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1953-11-27 第17回国会 参議院 農林委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月二十七日(金曜 日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            白井  勇君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 亦治君            松浦 定義君            鈴木  一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    林野庁長官   柴田  栄君    林野庁林政部長 幸田 午六君    林野庁林政部職    員課長     丹羽雅次郎君    林野庁業務部業    務課長     山崎  斉君   参考人    全林野労働組合   中央執行委員長  妹尾 敏雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(国有林野事業)(内閣送  付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開きます。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議題を求めるの件(国有林野事業)を議題といたします。本日は林野庁当局及び全林野労働組合からそれぞれの意見を伺うことにいたします。先ず全林野労働組合説明を求めます。全林野労働組合中央執行委員長妹尾敏雄君。
  3. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 妹尾でございます。仲裁裁定に対する全林野意見を申上げます前に、一言我々の職場の概略を御説明申上げたいと思います。  国有林野事業使命の重大さは私が申上げるまでもなく、森林資源培養国土保全両面におきまして、而も再々繰返されるところの風水害対策と共に、近代産業構造の形態におきまして要請せられる木材需要の増大に対しまして、一朝一夕にその需要に応じ得ないこの木材実態からいたします際に、森林資源培養の問題と国土保全両面におきまして、今こそ、今日ほどこの国有林野使命の重大さが要請されるときはないと考えます。このような点において考える際に、ときにおいて現われるところ機構改革のさしみのつまのごとく、或いは国土省に移管とか、或いは内局化とかいうようなことが喧伝せられますことは、我我としてその考え方の奈辺にあるや甚だ山林行政に対するところの、林野行政に対するところ考え方を疑わざるを得ない。従いまして我々といたしましては、この山林行政がよりよく運営せられ、そうして国有林野使命が完全に果し得るような状態に行われますように各位の御理解と御同情を賜わりたい。一言冒頭に申上げておきたいと存じます。  この国有林野に働く職員実態につきましては、各位現地視察の過程からも御賢察のごとく、定員内職員及び定員外職員と二つに区分せられた姿におきまして従業をいたしておるわけでございますが、昨日林野庁当局からの御説明がありましたように、定員外につきましては、常勤労務職員を含めまして約十万乃至十五万、その問の往復の状態は、最盛期及び最低期状態から、昨日林野庁当局からの御説明通りでございます。この定員内外の全職員を通じまして公労法適用を受けておるわけでございまして、私たち昭和二十二年に法律第百二十号を以て制定せられました国家公務員法の制約の下に今日までやつて参つたのでございますが、本年の一月、現業公務員といたしまして、我々林野庁関係職員に対しましても公労法適用せらるることになり、先ほど申上げましたところの全職員を対象といたしまして、その適用下にあるのが現状でございます。この公労法精神に則りまして、又その法のルールに基きまして、私たちが本年の二月新賃金決定いたしまして、これを林野庁当局に提出いたしたのでございますが、林野庁当局といたしましては、その基本的な考え方は勿論、その額において、又その体系において全面的にこれを拒否するというような状態に立至り、団体交渉は決裂を見まして、公労法のそれぞれの条項に従い、調停申請をなし、仲裁申請をなし、そうして裁定が出たという経緯に想成つておるわけでございますが、私たちといたしましては、公労法の第十六条に言うところの紛争の最終的な解決の姿として出されましたこの仲裁裁定が、当事者双方服従しなければならないというその理念に基きまして、基本的に大幅な格差はございますけれども、やむなくこの裁定に服従をいたすという決定を見たわけでございます。従つて我々としては、林野庁当局がこの裁定に基きまして、その完全実施を要請し、且つは政府に対しましてその実施方を要請して参つたのでございますが、併しながら問題は未だに解決を見ないというのが現況でございます。而もこの仲裁裁定内容を見ます際に、果してこの裁定実施し得ないかという点に相成りますならば、二十八年度業務収入として予定されておりますところの二百八十億、この二百八十億の状態が、御承知のように現在の木材市場価格状態から推察いたしまして、最低安全度を見込みましても平均約一割の收入増予定せられるわけでございまして、従つて二十八億という自然収入がここに生じるという判断を我々としてはとつておるわけでございまするが、仲裁裁定完全実施した場合、八億七千万という数はこの自然増收によつて十分賄い得るし、又今後におきまして、現在の木材市場状態を見ます際におきましては、ここ当分その線が下降の方向を迫るということは考えられませんし、又当面この仲裁裁定実施したが故に水害復旧その他に向けるところ経費がなくなるということも考えられない現状におきまして、法の精神に則るところのこの裁定は完全に実施して欲しいというのが私たち考え方でございます。従いまして資金上当然自賄いにおいてできるその状態が、若しも実施し得ないということに相成りますならば、我々としては法の秩序の下に民主的ルール従つてこの組合を運営して参ります以上におきましても、極めて遺憾な状態が考えられるわけでございます。将来におけるところの懸念される動向も又推測せざるを得ないわけでございます。資金上できるこの状態、而も林野庁当局といたしましても、この額は妥当であり、且つ又実施するということに政府の腹がきまるならば、林野庁といたしても実施するために最大努力をし、実施方向をお示しになつておるわけでございますので、どうか農林委員会におかれましては、この仲裁裁定完全実施という面におきまして最大の御配慮を頂きたい、このように思います。  最後に、本日の朝日新聞に今井仲裁委員長一言しているのを見ましても、仲裁裁定なるものはやはり各企業企業ごとの、その企業内容によつて出されたものであるからして、或る一つの大きな企業がその実施の時期を或る時期にしなければいけないという状態によつて、他のできるところ企業もそれに揃えなければならないという考、え方は仲裁制度の根幹ではないかということを述べております。我々としても全く同感であります。どうかその意味におきましても、この法が曲げられる、又仲裁委員会一つの尊厳が傷けられることがないように、そうして純心な山に働く、人里を離れた山間僻地に孜々として労苦を重ねているところ職員実情も御賢察下さいまして仲裁裁定完全実施のために御努力下さらんことをお願い申上げまして、意見表明を終ります。
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 有難うございました。御質問があろうかと思いまするが、それはあとにいたしまして、林野庁当局説明を求めます。
  5. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 今回の仲裁裁定を見るに至りました経過につきましては、只今全林野委員長から申上げました通り、本年一月以降のべース・アツプを主体といたしまする要求が本年の二月二十三日に全林野労働組合から要求が出まして、当局側といたしまして、これを審議いたした次第でありまするが、賃金基準の構成その他予算上の問題等も絡みまして、到底当局側といたしましてはこれを受入れることができないというので、数次団体交渉を重ねました結果、遂にこれを受入れることができないというので、四月二日に実施困難なる旨を回答いたした次第でございます。組合団体交渉では解決できないということを確認いたしまして四月の六日に中央調停委員会調停申請し、我々もこれを承諾いたした次第でありまして、その結果、六月二十六日に調停委員会調停案が指示された次第でございます。併しながら、その当時の情勢といたしましては、当局側といたしましても、ベース・アツプの問題に関しましては、予算上の見通しも明確ではないということで、これをそのまま呑むことができなかつたのでありまするが、この際調停案に基きまする林野関係特殊性といたしまして、従来の基準からいたしまして、特に頭打ちその他のために非常に低いレベルにあるというもの、或いは北海道において勤務いたしまするものに対する不適正の基準適用を受けておりますためのアンバランスを、この際特殊事情として是正すべきであるという点は私どもも全く妥当であると考えましたので、補正予算においてこれを要求いたしまして、総体といたしまして三号俸によりまするでこぼこ是正実施をいたした次第でありまするが、べース・アツプの問題は依然として私ども見通しが立たないままに来たのでございます。そこで組合側でいたしましては、九月の十四日に仲裁申請をいたした次第でございまして、仲裁委員会が十五日にこれの受理を決定いたしまして、その後審議を続けまして、十月の二十七日に今回の仲裁裁定が下された、こういう関係になつておりまするので、公労法建前からいたしますれば、私どもといたしましても、最終決定として当然これは尊重いたさなければならない、かように考えておる次第でありまするが、現在の予算におきましては、その妥当性は認めましても、これを実施する予算を持たないのであります。その他特に定員内につきましては、給与総額の全額におきまして、これを実施する予算を持たないという関係にありまするので、十六条の二項によりまして国会議決を求めなければならない、こういう経過に相成つている次第でございます。私ども特別会計といたしましては、二十八年度におきましても幸いに本特別会計収入の基盤をなしまする林産物の売払収入が、特に木材価格の依然として上昇の傾向によりまして、当初予算予定いたしましたよりも相当程度増収を見込み得る傾向にあるのでございまするが、御承知通り年度当初から引続きまする水害災害等のために、私ども職場におきましても各地において災害相当大きくこうむつておりまして、そのために緊急復旧を要する事業総額において十一億近いものを持つているのであります。総被害額は三十数億に達するのでありまするが、緊急復旧を要するものが十一億近いものがあるのでございます。従つてこれは事業を極力早期に復旧、平常に移すために、何としてもこれが支出を賄わなければならないという一つの問題があるのでございまするが、更に災害のために事業計画相当遅延或いは不可能になつ部面もあるのでありまして立木におきまして本年度処分不可能になりまするものが大約六十万石程度に相成ると、かように考えられるのでありまするが、その他面常生産の数量に対しましても四十二、三億の減産を免がれない状況にあるのと、収入時期が非常にずれて参りまして、本年度収入確保が不可能になる等の部面も出て参りまするので、二十八年度当初計画をそのまま実施できるといたしますれば、三十五、六億程度増収は期待できたはずでございまするが、これらの齟齬のために、予定収入に対しまして相当齟齬を来たしているのであります。今日詳細に事業内容を検討いたしまして、緊急復旧を要する経費支出というものを、これ又適時に支出するような予算の修正をいたし、いま一つ、今次の特殊気象によりまする東北、北海道地方を中心とする冷害地方に対しまする対策として、国有林所在地方が最も冷害程度の高い地方である。従来地元国有林事業密接不離協力関係にありまする建前上、冷害凶作に対しまする救済を兼ねた事業をこの際でき得る限り考慮する。地元凶作農民に対しまする賃金収入の機会を、これ又計画しなければならないという場面に立至つておりまするので、これらを勘案いたしまして、仲裁裁定に基きまする実施の検討を進めて参つておる次第でございまするが、今日財源としてこれらの経費支出することを併せ考えまして、一応財源として考えられまするものは、業務収入によりまして増収見通しの確実なものが二十五億数千万円に相成るのでありまして、その他既定経費の節約を極力いたしまして、三億三千数百万円というものを捻出することにいたしまして、財源としては約二十八億五、六千万円というものを一応見通すことができる段階に相成つておる次第でございまするが、政府といたしまして、第二次の補正予算を編成する際の財源として、国有林野事業特別会計から一般会計の繰入十億をすでに閣議で決定を見ておるというような事情にありまするので、私どもといたしましては、これが実施のために非常に苦慮をいたしておるという次第でありまするが、二十八億余の財源のうち一応冷害対策といたしまして、国有林野事業として是非とも計画しなければならないと思われる事業に対しまする経費が八億程度でございます。その他十一億前後に達しまする緊急災害復旧経費に対しまして、従来予備費から支出いたしましたものが六億余、今回は更に四億五千万円というものを最小限度として緊急災害復旧をいたして、事業の円滑な運営をしなければならんというもの等を、この財源によつて考慮しなければならないという状況になつておる次第でございまして、これが裁定実施に対しまする財源関係といたしましても、相当、若し裁定通りにこれを実施いたすとすれば、八億七千万円程度を要する次第でございまするので、非常に困難な情勢に立至つておるということも併せ申上げなければならんと思われるのでありまするが、慎重御審議を頂きまして議決を頂きますれば、私どもといたしましては最大努力をいたしまして、これに見合うような実現を期さなければならん、かように考えている次第であります。  なおベース・アツプの問題を考えまする際に、引続きまして二十九年度の本特別会計見通しをも当然私どもとしては考慮をいたさなければならないのでありまするが、現在の木材需給情勢或いは世界的な木材市場情勢、我が国の木材生産実情等からいたしまして、今日の木材価格の位置が急激に変化し、特に低下するということはちよつと特別な事情のない限り想像できないということを考えますると、一応これを将来に亙つて持続いたすことも特別会計経理としては不可能ではないという見通しも一応はいたしているということを附加えて説明に代えたいと存じます。
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 両君の説明はこれで終りましたが、御質疑があれば御質疑を願います。  では私から数点お伺いしたいのですが、この政府からの議決を求める件の事由として、給与総額関係予算上でき得ない、まあこういうような理由書になつておりますが、ところがこの昭和二十八年度特別会計予算総則第八条第二項によりますと、「前項規定にかかわらず……国有林野事業……の各特別会計において、職員能率向上による企業経営改善によつて収入予定より増加し、又は経費予定より節減したときは、大蔵大臣承認を経て、収入増加額又は経費節減額の一部に相当する金額を昭和二十八年度において公共企業体等労働関係法適用を受ける職員に対し、特別の給与として支給するため前項定め給与総額を変更することができる。」と、こういう第八条第二項の規定がありますが、そこでまあ只今説明を聞きますると、成る程度予定以上の収益が見込まれ得る、こういうことであるわけですが、そうしますると、予算上でき得ないということを事由としておりまするが、大蔵大臣承認を得れば予定より増加している収益給与改善にも現在でも当て得るという途がありはせんだろうか、どういうふうに政府は考えているか。そこで更に言いますれば、収入予定より増加したのは職員能率向上による企業経営改善によらないんだと、木材価格一般経済界事情で、他の理由から上つたんだから、この第二項の適用ができ得ないということであるのか、先ずその点をこれは林野庁当局から御説明を願いたいと思います。
  7. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 本件に関しましては、同様の御趣旨の御質問が衆議院の労働委員会にも出ておりまして、労働大臣からも答弁をいたしておりますし、私どもも確認をいたしておりますので、私から御回答申上げたいと思います。第八条の規定は、俗に弾力条項と申しております。と申しますのは、給与総額制限に対します一つのクツシヨンという規定でございます。この規定によりまして給与総額を越えてべース改訂ができるかどうかという問題でございますが、労働大臣も明白に答弁いたしておられますごとく、ここに書きましたのは「特別の給与として」と、この「特別の給与として」というところに非常に重点があるわけでございまして、専売その他の公社でやつておりますような業績賞与というような形におきまして臨時的に支給する給与である。従つてース乃至基本給というような問題は弾力条項発動すべき性格のものではない、こういうふうな見解政府の統一した見解でございます。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それで大体了解ができましたが、そうすると、例えば年末手当であるとか、そういうようなものは特別給与として出し得るという解釈になりますか。
  9. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 年末手当というものの性格論が非常に厄介な問題でございます。それで年末手当性格というものが、これは委員長もおられますが、なかなか観念が非常にむずかしい問題でございまして、併し年末乃至年度末に業績が、ここに規定しておりますように職員能率によりまして非常に収入予定より上つた、或いは職員能率向上によつて経費予定より節減できたという場合に出すこの給与を時期的に年度末に出すか、或いはその一部を年末に出すかということは考慮の余地があるわけでございます。考え方としては、只今予算等で考えております期末手当或いは奨励手当とは性格が違う別個の問題である。こういうふうに私どもは了解いたしております。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは労働組合のほうからも今の私の質問に対して意見があるそうでありますから……。
  11. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 弾力条項発動に対しまして、我々としては更にこのべースの問題と別途の考え方を以もまして当局に対して折衝しよう、このように考えております。と申上げますならば、私たちにはこの旅費の予算という場合におきまして大幅に制約されておる、或いは超過勤務予算が制約されておる。このような事柄に対しまして、御承知のように山から木を運ぶ際に途中においてとめられない、深夜において最終の工場まで持つて来る、非常に深夜の事業に携わつておる状態に対しまして、超過勤務もない、或いは又現地調査のため、或いは毎木調査のため調査に参りましても、一週間の旅行に対しまして僅か数日において我慢してくれというような実情でございます。その額につきましては、今はつきり申上げ得ないのが遺憾でありますけれども、このような事情におきましては、やはりこの弾力条項発動一つのゆえんとして、我々は職員能率向上によつてそのような成果を挙げ得たということもはつきりと言い得る、このように思います。もう一つ申上げたいことは、この給与総額でございますが、これはいわゆる定員外諸君に対しましては、この給与総額定めがないということを御認識願いたい、従つて賃金支弁でありますので、この裁定のいわゆる定員外諸君常勤労務職員を含めました定員外諸君賃金一割増という面は、はつきりとこの給与総額定めがない故に何ら拘束せられることなく裁定実施し得るものと、このように考えております。
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、今の説明で行くと、定員内の人給与総額を変更しなければ予算上でき得ない、定員外常勤労務者以外の人は給与総額でではないので予算上はできると、こういう解釈ですか、林野庁当局説明を願います。
  13. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 国会の御審議を求めております政府事由書に、全般的に仲裁裁定につきましては特別会計歳入歳出予算にこの分が含まれておらないというのが謳つてあるわけであります。「且つ、裁定第一項」というのは定員内でございまして、「且つ、裁定第一項の実施については予算総則第八条による給与総額を超過することが明らかであるから、」、かように明示いたしてあるわけでございまして、今御指摘通り給与総額制限がありますので、仲裁裁定の第一項は給与総額の面から言つて予算上これはできない。その他の面につきましては、二十八年度特別会計歳入歳出予算にこの分が含まれておらないので予算上不可能である、こういうふうに書き分けてございます。
  14. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうなつて来ると、定員内の人はつきりするわけですが、定員外の人はやはり歳出予算を変更しないとでき得ない、併し予備費流用してもいかんということになるのですか。
  15. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 予備費流用の問題は、実は公労法を二十三年でございましたか、施行になりまして以来、国会で毎回問題になつている点でございまして、この点につきましては有権的には労働法規担当省でございます労働省から御回答を願うのが至当かと存するわけでございますが、今日までの経過におきましては、予備費流用政府自由裁量である。自由裁量でありますので、政府予備費流用決定するまでは予算資金上不可能である、こういうふうな見解に統一されております。
  16. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからその次に、三社五現業仲裁裁定の結果を見ると、国有林野事業が一番低く裁定をされたわけですね。これはこの間現地を或る程度視察をいたしましたが、これは常識的に言つて、この国有林野仲裁裁定は他の現業に比して、これでは低過ぎるという何か実証的な説明ができまするかどうか。それから仲裁裁定では勤務地手当は大体従来通り見るという、そういう点から或いは結果において国有林野が低くなつたのではないか、こう想像されるのですが、さつき労働組合のほうから、仲裁裁定を完全に実施をしてほしいという強い意見表明がありましたが、併しどうもこれを完全実施しても、他の現業に比してなお低いということが言えるかどうか、これは今後の問題もあるので、その点について労働組合側意見をお聞かせ願いたい。特にこの点現地で聞きますれば、日雇労務者等のグループのほうは現行給与の一割値上では殊にその辺が一番苦しいのだ、実際山で働いておる国有林野のこれはもう特殊の技能者であるかたがたが大部分であるが、この一割値上ではその辺が一番苦しいのだということをいろいろ陳情も受け、我々もそういうような素朴な感じを持つてつて来たのですが、全体としても三万三千三百五十円は他の現業に比してやはり少し不利である、内容的に見て行けば今言つた日雇労務者等の、又国有林野経営上欠くことのできない特殊技能者の一割値上では、特にその辺がひどいのだという感じを我々は一応持つておるわけですが、それに対する労働組合側の御意見一つ承わりたい。
  17. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 只今指摘通り国有林野事業が始まつて以来、この林野関係職員は人里離れた個所に勤務するが故に極めて低位な状態に置かれておつたことは御承知通りでございます。従つて先に出ました調停案の中におきましても、他官庁に比して極めて不合理があるというような立場から、三号是正の問題が取上げられ、本農林委員会の御理解を頂きましてこの問題は一応解決を見たのであります。併しながら、先ほど林野庁当局からもお話があつた通り、この三号のうちから更に割愛いたしまして、北海道在住の職員に〇・五号俸を持つて行くというようなことから、我々といたしましては、今委員長から御指摘されました他官庁に比して、同一経理、同一状態のこの号俸比較表を持合わせないのは遺憾でありますが、我々は今申上げた通り、三号によつて全面的に他官庁とのアンバランスが解消したというようには考えておりません。従つてこの作業を目下進めておりますので、後ほどこの内容につきまして報告する機会を与えて頂きたい、このように思います。更にもう一点、定員外職員状態、これは委員長から申された通り、要するに国有林野経営が始まつて以来、林野国有化に伴うところの脱落農民が主体となりまして、而も先ほど申上げた通り国有林野事業に従事する職員の主体をなすものはこの脱落農民であり、低賃金に抑圧せられたこの山林労働者が主体となつていることは御承知通りであります。従つて定員内職員は勿論のこと、定員外職員、従来言われた労務者、今公労法適用を受けまして職員という名称には相成つておりますが、この山林労働者の賃金の低率さというのは今更申上げるまでもないと思います。従つて我々といたしましては、定員外職員賃金一割の増ということがたとえ完全になされたといたしましても、我々の要求にはなお満も足りないものがあることは申すまでもありません。従つて我々としても、当面この仲裁裁定完全実施のために特段の御配慮を頂きたい、再度要請いたしたいわけであります。
  18. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 只今の件に関連いたしまして、私ども考え方がお手許にお配りいたしました「仲裁裁定にいたるまでの経緯」という書面の六頁に、これは仲裁委員会から正式に当局見解を質されたものに対する文書を以てする回答であります。ここに私ども見解をそこに書いてございます通り表明いたしたわけでございます。「林野庁当局としての考え方は、現在における予算上の制約を別とすれば、左記の通りです。      記   定員内職員及び常勤労務者の基本給については、公共企業体等中央調停委員会第一小委員会調停案考え方は、当局としても概ね妥当と考える。  本調停案の示す林野庁職員中、定員内職員昭和二十八年度基本給平均月額一三、三五〇円は、他現業に比し比較的低位であり、そのよつて来るところが、基本給中に含まれる勤務地手当の低額に基づくものであることはこれを認める」、「この点については、一般公務員についての勤務地手当制度の改善を期待し、これに即応して、林野庁職員の基本給の改善を計りたい。」、こういうふうに見解表明しておりますが、只今もかように考えております。
  19. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それから第二次補正予算はまだ正式には出ておりませんが、新聞等の報道で行くと、各仲裁裁定を来年の一月から実施をするというふうに新聞で承知をしておりますが、それが事実だとしますると、仲裁裁定は八月からやれといつても、今言つた林野庁特別会計資金上一月からでなければできない、八月に遡つてできないということが言えますか。
  20. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 先ほども申上げました通り補正予算全体を編成する財源として特別会計から一般会計へ十億更に追加繰入をするということで閣議の決定を見ておりまする関係上、八月から実施するということになりますれば、多少無理はあるという立場に立つておりますが、現状におきまして八月から当然仲裁裁定案を尊重する建前からは、全面受入ということになれば実施しなければならない。それらも勘案いたしますると、絶対に不可能であるということには私どもは考えておらないのでございます。
  21. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 ちよつと承わりたいのですが、公共企業体で職員以外のこういつた労務者が、特にこの林野庁の今度の裁定には多いですね。これは拝見しますと、殆んど給与規程で縛られているということなんですね。給与規程を変えれば、この職員以外の何は解決するのじやないですか。それを給与規程を変えないで、特にここに持込んだという理由はどういう理由なんですか。これは林野庁から承わりたいと思います。
  22. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) ちよつと御質問の趣旨がわからないのでございますが、端的に申しまして給与の規程を変えますれば、如何ようにも給与改善はできるわけでございます。ただ定員外の問題になりますと、これは先ほど組合委員長も申しました通り事業費の支弁になつておりまして、事業費全体として給与を改訂いたしました結果金が要るわけでございますが、その要る分が全体として賄えるか賄えないかという問題になるわけでございます。私ども見解といたしましては、全体としても、前国会でありますか、すでにきまつておりますところの林野事業事業費全体としては足りない、定員外職員の労賃をここで一割上げますといたしましても不足額が出て参りまして、国会でその点の御修正を願わないことには、給与規定を改正するだけの財源がない。こういう形で予算資金上不可能だ、こういうふうに国会の御審議をお願いいたしているわけであります。
  23. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そこで私はお伺いしたいのですが、林野庁事業費というものはそのくらい弾力性のない事業なんですか、予算の編成内容というものは……、人夫賃まで給与規程で縛られておつて、そうしてこれは非常勤の者なんか人夫賃なんです。こういうものまで仲裁裁定に持込まなければ改訂ができないような、弾力性のない事業計画予算が編成されているかどうか、そういうことを承わつているのです。
  24. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 予算上人夫給は約百億でございます。そこで一割の改訂を仮りに行いますといたしますと十億という問題になるわけでありまを。十億程度の問題が事業費の中で、それだけ弾力性はないか、こういう御質問だと思いますが、その点に関しましては、私どもとしてはない、これが十億が時期が縮まればだんだん減つて参りますわけでございます。年間考えれば十億、そういう多額に上ります金は事業費全体を分析いたしましても、既定予算の中では捻出は困難である、こういつた角度から予算上不可能である。こういうふうに結論付けているわけであります。
  25. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 営林局あたりで以てよく営林軌道なんかの維持管理をやつている、これの人夫もやはりこの非常勤のうちに入つておりますか。
  26. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 全部入つております。一日雇います者も全部公労法でやつております。
  27. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 公共企業体で以て、このくらい数の多い労務者が、こういうふうな規程で縛られている企業体はどこかにありますか。
  28. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御参考に申上げますが、三公社においては二ヵ月未満の雇用契約の者は公労法適用しないというふうな規定になつております。政府企業のほうはこれは公務員法との関係で、一日雇いましてもその日限りの公務員になりますので、公労法上は全部公労法適用を受ける。こういうものが郵政省その他にないわけではございませんが、十万近くまとまつた形におきまして含まれておりますものは、林野庁の全く特殊の形体でございます。
  29. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 林野庁ではこういつた特殊の形体は存続しなければならなくなつている、もつと弾力性のある形体で以てこれを運営するほうが私本当じやなかろうかと思つているのですが、そういう御研究になつたことはおありなんですか。
  30. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 只今ども内部で団体交渉の過程におきまして、こういう雇用の区分というものはいろいろ厄介な問題もありますので、雇用区分を明確にしたいという趣旨における団体交渉只今継続中でございます。いろいろ私ども研究はいたしております。何といたしましても原始産業でございまして、且つ地方労働力を使用する。且つ時期的に工場生産のように、年がら年中生産を続けておるという形のものではございませんので、この雇用の形態なり、或いは雇用の方法等を合理化いたすという点につきましては、非常にいろいろ苦心をいたしておる次第でございますが、なお折角いろいろと検討し、且つ組合側の御意見との調整も図つておるわけです。結論を得ておりません。
  31. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私はこの公労法精神に悖るもんだと思う。こういうものを入れることは……。元来公労法というものは、こういうものを主体にして作られたものではないと思う。で、そういうものに入つておるというところ林野庁の原始産業の特殊性があると、こういうふうにおつしやるのだけれども、これは逆なんであつて、私ども実は現地へ参りまして、しばしばよその土木事業、例えば災害復旧事業の建設省の事業或いは農林省の土地改良事業なりをやる場合に、林野庁関係のあるそういつた人たちがなかなか出て来ないのはどういうわけかと言うと、大体林野庁の何か圧力がかかつておる。林野庁の必要なときに出て来なければあとは使わんというようなことがあるのかどうか知らんけれども、どうも林野庁優先で以て出ておる。併し地方にそういう事業があるときには、地方的な賃金というものは必らず上るので、労務者というものは大体において地方的な賃金に左右されるのが、これが労務者の賃金の原則ではないか。これを全国的に一本に抑えて行こうというところに大きな私間違いがあるのじやないか。で、公労法にこういうようなものを持込んだということ自体が、私は裁定に対する国会あたりの審議に、非常に何と言いますか、混乱を起し、私どもとしても、この審議にすつきりした線がいつまでたつても出て来ない一つの原因じやないかと思う。こういうものは林野庁自体がすつきりした線に早く持つて行く必要があるのじやないか。これは先ほど労働組合の代表者から説明があつたけれども、この林野行政の中で、現業面として本当の一つの経済産業としてやつて行く面と、国土保全とか、或いは国の全体の森林行政という面から考える面とおのずから別じやないかと思う。末端においては、それが区分できるのじやないか。そういうものまで皆一応の給与規定で以て縛つておくというところに、こういつた法外もない定員外労働者みたいなものまで公労法で扱かわなければならないというような問題を惹起しておるのじやないか。これは大いに林野庁としても反省しなければならんものではないか。そこで私ちよつと承わりたいと思うのですが、一体そういつた経済経営という立場で以て林野経営をやつた場合、民間の林野経営国有林の林野経営とは、一体経営費においてどのくらいな経営費と言いますか、林野の管理費と言いますか、そのものが民間人が経済経営をやつた場合と、現在の林野庁がそういう面だけ、いわゆる国家行政でないところの経済経営だけの面から見た経営費と、どつちが高くなつておるか、どつちが経済経営をやつておるかという点について、何か基準的な数字があつたらお示し願いたい。
  32. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 御質問の二点のうち、前段についてちよつと補足させて頂きたいのです。実は御指摘の点は、私ども法律の下で仕事をいたしておりますものとしては、被害者なんでございまして、国家公務員法第二条で、これこれのもの以外のもので、政府から俸給、給料その他の給与をもらつておるものは全部公務員だと、こういうふうに公務員法できめられてあるわけです。そういたしまして、公務員については、先ほど委員長から指摘せられました通り、すべて団交権、ストライキ権がまあ認められない。そこで今度公労法では、公務員のうち一部については団結権を認めよう。こういうふうなことが昨年改正になりまして、この政府企業が入つて参りました。そういたしますと、いやでも応でも私のほうでは法律の規定によりまして、一日出てきてもらう労務者、炭を焼く人々も法律の規定によつてどうしても公労法適用を受けざるを得ない。公労法は御承知通り交渉単位制をとつておりまして、交渉単位に属しますものには全部団体交渉の効果が及ぶというふうに公労法規定されておるわけでございます。立法論といたしましては、御指摘通り誠に問題のある点でございますし、又この点は仲裁委員会等でも立法論としては非常に御指摘があつたわけでございます。法の建前上公務員法と公労法と両者を総合いたしますと、どうしてもそういう形にならざるを得ない。この点は今後国会公労法の改正その他も近くあるようでございますので、慎重御審議を願いたいと私どもも常々かように考えておるものでございます。
  33. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今の御答弁に対して、実は今のお話は、政府から一日でも給与をもらつた者は皆公労法適用を受ける公務員である。ところがあらゆる現業官庁はそういうものは全部使つておるのですよ、それは公務員として扱つておりませんよ。
  34. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 公務員として扱つておらないという御趣旨がわからないのですが、鉄道その他に関しましてはそれは公務員ではございませんので、二ヵ月以内と切つておるわけであります。五現業に関しましてはこれは全部公務員でございます。
  35. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 国営事業所は皆使つておるはずですが。
  36. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 請負は別でございます。
  37. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 請負ではない、直営で以て人夫を使つておるところは公務員にしておりませんよ。
  38. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) しておらないということはよくわかりませんが、法律上は公務員でございます。
  39. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 だからそれはよそは、法律上はともかく、現実はよそでは数日ぐらい使つておる人夫は人夫給で使つておるのに、特に林野庁だけはそういう扱いをしておるということは、どういうわけかということを聞いておるのです。
  40. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 林野庁におきましても、先ほど申しました通り定員及び常勤労務者以外は人夫給でございます。従つて日額の、日当と言いますか、日給を支給いたしております。それは人夫賃でございまして、賃金の出し方は御指摘通り人夫給であり、日額でございまして、その点は同じでございます。
  41. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 後段の説明はできませんか。
  42. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 官業で経済事業と申しますると、なかなかむずかしい問題でございますが、例えば伐出事業等を御指摘ではないかと存じますが、伐出事業に対します管理費を比較するということになりますれば、これは実は一般森林経営と申しますか、造林その他の事業との区分で非常に困難な面がありまして、直営伐採をいたします場合の基本的な考え方は、飽くまで林業経営上の方針を主体として考えなければならない。ところが民間事業として伐出をいたします場合には、あとのことを考える必要はないのでございます。従つてそれらの面におきまして取扱いが、例えば監督にいたしましても、ただ伐ればいいということになりますが、私どもは伐る木に対しまする全体の配慮をしなければならんということで、管理者の数も殖えて来ます。それらが一貫いたしまして林業の保続経営としての管理を必要とするという面において当然高くなつて来る、人的管理費は高くなるという場合が一つございます。そのほか民間企業におきましては、必ずしもかけなければならない経費にならないものも、事務的には会計制度等の制約によりますもの、或いは人事院規則等によつて当然整備しなければならない部面等を、或いは民間企業に比較すれば、一時的な事業として実行されるものと比較した場合、恐らく管理費は或る程度高くなつておるということは言い得ると、かように存じまするが、果して私どもの実行いたしております直営伐採事業の管理費というものを、はつきり区分して出すことができるかどうかということを、非常に私ども困難を感ずるわけであります。それを完全に抜き出すということをいたしまして、一応比較して御参考に供するということはできるかも知れません。
  43. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今の私の申しました最後のお尋ねすることの実績はおわかりだと思う。その実績数字を一つ、二、三で結構です、どこの営林局のどういうふうなものが、どういう程度になつておるという数字が、これはいつでも結構ですから、適当な機会にお示しを願いたいと思います。
  44. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 承知いたしました。
  45. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 組合委員長さんにちよつと参考のためにお伺いしたいのですが、現行基準から申しましても、又仲裁裁定の額から申しましても、林野関係職員給与は非常に低い。これは先ほどもお話が出ましたが、大体地域給が大きな原因をなしているのだろうと思いますが、それに比較しまして、この組合要求額が最高になつている。これは何か特別な根本的な考え方が違う分子が入つているのかどうか、それをちよつとお聞きしたい。
  46. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 当初要求いたしました二万一千円ベースというのは、御指摘通り国鉄或いはその他の公社諸君要求と少しく額が上廻つておりますが、これは我々といたしまして、生活給、具体的には年齢給ということで要求をいたしました。従つてこの山間僻地という一つの特殊的な林野関係の立地条件からいたしまして、マ・バ方式をとつたというようなことから額がそのような額になつて来ているわけでございます。従つて我々としては地域給というものは基本的に廃止いたしまして、広汎な山間僻地の生活実態から生み出した一つの額というものを出したということでございます。
  47. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 今のお話、僻地手当というような考え方のものが一つつているわけでございますね。
  48. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 基本的に入れておりません。全部生活給、実態に基いた内容を計算をいたしております。
  49. 雨森常夫

    ○雨森常夫君 例えば家族数が非常に多いものが大多数あつた、或いは年齢からいつて他の現業官庁よりも非常に年齢の大きいものが大部分を占めているという、そういう関係ですか。
  50. 妹尾敏雄

    参考人妹尾敏雄君) 他官庁との比較ということを御指摘頂きますれば、今他官庁との比較ということを申上げ得ないことは遺憾に存じますけれども、今申しました通り、この年齢給、生活給ということで逓増方式をとつた生活実態に基く算出の基礎になつております。
  51. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これで休憩します。    午後零時六分休憩    —————・—————    午後二時八分開会
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これより委員会を再開いたします。  午前中に続きまして質疑を願います。政府側からは林政部長、職員課長、業務課長及び経理課長補佐、四名が見えております。  私から若干質問をいたしたいと思います。昨日の委員会林野庁長官の答弁では、国有林野特別会計は独立採算制を原則とするという答弁があつたわけであります。ところが今日の午前中の答弁では、これは木材市価の高騰ということが主たる原因かも知れませんが、或る程度の黒字が本年度予定できる、まあこういうことであつたのですが、そとでそういう黒字が予定されておる状況において、今年の台風等で或る程度災害復旧等もしなければならん、或いは冷害対策の費用も出さざるを得ん。この方面に使うことは私は異存はないと思いますが、ところが今回の第二次補正予算財源かどうかまだはつきり知りませんが、ともかく一般会計に十億の繰入をするという答弁が午前中あつたわけです。そうなつて来ると、今言つた災害復旧なり冷害対策、これは当然やらなければいけませんが、もう一つ仲裁裁定ということで、ここに八億数千万円のやはり財源が必要なわけであります。そういう現実の事態が起りながら、それに対する顧慮を怠つて十億の一般会計繰入をするということになると、独立採算制というような原則からすると、ちよつとおかしいのではないかというような実は疑問が出て来ます。まあこれは農林大臣等に質問する問題かも知れませんが、国有林野の会計が一般会計に寄与するということが建前ならば、これはやむを得ないが、独立採算制が原則である、片方では治山治水ということで災害復旧なりをしなければいかん、それから能率向上の意味で給与改善もやらなければいかん、而も具体的に仲裁裁定というものがきまつておるさなかに、そういうことをすることがちよつとおかしいのではないかという私の疑問なんですが、これはつまり農林大臣等に答弁を要求すべき事項だと思うのですが、事務当局見解をお聞かせを願いたいと思います。
  53. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) 只今の独立採算というまあ制度の問題ですが、平たく言えば自賄いをするということになりまするし、なお特別会計法から言いますれば、企業的にこれを経営するということ、そのことが、独立採算に関連し、そのことを掘下げて参りますると、いわゆる企業の合理化という線、それから企業的運営ということが、いわゆる儲け主義ということでは必ずしもないので、いわゆる経済性、最小の経費を以て最大の効果を上げるといふことが一つ企業性であり、又独立採算制の主体になつて来ることだろうと思うのです。で、特別会計制度ができましたゆえんのものを顧みてみますると、これは昭和二十二年に御料林と北海道国有林、それから旧内地の国有林を統合しました機会に特別会計制度を設け、而も企業的にこれを経理し、独立採算の原則を以てやつて行くということになつたわけでございますが、その特別会計、殊に企業的にこれを運営して行くという建前になりましたゆえんのものは、実はこの考え方は十数年前からあつたわけで、特別会計になりまする前はいわゆる一般会計でありまして、一般会計時代は林業、いわゆる国有林経営というものが国の財政に隷属をしておる。例えば不景気になつて税收入が上りませんと、木材を伐つてその収入で以て国の財政を補填して行く。又一面景気がよくなつて参りますると、税収入等が上つて来る、ところが逆に好景気の時代におきましては木材の価格も上昇して参り、むしろ木材の需給調整という面から木材をむしろ増伐をして需給の調整も図らなければならんという場合に、むしろ節伐を命ぜられるというようなことでありまするし、又いろいろの土木事業等をやつて参ります場合には、むしろ不景気の時代に安い労賃を使つて事業をやつて行かなければならんのでありまするが、そういう際には国の財政も困難でありまするから、木を増伐しまして、その収入は一般の経費に全部充てられてしまう。従つて治水治山事業という方面にあまり金が廻らない。こういうことで、長期に必要な保続経営をやつて行かなければならない林野経営において、国の一般財政の影響によりまして森林の正常な経営が阻害されるということでは困るということで、特別会計制度というものが随分前から要望せられておつたわけであります。それが昭和二十二年から特別会計制度ができまして、ところがたまたま終戦後の非常なインフレの時代は、昭和二十五年の一月までは木材の価格は統制されておる、併しながら資材労賃等においてはどんどん上りまして、事業をやつて行く上においてやはりいろいろな措置を講じなければならんという、折角特別会計になりましたが、当時そういう客観的な経済情勢の下に非常に苦しい経営をやつて参りました。ところ昭和二十五年に、御承知のようにその中期に朝鮮動乱が勃発いたしまして、又二十五年の一月から木材の価格統制も外れましたので、逐次木材価格が上昇して参りまして、従つて収入も上つて来る。それに伴つて歳出面におきましても、今までの非常に苦しい立場から逐次脱却いたしまして、造林の面、或いは治山の面、或いは奥地林開発の面に逐次その経費を投入することができるような状態になつて参つた。その後も逐次木材価格は上昇いたしまして、国有林の経理も非常に明るい状態になり、利益も出て参つたということでありまして、従つてその出て来たいわゆる収入増の金の使い方という問題になるわけであります。我々国有林経営しております立場から申しますれば、先ほど申しましたような特別会計制度の本来の趣旨及び戦時中、戦後非常に山が荒れておりまする関係、速かにこれを復旧いたしまして正常な経常に持つて行かなければならん、而も収入が上つて来た、従つてできるだけその経費とその収入財源国有林の正常な経常、或いは国土保全、治山事業等にこれを投下して参りたいという気持は、いわゆる経営者として持つておるような次第でございます。併しながら、やはり国の全体の予算建前から、今委員長からお話がありましたように、これだけの財源があれば更に災害復旧等にもつと充てるべきではないか、或いは職員給与改善ももう少し積極的に考えるべきじやないか、これはお説誠に御尤もでありますが、今の職員ベース・アツプの問題は、我々事務当局の問題から離れまして、政府の方針として、一月以降これを実施するということになりまして、そうしてその残りの災害冷害その他に充てることになりまするが、冷害の八億という問題は、これは実際の冷害地方におきまする事業の今後の実施可能の実態から見まして、八億程度事業はできるのじやないかということで始めたわけであります。ただ災害の、いわゆる西日本におきまする災害復旧額ということについては、なお大蔵省といろいろ……、まだ我々の必ずしも考えておる点を十分満たしておるということにはならないと思いまするが、そういうふうな災害冷害、それから最も大きな点は一月以降これを実施するという政府の基本方針、こういう点から見まして、結局その残りを一般会計に繰入れる、こういうふうな形に結果的になつて参つたわけであります。基本的な考え方としては、我々としてはできるだけこれを山に還元する、勿論造林或いは治山問題にいたしましても、造林問題になりますれば時期の問題がございます。又苗木の問題もございまするので、金を幾らでも付けて新らしい植栽或いは手入に使つて行けるというものでもありません。又治山或いは林道工事等になりましても、これを担当いたしまするところ職員の能力等もございまするので、その辺はその可能の限度においてその収入増は山のほうに還元して参りたいと思いまするが、第二次補正ができました経緯につきましては、今申しましたような事情で、基本的には一月以降実施する、あと災害その他を見まして、その残りを一般会計に繰入れる、こういう考え方であります。
  54. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこで政府のほうも一月からやるということは腹をきめておる。我々委員会審議の重点は、実施時期が一月からしかできないか、仲裁裁定通り八月に遡つてできるかどうか、その点だけが実は問題になつて来るので、これは今後又審議経過によつて、八月に遡つてできるかどうかの資金状況をこれは精査しなければならんと思います。そうなつて来ると、とにかくべース・アツプをする必要があるということは、これは政府も認めたと思うのですね。ところが一月からということになると、而も財源がありながら一月ときめて、それで余つたものを一般会計に繰入れることになると、理論としては先ず仲裁裁定通り八月からやることにして、その他災害復旧等にも応分の支出をして、それで或る程度余つたものを出すということであれば、これは筋も通るし、又私どもの見るところでは、林野会計の黒字というものが企業経営の合理化というよりも、むしろ一般の木材市価の高騰という他の原因から起つて来ますから、今言つた災害復旧なり、職員の待遇改善をやつて、なお余りあれば、これは国家財政窮乏との折ですから、一般会計に出すことに必ずしも反対しないのですが、仲裁裁定がきまつたのちにおいて一月からときめておいて、それで一般会計に十億を出すということは、これは林政部長に答弁を求めるのはあえてなさないのですが、これは来たるべき機会に責任大臣にその点は質問いたしたいと思うのですが、どうもその辺がちよつと、今御答弁がありましたが理解できない点があるのです。あえて御答弁をこれ以上要求いたしませんが、若し事務当局意見としてお聞かせを願えれば結構です。
  55. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) 八月から実施することにつきましての財源の問題でありますが、いわゆるその立場を国有林経営者、まあ一面或いは林野庁といたしましても、一般林政を担当いたしている職員もございましようし、又特別会計に席を置きましても、いわゆる給与法の適用を受けておりまする管理者というものもございまするので、そういう広い意味における立場というものもございまするが、国有林経営者であるという立場にこれを限定して問題を考えた場合には、この十億の問題と関連して我々としてはそこに努力し得る余地はあるように考えられます。
  56. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですから、これはまあ労働大臣等に答弁を要求することかも知れませんが、一般公務員のベース・アツプを一月にする、他の三公社なり他の四現業がいろいろな事情でやはり八月からはできないので、一月からは大体できる、それと大体時期を同じうするということであれば、その議論の内容の当否は別として、そういう林野庁だけならば八月に遡つてもできる。ほかのものと揃えるという説明であれば、その内容の当否は別として一応の理窟はあると思うのですね。これは今日午前中の全林野労働組合意見としては、ほかのものと関係なく、各現業でできるものはできるだけ早くやるべしという御意見であります。又これを支持する意見相当あるのです。この辺は極めてデリケートな問題だと思いますが、そういうのならば、その内容の当否は別として、一応或る程度一般公務員と揃える、他の現業と或る程度実施を揃えるというのであれば、内容の当否は別として一応の理窟はあると思うのですが、そういう考え方もあるのでしようか。
  57. 丹羽雅次郎

    説明員丹羽雅次郎君) 私ども内部的に論議いたします際には、そういう考え方が一貫して非常に強く流れております。公労法建前上異議があるということは、私ども表明はいたしておりますが、私どもの事務的折衝の段階においては、それを揃えるという考え方政府としては強く表明せられておりますことは事実でございます。
  58. 小林亦治

    ○小林亦治君 独立採算が黒字になつた場合に、その黒字を一般会計に包含するという趣旨は私どもはよくわかりますし、それでなければならないと思うのですが、要求しておるところの数字と、裁定したものとの問には若干の差はありましようが、裁定が若し正しいとするならば、やはり黒字があるのですから、先ずその裁定の義務を実行しなければならない、こう考えておる。それから政府が一月からということをきめたそうでありますが、我々必ずしもそれをよしとしておるのではない。率直に申上げますれば、それを不当と考えておる。殊更に黒字があつて一般会計に包含し得るような現状にあることを考えてみると、やはりその裁定の義務を独立採算を以て実行しなければならないと思うのです。他の一般公務員関係と歩調を合せなければならないということになると、これは独立採算にした効果が何もないじやないか、かの、他の面ではありましようが、独立という文字を消さなければならないということになる。一般の経済観念或いは労働観念から考えて見まするというと、国家が赤字になろうが、損害を来たそうが、働いた者には働いた者に相応する給与を与えなくもやならんというのが義務の第一歩なんです。それをとやかく、いろいろな計算的な理論を以て一月からやらなければいけないとか、先ず以て真先に一般会計に十億やるなどということは僣越の沙汰だと思うのです。その点基本的な考えを聞きたいと思うのです。これだけの金があり、而も独立採算になつておるのだから、与えられた部面におけるところ給与の配分だけは独立でやり得る。現在の計算では、政府がそういう考えを持つてつても、事務当局諸君政府よりも進歩的だと私は思つておるので、政府がそういう考えでおつても、当局努力をして、私どもが考えておる今言つたような線に乗せ得るかどうか、それを伺いたい。政府がこうやるから、私どもこうやるでは、私どもあなたがたに頼つておることが何ものもないことになる。むしろ政府のこの頭の悪いところを、頑固なところを、あなたがたの中堅が叱咤し、或いは啓蒙して、独立採算というものはそういうものではない、裁定の数字というものは最小限度の数字であるといつたようなところを大いにやつてもらわなれば頼れないと思うのです。大臣など引張り出しても、質問して聞いてみても、結論は聞かないうちからわかつているわけで、要はあなたがたの、やつておる御連中の進歩的な熱意を伺いたいと思うのです。若しそういう熱意が我々の輿論と一致するものがあれば、我々大いに自信を固めて、もう一喧嘩しなければならないと思うのです。政府がそう言つておるから私どもそれ以外に何も考えていない、何もありませんというのでは、これは誠に頼りにならない。そこは率直に一つ……、言質だなんということで持ち廻りませんから、今政府が考えておるものが正当なものであるかどうかということをあなたがたに私は聞きたい。金があるんだし、八月から実施というような裁定がちやんと下つておる。而も裁定というものは、これは法律上の効果から言えば、私の考えはどうかわかりませんが、あの裁定によつて政府支出の義務を負うのですよ。それを労組の諸君がまだ弱いから、法律手段に訴えることを知らんから、知つてつてもそれをやらんものだから、このまま政府が頬被りをして要求を抑えて行かれる、ただ単純なる勧告ではなくして、あの勧告があつたと同時に、政府がその裁定の数字を支出する義務を負う、従つて公務員は、その裁定額に相応するところ給与を請求する権利を取得するのだと、こう考えておる。その点をどういうふうにお考えになつているか、お聞きしたいと思います。
  59. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) 今の経営の直接の当事者としての考えはどうかということをお尋ねになりますと、先ほど来申上げました通りでございます。ただいわゆる仲裁裁定国会の御審議を願う、議決を願う意味合において提出をいたすものにしておりますので、いわゆるこの委員会等におきまして十分御審議を願うということに相成りまするし、あと先ほど委員長からも申されましたように、まあ政府の事務当局であります、我々政府職員でありますので、それ以上の、私の担当いたしておりますること以上の問題につきましては、私から直接、遺憾でありますが、御答弁を申上げかねるのであります。御了承願いたいと思います。
  60. 小林亦治

    ○小林亦治君 これは御無理かも知れませんが、あなたがたの考えがどういうところにあるか、それを伺いたいんです。機械じやないんだから、命令によつてただビジネスだけをやつているというようなロボツトじやないはずだ。裁定が正しいかどうか、若しその裁定が正しいとするならば、今幸いにこの独立採算が黒字になつているのだから、その黒字を正しい裁定に副わしむべきものと思われるかどうか、それを聞きたいのであります。一々命令されているものをロボツトのようにやつて行くのじやないでしよう。あなたがたが公僕としてそれらを管理している立場で、どういうふうに考えておられるかということです。
  61. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) これは最初御答弁申上げた通りでありますが、経営者といたしましては、その立場においては、収入増がありますればできるだけいわゆる山の経営者自体に還元いたしますと同時に、職員給与改善も図つて行きたい。これは経営者としての当然の考えであります。
  62. 小林亦治

    ○小林亦治君 そうしますと、先ほど委員長が伺つておつた、黒字になつているところの十億を一般会計に繰入れる、その後にその余つたもので、一月からの差繰りに按配するということはさまつたことではないのですか。そういうふうになりかかつているという、そういうことなんですか。十億という数字も今ここで初めて私は聞いたんです。一体どういう根拠になつているのですか。
  63. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 十億の一般会計繰入の問題につきましては、午前中長官からお話し申上げましたように、すでに閣議の決定を得ているわけでありまして、これにつきまして大蔵省と事務的な予算折衝の段階において、これをどうこうするという段階じやないように考えております。
  64. 小林亦治

    ○小林亦治君 そうすると、何ですか、この大蔵省と折衝があるが、閣議では決定したが、まだ林野当局そのものがお腹をきめてないと、こういうのですか、どういうのですか、それがはつきりしないのですが。
  65. 山崎斉

    説明員(山崎斉君) 全体の増収分が二十五億、そのほかに節約三億程度ありまして、二十八億を少し超す程度財源が現在考えられているのでありますが、それに対しまして、細部的な点にまで達した予算上の事務的な折衝は完結したという段階にはまだないのであります。
  66. 小林亦治

    ○小林亦治君 そうですか、わかりました。そうすると、何ですか、仮に裁定を八月から実施するということにたりますと、その数字がどういうふうになつて来るでしようか。つまりこの一月というのは政府では考えているこなんで、我々共の考えは、まだ一月なんということは考えてない。やはり八月を基本に考えておる。そこであなたがたの考えも固まつちやいかんので、農林委員会意見の一部には、或いは大部分になるかもわかりませんが、ともかく農林委員会の考えは八月からという輿論があるのですから、だからどういうふうにすべきだという意見を聞かしてもらいたい。八月からやり得るかどうか。
  67. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) やり得るか、得ないかということは先ほど来私から申上げております。経営者としての考え方も申上げておるのでございますが、予算的には閣議決定を経たわけでありまするから、一応政府の方針としてはそれできまつている。従つていずれ第二次補正予算として国会に提出されまするわけでありますから、国会で御審議を願うと、こういうふうな筋合になるものかと考えております。
  68. 小林亦治

    ○小林亦治君 そこを聞きたいのですが、若し八月から行われるとすると、どういう支障を来たすのか、折角の黒字がなくなつてしまうのか、或いは将来の計算上採算が立たなくなるのか。それからどういう考えから、先ず頭から十億というものを切離して一般会計にやらなければいけない、裁定に対する腰構えをきめないうちに十億という金を出したところ、そういう気持を聞きたいのです。これはあなたがたで御無理なら、大臣なり、次官なり、大蔵大臣なり、お出で願わなければならない重要なところなんです。
  69. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) これは先ほど来お話に出ておりますように、いわゆる一般の公務員、五現業三公社を一月からべース改訂を行う、こういう政府の方針でありまして、その点につきましては私から答弁の限りではございませんが、ただこれは八月から実施した場合にどうなるかを申しますれば、ここに仲裁裁定議決を求める議案にもありますように約八億七十の金が要るのであります。従つて八月から実施するといたしますれば、今十億を一般会計へ繰入れるというものが約五億八千万円ばかり繰入は減ると、こういうふうな計数になります。
  70. 小林亦治

    ○小林亦治君 本当に独立採算という制度を貫くならば、五億八千万円に減つても、先ず裁定の義務を実行するにあると考えている。従つて閣議の決定というものはそれに副わない、非常に潜越なものである。独立という名を壊す決定だと思うが、できるならば、あなたがたの中堅の御努力によつて、その誤まれる政府の考えを大いに啓蒙してもらいたい。若いあなたがたの勢力というのは部内の大勢力なんで、一つそういうふうに御努力してもらいたいと思います。これは要望なんです。御答弁は要りません。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 私昨日資料を要求いたしましたが、資料できましたか……。資料はこれから頂くようでありますが、頂いた上で十分検討したいと思いますが、私は少しほかの委員のかたと考えが違うかも知れませんが、黒字黒字と言うけれども、私は黒字とは思つていません。又黒字だから出す、赤字だから出さないという性質のものじやないと思います。結論は……。仲裁裁定によつて出た結論というものはこれは忠実に実行する義務があるし、又実行すべきだと思います。そういう結論に変りはないのでありますが、ただ私は一言申上げたいのでありますが、この賃金問題というのは経営者のほうから見れば与えたいが与えられない、職員の側から見ればとりたいがとれない、そこの衝突点が常に問題になるのでありますが、この問題の解決のためには、常に先ず使用者側が与えたいが与えられない。この問題を解決すべく常に不断の努力というものが私は必要だと思う。それが企業努力なんです。同時にこれに協力して職員側もとりたいがとれない。とるための私は努力というものが必要だと思う。そこにその衝突点が動くわけなんです。そこで私は今の林野庁特別会計というものは黒字でも何でもないと思う。これは偶然のことで天から降つて来たようなものなんです。こういうものを企業努力によつて生れた世間で言うとは思つていません。問題は今赤字であろうが、黒字であろうが、そういうことは問題でなく、これはやるべきことはやらなければなりませんが、さらばといつて年々歳々赤字の上に赤字を重ねて出すわけにも行きませんから、そこで今から過去を振返つて企業努力というものが必要だと思う。私はなぜこういうことを申上げるかというと、過日明年度予算の大綱を見ましたが、何ら過去の予算の大綱と変つていない。そこに過去を振返つての、過去を反省しての企業努力というものが少しも明年度予算要求額の上に現われていない。私は少くとも今度の問題は、解決点はもう結一論は出ておることと思いますが、この結論を将来確実にするためには、先ず企業努力に向つて年度予算の上に、具体的に手輿の内容において、事業計画内容において私は出て来なければいかんと思う。そういう点で私は私の立場で皆さんがお作りになつておる原価計算その他を検討してみたいと思う。併しこれは私の思い付きであつて、単なる予算の大綱を見ただけではわからん、林野庁のほうで来年度はこういう方面において合理化をする。こういう方面において企業の合理化をやるという何かお考えがあれば、私は具体的にお示し願いたいと思う。私はそういうふうな将来に向つての、取りあえず明年度企業努力に向つての、企業合理化に向つて努力、これが具体的に私は示されなければならん、これが一つの私は条件でなければならないと思う。そういう意味合で何か明年度林野庁特別会計の運営について、事業計画につきまして、今までの数々の不合理な点はこういうふうに直すという点があつたならば私はお示し願いたいと思うのです。繰返して申上げますが、私はほかの委員のかたと違うかも知れませんが、私は林野庁特別会計が黒字である、これは形式的には黒字であるかも知れないけれども、実質的には黒字でありません。こんなものは朝鮮事変や今度の災害によつて天から降つて来たものであります。それは私はあえて言いますが、林野庁企業努力によつて得た黒字ではないと断定するのでありますから、こういう経営を続けておつてそれで給与問題の根本は片付かない。でありますから、一つ将来に向つて企業努力についての一つの具体案をお示し願いたい。この際我々の納得行く案をお示し願えば、今の黒字が赤字であつても差支えないと思う。甚だ漠とした質問のようになるかも知れませんけれども、私はあえて申しますが、そういうふうな一つの将来に向つて企業努力の具体案が出て来なければ私はいけないと思うのです。何か一つ構想をお示し願いたい。  御答弁がないようでありますから私は、例えば昨日林政部長はおいでにならなかつたか、これは私の独断であるけれども、合理化のためにもう少し立木の払下を殖やしたらいいじやないか、素材の払下をもつと減らしたらいいじやないか。素材と立木と置替えたらいいじやないか、こういうことを私は多少自分でも調べているつもりであります。併しこれはあなたたちから見れば素人であります。何かそういう事業面において合理化の途はたくさんあると思います。それをただ前年度事業計画を蹈襲して行くことによつて、淡して林野庁特別会計というものは救われるものではない。大体五百億からの資産を持つてつて、これはもう一般の民間の会社とは事は違います。事業の性質は違いますけれども、それにしても税金も細めないところのこの特別会計で、五百億の資産を持つて、二十億や三十億も国庫に納付するというようなことは、これは途方もないことですよ。こういう経理であなたたちは立派な特別会計の運用をしているなんていうことは、私は言えないと思う。比較すべきものじやないかも知れませんけれども、例えば民間の会社で言えば、五百億の資金を持つておるならば五百億一年に儲けなければ会社の運営は立たないのです。そうして五百億の資金を以て五百億儲けて、そうしてそのうもに税金を半分ぐらいとられて、そうしてその他いろいろな諸雑費を払つて丁度二割ぐらいの配当しかできない。ところか大体今皆二割の配当をしている。又二割の配当をしなければ会社の運営が付かない。これは勿論一般の会社と特別会計と性質は違いますけれども、それにしても私は一つ参考にしなければならんと思う。同時に私はついでに申上げますけれども、あなたのほうの林野庁におかれて、農林省の中のもう一つ特別会計の食糧庁の特別会計をあなたはおか目で見て御覧なさい。あれでいいとお思いになりますか。今度の国会で消費者米価の問題が出ますが、我々は断じて消費者米価の引上には反対です。それはインフレの問題その他がありますけれども、そのもつと前に、細かく言えば中間経費かでたらめですよ。食糧庁の経営がでたらめですよ。具体的に言えばどういうものがあるか、食糧輸入協議会というのがある。徒らに眠り口銭をとつておる。最近又検定協会というものを作つておる。各府県に作つて又検定協会の連合会を作つておる。こういうものが厖大な経費を搾取している。相互協会というのがあるこれ又同様なんである。食糧庁本来の職員のやるべき仕事を検定協会に押付け、又相互協会に押付ける。又麻袋の会社を作る。御用機関を作る。他産業と特定な取引をして、これが一つのやはり中間経費になる。こういうようなことを、あなたたちは自分のことはわからないけれども、農林省におられて、おか目で食糧庁の特別会計を見て、一体あれが合理的にやられておるとお思いになりますか。こういうものを振返つて見て、私は林野庁の問題にもそれと等しいような問題があると思うそういうやるべきことをやつてつて、そうして給与の問題は根本的にすつきりと私は解決すべき問題だと思う。で、幾度も言うけれども、これは仲裁裁定が悪いというものじやない。これは実施しなくちやいけない、義務である、こう思いますけれども、この義務に並行して、あなたのほうの責任というものがある。これについて当然お考えになつておると思いますが、私が一人でこうやつて長いこと演説していて、も仕方がありませんが、何か一つあなたのほうで当然お考えになつておられますか、僅か一つの問題でもいいですが、どういう点で合理化されるか、それとももうやるべきことはすべてやつて林野庁特別会計企業努力に向つては万全であると言われれば仕方ありませんが、そうじやないと思いますが、何か一つ教えて下さい。
  72. 幸田午六

    説明員(幸田午六君) 事業計画、殊に立木処分と直営生産の問題でありますが、これはそれだけをとりますといろいろな問題があろうと思います。ただ全体として、いわゆる国有林の先ほど申しましたような独立採算、そのことが同時に経済性の原則を貫くことであり、経営の合理化を期待することであるということで、これは数年前から実は照査課というものを各営林局に設けまして、資料を御要求なさつたようでありまするが、いわゆる原価計算、経営分析というものをやりまして、逐次或いは直営生産の面のその他においても経営の合理化を図つてつておりまするが、この林業に関する損益計算理論というものは世界的に非常に遅れておりまして、例えば日本における文献を見ましても、林業損益計算輿論に関するものは極めて少いのでありまして、殊にこのパルプ等が持つておりまする、いろいろ製紙会社が山を経営しております、そういう場合の経理の仕方等も、いろいろ検討いたしたのでありまするが、比較的伐採をいたしましてからあとの生産事業、こういう面については非常によく原価計算もでき、又経理もできておるのでありますが、いわゆるこの蓄積、いわゆる森林の蓄積をも含めましたところの損益計算、この点になりますると、民間の会社においてはこれはやつておらんわけであります。我々のほうになりますると、ただ単に木を伐つて、伐木、運材等で処分にどれだけ金がかかつて、木が何ぼ売れた、そこで差額何ぼ儲かつたということだけでありましたので、そこに若しそれが過伐いたしますれば、それだけいわゆる蓄積資本を食つて行くことになつて、或る意味からたこ配当をするようなことになるのでありまするが、そういう点は損益計算の過程において引当金を設けまして経理をしてもらう、或いは伐つたあとの造林が進みませんければ、これ又そういう意味合においてはマイナス的に、いわゆる蓄積資本を減少して参るわけでありまするから、そういうことのないような、そういうことがただ利益として形式上出て来る、いわゆる資本を食つておる、そうしてそれで利益を出すということのないような、蓄積資本も含めましたところの経理でやつておるわけであります。この点が民間の山を経営しておりまする一つの会社と非常に違う点であります。まあそういう点でいろいろの研究なり、検討をいたしておりまするが、更に全体の経営の合理化成いは職員能率の増進、こういう見地から、先ほど申しました照査課というものを更にこれを監査課と、二年前にこれを監査課という制度に改めまして、内部的な実地監査を各事業に亙つて進めて、そこに無駄或いは無理、そういうことがないかどうかという点を検討いたしまして、経常の合理化をやつて行くように進め、逐次その成果を上げつつあるわけであります。又林業講習所という制度を新たに設けまして、いわゆる戦時中、戦後、非常に低下いたしました職員の技術或いは知識、事務能率、こういうものを急速に向上して行きまするために講習所というものを設けまして、本年初めて始めたわけでありまするが、各営林局から担当者を集めまして、或いは造林、或いは治山、経理、管理、あらゆる事業の面におきまして講習をいたしまして、事務能率或いは経営能率の向上を図つて行く、こういう制度を確立いたしまして、逐次、殊に非常に遅れておりまする原始産業の林業の面における経営の合理化、事務能率の向上、こういう点を図るように折角努力をいたしておる次第であります。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、昨日あなたお出でにならなかつたから何だが、私が要求した原価計算と言いますのはですね。それぞれの部門別に原価計算をもらいたいと言つたのです。で、総合した原価計算というものは非常にむずかしいものであるし、林野庁国土保全の一翼を担つておられるのであるから、そういう部面も含めての原価計算ではなくて、例えば立木なら立木の原価計算、素材なら素材の原価計算、製炭なら製炭の原価計算、こういうものを一応もらいたい、こういうことを申し上げたのです。あなたが今おつしやるようなことは、失礼だけれども、私もよく知つています。そんなことでは……。ただ私はこういう重要問題で毎年々々、一年に二度も、三度もごたごたするというようなことは、実に不愉快じやありませんか。だから根本的にこのことは解決しなきやいかんから、それには根本的の解決ということは、あなたたち自体の手で企業の合理化によつて大部分片付くのですよ。それをやらないでいて、ここで今片付くとしか言つても、ここは片付くでしようが、半年、一年経つと又同じ問題を繰返すのです。これは私が言わなくてもあなたにはわかつていると思う。そういう意味で根本的な解決に入るために林野庁経営全体についての私は根本問題を、一つあなたたちも入つてつてもらわなきや困るということなんです。今ここへ来てこの古い林野庁特別会計をあなたたちが預かつておられて、歴史のある特別会計を預つておられて、今頃気持の問題を聞いておるのじやありません。具体案じやなくてはもう駄目ですよ。今の部長の話では、いわゆる世間でよく取り交されるよろしくというやつと同じです。よろしくじや腹はくちくならない。たとえごま粒一つでも届けることが問題の解決なんだ。私は具体案が欲しい。そういう意味合でおやりになつておること、何も私は皆さんが遊んでおるとは思わない。監査もしておられるでしよう。調査もしておられるでしよう。ぼちぼちやつておられるでしようが、ぼちぼちじや私は間に合わないと思う。同時に私はぼちぼちでなくても、私はできることはたくさんあると思う。どうも私は一人で思い込んじやつているかも知らんけれども、何と言いましても、林野庁特別会計改善するには、やはり積極面は業務面だと思う。四千五百万石なり、六百万石を売却する木材を如何に合理的に生産し、売却するかという問題だと思う。今までの林野庁を取り巻くところの全国的な材木屋のボスや何かに好い加減なおもちやにされておる時代じやありませんよ。そういうものは勇敢にやらにやいけませんよ。この間も申上げたのたが、林野庁を取り巻く材木屋なんというのはおかしいですよ。ちよつとそれは自由財売じやないですよ。自由販売の網を潜る統制の闇というやつが……、要するに逆なんてす。統制の闇というのが……、こういう珍現象が、林野庁を取り巻く闇の材木というのが行われておる。御用商人があなたのほらから払下を受けて、それを駅売店あたりで……、今度は販売店は販売区域をきめて、そうして実質的には林野庁を中心にして木材の統制をやつておる。ちつとも木材は自由販売じやない。特権階級から特権階級へと繋がつておる。そこに木材の市価というものを少しも改善できない、木材流通市場に出ておる木材の三分の一の木材をあなたたちの手によつて左右しておりながら、市場に流通しておる三分の一を持つておるあなたたちが、木材の市価の統制を左右できないなんというばかなことはありませんよ。どうしてできないかというと、今調べておるように闇統制をやつておる。自由をこぐつて闇統制をやつておる。そういう問題に入つてつて御覧なさい。これが結論は林野庁特別会計改善になり、それが根本的に給与問題の解決に私はなると思う。そういう意味合で私は申上げているので、ここであえて具体的にどうのこうのと言うことは、御答弁がないようでありますけれども、私は少くともこの問題の審議はまだ時間もあるものですから、原価計算を頂いて、我々のほうは我々のほうで問題を調査いたします。企業合理化のために私はもう少し具体案を出したいと思いますが、あなたのほうでももう少し合理化について、あえて申しますが、勉強が足らんと思います。私は勉強してもらいたい。こう思います。そうしてこの問題はすつきり明るく解決しましようや。それでなければ、この問題は単なる一時逃れの給与の問題の解決であつて、永久の解決にならんことを、あえて私は重ねてくどく申上げておきます。
  74. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  75. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。本日はこれで散会いたします。    午後三時十九分散会