運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-11-06 第17回国会 参議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午後零時七分開会   —————————————   委員の異動 十一月五日委員田畑金光君辞任につ き、その補欠として松澤兼人君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君    委員            田中 啓一君            吉野 信次君            阿具根 登君            上條 愛一君            寺本 広作君            市川 房枝君   政府委員    労働省労政局長 中西  実君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    労働省職業安定    局長      江下  孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○身体障害者完全雇ように関する請  願(第九〇号) ○広島呉地英連邦軍関係日本人労  務者取扱に関する請願(第一七九  号) ○京都大江町を失業対策地域に指定  するの請願(第二〇九号) ○労働情勢一般に関する調査の件  (労働省関係予算に関する件)  (政府失業対策に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から会議を開きます。  最初に労働委員会に付託せられました請願並びに陳情につきまして、その措置を御協議願いたいと思います。お手許へ概要を印刷してお配りしてございますが、第一は第九十号身体障害者完全雇ように関する請願請願者和歌山県日高郡和田村国立療養所延寿浜園松風会内、中田望外二百十九名の署名で、紹介人永井純一郎君でございます。請願趣旨結核回復者就職、復職については、未だ社会は十分な理解がないため、療養者はただ前途に暗然とするばかりであるから、これら身体障害者に対し国家的施策による安全雇よう実現せられたい。こういうのでございます。先ず政府側の本件に対する御意見をお願いいたします。
  3. 中西実

    政府委員中西実君) 結核回復者につきましては、昨年の四月に労働省におきまして、身体障害者職業更生援護対策というものを決定いたしまして、身体障害者全般に対しまして雇用を全面的に促進するということをやつているわけでございますが、その身体障害者の中に該当すると、我々取扱つております。現在まで相当身体障害者雇用促進運動を始めましてから、就職斡旋が成功いたしております。今後更にこの結核回復者に対しましては、特に身体障害者の一環といたしまして、より強くこの運動全国的に推進して参りたいと思つております。なお結核回復者専門公共職業補導所を一カ所兵庫県の伊丹市に今作つておりまして、ここで結核回復者に適当な職業訓練を行いまして、これによりまして、その就職の確保を図つているという実情でございます。
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御質疑或いは御意見等ございますか。
  5. 上條愛一

    上條愛一君 この請願趣旨一つとして、国家的施策による完全雇用と、こうありますが、何かこの国家的の施設結核回復者仕事を授けるというようなことはできないものか、又そういうお考えがあるかどうか、お尋ねしたい。
  6. 江下孝

    説明員江下孝君) 只今申上げました身体障害者雇用促進運動と申しますのは、これは国といたしまして、地方団体と是非協力しまして、私どもの行なつております職業安定行政のうちで特に重点施策として、安定所でも特別に重点事項として実施をしておるわけでございます。そこで施設として考えるものは、身体障害者につきまして、全国七カ所に身体障害者専門公共職業補導所を置いておるわけであります。その中の一つが、実は先ほど申上げました伊丹に置いてあります結核患者専門補導所、なおこれにつきましては、予算的な実は措置が今後とも必要と存じますので、来年度予算では相当これについても拡充するつもりで要求いたしております。
  7. 上條愛一

    上條愛一君 補導所を作られて職業補導をされることは、これは勿論結構なのでありますが、補導して後に就職の場合ですね、職業紹介、これは一つのあれだと思うのですが、この請願趣旨は、そればかりでなしに、何か結核回復者として適当な国家的な施策を講じて、そこヘアフター・ケアの意味結核が再発しないような適当な職業を行わしめるよう施設というようなものは、これはできないものかどうかということなんですね。
  8. 江下孝

    説明員江下孝君) 非常にささやかでございますが、実は本年度から身体障害者公共職業補導所共同作業施設として附設いたしました。そこで収入を得ながらその人に適当な作業を行わせる、こういうことを考えておりますが、併し予算的にはまだ僅かでございますが、今後こういうものを大きく打出して行くということは必要ではないかと思います。なお厚生省方面でも相当この面については深く関心を持つておられまして、いろいろ施策があるように聞いております。
  9. 上條愛一

    上條愛一君 まあ実際問題として、結核回復者は適当な職業に就かしめて生活を保障するということ、これは無論必要なんですが、やはり結核回復者の特徴としては、ややもすれば再発するという危険性があるのですから、一般就職に……回復して健康になつた者はこれはいいと思いますが、まだそこまで本当に回復したかどうかわからないような人々に対しては、或る程度までは療養も兼ねたよう仕事に就かしめて、十分回復を待つて他に就職をするというようなことが必要じやないかと思いますので、この請願にもあるような、国家的施策によつて国家的の何か今おつしやるよう仕事場を作るようなことも必要じやないかと考えるわけです。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 この請願趣旨は、いま上條君の言われた通りですが、政府がやつておられる身体障害者職業補導とか、斡旋、或いは援護とかいうことは、会までもやつておられますが、御承知のよう結核患者治つたかた仕事というものは殆んどないと言つていいぐらいこれは民間にはない。それで幹旋とか、或いは就職の世話とかいうよう考え方では、恐らくこの請願意味と全く違うものだと思うのです。何ぼ幹旋をされても……それはそのうちの何十パーセントかぐらいは或いはほんの一時ぐらいはあるかも知れませんけれども、実際にほかの結核療養所を見ましても、或いはこの診療所のある和歌山ですか、このほうで考えておるのもそんなものでなくて、国家的な施設によつて、いわゆる国家でそういう何か事業作つて頂いて仕事もさしてくれと、こういうことだと思うのです。治つた者職業安定所仕事を世話してやる、そういう意味には希望を繋いでおらないと思う。健全な人だつてこれだけの失業者がおるときに、肺病患者治つたかたを雇うところは先ずないと言つていいですよ。この意味が今までのとつておられる国としての施策違つた意味のことをこれは訴えられておると思うのですが、それに対してどういうようにお考えになつておられるか。勿論予算もないから無理だと思うのですけれども、今のような行き方じやなくて、抜本的な考え方をしてくれという意味かと私は思うのですがね。
  11. 江下孝

    説明員江下孝君) 実はそういう趣旨で、先ほど申上げました結核回復者専門職業補導所を作つたわけなんであります。この公共職業補導所は、特に医者、看護婦等もおりまして、絶えず結核患者の病状に即応して職業補導仕事を与える。治りましても今のお話ように直ちに一般職業に就けないというような者に対しましては、これに共同作業場を附設いたしまして、そうしてここで軽易な作業に従事し、収入も或る程度得られる、こういう考え方で今後大きく考えて行く。来年度にもこれを要求しておりますことは先ほども申上げた通りでございます。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 今全国結核患者数はどのくらいになつておるのですか。……兵庫県の伊丹にはどのくらい収容されておるのですか。
  13. 江下孝

    説明員江下孝君) 定員百五十名でございます。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その他ございませんか。……只今労働省のほうの意見を伺いますと、この請願趣旨に副うべく努力をして行こうということで、具体的な施策の一部分もお話があつたような状況でございますから、この請願を取上げることにいたしたいと思いますが、よろしゆうごさしますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さよういたします。  次に百七十九号広島呉地英連邦軍関係日本人労務者取扱に関する請願請願者広島呉市長鈴本術外一名、紹介議員藤田進君でございます。願意広島呉地英連邦軍関係日本人労務者は、講和条約発効に当り現地軍との直接顧用に切り替えられたのであるが、言語、風俗、慣習を異にする外国軍隊を顧用主とする労資関係においてはとくに複雑特異な要素を内包し、ひとたび紛争の起つた場合は労務者の家族を含めた数万の市民の生活上由々しき問題であると同時に、呉市全般に影響するところは多大であるから、(一)国連協定締結時に英連邦軍関係労務者労務管理方式米国駐留軍労務者同様日本政府雇用とせられるとともにこの雇用関係変動に当つても全員の雇用転換を図られたいという趣旨でございます。先ず政府側意見を求めます。
  16. 中西実

    政府委員中西実君) 駐留軍労務者雇用形式をどうするかということにつきまして、昨年独立直後の切替えの際に問題になりまして、間接雇用にするか直接雇用にするか。結論は間接雇用のほうが労務者保護のためにもいいということで、現在それで来ているわけであります。従つて英連邦軍労務者につきましても、我々としましては間接雇用の方が望ましいというふうに考えておるのでございます。そこで現在外務省で国連協定について折衝が行われています。裁判管轄権につきましては先般締結を見ましたが、事後の点につきまして目下交渉が行われております。私ども聞いておりますところによりますと、従来の交渉の経緯からしまして、英連邦軍労務者雇用形式間接雇用にするということについては非常な難色がある。その理由は殆んどが経費関係ように承知しております。相当日本側としましては、このことは強く要望はしておるのでございますが、今言いましたよう実情で、実現が非常にむずかしい見通しでございます。そうだといたしますれば、更に我々としましては、次善の方途も考えなければならない。例えば現地におきまして軍側日本政府側と又組合も入りまして、委員会組織作つて、それを中心にあたかも共同管理が行われるがごとき実をとつて行く。いずれにしましても、我が国の労働三法及び共済社会保険法等、そういつた諸般の法規が少くとも米国駐留軍労務者と同様な程度に適用されることを保障するということが問題でございますので、そのことが確保されますような仕組を考えて行かなければならないというふうに考えておるわけであります。
  17. 田中啓一

    田中啓一君 経費関係難色があるというのは、間接雇用にすると経費が嵩むのですか。
  18. 中西実

    政府委員中西実君) 米駐留軍労務者間接雇用になつておりまして、それを調達庁政府の代表としてこれを管理しております。調達庁関係経費はすべてこれは米側の負担になつております。従つて正確な金額はちよつとはじきにくいのでありますけれども、月一人頭数百円の間接雇用のための費用が要るということになります。
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この問題もすでに長い懸案でありましたが、要するに間接雇用が望ましいということは、日本国内の一致した意見になつておるわけでありますから、従いましてこの請願を一応取上げて、更に政府善処を要望する、こういうことにいたしたいと思います。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) では、さように取計います。  次に第二百九号、京都大江町を失業対策地域に指定するの請願請願者京都府加佐郡大江町長高宮岩次郎君、紹介議員井上清一君、願意は、京都大江町は、台風第十三号によつて壊滅的打撃を受けり災者は四千二百人に達し日常生活にも困難しているから、同町を失業対策地域に指定せられたいというのでございます。先ず政府側意見を求めます。
  21. 江下孝

    説明員江下孝君) この願意ちよつとはつきりしない点がございますが、仮にこれは緊急失業対策法によります失業対策事業を実施してもらいたい、こういう意味にとるといたしますれば、現在京都大江町からまだ申請等が参つておりませんし、至急私のほうでも実情を調査いたしまして、必要ならば事業を実施するということにいたしたいと思つております。
  22. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつとお尋ねしますが、台風十三号による三重県、愛知県、石川県、福井県等の関係はどんな状態になつておりますか。
  23. 江下孝

    説明員江下孝君) 三重福井等からはぼつぼつ申請書が出て参つおります。必要な場合には割当をいたしているのであります。
  24. 田中啓一

    田中啓一君 ちよつと次いでに恐れ入りますが、今度の冷害対策の中にも失業対策がありますね。あれもやはりこれと同じよう市町村申請を待つておやりになるようなおつもりですか。
  25. 江下孝

    説明員江下孝君) そうでございます。
  26. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  27. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  只今御審議を頂きました請願三件のうち、第九十号、及び第百七十九号の請願につきましては、その願意が大体妥当なものと認められますから、採択して、議院の会議に付し、内閣に送付することにいたしまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ではさように決定をいたします。  なお井上清一君の御紹介になつておりまする第二百九号の請願につきましては、恐らく願意の不明な点がありまするが、台風の被害を受けました大江町に対しまして失業対策事業を大いに起す、こういう御趣旨であろうと考えるわけでありまして、更にこれと同じケースの市町村は、台風十三号だけを考えましても、相当数府東に及び、各町村に亘つておると思いますので、労働省といたしましては、本請願は採択をいたさないことにいたしましたが、その趣旨を了とせられて、行政的な善処を要望しておきます。  ちよつと速記をとめて下さい。    午後零時三十二分速記中止    ——————————    午後一時一分速記開始
  29. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を起して下さい。  労働省昭和二十九年度の予算関係しまして、只今御懇談を以ていろいろと御意見を交して頂きましたが、その御意見を集約いたしまするというと、大体次のようなことになると思います。  それは、労働省予算が毎年次相当の圧縮を受けておるという事実が明らかになつたことと、これに併せまして特にこういう状態では労働行政中心でありまする労働保護、或いは職業安定等行政を末端まで円滑に行いまするためには、相当欠くるところがありまするので、二十九年度の本予算の査定に当りましては大蔵省において格段の善処をせられたいと、こういうことになろうかと存ずるわけであります。従いまして、この意見委員長が代表いたしまして、大蔵省に伝え、そしてその実現努力をするようにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さよう決定いたします。   —————————————
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから次に第三の問題といたしまして、失業情勢政府対策につきまして、前回新しい観点に立つ研究並びに対策の樹立を労働省へお願いをしておきましたから、これに対しての説明を重ねて伺います。  速記をとめて下さい。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を起して下さい。失業対策関係はまだ労働省のほうで本日説明を求める段階に至つていないようでありますから、これも明日に延期をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会