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説明員(
小川潤一君) 今副
総裁から
現況と
公社にな
つてからどんな点がよく
なつたかという点を
最後のところにかいつまんで話されたと思いますが、恐らくどういうところがよくて、今後どういうところが直さなければいけないか、
公社はどう考えているかということが問題じやないかと思いますので、この点に関しまして若干
内部で一致して今のところ
感じておるところを申上げたいと思います。
実は御
承知のように
公社制度になりましたのは、
公社制度自身が発生的には目的じやなくて、たまたま
公務員のストライキを禁じるというマツカーサーからの指令が出まして、その結果当時鉄道も我々
専売もみんな
公務員であ
つたのでございますが、この半ば
企業をや
つておる者に
罷業権を認めないというのはおかしいということで、この両者だけはまあ
罷業権は極端だけれども
団体交渉権だけは認めようということから、
公務員制度から切離しまして
一つの
公共企業体にしようというのが主たる
動機だ
つたように開いております。たまたまそういう
動機がありまして、内容は
企業だからこの際別個にして
公共企業体というものにしろということで、急遽法制の
整備をされたようでございます。併し
発生的動機はとにかくといたしまして、結果的には確かに
公務員制度の
一環として
官業事業という形であ
つたよりも我々は結果がよか
つたというように考えております。
第一点は先ず非常に
経営陣といいますか、大岡の
人事が安定した。今までは率直に申上げますと
大蔵省の一部局として次官が代れば
局長が代る、
局長が代れば
専売局の
局長も代るというふうに、絶えず
大蔵省の
異動の
一環として不安定でありまして、主として
余り専売事業に
経験のない人がぼそつと来てから又
異動のたびにどこかへ行かれるというようなことで、上の人も
余り落着かなか
つたし、下の人もまあ上の人はいつか代
つてしまうんだからというような気持で、上下の関係がぴ
つたり行
つていなか
つた。それがこの
制度ができまして、
総裁だけは
大蔵大臣の
任命、これは全財産が国に属しておりますので当然だと思いますが、
大蔵大臣の
任命によ
つて総裁以下副
総裁、
理事或いは我々
職員というものは全部
総裁が
任命するという形になりまして、現実的には非常に
安定性を持
つて来たということが
人事の面にいてこれは根本をなす点でありますが、非常に大きな
影響力を持
つたと思います。
その次は
公共企業体になりまして
経理制度がかなりいわゆる
会社経営といいますか、
事業をやるのに比較的適合した姿にな
つて来た。当初
公共企業体に
なつたときは時間がありませんでしたから、一応従来の
予算制度をそのまま引継ぎまして、
歳入歳出という形をと
つて、而もその
歳出のうちは今まで
通りに細かい区分をして、一々その使い方或いはそれから
ちよとでもはみ出すときには
大蔵省へ持
つて行つて相談をしなければ動きがとれないというような形をこなしていたのでございます。例えば最近のようにどんどん
ピースが売れる、売れるけれども
ピースに対する
原料の
手当用のお金は
年間五十億円なら五十億円しか
予算ない。そうするとどうしても
ピースが売れるから
原料費を六十億手当しなければならないという場合にその十億に関しては
大蔵省へ持
つて行く、場合によ
つては
国会が開会していなければこの問題は手当てできないというような
制度だ
つたのでございますが、その後の
改正によりましてこういうことも
事業に応じて支出を膨らますということは、或る
条件の下では
企業体が自由にや
つてよろしいというような形に
改正して頂きまして、或いは又全体の
売行きが非常によくて
工場が
超勤、
居残りをしてまで
生産をしなければならないという場合には、たとえそこに表向には最初の
予算には
超勤予算がなくても、必要に応じて
超過勤務をや
つてよろしいと、その財源はほかの科目から流用して
あとで届出でしておけばよろしいというような
改正をして頂きまして、これは
一般官庁にはとても及びもつかない大
改正をして頂きまして、我々としては非常にやりよく
なつたということを言えると思います。
それからもう一点は、
企業体になりまして
総裁は
責任を持たれるということから、今までのようにやり放しではいけない。
工場も
全国に三十五ですが、三十九ありまして、そこでいろいろの同じ
製品を各
工場で作
つている。例えば
ピースの例をとりますと、恐らく今はつきり数字を覚えておりませんが、十三
工場或いは十四
工場で
ピースを作
つている。その
原価が一体どこの
工場が
能率を上げているかというようなことは、今までの
官庁組織では甚だ無
責任だ
つたといいましようか、余りに大して深い
検討はしておりませんでしたが、そういう点を微細に
研究しようということで、先ほど
総裁の言われましたように先年三月の大
改正の折に
部内に
審査部というものを設けまして非常に組かい
原価計算をとる、而も機動的に各
支部局へ出張して
検査員がむしろ行届かないところを検査して行くというようなことで、而もその
報告は毎週私らのほうで
部長以上
集つて、或いは
理事も、
理事会と称しておりますが
理事会で
報告をして、悪い所は直し
責任を取
つてもらう所は取るというような形で
部内改革の実を挙げております。これは
内部で我々が進んでや
つた、ことですがこの効果は非常に大きいように思
つております。大ざつぱに言えば大体その三点が大きな
公社制度に
なつた長所だと私
ら部内の者は一政して考えております。
なお、じやどういう所を今後残されている
欠点かというような点に関しましては大分はつきりした
結論というような、まだ統一ができておらないのでりますが、まあまあこういう点がどうもまずいのじやないかな
あとおぼろげながら
感じておりますのは、率直に申上げますと、
予算制度そのものに、我々の
仕事には
税金部門と
コストの
部門、例えば
ピースを作りますと、
定価は四十円ですが、その中で
コストの
部分が仮に六円五十銭ならば、大体十円以下なんですが、直接
経費を六円五十銭としておきますと、六円五十銭が直接
経費で
あとの三十三円五十銭というものは
税金部川であるというような
感じが、分析してみなければわからない。これは私のほうの
経理のほう或いはさつき申しました
審査のほうでは確定した資料を持
つているのですが、世間から見てわからない。
従つて何か
専売公社はどんどん売れて儲か
つているのだからというような
感じを受けるので、我々としては非常にこの点はむしろはつきりしてもら
つたほうがいいのじやないか
ピースを
幾ら作つて旧の
益金の
部分が
幾らならそれを毎月なら毎月国へ納めてしま
つて、それ以上安く作
つたら、お前
たちは
能率を上げたのだからむしろお褒めを頂く。或いは今言いますように、労働問題に対応しても
業績賞与とかいろいろな問題について、これだけの
原価の
引下げがあ
つたのだから、お前のほうはこれだけ少し
職員や労務者にボーナスをやれというような形にして頂いたらいいのじやないかというような
感じを受けております。今の
制度では
益金というものは一年の終りに千四百、去年は千三百何がし、今年は千四百何がしというものを一括して納めることで、何か我々としてもそこに張り合がない、もつとはつきりして
コストを
引下げたら何とか
国会からも
大蔵省からも褒められるというような
感じにして頂いたらどうかな
あというふうに、少くとも私は丁度
経理を担当しておりますので
感じております。この問題は
仲裁裁定の労働問題にも関係して来るのでありまして、
欠点のもう
一つとも言えるのでありますが、例えば
仲裁裁定があ
つても自主的にこつちが
給料を、お前
たちにそれじや
幾らお互いに分け合うというような
結論がどうも出ない。給与に関してはやはり
大蔵省へ持
つて行つて相談しなければ、自分らで自主的にものを判断することができないのであります。