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1953-11-06 第17回国会 参議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            松浦 定義君            鈴木  一君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林政務次官  篠田 弘作君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長報告公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(国有林野事業)(内閣送  付) ○農林政策に関する調査の件  (冷害対策に関する件) ○市町村農業委員会委員及び都道府  県農業委員会委員任期延長に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○昭和二十八年における冷害等による  被害農家に対する米麦売渡の特例  に関する法律案内閣送付) ○調査承認要求の件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会開会いたします。  先刻の理事打合会の結果を御報告いたします。お打合せの結果、第一点は、問題になつている開拓営農資金の金利の問題でありまするが、この点につきましては、一応委員長におきまして、農地局長農林中央金庫と相談をいたしまして、できるだけこの問題を円満に処理いたしたい意味で、今少しく一つ委員長にそういうような処理をすることに御了解を得たわけでありまするから、今少しく最後措置につきましては、お待ちを頂きたいと思います。  第二は、農業委員会委員任期延長法律案の件でありまするが、これはすでに御承知のように、衆議院全会一致通つて付託になつておるわけでありまして、この法案につきまして、お打合せを頂いたのでありまするが、本日は質疑に入りまして、でき得るならば本日中に討論採決まで持つて行きたいというふうな考え方であります。但しその場合において、単に供出割当だけで委員任期を延長することは、この前の任期延長趣旨と全く違つておりますので、やはりいわゆる農業団体編成という含みもあるかどうかをもう一遍確めまして、それに対して政府から適切な答弁を求めたいという御意見が強く出ておりましたので、その旨政府には連絡をいたしておきます。  冷害関係法案は、まだ質疑は残つておりまするが、併し大体御質疑も相当進行しておりますので、又会期も明日中に迫つておりまするので、本日予算委員会との関係がありまするが、今大体の御了解がつきまして、正確に午後一時に副総理大蔵大臣農林大臣出席を求めることに話が付きましたので、まあ大体三十分乃至一時間ぐらいしか時間がないと思いまするが、その時間の範囲内において重点的に政府当局に御質疑をお願いしたいと思つております。当初私から総括的な質問をいたしまして、続きまして各委員から更に御質問を願いたいということに決定をいたしたわけであります。  第四の点は、農業委員会委員任期延長法案以外はまだ本付託になつておりませんが、逐次衆議院から廻つて来ると思いまするが、こちらに本付託になりましならば、質疑を成るべく早く終了いたしまして討論採決に入りたい、明日中にはどうしてもこれは上げなければなりませんので、上つて行き次第討論採決に入りたいということに相成つたわけであります。  それから被害農家に対する資金融通特別措置法案農林漁業金融公庫法の一部改正案につきましては、附帯決議を出したらどうかということで一応文案を用意しておりますので、これは後ほど又正式にお諮りをいたしまするが、あとで配付いたしますので、あらかじめ御覧おきを願いたいと思います。  それから最後の点は、ずつと継続審査になつておりました硫安関係需給安定法案、それから本日提案される予定でありまするところの林野庁仲裁裁定の問題、それから食糧問題その他を含めましての農林政策調査、これは継続審査に持ち込んで参りたい、こういうことに決定をいたしましたので御協力を願いたいと思います。   —————————————
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題といたします。  先ず政府委員より提案理由説明を聴取いたします。
  4. 篠田弘作

    政府委員篠田弘作君) 只今から、昭和二十八年十月二十七日に、公共企業体等仲裁委員会が、公共企業体等労働関係法の適用を受ける林野庁職員の「昭和二十八年一月一日以降の賃金改訂及び増額に関する紛争」について行いました仲裁々定第十八号を国会に上程いたし、御審議願う次第につきまして御説明申上げます。  本年二月二十三日に林野庁職員代表は、一月以降の賃金改訂及び増額に関する要求書林野庁当局に対し提出いたしまして、両当事者間におきまして数次の団体交渉が行われましたが、当局側がこれを拒否いたしましたので、職員側は、四月六日団体交渉を打切る旨当局側に通告し、同日公共企業体等中央調停委員会に対し調停申請をいたしました。同委員会は、六月二十六日調停案を提示いたしましたが、当局側は九月七日、職員側は同月一日、それぞれ全面的には受諾困難の旨同委員会に対しまして回答いたしましたので、同月十一日調停が打切られ、同月十四日職員側は、公共企業体等労働関係法規定によりまして、仲裁申請を行なつたのでございます。よつて公共企業体等仲裁委員会は、これが審議を重ねました結果、十月二十七日これから御審議を頂きます仲裁裁定を行なつた次第でございます。  同裁定の第一項、第三項及び第五項の実施並びにこれらに関連いたす経費といたしまして、本年度約八億七千万円を必要とすると推定されますが、この追加経費は、昭和二十八年度特別会計予算歳入歳出予算に含まれておらず、且つ、裁定第一項の実施につきましては、予算総則第八条による給与総額金額を超過することは明らかでございますので、公共企業体等労働関係法第十六条所定の手続を以ちまして、裁定国会に上程いたし御審議を願う次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本日は一応提案理由説明だけにとどめておきたいと思います。速記を止めて下さい。    午前十一時二十四分速記中止    ——————————    午前十一時五十四分速記開始
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて、暫時休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩    ——————————    午後一時三十七分開会
  7. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開いたします。  農林大臣は今御出席でありまするが、副総理大蔵大臣は今御出席を求めておりまするが、取りあえず農林大臣に私から今日までの冷害関係法律案審議過程におきまして出て参りました問題につきまして、総括的な質問をいたしまして、農林大臣から責任ある御答弁を願いたいと思うのでございます。なお各委員からもそれぞれ御発言を願いたいと思います。  私から農林大臣に御質問いたしたい点の第一点は、今年の冷害凶作対策につきましては、当委員会の総意によりまして、去る十月二十八日に申入れてあるわけでありまして、すでに御覧になつておると思いまするが、まあその後冷害実態日ごと深刻化の一途を辿つておりまして、都道府県知事側報告によりましても、冷害による被害総額は千四百億以上と言われておりますし、特に本日発表されました十月十五日現在の稲作の作況調査によりますると、十日前の十月五日現在よりも更に百万石弱の減収でありまして、農家収入は更に百億近い収入減となつて来ておるわけでありまして、更にこの調子で参りますると、十二月の最終の実収高調査も更に下廻るというような懸念が大であります。かように冷害実態が更に深刻化する領内にありまするし、且つ又只今審議中の予算審議過程から見て参りましても、農業保険費の一部を融資に廻した関係もあり、又目下衆議院におきましては営農資金の枠を増額しろというような方向にも向つておるのでありまして、こういうような諸般の事情、特に冷害対策を組まれました当時の作況状況よりも実収は更に悪くなるというような情勢でありまするので、只今政府提案冷害関係法案審議するに当りましても、どうしても冷害対策としての第二次補正をこれは当然やつてもらいませんと、農家経済の窮状も救い得ませんし、且つ又来年の再生産を保証しがたいというふうに思うわけであります。これは農林大臣に対しまして、冷害対策として更に冷害実態に即応して第二次補正をやられる意思がございまするかどうか、この点が第一点であります。  それから第二点は、営農資金として、これは当初農林省事務当局説明よりも減つた数字で百五十億ということで法律案が出ておりまするが、当委員会意見としてもこれは少きに失する、冷害の現在の実態にも即応しないという意見が出ておりまするのでありまするし、更にこれが融資財源は地方銀行もあることはありまするが、大した期待は持てないと思うのであります。結局信連なり、特に農林中央金庫等農協系統機関資金に期待しなければならないことになつておるのでありまするが、農林中央金庫当局説明なり、或いは都道府県の信連の資金状況を見て参りましても、この百五十億であつても、全部農協系統機関に依存されては、その財源がないという状況のようであります。春の凍霜害以来の営農資金累計額は今回の冷害営農資金を百五十億と見て参りましても、総計が四百十五億となるそうでありまして、而もこれが五年以内のいわゆる中期信用に属するわけでありますから、この中期信用に全部この民間資金を廻してしまいましては、本来の機能にも影響があるわけでありまして、そこでこの営農資金を更に殖すという御意思がありまするかどうか、又農林中央会庫等には、今申上げましたような民間資金では賄い切れない実情でありますので、政府資金投入等裏付がなければやつていけないと存じまするが、これに対しまする農林大臣の御所見を承わりたいと思うのでありまして、これはのちほど大蔵大臣にも同様の質問をいたしたいと思つておりますが、先ず直接御所管になつておりまする農林大臣から、以上の二点につきまして御答弁をお願いいたすわけであります。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 冷害対策につきましては、今日恐らく発表いたしていると思います。十月十五日現存の収穫予想高前回中間調査によります際よりも更に九十三万石の減収見込に相成つておるわけであります。そこで冷害対策を立てます際に、ありていに申上げますると、十月五日の五千四百四十万石は十五日の収穫予想では若干減収せざるを得ないであろう、それがどのくらいになるかは別といたしましても、冷害状況から見まして、その進度が更にどうも進むのじやないか。いつかも申しておりまするように、冷害による収穫減が大掴みで四百万石というように押えておりましたわけですが、今日の発表によりまする統計調査部等調査によれば、四百二、三十万石がこの冷害による減収と見ざるを得ないというように相成るのであります。最も著しい減の生じて参りましたのは、十三号台風の塩害と申しますか、潮害と申しますか、東海地方被害が日を逐つて更に深刻になり、当初予想いたしておりましたのは十三号台風で百九十万石ぐらいの減収を来たしたのじやないかと見ておりましたところが、二百三十万石以上を見ざるを得ないようなことが主な理由でございます。そこで冷害対策を講ずるに当りましては、委員長仰せ通り、十月二十八日の当委員会冷害対策に対する措置等中人につきましては、当時も所感を申述べておりまするように、できるだけ御趣意に副うべく努力をいたして来たのでございますが、その後四囲の情勢等から、当時申しておりました冷害対策七十億を四十五億増額する等の修正の措置も行われまして、まあ一応冷害対策としましては、無論これで十分だということは決して申すものではございませんけれども、一応今日の財政状態から見まして、又西日本、近畿等の広範な大水害、風水害等対策措置からいたしまして、まあまあ一つこれでやつてみなければならんじやないかというような気持でやろうといたしておるわけであります。そこで冷害地の実際の事情から、単作積雪地帯が大部分を占めておるわけでございまして、是非この冬期中に事業実施を急ぐ、そうしてまあ窮迫農家への現企収入の手段の方途を講ずるという趣意でございますが、それでもなおどうも実際上事業を遂行して行く上に必ずしも期待するように行かない。どうしても来年度に幾らか跨がる、これだけの計画実施いたすにいたしましても、そういう繰越使用と申しますか、繰越明許と申しますか、そういう承認も願つているわけでございまして、これは無論これで絶対的に十分だということはもうどこから押しても言えないと思いますけれども、一応の被害激甚地に対する窮迫農家の救済は私どもの今後の予算執行上における注意努力が欠くるところがなければ行くんじやなかろうか。今委員長の言われるように相当大きな減収の幅が冷害によつて又出て来ているが、それじややはり根拠が又違つて来るのだから、第二次補正考えなければいかんのじやないかという御意見は御尤もと存じまするけれども、私どもといたしましては、大体冷害地作況に応じてこの対策を講じて参りたいという上からいたしまして、只今のところはそういう考えを以ていなかつたのでございますけれども、これは十分一つ今後検討をいたすことといたしたいと存じます。  第二の営農資金の枠につきましては、いろいろ御意見があろうか思いますけれども、これは又どうも私の立場からいたしまして、原案をお願いいたしておる立場からいたしまして、まあ大体いいのじやないかということを申上げるよりほかはないわけでございますが、これはまあ併し冷害に対しまして、特に冷害対策に対しまして御心配を頂いております両院の委員会の各位の十分関心と御注意を頂いてある点でございますから、一つ法案によつて十分御検討頂くようにお願いいたしたいと思います。ただ中金でどういうふうに申しておりますか、農林中金で困るのは、これは米の代金の関係もございましようし、事務当局の申しておるところでは、この営農資金政府資金の応援を仰ぐにあらずんばやつて行けないというようなふうには実は考えていないのでございますけれども、これについては又事務当局から一応御説明を聞いて頂きたいと思います。私は申上げるまでもなく、私が申上げる必要もございませんけれども、いずれ大蔵大臣出席されれば、この政府資金の現状或いは見通しについては又お話があろう、御説明があろうと存じますが、とても農業共済保険の支払いですら政府資金に十分期待できないというような状態にあるようでございますから、甚だむずかしいのじやないかと思いますが、営農資金のほうは今日までやつて来ております系統金融機関を主軸として、一つその所要を賄いますようにやつて行くほかはなかろうかと、こういうふうに私は考えておるわけなんであります。
  9. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 最初の御答弁の点は必ずしもまだはつきりしないようでありまするが、先ほど申上げましたように、十月五日と、僅か十日を離れました十月十五日のこの間の調査でも百万石弱の減収でありました。これは金額に換算しましても、やはり百億近い農家減収というものがはつきりして来ておりますので、勿論これは財政上の問題もあることは承知しておりまするが、只今審議中の法案採決の点からも、やはり第二次補正をやつてもらうという大臣の御方針が或る程度はつきりしませんと、ちよつと私ども困るという御意見が一般的でありまして、非常に明確な答弁はなかなかむずかしいかも知れませんが、重ねてその問題を今少し打明けて御答弁を願いたいと思います。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この今回の予算執行で、どういう効率的な効果をあげ得ますか、第二次補正、これはとにかく現在御審議を願つております予算が、誰から言つて十分満足だ、これで結構だと言われるかたは一人もないわけでございますから、これはそれで十分間に合うかと言えば、これは何とか間に合せなきやならん、間に合うようにやりますと、こう申すほかはないわけでございまして、ただ今日の収穫予想発表は、私の承知しておりますところでは、まあ先ほど申しまするように、その全部が冷害の進行によつて来ておるわけでもないわけで、一番主たるところは、この十三号台風被害が非常に進度を加えておる状態からいたしまして、冷害対策としては、私は決して委員長の御意見考えないとは申上げませんけれども、今日第三次補正に更に冷害対策考えるということは、これはどうも私一存では申上げ得ない、私の気持だけ言えばいいじやないかということになるかも知れませんけれども、これは言いましたところで、私自身実際確信のないところでございますから、申上げ得ないわけであります。
  11. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは大臣承知だと思うのですが、我々も今日の作況を見まして、北海道、東北が若干上つておるでしよう、これは私分析すれば、やはり日本海方面太平洋岸との関係で、やはりいわゆる太平洋岸のほうは府県別に見れば下つておるのじやないかと私は見ておるし、それから関東東山地区が非常に減つておりまして、勿論東海地区の十三号台風が一審減つておるようでありまするが、やはり関東東山冷害というものが予想以上にひどいということが出ております。そういう点からも、冷害としてもやはり状況は更に悪化して来ておる。これはもう申すまでもないのですが、冷害対策は今年一年限りの措置であつて向うのいわゆる出水害のように、紐の付いた年度割計画でやるということにはならないので、今年限りの問題でありますので、而もそれが米麦主要生産地帯にも属しておりますので、まあ来年の再生産考えても、やはりこの際できるだけの手を打つて頂きたいというのが、これはもう大臣承知のことでありまするが、何も向うで取合をするわけじやないのであつて、これはもう今年限りの措置でありますので、そういう点からも、一つ実態が、更にこれは十二月の実収によりはつきりして来ると思うのですが、それと合せて是非ともこれは冷害としての第二次補正をお考えを願いたいと、こういうふうに実はお願いをするわけです。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 冷害対策災害対策考え方の根本に対する委員長考えには、私はもう全然同感であります。そういう線で今日まで私どももやつて来ております。併しお説のように、十二月の実収高判明によつて、著しく又変動を生じて来るというようなことになれば、これ又真剣に考えなければならんというふうなことには、私も全然同感であります。
  13. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、重ねてくどいようですが、今の冷害対策というものは、作況数が、少なくとも十月五日以前の作況で大体立てられたと、こう見て間違いございませんか。
  14. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いいえ、私は、精神冷害対策の何と申しますか、構えと申しますか、これは私は実際現地を見ましてから、こういう処置はどうしてもやらなきやいかんという考えを持つております。ただ金額的には、お話のように十月五日の中間調査の結果、これから更に悪くはなつても、よくはならないといつた上に立つて、こうして来ておつたわけであります。
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこのところを、ちよつとくどいのですが、大臣現地御覧になつておることも万々承知をしておるわけですが、すると、やはり予算を組む計数としましては、十月十五日のを今日発表されたわけでありまするから、予算編成準備期間を入れましても、私は最も早いデーターとして、やはり十月五日の五千四百四十一万というものが、大体これがデーターになつて、私は今日の第一次補正予算ができておる、こう私は見ざるを得ないと思うのですが、これはやはり第二次補正をやる場合の情勢の変化というものを、いつと比較すればよろしいかどうかということにも、これは関連するわけでありまして、甚だくどいようでありまするが、どうも実際上のあれとしては、そうなると思うのですが、その点を一つ答弁をお願いしたいと思います。
  16. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは前回も私はもう率直に申上げたと存じますが、各県々でこれだけの被害が出ておる。で、この県に対してこういう事業計画を立てて、それでこういう予算措置をしなけりやならんという、実際細かい基礎的な数字を求めると言いましても、これは当時としては実際無理であつたわけであります。ただ先ほど委員長からもお話のように、冷害対策はとにかく当面、災害対策はまあ後年に引いて行つても、冷害対策はとにかく十分各県の窮迫している農家を対象として直ちに取らなきやならん。ですから、できるだけ多くの予算措置を講ずる必要がある。で、当委員会でのお申入の事項も、そういう根拠の上に立つて精神の上に立つているものと私は了解を持つておりましたが、まだ未だに、と申上げては何ですけれども、とにかくまあ予算審議中ではございますけれども、とにかく今大急ぎで各県当局と各村々において、どういう事業計画を持つか、事業を営むか、やるかというようなことも、只今進行いたしているような状態でございます。無論これはもう予算の制約も受けますから、予算範囲においてその計画を取上げて行かなければなりませんけれども、従いまして、この五千四百四十万石、それでこれだけの予算、五千三百四十七万になつたから、こうというようなわけにはどうも行かない点は……、それが本当でございましようけれども、今回の場合は、そういう経過であつたということを一つ了解を願いたいと存じます。私どもといたしましては、とにかくこの第一次補正の中の冷害対策を以て、できるだけ一つ効率的に、実際地についた、これが一銭でも多く農家の実際収入に添加して参るように努力を払つてみるつもりでおりますから、お話のように、実収高至つて更に大幅な変動が来るというようなことになりますれば、これは又考えなければならんかと思いますけれども、この場合、当面はこれで一つ冷害対策を推進して参りたい。御質問の御趣旨に副わないかとも存じますけれども、御了解を願いたいと思います。
  17. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私から最後に……。ですから、私どもは今日までの審議は、今日発表された十月十五日の五千三百四十七万というものは、これは露知らざる数字であつて、最近の数字としては、五千四百四十一万を最近のこれはデーターとして頭に置いて、今日までも審議をしておりますし、又明日にでもこれを議了しますならば、その頭で我々は議了せざるを得ないということだけを申上げまして、これだけにしておきます。
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この各冷害対策予算措置といたしましては、先ほど来申上げた通りでございますけれども営農資金は、結局これは減収被害農家に対する個々の融資になりますから、これは私は決してこれでよかろうとは申上げ得ないわけであります。只今衆議院のほうにおきましても、その点について十分御審議を頂いておるようでございます。一応私どもの出しましたのには、決してあれで満足でございましたということは申上げ得ないということだけを申上げておきます。
  19. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣は非常に、例によつて慎重に御答弁なすつておりますが、この農林委員会は、農林大臣と一緒に、あなたと共に農村を憂えると共に、食糧問題を語る所であります。ですから、ほかの委員会のように水臭くなく一つやるべきだと思う。現に農林大臣は余りこの委員会においでになりませんが、これは超党派です。この農林委員会は政党政派を超えているのですよ。そういう意味合で一つ答弁願いたい。そこで簡単に伺いますが、今衆議院で聞きますと、百五十億の営農資金ですね。これに更に七十五億追加しようということで、今日にも決定するような話を聞いておりますが、これはどうなるかわかりませんけれども、仮にそういうものが衆議院決定され、七十五億という追加が参議院においても決定する。こういうことになつた場合には、当然これは第二補正の問題が起ると思います。こういうに体的な問題について具体的に御答弁願いたいと思います。
  20. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは利子補給が予算上の問題になつて来るだろうと思います。今度の冷災害対策費のうちに予備費が入つているわけであります。そういうふうな法律修正が行われれば、それによつてやらなければならんと思う。やれると思う。又やらざるを得ない。足りなければ第二補正をやらなければならんということになると思います。それから河野さんの御注意ございましたが、農林委員会に水臭いと、こうおつしやいますけれども、決してそういうつもりじやないのでございまして、厳かの委員会で申上げているところとは私自身としても気を付けて申上げて……、付け方が少し足りないかと思つております。農政のために超党派的に御心配を頂いていることに対して十分私は承知いたしております。
  21. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、ちよつと農林大臣が言葉が非常に重いので、私はそんな気がしたので……、まあそういうことはいいでしよう。次に昨日でしたか、米食率を一律にするというので、生産県の米食率を、例えば青森であるとか、福島であるとか、岩手であるとか、これを下げて、現に下げておられます。その他数県これに準じて下げるというのですが、その他数県というのを一つ御明示願いたいと思います。水臭くなく……。同時にこの生産県の米食率を下げるということは、全国米食率を一律にすると、こういうことですか。
  22. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その第一点は、割当をいたしますときに県側と話をいたしておりますから、それは私は食糧庁長官から申上げてよかろうと思います。それから米食率を全国一律にする方針でやつておるのか、これは私はそのほうが本当と思うのでございますけれども、その生産県の供出関係、まあこれも随分経過的に矛盾を感じつ、現在のでこぼこ配給をやつておるわけで、これは決して、全体の消費者から言えば妥当じやなかろうと思いますけれども、これは全く供出を円滑ならしむる手段としてとられて来ておるわけです。そこでやつぱりよその県に出して頂くという、出させるという何から言えば、一遍にそういうところもすぱつと全国一律というわけにはどうも行かない。やれたらそれは結構だと、私自身でそう考えておるわけですけれども、実際のこれは又食糧管理をやつて行きます上から、なかなか困難があるようでございます。それを強行的にやらせることは、却つた供出を不円滑ならしめる結果になるんじやないか。で、まあとにかくほかからお世話にならなければならないような県の消費者に、それが東京の消費者よりも米の配給を余計もらうという私は根拠は何もないように……、それでまあその点は生産県から消費県に移つた各県においても、まあどうだということで話が付いて行つているんだと、こう思いますが、詳しいことは食糧庁長官から……。
  23. 河野謙三

    ○河野謙三君 この米食率を一律にして行きたいという理想を持つておられる、ただそれには時間がかかるということでございます。そこでそういうような方針でおられますと、現にその第一着手として、青森なり、福島なり、岩手なりをやられた。そうすると、これは今度米の消費県の消費者にすれば、生産県の配給日数を、十八日を十五日にするとか、十七日を十五日にすることによつて、今度消費府県の生産者はその米がこちらに廻つて来るという期待を持つておる。まだ実施されたのは極く一部分でありますが、片方青森、福島で削つた分が、東京なり、京都なり、大阪なり、その他の消費府県に廻つて来るという期待を持つておる。数字的に申すならば、現在まで消費府県の配給日数が十五日であつたものが、農林大臣がそういう措置をとられることによつて、順次これが十五日一分になり、十五日二分になり、十五日五分になる、こういう期待を持つておるわけですが、こういう期待は間違つた期待じやありませんか、そういう期待を持つていいんですか。
  24. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 一昨日も河野さんの予算委員会の御質問でお答えいたしておりまするように、今年の需給関係は極めて窮迫いたしておるということは、もうこれは全国民どなたも御承知のところでありましようし、従つて私といたしましては、従来の最低配給量は何としても確保いたしたいというのが念願でございまして、私の責任のそれは限界点だろうと実は思うのでございます。それでそういうふうにいたしますのも、結局従来の東京なら十五日の配給を確保いたして参りますためにとつておりまする処置でございますから、これが十五日の線を守るということが、ぎりぎり一杯で、それを一分でも半日でも殖すということは、到底これは望み得ないところであることは、一つ消費者側におかれても御認識を頂きたいということを、私は当委員会を通じてお願いいたす次第でございます。
  25. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後に、私はこの食糧の問題、特に米の問題で苦心はわかつておりますが、決してどうこう言うわけではありませんけれども、ただ農林大臣只今おつしやつたように、私一昨日ですか、予算委員会で米食率を維持してもらいたいということを伺いましたところが、米食率を維持するために責任を持ちたいと御答弁があつたので、その責任を持ちたいという御答弁は、今全国一律になつておりませんが、最低十五日ですね、十五日の線は維持したい、こういう意味ですか。そうすると、現在十七日から二十日、十八日なりがありますね、こういうところはいつまでも十八日、二十日ということは責任を持てない、併し少くとも最低の十五日は全国の国民に責任を持ちたい、こういう意味ですか。そうしますと、米食率というものは、国民全体から見て相当の府県の人は米食率は低下することになる。東京その他の大消費府県は従来とも十五日でありますから、十五日は維持してもらえる、併しその他の県におきましては、特に生産県におきましては本年は米食率が低下することを覚悟しろ、こういうことですか。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 生産県の米食率を、現在はいわゆる全国一律ということを考えておりませんから、それを減らそうという考えは持つておりません。但し消費県に移つた県の消費者に対しては十五日、これが私は十五日ということを実は最低の線と考えておるものでありますから、最低の線はこれはもう守るという考えで立つておるわけであります。併しその生産県のほうは今後どうなるか、ひよつとすれば、それも又削つてしまうのではないか、これは削ると言つても削れないのだろうと思うのです。ありていのところを申上げますと……。で、まあ最低の米食率を確保いたすということは、十五日の線を守つて行くというふうに了解を願いたい。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、農林大臣のおつしやるのは具体的に数字で申すと十五日の米食率は維持すると、こういうことですね、それから年産県の米食率も併せて維持して行きたい、こういうことですが、現に青森とか、福島とかいうのは削つてあるのでありますが、その他数県とかあとで言われておりましたが、その他数県は削る意思はないのですか。
  28. 保利茂

    国務大臣保利茂君) とにかく最低の米食率と申しておりますのは、私は十五日の線ということを先ほどから繰返しております。それから生産県は本年他から食糧を仰がなければいけないという県になつた県の消費者という意味でございますから、それは青森でありますとか、岩手でありますとか、福島でありますとかというところを指しておるわけでございます。具体的にそれは申上げさせます。
  29. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、只今の河野委員の御質問でございますが、青森と若手、長野、三重、栃木におきましては、従来昨年度におきましては県外搬出をいたしておつたわけでございますが、本年の作柄の事情によりまして、他から搬入を受けなければならないような状態になつておるわけでございまして、この県につきましては、消費県として十五日の配給をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。なおそのほかまだ割当が済みませんけれども関東地方の県におきましては、従来茨城、千葉等におきましては県外に出しておりましたが、まだ割当が決定いたしませんけれども、現状の作況から参りますると、搬入しなければならないというふうな事情にもなろうかと考えられます。そういう場合におきましては同様の考え方を持つて参りたいと、かように考えておるわけであります。
  30. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつと今の大臣お話に関連しまして……、そうしますと、全国一律に十五日に配給する考え方はないのだ、ただ生産県で、従来の生産県で今年凶作のためにほかから持つて行かなきやならん場合においては十五日の計算をして行く、こういうお話ですが、そこでそれならば或る県におきまして十五日じやこれは困る、そこで皆農民に協力を願つて、仮に二十日全部行かなくても、十八日なり十七日、米を配給し得る方向に協力をした場合におきましては、この県は十五日じやない、それからは十七日分なり、十八日分でも配給をして行くと、こういう考え方ですか。
  31. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、従来の取扱でございますと、そういう場合もあつたわけでございます。併し本年度におきましては全国的な需給の問題もございますので、具体的に当該県と御相談いたしてみたい、と申しますのは、当該県におきましても、できるだけ従来の配給率を低めないという意味におきまして供出に非常に御努力を願う場合もございます。又全国的な需給の関係もございますので、具体的に当該県と御相談してやつて参りたい、かように考えている次第でございます。
  32. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、結局今私のお尋ねしているようなことも各県との交渉によつてはあり得ると……。
  33. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、これが全般的にそのままになりますか、或る程度その県におきまする供出についての非常な御努力を願うわけでございますから、そこの点につきまして具体的に御相談をいたしたい、かように考えております。
  34. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 昨日食管長官に対しまして、私は米食率を生産県或いは供出県との区別を付けずに、この際一律にしたらどうか、こういう問題に対しまして質問をして参つたのであります。大臣といたしましては、できるだけ一律にしたいというお考えであるけれども、供出その他の関係上、この際におきましてはそうも行かない県もあるというような、非常に何となく奥行のある言葉が出まして、誠にそういう点もあると考えているのでありますが、併しこの問題はもともと閣議において決定され、而も麦の統制が撤廃されたときに対しまする国会におけるところの附帯決議もあるのでありまして、いわゆる希望的な意見が出て、速かにこれは一律にしろという意見があつたはずであります。従いまして、この際の供出を希つている今日といたしましては、そういう考えもやむを得ないと思うのでありますが、供出完了後におきまして徐々にやるという食管長官の昨日の答弁でありましたが、私は或る時期にやはり閣議におきましてこれを決定いたしまして、まあ今すぐ供出の際にやれというわけではありませんが、或る時期におきまして速かにこれを一律にすべきだ、こう考えているのでございますが、大臣におきましては、いつ頃おやりになるつもりであるか、又その点は速かにやるつもりであるかどうか、一つ答弁を願いたいと思います。
  35. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは消費者が米どころに住んでいるから、東京にいるものより米を余計食べられるということはどうも根拠がないように思います。配給制度をとつておりまする以上は、どこに住んでおろうと、買つて食べるものとしてはやはり公平に配給が行われるということはもう当然たと私は考えているわけでございます。ただ今日までの供出制度の運用がまあ非常に困難を極めているわけでありまして、この供出制度の運営をそのために大きく障害を超すようなことになりますれば、又これこそ全体の消費者にとつて利益を守るゆえんでないわけでございますから、十分これは一つ今後研究をして頂きたい。急いでどうもすぱつと、こうやるということは無理じやないかというふうに実は考えているのでございます。基本的にはどうも割切れないということは非常に痛感しているわけなのでございます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 二、三点お伺いしておきたいと思いますが、今営農寄金の問題が出ましたが、営農資金については減収率を中心にして、大体基点を与えて見積りが立つている、実際凶作を中心にして、多額の資金を希望しておりますのは、あながち冷害に遭つた農民だけではなく、大きな供出をやつている、相当量の作をして本年は凶災にもかからない、まあ一割ぐらいのところ減少している、こういうような農家が土地改良等でたくさんの負担金をとられ、税金も払わなければならん、農手もたくさん借りている、肥料資金の借越しもあるというようなので一番困つている。本当に金を欲しいというのは、この線が、成るほど農林省被害農家としての対象にならないのが相当額の資金をついでやらないし、一番困つている。ただ標準が三割以上というような標準をとられるだけであつて、二割なら二割の減収というものは事実ある、これはやつぱり一つの病気にかかつている。被害の度が違うだけである、そういう農家に対して控除して頂ければ、仮に只今農林大臣が言つたように、衆議院、参議院で九十五億に仮に増してみてもなかなか容易でない問題が出て来る、これらに対しては絶対お構いにならないお心なのかどうか、お伺いしたいということと、今一つは、この第二次の補正の問題について、これと併せてお伺いしたいのでありますが、そういう面を考えれば、当然ここ当分の様子を見て、足らなかつたならば何とかしてやる。現実に実情が出たら第二次補正を出すというような腹構えが必要じやないかと思うこと。第二には、農林省で先般出された第一次補正予算の要綱が、大体冷害だけでも百六十九億幾らになつておると思うのです。そのうち凶災の額六十九億を引きましても百億いくらになつている。ところがこの予算に組まれておりまする冷害の実質のつかめる分は九十五億円、こちらが減つておる。ところが現実に今日渡された資料を見ますと、当時は十号の多分五日を中心にしてやられたのだと思うが、それを見ますと、全国平均水稲において八九%、十月十五日におきましては八二%と被害率は殖えている、金も余計かかるという実情なのに減らした予算が出ている、こういうことを考えて見ましても、勿論足らんことは大体わかつている。それから第三番目に私は考えなければならんのは、この冷害対策のいろいろ要綱を見てみましても、米が足らなかつたという消費県に廻つた転落県などは、現に食糧の食率を日数において減らしている、これまでのことをしているのでありますから、従つて来年の春先すぐ食い繋ぎのできる「いも」なら「いも」、麦なら麦の増産の計画を立てて食い繋ぎを一日も先にやらせんければならんのじやないかと思う。それらのことは一つ予算に見えておらんのでありますが、これくらいのやはり親切心を持つてもらわなければならない。そうすれば、今それまでのことを考えてもらいたい。それでも麦などはもう間に合わんと思いますが、それでも肥料を渡し、増産せいとか、何とかして少しでも間に合うように、それがひとりその県だけではなく、国全体の不足を補う上においては私は十全の施策だと思う。それくらいのことを考えて頂きますれば少しずつ差が出て来ますれば相当の額のものが考えられるので、それらのことを総合的に、まあ額の多少は別としまして、まあ足らんかつたら第二次補正予算くらいのものはしなければならんし、いろいろ思つていることもあろうと思うから、そういうものを一つ検討して第二次補正予算を強力に一つつてみる考えだくらいの御答弁があるかと思つておりましたところ、そんなものは何にもないと。これはどうも農林大臣として誠に私は遺憾に堪えない次第であります。それくらいの親切心を持つてくれなければ、これだけの災害などを受けた農民は生きて行く途がないだろうと思う。私は水害というような、ああいうものに対しての考え方と、この冷害というようなものの考え方の基本においては、大きな違いがあると思つておる。水害のようなものは一つの外傷で、これは金をかけてぱつと治せば、これは本当に治しきれる。ところが内部的な病気でありますところの冷害等は、これは農民全体の上に蔽いかぶさつて、仮にお前は凶作の農民でない、冷害農民でない、こう言われましても、それが二割か一割仮に違いまするならば、新潟県の例をとれば四百五十万石の線が全体だとしても、それが二割減りますれば九十万石の直ちに収入減ということになりますならば、これは重大な、やはり農家経済上の病菌を体の中に持ち込んでしまう。そうしてみまするならば、そういう点からも、やはり直接の今足腰の立たんという冷害農民を救うと同時に、やりはそこに弱つて来ている体自身を救うという二つの方法が考えられなければならんのに、そういうことを少しもお考えになつておらんのです。大体要綱にあるように考えておらなければならん。私は時間がなくて駄目だと思つた。そういうことを考えてみましたならば、第二次補正予算くらいは考えておるくらいのことはおつしやつてもいいのだろうと思う。今片柳委員長質問に対しましては、そういう御答弁がなかつた。この点は第三次補正予算でも何にも考えておらんとおつしやるのか……。
  37. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 冷害対策を薄めて広くやるという考えは絶対持ちません。激甚地に対して本当に客観的に見て国として放つて置くことはできやしない、村としても放つて置くことができないというような地帯は、この窮屈な予算でありましても漏れなく一つやるようにしなければならない。併し私はこれはもう恐らくあなたもそうだろうと思いますけれども農家の冷災害による米の収穫減から来る全国農家の絶対的な収入減は相当大きいと思います。併し又その中におきましても、凶作の中において本当に今日明日食べるもののないような激甚な被害を受けている農家と、ともあれ、とにかく或る程度の供出もできるというような農家とは、著しく経済上のアンバランスが出て来るのではないかということを虞れる。それでそういう上から行きまして、私はこの場合いろいろの御不満もございますけれども、米の値段にしましても、或いは凶作によつて凶作係数をまあ一応五百円概算で価格に入れておりますが、これにいたしても供出をせられる農家と、供出どころか、食うものもないという農家とのこの経済上の矛盾と申しますか、これは恐らく誰でも感じる、即ち凶作係数によつて凶作地は何ら救われるところがないじやないかということは誰しも考えるところでございますわけです。それだから冷害地に対しまして、冷害対策はどうしてもそういうふうな被害の甚しい地点に私は重点的に施行して行くべきである、無論それは二割減くらいのところも、一割減くらいのところも、或いはその一割増や三割増しているときのことも考えれば、それは大事であることは間違いないです。間違いないけれども、とにかくこの窮迫した財政状態の中で、差当り手を差延べるところはやはり私は被害が甚しいところに向つて行くべきであろう。無論もう私は決してそういうふうな一割、二割のところを、それじやもう構わんで放つておいていいということは決して申しませんけれども、差当り国の力として延びるところは、そういうひどいところに先ず重点をおいて考えて行かなければならんのじやないかというように私は考えておるわけでございます。なお第二次補正につきましての考え方は、先ほど委員長に非常に詳しい答弁をいたしておるわけでございますから、どうぞ一つ何分御了承願いたいと思います。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今つている激甚被害農家に対して是非手を打つ、これに対しては異存ありません。これは是非やつてもらわなければならん。それにしてみましても、この要綱を作られたときの農林省が、これはいいじやないかと言われたときの予算から見れば、共済を除いて約五億ばかり減つている、而も災害は殖えているのじやないか、こういうのです。その分においても、もうすでに減つておるじやないかというのが一点と、それからいま一つは、それは勿論せんければならないが、それだけでは工合が悪いじやないか、冷害というような一般的な全部がこうむつている災害についてただ一線を引いただけで、まあ激甚な被害をこうむつているのは引くことは当り前です。一刻も早くせんければならんから、我々も審議を一〇〇%やりませんで、面倒なことはあとへ残してでも明日中にでも通したいということを思えばこそ、少しくらい無理なことがあつてもという考えでやつているのだが、従つて政府におきましても、そういうような残された部分に対して今一応考えてみましたならば必要なものが出て来るのじやないか、そういう場合には第二次の補正予算考えているくらいの御答弁があつていいのじやないかというのが私の質問であつて考える必要がないと、こうおつしやればそれまでの話ですから、この点はやめておきましよう。第二番目にお伺いしたいのは、その激甚地と申しますか、激甚なる被害をこうむつた農家というものの標準を、大体今までの御説明によりますと減収率でおきめになつたようでありますが、大体それで間違いありませんですか。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは実際の実情に適応したように行かなければならんと思いますが、第一番に、これはもうとにかく収穫の全然ない所も出ておるわけでございます。これは文句はないわけです。で、収穫皆無或いは収穫皆無地帯と同じようなひどい所は、これはもう絶対に漏れるようなことがあつてはならん、そういうふうに第一段には考えておるわけでございます。と申しますのは、資金でありますとか、飯米の問題でありますとかは別といたしまして、主として救農土木の事業を起す地帯のことを私は今申しておつたわけでございます。その点は誤解のないようにお願いをいたします。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ救農土木とか、飯米とか、営農資金とかの貸付で標準は違つておりますが、大体お伺いしておるところによりますと、御発表なつた各村の減収率というようなものを中心にしてお考えになつておるのかどうか。そのほかにまだそういうもの以外に標準をお持ちになるのかどうか、これをお伺いしておるのであります。
  41. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはもう第一はやはり一般的には私は減収率で見ることが一番正しいのだろうと思います。同時に、第二はやはり減収率もとより重要でございますが、この開拓地等に対しては特別に考慮しなければならんじやないか、こういうふうに増えております。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 ところがその減収率だけでやつてもらいますと、非常に妙なものができ上ると思うのです。ということは、昨日頂戴しましたこれで各村の何をちよつと目を通しただけでもこういう矛盾が出ています。青森県の東津軽郡の新城町では反収が一石八升一合で三七%五三になつておるのです、減収率が……。ところが同じ福島県の東湯野町、ここでは一石八升三合で五七%六になつておる。収穫が一方は一石八升一合で三七%、こういう減収率になつておる。片方は同じ一石八升三合で五七%、非常な違いがある。この率だけじやとても私は問題にならんと思う。こういうものがここに出て参つております。なぜそういうことをちよつと考えたかというと、平均すると青森県におきましては三七%五四の減収率になつておる。福島県が五八%一の減収率になつておるので、どうもおかしいじやないか、青森県が常識とすれば減収率が高いわけだが、というのであけてみますと、こういうようなものが出ておる。新潟県の場合で自分の知つておる村をちよつとあけてみますと、西蒲原の升潟村という所では、収穫が反収が二石一斗五升で一六%の減収になつております。それから北魚沼の須原村では一石六斗九升二合の収穫で一五%になつておる。収穫におきましては、四斗か五斗違つてつて、パーセンテージはほぼ同じ、一石五斗の収穫と言いましたら普通の所ならばこれは凶作地帯だと思う。それがたつた一五%の減収率になつておる。北蒲原の葛塚では二石一斗ありまして、そして一五%八、同じ木崎では二石五升二合ありまして、これは一五%三になつておりますが、こういう二石もあつて一五%というのは、これはまあわかりますが、同じ赤谷では一石五斗しかとれていない、二石どころではない、一石五斗、それで一六%しかない。これをそうしてみますと、どうも減収率だけでやられますことは非常な私は無理ができると思う。だから結局収穫が常に低い。これは赤谷にしてみましても、須原村にしてみましても、常に収穫が二石ないようなひどい所です。それが減つて来ておるのでありまするから、これは減収率は少ないと言いましても、こういう所で減つたものは、同じ減つても減り方が全然パーセンテージが出て参りませんでも、収穫を中心にして考えると完全な凶作地帯だと思う。こう考えられる。これが一六%、赤谷は一石五斗、一六%、お前のところはかからん、こういう恰好になつてしまう。これは一つ減収率だけで考えられることはやめて、やはりその村の実情を中心に、常の経済状態等を中心にした考え方を相当加味してもらわなかつたら重大な問題が起きると思いますので、その点はどうです。
  43. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いろいろの場合が出て来るだろうと思います。それだけで考えてこの実情に副えないという場合もあり得ると思います。従つてそういう地点に対しましては、実情に即応してやつて行くように事務当局でも考えておるところでございます。
  44. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止
  45. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  46. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 供米の補正と完遂奨励金の関係について伺つてみたいと思うのでありますが、今年は割当の個々折衝のときに、県知事はいずれも余計供出したくないから減収率が多いと言うし、農林省側はそんなことはないというので、若し減収なつたら補正してやるという条件が付いているということでありますが、果してどうであるか。
  47. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それはその通りでございます。
  48. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そうしますと、そういうような場合における完遂奨励金の問題ですね。これは今までは人為の関係で、余計供出しないというようなことがあつたから補正をしなければならないような場合には奨励金をやらんという、徴罰的に奨励金をやらんというような関係があるのでありますが、今年は今言うような関係で、人為の加わつたものでない、天候の急変でいつたものであるから、そこでこれはむしろ農林省がみずから減額の訂正をしてもらうというような、誤謬訂正というような形にして頂いて、そうしてこの完遂奨励金を是非渡すようにしてもらいたい、こう思うのですが、今年は何も完遂せんでも奨励金を渡すのだというお話でありますが、これはやはり筋を明らかにしてもらいたい、こう思うのですが、如何ですか。
  49. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その点は北委員のお説の通り補正には応じて取扱いをいたして参る方針でおります。
  50. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 凶作による土地改良区の歳入欠陥についてでありますが、非常に土地改良区の経営に支障を来たしておると思うのでありますが、米の生産の第一条件である水が来年度も来ないというような問題が起つて来ておる。こう思うのでありまして、過般これは農林当局に伺つたのでありますけれども、これは今度の営農資金融資をするから、それで間接に救済するのだというお話であつたのであります。併しそうしますと、営農資金のほうに穴があきますので、そこで営農が完全に行かんというような問題が起ろうと思うのであります。是非この公法人である土地改良区に対しましては、資金の長期融資の方法等によつて是非救済してもらわなければならん、こう思うのでありますが、大臣の御所見を承わりたい。
  51. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その点は必要があればこれは考慮しなければならんだろうと存じます。私詳しくそこのところをまだ究めておりませんので、又事務当局ともよく御相談を申上げたいと思います。   —————————————
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは冷害関係法律案はまだ御質疑が残つておるはずでありますが、まだ本付託になつておりませんので、本付託になつておりまして、まだ全然審議に入つておりません市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員任期延長に関する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。  本法律案は十月三十一日予備付託になつておりましたが、衆議院政府原案の通り通過して、去る十一月四日本付託となりました。本法律案につきましては、去る十一月二日提案理由説明を聞いてありますから、直ちに本日は質疑に入ります。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 経済局長にお伺いしますが、この前の期間延長の法案が出ましたときは、農業委員会の構造を変えるという法律案が出ておりましたので、それが通るという見通しで延ばされたと思うのです。一月一日まで延してあつたと思うのです。今度の提案は供米に支障を来たすという趣旨になつておるようでありますが、その提案の基本の観念が違つておるようでありますが、前回法案が持ちます基本的な意味合いは、やはりこのたびのようにもう黙つて附いて廻つておるのかどうか、そういうことは全然考えておられんのかどうか。
  54. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 前回の農業委員会委員任期延長法案を御審議をお願いした節は、御指摘のように農業委員会法、それから協同組合法の両改正法案を御審議つておることでもございましたので、改正法案の整備をいずれの場合に仮定をいたしましても任期の延長をお願いするのが妥当であろう、こういう趣旨で御審議つたのであります。その後両改正法案が通過いたしませんので今日に相成つておるのでございます。今回お願いいたしました市町村と都道府県農業委員会委員任期延長は、さような両法案の改正ということと直接の関係はございませんで、本年の作柄に鑑みまして供出の問題がございまするので、供出事務をできるだけ円滑に推進したい、かような趣旨任期延長をお願いしておるのであります。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、何ですね、このたびの延長は供米に支障を来たすと悪いからということが主であつて、農業委員会法の改正を出すか出さんかはそのあとのことで、今は全然考えておらん、こう解釈してよろしいですな。
  56. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) この農業委員会法と協同組合法の改正につきましては、この前の国会ののちにおきましても、事務的にはいろいろなお検討を続けております。続けておりまするが、なおこの検討が足りない部面もございまして、私どもとして成案を得て、この次の国会なりでこういう案で御審議願うという段取りにはこれは至つておりません。そういう意味からいたしましても、両法案の改正をするからということは、実はその理由が立ちません、非常に恥を申しまして……。そういう意味からでは、むしろ任期の延長をお願いするのは筋違いかと思うのでありまして、勿論この両団体と申しまするか、農業委員会と協同組合法案の改正と委員任期というのは、これは無関係ではないと思うのです、実際の問題といたしましては……。関係が大いにあると思いますけれども、この任期の延長をお願いしておりますのは、作柄、供出の関係でありまして、この次の国会に両法案の改正をお願いするからという趣旨ではございません。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 議事進行について……。この農業委員会法の改正については、委員長から改めて農林大臣出席を求めて提案の趣旨を私ははつきりとさせてもらいたいと思います。前回においては農業団体編成の関連において任期を延長する、こういう提案だつたのです。今度は供米の関係云々というのです。私は個人の意見でありますけれども、供米の関係云々で神聖な選挙の任期を延すということは理由にならんと思うのです。でありますから、私は今話を伺つておりまして、経済局長の提案の趣旨にも私は不満足であります。これは又経済局長が提案の理由をすべきではない。農林大臣出席を求めて、農林大臣の提案に対する真意を説明して頂いて、その上で私は審議に入つてもらいたい、私はこう思います。
  58. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今河野委員からお聞きのような議事進行についての御意見がありましたが、如何でございましようか。速記を止めて。    〔速記中止
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。先ほどの河野委員の御動議がありましたが、農林大臣にはできるだけ早くこちらへ出席をして頂きまして、農林大臣から更に答弁を求めることにいたしまして、審査は続行いたします。
  60. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 農業委員任期延長に関する法律の改正でありまするが、この理由只今河野委員からもいろいろの議事進行についての御意見がありましたが、この理由といたしまして、政府が供出を完了するまでの関係から行きまして、この際農業委員の選挙をしておくことは、そういうときの供出を完了する上において支障があるというような理由を以てこれを延期しようとしておるのでありますが、この問題は、この理由は私も理由にならんと思うのであります。前の任期を延長いたしましたときには、条件付きで任期を一月十五日まで延長することはよろしいが、団体再編成の問題とは関係なく、これは任期を延長しようということであつたはずであります。併しその当時は団体再編成の問題がまだ提案されてないのにもかかわらず、任期を先に延長することを提案したのでありますから、それも提案されてからでいいじやないかと言つたのでありまするが、そうするというと、告示の期間も経過するので、やむを得ず前以て了解してもらいたいというのでこれは通したはずです。従いまして今度の理由も、経済局のほうで……した案であるか、或いは食糧庁で出した案であるか知りませんが、この文面を見てみますというと、食糧庁が農業委員の選挙を延ばしてくれないかということによりまして提案されたようにも思うのであります。いずれにいたしましても農林省のやつたことでありますから、どちらでありましても、その内容は別といたしまして、そういう感じが強くするのでありまして、農業委員の選挙というものが主体でなくて理由のほうに重きを置いたような感もあるのであります。私は農業委員会法というものの一部改正と、この前出ました団体再編成とは別に、農業委員会というもののあのあり方につきましては、今日二年半を経過したときにおきましては、相当これは研究すべき問題ではなかろうかと思うのです。農業委員会そのもののあの法律は、現在運用されておりまする農業委員のあり方につきましては、まだ訂正すべきところがたくさんあると私は思うのであります。又これは輿論に徴しましても、或いは地方行政調査会のごときもこの問題についても相当批評があつて、ああいうものは必要ないと称しておるのです。而して各県の知事会議におきましても、或いは市町村長会議におきましても、こういう問題につきましては、相当不必要論まで出ておるのであります。こういう点につきましては、やはりこの委員会法を改正する、又研究する必要もあるので、この選挙の期間を延ばそうという考えからいたしまして、又それと同時に、一面におきましては供出の問題も又あるのだということであるならば、初めは農業委員会というものに対する研究が必要であるというようなことからいたしまして、これを半年延ばそうということであるならば誠に充当だと私は思うのでありまするが、ただ供出というものを主として考えるべきものでなく、農業委員会はどこまでも農業委員会というもののとにかく規定があります。その規定によりまして選挙期日は期日とし、又今度延ばしましたなら延しましたものを期日として行かなければならん。こんなことを、何かあつたら延して行つて農業委員会というものはいつでもこれは延ばせる、何遍でも任期を延長することができるということになると……、即ち理由の薄弱という点はこういうところにあると思うのです。こういう点につきまして、これは食糧庁長官でなく経済局長に伺わなければならん問題でしようが、提案されましたその内容を経済局長が経済局において本当に考え理由であるかないかという点から、一つ私の今質問しました農業委員会に対する委員会法を一部改正する、悪いところを直すという考え方があるかどうか、その点をお伺いしたい。
  61. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 農業委員会法につきましての改正を要すべき点は、若干私どもも技術的に考えてみた場合にあるわけです。これは再編成とか、いろいろな名前を付けるか付けないかは別といたしまして、再編成ということを全然離れまして農業委員会実態だけを考えましても、若干事務的にでも改正したい点は私どもつております。ただ今回お願いをいたしましたこの延期は、さような改正、或いはそうでなくてもつと根本的な改正を予定をしておつてお願いをしておるということでは実はございませんので、ありようを申しまして、私どもは農業委員会自体を所管しておる私どもの局としては任期延長ということは考えてなかつたのです。ここに長官も見えておりますが、食糧供出の割当の実情から見まして特に延長の必要があろうという御意見もあり、農林省としてのそういう御意見の下で今回提案したような延長をお願いしておる、そのほかに実は何ら他意はございません。
  62. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私から森田委員質問に関連して……。農業委員会委員任期を延ばすということは非常に下見識だと思うのですが、提案理由を聞きまするというと、今年の凶作状況に応じて供米関係から主として延長するという説明をされておるわけであつて、ですから、これは食糧庁の長官から実態をやはり説明してもらわんと、私は何も委員任期は団体再編成だけで延ばすということでなく、ほかのもつと理由があれば私は延ばしてもいいと思うのですが、そこをむしろもつと食糧庁長官から、供米関係からどうしても困るというところから出て来ておると思うのですが、その辺の事情をとくと御説明頂いたらどうでしようか。
  63. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 本年度におきます作況につきましては、先ほども大臣からもお話があり、各委員からもお話があつたわけであります。御承知のように本年度作況から申しますると、昨年度よりも一千万石以上の減収になつておるわけでございます。現在我々といたしましては、先ほども大臣からのお話がございましたように、最低十五日の配給量を如何にして維持するかということが、我々といたしましては非常な課題になつておるわけでございますが、御承知のように重要な供給源といたしましては、勿論国内の集荷を如何にするかということがこの課題を解決する大きな手がかりになつておることは御承知通りでございます。従いまして現在割当につきまして、各府県と話合いたしておるわけでございます。現在までの間におきまして、各府県におきまする話合いにつきましては、話合が付きましたものが約半数の二十四県でございます。なお目下いろいろ各府県と話合を続けておるわけでございますが、大体我々といたしましては、十一月の中旬までには各府県との間におきまする話合を終りたい。そしてその下におきまして本年度におきまする供出の態勢を整えて行きまして、そうして必要量の確保に進みたい、かように考えておるわけでございますが、各県といたしましては、政府との話合の下におきまして県におきまする割当をきめることになつておるわけでございます。御承知のように県が割当をいたしまする場合におきましては、県の農業委員意見を聞いてその割当をきめるということになつております。県で郡市別の割当をきめますというと、同時に更に郡で町村別の割当をいたしまして、更に町村におきましては部落別或いは個人別の割当をいたすことになつておることは御承知通りでありまして、昨年度の例を見ましても、大体十二月の下旬から一月にかけまして末端割当が行われるということが昨年度におきまする現実の事態になつておるわけでございます。特に本年度におきましては、作柄の実態が、作況によりまして同じ郡におきましても町村別に非常に差異がございまするし、又同じ町村内におきましても、品種によりまして、或いは場所によりまして非常に作況の差異がございます。従いまして本年度におきまする割当につきましては非常に慎重な措置を要するわけでございまして、割当の問題は量の問題もございまするが、同時に公平な割当ということが非常に重要なことでございます。従いまして従来から割当につきましては検見をし、そして従来割当の点につきましては、農業委員におかれましても十分その点について本年度の作柄については検討をされておるわけでございます。そういう今までの作況の検見その他の積重ねの上におきまして初めて個人別の割当が行われることによつて公平な、そして均衡ある割当ができる。そして均衡ある適正な割当ができることによつて、又供米が完全に円滑に遂行されるということを期待いたしておるわけでございまして、その際に選挙ということによつて交替が行われる、又いろいろな点におきまして、その割当事務或いは又更に作況の検見の事務というふうなことが停滞いたしますことは、本年度の集荷の目標、観点から行きますると非常に支障になるのではなかろうかというふうに考えておりますので、そういう意味からいたしまして、本年が特に非常な凶作であり、而もこれは一般的な凶作のみならず、品種により地域によりまして非常に作況に差がある。この公平なる割当をするということが非常に困難であり、又これを公平な割当をしなければ割当がうまく進行しない、まあこういう特殊の事情にございますことを御了解願いたいのでございます。
  64. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は実はこの問題についてわからないように思うのですが、一体再編成という言葉は政府が作つた言葉であるか、誰が大体作つた言葉なんですか。こいつがわからないですからお聞きしたい。農業団体編成という言葉は誰が作つたのか、これを聞きたいのです。
  65. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 何と申しまするか、農業団体編成と申しまする言葉の由来についての御質問でございまするが、私どもまあ農林省におる者といたしましては、再編成という言葉は、実は何と申しまするか、公式には使つた覚えがございません。併しいつとなく、いわゆる再編成といつたようなことで、我々も言わないと他人に通じが悪いというふうなことにも相成つておるのでございまして、又この前御審議願いました両法案の内容が、中味から申しまして農業団体の再編成言つていいかどうかということについてもいろいろ御議論もございましようし、私どもとしては必ずしも再編成といつたふうには、現在でも、この前の法案を顧みました場合に考えておりませんのでございます。
  66. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今の御説明通りなんですが、大体目的は全く違うのです。両者の目的は全く違う。而うして性格も又全く違う。これを同じに比較して再編成として同時に論じているということに私は大きな間違いがあるのじやないかと、こう思うのですが、御意見如何ですか。
  67. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) お尋ねの趣旨は、農業委員会と協同組合というものが性質が全く違うということで、それを一緒にして団体の再編成というふうに使用するのは間違いではないかという御指摘でございまするが、私どももそういう御指摘のような面が非常にあると思うのであります。農業委員会は、何と申しまするか、行政の附属機関であり、協同組合は自主的な農民の団体であるという建前からいたしましても、そのことは明瞭である次第であります。ただ改正案考えまする場合に、農業委員会の今後の持つて行き方、或いは改組のいたし方、或いは協同組合に対する考え方、或いは国家の援助の仕方ということ如何によりましては、若干そこに機能がどちらに属したらいいかといつたような問題となり得るものがあるわけでございまして、そういう意味において両者を相互いに見合わせて問題を考えて行くというようなことが必要でございまして、同時に御審議つたという経過になつておりまして、根本の筋を申しますれば、これは御指摘のように全くと言つていいか、要するに違つたものであるという本筋は私は動かせないものであるというふうに今でも考えております。
  68. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 昨日も予算委員会で、農林大臣が米の問題について説明をしておつたのでありまするが、日本の食糧事情はやはりどうしてもまだまだ供米制度というものはやめることができんという答弁をしておるのです。そこでまあ供米制度だけについて考えましても、農民は何とかして一つ自分らの供米が有利に完全に行くようにという念願を持つてつて、そうして是非一つ農業委員というものに働いてもらわなきやならんという考えで、その目的で選挙しておるのです。そのような目的で農民が選挙しておるにかかわらず、そんなものは要らんのだということはおかしい。農民の意思を全く無視して中間の人たちがそういうことは要らんと言われても、これは供米問題のごときは円滑に行くはずがない。従つて供米問題を計画をされて引受けるからには、総合計画をやつて、成るべく供米制度がうまく行くように一つやらなきやいかんということで農業委員というものは働いておると思うのです。そうしてみると、いろいろな点から考えてみて、協同組合というのは組合員は資格がきまつておる。農民が誰でも彼でもが全部協同組合員になるわけじやないのでして、従つて自分らの意思を本当に代表する者はやはり農民みずからが選挙した農業委員でなければならん、こういう工合に考えておるのです。ところが第三者の人たちは頻りに農民の意思を無視して、それで農業委員不要論をやつておるのは実にけしからん。百姓の意思というものを全然無視しようという考えがあるからいけないのです。そこでこういうことについては是非一つ供米をする百姓の意思を尊重してもらわなければならん。議会が百姓の意思を尊重しないというようなことがあつては大変だと思うのです。こういう点をあなた方はどういう工合に見ておられるか。いわゆる協同組合の組合員というものは、これは加入、脱退が任意なんです。この頃協同組合が不振のために随分脱退する人たちがたくさんある。この脱退する人たちは米を供出しながら発言権がないという、こんな無情なことをしてはいけない。私は是非これはやはり供米制度のあるうちは、これはやめることができないし、又やめると農民感情と全く違つたものになる、こう考えておるのでありますが、当局の御意見を伺いたい。
  69. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 主として供出制度と農業委員会との関連についてのお尋ねでございまして、供出制度というような制度を円滑に運営するためには、現状のような農業委員会がそのままでいいかどうかということについては、なお問題がございましようが、農業委員会で以て企図いたしましたような機能を営む機関があるということは私は必要だと思います。これは現状から申しますばかりでなくて、沿革から申しましても、食糧管理法の施行規則によりまして、食糧調整委員会というものが当初設置せられました沿革から申しましても、供出という事柄だけを論じましても、恐らく不可分のものといたしまして、こういう制度が私は必要だというふうに思います。
  70. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 そういう工合でありますならば、政府の態度を僕はここではつきりしなければならんと思う。何だかどうも両方に関係があるかのごとく説明をして行くからこういう問題になつて来るのである、こういう工合に思われる。それがために二つの団体に無用の摩擦を起さしておる。これは実につまらんことである。そういう無用の摩擦を起させずに行くためには、政府は毅然たる態度を示さなければならん、前の議会のときでありましたか、どうも政府の態度があいまいなんです。突込まれるようにやつている。そうすると、どうも政府考え方は、どうかして再編成というものと結び付けて、これをこんがらかして行こうというような考えがあるのではないかと私は疑つてつたのでありますが、今お伺いして、そういうことがないということがわかつたのでありますが、ここでやつぱりはつきりとけじめを付けておいてもらわなければ困る。
  71. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は農業委員会の選挙の問題でありますが、これに関連いたしまして、本年第十六国会に提案された農業委員会法の一部改正法律案が流産になつた、それによる予算案は通過したのでありますが、本案だけは到頭流産してしまつた。これについてこの予算案をどういうふうにお使いになるのか、殊に今年のような非常に凶作として取上げられておるときに、今いろいろ営農資金融資にしても、或いは農業保険の支払においても困つておるというときに、この資金をどういうふうにお使いになるのかというのが第一点であります。第二点は、只今委員が言うたように、農業団体の再編成であるかどうかはわかりませんが、農業協同組合法の一部改正法律案も提案された、それを来年度にこの法律案を通す意思が、又再び提案する考えがあるのかないのか、若しこれがあるとするならば、私は今回の選挙の延期も意義があると考えるわけでありますが、提案する意思がないというならば、私はむしろ農繁期を避けて一月か或いは二月頃選挙を施行して、全国の農民の一番忙しい時期に行われるような選挙こそ避けるべきではないかと考えております。選挙は一日でありますが、農民は委員を選ぶためにいろいろ部落常会を持ち、又いろいろ手間がかかる。それで田植を終つた直後における農民は非常に除草、田の除草も畑の除草も、或いは麦の収穫等に追われて、殊に長雨が続いたあげくにおきましては、手と足を間違えるほどの忙しさを感じておる。そういうような時期に選挙をやられるということは農民として甚だ迷惑千万であると私は考えます。従つて農業団体の町編成をするという意思があるならば、一月選挙を行われることも意義があるから、あえて私は原案を云々するわけではありませんが、成しないならば、むしろ三カ月延期ぐらいにして、四月頃選挙を施行するのが妥当ではないかと考えるのであります。この二点について一つ経済局長の御返答を願います。
  72. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 最初の予算の問題でございますが、農業委員会に関する予算と協同組合中央会に関する予算と二つに相成つておりまして、農業委員会に関しまする予算のうち、市町村の農業委員会に関します予算は、本案とも勿論関係はございまするけれども、現行の農業委員会法によりましても、ほぼ同様の予算が必要なる数字でございまするので、その予算を実は実行いたしておるのであります。県の農業委員会につきましては、一県当り十万円の調査費がございまして、これは新らしい改正法案に関連のある予算ということで使つておりません。それから全国の農業委員会会議所、この助成金六百万円も使つておりません。それから中央会の助成八千万円、これも現在使つておらないのであります。これを今後どうするかということはなお若干の推移を見たいと思つております。それから協同組合法、農業委員会の改正法案を来たるべき国会に提出するかしないかということに関連しての期間の問題でございますが、私どもといたしましては、只今のところ具体的にどうするかという見通しはございませんが、やはり何らかの改正ということが必要である、農業委員会法、協同組合法、それぞれ改正が必要であるという考え方を現在でも持つております。ただこの前御審議願いました両法案のままであるかどうかということについては、なお省といたしましても決定をいたしておりません。それから延長の期間を三カ月にするか、六カ月にするかという点でございますが、この点も私ども若干考えたのでございまするけれども、三カ月ということでは本年の作柄を見まして、なお供出との関係から不十分ではないか、勿論例年の、去年あたりの供出の状況で行くと、三カ月で十分であるというようなことも言えると思いますけれども、本年の状況が昨年より随分遅れて参つておるというようなことから六カ月ということになりました。なお御指摘のような農繁期の問題もございます。その点も勿論十分ではございませんが、春の農繁期を過ぎてからということになりますと、やはり勿論三カ月の場合も農繁期の問題は或る程度回避できると思いますが、そういう意味も多少は考えておつたのであります。
  73. 河合義一

    ○河合義一君 先刻来政府委員の答えを聞いておりますと、公平なる供出の割当をするために現在の農業委員のほうが便利であるというように私は聞いたのですが、河野委員も申しましたように、選挙ということは最も厳正でなければなりません。個々の理由によりまして、これを左右するということはいけないと思うものであります。さて公平なる割当をするために現在の農業委員ではいけない、新たなる委員でなければいけないということは私はないと思うのです。委員は留任を許されておるのでありますから、この際任期が来ておるならば断然適正なる農業委員を選出するということが最も至当ではないかと私は思うのであります。それに対しまして政府委員意見を承わりたいと思います。
  74. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これは勿論委員任期というものは法律上きまつておることでございまするが、改選時期に改選するということが、これは理の当然でございまして、御指摘のように適任者は再選されることも勿論認められておるのでございますから、なお更そういうことでございます。特に選挙をする農民と委員との関係から申しましても、あらかじめきめられた任期で以て選挙して行くということが望ましいし、又それが当然であるというふうに私ども思うのであります。ただ本年の作況から言いまして、収権時期が相当遅れ、又収穫高の把握につきましても、予想の時期によりまして変つて来るということがございまして、割当にもなかなか困難をする、こういう事情でございますので、丁度農業委員会が供出事務にタツチしておるわけでございますが、その事務の中途において委員が交替をするということになりますと、制度本来が狙つておる供出を円滑にするということに却つてひびが行きはしないか、勿論これは国家的な要請である仕事でございますと共に、農民のほうから申しますれば、割当は公平にして納得行くような供出をするという建前でございますので、やはり途中で代ることはその点から如何かと存ぜられますので、任期の問題につきまして御審議をお願いして、延期して頂けますならば延期して頂いたほうが適当ではないか、かように考えたのであります。
  75. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この供出の割出につきまして補足的に申上げたいのでございますが、御承知のように供出の割当につきましては、各府県におきましても、勿論農林省といたしましては統計調査部が作況報告をいたしておりますが、具体的に各府県におきましても数回の検見によりまして作況調査をいたしまして割当の公平を期しておるわけであります。これは町村におきましても勿論であります。県におきましても同様でございまするが、農業委員会が一体になりまして、数班に分かれまして、数回に亘つて積上げておるわけでございます。特に本年度のように作況の上り下りの非常に変化の多い時期におきましては、従来の検見の状態とその後の状態、更に今後の変化の状態ということが、一回の検見、二回の検見、三回の検見と、こういう形からして積上げられまして初めてそこに妥当な結果が生まれるのじやなかろうか、かように今年の作況につきましては特にその感を深くいたしておるわけでございまして、只今の河合委員の御意見もございまするが、やはり途中において人が変る、これは重任される場合も勿論ありましようけれども、一体となりまして相互に比較検討いたしておりまする状況におきましては、我々供出の面からいたしますると、そういうことのないようなことが非常に望ましい、かように考えておるわけでございます。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 この農業委員会とだけ限つたわけじやないのですけれども、供米について供米督励推進費ですか、そういうようなもので供米をまあとにかく督励するために費用が農林省から各農業団体に出ていますが、それは大体全国でどれぐらいの額が出ていて、そして農業委員会等には大体どれぐらいの率で廻しているのですか。
  77. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。これは委託集荷費として予算に本年度におきましては四億計上いたしております。昨年度は四億五千万円ということになつております。この費用につきましては、これは各府県に対しまして供米を促進いたしまするために、旅費その他の会合費として、反別の関係、或いは人口の関係、或いは供出量の関係その他いろいろな要素からいたしまして各府県に配分をいたしておるわけでございます。各府県におきましては、これの配分につきまして、供米を促進するそれぞれの適当な方法におきまして、旅費でございまするとか、或いは会議の費用とかいうことに使つておるわけでございまして、勿論割当の関係の費用として使つておる場合もございます。ただこの内訳が、どこへ何ぼ行くというふうな性質のものではございません。
  78. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつと今のお話と関連しましてですが、委託集荷費が去年は四億五千万円でした。今年は米価も上り、一切合切経費が上つておるし、而も先ほど来長官のお話のように非常に今年は供出がむずかしいんだと、こういう実態において、そろばん上それが五千万円減つた四億円で上るという計算はどこから出て来るわけですか。
  79. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今数字の申上げ方が違いましたので、この際訂正いたしておきますが、昨年四億五千万円でございまして、本年は三億七千二百万円というふうに減少いたしております。これは当初予算におきまして四億五千万円、昨年度と同様ということであつたわけでございますが、先般の国会の修正の関係もございまして減つたわけでございます。只今の白井委員の御指摘のように、本年度の供米につきましては、割当につきましても非常に困難を感じますので、たびたび出かけなければならない場合も多いと考えられまするし、又割当会議も一回、二回で済むということも各府県においては考えられない場合も想像できるわけでございます。従いまして我々といたしましては、現在きまつておりまする三億七千二百万円で以て十分であるということは考えておらないわけでございます。供出の状況、割当の進行状況等も関連いたしまするが、これが増額につきまして、少くとも昨年程度の増額は必要じやなかろうかということで財政当局とはいろいろ協議をいたしておる次第でございます。
  80. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  81. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。農業委員任期の延長に関する法律案審議農林大臣出席があるまで中止いたしまして、米麦売渡の特例に関する法律案審議を続行したいと思います。   —————————————
  82. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) その前にお諮りをいたしたいのですが、先刻白井委員から御要求のありました食糧問題の調査の件につきましては、食糧政策に関する調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に要求鶴の文案等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認め、さよう取計らいます。   —————————————
  85. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは米麦売渡に関する特例法案審議を続行いたします。政府から昨日要求いたしました被害農家に対する米麦売渡数量の算出方法の書類が配付されておりますから、これを一応政府から御説明願いたいと思います。
  86. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今御手許にお配りしました被害農家に対する米麦売渡等の法律関係いたしまする第三条におきまして、「農林大臣の定める数量」、この数量について資料の御提示をいたしたわけでございますが、その考え方につきまして御説明いたしたいと思います。考え方といたしましては、被害農家につきまして、第二条におきまして「冷害等による著しい減収のためその生産に係る米麦又は雑穀がその農家の飯用消費量に著しく不足する」場合、この場合に対しまして、その農家に対しまして、只今お配りしましたような考え方をいたしておるわけでございます。  第一は、二十七年産米におきましての供出農家が、冷害、災害等によりまして飯米の不足量を来たした場合と、従来共に非供出農家でございますが、更にそれが冷害等のために著しい減収を生じました場合と、この二つに分けて考えておるわけでございます。昭和二十七年産米につきまして、供出農家でありながら本年の減収によつて転落いたしました農家につきましては、米につきましては、消費者の配給量でございます平均の二合七勺につきまして各県別の米食率を加えますと、大体一合八勺乃至一合三勺になると思います。それに加配量の米を一合加算いたしまして、大体二合八勺乃至二合三勺程度におきまして米を配給、売渡すわけでございますが、更にそのほかに麦を配給いたしたい、その麦は米の配給量を四合から引きましたその差額一合二勺乃至一合七勺を麦を以て売渡をいたしたい。かように現在考えておるわけでございます。二十七年度におきましても、非供出農家でありまして、本年度も非供出農家でありますが、作柄の不良のために、その飯米を食い尽す時期が早くなつて、配給を受ける日数が非常に早まつた場合の農家につきましては、米につきましては消費者と同様の二合七勺に米食率をかけました一合八勺乃至一合三勺を配給いたしたい、その四合と米の配給量との差額が二合一勺乃至二合七勺を麦を以て配給いたしたい、かように考えるわけでございます。
  87. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 県別の米食率についてですが、さつきの説明で行くと、本来の生産県が今年の凶作で今年限り消費県に転落したものは、さつきの説明で行くと、例えば二十日の分が十五日になつたり、消費者のほうは、消費者のほうといつては問題があると思うのですが、消費者のほうは或いはやむを得ないとしても、その率は、これは何ですか、この生産者の米食率にも今年限りの消費県に転落した米食率が掛けられるわけですか。
  88. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 大体そのように考えております。と申しますのは、御承知のように、従来も或る程度の作柄の変化等によりまして供出農家が転落する場合もございまして、これは従来共に消費者として取扱つておるわけでございますので、ただ今回の全般的な作柄のために特に安く売るという問題と、それから延納売却をする、こういうことを考えたわけでございまして、特に又従来の場合におきましては、供出農家につきましての加配量がないわけでございますが、供出農家につきましては、更にそれに加配量を一合くつ付けたい。ただ我々といたしましても、こういう場合におきまする農家の凶作による減収によりまして食糧の不足の問題もよくわかるわけでございますが、同時に又全体的な食糧需給の関係もございまするので、できるだけその許す範囲において最高限度にやりたいということを考えたのが、只今申上げた考え方でございます。
  89. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他の委員のかたも御質問があると思いますが、消費者の米食率を減らす、而もこれは今年の何というか、やむを得ざる凶作で消費者に転落しただけで十五日にするということもひどいと、こう思うのです。それは別としても、米作農家の米食率まで消費県に転落した、これは非常にひどいと思うので、これはちよつと了承できないというか、要するにはつきり言えば凶作のひどい県は米の配給が少いということになつてしまうのだね、これはあとは意見になりますが、それに間違いないわけですね。
  90. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答えいたしますが、実は御承知のようにこの制度と従来の米の配給制度と申しますか、農家配給の制度、この関連が非常にむずかしい点がある、従来の場合におきますると、やはり従来の場合におきましても、前年供出農家でございましたものが転落をして何する場合があろうと思います。又本年度の場合におきましても、供出数量が非常に少いために今年度被害の程度が非常に軽くても低落する、こういう場合もあるわけでございまして、従来の方法といたしましては、そういう場合は配給を受ける、農家配給といたしましてこれを取扱つておるわけでございます。そこでこの制度におきましては、価格の問題と延納の問題とにおきまして区別をいたすほかに、更に数量的にもそういう農家と区別をいたすということは非常に現存の制度上むずかしい点があるということも御了承願いたいと思います。
  91. 白井勇

    ○白井勇君 委員長の御質問と同じことですが、これは東北なり、米どころは今までとにかく消費地の飯米に協力しておつて、何十年に一遍のこういう冷害を受けて、今年くらいは助けてもらえるだろうという実に素朴な感情を持つておるわけです。その場合今委員長の御指摘のような点に、これは一体この間青森なり、岩手のほうはさまつたと言いますけれども、これは向うから来ておる知事なり、農業委員は承諾したのですか。
  92. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 十五日の配給日数にするということにつきましては県と打合せたわけでございます。
  93. 白井勇

    ○白井勇君 従つてこういう事態が出るということも了承しておるわけですか。
  94. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) これは具体的にはこの問題につきまして協議はいたしませんでした。従来の農家配給の建前から申しますると、当然農家配給の場合におきましては消費者と同様の取扱いをするということは各県共にその点は御了承があるのであります。ただこの法律の制度を運用するにつきまして具体的に御相談したことはございません。
  95. 白井勇

    ○白井勇君 私は重ねて私の気持を申上げておきますが、やはりこいつは何とか考えられるものならば、大したことは数字的に言いましても違いないものだと思います。だからやはり従来の農民のその努力に報いるような親心というものを、こういう際にちよつと片鱗を出しておくということは、食糧庁とされましてもやはりこれは一つの善政じやないかと思うのですが、それ以上申上げませんが、善処をお願いいたします。
  96. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今の白井さんのお気持は我々も実はその点は十分わかるわけでございますが、ただ普通でございましても、農家配給というものは大体年に百万石以上のものがあるわけでございます。それと、これもその農家配給の中の一部のものでございます。これが本年度におきましては相当従来のベースにおきましても農家配給が増加するわけでございます。その農家配給の中におきまして、あなたは数量は甲だ、あなたは数最は乙だ、こういうふうに量的に区別することは如何だろうか、ただ非常に作柄によりまして被害を受けられたわけでございますから、価格の点なり或いは延納の点を以て措置いたしたい、特に従来は米だけでございまして、単作地帯におきましては麦はない、それに麦の分を更に加えて、これも政府がほぼ生産者価格並で配給する、こういうことをいたしたわけでございまして、若しこの量を高めるということになりますると、やはり全体的にその間の区別ということが非常にむずかしくなる、それで実際的には全部そういう形になりはしないか、そういう需給の面において非常に困難を来たすという点も御了承願いたいと思うのであります。
  97. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) この問題は政府の方針ははつきりしておりますので、あとで委員会附帯決議を付けるとか、その他の問題で相談をしたいと思います。
  98. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今のに関連してこの間新聞で見ますと、バツク・ペイの豊凶係数ですね、あれの誤差修正と言いますか、あれが五百円の場合は二・五%でしたか、それから今後豊凶係数が変つて来る、そのときには誤差係数というか、修正と言いますか、あれは四・五%くらいになるのじやないかというようなことが出ておるのですが、そういうものとは関係ございませんか。
  99. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 減収加算額についての算定方式につきましては、実はあの新聞の何は麦の場合を適用して算定したのじやないかと思います。あの場合におきましては厳格な意味での算定はいたしませんで、一応米価審議会におきまして差当り五百円程度ということで、何と申しますか、一つのつかみとして、これ以上に下ることはなかろうということで加算をいたしたわけでございます。これの算定方式につきましては、いろいろ現在資料を整えまして、更に米価審議会に小委員会をお計らいで置いて頂けることになりそうでございますが、その小委員会で算定方式の検討をして頂く、それから実収高が大体十二月の下旬にはできるかと思いますが、算定方式がきまりまして、それから実収高がきまればそれでやつて行けるということで、この問題とは関連ございません。
  100. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 関連はないけれども、あれで修正するということは、少くともこれだけを修正するということが米の量につながつておる問題じやないのでございますか。
  101. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答えいたしますが、米の集荷の問題として減収加算額を云々するということではございません。勿論それが或る程度加算されますれば、集荷の面にも影響があり、又或いは好影響があろうかと思いますけれども、直接集荷対策として考えるという考え方ではなくして、やはり一つの制度として減収の場合には減収加算額を考えて行く、その算定方式はこうあるべきだということに考えておるわけでございます。
  102. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私からちよつと質問を二、三して参りたいと思うのですが、第四条の米、麦についての売却価格が大体示されておりますが、特に大麦、裸麦、小麦については具体的な金額が示されていませんが、現行の政府の売却価格は、これはそれぞれ幾らになりますか。
  103. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 現在の売却価格について申上げますると、普通小粒小麦につきましては……。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 これについて一つずつ出して下さい、三、四、五で……。
  105. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 大麦につきましては、包装込みで千七百四十二円でございます。従いまして包装を八十円といたしますると、二重包装の場合とその他の包装の場合と違いまするが、これが差引かれることになろうかと思います。でありますから包装込みで千七百四十二円でございます。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 包装附きでしようか。
  107. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 包装附きでございます、小麦の……。
  108. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですから法案に書いてある千六百三十七円とか、千九百七十二円に相当する現行価格、こういうことですか。
  109. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。この第三の大麦につきましては、政府の買入価格は千七百十七円、これは包装込みでございます。従いまして、これから八十円を引きました裸価格が千六百三十七円になるわけでございます。ですからこれは裸の価格でございます。裸麦につきましては、政府買入価格は包装込みで二千三百七十三円でございます。従いまして八十円引きますると二千百九十三円になります。小麦につきましては包装込みの政府の買入価格は二千五十二円でございまするので、八十円を引きますると、ここにございまする千九百七十二円になります。従いまして、ここにありまする価格は政府の裸の買入価格と、かように御了承願いたいと思います。なお売渡価格につきましては、普通小粒大麦につきましては千七百四十二円。
  110. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 一般の現行売却価格が……。
  111. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 千七百四十二円、これは政府の玄麦の売渡価格でございます。それから裸麦につきましては二千二百九十四円、普通小麦につきましては二千百円。
  112. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこで、私はこれは今日は根本的議論をするわけではないのですが、第四条で、国内産米穀のほうもいわゆる米価それ自身で、奨励金なんかは入つておりませんから、食糧庁の全体の買入価格より大分安くなつておる。今お話の大麦、裸小麦も現行売却価格よりも或る程度安くなつておる、外米も同様であると思いますが、そうすると、災害地帯に米麦を安く売つておりまするが、更に加えて、冷害地帯にもこの価格で売りますると、相当食管会計に赤字が出ると思いますがね。大体どのくらいの目途になりますか、これを消費者に転嫁する方針かどうか。これは米価審議会で大きな問題になつておるのでありまするが、現在の考え方一つお聞かせを願いたいと思います。
  113. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この問題につきましては、我々といたしまして、一つの食糧管理の面との関連もございまするけれども、主として災害対策としての見地からかような法案を提出いたしたわけでございます。従いまして、これにつきましては水害地の場合におきまして、現実に売却いたしましたものと、そのコストを加えました価格との差額につきましては、一般会計からの繰入を、数量が少なかつた関係金額が少のうございますが、繰入をいたしまして、繰入と申しますか、損失補填を受けておるわけでございます。この法案に基きまする場合におきましては、その数量等につきまして明確な見通しが立ちませんので、一応取りあえず推定されるものにつきまして、或る程度の損失補填という形で現在一億六千万円程度の繰入を本補正予算におきまして、繰入と申しますか、損失補償という形でございますが、損失補填を受けることになつております。従いまして考え方といたしましては、当然これによりまする損失は一般会計からの補填を受けるべきであるというふうに我々は考えておるわけでございますが、実績がわかりまして、その損失が明らかになりました場合におきましては、食糧会計全体の他の部門との関連もございまするので、今後も検討をいたさなければなりませんが、取りあえずの措置といたしましては、或る部分の繰入、損失補填を受けておるということになつております。
  114. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私おかしな質問かも知れませんが、水害関係法案は二十四の法案ができておつて、全然予算措置が今日まで講ぜられておらないですよ。今度の国会でやらておるわけであつて、何か今回の第一次補正前に水害関係の食管の安売りの補填金があつたわけですか。
  115. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この飯米の安売の問題につきましては、法案通りましてから、各県と具体的に相談いたしまして、仮渡しを物としてはいたしておつたわけでございますが、府県指定ができましたので、それに基きまして政令を公布いたしまして、実質上の形にいたすわけでございますが、物といたしましては、一応仮渡しの形でいたしたのであります。その現在まで仮渡しをいたしましたものにつきまして、その数量と損失金との差額というものを、一般会計から本予算におきまして損失の補填を受けるという形になつております。
  116. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、今出ておる水害関係の三百億の中にそれが入つておりますか。
  117. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 入つております。
  118. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 冷害関係の一億六千万円も今回の百十五億の中に人つておるわけですか。
  119. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 入つております。ただ冷害関係の場合におきましては、数量等が未確定でございますので、一つの推定と申しますか、一応の金額を繰入れておると、かような関係になつております。
  120. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからもう一つ質問します。第三条の農林省が府県に売る、それから府県は市町村に売ると、こういうことになつておりますが、公共団体の市町村に実際売却事務までやらせるのか、或いはこれは被害農家に対する飯米でありますから、実際上はその町村の農業協同組合等が扱うのかどうか、これは府県では必ずしもはつきりしておらないのですよ。その点どうなんですか。
  121. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 売買の相手といたしましては、この法案にもございますように、政府が府県、更にその市町村というふうに、契約の相手方としては府県になつております。ただ物の受渡しの面等におきましては、その売却を受けました府県の指定するものがこれを取扱うことになりまするので、多くの場合におきましては、農業協同組合がその実務は代行するという形になろうかと考えております。
  122. 清澤俊英

    清澤俊英君 この麦の売渡しですね、これの包装費でありますが、実際取扱われるときは、やはり裸では送らない、包装して送るでしようが、その場合には包装費は付けるのですか、くれてやるのですか、実際の取扱いでは……。
  123. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) これは裸価格でございまするので、裸価格としまして、ほぼこの程度の価格になりまするように、包装につきましてはこれを加算して売却いたしたい。包装費は頂くという考え方でおるわけでございます。
  124. 清澤俊英

    清澤俊英君 面倒くさいことをやつたものですね。これはどうも面倒くさい話だ。
  125. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) ただ包装費をここに掲げませんでしたのは、御承知のように包装の種類が非常にたくさんあります。従いまして一々価格を書かなければならないということで、裸価格を掲げたわけでございます。
  126. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今売渡の対象は県を相手にしてやる。そうして県は町村に対して売渡すということでありましたが、その取扱いは各県で、農協なら農協或いは業者なら業者ということはきめるわけでありますか、どうですか、それを一つ……。
  127. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 取扱いにつきましては、売却の相手方でございまする府県で決定することになろうかと思います。ただこれは対象が農家でございます。農家の場合におきましては、殆んど農業団体が取扱うことにならざるを得ない。現に水害の場合におきましても、そういうふうになつております。
  128. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際問題として、これは受渡しの場所は倉庫渡になるのですか。運賃は国で持つて原価で徴収をされるのですか。
  129. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 農家に渡す価格は、ほぼこの程度になるようにということでございますので、受渡しの場合としては、我々はもよりの最末端の駅くらいまでは政府運送しなければならない、かように考えております。
  130. 白井勇

    ○白井勇君 今のこれは、この前もちよつとお尋ねしたのですけれども、大体精麦の場合ですと、製品二十キロにつきまして大体八百円、ところが原麦でありました場合、今のお話のように、できるだけもよりの駅まで持つて行くというお話ですが、これがその賃加工業者なり、精麦業者に委託されるわけですな、ないところは……。そうなつた場合にも大体あれでございますか、直接委託加工、政府委託がやつておりますのは八百円ですが、それと同じように八百円ぐらいの価格で大体原麦の場合でも農家に渡るという計算をやつていらつしやるのですか。実は加工業者は最近非常に混んでおりますから、大問題になるらしいですな。それと、この間も申上げたのですが、中に入ります、結局農協の幹部と加工業者との間にいろいろ取引があつて、むしろ政府から精麦をもらつた場合のほうが安く行くのじやないかという話がありますが、その辺どうですか。
  131. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) その問題は大体我々としては殆んどその程度になろうかと思つておりますが、まだ御承知のように加工の場合におきましては、「ふすま」価格をどう見るかというような、「ふすま」と言いますか、副産物価格をどう見るかということによつて、その価格の加工賃とその副産物価格との関連が相当あると思うのです。普通副産物の価格の高い場合におきましては、相当加工賃が安く行きますし、又これを農家が引取る場合の関係、その副産物価格をどう評価するかという問題で、具体的なケースとしましては、副産物価格のその土地におきまする価格、或いは農家におきまする副産物の需要度というようなものからして、具体的には多少の違いがあるのじやなかろうか。大体普通の形におきましては殆んど似たところに行くのじやなかろうかというふうに考えておりまするが、只今の御指摘のように、加工工場が非常に混んでおる、こういうような場合におきまして、そういう場合もあろうかと思いますが、実は我々といたしましても、これは事務上の点で恐縮でございますが、或る程度まとめた数量にいたさないと、運送の関係においても非常に不便が生じるわけであります。まとめた形にいたしまするということになりますると、やはり精麦というものの機関が少いというふうな関係で、できるだけ原麦にいたしたい、かように考えております。
  132. 白井勇

    ○白井勇君 ちよつと細かい問題ですが、末端におきまして、例えば加工を委託します場合に、現在政府で委託加工をやつておりますと同じような条件ですると仮定しました場合に、今の二十キロにつきまして二十七、八円、それくらいの加工賃を超すものは、不当に高いのだというふうに考えて差支えない筋合のものですか。
  133. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 政府の委託加工をいたしまする場合におきましては、白井委員承知のように、一定に設けた委託料でやつているわけでございますが、これはその場合の価格と、それから現実に委託する場合の価格との違い、それよりも高ければこれは不当であるかという御質問でございまするが、実は政府の場合における委託加工の場合は相当大量の委託加工でございます。そこで小口の委託加工の場合と、直ちにそれが比較できるかどうか問題でございますが、我々といたしましては、政府の委託加工が一つの標準になるのじやないかというふうには考えておりますが、これを具体的に委託料が荷いかどうかということは、条件によつて違うし、量によつて違うと思います。
  134. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今売渡しをする場合における米麦の手数料というものは、取扱手数料というものはきまつているのですか、各県できめるわけですか。
  135. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 我々といたしましても、過去の水害等の場合におきまする実績等を考え、検討いたしておるわけでございまして、これからきめるわけでございます。
  136. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 それは政府のほうが派しまして、それから各県が又……。これは各県によつて違うわけですね、配給の困難な県と便利な県とあるわけです。それにそこへ行つて又違うということになるのですか、それとも政府は各県別に手数料をきめているのですか。
  137. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 我々といたしましては、県の配給の関係におきましても、各県によつてそれぞれ違うと思いますから、大体県別に御相談をいたして参りたい、ただ森田委員の御指摘されるであろうと思います原則の価格は、手数料の差によつて相当違つたのではおかしいのではないかと思いますが、その点は我々としましても十分そういうことにならないように考えて参りたいと思います。
  138. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 食糧長官の言われた、私聞こうと思つたところを先に言われたのですが、今のその問題は、そうすると各県において売渡価格は結局違うということになる場合もあるのですね、各県ごとに知事が手数料なんか管理して、国のほうと違うということになりますと、国できめた以外にそういう場合もできるわけですか。
  139. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 我々といたしましては、できるだけ政府の売却価格も、それから農家に配給されまする価格も、できるだけ同一にしたいということは考えておりますが、ただ県によりますと、その配給地域の関係、距離の関係等におきまして非常に損失と申しますか、差が起るという場合には、或る程度農家に同じような価格で渡るようにいたしますために、売渡価格についても考えなければならん場合があるのではないかと思います。ただ我々としても、できる限りその点につきましても何か合理的な方法を県にも講じて頂きまして、できるだけ政府売渡価格と同一にいたしたいと思いますけれども、これは末端価格が一本になることが望ましいのでございまして、どうしてもそれができません場合におきましては、売渡価格を変えることもやむを得ない場合もあろうかと思います。  非常に遅くなつて申訳ないのでありますが、この法案につきましては、衆議院におきまして、この印刷は正誤されることになつておりますので、正式に衆議院から廻つて参りまする場合においては正誤されておりますが、只今お配りいたしております法律には正誤はいたしておりませんから、この際一つその点を申上げたいと思います。  第一条でございます。第一条の第一行目に「この法律は、昭和二十八年に政令で定める地域内において生じた冷害」、この下に括弧して冷害による病虫害を含む。括弧というふうに括弧を入れて正誤をいたして頂きたいのであります。  第二行目におきまして「政令で定める地域内において生じた風水害」、その下に括弧いたしまして、以下冷害等という。括弧と、第二条に「冷害等」という言葉がございますが、これは只今申上げました冷害と風水害とを併せて「冷害等」ということで、ここの以下冷害等という括弧が落ちておりますから、その点正誤さして頂きます。
  140. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは念のためですが、静岡県あたりの潮害とか、或いはフエイン現象であつたやつは、この六月から九月までの間に「政令で定める地域内において生じた風水害」として入つておりますか。
  141. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 九月までの間の災害として入つておると解釈いたします。
  142. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記止めて。    午後四時三十六分速記中止    ——————————    午後五時十五分速記開始
  143. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を始めて。農業委員任期延長に関する法律の一部改正案につきまして、河野委員から質問が保留されておりまするから、御質問をお願いいたします。
  144. 河野謙三

    ○河野謙三君 農業委員会委員任期延長に関する改正の法案が出ておりますが、農林大臣に伺いたいのですが、農林大臣の本法改正の提案理由説明は、供米の事務に支障を来たすといけないから任期を延長してくれと、こういうことでありますが、私はこれは違つていると思うのですよ。私が言うまでもなく農業委員の使命は供米だけが使命じやないのです。農業委員の使命は供米の仕事だけが農業委員の使命であるならば、これは私は提案理由はわかる。農業委員の使命の中で供米事務というものはこれは農業委員の使命の極く一部ですよ。ただこれは少し世間が騒がしく言うから、ニユース・バリユーがあるから農業委員の人が割合に大きく取上げているけれども、農業委員の本来の使命から言うと一部です。一部の問題に支障があるから、その他の重大な農地の問題、農業指導の問題、こういう農業委員会本来の重大なる使命、この問題につきましては、むしろ任期を延ばしたことがおかしいのです。これは農民が選挙するのだから、私が言うまでもなく、農民の側から見ればこの任期によつて変えたいものは変えて行くのだと、いい人は又再選するのだと、こういうことで、一般農民は農業委員に課せられた使命全体から考えまして、選挙の期日の近からんことを願つているのですよ。そういう意味合から言つて供米の事務に支障があるから任期を延ばすということは提案理由にならんと思うのですが、農林大臣どうお考えです。
  145. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農業委員の選挙を延期をしたいということをお願いいたしておりますのは、これは私どもといたしましては無論河野委員お話のように、農業委員は決して供米だけが仕事じやない、もつともつと重要な仕事を持つておるということもその通りでございますけれども、今年の食糧事情がこういうふうに、先ほども別の機会で御意見がございましたように、食糧を確保いたしますために随分今年は、本来から言えばどうかというような無理な外米輸入もやらなければならんというような実情の下に置かれておりますために、私ども食糧当局としましては、一粒でも内地米をより多く確保するということに全力を注いでおるわけでございまして、そこで河野さんの御意見のようなかたも相当あるだろうと思います。併し又同時にこの際農家側、農村におきましても、或いは農業委員におきましても、その最盛期とは申しませんけれども、非常に大事な供米の時期に選挙騒ぎをやるということは、どつちにしても供出のプラスにならない。供出を確保して行く上においてプラスにならんということは、もう私の承知している限りは異口同音に申されるわけでございまして、そういう意味で私どもとしては無論相当多くいろいろ考えてみなければならん面もございますけれども、取りあえず農業委員任期を所要の期間だけ延長さして頂きたい、こういう趣意でお願いをいたしておるわけでございますから、どうか一つ供出上これがプラスにならんという御判断でありますれば、これは別でございますけれども、何とか一つ御賛成を頂きたい、こう思うわけでございます。
  146. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はどうも納得が行かないのですが、これが提案の理由前回のときのように農業団体の再編をやるんだ、従つて編成法案が通過したあかつきには農業委員会の性格そのものが変つて来るのだ、こういうふうに前提がきまつておるから、この際そういう人たちの任期を延せ、これなら私はわかる、私は農業委員の選挙をやると供米に支障があるといいますけれども、私はその理由は納得できない、大体農民の声を聞かれましたか、一々聞くわけにはいかんでしよう。例えば協同組合であるとか、又指導連であるとか、その他の農業団体意思というものを聞かれましたか。私は農民の声というものはあなたのおつしやるように、必ずしも米を出すほうの農民の側から見ても、何も支障があるから是非農業委員会の農業委員任期を延してもらいたいという声は出ていないと思う。私は政府だけの意向じやいかんと思う。現在の農業委員を選んだ農民の声というものは一体どうするか、それを私は伺いたいと思います。農林省は農民の声をどういうふうな手段で、どういうふうな方法で農民の声を聞かれましたか。
  147. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話のように農民の声と言われても、結局するところまあ農民団体等の御意見ということになろうかと思いますが、実は私としては率直に申しますと、選挙は選挙でやつてみたらいいじやないか、こういう考えで実はおつたわけなんです。農業団体の農業委員長農業団体の方々と供出について御懇談を申上げましたときも、異口同音におつしやるのは、やはりこれは延してもらつたほうがいいのじやないか、こういう御意見が非常に強うございましたものですから、供出々々で一ぱいでいるときに、又これの選挙を既定通りつて、そのために支障でも出て来るようであればということも感じまして、私どもむしろ私一方の考えならば、そうじやなかつたろうかと思うのでありまするけれども、そういう声も農村団体のほうでも強く申しておられまして、それでこれはたしか知事や農業委員会の供米に関する連合会議を開きましたときもその声が出て、米価審議会でもその声は強く打出されて来ておりました。独断的にやつたというわけじや決してございませんので……。
  148. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうもせつぱつまつて私も何も延ばそうとしてやつておるのじやないのです。だけれどもせつぱつまつて、千石さんが来ておるけれども、指導連がどう思うといつて聞くわけに行かない。だからそういうことは言いませんけれども立場を変えてと申しますか、農業団体の再編成というこは少しも前提になつていないのですか、政府は来たる通常国会には成案を得て農業団体の再編成をされる御意思があるのですか、全然ないのですか、全然ないとすれば飽くまでもこの法案には反対です。それが具体案がないにしても、せめて何か成案を得て農業団体の再編成は通常国会に出したい、こういう御意思があるなら私は別でありますけれども、その点如何でございますか。
  149. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農業団体のいわゆる再編成の問題につきましては、就任以前から相当関係方面においても、部内においても研究をいたした結果、会期等の関係はともあれ、とにかく二回に亘つて国会の御審議を頂き、遂に結論を得るに至らないというほど重大ないろいろの問題があるようでございます。従いまして、それじやあの再編の問題というものは放つておくのか、決してそういうわけじやございませんので、問題が問題でございますけれども、成案を得ましたならば、これはどうしても御審議を願わなければならん、成案を得るか得ないかということにつきましても、文案は私のような頭ではなかなかできるものではなし、結局は事務当局の勉強に或る過程は待たなければならないわけであります。まだ次の国会に御審議を煩わし得るかどうかというところまで御返事ができるところまではまだ進んでいないのじやないかと考えております。併し問題の重要なことは二回に亘つて法案を提出いたしましたいきさつに鑑みましても、どうしても重要な問題であるから、できるだけ早く解決をしなければならんという考えは持つておるわけでございます。
  150. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、やりたいと思つておるけれども、まだ現在のところでは成案を得てない、成案を得次第に、できれば通常国会に再編成の問題は提案したい、こういうふうなわけですか。
  151. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そう御了解願えば結構であります。
  152. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういたしますと、この法案によつてここで半年延ばしますね。そこで若し成案が得られないで通常国会でそのままで、どうせ五月か、六月には又臨時国会があるでしよう。その頃になりますと、又今度は農業団体編成の問題を政府が提案したからもう三月延ばせ、半年延ばせということが起り得ると思うのです。そんなことをしたらだらだらわけがわからない、私は選挙なんというものはそんないい加減に扱うものではないと思うのです。別の問題で言いますけれども、米の登録替の問題でも、あれは消費者から見れば一つの重大な問題なんです。あれさえも政府がきまつた期限にやつていない。一方的に農林省や米屋さんの都合でやらない。ところが実は昨日も申上げたが、あなたの御家庭でもそうでしよう。米が正確に一升が一升届いていませんよ。細かいことは言いませんけれども農林省の配給制度の欠陥から、全国の家庭に米が一升が一升届かない。従つてその制度の欠陥に付け込んで、それに輪をかけて悪徳の米屋というものが一升の米を九合に削り、八合五勺に削つておる。ですから消費者から言えば、こういう人たちこそ早く米の登録替をやつてもらいたい、これもやらない。選挙の問題は重大な問題です。農業委員会の問題にしてもいろいろ意見がありますけれども、実は悪い農業委員を選んでしまつた。農地の問題で六法全書を抱えて三百代言みたいなことをやつて、農地の問題で稼いでばかりいやがつて、とんでもない委員を選んでしまつた。まあ大方の人はいいが例外的には……。農業委員会というのは農民には非常に大きな問題だ。それをこういうことで簡単に延ばされては困ると思う。今言うように、通常国会では成案が出せなかつた。それで臨時国会で出したところ、たまたま農業委員会委員の選挙にぶつかつた。それで又三月延ばし、半年延ばし、そういうことは絶対にありませんか。
  153. 保利茂

    国務大臣保利茂君) あらゆる選挙制度が、とにかくこの民主制度の基調をなす、いわばこの憲法上の重要な組織制度でございますから、これを軽々しく変更するというようなことは、これは絶対に避けなければならんと私は考えております。それだけ当面いたしております供出問題に私どもといたしましては重大に考えておるわけで、今回この案を出しましたのは、そこらも十分に考えてお願いをいたしているわけでございますから、この延長を更に何かに構えて、たとえどういうように団体再編等の問題が具体化しましようとも、私はこの選挙を更に延長するという意思は絶対に持ちませんということを申上げたいのであります。
  154. 松浦定義

    ○松浦定義君 大分農林大臣は忙がしいようですから、率直に申上げますが、今度のまあ延期の理由は、私もわからんわけではないのだが、いろいろ河野委員が御指摘になつたように、本当に今年の食糧事情のために、供出を促進するためにこれは延ばすのだ、これは私はそうあつてほしいと思うのです。とすれば実際問題として今農業委員会がそれほど政府から信頼されておるかどうかということになりますと、実際問題として、農業委員会考えておるような工合に政府は農業委員会に対して十分な働き得るような立場を与えていないと思うのです。そこで又この農業委員会が全国の今度の問題で大会等を起しまして、全く別なような動きをしておるようなことをなぜしなければならんかということになりますと、いろいろ供出の問題のむずかしさというものがそこにおのずから出て来ると思うのです。そこで供出の最盛期にかかるから云々というお話がありますが、恐らく九州等は最盛期にかかると思いますが、大体の地方は供出をすでにはや完了してしまつておるところであつて、農業委員会としては一応町村長の諮問には答えておるはずなんです。そういう意味から言いますと、必ずしもそればかりではないと思いますし、更に私は考え方が、例えば農業委員の選挙をなぜ当然行うべきときに行えないかということから考えて参りますと、政府自体が今申上げましたように、そういうことを実行していない。従つて私は率直に申上げますと、この農業の問題については非常にまあ国全体からは小さいかも知れませんけれども、やはり政府としては国の全体、大きな問題に関するそういうことを十分考えないで、例えば一昨年のように十月にも解散をする、或いは曾つてはやはり一月の大事なときにも解放をしておる。政府自体としては、どんどんと思つたように解散をして国民に忙しい目に合わせておるにもかかわらず、この農業委員会というものに対してはなぜそんなに束縛をするか、それは今のような事情があるとすれば、例えば保利農林大臣の前の内田農相はどうですか。僅か一カ月足らずで勝手にきめておる。農業委員会の仕事と農林大臣の仕事とどつちが比重が大きいかというと、私は農林大臣の職責が大きいと思うのです。その農林大臣の職責すら勝手に変えておるにかかわらず、この農業委員会の、真に末端の農民が希望する委員を選定するその尊い権限を一方的に束縛するというようなことは私は非常にどうかと思うような点があるのですが、こういう点については大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  155. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは御尤もな御意見だと思いますけれども、今回は先ほど河野さんにお答え申上げました趣意一つお願いをいたしたい。決してこれを手軽く私は再延長というものを出しておるわけではございません。彼此いろいろ考えまして、供出上何といつても国民食糧を確保するということが当面第一であろう、その上からいたしまして、農業委員会がどれだけのこれに積極的な協力を頂けるかどうかは別といたしましても、少くとも供出上マイナスになることを除いて参りたい、こういう趣旨からでございますから……。    〔河野謙三君「農林大臣はいじめられてばかりいるじやないか」と述ぶ〕
  156. 松浦定義

    ○松浦定義君 大臣はまあ非常に熱心な御懇請であるようでありますので、あえて私は繰返す必要はないと思いますが、今お話がありましたように、それほど重要性を持つ農業委員会であるならば、お互いに個々の農民は農業委員会そのものに対する農業全体の問題を委託しておるわけなんですから、そういう観点に立つて今後の供出の促進その他農業政策一般に対しては、一つ農業委員会意見をもつともつと尊重してもらいたい、私はそういうことを条件として、この際これ以上反対がましいことは申上げませんので、この点だけを一つ……、(「討論じやないか」と呼ぶ者あり)よろしくお願いいたしたいと思います。どつちが責任が重いか。
  157. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農業委員会のほうにつきましても、いろいろ農業委員会側からも又御意見もあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、できるだけ農業委員会の御意見も尊重して参るつもりでございますから、どうぞ御了承願います。
  158. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  159. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。それでは農業委員任期延長に関する法律の一部改正案につきましては、大体質疑が尽きたものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それではにれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  161. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 本問題につきましては、農業団体編成理由としなければという御反対の意見もあるようでありますが、本当の百姓である私は別の意見を持つております。併しそれは暫らくおきまして、衆議院はすでに原案通りきめておるというのでありますが、ここで若しこの問題が通らないと、短期国会で慎重審議をすることは非常に困難であると、こういう工合に思います。延いてはこれは感情問題になつてしまうと困ると、こういう工合に思いますので、農業団体の再編成問題のごときは実は別の機会に譲つて一応原案のまま通したほうが穏当だと、こういう工合に考えるのであります。そこで私は原案に賛成をいたします。
  162. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今質疑の際に申上げましたように、農業委員会の使命というものは、供出問題というのは使命の極く一部であつて、ほんの片隅の問題であつて、農業委員本来の使命というものはもつと大きなところにあると思う。従つて一部の供米問題について、政府が言うように仮に些少の支障があるといたしましても、この重大なる、神聖なる選挙をその理由によつて延ばすことは私はどこまでも納得が行かないのです。併し今農林大臣提案理由に附加されまして、農業団体の再編成の問題は現在は成案を得ておらんけれども、成案を得次第に国会に臨むつもりである、こういうことでありますから、それらの問題ともからみ合わして私はやむを得ず賛成するわけであります。(笑声)従いまして、この問題はこの問題として、今後かような重大な意義ある神聖なる選挙につきまして、軽々に今後この種の法案政府の手によつて出されないように、厳重に私は当委員会として警告を付してもらうことを前提として賛成いたします。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 私、私ばかりではありませんが、社会党の左派としましては、本案に反対するつもりであります。ということは、供米の促進に名を籍りて前回農業団体の再編成を時間を稼いでやるのじやないか、こういう一つ考えを持つております。いろいろ質問の結果、それとは関連がない、こういうお話でありますので、私ども只今も河野君が言われる通り供米はもう大体済んでおる、済んでおるのでありますから、この点から見ましても法案を作つて会期を延長する必要も多く認めておられん、だから私どもは元来から言えば、同様の意味合からしましてもこれに反対したいと、こう思つている。ところが衆議院ではこれが通過しておる、(笑声)事は凶作という大事態に当面しておるのに、いろいろの事情が明らかになつているにかかわらず、それがために少くとも災害対策に、凶作対策に支障を来たしたということになつたら、これも考えなければなりませんので、そういう意味合で不承ながら私どもは賛成するのでありまして、従つてこの時間を稼いでいるうちに、前と同じような農業再編成の原案を出すというようなことの絶対にないように考えてもらいたい、そんなことがありまするならば、我々を政府は裏切つたと、こう私は考えまして、そのときは又そのときの用意もある。こう思つておりまするから、そういう意味合において賛成しておきます。
  164. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 いろいろ御意見もありましたが、私は本問題に対しましては、再び選挙の期日を延ばさないという先ほどの農林大臣の言明によりまして、延ばさないことを前提といたしまして、条件といたしまして本案に賛成するものでありまして、団体再編成等の幾多の問題をこれにからめないでやつて頂くことが、この場合必要じやなかろうかと私は考えるのであります。従いまして、もう一度繰返して申上げれば、再び選挙の期日を延ばさないということを前提といたしまして、本案に賛成するものであります。
  165. 松浦定義

    ○松浦定義君 私は改進党の立場から、今度の国会を早急に開けという要求に基いて本臨時国会が開かれたものと思うのでありますが、ところが政府は恐らくこの臨時国会を開かないでおこうという考え方に立つてつた、そういう観点に立ちますると、恐らくこれは通常国会にこの問題がかかつて来ると思うのです。そうしますと、今臨時国会が開かれたから、幸いにしてこの問題を提案するだけであつて、やはり政府の本当の意図は、臨時国会を開かなければ十二月の十日以後に開かれる通常国会にこの問題をかけざるを得なくなつてしまう、そうしますと、私は時期として何も今ここでどうしても、これは農林大臣の言うように、どうしても通してというような、ああいうような頭の下げ方をしなくても、(笑声)堂々と私は提案できるものだと、こう思つて実はおるわけでありますが、ここまで来たのですから、私は次の二、三点を条件として賛成をいたしたいと思うのでありますが、先ほど農林大臣にも再確認を願いました、無論河野委員の申されまするように、末端の農民は従来の農業委員会の制度そのものに必ずしも満足をしておるものでもないし、更に又この大きな農業問題を一つのところで、今政府考えておるようなことにやられるということについては、現在の日本の農業の立場からいつて必ずしも穏当でないという点が地帯的にはたくさんあるわけであります。従つて今いろいろの問題が出て来ると思うのでありますが、そういうことは抜きにしましても、この任期の延長に対する農民の希望というものは、農林大臣が当然今把握できないような実情であると言うことはもうわかると思うのです。従つて私はそういう意味からいつても、この食糧供出の重要性からいつて、この際はどうしてもというお気持は十分了解いたすのでありますが、農民の希望、農民がやはり協力を十分惜しまないというものである、農業委員会では私は処ばしても価値がないというようなことから、折角延ばす限りにおきましては、先ほど申上げましたように、農業委員会のこの供出制度に限つて、供出の問題に限つて、この提案された理由に基いての農業委員会に対する政府の態度というものは、今農林大臣が十分了承をいたしましたというその気持を、この供出を完了するまで政府としては尊重して頂かなければならんという意味におきまして、先ほど農林大臣最後のこの趣意については賛成であるので、十分この点は努力するといつたようなこの気持を私は諒といたしまして、延長に対しては不本意ながら賛成をいたすものであります。
  166. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御発言ございませんか。    〔「採決」と呼ぶ者あり〕
  167. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと補足して……、先ほど私の申したうちでちよつと足らんところがありましたので補足しておきます。(笑声)ということは、現在の農業委員会のあり方に対しては改正すべき多くの点を持つている、こういう意見は持つております。だが併し先般出された農業委員会の改正に対しては反対しておる、こういうことをはつきりさしておいて頂きます。そこで私がそういう而の農業委員会の改正法案を出すためにも、少くとも供米に名を籍りて会期を延長するというようなことが行われるならば、これに反対すると申しましたのは、改正自身に反対するのではなく、改正するためにどこどこまでも選挙等を暴力的に延ばして、自分の考えていることが通るまで選挙というような重大なものを延ばしておくというようなことがあるならば、これは重大な問題だ、そういう意味合の、とにかくこの法案を改正するためにというところが、少くとも勾いがするならば、このたびは断固反対する、こういう意味合だつた、こういうことなのです。これは暴力だ。これとこれとは全然別だ。供米一本でやるならば、これは不服でも何とか考えて行かなければならん。だからあとでいろいろ考えたが、こういう法案ができ上つたというのならこれは別です。
  168. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御発言ありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより、採決に入ります。  市町村農業委員会委員及び都道府県農業委員会委員任期延長に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  171. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て可決すべきものと決定されました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされましたかたは順次御署名願います。   多数意見者署名     森田 豊壽  宮本 邦彦     白井  勇  雨森 常夫     川口爲之助  佐藤清一郎     横川 信夫  北 勝太郎     河野 謙三  河合 義一     清澤 俊英  松浦 定義   —————————————
  173. 松浦定義

    ○松浦定義君 先ほど私の発言中にちよつと自分の本心でないかのような言葉が二、三あつたと思いますので、その点は委員長の手許において適当に御処理願うように取計らつて頂きたいと思います。
  174. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会