土曜日)    午後二時四十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員松澤兼人君辞任につき、その 補欠として田畑金光君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君    委員            田中 啓一君            吉野 信次君            阿具根 登君            上條 愛一君            田畑 金光君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   委員外議員            佐多 忠隆君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   政府委員    調達庁長官   福島慎太郎君    調達庁労務部長 百田 正弘君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    通商産業省企業    局長      記内 角一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (報告書に関する件)  (特需工場駐留軍労務者労働問  題に関する件) ○継続調査要求の件 ○継続審査要求の件 ○連合委員会開会の件   ―――――――――――――
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から会議を開きます。  本日は先ず手続的なことの処理決定をいたしたいと存じます。労働情勢一般に関する調査は目下進行中でございますが、今期国会開会中に調査が完了いたしませんので、未了報告書を提出することとし、文案の作成その他の手続委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認めます。よつて未了報告書を提出することに決定いたしました。なおこの報告書には多数意見者署名を付することになつておりますので、御異議のない方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     田村 文吉  田中 啓一     阿具根 登  上條 愛一     寺本 広作  堀  眞琴     市川 房枝   ―――――――――――――
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に本調査今期国会閉会中においても継続して調査することとし、議長宛継続調査要求書を提出いたすことにいたしましてその文案手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認め、さように決定をいたします。   ―――――――――――――
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、継続審査要求書に関する件を議題に供します。けい肺法案及び労働基準法の一部を改正する法律案につきましては、今期国会期間が短いため審査するに至りませんでしたので、閉会中においても審査することとし、議長宛継続審査要求書を提出いたすことにしましてその手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認めさように決定いたします。   ―――――――――――――
  8. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきましては各常任委員会の都合もあることと存じますが、審査の便宜のために、郵政委員会運輸委員会電気通信委員会大蔵委員会農林委員会通商産業委員会連合委員会を開かれるよう一応申入れたいと存じます。  なお、閉会中の連合委員会開会日時委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 異議ないものと認め、さよう決定いたします。  ちよつと速記やめて下さい。    〔速記中止
  10. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記始めて。それでは大臣が出席せられる前に、駐留軍労務者人員整理の問題につきまして、前委員会以後の情勢の経過について、政府側からの説明を求めます。
  11. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 駐留軍労務者に関連いたします人員整理概況について申上げます。  人員整理につきましては、最近になります以前に若干整理通告その他の通知がありまして、整理の行われた個所が特に空軍関係などにあつたのでありますが、極く最近になりましてから空軍以外、特に陸軍関係相当個所整理通知が出始めて参つたのであります。最近までにわかりました数は四千七百余になると思いますが、その中には必ずしもその原因となつておりますところの予算削限に関係しない、例えば季節労務者といつたような関係もありまするので、四千七百余というものが全部予算削限に関連する人員整理ということで出て参つたのではないかと思いますが、調達庁といたしまして入手いたしております数は大体そういうところになつたわけであります。これにつきまして新聞報道その他の関係で五千というような数字も出ておつたこともありまするが、米国極東軍司令部陸軍海軍空軍、それぞれ別個に最高首脳部とも連絡いたしまし今後の数字、若しくは全般的計画というようなものについてはできる限り速かに日本側通知すべき要望を伝え、又先方の持つております計画についてもこれをつきとめようとしたわけでありますが、極東軍司令部におきましては参謀次長ハンロン少将空軍司令部におきましては参謀長マクナートン少将海軍司令部におきましては参謀長マクマホン少将陸軍におきましては参謀長カーター少将参謀副長マツキー代将、こういう連中と会見いたしまして、でき得る限り正確な計画というものを聞くことに努めたわけであります。その結果によりましても、数は必ずしも正確にわかつておらないのでありますが、大体五千ぐらいであろう、なお先方において取調べるというような返事をもらつておるのが現況なのであります。この最高司令部においても、若しくはそれぞれの三軍司令部においても確定した数はわからない。と申しますことは、もともと今回の整理というものが予算削減伴つてつた。それぞれの各部隊は、削減された予算の遂行という任務を持つておる。それに伴つて方面節約若しくは米人軍属人員整理、最後にしわ寄つて参りました日本人労務者整理ということで金額を算出することが先方部隊の当面の任務だといたしますると、必ずしも元からの人員伴つて計画でもなかつたというようなことで、それぞれの司令部にも数としてはなかなか集つて参らない、こういう事情があるようであります。  そこで現況といたしましては、まあ曾つてありました空軍関係は除いてありますが、四千七百余のうち、いわゆる当面の人員整理と直接関係のない自然の減少その他を考えますると、多少数は減つておるのじやないかと思いますが、四千五、六百に近い数字であろう。これに今後出て来る数字があるであろう。これがどのくらい出るかということでありますが、昨晩まで各方面と連絡いたしました結果は、まあ五、六百出るか出んかというところであろうか。そうしますと、大体今回の整理がかれこれ五千という結果になるであろうということは了解できるところであります。そこで私どもといたしましてはこれをどう考えるかということでありまするが、現在の駐留軍労務関係人員は御承知通りかれこれ十八万五千あるわけであります。それに対しまして今回ここに五千余の人員整理という問題が起つた。その原因になりますることは、アメリカ側陸軍省の命令によります予算削減、これが先方会計年度で申しまする本年度の上半期、七月から十二月までの半期関係予算削減を十月十六日頃にワシントンから通知参つたのであります。これを十二月三十一日までの数字に合わせるために、半期会計の初期に来なかつたために後期にしわ寄つておると、こういうことになるわけでありますが、どの程度予算削減を命ぜられておるかという点が問題になるわけでありまして、この点については確実なることを申せないのでありますけれども、或る程度予算削減は確かである。三一%などという数字が実はあるのでありますが、公式にはこれだとは申しません。大体これが確かな数字であると私どもは考えておるわけであります。三一%の予算削減に対しまして米人軍属解雇若しくはその他の節約、そういう面における予算削減を図りまして、日本人労務者のほうには全般を通じまして十八万五千に対するかれこれ五千でございますから、三%をちよつと下廻るという人員減少が出て参つたわけでありまして、アメリカ側の少くとも最高首脳部が今回の予算縮減決定に対して、日本人労務者解雇という面についてはできるだけこれを避けようと努力をしたということは十分にこれは認めてやらなければならないかと考えるのであります。相当予算削減を受けておる、そういう面から計画されておる解雇数が全体のかれこれ三%ということであれば、まあこう申してはなんでありますか知りませんが、相当努力をした、止むを得ない数字であろうということが全般的には言えるのではないかと思うのであります。ところが問題は、それは全般的には止むを得ない次第でありましても、部隊々々によりましては特にしわ寄つて、その部隊に関する限りは相当のパーセンテージの人員整理されているというところもありまするし、又その一人々々に取れば三%の中に、仮に三%でありましても、その中に入れば当然の犠牲になるわけでありまして、やはり重大問題と言わなければなりません。のみならずその解雇の時期がたまたま御承知通りの年末に近付いております関係もありまして、若しもアメリカ側人員整理というものを計画的に考えることができるならば、当然に避けなければならん時期に発生して来たという意味において甚だ工合の悪い時期に出て参つた、こういうことになるわけであります。現在のところ五千、現在までつかみました数字はまだ五千になつておりませんが、そのうち相当部分について十二月十五日以前に解雇効力が発生するというケースが出て来ておるわけであります。このことにつきましては、先方予算削減措置決定が十月半ば過ぎてからのことでありましたので、いささか間に合わなかつた傾向もあるのでありますが、絶対に年末、年始を避けて欲しいという申入れを繰返しいたしまして、十二月二十五日から一月の十日ぐらいまでの年末年始の時期は避けるということになつておるのでありますが、十二月十五日というその日に、その時期にペイ・ロールにのつておれば、当然年末手当をもらえるという重要な日取りがありますので、それ以前の解雇というのが相当数あるわけでありまして、これが私どもにとりましては、全般の問題としては十八万五千の三%であれば、考えられる人員減少であるにもせよ、その中に入つてその被害を受ける人の立場から言えば、年末手当を受けて、退職手当を受けた上でやめるのと、年末手当がなくなるのは非常な相違であるというので、十五日以前の解雇はこれは飽くまでも少くとも十六日若しくはその以後に繰下げること、二十五日以降の解雇は正月を過ぎるまで避けること、のみならずそれ以前の解雇においても契約法律要請せられておるところの予告期間その他の点について手落ちのないようにという要望を再三繰返しまして、漸く極東軍司令部からは十五日以前の解雇を避けるように、解雇者には成るべく年末手当予算の許す限り出すこと、二十五日以後年末年始に亙る解雇は避けることというまあ一般的な訓令が出たのでありますが、部隊によりましてはその予算が詰つております部隊がありますために、絶対的な訓令ではない関係もありまして、今日なお十二月十三日の解雇という関係を改善し得ない部隊相当つておるわけであります。これにつきましても昨夜も陸軍当局とも相談いたしまして、でき得る限りの努力をさせるようにしつこく折衝中ではありまするけれども、解決をみることのできそうもない部隊どもありまして心配している次第であります。  なお将来の問題につきましては、大体先方の話を総合いたしますと、この整理が終れば来年度からはと申しますか、来年からは、或いは下半期の以降からは人員整理はない見込である。特にはつきりしておりますのは、海軍関係でありまして、これは行わないと言つておる。多少の問題が起つて自然退職その他の関係を以て処理して参る、こう言つておるのであります。それから空軍関係は、これは当面の整理には出て来ておらないのでありますが、この年末においては空軍関係整理はない。一月一日以降は、つまり下半期においては若干そういう必要が生じて来るかもわからないけれども、極めて少数の見込であるので、定員増加要請ワシントンにしておるし、自然退職その他の関係で処置し得る範囲内にとどめることに努力をするつもりであると言つております。従いましてこの五千に近い数の一番問題になるのは、殆んど全部が陸軍ということに当面なるわけでありますが、陸軍当局としましては、今のところ陸軍が一番成績が悪く出て来ておるわけでありますが、これが済めば、それから先の下半期以降の人員整理ということはない見込である。こういう大体ことになつておりますので、米軍に関連する人員整理も、この山を越せば先は安定するであろうというふうな大体見込であるわけであります。細かい数字その他の関係もございますが、概況を申上げると以上の通りであります。  なお、細かい点その他につきましては御指摘従つて申上げることにいたしたいと思います。
  12. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いずれ委員の皆様から質問があろうかと思いますが、一つだけ私前以て質問いたします。  それは大体この程度下半期に入り得るであろうという見通しが述べられたのでありますけれども特需工場の中にあるTOD関係などは、私実は今日も日鋼の赤羽製作所を見て来たのですが、特需労務者のほうは約四割整理されておる。はつきりした数はわかりませんが、大体そういう予定のようです。そうするとそこにあるTOD労務者もやはり関連産業でやつているのだから、大体同じような比率で将来整理の対象になるんじやないかという素人観測をして来ておるのですが、これも勿論陸軍ですが、そういう懸念はございませんですか。
  13. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 只今の御指摘のありましたTOD関係でありますが、これは赤羽日鋼にあります協力工場と、それに附随する駐留軍労務関係でありますが、先ほどちよつと申上げました十三日の解雇、年末手当をもらえない解雇について先方の再考を促し、いろいろ交渉しておるのでありますが、その中で一つだけどうやら見込がない、なお話合いは続け、当面の年末手当の問題を解決する途の発見に努めてはおりますが、一番見込の悪くなつてつたの一つあると申上げた、これがTODになるのでありますが、一方の協力工場の分が相当整理をせられるということ、それに関連して現在の八百人のみならず、それ以上に解雇が将来あるのではないかという御指摘でありまするけれども、まあこの点、それはわからないことでありまして、全体が三%程度、五千程度と申上げましたが、或いは一個所しわ寄つておる部面があるかも知れん。何分にも動機が予算削減ということでありますから、事業量減少によつて一番効果の挙げ得るところがあればそれが一番被害をこうむるということもありますので、何とも申上げかねるのでありまするが、当面のこのTOD関係に関しては、現在の八百という数をそう上廻る数が出て来るとは考えられない節があるのでございます。それは実は、十三日の解雇というのはどうも話がひど過ぎるから、せめてもう三日延期して欲しい、十六日になれば八百人全部が年末手当をもらえるのであるから、その上で解雇ということになれば事態相当つて来るのだという押問答を実は昨晩もいたしたのでありまするが、先方も、座間の参謀副長から、技術部長のシエアラーという少将ですか、これにまで電話をしてくれたりいろいろ交渉をしてくれたのですが、TOD側返事では、年末手当をこの八百人に出せるように措置する。つまり三日間延期をすると予算削減という点から金が自然詰つて来るわけであるから、金がかれこれ倍とちよつと殖えるわけです。従つてもう百三十人切らないと辻棲が合わない、こういうことを言い出したわけなんです。で、これはまあ切りたくない。従つて年末手当を払い出さないほうがいい。こういう押問答を実は昨夜繰返したような次第もありまして、更に切るということ、少くともTODに関して更に整理があるということは、そういう言葉で応酬したわけではありませんが、一応ないのではないかというふうに考えております。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 間もなく通商産業大臣が来られることになつておりますが、その間、長官に御質問がありますれば承わりたいと思います。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 長官にお尋ねしますが、まあ組合の要請によつて年末年始を控えての人員整理に対して御努力つておることは、只今のことで一応わかりますが、基本協定と、どういう考えを持つておられるのか。基本協定が全部結ばれてはおらないようでありまするが、これにははつきり発効に先立つて或る部分については事前措置をして行くというような行為がなされておるのでありまするが、それによつて交渉がなされて行くかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  16. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 基本協定との関係もあるわけでありますが、当面の人員整理については、基本協定が現在完全に発効していないが故に支障を来たすという面はさほどないのであると考えております。基本協定そのものにつきましては、その基礎となる労務基本契約の中の基本協定のみに署名いたしまして、付属書についてまだ署名ができる段取りになつておらない。従つて付属書の完了を待たなければ基本契約全体の効力が発生しないという関係にありまして、今日までできておらないということを甚だ我々としても申訳ない事態であると思つておりますが、一年有半、極端に申しまするともう二年近くかかりましてなお且つこういう状態であるということは甚だ以て困るのでありますが、折角基本協定のみはどうにかこうにか成立いたしまして、これ又例えば労働者側の見地から言えば百パーセントのものではないということは言えるかと思いますが、現状の、今までやつておりますものよりは相当の進歩であるということはもう間違いないのでありますので、これを基礎にいたしまして、手掛りといたしまして、付属書話合いのほうに進んで参らなければならないと考えております。ところが付属書自体相当分量が多く、又困難な問題を含んでおるという関係で手取り早く参らない。アメリカ側陸軍海軍空軍というものが予算上それぞれ独立にワシントンに所属しておつて極東軍司令部というものは単に統合作戦本部である。事予算に関する限りそれぞれの軍というものには一指も触れさせない。而も労務基本契約に関する事項予算処理に関する事項が非常に多いというようなことで、極東軍司令官の威力必ずしも及ばないという関係もあり、アメリカ側の案を三軍の間に調整を図るというようなことに手間取つて、我々が待たされておる、こういう状況であります。さりながら御承知保安解雇の問題を初めといたしまして、基本協定の際に我々が獲得いたしました利益というものが、付属書が遅れておるために待たせられるというのは非常に困ることであるというふうに考えますので、これの部分的の発効を取急ぐということはすでに再三交渉をいたしておりまして、極く最近に、恐らく来週早々であろうかと思いますが、通常の解雇に関する規定部分的な発効を実施するように取きめたい。なお最も重要な保安上の解雇については、これに伴う細則を定めてこれも部分実施に移したい。一応日本側の案その他も受入れまして、先方としてはこれをワシントンに目下請求中であるという状態になつておりますので、手配としては部分発効の一、二がその実現を見ようとしておる時期である、こういうふうに申上げることができると思うのであります。全般付属書進行状況が更に遅れるようでありますれば、なお続いて付属書その他の進行方法ども考えまして、部分的な効力発生ということに力を注いで行かなければならんかと考えておりますし、又できることであると考えております。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは基本協定人事管理はすでに協定されておると思うのですが、その部分については採用しなくて今までの交渉をやられた、こういうことですね。
  18. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 基本協定につきましては人事管理の面もございますが、付属書ができておりませんので、全面的にこれは効力発生をしていないわけであります。従いまして現存の人員整理の問題その他につきましては現行の制度によつてつておるということになります。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではお伺いいたしますが、予算削減による人員整理ということが言われておりますが、予算削減の率は三一%ぐらいであるということを言われておりますが、この予算削減は全部人員のほうに持つて来られたのか、或いはその他別に削減された傾向があるかどうかお尋ねします。
  20. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その点は先ほど若干触れておいた点でございますが、予算削減が三一%と、これは公式の数字ではないと思いますが、事実上の数字であると思いますが、人員整理の分につきましては仮に五千程度であるといたしますると、駐留軍労務平均給手当を入れまして月大体二万円になりますから、五千人ということは一億一千万円になる。一年に直しまして十三億円ぐらいになる。但し軍といたしましてはその給料だけでは仕事が進まないのでありまして、日本政府に対して管理費一人について四千六百二十九円ですか、そういうものを毎月払うことになつている。この関係が五千人を切ることになりますれば月二千五百万円になりますか、年に直して三倍円ぐらいになる。合計五千人の整理をするということは、年間予算に引直しまして十六億円ぐらいの節約になるということは、大体米軍駐留軍労務関係で支払いをしておりまする五百四、五十億ですか、そのうち百億ぐらいは日本政府管理費として取つておるのであります。労務者に渡るのは四百三、四十億になりますか、それのやはり節約額としては三%くらいになる。この労務関係経費というのは、米軍全体の経費のうちの何割を占めておるかということがきまらないと、この三%は全体の何%かということがきまらないのでございますが、併し大体に申しまして、三割程度予算削減をやつている場合に、労務者側に三%のしわ寄つて来たということは、それ以前において日本人労務者の一人の分として五倍くらいかかると言われております、アメリカ人たる軍属整理したとか、その他の節約図つたとか、相当のほかの節約整理が実施されて、それから後にこの三%のしわとして駐留軍日本人労務者関係に現われて参つたということが考えられるのではないか。従つて節約要請されている額のうち、日本人労務に現われる面を極力減らそうとした米軍首脳部努力の跡は見えると考えております。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 駐留軍労務者が十八万数千名おりますが、それの事故退職自然減耗はどのくらいの率になつておりますか。
  22. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) 申上げます。大体毎月今年の一月から八月までの整理と申しますか、退職者と申しますか、退職者数が少いときが二千五、六百、多いときが三千乃至四千ということになつておりますが、そのうち約四割乃至五割が人員整理或いは保安解雇というようなものになつております。約半数一千五百から二千、これが或いは故障、病気、事故等退職或いは雇用契約の終了、こういうものになつております。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 自然減耗が多いときは四千名もあるようですね。これが保安解雇その他が半分あつたとしても約二千名の人がある。もう少し下の数字を見ても一千五、六百からの人が自然減耗が月々出ておる。そうするなら三カ月くらいの期間の中に今度馘首されるような人員は含まれてしまうのじやないか。わざわざそういう五千人もの人を首を切る必要はないのじやないか、そういうような交渉をされたかどうか、長官にお尋ねいたします。
  24. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その点につきましても、人員整理というものが四千とか五千とかという数が現われて来たというときに、直ちにこちらとしても考え得べきことなんで、そういう交渉はしたのでありますが、先方のそれに対します説明というのは、これ又先ほどちよつと申上げておいたかとも思いますが、予算の縮減をワシントンから申渡されたのが十月の十六日であつて、十二月三十一日までにこの縮減をすると申しますか、結果を挙げなければ……、非常に不幸な時期に、かれこれ二カ月半という時期に六カ月分というものが、六カ月分の実績を二カ月ばかりで挙げなければならんという極端な要請を受けたがためにこういうことになつたのであつて、ノーマルならば、当然ノーマル・アトリツシヨンとか申すのでありますか、自然退職処理すべかりしものをこういうことになつて、その点は甚だ申訳ないということを先方も言つておるわけでありますが、何分十二月三十一日を以て予算の前半期を終るという関係でこういう事態なつたという説明であつたわけであります。
  25. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこでちよつと私関連質問をしますが、そうすると今度の人員整理、駐留軍労組に対する人員整理は飽くまで予算上の応急措置であつて駐留軍労務の仕事量の減少から来ておるものでないということは明言できますか。
  26. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 全般的に申しまして、今回の人員整理は飽くまでも予算上の措置でありまして、私どものつかんでおります数字の四千七百何十でありましたか、そのうちの大部分予算上の整理から現われて来たのであると確信いたしております。但しその中には若干予算削限に関係のない地方的な事態もあるわけであります。例えば北海道の千歳におきます事件、三百二十人の整理といつた事件は、これは予算関係のない事態として起つたというふうに聞いております。
  27. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと要するに自然減耗が二千から三千というのですから、恐らく今度予算上の措置だけでこういう大量整理をやつたあと仕事量が減少しないということになれば、必らず数カ月の先は人員を補填して行かなければならんと思うのですがね。仮に今度の措置米軍交渉して、どうしても解雇取消しができないとして、一応仮定した場合、そのときに数カ月後に新らしく人員が補填せらるるときに、今度犠牲になつた人を優先的に復職させる、そういう交渉はされてありますかどうかということですが。
  28. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 只今までのところ、そういう将来の復職その他の関係につきましては、話をする段階にまでまだ参つておりませんので、我我としても事態を押し戻すということに全力を挙げて、昨晩までかかつたような始末でございまして、それから先の始末を実はまだするに至つてないという事態でございます。
  29. 田畑金光

    田畑金光君 福島長官の御説明で、ちよつと不可解な点があるのですが、予算削減が三一%なされた。三分の一ですね。それは非常に大きな予算削減だとこう見られる。仮にそれが事実であるとした場合に、駐留軍労務者が三%の人員整理で済んだということは、お話のようにアメリカ側相当誠意を以てやつたということはその数字からいうと確かに言えるのですが、ところが三%の節減では年約十六億に過ぎない。然らばその他三一%の予算削減において何を削つたか、この点についてはお話を承わりますと、アメリカ側の軍人軍属等の整理日本人労務者一人と約五倍も高い費用のかかるアメリカ側の軍人軍属整理を以て充当したのだ。このようなお話でありますが、そこでこれは常識として考えて見ても、本国の軍人軍属整理するよりも、やはりこれは一応日本人を整理しようというのが私はアメリカ側からいうと当然の義理人情じやないか、こう思うのですし、日本が曾つて満洲等に行つたり何かした場合に、そのような事態に直面すれば、現地民を整理するのが理窟だと、こう思うのです。一体僅か十六億の削減にしかならんのですが、その他はアメリカの軍人軍属、而も軍人を整理するということはどういう意味か、私は不可解なんです。他に配置転換をするのか、軍人軍属整理して、それでなお三%の予算削減ができるのかどうか。その前提として一体この駐留軍関係の仕事にアメリカ側の軍人軍属という者はどのくらいいるのか。その中の一体どのくらい整理してどのくらい予算が浮いて来るのか。それだけじや恐らく三一%の予算削減にはならんと思いますが、その他の予算削減はどういう方面に向けられておるのか。その点について一つ第一にお尋ねしてみたいと思つております。
  30. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 三一%の予算減ということも向うから正式にそういう通知を受取つたのではないのでありまして、いろいろ折衝した過程におきまして三一という数字も出て参りましたので、これは大体確かであろうと考えておる数字であると申上げたつもりでございます。なお軍人軍属整理というようなことも、軍人軍属整理と申上げた覚えは私はないのでありまして、米人の軍属と、こういう言葉を使いましたので、或いは私間違えたのかも知れませんが、そのつもりでございましたので、アメリカのシビリアンの整理をされておるということは、これは事実でございまして、相当動揺もしておるという話も聞いておるわけでありまして、契約によります米人シビリアンが相当整理されて国に帰されておる。これも間違いのない事実であると思います。軍人の関係においてはどういうことが行われておるか、それは私は調べてないのであります。なおそれ以外の関係において如何なる節約が行われたかということも当然の御意見でございますけれども、そこまでは実は私も調べてないのでありまして、大体三割と言い或いは仮にこれを下廻つておるにもせよ、おおむねそれに近い予算の縮小というものが行われておるということは間違いないのだとすれば、その三%という駐留軍労務関係整理は、比率から申せば不当なしわ寄つておるとは申せないというふうに考えておりまして、従つて全般的にアメリカ軍の節約方法その他に対して追及をいたさなくても、アメリカの節約という問題の中におきます駐留軍労務におけるしわ寄せの問題というものは、整理の観点からいつて、バランスは取れておるのではないかというふうに考えまして、それ以上に追及はしていない次第であります。
  31. 田畑金光

    田畑金光君 まあ福島長官の観測は大変これは好意的な物の見方で、これも結構だとは思うのですが、常識として一年間の五百五十億の予算を使つておる、その三一%の予算削減が今回指令されて来た。その場合に三分の一の予算削減が行われるのに僅か三%の人員整理で十六億の金が浮いて来る。そのほかに今整理の対象として挙げられておるのはまあ米軍軍属だ、こういうわけでありますが、三割節減ということが本当に事実だとするならば、恐らくこれは事業分量等の縮小とかいうようなことが予測をされるわけです。ところが先ほどの長官のお話によると、事業そのものについては決して削減されるような状態ではない。このような趣旨であつたと、先ほど私は委員長質問に対してはそのような答弁であつたように聞いたのですが、それは間違いかも知れません。そこで今の福島長官の見方というものは、少し三割節減ということはまあ私妥当じやないというような筋からそのような話を行なつて来たか知りませんが、先ずそのような前提の上に立つてこれくらいはまあ止むを得んだろうという考え方で処理されておるとするならば、ここに問題がありはせんかと、こう思うのですが、どうでしようか、その点について。
  32. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) お答え申上げます。その五百五十億というものの三割節減ということを申上げたのではないのでありまして、米軍全体の経費は何千億になつておるか知りませんが、全般的な削減と、私の感じでは三割という表現が或いはそれであろうかというふうに判断したわけでありますが、そのうちの一部を占めますところの日本人労務関係の五百五十億の中には、それが三%として現われて来たということでございます。さりながらその三割と、三〇%というものが正確であるかどうか、それが正確だとすれば、或いはその十分の一の三%なら我慢できるという考え方が甘いということでございますが、それはその三〇%というものも公式に聞いたわけではありませんので、或いは正確でないかも知れませんが、はつきり感じられますことは、いわゆる削減というものが決して三%ではないということでありまして、相当それを上廻つた程度のものであるということ、従いましてその五百四十億か五十億かの駐留軍日本人労務に関する問題だけは三%の影響をそれに現わしたということは、やはりどこかしわがほかに寄つておるに相違ないと考えるということは当然できるのじやないかと考えた次第でございます。
  33. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどの阿具根君の質問に対する答弁において、今回の場合は先般大変鳴物入りで騒がれた十月一日に調印された新労務契約基本協定によつたものではなくして、旧来の制度によつて今回はこの整理がなされたというようなふうに私はお聞きしたのでありますが、若しそうだといたしますと、一体何のために新労務基本契約があれほど世論の注目を浴び、今議会においても真剣に取上げて政府に不当な駐留軍労務者或いは特需工場における労働条件の改善について要望したか、この本筋が没却される結果になろうと私見るわけであります。そこで一体付属協定書か覚書か知りませんが、これができ上らなければ新労務基本契約に基く人事条項の、例えば解雇の場合の点において事前において調整権を持つておる、こういうふうなことが発動できんといたしますならば、一体何のためにあの労務基本契約というものが締結されたのか、これを私は疑うわけであります。少くとも新労務基本契約が本文として大綱が決定された以上は、その協定の締結直後でもありまするし、勿論それは先ほどの付属覚書が同時に協定されなければ発効いたさないということになるかも知れませんが、少くとも日米両国間で困難な折衝を繰返されて、そうして労務者はストライキをやつたこういう中から生まれた新労務基本契約の大綱であるとするならば、今回の整理においても当然それは尊重されて然るべきであると、こう見るわけであります。一体当局としては、この新基本契約を飽くまで貫く、尊重させるという立場で交渉をやられたか、交渉をやつて来たが、アメリカ側が尊重しなかつたのか。この辺について一つ交渉の経過を御説明願いたいと思います。
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の問題は、ちよつと念のために申上げておきますが、この前の委員会で外務省の関協力局次長が来られて説明があつたときに、やはり議員から同じような質問がありましたが、これに答えて、外務省としては労務基本契約の相互に妥結をしたその精神というものは、契約効力の発生の有無にかかわらず、尊重せらるべきものであると考えられる。従つて今回のような工合に一方的に発表せられたことについては非常に遺憾に思う。何とか米軍側と強く折衝したい、こういう意思の表明があつたことをお伝えしておきます。
  35. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その問題につきましては、当面の通知せられました解雇というものが、例えば新らしくできておる契約上に照らしてどうかということになりましても現在の契約ではそれは適法であるかも知れんが、新契約に照らしたら適法でないという個所があるかということになりますと、テクニカルな問題としては、新契約に照らしてもこれを不当だとすることはできないのではないかというふうに考えておりまするし、又先ほど来申上げました十三日の解雇を十六日までに戻せとか、何らかの方法を講じて年末手当を払えるようにしてみたらどうかとか、或いは年末年始解雇はこの際困るとか、いろいろな面で折衝も重ねておりまして、これらの折衝というものがとにもかくにもまあ行きつ戻りつではありますけれども行われて、私どもとしては未だに十三日解雇、年末手当なしの十三日解雇というものを絶望しておるわけではないのでありますが、そういう交渉が今日この程度にまで行われておりますということも、かかつて基本契約の主文に関する協定が済んだそのあとの双方の間で協力しようという精神があればこそここまで来たのだと思いまするし、従いまして今委員長から御注意がありました通り契約の主文そのものはアネックスの発効がないが故に未だに形式的な効力発効していないにもせよ、その精神は尊重せられておるということは間違いない事実であると考えております。
  36. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと何ですか、今の御答弁の趣旨は、政府としても、従つてアメリカ側としても、新労務基本契約の精神に則つてこの解雇の問題についての処理手続をやつておるのであるという御説明であるのか、若しそうであるといたしますならば、そういうような基本的な精神に基き、而も又そのような新協定の趣旨を尊重してやつておるといたしますならば、その解決の方法等については十分政府としても責任ある今後の措置が当然なさるべきであり、又政府としても考えておるだろうと私は見るわけであります。殊にこれは政府自身が直接雇用して……、そうでしよう、調達庁契約の当事者になつておるのでしよう。そういうようなことになつているならば、政府としても当然この問題については責任を持つて一つの方針を持つておられると、こう私は見るわけであります。政府は然らばどういう方針を以ててこれに対処して行かれようとなされておるのか。今まあテクニカルな、技術的な問題についてのことは御説明を受けましたが、どういう方針を以てこれと取組んで行かれようとするのか。その点について一つ政府の今後の方針を伺つておきたいと思います。
  37. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 私どもの方針といたしましては、アメリカ側においてその事業量決定その他の必要から起つて来る人員整理が発生いたしましたならば、これを万止むを得ない程度に押しとどめること、万止むを得ない整理を許容するに至りましても、無計画解雇のために、引続いて例えば新規採用が行われるとか、或いは隣の施設においては新規に人間が募集せられておるとかいうようなことのないように、あらゆる点において調整の取れた整理でなければならない。整理計画自体にもつとはつきりした計画性を持たせるために折衝を続けるということ、並びに止むを得ず被害を受ける人たちのためには、たまたま年末に際会いたしまして、年末手当とかそういう問題も起つて来るわけでありますので、それらについてでき得る限りの措置を考究する、アメリカ側に譲つてもらつて実現させる。又アメリカ側に更に一段の努力を考えてもらうというような面についてあらゆる工夫を考えておるつもりでありまして、根本的に申しますれば、人員整理というものを納得し得る限度にとどめること、止むを得ず認めざるを得ない人員整理においては、これが調整についてできるだけの努力が払われたということにならなければならないということ、而もなおその犠牲となります労務者については公平にこれが扱われなければならないということを基礎的な態度にいたしたいと考えております。
  38. 上條愛一

    上條愛一君 関連して。長官の話を承わつておるというと、新労務基本契約が尊重されて今度の問題の交渉が行われておるというふうに解せられるのですが、それならば今度の座間の五千人の解雇の際においても、そういう解雇を発表する前に、日本の政府に対してあらかじめこれこれの整理をしようと思うがどうかというような御相談があつたかどうか、又整理をするについての条件についてもあらかじめ御相談があつて、今回の座間の解雇が行われて来たかどうかという点を承わりたいと思います。
  39. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その点は、なお、初めに申上げますと、座間の五千人と申しまするのは陸軍関係整理でありまして、四千、まあ五千と申しても差支えないのでありますが、日本全国に跨がりまする整理であると考えますが、陸軍関係のかれこれ五千人足らずということであると存じますが、これにつきましては残念ながら陸軍当局からは日本政府に対して事前に相談はなかつたのであります。新聞にちらりと出ましたときに私ども極東軍司令部に抗議を申込みに行つたのでありますが、そのとき更に極東軍司令部から、座間その他に電話をいたしまして、漸くその一部がわかつて来たということなのであります。昨日もその点について非常に遺憾であるということを、将来においては必ずこれの連絡がなければならないという話もしたのでありますが、先方説明は、五千という数字が固まつて、頭から五千ときめて全国に割当てたわけではなく、予算削減という関係から、各部隊がそれぞれ与えられた削減額を達成するために最後に人員整理というところへ出て来て、これが何人ということが集計されて四千二、三百という数にまで出て来たので、頭からの計画でなかつたものであるから連絡ができなかつたと、こういう説明であつたわけであります。その点につきましては、事前に相談するという新基本契約の精神というものから申せば都合が悪いということにはなるのでありますが、新基本契約も、そういう場合に大体起りますのは地方で起つて参るということ、これはアメリカの言う通り或る程度まで事実でありますので、新基本契約も、それを地方の現地の労務管理事務所に連絡しろということを大体期待しておるわけでありまして、中央においてはその計画がよほど大々的な方針の変更でもない限り、中央から初めに相談ができるという事態には将来とも必ずしもならないということもあり得るかとも思つております。のみならず今回の五千人につきましても、私どもが話を受けたのは新聞を見てからというふうに只今申上げた通りでありますが、部分的には地方に連絡があつたものもあるように思つておりまするし、又基本契約の要求しております十五日以前に連絡するという関係につきましては、これに違反した事件はなかつたのであります。
  40. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと、通産大臣がお見えになつておりますから質問を打切つて頂きまして……。
  41. 上條愛一

    上條愛一君 それじやもう一言、ちよつと簡単に関連して申上げたい。  私なぜこれを申上げるかというと、この新基本契約ができておるにかかわらず、中央においてそのような事前に契約に基いた御相談がなかつたということは、これは我々としてはアメリカ側がやはり新労務基本契約を尊重しておらんということだと思うのです。それから地方において部分的にあつたかどうかも知りませんが、地方においてもこの基本契約を尊重するという建前ならば、首を切る発表をする前にあらかじめ相談をして、日本の当局とこういうトラブルが起きないように、できるだけ円満に解雇ができるように相談があつて然るべきだと思うのです。然るに解雇の場合においても、人員の問題にしても、又解雇条件にしても、あらかじめこれは相談がなかつたということだけは事実だと思うのです。で解雇があつてから然る後に政府がアメリカと交渉を始めた、こういうことだと思うのです。それでなぜ私がそれを言うかというと、一体人員整理の方々にしても、アメリカの整理の方法と日本の整理の方法とは違つて然るべきだと思います。それは何故かといえば、アメリカの労務者のごときは、これはアメリカのような現在の産業経済の実情においては、賃金も平素において相当高いのであるから、これは整理されてもすぐに生活に困るという現状ではないと思う。それから又失業問題も日本ほど深刻でないのでありまするから、解雇された後における生活問題も、日本の労働者とは非常な違いがある。そういう点についてはあらかじめ相談があつてする場合においては、日本の政府当局としては当然そういうことを十分に理解せしめて、整理の方法等についても、整理後の問題についても十分日本の労務者の将来、現状を考えてやるべきだと私は考えるのです。それが折角新労務契約というものを調印しておるにかかわらず、付属協定ができないからといつて、この精神を無視して今度の整理が……、それはいろいろ長官は有利のようにお話があつたけれども、卒直に我々がこれを解釈すれば、新労務基本契約というものは尊重されておらない。調印しておるけれども発効はしておらんという理由の下に尊重しておらん。こういう状態の下において今回行われたということは、これはどうしても我々としては納得のできない点だと考えるわけです。この点についてはあとで又お伺いします。
  42. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで長官に、話が中断するといけませんから、もう一遍私から念のために伺つておきますのは、人事の共同管理の問題について、少くとも今日までの状態においては、今上條君の言われた通りに尊重されておるとは言えない点があると思うのです。具体的な事務折衝においてはですね。そこで今後調達庁としては、外務省との関係もありましようが、米軍側にあの基本契約の締結をしました精神を尊重して、協定の効力の有無に関係なしに、とにかく人事共同管理の恰好を実際にとつてゆく、こういう工合に交渉を向うとやられる用意があるか。又その場合の公算はどうかということを一つ伺いたい。  それから更に私が先ほど質問して中断しておりました、今度の整理が仮に止むを得ないとしても、将来人員の補填が行われるときには、新規採用が行われるときには、今度犠牲になつた人を登録しておきまして、そうして優先的に復職させる、そういうような向うへの交渉が可能であるかどうか、この点を先ず述べて頂きたいと思います。そのほか当面起きておる具体的な問題の処理については、私もまだ御質問したいことはありますが、通産大臣に対する質疑のあとにしたいと思います。
  43. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 只今指摘のありました第一点につきましては、私どもすでに米軍当局と話を始めておるつもりでありまして、一番やかましく言つておりますことは、日本政府とアメリカ軍との間に共同に労務管理を図つているのに相談がない。相談がなければこそ又その結果も思わしく行かないのであるということで、これはもう繰返し繰返し極東軍司令部とも話をしておりますし、それだけではどうしても将があかないということで、最近はそれぞれの陸海空三軍司令部に直接出かけて参つてその話をするということにしておりますので、すでにその面の交渉は始めておると考えておりまするし、先方も少くとも司令官、参謀長の手許においては、日本政府の考え或いは事態に対する認識というものも改まつてつたと考えておるのであります。ただ事がとかく地方各部隊で直接処理するところから始まつて来て、いわゆる人員整理にしても何にいたしましても、一番初めが地方において処理されるという関係もありまして、まだ発効してないから、止むを得ないと言えばそれまででありますが、徹底を欠いておるということは、これは争われない事実で、御指摘通りだと思います。基本契約成立の際の経緯から見ましても、どちらかと申せば陸軍海軍も必ずしも賛成せず嫌がつておるものを、クラーク大将その他の圧力を用いて無理やり通したという、我々の考え方の違いも或いはあつたのかも知れませんけれども、言うことを聞かない陸軍海軍を抑えつけて通したという関係も多少ありまして、快く思わないがために、こういうことでもないでありましようけれども、まだ下部には徹底しておらないという事実があることは争われない事実で、今後できるだけこういう点を解消して参らなければならないと考えております。  なお、委員長から御指摘のありました今回犠牲になる解雇者諸君についてはこの名簿をとどめて将来再雇用ということが考えられる際には優先的に処理させなければならないということは我々も当然と考えておりまするし、先方にも交渉いたさなければならないと存じております。又交渉いたせば納得せらるべき筋合のものであると考えております。
  44. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今岡野通産大臣がお見えになつておりますから、一応駐留軍の労務者の問題は中断をいたしまして、特需工場関係の問題に入りたいと思います。  そこでこの前の委員会通商産業大臣にお尋ねをしなければならん問題が起きたことは、恐らく意を通じてありますので御承知かと思いますが、念のためもう一度申上げます。実は只今アメリカの軍事予算削減伴つて調達庁関係駐留軍労務者に若干整理が出ておるわけでありますが、これらについてはそれぞれ事情を調査しておりますが、それと平行をして特需関係の工場の労務者に対する相当大幅な人員整理只今出ております。この前の委員会調査によりますと、特需関係労務者約三万名に対して七千五百名ということになつておるわけであります。それで我々が今まで調べておりまして非常に奇異に感じますことは、駐留軍関係労務者の場合は、業務量の減少人員整理の直接の原因ではなくて、飽くまでもアメリカの予算削減原因である。これを裏返して言えば、それだけ人員整理をすれば業務過剰になるということも言えるわけであります。従つて今福島長官が言われましたように、駐留軍労務者のほうでは、軍事費の削減が約三一%くらいに想像せられるのだけれども、日本人の労務者人員整理によつて浮いて来る経費というものは約三%程度のものである、非常に軽いという説明がありました。ところが特需工場のほうはこれと全然違うように思うわけであります。そこで通商産業省として特に特需を扱つておられる立場から申しまして、今後日本の特需というものが、今人員整理に現われておるような工合に仕事量が大幅に減少するのか、或いは仕事量というものは減少しないのか、この点を一つ明確に見通しをお聞きしたいと思います。仕事量が大幅に若し減少をするというような見通しがあるといたしますならば、逆に政府の説明によると、特需の仮に減少があつてもMSAの軍事援助に伴う付属的な経済援助によつて十分カバーし得るような言明をされておるわけでありますけれども、そういうことが果して可能であるか。今日そういうことが可能であるとすれば、特需工場になぜ人員整理が今起きて来るか、その点がどうも私どもはよく呑み込めない点であります。  それからもう一つは、これもこの委員会には直接関係のないことでありますが、貿易関係の政府の説明によりますと、輸入八十八億、輸出十二億、それから国内の外貨獲得が大体六億程度で、収支はバランスするということを言われておりますが、国内の外貨獲得の主要な部面を占めておりますのはやはり特需であつたろうと思うのでありますが、その特需が今のように減少して行く場合には、収支のバランスは取れなくなり、政府の言明とは相当違うと私は思うのであります。これらについても一つ説明を願いたいと思います。
  45. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  今まで政府の見込といたしまして、朝鮮事変が終りましても特需はこの一、二年はそう大して差はなかろうということを申しておりましたが、これは何も的確にその個々の事業がどういうふうに転換して行つて、そうしてどういうわけに行くというわけではございませんでして、今私詳しい数字を持つておりませんが、我々の見込をつけておりますのには、朝鮮の特需というものは、即ち戦争関係の特需というものは一応終熄いたしますが、併し朝鮮の復興特需というものが出ておりますので、そういうものが参りまして外貨獲得の面においては大した差はない、こういう考えを持つておるわけでございます。その点におきまして、特需というものが今までの形で、全く同じ形で続けられるものではなくて形が変つて続けられてやはり外貨が入るというふうに見ております。そのためにこの仕事量と申しますか、日本が日本人の労力並びに或いは原料も日本から仕入れるでございましようが、そういうようなものによつて外貨を得る額は大差はない。併しながらその仕事の性質というものは、私はもともと戦争中に起きた特需でございまして、その戦争に直接に必要なところの仕事量というものは朝鮮休戦と同時に減つて行く。併し今度は朝鮮を復興するために必要なところのいろいろの資材、労力というものが要る、それに転換して行く、こういうふうなことになつて行くと私は考えております。  それから貿易の見通しでございますが、只今までの情勢でございますと、どうも輸入が非常に殖えまして、最初の予定よりはもう少し、輸入が十八億ドルくらいに私は見ておりましたけれども、二十億ドルにも行きはせんか。今まで一月から八月頃までの情勢を見ますとそうなつておりまして、その点においては収支のバランスが少し、七千万ドル乃至一億くらい赤字になるぐらいだ、こういう心配をいたしております。併しまだ輸出貿易に対しまして相当努力をいたしておりますので、或いは来年の三月までの間にはこれが取返し得るかとも思いますけれども、これは単に見込でございまして、果して私ども考えておるように行くか行かんかは只今のところはつきりと言明申上げるわけには参りません。
  46. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで今仕事量は変らないけれども、現在の特需の性質が変つて来る。こういうお話でありましたが、そういたしますと只今特需工場、特に兵器関係を扱つておる特需工場は仕事が減少して、そうして兵器に直接関係のないようないわゆる復興特需が殖えて行く、こういう見通しということになりますか。
  47. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) はつきりと私はそこまで行きませんが、極く大局観といたしまして、戦争中に起きたいわゆる特需というものは何であるかと言えば、国連軍が朝鮮において戦争をしておつたというために、日本がその兵站部の一部の仕事をしておつたという意味において今まで特需が出て来たわけでございます。併しながらこの特需というものは、これは平和が参りますれば当然なくなるものと私は考えております。併しながら特需がまだ続けて行けるということは何で見込を立てるかと申しますれば、戦争の破壊によりまして非常な痛手を受けたところの朝鮮に対して、国連もそうでございますし、同時にアメリカも予算において復興の予算を取つておりますから、そういうものが日本に注文されるということになれば、恐らくそういうので買われると、こう思います。
  48. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) まあ大体そうすると私が非常に卒直にお尋ねしたのですけれども、考え方は私の質問とそう変らない。そういう考えですと、重ねて伺いますが、大体戦争に直接関係のあるような仕事が減つて来るということになりますと、只今のそういう仕事をしておつた特需工場というものの仕事量がまあ一応減るということになりますが、これについて先ほど申しました新らしい仕事をこれに付与するというような、そういう計画はございませんか。
  49. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。まあその兵器産業と若し仰せになりますならば、これは又一つの考え方でございますが、兵器産業は御承知通り保安隊に入れるところの弾丸とかライト・アーマメントというものを作る工場もございます。そこでこれが保安隊に入るものは、恐らく予算で皆様御承知通りに続いて行くだろうと思います。ただ朝鮮で使用しておりましたところの兵器、弾薬というもの、これが自然に要らなくなる。こういうことになりますから、兵器産業のほうが漸減する、若しくは減つて行くということについてはその一部分である、こう御承知おき願いたいと存じます。
  50. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私のお尋ねしておりますのは、要するにこの間も川崎にあります小松製作所、あれは全部契約がキヤンセルされまして、従業員全員解雇なつた。そこに行つて役員の人といろいろ話をしておりまというと、あそこが扱つておりました、まあ兵器の修理をやつてつたのでございますが、修理は勿論のこと、新らしく製作する能力も十分に持つている。又最近土建用の機械等がアメリカからどんどん輸入されておりますが、あのくらいのものは自分の工場で作る自信もある。こういうことを言つておりますけれども、併しどうも政府のほうの考え方がはつきりしないので、そういうような思い切つた業種の転換を計画して人員整理を避けるということは事業家としては自信がないということを非常に悲痛な表現で言つておられたのであります。従つて若しそういう恰好で只今の兵器をやつておりました特需全体が追われるということになれば、非常に外国から入つて来るいろいろな情報と合わない点があつて不安に駆られるのじやないかと私は思うわけです。一つは最近池田、ロバートソン会談の結果、私どもがいろいろ報道機関を通じて知つておるところによると、兵器のいわゆる域外買付も日本でやろうというような話まで出るようであります。又一方においては、最近武器等製造法等の法律を通じて、今仕事を現にしていないような工場も兵器の生産に新らしく入つて行くようないろいろな努力を事業家はしているようであります。併し現にこういう終戦後アメリカ軍を対象にして非常に苦しい中で特需をやつて来た工場が、今仕事の転換に当つてつておるとするならば、そういう新規の工場の育成をこの通産省がやられるのでなくて、現に今稼動をしておる工場というものについての仕事量の確保ということに格段の私は配慮をするのが至当じやないかと私は考えるのであります。その辺のお考えはどうでございますか。
  51. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お説これは至極御尤もな点でございまして、注文とか需要がどのくらいかということの見通しは、恐らく今業者のうちに十分ついていないのだろうと思います。その点は御承知通りに一部の財界では、将来MSAの援助を受ければ相当日本で武器を生産しなければならなくなるだろう。そうすれば武器製造工場を、うんと生産工場の設備を充実して大いに働きたい、こういうような考えを持つて頻りにいろいろな計画を進められておるようでございます。それから一部におきましては、又先ほども仰せのように、朝鮮におけるところの戦争が済んだためにその需要が減つて号そうして今までの設備、労働者というものが要らなくなつて参るというようなこともありまして、両方とも、結局どういう方向に日本のこういうような武器に関する生産の計画並びに行き道がなつて行くだろうかということが五里霧中なものでございますから、なかなか業者のほうでも心配が多いことだろうと思います。私といたしましては、もうお説の通りに新規のものをむやみに需要もないのに拡張するということは、これは以てのほかでございまして、そのために武器製造法というものを作りまして、余り需要もないのにどんどん設備を拡張したり、金と資材を使つて結局はその経営が成立たないということになつちや困るというようなことで武器製造法を作つたわけでざいまして、これは御趣旨と全く一致した政策をとつて行くための法律である。  それから第二段といたしまして今まであるものを成るべく利用するように、又労務者も利用するように、これはもう私も全く同感でございまして、今まで拡張設備して動いておつたところの設備というものを、これをむざむざ不用にするということは、これは勿体ない話でありますと同時に、折角或る職業を得て、そのために労務者が生活の安定を得ておつたものが、突然としてなくなるとか、若くはちよつとでもやめておらなければならんということは、これはお気の毒だと申上げるのは無論のことでございますし、社会問題としても非常に心配なことでございます。我々といたしましても、その将来のあり方というものに非常に心配をして研究をしておる次第でございます。
  52. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 大体わかりましたが、そうしますと通商産業省としては、将来の需要の見通し、時期的な見通し、或いは業種的な見通しというようなことについてはまだ全然計画が立つておりませんのか、或いはおりますのか。又非常に優秀な技術を持つているああいう小松製作所等が閉鎖をしておるわけでありますが、そういうものについて特別な行政指導をして、そうして技術の保存と併せて労務者或いは企業家の一応の安定を図つて行く、こういうような努力をせられる用意がないかどうか。又日鋼の赤羽工場のような工合に、設備万端を国から或いは米軍からか知りませんけれども、供与を受け、そうして労務者を入れて操業しておるのですが、ああいうところへ民間の需要を入れてそうして労務者整理或いはその事業の縮小を防止するというような、そういうことについて格段の措置をせられる、そういうお考えございませんか。
  53. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  将来の見通しにつきましては、実は通産省でも只今の現段階において如何なる程度の設備並びに労務者が必要であるかというようなことも研究をいたしておりますけれども、今進行中の自衛力漸増とでも申しますか、保安隊の充実、充足というようなことが今論議されておる次第でございまして我々といたしましてはあの計画が一応きまり、同時にそれに対してMSAの援助がどのくらい入つて来るか、而もMSA援助というものが完全兵器で入つて来るか、或いはお金で入つて来るかということの見通しもまだついておりませんので、将来の見通しをつけようと思いますことは、無論委員長と同じような考えを持つておりますけれども只今の段階におきましてはその見通しをつける基礎の条件が備つておりませんので、今暫らくこれは見送らなければならん、こう考えております。  それから旧来の設備は、もうすでに朝鮮戦乱始りまして約三年になりまして、相当な設備の充実もできておりまして、それが特需、いわゆる戦争の特需がなくなつて遊休設備になりはせんかというようなことになつております。それにつきましては、無論最近に決定になるだろうと思いますところのいわゆる武器生産の形が現われましたならば、それに一番に流用しなければならんと思いまして、これをよく確保し、保全して行くということには努力したいと思つております。これは一つ一つ具体的に私は考えておる次第でございませんが、そういうような方向で進んで行きたいと、こう考えております。
  54. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その池田、ロバートソン会談じやないですが、アメリカのほうとも一応交渉ができてそういう計画が一応立つという時期は大体いつ頃を想定しておられるでしようか。
  55. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 私もこれは直接その方面にタッチしておりませんのでよくわかりませんけれども、とにかく池田君が吉田の特使といたしまして向うへ行つて、向うの情勢を打診して間もなく帰つて来る次第でございまして、それを基礎にいたしまして東京で日米の間にいろいろ交渉を始めるということになりましてそうしてもうすでにMSAの協定の原則的の、いわゆる協定文の原則は大体においてこちらで検討済みでございます。そういたしますというと、如何なる計画によつて日本の自衛力を漸増するかという一事だけが残つておるわけでございます。それは池田君が帰り、日米の交渉が東京で始められる。そういたしますると、そう遠い将来にならんうちに大体の見当はつくかと私どもは考えております。その見当のつくことを通産省としては待つておる次第でございます。
  56. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと何でございますか、二十九年度の本予算には当然入るということでございますか。
  57. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 私は二十九年度予算には入る可能性が多いと、こう考えております。
  58. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからMSAの協定の内容についてはもう研究済みだと、こういう工合に今おつしやつたんですが、そうするとその研究済みのものを以て池田特使がアメリカへ行つてロバートソン会談をやつたという工合に理解していいわけですか。
  59. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) MSAの協定と申しますのは、世界各国とも大体同じような原則論を調つておるわけでございますから、その原則論は日本の国情に合うか合わないかというようなことを検討しておりまして、それからあといわゆる自衛力をどれくらいにこれから漸増して行くとか、いや何年計画でやるとかいうことが具体的にそれに挟まれるわけであります。従いまして、結局通産省が待ちかまえておりますところの協定と申しますものは、来年度予算以降において如何に日本の産業に影響するような生産をその協定の中、議定書の中に織込まれるか、こういうようなことを待つておる次第でございます。
  60. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 又ちよつとほかの面から伺いますが、実はこの前の委員会で江下職業安定局長に今後の失業状態の見通し並びに対策についてお尋ねをしたわけでございます。ところが労働省側の調査では、失業状態は大体今年の春以来ずつと保合になつてつて、暫らくそういう状態で行くように自分は考えるという報告で、ございました。これは大体完全失業者四十六万程度でございます。ところが私どもとしてはこれと意見を異にしまして、本年度の農村の不況或いは台風による西日本、全国的の被害、更に米軍の軍事予算削減による影響或いは又金融の引締めによる中小企業への打撃等を考えて、失業者は相当に殖えるであろう、もう一遍対策の建直しを願いたいというので只今再検討を要請しておるわけであります。で今の岡野大臣のお話によりますと、その全部というわけには行かないでありましようけれども、今ここに固まつて集団的に近く出ようとしておる失業者に対して労働市場を十分に与え得る見通しがあると、こういう工合に考えてよろしうございますか。
  61. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 完全失業につきましては経審あたりもやはり四十五、六万を見ておるようでございます。ただ問題といたしまして、今度の災害によりまして失業したというような者も出て来るでありましようし、今仰せのようにアメリカの予算が少くなつたため、又朝鮮の戦争に必要なところの事業量というものが少くなつたために、これが出て来たという点におきまして、多少私は失業者が出るんじやないかというようなことを心配しております。そこで私どもといたしましては、これはまあ労働大臣の御所管でもございましようけれども、併し産業面の立場からいたしまして、一番大事な労働者というものが失業のままでおるということはこれはよくありませんので、輸出貿易とかいうような方面でできるだけ人を吸収して行くようにと思いましていろいろ画策しておるわけでありますが、なかなかうまい名案もありません。ただ問題といたしまして、なおこの上に失業者が出ては困るというようなことを目先に認めまして、通産省ができるだけの、いろいろな事業が弱つて来ないように、又事業経営が崩れてしまいはせんかというようなこともないようにと思いまして、今非常に頻りに心配されていますところの中小企業の年末金融などの手当を一生懸命やつておるわけでございますが、併しこの夏やりましたように、電源開発なんかもどんどん早く着手するようにということも決定いたしましたし、又各府県の公営の電源開発事業というようなこともできるだけ早く着手するように、又仕事を進展さすと、これは間接にはやはり労働者を吸収するというような意味で、まあそういうあらゆる方面で我々の手の届くところには事業量の増加ということを進めて努力、善処しつつある次第でございます。
  62. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は、この失業問題に関連をして、岡野大臣にはまだ御記憶して頂いておると思いますが、閉会中……十六国会の終りであつたかとも思いますが、そのときに通商産業省のいわゆる産業政策というものをお尋ねしたことがございます。そのときに、勿論これは雇用量の増大ということを基礎にして私ども質問申上げておるわけでございますが、これについて、将来の日本の産業は、特需というものはこれは附録として、飽くまでも平和経済で計画を立てて行くようにしたい。幸いに経審のほうの長官も兼ねておるので、今盛んにその具体化に努力を続けておる。こういう答弁がございまして、然らばそれじや具体灘を早く一つお出し願いたいということでお願いをしておるわけでありますが、その具体案というものはもう大体できましたか。
  63. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。先般御返事申上げましたように、特需というものは、これは臨時的の仕事でございまして、日本がこれに頼つてつて、そうして正常な貿易、正常な経済自立というものができなくちや困るという意味において、私は正常な経済の発展をいろいろ考えて費わけであります。ただ問題は、あの御答弁申上げました後に、いろいろ社会の情勢を考えてみますというと、経済の自立ということが一番大事でございますけれども、どうもよく検討してみますというと、まだ本当に安定をしていないような感じがしますので、先ず安定をさせるという方策に重点をおき、そうして安定をした上で自立にますます突進する。こういうような方面で、実は三目標、四原則ということに大体の方針をきめまして、その三目標を充実し、四原則に従つて日本の経済をどうして運行して行くかという裏付をしております。即ち大きな根幹だけを打ち立てまして、これに枝をつけ、葉をつけ、花を咲かせる、こういうふうにやつておりますが、まだ葉まで参りませんが、根幹と多少の枝がついたくらいな程度計画に相成つております。
  64. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その三目標、四原則というのはどういうのでございますか、初めて伺いますが……。これはやはり労働委員会でありますから、飽くまでも日本の労務雇用量の吸収ということを中心にして御説明を頂きたいと思うのです。
  65. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 今取寄せますから……。
  66. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと、その間にもう一つお尋ねいたしますが、今起きておる特需工場関係人員整理、業務量の縮小ということは、通商産業省としては止むを得ない、不可避的なものである、現在の状態では不可避的なものである、ちよつと対策はないと、こういう工合にお考えでありましようか。或いはこれではいけないので、何とか対策を立てようというようなお考えでありますのか。今人員整理が起きておりますが、これは具体的に工場もわかつており、業種もわかつておるのでありますが、どういうようなお考えでありましようか。
  67. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) これはもう年末に迫りまして失業するなんということは、これは人生として非常に悲しいことでございます。事務当局も何とかこれは転換のできないものかと研究しておるわけでございます。併し私には只今のところ名案も、ございません。詳しくその業種並びに労務者の生活、性質というものを探求しまして、何とか考えなければならん、考えてくれというようなことにしております。
  68. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで、いずれ労働大臣においで願つて、労働大臣にもお尋ねをしたいと思うのですが、これは労働大臣だけの責任とも言えないので、やはり通商産業大臣と力を合わせて、政府として解決して頂かなければいかん問題だと思つておるのでありますが、当面年末年始を控えて解雇を予定されておる人を何とかして経済的にも精神的にも安定させるような方策を政府として考えられないか。第二には、こういう特別な職場にあつて、終戦後長年勤労をして来たという者に対して何とか特別な経済的な救済の措置というものを政府で考えられないのか。第三には、今日解雇されて行く人について、技術保存も兼ねるわけでありますが、将来個別的な救済の方法というものはないのか。そういつたような点について政府部内で緊急に特別な処置を煩わす余地はございませんか。これを伺いたい。
  69. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。これは総括いたしまして先般新聞で拝見いたしまして、労働大臣とも話合いまして、これは時も時でございますし、何とかここで労働者の熟練した技術を残して置くことも勿論お説の通り必要でございます。それから個人的には年末に職を失うという人に対しては、安心して年が越せるような措置も考えて上げなければならんしというようなことを話合つております。併し只今のところ、主として労働大臣のお考えを伺い、同時に通産省でできるだけの処置をしたいと、こう考えておる次第でございます。
  70. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 通産大臣に対して御質疑ございませんか。ちよつと委員の皆様にお諮りを申上げます。只今外務委員の佐多史隆君より委員外発言を求められております。これを認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないと認めて発言を許します。
  72. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 池田、ロバートソン会談の共同声明によりますと、相互安全保障法の第五百五十条の規定に基いて、日本に過剰食糧五千万ドルを渡すと、それの代金は積立てて日本の防衛生産及び工業力増強に使用されると、こういうようなことが出ておるようでありますが、そういうことは通産大臣としてはすでに了解済みなんですか。
  73. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。小麦の問題でございますが、これは十月の中旬だと思いますが、よく日付覚えておりません、十四、五日でございましよう。アメリカ大使館を通じまして日本にそういうことを言つて来たのでございます。その内容と申しますというと、一億七千五百万ドルを、そういういわゆるアメリカにおける過剰物資でございますか、過剰農産物と申しますか、そういうものを援助として外国に出してもいいと、こういうようなことがあるのであります。この一億七千五百万ドルのうち一億三千万ドルは欧洲向けにする。それからあとの四千五百万ドルはその他の国にすると、それで日本が欲しければ千五百万ドル乃至二千万ドルぐらいは差上げてもいいのだが、こういうようなことで返事をこの十一月十四日頃までにしたらどうかというような話があつたのであります。そこで私どもといたしましては、すぐ思いつきましたことは、御承知通りに日本が前古未曾有の凶作でございまして、食糧に苦しんでおるときでございますので、小麦をもらえれば小麦をもらつたほうがいいということになり、これは私自身といたしまして賛成なのでございますが、ただ問題点といたしまして、先ず第一に、これはいろいろの問題もございますが、値段の問題、その値段が世界の市場の最高価格を下廻らん、こういうように書いておるのであります。ところが小麦は御承知通りに小麦協定で買いますと七十二、三ドルで買えます。それから普通の市場で買いますと八十二、三ドルになる。それからアルゼンチンあたりのバーターで行きますと九十ドルぐらいになります。でございますから、日本といたしましては小麦協定で七十二、三ドルで買えるのだからそれ以上の値段は払いたくないというのが、これは私の希望でございますが、併し小麦協定に入つておりますが、それは量がきまつておりますものですから、日本が要るだけの量はその小麦協定で買うだけで足らないのですから、どうしたつて八十二、三ドルの普通市場で……少くともアルゼンチンと特別のバーター・システムでやる九十ドル前後の値段は別といたしましても、八十二、三ドル程度の値段で買いたいと、こういうようなのが私の考え方でございます。それが一つの問題点。これも交渉の上でなければわかりませんが……。  それからもう一つは船の問題ですが、持つて来るのに、やはりMSAでございますと半分は、五〇%はやはり向うの船を使わなければなりませんというようなことも書いてあります。これもまあ日本では、外貨獲得のためには日本の船を使つてくれたほうがいいわけですが、それも一つ考えなければならんということ。  それからもう一つ問題になりますことは、積立てたところのお金、即ち日本円で積立てるのでございますが、その使い方が一体どうなるのだろうか、これがはつきりいたしておりません。とにかく向うで持つて来た小麦につきましては、日本で売つたら、売つたらじやなくて、約束ではこちらで売ろうが売るまいが、日本へ手渡したときに金をやはり積立てなければならんと言いますが、それはあと先の問題でございますから、政府がいろいろ財政的の処置をすればどうにかなるのでございますけれども、果してその積立てた資金というものを如何に使うかということには、私は非常に関心を持つております。若しこれが日本の生産力の拡充のために投資されるとか、或いは日本で保安隊あたりが必要である物を日本の業者に作らして、そしてそれを買上げるというようなことなら、これはまあいいのでございますが、併し若しこれをいわゆる域外調達で、東南アジア方面にアメリカがやらなければならん生産品をその資金の中から使つて出すということでありますというと、これは消極的に申しますると、若しそれなかりせば日本として外貨を受取つて、物を作つてそして外国に出しておるということになります。それが小麦を入れてもらつたということだけで、日本の金で物を外に出さなければならんということになりますから、これは貿易土ちよつと余り面白味がないのじやないか。そんな問題がありますので、そういう問題を具体的に話を聞きまして、そうして検討して、これを受けることができるというようなことにきめようと、只今のところでは考えている次第であります。
  74. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 受けるか受けないかということをきめるというのは、もうすでに一般的な了解に達しているという共同声明なんです。それをどう使うかということがもうすでに共同声明の中に、売上代金たる円貨は、海外買付及び投資の形により日本の防衛生産及び工業力増強に使用せられるものとするということまでちやんと了解済みだというふうな声明なんです。  そこで私はこのこと自体が一つの問題だし、こういう紐付きの資金によつて、日本が軍需産業の中心に日本の経済構造が再編成されて行くという点について基本的な問題がある。この点はいろいろ論議をいたしたいと思いますが、それは他日に譲つて、ただここの労働委員会で私が特にお尋ねをしておきたいのは、そういう形で防衛生産を増強するというような計画をすでに持つておられるのか。そして持つておられるとすれば、現在進駐軍労務者と並んで民間の特需工場その他に非常に大量な解雇なり失業が出ようとしておるが、それらの問題はこの問題と関連をすれば今後どういうふうな傾向になつて行くのか、どういう方向に発展して行くのかそれらの点を御説明願いたい。
  75. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) お答えいたします。第一点といたしまして、これは声明に出ておりますものでございますが、併しこれから東京において日米両国がよく交渉をしまして、そしてこれをどうするか。私が問題といたしましたのは、日本に不利な条件を挙げたわけでございまして、これを有利にしたならばこれで行く。それからもう一つ第二点といたしまして、これによつて日本の労務者にどう影響をするかと言いますれば、私はたとえその辺の、外貨が取れないということは別問題といたしましても、それだけの金が余計出て行くのだから事業量が殖えて労務者は労働を余計必要とされる、こういうことになつて来はせんかと思つております。
  76. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうするとすでに前に御質問があつたかも知れませんが、この問題がないとすれば、今のままでは差当り人員整理なり或いは失業というようなものは、今の特需工場といいますか、そういう民間の工場あたりではどういう状況になつておるのか、どういう傾向になつておるのか。更にそれに対してはどういう対策をお考えになつておるのか。その辺は通産大臣としてのお見込なり対策はどうなんですか。
  77. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 詳しい事情はよく存じませんから、詳しいところを局長から御答弁いたさせます。
  78. 記内角一

    説明員(記内角一君) 只今の問題でございますが、今起きております問題の原因一つは、米軍のほうの軍事予算が非常に削減されたために、日本で発注し得る、車両の修理が中心になつておりますが、その車両の修理の修理代金が減つて来ておるということが一つであります。第二といたしましては、朝鮮における戦闘行為が終りましたので、その後の破壊等がなくなりまして、自然修理すべき車両も減つて来たというこの二つの原因によるものと考えております。従いまして先ほど大臣から申上げましたように、朝鮮戦乱に関連した特需という問題は逐次減少しておるわけでございますが、ただいわゆる特需の中にも一種の域外調達のような意味合いにおきまして、日本の保安隊に支給されるべき弾丸というふうなものにつきましては、従来同様に注文がついておるというふうな関係になつております。なお、朝鮮復興に伴いまして、まだ十分に動いてはおりませんけれども、例えば硫安の注文も参つておるような次第でございますし、その他いろいろな機械類等につきましても漸次いわゆる朝鮮復興特需として引合が始まつておるというふうな状態でございます。
  79. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 通産大臣は間もなく衆議院の本会議開会されますので、そのときに退席されます。御了承願います。  それからもう一点だけ、私通産大臣に、これはまあお願いと言つたほうがいいかも知れませんが、いずれ労働大臣がお見えになりましたならば、併せて申上げたいと思うのですけれども駐留軍労務者関係は政府雇用でございますから、調達庁のほうの努力によつて相当善処を願えると私どもは期待をしたいと思つておるのですが、特需工場のほうの問題は、何と申しましても私契約でありますので、うまく行かないわけであります。従つて人員整理は十八万に対して五千名というようなそういう小さな数字では今ないので、三万名に対しまして七千五百も現在出ておるようであります。更に増加の傾向があるようでありますから、これは相当重要な問題だと私は思います。そこで是非とも一つ緊急に内閣の問題として、こういう問題についてはその善処について是非とも何とか時宜を得た措置をとられるように一つ御配慮を煩わしたい、こう思うのです。でき得ますならば閣議の問題にもして頂きまして、是非とも一つ善処願いたい、こう考えますが、如何でありましようか。
  80. 岡野清豪

    ○国務大臣(岡野清豪君) 御説至極御尤もでございまして、無論正式の閣議の問題にはしませんけれども、閣僚間で私の思い付きとか何とかいうものを考えまして、そうしてできるだけそういう趣旨を徹底したい、こう考えます。  一例を申上げますれば、私は先般修理工場が閉鎖になるとか労務者が失業するとかいうようなことがありましたので、すぐ思い付きましたことは、今高級自動車を外国から輸入するのはこれは贅沢だからよしてもらいたいということを言つておりますけれども、併し自動車は御承知のようにやはり交通機関としては相当産業上必要なものでございますから、そこでアメリカあたりの中古品の自動車を輸入しますと、そうしますというと原価が向うで五万円ぐらいにしかならないそうでございます。それに運賃がやはり十七万円かかります。運賃のほうが三倍以上かかりますから。併しそれにしましても合計しますと二十二万円、二十二万円の中古品をこちらに入れまして、それを自動車修理工場で修理すれば十五万乃至二十万かければ立派な、今市価百五十万という程度のものになり得るというような、これは私の素人考えでありまして、果してその通りに行くか行かんか知りませんけれども、少くとも五万円の原価のものを十七万円で輸入しまして、そうして二十万円の修理費で一応走るようになるということになりますれば、これは恐らく原価四十五万円でございますが、六、七十万にやつたつて採算にも合いますし、又日本の役にも立つ。そうすれば結局修理という労務が日本でできるわけですから、今回のような場合に役立つのではないかというふうに考えてみたりして、日夜苦心しておるのでございます。無論仰せまでもなく、今後内閣の問題といたしましてそういう方向に邁進したい、こう考えております。
  81. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 調達庁長官が見えております。ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  82. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をつけて。
  83. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 最近の駐留軍関係労務者人員整理については、何か駐留軍の日本での駐留が漸減をして行く、それに関連をして人員整理が行われているのだというようなことも伝えられておるようでありますが、果してそういうものに基くものなのかどうかということ、而も同時に現在進展しているMSA援助との関係においてそういうことが考えられているのかどうか。例えばこの間の池田、ロバートソン会談の共同声明によりますと、日本の防衛力が増進すると共に在日米軍支持のための日本側負担を軽減することを随時考慮することに意見の一致を見た。次に、更に日本の部隊が自己防衛の能力を増進するに従つて在日米軍が撤退すべきことについても意見の一致を見たというようなことが、この共同声明の中に書かれておりますが、これらの点は具体的にどういうふうに進展するとお見通しになつておるのか。それから現在の人員整理もすでにこれのはしりという意味で行われつつあるのかどうか。その辺の事情を詳しく御説明を願いたい。
  84. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 駐留軍の将来における撤退という問題が、私ども調達庁関係におきまして重大な問題であるということは間違いないところであります。ただ併しながらこの問題についてアメリカ側と正式に私ども話合いをしたこともございませんし、又必ずしも調達庁長官の問題であるかどうかもわからないのでありますが、ほかの問題に関連いたしまして、この問題を極東軍司令部におきましてアリソン参謀長と話合つたことは一回あるのであります。それは、その新労務基本契約に関連しまして御承知付属書というものが四つあるわけでありますが、その中のかなり困難な問題に新給与、職務の職階という問題がありまして、これを新しいものを作つて古いものから付け換えるという、従つて下る者がありはしないか、下る者に対しては現給の保障をするんだ、上る者はそのままだけれどもということになりまして、これがこの現給保障という問題が付属書の中で一番困難な問題であるわけなんです。そこで私の出しました議論としては、アメリカ軍が若し近々帰るということになつておるならば、その前に新たな職階制を設けて混乱を招くという筋合ではないのではないか。新職階制というものを、旧職階制から新職階制に移せば、それによつてつたものは補給するんだ、現状のままで回復する。それによつてつたものはまさか下げはせんだろう。そうするとアメリカは予算は殖えても当面下りつこないんじやないか。ノーマルにそれが四、五年進展して行けば、或いは新職階制による利益は出て来るかも知れない。当面そういうことを考えても、予算が殖えるばかりであつて、若しもアメリカの考えておる新職階制というものが、予算削減が目的であるならば意味をなさないではないか。暫らくたつてアメリカが帰るということが前提ならば、我々としてもこういう馬鹿馬鹿しい話に乗れないということを話したことがある。その際先方の意見としては、それは理論的の問題として将来そういう問題が起る、或いは何年という間に起るかも知れないが、当面のところとしては、帰るという問題を前提として話はできないという挨拶だつたものでありますから、一応それでは止むを得ないから我々も新職階制を或る程度まで考えようというふうに現状ではなつておるのでありますが、私の、これは個人でありますが、腹の底では、やはりアメリカに帰るという問題がある以上はどうも腑に落ちない。新らしい職階制を布くというのは感心しないという考えは持つておるのでありますが、その際の相当権威のある人たちの言葉としましては、その際に帰るという問題は考えない、当面の問題としては考えないで、常時プランを立てるということにしたいということが一回経験がありましただけで、それ以外の確たる材料を持ち合せておらないのでありますが、私どもといたしましては、政府のほかの関係の機関から指示を得ますまでは、自分自身で得ました情報と申しますか、判断に基いて、当面アメリカが帰つてしまうということは一応考慮に入れずにやつて行こうと考えております。又来年度予算その他の関係で、現在は十八万五千でありますか、これの労務費の関係が来年度急激に変化するようなことがあればこつちも考えなければならないという、  一面財務関係の向きとも話をしておりまして、これも又十八万という線で来年度予算が用意されているという情報も或る程度確認しておりますので、私どもの仕事に関します限り、当面大きな意味での変化はないものという観点に立つて仕事をしておるわけであります。  又MSAとの関係という面もあろうと思いますけれども、これにつきましては私どもまだ相談を受けておらないという状況でありまして、只今まで申上げました全面的に変化が起らないというべーシスで仕事を進めてよろしかろうという判断で一応やつておる次第であります。
  85. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうすると、今の予算削減というのは、そういうことに関係なしに、ただ予算の総額として減されているのですか、どういう都合でどういう問題で予算削減されているのですか。
  86. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) どういう理由でどういう面の予算を減されたということを聞いておらないのであります。予算の総額として或る程度の制限を、制約を受けた。従つてこれを実施する場合に、日本人労務関係にも三%だた影響を出さざるを得ない、そういう説明しか聞いておらないわけであります。
  87. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうすると予算削減の結果、その予算削減の問題が全部労務者なり何なりのほうにしわ寄せをされているのか。そのほかのことで処置されていて、そういうほかの処置と均等に労務者のほうにも犠牲が及んでいるのか。その辺の事情はちつともわからないわけですか。
  88. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その辺の事情は詳しくは内容的には、項目的にはわかつておらないのでありますが、ただ予算削減量が三〇%という話の出たこともありましたし、正式に聞いたわけではありませんけれども、私どもの確認として三〇%か或いはその下であるかも知れないが、少くとも実際に私ども承知した数となつて現われた日本人労務関係の三%よりは相当上廻つたものであるということについては確信を持つておりますので、従つて予算削減関係日本人労務関係しわ寄せられたものではないということについては確信を持つておる次第であります。
  89. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうすると今のような見通しだと、十八万は固定する、それをベースにして今後のこういう雇用の計画その他もやつて行けばいいのだというお見通しだと、そういうベースで雇用の安定計画というかそういうものは十分に考えられておるのですか。
  90. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 十八万というもの一を基礎にいたしまして、アメリカ側予算計画その他もそういう点に基いておるようでありますし、私ども駐留軍労務関係は十八万というベースで安定した計画を来年以降持つて行けるものだと考えております。
  91. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうするとその十八万というのは、今後は予算削減がないということのベースなんですか。いや、今後予算削減が右つてもなお且つ雇用のほうは十八万でベースをずつと続けて行けるのだというお見通しなんですか、それはどつちですか。
  92. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 日本人労務に関しまする予算の面については今後の削減はないであろう、まあ私の話し合いました範囲内では、空軍のごときは今後の日本人の関係の労務の増加を要求しておるというようなことも申しておりますので、日本人労務に関する限り今後の予算削減はなくて済むのであろうというふうに観測しておるわけであります。
  93. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 陸軍関係は。
  94. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 陸軍関係は、今回の整理のかれこれ五千というのが殆んど陸軍関係に出て来ておるのです。それで陸軍の口裏としては、相手の口裏を一々信用するのも如何かというお考えもあると思いますが、今度の分が済めばあとはない。あとはノーマル・アトリツシヨン、自然減員でやつて行きたいということを言つておるのでございます。
  95. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうしますと、十八万のベースが一応崩されないでそのまま続くとすれば、今お話のように自然減というのも相当あるはずなんですが、その自然減として予算削減に照応する人員整理というのは片付くというような程度のものとは考えられないのですか。それ以上に更にこういうものをしなければならないということと、十八万のベースが動かないということがちよつと呑み込めなくなります。
  96. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その点は私どもも一番残念に思つておる点でありまして、五千ぐらいの整理であれば当然自然減員によつて計画的にやれば半年ぐらいの間に達成することのできる減員であるので、この時期に、而も年末に際会してこういうことになつて来るということは非常に残念な次第でありますので、アメリカ側日本政府に対する相談というものを、もつと早く行わなければならんという点を強く追及したつもりでありますが、先方の言訳と申しますのは、十月十六日に至つて初めて七月から十二月までの上半期予算についての指示を受け、それを十二月三十一日までに達成しなければならない、こういう事情に際会したので、全部が二カ月半の間に出て来ざるを得なくなつたんだという言訳を聞いて、実は止むを得ないということに今なつておるわけなんでございます。
  97. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 余り止むを得ない理由とはどうも納得できないのですが、若しそういうことになると、あれですか、退職に対してのいろいろな特別の手当の問題或いは更に年末手当の問題等々が整理の時期と関連して非常に問題になるのですが、それらの点に対して十分に労務者の生活安定を考慮して折衝をされたということはあるのですか。
  98. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その点がまあ一番問題でありまして、仮に五千の整理が、十八万五千に照して三%であるという御意見がある向きもあるはずだと思いますけれども、又仮に私どもが止むを得ないといたしましても、その五千の整理が年末に際会いたしまして最もむずかしい問題になるということはよくわかつておりますし、又而も十二月十五日に在籍する者は年末賞与の権利が生ずる、それ以前に整理された者は年末賞与がもらえないということになります。而も実際問題といたしまして、十二月の十三日頃に解雇効力の発生するような通知の仕方をした分が実は相当にあるわけであります。私の覚えておりますだけでも二千ぐらいあるわけなんです。そういうところではたつた三日、十三日の解雇を十六日付の解雇にすれば、気の毒ではあつても、少くとも年末手当はもらえるじやないか、誰だつてアメリカ人だろうが誰だろうが、十五日になれば年末手当がもらえるのに、十四日、十三日に首切られて嬉しがる人は絶対にないだろうということで話をしておるわけです。年末年始の際の首切りということも絶対にやめて欲しいというので、そういうわけで極東軍司令部としては一応の訓令が出たのです。十二月に入つて解雇については成るべく十六日まで持越して、年末手当が済んでから解雇ということになるように十二月の二十四日ですか、五日だつたかも知りませんが、五日から一月十日頃まで、いわゆる年末年始の時期における解雇の起らないようにという一応の訓令が出たわけですが、ただこれが絶対的の訓令でないものですから、その局部局部の部隊予算、財政の状況に応じてでき得る限りという但書がついているものですから、そう考えてもできないという部隊等もありまして、十三日に解雇になるような通告の仕方、つまり四十五日以前に通告する必要がありますので、最近のまあこれからの通告であれば当然に十五日は越しますから工合がいいんですけれども、十月の終り頃にあつた通告になりますと、十三日頃解雇になるという事例が多々出て来るというわけでありまして、例えば現に問題となつておりますTOD解雇八百何人というのが、これがやはり十三日の解雇になつて年末手当がもらえない、セントラル・コマンドと申しますか、キヤンプ横浜関係の中で昨日の数字で、今日の数字とは若干違うかも知れませんけれども、千二百五十三名のうち二十六名だけは年末手当をもらつてあとは全部もらえないようになつておるというようなことになつておる。そこで昨夕も座間の司令部でさんざん押問答をしたのですが、昨夕のところでは、八百名の東京オーデイナンス・デポーの分だけがどうも予算上どうしてもできない、年末手当を付けますということは、つまり先方としては十三日に解雇するのを十六日に解雇するということは、駐留軍労務者平均給与が二万円でございますから、つまり大体年末手当は一カ月ですから、もう二万円出すということのほかに、日本政府管理費というものを払つているわけなんです、四千六百二十九円というものを払つておる。つまり三日延ばすことによつて二万円殖える、それに管理費の四千六百二十九円が殖える、それと三日分の日給が殖える、こういうことになる、二万七千円ばかりが殖える、こういうことになる。それに八百人分が殖えるということになると、つまりもう百三十人ばかり解雇者を殖やさないと十二月三十一日の帳尻が合わない。こういうことを言い出しておるわけなんで、そこで私どもこれも承服したわけでもないのですけれども、なおTODの分について年末賞与を出させる方法がないかというようなことも今頻りに考えておるわけなんです。その他の千二百五十三名のうち二十六人しかもらえないという横浜関係の残りの分につきましては、これはTODほど切迫した財政状況だという返事がその晩では来ませんでしたので、一々関係部隊長を電話で呼び出して調べたわけなんですが、横浜の分については、調べ直した上で来週早々連絡して来ることになつておりまして或いは直つて来るかも知れないと思つておりますのです。この十三日若しくは十五日の問題についてはなお強硬に交渉するつもりでおるわけでございます。
  99. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の十三日の問題ですね。これはただ向うに対して十六日にしてくれ、くれということでなくして、こちらで財源を考えるなどというようなことは考えられるのですか。例えば、日本政府アメリカ側から受取つておる管理費とか或いは調達資金等も相当な金額があるように聞いております。そういうものをこれに振り向けるとか或いはその他いろいろなそういう財源があるのじやないか、こういうようなことは考えておられないのですか。
  100. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 調達庁の考え得る財源、例えば今お話の、ございました管理費というものは、一応四千六百二十九円ということで受取るのでありますけれども、清算主義になつておりまして、これからは余りのものは出て来ないということになつております。従いましてそれ以外の一般的に日本政府関係からでなければ財源というものは考えられないと思いますが、そういう問題につきまして、私どもとしては調達庁限りで考えることのできない問題でありますので、アメリカ側との話がどこまで行くかということにもよりますけれども、取上げなければならない問題かとも考えるのでありまして、一応の研究はいたしておりますけれども、今調達庁以外の関係のきと相談をしたというところまでは行つておりませんのです。
  101. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは希望になりますが、長官も言つておられるように、僅か二日か三日の差で年末に追い出されて、而も二万数千円も金をもらえなかつたというようなことは誠にこれは気の毒なことだということを盛んに言つておられますので、今後の交渉もまだ残されておるようであります。十分な交渉をされると共に、何とかして不公平にならないように特に力を入れてもらいたい、これはお願いするわけなんです。
  102. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働大臣或いは外務大臣が来られてからやはり一緒にその点を追及したいと思つておりますが、先ほど通産大臣は、特需工場の問題については労働大臣と打合せをして善処しようということを言つて帰られたのですが、年末年始の首切りは絶対にやめてもらうという点が不可能であれば、年末賞与だけはこれは何としてでも出してもらわなければ困ると思うのです。そこで幾らアメリカでも陸軍の最高責任者である司令官にもう少し話をしてもらえば、その辺の話合いは私はつかないものではないと、こう考えるのです。例えばこの前の富士自動車のときの解雇通告でも、あなた方の御努力によつて無期限に延期されています。又従つてそういう日本人の正月ということに対する特別な心理的なものの考え方等も話して頂いて、そうしてこれは何としてでも責任を以て善処してもらわなければならん。若しそれがどうして米軍でできなければ、今のお話のように日本政府としてこれは特別な措置を是非とも考えてもらいたい、こう考えるのですが、それでいずれこの委員会ではあとでそういう点を一遍ずつと整理して政府側委員会として申入れをするように私としてはまとめてみたいと思つておるのですが、どうしても可能性がないものかどうなのか、この点率直に一つ聞かしてもらいたいと思うのです。
  103. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) すでに十二月十三日乃至十五日、以前のほかの目附もあるかと思いますが、という日附で通知を出した解雇に対して、これをどうしても十六日に直せという交渉を現にやつておるわけでありますが、それから又それについては財政上可能な限り十六日に直せという訓令極東軍司令部からは出ておりますが、なお且つ部隊によりましては直らない、まあ直すことは直すけれども、もう少し余計首を切るということを言い出す部隊が出て来るわけです。そういうことでは余計に首を切られては困るという問題も起りますので、どうしても直らないという部隊が出て来る。そういう場合にどうするかということにつきましては、私どもこの際飽くまで交渉するということが先ず以て第一であり、第二には交渉しても直らない場合に、どうしても年末手当というものはアメリカに払わせることはできないのかということが一つと、それから又いよいよアメリカの負担において払うという手が切れれば、日本政府の負担においてでもやることができないのかという問題を逐次に考える必要があるということは考えておりますし、又努力をしてみたいと考えております。
  104. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 中央の部隊のほうから何かそういうことを特別に考慮するようにという通知は何か行つておるというお話ですが、それが行つたために実際上計画が変更された数と、その通告が行つたにもかかわらず、実際には各部隊で以て殆んど考慮されていないで、やはり依然として首を切つてしまう実施措置が行われておる、そこらの比率はどういうふうになつておるか。若し一般的の現象としてそういうことが相当考慮されて直されたにもかかわらず、二、三の部隊でただ例外的にどうもうまく行かないで、それが直されていないということならば、これは例外的な問題として了承はできるのですが、そうでなくて、通告は形式的に出したが、各部隊でその通告如何にかかわらず、今長官が言われたような措置がなされておる通告が単に一片の形式に過ぎないような結果に終つてしまつているというような数字的な実情であるならば、もう一遍やはり通告を出した部隊の、通告を出した者の責任において、さつき長官が言われた、各現地の部隊で処置できなければ、通達を出したところで、通達を出した以上それぞれの実質的な責任を負わすというようなことの折衝もできるはずだと思うのです。その辺の実情はどうなんですか。
  105. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 通達を出しましたのは極東司令部であつたわけですが、それに基いて再考を約されておるものが大部分でありまして、それにもかかわらず現状では一応アメリカ側としては不可能であろうということになつておるのは一個所だけでございます。残りの分については再考した上で返事が来ることになつておるわけであります。
  106. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうすると残りの大部分は、何とかそういうことが特別に考慮される見通しなり見込があるわけですね、現在の状態では。
  107. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 残りの大部分については、あれほど話合つたのであるから相当なことは言つて来るだろうと考えておりますが、不幸にしてたつた個所だけ、いささかアメリカ側だけの努力ではできないというところのほうが数がずつと多いわけでございます。数は一個所なんだが、関係する人数はそのほうが多いわけですから、弱つておるわけでございます。
  108. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そこで私が聞きたいのは、大部分というのは、個所の問題でなくて、人員で見たらむしろ逆になつておるのかどうかということです。
  109. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 私の申上げておりますのは、初めに申上げました通り東京オーデイナル・デポー関係八百名、これが十三日解雇、横浜関係千二百五十三名のうち二十六名を除きボーナスのもらえない解雇、こういうことになつております。これが全面的再検討を要求しておるわけであります。
  110. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そのうちの東京関係は八百八人、これは全部考慮はできないと言つておるのですか。
  111. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) そういうことになります。
  112. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうすると人員からいうとむしろ大部分ですね。それによつて直すほう、まだ考慮の余地があるかも知らんというのは人員としては非常に少く、直す、考慮する余地がないと言われるほうが大部分ですか。
  113. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) そうではないのです。直るかも知らんというのが千二百で、直らんというのが八百です。
  114. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 大部分でなく、大体半々ぐらいということですね。それならば直るかも知らんというところについてはなお御折衝願い、直らんというところがそんなに数的に多くなれば、やはり通告その他殆んど形式的なものに過ぎないという結果になつておるということも言えるので、その点ももう少しそういう通告を出した部隊にもつと実質的な責任を負はすような折衡を強力にやられるのが然るべきだと私は思うのですが、長官もそういうふうに筋を考えておるというお話ですから、その点は是非強力に押して頂きたいと思います。  それから更に若しそれができなかつたら、筋としては私は飽くまでも駐留軍自体が負担すべきものだと思いますが、若し万が一その筋が通らない場合の国内措置としてもいろいろな問題を考えているのだと研究しているのだというお話ですが、それはどういう措置を研究しておられるのですか。
  115. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) まあ国内措置ということになりますと、労務調達資金以外に一般会計に資金を求めるという方法しかないわけであります。私ども案は考えておりますけれども、政府全体の意見を聞かないうちは、これはまあ何とも申上げかねるわけであります。
  116. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) それは調達関係以外の一般資金としてあなたのほうでお持ちになつている資金で措置するという意味ですね。
  117. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) そうじやございません。私のほうは何も持つておりません。
  118. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) あなたのほうにあるのは調達関係の資金だけですか。
  119. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) そうです。
  120. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうするとそれ以外に、例えば具体的に言つて、防備分担金あたりがありますね、あのうちあたりにそういう余地のあるようなところはないのですか。
  121. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) これも不可能だと思います。
  122. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そうするとあとはどこがあり得るのですか、あなたの見当では……。
  123. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) まあ一般会計に求めるということは殆んど困難ではなかろうかと思つておるのでございます。それ以前にアメリカ側との話合いで、もう少しアメリカにも智恵を出させ、我々のほうでも智恵を出すという方法、例えば本年度アメリカに金がないなら来年度のアリメカの金をどうとか、そういうようなことも考えられるわけなんです。
  124. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) それから失業に際しての特別な退職手当というか、そういうふうなものはどういうふうにお考えになつておりますか。例えば日本でいう行政整理とか予算削減とか、等々に関連した整理に特別な考慮を払つておりますね、そういう点はどういうふうにお考えになつておりますか、どういうふうに交渉されておりますか。
  125. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) この点は或いは労務部長から申上げるほうがいいかと思いますが、私の了解している限りでは、こういう特別な今回の退職に対して、日本のいわゆる行政整理に伴う特別の退職金というような制度は現在のところ存在してないと了解しております。ただ将来の問題として、新らしい労務基本契約に付属する付属書の中に我々としては提案しているわけでありますが、実現するかしないかについての見通しは今のところないわけでございます。
  126. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) それは向うの慣例なり向うのしきたりとしてはそういうものは全然ないのですか。
  127. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) ないように聞いております。
  128. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) ないとしても、今長官がおつしやるように、日本においては大体そういうのが慣例になつておるのですから、その点は更に向うにも当つて基本契約ですか、そのものを直すこともさることながら、同時にそれを直す前の特別な措置としても、そういうことを特別に考えるように是非交渉をして頂きたいことと、それから将来は、今おつしやつたような基本条項を直すことで対処するとして、今はそれがないのでできないというのであれば、これも一つ国内措置として、何か国内においては少くともそういうふうなもことをやつているのだから、常識に合わすようなことは、日本が責任を持つてこういうものの調達をしている以上は考慮してやるという必要も出て来るかと思うのですが、それらの点については長官はどういうふうにお考えになつておりますか。
  129. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 退職金の制度につきましては甚だ申訳ないのですが、余り詳しくは知りませんので、場合によりましては労務部長がお答えするかと思いますが、根本的な問題として、駐留軍労務退職金制度というのが若干日本の公務員の退職制度と違つている。違つていると申しますのは、むしろ駐留軍労務退職制度のほうができがよかつたわけなんであります。で今日になりまして、行政整理に伴う特別な退職制度というときになつて、日本のほうに倣つてくれということもちよつと言い出しにくい事情もあるのではないかと思われますけれども、制度的な面につきましては、私もよくわかりませんのですが、当面の問題といたしまして、この際の解雇者に、アメリカとの関係において如何ともすることのできなかつた場合に、日本政府の責任において善処するかどうかということになりますと、関係当局との話をまだ始めておりませんので何とも申上げるわけに参らんのでございますけれども、私といたしましてはそこまで行かないで、何とかアメリカとの話合いで筋道をつける方法がまだあると思つて実は苦心しているところなんでございます。
  130. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) そういうふうに筋を通して頂くことはもう絶対に必要だと思いますし、その方向で善処して頂きたいと思いますが、そうするとその退職者の制度について何か若干いろいろなできがよ過ぎて、却つてジレンマに陥つているというような事情、そこらをもう少し詳しく労務部長から御説明願いたいと思います。
  131. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) できがよ過ぎてというお話が出ましたのですけれども、一般の国家公務員の場合と違いまして、駐留軍労務者の場合におきましては、何と申しますか、先ほどもちよつと申上げましたのですが、国家公務員の場合は、最近こそ年中行事のように行政整理が行われておりますが、大体昔から考えれば行政整理は例外的なものだと思います。駐留軍組合の場合はリダクシヨン・イン・フオース、いわゆる人員整理として通告を発するのが大部分であつて、まあ殆んど半分ぐらい、あとは自分でやめるというようなことになつているわけであります。而も駐留軍の労働者というものは、これはいつまでいるかわからんものでございますし、非常に不安定な地位にある。従いまして現在の退職規程におきましては、原則的に一年につき一カ月……二年目からの者は一年につき一カ月ということに左つておる。それに駐留軍の特殊性を考えまして、一カ月分を更に加算する。こういう制度になつてつたわけであります。自己退職の場合にはそれの半分、その場合も一カ月分が付いてそれの半分というような特殊なことになつている。その点が国家公務員と違つたところであります。
  132. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて。    午後五時五十九分速記中止    ―――――・―――――    午後六時二分速記開始
  133. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
  134. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 調達庁の中には失業対策連絡協議会というのがありますね。これは今どういうふうになつているのか、何か今までお聞きしたところによりますと、長官は非常に御苦労なさつていろいろ折衝しておられると思うのですが、これは長官がそういう折衝をされる場合に、やつぱり強力ないろいろな支持、サポートがなければならないと思うので、そういう意味でも、それからいろいろな今申上げたような外に関連するいろいろな問題等々もあるので、そういうものを十分に審議するという意味で失業対策連絡協議会というものが持たれたんじやないかと思うのですが、これは現在どういうふうに動いているのか、その点一つ
  135. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) その問題につきましては甚だお恥しいのですが、私も役人になりましてからまだ三月になつたばかりでございまして、その間御承知通りの問題等にぶつかりまして、やや馬車馬のようにそれだけやりまして、実を申しますと、今御指摘の点につきましては殆んど知るところがないと申上げたほうが正直なくらいなのでございます。労務部長から失礼でございますが……。
  136. 百田正弘

    政府委員百田正弘君) 失業対策連絡協議会につきましては、駐留軍組合よりもその再開方について強力な要求があるわけでございます。私も調達庁に参りましてまだちよつとしかなりませんが、その間にこれは全然開いていたことはございません。これは昭和二十二、三年頃にできたように聞いておりまして、その頃組合も含めまして、関係官庁、軍というのが主としてこの人員整理に関する情報なり或いは公共事業失業対策状況の情報その他の連絡というようなことで開いて参つた。最近においては余りやつたとは聞いておりませんですが、今日までの運用の状況に鑑みまして何とかこれはこのままの恰好ではいかんではないかという議が本年の春頃起つたようでありますが、これがそのままになつてこういう時期になりましたので、早急に調達庁としても何とか至急これをもう少し身のあるものにいたしたい、こういうふうに考えております。かたがた労働省としてももつと広い見地からこの点についてお考えになつているようでありますので、両々相待ちまして何らかの成果を挙げたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  137. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) お話を聞くと、機構はすでに早くからできているのに、何ら運営されていないようですが、運営されていなければ、どういうところにこの欠陥があるのか、どういう悪さがあるのか、その辺は具体的にちつともわからないと思うのです。従つて、而も一方において非常に大きな整理があつて、非常に問題になつているときなのだから、とにかく制度もあり、目的その他もはつきりしているのですから、そういうものを少し活用して、今申上げたような我々のいろいろな事情をはつきりする点も、更には要求すべき点も、もう少しそういう機関を有効に、積極的に動かして、そうしてより効果のある政策をおとりになることが必要だし、それからより明確な見通し、事情等の解明もされる必要があると思うので、その辺は一つ機構がどうだからこうだとかいうようなことを机上でお考えになるのじやなくて、実際に運営して来て、そうしてどこに欠陥があつたと、もう少し運営の仕方を直すとか何とかいう、活動の過程において直すというような心がまえで、一つこれを積極的に利用して今申上げたような対策がより強力に実現するように御努力を願いたいと思います。
  138. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 只今の佐多委員の御質問に関連してちよつとお答えしたいと思いますが、失業対策連絡協議会は今のような恰好で非常に不活溌になつておりますが、実はこの問題が起りましたので、前回の委員会でもお話もあつたのですが、関係各省のこの連絡協議会というやつを持ちまして、これは非常に深い関連を持つて今日まで進めておる次第でございます。更に併し、それだけでは非常に制度としても弱いものでございますから、更に必要ならば官制にまでしたほうがよかろうかどうかといつたような点をも今よりより協議中でございますので、是非御趣旨に副いたいと存じます。
  139. 佐多忠隆

    委員外議員(佐多忠隆君) 私の希望したいことは、そういうことがまだはつきり片付いていないので運用をしないのだというふうに考えないで、そういう態度をおとりにならないで、一方に運用をしながら、実際に運用していれば、欠陥がどこにあるかということはより具体的にわかることなのです。そういう活動の過程において変えるなら変える、改善するなら改善するということもお考え願いたい。
  140. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 承知いたしました。
  141. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をやめて。    〔速記中止
  142. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後六時十七分休憩    ―――――・―――――    午後七時五十八分開会
  143. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 休憩前に引続き委員会を再開いたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  144. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  極東軍関係の軍事費削限に伴いまして、いわゆる駐留軍労務者及び特需工場労務者に対する大量人員整理が行われておりますが、これにつきまして当委員会におきましてはすでに直接当事者であります日経連、関東特需労働組合協議会並びに全国駐留軍労働組合の代表者の方々を参考人として招致いたしまして、その間の事情を明らかにいたしますると共に、政府側からは外務省、労働省、通産省の意見をつぶさに聴取いたしましたところ、この問題の解決に対しましては慎重且つ相当努力を要することが明らかになりましたので、当委員会といたしましては、先ほど懇談会で意見の一致を見ました通りに、次の事項につきまして政府側に申入れをいたしたいと存ずるわけであります。  先ず申入れの内容につきまして読上げます。   極東軍関係においては、最近に至り突如予算削減の理由によつていわゆる駐留軍労働者の人員整理が行われつつある一方、同じ理由に基き特需工場労働者にも大量の人員整理が実施されつつある。   而して現在、既に整理された労働者数は、駐留軍関係において十八万七千名のうち約五千名、特需工場関係において三万名中約七千五百名に上つておるが、あたかも年末を控え、事態は今後の問題の推移ともからんで憂慮されるものがある。   本委員会は、問題の重大性に鑑み、特に委員会を開いて協議申合せの結果、政府に対し左記の措置を講ずるよう要望する。  一、米軍予算削減による特需契約の解除と駐留軍労働者の整理については、今後は絶対にこれを行わないよう、政府において極力先方交渉すること  二、万一、特需工場において請負契約を解除されたような場合、政府においては、速かに企業の転換を援助・指導する等、雇用量の維持に万全を期すること  三、今回の被解雇者に対しては、努めて同一職種の職場に転換・就職せしめるよう、適当な措置を講ずること  四、今後における人員整理については、新労務基本契約の精神に則り、人事共同管理の建前による事前協議が必ず行われるよう措置すること  五、年末年始に際しての人員整理は、我が国の慣習もあり、絶対にこれを避けること  六、前項の実現が不可能な事態においても、今回の被解雇者に対しては、最小限年末手当を支給すること    この場合必要に応じては、その財源を国家資金に求め得るよう措置すること  七、更に、今回のごとき被解雇者に対しては、特別退職金を支給すること  八、米軍施設における業務量は減少しない建前である以上、今後人員の増加が見込まれるので、その際今回の被解雇者を優先再雇用すること  九、今回の被解雇者の救済については、失業対策連絡会議を強化活用して善処すること  以上のようでございます。只今申上げましたように、これを政府に申入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 異議ないものと認めまして、さように処置をいたします。  取扱いにつきましては委員長に御一任をお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  147. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは速記を始めて下さい。  お諮りを申上げます。閉会中における委員会開会につきましては委員長に御一任を願いたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 異議ないものと認めましてさように取計らいをいたします。  更に仲裁裁定等に関する他の委員会との連合委員会につきましては、特別な事態の発生しない限り、通常国会の劈頭におきまして各委員会に改めて申入れをするように、通常国会になりましてから委員会で改めて御決定を頂くごとにいたしたいと、こう存じます。勿論閉会中に事態が変るようなことがございましたならば、先ほど御一任を願いました方針に基いて委員長のほうにおいて計らいをいたします。それでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 異議ないものと認めまして、さように決定いたします。  本日はこれにて閉会いたします。    午後八時十九分散会