○松浦定義君
ちよつと、私はこれはまあ別な話ですが、実は今年の冷害は
昭和九年以降だという人もある、或いは又数十年来にない冷害だという説もあるのですが、いずれにいたしましても現実は
はつきりしておりまして、我が国の
食糧政策から言
つても非常に困つた問題だと思うのですが、俗に言います、この災害を天災だというものもあり、或いは又人災だ、或いは政災だと、それぞれの立場で批判はしておりまするが、現実の結果は、やはりこの冷害に堪え得るような優良なる品種がなかつたということに原因しておると思うのです。従
つて私どもは先般岩手、青森等を見ましたときに、青森県の藤坂試験場へ行つたときに、初めて私どもは成るほどこれは試験というものは必要であるということを感じたわけであります。そこで私はいろいろ
政府といたしましても、そういう問題について今後大いに研究をされるために、今回の補正予算の中にもどの
程度見られるかということを関心の目を以て見ておつたのですが、現段階におきましては、全国のこうしたあらゆる施設に対しまして五千三百三十五万ですか、その
程度くらいの予算しかない、これじやなかなかあの技術者が辛苦いたしまして続けましても、結果的に農家が実際にそれを受入れるようなことにはほど遠
いものがある。併し現段階におきまして効果の上
つておるのは、今申上げましたような、あの藤坂試験場が中心となりまして、今日まで十数年間に亙
つて研究しましたあの藤坂五号、これがあることによりまして東北六県のこの冷害を
最低限度にとどめた、少くともこの品種がもつと徹底しておつたならば、恐らく今回の冷害もこんなにまで甚大ではなかつたというふうに考えておるのですが、
政府といたしましては、こういうような、まあ俗に言う農村或いは
農民から見ますと、隠れた研究者或いは又そうした機関に対して今どういうような手を打
つておるか。ただ私の申上げますのは、それらの施設に対していろいろな施設費を拡充し、研究費を増すということでなしに、精神的にどういうようなことをしておるか、例えばそれらに対して
政府は挙げて感謝の意を表するとか、何かそうした人に対してこの際労を多とする
意味においての処置はどうしておられるか、私は非常に遺憾に思
つておりましたのは、今年の六月以降の
九州の風水害、あのときも私は農林
委員会その他で参りましたが、保安隊が一部出動した。一部出動したということによ
つて、これは確かにああいう場合は保安隊が出てや
つてくれたことに対しては地元民初め
関係者は非常に感謝はしておつたと思いまするが、これは当然国の機関が持
つておるものが動いただけのことであつたにもかかわらず、聞くところによりますと、保安隊は表彰されておる。堂々と新聞に発表して表彰されておる。にもかかわらず、この何千億といつたような損害を
最低限に食止めた、この隠れた機関に対して何ら農林省は手を打
つていないということは非常に遺憾だと、こう思
つておりましたが、丁度昨日の朝日新聞にそのことが社説として十分謳われております。そのことは私はどうも新聞記事に現われてからやるのでは非常に遅いのでありますが、それでもやはり当然やらなければならんことは私はなすべきでありまして、この際
一つ農林当局といたしましては、藤坂を中心といたしまして、それらの
関係者に対し、更に又東北六県が中心となりましてや
つておりまする保温折衷苗代につきましても、隠れた方々がおられると思うのです。これらを中心としてあまねく一切の個人に及ぶまで、やはりこの食糧
事情に対する今後の供出意欲或いは
増産意欲に対する
一つの
考え方として、当然私は実施さるべきだと思うのですが、今日までどのようなことを……、我々知らないうちにや
つておられるかと思いまするが、や
つておられるか、或いは又今後やられようとしておるか、その点について
一つ御所見を伺いたいと思います。