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1953-10-31 第17回国会 参議院 農林委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十一日(土曜日)    午前十時五十六分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十月三十日委員天田勝正辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 亦治君            戸叶  武君            松浦 定義君            鈴木  一君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    食糧庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    食糧庁総務部長 新沢  寧君    食糧庁総務部企    画課長     斎藤  誠君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○小委員辞任及び選任の件 ○本委員会の運営に関する件 ○農林政策に関する調査の件  (でん粉及び甘しよ生切干価格に  関する件)  (昭和二十八年産米検査規格に関す  る件)   ―――――――――――――
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  最初にお諮りをいたしまするが、昨日選任いたしました農業災害補償制度に関する小委員中、白井委員が小委員辞任したいとのお申出がありますが、これを許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、その後任に清澤委員を選定いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さよう決定をいたします。   ―――――――――――――
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、昨日の理事打合会の結果によりまする本会期中の当委員会の議事の進め方につきまして御報告をいたします。お打合の結果、こういうようなことでやつて行きたいと存じます。付託法律案審査の前提としてでき得れば本日政府首脳部から第二次補正予算等について政府の方針を確認する、それが第一であります。それから第二といたしまして、提出法律案は順次予備審査を行い、できるだけ、予備審査の間に一応質疑を終りまして本付託後直ちに討論採決を行う。第三は、できるだけ早い機会に本年産米の十月十五日現在の予想収穫高説明政府から求める。第四、継続審査になりました臨時硫安需給安定法案につきましては、会期中都合の許す限り審査を行いまして継続審査に持込む。それから最後に、農業災害補償制度に関しても、右臨時硫安需給安定法案と同様な継続審査に持込む。こういうように大体決定に相成りましたので、了承願います。  続きまして本年の凶作にも関係がありますので、最近の問題になつておりまするところの本年産澱粉及び甘藷生切干政府買価格の件を議題といたします。  これにつきまして北委員等から発言が求められております。如何いたしましようか、我々は新聞だけしか見ておりませんので、先ず政府当局から大体の考え方を聞きまして御質問のほうがよろしいと思いますが、それでよろしうございますか……。それでは一つお願いします。
  6. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 昨日本年産澱粉の生切干、それからそれらの原料であります甘藷馬鈴薯原料基準価格決定いたしたわけでございます。その決定考え方といたしましては、本国会で成立を見ました農産物価格安定法に定めるところに基きまして同法並びにその政令に基きます計算方法はつきり出ておりますが、その計算方式に基きまして算出したわけでございます。順序といたしまして、原料いも」の価格がどういう線から出たかという点についてお話申上げますが、原料いも」の一つ価格の基本となりますのがパリテイ価格でございますが、甘藷につきましては、このパリテイ価格は二十八円七十一銭という価格になるわけでございます。あの法律で定められておりますように、この価格パリテイに基いて算出された価格のみではありませんで、ほかの要素を併せて参酌して算出しなければならないわけでありますが、その参酌事項として甘藷と競合いたします作物価格を考えたわけでございます。陸稲と同じ粗収入同額とした場合は、甘藷幾らであるべきかという価格を算出いたしますと、二十三円七十銭ということになります。同じようにして大豆との均衡をとりますと十七円九銭、小豆同額にいたしますと十八円十一銭ということになります。又生産費、これは二十七年度生産費から本年におきます反当収量の変化等を見まして推算いたしますと、十八円七十銭という価格になります。これらの価格二十八円七十二銭、それから今申上げました二十三円七十銭、十七円九銭、十八円十一銭、十八円七十銭、これらの価格を参酌いたしまして本年の事情に基いてこの一番高い線であるパリテイ価格基準といたしまして二十八円というものを原料基準価格としたわけでございます。馬鈴薯につきましても、同じような考え方パリテイ価格で出しますと、これは二十一円五十七銭ということになるわけでございます。それから馬鈴薯のやはり競合作物をとつてみますと、大豆小豆、これをとりますと、大豆と反当粗収入同額にした場合は十七円七十二銭、小豆同額にした場合は二十四円七十一銭、生産費による場合は二十三円五十一銭、こういうことになるわけでございます。馬鈴薯の場合は、昨年は実は馬鈴薯甘藷の場合は二十八円という原料基準価格を定めたわけでありますが、馬鈴薯に関しましては、昨年は別に定めてなかつたわけであります。併し馬鈴薯につきましては甘藷等と違いまして、今年は必ずしも非常に悪いというようなことでもありませんので、一応……。それからもう一つは、法律の立て方といたしまして、支指価格という立て方で定めてあるわけでありまして、これで政府価格を固定させるという意味でありませんので、最低の線で支持するという意味合でありますので、パリテイ価格で算出したものを、一応原料価格として取上げるということにしております。その原料価格から甘藷馬鈴薯、それぞれ加工に要する費用を加算いたしまして澱粉価格を出したわけでございますが、澱粉につきましては、今年は立て方を変えまして、いろいろ買入場所の条件が違いますので、それぞれの買入場所に応じて別の価格を立てておるわけでありますが、ベースといたしましては、昨年の価格に対応するものといたしまして前年は甘藷粉澱千八百五十円に対応するものといたしまして千七百七十円、それから馬鈴薯澱粉の未粉につきましては二千三百二十円に対応するものとして二千二百五十円、製粉は前年の二千四百二十円に対応するものといたしまして二千三百五十円、甘藷生切干は千円に対応するものといたしまして千二十円ということで出しておるわけであります。大体価格の立て方につきましての基本的な計算方法、それからその結果出ました基準価格は以上の通りでありまして、それに基きまして買入場所によりまして運賃諸掛り等を加算いたしまして、告示として発表いたしましたような各地域別価格が立てられておるわけであります。  概略御説明申上げました。
  7. 清澤俊英

    清澤俊英君 切干はどうなつておるんですか。
  8. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 切干は生切干十貫目千二十円です。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは今年……。
  10. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 今年です。
  11. 北勝太郎

    北勝太郎君 只今説明を承わりましたが、私は主として馬鈴薯地帯におりますから、馬鈴薯方面のことをお伺いいたしたいが、作況見方が大変違うようでありますが、私ども現にみておる、自分自身が作つておるところ或いは各地方から知らせて来るところによりますと、作況は非常に悪い。今年はまあ雨天が非常に多かつた。生育期における雨天が多かつたということと日照が少かつたという関係で「いも」の粒が頗る小さい。そうしてその一株に附いておる数も非常に少いのでありまして、場所によつては五割程度になるのです。それから生産地におきましても三割程度は減収になつておるというのでありますが、只今の御説明では、昨年に比べて作況必ずしも悪くないというような見方をされておるようでありますが、これは大変な見当違いであります。こういう工合に考えるのでありますが、その点について重ねて御説明を承わつておきたい。
  12. 新沢寧

    説明員新沢寧君) 先ほど作況の点につきまして申上げましたが、私ちよつと言い間違いましたが、馬鈴薯基準価格をきめました際にパリテイ価格をとりましたゆえんのものは、作況を基にしてあるが、考慮の中に入つておると申上げましたが、これは私の言い誤まりでありまして、価格安定法建前から最低価格を維持するという意味合で、法律建前ができております。その意味合からいろいろの参酌価格の中でパリテイ価格で出た価格を取上げた、こう訂正いたします。
  13. 北勝太郎

    北勝太郎君 作況方面を重く見ておられんということは、こういう価格決定の上において大変な間違いじやないかという工合に考えます。これ以上議論をしてもしようがないのでありますが、次の問題といたしまして伺いたいことは、馬鈴薯澱粉価格の問題でありますが、これ又昨年よりも非常に下つておるのでありますが、現に相場の関係から見ましても、甘藷澱粉に比べて馬鈴薯澱粉は本年の最高においては、実は同じ十貫当りにしますと、約七百八十円の差があるという数字が出て来ておるのであります。仮に十二貫でありますが、これを十貫に直しますと、六百幾らというような開きがあるのであります。品質の上から見ましても、これは実はそれだけぐらいの差があるのは当然なのでありますし、更に甘藷澱粉日乾しでありますが、馬鈴薯澱粉は実は火力乾燥が普通なんでありますので、この火力乾燥費が十二貫について三百円違う、こういうような点から見ますと、昨年に比べて馬鈴薯澱粉甘藷澱粉価格差が百六十円になつております。実はこれは非常な開きが出て来ております。馬鈴薯澱粉甘藷澱粉価格差は少くとも五、六百円は違わなければならないのでありますが、そういうようなときに馬鈴薯澱粉なるが故にかかるところの火力乾燥費というのは生産費の中に見積られておらんのじやないか、実はそろばんの合わんことはできないのでありまして、九州地方では日乾しでできるけれども、北海道はああいうような冷温の地でありますから、火力乾燥以外にこれは仕上げる方法がないのでありまして、そういうこともこれは価格決定の上に大いに主要のものとして、主要の品質として加えてもらわなければ将来の生産を持続することはできない。御承知のように食糧問題として反収カロリーの多いのは米だと言われておるのでありますが、それに次ぐものは馬鈴薯なんであります。そういうような非常に大きなカロリーの上るものであつて国民食糧の確保の上から言いましても、馬鈴薯の、まあ勿論甘藷もありますが、馬鈴薯甘藷増産を図らなければならん大事なときであるのにかかわらず、これをそういう見方をされておりますのでは、これは政府が例えば最低価格を支持する意味じやないと言われますけれども、これはやはり市価の上に非常に開きが来まするし、生産者の心理の状態に非常な影響があるのであります。将来生産影響が来る、こういう工合に考えます。こういうような生産費を無視した安定価格というものをお作りになるということは、これはむしろ価格安定法があつて却つて生産者が困惑するというようなとこになろうと思うのでありますが、どういうわけでそういうような生産費を、実際かかる生産費を無視した価格でやられたか。    〔委員長退席理事宮本邦彦君着席〕
  14. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。御承知のようにこの価格安定法に基きまする農産物価格支持制度は、生産者団体の自主的な調整の下に、それを並行と申しますか、その裏打といたしまして、政府買上制度があるわけでございます。従いまして只今北委員お話のように、これは支持価格でございますので、我々といたしましては、この価格以上に市価が動いて行つて、そうして農業団体自主調整というものが円滑に運ばれるということを期待いたしておるわけでございます。昨年度状態を考えましても、市価政府買入価格と同じになりますと、そこに依然生産者団体自主調整の機能を発揮する余地が殆んどないのでありまして、我々といたしましては、本年の作柄等十分考慮いたしまして、生産者団体におきまする十分なる自主調整が行われるということを期待いたしておる次第でございます。ただお話のございました点につきましては、勿論我々といたしましても、甘藷澱粉の場合の乾燥の場合と、それから馬鈴薯澱粉乾燥の場合と、これはおのずから違つておりますことは承知いたしておるのでございます。その点は昨年度におきまする市価にも十分反映いたしておりまするし、又我々が考えました場合におきましても、これは勿論平均生産費的な考え方でございまするので、個々のケースがどうであろうかということは非常に困難かと思いますが、ただ材料費等におきましても、甘藷の場合よりも乾燥費が要るという関係で、材料費馬鈴薯澱粉の場合にはその事情考慮いたしまして、多く見ておるわけでございまして、これはいろいろな調査に基きまして乾燥費十分考慮をいたしておるわけでございます。
  15. 北勝太郎

    北勝太郎君 この今度きめられる価格は、安定法によつてきめられる価格市価と非常な甚だしい開きがあるということになりましては……、実は我我は決して支持価格のことを言つているのじやありません。併しながらそういうような開きがありましては、却つて価格安定法というものが農民のために悪影響を及ぼす、こういうようなことになるのでありまして、これはむしろ常識を疑われるというようなことになろうと思うのであります。少くともやはり実際の市価と余りな常識外れをしたような開きがありましては、これは私は価格安定法の趣意に副わないのだ、こう思うのでありまして、実際問題はやはり近いところで価格安定法価格がきまるべきものだ、こう思うのでありますが、それに対しましてのお考えを承わりたい。
  16. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論我々価格決定いたします場合は市価も十分検討いたしたわけでございますが、御承知のように昨年度におきまする馬鈴薯澱粉の場合におきましては、只今北委員お話のように、甘藷澱粉から格差を以て馬鈴薯澱粉決定した、こういう事情がございますので、本年度といたしましては更に馬鈴薯澱粉馬鈴薯価格原料基準価格といたしまして二十二円、昨年度はこれが原料基準価格としては時期の関係もございまして決定いたされなかつたのでございますが、二十二円にいたしまして、それから一応調査に基きまして加工費を検討いたしまして、馬鈴薯価格をきめたわけでございます。ただ基になりまする馬鈴薯原料価格といたしましては、先ほども総務部長が申し上げましたように、パリテイ価格と時期、事情も勘案いたしまして決定いたした次第でございまして、市価との関係もこれは御承知のように未粉の場合、製粉の場合、それから渡す場所の場合によつて相当違うかと思いますが、大体市価よりもそう異常な開きはないというふうに考えているわけでございます。
  17. 北勝太郎

    北勝太郎君 この農民澱粉製造業者の多くはこう言つておるのでありますが、政府食糧政策のためにいわゆる人造米のためにこれを奨励する、或いは増産をするというような考え方からこれの犠牲農民をするのではないか。即ち人造米を安くさせるがために実際生産費を無視した価格を示して、そうしてこの一般の市価を成るべく下げるような意思があつて、いわゆる政策的の意味価格をここに盛り込んであるのだ、こういう工合農民が見て、非常に人造米奨励ということを迷惑千万という工合に考えておるのでありますが、まさかそんなことを政府は考えておることはあるまいと思いますが、実際この価格を示されたところを見ると、必ずしもこれを否定することはできないような数字ができておる。いわゆる食糧政策のために農民犠牲にするのだという見方を、やむを得ずしなければならんような恰好になつておるのでありますが、そういうような点について一つ……、勿論そういう趣旨じやないと言われるに違いないが、正直なところ一つお知らせ願いたい。そうでなければ農民は納得せんと思います。
  18. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今の北さんのお話のように、我々といたしましては、この澱粉価格なり「いも価格決定いたしまする場合に人造米との関係におきまして考えたことは毛頭ございません。只今も申上げましたように、昨年度におきまする馬鈴薯澱粉価格を考えましても、一等におきましては約五十円ほど下つておりまするが、二等におきましては、昨年は二千二百二十円でございますが、今年度は二千二百二十五円というふうに、全体といたしまして妥当な水準を私は維持しておるのじやなかろうかということで、そういう考え方は毛頭ないことを御了承願いたいと思います。
  19. 北勝太郎

    北勝太郎君 最後にお伺いしておきたいことは、馬鈴薯澱粉消費地として指定されるところの買入箇所、これは大分各所に置かれるというような話でありますが、差支えなければ御発表願いたい。
  20. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、昨年度におきましても、これを消費地におきまして政府買入れることにいたしたのでございまして、その点につきましては昨年度と同様に考えておるわけでございます。例えば小樽市とか、釧路市という政府指定倉庫において買入れるということで昨年度と同様に考えております。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 先ず食糧庁長官、月余に亙つて非常に凶作の問題で御苦心であられるので、私は御慰労申上げたいと思います。ただそういうことであるから「いも」の問題とは取組んでおられないとは言われないのではないかと思う。それで一ついも」の問題について伺いたいのですが、先ず紬かい問題ですが、買入場所が区々であるから価格もいろいろである。これは私どういうことだかわからないが、大体政府の指定する倉庫持込値段幾らということで買うのでしよう。それは一本値段じやないかと思うが、それをちよつと伺いたい。
  22. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 只今前に総務部長から申上げましたように、原料基準価格をきめまして、それから計算いたしまして澱粉基準価格をきめまして、それに場所によりまする運賃を加算いたしまして場所別にきめて参りたい。その点につきましては、昨年度もそういう形でやつて参つたわけでございまして、これは一つは昨年度におきましても、行政的にこの制度を実施いたしたわけでございます。倉庫との関係、それから又消費地関係というふうな点から考えまして、そういうふうに買入場所を引いたわけでございますが、運賃はこれに加算いたしたわけでございます。でございまするから、昨年度買上価格として公示いたしましたものと本年とは同様に考えております。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、この買入場所がいろいろになるから値段が変ると、こういうのですね。それは運賃関係で変るわけですか。そうすると、生産者自体の農家の庭先渡しの場合と、澱粉工場渡しと言いますか、生産者のいわゆる倉庫渡し値段というものは、これは一本ですか。
  24. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 一応河野委員も御承知のように、甘藷を二十八円といたしまして、それから諸経費を検討いたしまして原料基準価格を出したわけであります。これは勿論一つプールした形でございまして、これを等級別に開くわけでございます。それに買入場所運賃を加算するわけでございますが、御承知のように、この運賃はそれぞれの甘藷生産地場所によつて相当違うかと思います。我々としましては、これは一応生産者団体におきまする自主調整に期待いたしておりますので、或る程度個々個所、或る村から或る消費地までの個所ということは非常に困難でございますから、昨年度実績等を見ましてプール運賃を採用いたしておるわけでございます。従いまして、安定法におきまする買入生産者団体自主調整の後に買入れるような建前に考えております。やはり生産者団体自主調整によりまする運賃プール実績を検討いたしまして、それによつて買入場所別価格決定いたしたいと思つております。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 私はその点は単純に一つきめてもらいたいと思うのだがね。生産者倉庫渡し幾らであるか、さもなければ生産者団体のほうで運賃プールしたもので政府は一本価格幾らであるか。いわゆる運賃込みできめるか、要するに裸できめるか、どつちか一つはつきりとしてもらわんと……、これが全販連等がプールしてやるということは、結局これは農民代表機関であるからというようなことで、理窟は成立つかも知れませんが、そうでなくて各単協なら単協澱粉工場工場渡し幾ら、若しくは運賃込み幾ら、どつちか一つはつきりとしてもらわんと、これは非常に困ると思うのだが、その点どうでしよう。
  26. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 昨年度におきましても、甘藷澱粉を考えて見ますと、東京、名古屋、大阪、広島、それから九州では福岡、門司、小倉、戸畑、久留米というふうな町をきめて買入をいたしたのであります。本年度も同様の買入場所において買入をいたしますが、その場合におきまする澱粉工場におきまする基準価格は、先ほど申上げましたように、一定の基準価格を作りまして、それに昨年度におきまする運賃実績からいたしまして算定いたしまして、それぞれの場所におきまする買入価格をきめたわけでございまして、政府が発表いたします買入場所の所在地を発表いたしまして、それに対する運賃を含めました一本の買入価を、各地域別買入価格を発表いたしたわけであります。
  27. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、この千七百七十円というのにプラス、プール運賃ということで政府は買うわけですな。甘藷澱粉の場合千七百七十円というのは要するに生産者手取り価格ですか。
  28. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 千七百七十円というのは等級別加重平均価格でございまして、これに買入場所別運賃を計算いたしまして千七百七十円といたしましたが、この中には運賃は入つておりません。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 それからこの機会ちよつと従来の経過に鑑みて一つお願いしておきますが、昨年あたり澱粉国営検査でやつておりながら、例えば神奈川県の食糧事務所検査員一等としたものを、東京に送りますと、東京検査員は別の尺度でこれを不合格としておる。これは東京のみならず、各県に起つておる問題です。これは無理もないのですが、食糧事務所検査員澱粉に対する経験というものを米や麦ほど持つていない。従つて国営検査と言いながら、実質的には各県ごとにおるところの検査員というものは、みんな別々の物さしを以て検査しておる。そういう結果、東京まで送つたものを、これは不合格であるから変えろといつたようなことをやつておる。これは国営検査の看板を掲げている以上非常に不合理なことである。国営検査食糧庁みずからが否定しているようなものです。これについてはその後十分検査員等講習等もやられたと思いますが、今後再びそういうことのないように、少くとも生産地食糧事務所検査員一等ときめたものは、それが天下どこに行こうと、東京であろうが、大阪であろうが、どこに行こうとそれは天下御免で通るということでなければ国営検査にならんと思うのです。こういう過去の失敗を繰返さんように私は特に食糧庁長官から、「いも」の国営検査の点について私は何も甘くしろというのじやない、食糧検査のうち特に澱粉検査については一つ十分な手配を願いたい、こう思うのです。それから最後に根本的な問題を一つ伺いますが、価格決定の問題について北さんからいろいろ御質問がありましたが、一体この食糧不足の現在、政府は来年度において「いも」を一体殖やすつもりですか、減らすつもりですか。例えば十三億万貫でいいのか、これを十五億にするのか、十八億にするのか、一体政府の心構えにおいて来年度の「いも」は増産させるつもりなのか。それともこれは成行き任せ、小豆大豆等、全然ウエートの違う農産物価格比をとつて全然成行き任せにするのか、これをお伺いしたい。
  30. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 検査についてお答え申上げますが、河野委員お話のように、国営検査といたしましては、これはお話通り全国一本でなければならんと思いますが、まだ誤解のないように申上げたいと思いますが、我々が農産物の検査として検査を施行して参りまする場合の国営検査と、同時に昨年度におきましては、検査の時期と政府買入れる場合の時期とが相当開いたわけでございまするし、又検査をいたしました個所買入れ……、昨年度は全販連でございますが、全販連から買入れました場合に、全販連におきまする輸送の関係等もございまして、場所が移動した場合も相当ございます。従いまして普通の農産物検査としての国営検査と、食糧庁が買う場合におきまする受入検査の場合におきましては、場所と時間の間において開きがございます。多少その場合におきまする輸送中のロスとか、或いは破壊、欠損と申しますか、破れたというふうな場合があろうかと思いますが、これはまあ制度建前よりも、現実に買入れまする場合の検査の問題でございますので、その点は一つ御了承願いたいと思います。御趣旨の点は、勿論一般の検査については御趣旨の通りに考えておるわけでございます。それから甘藷及び馬鈴薯生産量の問題でございます。我々は本年度におきましても、こういう作柄でございまするので、これによりまして、例えば来年の春馬鈴薯等も食糧に寄与するところが非常に大であろうというこの問題につきましては、我々は今後全体の食糧の自給にも関係すると思いまするが、勿論農林省といたしましては、これが生産の維持につき、又は増産についてそれぞれ関係局においていろいろな手を打つておるわけでございます。ただ食糧管理局と申しますか、食糧庁と申しますか、我々食糧を預つている自体の面からいたしまして、まあ本年度のような場合におきましては、これは澱粉工場の能力にもよりましようが、できるだけ……、最近の市価におきましても、青果物のようなものが高いし、又これが相当出廻ることによりまして食糧不足が直接的に解決されるものと、かように考えておるわけでございます。従いまして昨年度のように他の作物が非常に増産されまして、青果物に対する需要が少い場合と、私は本年度におきましては、相当青果物に対して需要が昨年度よりも多いのじやなかろうか、又それが結局いろいろな面におきまする主要食糧の消費の代替として行き得るという形で、そういう方面に廻して頂きたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 私は実は今度政府で発表されました「いも」の価格は、もう「いも」について政府が大して熱意を持たなくなつたのじやないかという疑いを持つのです。例えば従来の「いも」の価格決定は、一番大きなウエートはやはり対麦価比、対米価比、ここに一番ウエートを置いたはずなんです。従つて価格のきめ方等も米価、麦価の決定と同じような要素で決定して来たと思うのです。ところが今度は対米、対麦価比というものが非常に下つております。又何といつても米と同じように非常な凶作です。然るにいわゆる凶作係数というようなものが入つていない今のような形で行きますと、「いも」は米なり麦なり、「いも」のような、特に統制が外れているものは作付がない場合に価格政策によつて或る程度作付を指導して行く以外に私は方法はないと思う。その価格政策において、こういうふうな考え方でいると私は「いも」は減ると思うのです。「いも」は減つてもいいのかということを私は聞きたい。ところが具体的にこういう数字が出て来ますと、「いも」は成行き任せで減つても構わない、こういうことが私はこの数字に現われて来ると思う。そういうことで一体この凶作の現在から迎える一年というものをどうして乗り切るのか、こう私は考えるのです。「いも」のウエートというものを二、三カ月前と違つて現在は私はもう少し重く考えなけりやならんと思う。その一つの現われは価格政策に先ず出て来なくちやならん、こう思うのですが、一体これは食糧庁長官の勘どころを私は伺いたいのですが、こういうふうな澱粉価格決定しておいて、又馬鈴薯澱粉価格をきめておいて、そうして来年この作付が旧に復して殖えるとお思いになりますか。私は減ると思うのですが、対米、対麦価比から旨いましても、私はこれは減ると思うのですが、一体その点は如何でございましよう。私は改めて政府の根本的な食糧政策について予算委員会で伺うつもりでおります。畜産関係はどう考えておるか、「いも」の関係はどう考えておるのか、麦の関係はどう考えておるのか、それを伺いたいのでありますが、特に折角の機会でありますから一つ……、そういうことをしておつて作付というものは一体来年はどういうふうになるか、単なる勘どころで結構ですから伺いたいと思います。
  32. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 非常にむずかしい問題でございますが、実は河野委員お話のございました対米、対麦価比、これは御承知のように昨年度におきましても甘藷価格をきめます場合に、対米価比、対麦価比では相当下廻る形になつておつたわけでございます。でございますので、これは昨年度におきましては一つ制度でなくして、行政的の措置としていろいろな事情がございまして、ああいうふうにきまつたのでございます。この農産物価格安定法におきまして、一つの恒久制度として作つて行かなければならない、こういう意味におきまして本年度考えたわけでございます。只今お話増産の問題でございますが、私たちといたしましては、昨年度と同様の価格を以ちまして甘藷の作付は維持されるのではなかろうか、ただ御承知のように甘藷の場合におきましては、場所によつて非常に違います。澱粉用の場合と生食用の場合と、特に生食用の場合におきましては米より相当高く売れるわけでございます。全体的な農家の手取り価格としては貫当りは安くなるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。でございますので、そういう面からいたしまして、作況は別といたしまして、面積等におきましては昨年度程度のものは維持し得るというふうに考えておる次第でございます。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと一つ伺いますが、対米価比は一体幾らに下りましたか、例えば昨年に比較いたしまして、今年の米の値段に対する甘藷の今発表になりました価格幾らになりますか、勿論米の値段というのは供出完遂奨励金、それから凶作係数、こういうふうな当然どの俵にも付いて廻るところの奨励金、これが基準で、七千七百円は基準じやない、これを基準にして対米価比というものは去年に対してどのくらい下つておりますか、私は相当大幅に下つておると思いますが。
  34. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 具体的の数字は今持ち合せておりませんが、申上げますが、御承知のようにこの価格安定、我々といたしましては、例えば昔の、昨年度におきましては旧パリテイの考え方があつたわけでございます。旧パリテイの当時におきまする対米価比でございますね、或いは対麦価比、これに対しまして旧パリテイにおきまするパリテイ指数の上昇、こういう形で以て考えておる対米価比なり、対麦価比というものを、そういう意味で考えておるわけであります。御承知のように現実の場合におきましては、米価なり麦価なりは、まだ価格安定法建前とは別個の建前決定いたしておりますので、具体的なその年におきまする対米価比、対麦価比というものと、基準年次におきまする……、というのは、まあこの場合におきましては基準年次は五年、六年をとつておりますけれども、従来考えておりまする、戦前におきます対麦価、対米価比ですね、この関係と、それとその後の基準年次におきますパリテイの上昇というものにおいて、それぞれの甘藷価格がどういうふうになるかという意味で検討いたしておるわけであります。
  35. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 この価格の問題は、何と申しましても豊凶の状態を斟酌せずして今年度価格決定は、これは無理だと私は考えるのであります。十月十五日現在におきまする、まあ米も去ることながら、甘藷の問題につきまして、中央の食管庁のお調べになつたところが確定しておると予想するのであります。豊凶状況が確定せずして価格決定ということはないはずであります。見込みというものは大体なくちやならん。これを一つお願いしたいことと、それからもう一つ価格決定に当りまして、農産物価格安定法に示されてあります生産者の団体の意見を聞くということがありまするが、この価格決定に当りまして、そういう団体の意見を聞きましたかどうか、この問題、これを先に質問しまして、まあ御回答によりまして御質問申上げたいと思います。
  36. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、昨年度におきましては甘藷の出廻り量が約八億一千九百万貫と、かように押えておるわけでありますが、本年度におきましては、十月一日現在におきまする統計調査部の作況見込によりますと、十三億八千万貫、こういうふうな生産額を見ますと、昨年度と同様の消費率ということに考えますと、六億八千四百万貫というものが出廻る、かように考えておるわけであります。それからもう一点は、生産者団体におきまする意見を聞いたかどうか、これは御承知のように、全国団体といたしましての全販連におきまする甘藷対策委員会というのがございますので、その会合には二度、三度と我々も出まして、いろいろ御意見を拝聴いたしました。又その結果に基きまして、いろいろ検討したものにつきまして生産者団体との話合をいたした、かようなわけでございます。
  37. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 只今の御回答で行きますというと、甘藷生産量は今年はそう減つていないようなお考えのように思いますが、今年は相当減つておる事情が各地に現われておるのでありまして、而も価格から行きまして、その価格大阪市場における甘藷価格等のごとき、食糧甘藷のごときは非常に暴騰しております。而も原料のごときは、現在におきましては原料いも」はないという状態は、恐らく食管庁のほうは御承知通りと思うのであります。そういうように需給関係が非常に不如意であります際におきまして、而も澱粉原料すらも出ないという状態に今日あると思うのであります。併し政府は、或いは自分は手持をしておりますから、澱粉がたくさんあるから、澱粉はそうできなくても差支えないのだというお考えがあるかも知れませんが、本年度における農家収入の最も重きを置きます米麦に次ぐところの甘藷のこの問題につきましては、これは本年度価格の支持こそ最も重要なときでありまして、この価格支持なくいたしましては、農産物価格安定法をまあ我々が審議いたしまして通過させましても、その支持というのは昨年度と同じ二十八円であるという価格であるならば、これは価格安定法が通つて価格は安定せずして下落させるものだという安定法ではないか、支持するのではないということに結論付けられると思うのであります。その点につきましては、この際において、この食糧需給の非常な危機にありまする、又治安の上から見まして非常に不安であるということを叫ばれておる今日におきましては、少くともこの甘藷支持価格というものに対しましては、やはりこれは相当の影響があることと思うのであります。殊に甘藷場所は必ずしもいい所で作つておるものではありません。大部分におきまして山間僻地にまでできておるのでありますから、こういう所におきまする米価は高くなり、配給は不如意であるという状態におきまして、甘藷というものに対する価格支持ということは今日最も重要だと私は考えるのであります。そういう点から考えまして、私はこの豊凶係数こそ、凶作のその度数というものを十分加味した価格決定すべきがけだし当然な措置だと思うのであります。この点につきまして、私は昨年度と同様の価格二十八円を支持せんとする考え方におきましては私は賛成はできんのであります。この点につきまして、何故に昨年度と同様にしなければならないか、恐らく政府澱粉を持つておるから、本年はそう買わなくてもいいのだから、支持価格もこのくらいの程度にしておこう、あとは生産者団体或いは農民団体のほうにおきまして、それぞれの調整を行いまして、ただ一番最低価格のうちの最低を以て支持しようというような考え方は、農民にどういう影響を及ぼすかということを考えました場合に、我々はこの価格に対しましては、どうしても或る程度価格を上げて頂くことをお願い申上げなければならん、こう考えておるのであります。この点につきまして、豊凶、凶作の係数を入れましてこれは考えたものでありますか、そうでなければ、先ほど来の御質問にあるように、要するに甘藷の作付は減らしてもらうのだ、甘藷生産を奨励せずに、むしろ制限して行くという考え方だと、こういうことになると私は思うのです。この点につきまして食糧庁長官は何もかも御承知でありましようが、去年と同じ価格でおいたならば、甘藷は引合わないものであるということを感じ的に思わせると思うのであります。併し実際は市場の価格はそれとは逆行した、相当高値で取引しておることは私も承知しておるのであります。併しいやしくも支持価格を発表せんとする政府の政策的意図があるのでありまして、この点は食管長官にもう少しお考えを願いたいと思うのでありますが、この点に対しましてのお考えを直す御意思ありや否や、端的に申上げまして、この点に対しての御回答をお願いしたいと思います。
  38. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 我々も本年の作柄につきまして、特に米が下つておりまするので、食糧全体としての確保というためには森田委員と同様の考え方を特つておるわけであります。例えば昨年度におきます甘藷価格を農家手取り価格といたしまして、実在統計から推算いたしますると、二十七年度におきまする五月から九月までの状態をみましても、平均いたしまして二十四円八十九銭というふうになつておるわけでございます。又そういう過去三カ年の平均といたしましても二十六円九十八銭、こういうふうな形にもなつておりますので、我々といたしましては、本年度のパリテイの上昇等も考えまして、総じて二十八円ということにいたしたわけでございます。従いまして御承知のように制度的にいろいろ御意見があろうかと思われるのでありまするけれども、豊凶係数の問題等につきましては、これは農産物価格安定法考え方からいたしまして、米麦とはやはりそこに若干の違いがあるわけでございますので、どうか一つこの価格で以て御了承を願いたい、かように考えております。
  39. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 余り突つ込んだことを申上げることはどうかと思いますから差控えますが、これで承知してもらいたいという御回答でありましたが、この価格凶作の係数を加算せずして説明することは、そこに私は無理があると思うのであります。この点は食糧政策の上において十分考えて頂かなければならんと思うのであります。ただパリテイ計算によつてできて来たものであるというような考え方だけで以て米とは違う、米よりも重要性が以下のものであるというようなことからいたしまして、そういうお考え方の御回答があつたのでありますが、そういう考え方だけは、この際において是非食管長官にこれを拭い捨てて頂きまして、ここに新たなる、少くとも凶作によるところの係数だけを加算したものを支持価格として農民に示して頂きたいことを私はお願い申上げるわけであります。而してもう一つ、先ほどの第二の質問にお答えがあつたわけでありますが、生産者団体の意見を徴したときに、今年のこの価格が正当なる、即ちこれを認めたというお話のように聞えたのでありますが、これは生産者団体のほうで認めたのでありましようか、もう一度念を押して伺いたい。
  40. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 森田委員もよく御承知のように、我々といたしましては、当初政府の所有量の澱粉を供給量の中に入れまして、実はもう少し少い価格で以て御相談をいたしたわけでございます。生産者団体からもいろいろ御意見が出まして、そうして少くとも昨年度価格を維持するように、それ以上でなければならんということでございましたので、当初我々が考えましたものも更に再検討いたしまして、訂正いたして現在の案として決定いたしたわけであります。
  41. 北勝太郎

    北勝太郎君 只今の問題でありますが、こういうような価格安定法の問題につきましては、いわゆる学識経験者の意見を聞く、それから生産者の意見を価格決定の上に尊重する、そういう安定法になつているはずなんであります。ところがいわゆる学識経験者の意見も無視し、それから生産者の代表者の意見も、実は非常に軽視してというか、これも又無視してというか、そういうようなことで今度の価格がきめられたということであるならば、只今のようなことで生産者は余り賛成していないのだけれども、これを押付けたのだということでは、これは価格安定法の趣意に本当に反すると思うのです。いわゆる政府の独断的なワン・マン的な行き方であると思うのでありまして、私は非常に遺憾に思いますが、果して尊重したのかどうかという点を伺つておきたい。
  42. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 北さんもよく御承知のように、私たちが当初考えました案は、現在決定いたしました二十八円ではなかつたのでございます。それで学識経験者のかたがたの御意見も伺いまして、これはやはり我々が当初持ちました案を訂正いたしたわけでございまするし、又更に生産者団体の場合におきましても、当初生産者団体にお示しいたしましたものをいろいろ検討願つて、更に我々もそれによつて訂正すべきものを訂正いたしたのでございまして、当初我々が考えました案よりは、これはまあいろいろお叱りがあるかと思いますが、我々は実はもう少し下に考えておつたわけでございます。なおいろいろ御意見を伺いまして、昨年通り決定いたしたわけでございまして、その点はさように御了承願いたいと思います。
  43. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 どうも食管長官のお話を聞いていると、腹の中では成るたけ下げたい、下げたいという考え方を持つておられるように思うのであります。(笑声)下げたいが、ここまで持つて行かれたという考え方でありますが、法文の上では農林大臣は生産者団体の意見を徴してこれを決定するとあつたと私は覚えておるわけですが、その意味から行きますと、生産者団体の意見を聞くことによりまして審議会も何も要らない、むしろ生産者団体に重きを置いて価格決定するのだという建前でなくちやならんと思うのです。食管長官や政府の意見で以てこれをきめるというのではないと思う。従つて審議会とか、何とかいうものを、これを省いたということは何よりも進歩的な法案だとして我我は賛意を表したわけです。従いまして、この問題に対しましては、少くとも生産者団体の意見は徴しなければならん、その徴した場合に下のところを先に出して、そうして徴したという考え方は非常に駈け引き的な、而も成るべく価格を下げたいというお考えだ、それは食管会計においていろいろ無理からん点も察せられますが、こういう考え方は私は今年の甘藷価格決定に当りましては、少くとも支持価格である以上は、その支持価格こそ本年の生産者団体の販売に対する調整をする上において重要な問題だと考えるのであります。この点は先ほど来いろいろの人からお話がありましたから、私からちよちよい言いませんが、この点をどうしても直して頂かなければならん、一体その原料その他の甘藷農産物価格安定法によりまするあの生産予想というものに対しまして、誠に今まで米のほうが主であつたからということで言抜けがされておつたのでありまして、その予想額の発表はなかなかできなかつたのであります。再三私から申上げまして、漸くに発表になつたという中間発表であつたわけです。最近におきましては中間発表どころではない、もう相当わからなければならん。殊についでに申上げますが、米の収穫予想というものはそれに重点を置いて今までやられたという答弁でありまするから、米の収穫予想というものは今日わからなければならんと私は考えておる。この重要な問題、それに没頭しておりまする食管長官のこれに対する御労苦は察せられますけれども、この点はもう出ていなければならんと思うのです。それに対する発表を一つ願いたいということを先ほど申上げたのでありますが、これは何だか別にしてしまいまして、「いも」のほうだけをお話があつたようでありますが、これは私は今日できないとするならば、然らばいつこの予想を発表になるか、発表予想だけでも一つ知らして頂かなければ我々としては非常に立場上困ると思う。又いろいろの資料上我々としては困るのです。この点御回答を一つ願います。
  44. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 森田委員にお答えいたしますが、我々といたしましては、勿論法律の趣旨によりまして十分生産者団体の御意見を尊重いたしたつもりでございますので、決して駈け引き的にこういう低い価格を出してやつたというわけではございませんので、どうかその点は御了承願いたいと思います。只今の米の問題でございますが、米の収穫予想につきましては、十月十五日現在におきまして、目下統計調査部におきまして第一回の推定の収穫予想高を検討いたしております。これは恐らく数日中にできるのじやなかろうかと思つておりますが、御承知のように非常に本年度の作柄の調査につきましては困難な点があるようでございまして、十一月上旬のいつ頃になるかということはちよつと私も統計調査部から伺つておりません。これもできる限り、調査ができました場合におきましては、御報告申上げるということに考えておるわけでございます。なおこの際申上げたいと思いますが、その収穫予想はまだはつきりした確定はございませんけれども、我々といたしましては、目下食糧の需給につきましてもいろいろ検討いたしております。その点につきましては、又委員長とも十分御相談いたしまして機会を持ちたい、かように考えておりますことを御了承願います。
  45. 北勝太郎

    北勝太郎君 私が本日最初に質問をいたしましたのに対して御答弁があつた中に、実はこの価格決定は決して支持価格考え方ではないのだ。そこで生産者団体の自主的な一つ調整を期待する。それがためにこの価格を実は下のほうに持つて行く、こういう御答弁であつたと思うのであります。例えば原料価格のごときも実は下のほうに置くのだという御答弁であつたと思うのでありますが、ところが「いも」の生産者が製造業者に「いも」を渡すとき、このときと、あとで値段がずつと仮に尻上りしたとしまするならば、実は一遍手放した「いも」に対しては、再び価格生産者が上げてもらうことができない。そこで価格を上のほうに上げておく考えは、澱粉価格についてもでありますが、価格は成るべく下のほうに置いて政府に流れ込まんようにしたい、澱粉政府に流れ込まんようにしたいというお考えは、これはこの価格安定法の趣旨に違うのです。生産者の「いも」を手放すときと、それから澱粉の製造業者の手放す時期とは随分時間的に隔たりがある。而も澱粉は貯蔵力がきくのでありますから、そこで見込をすれば余ほどあとまで持つておることができる。そういうような場合におきまして年中平均をした価格が維持されるということが、政府は又そういう工合に仕向けて行くということが、即ち価格安定法の趣意であつて、その趣意によつて生産者は安心して自分の生産した「いも」を手放すことができる。そうでなければ、徒らに尻上りしたときにおきましては、下のほうに政府安定価格を置かれると、儲けるものは業者だけであります。そういうような趣意のことであるならば、これは業者のための価格安定法であつて生産者に対して価格を安定させる、年中平均しての価格澱粉価格をマツチさせるという点に合致しない。これは生産者にとつては甚だ迷惑な法律だということになつてしまつたので、いわゆる政府に流れ込まんために澱粉価格を下のほうに置くのだというお考え方は、根本的に違うと思うのでありますが、この点に対しての御答弁を願います。
  46. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。私が先ほど申上げたのは実は言葉が足らなかつたかと思いますが、そういう趣旨では毛頭ないのでございます。つまり政府といたしましては、一定の基準に基きまして支持価格決定いたすわけでございますが、更に生産者団体自主調整によりまして、その支持価格以上に市価が維持されるということを期待いたしております。特に生産者団体澱粉等におきましても、生産者団体の場合におきましては、農業協同組合系統では恐らく委託販売の形をとるだろうと思います。従いまして年間だんだんに売つて参りますと、あとの生産といたしましては、平均価格というものはこれ以上に上廻ることを期待いたしておるということを申上げたわけでございます逆に支持価格を低くきめておいて云々という考え方ではないわけでございまして、若しさようにおとりになつたならば、私の言葉が足らないという意味において御訂正を願いたいと思います。
  47. 北勝太郎

    北勝太郎君 澱粉製造業者は協同組合だけではないのでありまして、いわゆる業者がたくさんある。従つてあとから割戻しをもらう方法がないのでありまして、やはり澱粉価格は今後むずかしいことでありまするけれども、どんな点に一年中あるだろうという価格を見て、それに相当した「いも」の価格決定されなければいかん、こういう工合に思うのでありまして、この点につきましては製造する人全部が委託販売をして売るものとは限つておらん、ここに一つ考えを直してもらう必要があるのじやないかと思うわけであります。更に続いて伺いたいのは、今年の需給推算の中に、政府が買上げた澱粉或いは切干等で棚上げしたはずであるものを需給推算の中に織込まれておる、こういう行き方はこれは農民に対して非常に不親切な政府考え方である、成るべく澱粉価格を下げよう、「いも」の価格を下げようというために、棚上げにしたものまでもこれを需給推算の中に入れたということは、私はこれは大変な誤まりだと考えるのでありまして、それがために今年の価格は非常に安い線に置かれておるのでありますが、これは一つ根本に考え直しをしてもらわなければいかんと思うのでありますが、この点についてのお考えを承わりたい。
  48. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答え申上げます。北委員お話のように、成るほど業者の澱粉製造家があるということも了承いたしております。併しながら我々といたしましては、昨年度実績におきましても、業者からの買上は約三百万貫でございまして、あとの千七百万貫というものは協同組合の系統からの買入でございまして、当然のことでございまするけれども、農家といたしましては、農業協同組合を通じての共販態勢の確立ということは我々としても十分それを推進して参らなければならない、かように考えておりまするし、そういう意味におきまして御指導を願いたいと存ずるのであります。で、只今の需給の問題につきましては、御承知のように需給状況を考えまする場合におきましては、勿論すべての在庫が入るのは私は当然かと思います。ただ農産物価格安定法におきましては、市価を下廻つて或いはその年の買入価格を下廻つてつてはいかんという政府の売却の場合におきまする一限があるわけでございます。でありまするからして相当市価が高くなつて参る、原料基準価格を上廻る、政府買入価格を上廻るというふうな場合には、当然政府としても或る程度の売却は可能じやなかろうかと考えておるわけでございますが、現実の問題といたしましては、今まで買入れましたものを現在までにおきましては処分はいたしていないということを御了承願いたいのであります。
  49. 北勝太郎

    北勝太郎君 只今の御答弁では昨年の買上の実績から見て、協同組合の生産者団体のものが多いのだ。そこで自主的統制がされるというお話でありますが、実は今の協同組合の財政状態というものはそんな生やさしいことでない。而も協同組合の組合員が全部「いも」を作つているわけではないのでありまして、即ち組合の赤字のために協同組合が儲けたものは全部公平に支払われてしまうのでありまして、そこでそのほうに使われることに急にして決して生産費に金が戻るわけじやない。そこで折角そういうような考え方で今低くしておいて、あとで高くなつても皆に割戻しができるではないかということは必ずしも行われるものじやないという点を一つ考えて頂けば、ここに問題を訂正する点が出て来るのじやないかと、こう思うのでありますが、お考えを承わりたい。
  50. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お話のように、農業協同組合の経営が非常に困難であるということは我々も承知いたしておりますが、かといつてこの経営を建直すためにこそますます農業団体の共販態勢を確立して参らなければならないのじやなかろうかと考えるのでございまして、経営が苦しいから当然にそれは他の業者のところに参るという考え方でなくして、この苦しい経営を建直すためにも更に共販態勢を進めて行くということが必要ではなかろうかと考えるわけでございます。従いまして我々といたしましては、この価格を強いて低くしたという考え方は毛頭ございませんです。ただそれ以上に、今年のような状況から申しますると、市価が共販態勢の推進によりましてそれ以上に行くだろうという意味のことを申上げたに過ぎないわけでございます。
  51. 北勝太郎

    北勝太郎君 協同組合の経営の悪いのに対して、これを助成するには別の方法で行かなければならない。「いも」の生産者価格を安くしておいて、それで儲けさせて、それで協同組合を助けて行こうという考え方は現在の実情では当らないと思います。この点についてどうお考えになりますか。
  52. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 「いも」を安くするという考え方は毛頭ないわけでございます。ただ支持価格といたしまして、そこに一つの線を引きまして、それ以上に市価が高まるように、又今年の事情からいたしますると、高まるという可能性もあるわけでございますから、そこを一つ協同組合の共販態勢の推進によつてこれ以上の農家手取になるようにやつて頂こうと、こういうことでございますので、市価から逆算で、これくらい市価が高くなるから、ここを支持価格にするという考え方じやないのでありまして、支持価格といたしましては支持価格としての線を出し、それが市価以上にいろいろな需給の状況もございますし、又共同販売態勢の推進によつてそれが可能でございますから、そういうことをやつて行きたいということを申上げておる。特にそういうことをやるために市価を安くするという考え方ではないということを御了承願いたいと思います。
  53. 北勝太郎

    北勝太郎君 「いも」の生産者澱粉生産者が違うのです。澱粉製造者は違うのでありまして、普通の一貫した価格安定という考え方とはこれは全然違つて考えなければならない。「いも」の生産者に対しては、早く手放してしまいますから、そこでこれは普通の農作物価格の安定と少し違つた行き方をしなければならない。二重の考慮からやや一年中の価格と釣合のとれた見通しの下に価格をきめてもらわんと、「いも」の生産者は非常に迷惑する。こういう点を私は強調しておるのでありまして、政府の今の考え方では実は「いも」の生産者だけが犠牲になると、こう考えますから、その点についてのお考えを承わりたいと思います。
  54. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、政府といたしまして、農産物価格を安定する場合におきましても、そのものの性質上、取扱いとかいう面からいたしまして、「いも」につきましては澱粉を通して買上げるということによつて支持をいたしておるのであるという考え方でいることは北委員の御承知通りでございます。併しながらその場合におきましても、「いも」の生産者澱粉生産者との間におきまして、そこの取引関係が混乱すると申しますか、叩かれるということの虞れがあつてはならないという意味におきまして、原料基準価格というものを同時発表いたすわけでございまして、そういう意味におきまして、その原料基準価格を発表すると同時に澱粉価格を発表するということによりまして、その買叩きを防止して参りたい、かように考えておりますことを御了承願いたいと思います。
  55. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ大分澱粉価格の問題については甘藷馬鈴薯と入乱れて御質問があつたようでありますから、とにかく今日の発表されんとする政府決定案につきましては、恐らくこれは農家は満足しないということは当然であります。私どもは再々この価格についてはいろいろ要請をいたしたのでありますが、結果的に見ますると、今長官からいろいろとまあ説明を繰返しておられますが、取りも直さず我々が価格安定を支持した線に沿つていないということは、これは私は事実だと思います。ただ、今長官のお話でありますと、市価価格を引上げるということが大体の今回の場合でも或る程度これに沿つているというような意味のことを申しておるようでありますが、若し今度の価格決定によつて市価がそれより上廻るというようなことになるとするならば、これはこの市価の上廻る場合に、果して現在その生産者がその製品を持つているか持つていないかということを私は当然これは考えなければならないと思う、従つて当時から申上げましたように、出廻る直前にこれを決定すると言つておつたが、私は出廻る直前でなくて、製品直前にこれをやらなければいかん。従つて今のように製品にかかつて二カ月経つて今日やつと決定した、無論昨日あたりの決定を見ますと、市価がすでに百円くらい上つている、これは確かに上つているから、これは政府に売らないでも市価で売つたらいいだろうというお話になると思いますが、その百円上つたというのは生産者のものでなくて、中間業者のものであるという実体が本年もすでに結果的に見られておるわけであります。従いまして、そういう意味から二カ月のズレというものに対して政府がどのように考えておつたかということから、只今長官は北委員の質問に対しまして、協同組合の共同販売態勢をどうしても強化しなければならん、そういうことによつてこれらの問題は解決するというお話でありますが、協同組合が今の力では当然これらの問題に対しては全部原料いも」を買取つて政府価格決定したときに、それによつて政府に売るとか、或いは又市価が高ければ市価で売るとかいうことをして、地産者本位のことをとり得る段階ではないのであります。平常ならばそういうことができるかも知れませんが、特に本年の凶作という立場から行けば、そういうことは絶対にできない。私はすでにこの問題を審議するときからお話申上げましたが、現在までに例えば甘藷馬鈴薯澱粉原料に対する協同組合が生産者のものをそうした面から保護する意味において買取るというその点について、資金はこれは無論十分でないのですが、そういつた点で支障のないように資金の手配をどのようにしておられたかどうか、現在そのために政府はどのくらい協同組合に対して資金を融通しておつたか、この額を一つお示し願いたいと思います。
  56. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、協同組合の全体の態勢といたしましては、そういう農家の重要な生産物につきましては、すでに共販推進本部もできておりまして、これによつていろいろやつておられることと思います。ただこれの金融の問題につきましては、御承知のように協同組合の系統機関としての金融機関もございますので、それによつてその運転資金は賄えておるということに我々は考えておるわけでございます。只今お話の機関の問題につきましては、実は私たちも馬鈴薯の場合と甘藷の場合とにおきましては、そこに差異のあるということを考えなければならないということは考えておるわけであります。つまり甘藷澱粉の場合におきましては、大体十一月以降において生産され、実際の出荷は年を越すのが通例でございます。併しながら一方におきまして、馬鈴薯澱粉の場合には、これは北海道だけの場合でございまするけれども、そういうふうに時期のズレがあるということは了承いたしておりますので、明年度におきましては、これを分けて考える必要があるのじやなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  57. 松浦定義

    ○松浦定義君 私の今お尋ねしましたのは、そういうような共販態勢のために組織を作つておるということについては、これは当然でありますが、これは必ずしも馬鈴薯とか、或いは甘藷というものでなくて、全体の農産物に対するそういうことでありまして、私の申上げますのは政府価格安定法に基いて決定したこの両澱粉に対する特別な資金をどのくらい出しておるかということなんで、若しそれを出していないということになりまするならば、恐らく相当のものが業者の手へ入つておる、従つて決定するものについては業者の価格安定法になるという大きな原因になつておるということから、その金額をお示し願いたいと言うのであつて、若しないならないでそれは結構でありますし、あるならあると、ただ組織を作つていることは必ずしも安定法はできなくても、従来作つておつたのでありますから、そういう点をはつきり一つお示しを願いたいと思います。
  58. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 政府といたしまして、特別の資金を廻したということはないわけでございますが、御承知のように「なたね」の場合におきましても自主調整計画を中央団体で作りまして、それに所要の資金はすでに中央金庫から融通することになつておるわけであります。目下各府県に対しまして、中央団体といたしましては自主調整計画を立てるべくいろいろやつておるわけでございます。それに応じまして、勿論我々としましても中央金庫に対して資金の斡旋について尽力いたしたいと、かように考えておることを御了承願います。
  59. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体これ以上申上げましてもどうかと思いますから、この点は申上げませんが、ただ先ほど北委員からの御質問があつたと思うのですが、これは政府が今度の澱粉価格決定が昨年のが高過ぎた、本年は如何ような状態があつてもこれ以上は出せないという価格は、その半面には食糧不足から来る人造米原料の半分を占めるこの澱粉の問題と関係があるのじやないかということについて、そういうことはないというようなお話があつたようでありますが、恐らく現状におきましては、そういうことがないということはないと私は思うのでありまして、少くともこの人造米政府が相当力を入れておる、この政府人造米に対する力の入れ方につきましても、過般の本委員会においてもいろいろ検討をなされたのでありますが、更に今その点を強く私が申上げたいと思いまするのは、この人造米は果して本当に国民食糧の不足に堪え得るようなものになるかどうかということについては、これはいろいろ科学的な問題で御検討はなつておると思いますが、私は関連性のあるこの澱粉との関係から行きますと、最近業者の動きが恐らく人造米を作る会社に関係する者、それらが製粉或いは澱粉業者等との非常な繋がりがあるということを実は聞いておるわけであります。これは事実私ども北海道の現地にも相当業者が進出をいたしまして、来年の一月から日産二十トン或いは三十トンといつたような工場をどんどんと今設置しようとしておる、従つて政府はそれらの施設に対して大体半額の助成をするという、従つて又それに対する払下の澱粉価格につきましても、今買上げておる価格では当然ほかの食糧とは均衡がとれない関係から、政府は必ずこれに対して助成をするような意味でやらなければならんだろう、従つて政府のほうは昨年買上げた澱粉の量がどのくらいあつて、更に人造米としてどの程度を払下げるか、その払下価格買上価格との差はどれくらいであるかというような点を一つわかりましたらお知らせ願いたいと思います。
  60. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 先ほども北委員にお答え申上げたわけでございますが、我々といたしましては、この澱粉価格人造米との関連は全然考慮いたさなかつたことを重ねて申上げたいと存ずるのであります。只今人造米の点につきましては、半額助成ということは或いは松浦さんの誤解かと思いますが、融資の面におきまして、普通の場合におきますと、大体開発銀行等の融資が半額融資ぐらいになつておるから、開発銀行に融資を斡旋する場合にはその程度になるだろうということでございまして、その点は御了承を願いたいと思います。で、人造米生産につきましては、目下各方面においてそれぞれ計画を検討されておりまするが、まだ我々のところに具体的に進んで参つておるというものは現在はまだございませんが、現在におきましては約十工場ございまして、月産二十五百トン程度生産があるわけでございます。これは今年度のような状態又消費の状況等から考えまして相当の生産が増加されるだろうということが考えられるわけでございますが、この価格につきましては、御承知のように政府で買上げるとか、何とかいうことを我々としては考慮いたしておらないわけでございまして、自由価格になるわけでございますが、ただこの価格が相当消費が進むに連れまして高くなるということは、これはやはり抑えて参りたいというような考え方でおりますので、まあどの程度価格を持つて行つたらいいかということにつきましては、大体内地米のもの前後が消費の状況からいつて適当ではなかろうか、かように考えておる次第でございまして、具体的に何円にするということは、今後更にコストその他も検討いたさなければなりませんが、それを以て公定価格を作るとか、或いは統制をして行くという考え方ではないわけでございまして、できるだけ消費者のほうに対して消費が増進されるように指導して参りたいと、かように考えておるわけでございます。仮に澱粉の所要量につきましては、これは規格の面におきましても、澱粉の混入割合が幾らということはこれは決定いたさないわけでございまして、恐らく全体の三〇%乃至四〇%程度のものが使われるのじやなかろうかというふうに推定いたしておるわけでございますが、まあそういう場合におきますると、十万トンも生産されますれば、その原料といたしましては、四〇%の場合におきましては四万トン程度の需要が起ると、かように考えるわけでございまして、これにつきましては馬鈴薯澱粉はそのくらい消費されるかと存ぜられまするが、甘藷澱粉の場合におきましては、砂をとる問題とか、或いは又脱色の問題等がございまするので、今後の甘藷澱粉の使用につきましては更に研究が進まなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  61. 松浦定義

    ○松浦定義君 私の今の質問した中で、政府買上価格と払下価格との差はどのようにお考えになつているかということがあるのですが、もう一度その点をお伺いしたい。
  62. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 政府の払下価格につきましては、まだどの程度にするかということは決定いたしておりませんが、勿論我々といたしましては、ほかのものの価格及び人造米のコスト等を十分検討いたして決定いたして参りたいと、かように考えておるわけでございます。現在におきましては、政府澱粉の払下はまだいたしておらないわけでございます。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとお伺いしますが、切干いも」ですね。それから甘藷馬鈴薯澱粉にする場合の歩留りですね。生産過程における歩留りが、勿論品種、機械、地域等で歩留りの率も違うでしようが、大体平均どのくらいの歩留り率を見て計算せられたかということと、それから澱粉に直します、又は切干を作つて行く生産過程における生産費をどれくらいに参酌して行かれたか、これを一つお伺いしたい。どの価格をどのくらいにみてこの価格があるのか。
  64. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 切干甘藷の場合におきましては、大体歩留りを三五%程度に考えております。併しこれは清澤委員も御承知のように「いも」の品種、地域等によつて相当違うわけでありまして、一応平均的なものでございまして、それぞれ地帯なり、品種によつて違うことは御存じの通りであります。それから……。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 馬鈴薯とそれから生「いも」の同じ歩留り……。
  66. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 甘藷澱粉におきましては、御承知のように昨年度も二〇%と考えておつたわけでございますが、これはやはり甘藷につきましては、九州等の場合におきましては、もつと高い歩留りになりましようし、それから又関東においてはもう少し低い歩留りになる、これは品種の関係、それから地域の関係等で非常に違うわけでございまして、これを一定するということは非常にむずかしい問題でございますから、一応昨年度におきましては、そういう割合で考えたわけでございますが、本年度におきましては、大体一九%程度に平均してなると申しますか、考えておるわけでございますが、これは非常に一つの地域的な数量の関係、品種の関係等で非常にむずかしいと思います。
  67. 清澤俊英

    清澤俊英君 馬鈴薯は……。
  68. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 馬鈴薯につきましては、未粉の場合におきまして一四・五%であります。
  69. 清澤俊英

    清澤俊英君 今生産費をどのくらいにみておられるか、勿論あなたが言われるように、機械の能率もありましようし、地域の点で関東と鹿児島のようなあれもありましようし、品種の差異もあることは承知しておるのでありますから、大体平均の生産費をお伺いしたいのです。
  70. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 大体甘藷澱粉につきましては、加工費を四百六円程度見ております。それから馬鈴薯澱粉の未粉の場合におきましては四百三十四円六十幾銭というふうに見ておるわけであります。切干につきましては百四十一円ということになります。
  71. 白井勇

    白井勇君 先ほど河野委員の検査の問題についての質問に対しまして長官の御答弁を伺いましたけれども、あれはよく御承知なのかも知れませんけれども、先ほどの御答弁のみによつて解しますと、それじや今年も又困る事態が起りやしないかということで御注意申上げるのですが、或いは途中で欠損を来たしたとか、何とかいうような事故の関係じやなしに、これは問題が門司なり、東京なりという大きいところに、まあ不十分ながらも一応規定によりまする検査を実施し得る器具機械があるわけですね。又それに伴います能力もある。ところでそれに準ずるようなものが少くも末端に何もないのですよ。そこが一番問題で、それに伴いまして、第一線にそう技術者もないということですから、余ほどこのことはお考え願いませんと、同じことを繰返すことになると思うのです。これは先ほど長官のおつしやつたような国の検査はどこへ行つても間違いないのだということであれば、これは余ほどお考え願つておかなければならないのじやないかというのが、これが私の御注意です。それから今伺いました価格の問題につきましては、いろいろお話が出ましたから重ねて申上げませんが、要するに、私といたしましても、いろいろな農作物が一切合切値上りしておる場合に、これだけは止め置きである、或いは安くなつているということは、従来のものが高かつたというふうに考えるほかはないと思うのですが、そこで私はちよつと承わつておきたいのは、澱粉だけはどういう点が合理化されて計算上安くなるのですか。例えば生「いも」は大体止め置きだ、切干はこれは或る程度上つた、ところが澱粉だけは下げ得たということは、これはどういう計算になるのですか。やはり生産費、こういう点を合理化してこういうふうになるという計算ですな。主にどういう点が合理化されたと解釈すればいいのですか。
  72. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) お答えいたしたいと思います。御承知のように、昨年度澱粉価格をきめました際は、行政措置としてやりましたので、各澱粉工場に対する調査も不十分であつた点が若干あつたかと思いますが、今回は法令に基いた第一回目の価格でございますので、全国の主要生産工場につきまして細密な原単位調査をやりまして、それに基いて算定をいたした関係上、若干そこにおいて開きが出て来たのが第一点でございます。又澱粉工場が「いも」を買取ります場合における包装関係というものが、実際においては相当バラで購入しておるというような実例もありますので、そういう点も或る程度調査の結果判明して参りましたので、それらを考慮してきめたわけであります。併し全体といたしましては、去年と比べまして九円下つた、こういうことでございます。
  73. 白井勇

    白井勇君 私先ほど来話が出ておりまする人造米との関連があるのじやないか、これは資料にもはつきり出ておりまするが、長官の答弁がございましたから、それはその通りだろうと思いまするが、私この法案が論議されます場合に指摘いたしまして、やはりその売却の場合に買入価格より下げることを得ずというあの条項というものが、実際こういう場合になりますると、いろいろと支障があるのではないかと私は思うのですが、どうですかね。今だつて法律改正をやる御意思はあるかどうか、ここで確かめるわけではありませんが、実際やつて御覧になつて、どうも私はあの当時からそういう考えを以て見ておつたわけですがね。
  74. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 御承知のように、農産物価格安定法では、時価又は政府買入を下つてはいけない。ただ但書がございまして、新規用途或いは整理売却という例外があるわけでございます。我々といたしましては、現行の制度の下でやつて参りたいというふうに考えておりますので、法律を改正してというふうなことは毛頭考えておりません。
  75. 北勝太郎

    北勝太郎君 先ほどの御答弁では、澱粉生産費が四百三十六円とお答えになつたと思うのでありますが、この四百三十六円は馬鈴薯澱粉の費用でありますが、先ほど申しましたように、馬鈴薯澱粉のほうは火力乾燥であるために、それだけで約三百円かかる、火力乾燥の費用が……。そうすると、甘藷澱粉の四百六円との差は僅か三十円しか見てない。これは生産費のときに〇を一つ落されたと、火力乾燥費の三百円要るやつを三十円と間違えたのじやないかと思うのでありますが、一つ御答弁を願いたい。
  76. 斎藤誠

    説明員(斎藤誠君) お話の点、甘藷澱粉馬鈴薯澱粉の製造費については燃料費が非常に違つておるということは十分承知しておるわけでございます。お話の燃料費がどれだけかかるかという点については御議論のあるところだと思いますが、我々はこの点につきましても、生産者団体と相談いたしまして、どの程度に見るのが合理的であるか、現地に参りまして調査いたしました結果に基きまして原単位量で計算いたしておりますものですから、こういう数字で合理的だろうと思つたわけであります。
  77. 北勝太郎

    北勝太郎君 そうすると、馬鈴薯澱粉火力乾燥費を何ぼと見ておられるのでありますか。
  78. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 企画課長はあとで御報告するそうであります、今ちよつと調べてからでないとわからないそうですから……。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつとおかしなものが出て来やせんか、こう思うのですが、昨年澱粉の買上が千八百五十円、今年が千七百五十円、値段が下つております。歩留りがいずれも昨年より下つておる、こういうので、元来ならば澱粉価格が上らなければならないわけのように見えますが、澱粉価格が逆に下つて、従つて非常に無理が粉澱価格の上に出て来ておることがこれでわかりますが、結局すると、一応の押えが澱粉価格を下げておいて押えて行くならば、「いも」の値段が仮に去年据置きにしても、自然的に澱粉価格からの逆算で逆戻りするというようなことが考えられますが、これは……。
  80. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 昨年度も大体「いも」の価格は二〇%歩留りとして二十八円でございます。本年度も二〇%、歩留り二十八円でございます。従いまして、これはもう御承知のように、「いも」の値段が品種その他によつて一律に参らんわけでございますから、やはり澱粉原料となります場合におきましては、甘藷の場合におきましては、歩留りによつて当然格差が付くことはこれは当然のことであります。
  81. 松浦定義

    ○松浦定義君 ちよつと、私はこれはまあ別な話ですが、実は今年の冷害は昭和九年以降だという人もある、或いは又数十年来にない冷害だという説もあるのですが、いずれにいたしましても現実ははつきりしておりまして、我が国の食糧政策から言つても非常に困つた問題だと思うのですが、俗に言います、この災害を天災だというものもあり、或いは又人災だ、或いは政災だと、それぞれの立場で批判はしておりまするが、現実の結果は、やはりこの冷害に堪え得るような優良なる品種がなかつたということに原因しておると思うのです。従つて私どもは先般岩手、青森等を見ましたときに、青森県の藤坂試験場へ行つたときに、初めて私どもは成るほどこれは試験というものは必要であるということを感じたわけであります。そこで私はいろいろ政府といたしましても、そういう問題について今後大いに研究をされるために、今回の補正予算の中にもどの程度見られるかということを関心の目を以て見ておつたのですが、現段階におきましては、全国のこうしたあらゆる施設に対しまして五千三百三十五万ですか、その程度くらいの予算しかない、これじやなかなかあの技術者が辛苦いたしまして続けましても、結果的に農家が実際にそれを受入れるようなことにはほど遠いものがある。併し現段階におきまして効果の上つておるのは、今申上げましたような、あの藤坂試験場が中心となりまして、今日まで十数年間に亙つて研究しましたあの藤坂五号、これがあることによりまして東北六県のこの冷害を最低限度にとどめた、少くともこの品種がもつと徹底しておつたならば、恐らく今回の冷害もこんなにまで甚大ではなかつたというふうに考えておるのですが、政府といたしましては、こういうような、まあ俗に言う農村或いは農民から見ますと、隠れた研究者或いは又そうした機関に対して今どういうような手を打つておるか。ただ私の申上げますのは、それらの施設に対していろいろな施設費を拡充し、研究費を増すということでなしに、精神的にどういうようなことをしておるか、例えばそれらに対して政府は挙げて感謝の意を表するとか、何かそうした人に対してこの際労を多とする意味においての処置はどうしておられるか、私は非常に遺憾に思つておりましたのは、今年の六月以降の九州の風水害、あのときも私は農林委員会その他で参りましたが、保安隊が一部出動した。一部出動したということによつて、これは確かにああいう場合は保安隊が出てやつてくれたことに対しては地元民初め関係者は非常に感謝はしておつたと思いまするが、これは当然国の機関が持つておるものが動いただけのことであつたにもかかわらず、聞くところによりますと、保安隊は表彰されておる。堂々と新聞に発表して表彰されておる。にもかかわらず、この何千億といつたような損害を最低限に食止めた、この隠れた機関に対して何ら農林省は手を打つていないということは非常に遺憾だと、こう思つておりましたが、丁度昨日の朝日新聞にそのことが社説として十分謳われております。そのことは私はどうも新聞記事に現われてからやるのでは非常に遅いのでありますが、それでもやはり当然やらなければならんことは私はなすべきでありまして、この際一つ農林当局といたしましては、藤坂を中心といたしまして、それらの関係者に対し、更に又東北六県が中心となりましてやつておりまする保温折衷苗代につきましても、隠れた方々がおられると思うのです。これらを中心としてあまねく一切の個人に及ぶまで、やはりこの食糧事情に対する今後の供出意欲或いは増産意欲に対する一つ考え方として、当然私は実施さるべきだと思うのですが、今日までどのようなことを……、我々知らないうちにやつておられるかと思いまするが、やつておられるか、或いは又今後やられようとしておるか、その点について一つ御所見を伺いたいと思います。
  82. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 松浦委員ちよつと申上げますが、今の御質問の大部分はむしろ改良局長のほうが中心になられる議題じやないかというふうに考えられますので、食糧庁長官から何かお答えがあればするといたしまして、後日又改良局長のお見えのときに改良局長からもお答えを頂くようにいたしたならばどうかと思います。委員長のほうから御連絡はいたします。何か食糧庁長官のほうから……。食糧庁長官のほうからは別に御意見がないそうでございますから……。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体お伺いしておりますが、澱粉会社が価格協定をしまして、協定の値段で「いも」を買上げまする場合には融資を受けられるのですね。これは規定上そうなつておる。そこでそういう申請をして発表価格の「いも」を買いまして、そこでできた澱粉はどうしても政府に売らんでもこれはいいのでありますかどうか。これは売らんでいいように承知しておりますが。
  84. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 勿論お話のように政府に売らなくてもいいのであります。ただ清澤さんのお話のように、政府では澱粉買上の場合におきます生産者団体自主調整につきましては資金の斡旋等をいたしたいと思つておりますが、個々澱粉工場に対する融資ということは現在においては考えてない。これは農業協同組合の場合におきましては、それぞれの団体の金融によりまするし、又個々の場合におきましては、多くの場合に商工中央金庫等の融資の対象となつておるわけでございます。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、これは生産費、歩留り等計算してみますと、ちと辛い澱粉生産になると思うのです。そういう辛い生産でこういう価格がきまつて行つた裏には、結局「いも」の値を安く抑えるために澱粉の無理を承知して、従つて生産するまでのうちは「いも」の買入等に融資を受ける。そのあと現在も多分澱粉価格は新聞などでは千七百五十円じやないかと思つております。今少し上つてやせんかと思います。こういうような状態になりますと、安い価格澱粉を一応承認しておつて、安いというよりちよつと不合理ですね。不合理価格で承認して出ておつていも」の価格を抑えて行く。去年なみに抑えて、そうしてそこにでき上つたものは政府に入れなくてもいいんだから市場にぷつと流してしまつて一応けりをつければというようなことが考えられるので、何かここに不合理が残る。非常に腕のいい商人ならば何かやる隙がありやしないかと、こう思うのですが、それらの点どうお考えになつておりますか。
  86. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 清澤さんも御承知のように、政府といたしましては、全体としての澱粉価格の維持を図る。そのために一定量を政府が買上げることによつて価格の安定を図ろうと、かような趣旨でございます。従いまして、全体といたしましてはお話のように澱粉価格は自由でございまするし、売る場合も自由なんでございます。従いまして我々といたしましては全体の澱粉価格が安定し、維持されますれば、当然その「いも」の原料価格というものが維持されるだろうと、かような考え方でおるわけでございます。ただ政府が買上げまする場合におきましては、その澱粉価格原料基準価格で買つた「いも」で以て作られたと申しますか、そういう「いも」を買つておるということの逆の反証というか、つまり買つておらないというような反証がありまする場合におきましては、これは政府の買上げにしないということによつて、ここに一つの制裁と申しますか、制限を置いてあるわけでありまして、多くの場合におきましては、農業団体が主でございますから、農業団体の場合におきましては無条件委託が原則だろうと思いますからして、その市価の状況によつて割戻しがあり得るものだと、かように考えておるわけでございます。
  87. 清澤俊英

    清澤俊英君 これで質問はやめますが、いろいろ御親切な御説明有難うございました。何かしら只今申したような感じがしますので、一応今年度の公定澱粉消費市場の少し動きを見てからでなければはつきりしたことは申せません。何かしら私はそこに大手筋の大掛りの筋が見えるように考えておりますが、これはまあまだ出て来ない現象でございますから、これくらいでやめておきます。それで委員長どうです、「いも」の問題が済んだらちよつとほかのほうをお伺いしてみたいと思いますが。
  88. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 食糧庁長官にですか。
  89. 清澤俊英

    清澤俊英君 はあ。ようございますか。
  90. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) どうぞ。
  91. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはそれでよろしうございますが、実は先般そこへ検査米の標準米を並べて出しましたのですが、早速常任専門員を通じまして、その見本を全部頂戴して国許に送つたのであります。実は今年は幾らか手加減をするというお話であるが、実質は検査がからい、こういう農民の声が一般に起つておるので、それであれを送つて、からいか、からくないかはその検査標準米と突き合して見てくれんかと、こういうので持つて帰りましたところ非常な差がある、非常にからい、あれを標準米として充てますならば一級以上の違いがある、こういうことを言うて参つておるのでありますが、これについて食糧庁のほうから誰か現場へ派遣して現実買上げておる米を一つ対象にして、勿論調査して頂きますと同時に、私どももその実質の等級を受けました米と対比して持つて参りますが、その際差異があつたら当然等級の取扱いを直して頂けるだろうと思いますが、その点はどうでございましよう。
  92. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) お答えを申上げますが、検査の問題につきましては二通りにお考えを願いたいと思います。一つの点は、検査の規格の問題でございます。規格の問題は御承知通り検査制度といたしましては一つの理想と申しますか、目標を掲げまして、ここ数年来動かしておらないわけでございます。でございますからして、我々も従来申上げましたことは、規格の点につきましては、本年度におきまして等外の上下を新らしく作つた、これは規格の面でございますと同時に、本年度作況に応じまして、検査標準米については、その県それぞれの事情によつて標準米を作つて参りたい、その際におきましては十分本年度の実情も考慮したいと、まあかように申上げておるわけであります。先般検査につきましてお見せいたしましたのは、恐らくこの近県のものじやなかろうかと思います。で、御承知のように検査標準米につきましては各県におきまして標準米の査定会がございまして、その際は本年度におきましては、生産者団体にも特に御通知申上げました。そうして一般的に公の場所におきまして検査の標準米を作つて参るわけでございます。各県々々によつて標準米の状態は違うと思います。で、これは本年度におきましては、各県の作柄なり、状態というものはそれぞれ違いますものですから、そういう意味におきまして、各県の標準米についてはその県の状況に、実態に応ずるように作らすように指導いたしておるわけでございます。そうして而もその査定の場合におきましても、特に本年度におきましては査定日を生産者団体に御通知を申上げて参加して頂く、こういう方法で以て進めておるわけでございますので、一つの県の標準品と、この前もお見せいたしましたのは、恐らく五等と等外じやないかと思います。その五等と等外米につきましては、その査定の場合に、おきまして十分作柄、実態を勘案いたしまして標準品を作つておるわけでございます。ただ現在の買入れておりますものは御承知のように五等以上を買上げております。その点で先般申上げて参りました等外とは勿論格が違うことは、これは御了承頂けるかと思います。
  93. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはおかしい。いつもよりからい。これはもう検査の真最中でいつもよりからい。そうすると、からい標準を見なければならん。それからいま一つ、非常に長官はその県その県で大体標準米を作るということを言われておるが、先に一昨年か、昨年からよつと記憶がありませんが、福井産を中心とした標準米を作つたということで大騒ぎをした。新潟県の米は大体乾燥が悪いのは御承知通りです。ところが福井の標準をやられたというので等級がうんと下つた、ひどい目に合つた。あれだけの米産県として米だけに頼つて何十県分を出しておる新潟県が下げられるということは、県としてこれは余ほど考えてもらわなければならん。去年よりからいからいと言いながら、からいわけはない、こういう標準でやつたということで持たしてやつた。そうしたら一等ぐらい違う。これは見解が違うかも知れないが、米の作の悪いことはどこでも各県同じだと思う。たまなか秋場において近年にない晴天が続きましたけれども、どんなところでも少くとも一割か、五分ぐらい減収しておる、そういうことを考えてもらつたならば、米だけに頼つて何十県分を出しておる新潟県がそういう取扱い方では実際農民は収まらないと思う。いずれ現物を持つて参上するだろうと思いますが、私はわかりませんが、今日までの報告ではそういう報告を受けておりますから、実際の問題として御考慮願いたい。
  94. 北勝太郎

    北勝太郎君 新標準を適用するには、新標準を第一作るためには、相当その地方の米が出廻らなければ新標準ができないはずです。従つて早場に出した地方は新標準がわかるまでは昨年の標準でやりますから、従つて今年の米の品質の状況と非常に違つた検査をされております。今後そういうことになると思うのでありますが、言換えますれば、今年の標準は恐らく一等ぐらい低い、去年の標準を頭に入れて検査する人から言えば、恐らく一等ぐらい低いものになるのだ、御承知のように検査する人は標準品ばかり頭にあつて、その標準品を規格にして検査をしますから、結局去年の標準でやられた人は恐らく一等級ぐらい下つた等級を受けておるに違いない。こういう工合に思われるのであります。従つて早出し米で少し割高にしてもらつたようだけれども、今年のような作の悪い年になりますと、早出しをした人は一等だけの検査の損をするという結果になると思うのでありますが、これは再検査させて、そうして今年の標準にすつかり合うものに直されるお考えはないか、そうするのが私は公平だと思う。去年の標準品を先入主にして調べたものでやられたのでは、この不作がより以上の又検査で不作になる、こういうことになると思うのでありまして、再検査をされる意思があるかどうか、新らしい標準によつて一つ再検査する、早出し米を出したものに対しては、そういうような御意思がないかどうか、これは実際経済上重大な農家としては問題だと、そう思われますから、その点一つお答え願いたい。
  95. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 我々といたしましても、その年度の検査の標準品を作ります場合におきましては、できるだけ早くやるということで努力をいたしたわけでございますが、非常に早い時に出ます場合においては、お話のような場合も絶無とは申上げられないかと思います。ただ御承知のように本年度の状況からいたしますると、早場で供出いたしたものは、もう右から左に我々としては配給せざるを得ない立場にありますものですから、大部分のものは相当処理されておるわけでございますので、我々といたしましては、現在すでに買入れたものにつきまして、現在買入れたものは相当部分というものは新らしい標準によつてつておると思いますから、例えば九月中に出たものについては、或いは前年度のものによつてやらざるを得ないものもございます。併しこれはもう殆んど消費した実情でございます。これを検査し直すということは考えておらないことを御承知願いたいと思います。
  96. 北勝太郎

    北勝太郎君 現在米が或いは左から右下、ほかに行つたかも知れませんが、標準品、これは一つ見本を必ず残してあるわけです。そこで見本について検査をし直して、現物はないけれども、等級を上げてやる。これは可能性のあるものであります。それはどういう工合になるのでありますか。
  97. 前谷重夫

    政府委員前谷重夫君) 理論的には、これはそういういろいろな無理をすればできないことはないかと思うのでありますけれども、御承知のようにこれは例年もございましたが、特に本年度におきましては、早く出してある分はもう食つてしまつている。御承知のようにこれは大先輩の白井さんもおられますが、検査というものは、一つのこれは重要な恒久的な制度でございますので、現物を見ないでこうだろうというようなことでどれもこれも変更することは、私は検査としては一つの行政的な措置によつて曲げられる虞れがありますので、そういう点がございますので、今後といたしましては、できるだけ早く一つ検査標準を作りたい。従来も努力して参りましたが、今後も努力して参りたいと、かように考えますので、そういうことで一つ御了承願いたいと思います。
  98. 北勝太郎

    北勝太郎君 先ほど申上げましたのは、抜取品の見本がちやんとあるのですよ、検査したところには必らず……。だから現物を見るわけです。現物を見る可能性があるわけです。従つて今の御答弁では私は当らんと思う。もつと親切に考えれば、一つそれによつて抜取品で見て何も差支えない。量目その他はもう先に見てあるのだから、そこで抜取品で見れば、それでもう何も不都合なことはないのであります。抜取品によつて検査して等級のいいものに当てはめるべきものは当てはめてやるのが、これは親切じやないか。どうか政治も、行政もそういう工合に親切にやつてもらいたい。今年の困つた農家をより以上に苦しめることがないようにするのが、これが大切なことだと思うのです。御答弁ありませんか。
  99. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) まあ十分に北先生の御意見を拝聴して考えると思います。  本日の委員会はこれで散会いたします。    午後一時九分散会