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1953-11-06 第17回国会 参議院 文部委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事      荒木正三郎君    委員            大谷 贇雄君            木村 守江君            谷口弥三郎君            安部キミ子君            高田なほ子君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房総    務課長     福田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告教育文化及び学術に関する一般調  査の件  (報告書に関する件)  (冷風水害地学童給食対策に関す  る件) ○継続調査要求の件 ○継続審査要求の件   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 文部委員会開会いたします。  最初に、派遣議員報告を聞きたいと思います。北海道方面に行かれた報告安部君からお聞きいたします。
  3. 安部キミ子

    安部キミ子君 今日は剱木委員が急にお休みになられましたので、私が代つて報告をいたします。  第一班として北海道班、期日は十日間でございまして八月の二十九日から九月の七日まで、人員は剱木委員吉田調査員安部の三名でございました。調査目的教育文化一般に関する調査、主としてこの前十六国会僻地教育振興促進法案なるものの案が出ております。そうした関係から僻地教育現状を見て参つたつもりでございます。それに合わせて教員養成状況、それから地方教育委員会状況、それから文化財保護状況について調査して参りました。  先ず僻地教育現状といたしまして、調査対象のところは根釧地区、即ち根室管内釧路国管内でございます。根室管内中標津附近標灘附近釧路国管内では標茶町、弟子屈附近、この二つ管内調査対象ととつたのでございます。根釧地区の特色といたしまして、一番に問題として考えてみたいのは、入植開拓者子供教育、それから小規模の学校が非常に多くて、非常に小さな規模でそれらの学校が経脅されておるという事情、三番目に、大部分の学校小学校中学校が併設されている実情でございます。四番目に、教場が分教場という形になつて持たれておるところが多い。五番目に、学校間の距離が大変離れておつて、その長いところでは二里乃至三里、更に五里も離れているという実情でございます。六番目に、通学距離も大変離れておりまして、遠いところは二里以上もあるという実情でございます。分校は単級又は複式学校になつております。調査しました学校は、根室管内では中標津西竹分校、それから東竹分校、標津の茶志骨分校、この三校を見て参りました。釧路国管内では標茶栄小学按分校弟子屈農業高等学校を見て参りました。  次に分校教育実情調査いたしましたところ、校舎は極めて粗雑でございまして、バラツクの学校が殆んどと言つてもいい実情でございます。厳寒を凌ぐこの地方実情にもかかわらず、学校が非常に古くて、而も年数はまだたつていないのに朽ちているという実情でございます。これは農林省の管轄でございまして、入植課で、国庫補助によつて建つたものとなつておるのでございますが、その後の維持費は一切持たれておりません。従いまして、最初からもう少しよいものを建てて行くという方法でなければならないと思うのであります。児童は少いところは十名から多くても三十名程度でございまして、中学生が自分の中学校という単独な学校を持つことができなくて小学校分校に通つているという特殊的な状況でございます。又特に強調いたしたいことは、ここの子供健康状態は非常に悪くて、ちよつと見ましたところでも、目が悪いのじやないかという心配の子もあるように私は感じました。従いまして、家庭では乳牛を飼つているのが実情でございますが、生活の困窮から、その家庭で搾られている牛乳を子供に飲ませてやるだけの余裕がないということであります。このような実情でありますので、若しできますならば、こうした学校に全部国家が保障して私は給食がなされなければならないのではなかろうかと思うのであります。併しながら、配給の脱脂乳では北海道のごとく生乳の多いところでは歓迎されないかと思います。その点いろいろの給食法も考えられるであろうと思います。併しながら、子供はみんな素直で明朗であることは非常に力強く感じました。設備の点で教材とか教具というようなものが殆んどない実情でございまして、理科教材、図書などというものは望んでも考えられない実情でございました。併し先生はこの分校に過ぎた、すべての分校に、立派な先生が配置されておりますので、その点私は意を強くした次第でございますが、併し今後もこの地方教育を育成するには十分な教育に対する熱意が当事者になければならないと思う次第であります。  農業高学等校視察におきましては、この北海道でなくては見られないだろうと思うところの非常に広大な耕地と十三万町歩余りもあるところの馬の放牧地を持つているという点では、私は大変嬉しい感じを持ちました。従いまして、生徒は快活明朗で健康であります。先生がたも一致協力してその学校に服務しているように感じました。併し、校舎は何と言いましても元監獄でございまして、陸軍軍馬補充部建物を改築したようなものでございますので、もう少し高等学校らしい立派な建物が欲しいという感じを受けました。農具などはかなり整つておりまして、この校舎教育に差支えないという感もありましたが、併し日本に特殊な高等学校でございますので、もう少し文化的な、科学的な、機械的な農業施設も私は今後考えられなければならないのではないかと思います。  開拓地一般状況と、これに対する意見を申しますならば、地理的に大変悪条件でありまして、広大な地域人口が稀薄であることと、冬季厳寒に、風雪が御承知のように強いのでありますので、これに対する措置を十分考えなければならないこと、又夏季はガスが大変深くございますので、そういうようなことも考慮に入れて、学校施設なり、経営なりをやつて行かなければならないのではないかと思います。又経済的な弱点といたしましては、開拓者は勿論貧困でございます。五カ年計画とか、三カ年計画とかいう約束で入植して参るのでありますが、第一年の開墾地は第二年目からは生産に役立つというわけには参らないのであります。従いまして、開拓資金だけでは支え切れない実情でございます。そこで開拓には人を先へ持つて行つて、そこの地方開拓するというような、いわゆる人先主義を排しまして、道路とか病院、学校、電気、井戸等設備を集約的に先に持つて来てこれに併行して入植させるという建前でなければ、真の開拓目的が期せられないのではないかと思います。殊に北海道は熊が出没する原野が多うございますので、児童がそうした危険な状態にある悪路を二里以上も通うというような、悲惨な実情でございます。又冬季は猛風雪のために生命を落したというような実例もございまして振り返つて見れば、車の上に子供がいなかつたというような実情で、実に話を聞くだに胸の熱くなる気持でございます。学校と公民館、図館書等を併設いたしまして、社会教育学校教育とをもう少し併行的に充実すべきであるという実感を受けました。又文化施設といたしましては、ラジオは町から林間に電線を通しまして、共同的に使つているという程度でありまして青年にも、子供にも、娯楽機関というのはこのラジオ一つでございます。従いまして、今後この問題に対しましても何とか考えなければならないと思います。又開拓入植には、主として北海道開発庁と農林省の手によるばかりでございまして、これに対して文部省余り関係した、或いは協力した過去の実績がないように聞きますが、これらのことも総合的、根本的対策として、国の協力によつて初めて解決すべきだというふうに思います。  又、僻地青年教育は、只今では北大教育学部長城戸幡太郎氏が北大定時制高校を設けまして、実際に研究すると言つておられましたが、将来は、僻地青年教育については、真剣に合理的な教育方策が立てられなければならないと思います。又僻地教育に携わる教職員につきましては、無資格者が殆んどでありまして、約七〇%という実情であります。有能の者や、経験者は、余り僻地なるがために行きたがらないし、中標津では、土地高校出身者学芸大学に送りまして、町から学資を送り、卒業の後は郷里に帰して教育に携わるという実情でございます。こうした方法一つ僻地教育振興のためになるかと思いますので、御参考に供したいと思います。  教員需給関係につきましては、学芸大学の卒業生は毎年二千名、需要数は三千五百名乃至四千名という実情でありますから、すでに絶対数が不足しております。無資格教員は、無資格教員を減らすことは当面の重要なる問題でありますが、併し現状のままでは当分の間これを解決する術はないかと思います。教員養成につきましては根本検討を必要といたしますが、その方策としましては、各地分校を独立さして、二乃至三の独立した学芸大学を作るかというふうなことも一考に供すべき事実だと思います。又僻地の手当の問題とか、住宅問題とかいうようなことも合わせて考えられて然るべき問題だと思います。  結論といたしまして、僻地教育に関する根本的な解決策としては、何らかの立法措置が早急に必要であるということを痛感いたした次第であります。  なお地教委につきましては、北海道は広大な地域に稀薄な人口が散在しております特異な環境であります。従いまして道の教育委員会は十四の地方事務局を今持つておる実情でございますけれども、道全体の教育を振興させるには、この地方事務所をもつと充実させるか、或いは北海道独特な立場で、地方教育を振興させるということの二つの途があるのではないかと考えておる次第であります。例えば別海村のごときは、香川県よりも大きいという面積を持つておりまして、昨年は一挙に三十校余り、三十数校を新設した事情もございまして、これらのことを考え合わせますと、地教委の問題は、北海道は特別な扱いとして十分方策を立てなければならないと考える次第であります。  最後に文化財保護現状視察して参りました。茶室は八窓庵。これは夜ちよつと時間が遅れましたけれども、無理に頼んで見せて頂いた次第であります。併しこの八窓庵という有名な茶室も、只今実情では余り保護が加えられていないという実情でありますので、これももう少し皆さんが関心を持つて保護して行かなければならないと考えます。  阿寒湖のまりもは世界的に有名な文化財でございますが、これらのことも、もう少し専門的に研究してみる必要がありまして、年々まりもを盗んで行く、まりもが減つて行くという事情でございます由聞きまして、大変遺憾に考えた次第でございます。  以上が劔木先生の欠席によつて、今朝ほど私に示されました報告でございますので、至らないところがたくさんございますが、簡単に御報告申上げます。
  4. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に大阪府、兵庫県、山口県、福岡方面に行かれた報告木村君からお聞きいたします。
  5. 木村守江

    木村守江君 本委員会の決定に基きまして、去る九月十一日より一週間にわたり行いました、近畿、中国、九州方面現地調査の結果につき御報告申上げます。  視察事項基地周辺教育、その他九項目にわたり、一行は、須藤委員長谷部委員、並びに私と文部専門員室より、滝調査主事が参加いたしました。  本日は、今回の調査主要事項と考えられます基地周辺教育問題と小倉市平屋台文化財保護問題について重点的に御報告申上げたいと存じます。  先ず、基地周辺教育についてでありますが、視察地は、豊中市、伊丹市、岩国市、小倉市、福岡市等、米軍飛行場若くはR・R・センターの所在地でありますが、これらの地は、それぞれ教育問題としても相当厄介な問題を持つており、その解決には、大いに努力しているものの未だよい結果を生んでいない面が多々あるように見受けられました。  われわれは、直接その実態にふれてみたわけでありますが、その実態については、その土地それぞれの特殊性に応じて問題は多様であります。  即ち、軍隊駐留様式、例えば、飛行場とかキャンプとか、演習場とか、R・R・センター等の区別により、又土地産業住民一般文化水準、あるいは教育への関心程度等によつて問題のあり方が相当異つた色彩において展開されております。  併しこの多様な基地の問題も、教育立場よりみるとき、おおよそ次の二点に集約できるようであります。即ちその第一は、学校教育が、基地存在のために受ける直接の被害をどうするかの問題。第二は、基地特有風紀状態が、生徒児童に与える悪影響をどうするかの問題であります。  第一の問題につきましては、伊丹岩国板付等米軍飛行場周辺学校が受けております、爆音による精神不安と学習障害という被害であります。  又、これら基地附近は、飛行機墜落事故等もあり、極めて危険であります。このような危険や被害を避けるためには、他の適当な土地学校移転せしめたいと考えるのが自然であり、そのような学校としては豊中市の螢ヶ池小学校があります。螢ヶ池小学校は、伊丹飛行場の東方百余米の位置にあり、飛行機離着陸の音や地上の発動機整備音に殆ど間断なく悩まされ、教育活動は著しく阻害されております。又、同校の教師、児童は本年既に二回も墜落事故を目撃し、相当不安の念を抱いているとのことです。又、学校に接近して基地内に最近兵舎の増設が行われており、それに伴つて学校周辺にも、それとおぼしき、ホテルやハウスが建築されつつあります。これらの事情から、関係者移転を切望しており、われわれとしても何らか手をうつ必要があるのではないかと感じて参つた次第であります。  次に事情は少し異なりますが、福岡板付飛行場に隣接しております、東光中学校は、なほ一校別に中学校をつくつてほしいといつておりました。その理由は、板付飛行場出現のために、飛行場の向う側になつてしまつた部落の生徒たちは、通学距離が倍加したのみでなく、通学途上滑走路の端にあたる飛行場の東側を通る際は、飛行機離着陸のため非常に危険であつて、是非それらの生徒のために一校中学校を増設してほしいということでした。これは極めて適切なる話だと思つた訳であります。その他、九州大学を初め、多くの学校飛行機の騒音のため非常に困つており、何らかの有効な手段を早急にとる必要に迫られておる状況であります。これらの解決策を実施するためには、相当の予算を必要としますが、関係者はひとしく国の援助を期待しております。  ところで、このような駐留軍行為による被害からまぬがれるための移転費施設設備費については国が補償すべきは当然と考えられますが、それを根拠づける法規については、どうもはつきりしておらない現状であります。  第十六国会を通過、去る八月二十五日制定公布されました法律第二百四十六号、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律は、従来適法に農業、林業、漁業又は政令で定めるその他の事業を営んでいた者が、その事業経営上、損失をこうむつたときは、国がその損失補償すると第一条に規定しておりますが、この法律において教育関係の問題が解決されるかどうかにつきまして、水産委員会での審議の過程で相当論議されております。法解釈の上で学校教育事業とみなされるかどうかはある程度問題ではありますが、その際の政府委員が答弁いたしておりますように、文部省関係法規では、今のところこの種の問題を救済する道がない以上、当然早急に政令を設け、教育関係被害補償はなされるべきであろうと存じます。先般の委員会でもこの点につき荒木委員より文部大臣に対し質問がございましたが、政府は至急にこの問題を解決すべきものと存じます。  次に第二の点といたしまして、基地特有の風紀問題がございます。今日、あらゆる基地に多数おりますパンパンは、生徒児童に対して目に見えない精神上の影響を与えるものとしていずれの基地においても大きな問題となつております。  併しながらこのパンパン対策は、それにまつわるホテルキヤバレー、ダンスホール、ポン引輪タク屋、諸種の利権屋、それに外国人が介在し、非常に問題の解決を困難ならしめております。この異様な基地風景は、納得できかねるものがあろうと存じます。純真な子供達には学校で教えられることと社会で実際みることとの矛盾、あるいはゆがめられた性知識を背負つて生長してゆく子供の将来を考えるとき、大きな問題であると思うのであります。  ところで、この問題に対しましては、一方でパンパン行為禁止、抑制を中心とする環境浄化の推進が必要であると同時に、他方では学校当局が積極的に教育指導を行い、情操教育、正しい性教育勤労教育によつて抵抗力のある健全な子供の育成に努めることが重要であるわけであります。  環境浄化につきましては、その土地土地において色々と色彩が異なつております。併し総体的にみますると、性病の取締、青少年の不良化防止売春勧誘行為取締一般に行なわれており、又各地において米軍との連絡協議会が設けられ、問題の解決のために積極的に連絡が行われております。パンパン取締のために現在長も効果的であるのは麻薬取締法であるとの豊中警察署の談であります。この問題の解決には売春禁止法と共に考慮すべき点ではないかと思われます。  又現在の建築基準法(第十五条)によれば、建築工事着工の際の届出先が都道府県となつているのを市町村にして欲しいという要望もありました。これはアパートということで建築届出をするものの、その実は、ホテルをやつている実例が多いが、届出先市町村とすれば地元のことでもあり、調査が行き届き、このような事例も未然に防止できるのだというわけであります。  これは豊中市の例でありますが、住宅都市教育都市豊中が歓楽街になつて住民は全く困つているということでしたが、建築基準法に定められている住宅地域設定を行うとか、条例をつくつて文教地区設定をするとか、もつと積極的に街を守る方法がありはしないかとも考えられるのであります。なお学校当局教育指導は、いずれの学校も涙ぐましい程に努力されておりますが、このような基地学校は何はともあれ、二部授業のあるところはそれを解消し、更に施設設備をよくし、尚又、町に遊び場、プール、公園図書館等子供のためにつくるよう、国も地方公共団体も積極的に努力することが必要であると痛感した次第であります。  次に天然記念物平尾台につきまして視察事項を御報告申上げます。平尾台カルスト地帯として特異の形態を持つておりまして、学術研究対象として文化的存在価値を認められ、天然記念物として指定されております。又平尾台は現在県立公園として北九州多数住民レクリエーシヨン・センターとして又観光地として利用度を高めております。なお、この地は終戦時まで陸軍演習地であり且つ要塞地帯でありましたために、詳細な地形地質調査が許されなかつたのでありますが、終戦要塞地帯の制約が解け、当台地学術的研究が次第に活発となりまして、以下申し述べますような問題も惹き起すに至つたのでございます。即ち豊国セメント株式会社ではこの台地を形成いたしております石灰石資源に着目いたしまして、昭和二十六年一月三十一日、この地に鉱業権設定申請いたしましたが、昭和二十七年六月二十日、福岡通商産業局長より鉱業権設定されております。又、昭和二十六年五月、同社は国有地となつております同地払下げ申請を大蔵省に申請いたしております。  一方、これよりさき、昭和二十五年五月には、同地福岡県立筑豊公園指定され、又同年七月には、瀬戸内海国立公園への編入陳情が行われております。又小倉市では、この地に鉱業権設定され、採掘が開始されることになつては、平尾台景観が全くそこなわれると共に、その学術的、文化的価値が著しく毀損されることを憂いまして、昭和二十七年六月十三日県教育委員会に対し、文化財保護法による天然記念物の仮指定申請をいたしますとともに、同年六月二十日文化財保護委員会に対しては天然記念物指定申請を行なつております。これに対しまして、福岡県教育委員会では同年七月十七日天然記念物の仮指定を議決し、文化財保護委員会では同年十二月二十七日天然記念物指定告示をいたしました。この間昭和二十七年七月十七日小倉市長土地調整委員会に対して、福岡通商産業局長豊国セメント株式会設定した鉱業権設定取消裁定申請をいたしたのでありますが、土地調整委員会では昭和二十七年十二月二十六日申請人申請を棄却しましたため、本件は現在東京高等裁判所に提訴され引続き審理中であります。本年に入りまして豊国セメント株式会社では三月六日文化財保護委員会委員長に対して、天然記念物現状変更許可申請書を提出しセメント原料として石灰石採掘するため、平尾台現状を変更する許可を求めているのであります。豊国セメント株式会社では、グロリーホール式採掘方法を採り、外観上の風景を殆んど損傷せずに採掘したいと申しておりますが、この点が問題でありまして、工場、事務所等景勝地中心地帯に設置され、索道が架設されますと、景観の損傷は著しいものがあろうと考えられます。  以上、平尾台問題について、概略を御説明申上げましたが、これを結論的に申せば、平尾台学術保護すべき天然記念物として、又国民の保健上有益なレクリエーシヨンの好適地として、極めて貴重なものとわれわれは判断いたしたのでありますが、これを一営利会社の手によつて永久に傷けられることは誠に忍びないものと考えるのであります。  私共はこの際、文化財保護法精神を尊重し、この平尾台を末長く保護いたしたいと考えますと同時に、この問題について、文化財保護委員会通産省並び豊国セメント株式会社間において、慎重に話し合いがすすめられ、最も良き打開策が発見されうるよう切に望むものであります。   —————————————
  6. 川村松助

    委員長川村松助君) 教育文化及び学術に関する一般調査についてお諮りをいたします。  右の調査は進行中でありますが、今期国会開会中には調査が完了いたしませんので、未了報告書を提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。文案の作成その他については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附すことになつておりますので御異議のない方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     荒木正三郎  須藤 五郎     安部キミ子  高田なほ子     深川タマヱ  長谷部ひろ     木村 守江  大谷 贇雄     谷口弥三郎   —————————————
  9. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に教育文化及び学術に関する一般調査今期国会閉会後も継続調査をいたしたいと存じますので、議長宛要求書を提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。その文案手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  12. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に継続審査についてお諮りをいたします。勤労青年教育振興法案は今期国会開会中審査が結了いたしませんので、閉会中も引続き審査をいたしたいと存じますので、継続審査要求書を提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。その文案手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないものと認めます。速記を止めて下さい。    午前十一時三十分速記中止    —————・—————    午後零時十五分速記開始
  15. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。御質疑のあるかたは御発言を願います。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今次の西日本の水害、それから十三号台風、なお東北、北海道方面の冷害、これは未曾有の災害ともいわれて、その影響は学校教育の面にも相当及んで来ておるわけなんですが、特にこれらの地域の学童の間においては欠食児童が著しく増加しておる、こういう事情もござまして、この問題につきまして先般文部省当局に対してこれが対策についていろいろお尋ねをいたしておつたわけでございますが、近くその対策が決定する、こういうお話でございました。今日はそのことについて文部省の対策をお聞きしたいと存じます。
  17. 福田繁

    説明員(福田繁君) この前の当委員会におきまして内藤会計課長から只今御質問のありましたことについて、大体近日中にそれがきまるであろうといように申上げましたが、大体見通しのつきました点を私から代つて報告いたします。  文部省といたしましては水害地、冷害地の非常に困つておる状況を憂慮いたしまして、先般来いろいろ関係各省と相談をして参つたのでございますが、この前御報告申上げましたように、ミルクにつきましては大体ユニセフのミルクをこの西日本の水害地及び十三号今風の被害地に対しまして約三千三百トン程度を確保いたしまして、これについては大体手配を現在実施いたしております。ただ冷害地につきましてはこの前会計課長からちよつと申上げましたのでございますが、一応あとに起りました問題でございますので、ユニセフのほうに更にこれを交渉するということで、大体見通しとしては非常に明るい見通しになつて来ております。ユニセフのほうにおきましても大体この冷害地のほうにも無償のミルクを出したいというような意向がかなり強いように聞いております。但しその数量につきましてはまだきまつておりませんので、今後の折衝に待ちたいと思つております。  それから第二番目に小麦粉の問題でありますが、小麦粉につきましては水害地並びに冷害地につきまして、できる限り安い小麦粉を配給したいという計画で参つたのでありますが、この前会計課長が申上げましたようにこの補正予算にはそれは実現いたさなかつたのであります。従つて現在といたしましては小麦粉を供給する点につきましては現在食管特別会計の中で操作いたしておりますところの小麦を若干ゆとりがありますので、そのゆとりを以て冷害地等に振向けて行くことしか現在ではできないと思います。ただ併しその点に関しまして特に水害地、冷害地につきましては生活保護法の関係で相当予算を組んでおります。従つてこの小麦粉につきましては、大体水害地と申しますと半壊、全壊、流失といつたような程度のひどいところで困つている児童につきましては、教育扶助という面からいたしまして、全額にいたしますと約一千万円程度でございますが、教育扶助の面でそういつた経費を厚生省の所管に計上いたしております。それから又冷害地につきましては大体六分作以下というような区分をいたしまして、約五千万円程度の財源措置を講じておりますので、合せまして非常に困つているこの児童に対しましては、教育扶助の面からそれを成る程度実施ができるというようなことにようやく話がついたのであります。ただ困りますのは冷害地におきましては農村地帯が多いのでございますので、従つて給食をやろうにも施設がないというようなところがかなり多うございます。文部省に対しましてもそういつた陸橋もあるのでございまして、文部省といたしましては将来の給食にも備えまして、施設を何らか講ずる方法を考えておつたのでありますが、とにかく今度の冷害地を主にいたしまして施設設備をとりあえず応急に作る方法を相談いたしまして、大体冷害地に対しまして約五千万円程度施設補助を出すことに大体大蔵省と話がついております。現在申上げる段階といたしましては以上の通りでございます。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この前の説明では冷害地及び水害地を通じて小麦粉は無償で配給するようにしたいという考えで折衝している、こういうお話であつたわけなんですが、それが崩れたということになるわけですか。その折衝はうまく行かなかつた、こういうことになるわけですか。
  19. 福田繁

    説明員(福田繁君) 私の申上げ方が悪いかも知れませんが、この前会計課長が申上げましたのはそういつた無償乃至減額をした小麦粉を大害地、冷害地に供給したいということで予算的にいろいろ交渉しているけれども、非常に面倒で、今のところ見通しがないというように申上げたように私は記憶いたしておりますが、それも勿論文部省として今後まだ交渉をいたさなけれげなりませんが、それはそれとして、とりあえず非常に困つている生活保護対象になり得るような者に対しまして、今申上げたような教育扶助の面でこの無償の学校給食をやつて行きたい、こういうことで厚生省と一応その点で話合いがついたということを申上げたと思います。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると水害地のほうについて考えて見ると半壊とか全壊、流失した家庭児童に対しては生活保護のほうから金を出して、いわゆる無料給食ですか、小麦粉の分は見て行こう、こういうのですね。ところが田畑が流れたとか作物がとれないとか、こういう人たちに対しては考慮できないのですか。
  21. 福田繁

    説明員(福田繁君) 今申上げましたように生活保護対象になる者についてはそういつた方法でやるわけでありますが、その他の非常に困つている人たちもあると思いますので、そういつた面については現在の段階では予算的に非常に困難でありますけれども、文部省としては今後継続をしてそれを交渉して行きたい、こういうふうに現在考えております。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次は冷害を受けた地域ですが、六分作以下のところに限つてやろうと、こういうことですね、そうするとこれに該当する児童数というのはどのくらいありますか。
  23. 福田繁

    説明員(福田繁君) 数字は、はつきり記憶いたしておりませんが、六分作以下で、大体厚生省で推定いたしたものが二十万少し超えておると思います。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も山間地帯を視察したことがあるのですが、今度の冷害を受けた地域において、こういう山間地帯の収入は米とか、米もありますが、米よりもいろいろ山林と言いますか、山から穫れる果物とか、そういうような収入が相当家計の中心になつているのじやないかと思うのですがね、冷害地においてもそういう面からも相当な痛手を受けているところがあるのじやないかと思うのですが、これはどういう工合になつておりますか。
  25. 福田繁

    説明員(福田繁君) 収入の点ははつきり私存じませんが、結局その生活保護対象となり得るものは、やはり収入から見て生活保護対象になり得るかどうかということを従来の例によつて判定すると思いますので、そういつた山林の面からの収入につきましてもやはり考慮されるのじやないか、こういう工合に考えております。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 六分作以下のところにやるということはあまり苛酷のように私は思うのですがね。それじや七分作とかというところでは全然当らないということになりますかね、あまりに標準が苛酷になつているのじやないですか。
  27. 福田繁

    説明員(福田繁君) 大体厚生省の生活保護対象と考えておりますのは大体そういつた区分を設けておるようでございまして、それは今度の補正予算に計上されております大体区別の仕方による、これは単に教育扶助に限らずその他の保護の面におきましても同様になつているようであります。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 じや私は要望して置きますが、やはりこの冷害地域或いは水害地の大きな被害を受けた地域の学童に対しては、これは小学校だけに限らず中学校までは一つ国費を持つて材料は無償で給付するということに今後とも文部省としては努力をされたい、こういうことを要望いたしまして私の質問を打切ります。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 この間懇談会の節に冷水害給食対象とされる児童の数を約四十万というようにお話がちよつとされたのです。それで諸経費約八千万という数字が出たのです。今の御説明の中にこういう数字が出て来ておらないわけでして、六分作以下のものに対する給食対象児童は約二十万というお話ですが、これは先般ちよつと懇談の席上に出ました四十万とどういう関係があるのですか。
  30. 福田繁

    説明員(福田繁君) この前懇談の際に出ました四十万という数字は大体人口統計によりまして冷害地の全児童を計算したものであると思います。今申しました約二十万を超える程度児童数と申しますのは、これは厚生省で、大体厚生省或いは農林省で調べました冷害地におきますところの六分作以下の、まあ部落まで調べたわけですが、そういつた該当農家の世帯の児童数を大体調べて出した数字でございます。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは小中学の合計数ですか、小学だけですか。  それからもう一つは、今日まで学童給食をやつておつた施設のある学校子供だけ調べているのか、施設をしていない学校子供も含めておるのか。この二十万の数字は非常に重大だと思いますから、そこらを説明して下さい。
  32. 福田繁

    説明員(福田繁君) これは現在その給食をやつているところだけでなしに今までやつていない児童も当然その六分作以下という点におきまして入つている。ただ中学につきましては、これは生活扶助の対象としましては業務教育になつておりますので、小中学校を合せたわけでございます。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 先ほど荒木委員の御発言の中にありましたが、山菜を以て生活に充てている者、山菜の収入によつて、それが生活の主となつている者、これは非常に東北地方に多いわけです。川村先生ももう東北でよく御存じだと思うんですが、この山菜による収入が主たる家庭の生活者に対しては十分考慮を払うというようなお話がありましたが、非常に私そのことに疑問を持つわけです。つまり軍事基地として接収された場合に山林や農地を持つている者に対する損害の補償はされるが、その山から取れるものを以て生活をする、いわゆる山菜を主たる収入としている者に対する損害補償というのは損害補償の中からは除外されておるために、非常に東北の軍事基地接収の問題では、この零細な収入を持つている人たちが非常に困つている面、そういうような意味から見ても、先ほどの荒木委員の御発言は大変重要な問題だと思いますが、この点についてはすでに何らかの交渉をされておるのでしようか。
  34. 福田繁

    説明員(福田繁君) 山菜を以て生計を立てております者につきまして交渉されているかという御質問でございますが、これは一応冷害地の対象になり得るものの限界として六分作以下というようなことで引いておりますので、ただその場合に山菜のみでやつているというようなものが入らないような感じを受けるのでございますが、これは一応の基準でございまして、私どもの考えとしてはやはり収入の面から考えまして生活保護をしなければならんというような家庭には教育補助というものは当然考えられる。従つてなおそういつた点は詳細今後厚生省とも打合せて参りたいと思いますが、そういつた面につきましても入り得るものと考えております。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 現実の問題としてはここにミルク或いは小麦粉の原料の、何ですか、操作或いは原料の価格というものが割合に数字的にはつきりしておるわけですけれども、実際困つている農村では今学童給食をやられていないわけですね。そのためのこれから地殻をどうする、又人間をどうするということは随分と大変な問題だと思いますけれども、その施設とか或いは実際に運転する場合の人員とかというものについてはこれは地方財政に委ねてやるというような計画でもあるのでしようか、どうなんでしようか。
  36. 福田繁

    説明員(福田繁君) 施設と申しましても応急にミルクをとく釜だとか或いはそういつたその他の給食をします設備を応急にしたいという考えで進んでおりますので、人員等につきましてはこれは或る程度やはり父兄の御加勢を願つて、当面の問題としては、行かなければならない、こう考えております。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 実際問題として冷害地は野菜の収穫も決して多いとは言えない。つまり完全給食をする場合には小麦とそれからミルクということでなしに、やはり魚とか野菜とかというような購入の面についても相当重大な問題になつて来ていると思いますが、こういう問題については生活協同組合あたりと何らかの連絡を取り、協力能勢をとることなしには現実問題としては非常にむずかしい問題になつて来ると思いますが、そういうことに対する方策はすでに手が打たれておるのでしようか。
  38. 福田繁

    説明員(福田繁君) そういつた副食品につきましては、農林省当局ともいろいろ連絡いたしまして、できる限りそういつた斡旋等をやつて行きたいと考えております。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういう手の打ち方で、実際に冷水害地では学童が温い食事を頂けるというのは、十一月頃実施というお話ですが、すでにもう十一月は過ぎているのですが、見通しとしてどういうことになりますか。
  40. 福田繁

    説明員(福田繁君) お話のように文部省としては、一日も早くやりたいと思うのでありますが、現在給食設備のある学校というのが割合に少ない。今後今申しましたように応急な施設を、或いは設備をいたしましてやらなければならん面も可なりありますので、それができ次第一日も早くやれるように文部省としては準備して参りたい、かように考えております。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 製パンに対する文部省の手の打ち方は、どういう手が打たれておりますか。小麦粉を製パンする場合に、やはりいろいろと問題が起つて来ることを各地で聞くわけです。最近はやはり学童給食用のパンというものについては、非常に厳密な方途がとられているようでありますが、ややともすれば冷水害という混乱状態につけ込む悪業者は、この製パンに対しても正しくそれが運営されるかされないかということについては、やはり問題が残つていると思いますが、これらに対して文部省はどういう手をすでにお打ちになつておりますか、それを説明して下さい。
  42. 福田繁

    説明員(福田繁君) 高田先生のお尋ねでございますが、その冷害地におきます製パン等につきましては、教育委員会なり或いは農林省の出先といろいろ相談してやつていると思いますけれども、詳しいことは私存じませんので、若し必要ならばあとで調べてお答えいたしたいと存じます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の私の発言は可なり小さな発言のようですが、非常に私はこれは大きな問題であると思います。どうぞ一つこういう実際面についても、文部省は経費の交渉と共に、実際運営の面に、正しく児童の口によりよい多くのものが入るように、特段の早急の手を打つて頂きたいということを強く要望して、私の質問は終ります。
  44. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は資料を一つここでお願いしておきたいのですが、文部省学校給食の斡旋をしておられますが、学校給食を始められてから、小麦粉の購入とか或いはミルクの購入等について、地方から金を集めて、そうしてそれを一括して購入するというふうなことをやつて来られたと思うのです。ところが実際購入すると価格が安くついて、そうして地方から集めた金が余つて来た、そういう金を地方へ還付するということが従来あつたと思う、私はそういうふうに聞いているのですが、それはどれくらい、いつ金を集めて、還付した金はいつどれだけ還付したか、こういう資料を出しておいて頂きたいと思います。このことについては、私も若干いろいろ調査を依頼されたこともあるのですが、随分ずぼらしてのびのびになつておつたのです。その資料を、そう急ぎませんが、次の国会までに用意しておいて頂きたいと思います。それだけです。
  46. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御発言ございませんか。御発言がなければ本日はこれを以て散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 川村松助

    委員長川村松助君) これを以て散会いたします。    午後零時三十九分散会