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1953-11-26 第17回国会 参議院 内閣委員会行政機構の整備等に関する小委員会 閉会後第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年十一月二十六日(木曜 日) 午前十時四十七分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
小酒井義男
君
委員
竹下 豐次君 天田 勝正君 松原 一彦君 野本
品吉
君
事務局側
常任委員会専門
員
杉田正三郎
君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
説明員
日本電信電話公
社副
総裁
靱 勉君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
公社制度
に関する件
—————————————
小酒井義男
1
○
委員長
(
小酒井義男
君) それでは
只今
より
内閣委員会
の
行政機構
の
整備等
に関する小
委員会
を開会いたします。 本日は
公社制度
に関する調査を議題といたします。
日本電信電話公社
は、
昭和
二十七年の
機構改革
によりまして
電気通信省
が廃止せられました結果、従来の
官業
から
独立採算制
による
公共企業
の
形態
に変更されたのであります。
日本軍
々
公社
が昨年
業務
を始められてから今日までの
経験
によ
つて
、現在の
公社制度
が
官業
と比較して経理、
能率等
の面において特に有利と認められる点はどういう点であるか、又不利と認められる点はどういう点であるか、なお他の
公共企業体
におきましても、従来の
官業時代
に比し、国の
監督監察
の力が弱くな
つて
おるので、
業務
の上においては、ルーズな面が随所に現われて来たという世上の噂も聞いておるのでありますが、これらの点について本日は当
委員会
におきまして、
靱副総裁等
より
説明
を承わることにいたします。
靱勉
2
○
説明員
(靱勉君)
只今
の問題につきまして簡単ではございますが、私から御
説明
申上げたいと思います。
日本電信電話公社
は、発足前におきまして、実は昔の
逓信省
が
戦争
中に
運輸通信省
となり、更に
内閣
に
逓信院
というものが設けられ、
終戦
後におきまして又
逓信省
が復活いたしたのでありますけれ
ども
、二十三年の
マツカーサー書簡
によりまして、
専売
、
国鉄等
は
公共企業体
が適当であろう、
電気通信
につきましては更に
能率
的な
経営
をするために、
政府機関
として
逓信省
を二つに割るべきではないだろうかというような
書簡
が出ましたので、二十四年の六月一日には
電気通信省
というものが初めて設定されたわけでございます。ところが二十四年当時におきましては、
電信電話
の
施設サービス
というものは非常に悪か
つたの
でございまして、御承知の
通り戦争
中におきまして殆んど
施設
の
拡張整備
ができなか
つた
。又
施設
の保守というものが十分にできなか
つた
。そこへ持
つて
参りまして
終戦間際
におきまして全国的に大爆撃を受けました結果、
電話
も
電信
も殆んど半分以下にな
つて
しま
つた
というような
事態
から、
終戦
を迎えまして、一方におきまして我が国の
産業経済
の
復興
という方面から非常に
通信
に対する
需要
が増大した。もともと
電信
におきましては八十年の
歴史
を持ち、
電話
におきましては六十年あまりの
歴史
を持
つて
おりましたが、特に
電話
につきましては、もう
戦前
から常に
需要
に対して供給が応じ得ない。この八月一日に実施されました
公衆電気通信法
、もとの
電信法
を根本的に改正いたしましたものでございますが、そのときにおいて初めて
明治時代
に申込んだ
電話
の整理までしなければならんというような次第でありまして、
電話
の
国民
の
需要
に対しましては、
官業
といたしまして常にその
需要
に対応できなか
つた
。これがあるが故に常に官営の
一つ
の非
能率
的な
事業
としてしばしば過去におきましても
非難
を受けた
事業
でございます。これは一に国の
財政
に左右されまして、
戦争
中におきましては勿論
施設
の
拡張
ができない。戦後におきましては非常に
施設
の
需要
が増加するにかかわらず、これに対する
施設
の
資金
が調達できない。
公債
によ
つた
場合もございますが、なかなかかかる生産的な
公債
につきましても、国の
公債
としましては同じ色に塗られまして、
公債
の発行も十分できない。
勢い電話
を
希望
されるかたに
負担金
を頂戴する、まあ甚だしいときにおきましては、当時の昔の金で千五百円も
負担金
をお出しにならなければ
電話
がつかない。
電話
というものは全く資力の非常に高いかたしか利用できないというような
状態
にな
つて
お
つた
。そこで先ほど申したような戦後の
事態
に対しまして、これでは到底どうも
電気通信
の役が立たんという
非難
がごうごうと起りまして、二十四年には
国会
におきまして、両院とも
電信電話
の
復興決議
が行われまして、
政府
はそれに基きまして
内閣
に
電信電話復興審議会
というものを設けまして、ここにおきまして、自由に一体どうしたら
日本
の
電話
はよくできるか、
経営形態
につきましても十分自由な
立場
で
審議
してもらいたいというような御
趣旨
のようで、
政府
としましては、そういう
審議会
を
内閣
に設置された。その答申が出まして、初めて
公共企業体
に持
つて
行くのが適当である。即ちこの
事業
は非常に
公共性
があり、又
技術的統一性
を保たにやならんし、更に
事業
としては
自然的独占性
を有するものであるということと、なお、この
事業
に対しましては、租税その他
相当保護
を与えて行かなければ、料金というものについて非常に割高にな
つて
行くというような
事態
、更に又当時の
民間経済力
の
自主性
という、この三点から
民営
への
移行
は好ましくない。即ち
公共企業体
によりまして
経営
に
自主性
を与え、更に
経営
を
能率
的にや
つて
行くという
形態
が一番いいのであるという
結論
でこれが答申されたわけでございます。
政府
といたしましては、この
趣旨
に則りまして、
公共企業体移行案
を総
司令部
に当時提出したのでございますが、当時におきましては、今直ちに賛成できないというような回答があ
つた
わけであります。ところが
平和条約
の締結も間近になりまして、
政府
におきましては、
政令諮問委員会
を
内閣
に設置いたしまして、
行政機構
の
簡素化
を中心といたしまして、
電気通信事業経営形態
につきましても御
審議
がなされまして、その
結論
は二十六年の八月に
国営
及び
公営事業
のうち、
電気通信事業
は将来
民営
に移管することを前提とし、
差当り公共企業体事業
とすること云々ということにきま
つた
わけでございますが、
政府
といたしましては、二十七年の四月に至りまして、
電気通信省
を解体いたしまして、
国内電信電話事業
は、これを
公共企業体
とすると、
国際電気通信事業
は
民営
に移すという
方針
を決定しまして、その
法律案
を整えまして、
国会
に提出されたということでございます。
国会
におきまして、非常な時間を掛けられまして御
審議
された結果、現在のように
日本電信電話公社法
が通過しますし、又
国際電信電話株式会社法
も成立いたしまして、
公社
としましては昨年の八月一日に初めて発足したと、こういう
状態
にな
つて
おるのであります。 何故
公共企業体
にされたかという点につきましては、
戦前
からの
電話事業
の状況につきまして、先ほど極く簡単に申上げたのでございますが、
公社法
の法案の
政府
の
説明
としましては、その要点を申上げますと、
電信電話事業
は、創業以来
国営
の
形態
で
経営
されていたが、
事業
は
国営
に伴う諸
制約
に縛られ、
設備
の
拡充資金
も、その時々の
国家財政
の枠に左右されて十分且つ安定した
資金
が得られず、更に
企業経営
の基本である
財務
、
会計
、
人事管理
についても、
一般行政官庁
と同一の
規律
を受けているため、活溌な
企業活動
が阻害されて来た点が少くない、
政府
は
公衆電気通信事業
の合理的且つ
能率
的な
経営体制
を確立し、
公衆電気通信設備
の
整備
及び
拡充
を促進し、並びに
電気通信
による
国民
の利便を確保することによ
つて
、
公共
の福祉を増進するためには、
国会
及び
政府
から必要な
監督
を受けることによ
つて公共性
を確保すると共に、一方
事業経営
上、
財務
、
会計
、
人事管理等
の面における
一般行政官庁
の
制約
を脱し、
民営
の
能率的経営技術
を採入れた自主的な
企業活動
を行い得る
企業
としての
公社形態
に当
事業
の
経営
を行わしめることが、最も適当と考えるという
趣旨
で
説明
されておるのでございます。 以上が
公社設立
までの経緯でございますが、この間におきまして、
電気通信省内部
の
一般
の
観念
といたしましては、どうも
電気通信省
としまして、
電気通信専門
の
行政機関
が設定されたが、どうしても
一般行政官庁
を
規律
する諸法規によ
つて制約
をされては、
企業
的な
活動
に非常な支障を来す、勿論これに対しましては
政府機関
におきましても、
現業機関
、或いは又
電話事業
のごとく非常に
企業性
を有し、而も
施設
の
整備拡充
のために巨額な
資金
を要する
事業
においては、
政府機関
としましても、直接立法によ
つて
それが可能であるようにすることは、可能であるけれ
ども
、容易に過去においてもこの問題は解決されず、殊に
占領下
におきまして、かなり統一的な
規律
を受けてお
つた
というような諸点からしまして、
国鉄
、
専売
はこれは或る意味においては
外部
の力によ
つて
設定されたものであるが、
電気通信事業
におきましては、
電気通信省内部
の
人たち
も本当に
事業
を遂行する場合におきまして、やはり何としましても
国営形態
を脱して行
つた
ほうが
事業
の発展のためにいいというような
観念
と申しますか、思想が
一般
的に承認されてお
つたの
であります。即ち一方的に非常な
外部
の力によ
つて
、これが
公共企業体
に移された、或いは
民営
に移されたというようなものではなくしまして、
公共企業体
に持
つて
行く点につきましては、これに従事していく
職員
も、これに賛成してお
つた
という事実を附加えさして頂きたいのでございます。 そこで先ほど
委員長
から御指摘になりました或いは
財務
、
会計
その他
人事管理
上
能率
的な
経営
にどういうふうにな
つて
行
つた
かという点でございますが、
只今
申上げました
通り
に、
電信電話事業
の
経営
を
国営
から
公共企業体
に
移行
せしめられた主な
目的
というものは、
経営
に
自主性
を与える、
経営
の
合理化
、
能率化
によりまして、
サービス
の
改善
が行われるということにあ
つたの
でありまして、これに対しましてどういうふうな実績があり、又改革されたかという点を申上げますと、先ず
公共企業体
の
性質
につきましては、これはまだいろいろの
形態
がございまして議論があるのでございますが、
電信電話公社
におきましてとられたところの
公共企業体
の
観念
といたしましては、
所有
はやはり
公共
、国といいますか
公共所有
である。それから
公共
がやはり支配する、この
原則
を以ちまして
経営
には
自主性
を与えるということでございます。即ち
公社
の
資本
は
政府
の
全額出資
でありまして、この点におきましては誰の
所有
でもないのでありまして、これは国が
所有
し、
国民
が持
つて
おる。それからこれにつきましては、
株主総会等
が支配するのじやなくして、
公共支配
でありまして、
国会
及び
政府
の
監督下
にある。
経営
の
自由性
につきましては、
独立
の
法人
として認めて行く、その
意思決定機閥
としましては、
経営委員会
というのを設けまして、いわゆる
事業
の
執行者
が独善的に
経営方針
を決定されるようなことがないようにする。この三点にあるわけであります。 で、
公共所有
、
公共支配
の
原則
は、これはまあ後ほど若干出て参りますから、特に申上げる必要はないのでありますが、
経営委員会
につきましては、当時の
国鉄
の
管理委員会
のごとく、
監督
的な機能を持
つて
おるのではなくしまして、
公社
の
経営
といいますか、
経営
に関する
意思決定機関
である。勿論
公共支配
というものがありますので、
政府
乃至
国会
の大きな
意思決定
というものは別になされるわけでありますが、
独立法人
としての
意思決定
は、これは
経常委員会
がやるということで、豊富な
企業経営
に関する
知識経験
を有する人を選任いたしまして、これは
国会
の承認を得ましたところの
経営委員
を
政府
が任命いたしまして、この
経営委員会
が構成されておる。で、なお
日本電信電話公社
としましては、
執行機関
の役員である
総裁
及び副
総裁
が
経営委員会
の
特別委員
となりまして、
一般
の
経営委員
五名に対しましてこの二名が附加わりまして、七名を以て
経営委員会
を構成しておる。これが
公社
の
意思決定機関
でありまして、それと
執行機関
との間に円滑な
関係
が設定されるようにいたしておるわけであります。 次に先ほ
ども
申上げましたが、
日本電信電話公社
を
公共企業体
に持
つて
行くことにつきましては、当時の
電気通信省
の内部からの要望もあ
つた
次第でありますので、いよいよ
公共企業体
に移りましてからは、
一般
から見ますれば、どうも
電話
というものは
国営
なるが故にやはりうまく行かないのた、今度は
公社
にな
つたの
だから何とかよくなるだろうという
一つ
の
国民
の期待も強か
つた
と私
ども
考えておりおすし、又
公社
におきましては、
日本電信電話公社
におきましては、完全な
独立採算制
がとられたのであります。
鉄道公社
におきましては、
剰余金
があれば、これを
政府
に納め、足りなければ
一般会計
から補填を受けるという形にな
つて
おりましたが、
日本電信電話公社
におきましては、
剰余金
があればこれは積立てておく。欠損があれば積立を崩して行く。どうしてもできない場合は、財産を落して行く。
資本
を落して行く。こういうような形になりまして、完全な
独立採算制
がとられていて、従いまして
職員
全体の
企業意欲
と申しますか、
事業
に対する
熱意
が非常に高ま
つたの
でありまして、当時勿論一朝にして頭の切替え、
仕事
のやりかた、すべてがいわゆる
官庁
といいますか、いわゆる役人の弊というものを一切抹殺できたとは申上げられませんが、ともかくこれを
一つ
改めて行こうという
意欲
が
職員一般
に強く出て来た事実は、これは確認できるのでございます。なお、
労働組合
のほうにおきましては、
民営
というものを非常に嫌
つて
おる。これは何と言いましても、いわゆる
資本家
の餌になるんだという
観念
で、まあ
公共企業体
なら我々も
一つ
大いにや
つて
行きたいと、こういうようなことで、
事業再建
の
意欲
に対しましても、
労働組合
も積極的に同じように同調して来た。こういうような
実態
があ
つた
わけでございます。 で次に、さて実際的には
法律
的にどう
なつ
たかと申しますと、御案内のように
公社
になりますと、
国家公務員法
、
給与
、
定員
に関する
法律
の
適用
がなくなりまして、そこで
人事管理
というものを、
事業
の特質と
経営
の
実態
に合うように行うことができるようにされたわけであります。例えば
国家公務員法
の
適用排除
によりまして、
公務員試験
に合格したものを、まあ当時の実際から申しますと、
成績順
或いは
希望
によりまして、各
機関
に配属されたというようなことで、まあ何と申しますか、
電信電話事業
の
現業機関
に
大学出
がなかなか来たがらんというような形があ
つたの
でありますが、これは
公社
みずから
公社
の
仕事
に対して適した人を採用できるような、昨年におきまする
就職希望者
の
実態
を見ますと、まだこの
観念
が徹底されておりませんでしたが、本年の
就職希望者
の数は非常に数が多く、而もまあ過去におきまして非常に長い
歴史
を持
つた
大学等
の
出身者
が
希望
して来るというような形になりまして、単なる
民営
ではいやだが、
公共企業
として
公益事業
を営んでおる
事業経営
をや
つて
みたいという気持が、
学生諸君
にも認識されて来たという
事態
もある次第であります。それから
公務員
のように固定的な職階、
職級制度
によらないで、別途の
制度
をとり得るようになる。即ち
官庁
的な
上下
の
観念
からする窮屈な
職務
の格付から解放されまして、
下部機関管理者
も有能な
高給者
を配置し得るようになり、
現場
のほうに相当重点的に優秀なる人物を配置されるように
なつ
た。爾来、
電信電話事業
、或いは
郵便事業
においても同様でございますが、
現業第一線
と言われておるのでございますが、やはりどうも
本省
とか或いは
本社
というものに人が集りたがりまして、
現業第一線
に働くのは何となくいやだと、人に聞かれても、
現業
に勤めておるというよりも電々
公社
の
本社
に勤めているというほうが恰好がいいのだという
観念
があるわけであります。これは
企業
としては非常に困
つた
ことでありまして、
現場
はやはり何といたしましても
サービス
の最
尖端
でありまして、ここにやはり
能率
のいい人を配置して行かなければならん。これを実際にできるためには、やはり
国家公務員法
の
制約
ですと、形式的に、なかなか理屈はそうであ
つて
も、実行できない。
公社
に
なつ
たからには、今度は
本社
とか
現場
とかの
上下
の
観念
はない、一番大事なところに一番優秀なる人を置いて行く。又おのおのその人の
性質
、能力によりまして適材適所に配置して行くというようなことになる。これは結局
ポスト
と
給与
の
関係
が一体的でなければ不可能なんでありまして、どうも
現場
で非常に優秀な人でも、
課長
にしなければ十級にできないとか、そういうような
制度
があ
つたの
では、どうにもできないわけなんであります。それから一番私
ども
としまして困りましたのは、
定員法
の
関係
でございまして、何人という率まで
法律
できめられてしまう。如何に
事業量
が殖えても増員ができないというようなことであ
つて
は困るのでありますし、又
企業
としましては、積極的に人の配置を適正にしまして、無駄な人員を成るべくなくして行くということが必要であるのでありますが、この諸法例の廃止によりまして、勿論
予算総則
によりまして
給与総額
が定められておりますけれ
ども
、その範囲内におきましては
定員
というものは制限されていない。要するに安く
余計雇つて
も、少く高く
雇つて
もいいというような形に一応な
つて
おるわけであります。 次に
国家行政組織法
、
各省設置法等
の
適用
がなくなりましたので、
公社
の
組織
は、
公社事業経営
の
実態
に応じてみずから定めることができた。即ち
機構
につきましても、これは
政府機関
としては当然の要請かと思います。が、
法律
によ
つて
定められておる。そこで
公社
としましては、先ほど申したように、独自の
立場
で
ポスト
と
待遇分離
が可能になりますので、
機構
の
簡素化
が比較的容易くできるように
なつ
た。これは、何と申しましても、
終戦
後非常に各
行政機関
の
機構
というものが複雑になり厖大に
なつ
た事実は否定できないかと思います。これを廃止する場合に、
只今
まで
課長
であ
つた
、或いは
係長
であ
つた
ものを潰すということは、これはななか、理窟はともかくとして、実際上は困難な問題でありますが、
公社
としましては、昨年八月発足いたしますと共に、前々から準備していたものを更に仕上げしまして、十一月に
機構
の大改革を行な
つたの
でありますが、その結果、
ポスト
としてなく
なつ
たものは、
係長
以上の
ポスト
というものが一万二千あ
つたの
でありますが、これを九千に減らしたのであります。その他
段階
としましては、当時
連合軍
総
司令部
の
指示等
もございまして、
本省
それから
地方通信局
、
地方通信部
、それから更にその下に
地方管理所
というのがございまして、その一番最
尖端
が各
取扱機関
、
電話局
、
電報局
というものがあ
つたの
でございますが、この五
段階
にな
つて
おりましたのを、
管理所
を廃止してしまう。それから
電報局
、
電話局
には局長を置かない。三つの
一つ
のラインと申しますか、そういう形にな
つて
おりましたのを、これを一本にしまして、
外部
に対しまして
責任者
を明確にしようということで、全国的にこれは非常に大
機構
の変革でございましたが、これを実施しまして、更にその後におきましても一層集中したほうが
能率
的であり又経済的である。
機構
につきましてはこれを集中し、分割によりまして
却つて一般
の
利用者
に対する
サービス
がよくなるものについては分離するというような方向で、なお小さな
機構
の
改革等
は十分検討しまして、更に
試験施行
、試験的に行な
つて
みまして、いいという点は改革している。こういう形を現在と
つて
いる次第であります。 次に
職員
の
給与
の問題でございますが、これは
公社法
におきまして、
国家公務員
及び
民間事業
の
従業者
の
給与
その他の
事情
を考慮して定めるということに、
公社法
に規定されておるのでありまして、この
職務
の内容と
責任
に応じた
給与
であり、更に
職員
は発揮した
能率
が考慮されるようになりましたので、このことは何と申しましても
職員
の
勤労意欲
それから
経費
の
合理化
というものに対する
意欲
を強めた。と申しますのは、
公務員
であ
つて
特に
電信電話
の
現場
の
職員
というものは過去におきましても非常に
給与
が少い。又特別な、何と言いますか、
厚生施設
と言いますか、その
施設
を利用する何らの利益もないということで、よくその他の
機関
と比較されまして責められてお
つたの
でございますが、
公社
になりますと、すぐこれは問題になりまして、
公共企業体中央調停委員会
に提訴されまして、昨年の十一月には、その
調停案
に基きまして、
公務員
と
違つた給与
をともかく実施できたのでございます。更に
能率
給的なものを考慮するという点におきまして、
生産奨励費
と申しますか、私
ども
としましては
能率向上
に対する
報経費
というものを現金を以て支給できるように、
法律
におきましても
予算総則
におきましてそれが可能になりましたので、或いは
専売公社
その他と同じように
生産奨励金
というものが出せるように
なつ
た。その前におきましては、これは認められなか
つたの
であります。結果、この
能率向上費
というものは、単に
収入
を
予算
以上に増加した、或る工程を早めたために、それだけ早く
収入
が入
つて
来るということに重きを置くのほか、
必要経費
を節約できれば、やはりこれによ
つて
も
従業員
に若干のリターンがあるという形にいたしまして、非常に
経営
の
経済化
或いは
勤労意欲
の
向上
ということについて役立
つて
おるものと信じております。 次に
公共企業体等労働関係法
、
労働基準法等
が
適用
されました結果、
公社職員
は
労働組合
を結成し、
団体交渉権
を有することにな
つて
、
組合員
も
経営者
も
労働条件
の
改善
に対して
熱意
を持つように
なつ
た。これは
政府機関
におきましては、在来におきましては人事院がありまして、ここにおいて
給与
の
改善等
につきましては専門的にや
つて
おられた。
各省
におきましては、これに従
つて
行くという形でありますために、
経営者
のほうにおきましても、
政府機関
におきましては
管理者
におきましても、かなりその点につきましては他人委せという
実態
が生じてお
つたの
でありますが、
公社
になりまして、ともかく
経営者
が
組合
と直接この問題について取つ組んで行くという形になりましたし、
組合
としましても、
独立採算制
の
立場
から、
企業
の
実態
からできないことを無理に要求して行くというような形はどうにもならないのだという、
観念
がはつきりといたしまして、公労法の規定の精神によりまして、できるだけ円満に
事態
を解決して行くというふうに、両者がこれに努力するという傾向にな
つて
いると考える次第であります。 次に
財政法
、
会計法等
の
適用
を排除し、
公社
の債務及び
会計
について
発生主義会計原則
に基く
決算会計制度
を確立し、又
予算
は
電信電話事業
を
企業
的に
経営
することができるように、
需要
の急激な増加、
経済事情
の変動その他予測することができない
事態
に応ずることができるように、
公社法
において規定されたのであります。
公社
の
予算
は、
一般行政官庁
の消費を
目的
とする
予算
と異なりまして、
通信
の
需要
に対応して、最低の
経費
と最良の
サービス
を提供することを
目的
とする、いわゆる
事業予算
でありますので、
従つて弾力性
が与られなければ活溌な
企業経営
はできないのであります。この
弾力性
の問題につきましては、
公社法
にはつきりと謳われたのでありまして、この点は従来の形からは非常な進歩であ
つた
と思います。そこで
予算
の
流用
は
原則
として重視されまして、
予算
を最も合理的に使用ができるようになり、一方におきましては、勝手に使うだろうと、こういう御懸念もあろうかと思いますが、過去の例におきまして、
予算
がきまると、要
つて
も要らなくともと
言つて
は語弊がありますが、その
通り
使
つて
行く
必要予算
というものは、飽くまで見積りでございまして、こういう
事業
におきましては、やはり決算的に見て、本当にそれを有効に使えたか、又、
事業経営
の最大の
目的
である
通信事業
に対して、よい
サービス
が与えられるようにされたかということが問題であるのであります。この
公社法
におきまして、
予算
の
流用
が
原則
として重視された、併しながら絶対に
流用
できない項目もございます。それから
会計制度
ができまして、
会計事務処理
が簡素にな
つて
、迅速に
なつ
た。この結果、
企業
として一番大事なものは月々の、やはり
月次決算
が的確に早く入
つて
来るということでございますが、
会計事
務規定の処理が迅速になり、又割合に人もそうかけないでできるように
会計制度
を、勿論
会計制度
につきましては、
監督
官庁
の承認を得なければ勝手にきめられるものではございませんが、そういうような
状態
がある。それから損益勘定、
予算
の繰越も認められるようになりましたので、年度末支出膨脹を抑制することができ、支出の抑制と
経費
の節約が行われるように
なつ
た。私
ども
の
会計
予算
におきましては、経常費的なものを損益勘定としまして、
電信
、
電話
の
施設
の
拡張整備
費につきましては、建設勘定ということにな
つて
おりますが、この経常的
経費
につきまして、年度末に在来余計出るというのが大体
実態
であります。こういうものは要するに
予算
があ
つて
余しても、結局来年度
予算
を削られる原因になるのだと、これは甚だけしからん
観念
でございまして、すべてがそうだとは申上げられませんが、とかくそういうような傾向になり易い。ところが
公社
になりましてからは、それは余
つた
ら翌年度に繰越して行けということになりました結果、そんなことは絶対にできないようにいたしまして、
必要経費
を必要な時期に支出して行くというような態勢になるのであります。 以上が
財務
会計
の主な問題でございますが、次に
資金
の問題でございまして、
公社
は、
政府
及び民間に対して
電信
、
電話
債券を発行し、又借入金ができることにな
つたの
でありまして、
資金
調達の範囲が拡大された。従いまして、安定した長期の
電信
、
電話
建設改良計画の設定が可能に
なつ
た。これは先般
電信
、
電話
料金の値上げが
国会
の御承認を得たわけでございますが、これと併せまして、
一般
公募の
電信
、
電話
債券の発行ができるようになりまして、この結果、
政府
資金
に余り頼らないで
拡張
、改良計画ができる。
政府
資金
に非常に依存するということは、この
財政
計画の変動によりまして、常に計画が変動して行く。我々の
事業
におきましては、少くとも五カ年くらいの長期の見通しを立て計画をして行きませんと、
施設
の建設につきましても不経済にならざるを得ない。一年で作
つて
もすぐに一杯にな
つて
しまう。又同じような工事をや
つて
行くということでは絶対に経済性は保てない、やはり長期の
需要
予測をいたしまして、それに合
つた
計画を遂行して行く、継続的に遂行して行くことが一番理想であります。戦後勿論我が国の
経済事情
の非常な異常
事態
におきまして、こういうことを望むことは困難であ
つたの
でありますが、漸く
経済事情
も安定の時期に入
つて
参りましたので、併せて
公社法
におきまして入る
資金
の範囲が拡大されました結果、
只今
のところ本年度を第一年度としまして、五カ年計画の設定ができるように
なつ
た次第であります。 以上が
公社
にな
つて
よく
なつ
たろうと思われる点を申上げたのでありますが、これによりまする成果というものにつきましては、時間が長くなりますので、極く項目だけ申上げますれば、先ほど申したように、
機構
を
簡素化
して行く。それと同時に要員を
合理化
いたしまして、増員をできるだけ抑えております。むしろ積極的に減員をや
つて
おります。併しこれは労働強化を強いるのでもありませんし、徒らに首切りをするのではないのでありまして、結局最も
能率
的に人員を配置するということでありまして、更に
職員
の
能率
の
向上
も図り、無駄を省くという点にあるのであります。或いは在庫品の活用がより成績が上
つて
来た。それから一方におきまして、
職員
の労働生産性と申しますか、それが二十四年度から見ますれば、大体五割ぐらい上
つて
来た。今回の仲裁裁定におきましても、非常に問題に
なつ
た点でございますが、大体
戦前
復帰の点において、どうかという点につきまては、いろいろ
サービス
の点等から考えてみまして、繁閑の割合等非常に困難な問題もありますし、なお又
電信電話事業
は
郵便事業
と一体にな
つて
経営
されておりましたので、過去の分析というものが、現在においては非常に困難でありますので、的確な資料がないのでございますが、毎年この労働生産性というものは
向上
して参
つて
おります。それから
サービス
の
改善
、これは一時のような
電話
の
状態
では何とも申訳ない次第でございますが、漸くにして加入者の数も七年間に
終戦
直後の三倍以上に
なつ
た、市外回線も倍以上に
なつ
た、
電信
の
サービス
も
戦前
の
状態
を凌駕している、こういうような
状態
にな
つて
おりますか、何と申しましても、今一番の大きな問題は、
電話
の
需要
に対して供給が応じ得ない。これは五カ年計画によりまして、大体五割程度加入者を増加する。現在百五十万程度の加入者でございまして、
戦前
の百八万に較べまして、
戦前
を勿論凌駕いたしておりますが、大体現在の倍程度に直ちにいたしましても、なお本当の
需要
には応じ切れない
状態
でありますが、やはり非常に多額の
資金
を要します
関係
上、五カ年間に約二千六百億程度の建設
資金
を投じまして、加入
電話
としましては現在の五割程度、併しこれは重点的に施行いたしますので、大都市におきましては九割近く増すという形になりまして、事務所等の
電話
につきましては、勿論申込んだらすぐつくような形に持
つて
行きたい。市外回線につきましても、待つような
電話
では役に立たないのでありまして、
目的
地に非常に迅速に繋ぐというような形にいたすために、市外回線を五年間に倍以上に殖やして行くという計画にな
つて
いるわけであります。 そこで
事業
の収支の
関係
におきましても、二十七年度におきましては、全体としまして四十二億余りの
剰余金
を出しております。
公社
に八月
移行
いたしましたのですが、
公社
移行
後におきまして、二十四億の
剰余金
を得ましたし、
電気通信省
時代に十九億ばかりの
剰余金
を持
つて
公社
に移
つた
という形に相成
つて
おります。 そこで先ほど
委員長
からもお話がありました
監督
がルーズにな
つたの
じやないかという点でございますが、これにつきましては、
経営
に
自主性
を与える、
事業経営
につきまして、要するに
能率
的に、単に形式的な恰好じやなく、本当に
事業
の変動に応じた
活動
ができるようにいたして行くという意味におきましては、できるだけ
経営
を担当しているものに
責任
を持たして、
事業
をや
つて
行くという態勢をとらざるを得ない。これは
電信電話
復興
委員会
におきましては、この点が特に強調されたわけであります。併しながら一方におきましては、ともかく独占
企業
でございますし、
国民
の利害に非常に
関係
の深い
企業
でございますので、これはやはり
政府
の
監督
、
政府
の
監督
と申しますと、
公社法
におきましては郵政大臣が
監督
大臣でございます。これは郵政大臣が
法人
としての
監督
権を持ちますと同時に、我々の
事業
におきましては独占
事業
でおりますので、料金につきましても、
サービス
につきましても、
法律
によ
つて
きめられております。これは
公衆電気通信法
というものが八月一日から施行になりましたが、それにかなり詳しく記述されておる次第であります。一方
公社法
におきましても、
財務
会計
等につきましても或いは人事権につきましても、
国会
の承認或いは
政府
の任命、又
政府
の許可、承認というような条項があるのでありまして、
公社
が
国会
及び
監督
官庁
の認可、承認、同意を得なければならない事項は、
予算
の議決を除きまして、
公社法
において十二件、
公衆電気通信法
において三十一件の項目につきまして
監督
を受けておる次第であります。同時に
会計
監査につきましては、国の
機関
である
会計
検査院の監査を受けておりまして、
予算
は勿論
国会
の議決、又決算も
国会
に提出されて、きめられて承認を受けるという形にな
つて
おるわけであります。大体
公社
の
監督
関係
につきましては、郵政省におきまして大きな
機構
は持
つて
おりません。
電気通信
監理官を郵政大臣官房に二名おきまして、その下に参事官を若干名おいておる、規模としましては極めて小さな規模であります。 今後の問題につきましては、行政管理庁の行政監察も受けたのでございますが、これは郵政大臣を通じましていろいろ注意事項が示されておるような次第であります。今後の課題としましては、私
ども
過去におきまして、非常に
電気通信事業
の
経営
機関
の
機構
の変更というものが、殆んど毎年行われて来た、先ほど申したように、
運輸通信省
になり、
通信
院とな
つて
、更に
逓信院
になり、
逓信省
になり、
電気通信省
となり、
公社
に
なつ
たということで、年々
機構改革
をやられては、これはもう
能率
は絶対に挙らんのでございまして、昨年度私
ども
事業
の建設工事が相当遅れたのでございますが、これはやはり先ほど申した
機構改革
によりまして、非常な影響を受けております。そこでいろいろと
公社法
設定の際、私
ども
第一案として考えましたのは、もつと
財務
会計
につきまして、いわゆる
企業性
が発揮できるような
状態
を考えたのでございますけれ
ども
、それはなかなか御承認を得られないで、而も
国鉄等
の当時の
公社法
よりも
弾力性
を認められ、進歩した
法律
と言われたのでございますけれ
ども
、なお
公社法
自体につきまして、更に
改善
を要する点が少くないというふうに私
ども
考えております。併しながら、ともかく昨年八月一日漸く発足したのでありまして、我々の大きな
仕事
としましては、五カ年計画を完全に遂行いたしまして、
サービス
の
改善
をよくして、
経営
の
合理化
を、ともかく現在の与えられたる
公社
の性格、
法律
の範囲内で最大限にや
つて
行かなければならん、こういうような点から
機構
の改革その他については、第二次的に考えまして、ともかく
公社
の実績を挙げて行くということに目下努力し、又
公社
の重点をそこにおいておりますので、本日
公社法
のこれこれについて、一々改正の御意見を申上げるのは差控えたいと思うのでございますが、なお考えられることは、私
ども
予算
制度
につきまして、もう少し考えて行かなければならんじやないかという点を特に考えておりますし、又
人事管理
の面につきましても、現在の
公社法
は
国家公務員法
と同じように、いろいろの要するに保護規定がありますと同時に、又非常に一方においては、
給与総額
等において縛られておる。ここにおいて今度の仲裁裁定をめぐりまして、
公社
にな
つて
、結局
公務員
と同じじや何にもならんという、
一つ
のいろいろ意見がある議論かも知れませんが、そういうような関連も生じて来ておるのであります。現在の我が国の
一般
的な情勢と申しますか、世界各国におきまする情勢としましても、こういう
事業
の
公共
化という
観念
から見ますれば、
民営
に持
つて
行くということについては、私
ども
考えんられないと思うのでありますが、
公社
としまして、更にこれを本当に、成るほど国家
機関
から離れて、各方面これでいいのだという実績を挙げるようにするために、更に
公社法
のあり方につきまして、私
ども
は検討いたして行きたい、こういうふうに思
つて
おる次第でございます。 非常に簡単でございますが、以上を以て終ります。
小酒井義男
3
○
委員長
(
小酒井義男
君) 御質疑はありませんか。
天田勝正
4
○天田勝正君 私
ども
から見ましても、確かにこの電々
公社
の
関係
では
サービス
がよくな
つて
来ておる。そのことは私
ども
認めておりまして、その根本の考え方というものが、靱
総裁
が言われました
公共性
、その
観念
が徹底されておるからだろうと思いまして、私
ども
感服したわけなんですが、この考え方はどうぞますます末端にまでよくしみ通るように御努力願いたいと思うのです。 お伺いいたしたいことは、
職員
全体の
企業意欲
というものが非常に挙
つた
。これはまさにさようだろうと思いますが、更に私考えるのに、従来電々の
関係
等については、
官業
当時から極めて学力が低いと言いますか、小学校を出たような人であ
つて
も、長年その
業務
に専念しておると
課長
にな
つて
おります。地方の局ですけれ
ども
、こういうのもよく見受ける。ですから昔でも交換手などでも要するに昇進の途があ
つた
。こういうことの伝統が
一つ
然らしめておるのだろうと思いますけれ
ども
、お話のうちに、近頃は
大学出
もどんどん
現場
に行
つて
おる、こういうことを申されてお
つて
、この点については
大学出
者がどんどん参られても、なお且つそうした労力の低いと言いますか、いわゆる学校教育が低いのであ
つて
、学力が低いとは言いがたいが、そういう者の昇進の途、いわゆる励み、張り合いと言いますか、そういうものを特段に何か現在や
つて
おられるのでありましようか、又はやろうとなさ
つて
おるのでありましようか、この点……。
靱勉
5
○
説明員
(靱勉君) お答えを申上げます。御指摘の
通り
、在来逓信
事業
全般と申しましても間違いないかと思いますが、昔で申しますれば、小学出の人もかなりたくさんに職業に入
つて
来られる。なお
電気通信
といたしましては、
電信
のオペレーターと申しますか、これは講習所というものがありまして、小学校を出た人を一年なり、二年なり訓練、教育しまして、
電信
の運用に従事して頂いて、更にその上に自己の勉強によりまして、官吏練習所というのもありまして、この中からは或いは当時の高等文官試験に合格するような人も多々出たわけでありますが、そういう教育
機関
を持ちまして、就職した当時の学歴だけでなく、昇進の途は相当開いておる。又永年勤続いたしまして、この
電話
なり
電信
の作業に熟練した人を、昔の
制度
で判任官にするという
制度
もや
つて
おるわけでありますが、その数は必ずしも多くはなか
つた
と思います。
公社
になりまして、先ほど申したように、殊に
終戦
後、学閥打破、或いは単に学歴だけでやるというような弊はなくな
つて
参
つたの
でありますが、
公務員
法としまして困
つた
ことにおきましては、先ほど申したような職階とか格付というようなことに災いされて、どうしても
課長
とか或いは
管理者
にしなければ
給与
を余計出せなか
つた
というような
事態
だ
つた
が、
公社
にな
つて
、それはそういう形式にはとらわれないで行けるように
なつ
た。で、
管理者
になるか、
現場
において作業しておるほうがいいか、これは
給与
の問題におきましては、私
ども
差別しない
方針
で参
つて
おりますので、その
能率
が挙り、技能が
向上
して参りますれば、勿論昇格の途は講ぜられる。なお、併しながら若い人としましては、やはり向学心というものが非常に強いのでありまして、内部におきましても、これは
占領下
におきましては、ともかく訓練と教育とは峻別しなければいかんということで、
一般
教育を授けることは厳禁されたわけでありますが、現在全国に十八の
電気通信
学園というのを持
つて
おりますが、これは主として
仕事
の訓練でございます。併しながらどうしても若い
人たち
、殊に
戦争
から戦後にかけての必ずしも十分教育を受けられなか
つた
若い
人たち
の向学心というものは、非常に強いのでありまして、本年から二年間の長期訓練教育をするような
機関
を、現在の学園の中に設けまして実施いたしましたが、これは非常に若い
人たち
に大きな
希望
を与えたと信じております。なお
一般
教育
機関
の利用につきましては、大学の委託
制度
、こういうものについても四、五十名くらいは出しておりますし、そういう機会も与えておるわけでございますが、私
ども
としましては、何としましてもあちこち職場を変えて行くということでなく、この
電信電話公社
の職場が、本当に自己の生命を賭けていい職場であるというふうにして行かなければ、いい人は集
つて
来ない。又教育の機会を恵まれなか
つた
かたでも、自分の努力によ
つて
与えられるというふうにして行かなければならんとい
つて
、その方向には私
ども
相当重点をおいてや
つて
おる考えでございますが、今御指摘のようなあらゆる機会を与えて行くということにつきましては、私
ども
その方向でや
つて
おる次第であります。
天田勝正
6
○天田勝正君 まあ大変進歩されて、私
ども
喜んでおるわけですが、大体諸外国の例などを見ますと、アメリカ等でまあ世界に聞こえた大会社の社長、重役クラスというものは、大方は大学は出ておりますけれ
ども
、その昇進の途を皆んな職工から上
つて
おる。これは御承知だと思う。ところが
日本
では、はなからその最高幹部になる途と、それから職工の途とは全く別々である。それだからこそ、やたらホワイト・カラーにばかりなりたがる、こういうことなんです。この
日本
式の悪い面を破
つたの
は後藤新平さん、又純民間では小林一三さん、その話をすると長くなりますけれ
ども
、どんな大学を出ようとも、満鉄では切符売りから全部始めて行くのです。だから戦時中東京の鉄道省
関係
等の会議に来ても、到底内地の鉄道官吏は太刀打ちにならん、実際を知らんのですから……。片方はどういう
立場
の人が来てもすぐ列車のダイヤが組める。遊んでおる貨車を
一つ
も遊ばせずに、要するに運行するようにその場でダイヤが組める。まあ
一つ
の例を挙げればさようなわけで、私
ども
が
希望
いたしますことは、
公社
に折角な
つて
御苦労なさ
つて
おられるんですから、やはりこういう
制度
を
一つ
現場
の、
大学出
がどんどん一番下から上るということを不断に
一つ
御努力願いたいということ、これは
希望
でございます。 第二の点は、これは電々
公社
のみでないから容易でないと思いますけれ
ども
、御指摘のように
官庁
でないために、これは
公社
等でやり得ることですから申上げるのですが、それは誰だ
つて
末端の
機関
、田舎落ちをするということは、これはいやがるのです。単に虚栄でいやがるのでなくして、都会のほうが、住宅こそ困難であるけれ
ども
、その他のものは一切安いのですよ。ここに人事
委員会
等にいろいろ陳情が来ておるのを持
つて
おりますが、要するに東京と同じくらいの支出があるのだということをデーターを持
つて
来ておりますが、東京よりは余計だというものは出て来ますけれ
ども
、少いというものは出て来ないのです。同じ生活をしようとすれば、衣服
一つ
買うにしても必ず東京のほうが安い。吊しの洋服は東京では三十七種類のものが何百とある。ところが田舎へ行けば
一つ
の店で全部だ
つて
二十くらいしか洋服がないのに、三十七種類というものがあるはずがない。こういうことで、まあとても生活がしにくいということが
一つ
と、長じて子供を学校にやるということになりますと、これは同じ
給与
で、自分の家から通わせるのと、要するに遠くへ下宿をさせるというのとでは、これは話にならん。不可能と
言つて
もいいくらいである。このことのためにどうしても都市に集中したがる。だから私は、要するに
給与
体系というもの、地域給というのは全く逆立ちさせなければ解決できないのだということを常に言いまして、事例を挙げて労働
委員
の時分に主張しますと、二十四対一で、私のほうが一で破れましたが、議論はこつちが勝つ、こういうことなんですね。 横道で大変長くなりましたが、こういう根本的な改変をすれば、さきに
希望
いたしましたような、成るべく末端にどんどん行くということが、私は実現すると思うのですが、この点について将来おやりになるつもりがあるのかどうか、
一つ
お伺いいたしておきたいと思います。
靱勉
7
○
説明員
(靱勉君) 先ず第一点の御
希望
でございますが、まさに我々そう考えておりまして、学校を出た者も、今後
本社
に来る人は全部
現場
の
経験
を積み、
現場
において優秀でなければ、
本社
へは法学士であろうと工学士であろうと採らんと、こういう形にいたしております。現在地方局としましては十一ございますが、そのうち四つは完全に
大学出
でない人が局長でございます。地方の
通信
局長、それから
本社
の幹部、部局長におきましても
大学出
でない人が三名かおるわけであります、八つかの
ポスト
におきまして……、これは高文を通
つた
とか或いは大学を出たとかという人でなくても、局長になれる、こういう形を現在採
つて
おります。それから
現場
の長におきましては勿論当然そういう形であります。 更に私
ども
としましては、教育につきまして我々更に一番大きな問題として考えておりますのは、東京の中央
電報局
に入
つて
おる人は若い人が多い。これはやはり向学心で夜学へ通う。そうすると夜食も十分取らないで学校へ行
つて
いる。その結果、抵抗力が少くな
つて
、非常に不名誉な話ですが、電電
公社
の
職員
の結核の罹病率というものは一番高い。職業病じやないかと言われているのですが、実は職業病とは私
ども
考えていないので、そういうところに無理がある。何とか我々としては、それらは十分休養を取り、勉強できるようにしたい。これはまあ
一つ
の別途の考え方を持
つて
おります。 それから地方落ちが非常にまああれだという御意見でございますが、今おつしや
つた
点、私
ども
同感される点が非常に多いのであります。私
ども
住居の
関係
さえなければ、全面的に都会等と入れ替えをするということはや
つて
おります。この点は一番問題は住宅の問題でございまして、まあずつと見て参りますと、
戦争
から食糧
事情
の悪いときには、むしろその地方に居着いちやいまして、ともかく片方に人が余
つて
いるので移そうとしても容易に承知しない。この頃は都会に集
つて
来たい。学校の点とかいろいろな
関係
からそういうふうにな
つて
来ている。これらの方々の
希望
と、私
ども
の
事業経営
が、本当に先ほど申したように適材適所で、而も要員の配置を非常に適正化するという意味合におきましては、住宅が非常に足りないものですから、これを
設備
しまして、都会と地方と交流ができるように手を打ちつつある次第であります。
松原一彦
8
○松原一彦君 養成
機関
についてちよつともう少し具体的に
説明
して頂きたいと思います。
靱勉
9
○
説明員
(靱勉君) 養成
機関
といたしましては、先ほど簡単に申上げましたが、もとは講習所というのが、普通講習所と、高等講習所とございまして、普通講習所は大体一年で、小学校卒業のかたたち、高等講習所というのは、普通講習所を出たもの、又は高等小学校乃至中学の中途くらいの人が入
つて
いる。それから官吏練習所……。
松原一彦
10
○松原一彦君 これは何年。
靱勉
11
○
説明員
(靱勉君) これは二年でございます。それから官吏練習所というのが更にそのまあ上と言つちや……教育の
段階
から言いますれば、上にございまして、これは全国に
一つ
しかなか
つたの
でございます。これはまあ非常に永い
歴史
を持
つて
いるのでありますが、これが二年間でございまして、大体中学校、高等学校を出たような人、これはそういうような学歴じやなくても、試験をやりまして、先ほど申した高等講習所を出た人でも相当官吏練習所へ入
つて
おります。それから
外部
からの卒業生でも久
つて
来て、非常に競争試験で秀才が集
つた
ところでございますが、そこは二年で大体高文を受けるような資格もできる、実力でございますね、そういうふうな形にな
つて
お
つたの
でございます。それが教育は
電気通信省
においてやつちやいかん、これは国の教育
機関
というものは統一して文部省がやるのだということで、
終戦
後におきまして非常に改革されたのでありますが、併しながらアメリカにおきましても、学校を出たものを先ず訓練する。
仕事
の訓練、ジヨブ・トレーニングと
言つて
おりますが、
仕事
の訓練をして、それから
現場
で以て本当に優秀な人がだんだん上へ上
つて
行くという
制度
を取るべしということで、これは確かにそういう主張が我々の自分のところにあるのでございます。これは全国に十三の学園がありまして、これは大体高等学校卒業生が最近は多くなりまして、新制高校の卒業生が非常に多くな
つて
参りましたが、主として
電信
の
仕事
に従事する人が多いのでございますけれ
ども
、これは外から入
つて
参ります。内部からも勿論入れますし、内部からは相当幹部になる訓練もいたしております。幹部になる訓練と申しますのは、
事業
全体の知識を与え、又同じ本当の技術官、本当の技術屋でありましても、高等の技術を授けるというような仕組みにな
つて
おりますし、これは長いのは
只今
までは一、二年が最高でございまして、場合によ
つて
は三カ月のものもありますし、九カ月のものもそれぞれの訓練の
目的
に従
つて
あ
つた
わけでございます。三重県の鈴鹿と東京の神代村でございますか、そこの二つには全国的な大きな学園ができております。鈴鹿のを鈴鹿学園といいまして、東京にあるのを中央学園と申しておりますが、この内容
設備
はけだし外国に対しても劣らないような
通信
技術の訓練
機関
としてありますし、又これは単に技術の訓練だけではなく、事務処理、
経営
上の経理の面にしましても、すべての問題につきまして訓練を実施しております。先ほど申しましたのは、それだけではなかなか若い人なり、先ほど申したような
戦争
中、戦後の教育に恵まれなか
つた
人たち
は満足しませんので、ここに長期の二年の期間を置きまして、これは部内の人だけで、例えば部内に何年以上、必らず四年在職した者のうちで、その競争試験に勝
つた
人を訓練いたしますが、これは
一般
教育もやることにいたしております。即ち
法律
、経済或いは社会科学、そういうものについても訓練することにな
つて
おります。これが昔のまあ官吏練習所のような
形態
にな
つて
おる、こういう次第でございます。
松原一彦
12
○松原一彦君 目黒にある無線
電信
学校ですか、あれとはどういう
関係
があるのでございますか。
靱勉
13
○
説明員
(靱勉君) 目黒は全く民間の公益
法人
がおやりにな
つて
お
つたの
でございまして、当時
逓信省
とは直接の
関係
はなか
つた
、そこで主として船舶に乗り込む無線
通信
士の養成を主体としまして、まあその後航空や何かも出て参りましたが、あれがたしか今度
電気通信
大学になりまして、これは文部省所管にな
つて
おります。これは今度ずつと体制を変えまして、無線のオペレーターを養成するということでなく、
電気通信
一般
につきましての大学教養を授ける、それから各大学においても、技術
関係
におきましては
電気通信
部と言いますか、学科を設けておるところが多か
つたの
でございます。中には若干これを減らそうというような傾向もなきにしもあらずでありまして、これらにつきましては、私
ども
電気通信事業
の
立場
としては、技術の大学におきましてそういう専門の学科を設けるということは非常に大事なことである、又今後の無線
通信
の発達というものは、これは非常に大きな問題でありまして、そういうふうに考えて、何とかこれもできるだけ存置し、発展さしてもら
つた
らばという考えをいたしております。
松原一彦
14
○松原一彦君 中野に高等無線
通信
学校なるものがあ
つて
、その校長は小沢前郵政大臣、その
職員
は現職の郵政省
関係
及びあなたのほうの
関係
のかたがたくさん名前を並べておられるよりに思うのですが、そういう事実はありますか。
靱勉
15
○
説明員
(靱勉君) 中野の話は、昔は私承知いたしておりますが、その後どうなりましたか、実はまあ主として無線でございまして、やはりオペレーターの養成をしておるのですかどうですか、電波法の規定によりますと、無線
通信
士にはやはり資格認定がございますから、民間でやる可能性はあると思いますが、詳細は私非常に申訳ないのですが、承知いたしておりません。若しも
公社
の人がなるとしますれば、それは講師としまして、
公社
の承認を得てならできると思います。講師としてですね。
公社法
によりますと、
一般
の
職員
、役員は兼職は絶対にできないのでございますが、
職員
につきましては他のそういう
機関
の講師に
なつ
たり或いは他の職業をやれるようには、一応
法律
の建前は承認を受けてできることにはな
つて
おりますが、どの程度、今中野でや
つて
おりまして、そこに
公社
の
職員
が行
つて
おりますか、主としてあれは無線で、郵政省の電波監理局
関係
ではないかと私は考えます。
松原一彦
16
○松原一彦君 地方の昔の
電報局
、
電信
局、今日は
独立
しておられます、郵便局の中にあるのが通常でございますか。それとも
独立
の庁舎を持
つて
いるのでございますか、地方では……。
靱勉
17
○
説明員
(靱勉君) 大体地方におきましては、郵便局と同じ建物を使用させて頂いております。或いは郵便局が他に移るとか或いは
電話局
ができるときには、電報
電話局
として別にな
つて
おるのもございます。大きな
電報局
におきましては
独立
の
電報局
にな
つて
おります。
松原一彦
18
○松原一彦君 その局長とかその
経営
関係
はどうな
つて
おりますか。
靱勉
19
○
説明員
(靱勉君)
現場
におきまする経理というものにつきましては、勿論局長の下に経理担当者がおる次第であります。
松原一彦
20
○松原一彦君 郵便局長が兼ねておりますか、兼ねておりませんか。
靱勉
21
○
説明員
(靱勉君) 大体郵政省のほうにおきましては、特定局と普通局と御承知のようにございまして……。
松原一彦
22
○松原一彦君 私の聞いているのは普通局です。
靱勉
23
○
説明員
(靱勉君) 普通局の場合におきましては、郵便局長が
電報局
長を兼ねている局はございません。それからただ電報にしましても
電話
にしましても、特定局には随分と電々
公社
からその
業務
を委託しておりますので、郵便局長が電報も
電話
も郵便も一切管理している、こういうのが特定局の建前でございます。
竹下豐次
24
○竹下豐次君 簡単なことをお尋ねしたいのですが、
電報局
の無電の取扱いの指導
監督
はどこでしているのですか。
靱勉
25
○
説明員
(靱勉君) 現在私
ども
のほうとしましては、無線の利明というものは、国内におきましては非常に少いのでございまして、非常災害等の場合を考えまして無線を使
つて
いる局はございますが、それは勿論
公社
でみずからや
つて
おります。それからただ
公社
におきまして、無線の
施設
をする場合においては、その波長の割当、その検査、すべて郵政省の電波監理局がや
つて
おる次第であります。
小酒井義男
26
○
委員長
(
小酒井義男
君) ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
小酒井義男
27
○
委員長
(
小酒井義男
君) 速記を始めて下さい。
野本品吉
28
○野本
品吉
君 先ほど来いろいろお話を承わ
つて
、だんだん
公社
の本来の機能を発揮されているようですが、今
公社
の皆さんの
立場
から考えて、理想的に
公社
の機能を発揮するという点から見て、いろいろ
法律
の拘束その他で、これはこうしたらいいとい
つた
ような点がありますですか。ありましたら
一つ
伺いたい。
靱勉
29
○
説明員
(靱勉君) これにつきましては、まあ私
ども
実は
経験
が浅いのでして、
国鉄
はもう大分前から発足しておりまので、いろいろ意見があるわけであります。ときどき
公社
が集まりまして、
公社
の
改革等
も話合
つて
おるわけでありますけれ
ども
、まあ先ほどちよつと申上げましたが、
予算
につきまして、もう少しその
弾力性
といいますか、実は今郵政大臣が
予算
の調整権をお持ちにな
つて
おるのです。で、大蔵大臣に協議してきめる、こういうことにな
つて
おりますが、実際におきましては、郵政省ではどうも解決つきませんで、大蔵省と両方に
予算
の細かい点を
説明
しなければならん。併し
政府機関
当時に比べますれば、非常に
改善
されております。その事実はまあ申上げんで、大蔵省が悪いという意味じやないのでございまして、いろいろ細かく検討されております。これはまあ私
ども
先ほどから申すように、
公社
有という点から、
監督
は幾ら厳重に受けてもいいのでございますけれ
ども
、これは
一つ
決算的な
監督
、或いは業績調査というようなところに非常に重点を置いて頂いて、それから年々や
つて
いる計画の大綱というものは、
国会
に提出して御承認を得なければいかんとは思いますけれ
ども
、細かい、まあどつちかというと、人が何人要るか、これだけ機械ができてどうしてもこれだけ人が要るというのに、頭数これだけ切れと、こういうふうにやられちや
つて
は、まあ
経営者
として本当の
責任
を負えない。何となく初めにもうがんがん抑えられちやいますと、誰が
経営
しているのかわからんという点が、根本的な
一つ
の問題ではないかと思
つて
おります。そういう枠から見て来ますと、私はまだ
予算
制度
について研究して行かなければならんじやないかというふうに考えております。一方
監督
につきましては、私
ども
決算なり或いは
業務
監察的なことは、
公社
の
経営
能率
を上げるという意味におきましては、私
ども
鉄道と比較し、
専売
と比較し、その他或いは民間の会社と比較されてもいいのであ
つて
、そういうような頭脳のかたがこれを比較して頂くと、非常に結構なんです。まあ重箱の隅つこをつつつくような
監督
を受けていたのでは、これは何のために
独立
機関
にな
つたの
かわからない。
監督
のあり方については非常におこがましい話ですが、又僭越ですが、そういうような点も少し考えて行かなければならんのじやないかというようなふうに考えております。 それからまあ
公社
にな
つて
、一方からいいますと、
企業
的に大いに
能率
的にやれと言われておりながら、今度はその
職員
を配置転換したりなんかする場合、これらについても、非常に保護規定が一方から言えば篤いという点もあるのです。その代り一方においては今度のように、そういうふうにはつきりしているかどうかわかりませんが、
公務員
と
給与
が飽くまでもバランスをとるのだというと、必ずしも
職員
としても、一体どつちなのだと言いたくなるところなんでございますね。やはり非常に
企業
能率
を挙げたら、臨時的な賞与でも余計出してやるのだ、会社なら当然やることなんですね。そつちは抑えてしま
つて
、余りぎゆうぎゆうやられると、むしろ
勤労意欲
が
向上
しない。だからどこを
一つ
抑えておけば、
公共所有
であり社有である
公共性
を失わない、これだけの範囲はお前たち
経営
責任者
に任せる、悪か
つた
らお前を首切るのだ、こういうくらいのことを根本的な
観念
としてや
つて
頂いて、やはり
能率
に応じて働き甲斐のあるようにしてくれ。
能率
を上げようが休もうが同じだというふうではやれん。そうかとい
つて
、余りソヴイエトのノルマ式に搾取的に金で釣
つて
働かせるということも悪い。職場の環境と言いましても、人のことを
言つて
申訳けないのですが、
専売公社
の職場の環境にしても、
国鉄
の職場にしても、我々よりかいい。
現場
の職場を見れば、ひどいところもある。ですから、今
剰余金
があるとおつしやいますが、局舎をよくするだけでも、全国的にはもう白蟻が食
つて
倒れそうな局舎もあるのですね。便所も少ない、休憩室もない、宿直するのもひどいところです。こういうものを直すために七十億くらい修繕費だけで要る。ですから、料金は
法律
で抑えられて結構です。料金を抑えれば、こつちでうんと物件費を食
つて
やろうということはできないのですね。だから
収入
増加ができれば、或る程度
給与
も増してやる、或いは賞与で結構ですから、ベースなんというまでは言わんから、そういう方向がとれる。こういうようなことで、会社と全く同じには到底なりませんが、どうしても不合理な点だけは今後解決して行きたいと思
つて
おりますが、
公社
になるまでに私
ども
電気通信省
の
法律案
としては、かなり理想案を、これは学者のかたにも聞き、それから前の先輩格である
公社
のかたにも聞いて、かなり理想案を作
つたの
ですけれ
ども
、まあそこまでゆるめるわけに行かんというので、だあつとやられまして、更に
国会
で少し元に戻して頂いたとこういう恰好に私
ども
の
公社法
はな
つて
おる。今後まあ
国鉄
も大体この間の改正で、大体
電信電話公社
法と同じようにな
つて
おる。私
ども
のほうはもう一歩進めて頂ければもう一歩進めたい、こういうような話をしておるくらいで、
改善
すべき点は基本的に申しますと、そういうことでございます。
野本品吉
30
○野本
品吉
君 もう一ツ。今の問題は、
公社
問題を検討する上においての根本的な、極めて微妙であり、而も重要な問題であると思うので、又改めて別の機会にでも
総裁
の意見を新たに承わりたいと思います。 もう
一つ
は駐留軍の
通信
と国内
通信
の
関係
はどうな
つて
おりますか。
靱勉
31
○
説明員
(靱勉君) 駐留軍の
通信
は、まさに
サービス
の提供でございまして、
一般
の、例えば会社等がお使いになるように専用線を使われれば、それの料金はむしろ少し高目にな
つて
おりますが、頂戴いたしておる。大体現在市外回線としまして、全体の一割程度が実は駐留軍に使われておる形にな
つて
おる。それから加入
電話
等につきましては勿論有償主義でございまして、私
ども
のほうで特別の料金を設定いたしまして徴収いたしております。それから工事につきましては、行政協定から申しますれば、向うの
施設
区域内におきましては勝手にやれるわけでございますけれ
ども
、公衆
通信
と極めて緊密な連携のある
施設
におきましては、私
ども
が請負いまして、その請負金額を頂戴しておる、或いは又向うの
施設
を私
ども
のほうの
職員
が保守いたしまして保守費を頂いておる、こういう形にな
つて
おります。
野本品吉
32
○野本
品吉
君 今の点は有線
施設
、有線通話とい
つた
ようなことにな
つて
おるのですか。
靱勉
33
○
説明員
(靱勉君) 現在
一般
公衆
通信
としてはそういうことはございません。それで結局駐留軍としてはもう専用線を持
つて
しまう、
一般
公衆
通信
に割込んで来ない、こういう形にな
つて
おるのでございます。併しながら駐留軍の使う
通信
におきまして、市外通話におきましては、
只今
申したように殆んど大部分は専用線で行
つて
おりますがこちらが専用線を提供できないという場所があるわけです。そういうところは特別のAFコールと申しておりますが、これは特急通話より優先いたしますが、五倍の料金を頂戴いたしております。特急通話は御承知のように三倍でございますが、五倍の料金をもら
つて
最優先で繋いでおる
制度
もございます。
野本品吉
34
○野本
品吉
君 駐留軍の通話の
需要
に応ずるために、こちらの
施設
その他が非常に
制約
されるとい
つた
ようなことはありませんか。
靱勉
35
○
説明員
(靱勉君) まあこの点は実は全体として
日本
の
電話
施設
というものは、もう
需要
に対して少いのでございますから、それだけ提供すれば圧迫されるじやないかとおつしやれば、まさにその
通り
でございます。ただ私
ども
としまして、勝手に向うに
施設
されるということは、又国の
通信
の
施設
の統一と申しますか、
通信
政策からい
つて
も、必らずしも好ましいことじやないと思います。できるだけ我々のほうで必要なものは提供して行くということが却
つて
いいのではないかということで、そういう例えば大阪から以西のような問題におきまして、現在かなり市外回線は少いのでございます。そこへ専用線等が入ります
関係
上、
一般
公衆
通信
の待合い時間と申しますか、申込んでからなかなか相手方に通じないという時間は相当長くな
つて
おりますが、そういう影響はございます。ただこれはできるだけ
施設
をそちらのほうは増強いたしまして、公衆
通信
サービス
を余り落さないでや
つて
行くという、まあ努力をいたしまして、できるだけ駐留軍に提供する結果、公衆
通信
が余り悪化しないような
方針
で
施設
し、又非常に悪いところにつきましては、駐留軍とも相談しまして、できるだけ向うの回線を抑えて頂くというようなこともいたしておりますし、駐留軍自体としまして超短波によるところの市外
電話
回線をみずからも
施設
もしてもら
つて
おります。その点はこちらの
施設
の状況を考えまして、公衆
通信
に非常に悪い影響を与えるものにつきましては、先方としましても、特別の
施設
をするというような考えかたもいたしておりますので、私
ども
公社
の
立場
、
一般
の国内の
利用者
の
立場
を考えましても、大体まあいいところに落ちついているんではないか、併し全体としましては、先ほど申したように飽くまで
施設
全体が足りないのでございます。
松原一彦
36
○松原一彦君 副
総裁
に伺いますが、
公社
の営造物、
公共
の建築物の管理については
責任
をお持ちだろうと思うのですけれ
ども
、私
ども
昨日も
専売公社
を見、これから今日も見に伺うんですが、
労働組合
が
国鉄
などでは非常に大きな貼札を至る所にや
つて
おる、
公共
の営造物に対してああいう貼札を無制限にやることをどう御覧でございましようか、お聞きいたしたい。
靱勉
37
○
説明員
(靱勉君) これは
組合
とも話はちやんととりきめておるのでございまして、
組合
の掲示というものは
管理者
が認めた場所以外に掲示してはならんと、承知いたしましたという形にな
つて
おる、従いましてその所定外に出したものにつきましては、勿論
組合
の
責任
を問い、撤去しなければ実力を以てでも撤去するということにいたしておるのでございまして、ただ場合によ
つて
絶対的にそういう
状態
に常にな
つて
おるかと申しますと、もうすでに現在は実力鬪争の第二回目に入
つて
おりまして、なかなか
現場
の管理
機関
との間に話がつかない、要するに前からの約束
通り
やらんで勝手によそへも貼るというような
事態
が起りつつあるのは事実であります。併しこれにつきましては勿論
管理者
としましては抗議を申込み、それを撤去せしめるということが当然の措置でございまして、
公社
としましても
管理者
につきましては、それは厳重に通達しておりますが、どうも闘争期間に入りますと、これは率直なことを申上げますと、めちやくちやに貼るのは、これは以てのほかですから、絶対にこれは厳禁しますし、直ちにこれは措置いたしますが、平素より若干殖えて出ているという場合において、どうも見逃すというような
事態
が間々あるという
状態
であります。併し飽くまでこれは
公社
の
管理者
のものでもありませんし、又
職員
のものでも、
組合
のものでも営造物はないのでございますから、無断に勝手なことをするということは、もう飽くまで正しいことではございません。
松原一彦
38
○松原一彦君 その点の
原則
を
一つ
明らかにして、態度のお示しを願
つて
おきたい。私
ども
選挙のときには、さつきも例に引きましたが、私は帯広に、
電信
柱にビラが貼
つて
あ
つた
というので、撤去に来いという命令を受けた、又野本氏は舞鶴までわざわざ事務長が取りのけに行
つた
という事実もある。これは選挙法にもちやんと明記してあるのでありますが、選挙法に明記してあるように、
公共
の営造物に対してはビラを貼ることも許されておらんし、又貼る場合においてはそれぞれの所定の料金を徴収する鉄道等の事実もある。それが如何にも
組合
等が私有物のように、これを濫用するということに対しては、目に余るものがある場合がある。これは管理の
責任
をお持ちになる側で、
原則
としては厳重に管理して頂きたいという
希望
を持つ、如何でしようか。
靱勉
39
○
説明員
(靱勉君) もう
原則
は先ほど申したように、
組合
とも勿論これは見解の相違があるわけではないのでありまして、
管理者
の許可を得たところ以外には、
組合
の掲示なり、
組合
が勝手に使用することはできないということにな
つて
おります。で、もうそこで現実の問題はどうかということになりますと、これはもう正面切
つて
、それで以て無断にや
つた
場合には、抗議してそれを撤去せしめる、まあ
組合
も私
ども
のほうの
組合
関係
を見ますと、それは飽くまで私有物という
観念
じやなく、又
サービス
改善
をしようという
意欲
に燃えて折る、伴し一方なかなか
組合
の内部におきましては、いろいろな抵抗もあ
つて
、
組合
幹部としても、又実にやりにくい場合もあるかと思うのでございます。そこで今度のように一部においてやられておるようなことになると、これは
国民
からそういう批判を厳しく受けることは私は当然だと思います。場所々々によりまして、まあ正式に言えば、臨時に或る程度の場所を、掲示板では足りないので、臨時に許すということをすればいいわけでしようが、御質問の
趣旨
は、そういうことは勝手にや
つて
は
管理者
自身でもいかんじやないが、公の建物の使用については相当、自分の
所有
物であるという
観念
じやいかんという御
趣旨
かと思いますが、平素その点については十分厳重にや
つて
おりますが、実力闘争になりますと、そこを踏越えて非常に行過ぎる場合と、まあ若干踏越えちや
つた
という
事態
がある。私
ども
非常に行過ぎるものについては仮借なくやるのでございますが、若干の踏越しについて、
組合
と
現場
の
管理者
ができるだけまあ早く撤去させるというような措置をとる、程度の差というものが非常にあるのでございまして、もう理窟から申しますれば絶対にまかりならん、所定以外は絶対にまかりならんということで、それを行うのが
管理者
なんだと、こう言われても止むを得ないかと思
つて
おります。
松原一彦
40
○松原一彦君 もう時間がありませんから、これより申上げませんが、常識を逸脱せぬように、フエア・プレイで、我々は
労働組合
を圧迫する意思は毛頭ありません。ただそれが常規を逸すると、双方共に利益にならない、マイナスになる場合が往々にしてある。又
組合員
個人の意見を聞くと、我々もこれは程度が過ぎると思うという反省のあるもののほうがむしろ多い。或る少数過激な人によ
つて
埓を越えたるものが強引に行われる。それを先ず、誰もそれに引ずられるという場合があるように思われますので、これは今後のやはり習慣としても、
労働組合
の運動はどこまでも重んずるけれ
ども
、合法的にや
つて
行く、埓を越えないように、
国鉄
の実例に対して、実は相当今、目に余るものがあると思う。念のためにお願いしておきたいと思います。
小酒井義男
41
○
委員長
(
小酒井義男
君) それでは大体質問も終
つた
ようでございますので、午後は電々
公社
の
施設
を視察することにいたしまして、会議はこれで散会いたします。 午後零時三十六分散会