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1953-11-06 第17回国会 参議院 電気通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十一月六日(金曜日)    午前十一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            石黒 忠篤君            小林 孝平君            三浦 義男君   政府委員    郵政政務次官  飯塚 定輔君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   説明員    公共企業体等仲   裁委員会委員長  今井 一男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(電信電話公社)(内閣送  付)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(日本電信電話公社)を議題といたします。  先ず郵政政務次官から提出理由説明を願います。
  3. 飯塚定輔

    政府委員飯塚定輔君) 大臣が内閣委員会に出席しておりますので、本件を私から申上げたいと存じます。  去る十月十三日に、公共企業体等仲裁委員会が、日本電信電話公社職員賃金改訂に関する紛争について下しました裁定を、国会に上程いたし、御審議をお願いすることになりました事由につきまして簡単に御説明申上げます。  本年三月二十日に全国電気通信労働組合は、本年四月以降の賃金改訂に関する要求日本電信電話公社に対し提出し、両当事者間におきまして団体交渉を重ねましたが、日本電信電話公社はこれを拒否いたしましたので調停段階に入り、公共企業体等中央調停委員会は、七月十五日に調停案を提示いたしました。これに対しまして、双方とも受諾しがたい旨を回答いたしましたために、同委員会の請求により、八月十日に公共企業体等仲裁委員会仲裁手続に移行いたし、同委員会は、十月十三日に仲裁裁定第十五号を行なつたのであります。  この裁定によりますと、その第一項及び第三項の実施並びにこれに関連する追加経費といたしまして、昭和二十八年度予算に対しまして、更に約二十七億二千万円を必要とするのであります。  これらの経費は、昭和二十八年度政府関係機関収入支出予算に含まれておりませんので、給与総額につきましては、予算総則第二十三条の金額を超過することは、明らかでありますから、これを支出することは、予算上不可能であります。  以上の事由によりまして、本裁定公共企業体等労働関係法第十六条に該当するものと認められますので、所定の手続を以ちまして、裁定国会に上程いたした次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、国会の御意志を表明頂きますようお願い申上げます。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  次に、昭和二十八年四月以降における日本電信電話公社職員賃金改訂に関する紛争仲裁裁定経過並びに結果について、公共企業体等仲裁委員会委員長今井一男君の説明を願います。
  6. 今井一男

    説明員今井一男君) 裁定に至りますまでの経過並びに結果等につきましては、先ほど御説明があつたように拝聴しておりますので、又裁定理由は、比較的詳細にその理由書中に書きしるしておきましたから、これをお目通しを願えれば我々の考え方は一通り御了解頂けるのじやないかと考えるのでありますが、この点はむしろ改訂部分につきまして二、三御審議参考になると思われる節を若干申上げたいと思います。  只今衆議院におきましても一応申上げて参つたのでありますが、仲裁委員会は、その性質といたしまして飽くまで一つ企業体におきましての労使紛争解決ということがその使命だと心得ております。即ち自分たちがあるべき賃金の理想を研究しておりましてそれを金額に織込むというような性質のものではないと心得ておるのであります。と申しますのは、法律にもはつきりございますように、仲裁委員会は、労使紛争があつた場合、又は労使紛争がありまして、その紛争を持込まれた場合、その際にだけしか発動はしない仕組みになつております。而も労使間が意見の一致した分につきましては、我々のほうは何らの発言権を持たないものであります。まあ極端な例を申上げますると、私どもとしては一応一万三千円くらいがよかろうと考えましても、若し経営者の方で一万四千円出そうとおつしやる場合、我々がそれを拒む理由は少しもないわけでございます。と同時に私ども賃金のきめ方は、飽くまで労使紛争解決という立場から労使言い分基礎になつている。労使が、特に組合側がそれぞれの根拠から理由を述べられ、その理由に対して当局側が反駁を加える。そのうち両者意見の一致した部分はそのまま採用する。両者意見の一致しない部分は我々のほうで極力分析検討を加えまして、或いは議論を重ね、或いは説得をいたしまして、そうして歩み寄りを図る。極力我々の見解というものが少い範囲、つまり両者意見というものが成るべくたくさん入つた裁定、それが我々の立場から申せばよくできた裁定かと考えるのであります。従つて我々の立場人事院やその他とは全然趣きを異にせざるを得ないのであります。而もこれが労働問題の性質上成るべく速かに結論を出す必要がございますので、裁判所のように自分たちの心証を得るまで審議し、証人を呼び鑑定を依頼いたしまして結論を出すというわけには参りません。とにかく拙速を尊ぶというのが、これが我々の建前に相成つておると心得ております。こういう点ではございますが、併し人事院勧告等と違いまして、私ども民間企業の場合と同じように問題を考えまして、民間企業におきまして賃金支払能力の制約を受けるというようなのと同じ意味合における支払能力限度というものは、できる限りの範囲内において検討する。賃金だけで結論出したくない。併しながらこの結果が、今の予算総則建前では、国会の御厄介に相成る次第でございますけれども、若しこれが民間企業であつたならば、先ず問題なく支払能力ありと認められるという限度を問題にいたしまして賃金問題とからみ合せて結論出して行くというような態度をとつておりまして、その意味におきましても人事院等勧告とは大分筋合いが違つて参るのであります。  具体的に電通だけの問題につきまして特殊な点を二、三だけ附加えておきますと、電信電話組合からは、自分たち労働生産性戦前の水準を超えておるから、従つてその実質賃金戦前に回復するというだけの理由があると、こういつたことを中心にいたしまして修正されたのであります。勿論戦前以上の労働生産性はつきり数学的に出ましても、戦前と現在とではいろいろ機械化その他の点において影響を受けておりますからして、事情が変つております。従いまして全部が全部労働者能率に帰することは至当ではないことは申上げるまでもないところであります。即ち資本支出によりまして、いわゆる資本側に還元さるべき部分というものは、これは勿論考慮する必要があろうかと思いますが、そうなりますというと、これをどう分けるか、どれだけの部分労働生産性向上部分になり、どれだけが企業家経営の、資本家側の取得になり、どれだけが労働者に還元さるべきかということになりますと、なかなか短期間に我我のように第三者が結論を出すことはむずかしい問題でございます。一方もう一つつた問題といたしましては、戦前におきましては、申すまでもなく逓信省という名の下に電信電話事業が郵便と一緒に経営されておりました。従いまして、戦前におきましての賃金幾らであつたかというと、電話電話関係者だけの賃金幾らであつたかということを引出すことはこれ又極めてむずかしいのであります。この推定が、資料関係等から今回の裁定に当りましては、労使又我々三者共に苦しんだ点でございます。それらを加味いたしますと、この生産性基礎とする以上、戦前復帰論という議論をそのまま採用することはむずかしい、趣旨は十分わかるのでありますが、むずかしいということにならざるを得ないかと判断した次第であります。そのほかにも組合側はいろいろ事情を述べられましたが、即ち電信電話事業職員の特殊な神経の使い方その他の要素も参酌されたのでありますけれども、その点もすでに現在の賃金に織込み済みとみるほうが大部分だと考えられます。特に本年の賃金改訂議論を加えるほどの要素ではないような感じを持つたのであります。一方公社側のほうは、調停案が出ましてからあと、終始調停案程度は大体妥当な額である、こういつたことを申して参つたのでありますが、我々のほうは、一方におきまして、極力調停段階において問題が解決されることが労働紛争処理の原則上望ましいという立場を加えまして、結果的に申せば組合言い分が全面的に封ぜられて、当局側言い分が全面的に通つたという形になるのでありますが、調停案の額、程度は結局妥当であるという結論なつたわけであります。で、これを若し組合方式によりましても大体推定を加えまして、戦前実質賃金よりも一〇%くらいは上廻つたことになろう、又昨年国会に御厄介になりました、昭年の十一月の切替え当時の賃金と比べますというと、これは一〇%も上つておらないのでありますけれども、併しこの額は今年の三月に、三千何人の比較的高給者が国際電信電話のほうに移りまして、そのために平均ベースが若干下りました。更に又従来いもゆる賃金支弁でやつておりました、即ち給与総額の枠外で処理しておりました職員約二万人ばかり給与総額の中に引込んだのであります。そういう処理関係から、現在の電通職員平均賃金というものは、去年の十一月よりも大分下つておるのであります。その下つた点を斟酌しますというと、昨年の十一月に比べまして一三%何がし、大体民間賃金アツプ率と権衡を得ておるというところから、我々としてこの調停案の額を妥当と認めた一つ理由なつたわけであります。  問題はこれの財源でございますが、これは私どもより当委員会皆様方がもう御承知のことと存じますけれども、本年度に入りましても引続き収入は順調で、自然増収もかなりあるのでありまして、特に八月以降の料金引上げ後も思つたほどの影響も受けておらないようでありまして、勿論これは年度末までの見通しについてはいろいろ問題はあろうかと思いますが、それにいたしましても若干の予備費の流用、経費の節約その他を考えますと、本年度における電信電話公社の一番大きな使命であるところの加入電話の十四万個増、市外回線の十八万キロ増設という問題を解決した上にこの程度の、他の例によりますと二十四、五億程度だと思うのでありますが、この程度金額企業的に見まして、即ち独立採算的に見まして問題は余りないのではないか。やりくりや多少の労使の努力は要りましようが、先ず企業的に申せば十分可能という判断をした次第でございます。又しましたが故に、こういつたような裁定となつたのでございます。  一通り申上げまして、あと何か御質問の機会に御説明申上げます。
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。只今政府並びに仲裁委員長説明に対し、御質疑がありましたら。
  9. 久保等

    久保等君 ちよつと今委員長に思い付き的な点ですけれども、お伺いしたいと思いますが、今度の仲裁裁定金額は、単に電通のみならず、一般の他の裁定についても、調停案金額的にはそのまま確認したというような形が出ているのですが、このあたりは一体仲裁裁定というものが偶然の一致として調停案金額と一致したというのか、それとも特に実現の可能性という問題を主軸に考えたか、或いはその他どういう考慮の上に立つたか知れませんが、とにかく全部調停案金額と同じ形で出たという点について、どういう考え方からそういう金額が出たのか、ちよつと御説明願います。
  10. 今井一男

    説明員今井一男君) 先ず我々として基本的には成るべく調停案段階で問題を片付けたいという一つ基本線はございます。と申しますのは、調停委員会ならば労使利益代表が直接参加されます。それに対しては労使共にイエス、ノーということが言えますから、そこで片付けられることが労使関係の実績から申せば非常によろしい。仲裁のように労使代表が出ておらん、而も法律の力によつてきまつてしまうということは、成るべく最小限度にしなければならん。法律規定もそうなつております。そういう基本線一つございます。併し今回の結果は、その基本線以外に具体的にも実は理由がございますので、と申しますのは、その理由書を全部御精読願うのはむずかしいかも知れませんが、多少御了解願えるじやないかと思いますが、いずれは労使言い分を尊重したい。我々は行司なり或いはレスリングのレフエリーのように成るべく組ませるように努力したのであります。ところが全体的に言つて組合諸君は我々とのいろいろな話合いの間に、自分たち立場自分たち議論の中にこういう欠陥があるというふうにお考え、になつても、大会の決議という枠からなかなかこれは譲るわけには行かない。その点は当局としてもそういつたような立場を、電通当局などは割合にはつきり言われたようでありますけれども、ほかの当局諸君は最後まで逃げ廻つたような形で、正面から取組んでくれません。私どもとしては成るべく労使が本当に意見を言い、その意見のいい悪いを出されて行きまして、成々の独自の意見は極力少くしたいというラインで今度は極力努力したいのですけれども、併しなかなか思うように参らず、私ども見解が比較的これに入るようになつちやつたのでありますが、従つて自由討議で論戦をしたまま勝負がついたという結果になつたのであります。その結果私どもがそろばんをおきました場合に、それは二、三百万円のくらいの違いは幾らも出ましたが、併しながらこれが若し同じような物差両方議論をされ、例えば民間賃金の上り方或いは金繰り、こういうことに両者意見はつきり出され、この物差は適当でない、これはこうだ、一三%、一五%だと、こういつた議論となりますれば、私どもは五十円、百円という問題でも克明にその論争に入つて参りますが、そうして話を合わすようにしたい。ところが両方が遠くから、悪く言えば大砲を撃ち合つたままで話がきまるということになつてしまつて、あの僅かの数百万円というようなところに我々が物差を入れること自身が、又我々自身が正しいという自信を持つておるわけでもございませんので、そこでこういつた数字になつてしまつたというのが率直な肚をぶちまけたお話でございます。ですから初めからそういつたものを狙つたわけではございません。従つて成るべく両者言い分従つて何とかプラス、マイナス、或いは掛算、割算をやりまして、数字を引張つて来るような形でやりたい。但しそういうことはやりましたものの、一方におきましてそれが企業経営にどういう影響を及ぼすかという点は、これは勿論私どもも一通りの験算をいたしました。併し私どもより更に電通当局自身経営上の責任のある当局自身が、その点は相当におやりになつて、而もその上で意見を言われたのじやなかろうかと私ども拝察をしておるわけであります。まあざつくばらんなものの言い方をいたしますとそういうことであります。
  11. 久保等

    久保等君 なお、もう一つお伺いたしたいのですが、先ほどの御説明の中で、今度の一万五千円という裁定を出されるに当つて組合側主張は、いわば仲裁裁定委員会としては殆んど全面的に採用できなかつた、むしろ公社側言い分通つたというような結果になつておるというような御説明もあつたのですが、そのことは、結局一万五千円というべースを実施しなければならないということについては、公社当局もこの調停案が出された当時からその妥当性を認めておつた従つて今度の裁定の場合にも、その程度のものならば是非実施しなければならんというようなこともあるのじやないかと思うのです。そういつた点を仲裁委員会としては確認せられて、いわばこの問題については、組合側が、極めてこの一万五千については不満であるかも知れんが、少くとも公社当局なり政府に聞いても、この程度のものは十分に実施できるというようなことを確認せられて出されたものか。勿論これは出されるからにはそういつた一応の見通しをつけて出されるものと思うのですが、特に企業能力というようなものも重要視されて、十分この問題を決定されたいというお話もあつたのですが、他の公社なり或いは五現業の問題についてもそうだと思いますけれども、併しわけても電通の場合については、どうも仲裁委員会としては相当あぶなつかしいというよりも、そう或る程度確認なされた上に立つて公社当局から実施できるというような確認がなされた上で決定をされるのかどうか。この点についてもう少しはつきり御説明を願いたい。
  12. 今井一男

    説明員今井一男君) 金額につきましては、正式の書面を私ども頂いております。それから見通しその他につきましても、参考資料を私ども出し願つたのでありますが只今おつしやいました確認は、結局当局側からお出しになりました資料のいろいろの意見を本にして私ども判断したことでありまして、当局側が、勿論一万五千円のベースについてもおやりになれるということを私どもとしては見通しはつけたのでありますけれども当局の口からはつきりそういうことを駄目を押したわけではございません。併し全体を通じて、率直に申上げまして、今度の八つの裁定の中では、その企業の及ぼす影響という点から申しまして、電通真中ぐらいだと思います。真中よりちよつと、かなり中の上くらいのところですか、もつと実は問題のあるのが幾らもあつたものですから、そういう点、実を申しますと、今おつしやつたようなことも必要なのかも知れませんが、当局側代表でありますところの副総裁或いは経理局長その他の交渉委員諸君が、今久保委員の仰せられたところまで確認することは、どうもお立場上御迷惑なようにそうお見受けしたものですから、私ども資料だけを頂きたい、それであとお話の裏からこつちのほうの判断でして行く、こういうような手続を実は時間の関係でとつた次第であります。  なお、ついででありますから一言申し添えれば、組合考え方自身は、私ども別にそうおかしくないと思う。むしろこういう生産性という問題を労働者が取上げることはいわばあべこべであつて経営者側がこれを取上げ、そうして絶えず能率増進資料にしなければならん。それを組合が取上げたということは、むしろ異例でもあります。その意味でむしろこの線から引伸ばすような方式を極力何とか考えなければならん。又考えられないものかということを実は苦心したのでありますが、併し組合主張の中にも、明らかに誤まつておる点もあります。と申しますのは、それは組合賃金税金の上に載つけようという主張をしております。これは労働生産性が相当昔に返り、実質賃金が昔に返つてよろしいという結論が仮に出ましても、それは企業としてほかの条件さえ差支えなかつたならば、企業負担能力があるというだけの話でありまして、従つてその中の税金を取られるということは企業にかぶせるだけの回復は、日本経済としては、又電信電話としてもあるわけではございませんので、従いましてその点で組合要求も相当下つて参り、従つて数字的に申しますと、今言つたように、百対零のように組合言い分が破れておるわけでありますけれども、実質的には組合のものでありますと、組合ラスパイレス方式が、当局のほうはラスパイレス方式はいやだ、フイツシヤーでなければならん、こう言われた。組合ラスパイレス方式をとりまして、組合のやつた数字基礎にして百十くらいの賃金を認められる形に結果的になりますからして、或る程度組合言い分も結果的には入つておる、そういうふうな説明もこの際ではできるのじやないかと、さように私判断しております。
  13. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日はこの程度にいたしまして、明日午後一時から委員会を開きたいと思いますが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) さよう決しまして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十八分散会