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参考人(
沼田義雄君)
只今の御
質問と逆になるかも知れませんが、
只今の施行されております法令はやはり
輸出振興のために非常に必要だと存じます。むしろ拡張して頂きたいと思います。私の先ほど申上げました
問屋部門の
染色加工の問題につきましても、実はこの第四条の
輸出業者の下に、その他命令によ
つて定めるもの、ということをお入れになることになるようでございますが、この
現行法で拝見いたしますると、
輸出業者の
賃加工をいたします染織
業者に三%は今日でも交付されることにな
つておるということは、私はこれを裏から考えますと、
輸出業者は
輸出金額に対して一%与えられる、これは勿論すでに既得権を与えられたことなんだから……、そのどこか宙に迷うものを
染色業者に与えるのだというふうに、私案は
自分自身で解釈いたしております。そこで、
従つてそういうふうな
考え方でゆとりのあるものならば、
染色業者と又同様に
輸出の
推進をいたしております
問屋業者にも与えて欲しいということをお願いするわけでございます。それをやることによ
つて実際
輸出の
振興になるだろう、こう考えます。
それからいま
一つこの機会に、先ほど御
質問になりました
現行法が
輸出振興のためには、どこか抜いてもいいのじやないかということの御
質問に対しまして、私は抜くところはないが、むしろつぎ足して欲しい、こういうことを申上げたいのであります。特にこの機会に申上げておきたいと存じますことは、
賃加工の場合におきまして、この法文によりますと、
輸出商或いは化繊
メーカー等が、
機屋さんに対して
賃加工をいたしました場合に、その化繊
メーカー若しくは
輸出商が
生産者の
立場に立
つて、そうして三%の
恩典に浴するわけでございます。但し
輸出商の場合におきましては、
輸出の面においての
恩典がありますから、それはないことにな
つているようでございます炉、ただここで特にお取上げを願いたいと思いますことは、御参考に申上げておきたいと思いますことは、この賃織の面におきまして、先ほど岸さんから最初に申上げましたように、絹、
人絹織物の現在の賃織の
状態が、化繊
メーカーの賃織いたしまするものが大体二〇%、それから
産地の
問屋さんが賃織をいたしまするものが二〇%、それから
輸出商の賃織が一〇%、
あとの五〇%は
機屋さんが
自分で糸を
買つて、
自分の
危険負担において、
自分の
計算において
織物を織
つておるというのが現在の情況なんであります。そこで大体私どもが当該官庁と折衝をし、
お話を伺いました結果によりますると、化繊
メーカーの分につきましては、その二〇%の分については、化繊
メーカーが
織物生産者の
立場に立
つて三%の
恩典に浴されるということなんです。ただ問題は
問屋が賃織をいたします場合にはこれは認められない、こういうことなんであります。ただその理由はどうかと申上げますと、完全賃織と申しますのは、申上げるまでもなく賃織を
委託いたします者が、
自分で糸を買うか或いは
自分が生産をいたしまして、
自分の糸を
機屋にいい条件で渡して、そうしてこれこれの糸をいつ何日までに織
つて来い、そうして織り上
つて参りましたならば、それに対してあらかじめきめた織賃を与える、これがいわゆる賃織でございます。又そうでなければならないはずでございます。ところが最近特に終戦後、最近の
状態におきましては、いろいろな金融の面におきまして、又
機屋さんの信用
状態等の面におきまして、ただ黙
つて目をつぶ
つて糸を渡して、そうして織上
つて来るのを目をつぶ
つて待
つているというようなことが必ずしも許されない場合がある。
従つて自分が賃織をいたします
委託者の
立場におきまして、糸を
機屋さんに渡します場合、保証金の形でその糸代に該当する手形を受取
つております。そうして織り上りましたらばその手形に織賃を加えたものをすぐこちらから代金を決済をするというのが、現在の賃織と称しますものの実情でございます。それは表面から見ますると糸売り
織物買いという形にはな
つております。形にはな
つておりますが、そういう形を取らないで完全賃織をし得られるような
只今社会情勢でないものですから、止むを得ずそういう方法を取
つておりますが、その間における先ほど申上げました
問屋若しくは
輸出商、或いは
織物生産者が
染屋さんに
染めを依頼する場合と同様に、その間におけるそこのフラクチユエーシヨンによるところの、或いはいろいろな関係による例えば
流行の変遷等による
危険負担は、全部
委託者が
負担をしております。
従つて、化繊
メーカーの場合と
産地問屋の
委託加工賃織の場合も同じ
ケースを辿
つておりますので、これも同様に見て頂くことによ
つて、
輸出の
振興には更に寄与するのではないか、こう考えます。