○
高田なほ子君
文相は、私が意識的に再
軍備の問題をここに取上げておると、こういうような御
発言でありました。私は
はつきり意識的にこれを取上げているのです。なぜならば、私は
日本の
報道機関を信じないわけに行かない。やはり信じなければならん。ここに書いてある
日本防衛上の
制約と、
米側の
援助を約すという
池田・
ロバートソン会談における
議事録草案の
全容から私は御
質問申上げているのであ
つて、明らかに
MSAの
援助が
経済援助ではなくして
軍事援助であるということは、これは誰もか否定することのできないことでございましよう。こういう点意識的に私は
大臣に御
質問を申上げているので、これがただ単に私の
個人的な
見解からそう言
つているとかということならば別問題ですが、今これを意識的に取上げたくて、いつの日にこれを意識的に取上けるでありましよう。
曾つて私は
教育勅語を
基本にして
子供たちに死ぬことを教えて来た。天皇のために死ぬことを教えて来た。国を護ることのために
生命をかけることを教えて来ました。そしてその結果、私の教え子は実に今度の
戦争ではたくさん死んでおります。その死んでいる
子供の中で一人の
子供が私に一本の
遺書を託して行きましたが、その
遺書には、私は老いたる母親と妹を残して今日
戦争のために出て行きますが、再び
先生にお目にかかることはないと思う。あとに残した妹や母のことを
考えると、何としても生きたいのだ、けれども私はやはり喜んで死ななければならないが、どうぞこういうことが再び起らないように、
先主は女だから
戦争によ
つて死なれるということはないであろう、どうか私の
言葉を
先生の生涯の
言葉として再びこういうことが起らないようにどうぞ頑張
つて下さい、という一本の
遺書が私のところに今日なおまだ託されてあるのです。そういうような母として或いは
教育者として、この
日本防衛上の
制約、即ち
日本側の
議事録草案の
全容を見たときに、何で意識せずにあなたに
質問せずにおられましよう。私は
はつきりと意識して再
軍備と
愛国心の
涵養という一連の繋がる問題についてあなたに御
質問しているのです。
従つて私は角度を変えてお尋ねをいたします。
この
会談の
成果は、
日本側並びに
アメリカが今後この
成果を果すためにあらゆる努力が傾注されることがこの
新聞面に見えておるようであります。こういたしますると、再
軍備を促進するために
日本政府がその
教育内容をどういうふうに一体変えて行かなければならないのか。
大臣は決してそんな再
軍備のための偏狭な
愛国心であ
つてはならないと言うけれども、すでにこの二つの国の間でこういうことが取極められた以上は、
大臣は飽くまで再
軍備のための
愛国心涵養については一切
考えておらないという
態度をおとりになろうとするのか。或いは再
軍備を促進するために
青少年を、いわゆる
自衛軍の
支柱としての
精神涵養を根幹としての
教育を進めて行かれようとしているのか、この点についてお伺いして行きたい。