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1953-10-31 第17回国会 参議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十月三十一日(土曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川彌平治君            酒井 利雄君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  岡野 清豪君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君    通商産業省重工    業局重工業品輸    出課長     狛  哲夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (外貨事情輸出振興に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開会いたします。  前回に引続きまして、貿易関係について先般通商局より出ておりまする資料についてまだ説明が全部済んでおりませんので、先ずその残りの分の説明を先に聴取いたします。大臣出席予定でありますから、大臣出席をされましたならば、一応説明は中止をして頂きまして、先般の大臣説明に対しまする質疑を行うことにいたします。
  3. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) それでは今年の十一月から来年の三月に至りまする輸入貨物外国為替予算の大要を御説明申上げます。  こういう二枚刷りの資料がお配りしてございます。一番うしろを御覧頂きますると総額が出ておりまして、十三億三千五百万ドルということになつております。これは昨年同期が十四億一千五百万ドルつたのであります。それから本年の上期の予算が九億六千八百万ドルということになつておりました。本年の上期よりはやや多くなり、昨年同期よりやや減つておるという予算であります。これは大体におきまして我が国の需要いたします原材料買付が、下半期に集中するのが例でございますので、それを見込んでおるわけであります。  今回の予算編成に当りましては、一方におきまして国際収支均衡という問題がありまして、総合的な国際収支均衡を図る必要があるという要求があつたのでありますが、他方におきまして、非常に国内の物価が上つてインフレ傾向がある、そのためには原材料を十分に輸入してこれを抑える必要があるという要請が生じて参りました。閣僚審議会において討議いたしました結果、インフレ抑制ということに第一の主眼を置いて組むということになつたわけであります国際収支のほうも勿論大事でありますが、これにつきましては、大体本年の九月から来年の九月まで一年間収支均衡を図るということを方針といたしまして、更に特に問題となりましたポンド貿易につきましては、来年の三月末までに或る程度輸入超過を見込む。併し来年の四月以降については、収支均衡という方針で行くという建前編成いたしたのであります。更にもう一つ大きな方寸といたしまして、不要不急品需要を極力抑えるということにいたした次第であります。  ここに品目別に大別しておるものが出ておりますが、そのうち主食でありますが、主食はこれは予算編成当時にまだ今回の凶作によりまする影響がはつきりいたしませんでしたのと、大きな数字を発表いたしますと、国外に対して値段を吊上げるというような悪影響を及ぼすこともありますので、この主食予算におきましては、大麦につきまして約十万トンほどの追加輸入を見込んだほかは、大体年初の計画通り輸入をいたすということにしてあるのであります。それからその次に砂糖でありますが、砂糖は大体年間九十五万トンという需要量を見込みまして、今回は四十六万トン組んであるわけであります。それからその次の行に参りまして、パルプでありますが、パルプにつきましても、今回は人絹の非常な値上りを見ましたので、主として輸出用に向けるという意味合いからいたしまして、人絹用パルプが約六万八千トン、従来よりも相当多く組んでおる次第であります。  その次に6の繊維のところの原綿でありますが、今回の予算編成に当りまして一番綿関係値上りが問題になりまして、これは是非できるだけたくさん予算を付けて、インフレの気がまえを抑えなければならないということになりまして、今回の予算では百三十五万俵という未曾有の予算がつけてありますが、これは大体月にいたしまして十二万五千梱の計算になつておりましてただ原綿は国際的に大分値下りいたしておりますので、大きな数量を見込みましたが、全額の上ではそう大して殖えておりませんし、又クレジツト等もいよいよきまりましたので、これは十分この数量は確保できると思つております。この予算がきまりまして発表いたしました後に、綿糸の相場も実際において値下りいたしておることは御承知通りであります。その次に原毛でございますが、これは買付地域スターリング地域であります関係上、非常に苦心いたしまして、現在の需要が約月間で八万俵ほど消費いたしておるという状況でありますが、その通りにもなかなか予想がつきませんので、今回は月間七万俵というべースにいたしまして四十三万俵ほどのものを見込んでおります。そのうち二十五、六万俵ほどがオーストラリアということになつております。  一枚めくつて頂きまして、その次に今回の予算で非常に殖えましたのは二番目の加里塩でございます。凶作、冷害などの結果、非常に需要が殖えまして大体年間で今回の予算におきまして需要を二十七万五千トンと見込みまして、この予算におきましては十八万七千トンほど見込んであります。これは主としてドイツ、フランスから買うことになるわけであります。  それから8の金属及び金属鉱物というところで、鉄鉱石がございますが、これは大体年間ースを出銑べース、銑鉄の製造ベースを四百三十三万トンと見まして、今回のこの予算では約二百万トンの鉄鉱石ということになつております。これはもう十分現在の需要を賄つておるつもりでございます。その次の行に参りまして石炭でございますが、これはやはり出銑ベース四百三十三万トンと見まして約百四十万トンという数字になつております。これは勿論殆んど大部分粘結炭でございます。それからその次に石油でありまして、石油につきましても最近非常に需要増加従つて生産増加ということになつておりまして、各石油会社等も手持のストックを相当先食いをしておる状況であつたのでありまするが、今回の予算におきましては原油はこの数字で約一千六百万バーレル、これは操業度といたしまして大体九万二千バーレル・パーで行くということになるのでありますが、そういうふうに計算しておる次第であります。それからその次の重油及び軽油、これは重油は百三十万キロリットルという数字をつけてございます。重油需要は最近非常に殖えておることは御承知通りでありましてなかなかこれでは足らないというような声もありますが、いろいろ諸般の事情を考慮して、この程度にとどめておいたということでございます。その次の揮発油は、これは相当原油の処理が殖えましたので、製品輸入を削りまして今回は八万キロリットル程度ということにいたしました。  その次の頁に参りまして機械類でございますが、これは六千二百三十八万という数がつけてございますが、これは外貨予算の規模といたしましては従来にないほど大きくなつておりまして、これは主として合理化用機械考えておる次第であります。  その次の行の自動車でありますが、自動車につきましては、これは贅沢品に類するものであるから非常に強く制限しろというお話がありまして、できるだけ制限する方針で組んだのであります。今回の輸入は台数にいたしまして約四千台ということになつておりますが、そのうちの半分以上は組立車のパーツの輸入でありまして、完成車輸入はずつと削つてあります。本年の上半期におきましては五千六百台ほど入れておりますが、それに比べましてやや削つておる次第であります。  それからその次の求償取引物資と言いますのは、これは主として中南米、中近東或いは中共等考えておるのであります。これは一応の枠としてこれだけつけてありますが、今後その方面貿易が殖えればそれに見返る輸出があるわけでありますから、増額されることになると思うのであります。  その次に、下のほうに行きまして雑輸入というところがありますが、今回は二つに分かれておるわけでありますが、この雑輸入というのは、これは従来の優先外貨、今回の特別割当外貨ということになりますが、それによる輸入予定量でございまして、これは大体現在年間輸出を十億ちよつとと見ますれば、一〇%の特別外貨に移すわけでありますから、年間にして約一億ドルという特別外貨が生ずるわけであります。これに対して、ここには二千七百万ドルしか組んでございませんが、その残りの半期でございますから二千三百万ドル、合せて五千万ドルというふうになります。その残りの二千三百万ドルにつきましては、この上に掲げました割当品目のうちから適当なものを選びまして、その一部をそれで輸入するという建前にいたしたいということであります。従いまして、特別外貨全体としてはやはり五千万ドルは確保したいということにいたしております。この特別外貨による輸入品目につきましては、従来贅沢品に類するものが入つて、そのために非常に高いプレミアムを生じておるということであります。本年の夏に来朝いたしました、国際通貨基金調査団からも非難がありまして、今回は従つてうんと品目を制限いたしまして、主として原材料に限るということにいたしました。従来はこれによつて輸入できない品目の表を作つてつたのでありますが、今回はそれをやめまして、それによつて輸入できる品目、つまり積極的に、ポジティブな表を作つて品目を制限しておる次第であります。  その次の自動承認制でありますが、これも大部整理はいたしましたが、併しその額といたしましては十分につけてあるつもりであります。前期の予算においては、二億六千万ドルであつたと思いますが、これは最近値下り等から見まして、この程度で以て十分賄えるものと考えております。だから全体を通覧いたしまして従来少しずつではありましたが計上されておりました、外国製日用品というものが落されておりまして、これは昨日たしか発表いたしましたが、雑輸入品の中に幾分残つておりますが、殆んど全部は輸入しないという建前にいたしております。残しておりますのは極く少数、例えば乳児用の食物でありますとか、或いは通商協定上止むを得ず輸入するものというふうなものに限られておりまして、化粧品とか、お菓子類のごときは原則としては殆んど全部削つておるという状況であります。以上で簡単に外貨予算の御説明を終らして頂きます。  次に、最近新聞等で問題になりました、西ドイツに対するスイツチ貿易のことでありますが、これはオープンアカウントのバランスの決済の一つの手段として考えたのであります。スイツチ貿易と言いますのは、これは主としてドル地域物資について今まで行われておりますが、日本ドルを払つて買いまして、それをオープンアカウントの国に売るという種類取引でありまして、これはつまりオープンアカウントの国に対して日本が非常に入超になりますと、結局ドル現金を払わなければならない、その代りに物を売りましてその間に幾らかコミツシヨンを稼ぐという種類取引であります。これは勿論正常な取引とは言いがたいのであります。現在の通貨のコンバーテイビリテイが、交換制がなくて、お互いに窮屈な双務協定で以て取引せざるを得ないような状況が残つております時代におきましては、成る程度これは貿易上の拡大のためにも役に立つものであります。必要止むを得ない場合は、これを行なつたほうが、ドルのキヤツシユを払うよりは日本にとつて有利であるという建前からこれを考えておる次第であります。西独に対しましては、今年の初め以来非常に入超が重なりまして、スイングが西独との間に一千二百万ドルあるのでありますが、これを超過することになりまして現金払も或る程度行なつておりましたが、それで間に合わない状態になりまして、そこで大体スイツチの枠といたしまして、八百五十万ドル考えまして、現在までのところアメリカ、カナダの小麦を買つてこれを西独に売るということによりまして、約三百万ドルだけこれを使つております。更に残りの額につきましては、現在西独となお話合中でありまして、先方の希望する物資につきまして行うということにいたしております。それにつきまして、大体スイツチ・コミツシヨンというのは、三%乃至四%くらいのものを日本側が稼ぐ、それを更に利用いたしまして或る程度正常輸出促進にも資するということにいたしているわけであります。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 局長説明中でありますが、先ほど申しました通りちよつと中止して頂き して通産大臣出席をされましたので、当初お話を申上げておつた通りに、先般の貿易振興策に対する大臣の御所見に対する質疑をお願いいたします。
  5. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先般大臣から輸出振興方策についていろいろ伺つたのでありますが、又いろいろ御研究になつているようでありますが、残されておりまする大きな問題は、従来の輸出振興方策原料産業に偏重しているということが大きな問題としてまだ残つているように思うのでありまして輸出振興についても原材料本位の政策というものがとられておりまするために、加工品、殊に完成品に不利な結果になつて来ておりまして、要するに常に原料高に禍いせられているということのために、完成品輸出振興がどうしてもうまく行つておらんという点が積り積つて今日のような輸出不振になつて来ているというふうに考えられるのでありまして、具体的に言いますると、この際、原料を極力安くして加工品完成品優遇して行くという措置を断行して頂きたいというふうに考えるのでありますが、殊に割高の原料につきましては、輸入をいたしてでも加工品完成品コストを徹底的に下げる措置がこの際必要であるというふうに考えるのですが、これにつきまして保税工場等についてすでにお考えにはなつているようでございますけれども、全般的に原料偏重輸出振興方策をこの際修正して行くということについての根本方針を伺いたいと思うのが一点であります。  第二点は、先般通産省から発表されました中小企業実態調査によりますると、繊維機械化学製品雑貨等商品別輸出総額のうち、六〇%は中小企業製品に相成つているのでありまして、これから見ましても如何に中小企業製品というものが輸出の上において重きを占めているかということが明らかでありますが、こういう見地から今後の輸出振興方策というものは、中小企業中心輸出振興方策というものを十分に御研究願わなければならんではないかというふうに考えるのでありますが、この点につきまして御意見を伺いたいと思うのであります。  第三の点は、保税工場について、先般大臣から特に伺つたのでありますが、保税工場で参ります場合には、どうしても大企業と言いまするか、或いは中企業ぐらいに重点が置かれるようなことに相成ると思うのでありまして、そういう点から見まして、今後保税工場制度の活用につきましては、小企業にも重点を置いて行つてもらうようにしたいというのであります。特に中小企業協同組合の形で共同施設共同工場といたしまして、保税工場制度を利用しようという場合にはこれを十分に優遇するという方向に持つて行つて頂きたいと考えるのでありますが、この点につきましての御意見を伺いたいと思うのであります。  第四点は、二重価格制を実施せられる御意見伺つたのでございますが、二重価格制を好むと好まざるとにかかわらずやらざるを得ないような段階になつておるというような点については同感なんでありますが、これが海外、殊にダンピングとの関係がどういうふうになるかという懸念を持つのでありますが、その点につきましての見通しを伺いますると同時に、多少の懸念があつても二重価格制を実行するというようなことまで考え併せますると、この際労働基準法改正をするのが当然ではないかというふうに考えるのであります。従来労働基準法改正緩和を唱えますると、とかくダンピングと引つかけられていろいろ議論が出ておつたのでありまするけれども、二重価格制までこの際断行しようということになつておりますれば、当然日本実情に合わない、殊に中小企業実情に合わない労働基準法改正緩和というものは当然じやないかというふうに考えるのであります。農林水産業につきましてはすでに労働基準法の一部適用除外が行われておるのでありまするので、せめて農林水産業程度にはこの際労働基準法改正緩和があつて然るべきではないか。殊に船積みの関係でどうしてもいついつまでに作り上げなければならんとかいうような場合におきまして、労働時間或いは休憩、休日の規定を厳に適用せられるということでは到底やつて行けないのでもります。又クリスマス用品でありまするとか、ああいう季節的な製品製造につきましても労働基準法をやかましくやられたのでは、到底今の日本中小企業実情では輸出振興を確保して行くということが困難であることは明らかなんでありまして、農林水産業関係はやはり季節的な関係があるというような点から労働基準法の一部適用除外、具体的に言いますると未成年者、婦人、これに対しても労働時間、休憩、休日に関しては労働基準法適用を除外しておるのでありますが、せめてこの程度適用除外というものは、輸出振興を極度に図つて行かなければならん今日においては緩和が必要だというふうに痛感する次第でありまして、この点について御意見をお伺いいたしたいと存ずるのであります。  第五点は金利の問題でございますが、西独においては御承知のように輸出振興の上において金利の操作が必要である。要するに相手方、輸出国金利よりも西独金利が高いという場合においては相手国輸出国金利まで引下げて行くというような措置をとられておるようでありますが、特に日本のような金利の高いところにおきましては、そういう行き方がどうしても必要じやないかというふうに考えられるのでありまして、この点についてどういうお考えを持つておられますか伺いたいと思つております。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今までの輸出振興策重点といたしまして原料偏重ということになつておるが、加工品にももう少し優遇措置、並びに工夫を凝らしたらいいじやないかというような御質問が第一点らしうございますが、これはもうお説の通りでございまして、今一番重点的にはやはり原料方面から積み重ねて行つてコストを低くするということが出発点でございますが、併しこの原料を使つて加工しておるものが又これも何とか安くするような方向考えてもらわなければならんということは当然でありまして、そこで先般ちよつと私考えを発表しておいたのでございますが、御承知通り中小企業の、第二点に触れますが、輸出品に占める地位が六〇%と仰せになりましたが、私この数字ははつきりとつかんでおりません。併し戦前以来日本輸出貿易に占める中小企業製品というものは、これは非常なウエイトを持つておるものでございますので、この点から中小企業を育成し、輸出振興に寄与させるということは当然必要である。そこで中小企業機械が古くなつておる、こういうことが非常な一つの、いろいろな特徴もございますが弱点としまして、その弱点一つとしまして機械が古い、能率が悪い、こういう意味で実は戦後軍工廠にありましたところの優秀と申しますか、地方の一般業界に比べると幾らか優秀であると認められるような機械が約二十五万台ぐらいございましたので、そのうちから中小企業に向くような機械を選定して見ましたところが約五万台ぐらいあつたと思います。そこで昨年その二十五万合のうち五万台ぐらいのものを、中小企業のうちの今あるところの機械相当値段で評価して取上げ、そうしてその代りにできるだけ安く見積つて軍工廠の優秀と認められる機械を普及する、こういうことにしてまあ実はやつて来たのでございますが、その後の経過を見ますと、どこにどういうような欠点があるのか、若しくは今わからない何かほかに原因があるのかも知れませんが、どうも余り受けがよくない、まだ五万台のうち一万四、五千台しか今行渡つておりませんが、それも評価がよくないということを承わつておりますので、先般来いろいろ通産省でそういう方面機械の情勢を調べて見ましたところが、アメリカあたりでは耐用年数十年以下のものが約七割ぐらいありまして、あとが十年以上というようなことになつておりましたのですが、日本を調べて見ますと十年以内の新らしい機械というものはやつと三割弱ぐらいしかございませんで、あとの七割というものは殆んどこれが十年以上の古い機械ということになつておりますので、若しできますならば、これをまあ、只今調査さしておりまして、どういうところにどういう機械があつて、どういうような仕事をしてどういうように輸出振興に役立つているかということを明細に拾い上げて研究をさしてその準備中でございますが、それが調べ上りましたら、適当な方法で新らしい機械をこの際一つ外国から輸入しましてうんと能率が上るというようなことにして見たいと思いまして、若しそれができますならば最新式機械を早く輸入してそうして中小企業者がこれの負担に堪えるように受取る方法も併せて講じまして、早く機械化を、いわゆる機械合理化というものを促進しまして、そうして加工品のいいものを安く、又早くできると、こういうような方向にやつて行きたい。まあ、そういうようなことで加工品、並びに中小企業方面促進をして行きたい、こう考えております。   それから保税工場のことでございますが、これは無論先ほども仰せのごとく輸出品といたしましては非常な大きなウエイトと、それからパーセンテージを占めている中小企業、或いは小企業も含まれておりますものでございますから、これは重点を小企業にも置くことは無論御指示の通りにやつて行きたいと私は考えております。それには協同組合優遇とか、中小企業のいろいろな法体の運用とかいうようなもの、若しそれがうまく行かなければその点を重点として改正も加えて行つていいと、こう私考えております。  それから二重価格問題はちよつと先般触れましたが、これは輸出振興方向如何によりましては、即ちコストを引下げることは急にはできなくて無論コストを引下げるために五カ年計画なり、三年の目標というものを我々は作つて考えておりますけれども、それは急には行かないから或いは二重価格によつてでも輸出振興するためにやらなければならん、こういうような考えでございますが、まあ止むを得ず二重価格制もとらなければならんかと、こう考えておりますが、この辺のところはお説のように労働基準法改正とか何とか、緩和とかいうようなことも無論考慮に入れなければならんかとも思いますが、まだそこまでは十分に検討をいたしておりません。ただ海外との懸念は、懸念のあるようなことは無論避けなければならんと思いますが、いろいろ西欧諸国がやつております方式から行きますというと、日本で私が止むを得ないだろうと考えるくらいの程度のものは海外でも余り反響はないのじやないか、こう考えておりますが、これはまだ未知数のことでございまして検討中の次第でございます。  金利につきましても、お説の通り西独は対外関係上非常に勉強をして輸出貿易の伸展に尽しております。私も御同感でございまして、日本金利が高い、それについて輸出を非常に阻んでいるという点につきましては気も付いておりますから、できるだけそういう方向に進んで行きたいと存じております。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、只今内閣から通知がございまして臨時閣議をすぐ始めるので通産大臣に直ちに出席をせられたいということの申入がございましたので、誠に残念でございますが、一応これで御退席を願いまして、二日の午後一時からやることにいたしたいと思います。それでは局長、さつきの続きを願います。
  8. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) それでは次に最近の中共貿易の実績のことを申上げます。  一九五三年一月—九月対中共求償取引輸出承認額というのがございます。これは今年の一月から九月までのいわゆるバーターによりまして取引をした総計でございまして、総額が三百五十二万ドルということになつております。これはポンド建でやつておりますので、ドルに直しまして三百五十二万ドルということになるわけでございます。これはまだこのうちに実行されていないものも勿論ございますが、これは役所において、通産省で以て申請を許可した額でございます。  品目はこれで御覧になる通りでありますが、輸出品におきましては一番多いものは、綿紡機及び部品、これが三十万ポンド、それから過燐酸石灰二十一万ポンド、それから昆布三十三万ポンド、人絹糸十九万ポンドというような工合になつておりまして、綿布等は非常に少いようでございます。これは先般来実施いたしました制限の緩和がまだ効果を現わして来ない時期のものでございまして、その後例えば硫安でありますとかいろいろなものが解除になりましたので、恐らく今後は幾分数字が殖えるだろうと思われる次第でございます。  輸入のほうは大体におきまして原材料が多いのでございまして落綿、それから瀝青炭、これは粘結炭であります。それから大豆粕というようなものが相当数量に上つております。ここに大豆も幾らか入つております。大豆はなかなかバーターでは先方が売らない品物でありますが、従来の実績といたしましてはこの程度の、極く少しでありますが入つております。これを昨年と比べますと、昨年は一年を通じまして僅かに百万ドル程度だつたと思います。これに比べれば非常な増加にはなつております。  更に輸入のほうだけを申上げますと、これ以外に香港決済によります標準外決済で以て入つて来るものが相当ございまして、昨年は一年で以て千四百万ドル程度つて来ております。本年も一月から六月までの間にすでに千二百万ドルつて来ている状況でございまして、輸入のほうは決済の方法が別途にありますために相当多くなつている状況でございます。  ガットの問題につきましては黄田君から御説明申上げたと思います。  その次に輸出振興策というところに入りまして、第一国内物価の割高と為替レートの問題というのがございます。これは大臣からも御説明申上げたと思います。現在日本の物価は、朝鮮事変の直前に比べますと、大体約五割高ということになつておりまして而ももつと困ることは、だんだん上つて来るような傾向が見えるということであります。これに反しまして国際的には大体物価は安定して、むしろ下り気味である。アメリカあたりは大体朝鮮事変前の一割高というところであるようであります。イギリスのごときは食糧の補給金を外しました関係で成る仕度の値上りはいたしておりますが、それでも二割と三割の間ぐらいに安定して、乃至は下り気味である。西独なども大体イギリスと同じくらいなところで最近では相当顕著左値下りの傾向を示しているという状況でありまして、この点が是正されない限り輸出の根本的な振興策というものはないということで、先般来いろいろ振興策につきまして省内において検討いたしましたときも、結局財政金融、或いは合理化、あらゆる施策を融合して国内の物価を国際水準に鞘寄せするということが一番根本的な方策であるということになつているわけでありまして、これを貿易面からどういう策があるかということになりますと、先ず第一に安価良質な原材料輸入ということにつきましては、これは従来通り推進いたしたいと思つております。又合理化に役立つ機械につきましても、今回の予算におきましては先ほど申上げました通り従来よりも多くの予算を組んでいるという状況でございます。それから或る製品のうちの一部の原材料につきまして非常に国内のものが高いというような場合には、今もお話がございましたが、保税工場を利用するとか、保税工場外におきましても一定の輸出等をリンクさせる方法によりまして安い原材料輸入するというようなことも考えて行きたいと思つている次第でございます。  その次に輸入抑制と輸出増進との関連ということでございますが、これはもとより輸入を或る程度の規模に抑えて行くことはこれは日本にとりまして当然必要なことであります。殊に最近のように国際収支の悪化が見られます場合には当然考えられなければならんと思うのでありますが、大ざつぱに申しまして我が国の輸入は大体五億五千万ドル程度が食料輸入、更に五億ドル程度繊維原料輸入あと石油が約一億ドル、それから製鉄原料が約一億五千万ドルというような数字でありまして、どこを抑えたらいいかということになりますと、なかなかむずかしい問題であります。現在におきましても輸入の規模は戦前に比べて約六割程度しか回復しておらないわけであります。勿論輸出と比べますと、輸出のほうは僅かに三割ちよつとしか回復いたしておりませんので、そのペースはよほど違うのでありますが、現在の輸入増大ということが決して不要不急品をむやみに買つたからではないということは御了解願えると思うのであります。併しながら戦前と比べまして非常に貿易状況が変つて来ていることは事実であります。例えば繊維をとつて見ましても、戦前は生糸の輸出が非常に多かつたこともありまして、繊維原料輸入を遥かに上廻るだけの輸出繊維輸出によつてなされておつたわけであります。現在では生糸などを入れましてもなお輸入原料をカバーするだけの輸出がないというような状況でありますので、これはそういう点を、従来と考え方を変えて行かなければならんという点も出て来ると思うのであります。併しながらこの輸出に向く製品原材料というものは、これはできるだけ制限なく、而も安く入れられるようにしたいということは我々の一番願つておるところでありまして、そのために現在相当多数の品物につきまして、輸出輸入とのリンク制度というものを行なつておることは御承知通りであります。  その次に地域別輸出の現況でございますが、これにつきまして一番現在難点のありますのはスターリング地域向けの輸出でありまして、これを更に各国別に見てみますというと、濠州、それからビルマ、ニュージーランド、パキスタンというような国に対する入超が著しくなつております。例えば濠州を例にとりますと、本年の上半期におきまして輸入が三千九百万ポンドに対しまして輸出が僅かに千百万ポンドということであります。それからビルマに対しましては輸入が千百万ポンドに対しまして輸出が四百五十万ポンド、それからニュージーランドにつきましては輸入が百九十万ポンドに対しまして輸出が十四万ポンド、パキスタンにつきましては輸入が千九百万ポンドに対しまして輸出が二百八十万ポンドというような状況になつておるのであります。このうち濠州或いはビルマ、ニュージーランドというような国は、構造的に見まして我が国が輸入超過になることは或る程度止むを得ない。ビルマにつきましてはこれは最近はよほど改善いたして来ております。濠州などはなかなかむずかしいことは事実であります。併しながら現在日本に対しまする輸入制限も相当緩和されておりますが、なお存在しておるのでありまして、更に関税の点におきまして差別待遇を受けておるという点もございますので、これらの点につきましては今後強力に交渉を進めて行きたいと思つておるのであります。更にパキスタンが今年の四月に作りました貿易協定にかかわりませずこういうことになりましたのは甚だ遺憾なのでありますが、いろいろ交渉いたしました結果、最近ではパキスタンに対する機械類輸出の長期払いに関しまして協定ができまして、今後五年間の分割払いで以て為替のリスク等も先方が負担をしまして輸出ができることになりましたので、これは相当程度の改善ができると思つております。又綿布のライセンスも大体もうそろそろ全額出ることになるのであろうという状況でありますので、これは急速に改善されるものと期待いたしております。更に明年の貿易計画をそろそろ許さなければならない時期になつております。再び今年のようなことを操返さないように十分注意して交渉に当りたいと考えておる次第であります。そのほかスターリング地域におきまして、一昨年あたりと比べて非常にこちらの輸出が減りましたのはイギリスのアフリカ植民地でありまして、殊に東アフリカは本年一年、来年の四月までは日本の綿布を輸入しないということをきめておるようでありまして、いろいろお話をいたしておるのでありますが、なかなかこの点が解決されないでまだおる次第であります。それから英本国も昨年あたりは非常にたくさん日本の綿布を買つたのでありますが、本年は国内におきまする業界の反対等もありまして、なかなか綿布に対して許可を出さないという状況であります。これに対しましてはむしろほかの品物を売込むということも考える必要があると思う。最近罐詰の引合などにつきまして相当業界のほうでも努力しておられまして、効果が挙つて来るものと考えております。スターリング地域につきまして最近我々の心配しておりますのは、オープンアカウント、特にヨーロッパのオープンアカウント諸国に対しまして入超が激しくなつて来ておることでありまして、先ほど申しましたドイツ、それからフランス、スウェーデン等につきましてスウイングを超過して或る程度現金払いしなければならないという状況になつて来ております。これは全般的に見ますと、ヨーロッパの物価のほうが日本の物価よりも安くて日本のものが高いから売れないという状況がどうも根底にあるようであります。それから物資別に見ますと昨年あたり非常な勢いで出ましたが、鉄鋼の輸出が始んど今年はとまつてしまいまして、若し売ろうとすれば非常な安い値段でなければ売れないということのために、こういう状況になつて来ておるようであります。一方におきまして輸入のほうにつきましては、例の、先ほど申しましたが、ドイツやフランスからの加里の輸入額が非常に殖えておるという状況にあるわけであります。これにつきましては先ず先方に対して日本の品物をもつと買うように強力に交渉する必要があることは勿論でありまして、現在ドイツとの間に話合いをいたしまして、相当程度の成功を収めつつある状況であります。更に貿易額そのものも、作つただけでは余り効果がないわけでありますから、その実行につきまして今後は一層注意をいたしまして、先方でもしよつちゆう連絡をとつて成るべくバランスしたような貿易ができるように努めて行きたいと思つております。  それからもう一つちよつと附加えさして頂きますと、ドル向けの貿易が非常に最近好調なのでありまして、今年は恐らく例年の五億ドルを突破するのではないかと思われる次第であります。これは昨年に比べて相当増加になります。昨年は一年で三億九千万ドルという数字であります。一—六では一億八千万ドル、今年の一—六ですでに二億六千万ドルという輸出でありまして、恐らく五億ドルは突破できるのじやないかと思つております。これは世界的に見ましてもドイツあたりのドル輸出と余り遜色ない輸出でありまして、而もその内容は主として中小企業によるところが非常に多く、農林、水産物が非常に伸びております。そのほか雑貨類も極めて堅実なる伸び方をしております。最近アメリカのニューヨークの総領事館からの報告によりましても、向うの一流の経済新聞も向うのそういう雑貨関係輸出努力を賞讚しておるということを聞いておるのであります。これはまあ我が国の輸出産業が決して競争力がないわけじやない、一番世界の競争の激しいドルに向つてこれだけの伸び方をしておるということは決して競争力がないということじやないのだということを非常によく示しておるわけでありまして、私どもも大いに心強く思つておるところなのであります。  次に輸出市場の開拓の諸政策はこれはまあ従来ともいろいろ御検討を願いまして予算上におきましてもいろいろな措置がとられております。今後更に行なつて行きたいと思つております。政策といたしましては第一に貿易斡旋所の設立ということ、これはすでに今年度予算におきまして通つております。目下ニューヨークに設立を準備中でありますが、更に明年度はこれをカナダ、或いはサンフランシスコあたりにも増置したいということで、大蔵省と予算の折衝をいたしておるところであります。これは従来この日本の中小関係輸出業者が非常に力が弱いために先方のバイヤーに買叩かれまして、折角高く売れるものも安く売らされてしまう。而も安く売るために却つて向うのマーケットを壊してしまつて輸出も永続きしないという状況が非常にあつたのであります。それを第一に何とかして救いたいというのが目的でありまして斡旋所におきまして商品の展示を行い、且つ輸出組合あたりとも十分連絡いたしまして、日本輸出を先方の国内におきますよいルートに乗せる。例えば立派なデパートメントストアーでありますとか、或いはチエーンストアーというようなところに売込んで、相当多額のマージンを稼いで、而も安定した輸出ができるというような方向に持つて行きたいというのが狙いの一つなのであります。  それからもう一つは、これは重工業関係でありますが、主として東南アジア及び中南米に対する機械類輸出を助けますために重工業技術相談室というものを設けることにいたしております。現在準備中でございます。従来日本機械輸出が売放しであとのサービスがないという非難が非常に多い。又マーケットに対して十分の研究が足りないために、いろいろな点で使えないようなものができて来るということもあつたのであります。今回のこの試みによりまして、その点は大いに改善されるものと期待しておる次第であります。  更に一般的問題といたしまして、市場調査ということが非常に大事だということは、私ども最近痛感いたしておるのであります。どうも世界市場の本当に要求するものを作るという態勢がとりにくい。従来の惰性で以て売れないものを作つてしまつて困るという情勢が非常にあるのであります。これは戦後世界の市場も大きく変つておるというような点をもう少し的確に把握する必要があるのじやないか。これはヨーロツパ各国のごときは非常に熱心にやつておりまして、いずれも経済省あたりの外郭団体としまして、政府が全額の費用を持つて、在外公館を十分に利用して市場調査行なつておる。現在日本でも海外市場調査会におきまして相当有力な活動はいたしておるのであります。それをもう一歩更に強化して、十分これが日本輸出産業に役に立つようにいたしたいということを考えておる次第であります。  更に国際見本市等に対しまして従来とも補助金を出しておるのでありまするが、それがどうも十分でないために、折角出品しても甚だ貧弱である。これでは逆効果であるというようなことをときどき先方からも聞く次第でありまして、これも元来ならば、これは勿論業界自身の力によつてやるべきものでありますけれども、現在におきましては政府の補助を或る程度増額して、立派な出品ができるようにして行かなければならないと思いまして予算的に大蔵省と折衝いたしておる段階でございます。  更に明年は大阪におきまして、初めての大規模な国際見本市が開かれる。これは各国とも非常に熱心でありまして、いろいろな出品の申込がもうすでに来ておるようであります。これなども観光事業という点から見ましても非常に有意義なことであります。今後毎年年中行事として国際見本市を開くということになりますれば、非常な国内的な刺戟にもなりますし、よい企てだと思つております。すでに一部分補助金の支出は今年度の予算に組まれておりますが、明年度の予算におきましても、更に相当額の補助をいたしたいというふうに考えておる次第であります。  最後の二重価格問題につきましては、只今大臣から御説明がありましたので、私は遠慮さして頂きます。
  9. 中川以良

    委員長中川以良君) それではこれより質疑に移りますが、念のために申上げておきますが、本日は通商局長のほかに、通産省からは軽工業局化学品雑貨輸出課長飯村君、並びに重工業局の重工業品狛輸出課長が出席をしておられまするので申上げておきます。
  10. 小林英三

    ○小林英三君 先ず御質問申上げます前に、この前頂戴しました、こういう国際収支一覧表というたくさん連らねてあるやつがありますね。そのうちに輸出為替統計という四枚綴りが入つております。それの輸出の為替の合計が十二億何千万ドルになつております。十二億八千九百万ドルですか。これはあれですか、この四枚の例えば一番最初の食糧及び飲料の合計がドル地域スターリング地域、それからオープンアカウント地域、全部で九千九百二十四万ドル、こういうふうになつておる。それの合計が最後の四枚目の一番最後の十二億何千万ドルということになるわけですか。
  11. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) そうでございます。
  12. 小林英三

    ○小林英三君 どうも私計算して見ると二十何億ドルになるのですが……。私はこれに基いて質問しようと思つてつたのですが、たまたま暗算で合計しましても、第一頁だけで約十億ドル、四枚寄せますと二十何億ドルになるのです。非常におおきななにだから私の合計の仕方が違うかと思つて、今も専門員のかたに聞いたのですが、四枚合計いたしますと二十二億何千万ドルになりますね。そうすると、日本輸出品のうちで、どれとどれが大きな順位を持つているかということをちよつと考えて合計して見ましたが、一頁だけを合計しても九億何千万ドルになりますね。
  13. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これは非常に失礼いたしました。大分類と小分類と一緒にしているらしくて、甚だこれは醜態でございますが、これを大分類といたしましては、一番上の食糧及び飲料でございますね。それからその次は織物及び繊維製品、その次にめくつて木材及び木製品、どうも甚だ相済みません。
  14. 小林英三

    ○小林英三君 ちよつとそれを言つてくださいませんか。
  15. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 一番初め食糧及び飲料でございますが、これは九千九百二十四万ドル、その次織物及び繊維製品、この水産品と罐詰とは食糧及び飲料の内訳の一部になつておるわけであります。その次が織物及び繊維製品、これは四億七千七百五十四万ドル、綿糸、綿織物、人造繊維糸、人造繊維織物、絹織物、生糸、これだけは全部内訳になります。これは全くこちらのミスで相済みません。その次は木材及び木製品、これが三千四百三十九万七千ドル、これはこれだけ。それからその次は動物及び植物産品、これは一千六百八十四万七千ドル
  16. 小林英三

    ○小林英三君 化学肥料まで来るわけではない……。
  17. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) いや、これは全部別でございます。その次の油脂及び蝋、これも別でございます。九百二十一万ドル。その次はちよつと違うのです。化学製品とありまして、その次の化学肥料がこの内訳になるわけです。化学製品の内訳に化学肥料がなります。ですから、化学肥料は化学製品の三千六百八十六万ドルということになります。
  18. 小林英三

    ○小林英三君 その中に化学肥料が入つているのですね。
  19. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) そうでございます。その次は金属及び金属製品三億六千百四十七万ドル、亜鉛鉄板などこの内訳になります。
  20. 小林英三

    ○小林英三君 鉄鋼製品まで入るのですね。
  21. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) はあ、そうでございます。鉄鋼製品、銅まで入ります。その次はその他の非鉄金属素材……。
  22. 海野三朗

    ○海野三朗君 間違つたやつは別に資料をもらいたいものですね。
  23. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) その他の非鉄金属素材まで入りまして非金属鉱物及び製品というのがその次です。六千五十八万七千ドル
  24. 小林英三

    ○小林英三君 それは別ですね。
  25. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) それは別でございます。その次が機械ですね。
  26. 小林英三

    ○小林英三君 陶磁器がありますね。
  27. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 陶磁器とセメントが、この非金属鉱物及び製品の中に入るわけであります。  機械がございまして、一億四千二万五千ドル、船舶がその内訳になりまして……。
  28. 小林英三

    ○小林英三君 機械機械だけですね。
  29. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 機械は船舶。その次の頁に入りまして自動車その他紡績、ミシン、これだけ機械に入ります。  それから最後の雑でございます。
  30. 小林英三

    ○小林英三君 自動車自動車で独立しておりますね。
  31. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これは機械の内訳になります。
  32. 小林英三

    ○小林英三君 船舶も……。
  33. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 船舶もそうでございます。
  34. 小林英三

    ○小林英三君 船舶も機械のうちですか。
  35. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) そうでございます。
  36. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のその資料、そんなむちやくちやなのは……間違いのない資料をもう一度頂戴いたしたいと思います。
  37. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) もう一度刷直してお出しいたします。
  38. 中川以良

    委員長中川以良君) それじや訂正して出して下さい。  なお申上げまするが、出席者のうち、只今申上げたほかに繊維局の市橋繊維輸出課長も見えております。
  39. 小林英三

    ○小林英三君 輸入のほうも間違いがあるかも知れませんから、輸入のほうも一つはつきりした……。
  40. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これは恐らく同じことになつているようでありますから……。
  41. 小林英三

    ○小林英三君 それから、ついでに資料をお願いしたいと思いますことは、日本の物価が国内のインフレーシヨンその他によつて非常に外国よりも高いということを一概に言われているのです。併し今局長から御説明がありましたように、すべてが高いわけじやない。貿易品が振興できない、振わないということは日本のこのすべての輸出品というものが高いというわけじやないだろうと思うのです。つまり、それにはいろいろなネックがたくさんあるだろうと思う。それだけそのネックを、いろいろ説明がありましたけれども、それを私は堂々と外国品と競争し得るような商品がまた今日たくさんあるだろうと思う。ただいろいろなネックがあるから、外国品と競争をしたり、例えば市場の開拓であるとか、或いは外交上においていろいろな駈引きがあるとか、いろいろなことがあるだろうと思うのです。それはそれといたしまして今日一番大きな数字を持つておりますところの繊維だとか、鉄鋼だとか、いろいろなものがたくさんあると思いますが、それらのものがいろいろな原因で、外国品よりも値段が高いということになつております場合において例えば原料の問題で外国より高いとか、或いは電力、石炭か高いとか、或いは先ほど豊田さんからおつしやつたように、金利が高いとか、或いは労銀が高いとか、或いはいろいろな諸係費が高いとかいうような、いろいろな問題があるだろうと思うのですね。そういう貿易品の大きなデータ、何と言いますか、数字の多いような商品につきましてそれを一つ表に現わしまして、どういう原因のために外国品より日本の商品が高くなつているかということを一つ大けんで結構ですからして、一つそれを大きな金額に及んでおりますところの輸出品に対してそれを出して見て頂きたいと思います。
  42. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) はあ。
  43. 小林英三

    ○小林英三君 この次まで出して頂きたい。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 この輸出統計のところで、鉄鉱石というのがありますが、鉱石としてどういうものを輸出しておるのでありましようか。
  45. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これは輸入のほうの間違いだと思いますが……。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 ああ、輸入ですか。  この今鉄の値段が、欧米市場に比べて高いものがかなりあるように聞いておるのでありますが、その原因及びこれに対する政府のお考えを承わりたいと思います。これでは鉄鋼の事業というものは自滅の一途を迫るよりほかに仕方がない。それで現状、どういうふうにおやりになるお考えであるか、その御所見を承わりたいと思います。
  47. 狛哲夫

    説明員(狛哲夫君) 只今の鉄鋼製品輸出状況でございますが、主として西欧に対しましてシップ・プレートの需要が現在ございます。シツプ・プレートにつきましてはまあロールの施設の関係と思いますが、欧州におきまして現在非常に不足しておるという状況になつておりますが、只今御指摘のような値段の問題でどうしても売れないという状況なんです。これは主たる原因は欧州における例のシユーマン・プランによりまして、各これの加盟国が協定価格を設けまして、非常にその参加国の間における価格を特別に引下げるというふうな措置がとられておるように聞いておる。従いまして今日値段の見当で行きますと、正確な値段ということになりますとなかなかつかみにくいわけでありますが、大体日本からドイツあたりに持つて行きます鉄鋼製品につきまして、プレートが十三ドルかかります。その大体プレート分だけ日本のものより……プレート分だけを差引けば日本製品が売れるというふうな価格程度になつております。これの対策としては、結局鉄鋼製品価格をどういうふうに引下げて行くかということで、まあ我々としましては、現在の努力といたしましては、企業の合理化、鉄鋼の合理化三カ年計画を企画いたしまして、二十八年度の終りにおいて相当の値下げを断行できるというふうな見込でやつてつたのでございますが、只今申上げましたように欧州売の鉄につきましては、今のシューマン・プラン等の関係で、非常に売りにくいという関係になつておるのであります。併しながら例えば他の地域、アルゼンチン等の相場をとつて見ますと、あそこは協定貿易に縛られておりまして、通貨の支払関係で制約がございます関係もございますが、アルゼンチンにつきましてはそんなにひどい価格差はないのでありまして、これは殆んど企業の努力によつてその程度の、アルゼンチンの相場ぐらいの値下げは可能であるというふうに我々は考えております。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、日本の今の鉄の値段というものは、もつと安く造るということについては政府当局は考えていないのですか。現在のままでやつて行けるんだというふうにお考えになつておるのでありますか。私はこの鉄鋼の鉱石は、もつと東洋のほうに、近い所に安いものがたくさんあるので、これを使つてやりましたならば世界の市場に出ても決してひけをとらない廉価な鉄材を供給することができると考えておるのでありますが、政府当局はそういうふうなシューマン・プランとか、そういうことでお話になつておりますけれども、私が御質問申上げたことに対しては少しずれておるように私は考えるのでありますが、私は、鉄の値段が高いのだ、なぜ高いのだ、もつと安くならないか、それに対して政府はどういうふうにお考えになつておるか、これを私はお伺いいたしたいと思うのであります。
  49. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 鉄鉱石輸入につきましては、戦後は暫らくの間カナダとかアメリカ鉄鉱石相当程度依存をしておつたのでありまして、その当時は非常に割高になつてつたのでありますが、最近フイリピン、マレー、インドあたりの資源が相当開発されまして、大体アメリカから鉄鉱石を買わないでもこの近所で満足できるという状況になつております。値段におきましても、鉄鉱石に関する限りは余り世界的に高いものを買つておるわけではないようであります。アメリカ自身でも現在では資源がなくなつて、ベネズエラあたりから持つて来ておるという状況であります。むしろ高い原因は石炭のほう、殊に国内の炭が高いということに私は聞いております。
  50. 海野三朗

    ○海野三朗君 鉄鉱石相当安いという今のお話でありますが、この鉄鉱石を使つて造りました製品において、燃料、つまり石炭は何%くらいの生産費を占めておるのでありましようか。その国内の石炭が高いというのはどういうところに原因があるのでございましようか。これは高いままでやつて行きましたならば、どうしても日本の産業の基礎である製鉄事業というものは自滅の一途を迫るより仕方がないのじやないか。それに対しましては、政府はどういうお考えを持つておるのでありましようか。御所見を承わりたいと存じます。
  51. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 炭価の引下げの問題はいろいろ論議されておりますが、私は実は主管でございませんので、主管の局長のほうから次の機会にでも御説明申上げたほうが適当と思います。  輸入につきましては、成るべく安い粘結炭につきまして安い炭を十分入れるようにいたしておるわけであります。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 この鉄鉱石につきましては、鉄製品日本の産業の基礎でありまするから、最も大事なことであると思うのでありますが、本日は重工業局長かどなたかお見えになつておらんのでございますか。
  53. 中川以良

    委員長中川以良君) 重工業局から只今説明されました狛重工業品輸出課長が見えております。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 局長はお見えになつておりませんか。
  55. 中川以良

    委員長中川以良君) 局長は来ておりません。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは、私はこの鉄鋼部門につきまして伺いたいと思うのでありますが、これは次回に讓りまして政府のはつきりした、責任ある御答弁をお聞きしたいと思いますから、私の質問はやめておきます。
  57. 岸良一

    ○岸良一君 この表のうちの織物及び繊維製品という中には、毛織物は入つておりますか。
  58. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 輸出のほうでございますか。
  59. 岸良一

    ○岸良一君 はあ。
  60. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 入つております。毛織物の内訳を申上げますと、百八十三万ドルほどでございます。 それに更に毛糸は二十万ドルほどでございますが、合せて二百万ドル程度でございます。
  61. 岸良一

    ○岸良一君 それでこれは輸入のほうは羊毛は随分たくさん入つておるわけですね。原毛の入つて来たうちでどのくらいですか、製品になつて……。
  62. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 羊毛につきましては、羊毛及び毛織物の工業につきまししは、これは戦争前は大体輸入羊毛の三〇・六%ぐらいを輸出で以て回復しておつたのでありますが、最近は大体二%程度輸出をして非常に不振になつております。これは勿論中国市場が開かれなかつたというようなことが原因になつておりますが、最近リンクその他によりまして大分殖えて来ておりますけれども、なお非常に不振の現状であります。
  63. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると、この毛羊というものは殆んど内需に利用せられるというので、羊毛を輸入するということは外貨を単に国内消費に使うというようなことになりはしないのですか。むしろそういうものを抑圧しても外貨を減らすという方法をとるような結果になりは上ませんか、とらなければならんような結果になりはしませんか。
  64. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) そういうことになる虞れがありますので、最近ではこの羊毛を、毛織物或いは毛糸などを輸出した業者に対しまして相当多量の羊毛を割当てるという方式をとりまして、いわゆるリンク制をとりまして、それによつて最近は輸出は大分伸びて来ておる状況であります。併し全体としますれば、勿論、どうしても輸入のほうが非常に多いということは事実でありまして、そのためもありまして、合成繊維或いは化学繊維につきまして、通産省といたしましても相当の奨励策を講じようという方針にいたしておるわけであります。
  65. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると、今の毛織品の輸出の奨励という今のお話以上の程度のことは考えておられないのですか、積極的にもつと出すと……。
  66. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これはまあその羊毛工業自体にも相当合理化をする余地はあるように私ども聞いておりますが、そのほか市場関係の開拓につきましては、今後とも大いに努力をいたしたいと思つております。業界におきましても最近各地に市場調査団を派遣される等いろいろ努力はしおられるように伺つております。
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) 私から一、二点伺いたいのですが、先ほどお話のございましたごとく、いろいろな雑輸入品目を不要不急のものを制限されたのでありますが、これは非常に結構なことと存じまするが、昨日の日本経済に大体出ておりますが、これに対する一つ資料を本委員会に頂戴いたしたいと思います。  それからこの輸入を制限いたしました六十品目と申しますのは、先ほど御説明自動承認制のものと、それから雑輸入品の二、即ち特別割当の外貨の分、両方に適用するわけですかどうですか。
  68. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) そこに出ましたようなものは自動承認制或いは特別外貨割当では入れないことになつております。
  69. 中川以良

    委員長中川以良君) 両方共に入れないわけですね。
  70. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 雑輸入だけが入口になつてつたのでございますが、それを今度閉めてしまうということになります。全体として入らないということになります。
  71. 中川以良

    委員長中川以良君) それから対韓貿易でありまするが、只今李承晩ラインでいろいろ問題を惹起して、これは大きな問題になりつつありまするが、これに関連して対韓貿易をいわゆる経済断交をして報復的手段に出るというような意見もあるのでありますが、これに対してはどういう御見解でありますか。
  72. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) まあ私どもといたしましては、そういうことは政治的にはとにかくといたしまして、経済的に見れば非常に我がほうにとつて困ることになりますので、成るべくそういう事態にはならないようにして行きたいと思つております。併しその中に、輸入禁止品目の中に韓国海産物というようなものがございますが、これは現在輸入方式、それから輸入の量などにつきましてまだはつきり方針がきまつておりませんので一応禁止するという意味であります。一応受付けないという意味でありまして、そういう方針がきまり次第一定の方式と量の範囲内におきましてやるようにいたしたいと思つております。
  73. 中川以良

    委員長中川以良君) そうすると今回の輸入禁止品目の中に、韓国の水産物が載つておるのでありますが、まあこれは海苔、鮮魚、乾魚等が主なものと思いまするが、これはそういう今の報復的手段の意味において除いたというわけではないと解釈してよろしいわけでありますか。
  74. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) その通りであります。
  75. 中川以良

    委員長中川以良君) それからリンク制の問題についていろいろお話があつたのでありますが、今度リンク制をどの程度まで拡大されるという御意向であるか、具体的にどういう国々に対してどういう品種に対しての御考慮があるかを一つ承わりたいと思います。
  76. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 国別のいわゆるコンビネーシヨン取引的のことは現在のところアルゼンチン以外につきまして行う方針は持つておりません。  それから原料輸入輸出とのリンクにつきましては、繊維原材料について現在行なつておりますが、ほかのものはなかなかリンクしようと思いましてもむずかしい事情がありまして、むしろ加工輸出貿易的な考え方で行つたほうがいいのじやないかと思つております。
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) なおこれに関連して、スイツチ貿易の問題でありまするが、例えて申しますと、最近ドイツ、スウエーデン、フランス等にいろいろな問題があると思います。フランスが、キユーバの砂糖日本買つてくれればそれの約倍の生糸を買入れるというような話等を伺つておるのでありますが、こういう問題の処理はどうなんでありますか。
  78. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) フランスにつきましては来月ぐらいから交渉を始めまして新らしい貿易協定を作ることになつております。そのときに恐らくそういうような話も進みまして状況、条件の如何によつては我々としても或いは考えなきやならないかとも思つておりますが、成るべくまあそあいう見当をつけて行きたいという方針でおるわけであります。
  79. 中川以良

    委員長中川以良君) それからドイツの問題でありますが、ドイツの決済尻をこちらから物を送つてつけるということで先般来取引が行われておるようでありますが、これが一応入札になつて、その入札の参加者の資格についてはまあドイツ政府と日本の、これはボンにいる駐在代表でありまするか、これはどうせこちらの通産局でおきめになると思うのでありますが、こういう基準はどういうふうにおきめになるか、そこにやはりいろいろ問題を惹起しているように伺うのでありますが、その辺の御方針一つお示しを頂きたいと思います。
  80. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 只今のドイツの小麦の場合は、これは国際入札で行われましたが、これは日本の業界で非常にたくさん希望があつたのでありますが、又余りたくさん参加いたしますと、これは却つて不利な条件を生むということにもなりますので、止むを得ず入札制限をいたした次第であります。これは余りいい方法とは思つておりませんが、そういう場合には止むを得ないことでありまして、今後成るべく公平にして行きたいと思つております。それからそれ以外の特別なものにつきましては、多くの場合向うの政府が或る一定の商社にライセンスを先に出しまして、その商社が日本へ来て、日本の商社と話をするということになる場合が多いのであります。その場合政府としては別に商社の選定に関与する必要がございませんので、成るべくそういうふうにしてくれれば、こちらの困難は少くなると思つておりますが、国際入札の場合にはちよつと事情が違いますので、止むを得ず只今のような措置をとつたわけであります。
  81. 中川以良

    委員長中川以良君) それから中共の貿易の問題でありまするが、先般もちよつと私松尾次長に伺つたのですが、中共貿易、例えば開らん炭の問題のごとき一方的の向うが管理貿易でございますので、なかなか思うように貿易が伸びてない、ややともすると日本の商社が非常な損害を招くというようなことが往々にしてあるようでありますが、今回議員団が行つて取極をしたようで拠りますが、あれに関連して中共貿易の今後の行き方というものに対しては新たなる構想が生れるかどうか、又これに対して相当な期待を一体通商局として持つておられるのかどうか、この辺を一つ承わりたいと思います’。
  82. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 先ほど資料を差上げました通り、去年の一月から九月まで大体三百五十万ドル輸出が出ておるわけでありまして、これが恐らく今年末までには五百万ドル、大破するだろうと私ども考えております。殊に輸出制限が緩和されたこともあります。ただ硫安につきましては御承知通り国内の事情ででなかなか出ないということもありまして思う通り行かないこともあるかと思います。まあ拡張の方向には向うものと思つておる次第であります。  それから今回の協定等を契機といたしまして、何か政府として考えはないかというお話でございますが、これは政府といたしましては、台湾の関係、国民政府の関係、それから対米関係等もありまして、政府のほうから何かイニシアテイヴをとるということはなかなかむずかしいことじやないかと思うのであります。併し民間のほうで妥当な動きが出て参りますれば、これは私どもといたしましても尊重して行きたいというふうに考えておる次第であります。
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) そこでその今の今後の中共貿易なり、対ソ貿易が或る程度私は経済的に見て、これは非常に結構だと思うのでありますが、ただ国交が回復していないために、開らん炭の問題にしても、或いはソ連の樺太炭の問題にしても、まあ非常に粗悪品が参つてクレームが殖えておる。併し残念ながら国交を回復していないがために、そのクレームの持つて行き場がない。先般も外務省の経済局長はどうも政府としては如何ともこれに対して仲介するわけには行かないので、まあ止むを得なければ、第三国を通じての交渉だというようなことでありましたので、こういう点に私はまじめなる今後の日本貿易商社なり、或いはメーカーといたしましても大きな不安があると思うのでありまするが、中共貿易を一方振興することはいいけれども、そういう面でもはつきりした指導なり、解決の方法がもたらされなければいかんと思うのでありますが、こういう点についても通産局としては十分に今後お示しを願いたいと思うのであります。これについて何か御意見等あつたら伺いたいと思います。
  84. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 開らん炭の輸入につきまして問題が実際起つたのでありますが、これはいろいろ聞いて見ますと、契約条件そのものが相当初めから不利だつたということもあつたようでありまして、必ずしも先方が一方的に契約を破つたということばかりも言えないような状況のように伺つております。又この中共、それからソ連あたりからの石炭の輸入ということは、大体なかなか予定がつかないものでありますために、枠としては別に予定をいたしておらないような状況でありまして、従つてそういう方面から石炭が入つて来ればほかから買う石炭の枠を削るという問題が当然起つて参ります。その際にいろいろ業界の希望がなかなか容れられないというようなこともあるように伺つております。まあこのクレームの問題はこれは実際に国交がありませんので、国と国との間で取上げるわけには行かないと思いますが、併し中に銀行を立てるとか、いろいろな普通の商売上のやり方においてまだ研究する余地はあると思つております。この点につきましても民間のほうで妥当な考えが出て参りますれば、私どものほうといたしましても更にそれは研究して見たいと思つております。
  85. 海野三朗

    ○海野三朗君 通産局長にお伺いいたしますが、この亜鉛鉄板の輸出はどの地域に出しているのでありますか。
  86. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 亜鉛鉄板は東南アジア方面に一番多く出ております。
  87. 海野三朗

    ○海野三朗君 中共に対しましては、この亜鉛鉄板及びボール・ベアリング、そういうものは一切輸出しないことになつているのでありますか。
  88. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) これは御承知通り我が国は国際機構に参加いたしまして、それと歩調を合せて禁輸をやつておりますわけであります。只今お示しのような品物はいわゆる西ヨーロツパ、東南アジア諸国は一切出さないということになつておりますので日本も禁輸いたしているわけであります。
  89. 海野三朗

    ○海野三朗君 日本からは入つていないでありましようが、ヨーロツパの品物が香港を通してぼつぼつ亜鉛鉄板及びボール・ベアリングがいわゆる闇の中に中共に入りつつあることをお聞きになつておりませんか。
  90. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 亜鉛鉄板の禁輸問題は長い間まあ国際的な問題になつておりまして、ずつと昔の契約のものが一部まだ積み遅れがあつて、それは入つているということはあるかも知れませんが、その間に、いわゆる密輸入を除きましては、正式のルートでは入つておらないと思います。
  91. 海野三朗

    ○海野三朗君 今中共で望んでおりまするものは主に鉄製品とか、工具類とかそういうものを非常に要求しているんであります。そういうものを今規則を守つて日本輸出をしないでいる間に、闇のうちに香港を通してどんどん日本の市場を蚕食して行つている現状でありますが、それに対してはいずれ竹のカーテンを開いたときには、あつという間に殆んどもう日本の市場が荒されている、そういうことは想像にかたくないのでありまして、それでこの際何らかの方法においてそういうふうな品物を中共方面に流そうとするようなお考えは更にないのでありますか、いつまでもこの規則を守つてこれでいいというふうに政府当局は考えておられるのでありますか、或いは又そういうふうなものは第三国の手を通してでも売捌くというようなことはお考えになつていないのでありましようか。その辺承わりたいと思います。
  92. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) どうも政府といたしましては人が密輸出するから自分もやれというようなことはちよつと言いかねると思うのであります。若し非常に密貿易が行われているような事実がありますれば、これはむしろ日本としては困るからやめてくれということを申すべき立場じやないかと思いす。
  93. 海野三朗

    ○海野三朗君 それで、そういうふうな中共の非常に望んでおる品物がたくさんあるにかかわらず今度枠を拡げたといつて、その枠は一向有難くない、中共にとつては。それよりももつと欲しいというものがここに鉄製品とか工具類とか、そういうものがうんとある。そういうものに対して何とかこれを拡げて行こう、その枠を外して行こうということについては政府当局はお考えになつていないのでありますか。
  94. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 戦略性の薄いものにつきましては今後とも十分努力いたして行きたいと思つております。
  95. 海野三朗

    ○海野三朗君 中共とは国交も回復していない、従つてその取引なんぞもこのほかのものの取引なんかはすべていわゆるドルを中心にしてやつておるのでありますか、或いはバーター制なんぞでやつておるのでありますか、それもちよつとお伺いしたい。
  96. 牛場信彦

    説明員牛場信彦君) 中共とは先ほど申しましたようにバーターでやつておりまして、但し輸入のほうだけは香港決済で入つて来るものが相当あるという状況であります。中共はドルの地域は殆んどありませんので、ドル取引はできません。ポンド建で而もバーター制ということになつております。
  97. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこの程度にしておきたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) なお堀議員より只今お手許に差上げております北海道における冷害に伴う中小商業者の金融に関する要望事項について特に本委員会に対してお願いをしたいというお話でございまして、これを一つ今から伺うことにいたしたいと存じますが、暫らく一つ皆様方お話を承わつて頂きます。  次回は月曜日の午後一時よりいたします。  それではこれにて散会をいたします。    午後零時十三分散会