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1953-11-07 第17回国会 参議院 労働委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十八年十一月七日(土曜日) 午後二時四十五分
開会
――
―――――――――――
委員
の異動 本日
委員松澤兼人
君辞任につき、その 補欠として
田畑金光
君を
議長
において 指名した。 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
栗山
良夫
君 理事 井上 清一君
田村
文吉
君
委員
田中
啓一
君 吉野 信次君 阿
具根
登君
上條
愛一君
田畑
金光
君
寺本
広作君 堀
眞琴
君
市川
房枝
君
委員外議員
佐多
忠隆
君 国務
大臣
通商産業大臣
岡野
清豪
君
政府委員
調達庁長官
福島慎太郎
君
調達庁労務部長
百田
正弘
君
労働政務次官
安井 謙君
労働省労政局長
中西 実君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巌君
常任委員会専門
員
高戸義太郎
君
説明員
通商産業省企業
局長
記内 角一君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した事件 ○
労働情勢一般
に関する
調査
の件 (
報告書
に関する件) (
特需工場
、
駐留軍労務者
の
労働問
題に関する件) ○
継続調査要求
の件 ○
継続審査要求
の件 ○
連合委員会開会
の件 ――
―――――――――――
栗山良夫
1
○
委員長
(
栗山良夫
君)
只今
から
会議
を開きます。 本日は先ず
手続
的なことの
処理
の
決定
をいたしたいと存じます。
労働情勢一般
に関する
調査
は目下
進行
中でございますが、
今期国会開会
中に
調査
が完了いたしませんので、
未了報告書
を提出することとし、
文案
の作成その他の
手続
は
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
2
○
委員長
(
栗山良夫
君) 御
異議
ないものと認めます。よ
つて未了報告書
を提出することに
決定
いたしました。なおこの
報告書
には多数
意見者
の
署名
を付することにな
つて
おりますので、御
異議
のない方は順次御
署名
を願います。 多数
意見者署名
田村
文吉
田中
啓一
阿
具根
登
上條
愛一
寺本
広作 堀
眞琴
市川
房枝
――
―――――――――――
栗山良夫
3
○
委員長
(
栗山良夫
君) 次に本
調査
は
今期国会閉会
中においても継続して
調査
することとし、
議長宛継続調査要求書
を提出いたすことにいたしましてその
文案
、
手続等
は
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
4
○
委員長
(
栗山良夫
君) 御
異議
ないものと認め、さように
決定
をいたします。 ――
―――――――――――
栗山良夫
5
○
委員長
(
栗山良夫
君) 次に、
継続審査要求書
に関する件を議題に供します。
けい肺法案
及び
労働基準法
の一部を改正する
法律案
につきましては、
今期国会
の
期間
が短いため
審査
するに至りませんでしたので、
閉会
中においても
審査
することとし、
議長宛継続審査要求書
を提出いたすことにしましてその
手続等
は
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
6
○
委員長
(
栗山良夫
君) 御
異議
ないものと認めさように
決定
いたします。 ――
―――――――――――
栗山良夫
7
○
委員長
(
栗山良夫
君) 次に
公共企業体等労働関係法
第十六条第二項の
規定
に基き、
国会
の議決を求めるの件につきましては各
常任委員会
の都合もあることと存じますが、
審査
の便宜のために、
郵政委員会
、
運輸委員会
、
電気通信委員会
、
大蔵委員会
、
農林委員会
、
通商産業委員会
に
連合委員会
を開かれるよう一応申入れたいと存じます。 なお、
閉会
中の
連合委員会
の
開会日時
は
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
8
○
委員長
(
栗山良夫
君)
異議
ないものと認め、さよう
決定
いたします。
ちよ
つと速記やめて下さい。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
9
○
委員長
(
栗山良夫
君) 速記始めて。それでは
大臣
が出席せられる前に、
駐留軍労務者
の
人員整理
の問題につきまして、前
委員会
以後の
情勢
の経過について、
政府側
からの
説明
を求めます。
福島慎太郎
10
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
駐留軍労務者
に関連いたします
人員整理
の
概況
について申上げます。
人員整理
につきましては、最近になります以前に若干
整理通告
その他の
通知
がありまして、
整理
の行われた
個所
が特に
空軍関係
などにあ
つたの
でありますが、極く最近になりましてから
空軍
以外、特に
陸軍関係
に
相当
の
個所
に
整理
の
通知
が出始めて
参つたの
であります。最近までにわかりました数は四千七百余になると思いますが、その中には必ずしもその
原因
とな
つて
おりますところの
予算
削限に
関係
しない、例えば
季節労務者
とい
つた
ような
関係
もありまするので、四千七百余というものが全部
予算
削限に関連する
人員整理
ということで出て
参つたの
ではないかと思いますが、
調達庁
といたしまして入手いたしております数は大体そういうところに
なつ
たわけであります。これにつきまして
新聞報道
その他の
関係
で五千というような
数字
も出てお
つた
こともありまするが、
米国極東軍司令部
、
陸軍
、
海軍
、
空軍
、それぞれ別個に
最高首脳部
とも連絡いたしまし今後の
数字
、若しくは
全般的計画
というようなものについてはできる限り速かに
日本側
に
通知
すべき
要望
を伝え、又
先方
の持
つて
おります
計画
についてもこれをつきとめようとしたわけでありますが、
極東軍司令部
におきましては
参謀次長
の
ハンロン少将
、
空軍司令部
におきましては
参謀長マクナートン少将
、
海軍司令部
におきましては
参謀長マクマホン少将
、
陸軍
におきましては
参謀長カーター少将
、
参謀副長マツキー代将
、こういう連中と会見いたしまして、でき得る限り正確な
計画
というものを聞くことに努めたわけであります。その結果によりましても、数は必ずしも正確にわか
つて
おらないのでありますが、大体五千ぐらいであろう、なお
先方
において取調べるというような
返事
をもら
つて
おるのが
現況
なのであります。この
最高司令部
においても、若しくはそれぞれの
三軍
の
司令部
においても確定した数はわからない。と申しますことは、もともと今回の
整理
というものが
予算
の
削減
に
伴つて
起
つた
。それぞれの各
部隊
は、
削減
された
予算
の遂行という
任務
を持
つて
おる。それに
伴つて
各
方面
の
節約
若しくは
米人軍属
の
人員整理
、最後に
しわ
の
寄つて
参りました
日本人労務者
の
整理
ということで金額を算出することが
先方
各
部隊
の当面の
任務
だといたしますると、必ずしも元からの
人員
を
伴つて
の
計画
でもなか
つた
というようなことで、それぞれの
司令部
にも数としてはなかなか集
つて
参らない、こういう事情があるようであります。 そこで
現況
といたしましては、まあ曾
つて
ありました
空軍関係
は除いてありますが、四千七百余のうち、いわゆる当面の
人員整理
と直接
関係
のない自然の
減少
その他を考えますると、多少数は減
つて
おるのじやないかと思いますが、四千五、六百に近い
数字
であろう。これに今後出て来る
数字
があるであろう。これがどのくらい出るかということでありますが、
昨晩
まで各
方面
と連絡いたしました結果は、まあ五、六百出るか出んかというところであろうか。そうしますと、大体今回の
整理
がかれこれ五千という結果になるであろうということは了解できるところであります。そこで私
ども
といたしましてはこれをどう考えるかということでありまするが、現在の
駐留軍労務
の
関係
の
人員
は御
承知
の
通り
かれこれ十八万五千あるわけであります。それに対しまして今回ここに五千余の
人員整理
という問題が起
つた
。その
原因
になりますることは、
アメリカ側
の
陸軍省
の命令によります
予算
の
削減
、これが
先方
の
会計年度
で申しまする本
年度
の上
半期
、七月から十二月までの
半期
の
関係
の
予算
の
削減
を十月十六日頃に
ワシントン
から
通知
が
参つたの
であります。これを十二月三十一日までの
数字
に合わせるために、
半期会計
の初期に来なか
つた
ために後期に
しわ
が
寄つて
おると、こういうことになるわけでありますが、どの
程度
の
予算削減
を命ぜられておるかという点が問題になるわけでありまして、この点については確実なることを申せないのでありますけれ
ども
、或る
程度
の
予算削減
は確かである。三一%などという
数字
が実はあるのでありますが、公式にはこれだとは申しません。大体これが確かな
数字
であると私
ども
は考えておるわけであります。三一%の
予算削減
に対しまして
米人軍属
の
解雇
若しくはその他の
節約
、そういう面における
予算削減
を図りまして、
日本人労務者
のほうには
全般
を通じまして十八万五千に対するかれこれ五千でございますから、三%を
ちよ
つと下廻るという
人員
の
減少
が出て参
つた
わけでありまして、
アメリカ側
の少くとも
最高首脳部
が今回の
予算縮減
の
決定
に対して、
日本人労務者
の
解雇
という面についてはできるだけこれを避けようと
努力
をしたということは十分にこれは認めてやらなければならないかと考えるのであります。
相当
の
予算削減
を受けておる、そういう面から
計画
されておる
解雇数
が全体のかれこれ三%ということであれば、まあこう申してはなんでありますか知りませんが、
相当
に
努力
をした、止むを得ない
数字
であろうということが
全般
的には言えるのではないかと思うのであります。ところが問題は、それは
全般
的には止むを得ない次第でありましても、
部隊
々々によりましては特に
しわ
が
寄つて
、その
部隊
に関する限りは
相当
のパーセンテージの
人員
が
整理
されているというところもありまするし、又その一人々々に取れば三%の中に、仮に三%でありましても、その中に入れば当然の犠牲になるわけでありまして、やはり重大問題と言わなければなりません。のみならずその
解雇
の時期がたまたま御
承知
の
通り
の年末に近付いております
関係
もありまして、若しも
アメリカ側
が
人員整理
というものを
計画
的に考えることができるならば、当然に避けなければならん時期に発生して来たという意味において甚だ工合の悪い時期に出て参
つた
、こういうことになるわけであります。現在のところ五千、現在までつかみました
数字
はまだ五千にな
つて
おりませんが、そのうち
相当
の
部分
について十二月十五日以前に
解雇
の
効力
が発生するというケースが出て来ておるわけであります。このことにつきましては、
先方
の
予算削減
の
措置
の
決定
が十月半ば過ぎてからのことでありましたので、いささか間に合わなか
つた
傾向
もあるのでありますが、絶対に年末、年始を避けて欲しいという申入れを繰返しいたしまして、十二月二十五日から一月の十日ぐらいまでの
年末年始
の時期は避けるということにな
つて
おるのでありますが、十二月十五日というその日に、その時期にペイ・ロールにの
つて
おれば、当然年末
手当
をもらえるという重要な日取りがありますので、それ以前の
解雇
というのが
相当
数あるわけでありまして、これが私
ども
にとりましては、
全般
の問題としては十八万五千の三%であれば、考えられる
人員減少
であるにもせよ、その中に入
つて
その
被害
を受ける人の立場から言えば、年末
手当
を受けて、
退職手当
を受けた上でやめるのと、年末
手当
がなくなるのは非常な相違であるというので、十五日以前の
解雇
はこれは飽くまでも少くとも十六日若しくはその以後に繰下げること、二十五日以降の
解雇
は正月を過ぎるまで避けること、のみならずそれ以前の
解雇
においても
契約
上
法律
上
要請
せられておるところの
予告期間
その他の点について手落ちのないようにという
要望
を再三繰返しまして、漸く
極東軍司令部
からは十五日以前の
解雇
を避けるように、
解雇者
には成るべく年末
手当
を
予算
の許す限り出すこと、二十五日以後
年末年始
に亙る
解雇
は避けることというまあ一般的な
訓令
が出たのでありますが、
部隊
によりましてはその
予算
が詰
つて
おります
部隊
がありますために、絶対的な
訓令
ではない
関係
もありまして、今日なお十二月十三日の
解雇
という
関係
を改善し得ない
部隊
が
相当
残
つて
おるわけであります。これにつきましても昨夜も
陸軍当局
とも相談いたしまして、でき得る限りの
努力
をさせるようにしつこく折衝中ではありまするけれ
ども
、解決をみることのできそうもない
部隊
な
ども
ありまして心配している次第であります。 なお将来の問題につきましては、大体
先方
の話を総合いたしますと、この
整理
が終れば来
年度
からはと申しますか、来年からは、或いは
下半期
の以降からは
人員整理
はない
見込
である。特にはつきりしておりますのは、
海軍関係
でありまして、これは行わないと言
つて
おる。多少の問題が起
つて
も
自然退職
その他の
関係
を以て
処理
して参る、こう言
つて
おるのであります。それから
空軍
の
関係
は、これは当面の
整理
には出て来ておらないのでありますが、この年末においては
空軍
の
関係
の
整理
はない。一月一日以降は、つまり
下半期
においては若干そういう必要が生じて来るかもわからないけれ
ども
、極めて少数の
見込
であるので、
定員増加
の
要請
も
ワシントン
にしておるし、
自然退職
その他の
関係
で処置し得る範囲内にとどめることに
努力
をするつもりであると言
つて
おります。従いましてこの五千に近い数の一番問題になるのは、殆んど全部が
陸軍
ということに当面なるわけでありますが、
陸軍当局
としましては、今のところ
陸軍
が一番成績が悪く出て来ておるわけでありますが、これが済めば、それから先の
下半期
以降の
人員整理
ということはない
見込
である。こういう大体ことにな
つて
おりますので、
米軍
に関連する
人員整理
も、この山を越せば先は安定するであろうというふうな大体
見込
であるわけであります。細かい
数字
その他の
関係
もございますが、
概況
を申上げると以上の
通り
であります。 なお、細かい点その他につきましては御
指摘
に
従つて
申上げることにいたしたいと思います。
栗山良夫
11
○
委員長
(
栗山良夫
君) いずれ
委員
の皆様から
質問
があろうかと思いますが、
一つ
だけ私前以て
質問
いたします。 それは大体この
程度
で
下半期
に入り得るであろうという見通しが述べられたのでありますけれ
ども
、
特需工場
の中にある
TOD
の
関係
などは、私実は今日も日鋼の
赤羽製作所
を見て来たのですが、
特需労務者
のほうは約四割
整理
されておる。はつきりした数はわかりませんが、大体そういう予定のようです。そうするとそこにある
TOD
の
労務者
もやはり
関連産業
でや
つて
いるのだから、大体同じような比率で将来
整理
の対象になるんじやないかという
素人観測
をして来ておるのですが、これも勿論
陸軍
ですが、そういう懸念はございませんですか。
福島慎太郎
12
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
只今
の御
指摘
のありました
TOD
の
関係
でありますが、これは
赤羽日鋼
にあります
協力工場
と、それに附随する
駐留軍労務
の
関係
でありますが、先ほど
ちよ
つと申上げました十三日の
解雇
、年末
手当
をもらえない
解雇
について
先方
の再考を促し、
いろいろ交渉
しておるのでありますが、その中で
一つ
だけどうやら
見込
がない、なお
話合い
は続け、当面の年末
手当
の問題を解決する途の発見に努めてはおりますが、一番
見込
の悪くな
つて
お
つたの
が
一つ
あると申上げた、これが
TOD
になるのでありますが、一方の
協力工場
の分が
相当
の
整理
をせられるということ、それに関連して現在の八百人のみならず、それ以上に
解雇
が将来あるのではないかという御
指摘
でありまするけれ
ども
、まあこの点、それはわからないことでありまして、全体が三%
程度
、五千
程度
と申上げましたが、或いは一
個所
に
しわ
寄つて
おる部面があるかも知れん。何分にも動機が
予算
の
削減
ということでありますから、
事業量
の
減少
によ
つて
一番効果の挙げ得るところがあればそれが一番
被害
をこうむるということもありますので、何とも申上げかねるのでありまするが、当面のこの
TOD
の
関係
に関しては、現在の八百という数をそう上廻る数が出て来るとは考えられない節があるのでございます。それは実は、十三日の
解雇
というのはどうも話がひど過ぎるから、せめてもう三日延期して欲しい、十六日になれば八百人全部が年末
手当
をもらえるのであるから、その上で
解雇
ということになれば
事態
が
相当
違
つて
来るのだという
押問答
を実は
昨晩
もいたしたのでありまするが、
先方
も、座間の
参謀副長
から、
技術部長
のシエアラーという
少将
ですか、これにまで電話をしてくれたり
いろいろ交渉
をしてくれたのですが、
TOD側
の
返事
では、年末
手当
をこの八百人に出せるように
措置
する。つまり三日間延期をすると
予算削減
という点から金が自然詰
つて
来るわけであるから、金がかれこれ倍と
ちよ
つと殖えるわけです。
従つて
もう百三十人切らないと
辻棲
が合わない、こういうことを言い出したわけなんです。で、これはまあ切りたくない。
従つて
年末
手当
を払い出さないほうがいい。こういう
押問答
を実は昨夜繰返したような次第もありまして、更に切るということ、少くとも
TOD
に関して更に
整理
があるということは、そういう言葉で応酬したわけではありませんが、一応ないのではないかというふうに考えております。
栗山良夫
13
○
委員長
(
栗山良夫
君) 間もなく
通商産業大臣
が来られることにな
つて
おりますが、その間、
長官
に御
質問
がありますれば承わりたいと思います。
阿具根登
14
○阿
具根登
君
長官
にお尋ねしますが、まあ組合の
要請
によ
つて年末年始
を控えての
人員整理
に対して御
努力
願
つて
おることは、
只今
のことで一応わかりますが、
基本協定
と、どういう考えを持
つて
おられるのか。
基本協定
が全部結ばれてはおらないようでありまするが、これには
はつきり発効
に先立
つて
或る
部分
については
事前措置
をして行くというような行為がなされておるのでありまするが、それによ
つて交渉
がなされて行くかどうか、お伺いいたしたいと思います。
福島慎太郎
15
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
基本協定
との
関係
もあるわけでありますが、当面の
人員整理
については、
基本協定
が現在完全に
発効
していないが故に支障を来たすという面はさほどないのであると考えております。
基本協定そのもの
につきましては、その
基礎
となる
労務基本契約
の中の
基本協定
のみに
署名
いたしまして、
付属書
についてまだ
署名
ができる段取りにな
つて
おらない。
従つて付属書
の完了を待たなければ
基本契約
全体の
効力
が発生しないという
関係
にありまして、今日までできておらないということを甚だ我々としても申訳ない
事態
であると思
つて
おりますが、一年有半、極端に申しまするともう二年近くかかりましてなお且つこういう
状態
であるということは甚だ以て困るのでありますが、折角
基本協定
のみはどうにかこうにか成立いたしまして、これ又例えば
労働者側
の見地から言えば百パーセントのものではないということは言えるかと思いますが、現状の、今までや
つて
おりますものよりは
相当
の進歩であるということはもう間違いないのでありますので、これを
基礎
にいたしまして、手掛りといたしまして、
付属書
の
話合い
のほうに進んで参らなければならないと考えております。ところが
付属書自体
は
相当
分量が多く、又困難な問題を含んでおるという
関係
で手取り早く参らない。
アメリカ側
の
陸軍
、
海軍
、
空軍
というものが
予算
上それぞれ独立に
ワシントン
に所属してお
つて
、
極東軍司令部
というものは単に
統合作戦本部
である。
事予算
に関する限りそれぞれの軍というものには一指も触れさせない。而も
労務基本契約
に関する
事項
は
予算
の
処理
に関する
事項
が非常に多いというようなことで、
極東軍司令官
の威力必ずしも及ばないという
関係
もあり、
アメリカ側
の案を
三軍
の間に調整を図るというようなことに
手間取つて
、我々が待たされておる、こういう
状況
であります。さりながら御
承知
の
保安解雇
の問題を初めといたしまして、
基本協定
の際に我々が獲得いたしました利益というものが、
付属書
が遅れておるために待たせられるというのは非常に困ることであるというふうに考えますので、これの
部分
的の
発効
を取急ぐということはすでに再三
交渉
をいたしておりまして、極く最近に、恐らく来週早々であろうかと思いますが、通常の
解雇
に関する
規定
の
部分
的な
発効
を実施するように取きめたい。なお最も重要な
保安
上の
解雇
については、これに伴う細則を定めてこれも
部分実施
に移したい。一応
日本側
の案その他も受入れまして、
先方
としてはこれを
ワシントン
に目下請求中であるという
状態
にな
つて
おりますので、手配としては
部分発効
の一、二がその実現を見ようとしておる時期である、こういうふうに申上げることができると思うのであります。
全般
の
付属書
の
進行状況
が更に遅れるようでありますれば、なお続いて
付属書
その他の
進行方法
な
ども
考えまして、
部分
的な
効力発生
ということに力を注いで行かなければならんかと考えておりますし、又できることであると考えております。
阿具根登
16
○阿
具根登
君 それでは
基本協定
の
人事管理
はすでに協定されておると思うのですが、その
部分
については採用しなくて今までの
交渉
をやられた、こういうことですね。
福島慎太郎
17
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
基本協定
につきましては
人事管理
の面もございますが、
付属書
ができておりませんので、全面的にこれは
効力発生
をしていないわけであります。従いまして現存の
人員整理
の問題その他につきましては現行の制度によ
つて
や
つて
おるということになります。
阿具根登
18
○阿
具根登
君 それではお伺いいたしますが、
予算削減
による
人員整理
ということが言われておりますが、
予算削減
の率は三一%ぐらいであるということを言われておりますが、この
予算削減
は全部
人員
のほうに持
つて
来られたのか、或いはその他別に
削減
された
傾向
があるかどうかお尋ねします。
福島慎太郎
19
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その点は先ほど若干触れておいた点でございますが、
予算削減
が三一%と、これは公式の
数字
ではないと思いますが、事実上の
数字
であると思いますが、
人員整理
の分につきましては仮に五千
程度
であるといたしますると、
駐留軍労務
の
平均給
は
手当
を入れまして月大体二万円になりますから、五千人ということは一億一千万円になる。一年に直しまして十三億円ぐらいになる。但し軍といたしましてはその給料だけでは仕事が進まないのでありまして、
日本政府
に対して
管理費
一人について四千六百二十九円ですか、そういうものを毎月払うことにな
つて
いる。この
関係
が五千人を切ることになりますれば月二千五百万円になりますか、年に直して三倍円ぐらいになる。合計五千人の
整理
をするということは、
年間予算
に引直しまして十六億円ぐらいの
節約
になるということは、大体
米軍
が
駐留軍労務
の
関係
で支払いをしておりまする五百四、五十億ですか、そのうち百億ぐらいは
日本政府
が
管理費
として取
つて
おるのであります。
労務者
に渡るのは四百三、四十億になりますか、それのやはり
節約額
としては三%くらいになる。この
労務関係
の
経費
というのは、
米軍
全体の
経費
のうちの何割を占めておるかということがきまらないと、この三%は全体の何%かということがきまらないのでございますが、併し大体に申しまして、三割
程度
の
予算削減
をや
つて
いる場合に、
労務者側
に三%の
しわ
が
寄つて
来たということは、それ以前において
日本人労務者
の一人の分として五倍くらいかかると言われております、
アメリカ人
たる
軍属
を
整理
したとか、その他の
節約
を
図つた
とか、
相当
のほかの
節約整理
が実施されて、それから後にこの三%の
しわ
として
駐留軍日本人労務者
の
関係
に現われて参
つた
ということが考えられるのではないか。
従つて
節約
要請
されている額のうち、
日本人労務
に現われる面を極力減らそうとした
米軍
の
首脳部
の
努力
の跡は見えると考えております。
阿具根登
20
○阿
具根登
君
駐留軍労務者
が十八万数千名おりますが、それの
事故退職
、
自然減耗
はどのくらいの率にな
つて
おりますか。
百田正弘
21
○
政府委員
(
百田正弘
君) 申上げます。大体毎月今年の一月から八月までの
整理
と申しますか、
退職者
と申しますか、
退職者数
が少いときが二千五、六百、多いときが三千乃至四千ということにな
つて
おりますが、そのうち約四割乃至五割が
人員整理
或いは
保安解雇
というようなものにな
つて
おります。約半数一千五百から二千、これが或いは故障、病気、
事故等
の
退職
或いは
雇用契約
の終了、こういうものにな
つて
おります。
阿具根登
22
○阿
具根登
君
自然減耗
が多いときは四千名もあるようですね。これが
保安解雇
その他が半分あ
つた
としても約二千名の人がある。もう少し下の
数字
を見ても一千五、六百からの人が
自然減耗
が月々出ておる。そうするなら三カ月くらいの
期間
の中に今度馘首されるような
人員
は含まれてしまうのじやないか。わざわざそういう五千人もの人を首を切る必要はないのじやないか、そういうような
交渉
をされたかどうか、
長官
にお尋ねいたします。
福島慎太郎
23
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その点につきましても、
人員整理
というものが四千とか五千とかという数が現われて来たというときに、直ちにこちらとしても考え得べきことなんで、そういう
交渉
はしたのでありますが、
先方
のそれに対します
説明
というのは、これ又先ほど
ちよ
つと申上げておいたかとも思いますが、
予算
の縮減を
ワシントン
から申渡されたのが十月の十六日であ
つて
、十二月三十一日までにこの縮減をすると申しますか、結果を挙げなければ……、非常に不幸な時期に、かれこれ二カ月半という時期に六カ月分というものが、六カ月分の実績を二カ月ばかりで挙げなければならんという極端な
要請
を受けたがためにこういうことにな
つたの
であ
つて
、ノーマルならば、当然ノーマル・アトリツシヨンとか申すのでありますか、
自然退職
で
処理
すべかりしものをこういうことにな
つて
、その点は甚だ申訳ないということを
先方
も言
つて
おるわけでありますが、何分十二月三十一日を以て
予算
の前
半期
を終るという
関係
でこういう
事態
に
なつ
たという
説明
であ
つた
わけであります。
栗山良夫
24
○
委員長
(
栗山良夫
君) そこで
ちよ
つと私関連
質問
をしますが、そうすると今度の
人員整理
、駐留軍労組に対する
人員整理
は飽くまで
予算
上の応急
措置
であ
つて
、
駐留軍労務
の仕事量の
減少
から来ておるものでないということは明言できますか。
福島慎太郎
25
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
全般
的に申しまして、今回の
人員整理
は飽くまでも
予算
上の
措置
でありまして、私
ども
のつかんでおります
数字
の四千七百何十でありましたか、そのうちの大
部分
が
予算
上の
整理
から現われて来たのであると確信いたしております。但しその中には若干
予算
削限に
関係
のない地方的な
事態
もあるわけであります。例えば北海道の千歳におきます事件、三百二十人の
整理
とい
つた
事件は、これは
予算
に
関係
のない
事態
として起
つた
というふうに聞いております。
栗山良夫
26
○
委員長
(
栗山良夫
君) そうしますと要するに
自然減耗
が二千から三千というのですから、恐らく今度
予算
上の
措置
だけでこういう大量
整理
をや
つた
あと仕事量が
減少
しないということになれば、必らず数カ月の先は
人員
を補填して行かなければならんと思うのですがね。仮に今度の
措置
で
米軍
と
交渉
して、どうしても
解雇
取消しができないとして、一応仮定した場合、そのときに数カ月後に新らしく
人員
が補填せらるるときに、今度犠牲に
なつ
た人を優先的に復職させる、そういう
交渉
はされてありますかどうかということですが。
福島慎太郎
27
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
只今
までのところ、そういう将来の復職その他の
関係
につきましては、話をする段階にまでまだ参
つて
おりませんので、我我としても
事態
を押し戻すということに全力を挙げて、
昨晩
までかか
つた
ような始末でございまして、それから先の始末を実はまだするに至
つて
ないという
事態
でございます。
田畑金光
28
○
田畑金光
君 福島
長官
の御
説明
で、
ちよ
つと不可解な点があるのですが、
予算削減
が三一%なされた。三分の一ですね。それは非常に大きな
予算削減
だとこう見られる。仮にそれが事実であるとした場合に、
駐留軍労務者
が三%の
人員整理
で済んだということは、お話のように
アメリカ側
も
相当
誠意を以てや
つた
ということはその
数字
からいうと確かに言えるのですが、ところが三%の節減では年約十六億に過ぎない。然らばその他三一%の
予算削減
において何を削
つた
か、この点についてはお話を承わりますと、
アメリカ側
の軍人
軍属
等の
整理
、
日本人労務者
一人と約五倍も高い費用のかかる
アメリカ側
の軍人
軍属
の
整理
を以て充当したのだ。このようなお話でありますが、そこでこれは常識として考えて見ても、本国の軍人
軍属
を
整理
するよりも、やはりこれは一応日本人を
整理
しようというのが私は
アメリカ側
からいうと当然の義理人情じやないか、こう思うのですし、日本が曾
つて
満洲等に行
つた
り何かした場合に、そのような
事態
に直面すれば、現地民を
整理
するのが理窟だと、こう思うのです。一体僅か十六億の
削減
にしかならんのですが、その他はアメリカの軍人
軍属
、而も軍人を
整理
するということはどういう意味か、私は不可解なんです。他に配置転換をするのか、軍人
軍属
を
整理
して、それでなお三%の
予算削減
ができるのかどうか。その前提として一体この駐留軍
関係
の仕事に
アメリカ側
の軍人
軍属
という者はどのくらいいるのか。その中の一体どのくらい
整理
してどのくらい
予算
が浮いて来るのか。それだけじや恐らく三一%の
予算
の
削減
にはならんと思いますが、その他の
予算削減
はどういう
方面
に向けられておるのか。その点について
一つ
第一にお尋ねしてみたいと思
つて
おります。
福島慎太郎
29
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 三一%の
予算
減ということも向うから正式にそういう
通知
を受取
つたの
ではないのでありまして、いろいろ折衝した過程におきまして三一という
数字
も出て参りましたので、これは大体確かであろうと考えておる
数字
であると申上げたつもりでございます。なお軍人
軍属
の
整理
というようなことも、軍人
軍属
の
整理
と申上げた覚えは私はないのでありまして、米人の
軍属
と、こういう言葉を使いましたので、或いは私間違えたのかも知れませんが、そのつもりでございましたので、アメリカのシビリアンの
整理
をされておるということは、これは事実でございまして、
相当
動揺もしておるという話も聞いておるわけでありまして、
契約
によります米人シビリアンが
相当
整理
されて国に帰されておる。これも間違いのない事実であると思います。軍人の
関係
においてはどういうことが行われておるか、それは私は調べてないのであります。なおそれ以外の
関係
において如何なる
節約
が行われたかということも当然の御意見でございますけれ
ども
、そこまでは実は私も調べてないのでありまして、大体三割と言い或いは仮にこれを下廻
つて
おるにもせよ、おおむねそれに近い
予算
の縮小というものが行われておるということは間違いないのだとすれば、その三%という
駐留軍労務
の
関係
の
整理
は、比率から申せば不当な
しわ
が
寄つて
おるとは申せないというふうに考えておりまして、
従つて
全般
的にアメリカ軍の
節約
方法その他に対して追及をいたさなくても、アメリカの
節約
という問題の中におきます
駐留軍労務
における
しわ
寄せの問題というものは、
整理
の観点からい
つて
、バランスは取れておるのではないかというふうに考えまして、それ以上に追及はしていない次第であります。
田畑金光
30
○
田畑金光
君 まあ福島
長官
の観測は大変これは好意的な物の見方で、これも結構だとは思うのですが、常識として一年間の五百五十億の
予算
を使
つて
おる、その三一%の
予算削減
が今回指令されて来た。その場合に三分の一の
予算削減
が行われるのに僅か三%の
人員整理
で十六億の金が浮いて来る。そのほかに今
整理
の対象として挙げられておるのはまあ
米軍
の
軍属
だ、こういうわけでありますが、三割節減ということが本当に事実だとするならば、恐らくこれは事業分量等の縮小とかいうようなことが予測をされるわけです。ところが先ほどの
長官
のお話によると、事業そのものについては決して
削減
されるような
状態
ではない。このような趣旨であ
つた
と、先ほど私は
委員長
の
質問
に対してはそのような答弁であ
つた
ように聞いたのですが、それは間違いかも知れません。そこで今の福島
長官
の見方というものは、少し三割節減ということはまあ私妥当じやないというような筋からそのような話を行な
つて
来たか知りませんが、先ずそのような前提の上に立
つて
これくらいはまあ止むを得んだろうという考え方で
処理
されておるとするならば、ここに問題がありはせんかと、こう思うのですが、どうでしようか、その点について。
福島慎太郎
31
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) お答え申上げます。その五百五十億というものの三割節減ということを申上げたのではないのでありまして、
米軍
全体の
経費
は何千億にな
つて
おるか知りませんが、
全般
的な
削減
と、私の感じでは三割という表現が或いはそれであろうかというふうに判断したわけでありますが、そのうちの一部を占めますところの
日本人労務
の
関係
の五百五十億の中には、それが三%として現われて来たということでございます。さりながらその三割と、三〇%というものが正確であるかどうか、それが正確だとすれば、或いはその十分の一の三%なら我慢できるという考え方が甘いということでございますが、それはその三〇%というものも公式に聞いたわけではありませんので、或いは正確でないかも知れませんが、はつきり感じられますことは、いわゆる
削減
というものが決して三%ではないということでありまして、
相当
それを上廻
つた
程度
のものであるということ、従いましてその五百四十億か五十億かの駐留軍
日本人労務
に関する問題だけは三%の影響をそれに現わしたということは、やはりどこか
しわ
がほかに
寄つて
おるに相違ないと考えるということは当然できるのじやないかと考えた次第でございます。
田畑金光
32
○
田畑金光
君 先ほどの阿
具根
君の
質問
に対する答弁において、今回の場合は先般大変鳴物入りで騒がれた十月一日に調印された新労務
契約
の
基本協定
によ
つた
ものではなくして、旧来の制度によ
つて
今回はこの
整理
がなされたというようなふうに私はお聞きしたのでありますが、若しそうだといたしますと、一体何のために新
労務基本契約
があれほど世論の注目を浴び、今議会においても真剣に取上げて政府に不当な
駐留軍労務者
或いは
特需工場
における労働条件の改善について
要望
したか、この本筋が没却される結果になろうと私見るわけであります。そこで一体付属協定書か覚書か知りませんが、これができ上らなければ新
労務基本契約
に基く人事条項の、例えば
解雇
の場合の点において事前において調整権を持
つて
おる、こういうふうなことが発動できんといたしますならば、一体何のためにあの
労務基本契約
というものが締結されたのか、これを私は疑うわけであります。少くとも新
労務基本契約
が本文として大綱が
決定
された以上は、その協定の締結直後でもありまするし、勿論それは先ほどの付属覚書が同時に協定されなければ
発効
いたさないということになるかも知れませんが、少くとも日米両国間で困難な折衝を繰返されて、そうして
労務者
はストライキをや
つた
こういう中から生まれた新
労務基本契約
の大綱であるとするならば、今回の
整理
においても当然それは尊重されて然るべきであると、こう見るわけであります。一体当局としては、この新
基本契約
を飽くまで貫く、尊重させるという立場で
交渉
をやられたか、
交渉
をや
つて
来たが、
アメリカ側
が尊重しなか
つたの
か。この辺について
一つ
交渉
の経過を御
説明
願いたいと思います。
栗山良夫
33
○
委員長
(
栗山良夫
君)
只今
の問題は、
ちよ
つと念のために申上げておきますが、この前の
委員会
で外務省の関協力局次長が来られて
説明
があ
つた
ときに、やはり議員から同じような
質問
がありましたが、これに答えて、外務省としては
労務基本契約
の相互に妥結をしたその精神というものは、
契約
の
効力
の発生の有無にかかわらず、尊重せらるべきものであると考えられる。
従つて
今回のような工合に一方的に発表せられたことについては非常に遺憾に思う。何とか
米軍
側と強く折衝したい、こういう意思の表明があ
つた
ことをお伝えしておきます。
福島慎太郎
34
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その問題につきましては、当面の
通知
せられました
解雇
というものが、例えば新らしくできておる
契約
上に照らしてどうかということになりましても現在の
契約
ではそれは適法であるかも知れんが、新
契約
に照らしたら適法でないという
個所
があるかということになりますと、テクニカルな問題としては、新
契約
に照らしてもこれを不当だとすることはできないのではないかというふうに考えておりまするし、又先ほど来申上げました十三日の
解雇
を十六日までに戻せとか、何らかの方法を講じて年末
手当
を払えるようにしてみたらどうかとか、或いは
年末年始
の
解雇
はこの際困るとか、いろいろな面で折衝も重ねておりまして、これらの折衝というものがとにもかくにもまあ行きつ戻りつではありますけれ
ども
行われて、私
ども
としては未だに十三日
解雇
、年末
手当
なしの十三日
解雇
というものを絶望しておるわけではないのでありますが、そういう
交渉
が今日この
程度
にまで行われておりますということも、かか
つて
新
基本契約
の主文に関する協定が済んだそのあとの双方の間で協力しようという精神があればこそここまで来たのだと思いまするし、従いまして今
委員長
から御注意がありました
通り
、
契約
の主文そのものはアネックスの
発効
がないが故に未だに形式的な
効力
は
発効
していないにもせよ、その精神は尊重せられておるということは間違いない事実であると考えております。
田畑金光
35
○
田畑金光
君 そうしますと何ですか、今の御答弁の趣旨は、政府としても、
従つて
又
アメリカ側
としても、新
労務基本契約
の精神に則
つて
この
解雇
の問題についての
処理
手続
をや
つて
おるのであるという御
説明
であるのか、若しそうであるといたしますならば、そういうような基本的な精神に基き、而も又そのような新協定の趣旨を尊重してや
つて
おるといたしますならば、その解決の方法等については十分政府としても責任ある今後の
措置
が当然なさるべきであり、又政府としても考えておるだろうと私は見るわけであります。殊にこれは政府自身が直接雇用して……、そうでしよう、
調達庁
が
契約
の当事者にな
つて
おるのでしよう。そういうようなことにな
つて
いるならば、政府としても当然この問題については責任を持
つて
一つ
の方針を持
つて
おられると、こう私は見るわけであります。政府は然らばどういう方針を以ててこれに対処して行かれようとなされておるのか。今まあテクニカルな、技術的な問題についてのことは御
説明
を受けましたが、どういう方針を以てこれと取組んで行かれようとするのか。その点について
一つ
政府の今後の方針を伺
つて
おきたいと思います。
福島慎太郎
36
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 私
ども
の方針といたしましては、
アメリカ側
においてその
事業量
の
決定
その他の必要から起
つて
来る
人員整理
が発生いたしましたならば、これを万止むを得ない
程度
に押しとどめること、万止むを得ない
整理
を許容するに至りましても、無
計画
な
解雇
のために、引続いて例えば新規採用が行われるとか、或いは隣の施設においては新規に人間が募集せられておるとかいうようなことのないように、あらゆる点において調整の取れた
整理
でなければならない。
整理
の
計画
自体にもつとはつきりした
計画
性を持たせるために折衝を続けるということ、並びに止むを得ず
被害
を受ける人たちのためには、たまたま年末に際会いたしまして、年末
手当
とかそういう問題も起
つて
来るわけでありますので、それらについてでき得る限りの
措置
を考究する、
アメリカ側
に譲
つて
もら
つて
実現させる。又
アメリカ側
に更に一段の
努力
を考えてもらうというような面についてあらゆる工夫を考えておるつもりでありまして、根本的に申しますれば、
人員整理
というものを納得し得る限度にとどめること、止むを得ず認めざるを得ない
人員整理
においては、これが調整についてできるだけの
努力
が払われたということにならなければならないということ、而もなおその犠牲となります
労務者
については公平にこれが扱われなければならないということを
基礎
的な態度にいたしたいと考えております。
上條愛一
37
○
上條
愛一君 関連して。
長官
の話を承わ
つて
おるというと、新
労務基本契約
が尊重されて今度の問題の
交渉
が行われておるというふうに解せられるのですが、それならば今度の座間の五千人の
解雇
の際においても、そういう
解雇
を発表する前に、日本の政府に対してあらかじめこれこれの
整理
をしようと思うがどうかというような御相談があ
つた
かどうか、又
整理
をするについての条件についてもあらかじめ御相談があ
つて
、今回の座間の
解雇
が行われて来たかどうかという点を承わりたいと思います。
福島慎太郎
38
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その点は、なお、初めに申上げますと、座間の五千人と申しまするのは
陸軍
の
関係
の
整理
でありまして、四千、まあ五千と申しても差支えないのでありますが、日本全国に跨がりまする
整理
であると考えますが、
陸軍関係
のかれこれ五千人足らずということであると存じますが、これにつきましては残念ながら
陸軍当局
からは
日本政府
に対して事前に相談はなか
つたの
であります。新聞にちらりと出ましたときに私
ども
極東軍司令部
に抗議を申込みに行
つたの
でありますが、そのとき更に
極東軍司令部
から、座間その他に電話をいたしまして、漸くその一部がわか
つて
来たということなのであります。昨日もその点について非常に遺憾であるということを、将来においては必ずこれの連絡がなければならないという話もしたのでありますが、
先方
の
説明
は、五千という
数字
が固ま
つて
、頭から五千ときめて全国に割当てたわけではなく、
予算削減
という
関係
から、各
部隊
がそれぞれ与えられた
削減
額を達成するために最後に
人員整理
というところへ出て来て、これが何人ということが集計されて四千二、三百という数にまで出て来たので、頭からの
計画
でなか
つた
ものであるから連絡ができなか
つた
と、こういう
説明
であ
つた
わけであります。その点につきましては、事前に相談するという新
基本契約
の精神というものから申せば都合が悪いということにはなるのでありますが、新
基本契約
も、そういう場合に大体起りますのは地方で起
つて
参るということ、これはアメリカの言う
通り
或る
程度
まで事実でありますので、新
基本契約
も、それを地方の現地の労務管理事務所に連絡しろということを大体期待しておるわけでありまして、中央においてはその
計画
がよほど大々的な方針の変更でもない限り、中央から初めに相談ができるという
事態
には将来とも必ずしもならないということもあり得るかとも思
つて
おります。のみならず今回の五千人につきましても、私
ども
が話を受けたのは新聞を見てからというふうに
只今
申上げた
通り
でありますが、
部分
的には地方に連絡があ
つた
ものもあるように思
つて
おりまするし、又
基本契約
の要求しております十五日以前に連絡するという
関係
につきましては、これに違反した事件はなか
つたの
であります。
栗山良夫
39
○
委員長
(
栗山良夫
君)
ちよ
つと、通産
大臣
がお見えにな
つて
おりますから
質問
を打切
つて
頂きまして……。
上條愛一
40
○
上條
愛一君 それじやもう一言、
ちよ
つと簡単に関連して申上げたい。 私なぜこれを申上げるかというと、この新
基本契約
ができておるにかかわらず、中央においてそのような事前に
契約
に基いた御相談がなか
つた
ということは、これは我々としては
アメリカ側
がやはり新
労務基本契約
を尊重しておらんということだと思うのです。それから地方において
部分
的にあ
つた
かどうかも知りませんが、地方においてもこの
基本契約
を尊重するという建前ならば、首を切る発表をする前にあらかじめ相談をして、日本の当局とこういうトラブルが起きないように、できるだけ円満に
解雇
ができるように相談があ
つて
然るべきだと思うのです。然るに
解雇
の場合においても、
人員
の問題にしても、又
解雇
条件にしても、あらかじめこれは相談がなか
つた
ということだけは事実だと思うのです。で
解雇
があ
つて
から然る後に政府がアメリカと
交渉
を始めた、こういうことだと思うのです。それでなぜ私がそれを言うかというと、一体
人員整理
の方々にしても、アメリカの
整理
の方法と日本の
整理
の方法とは違
つて
然るべきだと思います。それは何故かといえば、アメリカの
労務者
のごときは、これはアメリカのような現在の産業経済の実情においては、賃金も平素において
相当
高いのであるから、これは
整理
されてもすぐに生活に困るという現状ではないと思う。それから又失業問題も日本ほど深刻でないのでありまするから、
解雇
された後における生活問題も、日本の労働者とは非常な違いがある。そういう点についてはあらかじめ相談があ
つて
する場合においては、日本の政府当局としては当然そういうことを十分に理解せしめて、
整理
の方法等についても、
整理
後の問題についても十分日本の
労務者
の将来、現状を考えてやるべきだと私は考えるのです。それが折角新労務
契約
というものを調印しておるにかかわらず、付属協定ができないからとい
つて
、この精神を無視して今度の
整理
が……、それはいろいろ
長官
は有利のようにお話があ
つた
けれ
ども
、卒直に我々がこれを解釈すれば、新
労務基本契約
というものは尊重されておらない。調印しておるけれ
ども
発効
はしておらんという理由の下に尊重しておらん。こういう
状態
の下において今回行われたということは、これはどうしても我々としては納得のできない点だと考えるわけです。この点についてはあとで又お伺いします。
栗山良夫
41
○
委員長
(
栗山良夫
君) そこで
長官
に、話が中断するといけませんから、もう一遍私から念のために伺
つて
おきますのは、人事の共同管理の問題について、少くとも今日までの
状態
においては、今
上條
君の言われた
通り
に尊重されておるとは言えない点があると思うのです。具体的な事務折衝においてはですね。そこで今後
調達庁
としては、外務省との
関係
もありましようが、
米軍
側にあの
基本契約
の締結をしました精神を尊重して、協定の
効力
の有無に
関係
なしに、とにかく人事共同管理の恰好を実際にと
つて
ゆく、こういう工合に
交渉
を向うとやられる用意があるか。又その場合の公算はどうかということを
一つ
伺いたい。 それから更に私が先ほど
質問
して中断しておりました、今度の
整理
が仮に止むを得ないとしても、将来
人員
の補填が行われるときには、新規採用が行われるときには、今度犠牲に
なつ
た人を登録しておきまして、そうして優先的に復職させる、そういうような向うへの
交渉
が可能であるかどうか、この点を先ず述べて頂きたいと思います。そのほか当面起きておる具体的な問題の
処理
については、私もまだ御
質問
したいことはありますが、通産
大臣
に対する質疑のあとにしたいと思います。
福島慎太郎
42
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
只今
御
指摘
のありました第一点につきましては、私
ども
すでに
米軍
当局と話を始めておるつもりでありまして、一番やかましく言
つて
おりますことは、
日本政府
とアメリカ軍との間に共同に労務管理を図
つて
いるのに相談がない。相談がなければこそ又その結果も思わしく行かないのであるということで、これはもう繰返し繰返し
極東軍司令部
とも話をしておりますし、それだけではどうしても将があかないということで、最近はそれぞれの陸海空
三軍
の
司令部
に直接出かけて参
つて
その話をするということにしておりますので、すでにその面の
交渉
は始めておると考えておりまするし、
先方
も少くとも司令官、参謀長の手許においては、
日本政府
の考え或いは
事態
に対する認識というものも改ま
つて
参
つた
と考えておるのであります。ただ事がとかく地方各
部隊
で直接
処理
するところから始ま
つて
来て、いわゆる
人員整理
にしても何にいたしましても、一番初めが地方において
処理
されるという
関係
もありまして、まだ
発効
してないから、止むを得ないと言えばそれまででありますが、徹底を欠いておるということは、これは争われない事実で、御
指摘
の
通り
だと思います。
基本契約
成立の際の経緯から見ましても、どちらかと申せば
陸軍
も
海軍
も必ずしも賛成せず嫌が
つて
おるものを、クラーク大将その他の圧力を用いて無理やり通したという、我々の考え方の違いも或いはあ
つたの
かも知れませんけれ
ども
、言うことを聞かない
陸軍
、
海軍
を抑えつけて通したという
関係
も多少ありまして、快く思わないがために、こういうことでもないでありましようけれ
ども
、まだ下部には徹底しておらないという事実があることは争われない事実で、今後できるだけこういう点を解消して参らなければならないと考えております。 なお、
委員長
から御
指摘
のありました今回犠牲になる
解雇者
諸君についてはこの名簿をとどめて将来再雇用ということが考えられる際には優先的に
処理
させなければならないということは我々も当然と考えておりまするし、
先方
にも
交渉
いたさなければならないと存じております。又
交渉
いたせば納得せらるべき筋合のものであると考えております。
栗山良夫
43
○
委員長
(
栗山良夫
君) 今岡野通産
大臣
がお見えにな
つて
おりますから、一応駐留軍の
労務者
の問題は中断をいたしまして、
特需工場
関係
の問題に入りたいと思います。 そこでこの前の
委員会
で
通商産業大臣
にお尋ねをしなければならん問題が起きたことは、恐らく意を通じてありますので御
承知
かと思いますが、念のためもう一度申上げます。実は
只今
アメリカの軍
事予算
の
削減
に
伴つて
調達庁
関係
の
駐留軍労務者
に若干
整理
が出ておるわけでありますが、これらについてはそれぞれ事情を
調査
しておりますが、それと平行をして特需
関係
の工場の
労務者
に対する
相当
大幅な
人員整理
が
只今
出ております。この前の
委員会
の
調査
によりますと、特需
関係
の
労務者
約三万名に対して七千五百名ということにな
つて
おるわけであります。それで我々が今まで調べておりまして非常に奇異に感じますことは、駐留軍
関係
の
労務者
の場合は、業務量の
減少
が
人員整理
の直接の
原因
ではなくて、飽くまでもアメリカの
予算削減
が
原因
である。これを裏返して言えば、それだけ
人員整理
をすれば業務過剰になるということも言えるわけであります。
従つて
今福島
長官
が言われましたように、
駐留軍労務者
のほうでは、軍事費の
削減
が約三一%くらいに想像せられるのだけれ
ども
、日本人の
労務者
の
人員整理
によ
つて
浮いて来る
経費
というものは約三%
程度
のものである、非常に軽いという
説明
がありました。ところが
特需工場
のほうはこれと全然違うように思うわけであります。そこで通商産業省として特に特需を扱
つて
おられる立場から申しまして、今後日本の特需というものが、今
人員整理
に現われておるような工合に仕事量が大幅に
減少
するのか、或いは仕事量というものは
減少
しないのか、この点を
一つ
明確に見通しをお聞きしたいと思います。仕事量が大幅に若し
減少
をするというような見通しがあるといたしますならば、逆に政府の
説明
によると、特需の仮に
減少
があ
つて
もMSAの軍事援助に伴う付属的な経済援助によ
つて
十分カバーし得るような言明をされておるわけでありますけれ
ども
、そういうことが果して可能であるか。今日そういうことが可能であるとすれば、
特需工場
になぜ
人員整理
が今起きて来るか、その点がどうも私
ども
はよく呑み込めない点であります。 それからもう
一つ
は、これもこの
委員会
には直接
関係
のないことでありますが、貿易
関係
の政府の
説明
によりますと、輸入八十八億、輸出十二億、それから国内の外貨獲得が大体六億
程度
で、収支はバランスするということを言われておりますが、国内の外貨獲得の主要な部面を占めておりますのはやはり特需であ
つた
ろうと思うのでありますが、その特需が今のように
減少
して行く場合には、収支のバランスは取れなくなり、政府の言明とは
相当
違うと私は思うのであります。これらについても
一つ
説明
を願いたいと思います。
岡野清豪
44
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。 今まで政府の
見込
といたしまして、朝鮮事変が終りましても特需はこの一、二年はそう大して差はなかろうということを申しておりましたが、これは何も的確にその個々の事業がどういうふうに転換して行
つて
、そうしてどういうわけに行くというわけではございませんでして、今私詳しい
数字
を持
つて
おりませんが、我々の
見込
をつけておりますのには、朝鮮の特需というものは、即ち戦争
関係
の特需というものは一応終熄いたしますが、併し朝鮮の復興特需というものが出ておりますので、そういうものが参りまして外貨獲得の面においては大した差はない、こういう考えを持
つて
おるわけでございます。その点におきまして、特需というものが今までの形で、全く同じ形で続けられるものではなくて形が変
つて
続けられてやはり外貨が入るというふうに見ております。そのためにこの仕事量と申しますか、日本が日本人の労力並びに或いは原料も日本から仕入れるでございましようが、そういうようなものによ
つて
外貨を得る額は大差はない。併しながらその仕事の性質というものは、私はもともと戦争中に起きた特需でございまして、その戦争に直接に必要なところの仕事量というものは朝鮮休戦と同時に減
つて
行く。併し今度は朝鮮を復興するために必要なところのいろいろの資材、労力というものが要る、それに転換して行く、こういうふうなことにな
つて
行くと私は考えております。 それから貿易の見通しでございますが、
只今
までの
情勢
でございますと、どうも輸入が非常に殖えまして、最初の予定よりはもう少し、輸入が十八億ドルくらいに私は見ておりましたけれ
ども
、二十億ドルにも行きはせんか。今まで一月から八月頃までの
情勢
を見ますとそうな
つて
おりまして、その点においては収支のバランスが少し、七千万ドル乃至一億くらい赤字になるぐらいだ、こういう心配をいたしております。併しまだ輸出貿易に対しまして
相当
努力
をいたしておりますので、或いは来年の三月までの間にはこれが取返し得るかとも思いますけれ
ども
、これは単に
見込
でございまして、果して私
ども
考えておるように行くか行かんかは
只今
のところはつきりと言明申上げるわけには参りません。
栗山良夫
45
○
委員長
(
栗山良夫
君) そこで今仕事量は変らないけれ
ども
、現在の特需の性質が変
つて
来る。こういうお話でありましたが、そういたしますと
只今
の
特需工場
、特に兵器
関係
を扱
つて
おる
特需工場
は仕事が
減少
して、そうして兵器に直接
関係
のないようないわゆる復興特需が殖えて行く、こういう見通しということになりますか。
岡野清豪
46
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) はつきりと私はそこまで行きませんが、極く大局観といたしまして、戦争中に起きたいわゆる特需というものは何であるかと言えば、国連軍が朝鮮において戦争をしてお
つた
というために、日本がその兵站部の一部の仕事をしてお
つた
という意味において今まで特需が出て来たわけでございます。併しながらこの特需というものは、これは平和が参りますれば当然なくなるものと私は考えております。併しながら特需がまだ続けて行けるということは何で
見込
を立てるかと申しますれば、戦争の破壊によりまして非常な痛手を受けたところの朝鮮に対して、国連もそうでございますし、同時にアメリカも
予算
において復興の
予算
を取
つて
おりますから、そういうものが日本に注文されるということになれば、恐らくそういうので買われると、こう思います。
栗山良夫
47
○
委員長
(
栗山良夫
君) まあ大体そうすると私が非常に卒直にお尋ねしたのですけれ
ども
、考え方は私の
質問
とそう変らない。そういう考えですと、重ねて伺いますが、大体戦争に直接
関係
のあるような仕事が減
つて
来るということになりますと、
只今
のそういう仕事をしてお
つた
特需工場
というものの仕事量がまあ一応減るということになりますが、これについて先ほど申しました新らしい仕事をこれに付与するというような、そういう
計画
はございませんか。
岡野清豪
48
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。まあその兵器産業と若し仰せになりますならば、これは又
一つ
の考え方でございますが、兵器産業は御
承知
の
通り
に
保安
隊に入れるところの弾丸とかライト・アーマメントというものを作る工場もございます。そこでこれが
保安
隊に入るものは、恐らく
予算
で皆様御
承知
の
通り
に続いて行くだろうと思います。ただ朝鮮で使用しておりましたところの兵器、弾薬というもの、これが自然に要らなくなる。こういうことになりますから、兵器産業のほうが漸減する、若しくは減
つて
行くということについてはその一
部分
である、こう御
承知
おき願いたいと存じます。
栗山良夫
49
○
委員長
(
栗山良夫
君) 私のお尋ねしておりますのは、要するにこの間も川崎にあります小松製作所、あれは全部
契約
がキヤンセルされまして、従業員全員
解雇
に
なつ
た。そこに行
つて
役員の人といろいろ話をしておりまというと、あそこが扱
つて
おりました、まあ兵器の修理をや
つて
お
つたの
でございますが、修理は勿論のこと、新らしく製作する能力も十分に持
つて
いる。又最近土建用の機械等がアメリカからどんどん輸入されておりますが、あのくらいのものは自分の工場で作る自信もある。こういうことを言
つて
おりますけれ
ども
、併しどうも政府のほうの考え方がはつきりしないので、そういうような思い切
つた
業種の転換を
計画
して
人員整理
を避けるということは事業家としては自信がないということを非常に悲痛な表現で言
つて
おられたのであります。
従つて
若しそういう恰好で
只今
の兵器をや
つて
おりました特需全体が追われるということになれば、非常に外国から入
つて
来るいろいろな情報と合わない点があ
つて
不安に駆られるのじやないかと私は思うわけです。
一つ
は最近池田、ロバートソン会談の結果、私
ども
がいろいろ報道機関を通じて知
つて
おるところによると、兵器のいわゆる域外買付も日本でやろうというような話まで出るようであります。又一方においては、最近武器等製造法等の
法律
を通じて、今仕事を現にしていないような工場も兵器の生産に新らしく入
つて
行くようないろいろな
努力
を事業家はしているようであります。併し現にこういう終戦後アメリカ軍を対象にして非常に苦しい中で特需をや
つて
来た工場が、今仕事の転換に当
つて
困
つて
おるとするならば、そういう新規の工場の育成をこの通産省がやられるのでなくて、現に今稼動をしておる工場というものについての仕事量の確保ということに格段の私は配慮をするのが至当じやないかと私は考えるのであります。その辺のお考えはどうでございますか。
岡野清豪
50
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お説これは至極御尤もな点でございまして、注文とか需要がどのくらいかということの見通しは、恐らく今業者のうちに十分ついていないのだろうと思います。その点は御
承知
の
通り
に一部の財界では、将来MSAの援助を受ければ
相当
日本で武器を生産しなければならなくなるだろう。そうすれば武器製造工場を、うんと生産工場の設備を充実して大いに働きたい、こういうような考えを持
つて
頻りにいろいろな
計画
を進められておるようでございます。それから一部におきましては、又先ほ
ども
仰せのように、朝鮮におけるところの戦争が済んだためにその需要が減
つて
号そうして今までの設備、労働者というものが要らなくな
つて
参るというようなこともありまして、両方とも、結局どういう方向に日本のこういうような武器に関する生産の
計画
並びに行き道がな
つて
行くだろうかということが五里霧中なものでございますから、なかなか業者のほうでも心配が多いことだろうと思います。私といたしましては、もうお説の
通り
に新規のものをむやみに需要もないのに拡張するということは、これは以てのほかでございまして、そのために武器製造法というものを作りまして、余り需要もないのにどんどん設備を拡張したり、金と資材を使
つて
結局はその経営が成立たないということに
なつ
ちや困るというようなことで武器製造法を作
つた
わけでざいまして、これは御趣旨と全く一致した政策をと
つて
行くための
法律
である。 それから第二段といたしまして今まであるものを成るべく利用するように、又
労務者
も利用するように、これはもう私も全く同感でございまして、今まで拡張設備して動いてお
つた
ところの設備というものを、これをむざむざ不用にするということは、これは勿体ない話でありますと同時に、折角或る職業を得て、そのために
労務者
が生活の安定を得てお
つた
ものが、突然としてなくなるとか、若くは
ちよ
つとでもやめておらなければならんということは、これはお気の毒だと申上げるのは無論のことでございますし、社会問題としても非常に心配なことでございます。我々といたしましても、その将来のあり方というものに非常に心配をして研究をしておる次第でございます。
栗山良夫
51
○
委員長
(
栗山良夫
君) 大体わかりましたが、そうしますと通商産業省としては、将来の需要の見通し、時期的な見通し、或いは業種的な見通しというようなことについてはまだ全然
計画
が立
つて
おりませんのか、或いはおりますのか。又非常に優秀な技術を持
つて
いるああいう小松製作所等が閉鎖をしておるわけでありますが、そういうものについて特別な行政指導をして、そうして技術の保存と併せて
労務者
或いは企業家の一応の安定を図
つて
行く、こういうような
努力
をせられる用意がないかどうか。又日鋼の赤羽工場のような工合に、設備万端を国から或いは
米軍
からか知りませんけれ
ども
、供与を受け、そうして
労務者
を入れて操業しておるのですが、ああいうところへ民間の需要を入れてそうして
労務者
の
整理
或いはその事業の縮小を防止するというような、そういうことについて格段の
措置
をせられる、そういうお考えございませんか。
岡野清豪
52
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。 将来の見通しにつきましては、実は通産省でも
只今
の現段階において如何なる
程度
の設備並びに
労務者
が必要であるかというようなことも研究をいたしておりますけれ
ども
、今
進行
中の自衛力漸増とでも申しますか、
保安
隊の充実、充足というようなことが今論議されておる次第でございまして我々といたしましてはあの
計画
が一応きまり、同時にそれに対してMSAの援助がどのくらい入
つて
来るか、而もMSA援助というものが完全兵器で入
つて
来るか、或いはお金で入
つて
来るかということの見通しもまだついておりませんので、将来の見通しをつけようと思いますことは、無論
委員長
と同じような考えを持
つて
おりますけれ
ども
、
只今
の段階におきましてはその見通しをつける
基礎
の条件が備
つて
おりませんので、今暫らくこれは見送らなければならん、こう考えております。 それから旧来の設備は、もうすでに朝鮮戦乱始りまして約三年になりまして、
相当
な設備の充実もできておりまして、それが特需、いわゆる戦争の特需がなくな
つて
遊休設備になりはせんかというようなことにな
つて
おります。それにつきましては、無論最近に
決定
になるだろうと思いますところのいわゆる武器生産の形が現われましたならば、それに一番に流用しなければならんと思いまして、これをよく確保し、保全して行くということには
努力
したいと思
つて
おります。これは
一つ
一つ
具体的に私は考えておる次第でございませんが、そういうような方向で進んで行きたいと、こう考えております。
栗山良夫
53
○
委員長
(
栗山良夫
君) その池田、ロバートソン会談じやないですが、アメリカのほうとも一応
交渉
ができてそういう
計画
が一応立つという時期は大体いつ頃を想定しておられるでしようか。
岡野清豪
54
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 私もこれは直接その
方面
にタッチしておりませんのでよくわかりませんけれ
ども
、とにかく池田君が吉田の特使といたしまして向うへ行
つて
、向うの
情勢
を打診して間もなく帰
つて
来る次第でございまして、それを
基礎
にいたしまして東京で日米の間に
いろいろ交渉
を始めるということになりましてそうしてもうすでにMSAの協定の原則的の、いわゆる協定文の原則は大体においてこちらで検討済みでございます。そういたしますというと、如何なる
計画
によ
つて
日本の自衛力を漸増するかという一事だけが残
つて
おるわけでございます。それは池田君が帰り、日米の
交渉
が東京で始められる。そういたしますると、そう遠い将来にならんうちに大体の見当はつくかと私
ども
は考えております。その見当のつくことを通産省としては待
つて
おる次第でございます。
栗山良夫
55
○
委員長
(
栗山良夫
君) そうしますと何でございますか、二十九
年度
の本
予算
には当然入るということでございますか。
岡野清豪
56
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 私は二十九
年度
の
予算
には入る可能性が多いと、こう考えております。
栗山良夫
57
○
委員長
(
栗山良夫
君) それからMSAの協定の内容についてはもう研究済みだと、こういう工合に今おつしや
つた
んですが、そうするとその研究済みのものを以て池田特使がアメリカへ行
つて
ロバートソン会談をや
つた
という工合に理解していいわけですか。
岡野清豪
58
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) MSAの協定と申しますのは、世界各国とも大体同じような原則論を調
つて
おるわけでございますから、その原則論は日本の国情に合うか合わないかというようなことを検討しておりまして、それからあといわゆる自衛力をどれくらいにこれから漸増して行くとか、いや何年
計画
でやるとかいうことが具体的にそれに挟まれるわけであります。従いまして、結局通産省が待ちかまえておりますところの協定と申しますものは、来
年度
予算
以降において如何に日本の産業に影響するような生産をその協定の中、議定書の中に織込まれるか、こういうようなことを待
つて
おる次第でございます。
栗山良夫
59
○
委員長
(
栗山良夫
君) 又
ちよ
つとほかの面から伺いますが、実はこの前の
委員会
で江下職業安定
局長
に今後の失業
状態
の見通し並びに対策についてお尋ねをしたわけでございます。ところが労働省側の
調査
では、失業
状態
は大体今年の春以来ずつと保合にな
つて
お
つて
、暫らくそういう
状態
で行くように自分は考えるという報告で、ございました。これは大体完全失業者四十六万
程度
でございます。ところが私
ども
としてはこれと意見を異にしまして、本
年度
の農村の不況或いは台風による西日本、全国的の
被害
、更に
米軍
の軍
事予算
の
削減
による影響或いは又金融の引締めによる中小企業への打撃等を考えて、失業者は
相当
に殖えるであろう、もう一遍対策の建直しを願いたいというので
只今
再検討を
要請
しておるわけであります。で今の岡野
大臣
のお話によりますと、その全部というわけには行かないでありましようけれ
ども
、今ここに固ま
つて
集団的に近く出ようとしておる失業者に対して労働市場を十分に与え得る見通しがあると、こういう工合に考えてよろしうございますか。
岡野清豪
60
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 完全失業につきましては経審あたりもやはり四十五、六万を見ておるようでございます。ただ問題といたしまして、今度の災害によりまして失業したというような者も出て来るでありましようし、今仰せのようにアメリカの
予算
が少く
なつ
たため、又朝鮮の戦争に必要なところの
事業量
というものが少く
なつ
たために、これが出て来たという点におきまして、多少私は失業者が出るんじやないかというようなことを心配しております。そこで私
ども
といたしましては、これはまあ労働
大臣
の御所管でもございましようけれ
ども
、併し産業面の立場からいたしまして、一番大事な労働者というものが失業のままでおるということはこれはよくありませんので、輸出貿易とかいうような
方面
でできるだけ人を吸収して行くようにと思いましていろいろ画策しておるわけでありますが、なかなかうまい名案もありません。ただ問題といたしまして、なおこの上に失業者が出ては困るというようなことを目先に認めまして、通産省ができるだけの、いろいろな事業が弱
つて
来ないように、又事業経営が崩れてしまいはせんかというようなこともないようにと思いまして、今非常に頻りに心配されていますところの中小企業の年末金融などの
手当
を一生懸命や
つて
おるわけでございますが、併しこの夏やりましたように、電源開発なんかもどんどん早く着手するようにということも
決定
いたしましたし、又各府県の公営の電源開発事業というようなこともできるだけ早く着手するように、又仕事を進展さすと、これは間接にはやはり労働者を吸収するというような意味で、まあそういうあらゆる
方面
で我々の手の届くところには
事業量
の増加ということを進めて
努力
、善処しつつある次第でございます。
栗山良夫
61
○
委員長
(
栗山良夫
君) 実は、この失業問題に関連をして、岡野
大臣
にはまだ御記憶して頂いておると思いますが、
閉会
中……十六
国会
の終りであ
つた
かとも思いますが、そのときに通商産業省のいわゆる産業政策というものをお尋ねしたことがございます。そのときに、勿論これは雇用量の増大ということを
基礎
にして私
ども
は
質問
申上げておるわけでございますが、これについて、将来の日本の産業は、特需というものはこれは附録として、飽くまでも平和経済で
計画
を立てて行くようにしたい。幸いに経審のほうの
長官
も兼ねておるので、今盛んにその具体化に
努力
を続けておる。こういう答弁がございまして、然らばそれじや具体灘を早く
一つ
お出し願いたいということでお願いをしておるわけでありますが、その具体案というものはもう大体できましたか。
岡野清豪
62
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。先般御
返事
申上げましたように、特需というものは、これは臨時的の仕事でございまして、日本がこれに頼
つて
お
つて
、そうして正常な貿易、正常な経済自立というものができなくちや困るという意味において、私は正常な経済の発展をいろいろ考えて費わけであります。ただ問題は、あの御答弁申上げました後に、いろいろ社会の
情勢
を考えてみますというと、経済の自立ということが一番大事でございますけれ
ども
、どうもよく検討してみますというと、まだ本当に安定をしていないような感じがしますので、先ず安定をさせるという方策に重点をおき、そうして安定をした上で自立にますます突進する。こういうような
方面
で、実は三目標、四原則ということに大体の方針をきめまして、その三目標を充実し、四原則に
従つて
日本の経済をどうして運行して行くかという裏付をしております。即ち大きな根幹だけを打ち立てまして、これに枝をつけ、葉をつけ、花を咲かせる、こういうふうにや
つて
おりますが、まだ葉まで参りませんが、根幹と多少の枝がついたくらいな
程度
の
計画
に相成
つて
おります。
栗山良夫
63
○
委員長
(
栗山良夫
君) その三目標、四原則というのはどういうのでございますか、初めて伺いますが……。これはやはり労働
委員会
でありますから、飽くまでも日本の労務雇用量の吸収ということを中心にして御
説明
を頂きたいと思うのです。
岡野清豪
64
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 今取寄せますから……。
栗山良夫
65
○
委員長
(
栗山良夫
君) そうしますと、その間にもう
一つ
お尋ねいたしますが、今起きておる
特需工場
関係
の
人員整理
、業務量の縮小ということは、通商産業省としては止むを得ない、不可避的なものである、現在の
状態
では不可避的なものである、
ちよ
つと対策はないと、こういう工合にお考えでありましようか。或いはこれではいけないので、何とか対策を立てようというようなお考えでありますのか。今
人員整理
が起きておりますが、これは具体的に工場もわか
つて
おり、業種もわか
つて
おるのでありますが、どういうようなお考えでありましようか。
岡野清豪
66
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) これはもう年末に迫りまして失業するなんということは、これは人生として非常に悲しいことでございます。事務当局も何とかこれは転換のできないものかと研究しておるわけでございます。併し私には
只今
のところ名案も、ございません。詳しくその業種並びに
労務者
の生活、性質というものを探求しまして、何とか考えなければならん、考えてくれというようなことにしております。
栗山良夫
67
○
委員長
(
栗山良夫
君) そこで、いずれ労働
大臣
においで願
つて
、労働
大臣
にもお尋ねをしたいと思うのですが、これは労働
大臣
だけの責任とも言えないので、やはり
通商産業大臣
と力を合わせて、政府として解決して頂かなければいかん問題だと思
つて
おるのでありますが、当面
年末年始
を控えて
解雇
を予定されておる人を何とかして経済的にも精神的にも安定させるような方策を政府として考えられないか。第二には、こういう特別な職場にあ
つて
、終戦後長年勤労をして来たという者に対して何とか特別な経済的な救済の
措置
というものを政府で考えられないのか。第三には、今日
解雇
されて行く人について、技術保存も兼ねるわけでありますが、将来個別的な救済の方法というものはないのか。そうい
つた
ような点について政府部内で緊急に特別な処置を煩わす余地はございませんか。これを伺いたい。
岡野清豪
68
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。これは総括いたしまして先般新聞で拝見いたしまして、労働
大臣
とも
話合い
まして、これは時も時でございますし、何とかここで労働者の熟練した技術を残して置くことも勿論お説の
通り
必要でございます。それから個人的には年末に職を失うという人に対しては、安心して年が越せるような
措置
も考えて上げなければならんしというようなことを話合
つて
おります。併し
只今
のところ、主として労働
大臣
のお考えを伺い、同時に通産省でできるだけの処置をしたいと、こう考えておる次第でございます。
栗山良夫
69
○
委員長
(
栗山良夫
君) 通産
大臣
に対して御質疑ございませんか。
ちよ
つと
委員
の皆様にお諮りを申上げます。
只今
外務
委員
の佐多史隆君より
委員
外発言を求められております。これを認めることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
70
○
委員長
(
栗山良夫
君) 御
異議
ないと認めて発言を許します。
佐多忠隆
71
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 池田、ロバートソン会談の共同声明によりますと、相互安全保障法の第五百五十条の
規定
に基いて、日本に過剰食糧五千万ドルを渡すと、それの代金は積立てて日本の防衛生産及び工業力増強に使用されると、こういうようなことが出ておるようでありますが、そういうことは通産
大臣
としてはすでに了解済みなんですか。
岡野清豪
72
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答え申上げます。小麦の問題でございますが、これは十月の中旬だと思いますが、よく日付覚えておりません、十四、五日でございましよう。アメリカ大使館を通じまして日本にそういうことを言
つて
来たのでございます。その内容と申しますというと、一億七千五百万ドルを、そういういわゆるアメリカにおける過剰物資でございますか、過剰農産物と申しますか、そういうものを援助として外国に出してもいいと、こういうようなことがあるのであります。この一億七千五百万ドルのうち一億三千万ドルは欧洲向けにする。それからあとの四千五百万ドルはその他の国にすると、それで日本が欲しければ千五百万ドル乃至二千万ドルぐらいは差上げてもいいのだが、こういうようなことで
返事
をこの十一月十四日頃までにしたらどうかというような話があ
つたの
であります。そこで私
ども
といたしましては、すぐ思いつきましたことは、御
承知
の
通り
に日本が前古未曾有の凶作でございまして、食糧に苦しんでおるときでございますので、小麦をもらえれば小麦をもら
つた
ほうがいいということになり、これは私自身といたしまして賛成なのでございますが、ただ問題点といたしまして、先ず第一に、これはいろいろの問題もございますが、値段の問題、その値段が世界の市場の最高価格を下廻らん、こういうように書いておるのであります。ところが小麦は御
承知
の
通り
に小麦協定で買いますと七十二、三ドルで買えます。それから普通の市場で買いますと八十二、三ドルになる。それからアルゼンチンあたりのバーターで行きますと九十ドルぐらいになります。でございますから、日本といたしましては小麦協定で七十二、三ドルで買えるのだからそれ以上の値段は払いたくないというのが、これは私の希望でございますが、併し小麦協定に入
つて
おりますが、それは量がきま
つて
おりますものですから、日本が要るだけの量はその小麦協定で買うだけで足らないのですから、どうした
つて
八十二、三ドルの普通市場で……少くともアルゼンチンと特別のバーター・システムでやる九十ドル前後の値段は別といたしましても、八十二、三ドル
程度
の値段で買いたいと、こういうようなのが私の考え方でございます。それが
一つ
の問題点。これも
交渉
の上でなければわかりませんが……。 それからもう
一つ
は船の問題ですが、持
つて
来るのに、やはりMSAでございますと半分は、五〇%はやはり向うの船を使わなければなりませんというようなことも書いてあります。これもまあ日本では、外貨獲得のためには日本の船を使
つて
くれたほうがいいわけですが、それも
一つ
考えなければならんということ。 それからもう
一つ
問題になりますことは、積立てたところのお金、即ち日本円で積立てるのでございますが、その使い方が一体どうなるのだろうか、これがはつきりいたしておりません。とにかく向うで持
つて
来た小麦につきましては、日本で売
つた
ら、売
つた
らじやなくて、約束ではこちらで売ろうが売るまいが、日本へ手渡したときに金をやはり積立てなければならんと言いますが、それはあと先の問題でございますから、政府がいろいろ財政的の処置をすればどうにかなるのでございますけれ
ども
、果してその積立てた資金というものを如何に使うかということには、私は非常に関心を持
つて
おります。若しこれが日本の生産力の拡充のために投資されるとか、或いは日本で
保安
隊あたりが必要である物を日本の業者に作らして、そしてそれを買上げるというようなことなら、これはまあいいのでございますが、併し若しこれをいわゆる域外調達で、東南アジア
方面
にアメリカがやらなければならん生産品をその資金の中から使
つて
出すということでありますというと、これは消極的に申しますると、若しそれなかりせば日本として外貨を受取
つて
、物を作
つて
そして外国に出しておるということになります。それが小麦を入れてもら
つた
ということだけで、日本の金で物を外に出さなければならんということになりますから、これは貿易土
ちよ
つと余り面白味がないのじやないか。そんな問題がありますので、そういう問題を具体的に話を聞きまして、そうして検討して、これを受けることができるというようなことにきめようと、
只今
のところでは考えている次第であります。
佐多忠隆
73
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 受けるか受けないかということをきめるというのは、もうすでに一般的な了解に達しているという共同声明なんです。それをどう使うかということがもうすでに共同声明の中に、売上代金たる円貨は、海外買付及び投資の形により日本の防衛生産及び工業力増強に使用せられるものとするということまでちやんと了解済みだというふうな声明なんです。 そこで私はこのこと自体が
一つ
の問題だし、こういう紐付きの資金によ
つて
、日本が軍需産業の中心に日本の経済構造が再編成されて行くという点について基本的な問題がある。この点はいろいろ論議をいたしたいと思いますが、それは他日に譲
つて
、ただここの労働
委員会
で私が特にお尋ねをしておきたいのは、そういう形で防衛生産を増強するというような
計画
をすでに持
つて
おられるのか。そして持
つて
おられるとすれば、現在進駐軍
労務者
と並んで民間の
特需工場
その他に非常に大量な
解雇
なり失業が出ようとしておるが、それらの問題はこの問題と関連をすれば今後どういうふうな
傾向
にな
つて
行くのか、どういう方向に発展して行くのかそれらの点を御
説明
願いたい。
岡野清豪
74
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) お答えいたします。第一点といたしまして、これは声明に出ておりますものでございますが、併しこれから東京において日米両国がよく
交渉
をしまして、そしてこれをどうするか。私が問題といたしましたのは、日本に不利な条件を挙げたわけでございまして、これを有利にしたならばこれで行く。それからもう
一つ
第二点といたしまして、これによ
つて
日本の
労務者
にどう影響をするかと言いますれば、私はたとえその辺の、外貨が取れないということは別問題といたしましても、それだけの金が余計出て行くのだから
事業量
が殖えて
労務者
は労働を余計必要とされる、こういうことにな
つて
来はせんかと思
つて
おります。
佐多忠隆
75
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうするとすでに前に御
質問
があ
つた
かも知れませんが、この問題がないとすれば、今のままでは差当り
人員整理
なり或いは失業というようなものは、今の
特需工場
といいますか、そういう民間の工場あたりではどういう
状況
にな
つて
おるのか、どういう
傾向
にな
つて
おるのか。更にそれに対してはどういう対策をお考えにな
つて
おるのか。その辺は通産
大臣
としてのお
見込
なり対策はどうなんですか。
岡野清豪
76
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 詳しい事情はよく存じませんから、詳しいところを
局長
から御答弁いたさせます。
記内角一
77
○
説明員
(記内角一君)
只今
の問題でございますが、今起きております問題の
原因
の
一つ
は、
米軍
のほうの軍
事予算
が非常に
削減
されたために、日本で発注し得る、車両の修理が中心にな
つて
おりますが、その車両の修理の修理代金が減
つて
来ておるということが
一つ
であります。第二といたしましては、朝鮮における戦闘行為が終りましたので、その後の破壊等がなくなりまして、自然修理すべき車両も減
つて
来たというこの二つの
原因
によるものと考えております。従いまして先ほど
大臣
から申上げましたように、朝鮮戦乱に関連した特需という問題は逐次
減少
しておるわけでございますが、ただいわゆる特需の中にも一種の域外調達のような意味合いにおきまして、日本の
保安
隊に支給されるべき弾丸というふうなものにつきましては、従来同様に注文がついておるというふうな
関係
にな
つて
おります。なお、朝鮮復興に伴いまして、まだ十分に動いてはおりませんけれ
ども
、例えば硫安の注文も参
つて
おるような次第でございますし、その他いろいろな機械類等につきましても漸次いわゆる朝鮮復興特需として引合が始ま
つて
おるというふうな
状態
でございます。
栗山良夫
78
○
委員長
(
栗山良夫
君) 通産
大臣
は間もなく衆議院の本
会議
が
開会
されますので、そのときに退席されます。御了承願います。 それからもう一点だけ、私通産
大臣
に、これはまあお願いと言
つた
ほうがいいかも知れませんが、いずれ労働
大臣
がお見えになりましたならば、併せて申上げたいと思うのですけれ
ども
、
駐留軍労務者
の
関係
は政府雇用でございますから、
調達庁
のほうの
努力
によ
つて
相当
善処を願えると私
ども
は期待をしたいと思
つて
おるのですが、
特需工場
のほうの問題は、何と申しましても私
契約
でありますので、うまく行かないわけであります。
従つて
人員整理
は十八万に対して五千名というようなそういう小さな
数字
では今ないので、三万名に対しまして七千五百も現在出ておるようであります。更に増加の
傾向
があるようでありますから、これは
相当
重要な問題だと私は思います。そこで是非とも
一つ
緊急に内閣の問題として、こういう問題についてはその善処について是非とも何とか時宜を得た
措置
をとられるように
一つ
御配慮を煩わしたい、こう思うのです。でき得ますならば閣議の問題にもして頂きまして、是非とも
一つ
善処願いたい、こう考えますが、如何でありましようか。
岡野清豪
79
○国務
大臣
(岡野
清豪
君) 御説至極御尤もでございまして、無論正式の閣議の問題にはしませんけれ
ども
、閣僚間で私の思い付きとか何とかいうものを考えまして、そうしてできるだけそういう趣旨を徹底したい、こう考えます。 一例を申上げますれば、私は先般修理工場が閉鎖になるとか
労務者
が失業するとかいうようなことがありましたので、すぐ思い付きましたことは、今高級自動車を外国から輸入するのはこれは贅沢だからよしてもらいたいということを言
つて
おりますけれ
ども
、併し自動車は御
承知
のようにやはり交通機関としては
相当
産業上必要なものでございますから、そこでアメリカあたりの中古品の自動車を輸入しますと、そうしますというと原価が向うで五万円ぐらいにしかならないそうでございます。それに運賃がやはり十七万円かかります。運賃のほうが三倍以上かかりますから。併しそれにしましても合計しますと二十二万円、二十二万円の中古品をこちらに入れまして、それを自動車修理工場で修理すれば十五万乃至二十万かければ立派な、今市価百五十万という
程度
のものになり得るというような、これは私の素人考えでありまして、果してその
通り
に行くか行かんか知りませんけれ
ども
、少くとも五万円の原価のものを十七万円で輸入しまして、そうして二十万円の修理費で一応走るようになるということになりますれば、これは恐らく原価四十五万円でございますが、六、七十万にや
つた
つて
採算にも合いますし、又日本の役にも立つ。そうすれば結局修理という労務が日本でできるわけですから、今回のような場合に役立つのではないかというふうに考えてみたりして、日夜苦心しておるのでございます。無論仰せまでもなく、今後内閣の問題といたしましてそういう方向に邁進したい、こう考えております。
栗山良夫
80
○
委員長
(
栗山良夫
君)
調達庁
の
長官
が見えております。
ちよ
つと速記をやめて下さい。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
81
○
委員長
(
栗山良夫
君) 速記をつけて。
佐多忠隆
82
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 最近の駐留軍
関係
の
労務者
の
人員整理
については、何か駐留軍の日本での駐留が漸減をして行く、それに関連をして
人員整理
が行われているのだというようなことも伝えられておるようでありますが、果してそういうものに基くものなのかどうかということ、而も同時に現在進展しているMSA援助との
関係
においてそういうことが考えられているのかどうか。例えばこの間の池田、ロバートソン会談の共同声明によりますと、日本の防衛力が増進すると共に在日
米軍
支持のための
日本側
負担を軽減することを随時考慮することに意見の一致を見た。次に、更に日本の
部隊
が自己防衛の能力を増進するに
従つて
在日
米軍
が撤退すべきことについても意見の一致を見たというようなことが、この共同声明の中に書かれておりますが、これらの点は具体的にどういうふうに進展するとお見通しにな
つて
おるのか。それから現在の
人員整理
もすでにこれのはしりという意味で行われつつあるのかどうか。その辺の事情を詳しく御
説明
を願いたい。
福島慎太郎
83
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 駐留軍の将来における撤退という問題が、私
ども
調達庁
の
関係
におきまして重大な問題であるということは間違いないところであります。ただ併しながらこの問題について
アメリカ側
と正式に私
ども
話合い
をしたこともございませんし、又必ずしも
調達庁長官
の問題であるかどうかもわからないのでありますが、ほかの問題に関連いたしまして、この問題を
極東軍司令部
におきましてアリソン参謀長と話合
つた
ことは一回あるのであります。それは、その新
労務基本契約
に関連しまして御
承知
の
付属書
というものが四つあるわけでありますが、その中のかなり困難な問題に新給与、職務の職階という問題がありまして、これを新しいものを作
つて
古いものから付け換えるという、
従つて
下る者がありはしないか、下る者に対しては現給の保障をするんだ、上る者はそのままだけれ
ども
ということになりまして、これがこの現給保障という問題が
付属書
の中で一番困難な問題であるわけなんです。そこで私の出しました議論としては、アメリカ軍が若し近々帰るということにな
つて
おるならば、その前に新たな職階制を設けて混乱を招くという筋合ではないのではないか。新職階制というものを、旧職階制から新職階制に移せば、それによ
つて
下
つた
ものは補給するんだ、現状のままで回復する。それによ
つて
上
つた
ものはまさか下げはせんだろう。そうするとアメリカは
予算
は殖えても当面下りつこないんじやないか。ノーマルにそれが四、五年進展して行けば、或いは新職階制による利益は出て来るかも知れない。当面そういうことを考えても、
予算
が殖えるばかりであ
つて
、若しもアメリカの考えておる新職階制というものが、
予算削減
が目的であるならば意味をなさないではないか。暫らくた
つて
アメリカが帰るということが前提ならば、我々としてもこういう馬鹿馬鹿しい話に乗れないということを話したことがある。その際
先方
の意見としては、それは理論的の問題として将来そういう問題が起る、或いは何年という間に起るかも知れないが、当面のところとしては、帰るという問題を前提として話はできないという挨拶だ
つた
ものでありますから、一応それでは止むを得ないから我々も新職階制を或る
程度
まで考えようというふうに現状ではな
つて
おるのでありますが、私の、これは個人でありますが、腹の底では、やはりアメリカに帰るという問題がある以上はどうも腑に落ちない。新らしい職階制を布くというのは感心しないという考えは持
つて
おるのでありますが、その際の
相当
権威のある人たちの言葉としましては、その際に帰るという問題は考えない、当面の問題としては考えないで、常時プランを立てるということにしたいということが一回経験がありましただけで、それ以外の確たる材料を持ち合せておらないのでありますが、私
ども
といたしましては、政府のほかの
関係
の機関から指示を得ますまでは、自分自身で得ました情報と申しますか、判断に基いて、当面アメリカが帰
つて
しまうということは一応考慮に入れずにや
つて
行こうと考えております。又来
年度
の
予算
その他の
関係
で、現在は十八万五千でありますか、これの労務費の
関係
が来
年度
急激に変化するようなことがあればこつちも考えなければならないという、 一面財務
関係
の向きとも話をしておりまして、これも又十八万という線で来
年度
の
予算
が用意されているという情報も或る
程度
確認しておりますので、私
ども
の仕事に関します限り、当面大きな意味での変化はないものという観点に立
つて
仕事をしておるわけであります。 又MSAとの
関係
という面もあろうと思いますけれ
ども
、これにつきましては私
ども
まだ相談を受けておらないという
状況
でありまして、
只今
まで申上げました全面的に変化が起らないというべーシスで仕事を進めてよろしかろうという判断で一応や
つて
おる次第であります。
佐多忠隆
84
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうすると、今の
予算
の
削減
というのは、そういうことに
関係
なしに、ただ
予算
の総額として減されているのですか、どういう都合でどういう問題で
予算
は
削減
されているのですか。
福島慎太郎
85
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) どういう理由でどういう面の
予算
を減されたということを聞いておらないのであります。
予算
の総額として或る
程度
の制限を、制約を受けた。
従つて
これを実施する場合に、
日本人労務
関係
にも三%だた影響を出さざるを得ない、そういう
説明
しか聞いておらないわけであります。
佐多忠隆
86
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうすると
予算
の
削減
の結果、その
予算
の
削減
の問題が全部
労務者
なり何なりのほうに
しわ
寄せをされているのか。そのほかのことで処置されていて、そういうほかの処置と均等に
労務者
のほうにも犠牲が及んでいるのか。その辺の事情はちつともわからないわけですか。
福島慎太郎
87
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その辺の事情は詳しくは内容的には、項目的にはわか
つて
おらないのでありますが、ただ
予算
の
削減
量が三〇%という話の出たこともありましたし、正式に聞いたわけではありませんけれ
ども
、私
ども
の確認として三〇%か或いはその下であるかも知れないが、少くとも実際に私
ども
の
承知
した数とな
つて
現われた
日本人労務
の
関係
の三%よりは
相当
上廻
つた
ものであるということについては確信を持
つて
おりますので、
従つて
予算削減
の
関係
が
日本人労務
の
関係
に
しわ
寄せられたものではないということについては確信を持
つて
おる次第であります。
佐多忠隆
88
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうすると今のような見通しだと、十八万は固定する、それをベースにして今後のこういう雇用の
計画
その他もや
つて
行けばいいのだというお見通しだと、そういうベースで雇用の安定
計画
というかそういうものは十分に考えられておるのですか。
福島慎太郎
89
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 十八万というもの一を
基礎
にいたしまして、
アメリカ側
の
予算
計画
その他もそういう点に基いておるようでありますし、私
ども
も
駐留軍労務
の
関係
は十八万というベースで安定した
計画
を来年以降持
つて
行けるものだと考えております。
佐多忠隆
90
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうするとその十八万というのは、今後は
予算
の
削減
がないということのベースなんですか。いや、今後
予算
の
削減
が右
つて
もなお且つ雇用のほうは十八万でベースをずつと続けて行けるのだというお見通しなんですか、それはどつちですか。
福島慎太郎
91
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
日本人労務
に関しまする
予算
の面については今後の
削減
はないであろう、まあ私の話し合いました範囲内では、
空軍
のごときは今後の日本人の
関係
の労務の増加を要求しておるというようなことも申しておりますので、
日本人労務
に関する限り今後の
予算削減
はなくて済むのであろうというふうに観測しておるわけであります。
佐多忠隆
92
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君)
陸軍
の
関係
は。
福島慎太郎
93
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
陸軍
の
関係
は、今回の
整理
のかれこれ五千というのが殆んど
陸軍
の
関係
に出て来ておるのです。それで
陸軍
の口裏としては、相手の口裏を一々信用するのも如何かというお考えもあると思いますが、今度の分が済めばあとはない。あとはノーマル・アトリツシヨン、自然減員でや
つて
行きたいということを言
つて
おるのでございます。
佐多忠隆
94
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうしますと、十八万のベースが一応崩されないでそのまま続くとすれば、今お話のように自然減というのも
相当
あるはずなんですが、その自然減として
予算削減
に照応する
人員整理
というのは片付くというような
程度
のものとは考えられないのですか。それ以上に更にこういうものをしなければならないということと、十八万のベースが動かないということが
ちよ
つと呑み込めなくなります。
福島慎太郎
95
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その点は私
ども
も一番残念に思
つて
おる点でありまして、五千ぐらいの
整理
であれば当然自然減員によ
つて
、
計画
的にやれば半年ぐらいの間に達成することのできる減員であるので、この時期に、而も年末に際会してこういうことにな
つて
来るということは非常に残念な次第でありますので、
アメリカ側
に
日本政府
に対する相談というものを、もつと早く行わなければならんという点を強く追及したつもりでありますが、
先方
の言訳と申しますのは、十月十六日に至
つて
初めて七月から十二月までの上
半期
の
予算
についての指示を受け、それを十二月三十一日までに達成しなければならない、こういう事情に際会したので、全部が二カ月半の間に出て来ざるを得なく
なつ
たんだという言訳を聞いて、実は止むを得ないということに今な
つて
おるわけなんでございます。
佐多忠隆
96
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 余り止むを得ない理由とはどうも納得できないのですが、若しそういうことになると、あれですか、
退職
に対してのいろいろな特別の
手当
の問題或いは更に年末
手当
の問題等々が
整理
の時期と関連して非常に問題になるのですが、それらの点に対して十分に
労務者
の生活安定を考慮して折衝をされたということはあるのですか。
福島慎太郎
97
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その点がまあ一番問題でありまして、仮に五千の
整理
が、十八万五千に照して三%であるという御意見がある向きもあるはずだと思いますけれ
ども
、又仮に私
ども
が止むを得ないといたしましても、その五千の
整理
が年末に際会いたしまして最もむずかしい問題になるということはよくわか
つて
おりますし、又而も十二月十五日に在籍する者は年末賞与の権利が生ずる、それ以前に
整理
された者は年末賞与がもらえないということになります。而も実際問題といたしまして、十二月の十三日頃に
解雇
の
効力
の発生するような
通知
の仕方をした分が実は
相当
にあるわけであります。私の覚えておりますだけでも二千ぐらいあるわけなんです。そういうところではた
つた
三日、十三日の
解雇
を十六日付の
解雇
にすれば、気の毒ではあ
つて
も、少くとも年末
手当
はもらえるじやないか、誰だ
つて
、
アメリカ人
だろうが誰だろうが、十五日になれば年末
手当
がもらえるのに、十四日、十三日に首切られて嬉しがる人は絶対にないだろうということで話をしておるわけです。
年末年始
の際の首切りということも絶対にやめて欲しいというので、そういうわけで
極東軍司令部
としては一応の
訓令
が出たのです。十二月に入
つて
の
解雇
については成るべく十六日まで持越して、年末
手当
が済んでから
解雇
ということになるように十二月の二十四日ですか、五日だ
つた
かも知りませんが、五日から一月十日頃まで、いわゆる
年末年始
の時期における
解雇
の起らないようにという一応の
訓令
が出たわけですが、ただこれが絶対的の
訓令
でないものですから、その局部局部の
部隊
の
予算
、財政の
状況
に応じてでき得る限りという但書がついているものですから、そう考えてもできないという
部隊
等もありまして、十三日に
解雇
になるような通告の仕方、つまり四十五日以前に通告する必要がありますので、最近のまあこれからの通告であれば当然に十五日は越しますから工合がいいんですけれ
ども
、十月の終り頃にあ
つた
通告になりますと、十三日頃
解雇
になるという事例が多々出て来るというわけでありまして、例えば現に問題とな
つて
おります
TOD
の
解雇
八百何人というのが、これがやはり十三日の
解雇
にな
つて
年末
手当
がもらえない、セントラル・コマンドと申しますか、キヤンプ横浜
関係
の中で昨日の
数字
で、今日の
数字
とは若干違うかも知れませんけれ
ども
、千二百五十三名のうち二十六名だけは年末
手当
をもら
つて
あとは全部もらえないようにな
つて
おるというようなことにな
つて
おる。そこで昨夕も座間の
司令部
でさんざん
押問答
をしたのですが、昨夕のところでは、八百名の東京オーデイナンス・デポーの分だけがどうも
予算
上どうしてもできない、年末
手当
を付けますということは、つまり
先方
としては十三日に
解雇
するのを十六日に
解雇
するということは、
駐留軍労務者
の
平均給
与が二万円でございますから、つまり大体年末
手当
は一カ月ですから、もう二万円出すということのほかに、
日本政府
に
管理費
というものを払
つて
いるわけなんです、四千六百二十九円というものを払
つて
おる。つまり三日延ばすことによ
つて
二万円殖える、それに
管理費
の四千六百二十九円が殖える、それと三日分の日給が殖える、こういうことになる、二万七千円ばかりが殖える、こういうことになる。それに八百人分が殖えるということになると、つまりもう百三十人ばかり
解雇者
を殖やさないと十二月三十一日の帳尻が合わない。こういうことを言い出しておるわけなんで、そこで私
ども
これも承服したわけでもないのですけれ
ども
、なお
TOD
の分について年末賞与を出させる方法がないかというようなことも今頻りに考えておるわけなんです。その他の千二百五十三名のうち二十六人しかもらえないという横浜
関係
の残りの分につきましては、これは
TOD
ほど切迫した財政
状況
だという
返事
がその晩では来ませんでしたので、一々
関係
の
部隊
長を電話で呼び出して調べたわけなんですが、横浜の分については、調べ直した上で来週早々連絡して来ることにな
つて
おりまして或いは直
つて
来るかも知れないと思
つて
おりますのです。この十三日若しくは十五日の問題についてはなお強硬に
交渉
するつもりでおるわけでございます。
阿具根登
98
○阿
具根登
君 今の十三日の問題ですね。これはただ向うに対して十六日にしてくれ、くれということでなくして、こちらで財源を考えるなどというようなことは考えられるのですか。例えば、
日本政府
が
アメリカ側
から受取
つて
おる
管理費
とか或いは調達資金等も
相当
な金額があるように聞いております。そういうものをこれに振り向けるとか或いはその他いろいろなそういう財源があるのじやないか、こういうようなことは考えておられないのですか。
福島慎太郎
99
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
調達庁
の考え得る財源、例えば今お話の、ございました
管理費
というものは、一応四千六百二十九円ということで受取るのでありますけれ
ども
、清算主義にな
つて
おりまして、これからは余りのものは出て来ないということにな
つて
おります。従いましてそれ以外の一般的に
日本政府
の
関係
からでなければ財源というものは考えられないと思いますが、そういう問題につきまして、私
ども
としては
調達庁
限りで考えることのできない問題でありますので、
アメリカ側
との話がどこまで行くかということにもよりますけれ
ども
、取上げなければならない問題かとも考えるのでありまして、一応の研究はいたしておりますけれ
ども
、今
調達庁
以外の
関係
のきと相談をしたというところまでは行
つて
おりませんのです。
阿具根登
100
○阿
具根登
君 これは希望になりますが、
長官
も言
つて
おられるように、僅か二日か三日の差で年末に追い出されて、而も二万数千円も金をもらえなか
つた
というようなことは誠にこれは気の毒なことだということを盛んに言
つて
おられますので、今後の
交渉
もまだ残されておるようであります。十分な
交渉
をされると共に、何とかして不公平にならないように特に力を入れてもらいたい、これはお願いするわけなんです。
栗山良夫
101
○
委員長
(
栗山良夫
君) 労働
大臣
或いは外務
大臣
が来られてからやはり一緒にその点を追及したいと思
つて
おりますが、先ほど通産
大臣
は、
特需工場
の問題については労働
大臣
と打合せをして善処しようということを言
つて
帰られたのですが、
年末年始
の首切りは絶対にやめてもらうという点が不可能であれば、年末賞与だけはこれは何としてでも出してもらわなければ困ると思うのです。そこで幾らアメリカでも
陸軍
の最高責任者である司令官にもう少し話をしてもらえば、その辺の
話合い
は私はつかないものではないと、こう考えるのです。例えばこの前の富士自動車のときの
解雇
通告でも、あなた方の御
努力
によ
つて
無期限に延期されています。又
従つて
そういう日本人の正月ということに対する特別な心理的なものの考え方等も話して頂いて、そうしてこれは何としてでも責任を以て善処してもらわなければならん。若しそれがどうして
米軍
でできなければ、今のお話のように
日本政府
としてこれは特別な
措置
を是非とも考えてもらいたい、こう考えるのですが、それでいずれこの
委員会
ではあとでそういう点を一遍ずつと
整理
して
政府側
へ
委員会
として申入れをするように私としてはまとめてみたいと思
つて
おるのですが、どうしても可能性がないものかどうなのか、この点率直に
一つ
聞かしてもらいたいと思うのです。
福島慎太郎
102
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) すでに十二月十三日乃至十五日、以前のほかの目附もあるかと思いますが、という日附で
通知
を出した
解雇
に対して、これをどうしても十六日に直せという
交渉
を現にや
つて
おるわけでありますが、それから又それについては財政上可能な限り十六日に直せという
訓令
も
極東軍司令部
からは出ておりますが、なお且つ
部隊
によりましては直らない、まあ直すことは直すけれ
ども
、もう少し余計首を切るということを言い出す
部隊
が出て来るわけです。そういうことでは余計に首を切られては困るという問題も起りますので、どうしても直らないという
部隊
が出て来る。そういう場合にどうするかということにつきましては、私
ども
この際飽くまで
交渉
するということが先ず以て第一であり、第二には
交渉
しても直らない場合に、どうしても年末
手当
というものはアメリカに払わせることはできないのかということが
一つ
と、それから又いよいよアメリカの負担において払うという手が切れれば、
日本政府
の負担においてでもやることができないのかという問題を逐次に考える必要があるということは考えておりますし、又
努力
をしてみたいと考えております。
佐多忠隆
103
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 中央の
部隊
のほうから何かそういうことを特別に考慮するようにという
通知
は何か行
つて
おるというお話ですが、それが行
つた
ために実際上
計画
が変更された数と、その通告が行
つた
にもかかわらず、実際には各
部隊
で以て殆んど考慮されていないで、やはり依然として首を切
つて
しまう実施
措置
が行われておる、そこらの比率はどういうふうにな
つて
おるか。若し一般的の現象としてそういうことが
相当
考慮されて直されたにもかかわらず、二、三の
部隊
でただ例外的にどうもうまく行かないで、それが直されていないということならば、これは例外的な問題として了承はできるのですが、そうでなくて、通告は形式的に出したが、各
部隊
でその通告如何にかかわらず、今
長官
が言われたような
措置
がなされておる通告が単に一片の形式に過ぎないような結果に終
つて
しま
つて
いるというような
数字
的な実情であるならば、もう一遍やはり通告を出した
部隊
の、通告を出した者の責任において、さつき
長官
が言われた、各現地の
部隊
で処置できなければ、通達を出したところで、通達を出した以上それぞれの実質的な責任を負わすというようなことの折衝もできるはずだと思うのです。その辺の実情はどうなんですか。
福島慎太郎
104
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 通達を出しましたのは極東
司令部
であ
つた
わけですが、それに基いて再考を約されておるものが大
部分
でありまして、それにもかかわらず現状では一応
アメリカ側
としては不可能であろうということにな
つて
おるのは一
個所
だけでございます。残りの分については再考した上で
返事
が来ることにな
つて
おるわけであります。
佐多忠隆
105
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうすると残りの大
部分
は、何とかそういうことが特別に考慮される見通しなり
見込
があるわけですね、現在の
状態
では。
福島慎太郎
106
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 残りの大
部分
については、あれほど話合
つたの
であるから
相当
なことは言
つて
来るだろうと考えておりますが、不幸にしてた
つた
一
個所
だけ、いささか
アメリカ側
だけの
努力
ではできないというところのほうが数がずつと多いわけでございます。数は一
個所
なんだが、
関係
する人数はそのほうが多いわけですから、弱
つて
おるわけでございます。
佐多忠隆
107
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そこで私が聞きたいのは、大
部分
というのは、
個所
の問題でなくて、
人員
で見たらむしろ逆にな
つて
おるのかどうかということです。
福島慎太郎
108
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) 私の申上げておりますのは、初めに申上げました
通り
東京オーデイナル・デポー
関係
八百名、これが十三日
解雇
、横浜
関係
千二百五十三名のうち二十六名を除きボーナスのもらえない
解雇
、こういうことにな
つて
おります。これが全面的再検討を要求しておるわけであります。
佐多忠隆
109
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そのうちの東京
関係
は八百八人、これは全部考慮はできないと言
つて
おるのですか。
福島慎太郎
110
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) そういうことになります。
佐多忠隆
111
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうすると
人員
からいうとむしろ大
部分
ですね。それによ
つて
直すほう、まだ考慮の余地があるかも知らんというのは
人員
としては非常に少く、直す、考慮する余地がないと言われるほうが大
部分
ですか。
福島慎太郎
112
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) そうではないのです。直るかも知らんというのが千二百で、直らんというのが八百です。
佐多忠隆
113
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 大
部分
でなく、大体半々ぐらいということですね。それならば直るかも知らんというところについてはなお御折衝願い、直らんというところがそんなに数的に多くなれば、やはり通告その他殆んど形式的なものに過ぎないという結果にな
つて
おるということも言えるので、その点ももう少しそういう通告を出した
部隊
にもつと実質的な責任を負はすような折衡を強力にやられるのが然るべきだと私は思うのですが、
長官
もそういうふうに筋を考えておるというお話ですから、その点は是非強力に押して頂きたいと思います。 それから更に若しそれができなか
つた
ら、筋としては私は飽くまでも駐留軍自体が負担すべきものだと思いますが、若し万が一その筋が通らない場合の国内
措置
としてもいろいろな問題を考えているのだと研究しているのだというお話ですが、それはどういう
措置
を研究しておられるのですか。
福島慎太郎
114
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) まあ国内
措置
ということになりますと、労務調達資金以外に一般会計に資金を求めるという方法しかないわけであります。私
ども
案は考えておりますけれ
ども
、政府全体の意見を聞かないうちは、これはまあ何とも申上げかねるわけであります。
佐多忠隆
115
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) それは調達
関係
以外の一般資金としてあなたのほうでお持ちにな
つて
いる資金で
措置
するという意味ですね。
福島慎太郎
116
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) そうじやございません。私のほうは何も持
つて
おりません。
佐多忠隆
117
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) あなたのほうにあるのは調達
関係
の資金だけですか。
福島慎太郎
118
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) そうです。
佐多忠隆
119
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうするとそれ以外に、例えば具体的に言
つて
、防備分担金あたりがありますね、あのうちあたりにそういう余地のあるようなところはないのですか。
福島慎太郎
120
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) これも不可能だと思います。
佐多忠隆
121
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そうするとあとはどこがあり得るのですか、あなたの見当では……。
福島慎太郎
122
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) まあ一般会計に求めるということは殆んど困難ではなかろうかと思
つて
おるのでございます。それ以前に
アメリカ側
との
話合い
で、もう少しアメリカにも智恵を出させ、我々のほうでも智恵を出すという方法、例えば本
年度
アメリカに金がないなら来
年度
のアリメカの金をどうとか、そういうようなことも考えられるわけなんです。
佐多忠隆
123
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) それから失業に際しての特別な
退職手当
というか、そういうふうなものはどういうふうにお考えにな
つて
おりますか。例えば日本でいう行政
整理
とか
予算
の
削減
とか、等々に関連した
整理
に特別な考慮を払
つて
おりますね、そういう点はどういうふうにお考えにな
つて
おりますか、どういうふうに
交渉
されておりますか。
福島慎太郎
124
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) この点は或いは労務部長から申上げるほうがいいかと思いますが、私の了解している限りでは、こういう特別な今回の
退職
に対して、日本のいわゆる行政
整理
に伴う特別の
退職
金というような制度は現在のところ存在してないと了解しております。ただ将来の問題として、新らしい
労務基本契約
に付属する
付属書
の中に我々としては提案しているわけでありますが、実現するかしないかについての見通しは今のところないわけでございます。
佐多忠隆
125
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) それは向うの慣例なり向うのしきたりとしてはそういうものは全然ないのですか。
福島慎太郎
126
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) ないように聞いております。
佐多忠隆
127
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) ないとしても、今
長官
がおつしやるように、日本においては大体そういうのが慣例にな
つて
おるのですから、その点は更に向うにも当
つて
、
基本契約
ですか、そのものを直すこともさることながら、同時にそれを直す前の特別な
措置
としても、そういうことを特別に考えるように是非
交渉
をして頂きたいことと、それから将来は、今おつしや
つた
ような基本条項を直すことで対処するとして、今はそれがないのでできないというのであれば、これも
一つ
国内
措置
として、何か国内においては少くともそういうふうなもことをや
つて
いるのだから、常識に合わすようなことは、日本が責任を持
つて
こういうものの調達をしている以上は考慮してやるという必要も出て来るかと思うのですが、それらの点については
長官
はどういうふうにお考えにな
つて
おりますか。
福島慎太郎
128
○
政府委員
(
福島慎太郎
君)
退職
金の制度につきましては甚だ申訳ないのですが、余り詳しくは知りませんので、場合によりましては労務部長がお答えするかと思いますが、根本的な問題として、
駐留軍労務
の
退職
金制度というのが若干日本の公務員の
退職
制度と違
つて
いる。違
つて
いると申しますのは、むしろ
駐留軍労務
の
退職
制度のほうができがよか
つた
わけなんであります。で今日になりまして、行政
整理
に伴う特別な
退職
制度というときにな
つて
、日本のほうに倣
つて
くれということも
ちよ
つと言い出しにくい事情もあるのではないかと思われますけれ
ども
、制度的な面につきましては、私もよくわかりませんのですが、当面の問題といたしまして、この際の
解雇者
に、アメリカとの
関係
において如何ともすることのできなか
つた
場合に、
日本政府
の責任において善処するかどうかということになりますと、
関係
当局との話をまだ始めておりませんので何とも申上げるわけに参らんのでございますけれ
ども
、私といたしましてはそこまで行かないで、何とかアメリカとの
話合い
で筋道をつける方法がまだあると思
つて
実は苦心しているところなんでございます。
佐多忠隆
129
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) そういうふうに筋を通して頂くことはもう絶対に必要だと思いますし、その方向で善処して頂きたいと思いますが、そうするとその
退職者
の制度について何か若干いろいろなできがよ過ぎて、却
つて
ジレンマに陥
つて
いるというような事情、そこらをもう少し詳しく労務部長から御
説明
願いたいと思います。
百田正弘
130
○
政府委員
(
百田正弘
君) できがよ過ぎてというお話が出ましたのですけれ
ども
、一般の国家公務員の場合と違いまして、
駐留軍労務者
の場合におきましては、何と申しますか、先ほ
ども
ちよ
つと申上げましたのですが、国家公務員の場合は、最近こそ年中行事のように行政
整理
が行われておりますが、大体昔から考えれば行政
整理
は例外的なものだと思います。駐留軍組合の場合はリダクシヨン・イン・フオース、いわゆる
人員整理
として通告を発するのが大
部分
であ
つて
、まあ殆んど半分ぐらい、あとは自分でやめるというようなことにな
つて
いるわけであります。而も駐留軍の労働者というものは、これはいつまでいるかわからんものでございますし、非常に不安定な地位にある。従いまして現在の
退職
規程におきましては、原則的に一年につき一カ月……二年目からの者は一年につき一カ月ということに左
つて
おる。それに駐留軍の特殊性を考えまして、一カ月分を更に加算する。こういう制度にな
つて
お
つた
わけであります。自己
退職
の場合にはそれの半分、その場合も一カ月分が付いてそれの半分というような特殊なことにな
つて
いる。その点が国家公務員と違
つた
ところであります。
栗山良夫
131
○
委員長
(
栗山良夫
君)
ちよ
つと速記をとめて。 午後五時五十九分
速記中止
―――――・――――― 午後六時二分速記開始
栗山良夫
132
○
委員長
(
栗山良夫
君) 速記を始めて下さい。
佐多忠隆
133
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君)
調達庁
の中には失業対策連絡協議会というのがありますね。これは今どういうふうにな
つて
いるのか、何か今までお聞きしたところによりますと、
長官
は非常に御苦労なさ
つて
いろいろ折衝しておられると思うのですが、これは
長官
がそういう折衝をされる場合に、やつぱり強力ないろいろな支持、サポートがなければならないと思うので、そういう意味でも、それからいろいろな今申上げたような外に関連するいろいろな問題等々もあるので、そういうものを十分に審議するという意味で失業対策連絡協議会というものが持たれたんじやないかと思うのですが、これは現在どういうふうに動いているのか、その点
一つ
。
福島慎太郎
134
○
政府委員
(
福島慎太郎
君) その問題につきましては甚だお恥しいのですが、私も役人になりましてからまだ三月に
なつ
たばかりでございまして、その間御
承知
の
通り
の問題等にぶつかりまして、やや馬車馬のようにそれだけやりまして、実を申しますと、今御
指摘
の点につきましては殆んど知るところがないと申上げたほうが正直なくらいなのでございます。労務部長から失礼でございますが……。
百田正弘
135
○
政府委員
(
百田正弘
君) 失業対策連絡協議会につきましては、駐留軍組合よりもその再開方について強力な要求があるわけでございます。私も
調達庁
に参りましてまだ
ちよ
つとしかなりませんが、その間にこれは全然開いていたことはございません。これは昭和二十二、三年頃にできたように聞いておりまして、その頃組合も含めまして、
関係
官庁、軍というのが主としてこの
人員整理
に関する情報なり或いは公共事業失業対策
状況
の情報その他の連絡というようなことで開いて参
つた
。最近においては余りや
つた
とは聞いておりませんですが、今日までの運用の
状況
に鑑みまして何とかこれはこのままの恰好ではいかんではないかという議が本年の春頃起
つた
ようでありますが、これがそのままにな
つて
こういう時期になりましたので、早急に
調達庁
としても何とか至急これをもう少し身のあるものにいたしたい、こういうふうに考えております。かたがた労働省としてももつと広い見地からこの点についてお考えにな
つて
いるようでありますので、両々相待ちまして何らかの成果を挙げたい、こういうふうに考えておるわけであります。
佐多忠隆
136
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) お話を聞くと、機構はすでに早くからできているのに、何ら運営されていないようですが、運営されていなければ、どういうところにこの欠陥があるのか、どういう悪さがあるのか、その辺は具体的にちつともわからないと思うのです。
従つて
、而も一方において非常に大きな
整理
があ
つて
、非常に問題にな
つて
いるときなのだから、とにかく制度もあり、目的その他もはつきりしているのですから、そういうものを少し活用して、今申上げたような我々のいろいろな事情をはつきりする点も、更には要求すべき点も、もう少しそういう機関を有効に、積極的に動かして、そうしてより効果のある政策をおとりになることが必要だし、それからより明確な見通し、事情等の解明もされる必要があると思うので、その辺は
一つ
機構がどうだからこうだとかいうようなことを机上でお考えになるのじやなくて、実際に運営して来て、そうしてどこに欠陥があ
つた
と、もう少し運営の仕方を直すとか何とかいう、活動の過程において直すというような心がまえで、
一つ
これを積極的に利用して今申上げたような対策がより強力に実現するように御
努力
を願いたいと思います。
安井謙
137
○
政府委員
(安井謙君)
只今
の佐多
委員
の御
質問
に関連して
ちよ
つとお答えしたいと思いますが、失業対策連絡協議会は今のような恰好で非常に不活溌にな
つて
おりますが、実はこの問題が起りましたので、前回の
委員会
でもお話もあ
つたの
ですが、
関係
各省のこの連絡協議会というやつを持ちまして、これは非常に深い関連を持
つて
今日まで進めておる次第でございます。更に併し、それだけでは非常に制度としても弱いものでございますから、更に必要ならば官制にまでしたほうがよかろうかどうかとい
つた
ような点をも今よりより協議中でございますので、是非御趣旨に副いたいと存じます。
佐多忠隆
138
○
委員外議員
(佐多
忠隆
君) 私の希望したいことは、そういうことがまだはつきり片付いていないので運用をしないのだというふうに考えないで、そういう態度をおとりにならないで、一方に運用をしながら、実際に運用していれば、欠陥がどこにあるかということはより具体的にわかることなのです。そういう活動の過程において変えるなら変える、改善するなら改善するということもお考え願いたい。
安井謙
139
○
政府委員
(安井謙君)
承知
いたしました。
栗山良夫
140
○
委員長
(
栗山良夫
君) 速記をやめて。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
141
○
委員長
(
栗山良夫
君) それでは速記を始めて下さい。 暫時休憩いたします。 午後六時十七分休憩 ―――――・――――― 午後七時五十八分
開会
栗山良夫
142
○
委員長
(
栗山良夫
君) 休憩前に引続き
委員会
を再開いたします。
ちよ
つと速記をとめて。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
143
○
委員長
(
栗山良夫
君) 速記を始めて下さい。 極東軍
関係
の軍事費削限に伴いまして、いわゆる
駐留軍労務者
及び
特需工場
労務者
に対する大量
人員整理
が行われておりますが、これにつきまして当
委員会
におきましてはすでに直接当事者であります日経連、関東特需労働組合協議会並びに全国駐留軍労働組合の代表者の方々を参考人として招致いたしまして、その間の事情を明らかにいたしますると共に、
政府側
からは外務省、労働省、通産省の意見をつぶさに聴取いたしましたところ、この問題の解決に対しましては慎重且つ
相当
の
努力
を要することが明らかになりましたので、当
委員会
といたしましては、先ほど懇談会で意見の一致を見ました
通り
に、次の
事項
につきまして
政府側
に申入れをいたしたいと存ずるわけであります。 先ず申入れの内容につきまして読上げます。 極東軍
関係
においては、最近に至り突如
予算削減
の理由によ
つて
いわゆる駐留軍労働者の
人員整理
が行われつつある一方、同じ理由に基き
特需工場
労働者にも大量の
人員整理
が実施されつつある。 而して現在、既に
整理
された労働者数は、駐留軍
関係
において十八万七千名のうち約五千名、
特需工場
関係
において三万名中約七千五百名に上
つて
おるが、あたかも年末を控え、
事態
は今後の問題の推移ともからんで憂慮されるものがある。 本
委員会
は、問題の重大性に鑑み、特に
委員会
を開いて協議申合せの結果、政府に対し左記の
措置
を講ずるよう
要望
する。 一、
米軍
予算
の
削減
による特需
契約
の解除と駐留軍労働者の
整理
については、今後は絶対にこれを行わないよう、政府において極力
先方
に
交渉
すること 二、万一、
特需工場
において請負
契約
を解除されたような場合、政府においては、速かに企業の転換を援助・指導する等、雇用量の維持に万全を期すること 三、今回の被
解雇者
に対しては、努めて同一職種の職場に転換・就職せしめるよう、適当な
措置
を講ずること 四、今後における
人員整理
については、新
労務基本契約
の精神に則り、人事共同管理の建前による事前協議が必ず行われるよう
措置
すること 五、
年末年始
に際しての
人員整理
は、我が国の慣習もあり、絶対にこれを避けること 六、前項の実現が不可能な
事態
においても、今回の被
解雇者
に対しては、最小限年末
手当
を支給すること この場合必要に応じては、その財源を国家資金に求め得るよう
措置
すること 七、更に、今回のごとき被
解雇者
に対しては、特別
退職
金を支給すること 八、
米軍
施設における業務量は
減少
しない建前である以上、今後
人員
の増加が
見込
まれるので、その際今回の被
解雇者
を優先再雇用すること 九、今回の被
解雇者
の救済については、失業対策連絡
会議
を強化活用して善処すること 以上のようでございます。
只今
申上げましたように、これを政府に申入れることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
144
○
委員長
(
栗山良夫
君)
異議
ないものと認めまして、さように処置をいたします。 取扱いにつきましては
委員長
に御一任をお願いいたします。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
145
○
委員長
(
栗山良夫
君)
ちよ
つと速記をやめて。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
146
○
委員長
(
栗山良夫
君) それでは速記を始めて下さい。 お諮りを申上げます。
閉会
中における
委員会
の
開会
につきましては
委員長
に御一任を願いたいと思いますが、よろしうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
147
○
委員長
(
栗山良夫
君)
異議
ないものと認めましてさように取計らいをいたします。 更に仲裁裁定等に関する他の
委員会
との
連合委員会
につきましては、特別な
事態
の発生しない限り、通常
国会
の劈頭におきまして各
委員会
に改めて申入れをするように、通常
国会
になりましてから
委員会
で改めて御
決定
を頂くごとにいたしたいと、こう存じます。勿論
閉会
中に
事態
が変るようなことがございましたならば、先ほど御一任を願いました方針に基いて
委員長
のほうにおいて計らいをいたします。それでよろしうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
栗山良夫
148
○
委員長
(
栗山良夫
君)
異議
ないものと認めまして、さように
決定
いたします。 本日はこれにて
閉会
いたします。 午後八時十九分散会