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参考人(
青木金治郎君)
只今御紹介になりました
アルコール専売労働組合書記長並びに
賃金対策部長を兼ねております青木でございます。主に源資の点につきまして御
説明申上げるわけでございますが、その前にその前提となる二点についてあらかじめ御
承知おき願いたいと思います。
先ず第一点は、官側が
仲裁段階におきまして御答弁なさ
つた内容でございます。即ち先ほど
今井委員長からも御
説明がありました
通り、
調停案は妥当であるという御
説明をなさ
つております。それから第二点につきましては、
組合の
裁定に対する態度でございます。これは
只今委員長のほうから申上げましたように、
組合としては
金額並びに
実施期日の点で非常に遺憾に思
つている点もございますが、
裁定が
公労法の定めによる最終的決定でありますので、又これと同時に従来
政府当局が
裁定をどうしても尊重しようとしないということから、もう少し
裁定を権威あらしめたいという
組合側の気持からしまして、この際は
組合がみずからこれを尊重する態度に出ましてこの完全
実施のために闘おうというふうに決定いたしているわけでございます。
以上この二点の前提の下に当
組合が
裁定実施に要する源資、これが明らかに
予算上資金上支出可能であるという点で御
説明申上げたいと思います。先ほど専門員室のほうから
資料をお配りしてございます。なおこの
資料は、先ほど衆議院で御
説明申上げましたのと、それから議員のかた個々にお配りしましたのと、初めに作
つた資料と
只今配りました
資料は多少異な
つておりますが、これは官側の計数と照合いたしました結果、双方に多少ミスプリントがございましたので、整理いたしましてほぼ完璧な
数字でございます。
では第一点の
裁定完全
実施に要する
金額はどれほどの
金額であるかという点で御
説明申上げます。
組合で計算いたしましたものは大体二千九百三十五万円
程度でございます。この
内容は以下給与総額補正算定表に詳しく掲げられております。この際これがどの
程度のベース・アツプ率にな
つているかということを御
説明申上げますと、現在の成立
予算では、一月一万二千九百八十九円というベースにな
つております。これは年間を通じた
予算上のベースでございます。現在は定期昇給その他によりましてそれより若干上廻
つております。この一万二千九百八十九円と一万四千二百円の
裁定とを比べましたときには、ベース・アツプ率は一〇・九%にな
つております。即ち
裁定で上げて頂くのは一割ちよつとであります。ところで現在の給与は、先ほ
ども申しましたように、これよりも若干上廻
つておりますから、実際のベース・アツプは現行の一〇・九%よりも下廻るわけでございます。この点は、
只今問題にな
つております
人事院勧告の点とほぼ同様な現象がここに現われておるわけでございます。この算定表によ
つて算出いたしました二千九百三十五万というこの
内容でございますが、これは
裁定を八月から
実施さして頂く。それからいわゆる年末手当は大蔵大臣が当初公務員には一・二五カ月分を今年は
考慮しようということを言明されておりましたので、これは当然我々も頂けるものだと思いまして一・二五で計算させて頂きました。ところがこれは現在に至りまして、先般の閣
議決定により
一般公務員は一・二五であるけれ
ども、
公労法適用者は一カ月分に削られているわけでございます。これは後ほど御
説明申したいと思います。
組合が計算しましたのは二千九百三十五万でございます。
仲裁委員会では大体二千二百万
程度と踏んでいるようでございます。それから
当局側は完全
実施した場合はどの
程度かと申しますと二千百万
程度、この
数字と
組合側との間に多少開きがございますが、これは年末手当を所定の一カ月分に組むか一・二五に組むかという
数字で、その開きがこういうふうに現われて来たものが大部分でございます。以上要するにうちの
アルコールの
裁定を完全に
実施いたしますためには二千九百三十五万円の源資があれば十分賄
つて行けるということが言えるわけでございます。
次は源資の点でございます。この源資は現行支出
予算の予備費から六五%を流用させて頂ければ十分賄い得るということにな
つております。予備費について
説明申上げますと、当初の予備費は
政府原案によりまして三千万にな
つておりました。ところが先々
国会におきましていわゆる改進党修正がなされまして、予備費が四千五百三万七千円に増額されました。これはいわゆるアンバラ是正
実施のため必要な源資も含んでおります。で、この予備費は、一部少額の支出予定分を除きますと、その殆んどが給与総額に流用し得る
性質のものでございまして、事実上或る
程度のベース・アツプを予定して計上されたものであると推測いたしているわけでございます。なおこの予備費以外にも、各項目について詳細
説明いたしますと、相当の余裕金が指摘できるわけでありますが、余りにも低い
裁定額でございますので、もはやこれ以上指摘するまでもなく、予備費の点で
説明すれば十分ではないかと思
つているわけでございます。なおこの
裁定を
実施したために売渡価格の値上げをもたらすことはないかという御懸念があるかも存じませんが、これは又後ほど
説明申上げますが、値上げどころか新
賃金を
要求いたしまして三回に亘
つて値下げを行な
つております。これは一に
企業努力によるものでございまして、特に先般十一月の十六日付で改訂されましたものは、非常に大幅な値下げでございます。この値下げになりました価格にも、十分この
裁定程度を
実施するための人件費は見込んであるというふうに
組合では期待をいたしているわけでございます。以上、
裁定及び年末手当の一・二五その他諸手当に及ぼすはね返り分を計上した
金額が二千九百三十五万、この二千九百三十五万は予備費の六五%を給与総額に廻して頂ければ足りるという御
説明を申上げましたが、この際
組合がこの
裁定並びに
裁定以外の諸手当類につきまして
要求をしているのがあるわけでございます。それは
一つ宿日直手当が現行三百六十円の打切りにな
つておりますのを、やはり
超過勤務手当のような算出の
方法を加味いたしまして、これは八百円くらいに増額して頂きたいということと、それから石炭手当が現在非常に実情に副わない点がございますので、これを
世帯主三・五トン、その他は一・二、これを購入できる額にして頂きたいということ、これは八月の二十日に札幌の地方
調停委員会が国鉄、それから全電通に対しまして、この両
程度は明らかに北海道において必要だというふうに
勧告書を出されている
数字そのままのものでございます。それから三番目といたしまして、特殊勤務手当、これは本年初めて我々が頂いたものでございますが、これが
予算額が非常に実情に副わない点がございますので、取りあえず総額を五割増にして頂きたいということ、それから
職員特別手当、これはいわゆる年末手当でございますが、今の閣
議決定の一カ月分、これは現在の生活の窮乏を救済するには余りに低いので、やはり
組合要求の二カ月分を成るべくなら頂きたいという、これらの四点でございます。これを加味いたしまして計算いたしました
数字が四千六百八十五万円とな
つております。この
金額を源資について
考えて見ますと、予備費と国債整理基金特別会計繰入の三千五百四万円の操作によりまして十分賄
つて頂けるということにな
つているわけでございます。
以上申上げましたのは、
裁定とそのはね返りは勿論のこと、
組合の
要求の全部を満たし得る
金額が明らかに
予算上資金上、而も現在成立されている支出総額において賄
つて頂けるということの
説明をいたしたわけでございます。
なおこの際団体交渉の過程におきまして、
当局側から正式に拒否の回答をいたされましたその
理由は三項目ございますが、先ずこの三点について若干
組合の態度を表明いたしたいと思います。
その
一つは
予算上資金上不可能だという点でございます。これは確かに給与総額は上廻りますので、この点は
国会の御
考慮に待つことになりますが、成立
予算の中で見ますと、単に項目の変更をして頂くだけでこれは十分賄えるということは
只今申した
通りでございます。
それから
一般職との
関係がある。
一般職の
職員の給与と
関係して
考えなくちやいけないという点でございますが、これは非常に本質的な問題でございまして、
一般職との給与の
バランスのみについて
考えて頂くならば、なぜ
公労法が施行にな
つたかという点をその前にお
考え願えればその点で
解決するものとこちらでも思
つておるわけでございます。
それから価格改訂に影響する、いわゆる売渡価格の点に影響があるというふうな御回答でございますが、これはこの回答がまだ本年当初でございましたので、引上げその他の現象と矛盾するようなことでございまして、これは先ほど申しましたように、三回に亘
つて引下げが行われておりますので、これで十分御納得して頂けるものと思
つておりす。
以上申上げましたように、
組合は
裁定を尊重するという
建前をと
つております。又官側も
調停案程度は妥当だと申されております。
予算も十分あるわけでございます。こうい
つた情勢にありながら、これが等閑に附せられるということは、先ほど
今井委員長もおつしや
つたように、これは
公労法の精神に全くもとるものでございまして、この
裁定ということは各事業のやはり
内容について御
考慮願えなければ
公労法の精神が死んでしまうのではないかという気がいたすわけでございます。
なおこの際今も申上げました
企業努力の点について若干触れておきたいと思うのであります。当
組合の日常モツトーとしておりますのは、これら
労働条件の改善と共に、事業自体の繁栄ということを最大の眼目にいたしているわけでございます。このために全
職員は挙げて懸命な
努力を尽しておるわけでございまして、その成果は着々と挙がりまして、新
賃金を
要求いたしまして以来、すでに三回の
アルコール売渡価格の値下げを行いました。特に十一月十六日からは一挙一割以上の値下げを行いました。これらを通算いたしますと、当初の二二%の値下りを行な
つておるわけでございます。これは明らかに私たちの熱烈なる
企業努力の結集が如実にこういうふうな
数字とな
つて現われておると申上げても差支えないのじやないかと思
つております。こうい
つた我々の
企業努力に報いるものは何か、これは明らかに
裁定を完全に
実施して頂き、年末の窮状を救
つて頂くということにあるのではないかと思うのに、
政府当局は
裁定を延ばし、或いは年末手当は
一般職よりも悪いものを支給するというようなことで、明らかにこうい
つた企業努力に水をぶつかけるようなことを閣議で決定をなさ
つております。こうい
つたことは我々合法的活動を
建前にしております当
組合といたしまして、挙げて遺憾に存じておる次第であります。
以上縷々述べましたが、主に源資の点について十分鮮明して頂いて、御
考慮あらんことをお願いする次第であります。